特許訂正審判
2025-390117
ビデオ・コーディングのための方法、装置、及びコンピュータ・プログラム
- 審判番号
- 2025-390117
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2024-070197
- 登録番号
- 7698101
- 請求日
- 2025年08月27日
- 審決日
- 2025年12月23日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】テンセント・アメリカ・エルエルシー
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 坂東 大五郎
- 分類
- P141 .851-Y (H04N) / P141 .853-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7698101号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7698101号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、4〕、〔5、6〕、〔9、10〕、〔11、12〕、〔13、14、17、18〕、〔15、16〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7698101号(以下「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)4月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2019年4月19日 アメリカ合衆国、2020年4月16日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2021-535915号の一部を令和5年3月23日に新たな特許出願とした特願2023-46634号の、さらにその一部を令和6年4月24日に新たな特許出願とした特願2024-70197号に係る特許であって、その請求項1~18に係る発明について令和7年6月16日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、本件特許は、令和7年8月27日に本件訂正審判の請求がなされ、同年10月8日に審判請求書に対する手続補正書(方式)が提出された。
その後の手続の経緯は次のとおりである。
令和7年10月21日付け:訂正拒絶理由通知
同年11月14日 :意見書、手続補正書の提出
第2 訂正内容
本件訂正審判に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項3~6、9~18について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項1、2、4~8のとおりである。なお、訂正事項3は、令和7年11月14日にされた手続補正により削除された。
下線部は訂正箇所である。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3及び4を削除する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1ないし4のうちの何れか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」と記載されているのを、「請求項1又は2に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。
3 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9及び10を削除する。
4 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に「請求項7ないし10のうちの何れか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」と記載されているのを、「請求項7又は8に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項12も同様に訂正する)。
5 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項13に「前記エンコーダのプロセッサが、現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、前記予測情報を含むコーディングされたビデオ・ビットストリームをエンコーダに送信するステップ」と記載されているのを、「前記エンコーダのプロセッサが、現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、前記予測情報を含むコーディングされたビデオ・ビットストリームをデコーダに送信するステップ」に訂正する(請求項13の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14、17及び18も同様に訂正する)。
6 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項15及び16を削除する。
7 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項17に「請求項13ないし16のうちの何れか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」と記載されているのを、「請求項13又は14に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータ・プログラム。」に訂正する(請求項17の記載を引用する請求項18も同様に訂正する)。
第3 訂正の適否についての判断
1 一群の請求項について
本件訂正前の請求項3~6について、請求項5及び6は請求項3及び4を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項3及び4に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項3~6に対応する請求項3~6は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
本件訂正前の請求項9~12について、請求項11及び12は請求項9及び10を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項9及び10に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項9~12に対応する請求項9~12は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
本件訂正前の請求項13~18について、請求項14、17及び18は請求項13を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項13に連動して訂正されるものであり、また、請求項17及び18は、請求項15及び16を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項15及び16に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項13~18に対応する請求項13~18は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 訂正事項1、4、7について
訂正事項1、4、7は、請求項の削除であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
訂正事項1、4、7は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
訂正事項1、4、7は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項1、4、7は、請求項の削除であるから、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由はない。よって、訂正事項1、4、7は、特許法第126条第7項に適合するものである。
3 訂正事項2、5、8について
訂正事項2、5、8は、それぞれ訂正事項1、4、7によって、引用していた請求項の一部が削除されたことに伴い、削除された請求項との引用関係を解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
訂正事項2、5、8は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
訂正事項2、5、8は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
4 訂正事項6について
(1)訂正の目的について
本件訂正前の請求項13には「前記エンコーダのプロセッサが、現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、前記予測情報を含むコーディングされたビデオ・ビットストリームをエンコーダに送信する」と記載されている。
ここで、エンコーダとは、ビデオを符号化(コーディング)するものであり、コーディング済のビデオ・ビットストリームを(ビデオをコーディングする)「エンコーダ」に送信することは想定しがたいから、本件訂正前の請求項13の記載は不合理であり、不明瞭な記載といえる。
そして、訂正事項6によって、本件訂正前の請求項13の上記記載を「前記エンコーダのプロセッサが、現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、前記予測情報を含むコーディングされたビデオ・ビットストリームをデコーダに送信する」という記載に訂正することにより、(エンコーダにおいて)コーディングされたビデオ・ビットストリームを、ビデオを復号(デコーディング)するデコーダに送信することが明らかになり、この記載に特に不合理な点はないから、訂正後の記載は明瞭になったといえる。
よって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に添付した明細書及び図面には次の記載がある。
下線は、当審において訂正事項6に関連する記載箇所に付したものである。
「【0031】
図2は、本開示の一実施形態による通信システム(200)の簡略化されたブロック図を示す。通信システム(200)は、例えばネットワーク(250)を介して互いに通信することができる複数の端末デバイスを含む。例えば、通信システム(200)は、ネットワーク(250)を介して相互接続された第1ペアの端末デバイス(210)及び(220)を含む。図2の例では、第1ペアの端末デバイス(210)及び(220)は、データの一方向送信を行う。例えば、端末デバイス(210)は、ネットワーク(250)を介する他の端末デバイス(220)への伝送のために、ビデオ・データ(例えば、端末デバイス(210)によって捕捉されたビデオ・ピクチャのストリーム)をコーディングすることができる。符号化されたビデオ・データは、1つ以上のコーディングされたビデオ・ビットストリームの形態で送信することができる。端末デバイス(220)は、コーディングされたビデオ・データをネットワーク(250)から受信し、コーディングされたビデオ・データを復号化して、ビデオ・ピクチャを復元し、復元されたビデオ・データに従ってビデオ・ピクチャを表示することができる。一方向性データ伝送は、媒体サービング・アプリケーション等において一般的なものであってもよい。」
「【図2】
[図:0001434057000001.jpg]
」
「【0077】
図6の例では、ビデオ・エンコーダ(603)は、インター・エンコーダ(630)、イントラ・エンコーダ(622)、残差計算器(623)、スイッチ(626)、残差エンコーダ(624)、汎用コントローラ(621)、及びエントロピー・エンコーダ(625)を、図6に示されるように共に結合して含んでいる。
【0078】
インター・エンコーダ(630)は、現在のブロック(例えば、処理ブロック)のサンプルを受信し、そのブロックを、参照ピクチャ内の1つ以上の参照ブロック(例えば、以前のピクチャのブロック及び以後のピクチャ内のブロック)と比較し、インター予測情報(例えば、符号化技術による冗長情報の記述、動きベクトル、マージ・モード情報)を生成し、任意の適切な技術を用いてインター予測情報に基づいて、インター予測結果(例えば、予測ブロック)を計算するように構成される。幾つかの例では、参照ピクチャは、符号化されたビデオ情報に基づいて復号化された復号化済み参照ピクチャである。
【0079】
イントラ・エンコーダ(622)は、現在のブロック(例えば、処理ブロック)のサンプルを受信し、場合によってはブロックを、同じピクチャ内で既にコーディングされたブロックと比較し、変換後に量子化された係数を生成し、場合によってはイントラ予測情報(例えば、1つ以上のイントラ符号化技術に従ったイントラ予測方向情報)も生成するように構成される。一例では、イントラ・エンコーダ(622)はまた、同じピクチャ内のイントラ予測情報及び参照ブロックに基づいて、イントラ予測結果(例えば、予測ブロック)を計算する。
【0080】
ジェネラル・コントローラ(621)は、一般的な制御データを決定し、一般的な制御データに基づいてビデオ・エンコーダ(603)の他のコンポーネントを制御するように構成される。一例では、ジェネラル・コントローラ(621)は、ブロックのモードを決定し、そのモードに基づいてスイッチ(626)に制御信号を提供する。例えば、モードがイントラ・モードである場合、ジェネラル・コントローラ(621)は、スイッチ(626)を制御して、残差計算器(623)による使用のためにイントラ・モード結果を選択し、且つエントロピー・エンコーダ(625)を制御して、イントラ予測情報を選択し、イントラ予測情報をビットストリームに含める;モードがインター・モードである場合、ジェネラル・コントローラ(621)は、スイッチ(626)を制御して、残差計算器(623)による使用のためにインター予測結果を選択し、且つエントロピー・エンコーダ(625)を制御して、インター予測情報を選択し、インター予測情報をビットストリームに含める。」
「【図6】
[図:0001434057000002.jpg]
」
上記【0077】~【0080】及び図6には、ビデオ・エンコーダが、現在のブロックのインター予測情報を生成して当該インター予測情報に基づいてインター予測結果を計算するとともに、現在のブロックのイントラ予測情報も生成して当該イントラ予測情報等に基づいてイントラ予測結果を計算し、前記イントラ予測情報又はインター予測情報を選択してイントラ予測情報又はインター予測情報をビットストリームに含めることが記載されている。
ここで、エンコーダにおける処理がプロセッサにより行われることは明らかである。そして、上記【0077】~【0080】及び図6のエンコーダ(のプロセッサ)は、現在のブロックのイントラ予測情報又はインター予測情報を選択することにより現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、当該予測情報をビットストリームに含めるものである。
また、上記【0031】及び図2には、ビデオ・データのコーディング(符号化)を行う端末デバイス(210)から、コーディングされたビデオ・データの復号化を行う端末デバイス(220)へ、符号化されたビデオ・データをコーディングされたビデオ・ビットストリームの形態で送信することが記載されている。
ここで、ビデオ・データのコーディング(符号化)を行う端末デバイス(210)、及び、コーディングされたビデオ・データの復号化を行う端末デバイス(220)が、それぞれエンコーダ及びデコーダの構成を備えるものであることは明らかであるから、上記【0031】及び図2には、エンコーダのプロセッサが、コーディングされたビデオ・ビットストリームをデコーダに送信することが記載されているといえる。
以上から、願書に添付した明細書及び図面には、「前記エンコーダのプロセッサが、現在のピクチャにおける現在のブロックの予測情報を決定し、前記予測情報を含むコーディングされたビデオ・ビットストリームをデコーダに送信する」ことが記載されているから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)のとおり、訂正事項6は、明瞭でない記載を明瞭な記載に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
5 別の訂正単位とする求めについて
本件訂正審判の請求人は、訂正後の請求項5及び6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めており、本件訂正後の請求項5及び6は、請求項3及び4とは別の訂正単位として扱う。
本件訂正審判の請求人は、訂正後の請求項11及び12については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めており、本件訂正後の請求項11及び12は、請求項9及び10とは別の訂正単位として扱う。
本件訂正審判の請求人は、訂正後の請求項13、14、17及び18については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めており、本件訂正後の請求項13、14、17及び18は、請求項15及び16とは別の訂正単位として扱う。
第4 まとめ
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1、4及び7による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2、5、6及び8による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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