特許訂正審判
2025-390052
シリカ系粒子ならびに該粒子の用途
- 審判番号
- 2025-390052
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-058454
- 登録番号
- 5940188
- 請求日
- 2025年04月23日
- 審決日
- 2025年07月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日揮触媒化成株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 尚之
- 審判官 増山 淳子
- 審判官 塩谷 領大
- 分類
- P141 .852-Y (C01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5940188号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5940188号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許5940188号(以下「本件特許」という。)は、平成23年 5月10日(優先権主張 平成22年 5月11日)を出願日とする特願2011-104936号の一部を平成27年 3月20日に新たな特許出願として分割したものであって、平成28年 5月27日にその特許権の設定登録がされ、令和 7年 4月23日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容(訂正事項)は、次のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】に「空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり」と記載されているのを、「空洞の空隙率が20~95体積%の範囲にあり」に訂正する(以下、「本件訂正事項1」という。)。
2 訂正事項2
明細書の【0014】及び【0040】に「空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり」と記載されているのを、それぞれ「空洞の空隙率が20~95体積%の範囲にあり」に訂正する(以下、「本件訂正事項2」という。)。
第4 当審の判断
1 本件訂正事項1、2について
(1)訂正の目的について
ア 本件特許の願書に添付された明細書及び特許請求の範囲(以下、それぞれ、「本件特許明細書」及び「本件特許請求の範囲」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【請求項1】
平均粒子径が0.1~200μmの範囲にあり、外殻シリカ層の内部に空洞を有するシリカ系バルーン粒子であって、該空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり、外殻シリカ層が非孔質であり、空洞内部が負圧であることを特徴とするシリカ系粒子。」
「【0012】
本発明のシリカ系粒子の製造方法は、平均粒子径が0.1~200μmの範囲にあるシリカ系粒子を製造することが好ましい。
前記噴霧乾燥における入口温度が150~300℃の範囲にあり、出口温度が40~120℃の範囲にあり、得られるシリカ系粒子の空隙率が20体積%未満であることが好ましい。
・・・
【0013】
前記噴霧乾燥における入口温度が300~600℃の範囲にあり、出口温度が120~300℃の範囲にあり、得られるシリカ系粒子が外殻シリカ層を有し、外殻内部の空隙率が20~95体積%の範囲にあることが好ましい。
・・・
【0014】
前記工程(c)における乾燥・加熱処理を減圧下で行い、得られるシリカ系粒子の外殻層内部が負圧であることが好ましい。
本発明のシリカ系微粒子は、平均粒子径が0.1~200μmの範囲にあり、外殻シリカ層の内部に空洞を有し、該空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり、外殻シリカ層が非孔質であり、空洞内部が負圧であることを特徴とする。」
「【0036】
[シリカ系粒子]
本発明に係る中実のシリカ系粒子(第1の態様)は、内部に実質的に空洞を有しておらず、空隙率が20体積%未満であることが好ましい。
ここで、空隙率は、粒子のTEM写真を測定し、50個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として平均粒子径を測定し、次に、粒子を1/2に破断し、50個の破断切片について空洞部の直径を測定して空洞部の平均直径を求め、計算により空洞部の平均空洞体積率を求める。なお、空洞部は球状である。さらに、空隙率には多孔質部分の細孔容積は含まない。
空隙率が20体積%を越えると、外殻部が少なくなり、外殻部が有用な用途、例えば吸着剤、吸油剤等に用いた場合に吸着量、吸油量が不充分となる場合がある。
【0037】
本発明に係る中空のシリカ系粒子(第2の態様)は、内部に空洞を有し、粒子の空隙率が20~95体積%、さらには25~90体積%の範囲にあることが好ましい。
空隙率が20体積%未満の場合は、屈折率が充分に低くならず、断熱材として用いても充分な断熱効果が得られない場合がある。
前記シリカ系粒子の空隙率が95体積%を越えるものは得ることが困難であり、得られたとしても粒子径によっては殻が薄くなり、粒子強度が不充分となる場合がある。
・・・
【0040】
従って、上記減圧下で乾燥・加熱処理して得られるシリカ系粒子は、平均粒子径が0.1~200μmの範囲にあり、外殻シリカ層の内部に空洞を有し、該空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり、外殻シリカ層が非孔質であり、空洞内部が負圧であることを特徴としている。」
「【0071】
【表2】
[図:0001427893000001.jpg]
」
イ 本件特許請求の範囲及び本件特許明細書中において、空隙率は、上記アの本件特許明細書の【0012】、【0013】、【0036】、【0037】、【0071】【表2】によれば、「体積%」で表されるものであることが記載されており、上記アの本件特許請求の範囲の請求項1、本件特許明細書の【0014】、【0040】によれば、「重量%」で表されるものであることが記載されている。
そうすると、空隙率は、「体積%」か「重量%」のいずれかで表されるものであり、「体積%」、「重量%」のいずれか一方が正しく、いずれか他方が誤りであることは明らかである。
そして、上記アの【0036】によれば、本件特許明細書には、本件発明において「空隙率」とは、TEM写真から、シリカ系粒子の粒子径と空洞部の直径を測定し、その粒子径と空洞部の直径から計算によって求められた、空洞部の「平均空洞体積率」であること、すなわち、本件発明の「空隙率」とは、空洞の「体積」に基づく割合であることが記載されているといえるから、空隙率は、「体積%」で表されるものが正しく、「重量%」で表されるものが誤りであることがわかる。
ウ よって、本件特許明細書の【0014】、【0030】及び本件特許請求の範囲の【請求項1】の記載において、「空洞の空隙率が20~95重量%の範囲にあり」との記載が「空洞の空隙率が20~95体積%の範囲にあり」の誤記であることは明白である。
したがって、本件訂正事項1、2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項について
本件訂正事項1及び2は、単に、明白な誤記である「重量%」を、本来の意味である「体積%」に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の存否について
本件訂正事項1及び2は、単なる誤記の訂正にすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、本件訂正事項1及び2は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件の充足について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明は拒絶理由を発見しないとして特許されたものであり、また、上記(1)で指摘したとおり、本件訂正事項1、2は、本件特許請求の範囲及び本件特許明細書における明白な誤記を訂正するものであり、審査の経緯を踏まえて改めて拒絶理由を検討しても、審査の結果に影響を与えるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明も、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、本件訂正事項1及び2は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項から第7項までの規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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