特許訂正審判
2025-390036
アンチセンス送達のための細胞透過性ペプチド
- 審判番号
- 2025-390036
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-521453
- 登録番号
- 7320500
- 請求日
- 2025年03月28日
- 審決日
- 2025年05月23日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 【請求人】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 審判長/審判官
- 審判長 原田 隆興
- 審判官 川口 裕美子
- 審判官 田中 耕一郎
- 分類
- P141 .852-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7320500号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7320500号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第7320500号(以下「本件特許」という。)についての出願は、2018年10月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2017年10月17日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、その請求項1~20に係る発明について令和5年7月26日に特許権の設定登録がされ、その後、令和7年3月28日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1.請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2.訂正の内容
訂正の内容は、以下のとおりである(合議体注:下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載される「Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)であり、
tは、5~27であり、
Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、またはRQVTIWFQNRRVKEKKであ であり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、 -C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され」を、
「Lは、(J)tのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)であり、
(J)tは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、またはRQVTIWFQNRRVKEKKであり、
Gは、(J)tのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、 -C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に記載される「J」を、「(J)t」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 願書に添付された特許請求の範囲の記載
願書に添付された特許請求の範囲の請求項1には、以下に示す事項が記載されている。
「【請求項1】
式(I)のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化35】
[図:0001426771000001.jpg]
または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
A’は、-NHCH2C(O)NH2、-N(C1~6-アルキル)CH2C(O)NH2、
【化36】
[図:0001426771000002.jpg]
から選択され、式中、
R5は、-C(O)(O-アルキル)x-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C2~6-アルキルであるか、またはR5は、-C(O)C1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1~6-アルキル)R6、-(C1~6-へテロアルキル)-R6、アリール-R6、ヘテロアリール-R6、-C(O)O-(C1~6-アルキル)-R6、-C(O)O-アリール-R6、-C(O)O-ヘテロアリール-R6、および
【化37】
[図:0001426771000003.jpg]
から選択され、
式中、R6は、OH、SHおよびNH2から選択されるか、またはR6は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各R1は、OHおよび-NR3R4から独立して選択され、各R3およびR4は、各出現において独立して、-C1~6-アルキルであり、
各R2は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、前記核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンまたはデアザ-プリンから選択されるC3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化38】
[図:0001426771000004.jpg]
から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CH2)6C(O)-または-C(O)(CH2)2S2(CH2)2C(O)-であり、
R7は、-(CH2)2OC(O)N(R8)2であり、R8は、-(CH2)6NHC(=NH)NH2であり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)であり、
tは、5~27であり、
Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、またはRQVTIWFQNRRVKEKKであ
であり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、
-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
ここで、下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化39】
[図:0001426771000005.jpg]
であるか、または2)E’は、
【化40】
[図:0001426771000006.jpg]
である、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩。」
イ 本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下「発明の詳細な説明」という。)の記載
上記【化37】~【化40】における置換基Lと置換基Gとの間にある置換基(J)tについて、発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。下線は合議体が付した。
「【0005】
したがって、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化1】
[図:0001426771000007.jpg]
または薬学的に許容されるその塩
[式中、A’は、
【化2】
[図:0001426771000008.jpg]
であるか、またはE’は、
【化3】
[図:0001426771000009.jpg]
であり、
式中、Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
tは、5~27であり、
少なくとも1つのJは、アルギニンである]
が、本明細書において提供される。」
「【0052】
故に、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化9】
[図:0001426771000010.jpg]
または薬学的に許容されるその塩が、本明細書において提供され、式中、
A’は、-NHCH2C(O)NH2、-N(C1~6-アルキル)CH2C(O)NH2、
【化10】
[図:0001426771000011.jpg]
から選択され、式中、
R5は、-C(O)(O-アルキル)x-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C2~6-アルキルであるか、またはR5は、-C(O)C1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1~6-アルキル)R6、-(C1~6-へテロアルキル)-R6、アリール-R6、ヘテロアリール-R6、-C(O)O-(C1~6-アルキル)-R6、-C(O)O-アリール-R6、-C(O)O-ヘテロアリール-R6、および
【化11】
[図:0001426771000012.jpg]
から選択され、
式中、R6は、OH、SHおよびNH2から選択されるか、またはR6は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各R1は、OHおよび-NR3R4から独立して選択され、各R3およびR4は、各出現において独立して、-C1~6-アルキルであり、
各R2は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化12】
[図:0001426771000013.jpg]
から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CH2)6C(O)-または-C(O)(CH2)2S2(CH2)2C(O)-であり、
R7は、-(CH2)2OC(O)N(R8)2であり、R8は、-(CH2)6NHC(=NH)NH2であり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)であり、
tは、5~27であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
少なくとも1つのJは、アルギニンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、
-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化13】
[図:0001426771000014.jpg]
であるか、または2)E’は、
【化14】
[図:0001426771000015.jpg]
である。」
「【0046】
用語「細胞透過性ペプチド」および「CPP」は、交換可能に使用され、輸送ペプチド、担体ペプチドまたはペプチド形質導入ドメインとも称される、カチオン性細胞透過性ペプチドを指す。本明細書において提供されるペプチドは、所与の細胞培養集団の細胞の100%以内で細胞透過を誘導する能力を有し、複数の組織内における巨大分子トランスロケーションを、全身投与時にin vivoで可能にする。種々の実施形態では、本開示のCPP実施形態は、さらに以下で記載する通り、アルギニンリッチペプチドを含んでよい。」
「【0064】
式I、IaおよびIbのある実施形態では、各Jは、グリシン、アラニン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アルギニンおよびトレオニンから独立して選択される。
【0065】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、アルギニン、リシンおよびグルタミンから独立して選択される。
【0066】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、グルタミン、プロリン、リシン、アルギニンおよびバリンから独立して選択される。
【0067】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、アルギニン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニンおよびグリシンから独立して選択される。
【0068】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各Jは、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、セリン、リシンおよびロイシンから独立して選択される。
【0069】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各Jは、アラニン、ロイシン、トリプトファン、リシン、トレオニン、バリン、プロリンおよびアルギニンから独立して選択される。」
「【0088】
本開示の代表的なペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、数ある中でも、下記の構造のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化24】
[図:0001426771000016.jpg]
または薬学的に許容されるその塩[式中、
Gは、Hまたは-C(O)CH3であり、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、
R2は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基であり、
zは、8~40であり、
CPPは、各出現において独立して、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、RLRWR、PPRPPRPPRPPRPPR、CAYHRLRRC、SRRARRSPRHLGSG、PPRPPRPPRPPR、NAKTRRHERRRKLAIER、VKRGLKLRHVRPRVTRMDV、LYKKGPAKKGRPPLRGWFH、TAKTRYKARRAELIAERR、KGTYKKKLMRIPLKGT、PPRPPRPPR、RASKRDGSWVKKLHRILE、TRSSRAGLQWPVGRVHRLLRK、FKIYDKKVRTRVVKH、VRLPPPVRLPPPVRLPPP、GPFHFYQFLFPPV、PLILLRLLRGQF、YTAIAWVKAFIRKLRK、KETWWETWWTEWSQPKKRKV、LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK、VDKGSYLPRPTPPRPIYNRN、MDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN、GSPWGLQHHPPRT、KLALKALKALKAALKLA、IPALK、VPALR、LLIILRRRIRKQAHAHSK、IAWVKAFIRKLRKGPLG、AAVLLPVLLAAPVQRKRQKLP、TSPLNIHNGQKL、VPTLK、またはVSALKから選択される]
を含む。」
「【0112】
故に、一態様では、式IIIのペプチド:
【化32】
[図:0001426771000017.jpg]
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
tは、5~27であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
少なくとも1つのJは、アルギニンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、
-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
Lは、固体支持体に共有結合的に連結していてよい-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)である]
が、本明細書において提供される。
【0113】
ある実施形態では、各Jは、グリシン、アラニン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アルギニンおよびトレオニンから独立して選択される。
【0114】
別の実施形態では、各Jは、アルギニン、リシンおよびグルタミンから独立して選択される。
【0115】
別の実施形態では、各Jは、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、グルタミン、プロリン、リシン、アルギニンおよびバリンから独立して選択される。
【0116】
別の実施形態では、各Jは、アルギニン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニンおよびグリシンから独立して選択される。
【0117】
また別の実施形態では、各Jは、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、セリン、リシンおよびロイシンから独立して選択される。
【0118】
さらに別の実施形態では、各Jは、アラニン、ロイシン、トリプトファン、リシン、トレオニン、バリン、プロリンおよびアルギニンから独立して選択される。」
「【0158】
実施例1のプロトコールを使用して、表2のペプチドを合成した。
【表2-1】
[図:0001426771000018.jpg]
【表2-2】
[図:0001426771000019.jpg]
【表2-3】
[図:0001426771000020.jpg]
【表2-4】
[図:0001426771000021.jpg]
」
ウ 判断
上記イによれば、発明の詳細な説明には、請求項1に記載された置換基(J)tについて、「J」は1つのアミノ酸を表す記号として、「t」はJの数を表す記号として、それぞれ用いられている(【0005】、【0052】、【0064】~【0069】、【0112】~【0118】)。
しかしながら、請求項1には、「J」がRRRRRRRR等であること、すなわち2以上のアミノ酸からなるペプチドを表す記号として記載されているから、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載と整合していないものである。
そして、請求項1に記載された置換基(J)tは、請求項1に列挙される選択肢の中で最も短いRRRRRRRR(8アミノ酸)を選択し、これがtの範囲の最小値である5個連結された、最も短いものとなる場合でさえ、40アミノ酸を有することになり、実施例(【0158】の表2)の最長のペプチド(GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV:27アミノ酸)をも超えてしまい、この点でも発明の詳細な説明の記載と整合しないものである。
一方、発明の詳細な説明には、【化24】で表される化学構造式で表されるペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、代表的なものとして記載されており、【化24】における置換基CPPは「RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、・・・から選択される」ことが記載されている(【0088】)。
また、置換基CPPについて、発明の詳細な説明には、「用語「細胞透過性ペプチド」および「CPP」は、交換可能に使用され、輸送ペプチド、担体ペプチドまたはペプチド形質導入ドメインとも称される、カチオン性細胞透過性ペプチドを指す。」と記載されている(【0046】)。
ここで、【化24】における置換基「
[図:0001426771000022.jpg]
」は、その構造からみて、請求項1に記載された置換基Lである「-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)」に相当するものであるから、【化24】における置換基Gと置換基Lとの間に存在する置換基「CPP」は、請求項1に記載された「(J)t」に相当するものであるといえる。
そうすると、上記のとおり、「J」は1つのアミノ酸を表す記号として、「t」はJの数を表す記号として、それぞれ用いられることが相当であることも踏まえると、訂正前の請求項1に記載された置換基(J)tについての「tは、5~27であり、Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、またはRQVTIWFQNRRVKEKK」であるという記載は、
「(J)tは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、またはRQVTIWFQNRRVKEKK」の誤りであることが明らかである。
また、訂正前の請求項1に記載された「であであり」は、日本語として「であり」の誤りであることは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)翻訳文等(下記合議体注参照)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で説示したとおり、訂正事項1は、誤記を訂正するものであるから、翻訳文等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(合議体注:
上記「翻訳文等」とは、「国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)」を意味する。)
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で説示したとおり、訂正事項1は、誤記を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、請求項7に記載される「J」を、「(J)t」に訂正するものであるから、上記1(1)で説示したのと同様に、明らかな誤記を訂正するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)翻訳文等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で説示したとおり、訂正事項2は、誤記を訂正するものであるから、翻訳文等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で説示したとおり、訂正事項2は、誤記を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 訂正事項1及び2についての独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1~20に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせないから、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定される要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-390036