特許異議申立
2024-701092
容器
- 審判番号
- 2024-701092
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-043489
- 登録番号
- 7482655
- 請求日
- 2024年11月09日
- 審決日
- 2025年02月21日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人R&C
- 【異議申立人】西森 由子
- 審判長/審判官
- 審判長 神山 茂樹
- 審判官 秋山 誠
- 審判官 田口 傑
- 分類
- P1651.113-Y (B65D) / P1651.121-Y (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7482655号発明「容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7482655号の請求項1~11に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7482655号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和2年3月12日を出願日とするものであって、令和6年5月2日にその特許権の設定登録(特許掲載公報令和6年5月14日発行)がされ、その後、その特許について、令和6年11月9日に特許異議申立人西森由子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
2 本件特許発明
本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明11」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、
前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、
前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
前記第二胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、
前記底部を接地面として設置したときの投影形状が、前記第二胴部の前記断面の形状により規定される容器。
【請求項2】
前記第一胴部は、前記肩部に連設されている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第一胴部の前記軸心に沿う長さは、40mm以上である請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第二胴部の前記軸心に沿う長さは、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの前記容器の全高の12%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記辺部分は、前記直線部分より長い請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記曲線部分は、円弧の一部である請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記曲線部分の長さは、10mm以上である請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記辺部分の長さは、前記第二胴部の当該辺部分に沿う方向の幅の50%以上である請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
内容量が200mL~1Lである請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、
前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、
前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
前記第二胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの直線状の連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、
前記第二胴部は、前記第一胴部よりも前記底部側に設けられている容器。
【請求項11】
前記第一胴部と前記第二胴部との境界は、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの底面から140mm以上の高さに設けられている請求項10に記載の容器。」
3 申立理由の概要
申立人は、甲第1号証、甲第2号証(以下「甲1」、「甲2」という)を提出し、本件発明1~9は、甲1に記載された発明であり、あるいは、本件発明1~9、11は、甲1に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明10は、甲1に記載された発明、甲2記載事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~11に係る特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨主張する。
甲1:特開平10-236450号公報
甲2:特開平10-175625号公報
4 当審の判断
(1)引用発明
ア 甲1の記載事項
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、横断面形状が角型のプラスチックボトル、特に、その胴部に環状凹溝を形成した内容量が、350ml~2lに適用される角型プラスチックボトルに関する。」
「【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明が適用される角型プラスチックボトルで、図2は図1の平面図、図3は図1の底面、図4は図1におけるA-A断面図、図5は縦圧縮力が作用した状態のA-A断面図である。
【0012】図中1はポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂から成る二軸延伸ブロー成形によるプラスチックボトル、2は口部、3は肩部、4は胴部、5は側辺部、6はコーナー部、7は環状凹溝、8及び9は補強凹溝である。
【0013】図1、図2及び図3に示すように、プラスチックボトル1の胴部4は、大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されている。
【0014】そして、環状凹溝7によって上胴部4aと下胴部4bに区分され、上記上胴部4aには図示しないが、シュリンクラベルあるいはストレッチラベル等の内容物を表示するラベルが装着される。
【0015】上胴部4aには、上記した様にラベル面となるため、変形を防止するために補強凹溝8が設けられ、同様に、下胴部4bにも、補強凹溝9が設けられ、環状凹溝7と共に、プラスチックボトル1の径方向の変形を防止する。」
「図1
[図:0001421391000001.jpg]
図2
[図:0001421391000002.jpg]
図3
[図:0001421391000003.jpg]
図4
[図:0001421391000004.jpg]
」
イ 認定事項
・甲1の【0011】、【0012】、【図1】の記載から、肩部3は口部2に連設されていること、胴部4は肩部3に連設していること、底部は胴部4に連設されていることが看取される。
・甲1の【0011】~【0013】、【図1】、【図4】の記載から、「胴部4」のA-A断面図において、胴部4は軸心に直交する断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されていることが看取される。
・甲1の【0011】~【0013】、【図1】、【図2】の記載から、プラスチックボトルの平面図が、胴部の大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6により規定されていることが看取される。
・甲1の【0011】、【0012】、【0014】、【図1】の記載から、下胴部4bは、上胴部4aより底部側に設けられていることが看取される。
ウ 甲1に記載された発明
甲1には、以下の発明が(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「口部2、口部2に連設されている肩部3、肩部3に連設されている胴部4および胴部に連設されている底部を備えるプラスチックボトルであって(【0012】、
胴部4は、上胴部4aと下胴部4bとを有し【0014】、
下胴部4bは、上胴部4aより底部側に設けられ、
胴部4は、軸心に直交する断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されており、
プラスチックボトルの平面図が、胴部4の大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6により規定されている
プラスチックボトル。」
(2)甲2の記載事項
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、あるいは、ポリプロピレンを射出成形してプリフォームを成形し、上記プリフォームを二軸延伸ブロー成形したプラスチックボトルにおいて、飲料等を充填する際に用いる角型プラスチックボトルに関する。」
「【0007】図中1は角型プラスチックボトル、2は口部、3は肩部、4は肩部に設けられた減圧吸収面、5は上胴部、6は上胴部に設けられた減圧吸収面、7は上胴部の各コーナー部、8は上胴部に巻いて接着される紙ラベル、9は環状凹溝、10は環状凹溝の各コーナー部、11は下胴部、12は下胴部の減圧吸収面、13は下胴部の各コーナ部、14は底部である。」
「【0014】さらに、第1図および第4図に示すように、下胴部11の各面にほぼ矩形でトラック状の減圧吸収面12を設け、各コーナー部13の横断面形状を稜線が存在する直線状とし、その下方に底部14を設ける。」
「【0016】この時、上胴部5は各コーナー部7の横断面形状が凸曲面で、減圧時に局部変形を生じ易いが、その下方に設けた環状溝部9の各コーナー部10の深さを浅く形成して上記環状溝部9における強度のバランスを持たせ、また、下胴部11の各コーナー部13の横断面形状を直線状に形成して、角型プラスチックボトル1を補強し、上記上胴部5の上記変形を防止する。」
「図1
[図:0001421391000005.jpg]
「図4
[図:0001421391000006.jpg]
」
上記記載から、甲2には、次の事項が記載されていると認められる。
「角型プラスチックボトルにおいて、上胴部5の下方に環状溝部9が設けられ、減圧吸収面12を有する下胴部11の各コーナー部13の横断面形状を直線状に形成して、角型プラスチックボトル1を補強すること。」(以下「甲2記載事項」という。)
(3)本件発明1
ア 本件発明1と甲1発明との対比
甲1発明の「口部2」は、本件発明1の「口部」に相当し、以下同様に、「口部2に連設されている肩部3」、「肩部3に連設されている胴部4」、「胴部4に連設されている底部」、「上胴部」、「下胴部」、「プラスチックボトル1」は、それぞれ、「前記口部に連設されている肩部」、「前記肩部に連設されている胴部」、「前記胴部に連設されている底部」、「第一胴部」、「第二胴部」、「容器」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備え、前記胴部は、第一胴部と第二胴部を有する容器」で一致し、次の相違点1~3で相違する。
<相違点1>
胴部に関し、本件発明1が、「前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し」ているのに対し、甲1発明の胴部は、上胴部4aと下胴部4bとを有しているものの、上胴部4aと下胴部4bの軸心に直交する断面の形状が異なるものであるのか不明である点。
<相違点2>
胴部に関し、本件発明1が、「前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、前記第二胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長」いものであるのに対し、甲1発明は、「胴部は、軸心に直交する断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されて」いるものであり、軸心に直交する断面の形状において、直線部分を有しておらず、そのため、四つの辺部分の長さはいずれも隣接する二つの辺部分の間の最短距離に対応する構成も有していない点。
<相違点3>
本件発明1は、「底部を接地面として設置したときの投影形状が、前記第二胴部の前記断面の形状により規定される」のに対して、甲1発明は、「プラスチックボトルの平面図が、胴部の大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6により規定されている」ものの、底部を接地面として設置したときの投影形状が胴部4の上胴部4aまたは下胴部4bのいずれの断面部分の形状により規定されているものか不明である点。
イ 相違点1~2についての検討
<相違点1>について以下、検討する。
甲1には、上胴部4aと下胴部4bに対応する断面形状に着目した記載はなく、また、甲1発明において、「前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し」とする動機付けはないので、相違点1に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到し得たものではない。
<相違点2>について以下、検討する。
甲1発明における「断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5」は、直線部分ではない。
そして、甲1発明において、側辺部を直線形状に変更する動機付けはなく、相違点2に係る本件発明1の構成は甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
この点について、申立人は、「ここで、図2の平面図において、プラスチックボトル1の外周側の輪郭を示す線のうち、内側にあらわれる線は、上胴部4aの輪郭であって、上胴部4aの軸心に直交する断面の形状に相当し、その外側にあらわれる線は、下胴部4bの輪郭であって、下胴部4bの軸心に直交する断面の形状に相当する。上胴部4aの軸心に直交する断面の形状と、胴部4bの軸心に直交する断面の形状とは、大きさが異なる形状とされており、相似形と見做せる程度に近似しているが異なる形状であることに相違ない。」としている。(特許異議申立書 10ページ2~8行)
しかし、甲1の図2の平面図の輪郭を表す線について、内側と外側が存在し、上胴部と下胴部の輪郭を示していることについて記載も示唆もされていない。
そして、甲1発明において、「前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部」とする動機付けはなく、当業者が容易に想到し得たものではない。
また、申立人は、甲1について「【図1】,【図2】,【図4】これらの図から、以下の点が看取できる。
・上胴部4aは、軸心に直交する断面の形状が、四つの直線状の側辺部5と、側辺部5同士を接続する四つの円弧上のコーナー部6とにより画定される形状である、筒状の部分である。
・下胴部4bは、軸心に直交する断面の形状が、上胴部4aの断面の形状を包含する大きさとされた、四つの側辺部5と、側辺部5同士を接続する四つのコーナー部6と、により画定される形状である、筒状の部分である。
・下胴部4bにおける四つの側辺部5の長さはいずれも、隣接する二つの側辺部5の間の最短距離より長い。」としている。(特許異議申立書 10ページ12行~21行)
しかし、甲1には、「【0013】図1、図2及び図3に示すように、プラスチックボトル1の胴部4は、大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されている。」と記載されている。
してみれば、側辺部はほぼ直線状の円弧から成っているものであり直線状とは認められないし、【図1】、【図2】、【図3】からは、上胴部4aと下胴部4bのそれぞれに対応した断面形状に着目した記載はないため、それぞれの断面形状は不明であるから、「下胴部4における四つの側辺部5の長さはいずれも、隣接する二つの側辺部5の間の最短距離より長い」ものではなく、相違点1、相違点2は、実質的な相違点であり、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
ウ 小括
以上、<相違点1>についての検討のとおり、加えて<相違点2>についての検討も考慮すると、<相違点3>について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。
(4)本件発明2~9
本件発明1が、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項を全て備える本件発明2~9は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明10
ア 本件発明10と甲1発明との対比
甲1発明の「上胴部」は、本件発明10の「第一胴部」に相当し、以下同様に、「下胴部」は、「第二胴部」に相当する。
甲1発明の「下胴部4bは、上胴部4aより底部側に設けられ」は、本件発明10の「第二胴部は、第一胴部よりも底部側に設けられている」に相当する。
そして、上記「(3)ア 本件発明1と甲1発明との対比」を踏まえると、本件発明1と甲1発明は「口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、前記胴部は、第一胴部と第二胴部とを有し、前記第二胴部は、前記第一胴部よりも前記底部側に設けられている容器。」の点で一致し、次の相違点4~5で相違する。
<相違点4>
胴部に関し、本件発明10が、「前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し」ているのに対し、甲1発明の胴部4は、上胴部4aと下胴部4bとを有しているものの、上胴部4aと下胴部4bの軸心に直交する断面の形状が異なるものであるのか不明である点。
<相違点5>
胴部に関し、本件発明10が、「前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、前記第二胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの直線状の連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長」いものであるのに対し、甲1発明は、「胴部は、軸心に直交する断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5と、円弧状のコーナー部6で構成されて」いるものであり、軸心に直交する断面の形状において、直線部分、直線状の連絡部分を有しておらず、また、辺部分の長さが隣接する辺部分の間の最短距離より長いのかが不明である点。
イ 相違点4~5についての検討
<相違点4>について以下、検討する。
上記<相違点1>について検討したとおり、甲1には、上胴部4aと下胴部4bに対応する断面形状に着目した記載はなく、また、甲1発明において、「前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し」とする動機付けはないので、相違点4に係る本件発明10の構成は当業者が容易に想到し得たものではない。
<相違点5>について以下、検討する。
甲1発明における「断面の形状が大きな曲率でほぼ直線状の円弧から成る側辺部5」は、直線部分ではない。
また、「前記第二胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの直線状の連絡部分と、により画定される形状」であることについて、甲1発明と甲2記載事項の技術とは、プラスチックボトルの補強に関する技術である点で共通しているものの、甲1発明は、上胴部4aと下胴部4bの側辺部5とコーナー部6に設けられた補強凹溝8、9によって補強しているものであり(【0012】、【0015】)、下胴部に凹溝を有していない甲2記載事項の技術と構造が異なっているから、甲2記載事項の技術を適用する動機付けはなく、相違点5に係る本件発明10の構成は甲1発明および甲2記載事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
この点について、申立人は、「本件特許発明10における発明特定事項D’は、本件特許発明1の発明特定事項Dに対して、「直線状の連絡部分」と特定している点、すなわち、第二胴部の軸心に直交する断面における連結部分が直線状である点で相違するが、その余の事項は共通する」、「本件特許発明10における発明特定事項D’は、当業者が甲第2号証を適宜参酌することによって、容易に想到できたものでしかない。」としている。
しかし、上記したとおり、「直線状の連絡部分」の有無以外についても相違しており、また、甲1発明において、甲2記載事項の技術を適用する動機付けはないものである。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
ウ 小活
以上により、本件発明10は、甲1発明、甲2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(6)本件発明11
本件発明10が、甲1発明、甲2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明10の発明特定事項を全て備える本件発明11は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではなく、また、甲1発明、甲2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701092