特許異議申立
2023-701321
照明器具、及び照明システム
- 審判番号
- 2023-701321
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-067499
- 登録番号
- 7292468
- 請求日
- 2023年12月14日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コイズミ照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 【異議申立人】柴田 都
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 小岩 智明
- 審判官 筑波 茂樹
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S) / P1651.55 -YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7292468号発明「照明器具、及び照明システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7292468号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4について訂正することを認める。
特許第7292468号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7292468号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成30年5月30日に出願された特願2018-103766号の一部を、令和4年4月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略次のとおりである。
令和4年 4月15日 :出願、同日に上申書(上述)を提出
令和5年 2月10日付け:拒絶理由通知
同 年 4月13日 :意見書・手続補正書を提出
同 年 4月24日付け:特許査定
同 年 6月 8日 :特許権の設定登録
同 年 6月16日 :特許掲載公報の発行
同 年12月14日 :特許異議申立人 柴田都(以下「申立人」という。)による請求項1~4に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 3月18日付け:取消理由通知
同 年 5月21日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同 年 7月17日 :申立人による意見書の提出
同 年12月24日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和7年 2月19日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
なお、令和6年5月21日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和7年2月19日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う、照明器具。」と記載されているのを、
「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合い、前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置される、照明器具。」に訂正する。(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2、3も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、前記第3方向における前記ベースユニットの寸法と、前記第1方向及び前記第3方向に交差する方向における前記ベースユニットの寸法とは、前記交差する方向における前記カバーユニットの寸法と略同一である、照明器具。」と記載されているのを、
「前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置され、前記第3方向における前記ベースユニットの寸法と、前記第1方向及び前記第3方向に交差する方向における前記ベースユニットの寸法とは、前記交差する方向における前記カバーユニットの寸法と略同一であり、前記別の照明器具は、対象物に取り付け可能であり、前記第2方向に延びる別のベースユニットと、別の光源、及び前記別の光源を覆う別のカバーを含み、前記別のベースユニットに装着される別のカバーユニットと、前記別のベースユニットの前記第2方向における別の端部に設けられ、前記照明器具に係合可能な別の係合部とを備え、前記別の係合部は、前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部、及び、前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部を含み、前記別の突出部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の一方端及び他方端のうち前記他方端に近い位置に形成され、前記別の凹部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の前記一方端に近い位置に形成され、前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される、照明器具。」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、突出部及び凹部について、「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置される」との事項を加えて、さらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の図2において、第1突出部205と第2係合部207の各々は、鉛直方向DVにおける第1ベースユニット101の両端のいずれからも離れて配置されており、特許明細書等には、訂正事項1における「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1は、特許明細書等に記載された事項の範囲内でするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、突出部及び凹部について、「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置され」との事項を加えて、さらに限定するものである。
また、訂正事項2は、「前記別の照明器具は、対象物に取り付け可能であり、前記第2方向に延びる別のベースユニットと、別の光源、及び前記別の光源を覆う別のカバーを含み、前記別のベースユニットに装着される別のカバーユニットと、前記別のベースユニットの前記第2方向における別の端部に設けられ、前記照明器具に係合可能な別の係合部とを備え、前記別の係合部は、前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部、及び、前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部を含み、前記別の突出部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の一方端及び他方端のうち前記他方端に近い位置に形成され、前記別の凹部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の前記一方端に近い位置に形成され、前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される」との事項を加えて、別の照明器具の具体的構成を限定するとともに、照明器具における突出部及び凹部が、別の照明器具における別の凹部及び別の突出部と係合して、ベースユニットと別のベースユニットが連結されることを限定するものである。
したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
訂正事項2における、「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置され」との事項については、上記訂正事項1で検討したのと同様に、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
訂正事項2における、別の照明器具の具体的構成、すなわち、別のベースユニット、別の光源、別のカバー、別の係合部、別の突出部、別の凹部の構成については、特許明細書等の段落【0023】~【0029】、【0064】~【0066】の記載に基づくものであり、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
訂正事項2における「前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される」との事項については、特許明細書等の段落【0066】の「第1ベースユニット101の第1突出部205が第2ベースユニット102の第1係合部208に係合する。更に、第2ベースユニット102の第2突出部206が第1ベースユニット101の第2係合部207に係合する。その結果、第1ベースユニット101と第2ベースユニット102とが連結される。」との記載及び図2に基づくものであるから、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項2は、特許明細書等に記載された事項の範囲内でするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
3 一群の請求項
訂正前の請求項1~4において、請求項2、3は、それぞれ、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 訂正請求についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4について、訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」で説示したように本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
対象物に取り付け可能であり、第1方向に延びるベースユニットと、
光源、及び前記光源を覆うカバーを含み、前記ベースユニットに装着されるカバーユニットと、
前記ベースユニットの前記第1方向における端部に設けられ、別の照明器具に係合可能な係合部と
を備え、
前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み、
前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、
前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、
前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合い、
前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置される、照明器具。
【請求項2】
前記第3方向における前記ベースユニットの寸法と、前記第1方向及び前記第3方向に交差する方向における前記ベースユニットの寸法とは、前記交差する方向における前記カバーユニットの寸法と略同一である、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記係合部が前記別の照明器具に係合した状態において、前記別の照明器具と一直線上に並ぶ、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
対象物に取り付け可能であり、第1方向に延びるベースユニットと、
光源、及び前記光源を覆うカバーを含み、前記ベースユニットに装着されるカバーユニットと、
前記ベースユニットの前記第1方向における端部に設けられ、別の照明器具に係合可能な係合部と
を備え、
前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み、
前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、
前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、
前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置され、
前記第3方向における前記ベースユニットの寸法と、前記第1方向及び前記第3方向に交差する方向における前記ベースユニットの寸法とは、前記交差する方向における前記カバーユニットの寸法と略同一であり、
前記別の照明器具は、
対象物に取り付け可能であり、前記第2方向に延びる別のベースユニットと、
別の光源、及び前記別の光源を覆う別のカバーを含み、前記別のベースユニットに装着される別のカバーユニットと、
前記別のベースユニットの前記第2方向における別の端部に設けられ、前記照明器具に係合可能な別の係合部と
を備え、
前記別の係合部は、前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部、及び、前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部を含み、
前記別の突出部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の一方端及び他方端のうち前記他方端に近い位置に形成され、
前記別の凹部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の前記一方端に近い位置に形成され、
前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される、照明器具。」
第4 特許異議申立理由の概要
特許異議申立書において、申立人が主張する特許異議の申立ての理由は、概略次のとおりである。
1 申立理由
(1)特許法第29条第1項第3号又は同条第2項(新規性・進歩性)
本件発明1、3は、甲第1号証に記載された発明と同一であるか、又は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明1、3は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2~9号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)特許法第29条第2項(進歩性)
本件発明2、4は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第10号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、4は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2~9号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、4は、甲第1号証に記載された発明、甲第10号証に記載された発明及び周知技術(甲第2~9号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)特許法第17条の2第3項(新規事項)
平成5年4月13日付手続補正書における補正は、本件特許の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものではない。
(4)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)
請求項1、4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないので、請求項1、4及び請求項1を引用する請求項2、3に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
(5)特許法第29条第1項第3号又は同条第2項(分割要件違反に基づく新規性・進歩性)
本件特許に係る出願は、不適法な分割出願であるから、本件特許の出願日は、現実の出願日である令和4年4月15日であるところ、本件発明1~4は、本件特許の出願の基礎となった原出願の公開特許公報(甲第11号証)に記載された発明と同一であるか、当該公開特許公報に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 証拠方法
申立人は、特許異議申立書に添付して甲第1~11号証を提出し、意見書に添付して甲第12号証を提出した。
甲第1号証:特開2016-35841号公報
甲第2号証:特開2016-127027号公報
甲第3号証:特開2017-54616号公報
甲第4号証:特開2017-54617号公報
甲第5号証:特開2017-224487号公報
甲第6号証:特開2017-224488号公報
甲第7号証:特開2017-224489号公報
甲第8号証:特開2012-164514号公報
甲第9号証:国際公開第2013/021793号公報
甲第10号証:特開2018-67573号公報
甲第11号証:特開2019-207831号公報(原出願の公開公報)
甲第12号証:Panasonic 施設・屋外・店舗照明 総合カタログ2018
以下、甲第1号証~甲第12号証を、それぞれ甲1~甲12という。
第5 取消理由通知(決定の予告)の概要
取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由は、概略次のとおりである。
理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<理由1について>
・請求項4
請求項4には「別の端部」について、ベースユニットが有する構成であるのか、別のベースユニットが有する構成であるのか、不明確である。
<理由2、3について>
・請求項1~4
・引用文献等 甲1
第6 当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について
1-1 明確性要件について
本件訂正により、請求項4において「別の端部」は別のベースユニットが有する構成であることが明確になったから、明確性要件についての取消理由は解消した。
1-2 新規性・進歩性について
1-2-1 甲号証に記載された事項及び発明等
(1)甲1
ア 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は当審において付与したものであり、「・・・」は、摘記を省略したことを示す。(以下、同じ。)
「【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
・・・また、複数個の照明器具10A、101Aを、一直線上に連結接続して、連続した一つの照明装置として用いることができる。
なお、以下の説明においては、天井11側を「上」とし、床側を「下」と云うこととする。
【0012】
図2(A)に示すように、照明器具10Aは、天井11に取り付けられる器具本体20を有する。器具本体20は、全体矩形の金属製の板状部材であるベースプレート21と、ベースプレート21に取り付けられる断面コ字形状のアルミ製の本体カバー22を有する。
ベースプレート21は、矩形のベース本体23と、ベース本体23の長手方向両端に各々突出して設けられている舌状の鍔部24(電源入力側鍔部241、電源送り側鍔部242)を有する。鍔部24は、ベース本体23の中心に対して点対称の位置に設けられている。
【0013】
一方(例えば図2(A)において右側)の鍔部24は、電源入力側鍔部241であり、他方の鍔部24は、電源送り側鍔部242である。電源入力側鍔部241および電源送り側鍔部242には、ビス孔25が設けられている。電源入力側鍔部241および電源送り側鍔部242はベースプレート21の幅の半分よりも若干小さめの幅を有しており、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている。ベース本体23には、長手方向両端部に、各々開口232が設けられている。
また、電源入力側の端部には、電源入力側鍔部241の段差部231に隣接するように、ベース本体23よりも下方に下がった矩形状の鍔部押え板233が設けられている。鍔部押え板233とベース本体23との間には、同構造の第1実施形態に係る別の照明器具101A(図4(A)および図4(B)参照)における電源入力側鍔部241が挿入された際に、この挿入された電源入力側鍔部241の先端部を固定する係止開口234(図3(A)参照)が設けられている。なお、第1実施形態では鍔部押え板233は一方のみ設けたが、両方に設けても良い。」
「【0015】
固定ビス26をビス孔25に挿通して、ベースプレート21を天井11に固定した状態では、両鍔部24(電源入力側鍔部241、電源送り側鍔部242)の上面のみが天井11に接し、ベース本体23と天井11との間には隙間が形成される。
【0016】
図2(A)に示すように、ベースプレート21の下面211には、電源部30が取り付けられている。電源部30は、電源回路基板31を有しており、各種電気部品が取り付けられている。電源回路基板31の下面には、多数の凸部311が設けられている。
また、ベースプレート21の下面211には、電源部30を覆うように、全体コ字形状の金属製の支持プレート32が取り付けられている。電源回路基板31は絶縁シート(図示せず)にて包まれており、支持プレート32と電源回路基板31の半田されたリード線(図示せず)とが絶縁されている。支持プレート32の長手方向両外側には、各々端子台33が取り付けられている。各端子台33は、ベースプレート21のベース本体23に設けられている開口232の位置に対応して配置されている。
【0017】
本体カバー22の底板28の下面には、光源部34が取り付けられている。光源部34は、長尺な矩形状のLED回路基板35と、LED回路基板35の実装面に実装されるLEDパッケージ36を有する。ここでは、LEDパッケージ36は、LED回路基板35の幅方向中央に、長手方向に沿って一列に実装されているが、これに限るものではない。LED回路基板35は、ネジ37によって本体カバー22の底板28に固定される。
また、本体カバー22の下側には、光源部34を覆うように透光性カバー38が取り付けられている。」
「【0023】
次いで、このようにして天井11に取り付けられている照明器具10Aの電源送り側(図4(A)において右側)に、照明器具101Aを連結して取り付ける。
まず、照明器具10Aの電源送り側端部カバー42の蓋部44を除去するとともに、照明器具101Aの電源入力側端部カバー41の蓋部44を除去して、端子台33同士を電線で接続する。そして、照明器具101Aの電源入力側鍔部241を、照明器具10Aの電源送り側端部カバー42の第2挿通孔46に挿入する。同時に、照明器具101Aの電源入力側端部カバー41の第2挿通孔46に、固定ビス26で固定された照明器具10A側の電源送り側鍔部242を挿入する(図4(A)中矢印参照)。
【0024】
これにより、照明器具10Aの電源送り側鍔部242の先端部が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて固定される(図4(B)参照)。
そして、最後に、図4(B)に示すように、照明器具101Aの電源送り側鍔部242を固定ビス26で天井11に固定することにより、照明器具101Aが取り付けられる。なお、3個以上の照明器具10Aを連結する場合は、上述した工程を繰り返すことにより、容易に取り付けることができる。」
図2「
[図:0001424558000001.jpg]
」
図3「
[図:0001424558000002.jpg]
」
図4「
[図:0001424558000003.jpg]
」
イ 甲1の記載から認められる事項
甲1の記載から、以下の事項が認められる。
(ア)照明器具101Aと照明器具10Aの関係
段落【0013】に記載された「照明器具101A」は、同段落における「同構造」との記載から、照明器具10Aと同じ構造であると認められる。そのため、上記アで摘記した記載事項は、基本的に照明器具10Aに関するものであるものの、照明器具101Aも同じ構成であると認められ、以下(イ)、(ウ)の認定においては照明器具101Aの構成として認定している。なお、以降、照明器具10Aを別の照明器具10Aという。
(イ)照明器具101Aにおける連結接続構造等について
図2において、ベースプレート21の長手方向のうち電源入力側鍔部241が設けられる方向を第1方向とし、電源送り側鍔部242が設けられる方向を第2方向とすると、ベースプレート21は長手方向に第1方向及び第2方向に延びると認められる。また、図2から、電源入力側鍔部241は、ベース本体23の長手方向の第1方向における端部から第1方向に突出していることが看取でき、段落【0012】、【0013】の記載も合わせると、ベースプレート21は、ベース本体23の長手方向の第1方向における端部から第1方向に突出して、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源入力側鍔部241を有していると認められる。
段落【0013】及び図2、3から、ベースプレート21は、電源入力側鍔部241と同じ長手方向の端部には、ベース本体23よりも下方に下がって長手方向に開口する鍔部押え板233が設けられるものと認められる。また、段落【0013】、【0024】の記載から、ベースプレート21は、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が挿入された際に、この挿入された電源送り側鍔部242の先端部が鍔部押え板233を通って挿入されて固定される係止開口234が設けられるものと認められる。
(ウ)照明器具101Aにおける連結接続構造の位置関係について
ベースプレート21の短手方向について、図4における下側を短手方向の一側、図4における上側を短手方向の他側とすると、図2、4から、電源入力側鍔部241は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の一側に設けられ、鍔部押え板233と係止開口234は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の他側に設けられることが看取できる。
図2から、以下に示す参考図1のように、電源入力側鍔部241が突出する根元の位置と、鍔部押え板233が開口する端部の位置は、ベースプレート21の短手方向で見て一致していることが看取できる。
[参考図1](甲1の図2の部分拡大図に当審において加筆)
[図:0001424558000004.jpg]
(エ)別の照明器具10Aの全体構造について
上記(ア)のとおり、照明器具101Aと別の照明器具10Aとは同構造であるから、別の照明器具10Aは、照明器具101Aと同構造の別のベースプレート21、別の電源部30、別の支持プレート32、別の本体カバー22、別の光源部34、別の透光性カバー38を有するものと認められる。
(オ)別の照明器具10Aの連結接続構造について
上記(イ)で認定した第2方向、段落【0012】、【0013】の記載、図2から、別のベースプレート21は、ベース本体23の長手方向の第2方向における端部から第2方向に突出して段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源送り側鍔部242を有していると認められる。
段落【0023】には「照明器具101Aの電源入力側鍔部241を、照明器具10Aの電源送り側端部カバー42の第2挿通孔46に挿入する。」と記載され、図3等から電源入力側鍔部241の長さは電源送り側端部カバー42の第2挿通孔46の幅よりも長いことが看取できる。そうすると、別の照明器具10Aの別のベースプレート21の、図3(B)に示される第2挿通孔46に隣接した部分は、照明器具101Aの電源入力側鍔部241が挿入できる構造になっている必要がある。そして、段落【0013】の記載から、電源送り側鍔部242は、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられていることも踏まえれば、上記挿入できる構造として、電源送り側鍔部242と同じ長手方向の端部には、電源送り側鍔部242より下方のベース本体23の部分であって、電源入力側鍔部241が挿入される部分が設けられていると認められる(以下の参考図2を参照。また、この部分を以下「電源入力側鍔部241の挿入部分」という。)。
また、上記(ウ)で認定した短手方向の一側及び他側、図2、4から、電源送り側鍔部242は、別のベースプレート21の第2方向における端部において短手方向の他側に設けられ、電源入力側鍔部241の挿入部分は、別のベースプレート21の第2方向における端部において短手方向の一側に設けられていると認められる。
[参考図2](甲1の図3の部分拡大図に当審において加筆)
[図:0001424558000005.jpg]
(カ)照明器具101Aと別の照明器具10Aの連結態様について
上記(イ)、(オ)及び段落【0023】、【0024】の記載等を踏まえると、照明器具101Aと別の照明器具10Aが連結接続される際の、電源入力側鍔部241や電源送り側鍔部242の連結態様は次のとおりと認められる。
照明器具101Aの電源入力側鍔部241が、別の照明器具10Aの電源入力側鍔部241の挿入部分に挿入され、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて、照明器具101Aに別の照明器具10Aが連結される。
ウ 甲1発明
上記ア及びイから、甲1には、照明器具101Aに係る次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「天井11に固定され長手方向の第1方向及び第2方向に延びるベースプレート21、ベースプレート21の下面211に取り付けられた電源部30、ベースプレート21の下面211に電源部30を覆うように取り付けられた全体コ字形状の支持プレート32と、
ベースプレート21に取り付けられる断面コ字形状の本体カバー22、本体カバー22の底面28の下面に取り付けられる光源部34、本体カバー22の下側に光源部34を覆うように取り付けられる透光性カバー38と、
を有し、
ベースプレート21は、矩形のベース本体23と、ベース本体23の長手方向の第1方向における端部から第1方向に突出して、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源入力側鍔部241を有し、電源入力側鍔部241と同じ長手方向の端部には、ベース本体23よりも下方に下がって長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233が設けられるとともに、別の照明器具10Aにおける電源送り側鍔部242が挿入された際に、この挿入された電源送り側鍔部242の先端部が鍔部押え板233を通って挿入されて固定される係止開口234が設けられ、
電源入力側鍔部241は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の一側に設けられ、鍔部押え板233と係止開口234は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の他側に設けられ、
電源入力側鍔部241が突出する根元の位置と、鍔部押え板233が開口する端部の位置は、ベースプレート21の短手方向で見て一致しており、
別の照明器具10Aと一直線上に連結接続される、
照明器具101Aであり、
別の照明器具10Aは、照明器具101Aと同構造の別のベースプレート21、別の電源部30、別の支持プレート32、別の本体カバー22、別の光源部34、別の透光性カバー38を有し、
別のベースプレート21は、矩形のベース本体23と、ベース本体23の長手方向の第2方向における端部から第2方向に突出して段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源送り側鍔部242を有し、電源送り側鍔部242と同じ長手方向の端部には、電源入力側鍔部241の挿入部分が設けられ、
電源送り側鍔部242は、別のベースプレート21の長手方向の第2方向における端部において短手方向の他側に設けられ、電源入力側鍔部241の挿入部分は、別のベースプレート21の長手方向の第2方向における端部において短手方向の一側に設けられ、
照明器具101Aの電源入力側鍔部241が、別の照明器具10Aの電源入力側鍔部241の挿入部分に挿入され、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて、照明器具101Aに別の照明器具10Aが連結される、
照明器具101A。」
(2)甲2
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0033】
前記トラックハウジング100は、設置対象面に固定されるか、埋込みまたは懸垂式(suspended)など、様々な形態で設置されることができる。前記トラックハウジング100は、下部が開口されて内部に前記照明モジュール200が結合することができる収容空間111が形成されたフレーム110と、前記照明モジュール200の接続端子210に対応する位置に配置される電源端子120と、前記電源端子120を囲んでフレーム110に固定される絶縁部材130と、前記絶縁部材の前記照明モジュール200の接続端子210と向かい合う面に長さ方向に形成されて前記電源端子120の第1面を露出させる開口溝131を含む。前記フレーム110は、構造的剛性および軽量化のためにアルミニウムのような軽量金属材質からなることができる。また、前記フレーム110の端部に位置する絶縁部材130には、前記電源端子120の第1面と隣合うか、反対側に位置する電源端子の第2面を露出させる挿入溝132が形成される。
【0034】
前記トラックハウジング100は、複数のフレーム110を一列に連結して必要な長さに延長することができ、そのために、隣合う一対のフレーム110の電源端子120を電気的に連結するための接続片140を含むことができる。前記接続片140の電源端子120と向かい合う面には、前記電源端子120との安定した接続のために接続突起141が形成され、電源端子120と向かい合う面の中央には、両側の電源端子120の間で接続片140の位置を固定するための突出顎部142が突出形成される。一方、前記接続突起141は、後端部が接続片140に連結され、先端部は、電源端子120に向かって傾斜方向に突出した弾性体の形態でなされることも可能である。
【0035】
一方、前記トラックハウジング100の開口には、透光性材質の拡散カバー300が配置されて、収容空間110を閉じるとともに、ラインタイプの照明モジュール200から提供されるLED照明光を柔らかに拡散させることも可能である。
【0036】
前記のように構成された本発明のラインタイプの照明装置によれば、設置対象面に複数のフレーム110を連結設置して、必要な長さのトラックハウジング100を構成し、前記複数のフレーム110の連結部位には、接続片140を配置して両側のフレーム110の電源端子120を電気的に連結することができる。
【0037】
前記電源端子120の第1面は、開口溝131を介して収容空間111側に露出し、第1面と隣合うか反対側に位置する第2面は、挿入溝132を介して露出する。したがって、前記接続片140は、両端部が互いに隣合う一対のフレーム110の挿入溝132にそれぞれ挿入されて両側の電源端子120の第2面に接続することによって、両側のフレーム110の電源端子120を電気的に連結することができる。この際、前記接続片140の両端部に形成された接続突起141が両側のフレーム110の電源端子120にそれぞれ接触し、接続片140の中央に形成された突出顎部142が、両側の電源端子120の端部の間に介在して接続片140の位置が固定される。特に、電源端子120の第1面は、電源端子120を囲んでいる絶縁部材130の開口溝131を介して長さ方向に沿って露出しているため、照明モジュール200の接続端子210が前記電源端子120の第1面に接続された状態で開口溝131に沿ってスライディングすることができる。」
図2「
[図:0001424558000006.jpg]
」
図3「
[図:0001424558000007.jpg]
」
(3)甲3、4
甲3には、以下の事項が記載されている。また、甲4にも同様の事項が記載されている。
「【0031】
取付板12は、図2に示すように、板本体121と、鍔部122と、ネジ孔123と、挿通孔124と、段差部125とを有する。本実施の形態では、取付板12は、鍔部122、ネジ孔123及び挿通孔124の各々を2つずつ備える。」
「【0038】
段差部125は、板本体121の一方の端部に設けられている。段差部125は、板本体121に対して厚み方向に段差を有する。具体的には、段差部125は、板本体121より下方に位置している。
【0039】
段差部125は、複数の照明器具1が後付部材50を利用せずに連結された場合に、隣の照明器具1のネジ孔123に挿入されたネジ(例えば、取付ネジ3)の頭を避けるための逃げ部として機能する。なお、段差部125は、板本体121の他方の端部にも設けられていてもよい。あるいは、取付板12には、段差部125は設けられていなくてもよい。」
図2「
[図:0001424558000008.jpg]
」
(4)甲5~7
甲5には、次の事項が記載されている。また、甲6、甲7にも同様の事項が記載されている。
「【0013】
一対のエンド部材は、本体部の長手方向の第1端(右端)に取り付けられる第1エンド部材22と、本体部の長手方向の第2端(左端)に取り付けられる第2エンド部材23とを含む。第1エンド部材22は、矩形板状に形成されている。また、第1エンド部材22の下端部分が外向き(右向き)に曲げ起こされている。第1エンド部材22は、本体部の第1端に取り付けられて本体部の第1端を塞いでいる(図1及び図7参照)。第2エンド部材23は、本体部の第2端に取り付けられて本体部の第2端を部分的に塞いでいる。ただし、第2エンド部材23は、後述するように他の照明器具(照明器具1と同一の構造を有する照明器具)が連結可能となるように構成されている。第2エンド部材23の詳細な構成については、後述する。」
「【0042】
次に、2台の照明器具1を連結する場合の施工作業の手順を説明する。まず、施工作業を行う作業者は、1台目の器具本体2を複数本の吊りボルトに取り付ける。
【0043】
続いて、作業者は、2台目の器具本体2の第2エンド部材23の雌ねじ部2303に雄ねじ25をねじ込んでおく(図12参照)。それから、作業者は、2台目の器具本体2を天井仕上げ材10の埋込孔11に挿入し、1台目の器具本体2の第2エンド部材23の溝部2302(当審注:「挿通溝2304」の誤記)に、2台目の器具本体2の第2エンド部材23の雄ねじ25を挿通する(図13参照)。それから、作業者は、2台目の器具本体2を複数本の吊りボルトに取り付ける。その後、作業者は、2台目の器具本体2の第2エンド部材23の溝部2302(当審注:同上)に別の雄ねじ25を挿通し、その別の雄ねじ25を1台目の器具本体2の第2エンド部材23の雌ねじ部2303にねじ込む。作業者は、2本の雄ねじ25を締め込むことによって、2台の器具本体2のそれぞれの第2エンド部材23同士を固定する(図13参照)。最後に、作業者は、2台の器具本体2のそれぞれに光源ユニット3を取り付ける。このとき、作業者は、2台の光源ユニット3のそれぞれの導光板4及び反射板(第1反射板51A及び第2反射板51B)が真っ直ぐに連なるように、それぞれの器具本体2に対する光源ユニット3の取付角度を調整する。以上のようにして、2台の照明器具1が連結された状態で施工される(図11参照)。」
図12「
[図:0001424558000009.jpg]
」
(5)甲8
甲8には、次の事項が記載されている。
「【0046】
図4は、前記照明管ユニット2の要部分解斜視図である。前記直管21内に形成された段差部29に沿って前記基板27をスライド挿入して、蓋部材210を直管21に取り付けて基板27を固定する。図11は、上記実施形態の直管型LED照明管1の接合面211を構成する蓋部材210を例示する図であり、図11(a)は表側から見た斜視図であり、図11(b)は裏側から見た斜視図である。本実施形態の蓋部材11は円盤形状を呈し、接合面211の側(表側)には、所定間隔で複数の突起213(凸213)と複数の穴212(凹212)が配されており、裏側には、直管21に嵌め込むための三日月形状の突起214と215とが形成されている。これら三日月形状の突起214と215とは大きさが異なっており、前記直管21に嵌合させた場合に、逆取り付けを防止する。そして、これら三日月形状の突起214と215とで直管21内の段差部29を挟むようにして、前記直管21に嵌合させる。図示しないが、蓋部材11の接合面211と直管21の端面とは面一になっている。
本実施形態の構成により、蓋部材210を直管21から取り外すことでLED基板27を直管21から引き出して取り外すことができ、LED基板27をスライド挿入する溝(図2では2本の溝)を変更することで照度が調節できるようになっている。」
図3「
[図:0001424558000010.jpg]
」
(6)甲9
甲9には、次の事項が記載されている。
「[0017] 図2に示すように、照明装置1は、天井等の取付面に設置される装置本体2と、装置本体2に取り付けられた照明カバー3と、装置本体2および照明カバー3の両端部に装着されたサイドカバー4とを備えている。」
「[0023] サイドカバー4は、照明装置1の長手方向の両端部(装置本体2の長手方向の両端部)に設けられている。サイドカバー4の外側面(照明装置1の側面または端面)の一部には、凸部4aおよび凹部4bが形成されている。凸部4aおよび凹部4bは、照明装置1を複数連設するための嵌合部である。照明装置1の連設については後述する。サイドカバー4は、装置本体2および照明カバー3の両端部に装着されている。サイドカバー4は、例えば、ポリカーボネート樹脂から構成することができる。」
図2「
[図:0001424558000011.jpg]
」
(7)甲10
甲10には、次の事項が記載されている。
「【0098】
図12及び図13に示すように、本実施の形態における照明器具2は、ウォールウオッシャー用の照明装置であり、例えば壁面に設置される。この場合、照明器具2は、左右又は上下の2方向に光を放射し、照明器具2の両側の壁面を照射する。
【0099】
照明器具2は、実施の形態1における発光モジュール1と、基台3と、レンズ4と、一対の透光カバー5と、遮光カバー6とを備える。」
図12「
[図:0001424558000012.jpg]
」
(8)甲12
甲12には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001424558000013.jpg]
」
1-2-2 新規性・進歩性の検討
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)ベースユニットについて
後者の「天井11」は前者の「対象物」に相当し、後者の「ベースプレート21」及びこれに取り付けられる「電源部30」、「支持プレート32」からなる構成は、前者の「ベースユニット」に相当する。
そうすると、後者の「天井11に固定され長手方向の第1方向及び第2方向に延びるベースプレート21、ベースプレート21の下面211に取り付けられた電源部30、ベースプレート21の下面211に電源部30を覆うように取り付けられた全体コ字形状の支持プレート32」の構成は、前者の「対象物に取り付け可能であり、第1方向に延びるベースユニット」の構成に相当する。
(イ)カバーユニットについて
後者の「光源部34」及び「透光性カバー38」は、前者の「光源」及び「カバー」にそれぞれ相当し、後者の「本体カバー22」及びこれに取り付けられる「光源部34」、「透光性カバー38」からなる構成は、前者の「カバーユニット」に相当する。
そうすると、後者の「ベースプレート21に取り付けられる断面コ字形状の本体カバー22、本体カバー22の底面28の下面に取り付けられる光源部34、本体カバー22の下側に光源部34を覆うように取り付けられる透光性カバー38」の構成は、前者の「光源、及び前記光源を覆うカバーを含み、前記ベースユニットに装着されるカバーユニット」の構成に相当する。
(ウ)係合部について
後者の「電源入力側鍔部241」は、突出して設けられているから、前者の「突出部」に相当し、後者の「ベース本体23の長手方向の第1方向における端部から第1方向に突出して、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源入力側鍔部241」は、前者の「前記端部から前記第1方向に突出する突出部」に相当する。
後者の「長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233」及び「係止開口234」からなる構成は、開口であるから、前者の「凹部」に相当し、別の照明器具10Aの第2方向に突出した電源送り側鍔部242を挿入するものであるから、その方向は、第2方向に向かうことは明らかである。そうすると、後者の「電源入力側鍔部241と同じ長手方向の端部には、ベース本体23よりも下方に下がって長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233」及び「別の照明器具10Aにおける電源送り側鍔部242が挿入された際に、この挿入された電源送り側鍔部242の先端部が鍔部押え板233を通って挿入されて固定される係止開口234」は、前者の「前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部」に相当する。
また、後者の「別の照明器具10A」は前者の「別の照明器具」に相当し、後者の、照明器具101Aに別の照明器具10Aを連結接続した状態で、照明器具101Aの電源入力側鍔部241が、別の照明器具10Aの電源入力側鍔部241の挿入部分に挿入され、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて固定される構成を踏まえれば、後者の「電源入力側鍔部241」、「鍔部押え板233」、「係止開口234」からなる構成は、前者の「別の照明器具に係合可能な係合部」に相当する。
以上をまとめると、後者の「ベースプレート21は、矩形のベース本体23と、ベース本体23の長手方向の第1方向における端部から第1方向に突出して、段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源入力側鍔部241を有し、電源入力側鍔部241と同じ長手方向の端部には、ベース本体23よりも下方に下がって長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233が設けられるとともに、別の照明器具10Aにおける電源送り側鍔部242が挿入された際に、この挿入された電源送り側鍔部242の先端部が鍔部押え板233を通って挿入されて固定される係止開口234が設けられ」の構成は、前者の「前記ベースユニットの前記第1方向における端部に設けられ、別の照明器具に係合可能な係合部」「を備え」の構成に相当するとともに、「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」の構成に相当する。
(エ)係合部の位置関係について
後者の「短手方向」は、前者の「前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向」に相当する。
そうすると、後者の「電源入力側鍔部241は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の一側に設けられ、鍔部押え板233と係止開口234は、ベースプレート21の長手方向の第1方向における端部において短手方向の他側に設けられ」の構成は、前者の「前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され」の構成に相当する。
また、後者の「短手方向で見て一致して」の構成は、前者の「前記第3方向において重なり合い」の構成に相当し、後者の「電源入力側鍔部241が突出する根元の位置と、鍔部押え板233が開口する端部の位置は、ベースプレート21の短手方向で見て一致して」の構成は、前者の「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合い」の構成に相当する。
(オ)照明器具について
後者の「照明器具101A」は、前者の「照明器具」に相当する。
(カ)一致点及び相違点
上記(ア)~(オ)を総合すると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「対象物に取り付け可能であり、第1方向に延びるベースユニットと、
光源、及び前記光源を覆うカバーを含み、前記ベースユニットに装着されるカバーユニットと、
前記ベースユニットの前記第1方向における端部に設けられ、別の照明器具に係合可能な係合部と
を備え、
前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み、
前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、
前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、
前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う、照明器具。」
<相違点1>
ベースユニットの第1方向における端部に設けられる係合部の突出部及び凹部について、本件発明1は、「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置される」のに対し、甲1発明の「電源入力側鍔部241」(「突出部」に相当)並びに「長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233」及び「係止開口234」からなる構成(「凹部」に相当)は、そのような配置になっていない点。
イ 判断
相違点1について検討する。
甲1発明の「電源入力側鍔部241」(「突出部」に相当)並びに「長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233」及び「係止開口234」からなる構成(「凹部」に相当)を、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲1に記載も示唆もない。
また、以下に示すように、甲2~甲10、甲12に記載された事項から、当業者が容易になし得たことともいえない。
(ア)甲2について
甲2には、設置対象面に固定されるトラックハウジング100のフレーム110に挿入溝132が設けられ、複数のフレーム110を一列に連結する際に、互いに隣合うフレーム110の挿入溝132に接続片140がそれぞれ挿入されて、複数のフレーム110を連結することが記載されている。そして、図2から、挿入溝132及び接続片140は、コ字状に形成されたフレーム110の対向する側面において上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置されることが看取できる。
しかしながら、甲1発明のベースプレート21は、天井11に固定され長手方向の第1方向及び第2方向に延びる板状の部材であり、甲2のトラックハウジング100のように対向する側面を有するコ字状のフレーム110ではないから、甲2のような上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置される挿入溝132及び接続片140を設けられるものではない。
また、甲1発明における本体カバー22は対向する側面を有するものであるものの、仮に、本体カバー22に甲2の挿入溝132及び接続片140を配置することを着想し得たとしても、甲1発明の本体カバー22は、本件発明1のカバーユニットに相当するものであるから(上記ア(イ)参照)、本体カバー22に甲2の挿入溝132及び接続片140を設けたものは、相違点1に係る本件発明1のようにベースユニットの端部に突出部及び凹部を設けるものではない。
(イ)甲5~7について
甲5~7には、器具本体2に、端部を部分的に塞ぐように第2エンド部材23を設け、第2エンド部材23には雄ねじ25をねじ込む雌ねじ部2303と挿通溝2304を設け、2台の器具本体2の第2エンド部材23の挿通溝2304に雄ねじ25を挿通して雌ねじ部2303に締め込むことによって、2台の器具本体を固定することが記載されている。そして、雄ねじ25及び溝部2302は、器具本体2の上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置されている。
しかしながら、甲1発明のベースプレート21は、天井11に固定され長手方向の第1方向及び第2方向に延びる板状の部材であり、甲5~7の第2エンド部材23のように器具本体2の端部を塞ぐように設けられるものではないから、甲5~7のような上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置される雄ねじ25及び溝部2302を設けられるものではない。
(ウ)甲9について
甲9には、装置本体2および照明カバー3の両端部に装着されたサイドカバー4に、照明装置1を複数連設するための嵌合部である凸部4aおよび凹部4bを形成することが記載されている。そして、凸部4aおよび凹部4bは、サイドカバー4の上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置されている。
しかしながら、甲1発明のベースプレート21は、天井11に固定され長手方向の第1方向及び第2方向に延びる板状の部材であり、甲9のサイドカバー4のように装置本体2および照明カバー3の両端部に装着されたものではないから、甲9のような上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置されている凸部4aおよび凹部4bが設けられるものではない。
(エ)甲12について
甲12には、甲9の凸部4aおよび凹部4bと類似のものと思われる位置決めダボが記載されているが、上記cにおいて説示したのと同様に、甲1発明のベースプレート21に上下方向の両端のいずれからも離間した位置に配置されている位置決めダボを設けられるものではない。
(オ)その他
その他、甲3、4、8、10にも、甲1発明において相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることの開示又は示唆はない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないし、さらに、甲2~甲10、甲12に記載された事項を参酌しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、3について
本件発明1については、上記(1)で検討したとおりであるところ、本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものである。
そうすると、本件発明2、3は、甲1発明ではない。
また、本件発明2、3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないし、さらに、甲2~甲10、甲12に記載された事項を参酌しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲1発明を対比する。
(ア)照明器具の全体構造について
上記(1)ア(ア)~(オ)の相当関係については、本件発明4と甲1発明との関係でも同じである。
(イ)別の照明器具の全体構造について
後者の「別の照明器具10Aは、照明器具101Aと同構造の別のベースプレート21、別の電源部30、別の支持プレート32、別の本体カバー22、別の光源部34、別の透光性カバー38を有し」の構成は、別の照明器具10Aが照明器具101Aと同構造であるから、前者の「前記別の照明器具は、対象物に取り付け可能であり、前記第2方向に延びる別のベースユニットと、別の光源、及び前記別の光源を覆う別のカバーを含み、前記別のベースユニットに装着される別のカバーユニットと」「を備え」の構成に相当する。
(ウ)別の照明器具の別の係合部について
後者の「長手方向の第2方向における端部」は前者の「別の端部」に相当し、後者の「ベース本体23の長手方向の第2方向における端部から第2方向に突出して段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源送り側鍔部242」は、前者の「前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部」に相当する。
後者の「電源送り側鍔部242と同じ長手方向の端部」に設けられる「電源入力側鍔部241の挿入部分」は、照明器具101Aの第1方向に突出した電源入力側鍔部241が挿入されるものであるから、前者の「前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部」に相当する。
そして、後者の、照明器具101Aに別の照明器具10Aを連結接続した状態で、照明器具101Aの電源入力側鍔部241が、別の照明器具10Aの電源入力側鍔部241の挿入部分に挿入され、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて固定される構成を踏まえれば、後者の「電源送り側鍔部242」及び「電源入力側鍔部241の挿入部分」からなる構成は、前者の「前記照明器具に係合可能な別の係合部」に相当する。
以上を踏まえると、後者の「別のベースプレート21は、矩形のベース本体23と、ベース本体23の長手方向の第2方向における端部から第2方向に突出して段差部231を介してベース本体23よりも板厚方向の上側に設けられている電源送り側鍔部242を有し、電源送り側鍔部242と同じ長手方向の端部には、電源入力側鍔部241の挿入部分が設けられ」の構成は、前者の「前記別のベースユニットの前記第2方向における別の端部に設けられ、前記照明器具に係合可能な別の係合部」「を備え、前記別の係合部は、前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部、及び、前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部を含み」の構成に相当する。
後者の「電源送り側鍔部242は、別のベースプレート21の長手方向の第2方向における端部において短手方向の他側に設けられ、電源入力側鍔部241の挿入部分は、別のべースプレート21の長手方向の第2方向における端部において短手方向の一側に設けられ」の構成は、前者の「前記別の突出部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の一方端及び他方端のうち前記他方端に近い位置に形成され、前記別の凹部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の前記一方端に近い位置に形成され」の構成に相当する。
(エ)照明器具の係合部と別の照明器具の別の係合部との係合状態について
後者の「照明器具101Aの電源入力側鍔部241が、別の照明器具10Aの電源入力側鍔部241の挿入部分に挿入され、別の照明器具10Aの電源送り側鍔部242が、照明器具101Aの鍔部押え板233を通って係止開口234に挿入されて、照明器具101Aに別の照明器具10Aが連結される」の構成は、前者の「前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される」の構成に相当する。
(オ)一致点及び相違点
上記(ア)~(エ)を総合すると、本件発明4と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「対象物に取り付け可能であり、第1方向に延びるベースユニットと、
光源、及び前記光源を覆うカバーを含み、前記ベースユニットに装着されるカバーユニットと、
前記ベースユニットの前記第1方向における端部に設けられ、別の照明器具に係合可能な係合部と
を備え、
前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み、
前記突出部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向の一方端及び他方端のうち前記一方端に近い位置に形成され、
前記凹部は、前記ベースユニットの前記端部において、前記第3方向の前記他方端に近い位置に形成され、
前記別の照明器具は、
対象物に取り付け可能であり、前記第2方向に延びる別のベースユニットと、
別の光源、及び前記別の光源を覆う別のカバーを含み、前記別のベースユニットに装着される別のカバーユニットと、
前記別のベースユニットの前記第2方向における別の端部に設けられ、前記照明器具に係合可能な別の係合部と
を備え、
前記別の係合部は、前記別の端部から前記第2方向に突出する別の突出部、及び、前記第1方向に前記別の端部から向かう別の凹部を含み、
前記別の突出部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の一方端及び他方端のうち前記他方端に近い位置に形成され、
前記別の凹部は、前記別のベースユニットの前記別の端部において、前記第3方向の前記一方端に近い位置に形成され、
前記係合部の前記突出部が前記別の照明器具の前記別の凹部に係合し、前記係合部の前記凹部に前記別の照明器具の前記別の突出部が係合して、前記ベースユニットに前記別の照明器具の前記別のベースユニットが連結される、照明器具。」
<相違点2>
ベースユニットの第1方向における端部に設けられる係合部の突出部及び凹部について、本件発明4は、「前記突出部及び前記凹部の各々は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向における前記ベースユニットの両端のいずれからも離間して配置され」るのに対し、甲1発明の「電源入力側鍔部241」(「突出部」に相当)並びに「長手方向に開口する矩形状の鍔部押え板233」及び「係止開口234」からなる構成(「凹部」に相当)は、そのような配置になっていない点。
<相違点3>
本件発明4は、「前記第3方向における前記ベースユニットの寸法と、前記第1方向及び前記第3方向に交差する方向における前記ベースユニットの寸法とは、前記交差する方向における前記カバーユニットの寸法と略同一であ」るのに対し、甲1発明のベースプレート21、電源部30、支持プレート32からなる構成(甲1ベースユニット構成)と、本体カバー22、光源部34、透光性カバー38からなる構成(甲1カバーユニット構成)との寸法関係が不明である点。
イ 検討
相違点2について検討すると、相違点2は、相違点1と同じであるから、相違点1で検討したのと同様に(上記(1)イ参照)、甲1発明において相違点2に係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点3について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明ではない。
また、本件発明4は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないし、さらに、甲2~甲10、甲12に記載された事項を参酌しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 取消理由通知(決定の予告)で通知しなかった特許異議申立理由について
2-1 新規事項について
(1)申立人の主張
令和5年4月13日の手続補正書による補正は、以下に示すように当初明細書等の記載の範囲内ではないので新規事項である。
ア 上記補正により請求項1、4に追加された「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項について
(ア)上記記載は、“係合部が突出部を含む”との記載になっており、係合部が突出部の上位概念であるかのような記載になっている。本件特許の出願当初の明細書等には「係合部」に関して、第1係合部208と第2係合部207が記載されているが、第1係合部208と第2係合部207が第1突出部205や第2突出部206を含むということについては一切開示されていないし、明細書によれば、第1係合部208や第2係合部207は溝状であり、突出部を含むとすることは、形状的・構造的に大きな矛盾がある。
(イ)上記記載は“係合部が凹部を含む”との記載になっている。当初明細書には「凹部」に関して第1凹部21と第2凹部12が記載されているが、第1凹部21と第2凹部12は、第1突出部205及び第2突出部206のいずれに対しても第3方向において重なり合っていない。第1突出部205及び第2突出部206と第3方向において重なり合っているものは、第2係合部207及び第1係合部208であるが、第2係合部207及び第1係合部208を「凹部」とすることについては、記載も示唆もされていない。本件特許の出願当初の明細書等には第2係合部207及び第1係合部208が略溝状であることが記載されているが、「略溝状」を「凹部」とすることは大きく上位概念化するものであり、新規事項の追加に該当する。
イ 上記補正により請求項1に追加された「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項について
そもそも、当初明細書には、「重なり合う」との文言が一切ない。このため、第3方向において、突出部及び凹部が重なり合うとはどのような状態のものまでを意味するのか判然としない。上記事項は、出願時の請求項4に対応するものであるが、出願人はこの事項の根拠として上申書において、図2を挙げている。しかしながら、「第3方向いおいて重なり合う」との文言を通常の意味で考えると、本件特許の図2を見る限り、照明器具単体でみたときに、突出部と凹部とは、第3方向において重なり合っているとはいえない。例えば、第1照明器具51単体でみたときに第1突出部205と第2係合部207(凹部)とは、第3方向において、ずれた位置に存在しており、重なり合っていない。2つの照明器具が係合した状態であれば、一方の照明器具の突出部が他方の照明器具の凹部に重なり合うとともに、一方の照明器具の凹部が他方の照明器具の突出部に重なり合うことになるとも考えられるが、本件特許発明1、4は、そのようなことを規定したものではない。
(2)新規事項についての検討
ア 「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項についての検討
本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における段落【0062】~【0066】には、第1照明器具51の第1ベースユニット101が、第1突出部205と第2係合部207を含み、第1ベースユニット101の端201aに配置されること、第1突出部205が第1方向D1に突出すること、第1突出部205及び第2係合部207は、第2照明器具52の第2ベースユニット102の第1係合部208及び第2方向D2に突出する第2突出部206に係合することが記載されている。
そうすると、第1突出部205と第1係合部208が係合するものであること、第1突出部205が第1照明器具51の第1ベースユニット101の端部から第1方向D1に突出するものであることは、当初明細書等に記載されたものであるし、第2係合部207についてみても、第2方向D2に突出する第2突出部206に係合するものであるのであるから、当該第2突出部に対してこれを係合できる形状、すなわち、第2方向D2に向かう凹部であるとして理解でき、当初明細書等の図2からもそのような形状として理解できる。
そうすると、「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項は、新たな技術的事項を導入するものではなく、当該事項を追加する補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
イ 「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項についての検討
上記アで検討したように、第1突出部205と第2係合部207が突出部及び凹部として理解できるところ、第1突出部205と第2係合部207のうち第1ベースユニット101の端部に位置する部分、すなわち、第1突出部205の根元部分と第2係合部207の開口端部部分は、当初明細書等の図2から、第3方向D3に平行な方向から見たときに重なり合っている(以下の参考図3も参照)といえる。
そうすると、「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項は、新たな技術的事項を導入するものではなく、当該事項を追加する補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
[参考図3](本件特許の図2の部分拡大図に当審で加筆)
[図:0001424558000014.jpg]
ウ 小括
以上のとおり、令和5年4月13日の手続補正書による補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
2-2 サポート要件について
サポート要件についての申立人の主張は、上記「2-1 新規事項について」で検討した「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項及び「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないというものである。
しかしながら、発明の詳細な説明には、上記「2-1 新規事項について」で検討した当初明細書等の段落【0062】~【0066】と同じ記載があり(発明の詳細な説明及び図面は補正されていない)、「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項及び「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
したがって、本件発明1~4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
2-3 分割要件違反による新規性・進歩性について
分割要件違反による新規性・進歩性についての申立人の主張は、上記「2-1 新規事項について」で検討した「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項及び「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項は、原出願(特願2018-103766号)の出願当初の明細書等にも記載されていないから、本件特許は適法に分割された出願ではなく、その出願日は現実の出願日である令和4年4月15日であり、本件発明1~4は、令和1年12月5日に出願公開された原出願の公開公報(特開2019-207831号公報(甲11))によって、新規性・進歩性がないというものである。
しかしながら、原出願の出願当初の明細書等には、上記「2-1 新規事項について」で検討した当初明細書等の段落【0062】~【0066】及び図2と同じ記載があり、「前記係合部は、前記端部から前記第1方向に突出する突出部、及び、前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記端部から向かう凹部を含み」との事項及び「前記突出部及び前記凹部は、前記第3方向において重なり合う」との事項は、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
したがって、本件特許は適法に分割されたものであり、特開2019-207831号公報(甲11)によって、本件発明1~4の新規性・進歩性は否定されない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由並びに特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。また、ほかに、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-701321