特許異議申立
2022-700210
多成分ホスト材料及びそれを含む有機電界発光デバイス
- 審判番号
- 2022-700210
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-559431
- 登録番号
- 6934299
- 請求日
- 2022年03月10日
- 審決日
- 2023年03月31日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
- 【権利者代理人】弁理士法人センダ国際特許事務所
- 【異議申立人】神保 良男
- 審判長/審判官
- 審判長 松波 由美子
- 審判官 加々美 一恵
- 審判官 清水 康司
- 分類
- P1652.113-YAA(H05B) / P1652.121-YAA(H05B) / P1652.536-YAA(H05B) / P1652.537-YAA(H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6934299号発明「多成分ホスト材料及びそれを含む有機電界発光デバイス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6934299号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~10]について訂正することを認める。
特許第6934299号の請求項1~7、9、10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6934299号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、2015年4月7日(パリ条約により優先権主張2014年4月8日、2014年7月10日、2015年3月26日、いずれも韓国)を国際出願日とする出願であって、令和3年8月25日にその特許権の設定登録がされ、令和3年9月15日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯の概要は、次のとおりである。
令和 4年 3月10日 :特許異議申立人による請求項1~7、9、10に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 4年 5月31日付け:取消理由通知書
令和 4年 9月26日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 4年 12月 2日 :特許権者による令和4年9月26日提出の訂正請求書を対象とした手続補正書の提出(以下、この手続補正により補正された訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)
令和 5年 2月 8日 :特許異議申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項[1~10]に対して請求されている。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C6-C30)アリール基を表し」と記載されているのを、
「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2~7、9及び10も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記A1及びA2の置換(C6-C30)アリール基の置換基は、それぞれ独立して、」と記載されているのを、
「前記A1及びA2の置換フェニル、置換ビフェニル、置換テルフェニルまたは置換ナフチルの置換基は、それぞれ独立して、」と訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2~7、9及び10も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「X1~X16は、それぞれ独立して・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているのを、
「X1~X16は、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2~7、9及び10も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「前記X1~X16の前記置換(C1-C30)アルキル基、・・・前記置換モノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基、及び前記置換された単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環の置換基は、それぞれ独立して」と記載されているのを、
「前記X1~X16の前記置換(C1-C30)アルキル基、・・・及び前記置換モノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基の置換基は、それぞれ独立して」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「Maは、置換もしくは非置換の窒素含有5~30員ヘテロアリール基を表し」と記載されているのを、
「Maは、置換もしくは非置換のピリジルまたは置換もしくは非置換のトリアジニルを表し、ただしLaが単結合の場合、Maは置換もしくは非置換のピリジルであり」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「Xa及びXb、Xb及びXc、Xc及びXd、Xe及びXf、Xf及びXgまたはXg及びXhが互いに連結して、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換され得る、インドール環を形成しており」と記載されているのを、
「Xb及びXcまたはXf及びXgが互いに連結して、インドール環を形成しており、前記インドール環は、前記インドール環の窒素原子において非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されており、及び前記窒素原子以外の前記インドール環を形成する原子は、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されていてもよく」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているのを、
「前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項2に「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C6-C30)アリール基を表し」と記載されているのを、
「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項2に「X1~X16は、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成する」と記載されているのを、
「X1~X16は、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表す」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項3に「式2の前記化合物は、以下の式7により表され、・・・式中、V及びWは、それぞれ独立して、単結合、NR15を表すが、ただし、V及びWの両方が単結合を表すこともNR15を表すこともないことを条件とし」と記載されているのを、
「式2の前記化合物は、以下の式7により表され、・・・式中、VはNR15を表し、及びWは単結合を表し」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項3に「Xiは、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているのを、
「Xiは、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項3に「R15は、水素、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基を表す」と記載されているのを、
「R15は、非置換の(C6-C15)アリール基を表す」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項5に「式2中のMaは、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルからなる群から選択される単環系ヘテロアリール基か、またはベンゾイミダゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、カルバゾリル、及びフェナントリジニルからなる群から選択される縮合環系ヘテロアリール基である」と記載されているのを、
「式2中のMaは、トリアジニルである」に訂正する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項6に「式1中のA1及びA2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、またはフルオランテニルを表す」と記載されているのを、
「式1中のA1及びA2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、またはナフチルを表す」に訂正する。
(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項7に「式2中の前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、水素、シアノ基、非置換もしくはトリ(C6-C10)アリールシリル基で置換されている(C6-C15)アリール基、または非置換もしくは(C6-C12)アリール基で置換されている10~20員ヘテロアリール基(ここで、前記10~20員ヘテロアリール基はジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル及びフェナントリジニルからなる群から選択される)を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のインデン、置換もしくは非置換のベンゾフラン、または置換もしくは非置換のベンゾチオフェンを形成している」と記載されているのを、
「式2中の前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、水素、シアノ基、非置換もしくはトリ(C6-C10)アリールシリル基で置換されている(C6-C15)アリール基、または非置換もしくは(C6-C12)アリール基で置換されている10~20員ヘテロアリール基(ここで、前記10~20員ヘテロアリール基はジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル及びフェナントリジニルからなる群から選択される)を表す」に訂正する。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項8に「1中のX1~X16としての前記トリアリールシリルは、トリフェニルシリルである、請求項1に記載の有機電界発光デバイス」と記載されているのを、
「陽極と陰極との間に少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスであって、前記発光層は、ホスト及びリン光性ドーパントを含み、前記ホストは、多成分ホスト化合物からなり、前記多成分ホスト化合物のうち少なくとも第1のホスト化合物は、アリール基を含有するビカルバゾール誘導体である以下の式1により表され、第2のホスト化合物は、窒素含有ヘテロアリール基を含むカルバゾール誘導体である以下の式2により表され、
(式1、式2は省略)
式中、
A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C6-C30)アリール基を表し、前記A1及びA2の置換(C6-C30)アリール基の置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、(C1~C30)アルキル基、ハロ(C1~C30)アルキル基、(C2~C30)アルケニル基、(C2~C30)アルキニル基、(C1~C30)アルコキシ基、(C1~C30)アルキルチオ基、(C3~C30)シクロアルキル基、(C3~C30)シクロアルケニル基、(C6~C30)アリールオキシ基、(C6~C30)アリールチオ基、非置換またはトリ(C6~C30)アリールシリル基で置換されている(C6~C30)アリール基、トリ(C1~C30)アルキルシリル基、トリ(C6~C30)アリールシリル基、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル基、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル基、アミノ基、モノもしくはジ(C1~C30)アルキルアミノ基、モノもしくはジ(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキルカルボニル基、(C1~C30)アルコキシカルボニル基、(C6~C30)アリールカルボニル基、ジ(C6~C30)アリールボロニル基、ジ(C1~C30)アルキルボロニル基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル基、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル基、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つであり、
X1~X16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し、
前記X1~X16の前記置換(C1-C30)アルキル基、前記置換(C2-C30)アルケニル基、前記置換(C2-C30)アルキニル基、前記置換(C3-C30)シクロアルキル基、前記置換(C6-C60)アリール基、前記置換3~30員ヘテロアリール基、前記置換トリ(C1-C30)アルキルシリル基、前記置換トリ(C6-C30)アリールシリル基、前記置換ジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、前記置換モノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基、及び前記置換された単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環の置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、(C1~C30)アルキル基、ハロ(C1~C30)アルキル基、(C2~C30)アルケニル基、(C2~C30)アルキニル基、(C1~C30)アルコキシ基、(C1~C30)アルキルチオ基、(C3~C30)シクロアルキル基、(C3~C30)シクロアルケニル基、3~7員ヘテロシクロアルキル基、(C6~C30)アリールオキシ基、(C6~C30)アリールチオ基、非置換または(C6~C30)アリール基で置換されている3~30員ヘテロアリール基、非置換または3~30員ヘテロアリール基、もしくはトリ(C6~C30)アリールシリル基で置換されている(C6~C30)アリール基、トリ(C1~C30)アルキルシリル基、トリ(C6~C30)アリールシリル基、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル基、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル基、アミノ基、モノもしくはジ(C1~C30)アルキルアミノ基、モノもしくはジ(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキルカルボニル基、(C1~C30)アルコキシカルボニル基、(C6~C30)アリールカルボニル基、ジ(C6~C30)アリールボロニル基、ジ(C1~C30)アルキルボロニル基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル基、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル基、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つであり、
Maは、置換もしくは非置換の窒素含有5~30員ヘテロアリール基を表し、
Laは、単結合、または置換もしくは非置換の(C6-C30)アリーレン基を表し、
Xa及びXb、Xb及びXc、Xc及びXd、Xe及びXf、Xf及びXgまたはXg及びXhが互いに連結して、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換され得る、インドール環を形成しており、
前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換のフリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル、フェナントリジニル及びベンゾジオキソリルからなる群から選択される置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し、
前記インドール環を形成していないXa~Xhを隣接する置換基間で連結することにより形成される前記縮合芳香族環または前記縮合芳香族複素環は、(C1-C10)アルキル基または(C6-C15)アリール基でさらに置換され得る、ベンゼン、インデン、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェンからなる群から選択され、
前記ヘテロアリール基は、B、N、O、S、P(=O)、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、並びに、
式1中のX1~X16としての前記トリアリールシリルは、トリフェニルシリルである、有機電界発光デバイス」に訂正する。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項9に「式1により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H1-1、H1-2・・・H1-28、H1-29、H1-30、H1-31、・・・H1-160、H1-161、H1-162、H1-163、H1-164、H1-169、・・・H1-192、H1-193、H1-194、H1-195、H1-196、H1-201・・・H1-216、H1-217、H1-218、H1-219、H1-220、H1-221、H1-223、H1-225、H1-226、H1-227、H1-228、H1-233、・・・H1-248、H1-249、H1-250、H1-251、H1-252、H1-253、H1-254、H1-255、H1-256、H1-257、H1-258、H1-259、H1-260、H1-265、・・・、H1-290、H1-291、H1-292、H1-293、H1-294、H1-295、H1-296」と記載されているのを、
「式1により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H1-1、H1-2・・・H1-28、H1-31、・・・H1-160、H1-169、・・・H1-192、H1-201・・・H1-216、H1-233、・・・H1-248、H1-265、・・・、H1-290」に訂正する。
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項10に「式2により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H2-36、・・・H2-40、H2-41、・・・H2-60、H2-61・・・H2-86、H2-87・・・H2-93、H2-94、H2-95、H2-96・・・H2-100、H2-137、・・・H2-493、H2-660・・・H2-664」と記載されているのを、
「式2により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H2-41、・・・H2-60、・・・H2-87、・・・H2-93、H2-96、・・・H2-100、・・・H2-660、・・・H2-664」に訂正する。
2 訂正要件の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前に請求項1においては「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C6-C30)アリール基を表し」とあり、A1及びA2の(C6-C30)アリール基がどのようなものかについて特定がなかったものを、「置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し」と特定の(C6-C30)アリール基に限定するものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の【0028】には「(C6-C30)アリール(エン)」は、・・・(略)フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、・・・(略)・・・などを含む。」と記載されているから、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項1は訂正要件を満たす。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に伴って不明瞭となる,本件訂正前の請求項1の「前記前記A1及びA2の置換(C6-C30)アリール基の置換基は」という記載を、「前記A1及びA2の置換フェニル、置換ビフェニル、置換テルフェニルまたは置換ナフチルの置換基は」と訂正して,訂正事項1に整合させるものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項2は、訂正事項1に伴って(C6-C30)アリール基を特定のものに限定するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項2は訂正要件を満たす。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前に請求項1においては「X1~X16は、それぞれ独立して・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているところから、「あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」という選択肢を削除するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項3は、X1~X16についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項3は訂正要件を満たす。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正前に請求項1においては「前記X1~X16の前記置換(C1-C30)アルキル基、・・・前記置換モノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基、及び前記置換された単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環の置換基は、それぞれ独立して、・・・」と記載されているところから、訂正事項3に伴って不明瞭となる「及び前記置換された単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環の置換基」という選択肢を削除し,訂正事項3に整合させるものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項4は、訂正事項3に伴って「置換された単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環の置換基」を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項4は訂正要件を満たす。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、本件訂正前に請求項1においては「Maは、置換もしくは非置換の窒素含有5~30員ヘテロアリール基を表し」とあり、窒素含有5~30員ヘテロアリール基に限定がなかったところを、「Maは、置換もしくは非置換のピリジルまたは置換もしくは非置換のトリアジニルを表し、」と特定の窒素含有5~30員ヘテロアリール基に限定するものであり、また、「ただしLaが単結合の場合、Maは置換もしくは非置換のピリジルであり」とその中でさらに特定のものに限定するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等【0028】には、「窒素含有5~30員ヘテロアリール(エン)基」は、・・・(略)・・・トリアジニル、・・・(略)・・・ピリジル、・・・(略)・・・などを含む単環式環型ヘテロアリール、・・・(略)・・・を含む。。」と記載され、【0026】には、「さらに、Maは、・・・(略)・・・好ましくはトリアジニル、・・・(略)・・・ピリジル、・・・(略)・・・を表す。 」と記載され、段落【0031】には、Laが単結合のときのMaがピリジルである式2の化合物H2-660が記載されているから、訂正事項5は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項5は訂正要件を満たす。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、本件訂正前に請求項1においては「Xa及びXb、Xb及びXc、Xc及びXd、Xe及びXf、Xf及びXgまたはXg及びXhが互いに連結して、・・・インドール環を形成しており」と記載され、インドール環を形成する連結が「Xa及びXb、Xb及びXc、Xc及びXd、Xe及びXf、Xf及びXgまたはXg及びXh」と存在していたところ、インドール環を形成する連結を「Xb及びXcまたはXf及びXg」に限定するもので、その他の選択肢を削除するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等【0037】、【0038】には、インドール環を形成する連結が「Xb及びXcまたはXf及びXg」である化合物H2-48及びH2-87等が記載されており、訂正事項6は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項6は訂正要件を満たす。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7は、本件訂正前の請求項1においては「前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているところから、「あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」という選択肢を削除するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項7は、インドール環を形成していないXa~Xhについて選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項7は訂正要件を満たす。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項8は本件訂正前の請求項2においては「A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C6-C30)アリール基を表し」とあり、A1及びA2の(C6-C30)アリール基がどのようなものかについて特定がなかったものを、「置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは 非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し」と特定の(C6-C30)アリール基に限定するものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等の【0028】には「(C6-C30)アリール(エン)」は、・・・(略)フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、・・・(略)・・・などを含む。」と記載されているから、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項8は訂正要件を満たす。
(9)訂正事項9について
訂正事項9は、本件訂正前に請求項2においては「X1~X16は、それぞれ独立して・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているところから、「あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」という選択肢を削除するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項9は、X1~X16についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項9は訂正要件を満たす。
(10)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、本件訂正前の請求項3においては「式2の前記化合物は、以下の式7により表され、・・・式中、V及びWは、それぞれ独立して、単結合、NR15を表すが、ただし、V及びWの両方が単結合を表すこともNR15を表すこともないことを条件とし」と記載されており、V及びWにそれぞれ選択肢があったものを「式2の前記化合物は、以下の式7により表され、・・・式中、VはNR15を表し、及びWは単結合を表し」として、V及びWについてそれぞれ限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等【0037】、【0038】等には、訂正事項10を満たす化合物H2-48及びH2-87が記載されているから、訂正事項10は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項10は訂正要件を満たす。
(11)訂正事項11について
ア 訂正の目的
訂正事項11は、本件訂正前に請求項3においては「Xiは、・・・または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」と記載されているところから、「あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成し」という選択肢を削除するものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項11は、Xiについての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項11は訂正要件を満たす。
(12)訂正事項12について
ア 訂正の目的
訂正事項12は、本件訂正前の請求項3においては「R15は、水素、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基を表す」とあるところから、水素、非置換の(C1-C10)アルキル基の選択肢を削除して、「R15は、非置換の(C6-C15)アリール基を表す」とするものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項12は、R15についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項12は訂正要件を満たす。
(13)訂正事項13について
ア 訂正の目的
訂正事項13は、本件訂正前の請求項5においては「式2中のMaは、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルからなる群から選択される単環系ヘテロアリール基か、またはベンゾイミダゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、カルバゾリル、及びフェナントリジニルからなる群から選択される縮合環系ヘテロアリール基である」と記載されているところからトリアジニル以外の選択肢を削除して、「式2中のMaは、トリアジニルである」とするものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項13は、Maについての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項13は訂正要件を満たす。
(14)訂正事項14について
ア 訂正の目的
訂正事項14は、本件訂正前の請求項6においては「式1中のA1及びA2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、またはフルオランテニルを表す」と記載されているところから選択肢を削除して、「式1中のA1及びA2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、またはナフチルを表す」とするものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項14は、A1及びA2についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項14は訂正要件を満たす。
(15)訂正事項15について
ア 訂正の目的
訂正事項15は、本件訂正前の請求項7においては「式2中の前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、・・・または非置換もしくは(C6-C12)アリール基で置換されている10~20員へテロアリール基(ここで、前記10~20員ヘテロアリール基はジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル及びフェナントリジニルからなる群から選択される)を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のインデン、置換もしくは非置換のベンゾフラン、または置換もしくは非置換のベンゾチオフェンを形成している」と記載されているところから「あるいは、隣接する置換基間に連結して、置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のインデン、置換もしくは非置換のベンゾフラン、または置換もしくは非置換のベンゾチオフェンを形成している」という選択肢を削除して、「式2中の前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、・・・または非置換もしくは(C6-C12)アリール基で置換されている10~20員ヘテロアリール基(ここで、前記10~20員ヘテロアリール基はジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル及びフェナントリジニルからなる群から選択される)を表す」とするものであるから、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項15は、Xa~Xhについての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項15は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項15は訂正要件を満たす。
(16)訂正事項16について
ア 訂正の目的
訂正事項16は、本件訂正前の請求項8が請求項1を引用するものであったところを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項16は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであって、明らかに特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項16は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件
訂正事項16は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることのみを目的とするものであって、本件訂正後における請求項8に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならないという要件は課されない。
オ 小括
よって、訂正事項16は訂正要件を満たす。
(17)訂正事項17について
ア 訂正の目的
訂正事項17は、本件訂正前の請求項9においては「式1により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、 請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H1-1、H1-2・・・H1-28、H1-29、H1-30、H1-31、・・・H1-160、H1-161、H1-162、H1-163、H1-164、H1-169、・・・H1-192、H1-193、H1-194、H1-195、H1-196、H1-201・・・H1-216、H1-217、H1-218、H1-219、H1-220、H1-221、H1-223、H1-225、H1-226、H1-227、H1-228、H1-233、・・・H1-248、H1-249、H1-250、H1-251、H1-252、H1-253、H1-254、H1-255、H1-256、H1-257、H1-258、H1-259、H1-260、H1-265、・・・、H1-290、H1-291、H1-292、H1-293、H1-294、H1-295、H1-296」と記載されているところからH1-29、H1-30、H1-160~H1-164、H1-193~H1-196、H1-217~H1-221、H1-223、H1-225~H1-228、H1-249~H1-260、H1-291~H1-296の選択肢を削除し、「H1-1、H1-2・・・H1-28、H1-31、・・・H1-160、H1-169、・・・H1-192、H1-201・・・H1-216、H1-233、・・・H1-248、H1-265、・・・、H1-290」とするものであって、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項17は、式1により表される化合物についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項17は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項17は訂正要件を満たす。
(18)訂正事項18について
ア 訂正の目的
訂正事項18は、本件訂正前の請求項10においては「式2により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H2-36、・・・H2-40、H2-41、・・・H2-60、H2-61・・・H2-86、H2-87・・・H2-93、H2-94、H2-95、H2-96・・・H2-100、H2-137、H2-493、H2-660・・・H2-664」と記載されているところから、H2-36~H2-40、H2-61~H2-86、H2-94~H2-95、H2-137~H2-493の選択肢を削除し、「式2により表される前記化合物は、 以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:H2-41、・・・H2-60、・・・H2-87、・・・H2-93、H2-96、・・・H2-100、・・・H2-660、・・・H2-664」とするものであって、これは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
訂正事項18は、式2により表される化合物についての選択肢を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記ア、イに照らせば、訂正事項18は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項18は訂正要件を満たす。
3 訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号および第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。また、本件訂正には、独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~7、9、10に係る発明(以下「本件訂正発明1」~「本件訂正発明7」、「本件発明9」、「本件発明10」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7、9、10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
陽極と陰極との間に少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスであって、前記発光層は、ホスト及びリン光性ドーパントを含み、前記ホストは、多成分ホスト化合物からなり、前記多成分ホスト化合物のうち少なくとも第1のホスト化合物は、アリール基を含有するビカルバゾール誘導体である以下の式1により表され、第2のホスト化合物は、窒素含有ヘテロアリール基を含むカルバゾール誘導体である以下の式2により表され、
【化1】(省略)
式中、
A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し、前記A1及びA2の置換フェニル、置換ビフェニル、置換テルフェニルまたは置換ナフチルの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、(C1~C30)アルキル基、ハロ(C1~C30)アルキル基、(C2~C30)アルケニル基、(C2~C30)アルキニル基、(C1~C30)アルコキシ基、(C1~C30)アルキルチオ基、(C3~C30)シクロアルキル基、(C3~C30)シクロアルケニル基、(C6~C30)アリールオキシ基、(C6~C30)アリールチオ基、非置換またはトリ(C6~C30)アリールシリル基で置換されている(C6~C30)アリール基、トリ(C1~C30)アルキルシリル基、トリ(C6~C30)アリールシリル基、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル基、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル基、アミノ基、モノもしくはジ(C1~C30)アルキルアミノ基、モノもしくはジ(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキルカルボニル基、(C1~C30)アルコキシカルボニル基、(C6~C30)アリールカルボニル基、ジ(C6~C30)アリールボロニル基、ジ(C1~C30)アルキルボロニル基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル基、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル基、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つであり、
X1~X16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し、
前記X1~X16の前記置換(C1-C30)アルキル基、前記置換(C2-C30)アルケニル基、前記置換(C2-C30)アルキニル基、前記置換(C3-C30)シクロアルキル基、前記置換(C6-C60)アリール基、前記置換3~30員ヘテロアリール基、前記置換トリ(C1-C30)アルキルシリル基、前記置換トリ(C6-C30)アリールシリル基、前記置換ジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、及び前記置換モノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基の置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、(C1~C30)アルキル基、ハロ(C1~C30)アルキル基、(C2~C30)アルケニル基、(C2~C30)アルキニル基、(C1~C30)アルコキシ基、(C1~C30)アルキルチオ基、(C3~C30)シクロアルキル基、(C3~C30)シクロアルケニル基、3~7員ヘテロシクロアルキル基、(C6~C30)アリールオキシ基、(C6~C30)アリールチオ基、非置換または(C6~C30)アリール基で置換されている3~30員ヘテロアリール基、非置換または3~30員ヘテロアリール基、もしくはトリ(C6~C30)アリールシリル基で置換されている(C6~C30)アリール基、トリ(C1~C30)アルキルシリル基、トリ(C6~C30)アリールシリル基、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル基、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル基、アミノ基、モノもしくはジ(C1~C30)アルキルアミノ基、モノもしくはジ(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ基、(C1~C30)アルキルカルボニル基、(C1~C30)アルコキシカルボニル基、(C6~C30)アリールカルボニル基、ジ(C6~C30)アリールボロニル基、ジ(C1~C30)アルキルボロニル基、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル基、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル基、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つであり、
Maは、置換もしくは非置換のピリジルまたは置換もしくは非置換のトリアジニルを表し、ただし、Laが単結合の場合、Maは置換もしくは非置換のピリジルであり、
Laは、単結合、または置換もしくは非置換の(C6-C30)アリーレン基を表し、
Xb及びXcまたはXf及びXgが互いに連結して、インドール環を形成しており、前記インドール環は、前記インドール環の窒素原子において非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されており、及び前記窒素原子以外の前記インドール環を形成する原子は、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されていてもよく、
前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換のフリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル、フェナントリジニル及びベンゾジオキソリルからなる群から選択される置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し、
前記ヘテロアリール基は、B、N、O、S、P(=O)、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、有機電界発光デバイス。
【請求項2】
式1の前記化合物は、以下の式3、4、5、または6により表され、
【化2】(省略)
式中、
A1及びA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のテルフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルを表し、
X1~X16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表す、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項3】
式2の前記化合物は、以下の式7により表され、
【化3】(省略)
式中、
VはNR15を表し、及びWは単結合を表し、
Xiは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表し、
Xj~Xmは、それぞれ独立して、水素、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基を表し、
Ma、La、及びXe~Xhは、式2に定義されたとおりであり、
R15は、非置換の(C6-C15)アリール基を表す、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項4】
式2中のLaは、単結合を表すか、または以下の式10~19から選択される1つにより表され、
【化4】(省略)
式中、
Xi~Xpは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは非置換の(C1-C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルケニル基、置換もしくは非置換の(C2-C30)アルキニル基、置換もしくは非置換の(C3-C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6-C60)アリール基、置換もしくは非置換の3~30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のトリ(C1-C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6-C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1-C30)アルキル(C6-C30)アリールシリル基、または置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6-C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)の環が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成する、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項5】
式2中のMaは、トリアジニルである、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項6】
式1中のA1及びA2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、またはナフチルを表す、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項7】
式2中の前記インドール環を形成していないXa~Xhは、それぞれ独立して、水素、シアノ基、非置換もしくはトリ(C6-C10)アリールシリル基で置換されている(C6-C15)アリール基、または非置換もしくは(C6-C12)アリール基で置換されている10~20員ヘテロアリール基(ここで、前記10~20員ヘテロアリール基はジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル及びフェナントリジニルからなる群から選択される)を表す、
請求項1に記載の有機電界発光デバイス。
【請求項9】
式1により表される前記化合物は、以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:
(構造式は省略)
【請求項10】
式2により表される前記化合物は、以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の有機電界発光デバイス:
(構造式は省略)
第4 取消理由通知に記載した取消理由
本件訂正前の請求項1~7、9、10に係る特許に対して、当審が令和4年5月31日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。
理由1(サポート要件)本件特許の請求項1~7、9、10に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~7、9、10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
理由2(進歩性)本件特許の請求項1~7、9、10に係る発明は、その優先日前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~7、9、10に係る発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用文献等一覧
甲2 国際公開第2012/176818号
甲3 国際公開第2013/062075号
第5 当審の判断(サポート要件について)
1 本件訂正発明1は、有機ELデバイスにおいて、「ホスト材料は発光デバイスの効率及び性能に大幅に影響するため、ドーパント/ホスト材料システムが使用される場合、ホスト材料の選択は重要である」([0005])ところ、「アリール基を有する特定のビカルバゾール誘導体と、窒素含有アリール基を含む特定のカルバゾール誘導体とを有する多成分ホスト化合物を使用する有機ELデバイスが、発光層内に一成分ホスト化合物を使用する場合と比較して高効率及び長寿命を有することを見出し」なされたものであって、本件訂正発明1の解決すべき課題は、本件明細書等[0008]の「本発明の目的は、高効率及び長寿命を有する有機ELデバイスを提供することである。」といった記載からして、「高効率及び長寿命を有する有機ELデバイスを提供すること」であると認められる。
ここで、本件訂正発明1は、上記第3で認定したとおり、本件訂正により、第1のホスト化合物に係る式1で示される化合物において、X1~X16が「隣接する置換基間に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環を形成」するものが除かれたところ、第1のホスト化合物に係る式1で示される化合物は、2つのカルバゾール環が、炭素位で結合したビカルバゾール骨格を有するもののみである。
同様に、本件訂正発明1は、上記第3で認定したとおり、本件訂正により、第2のホスト化合物に係る式2で示される化合物において、インドール環を形成していないXa~Xhが「単環式もしくは多環式の、(C3-C30)脂環式環または芳香族環」であるものが除かれたところ、第2のホスト化合物に係る式2で示される化合物は、カルバゾール環に1つのインドール環が縮合した5環構造のインドロカルバゾール骨格を有するもののみである。
そして、本願明細書等の発明の詳細な説明の実施例には、第1のホスト化合物である、2つのカルバゾール環が、炭素位で結合したビカルバゾール骨格を有する化合物と、第2のホスト化合物である、カルバゾール環に1つのインドール環が縮合した5環構造のインドロカルバゾール骨格を有する化合物とを、組み合わせて使用した有機電解発光デバイスが、延長されたT90寿命を有することが、一成分のホスト化合物を使用した比較例との対比実験をもって示されている。
すなわち、実施例には、デバイス実施例2-3、2-15、2-17、2-18、3-3、3-4、3-6、3-7が開示されており、これらはすべて、第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物として、それぞれ、基本骨格がビカルバゾール骨格を有する式1に係る化合物と、基本骨格がインドロカルバゾール骨格を有する式2に係る化合物を使用したものである。
かかる対比実験の結果からみて、本件特許明細書等の発明の詳細な説明には、第1のホスト化合物に係る式1で示される化合物として、2つのカルバゾール環が、炭素位で結合したビカルバゾール骨格を有するものを用い、第2のホスト化合物に係る式2で示される化合物は、カルバゾール環に1つのインドール環が縮合した5環構造のインドロカルバゾール骨格を有するものを用い、これらを組み合わせて用いることにより、本件訂正発明1の解決すべき課題である「長寿命を有する有機ELデバイスを提供する」ことが達成されることが開示されているといえる。
そして、化学の分野において、骨格とそれに置換する置換基を有する化合物について、基本骨格が共通するときには、置換基が多少変化した場合であっても、類似の効果又は特性が奏され得ることは、一般に知られていることである。
そうすると、かかる技術常識に照らせば、本件訂正発明1に係る「アリール基を有する特定のビカルバゾール誘導体と、窒素含有アリール基を含む特定のカルバゾール誘導体とを有する多成分ホスト化合物」について、実施例に具体的に実験結果が示された多成分ホスト化合物と共通する基本骨格の化合物の組み合わせであるのだから、同様に、本件の発明が解決できると認識し得る。
したがって、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に当業者が課題を解決できると認識できるように記載された範囲を超えるものではない。
本件訂正発明2~7、9、10についても同様である。
2 また、本件訂正発明1には「Xb及びXcまたはXf及びXgが互いに連結して、インドール環を形成しており、前記インドール環は、前記インドール環の窒素原子において非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されており、及び前記窒素原子以外の前記インドール環を形成する原子は、非置換の(C1-C10)アルキル基または非置換の(C6-C15)アリール基でさらに置換されていてもよく」とあり、式2の化合物は、InCz環にある2つのNがいずれも芳香族置換基を有するものである。InCz環の2つのNは等価であり、いずれのNにも芳香族基のような置換基を有するため、当該化合物が不安定であると考える根拠はない。したがって、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に当業者が課題を解決できると認識できるように記載された範囲を超えるものではない。
本件訂正発明2~7、9、10についても同様である。
3 小括
以上のとおり、本件訂正発明1~7、9、10は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載された発明である。
第6 当審の判断(新規性、進歩性について)
1 甲2について
(1)甲2の記載
甲2には以下の記載がある。(下線は合議体が付した。以下同様。)
ア「[0028]
次に、第一実施形態における有機EL素子1を図1に示す。
有機EL素子1は、透明な基板2と、陽極3と、陰極4と、正孔輸送層6と、発光層5と、電子輸送層7とを備える。
そして、陽極3側から順に、正孔輸送層6、発光層5、電子輸送層7及び陰極4が積層される。
[0029]
〔発光層〕
発光層5は、主成分としての第一ホスト材料、第二ホスト材料および燐光発光性ドーパント材料を含有する。・・・」
イ「[0030]
(第一ホスト材料)
本発明の有機EL素子に用いられる第一ホスト材料としては、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
[0031]
[図:0001399334000001.jpg]
[0032]
[一般式(1)において、Z1は、aにおいて縮合する下記一般式(1-1)または(1-2)で表される環構造を表す。Z2は、bにおいて縮合する下記一般式(1-1)または(1-2)で表される環構造を表す。ただし、Z1またはZ2の少なくともいずれか1つは下記一般式(1-1)で表される。
Mは、環形成炭素数2~40の置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、
L1は、
単結合又は連結基であり、連結基としては、
環形成炭素数6~30の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、
環形成炭素数2~30の置換もしくは無置換の芳香族複素環基、
環形成炭素数5~30の環状炭化水素基、又は、
これらが互いに結合した基を表す。
mは、1または2である。]
[0033] [化8]
[図:0001399334000002.jpg]
[0034]
[前記一般式(1-1)および(1-2)においてc,d,e,fはそれぞれ、前記一般式(1)のaまたはbにおいて縮合していることを表す。
R11およびR31は、それぞれ独立して、
水素原子、フッ素原子、シアノ基、
炭素数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基、
炭素数1~20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、
炭素数1~20の置換もしくは無置換のハロアルキル基、
炭素数1~20の置換もしくは無置換のハロアルコキシ基、
炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキルシリル基、
炭素数6~30の置換もしくは無置換のアリールシリル基、
環形成炭素数6~30の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は、
環形成炭素数2~30の置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。
ただし、複数のR11は互いに同じでも異なっていてもよく、
複数のR31は、互いに同じでも異なっていてもよい。
X3は、硫黄原子、酸素原子、またはN-R32であり、
R32は、上記R11およびR31と同義である。]
前記一般式(1-1)においてcは、前記一般式(1)のaまたはbにおいて縮合していることを表す。
前記一般式(1-2)においてd,e,fのいずれかは、前記一般式(1)のaまたはbにおいて縮合していることを表す。」
ウ「[0066]
(第二ホスト材料)
本発明の有機EL素子に用いられる第二ホスト材料としては、下記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
[図:0001399334000003.jpg]
___________________」
[0067][化20]
[図:0001399334000004.jpg]
[0068]
[一般式(2)において、X2は、硫黄原子、酸素原子、またはN-R5であり、
L2は、単結合又は連結基であり、前記一般式(1)におけるL1と同義である。
R2~R3は、それぞれ独立して、
環形成炭素数6~30の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基又は
環形成炭素数2~30の置換もしくは無置換の芳香族複素環基である。
R4~R5は、それぞれ前記一般式(1-1)および(1-2)におけるR11およびR31と同義である。
p,qは、それぞれ0~2、rは1~3の整数を表し、p+q+r=3である。
sは、1~4の整数を表す。sが2~4の整数の場合、複数のR4はそれぞれ同一でも異なっても良い。]
rが2~3の整数の場合、複数のX2はそれぞれ同一でも異なってもよく、複数のL2はそれぞれ同一でも異なってもよい。
pが2の場合、複数のR2はそれぞれ同一でも異なっても良い。qが2の場合、複数のR3はそれぞれ同一でも異なっても良い。
[0069]
前記一般式(2)において、R2~R5で表されるアルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキルシリル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれのものでもよい。
[0070]
前記一般式(2)において、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数1~20のハロアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、環形成炭素数6~30の芳香族炭化水素基、環形成炭素数6~30の縮合芳香族炭化水素基、環形成炭素数2~30の芳香族複素環基、および環形成炭素数2~30の縮合芳香族複素環基としては、前記した一般式(1)におけるものと同じである。
[0071]
また、前記一般式(2)において、L2,X2,R2~R5が、1つ又は複数の置換基を有する場合、前記置換基は、前記した一般式(1)におけるものと同じである。」
エ 第一ホスト材料として使用される化合物の例として[0064]に以下のものが記載されている。(以下、この化合物を「2a」という。)
[図:0001399334000005.jpg]
オ 第二ホスト材料として使用される化合物の例として[0074]に以下のものが記載されている。(以下、これらの化合物を上からそれぞれ「1a」「1b」という。)
[図:0001399334000006.jpg]
[図:0001399334000007.jpg]
(2)甲2発明
(1)より、甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という)が記載されていると認められる。(かっこ内に認定の根拠となった段落を示す。)
(甲2発明)
陽極、発光層、陰極がこの順に積層された有機EL素子であって([0028])、
前記発光層は、主成分としての第一ホスト材料、第二ホスト材料および燐光発光性ドーパント材料を含有し([0029])、
第一ホスト材料として一般式(1)で表される化合物を使用し(上記イ)、
第二ホスト材料として一般式(2)で表される化合物を使用する(上記ウ)、
有機EL素子。
(3) 対比
甲2発明と本件訂正発明1とを対比する。
甲2発明の「陽極」「陰極」「発光層」「有機EL素子」は、それぞれ本件訂正発明1の「陽極」「陰極」「発光層」「有機電界発光デバイス」に相当する。
甲2発明の「燐光発光性ドーパント材料」は、本件訂正発明1の「リン光性ドーパント」に相当する。
甲2発明の「第一ホスト材料」「第二ホスト材料」は、それぞれ本件訂正発明1の「第2のホスト化合物」「第1のホスト化合物」に相当する。
とすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
(一致点)
陽極と陰極との間に少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスであって、前記発光層は、ホスト及びリン光性ドーパントを含み、前記ホストは、多成分ホスト化合物からなる有機電界発光デバイス。
(相違点)
本件訂正発明1ではホスト化合物として使用する物質がそれぞれ式1、式2で表される物質であるのに対し、甲2発明ではそうではない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
甲2の一般式(1)で表される化合物は、本件訂正発明1の式(2)に該当する化合物と一部において重複範囲が存在する。また、甲2の一般式(2)で表される化合物は、本件訂正発明1の式(1)に該当する化合物と一部において重複範囲が存在する。
一方、甲2には、本件訂正発明1の式(2)に該当する化合物や本件訂正発明1の式(1)に該当する化合物について具体的な記述は見当たらない。そして、甲2の一般式(1)で表される化合物は、甲2の[0030]~[0034]を見るに、Z1、Z2にそれぞれ多種多様な構造を取り得るものであってインドロカルバゾール骨格を有する化合物にとどまらず、むしろ5員環構造をとらないものまで、極めて多種多様な物質を含むものである。甲2の一般式(2)で表される化合物についても、甲2の[0066]~[0071]を見るに、ビカルバゾール骨格を有する化合物にとどまらず、R2、R3はそれぞれ独立して、環形成炭素数6~30の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基又は環形成炭素数2~30の置換もしくは無置換の芳香族複素環基を取り得て、X2に酸素原子を取る可能性もある。結果として甲2の一般式(1)(2)で表される化合物には、いずれも極めて多種多様な物質が含まれている。
ここで、刊行物に化合物が一般式の形式で記載され、当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合には、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、当該刊行物の記載から当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできず、これを引用発明と認定することはできないと認めるのが相当である。これを甲2に当てはめてみるに、甲2の一般式(1)(2)にはそれぞれ膨大な数の選択肢を有する一方、インドロカルバゾール骨格やビカルバゾール骨格を有する化合物を積極的あるいは優先的に選択すべき事情は見当たらない。甲2の実施例として挙げられている化合物を見ても、インドロカルバゾール骨格とビカルバゾール骨格を有する化合物を組み合わせて使用するものは存在しない。とすると、甲2に記載されている事項から、本件訂正発明1の式1と式2で表される物質を使用する発明が記載されているとすることはできないし、インドロカルバゾール骨格やビカルバゾール骨格を有する化合物を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない以上、甲2に記載されている事項から本件訂正発明1の式1と式2で表される物質を使用する発明を当業者が容易に想到したともいえない。
以上のことから、本件訂正発明1は甲2発明ではなく、当業者が甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。本件訂正発明2~7、9、10についても同様である。
2 甲3について
(1)甲3の記載
甲3には以下の記載がある。(下線は合議体が付した。以下同様。)
ア「[0008]
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に少なくとも発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、第一ホスト材料と、第二ホスト材料と、燐光発光性ドーパント材料を含み、前記第一ホスト材料は、下記一般式(1)で表される化合物であり、前記第二ホスト材料は、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする。
[0009]
[図:0001399334000008.jpg]
_____________________
[0010]
一般式(1)において、Z1は、aにおいて縮合している下記一般式(1-1)または
(1-2)で表される環構造を表す。Z2は、bにおいて縮合している下記一般式(1-1)または(1-2)で表される環構造を表す。ただし、Z1またはZ2の少なくともいずれか1つは下記一般式(1-1)で表される。
M1は、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、L1は、
単結合又は連結基であり、連結基としては、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
環形成炭素数5~30のシクロアルキル基、又は、
これらが互いに結合した基を表す。
mは、1または2である。
[0011][化2]
[図:0001399334000009.jpg]
[0012]
上記一般式(1-1)および(1-2)においてc,d,e,fはそれぞれ、前記一般式(1)のaまたはbにおいて縮合していることを表す。
R11およびR31は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3~30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基である。
ただし、複数のR11は互いに同一または異なり、
複数のR31は、互いに同一または異なる。
また、隣り合うR11は互いに結合して環を形成していてもよい。
X3は、硫黄原子、酸素原子、N-R32、またはC(R32)2であり、
R32は、上記R11およびR31と同義である。
ここで、N-R2は、窒素原子(N)に、R2が1つ結合したものであり、C(R2)2は、炭素原子(C)に、R2が2つ結合したものである。」
イ「[0013]
[図:0001399334000010.jpg]
_____________________」
[0014] 一般式(2)において、
R2は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3~30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基である。
前記一般式(2)において、pおよびqは、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり、複数のR2は、互いに同一または異なる。
また、隣り合うR2は互いに結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(2)において、L2は、
単結合または連結基であり、連結基としては、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
環形成炭素数5~30のシクロアルキル基、または、
これらが互いに結合した基を表す。
前記一般式(2)において、FAは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30の縮合芳香族環基、
又は、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の縮合芳香族複素環基を表す。」
ウ 第一ホスト材料の例として[0050]には以下の化合物が記載されている。(以下、この化合物を「2b2」という。)
[図:0001399334000011.jpg]
ここで、X3はNR等であり、X1はN又はNR等であり、L1はアリール基等であるとされているから([0009]~[0012])、X3がNRで、L1がアリール基(Ar)である場合は、InCz-Ar-Tzのような構造となる。ここで、Arはアリール基、Tzはトリアジンのような含N6員環基である。
エ 第二ホスト材料の例として[0152]には以下の化合物が記載されている。(以下、これらの化合物を左から順に「1c」「1d」「1e」「1f」「1g」という。)
[図:0001399334000012.jpg]
さらに、第二ホスト材料の例として[0153]には以下の化合物が記載されている。(以下、この化合物を「1h」という。)
[図:0001399334000013.jpg]
さらに、第二ホスト材料の例として[0259]には以下の化合物が記載されている。(以下、この化合物を「1i」という。)
[図:0001399334000014.jpg]
さらに、第二ホスト材料の例として[0260]には以下の化合物が記載されている。(以下、この化合物を「1j」という。)
[図:0001399334000015.jpg]
(2)甲3発明
(1)より、甲3には、以下の発明(以下、「甲3発明」という)が記載されていると認められる。(かっこ内に認定の根拠となった段落を示す。)
(甲3発明)
陽極と陰極との間に発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、第一ホスト材料と、第二ホスト材料と、燐光発光性ドーパント材料を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子([0008])であって、
第一ホスト材料として一般式(1)で表される化合物を使用し(上記ア)、
第二ホスト材料として一般式(2)で表される化合物を使用する(上記イ)、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3)対比
甲3発明と本件訂正発明1とを対比する。
甲3発明の「陽極」「陰極」「発光層」「有機エレクトロルミネッセンス素子」は、それぞれ本件訂正発明1の「陽極」「陰極」「発光層」「有機電界発光デバイス」に相当する。
甲2発明の「燐光発光性ドーパント材料」は、本件訂正発明1の「リン光性ドーパント」に相当する。
甲2発明の「第一ホスト材料」「第二ホスト材料」は、それぞれ本件訂正発明1の「第2のホスト化合物」「第1のホスト化合物」に相当する。
とすると、本件訂正発明1と甲3発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
(一致点)
陽極と陰極との間に少なくとも1つの発光層を備える有機電界発光デバイスであって、前記発光層は、ホスト及びリン光性ドーパントを含み、前記ホストは、多成分ホスト化合物からなる有機電界発光デバイス。
(相違点)
本件訂正発明1ではホスト化合物として使用する物質がそれぞれ式1、式2で表される物質であるのに対し、甲3発明ではそうではない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
甲3の一般式(1)で表される化合物は、本件訂正発明1の式(2)に該当する化合物と一部において重複範囲が存在する。また、甲3の一般式(2)で表される化合物は、本件訂正発明1の式(1)に該当する化合物と一部において重複範囲が存在する。
一方、甲3には、本件訂正発明1の式(2)に該当する化合物や本件訂正発明1の式(1)に該当する化合物について具体的な記述は見当たらない。そして、甲3の一般式(1)で表される化合物は、甲3の[0009]~[0012]を見るに、Z1、Z2にそれぞれ多種多様な構造を取り得るものであってインドロカルバゾール骨格を有する化合物にとどまらず、むしろ5員環構造をとらないものまで、極めて多種多様な物質を含むものである。甲3の一般式(2)で表される化合物についても、甲3の[0013]~[0014]を見るに、ビカルバゾール骨格を有する化合物にとどまらず、2つのR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基等を取り得る。結果として甲3の一般式(1)(2)で表される化合物には、いずれも極めて多種多様な構造が含まれている。
ここで、刊行物に化合物が一般式の形式で記載され、当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合には、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、当該刊行物の記載から当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできず、これを引用発明と認定することはできないと認めるのが相当である。これを甲3に当てはめてみるに、甲3の一般式(1)(2)にはそれぞれ膨大な数の選択肢を有する一方、インドロカルバゾール骨格やビカルバゾール骨格を有する化合物を積極的あるいは優先的に選択すべき事情は見当たらない。甲3の実施例として挙げられている化合物を見ても、インドロカルバゾール骨格とビカルバゾール骨格を有する化合物を組み合わせて使用するものは存在しない。とすると、甲3に記載されている事項から、本件訂正発明1の式1と式2で表される物質を使用する発明が記載されているとすることはできないし、インドロカルバゾール骨格やビカルバゾール骨格を有する化合物を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない以上、甲3に記載されている事項から本件訂正発明1の式1と式2で表される物質を使用する発明を当業者が容易に想到したともいえない。
以上のことから、本件訂正発明1は甲3発明ではなく、当業者が甲3発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。本件訂正発明2~7、9、10についても同様である。
第7 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由、異議申立人の意見書での主張について
1 甲第1号証、甲4号証、甲5号証を主引例とする新規性、進歩性
特許異議申立人は特許異議申立書において、国際公開第2012/153725号(以下、「甲1」という。)、国際公開第2011/155507号(以下、「甲4」という。)、国際公開第2013/146645号(以下、「甲5」という。)を主引例として、本件訂正発明1~7、9、10が新規性、進歩性欠如であると主張するので検討する。
甲1、4、5には、いずれも本件訂正発明1の式(1)に該当する化合物と式(2)に該当する化合物を組み合わせて使用することの具体的な記述は見当たらない。また、甲1、4、5にはインドロカルバゾール骨格を有する物質とビカルバゾール骨格を有する物質を組み合わせて使用することを積極的あるいは優先的に選択すべき事情は見当たらず、本件訂正発明が甲1、4、5に記載されているとはいえないし、甲1、4、5から当業者が容易になし得たものであるともいえない。
したがって、上記主張は採用できない。
2 令和4年9月26日付けの訂正請求について
特許異議申立人は、令和5年2月8日付け意見書において、令和4年9月26日付けの訂正請求のうち訂正事項16は特許請求の範囲を拡張する訂正である旨主張するので検討する。
訂正事項16は上記第2の2(16)で述べたとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることのみを目的とするもので、明らかに特許請求の範囲を拡張するものではない。また、本件訂正前の請求項8の記載である「式1中のX1~X16としての前記トリアリールシリルは、トリフェニルシリルである、請求項1に記載の有機電界発光デバイス。」は、X1~X16の選択肢のひとつであるトリアリールシリルがトリフェニルシリルであるという意味であって、X1~X16がトリフェニルシリルという意味でないことは、明らかである。
したがって、上記主張は採用できない。
3 本件訂正発明1~7、9、10のサポート要件、進歩性について
特許異議申立人は、令和5年2月8日付け意見書において、本件訂正発明1~7、9、10のサポート要件違反および進歩性欠如について主張している。
しかしながら、上記第5、第6で示したとおりである。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1~7、9、10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1~7、9、10を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700210