特許訂正審判
2025-390006
ビデオ信号符号化/復号方法及びその機器
- 審判番号
- 2025-390006
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-180938
- 登録番号
- 7598433
- 請求日
- 2024年12月25日
- 審決日
- 2025年05月16日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】オッポ広東移動通信有限公司
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉田 昌司
- 【請求人代理人】出口 智也
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 伊藤 隆夫
- 審判官 宮下 誠
- 分類
- P141 .853-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7598433号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7598433号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6、13、15〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第7598433号(以下、「本件特許」という。)は、2019年(令和元年)11月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年11月8日(KR)大韓民国)を国際出願日とする出願の一部を令和5年10月20日に新たな出願としたものであって、その請求項1-15に係る発明について、令和6年12月3日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和6年12月25日に特許権者オッポ広東移動通信有限公司より、本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7598433号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-6、13、15について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1-4、6に記載された「符号化ブロック」を「復号されるブロック」に訂正する。(請求項1、2を直接的または間接的に引用する請求項5も同様に訂正する。請求項1-6を直接的または間接的に引用する請求項13、15も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「前記第2インデックス情報の値は、前記第2インデックス情報の値に1を加算することで得られる」を「前記第2マージ候補を決定するためのインデックス情報の値は、前記第2インデックス情報の値に1を加算することで得られる」に訂正する。(請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2-6、13、15も同様に訂正する。)
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
(1)訂正前の請求項1-6、13、15ついて
訂正前の請求項2-6、13、15は、請求項1を直接的または間接的に引用しているものであるから、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1-6、13、15に対応する訂正後の請求項1-6、13、15は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
「明瞭でない記載の釈明」とは、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中のそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにすることをいう。
そこで、訂正前の請求項1-4、6の記載が、それ自体意味の不明瞭な記載となっていたかを検討する。
ア 訂正前の請求項1-4、6の記載について
設定登録時の明細書には、以下の記載がある。
「【0021】
以下、符号化/復号されるべきブロックを「現在ブロック」と呼ぶ。例えば、現在符号化/復号処理ステップによれば、現在ブロックは、符号化ブロック、変換ブロック又は予測ブロックを表すことができる。」
上記記載によれば、「符号化/復号されるべきブロック」を「現在ブロック」と呼び、「現在ブロック」は、「符号化処理ステップ」及び「復号処理ステップ」のいずれにおいても、「符号化ブロック」と称してもよいものと解される。
そうすると、訂正前の請求項1-4、6に記載の「符号化ブロック」は、「符号化されるべきブロック」を意味するのか、「復号されるべきブロック」を意味するのかが明確でない。
つまり、請求項1-4、6に係る発明が「ビデオ復号方法」であることに鑑みれば、ここでいう「符号化ブロック」が「符号化処理ステップ」において(既に)処理されたブロックなのか、「復号処理ステップ」において(これから)処理されるべきブロックなのか、それ自体の意味が明確でなかった。
イ 訂正後の請求項1-4、6について
訂正後の請求項1-4、6は、「符号化ブロック」と記載されていたものを、「復号されるブロック」と訂正するものであり、訂正後の請求項1-4、6の記載により、当該ブロックは、「復号処理ステップ」において処理されるべきブロックであることが明確となった。(請求項1、2を直接的または間接的に引用する請求項5、請求項1-6を直接的または間接的に引用する請求項13、15の記載も同様に明確となった。)
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
設定登録時の明細書には、以下の記載がある。
「【0284】
もう1つの例として、第1三角形予測ユニット及び第2三角形予測ユニットに対して、それぞれ信号でインデックス情報を送信することができる。例えば、ビットストリームを介して、信号で、第1三角形予測ユニットの三角形マージ候補を決定するための第1インデックス情報1st_merge_idx及び第2三角形予測ユニットの三角形マージ候補を決定するための第2インデックス情報2nd_merge_idxを送信することができる。第1三角形予測ユニットの動き情報は、第1インデックス情報1st_merge_idxに基づいて決定された三角形マージ候補から導出され、第2三角形予測ユニットの動き情報は、第2インデックス情報2nd_merge_idxに基づいて決定された三角形マージ候補から導出される。
【0285】
第1インデックス情報1st_merge_idxは、三角形マージ候補リストに含まれる三角形マージ候補のうちのいずれか1つのインデックスを表すことができる。第1三角形予測ユニットの三角形マージ候補は、第1インデックス情報1st_merge_idxで示される三角形マージ候補と決定されてもよい。
【0286】
第1インデックス情報1st_merge_idxで示される三角形マージ候補は、第2三角形予測ユニットの三角形マージ候補として利用不可能であるものと設定される。これにより、第2三角形予測ユニットの第2インデックス情報2nd_merge_idxは、第1インデックス情報で示される三角形マージ候補以外の残りの三角形マージ候補のうちのいずれか1つのインデックスを示すことができる。第2インデックス情報2nd_merge_idxの値が第1インデックス情報1st_merge_idxの値より小さい時、第2三角形予測ユニットの三角形マージ候補は、第2インデックス情報2nd_merge_idxで表されるインデックス情報を有する三角形マージ候補と決定されてもよい。一方で、第2インデックス情報2nd_merge_idxの値が第1インデックス情報1st_merge_idxの値以上である時、第2三角形予測ユニットの三角形マージ候補は、第2インデックス情報2nd_merge_idxの値に1を加算することで得られた値をインデックスとして有する三角形マージ候補と決定されてもよい。」
上記記載における「第1三角形予測ユニットの動き情報」及び「第2三角形予測ユニットの動き情報」は、それぞれ、請求項1の記載でいうところの「第1動き情報」及び「第2動き情報」であると解され、これらが「現在ブロック」(つまり、「復号されるブロック」)を復号するために導出されることは明らかである。
よって、訂正事項1は明細書の段落【0284】-【0286】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
上記2(1)と同様に、訂正前の請求項1の記載が、それ自体意味の不明瞭な記載となっていたかを検討する。
ア 訂正前の請求項1の記載について
訂正前の請求項1には、以下の記載がある。
「前記第1マージ候補を決定するための第1インデックス情報及び前記第2マージ候補を決定するための第2インデックス情報は、ビットストリームからの復号によって得られ、前記第2インデックス情報の値が前記第1インデックス情報の値以上である場合、前記第2インデックス情報の値は、前記第2インデックス情報の値に1を加算することで得られる、」
上記記載によれば、以下の(A)及び(B)が両立することになる。
(A)「第2マージ候補を決定するための第2インデックス情報」は、「ビットストリームからの復号によって得られ」るものである。
(B)「前記第2インデックス情報の値が前記第1インデックス情報の値以上である場合」においては、「前記第2インデックス情報の値は、前記第2インデックス情報の値に1を加算することで得られる」ものでもある。
そうすると、上記(A)の「ビットストリームからの復号によって得られ」る「第2インデックス情報」について、上記(B)の「前記第2インデックス情報の値が前記第1インデックス情報の値以上である場合」においては、「前記第2インデックス情報の値」が、「前記第2インデックス情報の値」に1を加算することで得られることとなり、再帰的に定義されているため、その値がどのように得られるものなのか、上記記載自体の意味が明確でなかった。
イ 訂正後の請求項1について
訂正後の請求項1は、以下のように訂正された。
「前記第1マージ候補を決定するための第1インデックス情報及び前記第2マージ候補を決定するための第2インデックス情報は、ビットストリームからの復号によって得られ、前記第2インデックス情報の値が前記第1インデックス情報の値以上である場合、前記第2マージ候補を決定するためのインデックス情報の値は、前記第2インデックス情報の値に1を加算することで得られる、」
上記訂正後の請求項1の記載によれば、「第2インデックス情報」に関する処理は、以下の(A)及び(C)のように整理されることにより、上記アの再帰的な定義が再帰的でなくなり、意味が明確となった。(請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2-6、13、15の記載も同様に明確となった。)
(A)「第2マージ候補を決定するための第2インデックス情報」は、「ビットストリームからの復号によって得られ」るものである。
(C)「前記第2インデックス情報の値が前記第1インデックス情報の値以上である場合」においては、「前記第2マージ候補を決定するためのインデックス情報の値」が、「前記第2インデックス情報」の値に1を加算することで得られる。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項2は、上記ア(2)で摘記した明細書の段落【0286】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項2は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1、2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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