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特許異議申立

2024-701012

細胞解析方法、細胞解析装置、細胞解析システム、及び細胞解析プログラム、並びに訓練された人工知能アルゴリズムの生成方法、生成装置、及び生成プログラム

審判番号
2024-701012
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-217159
登録番号
7475848
請求日
2024年10月15日
審決日
2025年08月26日
公報発行日
2025年12月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】シスメックス株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
  • 【異議申立人】山内 慶子
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 北島 拓馬
  • 審判官 松本 隆彦
分類
P1651.121-YAA(G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7475848号発明「細胞解析方法、細胞解析装置、細胞解析システム、及び細胞解析プログラム、並びに訓練された人工知能アルゴリズムの生成方法、生成装置、及び生成プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7475848号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕、15、16、17について訂正することを認める。 特許第7475848号の請求項1~5、10~17に係る特許を維持する。 特許第7475848号の請求項6~9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7475848号の請求項1~17に係る特許についての出願は、令和元年11月29日を出願日とする出願であり、令和6年4月19日にその特許権の設定登録がされ、同年4月30日に特許掲載公報が発行された。 その後、同年10月15日に、本件特許の請求項1~17に係る特許に対し、特許異議申立人 山内慶子(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は以下のとおりである(日付は当審による起案を除き、書類の受付日である。)。 令和7年 2月19日付け 取消理由通知 同年 4月16日 面接(特許権者) 同年 4月22日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 5月14日 (訂正請求書に対する)手続補正書及び上申書(特許権者) 同年 6月17日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 7月 9日 意見書(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年4月22日付けの訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7475848号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~17について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1~11からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析方法であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、 前記流路内を通過する細胞を撮像して解析対象画像を生成し、 生成した前記解析対象画像から解析用データを生成し、 生成した前記解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、 前記細胞解析方法。」と記載されているのを、 「人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析方法であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、 前記流路内を通過する細胞を撮像して解析対象画像を生成し、 前記解析対象画像は、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した 複数の画像を含み、 生成した前記解析対象画像から解析用データを生成し、 生成した前記解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、 前記細胞解析方法。」に訂正する(請求項1の記載を引用する直接又は間接的に引用する請求項2~5、10~14も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10に 「前記解析対象画像を生成することは、細胞を撮像して得られた画像から細胞領域を抽出するトリミング処理を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」と記載されているのを、 「前記解析対象画像を生成することは、細胞を撮像して得られた画像から細胞領域を抽出するトリミング処理を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11に 「前記人工知能アルゴリズムが、ニューラルネットワーク構造を有する深層学習アルゴリズムである、請求項1から10のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」と記載されているのを、 「前記人工知能アルゴリズムが、ニューラルネットワーク構造を有する深層学習アルゴリズムである、請求項1から5、および10のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」 に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13に 「前記解析用データが、前記解析対象画像における特徴量を示すデータである、請求項1から11のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」と記載されているのを、 「前記解析用データが、前記解析対象画像における特徴量を示すデータである、請求項1から5、10、および11のいずれか一項に記載の細胞解析方法。 」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項15に 「人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析装置であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像から生成した解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 制御部を備える、前記細胞解析装置。」と記載されているのを、 「人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析装置であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像であって、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む前記解析対象画像から生成した解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 制御部を備える、 前記細胞解析装置。」 に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項16に 「細胞を含む試料が流れるフローセルと、 前記フローセルを流れる試料に光を照射するための光源と、 前記光が照射された前記試料中の細胞を撮像する撮像部と、 制御部と、 を備えた、細胞解析システムであって 前記制御部は、 前記撮像部が撮像した流路内を通過する細胞の画像を解析対象画像として取得し、前記細胞は標的部位が標識されており、 前記解析対象画像から解析用データを生成し、 前記解析用データを人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 前記細胞解析システム。」と記載されているのを、 「細胞を含む試料が流れるフローセルと、 前記フローセルを流れる試料に光を照射するための光源と、 前記光が照射された前記試料中の細胞を撮像する撮像部と、 制御部と、 を備えた、細胞解析システムであって 前記制御部は、 前記撮像部が撮像した流路内を通過する細胞の画像を解析対象画像として取得し、前記細胞は標的部位が標識されており、前記解析対象画像は同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した 複数の画像を含み、 前記解析対象画像から解析用データを生成し、 前記解析用データを人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 前記細胞解析システム。」 に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項17に 「コンピュータに、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像から生成した解析用データを人工知能アルゴリズムに入力するステップと、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成するステップと、 を、含む処理を実行させる、細胞を解析する細胞解析プログラム。」と記載されているのを、 「コンピュータに、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像であって、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む前記解析対象画像から生成した解析用データを人工知能アルゴリズムに入力するステップと、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成するステップと、 を、含む処理を実行させる、細胞を解析する細胞解析プログラム。」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~14について、請求項2~14は、それぞれ請求項1を直接または間接的に引用する関係にあるから、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~14に対応する訂正後の請求項1~14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「流路内を通過する細胞を撮像し」た画像を「解析対象画像」と特定しているところ、訂正後の請求項1の「前記解析対象画像は、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含み、」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における解析対象画像をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項2~5、10~14は、訂正後の請求項1に記載された「前記解析対象画像は、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含み、」との記載を引用することにより、訂正後の請求項2~5、10~14に係る発明における解析対象画像をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、「解析対象画像」という発明特定事項を概念的により下位の「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」画像にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2~14の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記アの理由から明らかなように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2~14の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項2~5、10~14に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項2~14との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 ウ 新規事項の有無 訂正事項1は、明細書記載に基づいて導き出される構成である。段落【0186】には、「上述した実施形態においては、1つの細胞の同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像から解析用データを生成している。」との記載がなされていることから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである 。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1 に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2~5 訂正事項2~5は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)訂正事項6~8 訂正事項6~8は、いずれも、訂正事項2~5によって請求項が削除されたことにともない、引用する請求項からそれら削除された請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (4)訂正事項9 ア 訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の請求項15において、「流路内を通過する細胞を撮像し」た画像を「解析対象画像」と特定しているところ、訂正後の請求項15の「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」との記載により、訂正後の請求項15に係る発明における解析対象画像をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 上記アの理由から明らかなように、訂正事項9は、「解析対象画像」という発明特定事項を概念的により下位の「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」画像にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項の有無 訂正事項9は、明細書記載に基づいて導き出される構成である。段落【0186】には、「上述した実施形態においては、1つの細胞の同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像から解析用データを生成している。」との記載がなされていることから、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項9 に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項10 ア 訂正の目的 訂正事項10は、訂正前の請求項16において、「流路内を通過する細胞の画像」を「解析対象画像」と特定しているところ、訂正後の請求項16の「前記解析対象画像は同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含み、」との記載により、訂正後の請求項16に係る発明における解析対象画像をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 上記アの理由から明らかなように、訂正事項10は、「解析対象画像」という発明特定事項を概念的により下位の 「 同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」画像にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項の有無 訂正事項10は、明細書記載に基づいて導き出される構成である。段落【0186】には、「上述した実施形態においては、1つの細胞の同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像から解析用データを生成している。」との記載がなされていることから、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (6)訂正事項11 ア 訂正の目的 訂正事項11は、訂正前の請求項17において、「流路内を通過する細胞を撮像し」た画像を「解析対象画像」と特定しているところ、訂正後の請求項17の「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」との記載により、訂正後の請求項17に係る発明における解析対象画像をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 上記アの理由から明らかなように、訂正事項11は、「解析対象画像」という発明特定事項を概念的により下位の「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む」画像にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項の有無 訂正事項11は、明細書記載に基づいて導き出される構成である。段落【0186】には、「上述した実施形態においては、1つの細胞の同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像から解析用データを生成している。」との記載がなされていることから、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項11 に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 訂正についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項1~11に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕、15、16、17について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~5、及び10~17に係る発明(以下順に「本件発明○」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の各請求項に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析方法であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、 前記流路内を通過する細胞を撮像して解析対象画像を生成し、 前記解析対象画像は、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含み、 生成した前記解析対象画像から解析用データを生成し、 生成した前記解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、 前記細胞解析方法。 【請求項2】 前記細胞の性状を示すデータは、染色体異常を有する細胞であるか否かを示すデータ、又は末梢循環腫瘍細胞であるか否かを示すデータである、請求項1に記載の細胞解析方法。 【請求項3】 前記標的部位は、核、細胞質、及び細胞表面から選択される少なくとも1つに存在する、請求項1又は2に記載の細胞解析方法。 【請求項4】 前記標的部位は、in situ hybridization法、免疫染色法又は細胞内小器官染色により標識されている、請求項1から3のいずれか 一項に記載の細胞解析方法。 【請求項5】 前記標識は、蛍光色素による標識である、請求項1から4のいずれか一項に記載の細胞解析方法。」 「【請求項10】 前記解析対象画像を生成することは、細胞を撮像して得られた画像から細胞領域を抽出するトリミング処理を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞解析方法。 【請求項11】 前記人工知能アルゴリズムが、ニューラルネットワーク構造を有する深層学習アルゴリズムである、請求項1から5、および10のいずれか一項に記載の細胞解析方法。 【請求項12】 前記解析用データが、前記解析対象画像の各画素の明るさを示すデータである、請求項11に記載の細胞解析方法。 【請求項13】 前記解析用データが、前記解析対象画像における特徴量を示すデータである、請求項1から5、10、および11のいずれか一項に記載の細胞解析方法。 【請求項14】 前記特徴量が、前記解析対象画像における前記細胞の面積を含む、請求項13に記載の細胞解析方法。 【請求項15】 人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析装置であって、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像であって、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む前記解析対象画像から生成した解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 制御部を備える、前記細胞解析装置。 【請求項16】 細胞を含む試料が流れるフローセルと、 前記フローセルを流れる試料に光を照射するための光源と、 前記光が照射された前記試料中の細胞を撮像する撮像部と、 制御部と、 を備えた、細胞解析システムであって 前記制御部は、 前記撮像部が撮像した流路内を通過する細胞の画像を解析対象画像として取得し、前記細胞は標的部位が標識されており、前記解析対象画像は同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含み、 前記解析対象画像から解析用データを生成し、 前記解析用データを人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、ように構成された、 前記細胞解析システム。 【請求項17】 コンピュータに、 標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し、前記流路内を通過する細胞を撮像した解析対象画像であって、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含む前記解析対象画像から生成した解析用データを人工知能アルゴリズムに入力するステップと、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成するステップと、 を、含む処理を実行させる、細胞を解析する細胞解析プログラム。」 第4 異議申立人による特許異議の申立理由、及び令和7年2月19日付けで通知した取消理由の概要 1 異議申立人による特許異議の申立理由の概要 (1)申立理由1(特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号)) 本件特許の請求項1~6、10~17に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、本件特許の請求項1~6、10~17に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (2) 申立理由2(特許法第29条第2項について(同法第113条第2号)) 本件特許の請求項1~17に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第5号証の記載に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)証拠方法 申立人が申立書に添付した証拠は次のとおりである(以下、「甲第1号証」~「甲第5号証」を、「甲1」~「甲5」という。)。 ・甲第1号証:米国特許出願公開2017/0333903号 ・甲第2号証:特開2011-30492号公報 ・甲第3号証:特開2012-103077号公報 ・甲第4号証:国際公開2009/137866号 ・甲第5号証:国際公開2012/041333号 2 令和7年2月19日付けで通知した取消理由の概要 当審において、令和7年2月19日付け取消理由通知書で通知した取消理由(以下、「取消理由」という。)の概要は次のとおりである。 本件特許の請求項1~17に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~17に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第5 当審の判断 以下に述べるように、取消理由通知書の取消理由及び申立書に記載した申立理由によっては、本件特許の請求項1~5及び10~17に係る特許を取り消すことはできない。 そして、本件特許の請求項6~9は、上記訂正請求書による訂正の請求により削除され、これらの請求項に係る特許に対する申立人による特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 1.申立理由1及び2並びに取消理由について 上記第4の取消理由1及び2並びに取消理由は、いずれも甲1を主引例とするものであるので、まとめて検討する。 (1)各甲号証の記載事項、甲1記載の発明等 ア 甲1 (ア)甲1の記載事項 「BACKGROUND [0003] Cell physical and morphological properties have long been used to study cell type and cell state and to diagnose diseases. Cell shape is one of the markers of cell cycle. Eukaryotic cells show physical changes in shape which can be cell-cycle dependent, such as a yeast cell undergoing budding or fission. Shape is also an indicator of cell state and can become an indication used for clinical diagnostics. Blood cell shape may change due to many clinical conditions, diseases, and medications, such as the changes in red cells' morphologies resulting from parasitic infections. Other parameters such as features of cell membrane, nuclear-to-cytoplasm ratio, nuclear envelope morphology, and chromatin structure can also be used to identify cell type and disease state. In blood, for instance, different cell types are distinguished by factors such as cell size and nuclear shape. [0004] Biologists and cytopathologists routinely use cell size and morphology to identify cell type and diagnose disease. This is mainly done by some sort of microscopic imaging and manual analysis of the images. As a result, the existing methods are time consuming, subjective, qualitative, and prone to error. Cytopathologists, for instance, review slides prepared from different tissues using a light microscope and look for features that resemble characteristics of disease. This process is timely and the results are subjective and impacted by the orientation of the stained cells, how the slide was prepared, and the expertise of the cytopathologist. Although there have been recent efforts to automate the analysis of cytology smears, there are still challenges. One of the main problems with the analysis of the smears is the existence of contaminant cells that are hard to avoid and make it difficult to detect rare cells or specific feature characteristics of disease. Other issues are the angles of the stained or smeared cells, which can obscure essential information for identification of a cell type or state. SUMMARY OF THE INVENTION [0005] Systems and methods for automated single cell cytological classification in flow in accordance with various embodiments of the invention are illustrated. One embodiment includes a cytological classification system including an imaging system,a flow cell including an inlet, an outlet, and a microfluidic channel including an imaging region, wherein the microfluidic channel receives flow via the inlet and having channel walls formed to focus cells from a sample into a single stream line, space cells within a single stream line, and rotate cells within a single stream line a perfusion system configured to inject a sample into the flow cell via the inlet, anda computing system configured by software to perform cytological cell classification based upon images captured of a cell by the imaging system, wherein the imaging system is configured to capture multiple images of individual cells rotating within the imaging region of the microfluidic channel of the flow cell and each captured image contains an image of a single cell, and the computing system is configured by software to superimpose multiple images of a single cell to create a superimposed image, and classify the single cell based upon characteristics of the superimposed image. [0006] In another embodiment, the computing system is configuredto classify the single cell using a plurality of classifiers. [0007] In a further embodiment, at least one of the plurality of classifiers are learned using a training data set. [0008] In still another embodiment, the computing system is configured to classify the single cell using a Neural network model. [0009] In a still further embodiment, the imaging system includes a light source configured to illuminate the imaging region of the microfluidic channel. [0010] In yet another embodiment, the imaging system further includes an objective lens system configured to magnify the cells passing through the imaging region of the microfluidic channel. [0011] In a yet further embodiment, the imaging system further includes a high-speed camera system configured to capture images at between 100,000 and 500,000 frames/s. [0012] In another additional embodiment, the microfluidic channel is formed so that the imaging system captures a sequence of images of a rotating cell within the imaging region of the microfluidic channel that provides full 360° view of the cell. [0013] In a further additional embodiment, the imaging system captures at least 10 images of a cell within the imaging region of the microfluidic channel. [0014] In another embodiment again, the imaging system captures of images of at least 1000 cells/second and the computing system classifies at least 1000 cells/second. [0015] In a further embodiment again, the microfluidic channel further includes a filtration region. [0016] In still yet another embodiment, a subsection of the channel walls includes a focusing region formed to focus cells from a sample into a single stream line of cells using inertial lift forces. [0017] In a still yet further embodiment, the inertial lift forces act on cells at Reynolds numbers where laminar flow occurs. [0018] In still another additional embodiment, the focusing region includes contracted and expanded sections. [0019] In a still further additional embodiment, the contracted and expanded sections have an asymmetrical periodic structure. [0020] In still another embodiment again, a subsection of the channel walls includes an ordering region formed to space cells within a single stream line using inertial lift forces and secondary flows that exert drag forces on the cells. [0021] In a still further embodiment again, the ordering region forms at least one pinching region. [0022] In yet another additional embodiment, the ordering region forms a sequence of curved channels and pinching regions. [0023] In a yet further additional embodiment, a subsection of the channel walls includes a cell rotation region formed to rotate cells by applying a velocity gradient to the cells within the single stream line of cells. [0024] In yet another embodiment again, the cell rotation region applies a velocity gradient to cells using a co-flow. [0025] In a yet further embodiment again, the cell rotation region applies a velocity gradient to cells by increasing at least one dimension of the channel. [0026] In another additional embodiment again, the cytological classification system includes a two-layered flow cell including an inlet, an outlet, and a microfluidic channel including a focusing region for focusing cells from a sample into a single stream line, an ordering region for spacing cells within a single stream line, a cell rotation region for rotating cells within a single stream line, and an imaging region that provides a field of view of rotating cells a perfusion system configured to inject a sample into the flow cell via the inlet, an imaging system including a camera configured to collect images of the imaging region, a light source for illuminating the imaging region, and an objective lens system configured to provide magnification of the imaging region, and a computing system configured by software to perform cytological cell classification based upon images captured of a cell by the imaging system, wherein the imaging system is configured to capture multiple images of individual cells rotating within the imaging region of the microfluidic channel of the flow cell and each captured image contains an image of a single cell, and the computing system is configured by software to superimpose multiple images of a single cell to create a superimposed image, and classify the single cell based upon characteristics of the superimposed image.」 (下線部当審訳: [0003]細胞型及び細胞状態を研究するために、また、疾患を診断するために、細胞の物理的及び形態学的な特性が長い間使用されてきた。・・・細胞膜、核と細胞質との比率、核膜形態、及びクロマチン構造の特徴などの他のパラメータもまた、細胞型及び疾患状態を識別するために使用され得る。例えば、血液では、細胞のサイズ及び核の形状などの要因によって、異なる細胞型が区別される [0004] 生物学者及び細胞病理学者は、慣用的に、細胞のサイズ及び形態を利用して細胞型を 識別し疾患を診断する。・・・ [0005]・・・一実施形態は、細胞学的分類システムであって、撮像システムと、入口、出口、及び撮像領域を含むマイクロ流体チャネルを含むフローセルであって、マイクロ流体チャネルが、入口を介して流動を受容し、かつサンプルからの細胞を単一の流線に集束させ、単一の流線内で細胞を離間させ、単一の流線内で細胞を回転させるように形成されるチャネル壁を有する、フローセルと、入口を介してフローセルの中にサンプルを注入するように構成された灌流システムと、撮像システムによって捕捉された細胞の画像に基づいて細胞学的細胞分類を実行するようにソフトウェアによって構成されたコンピューティングシステムであって、撮像システムが、フローセルのマイクロ流体チャネルの撮像領域内で回転する個々の細胞の複数の画像を捕捉するように構成され、捕捉された各画像が、単一細胞の画像を含み、コンピューティングシステムが、単一細胞の複数の画像を重ね合わせて、重ね合わせられた画像を作成し、重ね合わせられた画像の特性に基づいて単一細胞を分類するようにソフトウェアによって構成される、コンピューティングシステムとを含む細胞学的分類システムを含む。 [0006]・・・ コンピューティングシステムは、複数の分類器を使用して単一細胞を分類する・・・ [0008]・・・コンピューティングシステムは、ニューラルネットワークモデルを使用して単一細胞を分類する・・・ [0009]・・・、撮像システムは、マイクロ流体チャネルの撮像領域を照明するように構成された光源を含む・・・ ・・・ [0012]・・・撮像システムが、・・・マイクロ流体チャネルの撮像領域内で回転する細胞の画像シーケンスを捕捉する・・・ [0013]・・・撮像システムは、マイクロ流体チャネルの撮像領域内の細胞の少なくとも10枚の画像を捕捉する。 ・・・ [0026]・・・細胞学的分類システムであって、入口、出口、及びマイクロ流体チャネルを含む2層のフローセルであって、マイクロ流体チャネルが、サンプルからの細胞を単一の流線に集束させるための集束領域、単一の流線内で細胞を離間させるための秩序化領域、単一の流線内で細胞を回転させるための細胞回転領域、及び回転する細胞の視野を提供する撮像領域を含む、2層のフローセルと、入口を介してフローセルの中にサンプルを注入するように構成された灌流システムと、撮像領域の画像を収集するように構成されたカメラ、撮像領域を照明するための光源、及び撮像領域の拡大を提供するように構成された対物レンズシステムを含む撮像システムと、撮像システムによって捕捉された細胞の画像に基づいて細胞学的細胞分類を実行するようにソフトウェアによって構成されたコンピューティングシステムであって、撮像システムが、フローセルのマイクロ流体チャネルの撮像領域内で回転する個々の細胞の複数の画像を捕捉するように構成され、捕捉された各画像が単一細胞の画像を含み、コンピューティングシステムが、単一細胞の複数の画像を重ね合わせて、重ね合わせられた画像を作成し、重ね合わせたれた画像の特性に基づいて単一細胞を分類するようにソフトウェアによって構成される、コンピューティングシステムとを含む、細胞学的分類システムを含む。) 「[0042] Systems and methods in accordance with various embodiments of the invention are capable of rapid analysis and classification of cellular samples based on cytomorphological properties.In several embodiments, cells suspended in a fluid medium are passed through a microfluidic channel, where they are focused to a single stream line and imaged continuously. In a number of embodiments, the microfluidic channel establishes flow that enables individual cells to each be imaged at multiple angles in a short amount of time. A pattern recognition system can analyze the data captured from high-speed images of cells flowing through this system and classify target cells. In this way, the automated platform creates new possibilities for a wide range of research and clinical applications such as (but not limited to) point of care services. [0043] Systems and methods in accordance with a number of embodiments of the invention utilize inertial lift forces in a miniaturized fluidic device to position cells in flow and to transfer cells to a single lateral position. The cells can then be ordered to prevent arrival of multiple cells in a single frame during imaging. In this way, the need for image segmentation can be avoided. In a number of embodiments, the cells are caused to spin while they are imaged to capture images of individual cells at multiple angles. [0044] In many embodiments, the cytological classification system can detect and track cells as they pass through the microfluidic system, capturing multiple images per cell at different angles. In several embodiments, the system can be easily integrated with other miniaturized platforms to automate staining and eliminate manual sample preparation altogether. In certain embodiments, the cytological classification system allows for classification of cells individually by ordering them at desired distances from each other. When the cells are imaged in this way, the cytological classification system can reconstruct three-dimensional images from the images of an imaged cell at different angles. Furthermore, analysis can be performed based upon characteristics of the imaged cells including (but not limited to) the morphology of the cytoplasm and nuclear envelope. [0045] Cytological classification systems and methods for performing cytological classification in flow in accordance with various embodiments of the invention are discussed further below. Cytological Classification Systems [0046] A cytological classification system in accordance with an embodiment of the invention is illustrated in FIG. 1A, with the microfluidic design shown in further detail in FIG. 1B. In operation, a sample 102 is prepared and injected by a syringe pump 104 into a flow cell 106, or flow-through device.In many embodiments,the flow cell 106 is a microfluidic device. Although FIG. 1A illustrates a cytological classification system utilizing a syringe pump, any of a number of perfusion systems can be used such as (but not limited to) gravity feeds, peristalsis, or any of a number of pressure systems. In many embodiments, the sample is prepared by fixation and staining. As can readily be appreciated, the specific manner in which the sample is prepared is largely dependent upon the requirements of a specific application. [0047] In several embodiments, a cell suspension sample is prepared at concentrations ranging between 1×105-5×105 cells/mL. The specific concentration utilized in a given cytological classification system typically depends upon the capabilities of the system. Cells may be fixed and stained with colored dyes (e.g., Papanicolaou and Wright Giemsa methods).Cytological classification systems in accordance with various embodiments of the invention can operate with live, fixed and/or Wright Giemsa-stained cells. Staining can help increase the contrast of nuclear organelles and improve classification accuracy. After preparation, the cell suspension sample can be injected into the microfluidic device using a conduit such as (but not limited to) tubing and a perfusion system such as (but not limited to) a syringe pump. In many embodiments, a syringe pump injects the sample at ~100 μL/min. As can readily be appreciated, any perfusion system, such as (but not limited to) peristalsis systems and gravity feeds, appropriate to a given cytological classification system can be utilized. [0048] As noted above, the flow cell 106 can be implemented as a fluidic device that focuses cells from the sample into a single stream line that is imaged continuously. In the illustrated embodiment, the cell line is illuminated by a light source 108 and an optical system 110 that directs light onto an imaging region 138 of the flow cell 106. An objective lens system 112 magnifies the cells by directing light toward the sensor of a high-speed camera system 114. In certain embodiments, a 40×, 60×, or 100× objective is used to magnify the cells. As can readily be appreciated by a person having ordinary skill in the art, the specific magnification utilized can vary greatly and is largely dependent upon the requirements of a given imaging system and cell types of interest. [0049] In a number of embodiments, image sequences from cells are recorded at rates of between 100,000-500,000 frames/s using a high-speed camera, which may be color, monochrome, and/or imaged using any of a variety of imaging modalities including (but not limited to) the near-infrared spectrum. In the illustrated embodiment, the imaging area is illuminated with a high-power LED with exposure times of <1 μs to help prevent motion blurring of cells. As can readily be appreciated, the exposure times can differ across different systems and can largely be dependent upon the requirements of a given application or the limitations of a given system such as but not limited to flow rates. Images are acquired and can be analyzed using an image analysis algorithm. In many embodiments, the images are acquired and analyzed post-capture. In other embodiments, the images are acquired and analyzed in real-time continuously. Using object tracking software, single cells can be detected and tracked while in the field of view of the camera. Background subtraction can then be performed. In a number of embodiments, the flow cell 106 causes the cells to rotate as they are imaged and multiple images of each cell are provided to a computing system 116 for analysis. The flow rate and channel dimensions can be determined to obtain multiple images of the same cell and full 360° view of the cells (e.g. 4 images in which the cell rotates 90° between successive frames). A two-dimensional “hologram” of a cell can be generated by superimposing the multiple images of the individual cell. The “hologram” can be analyzed to automatically classify characteristics of the cell based upon features including (but not limited to) the morphological features of the cell. In many embodiments, 10 or more images are captured for each cell. As can readily be appreciated, the number of images that are captured is dependent upon the requirements of a given application.」 (下線部当審訳: [0042] 本発明の様々な実施形態によるシステム及び方法は、細胞形態特性に基づいて細胞サン プルを迅速な分析及び分類を行うことが可能である。いくつかの実施形態では、流体媒体中に懸濁された細胞はマイクロ流体チャネルを通過し、マイクロ流体チャネルにおいて、これらの細胞は、単一の流線に集束し、連続的に撮像される。・・・個々の細胞がそれぞれ短時間で複数の角度で撮像される・・・パターン認識システムは、本システムを通して流動する細胞の高速度画像から捕捉されたデータを分析し、標的細胞を分類することができる。・・・ [0044] 多くの実施形態では、細胞学的分類システムは、細胞がマイクロ流体システムを通過するときにそれらを検出して追跡し、細胞ごとに複数の画像を異なる角度で捕捉することができる。・・・細胞学的分類システムは、異なる角度で撮像された細胞の画像から3次元画像を再構築することができる。さらに、細胞質及び核膜の形態(但し、これに限定されない)を含む撮像された細胞の特性に基づいて分析が実行され得る。 ・・・ 細胞学的分類システム [0046]・・・サンプル102が、調製され、シリンジポンプ104によってフローセル106またはフロースルーデバイスの中に注入される。多くの実施形態では、フローセル106はマイクロ流体デバイスである。・・・多くの実施形態では、サンプルは固定及び染色によって調製される。・・・ [0047]・・・細胞は、固定され、有色色素を用いて(例えば、Papanicolaou法及び Wright Giemsa法)染色されてもよい。本発明の様々な実施形態による細胞学的分類システムは、生存している細胞、同定された細胞、及び/又はWright Giemsa法で染色された細胞を用いて動作することができる。染色は、核細胞小器官のコントラストの増加および分類正確度の向上を促進することができる。・・・細胞懸濁液サンプルがマイクロ流体デバイスの中に注入され・・・ [0048]・・・フローセル106は、サンプルからの細胞を連続的に撮像される単一の流線に集束させる流体デバイスとして実装され得る。光源108、及びフローセル106の撮像領域138に光を指向させる光学システム110によって、細胞株が照明される。・・・ [0049]・・・この画像シーケンスは、カラー、モノクロであり、かつ/または近赤外スペクトルを含む(但し、これに限定されない)様々な撮像モダリティのうちのいずれかを使用して撮像されてもよい。・・・画像は、取得され、画像分析アルゴリズムを使用して分析され得る。・・・フローセル106は、細胞が撮像されるときに細胞を回転させ、各細胞の複数の画像が、分析のためにコンピューティングシステム116に提供される・・・個々の細胞の複数の画像を重ね合わせることによって、細胞の2D「ホログラム」が生成され得る。「ホログラム」は、細胞の形態学的特徴(但し、これに限定されない)を含む特徴に基づいて細胞の特性を自動的に分類するように分析され得る。・・・各細胞について10枚以上の画像が捕捉される。・・・) 「Imaging and Classification [0068] A variety of techniques can be utilized to classify images of cells captured by cytological classification systems in accordance with various embodiments of the invention. Using image analysis software, the different cell types can be classified. In a number of embodiments, images are captured at very high frame rates on the order of 100,000s of frames per second and classification is performed in real time. In several embodiments, 2D “holograms” are formed from captured images and provided to one or more classifiers. In many embodiments, classifiers that are utilized can be categorized according to: i) classifiers that identify specific features of interest (specific size, round vs rough nuclear shape, specific nuclear-to-cytoplasmic ratio); and ii) classifiers that use training sets to identify specific target cell types. The distinction between the two different classes of classifier are discussed more formally below. Classification Based Upon Defined Cell Characteristics [0069] The classification problem within a cytological classification system can involve assigning image hi of cell i to a set C of m classes C={c1, . . . , cm}. In several embodiments, the classification processes utilized in cytological classification systems start by finding the center of cell i in the superposition image hi (i.e. an image formed by the superposition of the images of cell i) and calculate a set of k values and normalizes them to x1(i), . . . , xk(i) according to a predefined set of parameters P1, . . . , Pk which depend on the application and the type of cells that are going to be classified. The classification process outputs Y:=f(WTX), where X is a k×n matrix of n observations (cells) over values of k parameters, W is a k×m matrix, and f is a classification function defined on Rm→C. [0070] Suppose k=5 as an example. x(i)=[x1(i),x2(i),x3(i),x4(i),x5(i)] y(x(i))=f(W11x1(i)+...+W15x5(i), W21x1(i)+...+W25xb(i),..., Wm1x1(i)+...+Wm5x5(i)) [0071] Classification function f(.) and weight matrix W can either be manually tuned or optimized using conventional optimization processes. [0072] Referring to 6A and 6B, the classification process is conceptually illustrated. Three mock examples of cells being imaged while rotating in a microfluidic channel are shown. An overlay of the images is first calculated for each cell. The parameters described below in more detail are calculated. Note the difference between two cells with different nuclear sizes (center and right) and cells with single versus two nuclei (left vs. center/right). As can readily be appreciated, thresholds can be applied to the parameters by the classifier(s) and determinations made concerning the characteristics of the cells. Analysis Using Trained Classifiers [0073] Generalized classifiers g can be learned using machine learning techniques such as (but not limited to) a Support Vector Machine (SVM) or other appropriate process for generating a classifier from a training data set, where Y=g(X,Γ), where Γ are the parameters of the function, using a training set {(x(1), y(1)), (x(2), y(2)), . . . , (x(t), y(t))} of size t, where x(i) is still defined by the parameters P1 through Pk: [x1(i), . . . , xk(i)].」 (下線部当審訳: [0068] ・・・捕捉された画像から2D「ホログラム」が形成され、1つまたは複数の分類器に提供される。多くの実施形態では、利用される分類器は、i)特定の関心対象の特徴(特定のサイズ、円形の核形状と粗い核形状、特定の核細胞質比)を識別する分類器と、ii)訓練セットを使用して特定の標的細胞型を識別する分類器とに従って大別され得る。・・・ [0072] ・・・各細胞について、画像のオーバーレイが算出される。以下でより詳細に説明されるパラメータが算出される。・・・ [0073] 一般化された分類器gは、サポートベクターマシーン(SVM) または訓練データセットから分類器を生成するための他の適切なプロセスなど(但し、これに限定されない)の機械学習技法を使用して学習され得る。・・・) 「Analysis Via Neural Networks [0074] Neural networks can also be trained using a training data set of images and used to perform classification. In several embodiments, after background correction, thresholding and edge detection (using a Canny filter), the resulting sequence of images of a cell are flattened and loaded into an array that is provided to an l layer Neural network model with q nodes to perform classification. In several embodiments, the number of nodes in the Neural network are selected based upon the number of pixels of the edges typically observed in images following application of the Canny filter. [0075] For each cell, one array can be generated. The sequence of processes for each cell is: [0076] a) The number of images per cell is determined using particle tracking software [0077] b) For each image the following is done: [0078] i) background correction [0079] ii) thresholding [0080] iii) edge detection [0081] iv) binary edge image [0082] c) the binary images are then superimposed (2D hologram) [0083] d) the final 2D image (the superimposed edge image) is converted into a 1D array. [0084] While a variety of different classification approaches exists, the choice of approaches used depends on the application. While a Neural network model could offer an enhanced classification accuracy, for more rapid classification (for real-time analysis) the predefined parameters P1 through P5 can be advantageous. As can readily be appreciated, the specific classification process(es) utilized in a cytological classification system in accordance with an embodiment of the invention are largely dependent upon the requirements of a given application. Application: Fetal Nucleated Red Blood Cell (fNRBC) Detection in Blood [0085] In order to illustrate the performance of a cytological classification system similar to the cytological classification systems described above, three sets of cell images are provided in FIGS. 7A-7C. The three sets include three classes of interest: [0086] c1: Cells with no nuclei (shown in 7A), [0087] c2: Cells with single round nuclei (shown in 7B), and [0088] c3: Cells with single irregular nuclei (shown in 7C). [0089] Further examples of cell images classified using a cytological classification system in accordance with an embodiment of the invention are illustrated in FIGS. 7D-7F. [0090] The following set of 5 parameters P1, . . . , P5 was utilized by the cytological classification system to classify fNRBCs against adult RBCs and WBCs: [0091] P1: Cell diameter, [0092] P2: Nucleus diameter, [0093] P3: Entropy of the image, defined as: -sum(p*log(p)), p: pixel intensity histogram, [0094] P4: Number of times lines crossing x-y plane intersection pass the cell/nucleus border. [0095] P5: Maximum area difference between the projection of image onto two lines crossing x-y plane intersection. [0096] For the fnRBC detection application explained above, weights for parameters P1 through P5 were found by least squares optimization as part of a manually defined classification function f(.) that classified cells into the three classes c1(label: 0), c2, (label: 1) and c3 (label: 2). [0097] The weight matrix W for the classier is: [図:0001430001000001.jpg] [0098] Images successfully classified at high throughput using the classifier are shown in FIGS. 7A-7F. The classifier utilized to generate the classifications illustrated in FIGS. 7A-7F relies on absolute features of interest, namely 1) the existence and 2) shape of the nucleus (round vs. irregular). Processing time for identification of the three blood cell types was within 50 μs per cell. This is a significant advantage, enabling online processing. This is partly owed to the elimination of image segmentation. [0099] A Neural network model with l=3 and q=211 on 128×128 pixel image sizes was also trained using a small training data set and achieve good precision and recall (>75%) for the detection of fNRBCs. As can readily be appreciated, further tuning and improvements can be done on a larger training set. [0100] Since cells in the blood have distinct morphological properties, the ability to image individual cells from different angles using cytological classification systems in accordance with various embodiments of the invention means that a wide variety of classifiers can be developed to identify different cell types in blood and/or other applications.」 (下線部当審訳: [0074] ニューラルネットワークは、画像の訓練データセットを使用して訓練され、分類を実行するために使用され得る。いくつかの実施形態では、背景補正、閾値処理、及び(Cannyフィルタを使用した)エッジ検出の後、結果として得られる細胞の画像シーケンスは、平坦化されてアレイ内にロードされ、このアレイは、分類を実行するために、q個のノードを有する1層ニューラルネットワークモデルに提供される。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク内のノードの数は、Cannyフィルタの適用後の画像において通常観察されるエッジのピクセル数に基づいて選択される。 [0075] 各細胞について、1つのアレイが生成され得る。各細胞についての一連のプロセスは以下 のとおりである。 [0076] a) 粒子追跡ソフトウェアを使用して、1細胞あたりの画像数が決定される [0077]b)各画像について、以下が行われる [0078]i)背景補正 [0079]ii)閾値処理 [0080]iii)エッジ検出 [0081]iv)バイナリエッジ画像 [0082] c) ついで、バイナリ画像が重ね合わせられ(2Dホログラム) [0083]d) 最終的な2D画像(重ね合わせられたエッジ画像)が1Dアレイに変換される。 [0084]・・・ニューラルネットワークモデルは分類正確度の向上をもたらす・・・分類は、事前定義済みのパラメータP1~P5が有利であり得る。 ・・・ [0090] fNRBCを成人のRBC及びWBCと対比して分類するために、細胞学的分類システ ムによって以下の5つのパラメータP1,・・・,P5のセットが使用された。 [0091] Pl:細胞直径 [0092] P2:核直径 [0093] P3:-sum(p*log (p))として定義される画像のエントロピー、p:ピクセル強度ヒストグラム [0094] P4:x-y平面の交点と交差する線が細胞/核の境界を通過する回数 [0095] p5:x-y平面の交点と交差する2本の線への画像の投影の最大面積差 ・・・ [0098]・・・分類器は、関心対象の絶対的特徴、すなわち1)核の存在、及び2)核の形状(円形対異形)に依存する。・・・ [0099]・・・ニューラルネットワークモデルも、小さい訓練データセットを利用して訓練され、fNRBCの検出で良好な精度及び再現率(>75%)を達成する。 [0100])血液中の細胞は別個の形態特性を有するため、本発明の様々な実施形態による細胞学的分類システムを使用して個々の細胞を異なる角度から撮像できることは、血液及び/又は他の用途における異なる細胞型を識別するための多種多様な分類器が開発され得ることを意味する。 [図:0001430001000002.jpg] [図:0001430001000003.jpg] [図:0001430001000004.jpg] [図:0001430001000005.jpg] (イ)認定事項 甲1の段落[0082]において重ね合わせられる「バイナリ画像」は、段落[0083]の「最終的な2D画像(重ね合わせられたエッジ画像)」という記載から、重ね合わせられるのが「エッジ画像」であるので、段落[0081]の「バイナリエッジ画像」を意味すると認められる。また、重ね合わせられた画像については、段落[0082]で「2Dホログラム」、段落[0083]で「最終的な2D画像(重ね合わせられたエッジ画像)」と記載されており、両者は同じものを指すと認められ、以下「2Dホログラム」とする。 (ウ)甲1発明 以上を総合すると、甲1には次の各発明が記載されているものと認められる。 a 「細胞形態特性に基づいて細胞サンプルの迅速な分析及び分類を行う方法であって、([0042]) 細胞は、核細胞小器官のコントラストの増加及び分類正確度の向上を促進することができるように有色色素を用いて(例えば、Papanicolaou法及び Wright Giemsa法)染色されてもよく、([0047]) 流体媒体中に懸濁された細胞は、サンプルからの細胞を単一の流線に集束させるための集束領域、単一の流線内で細胞を離間させるための秩序化領域、単一の流線内で細胞を回転させるための細胞回転領域、及び回転する細胞の視野を提供する撮像領域を含むマイクロ流体チャネルを通過し、マイクロ流体チャネルにおいて、これらの細胞は、単一の流線に集束し、連続的に複数の角度で撮像され、([0026]、[0042]) 各画像について、背景補正、閾値処理、エッジ検出が行われて、バイナリエッジ画像が生成され、([0077]~[0081]) バイナリエッジ画像を重ね合わせて、2Dホログラムを得て、2Dホログラムを1Dアレイに変換し、([0082]、[0083]) このアレイを、ニューラルネットワークモデルに提供し、分類を実行する、([0074]) 方法。」(以下「甲1発明1」という。) b 「細胞形態特性に基づいて細胞サンプルの迅速な分析及び分類を行う細胞学的分類システムであって、([0005]、[0042]) 細胞は、核細胞小器官のコントラストの増加及び分類正確度の向上を促進することができるように有色色素を用いて(例えば、Papanicolaou法及び Wright Giemsa法)染色されてもよく、([0047]) 流体媒体中に懸濁された細胞が通過する、サンプルからの細胞を単一の流線に集束させるための集束領域、単一の流線内で細胞を離間させるための秩序化領域、単一の流線内で細胞を回転させるための細胞回転領域、及び回転する細胞の視野を提供する撮像領域を含むマイクロ流体チャネル、([0026]、[0042]) マイクロ流体チャネルにおいて、これらの細胞を連続的に複数の角度で撮像する([0005]、[0042])、撮像領域の画像を収集するように構成されたカメラ、撮像領域を照明するための光源、及び撮像領域の拡大を提供するように構成された対物レンズシステムを含む撮像システム([0026])、 各画像について、背景補正、閾値処理、エッジ検出を行い、バイナリエッジ画像を生成し([0077]~[0081])、バイナリエッジ画像を重ね合わせて、2Dホログラムを得て、2Dホログラムを1Dアレイに変換し([0082]、[0083])、このアレイを、ニューラルネットワークモデルに提供し、分類を実行する([0074])、ソフトウェアによって構成されたコンピューティングシステム([0005]) を備えた細胞学的分類システム。」(以下、「甲1発明2」という。) イ 甲2 (ア)甲2に記載された事項 甲2には、以下のとおりの記載がある。 「【0001】 本発明は、蛍光物質等で標識したヌクレオチドプローブを目的とする遺伝子とハイプリダイゼーションさせ、蛍光顕微鏡等で検出する「FISH法」を用いた、細胞診断や分子細胞遺伝学研究などに用いるFISH細胞画像解析方法、FISH細胞画像解析システム及びFISH細胞画像解析装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、FISH法を用いた癌の細胞診断や分子細胞遺伝学研究等の分野では、例えば、次の非特許文献1に記載の、自動化された蛍光顕微鏡をベースにした細胞画像取得装置や、特許文献1に記載の装置等を用いて、二次元細胞画像を取得し、その二次元細胞画像を元に目的の蛍光スポットの発光を画像処理にて検出し、その細胞に特定の遺伝子配列が含まれているか否かの判定や、染色体異常の検出が行われている。 【0003】 例えば、細胞核内の染色体上において、癌関連遺伝子の遺伝的異常があるか否かを判定するために、細胞核全体をDAPIで染色し、続いて、コントロールとなるプローブを例えば、FITCで標識し、目的部位とハイブリダイズするプローブをTexas Red等で標識する。次いで、細胞内でハイブリダイズさせ、自動化された蛍光顕微鏡をベースにした、例えば、非特許文献1に記載の細胞画像取得装置などで、DAPI,FITC,Texas Redそれぞれのチャネルに適した励起光を照射し、各々の励起光によって得られたカラーチャネル毎の蛍光画像を二次元細胞画像として取得し、その画像を元に目的とする蛍光スポットの発光を検出および測定し、その細胞に染色体異常が含まれているか否かを判定する。」 「【0010】 (4)蛍光波長の漏れこみによる悪影響 また、一般に、短波長側の蛍光が長波長側の蛍光に漏れこみを起すことがある。例えば、コントロールとなるプローブを緑色の蛍光を発するFITC等で染色し、目的部位とハイブリダイズするプローブを赤色の蛍光を発するTexas Redで染色したとする。蛍光波長は、FITC(520nm)の方がTexas Red(620nm)よりも短波長である。また、このとき、コントロールの蛍光スポットが二つ光るものが正常細胞と定義し、コントロールの蛍光スポット二つと赤色の蛍光スポット二つの両方が光る細胞ががん細胞等の異常な細胞であると定義するものとする。その場合において、FITC用の励起光を照射したときにFITCの蛍光がTexas Redに漏れこみ、本来はTexas Redの励起波長のみで蛍光を発するはずのスポットが発光してしまうことが起こりうる。このような蛍光波長の漏れこみが生ずると、コントロールの蛍光スポットが四つ光っているように誤認識され、異常な細胞としてカウントから排除されてしまう。」 「【0027】 【図1】本発明の一実施形態にかかるFISH細胞画像解析システムの全体構成を示すブロック図である。 【図2】本実施形態のFISH細胞画像解析システムにおける処理手順を示すフローチャートで、(a)は細胞の標識から細胞画像の解析・出力までの全体の処理手順を示すフローチャート、(b)は細胞画像の解析及び出力処理における処理手順を示すフローチャートである。 【図3】FISH法でハイブリダイズされた細胞核と該細胞核内の蛍光スポットの一例を模式的に示す説明図であり、(a)はZ方向に沿う断面図、(b)は(a)に示される細胞核をZ位置がaであるXY平面で撮像したときの画像を示す図、(c)は(a)に示される細胞核をZ位置がbであるXY平面で撮像したときの画像を示す図である。 【図4】FISH法でハイブリダイズされたコントロールの蛍光スポットと目的部位の蛍光スポットの両方が発光している細胞核の一例を示す説明図で、(a)はZ方向に沿う断面図、(b)は(a)に示される細胞核をZ位置がaであるXY平面で撮像したときの画像を示す図である。 【図5】FISH法でハイブリダイズされた一つの細胞核と該細胞核内で発現しているコントロールの蛍光スポット及び目的部位の蛍光スポットと、細胞核の周辺に存在するコントロールと同じ蛍光を発する異物を示すとともに、細胞核を含む周囲を、焦点面を同じXY座標上でZ座標を異ならせて複数撮像するときの各Z位置の一例を示す説明図である。 【図6】図5に示す各Z位置で撮像したXY平面の画像を夫々示す説明図である。 【図7】Z方向に異なる複数の焦点面で撮像された細胞核の画像を用いて細胞核を三次元に構築する手法の一例を示す説明図で、(a)はZ方向に異なる複数の焦点面で撮像された細胞核の画像における隣接する部分をつなぎ合わせる状態を概念的に示す図、(b)は(a)の手法により三次元に構築された細胞核を示す図である。 【図8】FISHにおける短波長側の蛍光の長波長側への漏れこみの一例を示す説明図で、(a)はFITCの励起光でコントロールの蛍光スポットを発光させているときに、目的部位の蛍光スポットが短波長側の蛍光の漏れこみによって発光している状態を示す図、(b)はTexas Redの励起光を照射したときに発光する目的部位の蛍光スポットを示す図である。 【図9】蛍光スポットの個数、蛍光スポット内の平均輝度、領域の大きさをウェルごとに示す一覧表の一例を示す図である。 【図10】対物レンズの屈折率と細胞が載置される容器底面の屈折率との違いから、細胞内部に結ばれる焦点のZ方向の移動距離と対物レンズの移動距離が異なる状態を示す説明図である。」 「【0031】 標識処理段階(ステップS1) 標識処理段階では、所定の細胞区画についてレポートする第1の蛍光レポーター分子と、所望の第1の遺伝子配列についてレポートする第2の蛍光レポーター分子と、所望の第2の遺伝子配列についてレポートする第3の蛍光レポーター分子とを含有する複数の細胞が、例えば、マルチウェルプレート、ディッシュ、スライドガラスなどの容器に播種された状態にする。 具体的には、本実施形態では、所定の細胞区画についてレポートする第1の蛍光レポーター分子としてDAPIを用いて細胞核を染色する。また、第1の遺伝子配列についてレポートする第2の蛍光レポーター分子として、FITCを用いてコントロールとなるプローブを標識する。また、所望の第2の遺伝子配列についてレポートする第3の蛍光レポーター分子として、Texas Redを用いて目的部位とハイブリダイズするプローブを標識する。そして、これらのレポーター分子を含有する複数の細胞が、例えば、マルチウェルプレートに播種された状態にする。 【0032】 細胞の構造1 図3はFISH法でハイブリダイズされた細胞核と該細胞核内の蛍光スポットの一例を模式的に示す説明図であり、(a)はZ方向に沿う断面図、(b)は(a)に示される細胞核をZ位置がaであるXY平面で撮像したときの画像を示す図、(c)は(a)に示される細胞核をZ位置がbであるXY平面で撮像したときの画像を示す図である。図3(a)中、αは細胞核、βはFISH法におけるコントロールと呼ばれる蛍光スポットである。 細胞核αは、DAPIで染色されており、358nmを中心波長とする励起光により、461nmを中心波長とする蛍光を発する。この蛍光により、細胞の核の形状およびその存在を確認することができる。 蛍光スポットβは、どの細胞にも存在する特定のDNA配列と相補的な配列を持つプローブを蛍光物質の一つであるFITCで標識したものであって、ハイブリダイズが正しく行われた細胞かどうかを見分ける指標となるものであり、494nmを中心波長とする励起光により、520nmを中心波長とする蛍光を発する。FISH法を用いた細胞の認識および判定では、コントロールである蛍光スポットβが規定数だけ正しく発光している細胞を対象とする。ここでは、コントロールである蛍光スポットβが二つ発光している細胞が、判定の対象となる細胞であるものとする。 図3の例では、二つのコントロールである蛍光スポットβは、図3(a)に示すように、Z方向に離散して存在している。このように、コントロールである蛍光スポットβがZ方向に大きく離散して存在している場合には、撮像する細胞の焦点面のZ位置によって確認できる発光数が変化し、例えば、図3(b)や、図3(c)に示すように、Z位置がa又はbのいずれか一方であるXY平面の画像では、コントロールである蛍光スポットβを一つだけしか確認できないことが起こり得る。 【0033】 細胞の構造2 図4はFISH法でハイブリダイズされたコントロールの蛍光スポットと目的部位の蛍光スポットの両方が発光している細胞核の一例を示す説明図で、(a)はZ方向に沿う断面図、(b)は(a)に示される細胞核をZ位置がaであるXY平面で撮像したときの画像を示す図である。図4(a)中、γはFISH法によって蛍光を発する目的部位を示す蛍光スポットである。 蛍光スポットγは、例えば、がん細胞に特異的に発現する特定のDNA配列と相補的な配列を持つプロープを蛍光物質の一つであるTexas Redで標識したものであり、587nmを中心波長とする励起光により、620nmを中心波長とする蛍光を発する。ここでは、二つのコントロールである蛍光スポットβと、二つのTexas Redにより発光する蛍光スポットγの両方が発光している細胞ががん細胞として判定されるものとする。 図4の例では、二つのコントロールである蛍光スポットβは、図4(a)に示すように、XY座標が同じでZ方向での位置が異なって存在している。このため、図4(b)に示すZ位置がaであるXY平面の画像では、コントロールである蛍光スポットβを一つだけしか確認できない。一方、二つの目的部位を示す蛍光スポットγは、XYZ方向に離散しているため、蛍光スポットγを二つとも判別できる。」 「【0042】 誤認識チェック(ステップS34) 図8はFISHにおける短波長側の蛍光の長波長側への漏れこみの一例を示す説明図で、(a)はFITCの励起光でコントロールの蛍光スポットを発光させているときに、目的部位の蛍光スポットが短波長側の蛍光の漏れこみによって発光している状態を示す図、(b)はTexas Redの励起光を照射したときに発光する目的部位の蛍光スポットを示す図である。 本来であれば、目的部位の蛍光スポットγが発光するのは、FITCの励起光でコントロールである蛍光スポットβの蛍光を発光させているときではなく、図8(b)に示すように、Texas Redの励起光を照射したときである。しかし、短波長側の蛍光が、長波長側の蛍光に漏れこんで長波長側の蛍光物質が発光してしまう現象がまれに起こる。 【0043】 本実施形態の細胞画像解析装置では、このような蛍光の漏れこみによる蛍光スポットの誤検出を防ぐことができるようにしている。 即ち、誤認識防止手段2eが、第2の蛍光レポーター分子と第3の蛍光レポーター分子のうち、短波長側の蛍光レポーター分子が発する蛍光の、長波長側の蛍光レポーター分子への漏れこみを検出して、長波長側の蛍光の発光であるとの誤認識を防止する。 具体的には、上述した三次元座標上での細胞区画構築(ステップS31)~第2、第3の蛍光シグナルの認識(ステップS33)の処理手順によって、三次元に構築され、且つ、細胞区画の区画内に存在するものと認識された、FITCで発光する細胞核内のコントロールである蛍光スポットのXYZ座標とTexas Redで発光する目的部位の蛍光スポットのXYZ座標とを比較する。そして、FITCで発光する蛍光スポットのXYZ座標とTexas Redで発光する目的部位の蛍光スポットのXYZ座標が同一の場合、このXYZ座標が同じ蛍光スポットをコントロールの蛍光スポットではなく、目的部位の蛍光スポットとして認識する。」 「図3 [図:0001430001000006.jpg] 」 「図4 [図:0001430001000007.jpg] 」 「図8 [図:0001430001000008.jpg] 」 (イ)甲2の認定事項 a 甲2の【0002】、【0003】には、従来技術が記載されており、特に、「二次元細胞画像を取得し、・・・、染色体異常の検出が行われている。」(【0002】)及び「励起光を照射し、各々の励起光によって得られたカラーチャネル毎の蛍光画像を二次元細胞画像として取得し、その画像を元に目的とする蛍光スポットの発光を検出および測定し、その細胞に染色体異常が含まれているか否かを判定する。」(【0003】)といった記載の存在を踏まえると、二次元細胞画像を取得して、染色体異常を検出することは、本件特許の出願前において周知な課題であったと認められる。 b 上記(ア)で摘記したように甲2の【0031】~【0033】、図4には、異なる励起波長及び発光波長を有する2種の蛍光物質(FITC及びTexas Red)を用いてFISH法で細胞を標識することが記載されており、このような手法は、本件特許の出願前において周知技術であったと認められる。 ウ 甲3 甲3には、以下のとおりの記載がある 「【0005】 また、腫瘍細胞は、血液やリンパ球の流れにのって全身に循環し、転移する。よって、血液中に存在する腫瘍細胞(末梢循環腫瘍細胞;CTC)を検出し、解析することにより、腫瘍の進行度や転移性を検査したり、予後を予測することができる。しかしながら、血液中には大量の白血球が存在しており、CTCの存在比率は小さい。さらに、組織切片等とは異なり、組織構造が保存されていないため、形態からCTCか否かを判別することは困難である。そこで、通常、上皮系細胞や腫瘍細胞の細胞表面に特異的に存在している分子に対する抗体を利用して、血球細胞から上皮系細胞や腫瘍細胞を分離して回収した後に、遺伝子解析や発現解析等を行い、遺伝子異常の有無を検出することにより、腫瘍細胞を解析している。」 「【0014】 本発明は、FISHを用いて、遺伝子異常が起こっている細胞を、高精度かつ簡便に検出し解析するための方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、細胞表面抗原に対する免疫染色とFISHとを同一の細胞群に対して行い、当該細胞群からの蛍光シグナルの解析を、3画像解析法を用いて行うことによって、検体試料中に極微量にしか存在していない場合であっても、遺伝子異常を起こしている細胞を高精度かつ簡便に検出し得ることを見出し、本発明を完成させた。」 以上によると、甲3には、遺伝子異常を起こしている細胞を高精度かつ簡便に検出しうる装置及び方法において、血液中に存在する腫瘍細胞(末梢循環腫瘍細胞;CTC)を検出し、解析することが記載されている。 エ 甲4 (ア)甲4の記載事項 「Described embodiments relate to methods and systems for automated cell function classification. In particular, described embodiments relate to cell function classification based on extracting information regarding cells in a sample area from images of the sample area taken over time.」(1頁6~9行) (下線部当審訳:サンプル領域の画像からサンプル領域内の細胞に関する情報を抽出する) 「The processing may comprise applying filtering to each of the images to generate an enhanced version of each image. The filtering may comprise noise reduction filtering and may comprise background removal filtering.」(3頁4~6行) (当審訳:処理は、各画像にフィルタを適用することにより、各画像の改善されたバージョンを生成することを含み得る。フィルタリングは、ノイズ低減フィルタリングを含んでいてもよく、背景除去フィルタを含んでもよい。) 「Image enhancement module 210 receives images from image reading module 205 and performs certain enhancement functions in relation to each image. For example, image enhancement module 210 may apply a noise reduction filter and/or a background removal filter. The noise reduction filter may be a Wiener adaptive filter, for example, having a predetermined kernel size selected according to the size of the cells under study. This kernel size can be configured by a user interface 124 using configuration module 127 prior to the analysis being performed in relation to the sequence of images using analysis module 128. The background removal filter may be a morphological filter, such as a Top Hat filter, based on a predetermined structure element corresponding approximately to a shape of the cell. The structure element may be a circle, ellipse, square, diamond or other discrete shape, as long as the structure element is chosen to be slightly bigger than the cell type under study. Following application of the filters, image enhancement module 210 generates for each original image an enhanced image with reduced noise and removed background. The sequence of enhanced images is then passed to segmentation module 215.」(13頁6~20行) (下線部当審訳:背景除去フィルタは、細胞の形状にほぼ対応する、所定の構造要素に基づいて、トップハットフィルタのような形態学的フィルタとすることができる。構造要素は、調査中の細胞タイプよりもわずかに大きいように選択される限り、円形、楕円形、正方形、菱形、または他の形状であってもよい。) (イ)甲4の認定事項 上記(ア)で摘記した記載は、細胞の形状に対応する形状で背景除去フィルタを適用することを説明するものである。これは、不要なエリアの情報を削除して(トリミングして)、細胞の画像だけを解析できるようにするためのものであり、このような技術は本件特許の出願前における周知技術である。 オ 甲5 甲5には、以下のとおりの記載がある。 「The result may be presented as the digital image having markings or labels in areas representing suspected cells.」 (当審訳:結果は、疑わしい細胞を表す面積にマーキング又はラベルを有するデジタル画像として表示される。) 「47) The method according to the preceding claims, wherein step c) involves the use of a machine learning method with optimized parameters for grading or classifying cells, wherein said parameters one or more parameters selected from the textural information, the difference between green chromaticity and blue chromaticity mean, the profile area, the mean red chromaticity, mean 30% highest intensity, the blue chromaticity 30%, the red chromaticity 30%, the red chromaticity variance, the circularity, the extrinsic red chromaticity, distance to center variance, combined circularity and distance to center skewness.」 (当審訳:47) ステップc)は、細胞の等級付けまたは分類のために最適化されたパラメータを有する機械学習方法の使用を含み、前記パラメータは、テクスチャ情報、緑色色度と青色色度平均との差、プロファイル面積、赤色色度平均、平均30%の最高強度、青色色度30%、赤色色度30%、赤色色度分散、真円度、外因性赤色色度、中心分散までの距離、真円度及び中心歪度の合計から選択された1つ以上のパラメータを有する。) 以上によると、甲5には、画像が疑わしい細胞を表す面積を有し、機械学習のパラメータにプロファイル面積を有することが記載されている。 (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明1とを対比する。 ア 甲1発明1の「細胞形態特性に基づいて細胞サンプルの迅速な分析及び分類を行う方法」は、本件発明1の「細胞を解析する細胞解析方法」に相当する。 イ 甲1発明1の「細胞」を「マイクロ流体チャネルを通過」させることは、本件発明1の「標的部位が標識されている細胞を含む試料を流路に流し」に相当する。 ウ 甲1発明1の「マイクロ流体チャネルを通過し」ている「細胞」を「連続的に撮像」して「各画像」を得ることは、本件発明1の「前記流路内を通過する細胞を撮像して解析対象画像を生成し」に相当する。 エ 甲1発明1の「各画像について、背景補正、閾値処理、エッジ検出が行われて、バイナリエッジ画像を生成」し、「バイナリエッジ画像を重ね合わせて、2Dホログラムを得て、2Dホログラムを1Dアレイに変換」することは、本件発明1の「生成した前記解析対象画像から解析用データを生成し」に相当する。 オ 甲1発明1の「ニューラルネットワークモデル」は、本件発明1の「人工知能アルゴリズム」に相当する。また、甲1発明1の「細胞」の「分類」は、本件発明1の「細胞の性状を示すデータ」に相当する。そうすると、甲1発明1の「このアレイを、ニューラルネットワークモデルに提供し、分類を実行する」ことは、本件発明1の「生成した前記解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する」ことに相当する。 カ 以上を総合すると、本件発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「人工知能アルゴリズムを用いて、細胞を解析する細胞解析方法であって、 細胞を含む試料を流路に流し、 前記流路内を通過する細胞を撮像して解析対象画像を生成し、 生成した前記解析対象画像から解析用データを生成し、 生成した前記解析用データを前記人工知能アルゴリズムに入力し、 前記人工知能アルゴリズムによって、前記解析対象画像に含まれる細胞の性状を示すデータを生成する、 前記細胞解析方法。」 <相違点> 相違点1:「細胞」について、本件発明1は、「標的部位が標識されている」のに対して、甲1発明1は、「核細胞小器官のコントラストの増加及び分類正確度の向上を促進することができるように有色色素を用いて(例えば、Papanicolaou法及び Wright Giemsa法)染色されてもよ」いことは特定されているものの、染色が必須ではない点。 相違点2:解析対象画像について、本件発明1は、「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含」むのに対して、甲1発明1は、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含まない点。 (イ)検討 事案に鑑み、先に相違点2について検討する。 甲1発明1において撮像される画像は、上記(1)ア(ア)で摘記した図7A~Cにみられるように明視野の画像である。そして、甲1には、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像することは記載も示唆もされていない。甲1発明1は、マイクロ流体チェネル中で細胞を回転させ、異なる角度から細胞を撮像し、撮像した各画像からバイナリエッジ画像を生成し、バイナリエッジ画像を重ね合わせて2Dホログラムを得て、2Dホログラムを1Dアレイに変換し、ニューラルネットワークを用いて分析するものであるが、甲1の[0100]の記載を参酌すれば、これは、形態特性を利用するものであり、細胞内の特定の物質や遺伝子を検出するものではない。そのため、甲1発明1は、上記(1)イ(イ)で認定した周知技術である、細胞内の特定の物質や遺伝子を蛍光物質により検出する(周知技術である)FISH法とは、分析する特性が異なるものである。また、甲1発明1は、マイクロ流体チャネルを通過中の回転している細胞を連続的に撮像するものであり、一方で、上記(1)イ(イ)で認定した周知技術は、流路を移動している細胞を撮像するものではない。そして、上記周知技術は、検出するスポットの位置や数が重要であるが、甲1発明1のように回転している状態の細胞を複数回撮像すると、撮像する方向により撮像されるスポットの位置や数が変化する可能性がある。そうすると、甲1発明1と上記周知技術は、細胞を撮像するという点で共通するものの、撮像する細胞の状態(回転移動中であるか否か)が異なるものであり、両者を組み合わせることには阻害要因があるといえ、当業者が容易になし得ることではない。 また、甲2~甲5のいずれにも、マイクロ流体チャネルを通過中の回転している細胞を、同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を重ね合わせて分析することは、記載も示唆もされていない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明1と同一ではなく、また、甲1発明1、及び、周知術又は甲2~5に記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものでもない。 (ウ)申立人の主張について a 主張の概要 申立人は、令和7年7月9日提出の意見書において、進歩性について以下の点を主張している。 主張1:甲1に記載の発明は、「フローセル中を流れる細胞を回転させ、回転する細胞を明視野で複数回撮像し、それらの明視野画像を重ね合わせることを特徴とする」ものではなく、また、そのような特徴を有するものに限られるものでもない。 主張2:甲2から認定された周知技術は「異なる発光波長を有する複数種の蛍光色素を用い、異なる波長の蛍光画像により、細胞、特に、細胞核を解析すること」であり、細胞の異なる方向から撮像する技術ではなく、甲1発明1に適用したとしても「細胞の異なる方向から撮像した複数の蛍光画像を重ね合わせた画像が得られること」にはならない。 主張3:甲1の図5A~7D等の実施形態に示されるように、細胞の回転による細胞の異なる方向から撮像した画像の重ね合わせの影響は甲1に記載の発明が解決済みの問題であるから、甲1記載の発明において、細胞の異なる方向から撮像した複数の画像を重ね合わせると解析の精度が低下するとの特許権者の主張は失当である。 主張4:甲1に記載の発明が、「フローセル中を流れる細胞を回転させ、回転する細胞を明視野で複数回撮像し、それらの明視野画像を重ね合わせることを特徴とする」ものであるとしても、本件発明1が「同じ視野の異なる光の波長領域を撮像した複数の画像を含」むのに対し、甲1発明1が、撮像される複数の画像は同じ視野の画像であるが、異なる光の波長領域を撮像した画像ではない点で相違するものの、細胞核の情報に基づく細胞の分類ができるように周知技術を適用して、上記相違点の構成を具備させることは容易であり、上記主張3と同様の理由により周知技術を適用する阻害要因は存在しない。 b 申立人の主張についての検討 (a)主張1について 甲1で開示されている技術は、細胞を異なる方向から撮像した画像を得て、バイナリエッジ画像を生成して重ね合わせることで細胞の特徴を分析をする、細胞サンプルの迅速な分析及び分類を行う方法であるから、細胞を異なる方向から撮像するために、細胞を回転させる必要があるので、甲1発明1は、「流体媒体中に懸濁された細胞は、サンプルからの細胞を単一の流線に集束させるための集束領域、単一の流線内で細胞を離間させるための秩序化領域、単一の流線内で細胞を回転させるための細胞回転領域、及び回転する細胞の視野を提供する撮像領域を含むマイクロ流体チャネルを通過し、マイクロ流体チャネルにおいて、これらの細胞は、単一の流線に集束し、連続的に複数の角度で撮像され」ることを発明特定事項とするものであるので、申立人の主張1は採用できない。 (b)主張2について 上記(イ)で検討したように、甲1発明1に上記(1)イ(イ)で認定した周知技術を組み合わせることには阻害要因があり、当業者にとって容易ではないので、甲1発明1に上記周知技術を適用することを前提とする申立人の主張2は採用できない。 (c)主張3、4について 要するに、主張3、4は、いずれも甲1発明1に上記(1)イ(イ)で認定した周知技術を適用することが容易であることを主張するものである。しかし、上記(イ)で検討したように、甲1発明1に上記(1)イ(イ)で認定した周知技術を組み合わせることには阻害要因があり、申立人の主張3、4は採用できない。 (エ)小括 本件発明1は、甲1発明1と同一ではなく、また、甲1発明1及び、周知技術又は甲2~5に記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものでもない。 イ 本件発明2~5、10~14について 本件発明2~5、10~14は、本件発明1の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 上記アに対比・判断したとおり、本件発明1は、甲1発明1と同一ではなく、また、甲1発明1、及び、周知技術又は甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明2~5、10~14において付加された構成について検討するまでもなく、本件発明2~5、10~14は、甲1発明1と同一ではなく、また、甲1発明1、及び周知技術又は甲2~甲5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ウ 本件発明15について 装置の発明である本件発明15は、方法の発明である本件発明1に対して、カテゴリーの違いによる表現上の差異が存在するに過ぎないから、同様の理由により、本件発明15は、甲1発明2と同一ではなく、また、甲1発明2、及び、周知技術又は甲2~甲5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たものでもない。 エ 本件発明16について 本件発明16は、実質的に本件発明15の細胞解析装置を制御部とし、フローセル、光源、撮像部を備えた細胞解析システムの発明であるから、上記ウと同様の理由により本件発明16は、甲1発明2と同一ではなく、また、甲1発明2、及び、周知技術又は甲2~甲5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たものでもない。 オ 本件発明17について プログラムの発明である本件発明17は、方法の発明である本件発明1に対して、カテゴリーの違いによる表現上の差異が存在するに過ぎないから、同様の理由により、本件発明17は、甲1発明2と同一ではなく、また、甲1発明2、及び、周知技術又は甲2~甲5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たものでもない。 第6 むすび 上記第5のとおり、本件特許の請求項1~5、及び10~17に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5、及び10~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701012

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