特許訂正審判
2025-390062
画面間予測を使用してビデオ信号を処理するための方法及び装置
- 審判番号
- 2025-390062
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2024-045202
- 登録番号
- 7669553
- 請求日
- 2025年05月08日
- 審決日
- 2025年07月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】オッポ広東移動通信有限公司
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉田 昌司
- 【請求人代理人】出口 智也
- 【請求人代理人】鈴木 健之
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 宮下 誠
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P141 .853-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第44条第1項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7669553号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7669553号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5~8〕、9について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第7669553号(以下、「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)1月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年1月2日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2020-544612号の一部を、特許法第44条第1項の規定に基づき、令和4年11月24日に分割して新たな特許出願とした特願2022-187225号の一部を、特許法第44条第1項の規定に基づき、令和6年3月21日に分割して新たな特許出願としたものであって、その請求項1~9に係る発明について、令和7年4月18日に特許権の設定登録がなされたものである。その後、同年5月8日に特許権者オッポ広東移動通信有限公司により、本件訂正審判が請求され、同年6月2日付け手続方式指令書(方式)に対して、同年同月20日及び同年7月7日に手続補正書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7669553号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求1~9について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項
特許請求の範囲の請求項1、5、9における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を、「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」に訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
(1)訂正前の請求項1~4について
訂正前の請求項2~4は、請求項1を引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正前の請求項5~8について
訂正前の請求項6~8は、請求項5を引用しているものであるから、訂正事項2によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項5~8に対応する訂正後の請求項5~8は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 請求人が主張する訂正事項について
請求人は審判請求書の「(3)訂正の理由」「ア 一群の請求項についての説明」として一群の請求項についての説明をしているから、「(2)訂正事項」の欄に記載された「特許請求の範囲の請求項1、5、9における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」に訂正する。」との趣旨は、一群の請求項ごとに訂正を求めるものといえる。
したがって、本件訂正審判の訂正事項は、次のとおりのものと認められる。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2~4も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」に訂正する。(請求項5を引用する請求項6~8も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」に訂正する。
3 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項1の記載について
「明瞭でない記載の釈明」とは、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中のそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにすることをいう。
そこで、訂正前の請求項1の記載が、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていたかを検討する。
(ア)設定登録時の明細書等には、以下の記載がある。
「【0134】
num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]はref_pic_list_struct(listIdx,rplsIdx)シンタックスの構造でエントリーの数を表す。num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」
「【0150】
実施例2
【0151】
本実施例において、表1で説明されたパラメータnum_ref_entriesを制限することを提案する。通常、num_ref_entries[listIdx][rpIsIdx]は、ref_pic_list_struct(listIdx,rpIsIdx)でエントリーの数を表す。num_ref_entriesの値が0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14までの範囲の値を有し得ることが確認される。より少ないフレームが使用されるために、num_ref_entriesの範囲に対する制限が導入され得る。最悪のシナリオ(worst case scenario)は、sps_max_dec_pic_buffering_minus1により指示される値より14フレームがさらに多い場合を要求することである。これは、そのように多くのフレームを収容するために復号ピクチャバッファが充分なメモリを有することができなければならないということを意味する。代わりに、階層的ピクチャのグループ(hierarchical groups of structres (GOP)s)に対して、レイヤーのtemporalId(時間的ID)を考慮して制限が導入され得る。
【0152】
更なるシンタックスが表3のように定義できる。 sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1は、ピクチャの格納バッファの単位でCVSに1つの復号ピクチャバッファの最大要求サイズを表す。sps_max_dec_pic_buffering_minus1の値は0からMaxDpbSize-1の間の値を有し得、MaxDpbSizeは別に定義されることができる。
【0153】
【表3】
[図:0001427899000001.jpg]
【0154】
即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。また、本実施例(実施例2)にかかると、参照ピクチャリストのエントリーの数は復号ピクチャバッファの最大要求サイズを最大値として有し得る。」
「【0172】
一実施例において、エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」
そして、設定登録時の明細書等において、エントリーの数の最大値と復号ピクチャバッファの最大要求サイズとの関係について記載されているのは上記記載箇所のみである。
まず、上記【0150】~【0153】には、「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」は「復号ピクチャバッファの最大要求サイズ」であること、及び、エントリーの数であるnum_ref_entriesの値は、0から「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」までの範囲の値であることが記載されている。
そうすると、上記【0150】~【0153】には、上記エントリーの数の最大値である「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズである「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」にさらに13を足した値であることが記載されていると認められる。
次に、上記【0154】には、「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」と記載されており、当該文章は、その文頭に「即ち」と記載されていることから、上記【0154】以前の【0150】~【0153】までを言い換えたものと解される。
以上のことから、上記【0154】記載の「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」は、上記【0150】~【0153】に記載されていると認められ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することを本来意図しているものと認められる。
また、当該認定は、上記【0134】の「num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」と、上記【0172】の「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」との記載と整合している。
したがって、明細書には、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することが記載されていると認められる。
(イ)訂正前の請求項1について
訂正前の請求項1には、「装置がビデオ信号をデコーディングするための方法であって、
現在のピクチャの参照ピクチャリストに含まれるエントリーの数を獲得するステップと、
前記エントリーの数だけ前記参照ピクチャリストのエントリーのそれぞれに対してSTRP又はLTRPとしてマーキングを行うステップと、
前記参照ピクチャリストに基づいて、前記現在のピクチャに対する予測サンプルを導出するステップと、を含み、
前記エントリーのそれぞれに対してマーキングを行うステップは、
前記LTRPがインター予測のために用いられるか否かの情報に基づいて、前記参照ピクチャリストのエントリーがSTRPエントリーであるかLTRPエントリーであるかを指示する第1フラグを獲得するステップと、
前記参照ピクチャリストの前記エントリーが前記STRPエントリーであることに基づいて、前記STRPエントリーに関連する参照ピクチャとその他のピクチャとの間のPOCの差異値を獲得するステップと、
前記POCの差異値に基づいて、前記POCの差異値の符号(sign)を指示する第2フラグを獲得するステップと、
前記参照ピクチャリストのエントリーが前記LTRPエントリーであることに基づいて、前記LTRPエントリーに関連する参照ピクチャのPOCのモデューロ値を獲得するステップと、を含み、
前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し、
前記POCの差異値に基づいた値が0より大きいことに基づいて、前記第2フラグが獲得される、方法。」
と記載されていたところ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有」することは、上記(ア)において認定した明細書の記載と矛盾するから、訂正前の請求項1の記載は、明細書中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていた。
イ 訂正後の請求項1~4の記載について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を、訂正後の請求項1において「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」と訂正するものであり、訂正後の請求項1の記載は、上記ア(ア)の記載と整合するため、「装置がビデオ信号をデコーディングするための方法」が明瞭となるものである。
また、訂正後の請求項1を引用する請求項2~4の記載も同様に明瞭となるものである。
ウ 小括
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)アのとおり、訂正事項1は明細書の段落【0134】、【0150】~【0154】、【0172】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項5の記載について
上記3(1)アと同様に、訂正前の請求項5の記載が、設定登録時の明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていたかを検討する。
(ア)設定登録時の明細書等には、以下の記載がある。
「【0134】
num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]はref_pic_list_struct(listIdx,rplsIdx)シンタックスの構造でエントリーの数を表す。num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」
「【0150】
実施例2
【0151】
本実施例において、表1で説明されたパラメータnum_ref_entriesを制限することを提案する。通常、num_ref_entries[listIdx][rpIsIdx]は、ref_pic_list_struct(listIdx,rpIsIdx)でエントリーの数を表す。num_ref_entriesの値が0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14までの範囲の値を有し得ることが確認される。より少ないフレームが使用されるために、num_ref_entriesの範囲に対する制限が導入され得る。最悪のシナリオ(worst case scenario)は、sps_max_dec_pic_buffering_minus1により指示される値より14フレームがさらに多い場合を要求することである。これは、そのように多くのフレームを収容するために復号ピクチャバッファが充分なメモリを有することができなければならないということを意味する。代わりに、階層的ピクチャのグループ(hierarchical groups of structres (GOP)s)に対して、レイヤーのtemporalId(時間的ID)を考慮して制限が導入され得る。
【0152】
更なるシンタックスが表3のように定義できる。 sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1は、ピクチャの格納バッファの単位でCVSに1つの復号ピクチャバッファの最大要求サイズを表す。sps_max_dec_pic_buffering_minus1の値は0からMaxDpbSize-1の間の値を有し得、MaxDpbSizeは別に定義されることができる。
【0153】
【表3】
[図:0001427899000002.jpg]
【0154】
即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。また、本実施例(実施例2)にかかると、参照ピクチャリストのエントリーの数は復号ピクチャバッファの最大要求サイズを最大値として有し得る。」
「【0172】
一実施例において、エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」
そして、設定登録時の明細書等において、エントリ~の数の最大値と復号ピクチャバッファの最大要求サイズとの関係について記載されているのは上記記載箇所のみである。
まず、上記【0150】~【0153】には、「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」は「復号ピクチャバッファの最大要求サイズ」であること、及び、エントリーの数であるnum_ref_entriesの値は、0から「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」までの範囲の値であることが記載されている。
そうすると、上記【0150】~【0153】には、上記エントリーの数の最大値である「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズである「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」にさらに13を足した値であることが記載されていると認められる。
次に、上記【0154】には、「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」と記載されており、当該文章は、その文頭に「即ち」と記載されていることから、上記【0154】以前の【0150】~【0153】までを言い換えたものと解される。
以上のことから、上記【0154】記載の「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」は、上記【0150】~【0153】に記載されていると認められ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することを本来意図しているものと認められる。
また、当該認定は、上記【0134】の「num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」と、上記【0172】の「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」との記載と整合している。
したがって、明細書には、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することが記載されていると認められる。
(イ)訂正前の請求項5について
訂正前の請求項5には、「装置がビデオ信号をエンコーディングする方法であつて、
現在のピクチャの参照ピクチャリストを構成するステップと、
前記参照ピクチャリストを構成するためのコード情報を生成するステップと、を含み、
前記コード情報は、前記参照ピクチャリスト内のエントリーの数と、前記参照ピクチャリストのエントリーがSTRPエントリーであるかLTRPエントリーであるかを指示する第1フラグと、前記STRPエントリーに関連する参照ピクチャとその他のピクチャとの間のPOCの差異値と、前記POCの差異値の符号(sign)を指示する第2フラグと、前記LTRPエントリーに関連する参照ピクチャのPOCのモデューロ値と、を含み、
前記エントリーの数は、復号ピクチャバンフアの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し、
前記POCの差異値に基づいた値が0より大きいことに基づいて、前記第2フラグが生成される、方法。」
と記載されていたところ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有」することは、上記(ア)において認定した明細書の記載と矛盾するから、訂正前の請求項5の記載は、明細書中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていた。
イ 訂正後の請求項5~8の記載について
訂正事項2は、訂正前の請求項5における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を、訂正後の請求項5において「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」と訂正するものであり、訂正後の請求項5の記載は、上記ア(ア)の記載と整合するため、「装置がビデオ信号をエンコーディングする方法」が明瞭となるものである。
また、訂正後の請求項5を引用する請求項6~8の記載も同様に明瞭となるものである。
ウ 小括
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)アのとおり、訂正事項2は明細書の段落【0134】、【0150】~【0154】、【0172】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項2は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
5 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項9の記載について
上記3(1)アと同様に、訂正前の請求項9の記載が、設定登録時の明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていたかを検討する。
(ア)設定登録時の明細書等には、以下の記載がある。
「【0134】
num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]はref_pic_list_struct(listIdx,rplsIdx)シンタックスの構造でエントリーの数を表す。num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」
「【0150】
実施例2
【0151】
本実施例において、表1で説明されたパラメータnum_ref_entriesを制限することを提案する。通常、num_ref_entries[listIdx][rpIsIdx]は、ref_pic_list_struct(listIdx,rpIsIdx)でエントリーの数を表す。num_ref_entriesの値が0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14までの範囲の値を有し得ることが確認される。より少ないフレームが使用されるために、num_ref_entriesの範囲に対する制限が導入され得る。最悪のシナリオ(worst case scenario)は、sps_max_dec_pic_buffering_minus1により指示される値より14フレームがさらに多い場合を要求することである。これは、そのように多くのフレームを収容するために復号ピクチャバッファが充分なメモリを有することができなければならないということを意味する。代わりに、階層的ピクチャのグループ(hierarchical groups of structres (GOP)s)に対して、レイヤーのtemporalId(時間的ID)を考慮して制限が導入され得る。
【0152】
更なるシンタックスが表3のように定義できる。 sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1は、ピクチャの格納バッファの単位でCVSに1つの復号ピクチャバッファの最大要求サイズを表す。sps_max_dec_pic_buffering_minus1の値は0からMaxDpbSize-1の間の値を有し得、MaxDpbSizeは別に定義されることができる。
【0153】
【表3】
[図:0001427899000003.jpg]
【0154】
即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。また、本実施例(実施例2)にかかると、参照ピクチャリストのエントリーの数は復号ピクチャバッファの最大要求サイズを最大値として有し得る。」
「【0172】
一実施例において、エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」
そして、設定登録時の明細書等において、エントリーの数の最大値と復号ピクチャバッファの最大要求サイズとの関係について記載されているのは上記記載箇所のみである。
まず、上記【0150】~【0153】には、「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」は「復号ピクチャバッファの最大要求サイズ」であること、及び、エントリーの数であるnum_ref_entriesの値は、0から「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」までの範囲の値であることが記載されている。
そうすると、上記【0150】~【0153】には、上記エントリーの数の最大値である「sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14」は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズである「sps_max_dec_pic_buffering_minus1足す1」にさらに13を足した値であることが記載されていると認められる。
次に、上記【0154】には、「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」と記載されており、当該文章は、その文頭に「即ち」と記載されていることから、上記【0154】以前の【0150】~【0153】までを言い換えたものと解される。
以上のことから、上記【0154】記載の「即ち、参照ピクチャリストのエントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値を最大値として有し得る。」は、上記【0150】~【0153】に記載されていると認められ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することを本来意図しているものと認められる。
また、当該認定は、上記【0134】の「num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は0からsps_max_dec_pic_buffering_minus1+14の間の値になり得る。」と、上記【0172】の「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズで14を足した値(sps_max_dec_pic_buffering_minus1+14)又は復号ピクチャバッファの最大要求サイズ(sps_max_dec_pic_buffering_minus1)を最大値として有し得る。」との記載と整合している。
したがって、明細書には、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有」することが記載されていると認められる。
(イ)訂正前の請求項9について
訂正前の請求項9には、「ビデオ信号に関連するビットストリームを含むデータの送信方法であって、
前記ビデオ信号に関連する前記ビットストリームを獲得するステップと、
前記ビットストリームを含む前記データを送信するステップと、を含み、
前記ビットストリームは、
現在のピクチャの参照ピクチャリストを構成するステップと、
前記参照ピクチャリストを構成するためのコード情報を生成するステップと、を実行することにより生成され、
前記コード情報は、前記参照ピクチャリスト内のエントリーの数と、前記参照ピクチャリストのエントリーがSTRPエントリーであるかLTRPエントリーであるかを指示する第1フラグと、前記STRPエントリーに関連する参照ピクチャとその他のピクチャとの間のPOCの差異値と、前記POCの差異値の符号(sign)を指示する第2フラグと、前記LTRPエントリーに関連する参照ピクチャのPOCのモデューロ値と、を含み、
前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し、
前記POCの差異値に基づいた値が0より大きいことに基づいて、前記第2フラグが生成される、方法。」
と記載されていたところ、「エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有」することは、上記(ア)において認定した明細書の記載と矛盾するから、訂正前の請求項9の記載は、明細書中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていた。
イ 訂正後の請求項9の記載について
訂正事項3は、訂正前の請求項9における「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに14を足した値を最大値として有し」を、訂正後の請求項9において「前記エントリーの数は、復号ピクチャバッファの最大要求サイズに13を足した値を最大値として有し」と訂正するものであり、訂正後の請求項9の記載は、上記ア(ア)の記載と整合するため、「ビデオ信号に関連するビットストリームを含むデータの送信方法」が明瞭となるものである。
ウ 小括
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)アのとおり、訂正事項3は明細書の段落【0134】、【0150】~【0154】、【0172】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項3は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1~3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-390062