特許異議申立
2024-700786
電池パック、機器本体及び電気機器
- 審判番号
- 2024-700786
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-098039
- 登録番号
- 7434726
- 請求日
- 2024年08月20日
- 審決日
- 2024年10月11日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】工機ホールディングス株式会社
- 【異議申立人】吉田 琢磨
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 衣鳩 文彦
- 審判官 馬場 慎
- 分類
- P1651.121-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第113条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7434726号発明「電池パック、機器本体及び電気機器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7434726号の請求項1~16に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7434726号(以下「本件特許」という。)の請求項1~16に係る特許についての出願は、令和元年5月24日に出願され、令和6年2月13日にその特許権の設定登録がされ、同年2月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年8月20日に特許異議申立人 吉田 琢磨(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明16」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ケースと、
前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
前記無線アンテナを搭載する基板と、
外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
を有し、
前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置し、
前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される、電池パック。
【請求項2】
前記第1方向における前記電池セルの中心に対して、前記入力部は一方側に位置するとともに、前記出力部は他方側に位置する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
外部機器との通信を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記電池セルの放電又は充電を制御するように構成した、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ケースは、前記第3方向に組み合わされる上ケース及び下ケースで構成され、
前記下ケースは、前記第2方向において隣り合う全ての電池セルの間に位置し、前記下ケースの内底面から上方に突出する第1リブと、前記第2方向において最も端に位置する電池セルと前記入力部及び前記出力部との間に位置し、前記下ケースの内底面から上方に突出する第2リブと、を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記入力部を覆うカバーを有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1方向における前記複数の電池セルの端部において、前記第3方向に延びて前記電池セルと前記基板とを接続する複数のタブを有し、
前記複数のタブはそれぞれ、前記基板に接続される複数の基板接続部を有し、
前記無線アンテナは、前記第1方向において前記複数の基板接続部のうちのいずれかの前記基板接続部の延長線上に位置する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
ケースと、
前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲の端部近傍に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
前記複数の電池セルにわたって配置され、前記無線アンテナを搭載する基板と、
外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
前記第1方向における前記複数の電池セルの端部において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びて前記電池セルと前記基板とを接続する複数のタブと、
を有し、
前記第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置し、
前記無線アンテナは、前記第1方向において前記複数のタブのそれぞれと離間するよう前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置し、
前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される、電池パック。
【請求項8】
前記複数のタブはそれぞれ、前記基板に接続される複数の基板接続部を有し、
前記無線アンテナは、前記第1方向において前記複数の基板接続部のうちのいずれかの前記基板接続部の延長線上に位置する、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記複数のタブは、前記第2方向に隣り合う2つの電池セルを直列接続する第1タブを有し、
前記第1タブの前記基板接続部は、前記第2方向において前記隣り合う2つの電池セルの間に位置する、請求項6又は8に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の電池パックからの電力供給によって駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも動作が変更可能に構成される、機器本体。
【請求項11】
前記駆動部はファン又はヒーターを有し、
前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも前記ファンの回転数又は前記ヒーターの温度を変更可能に構成される、請求項10に記載の機器本体。
【請求項12】
前記駆動部が取り付けられる衣服を有する、請求項10又は11に記載の機器本体。
【請求項13】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の電池パックと、
前記電池パックからの電力供給によって駆動する駆動部を有する機器本体と、
を有し、
前記駆動部は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも動作が変更可能に構成される、電気機器。
【請求項14】
前記駆動部はファン又はヒーターを有し、
前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも前記ファンの回転数又は前記ヒーターの温度が変更可能である、請求項13に記載の電気機器。
【請求項15】
電池パックと、機器本体と、を備える電気機器であって、
前記電池パックは、
ケースと、
前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
前記無線アンテナを搭載する基板と、
外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、を有し、
前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置するよう構成され、
前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成され、
前記機器本体は、
前記出力部に接続され、前記出力電圧によって駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記出力部から出力される前記出力電圧に応じて動作が変更するよう構成される、
電気機器。
【請求項16】
電池パックと、機器本体と、を備える電気機器であって、
前記電池パックは、
ケースと、
前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲の端部近傍に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
前記複数の電池セルにわたって配置され、前記無線アンテナを搭載する基板と、
外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
前記第1方向における前記複数の電池セルの端部において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びて前記電池セルと前記基板とを接続する複数のタブと、を有し、
前記第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置し、
前記無線アンテナは、前記第1方向において前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置するよう構成し、
前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成され、
前記機器本体は、
前記出力部に接続され、前記出力電圧によって駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記出力部から出力される前記出力電圧に応じて動作が変更するよう構成される、
電気機器。」
第3 申立ての理由の概要
令和6年8月20日に異議申立人が提出した特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)に記載した申立ての理由、及び証拠方法は次のとおりである。
1 申立ての理由
(1)申立理由1(進歩性)
ア 請求項1~9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明ないし周知の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(特許法113条2号)
イ 請求項10~16に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明ないし周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(特許法113条2号)
2 証拠方法
甲第1号証 登録実用新案第3143765号公報
甲第2号証 特開2011-87392号公報
甲第3号証 登録実用新案第3187092号公報
甲第4号証 特開2018-193622号公報
なお、上記甲第1号証について、異議申立書及び証拠説明書には、「実用新案登録第3143765号公報」と記載されているが、登録実用新案公報を証拠方法としていることが明らかであるから、登録実用新案公報を意味する「登録実用新案第3143765号公報」と読み替えている。また、上記甲第3号証について、異議申立書には、「実用新案登録第3187092号公報」と記載されているが、同様に「登録実用新案第3187092号公報」と読み替えている。
以下、「甲第1号証」~「甲第4号証」を、それぞれ「甲1」~「甲4」という。
第4 甲号証の記載
1 甲1
(1)甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のため当審で付したものである(以下同様。)。
「【0002】
無線操縦ができない電動式おもちゃの乗り物100は、電池104を電池収納部101にセットして遊ぶ。(図1参照)」
「【図1】
[図:0001416533000001.jpg]
」
「【0004】
本考案は、下記のごとく構成された無線受信駆動装置10であるが、これを電動式おもちゃの乗り物100の電池収納部101にセットすることにより、電動式おもちゃの乗り物100を無線で操縦できるようにしたものである。(図2、図4参照)
(イ)外観は円柱形状で、円柱形状の側面に電池50を無線受信駆動装置電池収納部30に出し入れするための扉開閉部15を設ける。
(ロ)円柱形状の上底部に無線受信駆動装置電極端子A11を設ける。
(ハ)円柱形状の下底部に無線受信駆動装置電極端子B12を設ける。
(ニ)円柱形状の内部に無線受信駆動装置受信基板部20を設ける。
(ホ)無線受信駆動装置受信基板部20は、昇圧装置21、アンテナ22、受信IC23、同調回路24、増幅回路25、IC制御マイクロコンピューター26、ICモータードライバー27、出力端子A41、出力端子B42から構成されている。
(ヘ)円柱形状の内部に電池50を収納する無線受信駆動装置電池収納部30を設ける。
(ト)無線受信駆動装置電池収納部30に、収納する電池50の正極端子51と接合する無線受信駆動装置電池収納部正極端子31を設ける。
(チ)無線受信駆動装置電池収納部30に、収納する電池50の負極端子52と接合する無線受信駆動装置電池収納部負極端子32を設ける。
(リ)無線受信駆動装置電池収納部正極端子31と無線受信駆動装置受信基板部20の昇圧装置21は導線43で結ばれている。
(ヌ)無線受信駆動装置電池収納部負極端子32と無線受信駆動装置受信基板部20の昇圧装置21は導線44で結ばれている。
(ル)無線受信駆動装置電極端子A11と無線受信駆動装置受信基板部20の出力端子A41は導線45で結ばれている。
(ヲ)無線受信駆動装置電極端子B12と無線受信駆動装置受信基板部20の出力端子B42は導線46で結ばれている。」
「【0010】
次に、「(ニ)円柱形状の内部に無線受信駆動装置受信基板部20を設ける。」「(ホ)無線受信駆動装置受信基板部20は、昇圧装置21、アンテナ22、受信IC23、同調回路24、増幅回路25、IC制御マイクロコンピューター26、ICモータードライバー27、出力端子A41、出力端子B42から構成されている。」について説明する。(図2、図3、図4参照)
昇圧装置21は、無線受信駆動装置電池収納部30に収納する電池50の小さい電圧を、図3の無線受信駆動装置受信基板部20のブロック図で示す、受信IC23、同調回路24、増幅回路25、IC制御マイクロコンピューター26、ICモータードライバー27などが必要とする大きい電圧に変えて、それぞれに送る働きをする。したがって、電動式おもちゃの乗り物100を改造したり破棄したりせずに、そのまま生かすことができる。
【0011】
アンテナ22は、無線送信機19から発信された電磁波などを受け取り、受信IC23に送る働きをする。
【0012】
受信IC23と同調回路24は、アンテナ22が受け取った多くの電磁波の中から、電動式おもちゃの乗り物100を動かすのに必要な電磁波を選び出し、それを増幅回路25に送る働きをする。
【0013】
増幅回路25は、受信IC23と同調回路24から送られてきた信号が微弱なため、IC制御マイクロコンピューター26が必要とする強い信号に変えて、そこに送る働きをする。
【0014】
IC制御マイクロコンピューター26には、特許出願2002-183640(特許公開2003-338853)の「発明の名称:識別データ新規作成等の手段を備えた送受信システム」(出願人:株式会社ブレイブ)を応用したプログラムなどが内蔵されている。それは、[考案の効果][0005]で述べたように、電動式おもちゃの乗り物100を前進、後退、停止、加速、減速させるプログラムや複数の電動式おもちゃの乗り物(100A、100B・・・100N・・)を一台もしくは複数の無線送信機19で操作するために識別コードを変えることができるプログラムなどである。
そして、IC制御マイクロコンピューター26は、それらの信号をICモータードライバー27に送る働きをする。
【0015】
ICモータードライバー27は、IC制御マイクロコンピューター26からの信号を受け、モーター107の回転数を変えるためにデューティーを変えたり、モーター107を反転させるために、出力を正極・負極逆に切り換えたりする働きをする。」
「【0018】
次に、「(ル)無線受信駆動装置電極端子A11と無線受信駆動装置受信基板部20の出力端子A41は導線45で結ばれている。」「(ヲ)無線受信駆動装置電極端子B12と無線受信駆動装置受信基板部20の出力端子B42は導線46で結ばれている。」について説明する。(図2、図3、図4参照)
ICモータードライバー27から出力端子A41に送られてくるモーター107を動かす(前進、後退、停止、加速、減速)出力電圧を、無線受信駆動装置電極端子A11に導線45でつなぐ。
ICモータードライバー27から出力端子B42に送られてくるモーター107を動かす(前進、後退、停止、加速、減速)出力電圧を、無線受信駆動装置電極端子B12に導線46でつなぐ。」
「【図2】
[図:0001416533000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001416533000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001416533000004.jpg]
」
「【0020】
本考案の外観形状は円柱形状であるが、これを図5で示すように、箱型(直方体)形状にしてもよい。」
「【図5】
[図:0001416533000005.jpg]
」
(2)甲1発明
前記(1)【図2】より、「電池50」は長方形の形状で示されていることから、長手方向を特定できることが見てとれる。
そうすると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、甲1発明をa~kに分説し、「構成a」などのようにして、以下参照する。
「a 電池収納部101にセットする無線受信駆動装置10であって、(【0004】)
b 外観は円柱形状であり、円柱形状の側面に扉開閉部15を設け、円柱形状の上底部に無線受信駆動装置電極端子A11を設け、円柱形状の下底部に無線受信駆動装置電極端子B12を設け、円柱形状の内部に無線受信駆動装置受信基板部20を設けており、(【0004】)
c 無線受信駆動装置受信基板部20は、昇圧装置21、アンテナ22、受信IC23、同調回路24、増幅回路25、IC制御マイクロコンピューター26、ICモータードライバー27、出力端子A41、出力端子B42から構成され、(【0004】)
d 円柱形状の内部に電池50を収納し、電池50は長手方向を特定でき、(【0004】、【図2】)
e アンテナ22は、無線送信機19から発信された電磁波を受け取り、受信IC23に送り、(【0011】)
f 受信IC23と同調回路24は、必要な電磁波を選び出し増幅回路25に送り、(【0012】)
g 増幅回路25は、IC制御マイクロコンピューター26が必要とする強い信号に変えて送り、(【0013】)
h IC制御マイクロコンピューター26は、信号をICモータードライバー27に送り、(【0014】)
i ICモータードライバー27は、IC制御マイクロコンピューター26からの信号を受け、モーター107の回転数を変えるためにデューティーを変えたり、モーター107を反転させるために、出力を正極・負極逆に切り換えたりする働きをし、(【0015】)
j ICモータードライバー27から出力端子A41に送られてくるモーター107を動かす出力電圧を、無線受信駆動装置電極端子A11に導線45でつなぎ、ICモータードライバー27から出力端子B42に送られてくるモーター107を動かす出力電圧を、無線受信駆動装置電極端子B12に導線46でつなぐ、(【0018】)
k 無線受信駆動装置10」
2 甲2
(1)甲2には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
ケース(2)と、
前記ケース(2)内部に収納される充電可能な複数の円筒形電池(1)と、
前記円筒形電池(1)を互いに略平行な姿勢で配置した状態で、前記ケース(2)内部に収納される配置される回路基板(4)と、
前記回路基板(4)に実装される、前記円筒形電池(1)の出力電圧を変換して出力可能な電圧変換回路(40)と、
前記電圧変換回路(40)で調整された出力を外部に出力するための電源コネクタ(5)と、
を備える携帯式電源装置であって、
前記電源コネクタ(5)が、規格化されたコネクタであり、
前記電源コネクタ(5)が、金属製の円筒状に構成され、
前記電源コネクタ(5)が、前記円筒形電池(1)と略平行で、かつ前記ケース(2)の端部に配置されてなることを特徴とする電源コネクタを備える携帯式電源装置。」
「【0018】
図1~図7に本発明の一実施の形態に係る電源コネクタを備える携帯式電源装置を示す。これらの図において、図1は電源コネクタを備える携帯式電源装置の斜視図、図2は図1の携帯式電源装置を斜め下方から見た斜視図、図3は図1の携帯式電源装置の第1ケースを外した分解斜視図、図4は図3の第2ケースの分解斜視図、図5は図1のV-V線における垂直断面図、図6は変形例に係る電源コネクタを備える携帯式電源装置の斜視図、図7は携帯式電源装置の回路図を、それぞれ示している。これらの図に示す電源コネクタを備える携帯式電源装置は、箱形のケース2で構成され、ケース2内部には複数の円筒形電池1と、その上方に配置される回路基板4とを収納している。またケース2前面の端面壁21Bには電源コネクタ5と電力入力端子7を設けている。回路基板4は、円筒形電池1及び電源コネクタ5、電力入力端子7と電気的に接続されている。
(ケース2)
【0019】
携帯式電源装置の外形は、図1~図2に示すように、略箱形で左右側面の上下隅部を面取りして、側面を曲面状に形成している。またこの外形を構成するケース2は、図2に示すように第1ケース2Aと第2ケース2Bに二分割されている。図2及び図3に示すように、第1ケース2Aは上半分とケース端面壁21Bを被覆している。このケース2は絶縁性の部材で構成され、好ましくはポリカーボネートなどのプラスチック樹脂で成形される。
【0020】
ケース2の平面形状は四角形状であり、図4などに示すように、その内部に複数の円筒形電池1を平行に並べて収納している。また図4において円筒形電池1の右側に電源コネクタ5が配置される。このため、ケース2の両側部分は、円筒形電池1や電源コネクタ5の表面に沿うような湾曲面としている。第1ケース2Aは、四角形の平面プレート20の周囲に、湾曲する側壁21Aと端面壁21Bからなる周壁21を一体的に成形して設けた形状で、プラスチックを成形して制作される。ケース2前面の端面壁21Bはほぼ平坦面とし、第1ケース2A側で被覆され、第2ケース2Bはその内面に沿うよう内壁を設け、端面壁21Bの裏側に重ねている。また端面壁21B以外ではケース2は第1ケース2Aと第2ケース2Bとでほぼ二分割されており、互いに周壁21の開口端を連結して、内部を閉塞する構造に連結される。図3のケース2は、第1ケース2Aと第2ケース2Bを止ネジ25で連結して固定している。止ネジ25をねじ込んで連結するために、第2ケース2Bは、周壁21に沿って4カ所に止ネジ25を挿通する挿入ボス26を一体的に成形して設けている。」
「【0026】
さらに、複数の円筒形電池1は、正負の端面電極をリード板10を介して回路基板4に連結している。図3に示す複数の円筒形電池1は、リード板10を介して複数の円筒形電池1を互いに直列に接続して回路基板4に接続している。ただ、円筒形電池を並列に接続することもできる。」
「【0028】
回路基板4は、図4に示すように円筒形電池1を収納した第一ホルダ3A及び第二ホルダ3Bの上方に配置される。この回路基板4は、円筒形電池1の出力電圧を変換する電圧変換回路40等の電子部品を実装している。電圧変換回路40は、典型的には円筒形電池1の出力電圧を安定化して出力するDC/DCコンバータである。また回路基板4には、円筒形電池1の充電回路43も実装される。
【0029】
押しボタンスイッチ8は、回路基板4に固定しているスイッチ42を押してON/OFFに切り変える。スイッチ42は、回路基板4に実装している電池の残容量検出回路に表示信号を出力して、残容量を表示させる。残容量検出回路は、発光ダイオード等のパイロットランプ47の点灯色や点灯数で電池の残容量を表示する。残容量検出回路は、スイッチから表示信号が入力されると、一定の時間、発光ダイオード等のパイロットランプ47を点灯して残容量を表示する。パイロットランプ47は、ケース2上面の平面プレート20に開口窓を介して表出させる他、開口窓を設けることなく、ケース2の内面にパイロットランプ47を配置してもよい。この場合、パイロットランプ47である発光ダイオード等を点灯させると、光はケース2を透過して外部に漏れる。このような光の透過構造は、パイロットランプ47等の発光素子を消灯時には外部から視認できないようにすることで、点灯時の意外性と意匠的な面白さを演出できる。また、スイッチ42は、電圧変換回路40を動作状態に切り換えることもできる。スイッチ42のON/OFF信号で残容量を表示し、また電圧変換回路40の動作状態を切り換える携帯式電源は、スイッチ42を短く押すと残容量を表示し、スイッチ42を長く押すと電圧変換回路40を動作状態に切り換えることができる。電圧変換回路40は、スイッチ42から入力されるオン信号が設定時間よりも長いことを判定して、動作状態に切り換えられる。この携帯式電源は、スイッチ42を長く押さない状態で電圧変換回路40を動作しない状態に保持できるので、電源コネクタ5に電気機器を接続しない状態で、電池の無駄な消費を防止できる。それは、電圧変換回路40が動作状態にあると負荷に電気機器を接続しない状態で電力を消費するからである。
(電力入力端子7)」
「【0031】
電源コネクタ5は、回路基板4に固定されて、円筒形電池1と平行に、ケース2内部の端縁に配置される。電源コネクタ5は、規格化されたコネクタである。このような標準化された仕様に従った電源コネクタ5を備えることで、該規格に合致した既存の電気機器を接続して給電できる。図5の断面図に示すように、電源コネクタ5は、一端を開口した円筒状に形成されており、電源コネクタ5の開口形状に対応する形状に形成されたプラグを挿入することで、電源コネクタ5とプラグとが電気的に接続される。電源コネクタ5とプラグとを接続した状態で保持されるよう、これらの接続部分には弾性的に変形する部材が設けられることが好ましい。例えばプラグ側に弾性的に突出する弾性突起を設け、弾性突起の弾性変形によって押圧力を印加して、挿入状態を摩擦により保持する。」
「【0033】
また図4に示すように、電源コネクタ5は、円筒形電池1と略平行に配置することが好ましい。特に後述するUSBコネクタなどと異なり、シガーソケットのような大型の電源コネクタを使用する場合は、電源コネクタの配置スペースも問題となる。とりわけ電源装置を携帯式とする場合は、持ち運びが容易なように可能な限り小型化が求められる。そこで円筒形電池を使用する際には、円筒形電池と同じ姿勢に並べて電源コネクタを配置することで、無駄な空間を無くし、かつケースの外形も、円筒形電池や電源コネクタの外径に応じた一定厚さの箱状に、コンパクトに纏めることができる。さらに広い面積を要する回路基板も、円筒形電池の上部に配置することで、体積の増加を最小限にできる。
(シガーソケット)」
「【0035】
図1の例では、携帯式電源装置で駆動される電気機器として、ヒータを内蔵した電気毛布50を接続している。例えば長距離トラックの運転手が深夜仮眠を取る際、車両のエンジンをアイドリング状態とせずとも、シガーソケット代わりに携帯式電源装置を利用して電気毛布で暖を取ることができるので、ガソリンの浪費と排ガス、騒音の抑制及び二酸化炭素削減に寄与でき、環境への負荷を低減できる効果が見込まれる。なおここでいう電気毛布には、ひざ掛けやヒータマット等、柔軟なシート状の発熱体を包含する意味で使用する。」
「【0039】
図1に示すように、シガーソケットには規格化されたシガープラグCPが挿入可能である。これにより、シガープラグを備え、ここから給電されて駆動される様々な電気機器が利用できる。このようなシガープラグを有する電気機器としては、ヒータマットやフロアマット、アンカ、懐炉、電気毛布、シェーバ、ポータブルナビげーション、掃除機、レーダ探知機、ドライブレコーダ、燃費向上グッズ、AC100Vに変換可能なインバータ等が挙げられる。」
「【0043】
図4の例では、USBコネクタ5Aは、USB基板に実装されている。このUSB基板は、USBコネクタ5Aを2つ並べてUSB基板にハンダ付けして固定している。これらのUSBコネクタ5Aには、外部の電気機器のUSBプラグがケース2のコネクタ窓22を介して挿入される。」
「【図1】
[図:0001416533000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001416533000007.jpg]
」
「【図3】
[図:0001416533000008.jpg]
」
「【図4】
[図:0001416533000009.jpg]
」
(2)甲2記載事項
前記(1)より、甲2には、次の技術的事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「携帯式電源装置は、箱形のケース2で構成され、ケース2内部には複数の円筒形電池1と、その上方に配置される回路基板4とを収納し、ケース2前面の端面壁21Bには電源コネクタ5と電力入力端子7を設け、回路基板4は、円筒形電池1及び電源コネクタ5、電力入力端子7と電気的に接続され、(【0018】)
複数の円筒形電池1を平行に並べて収納し、(【0020】)
回路基板4は、円筒形電池1の出力電圧を変換する電圧変換回路40等の電子部品を実装し、(【0028】)
電源コネクタ5は、回路基板4に固定されて、円筒形電池1と平行に、ケース2内部の端縁に配置され、(【0031】)
円筒形電池と同じ姿勢に並べて電源コネクタを配置することで、無駄な空間を無くし、かつケースの外形も、円筒形電池や電源コネクタの外径に応じた一定厚さの箱状に、コンパクトに纏めることができ、広い面積を要する回路基板も、円筒形電池の上部に配置することで、体積の増加を最小限にできる、(【0033】)
携帯式電源装置」
3 甲3
(1)甲3には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
ファンによって衣服内に外気を取り入れるファン付き衣服の前記ファンと、携帯電話機の充電用バッテリとを接続し、前記充電用バッテリから前記ファンに電力を供給するための電力ケーブルであって、
前記充電用バッテリに接続するための入力側コネクタと、
前記ファンに接続するための出力側コネクタと、
前記充電用バッテリによって前記入力側コネクタに与えられる入力電圧を所定の電圧値まで上昇させ、上昇された電圧を前記出力側コネクタへ出力する昇圧回路と、
前記昇圧回路が収容された収容部と、
を備え、
前記収容部は、前記出力側コネクタへの出力のオン/オフを切り替えるためのスイッチを具備する、
ファン付き衣服用電力ケーブル。」
「【0022】
スイッチ3は、3極型のロッカースイッチであり、出力のオン/オフ及び出力電圧の強弱の切り替えが可能である。ロッカースイッチ3の操作部31は、3位置に切り替え可能となっており、一方側に傾けた位置(以下、「強位置」という)の場合には、高い出力電力が発生され、他方側に傾けた位置(以下、「弱位置」という)の場合には、低い出力電力が発生され、強位置と弱位置との間の位置(以下、「切断位置」という)の場合には電力の出力が停止される。」
「【0036】
ファン付き衣服は、例えば特許文献1に記載されているように、複数のファンを有している。これらのファンは直流モータを有するものであって、一般的にその定格電圧は7.4Vとされている。また、ファンからは電力供給用のケーブルが延設されており、その先端にはRC-5320Aによって規定されたオス側コネクタが設けられている。」
「【0042】
着用者は、ファン付き衣服を使用する際、スイッチ3を弱位置又は強位置に入れる。スイッチ3が強位置又は弱位置に入れられると、携帯電話の充電用バッテリ200から出力される5Vの電圧が、昇圧回路7によって7.4Vに昇圧され、この7.4Vの出力電圧がファン300に印可される。」
「【図1】
[図:0001416533000010.jpg]
」
(2)甲3記載事項
前記(1)より、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ファンによって衣服内に外気を取り入れるファン付き衣服の前記ファンと、携帯電話機の充電用バッテリとを接続し、(【請求項1】)
着用者は、ファン付き衣服を使用する際、スイッチ3を弱位置又は強位置に入れる、ファン付き衣服(【0042】)」
4 甲4
(1)甲4には、次の事項が記載されている。
「【0023】
{実施形態の構成}
第1実施形態に係る空調衣服100は、図1~図3に示すように、服本体1と、服本体1内部に空気を導入するファン2,2と、ファン2,2に電力を供給する電源部3と、空調衣服100の制御を行う制御部4と、電源部3と制御部4とを接続する電源部~制御部接続ケーブル5と、ファン2,2と制御部4とを接続する制御部~ファン接続ケーブル6と、を備える。」
「【0046】
制御部4には、電源部3から供給された電力を複数段階の強度でファンに供給する電力変換回路(不図示)と、電源部3の電池の残量を測定する残量測定回路(不図示)と、電力変換回路に強度を指示する強度指示回路(不図示)と、が内蔵されている。すなわち、電力変換回路が本発明における電力変換手段として機能し、残量測定回路が本発明における電池残量測定手段として機能し、強度指示回路が本発明における電力強度指示手段として機能する。
【0047】
また、図6に示すように、制御部4の上面には複数のLEDからなる表示手段41が備えられ、右側面には操作手段42としてのタクタイルスイッチが備えられ、後面下部には、制御部第1接続端子43と、制御部第2接続端子44と、が備えられている。」
「【0050】
(操作手段)
操作手段42は、例えばタクタイルスイッチからなり、電源のオン/オフの切り替え、ファン2,2に供給する電力の強度の切り替え等の操作に使用される。
具体的には、例えば、操作手段42のタクタイルスイッチを長押しすると電源が入り、電源が入った状態では、これを、一度押すと表示手段41の表示がファン2,2に供給する電力の強度の表示に切り替わり、更に押すとファン2,2に供給する電力の強度が切り替わり、長押しすると電源が切れるように構成される。
また、これに対応して、表示手段41は、例えば、電源が入った状態では通常は電池の残量が表示され、操作手段42としてのタクタイルスイッチを押すとファン2,2に供給する電力の強度の表示に切り替わり、操作から数秒が経過すると電池の残量の表示に切り替わるように構成される。」
「【0073】
(電源部)
電源部3Aは、電力変換回路を備える。すなわち、第1実施形態に係る空調衣服100においては制御部4に備えられていた電力変換回路が、第2実施形態に係る空調衣服100Aにおいては、電源部3Aに備えられている。
また、電源部3Aは、ファン2,2との接続に用いられる2芯端子である電源部第2接続端子32を有する。
また、制御部4Aとの接続に用いられる電源部第1接続端子31Aは、後述のように多芯ケーブルである電源部~制御部接続ケーブル5Aに対応した多芯端子となっている。
なお、電源部第1接続端子31Aと、電源部第2接続端子32とは、差し間違い防止のため、異なる形状の端子とすることが望ましい。
その余の構成は第1実施形態にかかる電源部3と同様である。」
「【0081】
なお、本実施形態においては、電源部と制御部との間で双方向の通信を行うための手段として、電源部~制御部接続ケーブル5Aを用いる場合について説明したが、電源部及び制御部の双方に無線通信用の通信手段を設けることにより、電源部と制御部とを無線通信で接続して使用することも可能である。この場合、制御部には独立して稼働するためのバッテリー等の電源手段が備えられる必要がある。
この場合、電源部と制御部との間を繋ぐケーブルがなくなるため、各機器を自由に配置でき、ケーブルが着用者の邪魔になることも防止できる。」
「【図2】
[図:0001416533000011.jpg]
」
「【図3】
[図:0001416533000012.jpg]
」
(2)甲4記載事項
前記(1)より、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「服本体1と、服本体1内部に空気を導入するファン2,2と、ファン2,2に電力を供給する電源部3と、空調衣服100の制御を行う制御部4と、電源部3と制御部4とを接続する電源部~制御部接続ケーブル5と、ファン2,2と制御部4とを接続する制御部~ファン接続ケーブル6と、を備え、(【0023】)
制御部4には、電源部3から供給された電力を複数段階の強度でファンに供給する電力変換回路が内蔵され、(【0046】)
制御部4の右側面には操作手段42が備えられ、(【0047】)
操作手段42は、ファン2,2に供給する電力の強度の切り替え等の操作に使用される、(【0050】)
空調衣服100(【0023】)」
第5 申立理由1(進歩性)についての当審の判断
1 本件発明1について
(1)本件発明1について、対比のため以下のとおり分説し、それぞれ「特定事項1A」などのように参照する。
「【請求項1】
1A ケースと、
1B 前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
1C 前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
1D 前記無線アンテナを搭載する基板と、
1E 外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
1F 前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
1G を有し、
1H 前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
1I 前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置し、
1J 前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される、
1K 電池パック。」
(2)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 「ケースと、」「を有し、」(特定事項1A、1G)について
甲1発明の「無線受信駆動装置10」は、「円柱形状」の外観で、「円柱形状」は「側面」、「上底部」、「下底部」を有し、「円柱形状の内部に」「無線受信駆動装置受信基板部20を設け」(構成b)るとともに、「電池50を収容」(構成d)するから、円柱形状のケースを有しているといえる。
よって、本件発明1と甲1発明とは、「ケースと、」「を有」する点で一致する。
イ 「前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、」「を有し、」(特定事項1B、1G)について
甲1発明の「電池50」は、「円柱形状の内部に」「収容」(構成d)されるものであり、本件発明1の「電池セル」に相当する。
また、「電池50」は、「長手方向を特定でき」(構成d)るものであり、当該「長手方向」を「第1方向」又は「第1の方向」と称することは任意である。
しかしながら、甲1発明では、「電池50」が複数であることは特定されていない。
よって、前記アを踏まえれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記ケース内において、長手方向が第1方向に延びる電池セルと、」「を有」する点で共通する。
ウ 「前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、」「を有し、」(特定事項1C、1G)について
甲1発明の「無線送信機19」(構成e)は、本件発明1の「外部機器」に相当し、甲1発明の「アンテナ22」は、「無線送信器19から発信された電磁波を受け取」(構成e)るから、「外部機器と無線通信するための無線アンテナ」に相当する。
そして、甲1発明において、「アンテナ22」が「前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ」ていることは特定されていない。
よって、本件発明1と甲1発明とは、「外部機器と無線通信するための無線アンテナと、」「を有」する点で共通する。
エ 「前記無線アンテナを搭載する基板と、」「を有し、」(特定事項1D,IG)について
甲1発明の「無線受信駆動装置受信基板部20」は、「昇圧装置21、アンテナ22、受信IC23、同調回路24、増幅回路25、IC制御マイクロコンピューター26、ICモータードライバー27、出力端子A41、出力端子B42から構成され」(構成c)るから、「アンテナ22」を搭載しているといえる。
そして、「無線受信駆動装置受信基板部20」は「基板」といえるから、前記ウを踏まえれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記無線アンテナを搭載する基板と、」「を有」する点で一致する。
オ 「外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、」「を有し、」(特定事項1E、1G)について
甲1発明の「無線受信駆動装置電極端子A11」は、「円柱形状の上底部」に「設け」(構成b)られ、「モーター107を動かす出力電圧」が「導線45でつな」(構成j)がれるものであり、また、「無線受信駆動装置電極端子B12」は、「円柱形状の下底部」に「設け」(構成b)られ、「モーター107を動かす出力電圧」が「導線45でつな」(構成j)がれるものるものである。
そして、「モーター107」は、「無線受信駆動装置10」の外部ということができるから、甲1発明の「無線受信駆動装置電極端子A11」及び「無線受信駆動装置電極端子B12」は、外部に電力を出力する端子である。
他方、甲1発明の「無線受信駆動装置10」は、「内部に電池50を収容」(構成d)するものであり、「入力部」を有し、「外部から電力を入力する」ことについて、特定されていない。
よって、本件発明1と甲1発明とは「外部に電力を出力する出力部と、」「を有」する点で共通する。
カ 「前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、」「を有し、」(特定事項1F、1G)について
甲1発明には、「前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、」「を有」することについて、特定されていない。
キ 「前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、」(特定事項1H)について
甲1発明には、当該事項について、特定されていない。
ク 「前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置し、」(特定事項1I)について
甲1発明には、当該事項について、特定されていない。
ケ 「前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される、」(特定事項1J)について
甲1発明は、「無線送信機19から発信された電磁波」(構成e)により、「ICモータードライバー27は、」「モーター107の回転数を変えるためにデューティーを変えたり、モーター107を反転させるために、出力を正極・負極逆に切り換えたり」(構成i)するものであり、「出力電圧」は「ICモータードライバー27から」「送られてくる」(構成j)から、「前記出力電圧は、」「前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作」で「変更可能に構成され」ているといえる。
他方、前記カのとおり、甲1発明には、「前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、」「を有」することについて、特定されていない。
よって、本件発明1と甲1発明とは、「前記出力電圧は、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作、により変更可能に構成される」点で共通する。
コ 「電池パック」(特定事項1K)について
甲1発明の「無線受信駆動装置10」は、「内部に電池50を収納」(構成d)するから、本件発明1の「電池パック」に対応する。
サ 一致点、相違点
前記ア~コより、本件発明1と甲1発明とは、
「 ケースと、
前記ケース内において、長手方向が第1方向に延びる電池セルと、
外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
前記無線アンテナを搭載する基板と、
外部に電力を出力する出力部と、
を有し、
前記出力電圧は、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作、により変更可能に構成される、電池パック。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:電池セルについて、本件発明1は「前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の」電池セルであるのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点2:無線アンテナについて、本件発明1は「前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ」ているのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点3:本件発明1は「外部から電力を入力する入力部」を有しているのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点4:本件発明1は「前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部」を有しているのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点5:本件発明1は「前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置」しているのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点6:本件発明1は「前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置」しているのに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
相違点7:出力電圧について、本件発明1は「前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される」のに対して、甲1発明は当該事項を特定していない点
(3)判断
事案に鑑み、相違点5について検討する。
ア 甲2には、前記甲2記載事項(前記第4の2(2))のとおりの技術的事項が記載されていると認められるところ、甲2記載事項の携帯式電源装置は、無線アンテナを有するものではないから、相違点5に係る本件発明1の構成を示唆するものではない。
また、相違点5に係る本件発明1の構成は、他の証拠方法をみても、記載または示唆されておらず、当業者に自明な事項であるとも、本件特許出願時に、周知であったとも認められない。
イ 本件発明は、「上記した第4の課題を解決し、金属部による無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」(【0005】)ことを目的とするものであり、相違点5に係る本件発明1の構成により、「(22)無線アンテナモジュール50が基板20の上面、すなわち基板20の電池セル11a~11cとは反対側の面に設けられるため、無線アンテナモジュール50が基板20の下面に設けられる場合と比較して、無線アンテナ50aを電池セル11a~11cの外周面から離すことができ、無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。」(【0088】)効果を奏するものである。
ウ したがって、甲1発明において、相違点5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえない。
(4)小括
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)異議申立書の主張について
ア 異議申立人は、本件発明1と甲1発明との上記相違点5に係る構成について、以下のとおり主張する。
「 甲第2号証の段落【0033】には、「電源装置を携帯式とする場合は、持ち運びが容易なように可能な限り小型化が求められる。そこで円筒形電池を使用する際には、円筒形電池と同じ姿勢に並べて電源コネクタを配置することで、無駄な空間を無くし、かつケースの外形も、円筒形電池や電源コネクタの外径に応じた一定厚さの箱状に、コンパクトに縞めることができる。さらに広い面積を要する回路基板も、円筒形電池の上部に配置することで、体積の増加を最小限にできる。」と記載されており、電池や回路基板、各種部品等がケースに収容された電池パックにおいて、当該電池パックの大型化を抑制することは、本件出願前において周知の技術課題であり、着眼点に新しさはない。
また、無線通信機器において、無線通信機能への影響抑制を図りながら各種部品をレイアウトすることも、当業者であれば当然に考慮することである。したがって、本件特許明細書の段落【0022】に記載されている「無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」ことは、何ら目新しいものではないので、「無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」ために、電池セルの並べ方、電池セルに対する回路基板の配置、アンテナの配置、外部から電力を入力する入力部や外部に電力を出力する出力部の配置をどのようにするかは、当業者の単なる設計的事項の範疇であり、それらのレイアウトに対して創作性が何ら認められるものではないし、当業者が、ケース内の限られたスペースにおいて複数の部品を適切に配置しようとすることは普通に行われていることである。そして、その結果、複数の部品の位置が決定されたとしても、その位置が本件特許発明1のように、従来から周知の課題を解決するための位置に過ぎないものである場合には、進歩性の存在が否定されるべきである。
特に、本件特許発明1は、本件特許明細書の記載内容に基づくと、近距離無線通信が前提となっている。また、本件特許発明1のケースは、本件特許明細書の記載内容に基づくと、携帯可能な程度の小型のものである。近距離無線通信用のアンテナが携帯可能な程度の小型のケース内のどこに配置されていようとも、通信品質への影響は無視できる程度に小さいものであり、このことは当業者の技術常識である。よって、アンテナの位置を特定したことによる作用効果は、無線通信機能への影響の面では生じ無いものなので、本件特許発明1は、この点においても、進歩性の存在が否定されるべきものである。
また、外部機器と無線通信するための無線アンテナを第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けること、ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置すること、前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置すること等は、上述した従来から周知の課題を解決するための当業者が適宜なし得たことに過ぎない。
特に、甲第2号証には、複数の円筒形電池(1)が並んだ状態で収容されていて、その並び方向と平行に延びるように回路基板が設置されているので、この構成に接した当業者が、上述した従来から周知の課題を解決するために、無線アンテナを複数の電池セルの存在範囲内に設けたり、基板の一方側に前記複数の電池セル、入力部、及び出力部を配置したり、基板の他方側に無線アンテナを配置したり、入力部及び出力部を第3方向において電池セルの存在範囲内に延在又は位置付けたり、第2方向において基板の中心に対して無線アンテナと反対側の範囲に位置付けたりすることは極めて容易になし得ることである(本件特許発明1の構成要件1C、1G、1H)。」(異議申立書27頁15行~29頁2行)(当審注:当該「本件特許発明1の構成要件1C、1G、1H」は、前記(1)における、「特定事項1C、1H、1I」に対応する。)
当該主張は、概ね、「「無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」ことは、何ら目新しいものではな」く、「アンテナの位置を特定したことによる作用効果は、無線通信機能への影響の面では生じ無い」から、「無線アンテナを複数の電池セルの存在範囲内に設けたり、基板の一方側に前記複数の電池セル、入力部、及び出力部を配置したり、基板の他方側に無線アンテナを配置したり、入力部及び出力部を第3方向において電池セルの存在範囲内に延在又は位置付けたり、第2方向において基板の中心に対して無線アンテナと反対側の範囲に位置付けたりすることは極めて容易になし得ることである」ことを主張するものと認められる。
しかしながら、「無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」ことが周知な課題であるとしても、本件発明1は、課題を解決するための具体的な手段として、前記相違点5に係る構成を採用し、「無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。」(【0088】)という効果を奏するものであり、当該課題に対する、相違点5に係る構成が周知であるとの証拠はないから、「従来から周知の課題を解決するための当業者が適宜なし得たことに過ぎない」との主張は採用できない。
イ 「なお、「電池セルの存在範囲内に延在」との特定事項があるが、電池セルの存在範囲とは、電池セルが存在している範囲のことなので、電池セルが存在している範囲に他の部材が延在しようとしても、電池セルの存在によって不可能であり、このような表現は、発明の技術的範囲を著しく不明確にしており、第三者に不測の不利益を生じるおそれがある。また、「電池セルの存在範囲内に位置」についても同様であり、電池セルが存在している範囲に他の部材が位置しようとしても、電池セルの存在によって不可能であり、意味が全く不明である。」(異議申立書29頁3行~9行)との主張について
本件発明1において、「電池セルの存在範囲内に延在又は位置」することは、「第3方向において」であり、第3方向についてみれば、電池セルの存在範囲内であっても、電池セルが存在しない範囲があることは明らかであるから、当該主張は採用できない。
ウ 「甲第1号証の無線受信駆動装置は、収納する電池50の正極端子51と接合する無線受信駆動装置電池収納部正極端子31、収納する電池50の負極端子52と接合する無線受信駆動装置電池収納部負極端子32、無線受信駆動装置電極端子A11等が設けられている(本件特許発明1の構成要件1E)。これらは、外部から電力を入力する入力部および外部に電力を出力する出力部として機能する部材である。また、電池パックに入力部および出力部を設けることは当然のことである。」(異議申立書26頁19~24行)との主張について
甲1において、無線受信駆動装置電池収容部正極端子31、無線受信駆動装置電池収納部負極端子32は、いずれも収容する電池50の正極端子51、負極端子52と接合するものであり、電池50は無線受信駆動装置に収容される(【0004】)ことから、無線受信駆動装置が有する、外部から電力を入力する入力部として機能する部材とはいえない。
したがって、当該主張は採用できない。
エ 「甲第1号証の無線受信駆動装置は、乗り物100を無線で操縦することができるものであり、電力が供給される駆動部としてのモーター107を動かす(前進、後退、停止、加速、減速)ための出力電圧を出力するように構成されている。モーター107の加速、減速が可能であるということは、無線受信駆動装置から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部を有しているということである(本件特許発明1の構成要件1F)。」(異議申立書26頁25行~27頁2行)との主張について
甲1は、無線送信機19から発信された電磁波の信号が「IC制御マイクロコンピューター26」に送られ(【0011】~【0013】)、「ICモータードライバー27は、IC制御マイクロコンピューター26からの信号を受け、モーター107の回転数を変えるためにデューティーを変えたり、モーター107を反転させるために、出力を正極・負極逆に切り換えたりする働きをする。」(【0015】)ものであるから、「出力電圧を変更するために操作される操作部」は「無線送信機19」が有するものであり、無線受信駆動装置が、「出力する出力電圧を変更するために操作される操作部」を有していることにはならないから、当該主張は採用できない。
オ 「また、甲第1号証に記載されているように、無線で操縦する場合には、出力電圧を無線アンテナの無線通信によって変更するようにしていることが一般的である。また、甲第1号証の段落【0002】には、無線操縦ができない電動式おもちゃの乗り物100は、電池104を電池収納部101にセットして遊ぶことが可能であることが記載されている。つまり、甲第1号証には、無線操縦することと、無線操縦ができない電動式おもちゃの乗り物の場合に操作部による操作により出力電圧を変更することとの両方が記載されているので、甲第1号証に接した当業者であれば、「出力電圧は、操作部の操作と、外部機器と無線アンテナの無線通信による外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される」という、本件特許発明1の構成要件1Iに容易に想到し得るものである。」(異議申立書29頁16~25行)との主張について
甲1には、無線受信駆動装置が、「出力する出力電圧を変更するために操作される操作部」を有しているとはいえない(前記エ参照)から、これを前提とする当該主張は採用できない。
2 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件発明2~6と甲1発明とは、少なくとも、前記1(2)サに示した相違点1~7において相違するものであり、相違点5は、前記1(3)のとおり、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2~6は、甲1発明、甲2記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明7について
(1)本件発明7について、対比のため以下のとおり分説し、それぞれ「特定事項7A」などのように参照する。
「【請求項7】
7A ケースと、
7B 前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
7C 前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲の端部近傍に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
7D 前記複数の電池セルにわたって配置され、前記無線アンテナを搭載する基板と、
7E 外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
7F 前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
7G 前記第1方向における前記複数の電池セルの端部において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びて前記電池セルと前記基板とを接続する複数のタブと、
7H を有し、
7I 前記第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
7J 前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置し、
7K 前記無線アンテナは、前記第1方向において前記複数のタブのそれぞれと離間するよう前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置し、
7L 前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成される、
7M 電池パック。」
(2)対比、判断
特定事項7Iにおいて、「前記第3方向」は、特定事項7Gより、「前記第1方向及び前記第2方向と交差する」方向であるから、特定事項7Iは、本件発明1の特定事項1Hと同様の構成を特定するものである。
そうすると、本件発明7と甲1発明とは、少なくとも前記1(2)で対比した、本件発明1と甲1発明との相違点5と同様の点(以下、当該相違点を「相違点8」という。)で相違する。
そして、本件発明1と甲1発明との相違点5は、前記1(3)のとおり、当業者が容易になし得たものとはいえないから、相違点8に係る本件発明7の構成は、前記1(3)の本件発明1と甲1発明との相違点5の判断と同様に、当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明、甲2記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)異議申立書の主張について
異議申立人は、本件発明7と甲1発明との上記相違点8に係る構成について、以下のとおり主張する。
「 上述したように、従来から周知の課題を解決するために、入力部、出力部および無線アンテナの配置を決定することは単なる設計的事項であり、技術的な困難性はない。また、従来から周知の課題に基づけば、第3方向において、基板の一方側に複数の電池セル、入力部、及び出力部を配置するとともに、他方側に無線アンテナを配置することに容易に想到し得るものである。さらに、第3方向において、基板の一方側に複数の電池セル、入力部、及び出力部を配置するとともに、他方側に無線アンテナを配置することによる格別な作用効果が奏されるものではない(本件特許発明7の構成要件7H)。」(異議申立書32頁12行~19行)(当審注:当該「本件特許発明7の構成要件7H」は、前記(1)における、「特定事項7I」に対応する。)
しかしながら、「無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現可能な電池パック及び電気機器を提供する」ことが従来から周知な課題であるとしても、本件発明7は、課題を解決するための具体的な手段として、前記相違点8に係る構成を採用し、「無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。」(【0088】)という効果を奏するものであり、当該課題に対する相違点8に係る構成が周知であるとの証拠はないから、上記主張は採用できない。
4 本件発明8について
本件発明8は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件発明8と甲1発明とは、少なくとも、前記3(2)に示した相違点8において相違するものであり、相違点8は、前記3(2)で述べたとおり、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1発明、甲2記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5 本件発明9について
本件発明9は、本件発明6又は本件発明8の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件発明6を引用する本件発明9と甲1発明とは、少なくとも、前記2で述べた相違点1~7において相違するものであり、相違点5は、前記2のとおり、当業者が容易になし得たものではない。
また、本件発明8を引用する本件発明9と甲1発明とは、少なくとも、前記4で述べた相違点8において相違するものであり、相違点8は、前記4のとおり、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、甲1発明、甲2記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 本件発明10~14について
本件発明10~14は、本件発明1又は本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに別の発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明10~14と甲1発明とは、少なくとも、前記1(2)サの相違点1~7において相違するものであり、さらに、相違点5は、甲3記載事項、甲4記載事項に記載または示唆されるものではないから、相違点5は、前記1(3)と同様に、当業者が容易になし得たものではない。
また、本件発明7を直接的又は間接的に引用する本件発明10~14と甲1発明とは、少なくとも、前記3(2)に示した相違点8において相違するものであり、さらに、相違点8は、甲3記載事項、甲4記載事項に記載または示唆されるものではないから、相違点8は、前記3(2)と同様に、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10~14は、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項、甲4記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
7 本件発明15について
(1)本件発明15について、対比のため以下のとおり分説し、それぞれ「特定事項15A」などのように参照する。
「【請求項15】
15A 電池パックと、機器本体と、を備える電気機器であって、
15B 前記電池パックは、
15C ケースと、
15D 前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
15E 前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲内に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
15F 前記無線アンテナを搭載する基板と、
15G 外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
15H 前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
15I を有し、
15J 前記ケース内における前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
15K 前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置するとともに、前記第2方向において前記基板の中心に対して前記無線アンテナと反対側の範囲に位置するよう構成され、
15L 前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成され、
15M 前記機器本体は、
15N 前記出力部に接続され、前記出力電圧によって駆動する駆動部を有し、
15O 前記駆動部は、前記出力部から出力される前記出力電圧に応じて動作が変更するよう構成される、
15P 電気機器。」
(2)対比、判断
本件発明15は、「電池パックと、機器本体と、を備える」「電気機器」(特定事項15A、15P)に係る発明であるところ、「電池パック」は、特定事項15B~15Lにより特定されるものであり、当該特定事項は、次のアの点を除いて、それぞれ、本件発明1の特定事項である特定事項1K、1A~1J(前記1(1))に対応するものである。
ア 特定事項15Dは「前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、」であり、特定事項1Bは「前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、」であること
そして、本件発明1と甲1発明との相違点である相違点5は、本件発明1の特定事項1Hが甲1発明には特定されていない点である(前記1(2)キ、サ)。
本件発明15の特定事項15Jは、上記のとおり、本件発明1の特定事項1Hと同じ特定事項であるから、本件発明15と甲1発明とは、少なくとも、前記1(2)サに示した相違点5において相違するものであり、相違点5は、甲3記載事項、甲4記載事項に記載または示唆されるものではないから、前記1(3)と同様に、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項、甲4記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
8 本件発明16について
(1)本件発明16について、対比のため以下のとおり分説し、それぞれ「特定事項16A」などのように参照する。
「【請求項16】
16A 電池パックと、機器本体と、を備える電気機器であって、
16B 前記電池パックは、
16C ケースと、
16D 前記ケース内において、長手方向が第1方向に延び、前記第1の方向と交差する第2方向に並んだ複数の電池セルと、
16E 前記第2方向において前記複数の電池セルの存在範囲の端部近傍に設けられ、外部機器と無線通信するための無線アンテナと、
16F 前記複数の電池セルにわたって配置され、前記無線アンテナを搭載する基板と、
16G 外部から電力を入力する入力部及び外部に電力を出力する出力部と、
16H 前記出力部から出力する出力電圧を変更するために操作される操作部と、
16I 前記第1方向における前記複数の電池セルの端部において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びて前記電池セルと前記基板とを接続する複数のタブと、
16J を有し、
16K 前記第3方向において、前記基板の一方側に前記複数の電池セル、前記入力部、及び前記出力部を配置するとともに、他方側に前記無線アンテナを配置し、
16L 前記入力部及び前記出力部は、前記第3方向において前記電池セルの存在範囲内に延在又は位置し、
16M 前記無線アンテナは、前記第1方向において前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置するよう構成し、
16N 前記出力電圧は、前記操作部の操作と、前記外部機器と前記無線アンテナの無線通信による前記外部機器の操作と、のいずれの操作でも変更可能に構成され、
16O 前記機器本体は、
16P 前記出力部に接続され、前記出力電圧によって駆動する駆動部を有し、
16Q 前記駆動部は、前記出力部から出力される前記出力電圧に応じて動作が変更するよう構成される、
16R 電気機器。」
(2)対比、判断
本件発明16は、「電池パックと、機器本体と、を備える」「電気機器」(特定事項16A、16R)に係る発明であるところ、「電池パック」は、特定事項16B~16Nにより特定されるものであり、当該特定事項は、次のアの点を除いて、それぞれ、本件発明7の特定事項である特定事項7M、7A~7L(前記3(1))に対応するものである。
ア 特定事項16Mは「前記無線アンテナは、前記第1方向において前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置するよう構成し、」であり、特定事項7Kは「前記無線アンテナは、前記第1方向において前記複数のタブのそれぞれと離間するよう前記長手方向の中央近傍に位置するとともに、前記第2方向において前記基板の端部近傍に位置し、」であること
そして、本件発明7と甲1発明との相違点である相違点8は、本件発明7の特定事項7Iが甲1発明には特定されていない点である(前記3(2))。
本件発明16の特定事項16Kは、上記のとおり、本件発明7の特定事項7Iと同じ特定事項であるから、本件発明16と甲1発明とは、少なくとも、前記3(2)に示した相違点8において相違するものであり、相違点8は、甲3記載事項、甲4記載事項に記載または示唆されるものではないから、前記3(2)と同様に、当業者が容易になし得たものではない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項、甲4記載事項または周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
9 申立理由1のまとめ
よって、申立理由1は理由がない。
第6 まとめ
前記第5によれば、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700786