特許異議申立
2024-700979
光源ユニットおよび照明器具
- 審判番号
- 2024-700979
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-210321
- 登録番号
- 7463702
- 請求日
- 2024年10月08日
- 審決日
- 2025年12月11日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【異議申立人】矢野 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 高橋 学
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7463702号発明「光源ユニットおよび照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7463702号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9〕について訂正することを認める。
特許第7463702号の請求項1~10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7463702号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和元年11月21日に出願され、令和6年4月1日にその特許権の設定登録がされ、同年4月9日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年10月 8日 :特許異議申立人矢野直樹(以下「申立人」という。)による請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て
同年12月24日付け:取消理由通知書
令和7年 2月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月 7日 :申立人による意見書の提出
同年 5月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 7月10日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 9月22日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
また、令和7年2月21日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を「光源ユニットと、前記光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体と、を備え、前記光源ユニットは、第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、前記支持板の前記第2面側に設けられ、前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、前記ケースに収納された回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部と、前記回路基板と離間するとともに前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置と、を備え、前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納されることを特徴とする照明器具。」と訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、3、6~9も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0006】を「本開示に係る照明器具は、光源ユニットと、該光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体と、を備え、該光源ユニットは、第1面と該第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、該支持板の該第1面側に設けられた光源モジュールと、該支持板の該第2面側に設けられ、該支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、該ケースに収納された回路基板に搭載され、該第2開口によって該ケースから露出する受光部と、該回路基板と離間するとともに該ケースの外部に設けられ、該受光部が受信する信号に応じて該光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置と、を備え、該光源ユニットが該器具本体に保持された状態において、該点灯装置と該ケースは、該光源モジュールと該器具本体との間に収納される。本開示に係る光源ユニットは、第1面と該第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、該支持板の該第1面側に設けられた光源モジュールと、該支持板の該第2面側に設けられ、該支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、該ケースに収納され、該第2開口によって該ケースから露出する受光部と、を備え、該第1開口の中心は、該第2開口の中心に対して該第1面に沿った方向にずれている。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記光源ユニットを保持する器具本体」との記載を「前記光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体」と訂正することにより、「器具本体」による「前記光源ユニット」の「保持」が「着脱可能」であることを特定するものである。
また、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記ケースに収納され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」との記載を「前記ケースに収納された回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」と訂正し、本件訂正前の請求項1の「前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置」との記載を「前記回路基板と離間するとともに前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置」と訂正することにより、「受光部」が「ケースに収納された回路基板に搭載され」、該「回路基板」が「点灯装置」と「離間する」ことを特定するものである。
更に、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される」ことに関して、「前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、」との事項を付加することにより、「前記点灯装置と前記ケース」が「前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される」のが、「前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態」であることを特定するものである。
以上から、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「明細書等」という。)における、段落【0010】には、「器具本体3と光源ユニット2は着脱自在である。」との記載があり、段落【0020】には、「受光素子11および回路基板12はケース9に収納される。受光素子11は回路基板12に搭載される。」との記載がある。
また、明細書等の段落【0011】の「光源ユニット2は、後述する光源と、光源に供給する電力を制御する点灯装置5を備える。また、光源ユニット2は受光素子ユニット4を備える。」との記載及び図1の記載から、明細書等には、光源ユニット2が備える受光素子ユニット4と点灯装置5が、互いに離間するものであることが示されていると認められる。
そして、明細書等の段落【0012】の「点灯装置5と受光素子ユニット4は、光源およびカバー6と、器具本体3との間に収納される。」との記載、並びに図1及び6の記載から、明細書等には、光源ユニット2が器具本体3に保持された状態において、点灯装置5とケース9が光源モジュール13と器具本体3との間に収納されることが示されていると認められる。
以上から、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(1)イで述べたのと同じ理由から、訂正事項2は、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~3、6~9について、請求項2、3、6~9は、それぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~3、6~9に対応する本件訂正後の請求項1~3、6~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
なお、本件訂正の対象になっていない訂正前の請求項4、5、10について、請求項5、10は、それぞれ請求項4を引用しているものであって、請求項4、5、10は別の一群の請求項である。
また、明細書の訂正に係る訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された段落【0006】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2、3、6~9は、それぞれ請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
4 小括
以上のとおり、訂正事項1、2に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項2に係る本件訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
前記「第2」で説示したように本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
光源ユニットと、
前記光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体と、
を備え、
前記光源ユニットは、
第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられ、前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、
前記ケースに収納された回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部と、
前記回路基板と離間するとともに前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置と、
を備え、
前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記受光部は赤外線信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1開口は、前記第1面と垂直な方向から見て前記第2開口と少なくとも一部が重なることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられ、前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、
前記ケースに収納され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部と、
を備え、
前記第1開口の中心は、前記第2開口の中心に対して前記第1面に沿った方向にずれていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項5】
前記第1開口は、前記第2開口に対して隣接する他の光源ユニットと離れる方向にずれていることを特徴とする請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記ケースのうち前記第2開口が形成された面は、前記支持板の前記第2面と離れていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記ケースは、前記第2開口の周囲に前記ケースの内側に向かって突出した突出部を有することを特徴とする請求項1、2、3、6の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記ケースは、前記第2開口の周囲に前記ケースの外側に向かって突出した突出部を有することを特徴とする請求項1、2、3、6の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記支持板の前記第1面側に設けられ、前記光源モジュールを覆い、前記受光部が受信する信号を透過させるカバーを備え、
前記カバーは前記第1開口を塞ぐことを特徴とする請求項1、2、3、6、7、8の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項10】
請求項4または5に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットを保持する器具本体と、
を備えることを特徴とする照明器具。」
第4 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について
本件訂正前の請求項1~3、6~9に係る特許に対して、当審が令和7年5月30日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)は、次の取消理由を含むものである。
理由:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
1 甲号証一覧
甲第2号証:特開2013-48051号公報
以下、「甲第○号証」を「甲○」といい、「甲○号証に記載された発明」を「甲○発明」という。
2 請求項と甲号証との関係
・請求項 1~3、6~9
・引用文献 甲2
第5 当審の判断
1 理由(進歩性)について
(1)甲2の記載事項
甲2には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付したものである。
ア「【0013】
略円形状のLED照明装置11は、図1に示すように、略円形状のセード13、および、センサユニット101を備える。セード13は、透光性(透明、半透明、または、乳白色を含む)を有する樹脂製(例えばアクリルやポリスチレンなど)の部品である。セード13は、光源から放射された光束を拡散させて、使用者がLED照明装置11を直視した際のまぶしさを軽減したり、LED照明装置11が設置された空間の明るさを均一化する役割を果たす。」
イ「【0014】
セード13は、後記する放熱板21の裾野部21aに固定されたセード取付具29によって、吊り下げ状態で係合保持される。具体的には、例えば、セード13を周方向反時計回りに回転させることによって、セード13に突設した図示しない係合部が外れるようになっている。・・・」
ウ「【0016】
本実施形態に係るLED照明装置11は、図2Aおよび図2Bに示すように、セード13の背面側に、天井側に近い部材から、本体ベース15、絶縁板17、点灯回路基板19、放熱板21、LED素子実装基板23、透光性を有するカバー部材25、および、セード取付具29を備えて構成されている。」
エ「【0020】
点灯回路基板19は、図7に示すように、絶縁板17の外縁に突設された基板係止部17a,17bを介して絶縁板17に保持されている。絶縁板17は、本体ベース15にねじ止め固定されている。これにより、点灯回路基板19は、本体ベース15および放熱板21によって囲まれた放熱空間内に、電気絶縁性を維持した状態で係止固定されている。」
オ「【0021】
点灯回路基板19上には、図2Aおよび図7に示すように、リモコン信号受信部20が設けられている。リモコン信号受信部20は、使用者によって操作されるリモコンユニット(不図示)から発せられる例えば赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を、筒状に形成された導光部20aを介して受信する機能を有する。リモコン信号受信部20で受信したリモコン信号は、点灯回路基板19の制御部(不図示)に渡される。これを受けて点灯回路基板19の制御部は、受信したリモコン信号に応じたLED素子24の点灯制御を行うように構成されている。」
カ「【0024】
そこで、略円錐台形状の放熱板21は、図2A、図2B、および図6に示すように、例えば亜鉛メッキ鋼板などの熱伝導性の良好な金属を素材として用いて、その縦断面がハット形状となるように一体成形されている。具体的には、放熱板21は、図6に示すように、略ドーナツ形状の裾野部21aと、表面側(床側)へ突出する略円形状の台形平坦部21bとの間を、周回状の傾斜面よりなるテーパ部21cを介して接続する構成を採用している。裾野部21aは、本体ベース15に対するねじ止め固定部となる。また、裾野部21aは、セード取付具29などの取り付け部でもある。台形平坦部21bは、詳しくは後記するが、LED素子実装基板23の取り付け部となる部分である。こうした放熱板21は、金属製の薄板をプレス成形することによって製造される。」
キ「【0026】
本発明の“基板”として機能するLED素子実装基板23は、図4および図5に示すように、それぞれが共通の略扇形状の4枚のLED素子実装基板23a~23dを含んで構成される。これら4枚のLED素子実装基板23a~23dを、放熱板21の所定位置に取り付けた状態において、LED素子実装基板23は、図4に示すように、全体として略ドーナツ形状を形成するようになっている。」
ク「【0029】
LED素子実装基板23には、複数の照明光源用のLED素子24および保安灯用のLED素子35が半田付けにより実装されている。・・・」
ケ「【0035】
カバー部材25には、図3A、および図8に示すように、複数のドーム形状部26、第1および第2の電源接続部を覆う4つの第1の電源接続部カバー部27、第3の電源接続部を覆う4つの第2の電源接続部カバー部28、および、放熱板21に形成された受光孔20bを覆う4つの受光孔カバー部25bがそれぞれ一体に形成されている。」
コ「【0039】
また、放熱板21とカバー部材25との間にLED素子実装基板23を介在させて放熱板21に対してカバー部材25をねじ止め固定する構成を採用したので、放熱板21に対するLED素子実装基板23の密着性が高くなり、放熱性を向上することができる。このため、発光面の密度が均一で、かつ、LED素子24の発光効率に優れたLED照明装置11を実現することができる。
さらに、カバー部材25に対する適正な位置にLED素子24の配置を矯正すると共に、LED素子実装基板23の反りや変形を軽減するといった効果もある。」
サ「【0043】
一方、放熱板21における台形平坦部21bの外周側には、図6に示すように、4つの円形状の受光孔20bが、周方向にそれぞれ等しい間隔を置いて開設されている。・・・」
シ「【0044】
リモコン信号受信部20の導光部20aに係る表面側(床側)の先端部は、図3Bに示すように、放熱板21に形成された4つの受光孔20bのうちいずれかひとつを望むように位置している。具体的には、リモコン信号受信部20の導光部20aに係る表面側(床側)の先端部は、図3Bに示すように、カバー部材25の嵌合突出部25cに嵌り合うようになっている。したがって、リモコンユニットから発せられる赤外線リモコン信号は、セード13、カバー部材25の受光孔カバー部25b、受光孔20b、および、導光部20aをそれぞれ通過して、リモコン信号受信部20へと到達するようになっている。」
ス「【0109】
LED素子実装基板23は、図3Aに示すように、放熱板21の台形平坦部21bとカバー部材25との間に位置させた状態で、放熱板21の台形平坦部21bに対してカバー部材25を複数のねじで締結することによって本固定される。この本固定の前に、それぞれのLED素子実装基板23a~23dは、1つ(複数でもよい)のねじ53(図18B,図19B参照)を用いて、放熱板21の台形平坦部21bに直接仮止めされる。この仮止め作業手順は次の通りである。」
セ 「【0117】
前記の仮止め作業が、4枚のLED素子実装基板23a~23dについて完了すると、隣接するLED素子実装基板23同士を第3の電源接続部39を介して接続すると共に、第1および第2の電源接続部31,33を点灯回路基板19に接続する作業を行う。その後、LED素子実装基板23を、放熱板21の台形平坦部21bに、カバー部材25と共に複数のねじを用いて本固定する。」
ソ 図2Aは、以下に示すとおりである。
「
[図:0001433063000001.jpg]
」
タ 図3Bは、以下に示すとおりである。
「
[図:0001433063000002.jpg]
」
(2)甲2の認定事項
ア 段落【0021】、【0024】、【0026】、【0029】、【0035】、及び【0039】から、点灯回路基板19、点灯回路基板19に設けられた赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を受信するリモコン信号受信部20及び導光部20a、放熱板21、LED素子実装基板23、カバー部25、及びセード13は、LED照明装置11の発光機能を奏する発光ユニットであるといえる。
イ 段落【0024】、図2Aから、放熱板21は、台形平坦部21bを有し、台形平坦部21bは、床側の表面と反対側の裏面を有しているといえる。
ウ 前記イ、段落【0020】、【0024】、【0026】、及び図3Bから、LED素子実装基板23は、台形平坦部21bの表面側に設けられ、導光部20aは、台形平坦部21bの裏面側に設けられているといえる。
エ 段落【0021】及び図13から、導光部20aは、点灯回路基板19上に設けられたリモコン信号受信部20をその内部に収容するケースであるといえる。
オ 参考図
図3Bに当審で部材名を付した以下の参考図から、導光部20aは、点灯回路基板19から床側に向かって延出する筒状のケースであり、その床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通していることが看取できる。
また、基板側筒部は、床側の端面を有し、その床側の端面が放熱板21の台形平坦部21bの裏面と離れており、さらに、基板側筒部の床側の端面から床側筒部が床側に延びているといえる。
(参考図)
[図:0001433063000003.jpg]
カ 前記オ、段落【0044】、及び図3Bから、リモコン信号受信部20は、導光部20aの貫通孔を望む点灯回路基板19上の位置にあるといえる。
キ 段落【0021】、図2A、及び図3Bから、リモコン信号受信部20以外の点灯回路基板19に設けられた他の素子は、導光部20aの外部にあるところ、技術常識を踏まえれば、当該他の素子は、LED素子24の点灯制御を行うものであるといえる。
したがって、点灯回路基板19に設けられたLED素子24の点灯制御を行うための素子は、導光部20aの外部に設けられているといえる。
ク 段落【0020】から、点灯回路基板19は、本体ベース15に固定された絶縁基板17に係止固定されているといえる。
ケ 前記ア、ウ、ク、段落【0014】、【0020】、【0024】、【0021】、【0039】及び図3Bから、発光ユニットを構成するLED素子実装基板23、カバー部25、及び前記セード13は、放熱板21を介して本体ベース15に固定され、発光ユニットを構成する点灯回路基板19が本体ベース15側に係止固定される。そして、これら発光ユニットを構成する部材が本体ベース15に固定された状態において、点灯回路基板19及び導光部20aは、放熱板21と本体ベース15との間に収納されていると認められる。
そうすると、甲2において、発光ユニットが本体ベース15に固定された状態において、点灯回路基板19及び導光部20aは、放熱板21と本体ベース15との間に収納されているといえる。
コ 図2A及び図3Bから、セード13は、放熱板21の台形平坦部21bの表面側からLED素子実装基板23を覆っているといえる。
サ 段落【0014】及び【0021】から、放熱板21の受光孔20bと導光部20aの貫通孔は、放熱板21の表面側の台形平坦部21bと垂直な方向からみて、重なっているといえる。
(3)甲2発明1
前記(1)及び(2)から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されているといえる。
なお、括弧内は主な参照箇所を示す。以下同様。
「本体ベース15、絶縁板17、点灯回路基板19、放熱板21、LED素子実装基板23、透光性を有するカバー部材25、及び透光性を有するセード13を備え(段落【0013】、【0016】)、
前記点灯回路基板19、前記点灯回路基板19に設けられた赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を受信するリモコン信号受信部20及び導光部20a、前記放熱板21、前記LED素子実装基板23、前記カバー部材25、及び前記セード13は、発光ユニットを構成し(前記(2)ア)、
前記点灯回路基板19は、前記本体ベース15に固定された絶縁基板17に係止固定され(前記(2)ク)、
前記放熱板21は、前記本体ベース15に固定され、台形平坦部21bを有し、前記台形平坦部21bは、床側の表面と反対側の裏面を有し、受光孔20bが開設され(段落【0024】、【0043】、前記(2)イ)、
複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23は、前記放熱板21の前記台形平坦部21bの表面側に取り付けられ(段落【0029】、前記(2)ウ)、
前記カバー部材25は、前記受光孔20bを覆う受光孔カバー部25bが形成され、前記放熱板21との間に前記LED素子実装基板23を介在させて前記放熱板21に固定され(段落【0035】、【0039】)、
前記セード13は、前記放熱板21の前記台形平坦部21bの表面側から前記LED素子実装基板23を覆い、前記放熱板12に係合保持され(段落【0014】、前記(2)コ)、
前記導光部20aは、前記リモコン信号受信部20をその内部に収容する筒状のケースであり、前記放熱板21の前記台形平坦部21bの裏面側に設けられ、前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れており、前記床側の端面から前記床側に前記床側筒部が延び、前記リモコン信号受信部20は、前記導光部20aの前記貫通孔を望む前記点灯回路基板19上の位置にあり(前記(2)ウ~カ)、
前記受光孔20bと前記貫通孔は、前記台形平坦部21bの表面と垂直な方向からみて、重なっており(前記(2)サ)、
赤外線リモコン信号は、前記セード13、前記カバー部材25の前記受光孔カバー部25b、前記受光孔20b、及び前記導光部20aをそれぞれ通過して、前記リモコン信号受信部20へと到達し(段落【0044】)、
前記点灯回路基板19に設けられた前記LED素子24の点灯制御を行うための素子は、前記導光部20aの外部に設けられ、前記リモコン信号受信部20で受信した前記リモコン信号に応じたLED素子24の点灯制御を行ない(段落【0021】、前記(2)キ)、
前記発光ユニットが前記本体ベース15に固定された状態において、前記点灯回路基板19及び前記導光部20aは、前記放熱板21と前記本体ベース15との間に収納されている(前記(2)ケ)、
LED照明装置11。」
2 本件発明1について
(1)対比
ア 本件発明1と甲2発明1とを対比すると、後者の「発光ユニット」が前者の「光源ユニット」に、以下同様に、後者の「放熱板21」が前者の「支持板」に、後者の「台形平坦部21b」の「表面」が前者の「第1面」に、後者の「台形平坦部21b」の「裏面」が前者の「第2面」に、後者の「受光孔20b」が前者の「第1開口」に、後者の「複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23」が前者の「光源モジュール」に、後者の「赤外線を伝送媒体としたリモコン信号」及び「赤外線リモコン信号」が前者の「信号」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
イ 後者の「前記点灯回路基板19、前記点灯回路基板19に設けられた赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を受信するリモコン信号受信部20、前記点灯回路基板19に設けられた導光部20a、前記放熱板21、前記LED素子実装基板23、前記カバー部材25、及び前記セード13は、発光ユニットを構成し、」「前記点灯回路基板19は、前記本体ベース15に固定された絶縁基板17に係止固定され、」「前記放熱板21は、前記本体ベース15に固定され、」「複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23は、前記放熱板21」「に取り付けられ、」「前記カバー部材25は、」「前記放熱板21に固定され、」「前記セード13は、」「前記放熱板12に係合保持され」ることにおいて、「発光ユニット」が「本体ベース15」に保持されているといえるので、後者の「本体ベース15」と前者の「前記光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体」は、「前記光源ユニットが保持される器具本体」との点で、共通する。
ウ 後者の「台形平坦部21bを有し、前記台形平坦部21bは、床側の表面と反対側の裏面を有し、受光孔20bが開設され」る「前記放熱板21」は、前者の「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板」に相当する。
エ 後者の「前記放熱板21の前記台形平坦部21bの表面側に取り付けられ」る「複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23」は、後者の「前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュール」に相当する。
オ 後者の「前記放熱板21の前記台形平坦部21bの裏面側に設けられ、」「筒状のケースであ」る「前記導光部20a」は、前者の「前記支持板の前記第2面側に設けられ」る「ケース」に相当する。
カ 後者の「前記導光部20aは、」「筒状のケースであり、」「前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れて」いることにおいて、「前記基板側筒部」の「床側の端面」が「放熱板21」と対向しており、「貫通孔」が「前記基板側筒部」の「床側の端面」に開口を形成していることは明らかである。
そうすると、後者の「貫通孔」によって形成された「前記基板側筒部」の「床側の端面」の開口は、前者の「前記支持板と対向する面に」「形成された」「第2開口」に相当する。
したがって、後者の「前記導光部20aは、」「筒状のケースであり、」「前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れて」いることは、前者の「ケース」の「前記支持板と対向する面に第2開口が形成され」ることに相当する。
キ 後者の「前記点灯回路基板19に設けられた赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を受信するリモコン信号受信部20及び導光部20a」であり、「前記導光部20aは、前記リモコン信号受信部20をその内部に収容する筒状のケースであり、」「前記リモコン信号受信部20は、前記導光部20aの前記貫通孔を望む前記点灯回路基板19上の位置にあ」ることにおいて、前記カから、「前記リモコン信号受信部20」が「前記貫通孔」が形成する「前記基板側筒部」の「床側の端面」の開口に対しても「望む」「位置に」あることは明らかである。
そうすると、後者の「筒状のケースであ」る「導光部20a」の「内部に収容」され、「前記点灯回路基板19に設けられ」、「前記導光部20aの前記貫通孔を望む前記点灯回路基板19上の位置にあ」る「前記リモコン信号受信部20」と前者の「前記ケースに収納された回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」とは、「前記ケースに収納され、回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」との点で共通する。
ク 後者の「前記導光部20aの外部に設けられ、前記リモコン信号受信部20で受信した前記リモコン信号に応じたLED素子24の点灯制御を行な」う「前記点灯回路基板19に設けられた前記LED素子24の点灯制御を行うための素子」は、「前記LED素子24」に供給する電力を制御する点灯装置であるといえるから、前者の「前記回路基板と離間するとともに前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置」と、前記キの「ケース」と「受光部」の限りにおいて、「前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置」との点で共通する。
ケ 後者の「前記発光ユニットが前記本体ベース15に固定された状態において、前記点灯回路基板19及び前記導光部20aは、前記放熱板21と前記本体ベース15との間に収納されている」ことは、前記キの「ケース」の限りにおいて、前者の「前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される」ことに相当する。
コ 以上の限りにおいて、後者の「LED照明装置11」が前者の「照明器具」に相当する。
したがって、本件発明1と甲2発明1は、
「光源ユニットと、
前記光源ユニットが保持される器具本体と、
を備え、
前記光源ユニットは、
第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられ、前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、
前記ケースに収納され、回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部と、
前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置と、
を備え、
前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される、
照明器具。」
との点で、一致し、以下の相違点で相違する。
[相違点2-1-1]
器具本体による光源ユニットの保持に関して、本件発明1は、前記光源ユニットが「着脱可能に」保持されるのに対して、甲2発明1は、「前記点灯回路基板19」が「前記本体ベース15に固定された絶縁基板17に係止固定され」、「前記放熱板21」が「前記本体ベース15に固定され」、「前記LED素子実装基板23」が「前記放熱板21」「に取り付けられ」、「前記カバー部材25」が「前記放熱板21に固定され」、及び「前記セード13」が「前記放熱板12に係合保持され」るというように、発光ユニットを構成する各部材が直接的又は間接的に本体ベース15に取り付けられるものであり、発光ユニットが本体ベース15に「着脱可能に」保持されるものではない点。
[相違点2-1-2]
受光部に関して、本件発明1は、「ケースに収納された回路基板」に搭載された受光部であるのに対して、甲2発明1は、「点灯回路基板19」に設けられるとともに、「点灯回路基板19に設けられた」導光部20aに収納されるリモコン信号受信部20である点。
[相違点2-1-3]
点灯装置に関して、本件発明1は、「受光部」が「搭載され」た「回路基板と離間する」点灯装置であるのに対して、甲2発明1は、「点灯回路基板19に設けられた」LED素子24の点灯制御を行うための素子であり、「点灯回路基板19に設けられた導光部20aの外部に」設けられた素子である点。
(2)相違点について
事案に鑑み、相違点2-1-2について検討する。
甲2発明1において、リモコン信号受信部20を収容するケースである導光部20aは、点灯回路基板19上に設けられたリモコン信号受信部20を収容するものであり、リモコン信号受信部20が設けられた点灯回路基板19を収納するものではない。
そして、甲2には、導光部20aによって点灯回路基板19を収納することについては、記載も示唆もない。
また、申立人が提示した他の証拠のいずれにも、ケースに収納された回路基板に、信号を受信する受光部を設けることについての記載も示唆もない。
そうすると、甲2発明1において、相違点2―1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、相違点2-1-1及び2-1-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
3 本件発明2、3、及び6~9について
本件発明2、3、及び6~9は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記2(2)と同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 令和7年9月22日提出の申立人の意見書について
令和7年9月22日提出の意見書における申立人の主張の概要は、新たに甲8(特開2016-152120号公報)、甲9(特開2018-37177号公報)、甲10(特開2019-125590号公報)、及び甲11(特開2018-181594号公報)を提示し、これらの記載から、「受光部が回路基板に搭載され、点灯装置が受光部の回路基板と離間していること」は、本件の出願時において周知技術であるので、本件訂正発明1は、甲2発明1及び該周知技術に基いて当業者が容易に器発明することができたものであるというものである。
しかしながら、甲8~11には、「ケースに収納された回路基板に搭載された」「受光部」については記載も示唆もない。
そして、申立人が提示した他の証拠のいずれにも、ケースに収納された回路基板に、信号を受信する受光部を設けることについての記載も示唆もない。
したがって、前記2(2)で述べたように、甲2発明1において、相違点2-1-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、申立人の主張を採用することはできない。
5 小括
以上のとおり、本件発明1~3及び6~9は、甲2発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲2発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、請求項1~3及び6~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によって、本件特許の請求項1~3及び6~9に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、前記第4の甲号証一覧で示した証拠(甲2)に加え、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
1 甲号証一覧
甲1:特開2019-12608号公報
甲3:特開2010-32101号公報
甲4:特開2011-108604号公報
甲5:特開2017-212071号公報
甲6:特開2016-51651号公報
甲7:特開2016-10296号公報
2 申立理由の概要
(1)請求項1~3及び9に係る特許の新規性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)]。
(2)請求項4に係る特許の新規性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)]。
(3)請求項1~3、7、及び9に係る特許の進歩性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(4)請求項4、5、及び10に係る特許の進歩性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(5)請求項4、5、及び10に係る特許の進歩性について(甲2を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
3 申立理由の検討
(1)申立理由(1)及び(3)について
ア 申立理由(1)
本件発明1~3及び9は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号に該当するので、請求項1~3及び9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(3)
本件発明1~3、7、及び9は、甲1に記載された発明、及び甲5~7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~3、7、及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由(1)及び(3)の検討
ア 甲1について
(ア)甲1の認定事項
甲1の段落【0010】、【0014】、【0015】、【0023】、【0025】~【0027】、【0034】、【0059】、図1、2、4、5、及び9から、甲1について、以下の事項が認められる。
a 段落【0010】及び【0059】から、照明器具1は、光源ユニット2と、光源ユニット2を着脱可能に支持する器具本体10と、を備える。
b 段落【0010】、【0014】、及び【0015】から、光源ユニット2は、光源モジュール28と、取付板220と、電源ユニット24と、無線モジュール29とを備える。
c 段落【0010】、【0027】、【0034】、図4及び5から、取付板220は、厚み方向の第1面2201及び第2面2202を有し、光源モジュール28は、第1面2201に取り付けられ、無線モジュール29及び電源ユニット24は、互いに離間して第2面2202に取り付けられる。
d 段落【0010】、【0023】、【0024】、及び図9から、無線モジュール29は、本体部290と、本体部290の一面(下面)から突出するアンテナ部291と、本体部290の一面(下面)に設けられた光信号を受け取る受光部292を有し、アンテナ部291及び受光部292は、取付板220の開口222により露出している。
また、開口222の中心は、受光部292の中心に対して第1面2201に沿った方向にずれている。
e 段落【0023】から、本体部290は、回路ブロックを内蔵し、回路ブロックは、アンテナ部291を介して受け取った無線信号を、電源ユニット24に対応した第1制御信号に変換するとともに、受光部292で受け取った光信号を、電源ユニット24に対応した第2制御信号に変換する。
f 段落【0025】及び【0026】から、電源ユニット24は、電源回路を有し、電源回路は、第1制御信号に応じて光源モジュール28を制御し、第2制御信号に応じて照明器具1とリモートコントローラとの関連付けを変更する。
g 図1、2、及び5から、光源ユニット2が器具本体10に支持された状態において、電源ユニット24と本体部290は、光源モジュール28と器具本体10の間に配置される。
(イ)甲1発明1
前記(ア)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光源ユニット2と、光源ユニット2を着脱可能に支持する器具本体10と、を備える照明器具1であって(前記(ア)a)、
前記光源ユニット2は、光源モジュール28と、取付板220と、電源ユニット24と、無線モジュール29とを備え(前記(ア)b)、
前記取付板220は、厚み方向の第1面2201及び第2面2202を有し、前記光源モジュール28は、前記第1面2201に取り付けられ、前記無線モジュール29及び前記電源ユニット24は、互いに離間して前記第2面2202に取り付けられ(前記(ア)c)、
前記無線モジュール29は、本体部290と、前記本体部290の一面(下面)から突出するアンテナ部291と、前記本体部290の一面(下面)に設けられた光信号を受け取る受光部292を有し、前記アンテナ部291及び前記受光部292は、前記取付板220の開口222により露出し(前記(ア)d)、
前記本体部290は、回路ブロックを内蔵し、前記回路ブロックは、前記アンテナ部291を介して受け取った無線信号を、前記電源ユニット24に対応した第1制御信号に変換するとともに、前記受光部292で受け取った光信号を、前記電源ユニット24に対応した第2制御信号に変換し(前記(ア)e)、
前記電源ユニット24は、電源回路を有し、前記電源回路は、前記第1制御信号に応じて光源モジュール28を制御し、前記第2制御信号に応じて照明器具1とリモートコントローラとの関連付けを変更し(前記(ア)f)、
前記光源ユニット2が前記器具本体10に支持された状態において、前記電源ユニット24と前記本体部290は、光源モジュール28と器具本体10の間に配置される(前記(ア)g)、
照明器具1。」
イ 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明1の対比
本件発明1と甲1発明1を対比する。
a 後者の「光源ユニット2」が前者の「光源ユニット」に相当し、後者の「光源ユニット2を着脱可能に支持する器具本体10」が前者の「光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体」に相当する。
b 後者の「厚み方向の第1面2201及び第2面2202を有」する「前記取付板220」は、「第1面2201」と「第2面2202」が「厚み方向」の反対側にそれぞれ位置することは明らかなので、前者の「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有」する「支持板」に相当し、後者の「前記取付板220の開口222」が前者の「支持板」に「形成された」「第1開口」に相当する。
c 前記bから、後者の「前記第1面2201に取り付けられ」た「前記光源モジュール28」は、前者の「前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュール」に相当する。
d 前記bから、後者の「前記第2面2202に取り付けられ」た「前記無線モジュール29」と、前者の「前記支持板の前記第2面側に設けられ」た「ケース」とは、「前記支持板の前記第2面側に設けられた部品」との点で共通する。
e 前記dから、後者の「前記無線モジュール29」が「有」する「本体部290」の「一面(下面)に設けられた光信号を受け取」り、「前記取付板220の開口222により露出」する「受光部292」と、前者の「前記ケースに収納された回路基板に搭載され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」は、「前記部品から露出する受光部」との点で共通する。
f 前記d及びeから、後者の「前記無線モジュール29及び前記電源ユニット24は、互いに離間して前記第2面2202に取り付けられ、」「前記無線モジュール29は、本体部290と、前記本体部290の一面(下面)から突出するアンテナ部291と、前記本体部290の一面(下面)に設けられた光信号を受け取る受光部292を有し、」「前記本体部290は、回路ブロックを内蔵し、前記回路ブロックは、前記アンテナ部291を介して受け取った無線信号を、前記電源ユニット24に対応した第1制御信号に変換するとともに、前記受光部292で受け取った光信号を、前記電源ユニット24に対応した第2制御信号に変換し、」「前記第1制御信号に応じて光源モジュール28を制御し、前記第2制御信号に応じ照明器具1とリモートコントローラとの関連付けを変更」する「電源回路を有」する「前記電源ユニット24」は、「前記電源ユニット24」が「前記無線モジュール29」の外部に設けられることは明らかなので、前者の「前記回路基板と離間するとともに前記ケースの外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する点灯装置」とは、「前記部品の外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じた制御を行う点灯装置」との点で共通する。
g 前記d及びfから、後者の「前記光源ユニット2が前記器具本体10に支持された状態において、前記電源ユニット24と前記本体部290は、光源モジュール28と器具本体10の間に配置される」ことと、前者の「前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記ケースは、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される」ことは、「前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記部品は、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明1は、
「光源ユニットと、
前記光源ユニットが着脱可能に保持される器具本体と、
を備え、
前記光源ユニットは、
第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられた部品と、
前記部品から露出する受光部と、
前記部品の外部に設けられ、前記受光部が受信する信号に応じた制御を行う点灯装置と、
を備え、
前記光源ユニットが前記器具本体に保持された状態において、前記点灯装置と前記部品は、前記光源モジュールと前記器具本体との間に収納される照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1-1]
支持板の第2面側に設けられた部品に関して、本件発明1は、「支持板と対向する面に第2開口が形成されたケース」であって、「前記第2開口によって前記ケースから」露出する受光部が「搭載」された「回路基板」を「収納」する「ケース」であるのに対して、後者は「その一面(下面)に」「光信号を受け取る受光部292を有」する「本体部292」を「有」する「無線モジュール29」であり、かかる「第2開口」や「回路基板」について特定されていない点。
[相違点1-1-2]
点灯装置に関して、本件発明1は、「前記回路基板と離間するとともに」「前記受光部が受信する信号に応じて前記光源モジュールに供給する電力を制御する」点灯装置であるのに対して、甲1発明1は、「前記受光部292で受け取った光信号を、前記電源ユニット24に対応した第2制御信号に変換し」、「前記第2制御信号に応じ照明器具1とリモートコントローラとの関連付けを変更」する「電源回路」を有する電源ユニット24である点。
(イ)相違点についての検討
事案に鑑み、相違点1-1-2について検討する。
甲1発明1おいて、電源ユニット24の電源回路は、アンテナ部291を介して受け取った無線信号を変換した第1制御信号に応じて光源モジュール28を制御するものであり、受光部292で受け取った光信号を変換した第2制御信号は、照明器具1とリモートコントローラとの関連付けを変更するために用いられるものにすぎない。
そうすると、相違点1-1-2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲1発明1ではない。
そして、甲1には、アンテナ部291で受信する無線信号に換えて、受光部292で受信した光信号に応じて光源モジュール28を制御することについての記載も示唆もない。
また、甲5~7においても、照明器具において、アンテナで受信する無線信号に換えて、受光部で受信した光信号を用いて光源モジュールを制御することについて、記載も示唆もない。
そうすると、甲1発明1において、相違点1-1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明1ではなく、また、相違点1-1-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1及び甲5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 本件発明2及び3、並びに7及び9について
本件発明2及び3、並びに7及び9は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明2、3、及び9は、甲1発明1ではなく、また、本件発明2及び3、並びに7及び9は、甲1発明1及び甲5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立理由(2)及び(4)について
ア 申立理由(2)
本件発明4は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号に該当するので、請求項4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(4)
本件発明4、5、及び10は、甲1に記載された発明並びに甲3及び4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項4、5、及び10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)申立理由(2)及び(4)の検討
ア 甲1発明4
前記(2)ア(ア)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明4」という。)が記載されていると認められる。
「光源モジュール28と、取付板220と、無線モジュール29とを備える光源ユニット2であって(前記(2)ア(ア)b)、
前記取付板220は、厚み方向の第1面2201及び第2面2202を有し、前記光源モジュール28は、前記第1面2201に取り付けられ、前記無線モジュール29は、前記第2面2202に取り付けられ(前記(2)ア((ア)c)、
前記無線モジュール29は、本体部290と、前記本体部290の一面(下面)から突出するアンテナ部291と、前記本体部290の一面(下面)に設けられた光信号を受け取る受光部292を有し、前記アンテナ部291及び前記受光部292は、前記取付板220の開口222により露出し、前記開口222の中心は、前記受光部292の中心に対して前記第1面2201に沿った方向にずれている(前記(2)ア(ア)d)、
光源ユニット2。」
イ 本件発明4について
(ア)本件発明4と甲1発明4の対比
本件発明4と甲1発明4を対比する。
a 後者の「厚み方向の第1面2201及び第2面2202を有」する「前記取付板220」は、「第1面2201」と「第2面2202」が「厚み方向」の反対側にそれぞれ位置することは明らかなので、前者の「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有」する「支持板」に相当し、後者の「前記取付板220の開口222」が前者の「支持板」に「形成された」「第1開口」に相当する。
b 前記aから、後者の「前記第1面2201に取り付けられ」た「前記光源モジュール28」は、前者の「前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュール」に相当する。
c 前記aから、後者の「前記第2面2202に取り付けられ」た「前記無線モジュール29」と、前者の「前記支持板の前記第2面側に設けられ」た「ケース」とは、「前記支持板の前記第2面側に設けられた部品」との点で共通する。
d 前記cから、後者の「前記無線モジュール29」が「有」する「本体部290の一面(下面)に設けられた光信号を受け取」り、「前記取付板220の開口222により露出」する「受光部292」と、前者の「前記ケースに収納され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」は、「前記部品から露出する受光部」との点で共通する。
e 前記a及びdから、後者の「前記開口222の中心は、前記受光部292の中心に対して前記第1面2201に沿った方向にずれている」ことと、前者の「前記第1開口の中心は、前記第2開口の中心に対して前記第1面に沿った方向にずれている」ことは、「前記第1開口の中心は、露出する受光部の中心に対して前記第1面に沿った方向にずれている」ことで共通する。
f 以上の限りにおいて、後者の「光源ユニット2」は、前者の「光源ユニット」に相当する。
そうすると、本件発明4と甲1発明4は、
「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられた部品と、
前記部品から露出する受光部と、
を備え、
前記第1開口の中心は、露出する受光部の中心に対して前記第1面に沿った方向にずれている、
光源ユニット。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-4-1]
支持板の第2面側に設けられた部品に関して、本件発明1は、「支持板と対向する面に第2開口が形成されたケース」であって、受光部を「収納」する「ケース」であるのに対して、後者は「その一面(下面)に」「光信号を受け取る受光部292を有」する「本体部292」を「有」する「無線モジュール29」であり、かかる「第2開口」や受光部を「収納」することについて特定されていない点。
[相違点1-4-2]
第1開口の中心に関して、本件発明1は、第1開口の中心は、「第2開口の中心」に対して第1面に沿った方向にずれているのに対して、甲1発明4は、開口222の中心は、受光部292の中心に対して第1面2201に沿った方向にずれている点。
(イ)相違点についての検討
相違点1-4-1について検討するに、甲1発明4における本体部290の一面(下面)に設けられた受光部292に関しては、甲1には、段落【0023】に、「受光部292は、本体部290の一面(下面)に設けられている。」との記載があるのみである。
そして、同段落には、「本体部290は、略直方体状であり、回路ブロックを内蔵している。」との記載があることに鑑みれば、甲1発明4における受光部292は、回路ブロックのように本体部290に内蔵されるものではないと解するのが妥当である。
そうすると、甲1発明4において、受光部292は、本体部290に収納されるものではないので、相違点1-4-1は、実質的な相違点であり、本件発明4は、甲1発明4ではない。
そして、甲1には、受光部292を本体部290に収納することについて記載も示唆もない。
また、甲3及び4、並びに申立人が提出した他の証拠のいずれにも、照明装置において、受光部を無線モジュールの本体部に収納するように構成することを示すような記載も示唆もない。
そうすると、甲1発明4において、相違点1-4-1に係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。
したがって、本件発明4は、甲1発明4ではなく、また、相違点1-4-2ついて検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明4並びに甲3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 本件発明5及び10について
本件発明5及び10は、本件発明4の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記イ(イ)と同様の理由により、甲1発明4並びに甲3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)申立理由(5)について
本件発明4、5、及び10は、甲2に記載された発明並びに甲3及び4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項4、5、及び10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)申立理由(5)の検討
ア 甲2発明4
前記第5の1(1)及び(2)から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明4」という。)が記載されていると認められる。
「点灯回路基板19、前記点灯回路基板19に設けられた赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を受信するリモコン信号受信部20及び導光部20a、放熱板21、LED素子実装基板23、カバー部材25、及びセード13を備えた発光ユニットであって(前記第5の1(2)ア)、
前記放熱板21は、台形平坦部21bを有し、前記台形平坦部21bは、床側の表面と反対側の裏面を有し、受光孔20bが開設され(前記第5の1(2)イ、段落【0043】)、
複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23は、前記放熱板21の前記台形平坦部21bの表面側に取り付けられ(前記第5の1(2)ウ、段落【0029】)、
前記導光部20aは、前記リモコン信号受信部20をその内部に収容する筒状のケースであり、前記放熱板21の前記台形平坦部21bの裏面側に設けられ、前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れており、前記床側の端面から前記床側に前記床側筒部が延び、前記リモコン信号受信部20は、前記導光部20aの前記貫通孔を望む前記点灯回路基板19上の位置にある(前記第5の1(2)ウ~カ)、
発光ユニット。」
イ 本件発明4について
(ア)本件発明4と甲2発明4の対比
本件発明4と甲2発明4を対比する。
a 後者の「台形平坦部21bを有し、前記台形平坦部21bは、床側の表面と反対側の裏面を有し、受光孔20bが開設され」る「前記放熱板21」は、前者の「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板」に相当する。
b 前記aから、後者の「前記放熱板21の前記台形平坦部21bの表面側に取り付けられ」る「複数の照明光源用のLED素子24が実装された前記LED素子実装基板23」は、前者の「前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュール」に相当する。
c 後者の「前記放熱板21の前記台形平坦部21bの裏面側に設けられ、」「前記リモコン信号受信部20をその内部に収容する筒状のケースであ」る「前記導光部20a」は、前者の「前記支持板の前記第2面側に設けられ」た「ケース」に相当する。
d 後者の「前記導光部20aは、」「筒状のケースであり、」「前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れて」いることにおいて、「前記基板側筒部」の「床側の端面」が「放熱板21」と対向しており、「貫通孔」が「前記基板側筒部」の「床側の端面」に開口を形成していることは明らかである。
そうすると、後者の「貫通孔」によって形成された「前記基板側筒部」の「床側の端面」の開口は、前者の「前記支持板と対向する面に」「形成された」「第2開口」に相当する。
したがって、後者の「筒状のケースであり、」「前記床側に、基板側筒部と床側筒部の大きさの異なる2つの筒部を有しており、各筒部がその内部の貫通孔によって連通し、前記基板側筒部は床側の端面を有し、前記床側の端面が、前記台形平坦部21bの裏面と離れて」いる「前記導光部20a」は、前者の「前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケース」に相当する。
e 前記dから、後者の「前記リモコン信号受信部20をその内部に収容する筒状のケースであり、」「前記リモコン信号受信部20は、前記導光部20aの前記貫通孔を望む前記点灯回路基板19上の位置にあ」る「前記導光部20a」は、「前記貫通孔」が形成する「前記基板側筒部」の「床側の端面」の開口に対しても「前記リモコン信号受信部20」が「望む」「位置に」あることは明らかなので、前者の「前記ケースに収納され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部」に相当する。
そうすると、本件発明4と甲2発明4は、
「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、第1開口が形成された支持板と、
前記支持板の前記第1面側に設けられた光源モジュールと、
前記支持板の前記第2面側に設けられ、前記支持板と対向する面に第2開口が形成されたケースと、
前記ケースに収納され、前記第2開口によって前記ケースから露出する受光部と、
を備えた照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-4-1]
本件発明1は、「前記第1開口の中心は、前記第2開口の中心に対して前記第1面に沿った方向にずれている」のに対して、甲2発明4は、受光孔20bの中心と前記基板側筒部の床側の端面の開口の中心の関係について係る特定がされていない点。
(イ)相違点についての検討
甲3には、ワイヤレスリモコンの受光部を備える床置き型空気調和機において、受光部を正面から目立たない製品外部下面部に配置し、透明な樹脂の受光部用の蓋50を備えた受光部で、壁や床で反射した前記ワイヤレスリモコンからの送信信号も受光可能とすることが記載されている(以下「甲3記載事項」という、【請求項1】、【請求項2】、及び段落【0012】参照。)。
また、甲4には、器具本体に配設される環形の放電灯と、リモコン装置からの制御信号を受信するセンサを有するリモコン受信部およびリモコン受信部からの制御信号を受けて放電灯の点灯を制御する点灯回路部を同一基板に実装した点灯装置と、リモコン装置からの光制御信号を受信してセンサに導光する導光筒部を有し、点灯装置のリモコン受信部を被覆する樹脂ケースと、点灯装置の点灯回路部を被覆するとともに樹脂ケースに隣接する隔壁を有する点灯回路部ケースと、を具備する照明器具において、導光筒の制御信号が入射される開口を器具本体の中央部側に向くように形成し、入射開口近傍の放電灯からの光が直接入射するのを抑制し、センサの誤動作を低減することが記載されている(以下「甲4記載事項」という、【請求項1】、【請求項3】、及び段落【0058】参照)。
しかしながら、甲3記載事項は、床置き型空気調和機におけるワイヤレスリモコンの受光部が壁や床で反射した信号を受信可能とするためのものであり、光源ユニットである甲2発明4に適用する動機はない。
そして、甲3記載事項は、相違点2-4-1に係る本件発明4の発明特定事項における「第1開口」及び「第2開口」に相当する構成を有していないので、仮に、甲2発明4に対して甲3記載事項を適用できたとしても、相違点2-4-1に係る本件発明4の発明特定事項を有する光源ユニットが得られることはない。
また、甲4記載事項は、照明器具に関するものではある。
しかしながら、甲2には、段落【0046】に、「受光孔20bは、LED素子24から発せられる光束の放射領域(例えば、LED素子24の中心から鉛直方向に放射線を描いた場合、この放射線に対して60度傾いた周回領域)の外に位置している。したがって、リモコン信号受信部20は、LED素子24からの光束の影響(いわゆる混信)を受けることのない良好な環境下においてリモコン信号を正常に受信することができる。」との記載があり、甲2発明4では、既に、リモコン信号受信部20の誤動作が低減されていると認められるので、甲2発明4において、甲4記載事項を適用する動機はない。
そして、甲4記載事項は、相違点2-4-1に係る本件発明4の発明特定事項における「第1開口」に相当する構成を有していないので、仮に、甲2発明4に対して甲4記載事項を適用できたとしても、相違点2-4-1に係る本件発明4の発明特定事項を有する光源ユニットが得られることはない。
そうすると、甲2発明4において、甲3記載事項及び甲4記載事項を踏まえ、相違点2-4-1に係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、本件発明4は、甲2発明4、並びに甲3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 本件発明5及び10について
本件発明5及び10は、本件発明4の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記イ(イ)と同様の理由により、甲2発明4、並びに甲3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 小括
以上のとおり、本件発明1~3及び9は、甲1発明1ではなく、特許法第29条第1項3号に該当せず、請求項1~3及び9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでないので、申立理由(1)によって取り消すことはできない。
また、本件発明1~3並びに7及び9は、甲1発明1及び甲5~7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項1~3並びに7及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(3)によって取り消すことはできない。
そして、本件発明4は、甲1発明4ではなく、特許法第29条第1項3号に該当せず、請求項4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものはないので、申立理由(2)によって取り消すことはできない。
また、本件発明4、5、及び10は、甲1発明4並びに甲3及び4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項4、5、及び10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものはないので、申立理由(4)によって取り消すことはできない。
更に、本件発明4、5、及び10は、甲2発明4、並びに甲3及び4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項4、5、及び10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(5)によって取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700979