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特許異議申立

2024-701180

分離装置、および、分離装置の運転方法

審判番号
2024-701180
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-107788
登録番号
7498034
請求日
2024年12月09日
審決日
2025年03月18日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】日本碍子株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人松阪国際特許事務所
  • 【権利者代理人】松阪 正弘
  • 【権利者代理人】田中 勉
  • 【権利者代理人】井田 正道
  • 【異議申立人】鈴木 啓文
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 金 公彦
  • 審判官 宮澤 尚之
分類
P1652.113-Y (B01D) / P1652.121-Y (B01D) / P1652.537-Y (B01D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7498034号発明「分離装置、および、分離装置の運転方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7498034号の請求項1、2、4~6、11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7498034号の請求項1~11に係る特許(以下、「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。)についての出願は、令和2年6月23日(優先権主張 令和1年7月19日)に出願され、令和6年6月3日にその特許権の設定登録がされ、同年同月11日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許1、2、4~6、11に対して、令和6年12月9日に特許異議申立人鈴木啓文(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和7年2月12日に特許異議申立書に対する手続補正書(方式)が提出された。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許異議の申立てがされた本件特許1、2、4~6、11に係る本件発明1、2、4~6、11は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 分離装置であって、 多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、 前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、 前記外筒を内部に収容する外装体と、 前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する供給部と、 を備え、 前記外筒は、 前記流体のうち前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、 前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、 を備え、 前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ、 前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり、 前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備え、 前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、 前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、 前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、 前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面であることを特徴とする分離装置。 【請求項2】 請求項1に記載の分離装置であって、 前記外装空間は、前記分離膜の主面の少なくとも法線方向に存在することを特徴とする分離装置。」 「【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の分離装置であって、 前記一方の物質は前記透過物質であることを特徴とする分離装置。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の分離装置であって、 前記外筒に供給されるよりも前の前記流体を加熱する加熱部をさらに備えることを特徴とする分離装置。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の分離装置であって、 前記供給部により供給される前記流体の温度が70℃以上であることを特徴とする分離装置。」 「【請求項11】 多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、を備える分離装置の運転方法であって、 前記外筒は、 前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、 前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、 を備え、 前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ、 前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり、 前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備え、 前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、 前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、 前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、 前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面であり、 前記分離装置の運転方法は、 a)前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する工程と、 b)前記透過物質および前記不透過物質のうち前記一方の物質を、前記導入ポートを介して前記外装空間へと導入する工程と、 c)前記一方の物質を、前記ポート間空間を通過するようにして前記外装空間から排出する工程と、 を備えることを特徴とする分離装置の運転方法。」 第3 特許異議の申立てについて 1 申立ての理由の概要 申立人が主張する申立ての理由は、概略、以下のとおりである。 (1) 申立理由1(明確性要件違反) 本件特許1、2、4~6、11は、特許請求の範囲の記載が後記3(1)イの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 申立理由2(サポート要件違反) 本件特許1、2、4~6、11は、特許請求の範囲の記載が後記3(2)オ(ア)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由3(新規性、進歩性欠如) 本件発明1、2、4、11は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明1、5、6、11は、甲第1号証~甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許1、2、4~6、11は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 証拠方法 甲第1号証 特開平11-347375号公報 甲第2号証 特開2005-177535号公報 甲第3号証 1-6-2-1 対称膜と非対称膜、特許庁 平成17年度 標準技術集 水処理技術、2006年5月12日 掲載日、第74ページ 甲第4号証 特開平9-47643号公報 甲第5号証 特許第6320537号公報 2 甲各号証の記載事項について (1) 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、「中空糸膜濾過装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下、同様である。)。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸膜濾過装置に関し、さらに詳しくは、濾過に使用される中空糸の開口部が目詰まりしたとしてもこれを容易に除去することのできる構造の簡単な中空糸膜濾過装置に関する。」 イ 「【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】液体、特に水の中に存在するバクテリア、ビールス、及びその他の有機物の粒子などを除去するのに、精密濾過膜及び限外濾過膜等の中空糸膜を用いたフィルタが広く用いられてきた。」 ウ 「【0043】以下、本発明に係る中空糸膜濾過装置の一態様について、図面を用いて説明する。 1.本発明の中空糸膜濾過装置の例 本発明の中空糸膜濾過装置の一例を図4に示す。 【0044】図4の中空糸膜濾過装置は、略円柱形の形状を有する外部ケース1を備える。 【0045】図4に示すように、前記外部ケース1は、本体1bと蓋部1aとを備える。この本体1bは、一端が開口されてなり、他端が、液導出入口を有する閉鎖された端面1b2に形成されてなる。前記蓋部1aは、本体1bの一端開口部に装着され、これを覆蓋する。 【0046】前記蓋部1aは、前記外部ケース1のもう一方の端面を形成する端面1a2が一端に形成され他端が開口した略円筒状の形状を有する。前記端面1a2には、前記端面1a2に対して垂直の方向に延びる第1管路11が立設され、開口部には、外側に延びるフランジ1a1が形成されている。前記第1管路11は、後述する原水供給配管A及びドレン排出配管Bの一方に接続される。 【0047】前記本体1bにおいては、前記端面1b2に対して垂直の方向に延びる第2管路12が前記端面1b2に立設され、開口部には、外側に延びるフランジ1b1が形成されている。前記第2管路12は、原水供給配管A及びドレン排出配管Bの他方に接続される。前記本体1bの側面からは、前記本体1bの半径方向に沿って外側の方向に濾過水取出管路14が延びている。前記濾過水取出管路14は、前記本体1bと蓋部1aとによって形成される外部ケース1における端面1a2及び1b2のいずれからも等しい距離に位置している。前記濾過水取出管路14は、前記濾過水取出管路の軸線Lの回りに回動可能な水密継手13aによって、前記軸線Lに沿って延びる第3管路13に接続されている。 ・・・ 【0049】図4に示すように、前記蓋部1aの内部に設けられた、前記端面1a2に対して平行な第1隔壁2と、前記本体1bの内部における前記端面1b2の近傍に設けられた、前記端面1b2に対して平行な第2隔壁4とによって、前記外部ケース1の内部は、第1管路11を備える第1室1A、第2管路12を備える第2室1B、及び第3流路を備える第3室1Cの3つに区分されている。 ・・・ 【0052】第1隔壁2は、前記外部ケース1の内径とほぼ等しい外径を有する円板であり、後述する中空糸膜モジュール3が装着される開口部である中空糸膜モジュール取付口22が、中心部に1個、周辺部に6個設けられている。図4に示すように、中空糸膜モジュール取付口22における第3室1Cに臨む側は、中空糸膜モジュール3の端部の外径とほぼ等しい内径を有し、第1室1Aに臨む側は、前記中空糸膜モジュール3の端部の外径よりも小さな内径を有する。中空糸膜モジュール取付口22における前記第3室1Cに臨む側の部分と前記第1室1Aに臨む側の部分との間には段差が設けられている。 【0053】第2隔壁4も、前記第1隔壁2と同様に、外部ケース1の内径とほぼ等しい外径を有する円板であり、中空糸膜モジュール3が装着される開口部である中空糸膜モジュール取付口42が、中心部に1個、周辺部に6個設けられている。第1隔壁2と同様、第2隔壁4においても、中空糸膜モジュール取付口42は、第3室1Cに臨む側において中空糸膜モジュール3の端部の外径とほぼ等しい内径を有し、第2室1Bに臨む側において、前記中空糸膜モジュール3の端部の外径よりも小さな内径を有する。中空糸膜モジュール取付口42における前記第3室1Cに臨む側の部分と前記第2室1Bに臨む側の部分との間には段差が設けられている。 【0054】前記外部ケース1の内部に収容される中空糸膜モジュール3は、図5に示すように、略円筒形の形状を有する、両端の開口した中空糸膜ケース31と、この中空糸膜ケース31の内部に装填された内圧型中空糸膜32の束とを有している。中空糸膜ケース31の両端部において、前記内圧型中空糸膜32は熱硬化性樹脂によりポッティングされ、これによりポッティング部311と312とが形成されている。前記内圧型中空糸膜32の両端は開口し、開口部32aと開口部32bとが形成されている。中空糸膜ケースの側面における、ポッティング部311及び312の近傍には、それぞれ濾過水取出口31aが設けられている。 【0055】図4に示すように、中空糸膜モジュール3は、一方の端部において、第1隔壁2に設けられた中空糸膜モジュール取付口22に嵌装され、他方の端部において前記第2隔壁4に設けられた中空糸膜モジュール取付口42に嵌装される。そして、前記中空糸膜モジュール3の備える中空糸膜ケース31の一端に嵌挿されたパッキン33が、第1隔壁2における中空糸膜モジュール取付口22の内周面に密着し、前記中空糸ケース31の他端に嵌装されたパッキン34が、第2隔壁4における中空糸膜モジュール取付口42の内周面に密着する。これによって、中空糸膜モジュール3の外周面と、中空糸膜モジュール取付口22及び中空糸膜モジュール取付口42の内周面との間からの水の漏れが防止される。 ・・・ 【0057】図4の中空糸膜濾過装置を給水配管に介装した状態を図6に示す。図6において、給水配管は、上水道に接続され、前記中空糸膜濾過装置に原水を供給する原水供給配管Aと、前記中空糸膜濾過装置で濃縮された濃縮水を外部に排出するドレン排出配管Bと、マンション、アパート、及びオフィスビル等の、濾過水が供給される被給水建造物に接続される濾過水供給配管Cとを備えている。前記原水供給配管A及びドレン排出配管Bの一端には、それぞれユニオン継手A1及びB1が設けられている。前記ドレン排出配管Bにおける前記ユニオン継手B1近傍には、ドレン弁B2が介装されている。前記ドレン弁B2としては、開度が調節できる調整弁等が挙げられる。尚、前記ドレン排出配管Bは、前記濃縮液が流通する際に抵抗が生じるように形成されていれば、前記ドレン弁B2が介装された態様には限定されない。このようなドレン排出配管Bとしては、例えば前記ユニオン継手B1の近傍に絞りが形成された配管等を挙げることができる。 【0058】前記原水供給配管Aは、前記ユニオン継手A1によって第1管路11及び第2管路12の一方に接続され、前記ドレン排出配管Bは、前記ユニオン継手B1によって第1管路11及び第2管路12の他方に接続される。濾過水供給配管Cの末端にもユニオン継手C1が設けられ、前記濾過水供給配管Cは、前記ユニオン継手C1によって前記第3管路13に接続される。 【0059】図6において、(A)は、前記中空糸膜濾過装置における第2管路12が原水供給配管Aに接続され、第1管路11がドレン排出配管Bに接続された状態を示す。一方、(B)は、第1管路11が原水供給配管Aに接続され、第2管路12がドレン排出配管Bに接続された状態を示す。 【0060】図6の(A)に示された状態においては、原水は、第2管路12を通って、外部ケース1における第2室1Bに流入する。第2室1Bに流入した原水は、中空糸膜モジュール3の一端から、内圧型中空糸膜32の開口部32bを通って、内圧型中空糸膜32の内部、即ち中空部に流入する。ここで、ドレン弁B2を絞ると、前記中空糸膜濾過装置に供給される原水に圧力が加わるから、内圧型中空糸膜32の中空部に流入した原水は、内圧型中空糸膜32を透過する。前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水は、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出し、濾過水流出流路31aを通って第3室1Cへと流出する。第3室1Cに流出した濾過水は、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出する。液体が前記内圧型中空糸膜32を透過するときに、バクテリアやビールスなどの除去しようとする不純物が原水から除去されるから、前記第3流路からは、バクテリアやビールスなどの不純物が含まれない濾過水が流出する。一方、内圧型中空糸膜32の、前記開口部32bとは反対側の開口部32aからは濃縮水が排出され、前記濃縮水は、第1管路11及びドレン排出配管Bを通って外部に排出される。」 エ 「【0063】本発明の中空糸膜濾過装置に供給し得る原水としては、例えば、水道水、工業用水、及び井戸水等を挙げることができる。」 オ 「【0079】このような中空糸膜としては、例えば、主にビールスやバクテリアなどのサブμm以上の大きさの粒子を除去する精密濾過膜、主に蛋白質、多糖類などの高分子有機物やコロイド粒子、エマルジョン粒子などのサブμm以下の大きさの粒子や溶質を除去する限外濾過膜、及び主に糖、アミノ酸、ビタミンなどの低分子有機物や塩類などの溶質を除去する逆浸透膜など、液体の濾過に用いられる膜を挙げることができる。 【0080】中空糸膜の構造には制限はなく、例えば精密濾過膜としては、均質な多孔質構造を有する均質膜、膜断面方向に細孔径が変化する非対象膜、無孔薄膜を裂くことにより細孔を形成した延伸膜などを挙げることができ、限外濾過膜及び逆浸透膜としては、非対称膜、及び非対称膜の表面に界面重合等によって分離層を形成した複合膜などを挙げることができる。」 カ 「【図4】 [図:0001422463000001.jpg] 【図5】 [図:0001422463000002.jpg] 【図6】 [図:0001422463000003.jpg] 」 (2) 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、「水溶性有機物の濃縮方法及び濃縮装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「【0018】 図1に示す濃縮装置は、エタノール発酵液1を蒸留する蒸留塔10(この実施例では、第1蒸留塔101と、この第1蒸留塔101によって濃縮されたエタノールを蒸留する第2蒸留塔111とから成っている。)と、蒸留塔10の塔頂からの蒸気を分離するための蒸気透過分離モジュール20と、この蒸気透過分離モジュール20によって濃縮された後に凝縮されたエタノール液を分離するための浸透気化分離モジュール30とを具備している。 ・・・ 【0022】 蒸気透過分離モジュール20には、第2蒸留器111から留出した蒸気が導入されるようになっており、導入された蒸気のうちの水蒸気が透過成分として取り出され、残りの成分が非透過成分として流出して、濃縮蒸気凝縮器21に送られる。 ・・・ 【0031】 図2に、本発明の濃縮方法に使用できる蒸気透過分離モジュール20の一例を示す。但し、本発明における「第1次又は第2次濃縮蒸気」を単に蒸気という。 この蒸気透過分離モジュール20は、筒状のシェル41と、シェル41の両端に固定された支持板42a,42bと、支持板42a,42bにより支持されシェル41の長手方向に延在する複数の外管43と、外管43の長手方向に設けられた管状分離膜44と、支持板42a,42bを覆うようにシェル41に取り付けられたチャンネル45a,45bとを具備する。チャンネル45aから蒸気F1の入口46が突出し、シェル41から非透過蒸気F3の出口47が外方に突出する。蒸気出口47は支持板42bに近い位置に設けられている。チャンネル45bには、膜透過蒸気F2の出口48が設けられている。またチャンネル45a,45bのフランジは支持板42a,42bに気密に係合している。 ・・・ 【0034】 図2及び図3に示すように、蒸気入口46からシェル41に蒸気F1を供給すると、透過蒸気F2は管状分離膜44を透過し、膜透過蒸気出口48から流出する。管状分離膜44を透過しない残りの蒸気F3(非透過蒸気)は、外管43と管状分離膜44との間隙を通過し、通過口433から流出する。次いで非透過蒸気F3は外管43の外側を通過し、蒸気出口47から流出する。」 イ 「【図1】 [図:0001422463000004.jpg] 【図2】 [図:0001422463000005.jpg] 【図3】 [図:0001422463000006.jpg] 」 (3) 甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、「対称膜と非対称膜」(技術名称)に関して、次の事項が記載されている。 「このように非対称膜は表面に非常に薄い緻密層(機能層、0.1~1μm程度)とそれを支持する多孔質層から形成されている。」(第74ページ第10~12行) (4) 甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、「複合中空糸膜の製造法及び製造装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】膜法による液状混合物の分離・濃縮は、蒸留などの分離技術に較べ省エネルギー法でありかつ物質の状態変化を伴わないことから果汁の濃縮、ビール酵素の分離などの食品分野、海水及びかん水の淡水化による飲料水、工業用水などの製造、電子工業に於ける超純水の製造や医薬品工業や医療分野に於ける無菌水の製造などの水精製分野あるいは工業廃水からの有価物の回収といった多分野に於いて幅広く利用されている。このような利用用途の拡大が、新しい分離膜並びに分離膜を利用した新しい分離技術の開発を促進し、特に近年急激な発展を見た。このような発展に拍車をかけたのは、半導体の高度集積化に伴いより高品位なものへと要求が高度化した超純水分野でのニ-ズであり、またこの要求に応える形で進歩を遂げた界面重合法による複合膜化技術の確立であろう。 【0003】一般に活性層と支持層が同一素材でできているものは非対称膜と呼ばれ、これらが異なった素材でできているものが複合膜と呼ばれている。非対称膜は相転換法により得ることができ、一方複合膜は非対称膜と同様の操作で支持層となる支持膜を製膜した後、このものの表面にコート法や界面重合法、プラズマ重合法等により薄い活性層を形成させることで得ることができる。これらのうち界面重合法は、2種類の反応性モノマーを水及び水と混和しない有機溶媒にそれぞれ溶解し、それらの溶液を接触させ、その界面で反応させ、ポリマーを生成する界面重合反応を例えばポリスルホンからなる微細孔性支持膜表面上で行い、複合膜を得る方法である。本発明は、この界面重合法により得られる複合中空糸膜の製造方法及び装置に関する。」 (5) 甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、「正浸透膜および正浸透処理システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 「【0028】 ・・・ ポリケトン支持層を構成する多孔膜は、対称膜であっても非対称膜であってもよい。ポリケトン多孔膜が非対称膜である場合は、半透膜性能を有する薄膜層がポリケトン多孔膜の緻密面上に設けられることが好ましい。 本発明のポリケトン支持層の形状は、特に制限はないが、従来公知の膜モジュールへの適用の容易さから平膜状(平板状)または中空糸状が好ましい。」 3 当審の判断 (1) 申立理由1(明確性要件違反)について ア 明確性要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 以下、この観点に立って検討する。 イ 申立人の指摘事項 本件請求項1、11には、「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間」との記載があるところ、「導入ポート」と「外装体排出ポート」は点として存在するため、点として存在する2つのポート及び外装体によって「とり囲まれる」空間がどのような空間なのかを理解できない。そのため、本件請求項1、11の「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間」との記載が明確でなく、「ポート間空間」の技術的範囲を十分に特定できない。 したがって、本件特許請求の範囲の請求項1、2、4~6、11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する明確性要件を充足しない(特許異議申立書第15ページ第13行~第16ページ第3行)。 ウ 明確性要件についての判断 まず、申立人の指摘事項について検討すると、本件請求項1に記載された「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間」は、本件請求項1において、「前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であ」ること、さらに、「前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり」、「前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である」ことが具体的に記載されており、「ポート間空間」の技術的範囲を十分に特定できるから、本件請求項1の「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間」との記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといえない。 また、本件請求項11の「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間」との記載についても同様である。 そして、本件請求項1、2、4~6、11のその余の記載をみても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確な記載は見当たらない。 したがって、本件特許請求の範囲の請求項1、2、4~6、11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定された要件に適合する。 エ 申立理由1についての結論 以上の検討のとおり、申立理由1に理由はない。 (2) 申立理由2(サポート要件違反)について ア サポート要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 以下、この観点に立って検討する。 イ 本件発明の課題について 本件特許の願書に添付された明細書の発明の詳細な説明(以下、「本件発明の詳細な説明」という。)には、「非特許文献1では、二重円筒管群が真空容器内に収容されている二重円筒型の分離膜モジュールが開示されている。各二重円筒管では、外筒と内筒(ゼオライト膜)との間の円筒状の空間に供給蒸気が流され、ゼオライト膜と親和性のある成分が、内筒を径方向内方へと透過する。内筒の内側へと透過した蒸気は、外筒端部(すなわち、内筒の一方だけ開放された端部)から真空容器内へと流出し、当該蒸気の流出方向近傍に設けられた排出口から吸引されて真空容器外へと排出される。当該モジュールでは、供給蒸気の凝縮を防止するために、真空容器にヒーターが設けられる」こと(【0005】)、「特許文献7には、ハウジング内にガス分離膜エレメントを備えた分離膜モジュールと、分離膜モジュールを収容する筐体と、筐体内の温度を調製する熱源部と、を備えるガス分離装置が開示されている」こと(【0006】)、「ところで、上述のような分離膜モジュールにおいて高温下で流体の分離を行う場合、流体が流れる外筒からの放熱等を考慮して、モジュールに供給される流体を予め分離温度よりも高温に加熱しておく必要がある。あるいは、非特許文献1や特許文献7のように、ヒーター等の外部熱源によりモジュールや筐体内の加熱を行う必要がある。このため、流体の加熱に多大なエネルギーが必要となり、流体の分離に要するエネルギーが増大する。特に、外筒またはモジュール本体が、フランジ構造を有する場合、放熱面積が大きくなるため、上述の放熱は大きくなる。したがって、流体の分離に要するエネルギーがより増大する」こと(【0009】)、「また、非特許文献1では、ゼオライト膜を透過し外筒から真空容器内へと流出した蒸気を速やかに排出できるように、真空容器の排出口は、蒸気が流出する外筒端部の近傍に設けられている。このため、ゼオライト膜を透過した蒸気は、外筒の外表面とほとんど接触することなく、真空容器の外に向かって流れる。したがって、非特許文献1の分離膜モジュールでは、外部への放熱による外筒の温度低下を抑制する効果は小さい」こと(【0010】)、及び、「本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することを目的としている」こと(【0011】)が記載されている。 これらの記載を踏まえると、本件発明の課題は、外筒及び内筒(ゼオライト膜)からなる二重円筒管群が真空容器内に収容されており、外筒から真空容器内へと流出した蒸気を速やかに排出できるように、真空容器の排出口が、蒸気を流出する外筒端部の近傍に設けられている二重円筒型分離膜モジュールといった従来技術に比べて、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することであるといえる。 ウ 本件発明の詳細な説明の記載について (ア) 本件発明の詳細な説明には、「分離装置」及び「分離装置の運転方法」に関して、次の記載がある。 「【0012】 本発明は、分離装置に向けられている。本発明の好ましい一の形態に係る分離装置は、多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する供給部と、を備える。前記外筒は、前記流体のうち前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、を備える。前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられる。前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能である。前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備える。前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれる。前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間である。前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面である。前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である。」 「【0023】 本発明は、多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、を備える分離装置の運転方法にも向けられている。前記外筒は、前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、を備える。前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられる。前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能である。前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備える。前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれる。前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間である。前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面である。前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である。本発明の好ましい一の形態に係る分離装置の運転方法は、a)前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する工程と、b)前記透過物質および前記不透過物質のうち前記一方の物質を、前記導入ポートを介して前記外装空間へと導入する工程と、c)前記一方の物質を、前記ポート間空間を通過するようにして前記外装空間から排出する工程と、を備える。」 (イ) そして、本件発明の詳細な説明には、前記(ア)に摘記した「分離装置」及び「分離装置の運転方法」の第1、2の実施の形態として、次の記載がある(下線は当審が付した。)。 「【0026】 図1は、本発明の第1の実施の形態に係る分離装置2の概略構造を示す図である。・・・」 「【0041】 分離装置2は、ゼオライト膜複合体1と、封止部21と、外筒22と、2つのシール部材23と、外装体24と、供給部26と、第1回収部27と、第2回収部28とを備える。ゼオライト膜複合体1、封止部21およびシール部材23は、外筒22の内部に収容される。外筒22は、外装体24の内部に収容される。供給部26、第1回収部27および第2回収部28は、外装体24の外部に配置される。 【0042】 図2は、ゼオライト膜複合体1の断面図である。図3は、ゼオライト膜複合体1の一部を拡大して示す断面図である。ゼオライト膜複合体1は、多孔質の支持体11と、支持体11上に形成された分離膜であるゼオライト膜12と、を備える分離膜複合体である。ゼオライト膜12とは、少なくとも、支持体11の表面にゼオライトが膜状に形成されたものであって、有機膜中にゼオライト粒子を分散させただけのものは含まない。また、ゼオライト膜12は、構造や組成が異なる2種類以上のゼオライトを含んでいてもよい。図2では、ゼオライト膜12を太線にて描いている。図3では、ゼオライト膜12に平行斜線を付す。また、図3では、ゼオライト膜12の厚さを実際よりも厚く描いている。」 「【0065】 外筒22の形状は限定されないが、例えば略円筒状の筒状部材である。外筒22は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。外筒22の長手方向は、ゼオライト膜複合体1の長手方向に略平行である。外筒22の長手方向の一方の端部(すなわち、図1中の左側の端部)には供給ポート221が設けられ、他方の端部には第1排出ポート222が設けられる。外筒22の側面には、第2排出ポート223が設けられる。供給ポート221には、供給部26が接続される。第1排出ポート222には、第1回収部27が接続される。外筒22の内部空間は、外筒22の周囲の空間から隔離された密閉空間である。」 「【0069】 外装体24の形状は限定されないが、例えば長手方向の両端部が閉鎖された略円筒状の部材である。外装体24は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。外装体24の長手方向は、ゼオライト膜複合体1および外筒22の長手方向に略平行である。外装体24の内部空間は、外装体24の周囲の空間から隔離された密閉空間である。外装体24の内部空間では、外筒22が図示省略の支持部材等により、外装体24の内側面から離間して支持される。外筒22は、外装体24の内部空間において、径方向略中央かつ長手方向略中央に配置される。したがって、外装体24の内部において、外装体24と外筒22との間に空間240(以下、「外装空間240」とも呼ぶ。)が形成される。外装体24の内側面と外筒22の筒部224の外側面との間では、外装空間240の径方向の幅は、周方向の全周に亘って略均一である。」 「【0071】 外筒22の供給ポート221は、外装体24を気密に貫通する配管を介して、供給部26に接続される。外筒22の第1排出ポート222は、外装体24を気密に貫通する配管を介して第1回収部27に接続される。外筒22の第2排出ポート223は、外装体24の内部空間に向けて開口している。外筒22内において第2排出ポート223へと導かれたガスは、第2排出ポート223から外装空間240へと排出される。すなわち、図1に示す例では、第2排出ポート223は、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。外装空間240内のガスは、外装体24の長手方向の端部(例えば、図1中の左側の端部)に設けられた外装体排出ポート241を介して、外装体24の外部へと排出される。外装体排出ポート241には、第2回収部28が接続される。」 「【0074】 分離装置2では、図4中において平行斜線を付して示す空間243に、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。当該空間243は、外装体24と、導入ポート(図4に示す例では、第2排出ポート223)と、外装体排出ポート241とにより囲まれる空間であり、以下、「ポート間空間243」とも呼ぶ。分離装置2では、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部がポート間空間243に含まれるように、導入ポートと外装体排出ポート241とが配置される。好ましくは、ポート間空間243には、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上が含まれる。 【0075】 ここで、ポート間空間243とは、外装体24の内部空間であって、導入ポート平面244と外装体排出ポート平面245とにより挟まれる空間である。導入ポート平面244は、外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246に対して鉛直、かつ、導入ポートの略中心を通る平面である。外装体排出ポート平面245は、上記直線246に対して鉛直、かつ、外装体排出ポート241の略中心を通る平面である。すなわち、ポート間空間243は、平行である導入ポート平面244と外装体排出ポート平面245との間の空間で、かつ、外装体24の内部に含まれる空間である。」 「【0078】 次に、図5を参照しつつ、分離装置2による混合ガスの分離の流れ(すなわち、分離装置2の運転方法)の一例について説明する。混合ガスの分離が行われる際には、まず、上述の分離装置2が用意されることにより、ゼオライト膜複合体1が準備される。続いて、供給部26により、ゼオライト膜12に対する透過性が異なる複数種類のガスを含む混合ガスが、外筒22の内部空間に供給される(ステップS11)。例えば、混合ガスの主成分は、CO2およびCH4である。混合ガスには、CO2およびCH4以外のガスが含まれていてもよい。 【0079】 供給部26から外筒22の内部空間に供給される混合ガスの圧力(すなわち、導入圧)は、例えば、0.1MPa~20.0MPaである。供給部26から供給される混合ガスの温度は、外装体24の周囲の温度(すなわち、外装体24の外側の温度)よりも高温である。供給部26から供給される混合ガスの温度は、例えば、30℃~250℃であり、好ましくは50℃~250℃であり、より好ましくは70℃~200℃である。当該混合ガスは、加熱部261により加熱されることにより外装体24の周囲の温度よりも高温とされてもよく、元々、外装体24の周囲の温度よりも高温であってもよい。 【0080】 供給部26から外筒22に供給された混合ガスは、矢印251にて示すように、ゼオライト膜複合体1の図1中の左端から、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の透過性が高いガス(例えば、CO2であり、以下、「高透過性物質」と呼ぶ。)は、各貫通孔111の内側面上に設けられたゼオライト膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性物質が、混合ガス中の透過性が低いガス(例えば、CH4であり、以下、「低透過性物質」と呼ぶ。)から分離される(ステップS12)。 【0081】 ゼオライト膜複合体1を透過して支持体11の外側面から導出されたガス(以下、「透過物質」と呼ぶ。)は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して外筒22から外装空間240へと導かれる(ステップS13)。外筒22から外装空間240に導入された透過物質は、外装空間240の略全体に亘って拡散し、外筒22の外表面および外装体24の内表面と直接的に接触しつつ外装体排出ポート241に向かって流れる。分離装置2では、外装体24の周囲の温度よりも高温の透過物質が外装空間240に充填されることにより、外部への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。外装空間240を流れる透過物質は、矢印254にて示すように、外装体排出ポート241を介して外装空間240から外装体24の外部へと排出され、第2回収部28により回収される(ステップS14)。第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、透過圧)は、例えば、約1気圧(0.101MPa)である。」 「【0084】 ・・・図6は、本発明の第2の実施の形態に係る分離装置2aの概略構造を示す図である。分離装置2aでは、外筒22の第1排出ポート222と第1回収部27との接続態様、および、第2排出ポート223と第2回収部28との接続態様が、図1に示すものとは異なる。分離装置2aの他の構成は、図1に示す分離装置2と略同様であり、以下の説明では、分離装置2aの構成のうち分離装置2の構成と対応する構成に同符号を付す。 【0085】 図6に示すように、分離装置2aでは、外筒22の第2排出ポート223は、外装空間240に向けて開口されておらず、外装体24を気密に貫通する配管を介して、外装体24の外部に配置される第2回収部28と接続されている。したがって、第2排出ポート223から排出された透過物質は、外装空間240に導入されることなく、第2回収部28により回収される。 【0086】 一方、外筒22の第1排出ポート222は、外装空間240に向けて開口されている。また、外装体排出ポート241には第1回収部27が接続されている。第1排出ポート222から外装空間240へと排出された不透過物質は、外装体排出ポート241に向かって外装空間240の内部を流れる。すなわち、図6に示す例では、第1排出ポート222は、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。不透過物質は、外装体排出ポート241を介して外装体24の外部へと排出され、第1回収部27により回収される。」 「【0089】 分離装置2aでは、図7中において平行斜線を付して示すポート間空間243aに、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。ポート間空間243aは、上述のように、外装体24と、導入ポート(図7に示す例では、第1排出ポート222)と、外装体排出ポート241とにより囲まれる空間である。換言すれば、ポート間空間243aは、外装体24の内部空間であって、導入ポート平面244a(外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246aに対して鉛直、かつ、導入ポートの略中心を通る平面)と外装体排出ポート平面245a(外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246aに対して鉛直、かつ、外装体排出ポート241の略中心を通る平面)とにより挟まれる空間である。分離装置2aでは、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部がポート間空間243aに含まれるように、導入ポートと外装体排出ポート241とが配置される。好ましくは、ポート間空間243aには、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上が含まれる。 【0090】 分離装置2aによる混合ガスの分離の流れは、図5中のステップS13~S14に代えて、図8に示すステップS23~S24が行われる点を除き、分離装置2による混合ガスの分離の流れと略同様である。分離装置2aでは、まず、外装体24の周囲の温度よりも高温の混合ガスが、供給部26により外筒22の内部空間に供給される(図5:ステップS11)。 【0091】 外筒22に供給された混合ガスは、矢印251にて示すように、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の高透過性物質は、各貫通孔111の内側面上に設けられたゼオライト膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性物質が低透過性物質から分離される(図5:ステップS12)。 【0092】 ゼオライト膜複合体1を透過した透過物質は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して外筒22および外装体24の外部へと排出され、第2回収部28により回収される。第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、透過圧)は、例えば、約1気圧(0.101MPa)である。 【0093】 一方、混合ガスのうち透過物質以外の不透過物質は、支持体11の各貫通孔111を通過し、矢印252にて示すように、第1排出ポート222を介して外筒22から外装空間240へと導かれる(図8:ステップS23)。外筒22から外装空間240に導入された不透過物質は、外装空間240の略全体に亘って拡散し、外筒22の外表面および外装体24の内表面と直接的に接触しつつ外装体排出ポート241に向かって流れる。分離装置2aでは、外装体24の周囲の温度よりも高温の不透過物質が外装空間240に充填されることにより、外部への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。外装空間240を流れる不透過物質は、矢印254にて示すように、外装体排出ポート241を介して外装空間240から外装体24の外部へと排出され、第1回収部27により回収される(図8:ステップS24)。第1回収部27により回収されるガスの圧力は、例えば、導入圧と略同じ圧力である。不透過物質には、上述の低透過性物質以外に、ゼオライト膜12を透過しなかった高透過性物質が含まれていてもよい。」 「【0096】 外筒22から排出された透過物質および不透過物質のうち一方の物質は、外装体24の内部における外装体24と外筒22との間の空間である外装空間240へ導入ポート(すなわち、第2排出ポート223または第1排出ポート222)を介して導入可能である。このように、分離装置2,2aでは、外装体24の周囲の温度よりも高温の上記一方の物質が外装空間240を流れることにより、周囲への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。これにより、外筒22の内部の流体、透過物質および不透過物質の温度低下を抑制することができる。その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。・・・」 「【0106】 上述のように、分離装置2,2aの運転方法は、外装体24の周囲の温度よりも高温の流体を外筒22の内部に供給する工程(ステップS11)と、流体中の分離膜複合体(すなわち、ゼオライト膜複合体1)を透過した透過物質、および、流体中の透過物質以外の物質である不透過物質のうち一方の物質を、外装体24の内部における外装体24と外筒22との間の空間である外装空間240へと導入する工程(ステップS13,S23)と、当該一方の物質を、分離膜(すなわち、ゼオライト膜12)の主面の法線方向に存在する外装空間240の少なくとも一部を通過するようにして外装空間240から排出する工程(ステップS14,S24)と、を備える。これにより、上述のように、周囲への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。」 (ウ) 前記(イ)の記載によれば、前記第1、2の実施形態の分離装置及びその運転方法は、分離装置のポート間空間にゼオライト膜複合体の50体積%以上が含まれるように、導入ポート(第1排出ポート222又は第2排出ポート223)と外装体排出ポート241を配置することで、前記イで検討した従来技術のように、導入ポートと外装体排出ポートが近接して設ける場合と比べて、導入ポートから流出する高温流体の透過物質又は非透過物質を外装空間240に充填できることから、外筒22から周囲への放熱による温度低下を抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減できることが理解できる。 したがって、前記第1、2の実施形態の分離装置及びその運転方法は、本件発明の課題を解決できると認識できる。 また、前記(ア)に摘記した「分離装置」及び「分離装置の運転方法」についても、分離装置のポート間空間に、ゼオライト膜複合体の50体積%以上が含まれるように、導入ポートと外装体排出ポートを配置しており、導入ポートから流出する高温流体の透過物質又は非透過物質を外装空間に充填できるから、前記第1、2の実施形態と同様に、当業者において、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。 エ 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比、検討 本件特許請求の範囲の請求項1、11の記載は、前記第2に示したとおりであるところ、本件発明1の「分離装置」、本件発明11の「分離装置の運転方法」は、前記ウ(ア)に摘記した「分離装置」及び「分離装置の運転方法」であるから、前記ウ(ウ)で検討したとおり、当業者において、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、本件課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明といえる。 また、本件請求項1の記載を引用する本件発明2、4~6についても事情は同じである。 オ 申立人の主張について (ア) 申立人の指摘事項 a 指摘事項1 本件請求項1、11に記載の「ポート間空間」は、導入ポート平面及び外装体排出ポート平面によって定義されるが、外装体排出ポート241が外装体24の長手方向の側端壁ではなく、周壁において長手方向の中央部に形成されている場合、以下の図に示すように、「ポート間空間」が、外装体の長手方向に関し、導入ポートと外装体排出ポートとの間にない空間を広く含む場合が生じる。 [図:0001422463000007.jpg] [図:0001422463000008.jpg] すなわち、導入ポートと外装体排出ポートとが外装体の長手方向に関して、十分に離れておらず、その結果、導入ポートから外装体排出ポート241に至る経路距離が十分に確保されていない構成であっても、本件発明1、11に該当する場合があるが、この場合、外筒に供給される高温の流体低下を好適に抑制することができない。 よって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、4~6、11の記載は、本件発明の課題を解決し得ない態様を包含するため、サポート要件を充足しない(特許異議申立書第16ページ第4行~第18ページ第11行)。 b 指摘事項2 本件請求項1、11には、「前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポート」との記載があるところ、本件請求項1、11の記載では、外装空間に連通しないポートを導入ポートとすることが除外されていないため、導入ポートからの流体が外装空間内を流れず、本件発明の課題を解決できない。 よって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、4~6、11の記載は、本件発明の課題を解決し得ない態様を包含するため、サポート要件を充足しない(特許異議申立書第18ページ第12行~末行)。 (イ) 指摘事項の検討 a 指摘事項1について 本件発明の課題は、前記イで検討したとおり、従来技術に比べて、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することである。 そして、申立人が主張する外装体排出ポート241が外装体24の周壁の長手方向中央部に形成されている態様であっても、従来技術のように、導入ポートと外装体排出ポートが近接して設けられた場合と比べて、導入ポートから流出する高温流体の透過物質又は非透過物質を外装空間に充填できるから、外筒に供給される高温の流体の温度低下を抑制して、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減できることを当業者が理解できる。 b 指摘事項2について 本件請求項1、11には、「前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり」と記載されており、導入ポートは、外装空間に連通するポートであることが特定されているから、本件発明1、11には、外装空間に連通しないポートを導入ポートとすることを包含していない。 (ウ) 小括 前記(イ)で検討したとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、4~6、11の記載は、本件発明の課題を解決し得ない態様を包含していない。 よって、申立人が主張する指摘事項はいずれも採用できない。 カ 申立理由2についての結論 以上の検討のとおり、申立理由2に理由はない。 (3) 申立理由3(新規性、進歩性欠如)について ア 甲第1号証に記載された発明 (ア) 甲第1号証には、前記2(1)ア、ウ、カによれば、濾過に使用される中空糸の開口部が目詰まりしたとしてもこれを容易に除去することのできる構造の簡単な中空糸膜濾過装置(【0001】)の一例が記載され、前記中空糸膜濾過装置は、略円柱形の形状を有する外部ケース1を備えていること(【0044】)、前記外部ケース1は、本体1bと蓋部1aとを備え、前記本体1bは、一端が開口されてなり、他端が、液導出入口を有する閉鎖された端面1b2に形成され、前記蓋部1aは、本体1bの一端開口部に装着され、これを覆蓋すること(【0045】)、前記蓋部1aは、前記外部ケース1のもう一方の端面を形成する端面1a2が一端に形成され他端が開口した略円筒状の形状を有し、前記端面1a2には、前記端面1a2に対して垂直の方向に延びる第1管路11が立設されていること(【0046】)、前記本体1bは、前記端面1b2に対して垂直の方向に延びる第2管路12が前記端面1b2に立設され、前記本体1bの側面からは、前記本体1bの半径方向に沿って外側の方向に濾過水取出管路14が延び、前記濾過水取出管路14は、第3管路13に接続されていること(【0047】)、前記蓋部1aの内部に設けられた、前記端面1a2に対して平行な第1隔壁2と、前記本体1bの内部における前記端面1b2の近傍に設けられた、前記端面1b2に対して平行な第2隔壁4とによって、前記外部ケース1の内部は、第1管路11を備える第1室1A、第2管路12を備える第2室1B、及び第3流路を備える第3室1Cの3つに区分されていること(【0049】)、前記第1隔壁2、前記第2隔壁4は、中空糸膜モジュール取付口22、42が、中心部に1個、周辺部に6個設けられていること(【0052】、【0053】)、前記外部ケース1の内部に収容される中空糸膜モジュール3は、略円筒形の形状を有する、両端の開口した中空糸膜ケース31と、この中空糸膜ケース31の内部に装填された内圧型中空糸膜32の束とを有し、中空糸膜ケース31の両端部において、前記内圧型中空糸膜32はポッティングされ、これによりポッティング部311と312とが形成され、前記内圧型中空糸膜32の両端は開口し、開口部32aと開口部32bとが形成され、中空糸膜ケースの側面における、ポッティング部311及び312の近傍には、それぞれ濾過水取出口31aが設けられていること(【0054】)、前記中空糸膜モジュール3は、一方の端部において、前記第1隔壁2に設けられた中空糸膜モジュール取付口22に嵌装され、他方の端部において前記第2隔壁4に設けられた中空糸膜モジュール取付口42に嵌装されること(【0055】)、上水道に接続され、前記中空糸膜濾過装置に原水を供給する原水供給配管Aは、前記第2管路12に接続され、前記中空糸膜濾過装置で濃縮された濃縮水を外部に排出するドレン排出配管Bは、前記第1管路11に接続され、濾過水が供給される被給水建造物に接続される濾過水供給配管Cは、前記第3管路13に接続されること(【0057】~【0059】)、並びに、原水は、第2管路12を通って、外部ケース1における第2室1Bに流入し、第2室1Bに流入した原水は、中空糸膜モジュール3の一端から、内圧型中空糸膜32の開口部32bを通って、内圧型中空糸膜32の中空部に流入し、前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水は、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出し、濾過水流出流口31aを通って第3室1Cへと流出し、第3室1Cに流出した濾過水は、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出し、内圧型中空糸膜32の、前記開口部32bとは反対側の開口部32aからは濃縮水が排出され、前記濃縮水は、第1管路11及びドレン排出配管Bを通って外部に排出されること(【0060】)が記載されている。 また、甲第1号証には、前記2(1)ウによれば、原水からバクテリアやビールスなど不純物を除去して、前記不純物が含まれない濾過水を得ることも記載されている(【0060】)。 (イ) 前記(ア)の記載を「中空糸膜濾過装置」、「濾過水を得る方法」に注目して整理すると、甲第1号証には、次の「中空糸膜濾過装置」に係る発明(以下、「甲1発明1」という。)、及び、「濾過水を得る方法」に係る発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明1) 「略円柱形の形状を有する外部ケース1を備え、前記外部ケース1は、本体1bと蓋部1aとを備え、前記本体1bは、一端が開口されてなり、他端が、液導出入口を有する閉鎖された端面1b2に形成され、前記蓋部1aは、本体1bの一端開口部に装着され、これを覆蓋し、前記蓋部1aは、前記外部ケース1のもう一方の端面を形成する端面1a2が一端に形成され他端が開口した略円筒状の形状を有し、前記端面1a2には、前記端面1a2に対して垂直の方向に延びる第1管路11が立設され、前記本体1bは、前記端面1b2に対して垂直の方向に延びる第2管路12が前記端面1b2に立設され、前記本体1bの側面からは、前記本体1bの半径方向に沿って外側の方向に濾過水取出管路14が延びており、前記濾過水取出管路14は、第3管路13に接続され、 前記蓋部1aの内部に設けられた、前記端面1a2に対して平行な第1隔壁2と、前記本体1bの内部における前記端面1b2の近傍に設けられた、前記端面1b2に対して平行な第2隔壁4とによって、前記外部ケース1の内部は、第1管路11を備える第1室1A、第2管路12を備える第2室1B、及び第3流路を備える第3室1Cの3つに区分され、前記第1隔壁2、前記第2隔壁4は、中空糸膜モジュール取付口22、42が、中心部に1個、周辺部に6個設けられており、 前記外部ケース1の内部に収容される中空糸膜モジュール3は、略円筒形の形状を有する、両端の開口した中空糸膜ケース31と、この中空糸膜ケース31の内部に装填された内圧型中空糸膜32の束とを有し、中空糸膜ケース31の両端部において、前記内圧型中空糸膜32はポッティングされ、これによりポッティング部311と312とが形成され、前記内圧型中空糸膜32の両端は開口し、開口部32aと開口部32bとが形成され、中空糸膜ケースの側面における、ポッティング部311及び312の近傍には、それぞれ濾過水取出口31aが設けられており、前記中空糸膜モジュール3は、一方の端部において、前記第1隔壁2に設けられた中空糸膜モジュール取付口22に嵌装され、他方の端部において前記第2隔壁4に設けられた中空糸膜モジュール取付口42に嵌装され、 上水道に接続され、前記中空糸膜濾過装置に原水を供給する原水供給配管Aが、前記第2管路12に接続され、前記中空糸膜濾過装置で濃縮された濃縮水を外部に排出するドレン排出配管Bが、前記第1管路11に接続され、濾過水を被給水建造物に供給する濾過水供給配管Cが、前記第3管路13に接続され、 原水は、第2管路12を通って、外部ケース1における第2室1Bに流入し、第2室1Bに流入した原水は、中空糸膜モジュール3の一端から、内圧型中空糸膜32の開口部32bを通って、内圧型中空糸膜32の中空部に流入し、前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水は、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出し、濾過水流出流口31aを通って第3室1Cへと流出し、第3室1Cに流出した濾過水は、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出し、内圧型中空糸膜32の、前記開口部32bとは反対側の開口部32aからは濃縮水が排出され、前記濃縮水は、第1管路11及びドレン排出配管Bを通って外部に排出される、中空糸膜濾過装置。」 (甲1発明2) 「甲1発明1の中空糸膜濾過装置を用いて、 原水を、第2管路12から、外部ケース1における第2室1Bに流入させ、中空糸膜モジュール3の一端から、内圧型中空糸膜32の開口部32bを通って、内圧型中空糸膜32の中空部に流入させ、 前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水を、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出させ、濾過水流出流口31aを通って第3室1Cへと流出させ、 第3室1Cに流出した濾過水を、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出させる、濾過水を得る方法。」 イ 本件発明1について (ア) 本件発明1と甲1発明1との対比 a 本件発明1と甲1発明1を対比すると、両者の対応関係は次のとおりであると認められる。 (a) 甲1発明1の「中空糸膜濾過装置」は、本件発明1の「分離装置」に相当する。 (b) 甲1発明1の「内圧型中空糸膜32」は、本件発明1の「分離膜」に相当する。 (c) 甲1発明1の「中空糸膜ケース31」及び「中空糸膜ケースの側面」における「ポッティング部311及び312」は、「内圧型中空糸膜32」を内部に装填しているから、本件発明1の「前記分離膜」を「内部に収容する外筒」に相当する。 (d) 甲1発明1の「外部ケース1」は、「中空糸膜ケース31」及び「ポッティング部311及び312」有する「中空糸膜モジュール3」を内部に収容しているから、本件発明1の「前記外筒を内部に収容する外装体」に相当する。 (e) 甲1発明1の「上水道に接続され」た「原水供給配管A」は、「中空糸膜ケース31」の内部に装填している「内圧型中空糸膜32」に原水を供給しているから、本件発明1の「流体を前記外筒の内部に供給する供給部」に相当する。 (f) 甲1発明1の「濾過水取出口31a」は、「内圧型中空糸膜32」を透過した濾過水を「中空糸膜ケース31」から「第3室1C」に流出されるためのものであるから、本件発明1の「前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポート」に相当する。 (g) 甲1発明1の「内圧型中空糸膜32」の「開口部32a」は、濃縮水が排出されていることから、本件発明1の「前記流体のうち前記分離膜」「を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポート」に相当する。 (h) 甲1発明1の「濾過水取出口31a」と「開口部32a」は、「外部ケース1」の内部に収容された「中空糸膜モジュール3」の「中空糸膜ケース」及び「ポッティング部311」に設けられているから、甲1発明1は、本件発明1の「前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ」るとの規定を満足する。 (i) 甲1発明1の「第3室1C」は、本件発明1の「前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間」に相当し、甲1発明1の「前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水は、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出し、濾過水流出流口31aを通って第3室1Cへと流出」することは、本件発明1の「前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり」との規定を満足する。 (j) 甲1発明1の「濾過水取出管路14」は、本件発明1の「外装体排出ポート」に相当し、甲1発明1の「外部ケース1」の「前記本体1bの側面からは、前記本体1bの半径方向に沿って外側の方向に濾過水取出管路14が延びており、前記濾過水取出管路14は、第3管路13に接続され」、「第3室1Cに流出した濾過水は、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出」することは、本件発明1の「前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備え」るとの規定を満足する。 b 前記aで検討した対応関係に照らすと、本件発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は次のとおりであるといえる。 (a) 一致点 「分離装置であって、 分離膜と、 前記分離膜を内部に収容する外筒と、 前記外筒を内部に収容する外装体と、 流体を前記外筒の内部に供給する供給部と、 を備え、 前記外筒は、 前記流体のうち前記分離膜を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、 前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、 を備え、 前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ、 前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり、 前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備える、分離装置。」 (b) 相違点 (相違点1) 「分離膜」について、本件発明1は、「多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体」であるのに対して、甲1発明1は、「内圧型中空糸膜32」である点。 (相違点2) 「流体」について、本件発明1は、「前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体」であるのに対して、甲1発明1は、「上水道」からの「原水」である点。 (相違点3) 本件発明1は、「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、 前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、 前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、 前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である」ことを特定しているのに対して、甲1発明1は、その点が明示されていない点。 (イ) 相違点の検討 事案に鑑み、相違点2から検討する。 まず、相違点2が実質的なものであるかを検討すると、前記2(1)イ、エ、オによれば、甲1発明1の「中空糸膜濾過装置」は、水道水、工業用水、及び井戸水等を処理し、水中に存在するバクテリア、ビールス、及びその他の有機物粒子などを除去するためのものであり、高温下での流体の分離を前提とするものでないから、相違点2は実質的なものである。 次に、相違点2の容易想到性を検討すると、水道水、工業用水、及び井戸水等を処理し、水中に存在するバクテリア、ビールス、及びその他の有機物粒子などを除去するための「中空糸膜濾過装置」を用いて、高温下での流体の分離を行うことは、甲第2号証~甲第5号証のいずれにも記載されていないし、このことが技術常識であるとの証拠もないから、甲1発明1において、相違点2に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえない。 (ウ) 申立人の主張について 申立人は、上記相違点2に関して、「外筒の分離膜複合体による分離の対象を、高温流体を分離するのは、実質的な相違点とは言えない」こと、及び、「甲第2号証には、高温の蒸気を外管43に供給することが記載されて」いることを主張している(特許異議申立書第42ページ第21行~第43ページ第6行)。 しかしながら、申立人は、相違点2が実質的なものでない理由も、甲第2号証に記載された事項を甲1発明1に適用できる理由も説明していない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (エ) 小括 以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるといえないし、また、甲第1号証~甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件発明2、4~6について 本件発明2、4~6は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記イで検討したのと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるといえないし、また、甲第1号証~甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件発明11について (ア) 本件発明11と甲1発明2との対比 前記イ(ア)aでの検討を踏まえると、甲1発明2の「原水を、第2管路12から、外部ケース1における第2室1Bに流入させ、中空糸膜モジュール3の一端から、内圧型中空糸膜32の開口部32bを通って、内圧型中空糸膜32の中空部に流入させ」ること、「前記内圧型中空糸膜32を透過した濾過水を、内圧型中空糸膜32と中空糸膜ケース31との間に形成された空間へと流出させ、濾過水流出流口31aを通って第3室1Cへと流出させ」ること、「第3室1Cに流出した濾過水を、第3管路13を通って濾過水供給配管Cに流出させる」こと、「濾過水を得る方法」は、それぞれ、本件発明11の「流体を前記外筒の内部に供給する工程」、「前記透過物質および前記不透過物質のうち前記一方の物質を、前記導入ポートを介して前記外装空間へと導入する工程」、「前記一方の物質を、前記ポート間空間を通過するようにして前記外装空間から排出する工程」、「分離装置の運転方法」に相当する。 その余の対応関係は、前記イ(ア)aで検討したのと同様である。 したがって、本件発明11と甲1発明2とは、以下の点で相違し、その余の点で一致している。 (相違点4) 「分離膜」について、本件発明11は、「多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体」であるのに対して、甲1発明2は、「内圧型中空糸膜32」である点。 (相違点5) 「流体」について、本件発明11は、「前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体」であるのに対して、甲1発明2は、「上水道」からの「原水」である点。 (相違点6) 本件発明11は、「前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、 前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、 前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、 前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面であ」ることを特定しているのに対して、甲1発明2は、その点が明示されていない点。 (イ) 判断 事案に鑑み、相違点5について検討すると、相違点5は、前記イ(ア)で検討した相違点2と同様であるから、前記イ(イ)で検討したのと同様に、相違点5は実質的なものであるといえるし、甲1発明2において、相違点5に係る本件発明11の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明であるといえないし、また、甲第1号証~甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 申立理由3についての結論 以上の検討のとおり、申立理由3に理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許1、2、4~6、11を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1、2、4~6、11を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701180

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