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特許異議申立

2025-700008

周波数選択反射板および反射構造体

審判番号
2025-700008
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-028382
登録番号
7505656
請求日
2024年12月23日
審決日
2025年10月23日
公報発行日
2026年02月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】山下 昭彦
  • 【権利者代理人】岸本 達人
  • 【異議申立人】高橋 恵理子
審判長/審判官
  • 審判長 高野 洋
  • 審判官 寺谷 大亮
  • 審判官 丸山 高政
分類
P1652.121-YAA(H01Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7505656号発明「周波数選択反射板および反射構造体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7505656号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項11及び12について訂正することを認める。 特許第7505656号の請求項1、11及び12に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7505656号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2022年(令和4年)3月4日(優先権主張 令和3年3月4日、同年6月14日)を国際出願日とする出願(特願2023-503976号)の一部を、令和5年11月16日に新たな特許出願(特願2023-195031号)としたものの一部を、令和6年2月28日に新たな特許出願としたものであって、同年6月17日にその特許権の設定登録がされ、同年6月25日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1、11及び12に係る特許に対し、令和6年12月23日に特許異議申立人 高橋 恵理子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 特許異議の申立て以後の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和6年12月23日 特許異議申立書 12月27日 手続補正書(方式)(申立人) 令和7年 2月25日付け 取消理由通知書 4月28日 訂正請求書 意見書(特許権者) 6月 6日 意見書(申立人) 6月26日付け 取消理由通知書(決定の予告) 8月29日 訂正請求書 意見書(特許権者) 9月11日付け 手続補正指令書(方式)(特許権者宛) 10月14日 手続補正書(方式)(特許権者) 1 特許異議申立書について 令和6年12月27日の手続補正書(方式)による補正は、特許異議申立書及びそれに添付された証拠説明書に記載された申立人の住所の誤記を補正するものであり、特許異議申立書の要旨を変更するものではない。 以下では、補正された特許異議申立書のことを、単に「申立書」という。 2 訂正請求書について 令和7年10月14日の手続補正書(方式)による補正は、同年8月29日の訂正請求書に対して、同年9月11日付け手続補正指令書(方式)によって補正をすべきことを命じられた事項について補正するものである。 令和7年8月29日の訂正請求書により訂正が請求されたため、同年4月28日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 以下では、令和7年10月14日の手続補正書(方式)により補正された同年8月29日の訂正請求書(前記手続補正書(方式)に添付された訂正請求書)を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 3 本件訂正に対する申立人の意見書の提出について 申立人は、令和7年6月6日に意見書を提出している。 そして、本件訂正により、特許請求の範囲が相当程度減縮され、本件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論になると合議体は判断した(以下の第6~第8を参照)。 よって、特許法120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるとき」に該当するため、本件訂正後に申立人に意見書を提出する機会を与えていない。 第2 本件訂正について 本件訂正の請求の趣旨は、「特許第7505656号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項11、12について訂正することを求める。」(本件訂正請求書1頁)というものである。 他方、本件の特許異議の申立ては、請求項1、11及び12についてされているから、本件訂正に対しては、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は適用されない。 以上を前提として、本件訂正の適法性について検討する。 1 本件訂正の内容 本件訂正は、以下の訂正事項1及び2からなる。なお、下線は訂正箇所を示すために特許権者が付したものである。 〈訂正事項1〉 特許請求の範囲の請求項11に、 「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 を有する反射構造体であって、 前記保護部材は、保護シートを有し、 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電正接は、0.05以下である、反射構造体。」 と記載されているのを、 「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 を有する反射構造体であって、 前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、 前記保護部材は、保護シートを有し、 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電正接は、0.05以下であり、 前記保護部材は、前記周波数選択反射板と接するように配置されている、反射構造体。」 に訂正する。 〈訂正事項2〉 特許請求の範囲の請求項12に、 「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 を有する反射構造体であって、 前記保護部材は、保護シートを有し、 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電率は、10以下である、反射構造体。」 と記載されているのを、 「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 を有する反射構造体であって、 前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、 前記保護部材は、保護シートを有し、 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電率は、10以下であり、 前記保護部材は、前記周波数選択反射板と接するように配置されている、反射構造体。」 に訂正する。 2 訂正事項1に係る訂正について 訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項11に係る発明について、「前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であ」るとの限定(以下「限定事項1」という。)と、「前記保護部材は、前記周波数選択反射板と接するように配置されている」との限定(以下「限定事項2」という。)を付加するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。 そして、訂正事項1に係る訂正は、限定事項1及び限定事項2を付加する訂正であるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。 さらに、限定事項1は、本件の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0203】に記載された事項であり、限定事項2は、本件明細書【0258】に記載された事項であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。 以上によれば、訂正事項1に係る訂正は、適法な訂正である。 3 訂正事項2に係る訂正について 訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を請求項12に係る発明について行うものであるから、訂正事項1に係る訂正と同様に、適法な訂正である。 4 本件訂正についての小括 前記1~3によれば、本件訂正は適法な訂正である。 第3 本件発明 本件の特許請求の範囲の請求項1、11及び12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明11」及び「本件発明12」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、その請求項に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 以下に本件特許請求の範囲の請求項1、11及び12を示す。なお、後の参照の便宜のために、当該請求項の記載に1A~12Hの記号を付して分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。 【請求項1】 1A 電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 1B 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 1C を有する反射構造体であって、 1D 前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、 1E 前記保護部材は、前記周波数選択反射板から順に、接着層と、保護シートとを有する、 1F 反射構造体。 【請求項11】 11A 電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 11B 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 11C を有する反射構造体であって、 11D 前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、 11E 前記保護部材は、保護シートを有し、 11F 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電正接は、0.05以下であり、 11G 前記保護部材は、前記周波数選択反射板と接するように配置されている、 11H 反射構造体。 【請求項12】 12A 電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 12B 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 12C を有する反射構造体であって、 12D 前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、 12E 前記保護部材は、保護シートを有し、 12F 前記電磁波の周波数帯に対する前記保護シートの誘電率は、10以下であり、 12G 前記保護部材は、前記周波数選択反射板と接するように配置されている、 12H 反射構造体。 第4 証拠方法及び申立理由 申立人は、申立書に添付して以下の1に示す甲第1号証~甲第7号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲7」という。)を提出し、意見書(申立人)に添付して以下の1に示す参考資料1及び参考資料2を提出するとともに、以下の2に示す申立理由により、本件発明に係る特許が取消されるべき旨、主張する。 1 証拠方法 甲1 国際公開第2021/030492号 甲2 特開2005-12554号公報 甲3 特開2020-178175号公報 甲4 特開2019-158592号公報 甲5 特開2016-121334号公報 甲6 特開2014-107755号公報 甲7 国際公開第2019/172348号 参考資料1 特開2019-44107号公報 参考資料2 国際公開第2017/119412号 2 申立理由 申立書に記載された申立ての理由は、概略、以下の申立理由1~3のとおりである。 〈申立理由1〉 本件発明1は、甲1に記載された発明、甲2に記載された技術並びに甲3及び甲4に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条1項2号) 〈申立理由2〉 本件発明11は、甲1に記載された発明並びに甲2及び5~7に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明11についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条1項2号) 〈申立理由3〉 本件発明12は、甲1に記載された発明及び甲5~7に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明12についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条1項2号) 第5 決定の予告で通知した取消理由 当審において取消理由通知書(決定の予告)(以下「決定の予告」という。)で通知した取消理由は、概略、以下の取消理由1及び2のとおりである。 〈取消理由1〉 本件発明11は、甲1に記載された発明、甲5に示される周知技術及び特開平10-322111号公報(以下「当審引用文献」という。)に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明11についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条1項2号) 〈取消理由2〉 本件発明12は、甲1に記載された発明、甲5に示される周知技術及び当審引用文献に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明12についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条1項2号) 第6 本件発明1の進歩性の有無についての判断 以下では、本件発明1の甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)に対する進歩性の有無について検討し、申立理由1に理由があるかを判断する。 1 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した(以下同様)。 (1)「[0038] …(略)… In various examples, the reflectarrays are arrays of cells having meta-structure reflector elements that reflect incident radio frequency (“RF”) signals in specific directions. …(略)… The reflectarrays are able to operate at the higher frequencies required for 5G and at relatively short distances. …(略)…」 (当審訳: [0038] …(略)…様々な例において、リフレクトアレイは、入射無線周波数(“RF”)信号を特定の方向に反射するメタ構造反射素子を有するセルのアレイである。 …(略)…リフレクトアレイは、5Gで必要とされるより高い周波数で、かつ、比較的短い距離で作動できる。…(略)…) (2)「[0039] It is appreciated that, in the following description, numerous specific details are set forth to provide a thorough understanding of the examples. However, it is appreciated that the examples may be practiced without limitation to these specific details. In other instances, well-known methods and structures may not be described in detail to avoid unnecessarily obscuring the description of the examples. Also, the examples may be used in combination with each other. 」 (当審訳: [0039] 以下の説明では、実施例の徹底的な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載されていることが理解されよう。しかしながら、該実施例は、これらの具体的な詳細に限定されることなく実施してもよいことが理解されよう。他の例では、該実施例の説明が不必要に曖昧にならないように、周知の方法及び構造を詳細に説明しない。また、該実施例は、互いを一緒に使用してもよい。) (3)「[0051] FIG. 7 illustrates a Reflectarray 700 having a variety of cell sizes and shapes, which are organized in an asymmetric configuration. For example, cell 702 is a first size, cell 704 is a second size and cell 706 is a third size. The cells are configured on a surface of the reflectarray 700 structure which may be built on a variety of materials, such as a PCB substrate.」 (当審訳: [0051] 図7は、セルのサイズ及び形状が様々であるリフレクトアレイ700を示しており、セルのサイズ及び形状は、非対称の形態で配列されている。例えば、セル702は第1のサイズであり、セル704は第2のサイズであり、セル706は第3のサイズである。セルは、PCB基板などの様々な材料上に構築されるかもしれないリフレクトアレイ700構造の表面に形成される。) (4)「[0053] There are a variety of configurations that may be implemented, such as to incorporate a reflectarray panel into a pre-sized mounting on the wall of a building. In FIG. 32, a wall 3200 has an insert 3203 for placement of a reflectarray 3204, having multiple layers and an optional cover 3206, such as for advertising. In this position, the radio 3210 transmit beams that are incident on reflectarray 3204, as incident wave 3212. The reflectarray redirects the incident wave 3212 as reflections 3214. While the cover 3206 sits on the front of reflectarray 3204 it does not interfere with the reflective behavior of the reflectarray 3204.」 (当審訳: [0053] リフレクトアレイパネルを建物の壁面に予めサイズが決められた取り付け台に組み込むなど、実施されてもよい様々な構成がある。図32では、壁3200は、リフレクトアレイ3204を配置するための挿入物3203を有し、リフレクトアレイ3204は、複数の層及び広告用などのオプションのカバー3206を有する。この位置において、無線機3210は、リフレクトアレイ3204上に入射するビームを、入射波3212として送信する。リフレクトアレイは、入射波3212を反射3214として向け直す。カバー3206は、リフレクトアレイ3204の前面に置かれているが、リフレクトアレイ3204の反射挙動を妨害しない。) (5)「[0055] In various examples, a removable cover may be placed on top of the reflectarray as desired by the application. This cover or overlay may provide additional revenue for a user or may provide additional functions or features, such as to have a QR code to purchase sodas at a sports arena or to purchase tickets at a play. There are a variety of aspects to this formation. As shown in FIG. 9, reflectarray 900 has a removable cover 902 that may be positioned on top of the reflectarray by various means, such as by glue, silk screening, or other such means. During the design process of the reflectarray 900 various cover materials may be used that will not interfere with the directivity performance of the reflected RF signals. For example, a fiberglass or other such material may be used to avoid modification or interference with performance. In various examples, the reflectarray 900 may be designed and simulated with the removable cover 902 to ensure that the reflectarray cells and their reflector elements will provide the desired performance. The removable cover 902 may serve a dual purpose to protect the reflectarray 900 from environmental or other damage to its surface and to enable 5G providers, emergency response systems, and others to show messages, advertisements or promotions in the reflectarray 900 that are viewable by UE within its vicinity. …(略)…」 (当審訳: [0055] 様々な実施例において、取り外し可能なカバーは、用途に応じてリフレクトアレイの上面に配置されてもよい。このカバー又は覆いは、ユーザに追加の収益を提供してもよく、あるいは、追加の機能又は特徴を提供してもよく、例えば、スポーツアリーナで炭酸水を購入したり、観劇チケットを購入したりするためのQRコードを有する。この形態には様々な側面がある。図9に示すように、リフレクトアレイ900は、取り外し可能なカバー902を有し、該カバー902は、接着剤、シルクスクリーン又は他の類似の手段のような様々な手段によって、該リフレクトアレイの上面に配置されるかもしれない。リフレクトアレイ900の設計プロセス中に、反射したRF信号の指向性能を妨害することのない様々なカバー材料が使用されてもよい。例えば、ガラス繊維又は他の類似の材料を使用して、性能の変化又は妨害を回避してもよい。様々な実施例において、リフレクトアレイ900は、取り外し可能なカバー902と共に設計及びシミュレーションされてもよく、その結果、該リフレクトアレイのセル及びそれらの反射素子が、所望の性能を提供することを保証する。取り外し可能なカバー902は、二重の目的を果たしてもよく、一つは、リフレクトアレイ900を、その表面に対する環境的又は他の損傷から保護することであり、もう一つは、5Gプロバイダ、緊急応答システムなどが、リフレクトアレイ900にメッセージ、宣伝又は広告を表示できるようにし、その近傍内のUEが見られるようにすることである。…(略)…) (6)「[0061] Attention is now directed to FIG. 16, which shows a flowchart for a design process 1600 for a reflectarray according to the various examples disclosed herein. The first step in the design process is to determine the geometry setup for the desired 5G application (1601). …(略)… The geometry setup can be seen in FIG. 17, which shows a wireless radio (“WR”) 1702 located at D0 from a Cartesian (x, y, z) coordinate system positioned in the center of the reflectarray 1700. …(略)… The WR 1702 has an elevation angle θ0 and an azimuth angle φ0. …(略)…」 (当審訳: [0061] ここで、本明細書で開示する様々な例によるリフレクトアレイの設計プロセス1600のフローチャートを示す図16に注目されたい。設計プロセスの最初のステップは、所望の5Gアプリケーションのための幾何学的設定を決めることである(1601)。 …(略)…幾何学的設定は、図17に見ることができ、リフレクトアレイ1700の中心に位置決めされたデカルト(x,y,z)座標系からD0に位置するワイヤレス無線機(“WR”)1702を示している。 …(略)…WR1702は仰角θ0及び方位角φ0を有する。…(略)…) (7)「[0062] The reflectarray 1700 can be used to reflect RF waves from WR 1702 into UE within the 5G network served by WR 1702, such as, for example, UE 1704 located at a distance D1 from the reflectarray 1700 with θ1 elevation and φ1 azimuth angles. …(略)…」 (当審訳: [0062] リフレクトアレイ1700は、WR1702からのRF波を、WR1702が提供する5Gネットワーク中のUEに対して反射するのに用いることができ、該UEは、例えば、リフレクトアレイ1700から距離D1に位置する仰角θ1及び方位角φ1のUE1704である。…(略)…) (8)「[0069] …(略)… The reflectarray can also be manufactured with a bendable PCB for easy placement in structures such as light posts (as shown in FIGs. 5 and 13), be made portable as in FIG. 15, or have removable cover(s) with the option to display ads, promotions or messages to UE and others in the 5G environment (as shown in FIG. 8). …(略)…」 (当審注:上記の「FIG. 8」は「FIG. 9」の誤記と認める。) (当審訳: [0069] …(略)…リフレクトアレイは、(図5および図13に示されるように)街灯の支柱などの構造物に簡単に配置できるように、可撓性のPCBで製造することもでき、図15にあるように携帯型にすることもでき、(図9に示すように)5G環境でUEなどに宣伝、広告又はメッセージを表示するオプションを備えた取り外し可能なカバーを有することもできる。…(略)…) (9)FIG.7 [図:0001432061000001.jpg] (10)FIG.9 [図:0001432061000002.jpg] (当審訳: [図:0001432061000003.jpg] ) (11)FIG.17 [図:0001432061000004.jpg] (12)FIG.32 [図:0001432061000005.jpg] 2 甲1発明の認定 甲1には、「該実施例は、互いを一緒に使用してもよい。」([0039])と記載されていることから、図7に示されるリフレクトアレイ700([0051])、図9に示されるリフレクトアレイ900([0022])及び図17に示されるリフレクトアレイ1700([0028])は、一緒に使用することが想定されていると解される。 リフレクトアレイ700は、PCB基板上に形成されたセルを持つもの([0051])であるから、「入射無線周波数(“RF”)信号を特定の方向に反射するメタ構造反射素子を有するセルのアレイ」([0038])そのものであると解される。また、リフレクトアレイ900は、FIG.9の左図を参照すると、リフレクトアレイ700と同様のものと解される。そして、リフレクトアレイ1700は、FIG.17を参照すると、RF信号を特定の方向に反射するリフレクトアレイとして描かれているので、リフレクトアレイ1700とリフレクトアレイ700とは同一視できると解される。そうすると、リフレクトアレイ700、リフレクトアレイ900及びリフレクトアレイ1700は、「RF信号を特定の方向に反射するメタ構造反射素子を有するセルのアレイ」である「リフレクトアレイ」([0038])と同一視でき、以下ではこれらを「リフレクトアレイ反射体」と称して用語を統一する。 他方、リクレクトアレイ900に関し、「リフレクトアレイ900は、取り外し可能なカバー902を有し、該カバー902は、…(略)…該リフレクトアレイの上面に配置されるかもしれない。」([0055])との記載があることから、リフレクトアレイ900は、リフレクトアレイ反射体そのものを意味する場合と、リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置したものの全体を意味する場合とがあると解される。そこで、リフレクトアレイ反射体及びカバー902を備えるリフレクトアレイ900のことを、以下では「カバー付きリフレクトアレイ」と称して、リフレクトアレイ反射体と用語を区別する。この区別を考慮して[0055]の前記記載を解釈すると、カバー付きリフレクトアレイは、リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置したものである、と解される。 以上を踏まえると、前記1の記載により、甲1には次の甲1発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明を記号a~iを付して分説し、「構成a」のようにして参照する。 〈甲1発明〉 a リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置したカバー付きリフレクトアレイであって、(上記下線部) b リフレクトアレイ反射体は、入射RF信号を特定の方向に反射するメタ構造反射素子を有するセルのアレイであり、([0038]) c リフレクトアレイ反射体は、5Gで必要とされるより高い周波数で作動し、([0038]) d セルは、PCB基板に構築されるリフレクトアレイ反射体構造の表面に形成され、([0051]) e 該カバー902は、接着剤によって、リフレクトアレイ反射体の上面に配置され、([0055]) f 反射したRF信号の指向性能を妨害することのない様々なカバー材料が使用され、例えば、ガラス繊維を使用して、性能の変化又は妨害を回避し、([0055]) g 取り外し可能なカバー902は、リフレクトアレイ反射体を、その表面に対する環境的又は他の損傷から保護する目的を果たし、([0055]) h リフレクトアレイ反射体は、WR1702からのRF波を、UEに対して反射するのに用いることができ、該UEは、仰角θ1及び方位角φ1のUE1704であり、WR1702は仰角θ0及び方位角φ0を有する、([0062]、[0061]) i カバー付きリフレクトアレイ。 3 本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)発明特定事項1Aについて 発明特定事項1Aは「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、」というものである。 ア 甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、「セルのアレイ」(構成b)であり、「セルは、PCB基板に構築されるリフレクトアレイ反射体構造の表面に形成され」る(構成d)から、「リフレクトアレイ反射体」は、全体として、「PCB基板」の表面に「セルのアレイ」が形成されてなる板状のものと解される。 また、甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、「入射RF信号を特定の方向に反射する」(構成b)から、電磁波を反射するものと解される。 そして、甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、「5Gで必要とされるより高い周波数で作動」する(構成c)から、「5Gで必要とされるより高い周波数」を選択的に反射するものと解される。 よって、甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、本件発明1の「電磁波を」「反射する周波数選択反射板」に相当する。 イ 甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、構成hによれば、仰角θ0及び方位角φ0を有するWR1702からのRF波を、仰角θ1及び方位角φ1のUE1704に反射するものである。 FIG.17の座標系によれば、仰角θ0及び方位角φ0からのRF波を正反射した場合の反射波は、仰角θ0及び方位角φ0となると解されるから、甲1発明の「リフレクトアレイ反射体」は、RF波を正反射方向である仰角θ0及び方位角φ0とは異なる仰角θ1及び方位角φ1の方向に反射する。 よって、前記アも考慮すると、本件発明1と甲1発明とは、「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板」を有する点で一致する。 (2)発明特定事項1Bについて 発明特定事項1Bは「前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、」というものである。 甲1発明は、「リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置した」もの(構成a)であり、「該カバー902は、接着剤によって、リフレクトアレイ反射体の上面に配置され」る(構成e)から、甲1発明は、「リフレクトアレイ反射体」の上方に「取り外し可能なカバー902」及び「接着剤」を配置する。 そして、甲1発明の「取り外し可能なカバー902」は、「リフレクトアレイ反射体を、その表面に対する環境的又は他の損傷から保護する目的を果た」す(構成g)から、「取り外し可能なカバー902」及びそれを固定する「接着剤」は、本件発明1の「保護部材」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材」を有する点で一致する。 (3)発明特定事項1C及び1Fについて 発明特定事項1Cは「を有する反射構造体であって、」というものであり、発明特定事項1Fは「反射構造体。」というものである。 甲1発明の「カバー付きリフレクトアレイ」は、「リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置」する(構成a)という構造を有しているので、反射構造体といえる。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、前記(1)及び(2)を踏まえると、周波数選択反射板と保護部材と「を有する反射構造体であ」る点で一致する。 (4)発明特定事項1Dについて 発明特定事項1Dは「前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であり、」というものである。 これに対し、甲1発明の「取り外し可能なカバー902」及び「接着剤」の厚さは特定されていない点で、本件発明1と甲1発明とは相違する。 (5)発明特定事項1Eについて 発明特定事項1Eは「前記保護部材は、前記周波数選択反射板から順に、接着層と、保護シートとを有する、」というものである。 甲1発明の「カバー付きリフレクトアレイ」は、「リフレクトアレイ反射体の上面に取り外し可能なカバー902を配置し」ており(構成a)、「該カバー902は、接着剤によって、リフレクトアレイ反射体の上面に配置され」る(構成e)から、「カバー付きリフレクトアレイ」は、「リフレクトアレイ反射板」から順に、「接着剤」と、「取り外し可能なカバー902」とを積層したものと解される。すなわち、引用発明の「接着剤」及び「取り外し可能なカバー902」は、「リフレクトアレイ反射板」から順に、「接着剤」と、「取り外し可能なカバー902」とを有すると解される。 よって、本件発明1と甲1発明とは、「前記保護部材は、前記周波数選択反射板から順に、接着層と、保護シートとを有する」点で一致する。 (6)一致点及び相違点 前記(1)~(5)によれば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、 前記周波数選択反射板の上方に配置された保護部材と、 を有する反射構造体であって、 前記保護部材は、前記周波数選択反射板から順に、接着層と、保護シートとを有する、反射構造体。」である点。 〈相違点〉 本件発明1は、「前記保護部材の厚さが、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満であ」るのに対し、甲1発明の「取り外し可能なカバー902」及び「接着剤」の厚さは特定されていない点。(発明特定事項1D) 4 相違点についての判断 上記相違点については、以下のとおり判断する。 (1)電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体において、前記保護部材の厚さを、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満とすることは、甲2~7、参考資料1、参考資料2及び当審引用文献のいずれにも記載も示唆もされておらず、かつ、周知技術であるとも認められない。 (2)上記(1)に関して、申立人は、概略、以下の申立人主張を主張する。 〈申立人主張〉 甲2に記載された技術(以下「甲2技術」という。)の技術分野と甲1発明の技術分野は共通する上に、甲2技術における「放射スロット6と誘電体層5」の作用及び機能は、甲1発明における「リフレクトアレイとカバー(又は、スクリーン)」の作用及び機能と共通する。すると、甲1発明に甲2発明を適用する動機付けが存在するといえる。 甲2技術は、「誘電体層5の厚さを、誘電体を伝搬する信号波長の1/4未満とする」(【0024】)という構成を含む。甲2における「誘電体を伝搬する信号波長」は、「実効波長」に相当する。 すなわち、甲1発明に甲2技術を適用することによって、本件発明1に到達することができる。 また、電磁波を出射するものとそれを保護する保護部材とを備える装置の技術分野において、電磁波の透過率を低下させないようにするために、保護部材として使用可能な誘電体の厚さを波長の1/4未満とすることは周知技術である。(甲3【0063】、甲4【0072】) すなわち、本件発明1は、甲1発明及び甲3及び甲4に示される周知技術から到達可能な発明に相当する。 (申立書30頁16行~33頁18行) (3)上記申立人主張について検討する。 甲2、甲3及び甲4のいずれにも、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体において、前記保護部材の厚さを、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満とすることは記載も示唆もされていないから、申立人の主張は採用できない。 以下、詳述する。 ア 甲2について 甲2に開示されるのは、下掲図1に示されるような構造のスロットアンテナ基板である。 【図1】 [図:0001432061000006.jpg] スロットアンテナの技術常識によれば、図1のような構造のスロットアンテナ基板からは、電磁波が、図1(b)の図中における基板上面に垂直に上方へ、放射用スロット6から放射されると解される。 そして、甲2には、図1のような構造のスロットアンテナ基板に関して次の記載がある。 「【0024】 …(略)…誘電体層5の厚みが、誘電体を伝播する信号波長の1/4以上になると、放射用スロット6から放射された電磁波の一部がアンテナ基板A上の表面波となって水平方向に漏れてしまう。したがって、誘電体層5の厚みの上限は、誘電体を伝播する信号波長の1/4未満であることが必要である。」 以上によれば、甲2には、基板面に対して垂直上方に電磁波が放射されるスロットアンテナ基板において、基板上面を覆う誘電体層5の厚みが、誘電体を伝搬する信号波長の1/4以上になると、放射用スロット6から放射された電磁波の一部がアンテナ基板A上の表面波となって水平方向に漏れてしまうため、誘電体層5の厚みの上限は、誘電体を伝播する信号波長の1/4未満であることが必要であることが開示されている。 甲2に開示されるのは、あくまで、基板面に対して垂直上方に電磁波が放射されるスロットアンテナ基板であり、電磁波の放射方向が定まっているために、「基板上面を覆う誘電体層5の厚みが、誘電体を伝搬する信号波長の1/4以上になると、放射用スロット6から放射された電磁波の一部がアンテナ基板A上の表面波となって水平方向に漏れてしまう」という性質が現れるものと解される。 これに対し、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体は、電磁波の放射方向が周波数選択反射板と垂直であるとは限らない。よって、周波数選択反射板を覆う保護部材の厚みが、信号波長の1/4以上になると、周波数選択反射板で反射された電磁波の一部が周波数選択反射板上の表面波となって水平方向に漏れるとはいえない。 そうすると、甲2に開示されたスロットアンテナ基板の技術が、反射構造体にも当てはまるとはいえない。 よって、甲2には、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体において、前記保護部材の厚さを、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満とすることは記載も示唆もされていない。 イ 甲3について 甲3には、次の記載がある。 「【0063】 例えば、従来の特許文献1の技術では、MSAに対し、保護用レドーム誘電体板を装荷した構造であるが、レドームは一般的に厚みのある誘電体が用いられている。このような厚いレドームでは、電気的特性が劣化する問題を有する。一般的には、レドームの厚さは1/2波長の整数倍または1/20波長以下が望まれる。」 上記記載によれば、甲3には、MSAすなわちマイクロストリップアンテナに保護用レドーム誘電体板を装荷した構造において、保護用レドーム誘電体板の厚さは1/2波長の整数倍又は1/20波長以下が望まれることが開示されていると認められる。 しかしながら、「保護用レドーム誘電体板の厚さは1/2波長の整数倍」が望ましいということから、甲3のMSAに保護用レドーム誘電体板を装荷した構造は、保護用レドーム誘電体板の厚さ方向に電磁波が放射されることを前提としていると解され、これは甲2と同様である。よって、甲3に記載された技術が、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板にも適用できるとはいえない。 また、甲3の「1/20波長以下が望まれる」については、甲3にこれ以上の説明はなく、甲3で挙げられている「従来の特許文献1」(【0004】によれば実開昭63-59413号公報)にもその旨は記載されておらず、他に「1/20波長以下が望まれる」ことを開示ないし示唆する証拠もない。 そうすると、甲3には、MSAに保護用レドーム誘電体板を装荷した構造において、保護用レドーム誘電体板の厚さを1/20波長以下にすることが望ましいことが一応は記載されているものの、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体において、保護部材の厚さを1/20波長以下にすることが望ましいことまでは記載も示唆もされていない。 ウ 甲4について 甲4には、次の記載がある。 「【0072】 一般に、カバー部材Bにおける電磁波の反射現象は、主に、当該カバー部材Bの大気との境界面(ここでは、カバー部材Bの内面及び外面)での反射現象に起因する。そのため、カバー部材Bにおける電磁波の反射現象は、電磁波がカバー部材Bの内面から外面までを通過する際における進行距離が、当該電磁波の半波長の整数倍である場合に抑制されることが知られている。つまり、カバー部材Bにおける電磁波の反射率は、以下の式(1)の条件を充足する場合、低下する。 【数1】 [図:0001432061000007.jpg] 【0073】 ここで、カバー部材Bを通過する際の電磁波の実効波長λgは、送信アンテナ2が送信する電磁波の自由空間波長をλ0、カバー部材Bの比誘電率をεr1とした場合、λg=λ0/sqrt(εr1)である。従って、式(1)は、式(2)のように表すことができる。 【数2】 [図:0001432061000008.jpg] 【0074】 但し、カバー部材Bの厚み及び比誘電率は、アンテナ装置Uが搭載される車種毎に異なっている。そのため、上記式(2)の条件を充足するように、送信アンテナ2が送信する電磁波の波長を調整することは、実際には、困難な場合が多い。」 上記記載によれば、カバー部材Bの厚みを電磁波の半波長(1/2波長)の整数倍のときにカバー部材Bにおける電磁波の反射現象が抑制されることが開示されるに過ぎず、カバー部材Bの厚みを1/4波長以下にすることについては開示も示唆もない。 エ 請求人の主張についての小括 以上によれば、甲2、甲3及び甲4のいずれにも、電磁波を正反射方向とは異なる方向に反射する周波数選択反射板と、保護部材とを有する反射構造体において、前記保護部材の厚さを、前記保護部材内を伝搬する前記電磁波の実効波長の1/4未満とすることは記載も示唆もされていない。 よって、請求人の主張は採用できない。 (4)相違点についての判断の小括 以上のとおりであるから、相違点に係る構成は、当業者といえども甲1発明から容易に想到し得たものとは認められない。 5 本件発明1の進歩性の有無についての小括 前記4のとおりであるから、本件発明1と甲1発明との相違点に係る構成は、当業者といえども容易に想到し得ず、よって、本件発明1は、当業者といえども、甲1発明並びに甲2~7、参考資料1、参考資料2及び当審引用文献に記載された技術から容易に発明をすることができたものとは認められない。 よって、申立理由1には理由がない。 第7 本件発明11の進歩性の有無についての判断 本件発明11は、発明特定事項11Dを有し、発明特定事項11Dは、本件発明1の発明特定事項1Dと同じ事項である。 そして、前記第6、3のとおり本件発明1と甲1発明との間には発明特定事項1Dに係る相違点が存在するから、発明特定事項1Dと同じ発明特定事項11Dを備える本件発明11と甲1発明との間には、少なくとも当該相違点と同様の相違点が存在する。 そして、当該相違点に係る構成は、前記第6、4のとおり、当業者といえども容易に想到し得ないものであるから、本件発明11と甲1発明との間の相違点に係る構成も、当業者といえども容易に想到し得ない。 よって、本件発明11は、当業者といえども、甲1発明並びに甲2~7、参考資料1,参考資料2及び当審引用文献に記載された技術から容易に発明をすることができたものとは認められない。 よって、申立理由2及び取消理由1には理由がない。 第8 本件発明12の進歩性の有無についての判断 本件発明12は、発明特定事項12Dを有し、発明特定事項12Dは、本件発明1の発明特定事項1Dと同じ事項である。 そして、前記第6、3のとおり本件発明1と甲1発明との間には発明特定事項1Dに係る相違点が存在するから、発明特定事項1Dと同じ発明特定事項12Dを備える本件発明12と甲1発明との間には、少なくとも当該相違点と同様の相違点が存在する。 そして、当該相違点に係る構成は、前記第6、4のとおり、当業者といえども容易に想到し得ないものであるから、本件発明12と甲1発明との間の相違点に係る構成も、当業者といえども容易に想到し得ない。 よって、本件発明12は、当業者といえども、甲1発明並びに甲2~7、参考資料1,参考資料2及び当審引用文献に記載された技術から容易に発明をすることができたものとは認められない。 よって、申立理由3及び取消理由2には理由がない。 第9 むすび 前記第6~第8によれば、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700008

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