特許拒絶査定不服審判
2025-016554
遊技機
- 審判番号
- 2025-016554
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2024-207079外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年10月17日
- 審決日
- 2026年02月03日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第50条、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2024-207079「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 2月14日出願公開、特開2025- 23070〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年11月28日の出願であって、令和7年6月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月16日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月29日付け(送達日:同年10月7日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年12月3日に上申書が提出されたものである。
第2 令和7年10月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:令和7年7月16日に提出された手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
表示手段と、
当否抽選を行う当否抽選手段と、
前記表示手段に表示される装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動演出を実行する演出実行手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
を備え、
前記変動演出中において、遊技者に対し前記操作手段の操作が促されていない状態で特定期間が設定されることがあり、
前記特定期間にて一回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として特定画像が表示され、
前記特定期間にて前記特定画像が表示された後、当該特定期間にて二回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうることを特徴とする遊技機。
ただし、前記特定画像および前記別画像は、前記特定期間ではない非特定期間において前記操作手段の単発操作がなされても表示されることはない。」
から、
(補正後:令和7年10月17日に提出された手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
A 表示手段と、
B 当否抽選を行う当否抽選手段と、
C 前記表示手段に表示される装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動演出を実行する演出実行手段と、
D 遊技者が操作可能な操作手段と、
を備え、
C1 前記変動演出中において、遊技者に対し前記操作手段の操作が促されていない状態で特定期間が設定されることがあり、
C2 前記特定期間にて一回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として特定画像が表示され、
C3 前記特定期間にて前記特定画像が表示された後、当該特定期間にて当該特定画像が表示された状態で二回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる
Eことを特徴とする遊技機。
C4 ただし、前記特定画像および前記別画像は、前記特定期間ではない非特定期間において前記操作手段の単発操作がなされても表示されることはない。」
へと補正された(下線は補正箇所を示す。なお、符号A等は分説のため当審において付し、分説されたそれぞれの発明を特定するために必要な事項を、以下「特定事項A」等という。)。
2 補正の適否について(補正目的)
上記1の本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる」「契機」となる「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」ときの状態について、本件補正前にはその特定がなかったものを、「当該特定画像が表示された状態で」あることを特定して限定する補正である。
また、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とした補正を含むものであるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
3 独立特許要件についての検討
(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正により補正された上記1に「補正後」として示したとおりのものである。
(2)引用文献1に記載された発明
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が操作可能な演出用操作手段を備えた遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作有効期間が設定されている期間中、操作ボタンのランプを点灯させないが、操作有効期間内に操作ボタンが押下されたのであれば、予告演出を実行可能としている遊技機もある(所謂、裏ボタン予告)。このような裏ボタン予告では、操作有効期間が設定されていることを報知しないことに加え、常にボタン操作が有効とされているのではなく、図柄変動ゲームの進行に合わせて操作有効期間の設定時期に制限が設けられている。つまり、遊技者に視認させたい特定の演出の実行前に予告演出を完結させるため、特定の演出の実行前に操作有効期間が設定され、特定の演出の実行前に予告演出が終了することになる。加えて、操作有効期間が極めて短い期間であったとすると、その期間の短さや操作有効期間の報知が行われないことによって、遊技者が操作有効期間内にボタン操作できる確率が低くなる。これにより、遊技者が闇雲にボタンを操作したとしても、その操作を反映して予告演出が行われないことの方が多くなるため、遊技への参加意欲が低下してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボタン操作が反映される機会を増やすことで、遊技への参加意欲を向上させることができる遊技機を提供することにある。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1~図8に従って説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する予告実行手段としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(飾図又は演出図柄とも示す)を用いて行われる。また、演出表示装置11の左下には、7セグメント型の特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、複数種類の特別図柄(特図)を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特図は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。」
(ウ)「【0020】
次に、パチンコ遊技機の制御構成を図2に従って説明する。
パチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板31と演出表示制御基板32が装着されている。
【0021】
サブ統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板32を制御する。また、演出表示制御基板32は、主制御基板30とサブ統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置11の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。
・・・
【0024】
また、主制御用ROM30bには、メイン制御プログラムや複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄変動ゲームが開始してから図柄変動ゲームが終了するまでの間の演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンであって、図柄変動ゲームの演出内容及び演出時間(変動時間)を特定し得る。そして、変動パターンは、大当り変動用、はずれリーチ変動用及びはずれ変動用からなる変動内容毎に分類されている。
【0025】
大当り変動は、大当り抽選に当選した場合に行われる変動である。そして、大当り変動では、特図による図柄変動ゲームにおいて最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。一方、大当り変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。
【0026】
はずれリーチ変動は、大当り抽選に当選せずに、リーチ抽選に当選した場合に行われ、特図による図柄変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれリーチ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。
【0027】
はずれ変動は、大当り抽選及びリーチ抽選の何れにも当選しなかった場合に行われ、特図による図柄変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経ないで、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。なお、特図による図柄変動ゲームでは、特図の変動が開始されると、リーチ演出を行うことなく、変動時間の経過時まで特図の変動が継続される。そして、大当り変動用、はずれリーチ変動用及びはずれ変動用の変動パターンは、それぞれ複数種類あり、何れかが選択される。」
(エ)「【0033】
また、統括制御用CPU31aには、押しボタン式の操作ボタンBTが接続されている。この操作ボタンBTは、パチンコ遊技機において、例えば、遊技球を貯留するための球皿ユニットの上面など、遊技者が遊技を行いながら操作可能な位置に配設されている。そして、統括制御用CPU31aは、操作ボタンBTが操作された際に出力する操作信号を入力することで、操作ボタンBTが操作されたことを認識する。また、操作ボタンBTには、当該操作ボタンBTの操作が有効とされる操作有効期間中に点灯する発光部材(LEDなど)が内蔵されている。このため、発光部材が点灯することにより、操作ボタンBTが点灯する。この発光部材は、発光部材を搭載した発光部材用の基板を介してサブ統括制御基板31に接続されており、統括制御用CPU31aの指示により、点灯及び消灯する。本実施形態では、操作ボタンBTが、遊技者が操作可能な演出用操作手段となる。」
(オ)「【0041】
そして、主制御用CPU30aは、大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、当該大当り判定値と一致するか否かの大当り判定をする。大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、大当り変動となる図柄変動ゲームを実行させるための大当り変動処理を実行する。大当り変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図として大当り図柄を決定するとともに、大当り変動用の変動パターンを決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。」
(カ)「【0049】
このように構成された本実施形態のパチンコ遊技機では、演出表示装置11にて表示される図柄変動ゲームで大当り結果が導出される可能性、すなわち大当り期待度を示唆する予告演出が実行される。この予告演出は、振り物予告と、表ボタン予告と、裏ボタン予告の3種類に大別することができる。なお、本実施形態における「示唆」とは、大当り抽選で大当りに当選した場合と、大当り抽選で大当りに当選しなかった場合とで、同一の予告演出が出現し得る場合があることを指す。本実施形態では、「降り物予告」及び「表ボタン予告」が、通常予告演出に相当し、特に「表ボタン予告」が、報知予告演出に相当する。一方、「裏ボタン予告」が、非報知予告演出に相当する。
・・・
【0051】
次に、表ボタン予告について、図3(b),(c)に従って説明する。
表ボタン予告は、図柄変動ゲームの進行に合った特定のタイミングで操作有効期間が設定され、その操作有効期間内に操作ボタンBTが操作された場合に限って、ボタン操作直後の特定の開始タイミング(≠降り物予告の開始タイミング)で開始され、所定期間の間、演出表示装置11にて実行される予告演出である。具体的に説明すると、表ボタン予告は、リーチ形成前に表ボタン予告の操作有効期間(以下、第1操作有効期間と示す)が設定され、第1操作有効期間内にボタン操作が行われると、ボタン操作直後に開始され、リーチ形成前までに終了する。本実施形態において第1操作有効期間は、「1秒」に設定されている。
【0052】
また、本実施形態では、第1操作有効期間が設定されていることを積極的に遊技者に知らしめるために、第1操作有効期間が設定されると、操作ボタンBTの操作を促す画像としての報知画像を表示させる。本実施形態における報知画像は、図3(b)のような操作ボタンBTを模写した画像である。それとともに、第1操作有効期間が設定されると、操作ボタンBTに内蔵された発光部材を点灯させる。したがって、遊技者は、演出表示装置11に表示された画像と操作ボタンBTの点灯とによって、第1操作有効期間が設定されていることを認識する。本実施形態では、第1操作有効期間が設定されていることを演出表示装置11と操作ボタンBTにて報知するため、演出表示装置11と操作ボタンBTが、報知手段として機能する。
【0053】
そして、第1操作有効期間内に操作ボタンBTが操作されると、図3(c)に示すように、ボタン操作直後~リーチ形成前まで、2人のキャラクタが会話をしている画像を表示する内容で表ボタン予告が実行される。一方、第1操作有効期間内に操作ボタンBTが操作されなかった場合、表ボタン予告は実行されない。なお、表ボタン予告は、直接的には、キャラクタ同士の会話内容で、リーチが形成されるか否かを示唆するようになっている。ただし、大当り抽選に当選した場合、必ずリーチ演出を経て大当りの図柄組み合わせが導出されるため、表ボタン予告は、リーチが形成されるか否かを示唆することで、結果的に大当り期待度を示唆していることになる。
【0054】
次に、裏ボタン予告について、図4(a),(b)に従って説明する。
裏ボタン予告は、表ボタン予告よりも操作有効期間の設定時期に係る制限が緩い予告であって、その操作有効期間内に操作ボタンBTが操作された場合に限って、ボタン操作直後の特定の開始タイミング(≠降り物予告及び表ボタン予告の開始タイミング)で開始され、所定期間の間、演出表示装置11にて実行される予告演出である。裏ボタン予告の操作有効期間(以下、第2操作有効期間と示す)は、図柄変動ゲームの開始から所定時間(本実施形態では20秒)が経過するまでの間に設定されている。本実施形態における第2操作有効期間は、図柄変動ゲーム中にのみ設定され、大当り遊技中や、図柄変動ゲーム間に設定されるインターバル時間中、図柄変動ゲームが途切れている次回の図柄変動ゲームの開始を待機する待機状態中に設定されるものではない。
【0055】
そして、第1操作有効期間の終了条件は、ボタン操作が行われずに第1操作有効期間が経過すること、又はボタン操作が行われたこと、として設定している。これにより、表ボタン予告は、1回の操作有効期間に対して1回しか実行されない。その一方で、第2操作有効期間の終了条件は、ボタン操作が行われたか否かを問わず、第2操作有効期間が経過すること、として設定している。これにより、裏ボタン予告は、1回の操作有効期間中にボタン操作が行われた回数だけ実行されることになる。」
(キ)「【0073】
以下、予告パターン及び予告パターンに定められた予告内容について、図5に従って説明する。
本実施形態における予告パターンには、予告パターンY1~Y8で示す8種類が設定されており、各予告パターンには、ひよこHの数及びひよこHが着ているTシャツの色が対応付けられている。
【0074】
予告パターンY1には、ひよこHの数として「1」が、Tシャツの色として「白」が対応付けられている。予告パターンY2には、ひよこHの数として「1」が、Tシャツの色として「赤」が対応付けられている。予告パターンY3には、ひよこHの数として「1」が、Tシャツの色として「星柄」が対応付けられている。予告パターンY4には、ひよこHの数として「1」が、Tシャツの色として「虎柄」が対応付けられている。なお、予告パターンY5~Y8には、ひよこHの数として「3」が対応付けられているとともに、Tシャツの色としては、予告パターンY1~Y4と同一色がそれぞれ対応付けられている。
【0075】
また、図6に示す予告パターン決定テーブルでは、はずれ変動用の変動パターンP1~P3が指示されている場合、予告パターンY1又は予告パターンY2を選択可能となるように、乱数の取り得る数値が対応付けられている。これにより、リーチを伴わないはずれ変動となる場合、ひよこHは1羽しか登場せず、Tシャツの色も「白」又は「赤」の2パターンとなる。一方、はずれリーチ変動用の変動パターンP4,P5が指示されている場合、予告パターンY1,Y2,Y5,Y6のうちいずれか1つを選択可能となるように、乱数の取り得る数値が対応付けられている。これにより、リーチR1又はリーチR2の内容を伴うはずれ変動となる場合、3羽のひよこHが登場する場合があるが、Tシャツの色は、「白」又は「赤」の2パターンとなる。
【0076】
また、はずれリーチ変動用の変動パターンP6が指示されている場合、予告パターンY1~Y3,Y5~Y7のうちいずれか1つを選択可能となるように、乱数の取り得る数値が対応付けられている。これにより、リーチR3の内容を伴うはずれ変動となる場合、3羽のひよこHが登場する場合があるとともに、Tシャツの色も、「白」、「赤」、又は「星柄」の3パターンとなる。また、大当り変動用の変動パターンP7~P9が指示されている場合、予告パターンY1~Y8のうちいずれか1つを選択可能となるように、乱数の取り得る数値が対応付けられている。これにより、大当りとなる場合、リーチ演出の種類にかかわらず、3羽のひよこHが登場する場合があるとともに、Tシャツの色も、「白」、「赤」、「星柄」、又は「虎柄」の4パターンとなる。
【0077】
このような振分とすることで、登場するひよこHの数が「3羽」である場合には、リーチ以上が確定する。これにより、ひよこHの数としては、「1羽」<「3羽」の順に大当り期待度が高い内容とされている。また、Tシャツの色としては、「白」<「赤」<「星柄」<「虎柄」の順に大当り期待度が高い内容とされており、特に「虎柄」に関しては、大当り変動用の変動パターンが選択された場合のみ選択可としていることで、大当り確定を報知する内容となっている。
【0078】
そして、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間内に操作ボタンBTから操作信号を入力する度に、指示された変動パターンの種類(大当り抽選の抽選結果に基づく)に従って、図6に示すような予告パターン決定テーブルからいずれか1つの予告パターンを決定する。このとき、統括制御用CPU31aは、今回入力した操作信号が、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号であるか否かを判定する。具体的には、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間内に操作信号を入力する度に、その入力回数を統括制御用RAM31cにて+1ずつカウントするようになっている。
【0079】
そして、統括制御用RAM31cにてカウントした回数が「0(零)回」であるならば、今回入力した操作信号は、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号となる。また、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間が終了すると、統括制御用RAM31cにてカウントした値をリセットする。
・・・
【0081】
予告パターン指定コマンドを記憶した統括制御用CPU31aは、その後、操作信号の入力回数が表示制御用CPU32aの処理能力を上回らないように、操作信号を入力してもその操作を有効として判断せずに、制御コマンドも出力しない禁則時間を設定し、該禁則時間を計時する。そして、禁則時間の経過後、第2操作有効期間内に新たに操作信号を入力すると、統括制御用CPU31aは、統括制御用RAM31cにてカウントした回数が「0(零)回」であるか否かを判定する。この値が「1」以上である場合、統括制御用CPU31aは、今回入力した操作信号は、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号ではないことを認識する。
【0082】
今回入力した操作信号が、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号ではないことを認識した統括制御用CPU31aは、統括制御用RAM31cに記憶した予告パターンの種類を確認する。
【0083】
そして、統括制御用CPU31aは、確認した予告パターンよりも大当り期待度が低く設定された予告パターンを含まない予告パターン決定テーブルを特定し、該テーブルからいずれか1つの予告パターンを決定する。本実施形態では、全ての予告パターンを選択可能としたテーブル(図6参照)の他、特定の予告パターンを選択肢として含まない複数の予告パターン決定テーブルが定められている。例えば、1回目の操作に基づいて図6に示すテーブルから「予告パターンY7」を選択したのであれば、2回目の操作では、1回目の操作に基づいて選択された予告パターンY7以上の大当り期待度が設定された「予告パターンY7」と「予告パターンY8」のみを選択可能とした予告パターン決定テーブル(図示せず)から、予告パターンが選択されることになる。
【0084】
そして、統括制御用CPU31aは、予告パターン決定テーブルから選択した予告パターンを指示する予告パターン指示コマンドを演出表示制御基板32に出力する。以降、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間が終了するまで、前述の制御を繰り返し実行する。これにより、演出表示装置11では、大当り抽選の抽選結果に依存するものの、第2操作有効期間内に操作信号を入力すればするほど、裏ボタン予告の表示態様(ひよこHの数、Tシャツの柄)が遊技者にとって有利な展開へと段階的に変化し得る。
【0085】
そして、予告パターン指示コマンドを入力すると、表示制御用CPU32aは、該コマンドに従って、図4(b)などに示すように、画像表示部GHの右方から左方に向けて、Tシャツを着たひよこHが横切る画像を表示させるように演出表示装置11を制御する。なお、本実施形態では、前述したように、第2操作有効期間は、その操作有効期間内に操作信号を何回入力したとしても、第2操作有効期間として設定した時間が経過するまで、第2操作有効期間を継続して設定する。
【0086】
また、本実施形態では、禁則時間よりも、ひよこHが横切って画像表示部GHからフェードアウトするまでに要する時間を長く設定している。これにより、直前の操作に基づいて表示されていたひよこHが非表示状態となる前に、直後の操作に基づくひよこHが表示されることがあるので、画像表示部GHには、各操作に基づくひよこHが複数表示されることがある。
【0087】
また、本実施形態において統括制御用CPU31aは、第1操作有効期間内に操作信号を入力した場合、裏ボタン予告の実行にかかる各種制御コマンドを出力しないが、表ボタン予告や降り物予告が演出表示装置11にて実行中であるか否かを判定していない。これにより、演出表示装置11では、各ボタン操作毎のひよこ表示の重複が発生するとともに、裏ボタン予告としてのひよこ表示と、表ボタン予告の表示又は降り物予告の表示が、ひよこ表示と並行して表示される可能性がある。本実施形態では、演出表示装置11に予告演出を実行させる表示制御用CPU32aが、演出制御手段として機能する。
【0088】
次に、各予告演出の流れについて、図7及び図8に従って説明する。以下の説明では、表ボタン予告の実行可否抽選、及び降り物予告の実行可否抽選の両方に当選したことを前提とする。また、図7において「表ボタン」「裏ボタン」と記載している期間は、各操作有効期間を示す。
【0089】
図柄の変動が開始すると、時点a1に示すように、演出表示装置11では、全列の図柄が変動している態様の画像が表示される。また、図柄変動ゲームの開始と同時に第2操作有効期間が設定される。このとき、第2操作有効期間が設定されていることを遊技者に報知しないため、操作ボタンBTの発光部材が点灯せず、報知画像も演出表示装置11に表示されない。
【0090】
そして、第2操作有効期間中の時点a2で操作ボタンBTが操作されたとすると、その操作が有効と判定され、裏ボタン予告の実行が決定される。このとき、予告パターンY1が決定されたとすると、演出表示装置11では、「白」Tシャツを着た1匹のひよこHが、画像表示部GHを右方から左方に横切る画像が表示される。また、時点a2の操作に基づいて行われている裏ボタン予告の実行中、時点a3で操作ボタンBTが操作されたとすると、その操作が有効と判定され、再度、裏ボタン予告の実行が決定される。
【0091】
このとき、予告パターンY2が決定されたとすると、演出表示装置11では、予告パターンY2に基づいて、「赤」Tシャツを着た1匹のひよこHが、画像表示部GHを右方から左方に横切る画像が表示される。また、時点a3が、禁則期間の終了時間と一致したとすると、時点a2の操作に基づいて行われた裏ボタン予告が画像表示部GHに表示されている状態となるので、時点a3の操作に基づいて行われる裏ボタン予告は、時点a2の操作に基づいて行われる裏ボタン予告と並行して表示される。」
(ク)「【0107】
・ 実施形態では、裏ボタン予告において、操作ボタンBTの操作を有効として受け付けない禁則期間を、ひよこHが画像表示部GHを横切って非表示状態となるまでに要する時間よりも長く設定しても良い。これにより、前回の操作に基づく裏ボタン予告と今回の操作に基づく裏ボタン予告が並行して行われることがない。」
(ケ)「
[図:0001434052000001.jpg]
」
(コ)「
[図:0001434052000002.jpg]
」
イ 認定事項
引用文献1の「裏ボタン予告は、1回の操作有効期間中にボタン操作が行われた回数だけ実行されることになる。」(【0055】)、「本実施形態における予告パターンには、予告パターンY1~Y8で示す8種類が設定されており、各予告パターンには、ひよこHの数及びひよこHが着ているTシャツの色が対応付けられている。」(【0073】)、「ひよこHの数としては、「1羽」<「3羽」の順に大当り期待度が高い内容とされている。また、Tシャツの色としては、「白」<「赤」<「星柄」<「虎柄」の順に大当り期待度が高い内容とされており、」(【0077】)、「演出表示装置11では、大当り抽選の抽選結果に依存するものの、第2操作有効期間内に操作信号を入力すればするほど、裏ボタン予告の表示態様(ひよこHの数、Tシャツの柄)が遊技者にとって有利な展開へと段階的に変化し得る。」(【0084】)、「予告パターン指示コマンドを入力すると、表示制御用CPU32aは、該コマンドに従って、図4(b)などに示すように、画像表示部GHの右方から左方に向けて、Tシャツを着たひよこHが横切る画像を表示させるように演出表示装置11を制御する。」(【0085】)という記載、及び、予告パターンについて説明する図5及び図6に照らせば、
引用文献1には、第2操作有効期間内において、演出表示装置11に、1回目の操作に基づいて「予告パターンY1」が選択され、画像表示部GHの右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像が表示されるとともに、2回目の操作に基づいて「予告パターンY5」が選択され、画像表示部GHの右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た3羽のひよこHが横切る画像が表示される場合があることが記載されていると認められる(認定事項)。
ウ 引用発明
上記アの記載事項、及び、上記イの認定事項によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。なお、符号a等は本件補正発明の分説におおむね対応させて合議体が付した。
引用発明
「a パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する予告実行手段としての演出表示装置11が配設され、3列の図柄列を変動させて、飾図を用いて行われる図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示され(【0011】)、
b 主制御用CPU30aは、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力し、大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、当該大当り判定値と一致するか否かの大当り判定をするとともに(【0020】、【0041】)、
c サブ統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板32を制御し、演出表示制御基板32は、主制御基板30とサブ統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置11の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御し(【0021】)、
大当り変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的に大当り図柄を確定停止表示させ(【0025】)、はずれリーチ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させ(【0026】)、はずれ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経ないで、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させ(【0027】)、
d 統括制御用CPU31aには、押しボタン式の操作ボタンBTが接続されていて、この操作ボタンBTは、パチンコ遊技機において、遊技者が遊技を行いながら操作可能な位置に配設され(【0033】)、
c1~c4 演出表示装置11にて表示される図柄変動ゲームで大当り結果が導出される可能性、すなわち大当り期待度を示唆する予告演出が実行され、予告演出は、振り物予告と、表ボタン予告と、裏ボタン予告の3種類に大別することができ(【0049】)、
表ボタン予告は、図柄変動ゲームの進行に合った特定のタイミングで操作有効期間が設定され、その操作有効期間内に操作ボタンBTが操作された場合に限って、ボタン操作直後の特定の開始タイミング(≠降り物予告の開始タイミング)で開始され、所定期間の間、演出表示装置11にて実行される予告演出であって(【0051】)、
裏ボタン予告は、その操作有効期間内に操作ボタンBTが操作された場合に限って、ボタン操作直後の特定の開始タイミング(≠降り物予告及び表ボタン予告の開始タイミング)で開始され、所定期間の間、演出表示装置11にて実行される予告演出であって、裏ボタン予告の操作有効期間である第2操作有効期間は、図柄変動ゲーム中にのみ設定され(【0054】)、
第2操作有効期間の終了条件は、ボタン操作が行われたか否かを問わず、第2操作有効期間が経過すること、として設定することにより、裏ボタン予告は、1回の操作有効期間中にボタン操作が行われた回数だけ実行されることになり(【0055】)、
予告パターンには、予告パターンY1~Y8で示す8種類が設定されており、各予告パターンには、ひよこHの数及びひよこHが着ているTシャツの色が対応付けられていて(【0073】)、ひよこHの数としては、「1羽」<「3羽」の順に大当り期待度が高い内容とされ、また、Tシャツの色としては、「白」<「赤」<「星柄」<「虎柄」の順に大当り期待度が高い内容とされており(【0077】)、
そして、統括制御用CPU31aは、予告パターン決定テーブルから選択した予告パターンを指示する予告パターン指示コマンドを演出表示制御基板32に出力し、以降、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間が終了するまで、演出表示装置11では、大当り抽選の抽選結果に依存するものの、第2操作有効期間内に操作信号を入力すればするほど、裏ボタン予告の表示態様(ひよこHの数、Tシャツの柄)が遊技者にとって有利な展開へと段階的に変化し得るものであり(【0084】)、予告パターン指示コマンドを入力すると、表示制御用CPU32aは、該コマンドに従って、画像表示部GHの右方から左方に向けて、Tシャツを着たひよこHが横切る画像を表示させるように演出表示装置11を制御するものであり(【0085】)、
第2操作有効期間内において、演出表示装置11に、1回目の操作に基づいて「予告パターンY1」が選択され、画像表示部GHの右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像が表示されるとともに、2回目の操作に基づいて「予告パターンY5」が選択され、画像表示部GHの右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た3羽のひよこHが横切る画像が表示される場合があり(認定事項)、
統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間内に操作ボタンBTから操作信号を入力する度に、大当り抽選の抽選結果に基づき指示された変動パターンの種類に従って、予告パターン決定テーブルからいずれか1つの予告パターンを決定するとき、今回入力した操作信号が、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号であるか否かを判定し、その入力回数を統括制御用RAM31cにて+1ずつカウントするようになっていて(【0078】)、統括制御用RAM31cにてカウントした回数が「0(零)回」であるならば、今回入力した操作信号は、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号となり(【0079】)、統括制御用CPU31aは、その後、操作信号の入力回数が表示制御用CPU32aの処理能力を上回らないように、操作信号を入力してもその操作を有効として判断せずに、制御コマンドも出力しない禁則時間を設定し、該禁則時間を計時して、禁則時間の経過後、第2操作有効期間内に新たに操作信号を入力すると、統括制御用CPU31aは、統括制御用RAM31cにてカウントした回数が「0(零)回」であるか否かを判定し、この値が「1」以上である場合、統括制御用CPU31aは、今回入力した操作信号は、第2操作有効期間が設定されてから最初に入力した操作信号ではないことを認識し(【0081】)、
禁則時間よりも、ひよこHが横切って画像表示部GHからフェードアウトするまでに要する時間を長く設定することにより、直前の操作に基づいて表示されていたひよこHが非表示状態となる前に、直後の操作に基づくひよこHが表示されることがあるので、画像表示部GHには、各操作に基づくひよこHが複数表示されることがある一方(【0086】)、
裏ボタン予告において、操作ボタンBTの操作を有効として受け付けない禁則期間を、ひよこHが画像表示部GHを横切って非表示状態となるまでに要する時間よりも長く設定することにより、前回の操作に基づく裏ボタン予告と今回の操作に基づく裏ボタン予告が並行して行われることがない(【0107】)
e パチンコ遊技機(【0011】)。」
(3)対比・判断
分説にしたがい、本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 特定事項A~C、D、Eについて
引用発明の「演出表示装置11」は、本件補正発明の「表示手段」に相当し、引用発明の「大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、当該大当り判定値と一致するか否かの大当り判定をする」ことは、本件補正発明の「当否抽選を行う」ことに相当し、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本件補正発明の「当否抽選手段」に相当する機能を有する。
引用発明の「飾図」は、本件補正発明の「装飾図柄」に相当し、引用発明の「大当り変動では、」「リーチ演出を経て、最終的に大当り図柄を確定停止表示させ」、「はずれリーチ変動では、」「リーチ演出を経て、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させ」、「はずれ変動では、」「リーチ演出を経ないで、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させ」る「図柄変動ゲーム」は、本件補正発明の「変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動演出」に相当し、引用発明の「サブ統括制御基板31」及び「演出表示制御基板32」は、本件補正発明の「演出実行手段」に相当する機能を有する。
また、引用発明の「操作ボタンBT」は、本件補正発明の「操作手段」に相当し、引用発明の操作ボタンBTが「遊技者が遊技を行いながら操作可能な位置に配設され」ていることは、本件補正発明の操作手段が「遊技者が操作可能」であることに相当し、引用発明の「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
以上の検討より、引用発明は、本件補正発明の特定事項A~C、D、Eに相当する構成を備える。
イ 特定事項C1について
引用文献1の「操作有効期間が設定されている期間中、操作ボタンのランプを点灯させないが、操作有効期間内に操作ボタンが押下されたのであれば、予告演出を実行可能としている遊技機もある(所謂、裏ボタン予告)。」(【0004】)という記載に照らせば、引用発明の「裏ボタン予告の操作有効期間である第2操作有効期間」に、「操作ボタンのランプを点灯させない」こと等よリ操作有効期間が設定されていることを遊技者に知らせないことは、本件補正発明の「遊技者に対し前記操作手段の操作が促されていない状態」に相当し、引用発明の第2操作有効期間が「図柄変動ゲーム中にのみ設定され」ることは、本件補正発明の特定期間が「前記変動演出中において」「設定されることがあ」ることに相当し、引用発明の「裏ボタン予告の操作有効期間である第2操作有効期間」は、本件補正発明の「特定期間」に相当する。
してみれば、引用発明は、本件補正発明の特定事項C1に相当する構成を備える。
ウ 特定事項C2について
上記イより、引用発明の「裏ボタン予告の操作有効期間である第2操作有効期間」が本件補正発明の「特定期間」に相当することに加え、引用発明の「1回目の操作に基づいて」いることは、本件補正発明の「一回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として」いることに相当する。
そして、引用発明の「演出表示装置11」が有する「画像表示部GH」には、「飾図を用いて行われる図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示され」るから、「1回目の操作に基づいて」、「画像表示部GH」に表示される、「図柄変動ゲーム」や「右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像」(予告パターンY1)を含む画像表示は、本件補正発明の「特定画像」に相当する。
してみれば、引用発明は、本件補正発明の特定事項C2に相当する構成を備える。
エ 特定事項C3について
(ア)引用発明では、「禁則時間よりも、ひよこHが横切って画像表示部GHからフェードアウトするまでに要する時間を長く設定」した場合には、「直前の操作に基づいて表示されていたひよこHが非表示状態となる前に、直後の操作に基づくひよこHが表示されることがあるので、画像表示部GHには、各操作に基づくひよこHが複数表示されることがある」から、当該設定がなされ、「禁則時間」が「ひよこHが横切って画像表示部GHからフェードアウトするまでに要する時間」よりも十分短い場合、「1回目の操作」がなされたことで、「画像表示部GH」に表示される「図柄変動ゲーム」や「右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像」(予告パターンY1)を含む画像表示(本件補正発明の「特定画像」に相当。)が表示されている状況、すなわち、本件補正発明の「前記特定期間にて前記特定画像が表示された後、当該特定期間にて当該特定画像が表示された状態」に相当する状況で、「2回目の操作」がなされることは想定される状況である。
(イ)引用発明の「2回目の操作に基づいて」いることは、本件補正発明の「二回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として」いることに相当する。
そして、引用発明の「2回目の操作に基づいて」、「画像表示部GH」に表示される、「図柄変動ゲーム」や「右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た3羽のひよこHが横切る画像」(予告パターンY5)を含む画像表示は、それ以前に、「1回目の操作」がなされたことで「画像表示部GH」に表示されている、「図柄変動ゲーム」や「右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像」(予告パターンY1)を含む画像表示(本件補正発明の「特定画像」に相当。)を基準とすると、それらに、「白色のTシャツを着た3羽のひよこH」が加わった新たな画像表示となるから、それ以前の画像表示とは異なったものであるとともに変化しているといえ、本件補正発明の「別画像」に相当し、引用発明は、本件補正発明の「前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる」ことに相当する構成を備えるといえる。
してみれば、引用発明は、本件補正発明の特定事項C3に相当する構成を備える。
上記の本件補正発明における「特定画像が別画像に変化する」点についての判断は、本願明細書の発明の詳細な説明とも整合する。
すなわち、特定画像26は、「対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(信頼度)を示唆する数値要素25sを含む」ものであり(【0176】)、数値要素25sそのものではなく、別画像27(図48(e)参照)は、「特定画像26と同様に数値要素25sを含む」ものであり(【0179】)、数値要素25sそのものではない。そして、別画像27は「特定画像26が変化してなるというものであるということを明確にするため、特定画像26と別画像27は共通の画像構成要素を含むものとされる」ところ(【0179】)、特定画像と別画像は、共通の画像構成要素も含み得るものである。
そうすると、引用発明において「右方から左方に向けて、白色のTシャツを着た1羽のひよこHが横切る画像」(予告パターンY1)を含む画像表示を基準とすると、それらに、「白色のTシャツを着た3羽のひよこH」が加わった「新たな画像表示」は、共通の画像構成要素を含む別の画像に変化したものといえるから、本件補正発明の「別画像」に相当するといえる。
オ 特定事項C4について
引用発明の「裏ボタン予告は、その操作有効期間内に操作ボタンBTが操作された場合に限って、ボタン操作直後の特定の開始タイミング(≠降り物予告及び表ボタン予告の開始タイミング)で開始され」、上記イより、その「操作有効期間である第2操作有効期間」が本件補正発明の「特定期間」に相当するから、引用発明の「第2操作有効期間」に該当しない期間は、本件補正発明の「前記特定期間ではない非特定期間」に相当する。
そして、引用発明では、「第2操作有効期間」に該当しない期間に操作ボタンBTが操作されても裏ボタン予告は開始されないから、引用発明は、本件補正発明の特定事項C4の「ただし、前記特定画像および前記別画像は、前記特定期間ではない非特定期間において前記操作手段の単発操作がなされても表示されることはない」ことに相当する構成を備える。
カ 小括
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、相違する点がなくすべての発明特定事項で一致し、本件補正発明は引用発明である。
また、本件補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項該3号に該当し、また、同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年7月16日に提出された手続補正書により補正された、上記「第2の1」「(補正前:令和7年7月16日に提出された手続補正書でした手続補正)」に示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、以下に再掲する。
本願発明
「【請求項1】
A 表示手段と、
B 当否抽選を行う当否抽選手段と、
C 前記表示手段に表示される装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動演出を実行する演出実行手段と、
D 遊技者が操作可能な操作手段と、
を備え、
C1 前記変動演出中において、遊技者に対し前記操作手段の操作が促されていない状態で特定期間が設定されることがあり、
C2 前記特定期間にて一回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として特定画像が表示され、
C31 前記特定期間にて前記特定画像が表示された後、当該特定期間にて二回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる
E ことを特徴とする遊技機。
C4 ただし、前記特定画像および前記別画像は、前記特定期間ではない非特定期間において前記操作手段の単発操作がなされても表示されることはない。」(なお、符号A等は分説のため当審において付し、分説されたそれぞれの発明を特定するために必要な事項を、以下「特定事項A」等という。)。
2 原査定の拒絶の理由
理由1(新規性)この出願の請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)この出願の請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1. 特開2013-126501号公報
3 引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明は、上記「第2の3(2)」に示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2の2」において検討したとおり、本件補正発明において、発明を特定するために必要な事項である「前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる」「契機」となる「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」ときの状態について、「当該特定画像が表示された状態で」ある(特定事項C3)という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」ときの状態について、より限定されたものである本件補正発明が、上記「第2の3(3)」に記載したとおり、引用発明と相違するところがないから、上記の限定を省いた本願発明と引用発明も相違するところはない。
5 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、以下の補正の概要、及び、取消事由1~3を挙げるとともに、上申書を提出し、原査定が取り消されるべきである旨主張している。
請求人の主張について検討する。
(1)補正の概要について
ア 請求人の主張
請求人は、補正の概要において次の主張をしている(下線は合議体が付した。)。
「(3)補正の概要
本審判請求と同時に請求項1を以下のように補正した。
・・・
上記補正は、発明の内容を実質的に限定するものではない。今般の補正前の段階から、「二回目の前記操作手段の単発操作がなされることを契機として前記特定画像が別画像に変化する」ことは特定されていたのであるから、「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」のは、「特定画像が表示された状態」であることは実質的に特定されていたといえる(特定画像が表示された状態でなければ、当該特定画像が別画像に変化しえない)。
・・・」
イ 合議体の判断
請求人は、本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、発明の内容を実質的に限定するものではない旨主張している。
しかし、上記「第2の2」に示したとおり、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特定画像が別画像に変化することにより前記特定画像が表示されずに前記別画像が表示された状態となる追加操作変化が発生しうる」「契機」となる「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」ときの状態について、本件補正前にはその特定がなかったものを、「当該特定画像が表示された状態で」あることを特定して限定する補正である。そして、本件補正前の「前記特定画像が別画像に変化すること」という記載は、画像の変化について、変化前は「特定画像」であったものが、変化後は「別画像」であることを特定するものであって、上記のとおり、変化の「契機」となる「二回目の前記操作手段の単発操作がなされる」ときの状態について、本件補正前にはその特定がなかった。すなわち、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正である。
また、拒絶査定不服審判の請求と同時に特許請求の範囲についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる事項を目的とするものに限られているところ、本件補正は、同法同条同項の他の各号に掲げる事項(請求項の削除(第1号)、誤記の訂正(第3号)、明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)(第4号))のいずれを目的とするものでもないことは明らかであるから、本件補正が「発明の内容を実質的に限定するものではない」という主張は、その前提において失当である。
(2)請求人が主張する取消事由1について
ア 取消事由1の概要
取消事由1は、概略、拒絶査定では、引用文献1の段落0107の記載を根拠に加え、引用発明を認定したことをもって、拒絶理由通知にて示した引用発明とは異なる引用発明によりいきなり拒絶査定とすることは、明らかに不意打ちにあたり、本件審査手続は特許法第50条の規定に反する手続違背(拒絶理由通知の懈怠)がある、というものである。
そして、請求人は、「(イ)審査における判断は、拒絶理由通知と拒絶査定とで、引例として提示される文献(特開2013-126501号公報)に相違はないのであるから、いきなり拒絶査定とすることに違法性はないとしているのかもしれないが、これは誤りである。
特許法第29条にて新規性や進歩性を否定するものとして規定されるのは「発明」であって「文献」(刊行物)ではない(新規性、進歩性を有するか否かの判断の出発点は「発明」である)のであるから、同じ文献に記載されたものであっても発明が異なれば新規性、進歩性を否定する論理は相違することになる。よって、引用発明を変更したのであれば、特許法50条の趣旨に即し、新たな拒絶理由通知が必要になることは当然である。」とも主張(以下「特許法50条の趣旨に関する主張」という。)している。
イ 合議体の判断
上記取消事由1について、原査定の拒絶の理由とした、本願発明は引用発明であり(特許法第29条第1項)、また、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(同法第29条第2項)として引用した引用文献1は、令和7年6月25日付けで通知された拒絶の理由(以下、単に「拒絶理由通知」という。)で引用されたものであって、請求人にとって新規な引用文献ではない。また、令和7年7月16日に提出された意見書には「しかし、引用発明では、時点a3では「赤Tシャツを着た1匹のひよこH」のみならず、「白Tシャツを着た1匹のひよこH」が表示された状態のまま(時点a2で表示された白Tシャツを着たひよこHが表示されたまま)です。」との意見が記載されており、請求人は、拒絶理由通知における引用発明が、上記(2)ウで認定した引用発明の「禁則時間よりも、・・・画像用事部GHには各操作に基づくひよこHが複数表示されることがある一方」との構成を含むものであることを理解し、これに対する反論の機会が与えられていたといえる。
そして、原査定においては、上記拒絶理由通知で指摘した事項に加えて、「禁則期間を、ひよこHが画像表示部GHを横切って非表示状態となるまでに要する時間よりも長く設定した場合という、」という構成を摘示して、上記(2)ウで認定した引用発明の「裏ボタン予告において、・・・前回の操作に基づく裏ボタン予告と今回の操作に基づく裏ボタン予告が並行して行われることがない」との構成をも含むものであることを認定したものである。
そして、本願においては、令和7年7月16日になされた手続補正により、特許請求の範囲が補正されたことに対応して、原査定において、上記意見書の意見を踏まえて引用文献1に記載の事項に基づき引用発明を認定したものであるから、不意打ちにあたるものではなく、また、上記主張後段の特許法50条の趣旨に関する主張は、請求人の独自の見解であって、採用することはできない。
(3)請求人が主張する取消事由2、3及び上申書の主張について
ア 請求人の主張の概要
(ア)取消事由2の概要
取消事由2は、原査定の本願発明の特定事項C31について、理由A、Bとして、概略、以下のものである。
「そして、原査定においては、拒絶理由通知にて示されなかった段落0107の記載に基づき、「「白」Tシャツを着た1匹のひよこHの画像」が(時間経過によって)非表示となる構成を有する引用発明を提示したのであるから、当該段落の記載に反し、引用発明を本願発明のようにすることは容易想到であるはずがない。」
(イ)取消事由3の概要
取消事由3は、本件補正により補正された本件補正発明の特定事項C3について、概略、以下のものである。
「そして、原査定においては、拒絶理由通知にて示されなかった段落0107の記載に基づき、「「白」Tシャツを着た1匹のひよこHの画像」が時間経過によって非表示状態となった後、「時点a3の操作」がなされて「「赤」Tシャツを着た1匹のひよこHの画像」が表示されるという引用発明を提示したのであるから、当該段落の記載に反し、引用発明を本願発明のようにすることは容易想到であるはずがない。」
(ウ)上申書の主張の概要
請求人は上申書において、特に以下の主張をしている
「(d)審判請求書と同時にした補正は発明の内容を限定するものではない(少なくとも、審判請求書にて「取消事由2」として行った主張は、審判請求書にも記載している通り、審判請求書と同時にした補正を前提とするものではない)。
そうであるにもかかわらず、今般の前置報告書において、拒絶査定とは異なる引用発明(上記「ハ」)を引用していることは、拒絶査定にて示した上記「ロ」の引用発明の存在に基づく拒絶理由は妥当性を欠くものであったことを審査官自らが認めている証左である。」
イ 合議体の判断
本願発明及び本件補正発明のいずれも、引用発明であり(特許法第29条第1項)、また、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(同法第29条第2項)とした理由は、すでに示したとおりである。
そして、独立特許要件の判断において、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由としては、本件補正発明は引用発明であり(特許法第29条第1項)、また、本件補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(同法第29条第2項)ところ、本件補正発明と引用発明との対比、及び、本願発明と引用発明との対比については、請求人に対して意見を述べる機会が付与されていたといえるから、手続の公正及び請求人の利害を害することはない。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
6 むすび
以上の検討より、本願発明と引用発明とは、相違する点がなくすべての発明特定事項で一致し、本願発明は引用発明である。
また、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、また、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-016554