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特許異議申立

2024-701171

バルーンカテーテル

審判番号
2024-701171
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-076584
登録番号
7530053
請求日
2024年12月05日
審決日
2025年07月10日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】日本ゼオン株式会社
  • 【権利者代理人】前田・鈴木国際特許弁理士法人
  • 【異議申立人】株式会社 東海メディカルプロダクツ
  • 【異議申立人代理人】▲高▼荒 新一
審判長/審判官
  • 審判長 井上 哲男
  • 審判官 土田 嘉一
  • 審判官 麻川 倫広
分類
P1651.121-Y (A61M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7530053号発明「バルーンカテーテル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7530053号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7530053号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2022-76584号)は、平成29年3月31日を出願日とする特願2017-73035号(以下「親出願」という。)の一部を、令和4年5月6日に新たな特許出願としたものであって、令和6年7月30日にその特許権の設定登録がされ、令和6年8月7日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和6年12月5日に特許異議申立人 株式会社東海メディカルプロダクツ(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和7年3月19日付けで取消理由を通知した。それに対し、特許権者は、令和7年5月26日に意見書を提出した。 第2 本件発明 本件特許に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部と、 前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブとを有するバルーンカテーテルであって、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚く、 前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚く、 前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くなり、 前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであり、 前記バルーン部の長さが110~300mmであり、 前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であり、 前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口していて、 IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル。」 第3 特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由は、概略以下のとおりである。 本件発明は、本件特許の親出願の出願日(以下「親出願日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証~甲第4号証に記載された発明に基いて、親出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証 特許第4713057号公報 甲第2号証 米国特許出願公開2009/0247945号明細書 甲第3号証 特開2001-238954号公報 甲第4号証 特開平5-212109号公報 なお、甲第1号証~甲第4号証を、以下「甲1」~「甲4」という。 第4 取消理由通知の概要 令和7年3月19日付け取消理由通知(以下「取消理由通知」という。)に記載した取消理由は、概略以下のとおりである。 本件発明は、本件特許の親出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明、及び甲1、甲2の記載事項に基いて、親出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 各甲号証の記載事項及び引用発明 1 甲1の記載事項及び甲1発明 甲1には次の事項が記載されている。なお、「・・・」は省略を示し、下線は当審で付した(以下同様)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、体内の管腔、例えば血管、消化管、泌尿器管などに発生した狭窄状態にある組織部位を物理的に拡張し、その末梢側の体液流通を改善するために使用されるカテーテル用バルーン及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 ・・・ 【0003】 特に冠状動脈の狭窄状態にある部位を拡張するバルーンカテーテルは、PTCA(経皮的冠状動脈形成術)バルーンカテーテルと呼ばれている。PTCAバルーンカテーテルには、様々な形状があるが、主にオーバーザワイヤタイプとラピッドエクスチェンジタイプ(迅速交換タイプ)の2種類のものが広く使われている。 【0004】 図5はオーバーザワイヤタイプのPTCAバルーンカテーテルの一般的な構成を示す側面図、・・・図7はこれらPTCAバルーンカテーテルの先端側部分の詳細を示す断面図である。 ・・・ 【0007】 これら両タイプのものにおいて、シャフト部2の先端側は図7のように2重管構造になっている。これをオーバーザワイヤタイプを例に挙げて説明する。すなわち、シャフト部2のコネクタ部のガイドワイヤ挿入口4bから最先端部まで貫通し、ガイドワイヤが挿通される場合に使用される細孔(第1のルーメン)5aを有する内管5と、コネクタ部の液体注入口4aからバルーン3の内腔3aに連通し、バルーン3の膨張用液体の注入および加圧を行う場合に使用される細孔(第2のルーメン)6aを有する外管6とを備えた2重管構造に形成されている。・・・ 【0008】 バルーン3は、図7のように円筒部3bとその両端側に円錐部3c,3d、さらにその両端側にネック部3e,3fを備えた形状を呈し、先端側のネック部3eが内管5に、基端側のネック部3fが外管6に、それぞれ接続されている。・・・ 【0013】 また、バルーン3は、より肉厚が均一で薄く、より耐圧が高い方が良い。もし、バルーン3の円筒部3bの肉厚にむらがあり、円筒部3bの他の部分に比べて肉厚の薄い箇所があると、膨張時にその部分で割れてしまう。すなわち、バルーン3の肉厚をできるだけ薄くし、かつ耐圧を向上させるためには、円筒部3bの肉厚が均一になるように成形して、円筒部3bの肉厚の不均一さを少なくする必要がある。同様に、円筒部3bの両端側の円錐部3c,3dの肉厚も互いに均等でなければならない。つまり、円錐部3c,3dの肉厚はいずれも円筒部3bからネック部に向かうにつれて厚くなるが、同じ肉厚の変化率で円錐部3c,3dの厚みが変化するようにしなければならない。」 「【0027】 【課題を解決するための手段】 本発明に係るカテーテル用バルーンは、カテーテルの先端部に設けられるバルーンであって、先端部に固定される先端側ネック部と、先端部に固定され、先端側ネック部よりも大きな内径を有する基端側ネック部と、先端部に固定されず、膨張及び収縮する円筒部と、先端側ネック部と円筒部の先端側とを接続する先端側円錐部と、基端側ネック部と円筒部の基端側とを接続する基端側円錐部とを有し、円筒部の肉厚は、先端側ネック部および基端側ネック部の肉厚よりも薄く、長軸方向における肉厚が均一のパリソンを長軸方向における両端部を等しい力で延伸することにより、先端側円錐部の円筒部の先端側から先端側ネック部へ至る肉厚の変化率と、基端側円錐部の円筒部の基端側から基端側ネック部へ至る肉厚の変化率とが等しく、かつカテーテルの長軸方向における円筒部の肉厚が均一であり、先端側ネック部の肉厚Aと基端側ネック部の肉厚Bの比(A/B)が1より大きい先端側ネック部及び基端側ネック部を形成した後、先端側ネック部のみをさらに延伸することにより、先端側ネック部の肉厚Aと基端側ネック部の肉厚Bの比(A/B)が1/3~1の範囲に形成されてなるものである。」 「【0030】 【実施例】 実施例1 ・・・ 【0035】 その後、金型全体を室温まで冷却し、第2のバルーン3Bの両端側ネック部3e,3fを適切な長さでカットすることで、先端側ネック部3eにおいてはその先端厚肉部が除去されて、図3のように両端側ネック部3e,3fにおいてはその肉厚がそれぞれほぼ均一の厚さを有し、円筒部3bの外径がφ1.5mm、長さが20mmに成形されたバルーン3を作製した。 【0036】 以上のようにして製造されたバルーン3のネック部の肉厚は、先端側ネック部肉厚Aが0.031mm、基端側ネック部肉厚Bが0.050mmであり、先端側ネック部肉厚をA、基端側ネック部肉厚をBとすると、A/B<2/3であった。」 「【0038】 実施例2 ここでは、前述の実施例1のカテーテル用バルーンの製造方法を用いて実施例1とはサイズの異なるバルーンを作製した。押出成形したパリソンは、実施例1と同材料で、寸法は外径φ0.90mm、内径φ0.60mmの単管チューブである。 ・・・ 【0043】 その後、金型全体を室温まで冷却し、第2のバルーン両端側ネック部を適切な長さでカットすることで、先端側ネック部3eにおいてはその先端厚肉部が除去されて、両端側ネック部においてはその肉厚がそれぞれほぼ均一の厚さを有し、円筒部の外径φ3.0mm、長さが30mmに成形されたバルーンを作製した。 【0044】 以上のようにして製造されたバルーンのネック部の肉厚は、先端側ネック部肉厚Aが0.041mm、基端側ネック部肉厚Bが0.065mmであり、先端側ネック部肉厚をA、基端側ネック部肉厚をBとすると、A/B<2/3であった。」 【図3】 「 [図:0001425770000001.jpg] 」 【図5】 「 [図:0001425770000002.jpg] 」 【図7】 「 [図:0001425770000003.jpg] 」 【図7】の図示内容から、細孔(第2のルーメン)6aは、基端側円錐部3dの周辺部で開口している。 以上を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「先端部に固定される先端側ネック部3eと、先端部に固定され、先端側ネック部3eよりも大きな内径を有する基端側ネック部3fと、先端部に固定されず、膨張及び収縮する円筒部3bと、先端側ネック部3eと円筒部3bの先端側とを接続する先端側円錐部3cと、基端側ネック部3fと円筒部3bの基端側とを接続する基端側円錐部3dとを有するバルーン3と、 ガイドワイヤが挿通される場合に使用される細孔(第1のルーメン)5aを有する内管5と、コネクタ部の液体注入口4aからバルーン3の内腔3aに連通し、バルーン3の膨張用液体の注入及び加圧を行う場合に使用される細孔(第2のルーメン)6aを有する外管6とを備えた2重管構造に形成されているシャフト部2とを有するPTCA(経皮的冠状動脈形成術)バルーンカテーテル1Aであって、 バルーン3は、先端側ネック部3eが内管5に、基端側ネック部3fが外管6に、それぞれ接続されており、 円筒部3bの肉厚は、先端側ネック部3e及び基端側ネック部3fの肉厚よりも薄く、 先端側円錐部3cの円筒部3bの先端側から先端側ネック部3eへ至る肉厚の変化率と、基端側円錐部3dの円筒部3bの基端側から基端側ネック部3fへ至る肉厚の変化率とが等しく、 先端側円錐部3cの肉厚は円筒部3bから先端側ネック部3eに向かうにつれて厚くなり、基端側円錐部3dの肉厚は円筒部3bから基端側ネック部3fに向かうにつれて厚くなり、 円筒部3bの外径がφ1.5mm、長さが20mmに成形されるか、 円筒部3bの外径がφ3.0mm、長さが30mmに成形され、 細孔(第2のルーメン)6aは、基端側円錐部3dの周辺部で開口している、 PTCA(経皮的冠状動脈形成術)バルーンカテーテル1A」 2 甲2の記載事項及び甲2発明 甲2には次の事項が記載されている。なお、和訳は当審で付した。 「[0002] The present invention relates to balloon catheter devices and balloon catheter systems and methods of use thereof. More specifically, the present invention provides crossing balloon systems (CBS) for use in the treatment of occluded body passages and chronic total occlusion (CTO) and related conditions in blood vessels.」 (和訳)[0002]本発明は、バルーンカテーテルデバイス及びバルーンカテーテルシステム並びにそれらを使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、閉塞された体内流路並びに血管内の慢性完全閉塞(CTO)及び関連病状の治療に使用するためのクロッシングバルーンシステム(CBS)を提供する。 「[0064] FIG. 1 schematically illustrates an over the wire implementation of the balloon catheter of the invention. This balloon catheter implementation comprises an outer shaft 18, inner shaft 17 passing thereinside, and a balloon 5ab. The lumen of inner shaft 17 may be used for passing a guide wire thereinside, which may be introduced via its proximal opening (e.g., 12 in FIGS. 7A-7F).」 (和訳)[0064]図1は、本発明のバルーンカテーテルのオーバーザワイヤ型の実装を示す略図である。このバルーンカテーテルの実装は、外側シャフト18、外側シャフトの内側を通る内側シャフト17、及びバルーン5abを備える。内側シャフト17のルーメンは、近位開口部を介して導入され得る、ガイドワイヤを中に通すために使用され得る(例えば、図7A~7Fの12)。 「[0066]・・・Inflation fluid lumen 18a (shown in FIG. 2) obtained between the inner shaft 17 and the inner wall of outer shaft 18 provides a path for filling the inner space 18b of balloon 5ab with pressurized inflation fluid provided therethrough.」 (和訳)[0066]・・・内側シャフト17と外側シャフト18の内壁との間に形成される膨張流体ルーメン18a(図2に示される)は、その中を通って提供される加圧された膨張流体によってバルーン5abの内部空間18bを充填するための経路を提供する。 「[0155] Balloons according to the invention may have a midsection diameter that is selected and suitable for the desired use. Non-limiting exemplary diameters include 1.5 mm to 20 mm, 1.5 mm to 8 mm, 2 mm to 6 mm, preferably about 3 mm. Balloons according to the invention may have a length that is selected and suitable for the desired use. Non-limiting exemplary lengths include 10 to 50 mm, 30 mm, and 20 mm.」 (和訳)[0155]本発明に係るバルーンは、所望の使用のために選択及び適合された中間部直径を有し得る。非限定的で例示的な直径は、1.5mmから20mm、1.5mm、8mm、2mm~6mm、好ましくは約3mmである。本発明に係るバルーンは、所望の使用のために選択及び適合された長さ有することができる。非限定的で例示的な長さは、10~50mm、30mm、及び20mmである。 「[0162] FIG. 20 schematically illustrates an embodiment of an over-the-wire implementation of a balloon according to the invention. Balloon 253 is illustrated with a catheter implementation that includes an outer shaft 251 and an inner shaft 252 passing therethrough. Inner shaft 251 may be used for passing a guidewire 254 therethrough; the guidewire 254 may be introduced via a distal opening or via a proximal opening of inner shaft 252. Balloon 253 preferably includes: proximal neck 253d, which may preferably be attached via art-known attachment methods to the outer surface of outer shaft 251 at or near its distal end; frustoconical proximal taper 253a; frustoconical midsection 253b; frustoconical distal taper 253c; and distal neck 253e, which preferably is attached via art-known attachment methods to the outer surface of inner shaft 252 at or near its distal end.」 (和訳)[0162]図20は、本発明によるバルーンのオーバーザワイヤの実装の一実施形態の概略を示す。外側シャフト251及びその外側シャフト251の中を通る内側シャフト252を備えるカテーテルの実装とともに、バルーン253が示される。内側シャフト251は、ガイドワイヤ254を内側シャフト251内に通すために使用され、ガイドワイヤ254は、遠位開口部を介して、または内側シャフト252の近位開口部を介して導入され得る。バルーン253は、好ましくは、以下の構成を備える:外側シャフト251の遠位端又はその近くの外面に、好ましくは当技術分野で知られている取付け方法を用いて取り付けられた近位ネック253d;円錐台形状近位テーパ253a;円錐台形状中間部253b;円錐台形状遠位テーパ253c;内側シャフト252の遠位端又はその近くの外面に、好ましくは当技術分野で知られている取付け方法を用いて取り付けられた遠位ネック253e。 「[0164] The wall thickness of proximal taper 253a may increase in a tapered manner proximally towards the proximal neck 253d of the balloon 253. The wall thickness of distal taper 253c may increase in a tapered manner distally towards the distal neck 253e of the balloon 253. [0165] The wall of proximal taper 253a may preferably have a greater average thickness compared to the average thickness of the wall of distal taper 253c. The average thickness of the wall of proximal tapers 253a thus may preferably be relatively thicker than the average thickness of the wall of distal tapers 253c. The average thickness of the wall of proximal taper 253a may preferably be 10% greater than the average thickness of the wall of distal taper 253c; more preferably 15% greater; even more preferably 20% greater. [0166] In certain embodiments, both proximal taper 253a and distal taper 253c may have an average wall thickness that is greater than the average wall thickness of midsection 253b. In preferred embodiments, the average thickness of the wall of proximal taper 253a may be greater than the average thickness of the wall of distal taper 253c, and the average thickness of the wall of distal taper 253c may be greater than the average thickness of the wall of midsection 253b.」 (和訳)[0164]近位テーパ253aの壁厚は、バルーン253の近位ネック253dに向かって近位方向にテーパ状に増加し得る。遠位テーパ253cの壁厚は、バルーン253の遠位ネック253eに向かって遠位方向にテーパ状に増加し得る。 [0165]近位テーパ253aの壁は、好ましくは、遠位テーパ253cの壁の平均厚さに比べて、より大きな平均厚さを有し得る。近位テーパ253aの壁の平均厚さは、好ましくは、遠位テーパ253cの壁の平均厚さに比べて相対的に厚くし得る。近位テーパ253aの壁の平均厚さは、遠位テーパ253cの壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きいものとし得る。 [0166]いくつかの実施形態では、近位テーパ253a及び遠位テーパ253cは両方とも、中間部253bの平均壁厚より大きい平均壁厚を有し得る。好ましい実施形態では、近位テーパ253aの壁の平均厚さは、遠位テーパー253cの壁の平均厚さより大きく、遠位テーパ253cの壁の平均厚さは、中間部253bの壁の厚さより大きいものとし得る。 図1 「 [図:0001425770000004.jpg] 」 図2 「 [図:0001425770000005.jpg] 」 図20 「 [図:0001425770000006.jpg] 」 段落[0066]及び[0162]の記載事項、図2及び20の図示内容から、内側シャフト252と外側シャフト251の内壁との間には、その中を通って提供される加圧された膨張流体によってバルーン253の内部空間を充填するための経路を提供する膨張流体ルーメンが形成されている。また、図20の図示内容から、膨張流体ルーメンは、円錐台形状近位テーパ253aの周辺部で開口している。 以上を総合すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 「外側シャフト251の遠位端又はその近くの外面に取り付けられた近位ネック253dと、円錐台形状近位テーパ253aと、円錐台形状中間部253bと、円錐台形状遠位テーパ253cと、内側シャフト252の遠位端又はその近くの外面に取り付けられた遠位ネック253eとを備えるバルーン253と、 外側シャフト251及びその外側シャフト251の中を通る内側シャフト252を備え、内側シャフト252と外側シャフト251の内壁との間には、その中を通って提供される加圧された膨張流体によってバルーン253の内部空間を充填するための経路を提供する膨張流体ルーメンが形成されるカテーテルとを有するバルーンカテーテルデバイスであって、 円錐台形状近位テーパ253aの壁の平均厚さは、円錐台形状遠位テーパ253cの壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きく、 円錐台形状遠位テーパ253cの壁の平均厚さは、中間部253bの壁の厚さより大きいものとされ、 円錐台形状近位テーパ253aの壁厚は、バルーン253の近位ネック253dに向かって近位方向にテーパ状に増加し、 バルーン253の直径は、1.5mmから20mmであり、 バルーン253の長さは、10~50mmであり、 膨張流体ルーメンは、円錐台形状近位テーパ253aの周辺部で開口していて、 閉塞された体内流路並びに血管内の慢性完全閉塞(CTO)及び関連病状の治療に使用するためのクロッシングバルーンシステム(CBS)に用いられるバルーンカテーテルデバイス。」 3 甲3の記載事項及び甲3発明 甲3には、次の事項が記載されている。 「【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。図1に示す実施形態に係るバルーンカテーテル2は、IABPに用いられるものであり、心臓の拍動に合わせて拡張および収縮するバルーン部4を有する。バルーン4部は、筒状のバルーン膜22で構成されることが好ましく、内部にバルーン空間が形成してある。」 「【0018】このようにして成形されたバルーン膜22の遠位端には、図1に示すように、先細と成る遠位端側テーパ部24が形成され、その最遠位端の筒状端部7が内チューブ10の遠位端外周に熱融着または接着などの手段で取り付けられる。 【0019】また、バルーン膜22の近位端には、先細と成る近位端側テーパ部26が形成され、その最近位端の筒状端部5が、カテーテルチューブ6を構成する外チューブ6aの遠位端の筒状端部に熱融着により接合してある。 【0020】カテーテルチューブ6は、外チューブ6aと内チューブ10とからなる二重カテーテルチューブ構造となっており、外チューブ6aと内チューブ10との間の隙間に第1ルーメン12が形成してあり、内チューブ10の内部にバルーン膜22の内部およびカテーテルチューブ6内に形成された第1ルーメン12とは連通しない第2ルーメン14が形成してある。 【0021】二重カテーテルチューブ6の内部に形成された第1ルーメン12の遠位端開口部6bを通じて、バルーン部4内に、圧力流体が導入または導出され、バルーン部4が拡張または収縮するようになっている。」 「【0032】実施例1(当審注:この下線は公報に付されているもの) ・・・ 【0033】このようにして得られた筒状バルーン膜の膨らんだ状態での外径Dは20mmであり、軸方向長さLは240mmであった。 【0034】筒状バルーン膜22における軸方向の膜厚は、図5に示す曲線Aに示すように、遠位端側で薄く、近位端側で厚く、厚みが徐々に変化していた。バルーン膜22の膜厚と、先端チップからの距離との関係を表1に示す。」 「【0039】 【表1】 [図:0001425770000007.jpg] 」 「【0045】評価(当審注:この下線は公報に付されているもの) 表2に示すように、実施例1および2によれば、比較例1および2に比較し、特に収縮時間T2が大幅に短縮され、バルーン部の応答性が向上することが確認できた。これは、バルーン部の膜厚が、バルーン部の遠位端側に比較して近位端側で厚いことから、バルーン部を収縮させたときに、膜厚が薄いバルーン部の遠位端側からバルーン部が収縮し始め、バルーン部内のヘリウムガスが、バルーン部の遠位端側の収縮動作により、効率的に排出されるからと考えられる。なお、バルーン部の膜厚が、バルーン部の遠位端側に比較して近位端側で薄い場合(比較例2)には、バルーン部の収縮時間T2が大幅に増大する。これは、バルーン部が、バルーン部の近位端側から収縮するために、バルーン部における遠位端側に残ってしまうヘリウムガスの排出が困難になるためと考えられる。」 【図1】 「 [図:0001425770000008.jpg] 」 【図5】 「 [図:0001425770000009.jpg] 」 【図1】及び【図5】の図示内容から、遠位端側テーパ部24は、先端チップからの距離が20mmの位置よりも遠位側であり、近位端側テーパ部26は、先端チップからの距離が220mmの位置よりも近位側である。そして、遠位端側テーパ部24と近位端側テーパ部26の間は、先端チップからの距離が20~220mmの部分である。 【表1】の「実施例1」の膜厚及び【図5】の曲線Aによれば、筒状バルーン膜22の膜厚は、先端チップからの距離が20~220mmの部分において、遠位端側の50μmから近位端側の90μmまで徐々に厚みが変化する。また、遠位端側テーパ部24の膜厚は50μmで一定であり、近位端側テーパ部26の膜厚は90μmで一定である。 筒状バルーン膜軸方向長さLは240mm(段落【0033】)であるところ、近位端側テーパ部26は、先端チップからの距離が220mmの位置よりも近位側であるから、近位端側テーパ部26の長さは20mmである。 【図1】の図示内容から、遠位端開口部6bは、近位端側テーパ部26の周辺部で開口している。 以上を総合すると、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 「筒状のバルーン膜22で構成され、バルーン膜22の遠位端には、先細と成る遠位端側テーパ部24が形成され、バルーン膜22の近位端には、先細と成る近位端側テーパ部26が形成され、遠位端側テーパ部24と近位端側テーパ部26の間は、先端チップからの距離が20~220mmの部分である、心臓の拍動に合わせて拡張及び収縮するバルーン部4と、 バルーン膜22の最近位端の筒状端部5が、二重カテーテルチューブ6を構成する外チューブ6aの遠位端の筒状端部に熱融着により接合してあり、外チューブ6aと内チューブ10とからなる二重カテーテルチューブ構造となっており、外チューブ6aと内チューブ10との間の隙間に第1ルーメン12が形成してあり、二重カテーテルチューブ6の内部に形成された第1ルーメン12の遠位端開口部6bを通じて、バルーン部4内に、圧力流体が導入又は導出され、バルーン部4が拡張又は収縮するようになっている二重カテーテルチューブ6とを有するバルーンカテーテル2であって、 筒状バルーン膜22の膜厚は、先端チップからの距離が20~220mmの部分において、遠位端側の50μmから近位端側の90μmまで徐々に変化し、 遠位端側テーパ部24の膜厚は50μmで一定であり、近位端側テーパ部26の膜厚は90μmで一定であり、 筒状バルーン膜22の膨らんだ状態での外径Dは20mmであり、 筒状バルーン膜22の軸方向長さLは240mmであり、 近位端側テーパ部26の長さは20mmであり、 遠位端開口部6bは、近位端側テーパ部26の周辺部で開口していて、 IABPに用いられるバルーンカテーテル2。」 4 甲4の記載事項及び甲4発明 甲4には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】大動脈中に挿着されるバルーンと、前記バルーンを駆動させるドライバーユニットとを有してなり、心収縮期に、前記バルーンの近位部を前記バルーンの遠位部よりある位相をもって遅れて収縮させ、前記バルーンの近位部に弁作用としての働きをさせることを特徴とするバルーンパンピングシステム。」 「【請求項6】一体で成形されてなる前記バルーンは、前記バルーンの近位部の肉厚を遠位部の肉厚より厚く形成させてなることを特徴とする請求項1記載のバルーンパンピングシステム。」 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、機能が低下した心臓の補助のために使用される補助循環装置に関するものである。」 【0002】 【従来の技術】従来の数ある補助循環装置のうちで、現在最も早くから臨床面で応用されているものの一つに、大動脈内バルーンパンピング(以下IABPという)がある。」 「【0006】 【実施例】以下、本発明によるIABPの実施例を理解を容易にするためにバルーンを近位部と遠位部とに分けた例について図面に基づいて説明する。図1は、心拡張期における左室とバルーンと血液の流れを示す図である。図において左室1は拡張期にあり、大動脈弁2は閉じており大動脈3からの血液の逆流を防いでいる。バルーンは、パンピング用大バルーン6と弁用小バルーン7から構成されており、心拡張期にはパンピング用大バルーン6も弁用小バルーン7も同時に膨らませるために拡張期圧を上昇させ冠血流量が増加する。・・・ 【0007】その手段としての他の実施例を以下に説明する。図4は、一体で成形されたバルーン4の形状を遠位部より近位部を大きく形成した実施例を示す図で、8はカテーテルである。・・・図6は、一体で成形されたバルーン24の近位部より遠位部を弾性収縮力の大きい素材を用い早期に収縮させるようにした実施例を示す図である。この場合に、逆に近位部を収縮しづらい材質に変えることによっても行うことができる。図7は、一体で成形されたバルーン34の肉厚を近位部で厚くした実施例を示す図である。図8は、カテーテル8に配設される複数個の気体出入孔8aをバルーン44の遠位部に集中的に配置した実施例を示す図であり、この場合に近位部の気体出入孔はなくても構わない。」 「【0009】 【発明の効果】本発明によれば、心収縮期においてバルーンの近位部が弁作用を持つため、バルーン収縮期に血液が下部大動脈より逆流するのを防ぐと共に、左室より血液を陰圧によって吸い上げる効果を持つ。その結果、バルーンは従来の心収縮期における後負荷軽減効果だけでなく、積極的なポンプ作用を持つことになる。従って、心機能が著しく低下した重症例の場合でも有効なIABP用バルーンとして使用可能となる。」 【図7】 「 [図:0001425770000010.jpg] 」 【図8】 「 [図:0001425770000011.jpg] 」 図7に示されるバルーン34とカテーテル8からなるものは、バルーンカテーテルである。 図7に示されるバルーン34の実施例においても気体出入り孔8aがカテーテル8に配設される。 以上を総合すると、甲4には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。 「大動脈中に挿着されるバルーン34と、 気体出入り孔8aが配設されるカテーテル8とを有するバルーンカテーテルであって、 一体で成形されてなるバルーン34は、バルーン34の近位部の肉厚を遠位部の肉厚より厚く形成させてなり、 心収縮期に、バルーン34の近位部をバルーン34の遠位部よりある位相をもって遅れて収縮させ、バルーン34の近位部に弁作用としての働きをさせる大動脈内バルーンパンピングシステムのバルーンカテーテル。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由(甲3を主引例とする進歩性欠如)について (1)対比・判断 本件発明と甲3発明とを対比する。 ア 甲3発明の「バルーン膜22の遠位端に」「形成され」た「先細と成る遠位端側テーパ部24」及び「バルーン膜22の近位端に」「形成され」た「先細と成る近位端側テーパ部26」は、その機能及び構成からみて、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部」及び「遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部」に、それぞれ相当する。 また、甲3発明のバルーン部4の「遠位端側テーパ部24と近位端側テーパ部26の間」の「先端チップからの距離が20~220mmの部分」は、本件発明の「前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部」に相当する。 そうすると、甲3発明の「筒状のバルーン膜22で構成され、バルーン膜22の遠位端には、先細と成る遠位端側テーパ部24が形成され、バルーン膜22の近位端には、先細と成る近位端側テーパ部26が形成され、遠位端側テーパ部24と近位端側テーパ部26の間は、先端チップからの距離が20~220mmの部分である、心臓の拍動に合わせて拡張及び収縮するバルーン部4」は、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部」に相当する。 イ 甲3発明の「二重カテーテルチューブ6の内部に形成された第1ルーメン12の遠位端開口部6b」は、その機能及び構成からみて、本件発明の「当該バルーン部の内部と連通する連通口」に相当するから、甲3発明の「外チューブ6aと内チューブ10との間の隙間に」「形成してあ」る「第1ルーメン12」は、本件発明の「連通口を持つルーメン」に相当する。 また、甲3発明の「バルーン膜22の最近位端の筒状端部5が」「熱融着により接合してあ」ることは、本件発明の「前記バルーン部の近位端部が接合してあ」ることに相当する。 そうすると、甲3発明の「バルーン膜22の最近位端の筒状端部5が、二重カテーテルチューブ6を構成する外チューブ6aの遠位端の筒状端部に熱融着により接合してあり、外チューブ6aと内チューブ10とからなる二重カテーテルチューブ構造となっており、外チューブ6aと内チューブ10との間の隙間に第1ルーメン12が形成してあり、二重カテーテルチューブ6の内部に形成された第1ルーメン12の遠位端開口部6bを通じて、バルーン部4内に、圧力流体が導入又は導出され、バルーン部4が拡張又は収縮するようになっている二重カテーテルチューブ6」は、本件発明の「前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブ」に相当する。 ウ 甲3発明の「筒状バルーン膜22の膜厚は、先端チップからの距離が20~220mmの部分において、遠位端側の50μmから近位端側の90μmまで徐々に変化し、」「近位端側テーパ部26の膜厚は90μmであ」ることは、本件発明の「前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚」いことに相当する。 エ 甲3発明の「遠位端側テーパ部24の膜厚は50μmであり、近位端側テーパ部26の膜厚は90μmであ」ることは、近位端側テーパ部26の膜厚が、遠位端側テーパ部24のどの位置よりも厚いことであるから、本件発明の「前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚」いことに相当する。 オ 甲3発明の「筒状バルーン膜22の膨らんだ状態での外径Dは20mmであ」ること及び「筒状バルーン膜22の軸方向長さLは240mmであ」ることは、本件発明の「前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであ」ること及び「前記バルーン部の長さが110~300mmであ」ることに、それぞれ相当する。 カ 甲3発明の「筒状バルーン膜22の軸方向長さLは240mmであり、近位端側テーパ部26の長さは20mmであ」ることは、筒状バルーン膜22の軸方向長さLに対する近位端側テーパ部26の長さの比が20/240=約0.08となるから、本件発明の「前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であ」ることに相当する。 キ 甲3発明の「遠位端開口部6bは、近位端側テーパ部26の周辺部で開口してい」ることは、本件発明の「前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口してい」ることに相当する。 ク 甲3発明の「IABPに用いられるバルーンカテーテル2」は、本件発明の「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」に相当する。 そうすると、本件発明と甲3発明とは、 「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部と、 前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブとを有するバルーンカテーテルであって、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚く、 前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚く、 前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであり、 前記バルーン部の長さが110~300mmであり、 前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であり、 前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口していて、 IABP法に用いられるバルーンカテーテル。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本件発明は、「前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くな」るのに対して、甲3発明は、近位端側テーパ部26の膜厚が90μmで一定である点。 上記相違点1について検討する。 甲3発明の近位端側テーパ部26の膜厚は、一定であって、近位側に向かって徐々に厚くなっていないから、上記相違点1は実質的な相違点である。 ここで、本件発明は、IABP法では心臓の拍動に合わせてタイミング良くバルーン部を膨張及び収縮させる必要があることを背景技術とし(段落【0003】)、バルーン部の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン部の応答性を向上させることができる(段落【0055】)、という効果を奏するものであり、さらに、上記相違点1に係る事項に関連して、第2コーン部におけるバルーン膜の厚みが、近位側に向かって徐々に厚くなることで、上記効果を十分に得ることができる(段落【0058】)という作用効果を奏するものである。 他方、甲3には、バルーン部の応答性が向上することについて記載されている(段落【0045】)ものの、近位端側テーパ部26の膜厚は一定であるから、上記作用効果は期待できない。 また、甲1の段落【0013】には、バルーン3の基端側円錐部3dの肉厚が円筒部3bから基端側ネック部3fに向かうにつれて厚くなることが、甲2の段落[0164]には、バルーン253の円錐台形状近位テーパ部253aの壁厚が近位ネック253dに向かって近位方向にテーパ状に増加することが、それぞれ記載されているものの、甲1の「バルーン3」及び甲2の「バルーン253」は、いずれもIABP法に用いられるものではなく、収縮時間及び膨張時間を短くして応答性を向上させるものではない。 そうすると、甲3発明において、甲1の記載事項又は甲2の記載事項を適用する動機付けはない。 また、甲4には、上記相違点1に係る事項は記載されていない。 したがって、上記相違点1に係る事項は、甲3発明及び甲1、甲2、甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (2)小括 以上のとおりであるから、本件発明は、甲3発明に基いて、又は、甲3発明及び甲1、甲2、甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由 特許異議申立書には、甲1~甲4のいずれが主引例であるのか明示されていないが、甲3を主引例とする進歩性欠如についての判断は上記1のとおりであるから、以下、甲1、甲2又は甲4を主引例とする進歩性欠如について、順に検討する。 (1)甲1を主引例とする進歩性欠如 本件発明と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「先端側ネック部3eと円筒部3bの先端側とを接続する先端側円錐部3c」、「基端側ネック部3fと円筒部3bの基端側とを接続する基端側円錐部3d」及び「円筒部3b」は、その機能及び構成からみて、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部」、「遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部」及び「前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲1発明の「先端部に固定される先端側ネック部3eと、先端部に固定され、先端側ネック部3eよりも大きな内径を有する基端側ネック部3fと、先端部に固定されず、膨張及び収縮する円筒部3bと、先端側ネック部3eと円筒部3bの先端側とを接続する先端側円錐部3cと、基端側ネック部3fと円筒部3bの基端側とを接続する基端側円錐部3dとを有するバルーン3」は、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部」に相当する。 イ 甲1発明の「コネクタ部の液体注入口4aからバルーン3の内腔3aに連通し、バルーン3の膨張用液体の注入及び加圧を行う場合に使用される細孔(第2のルーメン)6a」は、その機能及び構造からみて、本件発明の「バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメン」に相当する。 そうすると、甲1発明の「ガイドワイヤが挿通される場合に使用される細孔(第1のルーメン)5aを有する内管5と、コネクタ部の液体注入口4aからバルーン3の内腔3aに連通し、バルーン3の膨張用液体の注入及び加圧を行う場合に使用される細孔(第2のルーメン)6aを有する外管6とを備えた2重管構造に形成されているシャフト部2」は、本件発明の「当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブ」に相当する。 また、甲1発明の「バルーン3は、」「基端側ネック部3fが外管6に、」「接続されて」いることは、本件発明の「カテーテルチューブ」に「前記バルーン部の近位端部が接合してあ」ることに相当する。 ウ 甲1発明の「円筒部3bの肉厚は、」「基端側ネック部3fの肉厚よりも薄く」、「基端側円錐部3dの肉厚は円筒部3bから基端側ネック部3fに向かうにつれて厚くな」ることは、基端側円錐部3dの肉厚が円筒部3bの肉厚よりも厚いことであるから、本件発明の「前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚」いことに相当する。 エ 甲1発明の「基端側円錐部3dの肉厚は円筒部3bからネック部3fに向かうにつれて厚くな」ることは、本件発明の「前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くな」ることに相当する。 オ 甲1発明の「細孔(第2のルーメン)6aは、基端側円錐部3dの周辺部で開口している」ことは、本件発明の「前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口してい」ることに相当する。 カ 甲1発明の「PTCAバルーンカテーテル1A」と、本件発明の「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」は、「バルーンカテーテル」の限りで一致する。 そうすると、本件発明と甲1発明とは、 「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部と、 前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブとを有するバルーンカテーテルであって、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚く、 前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くなり、 前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口している、 バルーンカテーテル。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点2-1> 本件発明は、「前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚」いのに対して、甲1発明は、先端側円錐部3cの円筒部3bの先端側から先端側ネック部3eへ至る肉厚の変化率と、基端側円錐部3dの円筒部3bの基端側から基端側ネック部3fへ至る肉厚の変化率とが等しいものの、先端側円錐部3cのある区間の肉厚と、基端側円錐部3dのある区間の肉厚との大小関係が明らかでない点。 <相違点2-2> 本件発明は、「前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであり、前記バルーン部の長さが110~300mmであり、前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であり、」「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」であるのに対して、甲1発明は、円筒部3bの外径がφ1.5mm、長さが20mmに成形されるか、円筒部3bの外径がφ3.0mm、長さが30mmに成形され、バルーン3の長さに対する基端側円錐部3dの長さの比が明らかでなく、PTCAバルーンカテーテル1Aである点。 事案に鑑み、まず、上記相違点2-2から検討する。 本件発明は、IABP法では心臓の拍動に合わせてタイミング良くバルーン部を膨張及び収縮させる必要があることを背景技術とし(段落【0003】)、バルーン部の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン部の応答性を向上させることができる(段落【0055】)、という効果を奏するものであり、さらに、第2コーン部におけるバルーン膜の厚みが、近位側に向かって徐々に厚くなることで、上記効果を十分に得ることができる(段落【0058】)という作用効果を奏するものである。 他方、甲1発明のPTCAバルーンカテーテル1Aは、狭窄状態にある組織部位を物理的に拡張し、その末梢側の体液流通を改善するものであるから、心臓の拍動に合わせて膨張及び収縮させるものではなく、バルーン3の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン3の応答性を向上させるものではない。 そうすると、甲1発明のPTCAバルーンカテーテル1Aにおいて、IABP法に用いるために、バルーン3の各寸法を上記相違点2-2に係る事項とする動機付けはない。 また、甲3、甲4には、IABP法に用いられるバルーンカテーテルがそれぞれ記載されているものの、甲1発明に甲3の記載事項又は甲4の記載事項を適用する動機付けはない。 また、甲2には、上記相違点2-2に係る事項は記載されていない。 したがって、上記相違点2-2に係る事項は、甲1発明及び甲2~甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点2-1については検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明に基いて、又は、甲1発明及び甲2~甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲2を主引例とする進歩性欠如 本件発明と甲2発明とを対比する。 ア 甲2発明の「円錐台形状遠位テーパ253c」、「円錐台形状近位テーパ253a」及び「円錐台形状中間部253b」は、その機能及び構造からみて、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部」、「遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部」及び「前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲2発明の「外側シャフト251の遠位端又はその近くの外面に取り付けられた近位ネック253dと、円錐台形状近位テーパ253aと、円錐台形状中間部253bと、円錐台形状遠位テーパ253cと、内側シャフト252の遠位端又はその近くの外面に取り付けられた遠位ネック253eとを備えるバルーン253」は、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部」に相当する。 イ 甲2発明の「その中を通って提供される加圧された膨張流体によってバルーン253の内部空間を充填するための経路を提供する膨張流体ルーメン」は、その機能及び構造からみて、本件発明の「当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメン」に相当する。 そうすると、甲2発明の「外側シャフト251及びその外側シャフト251の中を通る内側シャフト252を備え、内側シャフト252と外側シャフト251の内壁との間には、その中を通って提供される加圧された膨張流体によってバルーン253の内部空間を充填するための経路を提供する膨張流体ルーメンが形成されるカテーテル」は、本件発明の「当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブ」に相当する。 また、甲2発明の「近位ネック253d」が「外側シャフト251の遠位端又はその近くの外面に取り付けられ」ていることは、本件発明の「カテーテルチューブ」に「前記バルーン部の近位端部が接合してあ」ることに相当する。 ウ 甲2発明の「円錐台形状近位テーパ253aの壁の平均厚さは、円錐台形状遠位テーパ253cの壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きく、円錐台形状遠位テーパ253cの壁の平均厚さは、中間部253bの壁の厚さより大きいものとされ」ることは、円錐台形状近位テーパ253aの壁の平均厚さが、中間部253bの壁の厚さより大きいことであるから、本件発明の「前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚」いことに相当する。 エ 甲2発明の「円錐台形状近位テーパ部253aの壁厚は、バルーン253の近位ネック253dに向かって近位方向にテーパ状に増加」することは、本件発明の「前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くな」ることに相当する。 オ 甲2発明の「膨張流体ルーメンは、円錐形状近位テーパー部253aの周辺部で開口してい」ることは、本件発明の「前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口してい」ることに相当する。 カ 甲2発明の「閉塞された体内流路ならびに血管内の慢性完全閉塞(CTO)及び関連病状の治療に使用するためのクロッシングバルーンシステム(CBS)に用いられるバルーンカテーテルデバイス」と、本件発明の「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」は、「バルーンカテーテル」の限りで一致する。 そうすると、本件発明と甲2発明とは、 「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部と、 前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブとを有するバルーンカテーテルであって、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚く、 前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くなり、 前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口している、 バルーンカテーテル。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点3-1> 本件発明は、「前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚」いのに対して、甲2発明は、円錐台形状近位テーパ253aの壁の平均厚さは、円錐台形状遠位テーパ253cの壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きいものの、円錐台形状遠位テーパ253cのある区間の肉厚と、円錐台形状近位テーパ253aのある区間の肉厚との大小関係が明らかでない点。 <相違点3-2> 本件発明は、「前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであり、前記バルーン部の長さが110~300mmであり、前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であり、」「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」であるのに対して、甲2発明は、バルーン253の直径が1.5mmから20mmであり、バルーン253の長さが10~50mmであり、バルーン253の長さに対する円錐台形状近位テーパ253aの長さの比が明らかでなく、閉塞された体内流路ならびに血管内の慢性完全閉塞(CTO)及び関連病状の治療に使用するためのクロッシングバルーンシステム(CBS)に用いられるバルーンカテーテルデバイスである点。 事案に鑑み、まず、上記相違点3-2から検討する。 本件発明は、IABP法では心臓の拍動に合わせてタイミング良くバルーン部を膨張及び収縮させる必要があることを背景技術とし(段落【0003】)、バルーン部の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン部の応答性を向上させることができる(段落【0055】)、という効果を奏するものであり、さらに、第2コーン部におけるバルーン膜の厚みが、近位側に向かって徐々に厚くなることで、上記効果を十分に得ることができる(段落【0058】)という作用効果を奏するものである。 他方、甲2発明の閉塞された体内流路ならびに血管内の慢性完全閉塞(CTO)及び関連病状の治療に使用するためのクロッシングバルーンシステム(CBS)に用いられるバルーンカテーテルデバイスは、心臓の拍動に合わせて膨張及び収縮させるものではなく、バルーン253の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン253の応答性を向上させるものではない。 そうすると、甲2発明のバルーンカテーテルデバイスにおいて、IABP法に用いるために、バルーン253の各寸法を上記相違点3-2に係る事項とする動機付けはない。 また、甲3、甲4には、IABP法に用いられるバルーンカテーテルがそれぞれ記載されているものの、甲2発明に甲3の記載事項又は甲4の記載事項を適用する動機付けはない。 また、甲1には、上記相違点3-2に係る事項は記載されていない。 したがって、上記相違点3-2に係る事項は、甲2発明及び甲1、甲3、甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点3-1については検討するまでもなく、本件発明は、甲2発明に基いて、又は、甲2発明及び甲1、甲3、甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)甲4を主引例とする進歩性欠如 本件発明と甲4発明とを対比する。 ア 甲4発明の「大動脈中に挿着されるバルーン34」は、甲4の【図7】を参照すると、近位側に向かって外径が大きくなる部分と、遠位側に向かって外径が大きくなる部分と、これらの部分の間に配された部分とを有するから、甲4発明の「大動脈中に挿着されるバルーン34」と、本件発明の「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部」とは、近位側に向かって外径が大きくなる部分と、遠位側に向かって外径が大きくなる部分と、これらの間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部、の限りで一致する。 イ 甲4発明の「気体出入り孔8a」は、その機能及び構造からみて、本件発明の「連通口」に相当する。 そして、甲4発明の「気体出入り孔8aが配設されるカテーテル8」は、技術常識を参酌すると、バルーン部34の近位端部が接合してあり、気体出入り孔8aを持つルーメンが軸方向に形成してあることが明らかであるから、本件発明の「前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブ」に相当する。 ウ 甲4発明の「一体で成形されてなるバルーン34は、バルーン34の近位部の肉厚を遠位部の肉厚より厚く形成させてな」ることと、本件発明の「前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記第2コーン部で厚」いこととは、前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、遠位側に向かって外径が大きくなる部分で厚いこと、の限りで一致する。 エ 甲4発明の「大動脈内バルーンパンピングシステムのバルーンカテーテル」は、本件発明の「IABP法に用いられることを特徴とするバルーンカテーテル」に相当する。 そうすると、本件発明と甲4発明とは、 「近位側に向かって外径が大きくなる部分と、遠位側に向かって外径が大きくなる部分と、これらの間に配された胴体部とを有し、内部に流体を導入および導出することにより膨張および収縮可能なバルーン部と、 前記バルーン部の近位端部が接合してあり、当該バルーン部の内部と連通する連通口を持つルーメンが軸方向に形成してあるカテーテルチューブとを有するバルーンカテーテルであって、 前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記胴体部に比較して、前記遠位側に向かって外径が大きくなる部分で厚い、 IABP法に用いられるバルーンカテーテル。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点4-1> 本件発明は、バルーン部が「近位側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と」を有し、バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが胴体部に比較して、「前記第2コーン部」で厚いのに対して、甲4発明は、バルーン34の近位側に向かって外径が大きくなる部分と、遠位側に向かって外径が大きくなる部分が、コーンではない点。 <相違点4-2> 本件発明は、「前記第1コーン部の近位端と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第1位置とし、該第1位置と該第1コーン部の近位端との中間位置を第2位置とし、該第1位置と該第1コーン部の遠位端との中間位置を第3位置とし、前記第2コーン部の遠位端と該第2コーン部の近位端との中間位置を第4位置とし、該第4位置と該第2コーン部の遠位端との中間位置を第5位置とし、該第4位置と該第2コーン部の近位端との中間位置を第6位置として、前記バルーン部を構成するバルーン膜の厚みが、前記第1コーン部の前記第2位置から前記第3位置までの区間に比較して、前記第2コーン部の前記第5位置から前記第6位置までの区間で厚」いのに対して、甲4発明は、バルーン34の近位部の肉厚を遠位部の肉厚より厚く形成させてなる点。 <相違点4-3> 本件発明は、「前記第2コーン部における前記バルーン膜の厚みは、近位側に向かって徐々に厚くな」るのに対して、甲4発明は、そのようになっていない点。 <相違点4-4> 本件発明は、「前記バルーン部の膨張時の前記胴体部の外径が10~25mmであり、前記バルーン部の長さが110~300mmであり、前記バルーン部の長さに対する前記第2コーン部の長さの比が0.05~0.15であ」るのに対して、甲4発明は、バルーン34の外径及び長さ、バルーン34の長さに対する近位部の長さの比が明らかでない点。 <相違点4-5> 本件発明は、「前記連通口は、前記第2コーン部の周辺部で開口してい」るのに対して、甲4発明は、気体出入り孔がどこで開口しているか明らかでない点。 事案に鑑み、まず、上記相違点4-3から検討する。 甲4発明のバルーン34の近位部は、バルーン膜の厚みが近位側に向かって徐々に厚くなるコーンではないから、上記相違点4-3は実質的な相違点である。 ここで、本件発明は、IABP法では心臓の拍動に合わせてタイミング良くバルーン部を膨張及び収縮させる必要があることを背景技術とし(段落【0003】)、バルーン部の収縮時間及び膨張時間を短くして収縮及び膨張時のバルーン部の応答性を向上させることができる(段落【0055】)、という効果を奏するものであり、さらに、上記相違点4-3に係る事項に関連して、第2コーン部におけるバルーン膜の厚みが、近位側に向かって徐々に厚くなることで、上記効果を十分に得ることができる(段落【0058】)という作用効果を奏するものである。 他方、甲4発明は、バルーン34の近位部に弁作用としての働きをさせるために、バルーン34の近位部の肉厚を遠位部の肉厚より厚く形成したものであるから、上記作用効果は期待できない。 また、甲1の段落【0013】には、バルーン3の基端側円錐部3dの肉厚が円筒部3bから基端側ネック部3fに向かうにつれて厚くなることが、甲2の段落[0164]には、バルーン253の円錐台形状近位テーパ部253aの壁厚が近位ネック253dに向かって近位方向にテーパ状に増加することが、それぞれ記載されているものの、甲1の「バルーン3」及び甲2の「バルーン253」は、いずれもIABP法に用いられるものではなく、収縮時間及び膨張時間を短くして応答性を向上させるものではない。 そうすると、甲4発明において、甲1の記載事項又は甲2の記載事項を適用する動機付けはない。 また、甲3には、上記相違点4-3に係る事項は記載されていない。 したがって、上記相違点4-3に係る事項は、甲4発明及び甲1~甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点4-1、4-2、4-4及び4-5については検討するまでもなく、本件発明は、甲4発明に基いて、又は、甲4発明及び甲1~3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件発明は、甲1発明、甲2発明又は甲4発明及び甲1~4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701171

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