特許異議申立
2024-701104
発注支援装置、薬品発注支援システム及び薬品発注支援方法
- 審判番号
- 2024-701104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-147070
- 登録番号
- 7484983
- 請求日
- 2024年11月14日
- 審決日
- 2025年01月20日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】栗田工業株式会社
- 【権利者代理人】西澤 和純
- 【権利者代理人】川渕 健一
- 【権利者代理人】服部 映美
- 【異議申立人】大矢 真紀子
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 伊藤 隆夫
- 審判官 村松 貴士
- 分類
- P1652.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7484983号発明「発注支援装置、薬品発注支援システム及び薬品発注支援方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7484983号の請求項5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7484983号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-7に係る特許についての出願は、令和4年9月15日に出願され、令和6年5月8日にその特許権の設定登録がされ、令和6年5月16日に特許掲載公報が発行された。その後、令和6年11月14日に特許異議申立人大矢真紀子(以下、「申立人」という。)により本件特許の請求項5に対して特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項5に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項5】
水を浄化するために利用する複数種の薬品を貯留する複数の薬品タンクそれぞれの残量を表す液位の計測データを、前記複数の薬品タンクを備える1以上の水処理設備から受信する通信部と、
受信された前記計測データに基づいて、前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測を行う予測部と、
前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測結果に基づいて、複数種類の薬品それぞれの発注業者、配送日時及び配送量の情報を含む発注計画を作成する発注計画作成部と、
前記発注計画作成部により作成された前記発注計画の情報を要求元に提供する提供部と、
を備え、
前記予測部は、前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測後において、前記所定期間のうちの特定の期間におけるいずれかの時点の残量の予測値を変更する指示が入力された場合、前記特定の期間以降においては変更された予測値を踏まえて残量の予測を行う、
発注支援装置。」
第3 申立理由の概要
令和6年11月14日に申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
1 本件発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の証拠に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(理由1-1)
主たる証拠として甲第1号証及び従たる証拠として甲4-8号証を引用。
(理由1-2)
主たる証拠として甲第2号証及び従たる証拠として甲1、6-8号証を引用。
(理由1-3)
主たる証拠として甲第3号証及び従たる証拠として甲1、4、5、7-9号証を引用。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2021-101176号公報
甲第2号証:特開2004-271043号公報
甲第3号証:特開2002-193400号公報
甲第4号証:特開2020-187386号公報
甲第5号証:特開2022- 294号公報
甲第6号証:特開2019- 64409号公報
甲第7号証:特開2022- 52950号公報
甲第8号証:特開2002-347941号公報
甲第9号証:特開平 9- 24999号公報
第4 甲号証の記載
(1)甲第1号証(特開2021-101176号公報)
甲1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下、同様。)
「【背景技術】
【0002】
ボイラや循環冷却水系あるいは水処理設備等において、タンク内の薬液を注入対象水にケミカルポンプで注入する場合、タンク内の薬液残量を監視して補充時期を予測したり、ケミカルポンプの安定した動作の監視を行っている。
【0003】
従来、薬液タンク内の残量やケミカルポンプ吐出量を測定するには以下の方法がとられていた。
(a) 電極式センサー、フロート式の液位センサー、タンク底部水圧を感知する圧力センサー、タンク内水面の高さをレーザー反射光で光学式に検知する液位センサー等によってタンク内の液位を測定する。
(b) ポンプのサクション側かデリベリ側のホース等に流量センサーを設置し、流量を測定する。また、測定流量を積算することによりタンク内の残量を算出する。」
「【0008】
本発明は、薬液やその蒸気に非接触な方式でタンク内残量の測定を行い、薬液注入量や薬品在庫量の管理を行うことができる薬注システムの管理方法を提供することを目的とする。」
「【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0017】
図1の通り、薬液タンク1及び薬液タンク1内に貯留された薬液Lの合計重量が重量センサー2で測定可能となっている。薬液タンク1内の薬液Lは、ケミカルポンプ3から薬注配管4を介して薬注対象水系に添加される。
【0018】
重量センサー2としては、圧力センサーや電子秤りなどいずれのものであってもよい。なお、薬液タンク1内の薬液量は、重量センサー2の検出重量から、空の薬液タンク1及び付帯設備の重量(風袋重量)を減算することにより求められる。重量センサー2の検出信号は、有線又は無線回線5によって監視装置(図示略)に送信される。
【0019】
図1のシステムによると、例えば、薬液タンク1内の薬液残量の経時変化を測定して、単位時間当たりの減少量を把握し、薬液残量と単位時間当たりの減少量に基づいて薬液補充時期を予測することができる。
【0020】
その一例を図2を参照して説明する。
【0021】
時刻t1における薬液タンク1内の薬液残量(重量)をW1とし、時刻t2における薬液タンク1内の薬液残量をW2とした場合、時刻t1~t2間の平均減少量(ケミカルポンプ3の平均吐出量)aは
a=(W1-W2)/(t2-t1)
として求められる。
【0022】
残量W1が例えば薬品補充で増加した場合は、新たに計測単位時間の読み直しを行って、再度測定を開始してもよい。
【0023】
薬液タンク1内の薬液残量が規定量Wmにまで減少する時刻tmは、時刻t2から(W2-Wm)/a後(又は時刻t1から(W1-Wm)/a後)として算出される。
【0024】
時刻tmに達した場合、又はそれよりの所定時間早い時点で、薬液補充要求信号(アラーム)をインターネット等を介して送信することにより、薬液切れを起こすことなく薬注運転を行うことができる。
【0025】
薬液補充要求信号は監視装置に送信されてもよく、メンテナンス作業員の携帯端末に送信されてもよく、複数個所に送信されてもよい。アラーム送信先を、管理装置のサーバーにアクセスして設定変更できるようにしてもよい。
【0026】
なお、上記の「所定時間」の一例としては、薬液補充要求信号を受信してからメンテナンス作業員が現場に到着するまでに要する時間、あるいはそれに若干の余裕時間を加えた時間が挙げられるが、これに限定されない。
【0027】
一般に重量などの測定精度(分解能)はフルスケールの1%程度なので、平均減少量と単位時間との積(単位時間当たりの減少量)がその分解能を超えるように(例えば、減少量の測定最小単位がタンク容量×1/100を超えるように)平均減少量算出の期間(単位時間)の長さを設定することが良い。更に、薬液の残量の規定量は、薬液タンク容量から測定精度の誤差分を除いた範囲内(薬液タンク容量×{{100-誤差分(例えば、1)}/100}で算出される量以下)に収まるように重量秤量時の誤差から演算して設定してもよい。そして、上記の設定に基づいて所定の時期に薬液補充要求信号を発してよい。また、タンクを軽量素材として、薬液タンクに付帯するポンプや制御盤通信機器などは可能な限り重量測定に影響の出ない範囲に設置したほうが測定誤差への影響が出ないので良い。
【0028】
図2では、時刻t1,t2の点P1(t1,W1)及びP2(t2,W2)の2点を外挿してアラーム時刻tmを予測するものとしているが、時刻t1~t2間、時刻t2~t3間、時刻t3~t4間、時刻tn~tn+1間のように複数(n個)の期間にわたって残量減少速度を演算し、各残量減少速度を平均し、この平均減少速度に基づいてアラーム時刻を予測するようにしてもよい。
【0029】
或いは、平均減少速度は単純平均だけではなく、例えば過去の平均減少値と、薬剤添加水系の稼働状況のほか、気温や工場操業などのビッグデータを演算させてこれを加味した最大値を演算させて用いて、最短となる時刻を予測してアラーム時刻としてもよい。
【0030】
また、図1のシステムを用いると、所定期間における薬液使用量と、該期間の補給水または給水量、或いはブロー量とに基づいて対象水当たりの添加濃度を演算したり、対象水量を監視して薬液使用速度を把握したりすることも可能である。
【0031】
薬液が希釈して使用される場合は、同上監視装置内で事前にインプットされた希釈率に応じて演算結果を提示することもできる。
【0032】
また、管理装置にメンテナンス作業員のスケジュールデータを与えておき、アラーム送信予定時よりも早い時期であっても作業員スケジュールに合わせてメンテナンス作業員を現場に派遣するような運用システムとしてもよい。」
「【0040】
以上のように、本発明は、タンク外にある重量測定センサーでタンク重量を測定することによって薬液使用量や残量を把握するので、測定センサーの材質やポンプのエア噛などを考慮することなく薬液使用量と残量の適切な管理が可能となる。
【0041】
また、上記のように薬液残量を通信回線を介して監視すれば、複数個所の管理が可能となる。
【0042】
複数個所又は設備の管理を行う場合において、各個所又は設備ごとに補充時期のアラーム配信のタイミングや頻度を変化させてもよい。
【0043】
本発明では、各測定結果、補充時期の予測結果、及び予測の成否の情報を蓄積してシステムに学習させ、気候や季節なども考慮して予測の精度を向上させてもよい。これにより、薬液タンク又は設備ごとに最適な管理・監視が可能となる。」
「【図1】
[図:0001420368000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001420368000002.jpg]
」
以上より、甲1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「水処理設備において(【0002】)、
薬液タンク1内の薬液残量の経時変化を測定して、単位時間当たりの減少量を把握し、薬液残量と単位時間当たりの減少量に基づいて薬液補充時期を予測し(【0019】)、
時刻t1における薬液タンク1内の薬液残量(重量)をW1とし、時刻t2における薬液タンク1内の薬液残量をW2とした場合、時刻t1~t2間の平均減少量(ケミカルポンプ3の平均吐出量)aは
a=(W1-W2)/(t2-t1)
として求められ(【0021】)、
残量W1が例えば薬品補充で増加した場合は、新たに計測単位時間の読み直しを行って、再度測定を開始してもよく(【0022】)、
薬液タンク1内の薬液残量が規定量Wmにまで減少する時刻tmは、時刻t2から(W2-Wm)/a後(又は時刻t1から(W1-Wm)/a後)として算出され(【0023】)、
時刻tmに達した場合、又はそれよりの所定時間早い時点で、薬液補充要求信号(アラーム)をインターネット等を介して送信し(【0024】)、
薬液補充要求信号は監視装置に送信されてもよく、メンテナンス作業員の携帯端末に送信されてもよく、複数個所に送信されてもよく、アラーム送信先を、管理装置のサーバーにアクセスして設定変更できるようにしてもよく(【0025】)、
薬液残量を通信回線を介して監視すれば、複数個所の管理が可能となり(【0041】)、
複数個所又は設備の管理を行う場合において、各個所又は設備ごとに補充時期のアラーム配信のタイミングや頻度を変化させてもよく(【0042】)、
各測定結果、補充時期の予測結果、及び予測の成否の情報を蓄積してシステムに学習させ、気候や季節なども考慮して予測の精度を向上させてもよい(【0043】)
薬注システムの管理装置(【0008】【0025】【0032】)。」
(2)甲第2号証(特開2004-271043号公報)
甲2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0011】
図1は、本発明が適用されるごみ焼却プラントの構成の一例を示す図である。図1に示すごみ焼却プラント1は、搬入されたごみの焼却を行うごみ焼却炉2と、ごみ焼却炉2から排出された排ガス中の有害成分の無害化処理を行う排ガス処理設備3と、ごみ焼却プラント1で発生する排水の無害化処理を行う排水処理設備4と、前記ごみ焼却炉2、排ガス処理設備3及び排水処理設備4で使用する薬剤を貯蔵する貯蔵タンク5とを備えている。ここで、ごみ焼却プラント1内で使用される薬剤は、薬剤毎にトラック或いはタンクローリー等で搬入され、それぞれ別々の貯蔵タンクに貯蔵される。
【0012】
なお、本発明が適用されるごみ焼却プラントの構成は、ごみ焼却炉の規模、排ガス及び排水等の排出基準等により種々の構成を取り得る。
【0013】
図2は、本発明にかかる薬剤管理装置の構成の一例を示すブロック図である。本発明にかかる薬剤管理装置6は、ごみ焼却プラントの過去の操業実績データ11に基づいてごみ単位質量あたりの薬剤の使用量を算出する薬剤使用量算出手段7と、現在の薬剤の在庫量を算出する薬剤在庫量算出手段8と、前記薬剤使用量算出手段7により算出したごみ単位質量あたりの薬剤の使用量と前記薬剤在庫量算出手段8により算出した現在の薬剤の在庫量とごみ焼却プラントの運転計画データ12とに基づいて薬剤の在庫量の推移を予測する在庫量推移予測手段9とを有するものである。
【0014】
また、本発明にかかる薬剤管理装置6は、前記在庫量推移予測手段9により予測した在庫量の推移予測に基づいて、所定期間後の薬剤在庫量が所定量を下回った場合には、当該薬剤の発注指示を促す発注指示催促手段10を有することが好ましい。」
「【0017】
[薬剤使用量算出ステップ(薬剤使用量算出手段)]
本ステップでは、ごみ焼却プラントの過去の操業実績データに基づいてごみ単位質量あたりの薬剤の使用量を算出する。
【0018】
有害成分の発生量は、ごみ処理量と焼却したときのごみの成分および燃焼状態により決定される。現状においては、ごみの成分は常時計測することはできず、また、同じごみ成分でも、燃焼状態が異なると有害成分の発生量が異なる場合がある。しかし、現在のごみ焼却炉は自動燃焼制御装置により運転管理されるようになっているため、同じごみ成分であればほぼ同じ量の有害成分の発生量となっている。
【0019】
排ガス中に含まれる有害成分は、通常煙突出口の手前に設置された排ガス分析計により、煙突から排出される有害成分の濃度が連続的に測定されている。煙突出口の有害成分の濃度が運転管理濃度以下となるように、分析計の測定濃度に基づいて、フィードバック制御によって薬剤の供給量が決定されている。そのため、炉内で発生している有害成分の量を直接つかむことはできず、また、ダイオキシン類を直接測定できる分析計は現状では確立されていない。そのため、炉内での有害成分の発生量及び煙突出口でのダイオキシン類の濃度を連続で測定することができない。
【0020】
したがって、炉内で発生する有害成分の濃度を直接測定することができないため、薬剤の供給量をもとに、ごみ単位質量あたりの薬剤の使用量を推定する必要がある。
【0021】
(1)薬剤の供給量を、ごみ焼却炉2、排ガス処理設備3及び排水処理設備4に薬剤を供給するための供給配管に設置されている流量計、若しくは貯蔵タンク5のレベル計から算出する方法
排ガス中の窒素酸化物を除去するためのアンモニア水もしくは尿素水、塩化水素や硫黄酸化物を除去するための苛性ソーダなどの液体状のものであれば流量計からの積算値、もしくは貯蔵タンク内の連続式レベル計で供給量が算出可能である。」
「【0028】
[薬剤在庫量算出ステップ(薬剤在庫量算出手段)]
本ステップにおいては、現在の薬剤の在庫量を、薬剤の種類毎に算出する。
【0029】
(1)薬剤が液体状のものの場合
現在の薬剤貯蔵タンクにおける各薬剤の在庫量Waは、次式(2)で表される貯蔵タンクのレベル計からの現状水位位置、もしくは、次式(3)で表される貯蔵タンク満タン時からの消費流量の積算式から算出することができる。
Wa=FLi(Li)(2)
ここで、レベル計による在庫量FLiは、薬剤iのレベルLi時の在庫量を算出する関数である。
Wa=Wf - Σ(fi) (3)
ここで、fiは薬剤iの運転実績流量値、Wfは薬剤貯蔵タンクが満タン時の量である。」
「【0034】
・・・(中略)・・・
[在庫量推移予測手段]
本ステップでは、前記薬剤使用量算出ステップにより算出したごみ単位質量あたりの薬剤の使用量と、前記薬剤在庫量算出ステップにより算出した現在の薬剤の在庫量と、ごみ焼却プラントの運転計画データとに基づいて薬剤の在庫量の推移を予測する。」
「【0038】
・・・(中略)・・・
[発注指示催促手段]
本ステップでは、前記在庫量推移予測ステップにより予測した在庫量の推移予測に基づいて、所定期間後の薬剤在庫量が所定量を下回った場合には、当該薬剤の発注指示を促す。
【0039】
前記所定期間としては、薬剤毎の発注から納入までの納期により個々に決定することが好ましい。また、前記所定量としては各薬剤毎に適宜決定される量であり、例えば、在庫量がゼロの場合とおくこともできる。」
「【図1】
[図:0001420368000003.jpg]
」
「【図2】
[図:0001420368000004.jpg]
」
以上より、甲2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「ごみ焼却プラント1は、搬入されたごみの焼却を行うごみ焼却炉2と、ごみ焼却炉2から排出された排ガス中の有害成分の無害化処理を行う排ガス処理設備3と、ごみ焼却プラント1で発生する排水の無害化処理を行う排水処理設備4と、前記ごみ焼却炉2、排ガス処理設備3及び排水処理設備4で使用する薬剤を貯蔵する貯蔵タンク5とを備え(【0011】)、
薬剤管理装置6は、ごみ焼却プラントの過去の操業実績データ11に基づいてごみ単位質量あたりの薬剤の使用量を算出する薬剤使用量算出手段7と、現在の薬剤の在庫量を算出する薬剤在庫量算出手段8と、前記薬剤使用量算出手段7により算出したごみ単位質量あたりの薬剤の使用量と前記薬剤在庫量算出手段8により算出した現在の薬剤の在庫量とごみ焼却プラントの運転計画データ12とに基づいて薬剤の在庫量の推移を予測する在庫量推移予測手段9と(【0013】)、
前記在庫量推移予測手段9により予測した在庫量の推移予測に基づいて、所定期間後の薬剤在庫量が所定量を下回った場合には、当該薬剤の発注指示を促す発注指示催促手段10を有し(【0014】)、
薬剤使用量算出ステップでは、薬剤の供給量をもとに、ごみ単位質量あたりの薬剤の使用量を推定し(【0020】)、
薬剤の供給量を、貯蔵タンク5のレベル計から算出し(【0021】)、
薬剤在庫量算出ステップでは、現在の薬剤貯蔵タンクにおける各薬剤の在庫量Waは、次式(2)で表される貯蔵タンクのレベル計からの現状水位位置、から算出することができ、
Wa=FLi(Li) (2)
ここで、レベル計による在庫量FLi は、薬剤iのレベルLi時の在庫量を算出する関数であり(【0029】)、
在庫量推移予測手段(ステップ)では、前記薬剤使用量算出ステップにより算出したごみ単位質量あたりの薬剤の使用量と、前記薬剤在庫量算出ステップにより算出した現在の薬剤の在庫量と、ごみ焼却プラントの運転計画データとに基づいて薬剤の在庫量の推移を予測し(【0034】)、
発注指示催促手段(ステップ)では、前記在庫量推移予測ステップにより予測した在庫量の推移予測に基づいて、所定期間後の薬剤在庫量が所定量を下回った場合には、当該薬剤の発注指示を促し(【0038】)、
前記所定期間としては、薬剤毎の発注から納入までの納期により個々に決定することが好ましく、前記所定量としては各薬剤毎に適宜決定される量である(【0039】)
ゴミ焼却プラント1の薬剤管理装置6。」
(3)甲第3号証(特開2002-193400号公報)
甲3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】本発明に係る液体製品の受注配送システムの第1の実施形態を説明する。図1には、複数(N件)の顧客先10‐1~10‐Nと各顧客先に設置された液体貯蔵タンク20‐1~20‐Nと各液体貯蔵タンクに取り付けられた使用量検出部30‐1~30‐Nと各顧客先に設置された顧客先送受信装置40‐1~40‐Nと顧客先制御部50‐1~50‐Nとアンテナ60‐1~60‐Nが示されている。ここで、Nは2以上の自然数である。また、図1には、販売元100と販売元100に設置されたパーソナルコンピュータ101と販売元送受信装置102とアンテナ103が示されている。
【0023】液体貯蔵タンク20‐1~20‐Nは、販売元100から販売された液体製品を貯蔵するためのものであり、好ましくは、不活性ガス供給口を備え耐圧構造をして成る外側タンクと、上部に不活性ガス流通口、下部に液体排出口、及び液体供給口を備えた内側タンクより成り、内側タンクの液体供給口と液体排出口を外部に開口させ、内側タンクに収納されている液体を不活性ガスの圧力で外部に排出するように構成されている。それにより、醤油等の酸化しやすい液体製品を貯蔵することができる。
【0024】使用量検出部30‐1~30‐Nは、各液体貯蔵タンクに収納された液体製品の使用量を示す物理量を検出するためのものであり、好ましくは、液体貯蔵タンク20‐1~20‐N内の不活性ガスの圧力と温度および液体製品を使用したときの液体の流量を検出する機能を有している。
【0025】顧客先送受信装置40‐1~40‐Nは、各使用量検出部により検出された使用量を示す物理量のデータを販売元100に送信し、また、販売元100からの顧客先10‐1~10‐Nの使用量検出部30‐1~30‐Nによる液体製品の使用量を示す物理量の検出を行うことを指示する命令を受信するための装置である。これらの顧客先送受信装置には、好ましくは、携帯電話を用いている。
【0026】顧客先制御部50‐1~50‐Nは、各液体貯蔵タンクに取り付けられた使用量検出部30‐1~30‐Nの制御と顧客先送受信装置40‐1~40‐Nの制御を行う機能を有している。
【0027】アンテナ60‐1~60‐Nは、顧客先送受信装置40‐1~40‐Nからの電波の発信と各顧客先送受信装置での電波の受信を行うためのものである。
【0028】上記の液体貯蔵タンク、使用量検出部、顧客先制御部、顧客先送受信装置の詳細は図4を参照して後述される。
【0029】販売元100に設置された販売元送受信装置102は、顧客先10‐1~10‐Nに設置された顧客先送受信装置40‐1~40‐Nから公衆回線70を通して送信された液体製品の使用量を示す物理量のデータを受信し、また、各顧客先に液体製品の使用量を示す物理量を検出する命令を送信するための装置である。
【0030】アンテナ103は、販売元送受信装置102からの電波の発信と販売元送受信装置での電波の受信を行うためのものである。
【0031】図2には、パーソナルコンピュータ101が有する機能が示されており、すなわち、パーソナルコンピュータ101は、入力装置110と出力装置120とデータ格納部130と使用状況予測手段140と配送先計画作成手段150と処理制御部160を備えており、入力装置110は、図示しないキーボードからの操作者による数値および文字の入力と、販売元送受信装置102により受信した顧客先での液体製品の使用量を示す物理量のデータの入力を行う機能を有している。
【0032】出力装置120は、ディスプレイあるいはプリンタから成り、入力装置110から入力された数値および文字等あるいは入力装置110から入力された顧客先10‐1~10‐Nでの液体製品の使用量を示す物理量のデータの出力を行う機能と、使用状況予測手段140で得られた結果の出力と配送先計画作成手段150で得られた結果の出力とデータ格納部130に格納されているデータの出力を行う機能を有している。
【0033】データ格納部130は、販売元送受信装置102で受信した各顧客先10‐1~10‐Nからの液体製品の使用量を示す物理量のデータを格納する機能と、使用状況予測手段140で得られた結果を格納する機能と、配送先計画作成手段150で得られた結果を格納する機能を有している。なお、本実施形態では、1つのデータ格納部に上記の機能を有するようにしたが、液体製品の使用量を示す物理量のデータの格納と、使用状況予測手段140で得られた結果の格納と、配送先計画作成手段150で得られた結果の格納を別々の格納部で行うようにしてもよい。
【0034】使用状況予測手段140は、各顧客先10‐1~10‐Nから送信されてきた液体製品の使用量を示す物理量のデータから、各顧客先10‐1~10‐Nでの液体製品の使用状況を予測する機能を有しており、得られるデータとパーソナルコンピュータ101を用いて行われる。また、使用状況予測手段140は、各顧客先の液体製品の使用状況を予測するために、データ収集周期を設定するデータ収集周期設定機能と、設定したデータ収集周期に合わせ顧客先の物理量のデータを要求するデータ要求機能と、データ収集周期の設定変更を行うデータ収集周期設定変更機能を備えている。さらに、使用状況予測手段140は、配送先計画作成手段にその結果を送信する機能を有している。
【0035】ここで図3を参照して使用状況予測手段140の具体的機能を説明する。図3は使用状況予測手段140で実施される予測処理のフローチャートを示している。この例では、例えば顧客先10‐1をユーザAとし、その液体貯蔵タンク20‐1に貯蔵された液体製品を製品A1としている。まず、スタートさせると、ユーザAの製品A1の前年度の使用状況を、データ格納部130から読み取る(ステップS100)。次に、前年度使用状況が繁忙期であったかどうかを判定する(ステップS110)。前年使用状況が繁忙期であったならば、図示しないデータ収集周期設定機能によりデータ収集周期を例えば3時間に設定する(ステップS120)。前年使用状況が繁忙期でなかったならば、データ収集周期設定機能によりデータ収集周期を例えば6時間に設定する(ステップS130)。次に、データ収集周期に合わせ図示しないデータ要求機能により、ユーザAの製品A1のデータを要求する(ステップS140)。ユーザAの製品A1のデータを入力し(ステップS150)、前回データと演算し、使用量および残量を把握する(ステップS160)。次に使用量がゼロであるかどうか判定する(ステップS165)。使用量がゼロであれば、図示しないデータ収集周期設定変更機能によりデータ収集周期を例えば3時間に設定する(ステップS170)。使用量がゼロでなければ、データ収集周期設定変更機能によりデータ収集周期を例えば1時間に設定する(ステップS180)。前年度データからの予測で3日後に発注点(配送日)に達するかどうか判定する(ステップS190)。前年度データからの予測で3日後に発注点に達しないのであれば、ステップS140のところに戻る。3日後に発注点に達するのであれば、製品A1のユーザAの納入ロット製品を指示し(ステップS200)、製造計画書を出力する(ステップS210)。次に、製品A1のユーザA納入ロット配送を指示し(ステップS220)、配送計画書を出力する(ステップS230)。なお、前述の設定時間、データ収集周期は、顧客先毎、製品毎に設定する。何日後の発注点を予測するかは製品のリードタイムにより決定する。
【0036】次に、配送先計画作成手段150は、上記のごとく使用状況予測手段140により予測された各顧客先の液体製品の使用状況に基づいて液体製品の配送先の計画を作成する機能を有している。
【0037】処理制御部160は、入力装置110と出力装置120とデータ格納部130と使用状況予測手段140と配送先計画作成手段150の制御を行う機能を有している。」
「【図1】
[図:0001420368000005.jpg]
」
「【図2】
[図:0001420368000006.jpg]
」
以上より、甲3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数(N件)の顧客先10‐1~10‐Nと各顧客先に設置された液体貯蔵タンク20‐1~20‐Nと各液体貯蔵タンクに取り付けられた使用量検出部30‐1~30‐Nと各顧客先に設置された顧客先送受信装置40‐1~40‐Nと顧客先制御部50‐1~50‐Nとアンテナ60‐1~60‐Nと、販売元100に設置されたパーソナルコンピュータ101と販売元送受信装置102とアンテナ103からなる液体製品の受注配送システムにおいて(【0022】)、
使用量検出部30‐1~30‐Nは、各液体貯蔵タンクに収納された液体製品の使用量を示す物理量を検出し(【0024】)、
顧客先送受信装置40‐1~40‐Nは、各使用量検出部により検出された使用量を示す物理量のデータを販売元100に送信し、販売元100からの顧客先10‐1~10‐Nの使用量検出部30‐1~30‐Nによる液体製品の使用量を示す物理量の検出を行うことを指示する命令を受信し(【0025】)、
顧客先制御部50‐1~50‐Nは、各液体貯蔵タンクに取り付けられた使用量検出部30‐1~30‐Nの制御と顧客先送受信装置40‐1~40‐Nの制御を行い(【0026】)、
アンテナ60‐1~60‐Nは、顧客先送受信装置40‐1~40‐Nからの電波の発信と各顧客先送受信装置での電波の受信を行い(【0027】)、
販売元100に設置された販売元送受信装置102は、顧客先10‐1~10‐Nに設置された顧客先送受信装置40‐1~40‐Nから公衆回線70を通して送信された液体製品の使用量を示す物理量のデータを受信し、各顧客先に液体製品の使用量を示す物理量を検出する命令を送信し(【0029】)、
アンテナ103は、販売元送受信装置102からの電波の発信と販売元送受信装置での電波の受信を行い(【0030】)、
パーソナルコンピュータ101は、入力装置110と出力装置120とデータ格納部130と使用状況予測手段140と配送先計画作成手段150と処理制御部160を備えており、入力装置110は、販売元送受信装置102により受信した顧客先での液体製品の使用量を示す物理量のデータの入力を行い(【0031】)、
データ格納部130は、販売元送受信装置102で受信した各顧客先10‐1~10‐Nからの液体製品の使用量を示す物理量のデータを格納し、使用状況予測手段140で得られた結果を格納し、配送先計画作成手段150で得られた結果を格納し(【0033】)
使用状況予測手段140は、各顧客先10‐1~10‐Nから送信されてきた液体製品の使用量を示す物理量のデータから、各顧客先10‐1~10‐Nでの液体製品の使用状況を予測し、得られるデータとパーソナルコンピュータ101を用いて行われ、配送先計画作成手段にその結果を送信し(【0034】)、
配送先計画作成手段150は、使用状況予測手段140により予測された各顧客先の液体製品の使用状況に基づいて液体製品の配送先の計画を作成し(【0036】)、
処理制御部160は、入力装置110と出力装置120とデータ格納部130と使用状況予測手段140と配送先計画作成手段150の制御を行う(【0037】)
液体製品の受注配送システム。」
(4)甲第4号証(特開2020-187386号公報)
甲4号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0026】
薬注制御装置21は、薬品の注入量を制御する装置であり、例えば、プログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller : PLC)である。薬注制御装置21は、運転信号を水処理制御装置20から受信した場合、薬品の注入量を制御する。薬注制御装置21は、凝集槽102の水に含まれている濁質の凝集状態に応じて、第1凝集剤注入装置22と調整剤注入装置23と第2凝集剤注入装置24と脱水剤注入装置26とのうちの少なくとも一つに、薬品の注入量を制御するための信号(以下「薬注制御信号」という。)を出力する。
【0027】
第1凝集剤注入装置22は、無機凝集剤又は有機凝集剤を反応槽100に注入する装置であり、例えば、電動ポンプである。第1凝集剤注入装置22は、薬注制御信号に基づく量の無機凝集剤又は有機凝集剤を、反応槽100に注入する。第1凝集剤注入装置22は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(Poly Aluminium Chloride : PAC)又は塩化鉄ポリ鉄を、反応槽100に注入する。
【0028】
調整剤注入装置23は、中和剤を調整槽101に注入する装置であり、例えば、電動ポンプである。調整剤注入装置23は、薬注制御信号に基づく量の中和剤を、調整槽101に注入する。第2凝集剤注入装置24は、高分子凝集剤を凝集槽102に注入する装置であり、例えば、電動ポンプである。第2凝集剤注入装置24は、薬注制御信号に基づく量の高分子凝集剤を、調整槽101に注入する。」
「【図1】
[図:0001420368000007.jpg]
」
(5)甲第5号証(特開2022- 294号公報)
甲5号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0028】
(逆浸透膜処理部での処理)
図3に示すように、逆浸透膜処理部30では、まず、中継槽31に、前処理部20からの被処理水が貯留される。中継槽31からろ過ポンプ32により送水された被処理水は、活性炭ろ過装置33へ送水される。活性炭ろ過装置33では、多孔質の活性炭により、被処理水中の有害物質および臭気物質等を吸着させ、除去して、脱色、脱臭する。
次に、チェックフィルタ34に送水された被処理水は、チェックフィルタ34の糸巻きフィルタにより、活性炭ろ過装置33では除去できなかった不純物を除去する。こうすることで、逆浸透膜装置36へ導入される前の被処理水からできるだけ不純物を除去することができる。
チェックフィルタ34から高圧ポンプ35に繋がる配管P21には、混合装置37によりスケール防止剤が投入される。
スケール防止剤が投入されることで、高圧ポンプ35より下流の配管の内周壁に、被処理水に溶解したカルシウムが析出して付着して積層してしまうことを防止することができる。
【0029】
次に、高圧ポンプ35が逆浸透膜装置36へ送水される被処理水に圧力を掛ける。高圧ポンプ35により圧力が掛かった状態の被処理水は、逆浸透膜装置36へ圧送される。
逆浸透膜装置36は逆浸透膜を通過して不純物が除去された処理水は、後処理部50へ配管P22を通じて送水される。
このとき、処理水には、pH調整剤が混合装置38により混合され、減菌剤が混合装置39により混合される。
【0030】
処理水が再生水として配管P22を通じて後処理部50に送水されるときに、pH計M21によりpH値が測定され、導電率計M22により電気伝導率が測定される。
pH計M21により測定されたpH値に基づいて主制御盤61は、図2に示すpH調整剤を投入する混合装置38を調整する。
また、導電率計M22により測定された電気伝導率に基づいて主制御盤61は、浄化度を高めるために、各ろ過槽での除去度を高めたり、不純物が含有される度合いが低い濃縮水の場合には、逆浸透膜装置36からの濃縮水を、配管P23により帰還用浄化部40へ流さずに、配管P24により高圧ポンプ35の上流側に送水したりする。」
「【図3】
[図:0001420368000008.jpg]
」
(6)甲第6号証(特開2019- 64409号公報)
甲6号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0047】
演算部61は、データ処理装置50から受信したデータに基づいて、殺菌剤を発注する必要があるか否かを判断する。判断手法については後述する。演算部61は、殺菌剤を発注する必要があると判断した場合、発注の必要性を報知する。また、演算部61は、発注先情報及び運航情報に基づいて、各寄港地のうちどの寄港地における殺菌剤の発注先に殺菌剤をいつ、どのくらいの数量を発注するか等を決定する。例えば、図4に示す寄港地P1、P2、P3、P4、P5、P6のうち、どの寄港地における発注先に、いつ、どのくらいの数量の殺菌剤を発注するかを決定する。」
「【0053】
演算部61は、殺菌剤を発注する必要があると判断した場合、記憶部62に保存されている発注先情報、運航情報、船舶情報等に基づいて、どの寄港地の発注先にいつ、どのくらいの数量の殺菌剤を発注するかを決定し(ステップS107)、発注を行う(ステップS108)。例えば、現在地から一つ先の寄港地P1までの所要時間をT1、寄港地P1での納期をL1、寄港地P1からさらに一つ先の寄港地P2までの所要時間をT2、寄港地P2での納期をL2とすると、T1≧L1であれば、一つ先の寄港地P1での納入を発注することで、タイムリーに殺菌剤の納入を受けることができる。」
「【図4】
[図:0001420368000009.jpg]
」
「【図5】
[図:0001420368000010.jpg]
」
(7)甲第7号証(特開2022- 52950号公報)
甲7号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0071】
なお、補充必要日時予測部220は、更に、季節に応じた変数を用いて薬剤の平均使用量を補正することにより、補充必要日時を予測してもよい。」
「【0073】
図4A~図4Cは、補充日時設定部230による補充日時の設定方法を示す。図4Aの(a)に示すように、補充日時設定部230は、メモリ240に記憶されるメンテナンススケジュールに記載されたメンテナンス日時と、補充必要日時とを比較し、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がある場合には、補充必要日時から直近のメンテナンス日時に、補充日時を設定する。一方、図4Aの(b)に示すように、補充日時設定部230は、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がない場合には、補充必要日時以前のどこかに補充日時を設定する。」
「【0092】
〔5 実施例〕
〔5.1 第1実施例〕
以下、図6A~図6Eを参照することにより、第1実施例について説明する。図6Aは、薬品残量の推移を表すグラフである。図6Bは、季節ごとの安全率を示す図である。図6Cは、本実施例におけるメンテナンス予定日を示す表である。図6Dは、各メンテナンス項目の設定の必要性を示す表である。図6Eは、各メンテナンスの作業レベルに応じて、どのレベルの作業者を仕分けするかを示す表である。
【0093】
図6Aを参照すると、本実施例において、6月8日時点で薬品残量が50Lあり、薬品を消費し始めててから任意の期間経過後、10L薬品を補充し、その後、再度薬品を消費した結果、6月15日の現時点の薬品残量が40Lであるとする。
【0094】
この時、以下の数式(1)により、薬品の平均使用量を算出する。
平均使用量=(7日前薬品残量-現時点での薬品残量+補充量)/経過日数 (1)
【0095】
図6Aのグラフ内の数値を数式(1)に代入すると、本実施例における平均使用量は、(50-40+10)/7=2.9L/日となる。
【0096】
次に、薬品の平均使用量と、図6Bに示される季節ごとの安全率を考慮して、以下の数式(2)により、補充基準を下回る日数を計算する。
日数=(薬品残量-補充基準)/(平均使用量×安全率) (2)
【0097】
本実施例の場合、安全率が1.1であるため、補充基準を下回る日数は、(40-10)/(2.9×1.1)=9.4日≒9日となる。
【0098】
その結果、薬品の補充必要日時は、6月15日の9日後である、6月24日となる。」
「【0118】
〔6 実施形態が奏する効果〕
上述した本実施形態に係る水処理システム1の管理装置によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
【0119】
本実施形態に係る水処理システム1の管理装置は、被冷却装置131に供給され、被冷却装置131から返送される循環水W2を冷却する冷却塔120と、循環水W2を冷却塔120と被冷却装置131との間で循環させる循環水ラインL110と、冷却塔120に補給水W1を供給する補給水ラインL120と、循環水W2又は補給水W1に薬剤を供給する薬剤供給装置300と、を有する水処理システム1の管理装置であって、水処理システム1のメンテナンススケジュールを記憶するメモリ240と、第1所定期間における薬剤供給装置300における薬剤の残量の変化量から、第1所定期間における薬剤の平均使用量を算出する平均使用量算出部210と、現時点の薬剤の残量と、現時点の薬剤の平均使用量とから、薬剤供給装置300に対する薬剤の補充が必要となる補充必要日時を予測する補充必要日時予測部220と、メンテナンススケジュールに記載されたメンテナンス日時と、補充必要日時とを比較し、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がある場合には、補充必要日時から直近のメンテナンス日時に、薬剤供給装置300に対して薬剤を実際に補充する補充日時を設定し、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がない場合には、補充必要日時以前に補充日時を設定する、補充日時設定部230と、を備える。
【0120】
補充必要日時よりも前に定期メンテナンス日時がある場合には、当初より予定されていたメンテナンスの日に薬品補充を合わせて行うことにより、薬品補充だけのために、冷却塔の設置場所に出向する必要する必要がなくなる。
【0121】
また、本実施形態に係る水処理システム1の管理装置において、補充日時設定部230は、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がない場合に、補充日時と、現時点から直近の前記メンテナンス日時との間の期間を算出し、算出された期間が第2所定期間未満である場合は、現時点から直近の前記メンテナンス日時を、補充日時に前倒して設定し、算出された期間が第2所定期間以上である場合には、補充日時を、薬剤の補充に特化した前記補充日時として設定してもよい。
【0122】
これにより、補充必要日時よりも前に定期メンテナンス日時が存在しないものの、補充日時と、直近の定期メンテナンス日時とのタイムラグがあまりない場合には、定期メンテナンス日時を薬剤補充必要日時に前倒しすることで、薬品補充のためだけに、冷却塔の設置場所に出向する必要がなくなる。一方で、補充日時と定期メンテナンス日時とが所定期間を超えて離れている場合には、定期メンテナンスとは別個に、薬品補充だけのために出向することとなるが、その際、定期メンテナンスが可能な高度なスキルを持たず、薬品補充のみが可能な程度のスキルの作業員を現場に出向させることにより、作業員のスキルのハードルを下げると共に、人的コスト削減に資することができる。
【0123】
また、本実施形態に係る水処理システム1の管理装置において、補充日時設定部230は、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時がある場合に補充日時を設定した後、設定した補充日時から第3所定期間が経過するまでに、更なるメンテナンス日時がある場合には、補充日時に、更なるメンテナンス日時に実行予定のメンテナンス作業を行う予定を、前倒して設定してもよい。
【0124】
これにより、補充必要日時よりも前にメンテナンス日時があるために、当該メンテナンス日時に補充日時を設定した場合に、補充日時=メンテナンス日時から、第3所定期間が経過するまでに更なるメンテナンス作業が予定されている際、更なるメンテナンス作業を薬品補充日に前倒して設定することで、薬品の補充と複数のメンテナンス作業とを、まとめて実行することが可能となる。
【0125】
また、本実施形態に係る水処理システム1の管理装置において、第1所定期間中に薬剤の補充があった場合には、平均使用量算出部210は、薬剤の使用量と、補充された前記薬剤の補充量とを用いて、平均使用量を算出してもよい。
【0126】
これにより、第1所定期間中に、薬剤を使用するのみならず、薬剤を補充した場合には、使用量と補充量との双方に基づくことで、より正確な平均使用量を算出することが可能となる。
【0127】
また、本実施形態に係る水処理システム1の管理装置において、補充必要日時予測部220は、更に、季節に応じた変数を用いて前記薬剤の平均使用量を補正することにより、前記補充必要日時を予測してもよい。
【0128】
補充必要日時予測部は、季節に応じた変数を用いて薬剤の平均使用量を補正することにより、例えば季節毎の平均気温に応じて、薬剤中の水分が蒸発したり薬剤が劣化することを踏まえた上で、補充必要日時を予測することが可能となる。」
「【図4A】
[図:0001420368000011.jpg]
」
「【図6A】
[図:0001420368000012.jpg]
」
「【図6B】
[図:0001420368000013.jpg]
」
(8)甲第8号証(特開2002-347941号公報)
甲8号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】図1は、本発明の配送方法で好適に採用できるシステムの概略図であり、各装置の関係および各装置間で授受される情報の流れが示されている。図1に示されるシステムは、各ユーザー(U1~Um)が保有する貯槽(TK1~TKn)に設置された各残量計(LM1~LMn、但しLM2~LMnは図示されていない。)、これら残量計に接続し、該残量計(レベル計)で測定された各貯槽内の残量{(Vt)1~(Vt)n}に関する情報を送信するためのデータ送信機能を有する各端末{(TR2)1~(TR2)n、但し(TR2)2~(TR2)nは図示していない。}、これら端末から送信させる情報を受信して記憶する機能を有し、且つ記憶された情報が出し入れ可能な情報処理装置{IP1、即ち、該IP1には、端末(TR3)および情報記憶装置(MEM2)が付属しているとも言える。}、並びに該情報処理装置(IP1)とローカル・エリア・ネットワーク(LAN)で接続された情報記憶装置(MEM1)および端末(TR1)としての機能を有する情報処理装置(IP2)から構成されている。なお、上記LANには配送用の貨物自動車であるタンクローリーを手配する資材部門の端末、出荷部門の端末が接続されていてもよい。
【0016】本発明の方法では、先ず、各ユーザー(U1~Um)の保有する各貯槽(TK1~TKn)の所在地に関する情報(PL1~PLn)、各貯槽の容量{(Vfull)1~(Vfull)n}に関する情報、各貯槽において貯槽内に貯留される流動性を有する工業製品の残量が当該量に達するまでに上記産業用物資の補給をしなければならない最低残量{(Vmin)1~(Vmin)n}に関する情報、配送に用いることのできる上記専用貨物自動車の数(CN)に関する情報及び各専用貨物自動車(C1~Cp)の最大積載量(CV1~CVp)に関する情報を端末(TR1)を用いて情報記憶装置{MEM1、但し(Vmin)1~(Vmin)nに関する情報についてはMEM2}に入力し、記憶させる{工程(1)}。これら情報は工程(3)において配送計画を作成知る際の基礎データとなるものであり、これら情報について、例えば新規ユーザーが増えたり、既存ユーザーが貯槽を更新したりして変動があった場合には、その都度追加・更新する必要がある。
【0017】なお、上記PL1~PLnは、貨物自動車で移動する場合の出荷場からの移動距離及び各貯槽間の移動距離に関する情報の基礎となるもので、工程(3)における配送計画の作成に当たってはこれら情報に変換されて使用される。従って、予めPL1~PLnからこれら情報を求め、その情報を入力してもよい。また、上記(Vmin)1~(Vmin)nは、基本的には、出荷を行なってから各貯槽へ補給用流動性製品が届くまでの時間内にユーザーが使用する可能性のある流動性製品の量を意味し、各ユーザーごとに流動性製品の使用状況等に基づいてある程度の安全率を見込んで決定すればよい。
【0018】本発明の配送方法では、工程(3)の配送計画を作成するために上記工程(1)で入力された情報以外に、使用中の各貯槽内に残存する上記工業製品の量{(Vt)1~(Vt)n}がそれぞれ前記最低残存量{(Vmin)1~(Vmin)n}になると予測される時期{(tmin)1~(tmin)n}に関する情報を使用する。該予測時期{(tmin)1~(tmin)n}は、上記(Vt)1~(Vt)nを経時的に実測し、実測値に基づいて最小二乗法、Δ(Vt)の移動平均から推算する方法等により各残存量をそれぞれ時間(t)に対する関数として表し、(Vt)n=(Vmin)nになるときの時間を外挿(補外)することにより行なうことができる。この時貯槽が使用されていない状態、即ち当分の間配送の必要がない場合には、上記時間は無限大となるので配送計画の対象から外される。なお、設備停止、フラッシング等により液使用量が変動することが予め分かっている場合には、これらのデータを入力し、補正するのが好適である。」
「【図1】
[図:0001420368000014.jpg]
」
(9)甲第9号証(特開平 9- 24999号公報)
甲9号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】 消費先(1)に設置された流体タンク(3)と、この流体タンク(3)の残量が、設定レベル以上の第1の状態、又は、設定レベル以下の第2の状態のいずれであるかを検出可能な検出手段(25)と、前記第1の状態から前記第2の状態への状態移動完了を、前記検出手段(25)からの出力信号に基づき判断する状態判別手段とを備え、この状態判別手段により前記第2の状態へ状態移動完了を判別することにより、前記消費先(1)から販売元(2)へ、前記消費先(1)を特定する情報を送信手段(7)により自動的に送信する流体商品自動受注発注システム。」
「【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図を元に詳細に説明する。図1は消費先1と販売先2との概略図を示すものである。消費先2に設置された灯油タンク(以下、単にタンクと言う。)3は、灯油40を貯蔵するものであり、消費先1において必要なときにタンク3から灯油40を取り出して使用する。タンク3は、屋内、屋外いずれに設置してもよい。消費先送受信器4には電話器5が接続されており、消費先を特定する情報(以下、顧客IDと言う。)を電話回線7を使用して販売元2へ送信できるようにしている。ハード基板6には、顧客IDと販売元電話番号と動作モードを表す情報がディップスイッチにより設定されている。このハード基板6は販売元送受信器8に設けられたマイコンと接続され、上記情報を読み取ることができる。顧客IDの送信はDTMF信号又はパルス信号を使用し、コストを安価にかつ送信エラーが少なくなるようにしている。
【0012】販売元送受信器8には電話器9が接続されており、顧客IDを受信する。モニター10とプリンター11は、販売元送受信器8に接続される。この販売元送受信器8は顧客IDを受信した後、同じ内容の顧客IDを消費先1に返信し、消費先1においてIDチェックをさせる。販売元2で受信するのは顧客ID情報だけであるので、この顧客IDを受信すると顧客台帳から顧客に関する情報を取り出し、それをモニター10に表示させる。この情報は、顧客ID、住所、氏名、電話番号、履歴データ等である。プリンター11はこれら顧客情報を印刷できるようになっている。履歴データは顧客情報の分析に使用される。例えば、単位日数あたりの平均使用量を求め、使用量の変化を分析チェックする。」
「【図1】
[図:0001420368000015.jpg]
」
第5 当審の判断
1 (理由1-1)について
(1)本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「薬液タンク1」は、「水処理設備」で用いられるから、「薬液タンク1」内の薬液は、水を処理するために利用されるものといえる。
そうすると、甲1発明の「薬液」と本件発明の「薬品」は、「水を処理するために利用する薬品」という点で共通する。
イ 上記アを踏まえると、甲1発明の「薬液タンク1」と本件発明の「薬品タンク」は、「水を処理するために利用する薬品を貯留する薬品タンク」という点で共通する。
ウ 甲1発明は、「薬液残量(重量)」を、通信回線を介して監視すれば、複数箇所(設備)の管理が可能であり、ここでいう「重量」は「薬液タンク1」の残量を表す「計測データ」といえる。
上記ア、イを踏まえると、甲1発明と本件発明は、「水を処理するために利用する薬品を貯留する薬品タンクの残量を表す計測データを、1以上の水処理設備から受信する通信部」を備える点で共通する。
エ 甲1発明は、「薬液タンク1内の薬液残量(重量)の経時変化を測定して、単位時間当たりの減少量を把握し、薬液残量と単位時間当たりの減少量に基づいて薬液補充時期を予測」するのであるから、「管理装置」は当該処理を行う「予測部」を備えるものといる。
そうすると、甲1発明と本件発明は、「受信された前記計測データに基づいて、前記薬品タンクの残量の予測を行う予測部」を備える点で共通する。
オ 甲1発明は、上記エの「予測部」の予測結果に基づき、「薬液補充要求信号(アラーム)をインターネット等を介して送信」するものといえ、ここでいう「薬液補充要求信号」は「発注」に関する情報であるから、「管理装置」は「発注関連情報作成部」を備えるものといえる。
そうすると、甲1発明と本件発明は、「前記薬品タンクの残量の予測結果に基づいて、発注に関する情報を作成する発注関連情報作成部」を備える点で共通する。
カ 甲1発明は、「薬液補充要求信号」を「監視装置」や「メンテナンス作業員の携帯端末」に送信(提供)するものであるから、甲1発明と本件発明は、「前記発注関連情報作成部により作成された情報をいずれかに提供する提供部」を有する点で共通する。
キ 上記オを踏まえると、甲1発明の「管理装置」は、「薬液」の要求元における「発注」業務を支援するものともいえるから、「発注支援装置」と称することができる。
(2)以上のことから、本件発明と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「水を処理するために利用する薬品を貯留する薬品タンクの残量を表す計測データを、前記薬品タンクを備える1以上の水処理設備から受信する通信部と、
受信された前記計測データに基づいて、前記薬品タンクの残量の予測を行う予測部と、
前記薬品タンクの残量の予測結果に基づいて、発注に関する情報を作成する発注関連情報作成部と、
前記発注関連情報作成部により作成された情報をいずれかに提供する提供部と、
を備える発注支援装置。」
(相違点1)
本件発明の「薬品」は、水を「浄化」するために利用するものであるのに対し、甲1発明の「薬剤」については、「水処理設備」で用いられる以上の具体的な用途までは特定されていない点。
(相違点2)
本件発明は、「薬液タンク」の「残量」を表す「計測データ」として「液位」を用いるのに対し、甲1発明においては、「重量」を用いる点。
(相違点3)
本件発明は、「複数種の薬品」を貯留する「複数の薬品タンク」「それぞれ」が管理の対象となっているに対し、甲1発明においては、そのような特定がない点。
(相違点4)
本件発明の「予測部」は、「薬品タンク(それぞれ)」の「所定期間内の複数時点の残量の予測」を行うのに対し、甲1発明においては、「薬液タンク1内の薬液残量が規定量Wmにまで減少する時刻tm」を予測する点。
(相違点5)
上記相違点4に付随して、本件発明の「予測部」は、「前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測後において、前記所定期間のうちの特定の期間におけるいずれかの時点の残量の予測値を変更する指示が入力された場合、前記特定の期間以降においては変更された予測値を踏まえて残量の予測を行う」のに対し、甲1発明においては、複数時点の残量の予測を行わないため、そのような処理は想定されない点。
(相違点6)
本件発明の「発注関連情報作成部」は、「前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測結果に基づいて、複数種類の薬品それぞれの発注業者、配送日時及び配送量の情報を含む発注計画を作成する発注計画作成部」であるのに対し、甲1発明の「発注関連情報作成部」においては、「薬液補充要求信号(アラーム)」を発するにすぎない点。
(相違点7)
上記相違点6に付随して、本件発明の「提供部」は、「前記発注計画作成部により作成された前記発注計画の情報を要求元に提供する」のに対し、甲1発明の「提供部」は、「薬液補充要求信号」を提供するにすぎず、提供先に「要求元」が含まれるかどうかも明らかでない点。
(3)判断
以下、事案に鑑み、上記相違点4及び5について先に検討する。
本件発明は、「薬品タンク」の「所定期間内の複数時点の残量の予測」を予め行うことにより、「前記複数の薬品タンクそれぞれの所定期間内の複数時点の残量の予測後において、前記所定期間のうちの特定の期間におけるいずれかの時点の残量の予測値を変更する指示が入力された場合、前記特定の期間以降においては変更された予測値を踏まえて残量の予測を行う」ものである。
これに対し、甲1号証には、
「図2では、時刻t1,t2の点P1(t1,W1)及びP2(t2,W2)の2点を外挿してアラーム時刻tmを予測するものとしているが、時刻t1~t2間、時刻t2~t3間、時刻t3~t4間、時刻tn~tn+1間のように複数(n個)の期間にわたって残量減少速度を演算し、各残量減少速度を平均し、この平均減少速度に基づいてアラーム時刻を予測するようにしてもよい(【0029】)。」
「或いは、平均減少速度は単純平均だけではなく、例えば過去の平均減少値と、薬剤添加水系の稼働状況のほか、気温や工場操業などのビッグデータを演算させてこれを加味した最大値を演算させて用いて、最短となる時刻を予測してアラーム時刻としてもよい(【0030】)。」
「本発明では、各測定結果、補充時期の予測結果、及び予測の成否の情報を蓄積してシステムに学習させ、気候や季節なども考慮して予測の精度を向上させてもよい(【0043】)。」
等の記載があるように、甲1発明の予測について、残量の測定期間を複数に分割して、残量の「平均減少速度」を求めることや、単純平均だけでなく、他の要因も加味(学習)して、「時刻tm」を予測することが示唆されていてる。
しかしながら、上記甲1号証の記載による示唆は、「時刻tm」を予測するに当たり、甲1発明が予め行う情報処理であって、本件発明のように、予測後の変更を意図したものではない。
そして、上記相違点4及び5に関しては、甲4-8号証に開示も示唆もされておらず、本件特許の出願前から周知の技術であるともいえない。
(甲7号証、甲8号証には、「予測」を補正する趣旨の技術的事項が開示されているが、甲1発明と同じく、予測に当たって予め行う情報処理であり、予測後の変更を意図したものとはいえない。)
よって、上記相違点4及び5は、甲1発明及び甲4-8に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
なお、甲1号証には、「残量W1が例えば薬品補充で増加した場合は、新たに計測単位時間の読み直しを行って、再度測定を開始してもよい(【0022】)。」と記載され、また、甲7号証には、補充があった場合における薬品の平均使用量の算出(【0094】)について記載されており、予測後の状況変化への対応が示唆されているが、これらの技術的事項が「所定期間内の複数時点の残量の予測」を行うものを前提としないことは明らかである。
また仮に、これらが「所定期間内の複数時点の残量を予測」することを前提するものであったとしても、「前記所定期間のうちの特定の期間におけるいずれかの時点の残量の予測値を変更する指示が入力された場合、前記特定の期間以降においては変更された予測値を踏まえて残量の予測を行う」ことを、甲1、4-8号証の記載や本件特許出願前の周知技術から当業者が容易に想到できたとはいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲1発明及び甲4-8号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、(理由1-1)は成り立たない。
2 (理由1-2)について
(1)本件発明と甲2発明とを対比すると、少なくとも、上記1(2)で指摘した(相違点4)及び(相違点5)を有する。
(2)判断
上記相違点4及び5に関しては、甲1、6-8号証に開示も示唆もされておらず、本件特許の出願前から周知の技術であるともいえない。
よって、上記相違点4及び5は、甲2発明及び甲1、6-8に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲2発明及び甲1、6-8号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、(理由1-2)は成り立たない。
3 (理由1-3)について
(1)本件発明と甲3発明とを対比すると、少なくとも、上記1(2)で指摘した(相違点4)及び(相違点5)を有する。
(2)判断
上記相違点4及び5に関しては、甲1、4、5、7-9号証に開示も示唆もされておらず、本件特許の出願前から周知の技術であるともいえない。
よって、上記相違点4及び5は、甲3発明及び甲1、4、5、7-9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲3発明及び甲1、4、5、7-9号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、(理由1-3)は成り立たない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701104