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特許訂正審判

2025-390139

タイル及びサブ画像の分割

審判番号
2025-390139
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2024-018065
登録番号
7670885
請求日
2025年09月30日
審決日
2025年12月12日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】テンセント・アメリカ・エルエルシー
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 畑中 高行
  • 審判官 樫本 剛
  • 審判官 坂東 大五郎
分類
P141 .853-Y (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7670885号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7670885号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。

理由

理 由 第1 経緯 本件訂正審判に係る特許第7670885号(以下「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)3月11日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2019年3月11日)を国際出願日とする特願2021-533637号の一部を、令和5年2月22日に新たな特許出願とした特願2023-26482号の一部を、令和6年2月8日に新たな特許出願としたものであって、令和7年4月21日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和7年9月30日に本件訂正審判の請求がなされ、令和7年10月27日に審判請求書に対する手続補正書(方式)が提出された。 第2 請求の趣旨、訂正の内容 1 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7670885号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1乃至11について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「第2のフラグをシグナリングするステップ」とあるのは、「第2のフラグを復号するステップ」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に「前記第3のフラグをシグナリングするステップ」とあるのは、「前記第3のフラグを復号するステップ」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に「第4のフラグをシグナリングするステップ」とあるのは、「第4のフラグを復号するステップ」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8に「第3のフラグ」とあるのは、「第5のフラグ」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8に「シグナリングするステップ」とあるのは、「復号するステップ」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9に「前記第3のフラグは、loop_filter_across_tile_groups_enabled_flagである」とあるのは、「前記第5のフラグは、loop_filter_across_tile_groups_enabled_flagである」に訂正する。 第3 当審の判断 1 一群の請求項について 訂正前の請求項1~11について、請求項2~11はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項4~7、10、11について、請求項5~7、10、11はそれぞれ請求項4を引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項4~7、10、11に対応する訂正後の請求項4~7、10、11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項6、7、10、11について、請求項7、10、11はそれぞれ請求項6を引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項6、7、10、11に対応する訂正後の請求項6、7、10、11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項8、9、10、11について、請求項9、10、11はそれぞれ請求項8を引用しているものであって、訂正事項4および5によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項8、9、10、11に対応する訂正後の請求項8、9、10、11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項9、10、11について、請求項10、11はそれぞれ請求項9を引用しているものであって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項9に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項9、10、11に対応する訂正後の請求項9、10、11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 そして、上述の複数の一群の請求項は、共通の請求項である請求項10、11を有するから、組み合わされて1つの「一群の請求項」となる。 したがって、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 2 訂正事項1について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項1には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの値に基づいて、前記タイル境界をまたいで実行されうるループ内フィルタリング動作が許可されるかどうかを示す第2のフラグをシグナリングするステップをさらに含む」と記載されている。 ここで、動画像符号化復号化の技術分野では、「シグナリング」という用語は、フラグ等の情報を送信することを意味する用語である。 そして、「復号する」ことと、「シグナリングする」ことは、全く異なることであり、通常、「復号する前記ステップ」が、「シグナリングするステップ」をさらに含むことは想定しがたいから、訂正前の請求項1の記載は不合理であり、不明瞭な記載といえる。 そして、訂正事項1によって、請求項1の記載を、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの値に基づいて、前記タイル境界をまたいで実行されうるループ内フィルタリング動作が許可されるかどうかを示す第2のフラグを復号するステップをさらに含む」という記載に訂正することにより、「復号する前記ステップ」が「第2のフラグを復号するステップ」をさらに含むことが明らかになり、この記載に特に不合理な点はないから、訂正後の記載は明瞭になったといえる。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 願書に添付した明細書には、以下の記載がある。 【0101】 本開示の実施形態の構文要素の例を以下に示す。 【0102】 本開示の実施形態の画像パラメータセットRBSP構文を以下の表3に示す。 【0103】 【表3】 [図:0001433035000001.jpg] 【0104】 「full_parallel_decoding_enabled_flag」が1であれば、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されることを指定する。 【0105】 「loop_filter_across_tiles_enabled_flag」が1であれば、PPSを参照する画像内で、ループ内フィルタリング動作がタイル境界をまたいで実行されることを指定する。「loop_filter_across_tiles_enabled_flag」が0であれば、PPSを参照する画像内で、ループ内フィルタリング動作がタイル境界をまたいで実行されないことを指定する。ループ内フィルタリング動作は、例えば、非ブロック化フィルタ動作、サンプル適応オフセットフィルタ動作、及び適応ループフィルタ動作を含む。存在しない場合は、loop_filter_across_tiles_enabled_flagの値は0になると推定され得る。 【0106】 「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」が1であれば、PPSを参照する画像内で、ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されることを指定する。「loop_filter_across_tile_group_enabled_flag」が0であれば、PPSを参照する画像内で、ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されないことを指定する。ループ内フィルタリング動作は、例えば、非ブロック化フィルタ動作、サンプル適応オフセットフィルタ動作、及び適応ループフィルタ動作を含む。存在しない場合は、「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」の値は0になると推定され得る。 【0107】 「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」が1であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されることを指定する。「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」が0であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されないことを指定する。インター予測動作は、例えば、時間的動き補償、現画像参照、時間的動きベクトル予測、及び画像間の任意のパラメータ予測動作を含む。存在しない場合は、「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」の値は0になると推定され得る。 【0108】 「inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flag」が1であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイルグループ境界をまたいで実行されることを指定する。「inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flag」が0であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイルグループ境界をまたいで実行されないことを指定する。インター予測動作は、例えば、時間的動き補償、現画像参照、時間的動きベクトル予測、及び画像間の任意のパラメータ予測動作を含む。存在しない場合は、「inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flag」の値は0になると推定され得る。 まず、動画像符号化復号化の技術分野の技術常識を考慮すると、段落0102~0103の画像パラメータセットは、復号側において復号されるものであるといえる。 また、段落0103の表3においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件の後の括弧({ })内にloop_filter_across_tiles_enabled_flagが記載されているから、復号側においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件が満たされた場合に、loop_filter_across_tiles_enabled_flagが復号されるといえる。 ここで、動画像符号化復号化の技術分野の技術常識を考慮すると、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」は、full_parallel_decoding_enabled_flagの値が0である場合、という条件を意味するものである。 そして、段落0104によれば、「full_parallel_decoding_enabled_flag」が1であれば、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されることを指定するのであるから、full_parallel_decoding_enabled_flagの値が0であることは、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されないことを意味しているといえる。 よって、段落0103の表3には、full_parallel_decoding_enabled_flagの値が0である場合、すなわち、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されないことを示す場合に、loop_filter_across_tiles_enabled_flagを復号することが記載されているといえる。 そして、上記「full_parallel_decoding_enabled_flag」は、請求項1の「第1のフラグ」に対応する。 また、上記「loop_filter_across_tiles_enabled_flag」は、請求項1の「第2のフラグ」に対応する。 以上によれば、願書に添付した明細書には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの値に基づいて、前記タイル境界をまたいで実行されうるループ内フィルタリング動作が許可されるかどうかを示す第2のフラグを復号するステップをさらに含む」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項1は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項1についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 3 訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項4には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて前記第3のフラグをシグナリングするステップをさらに含む」と記載されている。 そして、上記2(1)で述べたのと同様に、通常、「復号する前記ステップ」が、「シグナリングするステップ」をさらに含むことは想定しがたいから、訂正前の請求項4の記載は不合理であり、不明瞭な記載といえる。 そして、訂正事項2によって、請求項4の記載を、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて前記第3のフラグを復号するステップをさらに含む」という記載に訂正することにより、「復号する前記ステップ」が「前記第3のフラグを復号するステップ」をさらに含むことが明らかになり、この記載に特に不合理な点はないから、訂正後の記載は明瞭になったといえる。 よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 願書に添付した明細書には、上記2(2)のとおりの記載がある。 段落0103の表3においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件の後の括弧({ })内にinter_prediction_across_tiles_enabled_flagが記載されているから、復号側においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件が満たされた場合に、inter_prediction_across_tiles_enabled_flagが復号されるといえる。 よって、段落0103の表3には、full_parallel_decoding_enabled_flagの値が0である場合、すなわち、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されないことを示す場合に、inter_prediction_across_tiles_enabled_flagを復号することが記載されているといえる。 そして、上記「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」は、請求項4の「第3のフラグ」に対応する。 以上によれば、願書に添付した明細書には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて前記第3のフラグを復号するステップをさらに含む」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項2は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項2についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 4 訂正事項3について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項6には、「復号する前記ステップは、インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうることを示す前記第3のフラグの値に基づいて、インター予測動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第4のフラグをシグナリングするステップをさらに含む」と記載されている。 そして、上記2(1)で述べたのと同様に、通常、「復号する前記ステップ」が、「シグナリングするステップ」をさらに含むことは想定しがたいから、訂正前の請求項6の記載は不合理であり、不明瞭な記載といえる。 そして、訂正事項3によって、請求項6の記載を、「復号する前記ステップは、インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうることを示す前記第3のフラグの値に基づいて、インター予測動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第4のフラグを復号するステップをさらに含む」という記載に訂正することにより、「復号する前記ステップ」が「第4のフラグを復号するステップ」をさらに含むことが明らかになり、この記載に特に不合理な点はないから、訂正後の記載は明瞭になったといえる。 よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 願書に添付した明細書には、上記2(2)のとおりの記載がある。 段落0103の表3においては、「if(inter_prediction_across_tiles_enabled_flag)」という条件の後にinter_prediction_across_tile_groups_enabled_flagが記載されているから、復号側においては、「if(inter_prediction_across_tiles_enabled_flag)」という条件が満たされた場合に、inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flagが復号されるといえる。 ここで、動画像符号化復号化の技術分野の技術常識を考慮すると、「if(inter_prediction_across_tiles_enabled_flag)」は、inter_prediction_across_tiles_enabled_flagの値が0でない場合、という条件を意味するものである。 そして、段落0107によれば、「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」が1であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されることを指定し、「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」が0であれば、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されないことを指定するのであるから、inter_prediction_across_tiles_enabled_flagの値が0でないことは、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されることを意味しているといえる。 よって、段落0103の表3には、inter_prediction_across_tiles_enabled_flagの値が0でない場合、すなわち、PPSを参照する画像内で、インター予測動作がタイル境界をまたいで実行されることを示す場合に、inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flagを復号することが記載されているといえる。 そして、上記「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」は、請求項6の「第3のフラグ」に対応する。 また、上記「inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flag」は、請求項6の「第4のフラグ」に対応する。 以上によれば、願書に添付した明細書には、「復号する前記ステップは、インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうることを示す前記第3のフラグの値に基づいて、インター予測動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第4のフラグを復号するステップをさらに含む」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項3は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項3についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 5 訂正事項4について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項8には、「ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第3のフラグ」と記載されている。 一方、訂正前の請求項3には、「インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第3のフラグ」と記載されている。 そして、訂正前の請求項8の記載によれば、「第3のフラグ」は、「ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す」ものであるのに対し、訂正前の請求項3の記載によれば、「第3のフラグ」は、「インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうるかどうかを示す」ものである。 そうすると、訂正前の請求項8では、訂正前の請求項3における「第3のフラグ」と異なる技術的意味を有するフラグについて、「第3のフラグ」という同一の名称が付されており、訂正前の請求項8の「第3のフラグ」が、訂正前の請求項3の「第3のフラグ」と異なるものであるのか否かが明瞭でない。 よって、訂正前の請求項8の記載は、訂正前の請求項3の記載との関係において、不明瞭な記載であるといえる。 そして、訂正事項4により、請求項8の記載を、「ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第5のフラグ」という記載に訂正することにより、訂正後の請求項8のフラグが、訂正後の請求項3の「第3のフラグ」とは異なるフラグであることが明らかになり、訂正後の記載は明瞭になったといえる。 よって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 願書に添付した明細書には、上記2(2)のとおりの記載がある。 段落103、0106の「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」は、訂正後の請求項8の「ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す」フラグに対応する。 また、段落0103、0107の「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」は、訂正後の請求項3の「インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第3のフラグ」に対応する。 そして、当該「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」は、訂正後の請求項3の「インター予測動作が前記タイル境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第3のフラグ」に対応する「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」とは異なるフラグであるといえる。 さらに、当該「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」は、「第1のフラグ」に対応する「full_parallel_decoding_enabled_flag」、「第2のフラグ」に対応する「loop_filter_across_tiles_enabled_flag」、「第3のフラグ」に対応する「inter_prediction_across_tiles_enabled_flag」、「第4のフラグ」に対応する「inter_prediction_across_tile_groups_enabled_flag」のいずれとも異なるフラグであるから、「第5のフラグ」ということができる。 以上によれば、願書に添付した明細書には、「ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第5のフラグ」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項4は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 6 訂正事項5について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項8には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて、ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第3のフラグをシグナリングするステップをさらに含む」と記載されている。 そして、上記2(1)で述べたのと同様に、通常、「復号する前記ステップ」が、「シグナリングするステップ」をさらに含むことは想定しがたいから、訂正前の請求項8の記載は不合理であり、不明瞭な記載といえる。 そして、訂正事項5によって、請求項8の記載を、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて、ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第5のフラグを復号するステップをさらに含む」という記載に訂正することにより、「復号する前記ステップ」が「第5のフラグを復号するステップ」をさらに含むことが明らかになり、この記載に特に不合理な点はないから、訂正後の記載は明瞭になったといえる。 (なお、「第3のフラグ」を「第5のフラグ」に訂正する点は、訂正事項4によるものであり、上記5で述べたとおりである。) よって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 願書に添付した明細書には、上記2(2)のとおりの記載がある。 段落0103の表3においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件の後の括弧({ })内にloop_filter_across_tile_groups_enabled_flagが記載されているから、復号側においては、「if(!full_parallel_decoding_enabled_flag)」という条件が満たされた場合に、loop_filter_across_tile_groups_enabled_flagが復号されるといえる。 よって、段落0103の表3には、full_parallel_decoding_enabled_flagの値が0である場合、すなわち、タイル境界をまたいだ処理及び予測がいずれも拒否されないことを示す場合に、loop_filter_across_tile_groups_enabled_flagを復号することが記載されているといえる。 そして、上記「loop_filter_across_tile_groups_enabled_flag」は、請求項8の「第5のフラグ」に対応する。 以上によれば、願書に添付した明細書には、「復号する前記ステップは、前記タイル境界をまたいだ前記任意の処理及び前記予測が拒否されないことを示す前記第1のフラグの前記値に基づいて、ループ内フィルタリング動作がタイルグループ境界をまたいで実行されうるかどうかを示す第5のフラグを復号するステップをさらに含む」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項5は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項5についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 7 訂正事項6について (1)訂正の目的について 訂正事項6は、請求項9において、「前記第3のフラグ」を「前記第5のフラグ」に訂正するものであり、「前記第3のフラグ」は、請求項8の「第3のフラグ」のことであるから、訂正事項6は、上記5(1)と同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 上記5(2)で述べたとおり、願書に添付した明細書には、「前記第5のフラグは、loop_filter_across_tile_groups_enabled_flagである」という事項が記載されているといえる。 よって、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)のとおり、訂正事項6は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項6についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1~6による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-390139

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