特許異議申立
2024-700690
光源ユニット及び照明器具
- 審判番号
- 2024-700690
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-034672
- 登録番号
- 7443590
- 請求日
- 2024年07月22日
- 審決日
- 2025年08月28日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】六條 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 高橋 学
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1651.537-YAA(F21S) / P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第44条、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7443590号発明「光源ユニット及び照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7443590号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
特許第7443590号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願の分割の経緯
特許第7443590号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和5年3月7日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成27年2月26日に出願した特願2015-37199号を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願 :特願2015- 37199号(平成27年 2月26日)
第1世代分割:特願2019- 76249号(平成31年 4月12日)
第2世代分割:特願2020-207242号(令和 2年12月15日)
第3世代分割:特願2021-158661号(令和 3年 9月29日)
本願 :特願2023- 34672号(令和 5年 3月 7日)
2 本件特許の設定登録以降の手続の経緯
本件特許は、令和6年2月26日にその特許権の設定登録がされ、同年3月5日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人六條直樹(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 7月22日 :特許異議の申立て(全請求項)
同年12月24日付け:取消理由通知書
令和7年 3月 3日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出
同年 5月28日 :申立人より意見書の提出
第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年3月3日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
請求項1に
「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、」
とあるのを
「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、」
に訂正し(以下「訂正事項1-1」という。)、さらに、請求項1に
「前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、」
とあるのを
「前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、」
に訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)。
請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項2に
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、」
とあるのを
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部は、」
に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3及び4も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項3に
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、」
とあるのを
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部は、」
に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項1-1
訂正事項1-1は、請求項1において、「カバー部」の「配設」について「かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように」との構成を追加することで、「カバー部」と「モジュール取付部」の配置関係をより具体的に特定し、限定するものである。
したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項1-2
訂正事項1-2は、本件訂正前の請求項1において「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」の「反対側」がどのような方向における反対側を意味しているのか明確でなかったところ、「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における」との構成を追加することで、上記記載を明確にするものである。
したがって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 訂正事項2
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2における「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」について、本件訂正前の請求項2が引用する本件訂正前の請求項1に記載された「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」との異同が明確でなかったところ、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」と訂正することにより、両者が同一の構成であることを明確にするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
エ 訂正事項3
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3における「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」について、本件訂正前の請求項3が引用する本件訂正前の請求項1に記載された「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」との異同が明確でなかったところ、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」と訂正することにより、両者が同一の構成であることを明確にするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項について
ア 訂正事項1-1
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、【0022】の「なお、カバー部1300は4つのカバー側面部1320の外側の寸法は、モジュール取付部1200の4つの取付側面部1220の内側の寸法より小さくなるよう形成されている。」との記載を踏まえ、【図7】をみると、カバー側面部1320と取付側面部1220と接触しないような寸法・配置の関係にあることが記載されていると認められる。
したがって、訂正事項1-1は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
イ 訂正事項1-2
本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、【0037】の「外凸部2130は、図14に示すように、モジュール取付部1200の取付側面部1220の端部を覆うよう取付側面部1220の端部と対向するように設けられている。外凸部2130は、化粧部9200である取付側面部1220の、他方の面1210bから一方の面1210aに向かう方向の端部を覆うので、取付側面部1220の端部が正面方向に意匠面に表れない。」との記載を踏まえ、【図5】~【図7】、【図14】~【図16】をみると、カバー部2100が配設された状態で、外凸部2130に対向している取付側面部1220の端部は、取付正面部1210の側辺から発光モジュール1100が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における取付側面部1220の取付正面部1210と反対側の端部であることが記載されていると認められる。
したがって、訂正事項1-2は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
ウ 訂正事項2
訂正事項2の「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」について、本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、【0037】の「外凸部2130は、図14に示すように、モジュール取付部1200の取付側面部1220の端部を覆うよう取付側面部1220の端部と対向するように設けられている。外凸部2130は、化粧部9200である取付側面部1220の、他方の面1210bから一方の面1210aに向かう方向の端部を覆うので、取付側面部1220の端部が正面方向に意匠面に表れない。」との記載を踏まえ、【図5】~【図7】、【図14】~【図16】をみると、カバー部2100が配設された状態で、外凸部2130に対向している取付側面部1220の端部は、取付正面部1210の側辺から発光モジュール1100が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における取付側面部1220の取付正面部1210と反対側の端部であって、発光モジュール1100よりもカバー正面部2110側に配置されていることが理解できるから、本件訂正後の請求項1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と本件訂正後の請求項2の「前記発光モジュールよりも前記カバー正面部側に配置されている」「端部」とは、同一の構成であることが記載されていると認められる。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
エ 訂正事項3
訂正事項3の「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」について、本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、【0037】の「外凸部2130は、図14に示すように、モジュール取付部1200の取付側面部1220の端部を覆うよう取付側面部1220の端部と対向するように設けられている。外凸部2130は、化粧部9200である取付側面部1220の、他方の面1210bから一方の面1210aに向かう方向の端部を覆うので、取付側面部1220の端部が正面方向に意匠面に表れない。」との記載を踏まえ、【図5】~【図7】、【図14】~【図16】をみると、カバー部2100が配設された状態で、外凸部2130に対向している取付側面部1220の端部は、取付正面部1210の側辺から発光モジュール1100が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における取付側面部1220の取付正面部1210と反対側の端部であって、外凸部2130と間隔があくように形成されていることが理解できるから、本件訂正後の請求項1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と本件訂正後の請求項3の「前記凸部と間隔があくように形成されている」「端部」とは、同一の構成であることが記載されていると認められる。
したがって、訂正事項3は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1-1は特許請求の範囲の減縮を行うものであり、訂正事項1-2、訂正事項2及び訂正事項3は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項1~4は、請求項2~4が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1~4〕について請求されたものである。
4 訂正についてのむすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記取付側面部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており、
前記カバー側面部は、
前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する光源ユニット。
【請求項2】
前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記発光モジュールよりも前記カバー正面部側に配置されている請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部と間隔があくように形成されている請求項1又は請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の光源ユニットと、
被取付部に固定されるとともに、前記光源ユニットが着脱自在に取り付けられる器具本体と
を備えた照明器具。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対して令和6年12月24日付け取消理由通知で当審において通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
理由1(明確性要件)本件特許の下記の請求項に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
1 引用文献等一覧
甲第1号証:特開2014-220160号公報
甲第2号証:特開2011-159472号公報
以下「甲第○号証」を「甲○」ともいう。
2 取消理由と請求項と引用文献の関係
(1)理由1について
請求項 1~4
請求項1~3には、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と記載されているが、上記「反対側」がどのような方向(例えば、取付正面部の側辺から発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向であるのか、取付正面部と平行な方向であるのか)における反対側を意味しているのか明確でない。
(2)理由2、3について
ア 甲1発明Aを主引用発明とした場合
理由2:請求項 1、2、4
理由3:請求項 1、2、4
イ 甲1発明Bを主引用発明とした場合
理由2:請求項 1~4
理由3:請求項 1~4
ウ 甲2発明を主引用発明とした場合
理由2:請求項 1~4
理由3:請求項 1~4
第5 取消理由1~3についての当審の判断
1 理由1(明確性要件)について
本件訂正後の請求項1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」との記載における「反対側」とは、「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向」の「反対側」であることが明確である。
また、本件訂正後の請求項2の「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」、及び本件訂正後の請求項3の「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」は、本件訂正後の請求項1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」を意味することが明確である。
よって、請求項1~3に記載された発明、及び請求項1~3を引用する請求項4に記載された発明は明確である。
2 理由2(新規性)、理由3(進歩性)について
(1)甲1発明Aを主引用発明とした場合
ア 甲1発明Aについて
(ア)甲1の認定事項
甲1の記載から、以下の事項が認定できる(なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。)。
なお、「第1正面部分(h)」、「第1側面部分(e)」、「第2正面部分(a)」、「第2側面薄肉部分(b)」、「第2側面厚肉部分(d)」、「側方突出部分」、「端部(f)」、「側端部(g)」は、当審による仮称であり、下記の参考図も参照されたい。
a LEDユニット100は、筐体120及び支持台130と、LEDモジュール140と、透光性カバー110を備えている(段落【0029】)。
b 筐体120及び支持台130には、LEDモジュール140が取り付けられている第1正面部分(h)の側辺から、LEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられていることが看取される(段落【0029】、【0032】~【0035】、【図2】)。
c 透光性カバー110は、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定されている(段落【0031】、【図2】)。
d 透光性カバー110には、正面側には第2正面部分(a)が設けられ、側面側には第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)と、第2側面厚肉部分(d)からさらに立ち上がる方向に延びる第2側面薄肉部分(b)が設けられていることが看取される(段落【0031】、【図2】)。
e 第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有していることが看取される(【図2】)。
f 筐体120の第1側面部分(e)は、透光性カバー110が筐体120に配設された状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、透光性カバー110の第2正面部分(a)と反対側に配置されていることが看取される(【図2】)。
g 第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における、筐体120の第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、透光性カバー110が筐体120に配設された状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向していることが看取される(【図2】)。
h 透光性カバー110の第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも内面側、すなわち、第2正面部分(a)の側に位置していることが看取される(【図2】)。
[図:0001429990000001.jpg]
<参考図>図2の拡大図に当審にて加筆
[図:0001429990000002.jpg]
(イ)甲1発明A
上記(ア)を踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されていると認められる。
「LEDモジュール140が取り付けられている第1正面部分(h)、及び、第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられている筐体120及び支持台130と、
第2正面部分(a)、及び、第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)が設けられているとともに、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定されている透光性カバー110と
を備え、
第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有しており、
第1側面部分(e)は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されており、
第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向しており、
第2側面薄肉部分(b)は、
第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置しているLEDユニット100。」
イ 本件発明1について(理由2、3)
(ア)対比
a 本件発明1と甲1発明Aを対比すると、後者の「LEDモジュール140」は前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「第1正面部分(h)」は「取付正面部」に、「第1側面部分(e)」は「取付側面部」に、「筐体120及び支持台130」は「モジュール取付部」に、「第2正面部分(a)」は「カバー正面部」に、「第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)」は「カバー側面部」に、「固定されている」は「配設される」に、「透光性カバー110」は「透光性のカバー部」に、「LEDユニット100」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
b 本件発明1によれば、「凸部」は、「カバー側面部の外面」にある「基端部から突き出るように設けられた」ものであればよいことが理解できる一方、「凸部」の形状や大きさ等については何ら特定されていない。
c 甲1発明Aの「第2側面厚肉部分(d)」は、「第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いる。
d 上記bの理解に基づけば、上記cに示した甲1発明Aの「第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」は、本件発明1の「凸部」に相当し、甲1発明Aの「第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線」は、本件発明1の「前記カバー側面部の外面の基端部」に相当する。
そして、甲1発明Aの「第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いることは、「第2側面厚肉部分(d)」が「透光性カバー110」の一部であるから、本件発明1の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有して」いることに相当する。
e 上記dによれば、甲1発明Aの「第1側面部分(e)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されて」いることは、「第1側面部分(e)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されて」いることといえるから、本件発明1の「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることに相当する。
f 上記eによれば、甲1発明Aの「第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向して」いることは、「第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「に対向して」いることといえるから、本件発明1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向して」いることに相当する。
g 上記eによれば、甲1発明Aの「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置して」いることは、「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことといえる。
h 本件発明1の「前記基端部の側」は、「凸部」の「突き出る方向」の反対側を意味しているものと認められるところ、甲1発明Aの「第2正面部分(a)の側」もまた、「側方に突き出るように設けられた側方突出部分」の突き出る方向の反対側を表すものといえる。
i 上記g及びhによれば、甲1発明Aの「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことは、本件発明1の「前記カバー側面部は、前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する」ことに相当する。
j そうすると、両者は、
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記取付側面部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており、
前記カバー側面部は、
前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する光源ユニット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1A〕
カバー部の配設に関し、本件発明1は、「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように」配設されるのに対して、甲1発明Aは、そのように特定されていない点。
(イ)判断
a 甲1の【0032】には「第1開口部120aには、透光性カバー110が取り付けられている。」と記載されているから、甲1発明Aは、筐体120において第1開口部120aを形成する第1側面部分(e)に、透光性カバー110の第2側面薄肉部分(b)が取り付けられるものである。
そうすると、甲1発明Aは、取り付けのために第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触するものであることが理解できる。
したがって、相違点1Aは実質的な相違点であり、本件発明1は甲1発明Aではない。
b 甲1の【0031】には「また、透光性カバー110は、筐体120の内部に配置されたLEDモジュール140や回路基板160を保護するために、第1開口部120aを塞ぐようにして筐体120に固定されている。」と記載されているから、甲1発明Aは、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触するように確実に取り付けることで、第1開口部120aを塞いで、LEDモジュール140や回路基板160を保護するものであることが理解できる。
そうすると、甲1発明Aは、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設することの阻害事由があるといえる。又は、少なくとも、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設する動機付けはない。
したがって、本件発明1は、甲1発明Aに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明2~4について(理由2、3)
本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記イと同様の理由により、甲1発明Aではなく、甲1発明Aに基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
エ 申立人の主張について
申立人は、令和7年5月28日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、相違点1Aに関し、概略、以下のような主張をしている。
主張1:接着剤の介在により非接触とすることは、周知技術1(甲4~甲6)である。
主張2:異音軽減のために非接触とすることは、周知技術2(甲7)である。
主張1について検討すると、接着剤による固定は接触固定というべきものであり、接着剤の介在をもって非接触であるという申立人の主張は、その前提に誤りがある。
また、本件特許の図14~16等を参酌すると、本件発明1の「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される」態様とは、カバー側面部と取付側面部が接着剤を介して接触するものでないことは明らかであるから、主張1を採用することはできない。
主張2について検討すると、上記イ(イ)bで説示したとおり、甲1発明Aは、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設することの阻害事由があるといえる。
さらにいえば、甲7には、樹脂製のグローブと金属製の本体との熱膨張率の違いによる異音を低減するために、両者を接触しにくくした旨が記載されている(【0002】~【0003】参照。)ところ、甲1発明Aにおいては、透光性カバー110も筐体120も共に樹脂製であり(甲1の【0030】、【0033】参照。)、そもそも熱膨張率の違いによる異音が発生しにくく、甲7記載事項を採用する動機付けがないから、主張2を採用することはできない。
したがって、申立人の主張はいずれも採用することができない。
オ 小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲1発明Aではなく、また、甲1発明Aに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)甲1発明Bを主引用発明とした場合
ア 甲1発明Bについて
(ア)甲1の認定事項
甲1の記載から、以下の事項が認定できる。
なお、「第1正面部分(h)」、「第1側面部分(e)」、「第2正面部分(a)」、「第2側面薄肉部分(b)」、「第2側面厚肉部分(d)」、「端部(f)」、「端部(g)」は、甲1発明Aと同様の当審による仮称であり、下記の参考図も参照されたい。
また、参考として甲1発明Aにおける認定事項と異なる箇所に下線を付した。
a LEDユニット100は、筐体120及び支持台130と、LEDモジュール140と、透光性カバー110を備えている(段落【0029】)。
b 筐体120及び支持台130には、LEDモジュール140が取り付けられている第1正面部分(h)の側辺から、LEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられていることが看取される(段落【0029】、【0032】~【0035】、【図2】)。
c 第1側面部分(e)について、透光性カバー110と接続する部分に着目すると、透光性カバー110よりも上方の部分では厚肉となっており、透光性カバー110の外面側に重なっている部分では薄肉となっていることが看取できる。
これを踏まえると、第1側面部分(e)は、第1正面部分(h)の側辺から立ち上がる第1側面部分(e)厚肉部と、第1側面部分(e)厚肉部からさらに立ち上がる方向(図2下方向)に延びる第1側面部分(e)薄肉部で構成されていることが看取される(【図2】)。
d 透光性カバー110は、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定されている(段落【0031】、【図2】)。
e 透光性カバー110には、正面側には第2正面部分(a)が設けられ、側面側には第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)と、第2側面厚肉部分(d)からさらに立ち上がる方向(図2上方向)に延びる第2側面薄肉部分(b)が設けられていることが看取される(段落【0031】、【図2】)。
f 第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の上方外面の延長線よりも立ち上がる方向(図2上方向)に突き出るように設けられていることが看取される(【図2】)。
g 筐体120の第1側面部分(e)厚肉部は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、透光性カバー110の第2正面部分(a)と立ち上がる方向(図2上方向)の反対側に配置されていることが看取される(【図2】)。
h 筐体120の第1側面部分(e)薄肉部は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、透光性カバー110の第2正面部分(a)と立ち上がる方向(図2上下方向)と垂直な方向(図2左方向)の反対側に配置されていることが看取される(【図2】)。
i 第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における、筐体120の第1側面部分(e)薄肉部の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)に対して、立ち上がる方向(図2上下方向)と垂直な方向(図2左右方向)で対向していることが看取される(【図2】)。
j 透光性カバー110の第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の突き出る方向(図2上方向)の端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置していることが看取される(【図2】)。
<参考図>図2の拡大図に当審にて加筆
[図:0001429990000003.jpg]
(イ)甲1発明B
上記(ア)を踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されていると認められる。
「LEDモジュール140が取り付けられている第1正面部分(h)、及び、第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられている筐体120及び支持台130と、
第2正面部分(a)、及び、第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)が設けられているとともに、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定されている透光性カバー110と
を備え、
第1側面部分(e)は、第1正面部分(h)の側辺から立ち上がる第1側面部分(e)厚肉部と、第1側面部分(e)厚肉部からさらに立ち上がる方向に延びる第1側面部分(e)薄肉部で構成され、
第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の上方外面の延長線よりも立ち上がる方向に突き出るように設けられており、
第1側面部分(e)厚肉部は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、第2正面部分(a)と立ち上がる方向の反対側に配置されており、
第1側面部分(e)薄肉部は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、第2正面部分(a)と立ち上がる方向と垂直な方向の反対側に配置されており、
第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)薄肉部の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)に対して、立ち上がる方向と垂直な方向で対向しており、
第2側面厚肉部分(d)は、
第2側面薄肉部分(b)の突き出る方向の端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置しているLEDユニット100。」
イ 本件発明1について(理由2、3)
(ア)対比
a 本件発明1と甲1発明Bを対比すると、後者の「LEDモジュール140」は前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「第1正面部分(h)」は「取付正面部」に、「第1側面部分(e)厚肉部」と「第1側面部分(e)薄肉部」で構成された「第1側面部分(e)」は「取付側面部」に、「筐体120及び支持台130」は「モジュール取付部」に、「第2正面部分(a)」は「カバー正面部」に、「第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)」は「カバー側面部」に、「固定されている」は「配設される」に、「透光性カバー110」は「透光性のカバー部」に、「LEDユニット100」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
b 本件発明1の「凸部」は、上記(1)イ(ア)で検討したとおり、「カバー側面部の外面」にある「基端部」から「突き出るように」設けられたものであればよいことが理解できるところ、「凸部」の形状や大きさだけでなく、「カバー側面部の外面」の方向や、「突き出る」方向は特定されていない。
c 甲1発明Bの「第2側面薄肉部分(b)」は、「第2側面厚肉部分(d)の上方外面の延長線よりも立ち上がる方向に突き出るように設けられて」いる。
d 上記bの理解に基づけば、上記cに示した甲1発明Bの「第2側面薄肉部分(b)」は、本件発明1の「凸部」に相当し、甲1発明Bの「第2側面厚肉部分(d)の上方外面の延長線」は、本件発明1の「基端部」に相当する。
そして、甲1発明Bの「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の上方外面の延長線よりも立ち上がる方向に突き出るように設けられて」いることは、「第2側面薄肉部分(b)」が「透光性カバー110」の一部であるから、本件発明1の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有して」いることに相当する。
e 本件発明1の「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることは、「反対側」の方向を特定していない。
f 上記eの理解に基づけば、甲1発明Bの「第1側面部分(e)厚肉部は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、第2正面部分(a)と立ち上がる方向の反対側に配置されて」いること、及び「第1側面部分(e)薄肉部は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)を間にして、第2正面部分(a)と立ち上がる方向と垂直な方向の反対側に配置されて」いることは、いずれも本件発明1の「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることに相当する。
g 甲1発明Bの「第1正面部分(h)の側辺からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)薄肉部の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、第2側面薄肉部分(b)に対して、立ち上がる方向と垂直な方向で対向して」いることは、本件発明1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向して」いることに相当する。
h 本件発明1の「前記基端部の側」は、「凸部」の「突き出る」方向の反対側を意味しているものと認められるところ、甲1発明Bの「第2正面部分(a)の側」もまた、突き出るように設けられた「第2側面薄肉部分(b)」の突き出る方向の反対側を表すものといえる。
i 上記hによれば、甲1発明Bの「第2厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の突き出る方向の端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことは、本件発明1の「前記カバー側面部は、前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する」ことに相当する。
j そうすると、両者は、
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記取付側面部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており、
前記カバー側面部は、
前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する光源ユニット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1B〕
カバー部の配設に関し、本件発明1は、「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように」配設されるのに対して、甲1発明Bは、そのように特定されていない点。
(イ)判断
相違点1Bは、相違点1Aと同じ相違点である。
したがって、上記(1)イ(イ)で説示したのと同様に、相違点1Bは、実質的な相違点であるから本件発明1は甲1発明Bではない。
また同様に、甲1発明Bは、第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設することの阻害事由があるといえ、又は、少なくとも、第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設する動機付けはないから、本件発明1は、甲1発明Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明2~4について(理由2、3)
本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記イと同様の理由により、甲1発明Bではなく、甲1発明Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
エ 申立人の主張について
申立人は、意見書において、相違点1Bに関し相違点1Aと同様の主張をしているところ、上記(1)エのとおり、申立人の主張を採用することはできない。
オ 小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲1発明Bではなく、また、甲1発明Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)甲2発明を主引用発明とした場合
ア 甲2発明について
(ア)甲2の認定事項
甲2の記載から、以下の事項が認定できる。
なお、「第1正面部分(h)」、「第1側面部分(e)」、「第2正面部分(a)」、「第2側面薄肉部分(b)」、「第2側面厚肉部分(d)」、「側方突出部分」、「端部(f)」、「側端部(g)」は、当審による仮称であり、下記の参考図も参照されたい。
a ランプ21は、ランプベース22と、発光部24及び金属基板23と、ランプカバー26を備えている(段落【0041】)。
b ランプベース22には、発光部24が実装された金属基板23が取り付けられている第1正面部分(h)の側辺から、発光部24が実装された金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられていることが看取される(【図2】)。
c ランプカバー26は、発光部24が実装された金属基板23を覆うようにランプベース22に取付けられている(段落【0044】、【図2】)。
d ランプカバー26には、正面側には第2正面部分(a)が設けられ、側面側には第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)と、第2側面厚肉部分(d)からさらに立ち上がる方向に延びる第2側面薄肉部分(b)が設けられていることが看取される(【図2】)。
e 第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有していることが看取される(【図2】)。
f ランプベース22の第1側面部分(e)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、ランプカバー26の第2正面部分(a)と反対側に配置されていることが看取される(【図2】)。
g 第1正面部分(h)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における、ランプベース22の第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向していることが看取される(【図2】)。
h ランプカバー26の第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、内面側、すなわち第2正面部分(a)の側に位置していることが看取される(【図2】)。
i ランプベース22の第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、発光部24が実装された金属基板23よりも第2正面部分(a)側に配置されていることが看取される(【図2】)。
j 【図2】によれば、ランプベース22の第1側面部分(e)は、第1正面部分(h)から続くハッチングが第1正面部分(h)と反対側の端部(f)で途切れているのが分かる。そうすると、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第1側面部分(e)は、少なくともその端部(f)と、ランプカバー26の第2側面厚肉部分(d)の側方突出部分との間に、図2上下方向で間隔があくように形成されていることが看取される(【図2】)。
k シーリングダウンライト1は、ランプ21と、天井面Cに固定される設置板2及びスペーサ8を介して設置板2に連結されているシャーシ11を備えた器具本体を具備し、シャーシ11にはG53形式の口金19を有するランプソケット18が固定され、G53形式のランプ21が器具本体のG53形式の口金19に取り付けられる(段落【0025】、【0035】、【0036】、【0040】、【図2】)。
[図:0001429990000004.jpg]
<参考図>図2の拡大図に当審にて加筆
[図:0001429990000005.jpg]
(イ)甲2発明
上記(ア)を踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「発光部24が実装された金属基板23が取り付けられている第1正面部分(h)、及び、第1正面部分(h)の側辺から発光部24が実装された金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられているランプベース22と、
第2正面部分(a)、及び、第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)が設けられているとともに、発光部24が実装された金属基板23を覆うようにランプベース22に取付けられているランプカバー26と
を備え、
第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有しており、
第1側面部分(e)は、
ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されており、
第1正面部分(h)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、
ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向しており、
第2側面薄肉部分(b)は、
第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置しているランプ21。」
イ 本件発明1について(理由2、3)
(ア)対比
a 本件発明1と甲2発明を対比すると、後者の「発光部24が実装された金属基板23」は前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「第1正面部分(h)」は「取付正面部」に、「第1側面部分(e)」は「取付側面部」に、「ランプベース22」は「モジュール取付部」に、「第2正面部分(a)」は「カバー正面部」に、「第2側面厚肉部分(d)及び第2側面薄肉部分(b)」は「カバー側面部」に、「取付けられている」は「配設される」に、「ランプカバー26」は「透光性のカバー部」に、「ランプ21」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
b 本件発明1の「凸部」は、上記(1)イ(ア)で検討したとおり、「カバー側面部の外面」にある「基端部」から「突き出るように」設けられたものであればよいことが理解できる。
c 甲2発明の「第2側面厚肉部分(d)」は、「第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いる。
d 上記bの理解に基づけば、上記cに示した甲2発明の「第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」は、本件発明1の「凸部」に相当し、甲2発明の「第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線」は、本件発明1の「基端部」に相当する。
そして、甲2発明の「第2側面厚肉部分(d)は、第2側面薄肉部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いることは、「第2側面厚肉部分(d)」が「ランプカバー26」の一部であるから、本件発明1の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有して」いることに相当する。
e 上記dによれば、甲2発明の「第1側面部分(e)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されて」いることは、「第1側面部分(e)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「を間にして、第2正面部分(a)と反対側に配置されて」いることといえるから、本件発明1の「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることに相当する。
f 上記eによれば、甲2発明の「第1正面部分(h)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)に対向して」いることは、「第1正面部分(h)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、ランプカバー26がランプベース22に取付けられた状態で、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「に対向して」いることといえるから、本件発明1の「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向して」いることに相当する。
g 上記eによれば、甲2発明の「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことは、「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)」の「側方突出部分」「の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置して」いることといえる。
h 本件発明1の「前記基端部の側」は、「凸部」の「突き出る」方向の反対側を意味しているものと認められるところ、甲2発明の「第2正面部分(a)の側」もまた、側方に突き出るように設けられた「側方突出部分」の突き出る方向の反対側を表すものといえる。
i 上記g及びhによれば、甲2発明の「第2側面薄肉部分(b)は、第2側面厚肉部分(d)の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことは、本件発明1の「前記カバー側面部は、前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する」ことに相当する。
j そうすると、両者は、
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記取付側面部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており、
前記カバー側面部は、
前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する光源ユニット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2〕
カバー部の配設に関し、本件発明1は、「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように」配設されるのに対して、甲2発明は、そのように特定されていない点。
(イ)判断
a 甲2の【0044】には、「ランプカバー26は、拡散透光性の合成樹脂製であって、反射体25を光出射側から覆ってランプベース22に取付けられている。」と記載されているところ、【図2】をみると、ランプカバー26とランプベース22を取り付けるための部材は見当たらず、ランプカバー26の第2側面薄肉部分(b)が、ランプベース22の第1側面部分(e)に直接接触して取り付けられていることが看取できる。
そうすると、甲2発明は、取り付けのために第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触するものであることが理解できる。
したがって、相違点2は実質的な相違点であり、本件発明1は甲2発明ではない。
b 上記aのとおり、甲2のランプカバー26は、反射体25を覆うものであるところ、【図2】をみると、反射体25がランプベース22の第1正面部分(h)を全面に亘って覆っているため、ランプカバー26を取り付けることができる部分は、ランプベース22の第1側面部分(e)しかないことが理解できる。
そうすると、甲2発明は、反射体25との関係で、ランプカバー26の第2側面薄肉部分(b)が、ランプベース22の第1側面部分(e)に直接接触して取り付けられる構造とせざるを得ないから、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設することの阻害事由があるといえる。又は、少なくとも、第2側面薄肉部分(b)が第1側面部分(e)に接触しないように配設する動機付けはない。
したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明2~4について(理由2、3)
本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記イと同様の理由により、甲2発明ではなく、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
エ 申立人の主張について
申立人は、意見書において、相違点2に関し相違点1A及び1Bと同様の主張をしているところ、上記(1)エと同様に、申立人の主張を採用することはできない。
さらに補足すると、甲1や甲2と甲7とでは、カバーの取付態様と、そのための形状、構造が異なるので、甲2発明に採用することが容易とはいえない
オ 小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
理由1(甲3を主引用例とした新規性)
本件特許発明1~3は、甲3発明と同一である。
(特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号))
甲3:特開2011-27928号公報
理由2(甲3を主引用例とした進歩性)
本件特許発明1~4は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
理由3(明確性)
3-1 本件特許の請求項1に記載された「前記カバー側面部の外面の基端部」は、カバー側面部の外面のどこを指しているのか不明である。
3-2 本件特許の請求項1に記載された「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており」は、端部と凸部がどの方向に対向するのか不明である。
(特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号))
2 当審の判断
(1)理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
ア 甲3発明について
(ア)甲3の認定事項
甲3の記載から、以下の事項が認定できる。
なお、「第1正面部分(h)」、「第1側面部分(e)」、「第2正面部分(a)」、「第2側面部分(b)」、「側方突出部分」、「端部(f)」、「側端部(g)」は、当審による仮称であり、下記の参考図も参照されたい。
a LED照明装置1は、LED8が実装されたメタル基板9と、メタル基板9を取り付けるベース10と、レンズ11を備えている(段落【0030】)。
b ベース10には、メタル基板9が取り付けられている第1正面部分(h)の側辺から、メタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられていることが看取される(段落【0030】、【図7】)。
c レンズ11は透明な樹脂製であり、メタル基板9を覆うようにベース10の下面開口部に嵌め込まれている(段落【0030】、【図7】)。
d レンズ11には、正面側には第2正面部分(a)が設けられ、側面側には第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面部分(b)が設けられていることが看取される(段落【0030】、【図7】)。
e 第2側面部分(b)は、第2側面部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有していることが看取される(【図7】)。
f ベース10の第1側面部分(e)は、レンズ11がベース10に配設された状態で、レンズ11の第2正面部分(a)と、第2側面部分(b)を間にして反対側に配置されていることが看取される(【図7】)。
g 第1正面部分(h)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における、ベース10の第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、レンズ11がベース10に配設された状態で、側方突出部分に対向していることが看取される(【図7】)。
h レンズ11の第2側面部分(b)は、側方突出部分の側端部(g)よりも内側、すなわち、第2正面部分(a)の側に位置していることが看取される(【図7】)。
[図:0001429990000006.jpg]
<参考図>図7の拡大図に当審にて加筆
[図:0001429990000007.jpg]
(イ)甲3発明
上記(ア)を踏まえると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「LED8が実装されたメタル基板9が取り付けられている第1正面部分(h)、及び、第1正面部分(h)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる第1側面部分(e)が設けられているベース10と、
第2正面部分(a)、及び、第2正面部分(a)の周縁から立ち上がる第2側面部分(b)が設けられているとともに、メタル基板9を覆うようにベース10の下面開口部に嵌め込まれている透明な樹脂製のレンズ11と
を備え、
第2側面部分(b)は、第2側面部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有しており、
第1側面部分(e)は、
レンズ11がベース10に固定された状態で、第2正面部分(a)と、第2側面部分(b)を間にして反対側に配置されており、
第1正面部分(h)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における第1側面部分(e)の第1正面部分(h)と反対側の端部(f)は、
レンズ11がベース10に固定された状態で、側方突出部分に対向しており、
第2側面部分(b)は、
側方突出部分の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置しているLED照明装置1。」
イ 本件発明1について(理由1、2)
(ア)対比
a 本件発明1と甲3発明を対比すると、後者の「LED8が実装されたメタル基板9」は前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「第1正面部分(h)」は「取付正面部」に、「第1側面部分(e)」は「取付側面部」に、「ベース10」は「モジュール取付部」に、「第2正面部分(a)」は「カバー正面部」に、「第2側面部分(b)」は「カバー側面部」に、「嵌め込まれている」は「配設される」に、「透明な樹脂製のレンズ11」は「透光性のカバー部」に、「LED照明装置1」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
b 本件発明1によれば、「凸部」は、「カバー側面部の外面」にある「基端部から突き出るように設けられた」ものであればよいことが理解できる一方、「凸部」の形状や大きさ等については何ら特定されていない。
c 甲3発明の「第2側面部分(b)」は、「第2側面部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いる。
d 上記bの理解に基づけば、上記cに示した甲3発明の「第2側面部分(b)」の「側方突出部分」は、本件発明1の「凸部」に相当し、甲3発明の「第2側面部分(b)の側方外面の延長線」は、本件発明1の「前記カバー側面部の外面の基端部」に相当する。
そして、甲3発明の「第2側面部分(b)は、第2側面部分(b)の側方外面の延長線よりも側方に突き出るように設けられた側方突出部分を有して」いることは、「第2側面部分(b)」が「透明な樹脂製のレンズ11」の一部であるから、本件発明1の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有して」いることに相当する。
e 上記dによれば、甲3発明の「第1側面部分(e)は、レンズ11がベース10に固定された状態で、第2正面部分(a)と、第2側面部分(b)を間にして反対側に配置されて」いることと、本件発明1の「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることとは、「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いることの点で共通する。
f 本件発明1の「前記基端部の側」は、「凸部」の「突き出る方向」の反対側を意味しているものと認められるところ、甲3発明の「第2正面部分(a)の側」もまた、「側方に突き出るように設けられた側方突出部分」の突き出る方向の反対側を表すものといえる。
g 上記fによれば、甲3発明の「第2側面部分(b)は、側方突出部分の側端部(g)よりも、第2正面部分(a)の側に位置している」ことは、本件発明1の「前記カバー側面部は、前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する」ことに相当する。
h そうすると、両者は、
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面の基端部から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記取付側面部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記カバー正面部と反対側に配置されており、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向しており、
前記カバー側面部は、
前記凸部の突き出る方向の端部よりも、前記基端部の側に位置する光源ユニット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点3-1〕
カバー部の配設に関し、本件発明1は、「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように」配設されるのに対して、甲3発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点3-2〕
取付側面部、凸部、カバー正面部の位置関係に関し、本件発明1は、前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、「前記凸部を間にして」、前記カバー正面部と反対側に配置されているのに対して、甲3発明は、第2側面部分(b)を間にしており、側方突出部分を間にしているとはいえない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2から検討する。
a 甲3の【図7】~【図9】をみると、側方突出部分は、下方向にも突出していることから、全体として下方突出部分も形成していることが理解できる。
そうすると、甲3発明の側方突出部分は、下方突出部分も備えるものであるために、第1側面部分(e)が側方突出部分を間にして第2正面部分(a)と反対側に配置されているとはいえないものであるから、相違点3-2は実質的な相違点であるから、相違点3-1について検討するまでもなく、本件発明1は甲3発明ではない。
b 上記aのとおり、甲3発明の側方突出部分は、下方突出部分も備えるものであるから、第1側面部分(e)を、側方突出部分を間にして第2正面部分(a)と反対側に配置することの阻害事由があるといえる。又は、少なくとも、第1側面部分(e)を、側方突出部分を間にして第2正面部分(a)と反対側に配置する動機付けはない。
したがって、相違点3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明2~4について(理由1、2)
本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定したものであるから、上記イと同様の理由により、甲3発明ではなく、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(2)理由3(明確性)について
ア 理由3-1について
請求項1の記載によれば、「凸部」は「基端部から突き出るように設けられた」ものであり、「基端部」は、「前記カバー側面部の外面」にあることが特定されている。
そして、「前記カバー側面部の外面」とは、「カバー部」の「前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部」の外側の面であることが特定されている。
上記の発明特定事項によれば、「凸部」は、「カバー部」の「前記カバー正面部の周縁から立ち上がる」方向に延びる「カバー側面部」のうち、外側の面である「前記カバー側面部の外面」にある「基端部」から「突き出るように設けられた」ものであることが理解できる。
そして、「前記取付側面部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部を間にして、前記カバー正面部と反対側に配置されて」いること、及び「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記凸部に対向して」いることが特定されているのだから、「凸部」は、「取付側面部」と「カバー正面部」の間であって、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と「対向」する位置にある。
そうすると、「凸部」は「基端部から突き出るように設けられた」ものであるから、「前記カバー側面部の外面の基端部」の位置もまた、「取付側面部」と「カバー正面部」の間であって、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と「対向」する位置にあることが理解できる。
以上のとおり、「前記カバー側面部の外面の基端部」に関し、請求項1の記載は明確であり、請求項1を引用する請求項2~4の記載も明確である。
イ 理由3-2について
上記アのとおり、請求項1の記載によれば、「凸部」は、「取付側面部」と「カバー正面部」の間であって、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と「対向」する位置にあることが特定されているから、「凸部」と「端部」の位置関係は明確である。
そして、「対向」する方向については特定されていないから、「取付側面部」の「立ち上がり方向」や、「凸部」の「基端部から突き出る」方向などを含んでよいことが理解できる。
以上のとおり、「凸部」と「端部」の位置関係に関し、請求項1の記載は明確であり、請求項1を引用する請求項2~4の記載も明確である。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700690