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特許拒絶査定不服審判

2024-013980

遊技機

審判番号
2024-013980
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-210205外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年08月30日
審決日
2025年05月20日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-210205「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月 6日出願公開、特開2023- 94729〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年12月24日の出願であって、令和5年12月11日付けで拒絶の理由が通知され、令和6年2月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年5月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同月31日付け(謄本送達日:同年6月4日)で、同年5月2日付けの手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年8月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和6年8月30日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年8月30日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和6年2月9日にされた手続補正により補正された請求項1の記載を、以下のとおり、本件補正後の請求項1の記載に補正するものである(下線は、補正箇所を明示するために合議体が付した。)。 (本件補正前:令和6年2月9日にされた手続補正) 「【請求項1】 遊技の進行を制御する主制御部と、前記主制御部から送信される情報に基づいて演出を制御する副制御部と、を備え、 前記主制御部は、 予め設定された所定の契機で、前記副制御部に情報を送信する情報送信手段を備え、 前記副制御部は、 受信した所定の情報が異常であるか否かを判定する判定手段と、 前記所定の情報が異常ではないと判定された場合に、前記所定の情報に基づいて演出図柄の変動表示を含む所定の変動演出を実行し、前記所定の情報が異常であると判定された場合に、特定演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 前記演出実行手段は、 特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ、 前記特定演出の実行時間が経過しても前記特定の情報を受信しない場合に、前記演出図柄を遊技者が識別可能な所定の態様で表示させる遊技機。」 (本件補正後:令和6年8月30日にされた手続補正) 「【請求項1】 遊技の進行を制御する主制御部と、前記主制御部から送信される情報に基づいて演出を制御する副制御部と、を備え、 前記主制御部は、 予め設定された所定の契機で、前記副制御部に情報を送信する情報送信手段を備え、 前記副制御部は、 受信した所定の情報が異常であるか否かを判定する判定手段と、 前記所定の情報が異常ではないと判定された場合に、前記所定の情報に基づいて演出図柄の変動表示を含む所定の変動演出を実行し、前記所定の情報が異常であると判定された場合に、特定演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 前記演出実行手段は、 前記特定演出の実行時間が経過する前に、特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ、 前記特定演出の実行時間が経過しても前記特定の情報を受信しない場合に、前記演出図柄を遊技者が識別可能な所定の態様で表示させる遊技機。」 2 補正の適否 (1) 本件補正 本件補正は、本件補正前の請求項1について、発明を特定するために必要な事項である「特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ」るタイミングについて、「特定演出の実行時間が経過する前」であることを限定するものである。 (2) 補正目的 上記(1)のとおり、本件補正は、本件補正前の発明特定事項に限定を加えることを含むものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (3) 新規事項 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0559】、【0563】~【0567】、図66等の記載からみて、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 本件補正発明の独立特許要件についての検討 上記2(2)のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明を次のとおりのものと認定する(記号A~Gは、分説のため合議体が付した。)。 「A 遊技の進行を制御する主制御部と、前記主制御部から送信される情報に基づいて演出を制御する副制御部と、を備え、 B 前記主制御部は、 予め設定された所定の契機で、前記副制御部に情報を送信する情報送信手段を備え、 C 前記副制御部は、 受信した所定の情報が異常であるか否かを判定する判定手段と、 D 前記所定の情報が異常ではないと判定された場合に、前記所定の情報に基づいて演出図柄の変動表示を含む所定の変動演出を実行し、前記所定の情報が異常であると判定された場合に、特定演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 E 前記演出実行手段は、 前記特定演出の実行時間が経過する前に、特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ、 F 前記特定演出の実行時間が経過しても前記特定の情報を受信しない場合に、前記演出図柄を遊技者が識別可能な所定の態様で表示させる G 遊技機。」 (2) 引用文献1 ア 記載事項 原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-23172号公報(平成20年2月7日公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。 「【0007】 (1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行なって表示結果を導出表示する変動表示装置(変動表示装置9)を備え、該変動表示装置における前記識別情報の変動表示の表示結果が予め定められた特定表示結果(大当り表示結果)となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御される遊技機(パチンコ遊技機1)であって、 遊技の進行を制御し、前記変動表示装置を制御するためのコマンド(演出制御コマンド)を送信する遊技制御手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560)と、 該遊技制御手段からの前記コマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて前記変動表示装置を含む演出装置の制御を行なう演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータ800)とを備え、 前記遊技制御手段は、 前記識別情報の表示結果を前記特定表示結果とするか否かを当該表示結果の導出表示前に決定する事前決定手段(図21のS35)と、 該事前決定手段による決定結果に基づいて、前記識別情報の変動表示の開始時から表示結果の導出表示時までの変動表示時間を特定可能な変動パターンを決定する変動パターン決定手段(図24のS70)と、 該変動パターン決定手段により決定された変動パターンを示す変動パターンコマンド(図9の変動パターンコマンド)と、前記事前決定手段により決定された表示結果を示す表示結果コマンド(図9の図柄情報コマンド)と、前記識別情報の変動表示の表示結果を確定させることを示す確定コマンド(図9の図柄停止コマンド)とを順次送信するコマンド送信手段(図19のS108)とを含み、 前記演出制御手段は、 受信した前記変動パターンコマンドに応じた変動パターンで前記変動表示をする演出を実行し、受信した前記確定コマンドに応じたタイミングで、受信した前記表示結果コマンドに応じた表示結果を導出表示する演出を実行する変動表示実行手段(図32のS400~S406)を含み、 該変動表示実行手段は、使用するコマンドとして定義されていない未定義コマンド(正規のコマンドがノイズ等の影響を受けて当該コマンド以外のコマンドに変化したコマンド)および前記変動表示の表示結果を前記特定表示結果とすることを示す表示結果コマンドが受信されたとき(S498でYESと判断されてS499で変動パターンコマンド未受信フラグがセットされ、S501でYESと判断されたとき)において、前記表示結果コマンドが受信されたときに特殊変動演出(特殊変動パターンで変動表示が行なわれたときの演出)を実行し(図36のS333~S337、図34のS255)、前記確定コマンドが受信されたことに基づいて、当該特殊変動演出が実行されている状態から当該特定表示結果を導出表示させる(図38のS271,S273、図11の(c),(d)、図13~図16)。 ・・・ 【0036】 遊技者の操作により打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。 ・・・ 【0070】 遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、ランプ制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御基板80には、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、変動表示装置9での表示制御を行なう演出制御用マイクロコンピュータ800等の電気部品制御手段が搭載されている。 ・・・ 【0157】 飾り図柄の変動表示は、各種のタイマを用いて制御される。飾り図柄の変動表示を制御するために用いられるタイマには、変動時間タイマと監視タイマとが含まれる。変動時間タイマは、飾り図柄の変動表示が行なわれるときの変動表示開始時からの経過時間を変動表示時間として計時するタイマであり、変動表示における表示制御のために用いられる。変動時間タイマは、変動パターンコマンドにより指定された変動表示時間が経過するとタイムアップすることにより、変動表示において変動パターンコマンドにより指定された変動表示時間が経過したか否かを判断するために用いることができる。変動時間タイマがタイムアップしたときには、図柄停止コマンドの受信を待ち、図柄停止コマンドが受信されたときに変動表示の表示結果を導出表示させる図柄停止待ち処理が実行されることとなる。その図柄停止待ち処理が実行されているときには、変動時間タイマがタイムアップした後に、図柄停止コマンドが受信されたことに応じて、変動表示の表示結果を導出表示させる制御を行なうことが可能となる。 【0158】 また、監視タイマは、前述の図柄停止待ち処理において、飾り図柄の変動表示が行なわれるときの変動表示時間を計時するタイマであって、変動パターンコマンドにより指定された変動表示時間の経過後(変動時間タイマがタイムアップした後)、図柄停止コマンドを待つ時間を管理するために用いられる。監視タイマは、所定時間が経過するとタイムアップするが、そのときまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、その受信時に飾り図柄の変動表示が停止されて表示結果が導出表示され、一方、そのときまでに図柄停止コマンドが正しく受信されなかったときには、そのタイムアップ時に飾り図柄の変動表示が停止されて表示結果が導出表示される。 ・・・ 【0164】 変動パターンコマンドが正しく受信されなかったときに、通常時間変動モードでは、(c)に示すように、変動時間タイマのタイマ値T3として、8秒という予め定められた特殊変動パターン用の変動表示時間が設定される。このパチンコ遊技機1では、変動時間タイマがタイムアップして変動表示が監視タイマにより管理されている状態になっていなければ、前述の図柄停止待ち処理が実行されないので、たとえ図柄停止コマンドを受信しても変動表示の表示結果を導出表示する制御が行なわれない。変動パターンコマンドが正しく受信されなかったときには、演出制御用マイクロコンピュータ800側では変動パターンコマンドにより指定された変動表示時間を把握することができないので、どの変動パターンが選択されたときであっても図柄停止コマンドを受信したときに直ちに表示結果を導出表示するためには、通常時間変動モードにおける最短の変動パターンでの変動表示時間が経過するよりも前に、変動時間タイマをタイムアップさせて図柄停止待ち処理を実行状態にしておく必要がある。このため、この例では、通常時間変動モードにおいて、最短の変動パターンが10秒であるので、すべての変動パターンに対応可能とするために、タイマ値T3としては、最短の変動パターンの変動表示時間よりも短い所定時間(8秒)に設定される。 ・・・ 【0167】 また、(c),(d)に示すように、特殊変動パターンの変動表示時間の範囲は、一般変動パターンの変動表示時間の範囲に合せられる。具体的に、通常時間変動モードでの一般変動パターンの変動表示の最長時間は(a)に示すように26秒間であるので、(c)に示すように、通常時間変動モードでの特殊変動パターンの変動表示の最長時間が26秒間となるように、通常時間変動モードでの特殊変動パターン用の監視タイマのタイマ値T4は、18秒という予め定められた特殊変動用タイマ値が設定される。このように、前述した変動時間タイマのタイマ値T3(8秒)と監視タイマのタイマ値T4(18秒)との組合せにより、通常時間変動モードでの特殊変動パターンでは、変動表示開始後8秒間~26秒間の範囲内が図柄停止コマンドの受信に応じた表示結果の導出表示可能な制御タイミングとなり、一般変動パターンでの変動表示と同じ10秒間~26秒間での範囲内の変動表示時間で変動表示を実行することが可能となる。 ・・・ 【0169】 特殊変動パターンは、予め定められた複数種類の特殊変動パターンのうちからランダムに選択された特殊変動パターンが実行される。特殊変動パターンには、通常時間変動モードおよび短縮時間変動モードのそれぞれについて、第1の特殊変動パターンと第2の特殊変動パターンとを含む。(c),(d)のそれぞれにおいては、第1の特殊変動パターンの制御タイミングと、第2の特殊変動パターンの制御タイミングとが並べて示されている。前述したように、特殊変動演出は、特殊変動パターン、すなわち第1の特殊変動パターンまたは第2の特殊変動パターンで変動表示が行なわれたときの演出をいう。 ・・・ 【0186】 図15は、特殊変動パターンのうち第2の特殊変動パターンでの変動表示の第1の表示例を示す表示画面図である。図15においては、(a)~(e)に一連で、大当り表示結果となるときの演出表示が示される。本実施の形態においては、第2の特殊変動パターンとして、複数種類の変動パターンが設けられており、ここでは、第1の表示例として、爆弾を用いて飾り図柄を隠蔽する演出表示を行なう例を説明する。 【0187】 図15の(a)には、前回の変動表示において導出表示された飾り図柄の表示結果が示されている。そして、新たな変動表示を開始させるために、図に示すように、遊技制御用マイクロコンピュータ560により、変動パターンコマンドが送信された後、図柄情報コマンドが送信されるが、演出制御用マイクロコンピュータ800により変動パターンコマンドが正しく受信されなかったとき(図中×印)には、図15の(b),(c)に示すように、図柄情報コマンドが受信された時点で、特殊変動表示が開始される。図15の(c),(d)に示すように、第2の特殊変動パターンでの特殊変動表示は、変動表示の開始時から表示結果の導出表示時まで継続して行なわれる。 【0188】 この場合の特殊変動表示では、図15の(c)に示すように、爆弾907が爆発し、図15の(d)に示すように、爆発に伴う煙908により飾り図柄91,92,93を隠蔽する画像を表示することにより、変動中の図柄を遊技者が特定できない態様とする演出表示が行なわれる。そして、図柄停止コマンドを受信したとき、または、特殊変動パターン用のタイマ値がセットされた監視タイマがタイムアップしたときに、図15の(e)に示すように表示結果が導出表示される。図15の場合には、表示結果の一例として大当り表示結果が導出表示されたときが示されているが、図柄情報コマンドがはずれ表示結果となることを示しているときには、表示結果として、はずれ表示結果が導出表示される。表示結果が導出表示されるときには、煙908により変動表示中の飾り図柄が隠蔽されているので、表示結果が導出表示されるときに、導出表示された図柄に対して遊技者が違和感を持たないようにすることができる。 ・・・ 【0219】 次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動に同期する飾り図柄に関するコマンドを含む各種演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行なう(飾り図柄コマンド制御処理:S108)。なお、飾り図柄の変動が特別図柄の変動に同期するとは、変動時間(変動表示期間)が同じであることを意味する。 ・・・ 【0292】 次に、演出制御用マイクロコンピュータ800の動作を説明する。図30は、演出制御用マイクロコンピュータ800が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。 【0293】 演出制御メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔を決めるためのタイマの初期設定等を行なうための初期化処理を行なう(S201)。初期化処理が終了すると、演出制御用マイクロコンピュータ800は、タイマ割込フラグの監視を行なう(S202)。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用マイクロコンピュータ800は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグの値として「1」をセットする。S202において、タイマ割込フラグの値として「1」がセットされていたら、演出制御用マイクロコンピュータ800は、タイマ割込フラグの値をクリアし(S203)、以下の演出制御処理を実行する。 【0294】 タイマ割込は、たとえば33msecごとに発生する。すなわち、演出制御処理は、たとえば33msecごとに起動される。また、この実施の形態におけるタイマ割込処理では、タイマ割込フラグの値として「1」をセットする処理のみがなされ、具体的な演出制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で演出制御処理を実行してもよい。 【0295】 演出制御処理においては、まず、電源断信号が出力されたか否かを監視する電源断処理を実行する(S204)。次に、受信した演出制御コマンドを解析するコマンド解析処理を実行する(S205)。次いで、演出制御プロセス処理を行なう(S206)。演出制御プロセス処理の内容については、図32を用いて後述する。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応したプロセスを選択して変動表示装置9の表示制御、各種ランプの発光制御、および、スピーカ27による音の制御を含む演出制御を実行する。 【0296】 次に、所定のランダムカウンタを更新する乱数更新処理を実行する(S207)。乱数更新処理においては、たとえば、飾り図柄のはずれ図柄決定用のランダムカウンタRUー1~RUー3、および、演出内容決定用のランダムカウンタRV等の各種ランダムカウンタが更新される。その後、S202のタイマ割込フラグの確認を行なう処理に戻る。主基板31からの演出制御用のINT信号は、演出制御用マイクロコンピュータ800の割込端子に入力されている。たとえば、主基板31からのINT信号がオン状態になると、演出制御用マイクロコンピュータ800においてINT割込が発生する。そして、演出制御用マイクロコンピュータ800は、割込処理において演出制御コマンドの受信処理を実行する。演出制御コマンドの受信処理において、演出制御用マイクロコンピュータ800は、受信した演出制御コマンドデータを、RAM85に設けられたコマンド受信バッファに格納する。 【0297】 次に、図30のS205によるコマンド解析処理を説明する。図31は、コマンド解析処理を示すフローチャートである。コマンド解析処理においては、コマンド受信バッファに受信コマンドがあるか否かを判断し(S211)、受信コマンドがないときには、リターンする。一方、受信コマンドがあるときには、受信コマンドを読出す(S212)。ここで読出されたコマンドのデータは、コマンド受信バッファにおいて消去される。 ・・・ 【0309】 また、前述のS233において受信コマンドがエンディング表示コマンドではないと判断されたとき(前述したコマンド以外のその他のコマンドであるとき)には、前述した定義されていない未定義コマンドであるか否かを判断する(S236)。未定義コマンドでないと判断されたときには、当該受信コマンドが前述した予め定義されたMODEデータと、予め定義されたEXTデータとから構成されるその他のコマンドであるため、受信コマンドに対応したコマンド受信フラグをセットし(S239)、S211に戻る。すなわち、S239は、前述した変動パターンコマンド、図柄情報コマンド、保留記憶数コマンド、大当り開始コマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンド、および、エンディング表示コマンド以外の各種コマンドの受信に対応した処理をまとめて示したものである。 【0310】 一方、S236において未定義コマンドでないと判断されたときには、正規のコマンドがノイズ等の影響を受けて未定義コマンドに変化したコマンドであるため、受信したタイミングが大当り遊技中や変動表示中でなく、かつ前回図柄停止コマンドを受信してから2秒以上経過していることにより変動表示を開始することができるタイミングを示す変動開始タイミングであるか否かを判断する(S237)。すなわち、受信した未定義コマンドが、変動開始タイミングに受信する可能性が高い変動パターンコマンドまたは図柄情報コマンドがノイズ等の影響により変化したコマンドであるか否かを判断する処理が行なわれる。 ・・・ 【0312】 次に、図30のS206による演出制御プロセス処理について説明する。図32は、演出制御プロセス処理を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてS400~S406のうちのいずれかの処理を実行する。各処理において、以下のような処理が実行される。 ・・・ 【0347】 図36は、図柄変動開始処理における変動パターン決定処理(S253)を示すフローチャートである。 【0348】 変動パターン設定処理においては、まず、変動パターンコマンド未受信フラグがセットされているか否かを判断する(S329)。変動パターンコマンド未受信フラグがセットされていると判断されたときには、変動パターンコマンド未受信フラグをクリアし(S330)、後述するように変動パターンコマンドを取りこぼした場合と同様に後述するS333へ移行する。 ・・・ 【0356】 S336により選択された特殊変動パターンが図11(c)で示した第1の特殊変動パターンであった場合、S337では、変動表示開始時から一般変動表示と同じ種類の変動表示を8秒間行なった後、特殊変動表示を6秒~22秒間行なうためのデータが選択されて設定される。このように設定されたデータに基づき、図37および図38を用いて後述する図柄変動中処理および図柄停止待ち処理において、一般変動表示と同じ種類の変動表示が8秒間行なわれた後、表示結果が導出表示されるタイミングまで特殊変動表示が行なわれる。 【0357】 また、S336により選択された特殊変動パターンが図11(c)で示した第2の特殊変動パターンであった場合、S337では、特殊変動表示を10秒~26秒間行なうためのデータが選択されて設定される。このように設定されたデータに基づき、図37および図38を用いて後述する図柄変動中処理および図柄停止待ち処理において、表示結果が導出表示されるタイミングまで特殊変動表示が行なわれる。 【0358】 特殊変動パターンの場合は、図11の(c),(d)に示すように、変動時間タイマのタイマ値が特殊変動パターン用のタイマ値T3(通常時間変動の選択時は8秒、短縮時間変動の選択時は3秒)に設定され、監視タイマのタイマ値が、特殊変動パターン用のタイマ値T4(通常時間変動の選択時は18秒、短縮時間変動の選択時は8秒)に設定される。そして、変動表示が行なわれるときの変動パターンとして特殊変動パターンが選択されたことを示すフラグである特殊変動パターンフラグをセットし(S338)、S339に進む。 ・・・ 【0366】 図38は、図32の図柄停止待ち処理(S403)を示すフローチャートである。図柄停止待ち処理において、演出制御用マイクロコンピュータ800は、次のような処理を行なう。 【0367】 まず、前述の図柄停止コマンドが受信されたか否かをコマンド受信フラグに基づいて判断する(S271)。図柄停止コマンドが受信されたと判断したときは、変動結果を導出表示させるために、図柄決定処理により決定された変動表示結果となる停止図柄の組合せを停止表示させることにより表示結果を確定させる表示をさせ(S273)、後述するS274に進む。これにより、監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、そのときに飾り図柄の変動表示結果が導出表示される。一方、S271により図柄停止コマンドが受信されていないと判断したときは、前述のように図柄変動中処理において計時を開始した監視タイマがタイムアウトしたか否かを判断する(S272)。前述のように、監視タイマは、飾り図柄の変動表示の終了タイミングを監視するためのタイマである。監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、そのときに飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させる。監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないときには、監視タイマがタイムアップしたときに、飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させる。 【0368】 監視タイマがタイムアウトしていないときには、リターンする。監視タイマがタイムアウトしていないときにおいては、次のような演出制御が行なわれる。図36の変動パターン決定処理におけるS332において変動パターンが選択されていた場合には、監視タイマがタイムアウトするか図柄停止コマンドを受信するまで、図37の図柄変動中処理での演出制御において最後に用いられた演出制御実行データに基づいて、変動表示の状態、各種ランプの状態、および、音の出力状態が制御されることにより、変動表示を主体とした演出制御が進行する。これにより、図11の(a),(b)のような一般変動パターンでは、最長1秒間に亘り一般変動での変動表示が行なわれる。また、図36の変動パターン決定処理におけるS334またはS336において特殊変動パターンが選択されていた場合には、監視タイマがタイムアウトするか図柄停止コマンドを受信するまで、S337において設定されたデータに基づいて、特殊変動での変動表示が継続して行なわれる。具体的には、図11の(c)のような通常時間変動時の特殊変動パターンでは最長18秒間に亘り特殊変動での変動表示が行なわれる。また、図11の(d)のような短縮時間変動時の特殊変動パターンでは最長8秒間に亘り特殊変動での変動表示が行なわれる。 【0369】 一方、監視タイマがタイムアウトしているときには、変動結果を導出表示させるために、図柄決定処理により決定された変動表示結果となる停止図柄の組合せを停止表示させることにより表示結果を確定させる表示をさせ(S273)、後述するS274に進む。これにより、監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないときには、監視タイマがタイムアップしたときに、飾り図柄の変動表示結果が導出表示される。なお、S273で確定表示された図柄の組合せは、変動パターンコマンドまたは図柄情報コマンドの少なくとも一方を受信して新たな変動表示が開始される(デモ中や客待ち状態中を除く)か、大当り開始コマンド等を受信して大当りが開始されるまで継続して表示される。」 「 [図:0001425555000001.jpg] 」 「 [図:0001425555000002.jpg] 」 「 [図:0001425555000003.jpg] 」 「 [図:0001425555000004.jpg] 」 「 [図:0001425555000005.jpg] 」 「 [図:0001425555000006.jpg] 」 「 [図:0001425555000007.jpg] 」 イ 認定事項 【0007】には、「受信した前記表示結果コマンドに応じた表示結果を導出表示する演出を実行する変動表示実行手段(図32のS400~S406)」と記載され、図32のS401には「図柄変動開始処理」、S403には「図柄停止待ち処理」が含まれることが看取されることから、「変動表示実行手段」は、「図柄変動開始処理」及び「図柄停止待ち処理」を実行していると認められる。 そして、【0347】、【0357】、【0358】には、「図柄変動開始処理における変動パターン決定処理」において、「選択された特殊変動パターンが」「第2の特殊変動パターンであった場合」、「変動時間タイマのタイマ値が特殊変動パターン用のタイマ値」「に設定され」、「監視タイマのタイマ値が、特殊変動パターン用のタイマ値」「に設定される」と記載され、【0366】、【0367】には、「図柄停止待ち処理において」、「監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、そのときに飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させ」「監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないときには、監視タイマがタイムアップしたときに、飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させる」と記載されている。 これらを併せみると、引用文献1には、変動表示実行手段は、図柄変動開始処理及び図柄停止待ち処理を実行し、図柄変動開始処理における変動パターン決定処理において、選択された特殊変動パターンが第2の特殊変動パターンであった場合、変動時間タイマのタイマ値が特殊変動パターン用のタイマ値に設定され、監視タイマのタイマ値が、特殊変動パターン用のタイマ値に設定され、図柄停止待ち処理において、監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、そのときに飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させ、監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないときには、監視タイマがタイムアップしたときに、飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させることが記載されていると認められる(以下「認定事項」という。)。 ウ 引用発明1 上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(符号a等は、本件補正発明の符号A等に概ね対応させて合議体が付した。また、引用箇所の段落番号を併記した。以下、符号を付した事項を「構成a」等という。)。 「a 遊技の進行を制御する遊技制御手段としての遊技制御用マイクロコンピュータ560と、遊技制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて変動表示装置を含む演出装置の制御を行なう演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ800とを備え(【0007】)、 b 遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると特別図柄が変動表示を始め(【0036】)、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御コマンドを送出する処理を行い(【0219】)、演出制御用マイクロコンピュータ800は演出制御コマンドを受信し(【0070】)、 c 演出制御用マイクロコンピュータ800は、受信した演出制御コマンドを解析するコマンド解析処理を実行し、受信コマンドが定義されていない未定義コマンドであるか否かを判断し(【0292】、【0295】、【0309】)、受信した未定義コマンドが、変動パターンコマンドがノイズ等の影響により変化したコマンドであるか否かを判断する処理が行なわれ(【0310】)、 d 演出制御用マイクロコンピュータ800は、受信した変動パターンコマンドに応じた変動パターンで変動表示をする演出を実行する変動表示実行手段を含み、変動表示実行手段は、使用するコマンドとして定義されていない未定義コマンドおよび変動表示の表示結果を特定表示結果とすることを示す表示結果コマンドが受信されたときにおいて、表示結果コマンドが受信されたときに特殊変動演出としての特殊変動パターンで変動表示が行なわれたときの演出を実行し(【0007】)、特殊変動パターンは第2の特殊変動パターンを含み(【0169】)、 ef 変動表示実行手段は、図柄変動開始処理及び図柄停止待ち処理を実行し、図柄変動開始処理における変動パターン決定処理において、選択された特殊変動パターンが第2の特殊変動パターンであった場合、変動時間タイマのタイマ値が特殊変動パターン用のタイマ値に設定され、監視タイマのタイマ値が、特殊変動パターン用のタイマ値に設定され、図柄停止待ち処理において、監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたときには、そのときに飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させ、監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないときには、監視タイマがタイムアップしたときに、飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示させる(認定事項) g パチンコ遊技機1(【0007】)」 (3) 対比 分説に従い、本件補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 構成Aについて 引用発明1の「遊技の進行を制御する」こと、「遊技制御用マイクロコンピュータ560」、「遊技制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて変動表示装置を含む演出装置の制御を行なう」こと、「演出制御用マイクロコンピュータ800」は、それぞれ本件補正発明の「遊技の進行を制御する」こと、「主制御部」、「主制御部から送信される情報に基づいて演出を制御する」こと、「副制御部」に相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成Aに相当する構成を備える。 イ 構成Bについて 上記アより、引用発明1の「遊技制御用マイクロコンピュータ560」、「演出制御用マイクロコンピュータ800」は、それぞれ本件補正発明の「主制御部」、「副制御部」に相当することに加え、引用発明1の「遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出される」こと、「演出制御コマンドを送出する処理としての飾り図柄コマンド制御処理」は、それぞれ本件補正発明の「予め設定された所定の契機」、「情報送信手段」に相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備える。 ウ 構成Cについて 上記アより、引用発明1の「演出制御用マイクロコンピュータ800」は、本件補正発明の「副制御部」に相当することに加え、引用発明1の「変動パターンコマンド」、「受信コマンドが定義されていない未定義コマンドであるか否かを判断し、受信した未定義コマンドが、変動パターンコマンドがノイズ等の影響により変化したコマンドであるか否かを判断する処理」は、それぞれ本件補正発明の「所定の情報」、「所定の情報が異常であるか否かを判定する判定手段」に相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備える。 エ 構成Dについて 上記ウより、引用発明1の構成cには「受信コマンドが定義されていない未定義コマンドであるか否かを判断し、受信した未定義コマンドが、変動パターンコマンドがノイズ等の影響により変化したコマンドであるか否かを判断する処理」を実行することが記載されており、変動パターンコマンドが定義されている(異常ではないと判定された)変動パターンコマンドであれば変動パターンコマンドに応じた変動表示をする演出を実行することは自明であることから、引用発明1の「受信した変動パターンコマンドに応じた変動パターンで変動表示をする演出を実行する」ことは、本件補正発明の「前記所定の情報が異常ではないと判定された場合に、前記所定の情報に基づいて演出図柄の変動表示を含む所定の変動演出を実行」することに相当する。 そして、引用発明1の「使用するコマンドとして定義されていない未定義コマンドおよび変動表示の表示結果を特定表示結果とすることを示す表示結果コマンドが受信されたとき」、「第2の特殊変動パターン」、「変動表示実行手段」は、それぞれ本件補正発明の「前記所定の情報が異常であると判定された場合」、「特定演出」、「演出実行手段」に相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成Dに相当する構成を備える。 オ 構成E及びFについて 上記ウより、引用発明1の「変動パターンコマンド」は、本件補正発明の「所定の情報」に相当すること、上記エより、引用発明1の「第2の特殊変動パターン」、「変動表示実行手段」は、それぞれ本件補正発明の「特定演出」、「演出実行手段」に相当することに加え、監視タイマのタイマ値が特殊変動パターンの用のタイマ値に設定されているから、引用発明1の「監視タイマがタイムアップするまでに図柄停止コマンドが受信されたとき」、「監視タイマがタイムアップしたときまでに図柄停止コマンドが受信されないとき」、「飾り図柄の変動表示を停止させて表示結果を導出表示」させることは、それぞれ本件補正発明の「前記特定演出の実行時間が経過する前に、特定の情報を受信した場合」、「前記特定演出の実行時間が経過しても前記特定の情報を受信しない場合」、「前記演出図柄を停止表示」させること及び「演出図柄を遊技者が識別可能な所定の態様で表示させる」ことに相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成E及びFに相当する構成を備える。 カ 構成Gについて 引用発明1の「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明1は、本件補正発明の構成Gに相当する構成を備える。 (4) 判断 上記(3)ア~カからみて、本件補正発明と引用発明1とは相違するところがなく、本件補正発明は引用発明である。 また、本件補正発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年8月30日提出の審判請求書の「(3)本願発明と引用文献に記載された発明との対比」において、次の点について主に主張をする(下線は合議体が付した。)。 「審査官殿は、「補正却下の決定」において、・・・そして、上記したように、引用文献1では、変動時間タイマがタイムアップして変動表示が監視タイマにより管理されている状態になっていなければ、前述の図柄停止待ち処理が実行されないので、たとえ図柄停止コマンドを受信しても変動表示の表示結果を導出表示する制御が行なわれないことが記載されている(引用文献1の段落0164)。 そのため、引用文献2を引用文献1に組み合わせたとしても、せいぜい、予測変動が終了するよりも前に図柄停止コマンドを受信した場合に、変動表示の表示結果を導出表示する制御が行なわれないことが開示されるだけであって、本願の新請求項1に係る発明の「前記特定演出の実行時間が経過する前に、特定の情報(特図停止指定コマンド)を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ」る構成については、一切開示も示唆もされていないことは明らかである。 そうすると、いくら当業者といえども、本願発明に特有の構成が何ら開示されていない引用文献1、2の記載に基づいて、本願発明に容易に想到し得るとすることは極めて困難であるものと思料する。」 上記主張について検討すると、引用文献1の【0164】には続けて「どの変動パターンが選択されたときであっても図柄停止コマンドを受信したときに直ちに表示結果を導出表示するためには、通常時間変動モードにおける最短の変動パターンでの変動表示時間が経過するよりも前に、変動時間タイマをタイムアップさせて図柄停止待ち処理を実行状態にしておく必要がある。このため、この例では、通常時間変動モードにおいて、最短の変動パターンが10秒であるので、すべての変動パターンに対応可能とするために、タイマ値T3としては、最短の変動パターンの変動表示時間よりも短い所定時間(8秒)に設定される。」と記載されており、引用発明1は「監視タイマにより管理されている状態になっていれば」、「図柄停止コマンドを受信したときに直ちに表示結果を導出表示する」ものであるから、上記(3)~(4)にて検討したように、本件補正発明と引用発明1とは相違するところはなく、請求人の主張は採用できない。 そして、令和6年5月31日付け補正の却下の決定において「本願の補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるか、又は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」と判断しており、予備的に、引用文献2に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであると述べたものであって「引用文献1、2の記載に基づいて、本願発明に容易に想到し得る」との判断はしていない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (6) 小括 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 4 むすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(本件補正前:令和6年2月9日にされた手続補正)に示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、以下に再掲する。 本願発明 「A 遊技の進行を制御する主制御部と、前記主制御部から送信される情報に基づいて演出を制御する副制御部と、を備え、 B 前記主制御部は、 予め設定された所定の契機で、前記副制御部に情報を送信する情報送信手段を備え、 C 前記副制御部は、 受信した所定の情報が異常であるか否かを判定する判定手段と、 D 前記所定の情報が異常ではないと判定された場合に、前記所定の情報に基づいて演出図柄の変動表示を含む所定の変動演出を実行し、前記所定の情報が異常であると判定された場合に、特定演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 E1 前記演出実行手段は、 特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ、 F 前記特定演出の実行時間が経過しても前記特定の情報を受信しない場合に、前記演出図柄を遊技者が識別可能な所定の態様で表示させる G 遊技機。」 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。 1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2008-23172号公報 3 引用文献1の記載事項、認定事項及び引用発明1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2008-23172号公報の記載事項、認定事項及び引用発明1は、上記第2の[理由]3(2)ア~ウに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2において検討したとおり、本件補正発明において、発明を特定するために必要な事項である「特定の情報を受信した場合に、前記演出図柄を停止表示させ」るタイミングについて、「特定演出の実行時間が経過する前」という記載によって特定される限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]3(3)、(4)に記載したとおり、引用発明1であるか、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1であるか、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

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2024-013980

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