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特許異議申立

2024-700757

ドラム式洗濯機

審判番号
2024-700757
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-106079
登録番号
7431681
請求日
2024年08月09日
審決日
2024年10月11日
公報発行日
2024年11月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】東芝ライフスタイル株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人サトー
  • 【異議申立人】藤江 桂子
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 窪田 治彦
  • 審判官 米倉 秀明
分類
P1652.121-Y (D06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7431681号発明「ドラム式洗濯機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7431681号の請求項1、3、15及び16に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 特許第7431681号の請求項1、3、15及び16に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。すなわち、令和2年6月19日に出願され(特願2020-106079号)、令和6年2月6日に特許権の設定登録がされ、令和6年2月15日に特許掲載公報が発行されたところ、これに対し、令和6年8月9日に特許異議申立人藤江桂子より、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1、3、15及び16に係る発明(以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って、「本件発明1」などという。)は、特許請求の範囲の請求項1、3、15及び16に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 前面に開口を有し内部に回転槽を有する洗濯機本体と、 前記洗濯機本体に回動可能に設けられ前記開口を開閉する扉と、を備え、 前記扉は、 前記扉が閉じた状態で前記開口を覆う扉本体と、 前記扉本体に設けられ、前記扉が閉じられた位置で前記洗濯機本体に係合して前記扉が開放することを規制する規制部と、 ユーザの操作を受けて動きその動きに連動して前記規制部を動かして前記洗濯機本体と前記規制部との係合を解除して前記扉を開放可能な状態にするハンドルと、を備え、 前記ハンドルは、正面視において前記ハンドルの全体が前記扉本体に覆われた位置に設けられ、 前記洗濯機本体は、前記扉本体の外周部よりも前記扉本体の径方向に関して外側部分から前記ハンドルと対向する位置にかけて後方に向かって窪み、ユーザの手指が挿入可能な窪み部を有する、 ドラム式洗濯機。 【請求項3】 前記ハンドルは、前記扉本体側へ向かって延びる少なくとも1つのハンドル側リブを有し、 前記扉本体は、前記ハンドル側へ向かって延びる少なくとも1つの扉側リブを有し、 前記ハンドル側リブと前記扉側リブとは、互いに入れ違いになる位置に設けられている、 請求項1に記載のドラム式洗濯機。 【請求項15】 前記ハンドルは、前記扉の外側に設けられて前記扉本体とは反対側へ向かって隆起した隆起部を有する、 請求項1から13のいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。 【請求項16】 前記扉の最外周部と前記ハンドルの外縁部との間の前記扉の径方向に関する距離は、前記扉の円周方向に亘って一定である、 請求項1から15のいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。」 第3 特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人は、甲第1号証~甲第5号証(以下、証拠の番号に従って「甲1」などという。)を提出し、請求項1、3、15及び16に係る特許は、次の理由により取り消すべき旨主張している。すなわち、本件発明1、3、15及び16は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許受けることができないものである。 (証拠方法) 甲1:特開2017-104740号公報 甲2:特開2017-51218号公報 甲3:意匠登録第1474840号公報 甲4:意匠登録第1591370号公報 甲5:特開2011-72456号公報 第4 特許異議申立ての理由についての判断 1 甲1について (1) 甲1に記載された事項 甲1には以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。)。 ・「【0001】 本発明は、衣類の洗濯を行うドラム式洗濯機および衣類の洗濯および乾燥を行うドラム式洗濯乾燥機に係る。」 ・「【0013】 上記目的を達成するために本発明は、洗濯物を出し入れする投入口を開閉する蓋体と、この蓋体を閉止位置から全開位置までの所定の角度開閉自在に軸支する蓋回動軸を有する蓋支点手段を備えた洗濯乾燥機において、前記蓋体と前面カバーとの間を区切る環状の投入口周縁部が形成され、この投入口周縁部の一部が凹部を有しており、この凹部に前記蓋支点手段が配置され、この蓋支点手段の前面側にヒンジカバーが設けられ、このヒンジカバーが前記投入口周縁部の前記凹部を覆う構成となっていることを特徴とする。」 ・「【0023】 図1と図2は、本発明の第1の実施例に係るもので、洗濯乾燥機の斜視図を示す。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられて洗濯乾燥機本体4となしている。外枠2の正面には洗濯物30を出し入れするドアである蓋体3と前面カバー22及び背面には背面カバー23が設けられている。図1は蓋体3を閉じた状態であり、図2は蓋体3を開いて投入口5から洗濯物30を出し入れする際の状態である。本実施例においては蓋体3は正面からみて円形である。外枠2の上面の前面側の一部は例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル6であり、他の一部は開閉可能に設けられた洗剤投入口25である。その構成は従来からある洗濯機ないし洗濯乾燥機と同様なので、詳細な説明は省略する。 【0024】 <蓋周囲分割面とヒンジカバー概略形状> 前面カバー22の一部であって蓋体3の外周よりも外側には、蓋体3を取り囲んだ例えば溝あるいは段差からなる区切り線7によって前面カバー22の正面とは分割された蓋周囲分割面8を設けた構成である。本実施例においては蓋周囲分割面8は円形である蓋体3の周囲に同心円のリング状に設けられているものとし、区切り線7は蓋体3と同心円の円形である。」 ・「【0026】 なお、区切り線7で縁取られた蓋周囲分割面8により形成された環状の投入口周縁部は、一部が凹部を有しており、この凹部に蓋支点手段が配置され、この蓋支点手段の前面側にヒンジカバーが設けられ、このヒンジカバーが投入口周縁部の前記凹部を覆う構成としたので、蓋体の開閉動作にかかわらず蓋支点手段はヒンジカバーで覆われて隠されるので、体裁の良い意匠性に優れた洗濯乾燥機を提供できる。 【0027】 <蓋体と蓋支点概略構成> 蓋体3の蓋支点手段9の対面側には、蓋体3を閉じ位置でロックおよびロック解除する系止フック11と、さらに、系止フック11のロックを外すよう作用する操作ハンドル12が設けられている。蓋体3の裏面側は、蓋体3を閉じた際に、投入口5の内周に沿って設けられたゴム製のシールパッキンであるベローズ13と全周にわたって接触して水封しつつ閉止する、内側に凸したドアガラス14が設けられている。さらに蓋周囲分割面8の一部であって操作ハンドル12の近傍は操作凹部34として手指を挿入しやすく、操作ハンドル12が操作しやすい構成としており、その詳細については後述する。 【0028】 図3は、蓋体3を外枠2から取り外して示した分解斜視図である。図3(A)は蓋体3、図3(B)は洗濯乾燥機本体4の投入口5近傍のみを示す部分斜視図である。蓋体3は前面を構成する円形のドアカバー15と、外周を前記ドアカバー15と略同一径とし蓋体3の背面をなすリング状の第一のフタフレーム16と、第一のフタフレーム16の内周部から背面に向けて突出したドアガラス14と、蓋体3の開き動作の際に操作する操作ハンドル12と、蓋体3を閉止した際にはロックされ、操作ハンドル12の操作と連動してロック解除される系止フック11が設けられる。」 ・「【0031】 先に説明したように、蓋体3には系止フック11と操作ハンドル12が設けられている。洗濯乾燥機本体4には、前記系止フック11と噛み合って蓋体3をロックするロック受け手段26が設けられる。」 ・「【0039】 <本体側概略構成> フレーム27のドアガラス14と近接した側には柔軟なゴムなどで作られたリング状のベローズ13が設けられ、ベローズ13の内周はドアガラス14と接するよう構成することで水封を保って密閉する。ベローズ13の他端、すなわち図示上方側は洗濯乾燥機本体4の内側に設けられた水受け槽である円筒状の外槽33と接続され、水封を保つとともに洗濯工程、脱水工程、乾燥工程における外槽33の振動を吸収して洗濯乾燥機本体4に伝達しない構成である。外槽33の内部には洗濯物30を入れて洗濯、脱水、乾燥を行なう円筒状の回転する回転ドラム29が設けられ、回転ドラム29の前端側には内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ31が設けられて、回転ドラム29と一体に回転することで洗濯物30のアンバランスによる回転ドラム29の振動を低減する構成であるが、その詳細な説明は省略する。回転ドラム29は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。 【0040】 <蓋開動作概要> 図5は操作ハンドル12を操作して系止フック11とロック受け手段26との噛み合いを外した後、蓋体3をヒンジピン19のまわりに回転させて開きかけた状態を示している。蓋体3が開きつつあるためにドアガラス14はベローズ13から離れ、ヒンジカバー10は蓋体3とともに回動して、その最外周部であるF点はヒンジピン19よりも外側(洗濯乾燥機本体4の左側面寄り)にあるために、蓋体3が開くにしたがって前面カバー22よりも奥側すなわち洗濯乾燥機本体4の内部側に移動する。先に説明したように内側カバー32はヒンジピン19と同心に設けられているので、ヒンジカバー10のF点は内側カバー32との間に略一定の隙間を維持してF’点に移動する。」 ・「【0048】 <操作ハンドル凹部形状> 図7および図8において、蓋周囲分割面8の操作ハンドル12と隣接した部分は奥側に向けて凹んだ操作凹部34となっており、その操作凹部34は投入口5の近傍まで延伸されている。」 ・「【0050】 図9は操作ハンドル12を操作して蓋体3を開放しようとして、操作ハンドル12の奥面側すなわち図示下方にまで操作凹部34に手指を挿入した状態を示す。ここで、操作ハンドル12の奥面(図示下面)から操作凹部34の底面までの間隔H寸法を例えば25mm以上とすれば、手指を容易に挿入できる。またさらに、操作ハンドル12の外周面から操作凹部34の最も内周側までのJ寸法を例えば25mm以上とすれば、指先が十分に操作ハンドル12にかけられるので、操作ハンドル12の操作性が良好である。前記操作凹部34の外周は蓋周囲分割面8の外周をなす溝または段差による区切り線7の内周側にのみ配置すれば、操作凹部34は蓋周囲分割面8の一部として構成される。 【0051】 <フタ操作ハンドル> 次に、図10に示すように操作ハンドル12を矢印で示す手前側すなわちドアカバー15側に引くことにより、操作ハンドル12はドアカバー15側に移動して、操作ハンドル12と連動して後述するように系止フック11のロックが解除され、蓋体3を開放できる。」 ・「【0055】 操作ハンドル12は図3(A)にも示すように、概ね蓋体3の外周と同心のリング形状の一部分をなし、その半径方向の断面形状は図9ないし図10に示される。系止フック11は蓋支点手段9に対して蓋体3の対面側にあり、蓋支点手段9の回動軸であるヒンジピン19ないしピン受け穴20で構成される回転軸に直交した蓋体3の最大直径部を含んだ面内に設けられる。」 ・「【図1】 [図:0001416531000001.jpg] 【図2】 [図:0001416531000002.jpg] 【図3】 [図:0001416531000003.jpg] 【図4】 [図:0001416531000004.jpg] 【図5】 [図:0001416531000005.jpg] 【図7】 [図:0001416531000006.jpg] 【図8】 [図:0001416531000007.jpg] 【図9】 [図:0001416531000008.jpg] 【図10】 [図:0001416531000009.jpg] 【図11】 [図:0001416531000010.jpg] 【図12】 [図:0001416531000011.jpg] 」 (2) 甲1に記載された発明について ア 前記(1)の甲1の記載からすると、次のことがわかる。 ・洗濯乾燥機本体4は、前面に投入口5を有し、内部に回転ドラム29を有すること(【0023】、【0039】、図1、2、4、5、7、8)。 ・洗濯乾燥機本体4に、投入口5を開閉する蓋体3を備えること(【0023】、図1、2、7、8)。 ・蓋体3が、蓋体3が閉じた状態で投入口5を覆うドアカバー15及び第一のフタフレーム16を備えること(【0023】、【0028】、図3~5、9、10)。 ・蓋体3が、蓋体3の閉じ位置で洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と噛み合って蓋体3をロックする系止フック11を備えること(【0027】、【0028】、【0031】、図2、3、7、8、11、12)、系止フック11が蓋体3のドアカバー15及び第一のフタフレーム16に設けられること(図3、11、12)。 ・蓋体3が、ユーザの操作を受けて動きその動きに連動して系止フック11を動かして洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と系止フック11との噛み合いを外して蓋体3を開放可能な状態にする操作ハンドル12を備えること(【0027】、【0028】、【0031】、【0040】、【0050】、【0051】、図1~3、7~12)。 ・洗濯乾燥機本体4は、投入口周縁部を形成する蓋周囲分割面8の操作ハンドル12と隣接した部分に奥側に凹み、投入口5の近傍まで延伸され、ユーザの手指を挿入する操作凹部34を有すること(【0024】、【0026】、【0027】、【0048】、【0050】)。 また、「操作ハンドル12」は、「概ね蓋体3の外周と同心のリング形状の一部分をなし」(【0055】)、図3、9~12の記載内容からすると、操作ハンドル12は、正面視において操作ハンドル12の一部がドアカバー15に覆われ、一部が露出した位置に設けられていることがわかる。 イ 以上を踏まえると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。 (甲1発明) 「前面に投入口5を有し内部に回転ドラム29を有する洗濯乾燥機本体4と、 前記洗濯乾燥機本体4に回動可能に設けられ前記投入口5を開閉する蓋体3と、を備え、 前記蓋体3は、 前記蓋体3が閉じた状態で前記投入口5を覆うドアカバー15及び第一のフタフレーム16と、 前記ドアカバー15及び第一のフタフレーム16に設けられ、前記蓋体3の閉じ位置で前記洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と噛み合って前記蓋体3をロックする系止フック11と、 ユーザの操作を受けて動きその動きに連動して前記系止フック11を動かして前記洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と前記系止フック11との噛み合いを外して前記蓋体3を開放可能な状態にする操作ハンドル12と、を備え、 前記操作ハンドル12は、正面視において前記操作ハンドル12の一部が前記ドアカバー15に覆われ、一部が露出した位置に設けられ、 前記洗濯乾燥機本体4は、投入口周縁部を形成する蓋周囲分割面8の前記操作ハンドル12と隣接した部分に奥側に凹み、前記投入口5の近傍まで延伸され、ユーザの手指を挿入する操作凹部34を有する、 ドラム式洗濯乾燥機。」 2 甲2~5について (1) 甲2に記載された事項 ・「【0001】 本発明は、洗濯工程、すすぎ工程、および脱水工程を行うドラム式洗濯機に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種のドラム式洗濯機では、本体の前面に円形の開口部が設けられるとともに、開口部を開閉自在に覆う蓋体が設けられている。蓋体は、開口部の形状に合わせた円形形状に形成されている。そして、開口部を開けるための取っ手は、開口部の端部に、開口部表面よりもさらに突出するように設けられている。」 ・「【0004】 しかしながら、上述した従来の技術においては、蓋体が円形であるため、蓋体の開閉時に、蓋体が本体と干渉しないようにするためには、蓋体周囲と本体の隙間をある程度広く、かつ蓋体表面を本体より突出させて形成する必要が生じる。従って、デザイン的に蓋体を本体と同一フォルムに構成するのは難しくなる。また、開口部を開くための取っ手が、手前に突出するように設けられており、視覚的に目立ってしまい、デザイン性を損なう可能性がある。 【0005】 本発明は、従来の課題を解決するもので、製品前面をすっきりさせてデザイン的に高級感を高めるドラム式洗濯機を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、前方に開口部を有する本体と、本体に回動自在に設けられ、開口部を開閉自在に閉塞する蓋体とを備えている。そして、蓋体は、略四角形状に形成され、蓋体上部の本体側側面に、蓋体と本体との係合を解除する取っ手が配設されている。 【0007】 この様な構成により、製品前面をフラットに構成できると共に、取っ手が蓋体の側面に設けられるので、視覚的に目立たなくでき、デザイン性を向上させることができる。 【発明の効果】 【0008】 本発明のドラム式洗濯機は、製品前面をフラットに構成できると共に、取っ手も視覚的に目立たなくでき、デザイン性を向上させることができる。」 ・「【0036】 (洗濯機の前面形状の説明) 図1に示すように、蓋体9は、略四角形状を成し、横幅寸法W1を、本体1の横幅寸法W2にほぼ等しい横幅に形成している。また、本体1の下部に収納された排水フィルター79を覆う下部パネル40が、本体1の横幅寸法W2にほぼ等しい横幅寸法に形成している。これにより、製品正面から見た時の前面形状はフラットな形状に形成できる。また、蓋体9と下部パネル40との分割隙間41が製品正面から見えるが、蓋体9は、水平方向に回動するだけなので、分割隙間41は5mm以内に抑制することができ、目立ちにくく形成することができる。なお、下部パネル40の下方は、部品を配置せず、本体1の前部枠体5まで本体1側に窪ますことにより、下部パネル40の下方に使用者の足が挿入できるよう構成している。これにより、本体1内への洗濯物の出し入れの際に、使用者がより本体1に近い位置に立って作業することが可能となる。 【0037】 また、図1に示すように、本体1の上面と蓋体9の上面が略同一面となるように構成している。これにより、製品の上面をフラットな形状に形成でき、デザイン性を向上できる。」 ・「【0064】 (取っ手の説明) 図24は、蓋体の一部を破断した平面図で、蓋裏板51に、取っ手55、連結棒57、ラッチ35を組み込んだ状態を示している。なお、蓋50は、非表示にしている。ラッチ35は、水封性を確保するために、孔部52の中心線上付近に設けている。取っ手55は、蓋体9の上部右端部に配設し、取っ手55の位置を高くすることにより、使用者が蓋体9を開ける際に腰を屈めなくてもいいようにして、蓋体9の開け閉めの操作性を向上している。 【0065】 取っ手55を蓋体9の上部に配設したため、取っ手55とラッチ35とが離間することになるが、取っ手55とラッチ35との間には、連結棒57を介在している。取っ手55は、蓋体9の前面側に向かって回動し、取っ手55の回動は、連結棒57によって、ラッチ35に伝達され、ラッチ35は、蓋体9の幅方向内側に向かって回動する。ラッチ35の回動によりラッチ35と本体1との係合が外れ、蓋体9が回動可能な状態となる。連結棒57は、剛性の高い高鋼線材で作られ、蓋裏板51に形成された軸受部80、81により回動自在に保持される。また、連結棒57は、連結棒57の一方の端部に設けられた段部97が取っ手55に当接し、他方の端部に設けられた段部98がラッチ35に当接している。」 ・「【0076】 (取っ手に対向する本体の説明) 図27は、本体と蓋体の上部斜視図で、蓋体9を閉じた状態の取っ手55周辺を示している。図28は、本体と蓋体の上部の一部を破断した斜視図で、蓋体9を閉じた状態の取っ手55周辺を示している。 【0077】 取っ手55は、蓋体9の上部の裏面側に設けられ、本体1の前部上面の、取っ手55に対向する位置には凹部86が設けられている。 【0078】 取っ手55は、蓋体9が閉じた状態では、前面からは見えず、上方からわずかに見える程度になり、外観上、取っ手55の存在感を抑えることができる。使用者が蓋体9を開放しようと取っ手55に手を掛けようとした際には、本体1上面に形成した凹部86によって手を挿入するための充分な空間が確保されるため、使い勝手を損ねることはない。凹部86も同様に前面からは見えず、外観上、全面フラット感をかもし出すデザインが可能になる。また、上方から見た際には、凹部86がはっきり視認できるので、蓋体9を開放する際には、取っ手55の位置を使用者に認識させることができる。」 ・「【図1】 [図:0001416531000012.jpg] 【図2】 [図:0001416531000013.jpg] 【図24】 [図:0001416531000014.jpg] 【図27】 [図:0001416531000015.jpg] 【図28】 [図:0001416531000016.jpg] 」 (2) 甲3に記載された事項 ・「(54)【意匠に係る物品】電気洗濯機」 ・「【斜視図1】 [図:0001416531000017.jpg] 【正面図】 [図:0001416531000018.jpg] 【開扉状態を示す正面図】 [図:0001416531000019.jpg] 【開扉状態を示す斜視図1】 [図:0001416531000020.jpg] 【各部の名称を示す参考図】 [図:0001416531000021.jpg] 」 (3) 甲4に記載された事項 ・「(54)【意匠に係る物品】電気洗濯乾燥機」 ・「【斜視図】 [図:0001416531000022.jpg] 【正面図】 [図:0001416531000023.jpg] 【右側面図】 [図:0001416531000024.jpg] 【開扉状態を示す正面図】 [図:0001416531000025.jpg] 【各部の名称を示す参考図】 [図:0001416531000026.jpg] 」 (4) 甲5に記載された事項 ・「【0001】 本発明は、筐体内に回転軸をほぼ水平位置に配置した円筒形状の回転槽を備えたドラム式電気洗濯機に係り、特に、筐体前面に前記回転槽に衣類を出し入れする衣類投入口を備えた乾燥機能を備えたドラム式の電気洗濯機に関するものである。」 ・「【0027】 また、この発明者らは、開閉扉40の手動開閉を考慮して、開閉ロック機構150に隣接する段差軽減部材60に切欠部61を形成することにより、開閉扉40を手動で開放するための利用者の手を挿入する動作範囲を確保した。」 ・「【0032】 先ず、図2において、電気洗濯機1の外観図を説明する。(a)図に示すように、この実施例によれば、突出する開閉扉40の周囲は傾斜面で連続する段差軽減部材60によって平坦な前パネル部材14に連続するので、突出する開閉扉40は緩やかな隆起形状として平坦な前パネル部材14に馴染んで、その突出形状を利用者に認識でき難くすることができる。 【0033】 しかも、段差軽減部材60の左右部分は、切欠部61を形成することにより、この右側の切欠部61を介して片手を挿入して開閉扉40に形成されるハンドル162を引っ掛けて手前に引くことにより、開閉ロック機構150のロック状態を解除して、開閉扉40を開放することができる。そして、開放された開閉扉40は、左側の切欠部61によって動作範囲が確保されるから、(b)図に示すように、開閉扉40を大きく解放することができる。」 ・「【0036】 開閉ロック機構150は、開閉扉40に設けられるレバー機構部160と、凹部21に設けられるレバー嵌合受部180とから構成される。レバー機構部160は、切欠部61に対応する開閉扉40の前部に設けられるハンドル162と、開閉蓋40の内面から先端部を突出して設けられる可動レバー161と、ハンドル162の動作を可動レバー161の内外周方向の動作に変換する図示しない変換機構とを含んで構成される。露出する可動レバー161の先端部は鍵形に形成されており、ハンドル162を手前に引くことにより、その動きが変換機構により、鍵形の可動レバー161の先端を開放する方向に変換される。」 ・「【図2】 [図:0001416531000027.jpg] 」 3 本件発明1についての検討 (1) 対比 ア 本件発明1と甲1発明とを、その機能に照らして対比する。 (ア) 甲1発明の「投入口5」、「回転ドラム29」は、それぞれ、本件発明1の「開口」、「回転槽」に相当する。 そして、本件発明1に係る実施形態において、「ドラム式洗濯機」は洗濯機の機能と衣類乾燥機としての機能を備えるものが想定されていることからすると(本件特許明細書【0008】)、甲1発明の「洗濯乾燥機本体4」、「ドラム式洗濯乾燥機」は、それぞれ、本件発明1の「洗濯機本体」、「ドラム式洗濯機」に相当する。 (イ)a 甲1発明の「蓋体3」は、本件発明1の「扉」に相当する。 b 本件発明1に係る実施形態において、「扉本体21」は「カバー部22」と「鍔部23」とを有するものであることからすると(本件特許明細書【0015】)、甲1発明の「ドアカバー15及び第一のフタフレーム16」は、その位置、機能に照らして、本件発明1の「扉本体」に相当する。 c 甲1発明の「系止フック11」は、「蓋体3」(扉)を「ロックする」ことで、蓋体3(扉)が開放することを規制することができるから、本件発明1の「規制部」に相当する。 また、甲1発明の「系止フック11」は、「ドアカバー15及び第一のフタフレーム16」(扉本体)に設けられ、「蓋体3の閉じ位置で…ロックする」ものであるから、本件発明1の「規制部」と同様に、「前記扉本体に設けられ、前記扉が閉じられた位置で…前記扉が開放することを規制する」ものである。 そして、甲1発明の「系止フック11」は、「前記洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と噛み合(う)」ものであるところ、「ロック受け手段26」は「洗濯乾燥機本体4」(洗濯機本体)の一部であり、噛み合うとは、その態様からして、係合するといえるから、本件発明1の「規制部」と同様に、「前記洗濯機本体に係合して前記扉が開放することを規制する」ものである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1と、「前記扉本体に設けられ、前記扉が閉じられた位置で前記洗濯機本体に係合して前記扉が開放することを規制する規制部」を備える点で一致する。 d 甲1発明の「操作ハンドル12」は、「ユーザの操作を受けて動き」、「蓋体3」(扉)を「開放可能な状態にする」ものであるから、本件発明1の「ハンドル」に相当する。 そして、甲1発明の「操作ハンドル12」は、「前記系止フック11を動かして前記洗濯乾燥機本体4のロック受け手段26と前記系止フック11との噛み合いを外(す)」ものであるところ、「ロック受け手段26」は「洗濯乾燥機本体4」(洗濯機本体)の一部であり、噛み合いを外すとは、その態様からして、係合を解除するといえるから、本件発明1の「ハンドル」と同様に、「前記規制部を動かして前記洗濯機本体と前記規制部との係合を解除して前記扉を開放可能な状態にする」ものである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1と、「ユーザの操作を受けて動きその動きに連動して前記規制部を動かして前記洗濯機本体と前記規制部との係合を解除して前記扉を開放可能な状態にするハンドル」を備える点で一致する。 (ウ) 甲1発明の「洗濯乾燥機本体4」は、「操作凹部34を有する」ところ、この「操作凹部34」は、「ユーザの手指を挿入する」ものであるから、その位置、機能に照らして、本件発明1の「窪み部」に相当する。 また、甲1発明の「投入口周縁部を形成する蓋周囲分割面8の前記操作ハンドル12と隣接した部分」は、「ドアカバー15及び第一のフタフレーム16」の外周部よりも、径方向に関して外側であるといえる。 そして、「蓋体3」の「ドアカバー15及び第一のフタフレーム16」が「前記蓋体3が閉じた状態で前記投入口5」を覆うこと、「操作ハンドル12」が「蓋体3」に備えられることからすると、その位置関係から、「操作凹部34」は、「投入口5の近傍まで延伸される」ことにより、「蓋体3」に備えられた「操作ハンドル12」と対向する位置にかけて後方に向かって窪んでいるといえるものである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1と、「前記洗濯機本体は、前記扉本体の外周部よりも前記扉本体の径方向に関して外側部分から前記ハンドルと対向する位置にかけて後方に向かって窪み、ユーザの手指が挿入可能な窪み部を有する」点で一致する。 (エ) 以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、相違する。 (一致点) 「前面に開口を有し内部に回転槽を有する洗濯機本体と、 前記洗濯機本体に回動可能に設けられ前記開口を開閉する扉と、を備え、 前記扉は、 前記扉が閉じた状態で前記開口を覆う扉本体と、 前記扉本体に設けられ、前記扉が閉じられた位置で前記洗濯機本体に係合して前記扉が開放することを規制する規制部と、 ユーザの操作を受けて動きその動きに連動して前記規制部を動かして前記洗濯機本体と前記規制部との係合を解除して前記扉を開放可能な状態にするハンドルと、を備え、 前記洗濯機本体は、前記扉本体の外周部よりも前記扉本体の径方向に関して外側部分から前記ハンドルと対向する位置にかけて後方に向かって窪み、ユーザの手指が挿入可能な窪み部を有する、 ドラム式洗濯機。」 (相違点) ハンドルに関し、本件発明1は、ハンドルは、「正面視において前記ハンドルの全体が前記扉本体に覆われた位置に設けられ(る)」のに対し、甲1発明は、操作ハンドル12は、「正面視において前記操作ハンドル12の一部が前記ドアカバー15に覆われ(る)」ものの、「一部が露出した位置に設けられ(る)」点。 (2) 判断 前記相違点について検討する。 ア 甲1には、操作ハンドル12に関し、正面視において操作ハンドル12の全体がドアカバー15に覆われた位置に設けることについて、特段記載はない。 ところで、甲1に「操作ハンドル12の外周面から操作凹部34の最も内周側までのJ寸法を例えば25mm以上とすれば、指先が十分に操作ハンドル12にかけられるので、操作ハンドル12の操作性が良好である。」(前記1(1)(【0050】))と記載されており、甲1に係るドラム式洗濯乾燥機において、操作性の観点から、操作ハンドル12の外周面から操作凹部34の最も内周側までの寸法に着目していることがわかる。 そして、甲1発明において、正面視において操作ハンドル12の全体がドアカバー15に覆われる位置に操作ハンドル12を設けるとなると、操作ハンドル12の外周面も覆うこととなり、操作ハンドル12の操作性に影響を及ぼすものと解されるから、甲1に係るドラム式洗濯乾燥機においては、そのような位置に操作ハンドル12を設けることは想定されていないものと認められる。 このように、甲1には、正面視において操作ハンドル12の全体がドアカバー15に覆われる位置に操作ハンドル12を設けることについて、特段記載、示唆はなく、甲1発明において、前記相違点に係る構成にすることについて特段動機付けは認められない。 イ(ア) 甲2には、前方に開口部を有する本体と、本体に回動自在に設けられ、開口部を開閉自在に閉塞する蓋体とを備え、蓋体は、略四角形状に形成され、蓋体上部の本体側側面に、蓋体と本体との係合を解除する取っ手が配設されているドラム式洗濯機が記載され、この様な構成により、製品前面をフラットに構成できると共に、取っ手が蓋体の側面に設けられるので、視覚的に目立たなくでき、デザイン性を向上させることができる旨記載されている(前記2(1))。 他方、甲1発明は、「前面に投入口5」を有し、「前記洗濯乾燥機本体4に回動可能に設けられ前記投入口5を開閉する蓋体3」を備え、「蓋体3」は、「前記蓋体3を開放可能な状態にする操作ハンドル12」を備え、「前記洗濯乾燥機本体4は、投入口周縁部を形成する蓋周囲分割面8の前記操作ハンドル12と隣接した部分に奥側に凹み、前記投入口5の近傍まで延伸され、ユーザの手指を挿入する操作凹部34」を有するものである。 このように、甲1発明と甲2に記載されたドラム式洗濯機とは、前面の構成、操作に係る構成など、前提の構成が異なるものであるから、甲1発明に甲2に記載された事項を適用するに際し、蓋体3を略四角形状にする、操作凹部34を蓋体3上部の洗濯乾燥機本体4側側面に配置するなど、洗濯乾燥機本体4の前面の構成、操作ハンドル12及び操作凹部34に係る構成に関し、相当程度の変更を伴う検討を要することが予想され、そのような事項が当業者にとって容易であるとは解されない。 また、甲2において、蓋体を略四角形状に形成する、蓋体上部の本体側側面に取っ手を配設する、などの具体的な構成を捨象し、単に、取っ手が前面側から見えないようにするといった技術思想が開示されているものとも認められない。 (イ) 甲3には、ドラム式の電気洗濯機が記載されているが、「取手」の存否も含め「取手部」の具体的な構成は明らかでなく、その開示内容から、正面視における「扉」と「取手」の位置関係を明確に把握することは困難である(前記2(2))。 そして、甲3には、正面視における扉とハンドルの位置に関する技術思想について、特段記載、示唆は認められない。 (ウ) 甲4には、ドラム式の電気洗濯乾燥機が記載されているが、「ドアハンドル」の具体的な構成は明らかでなく、その開示内容から、正面視における「開閉扉」と「ドアハンドル」の位置関係を明確に把握することは困難である(前記2(3))。 そして、甲4には、正面視における扉とハンドルの位置に関する技術思想について、特段記載、示唆は認められない。 (エ) なお、甲5(ドラム式洗濯機に関して「ユーザの手指が挿入可能な窪み部を有する」構成が周知の技術構成であることを立証するための証拠)をみるに、甲5に記載されたドラム式電気洗濯機1は、ハンドル162は開閉扉40の前部に設けられており、甲5には、ドラム式洗濯機において、ハンドルに関し、正面視においてハンドルの全体が扉本体に覆われた位置に設けられる点について記載、示唆はない(前記2(4))。 (オ) このように、甲1発明において、操作ハンドル12を、正面視において操作ハンドル12の全体がドアカバー15及び第一のフタフレーム16に覆われた位置に設けること、すなわち、前記相違点に係る構成とすることについて、動機付けは特段認められない。 ウ 本件発明1は、前記相違点に係る構成を備えることで、「ハンドル30と扉本体21との間の隙間が扉本体21側つまりユーザ側に露出しないため、ユーザの手がハンドル30と扉本体21との間の隙間に挟まってしまうことを抑制する。また、ハンドル30は扉本体21から突出していないため、ユーザが誤ってハンドル30を回動方向と逆方向に押すことを防止できる。そのため、ハンドル30が破損してしまうことを抑制できる。更にまた、前面部111に設けられた窪み部18の大きさが一定の場合、ハンドル30が扉本体21よりも外周側に突出している構成に比較して、ユーザが手指を挿入する空間が広くなり、ユーザの操作性が向上する。従って、ユーザの利便性を向上する洗濯機が提供される。」(本件特許明細書【0038】)といった、顕著な効果を奏するものである。 エ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 4 本件発明3、15及び16についての検討 本件発明3、15及び16は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明3、15及び16は、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第5 むすび 以上のとおり、本件特許(請求項1、3、15及び16に係る特許)は、特許法29条2項の規定に違反してされたものとは認められないから、特許異議申立ての理由により取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700757

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