特許異議申立
2023-700935
光源ユニット及び照明器具
- 審判番号
- 2023-700935
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-158661
- 登録番号
- 7241836
- 請求日
- 2023年09月07日
- 審決日
- 2024年07月30日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】六條 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 澤崎 雅彦
- 審判官 草野 顕子
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.131-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7241836号発明「光源ユニット及び照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7241836号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第7241836号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7241836号の請求項1~5に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成27年2月26日に出願した特願2015-37199号の一部を平成31年4月12日に新たな特許出願(特願2019-76249号)とし、さらに、当該特許出願の一部を令和2年12月15日に新たな特許出願(特願2020-207242号)とし、さらに、当該特許出願の一部を令和3年9月29日に新たな特許出願(特願2021-158661号)としたものであって、令和5年3月9日にその特許権の設定登録がされ、同年3月17日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人六條直樹(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 9月 7日 特許異議の申立て(請求項1~5)
同年12月19日付け 取消理由通知書
令和6年 2月16日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年 3月27日 申立人より意見書
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年2月16日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(3)のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
訂正事項1には以下の訂正が含まれる。
[訂正事項1-1]
特許請求の範囲の請求項1の
「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と、」
との記載を、
「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と、」
に訂正する。
また、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。
[訂正事項1-2]
特許請求の範囲の請求項1の
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」
との記載を、
「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」
に訂正する。
また、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3の
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」
との記載を、
「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」
に訂正する。
また、請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~5も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
訂正事項3には以下の訂正が含まれる。
[訂正事項3-1]
特許請求の範囲の請求項4の
「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」
との記載を、
「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部」
に訂正する。
また、請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。
[訂正事項3-2]
特許請求の範囲の請求項4の
「前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側の端部」
との記載を、
「前記カバー正面部の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側の端部」
に訂正する。
また、請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1-1について
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の「透光性のカバー部」に関する「前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される」との特定を、「前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される」として、更に具体的に特定するものである。
したがって、訂正事項1-1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)における明細書の段落【0022】に「なお、カバー部1300は4つのカバー側面部1320の外側の寸法は、モジュール取付部1200の4つの取付側面部1220の内側の寸法より小さくなるよう形成されている。」と記載されており且つ図4においてカバー側面部が取付側面部と接触していないものが図示されていること、及び、段落【0035】に「図13~図16を参照し、実施の形態2では、実施の形態1で説明したカバー部1300の変形例であるカバー部2100を備えた光源ユニット2000に関して説明する。」と記載されており且つ図14においても図4と同様にカバー側面部が取付側面部と接触していないものが図示されている。
このことから、カバー部に取付側面部と接触しないカバー側面部が設けられることは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、「カバー部」を「前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される」とすることは新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1-1は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項1-1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項1-2、訂正事項2、訂正事項3-1について
令和5年12月19日付け取消理由通知の「第3 理由1(明確性)について」で示したように、訂正前の請求項1、3、4のそれぞれには、取付側面部における「端部」の位置が、「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側」と記載されているが、当該記載はどのような方向における「反対側」を意味しているのか不明確である。
これに対して、訂正事項1-2、2、3-1は、それぞれ請求項1、3、4において、取付側面部における「端部」の位置を「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側」とし、「反対側」の意味する方向を明確化するものである。
さらに、訂正事項2、3-1は、それぞれ請求項3、4において、取付側面部における「端部」を「前記端部」とし、引用する請求項の記載における「端部」との関係を明確化するものである。
したがって、訂正事項1-2、2、3-1は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、本件明細書等における明細書の段落【0037】には、「外凸部2130は、化粧部9200である取付側面部1220の、他方の面1210bから一方の面1210aに向かう方向の端部を覆うので、取付側面部1220の端部が正面方向に意匠面に表れない。」と記載されており且つ図14には、前記「端部」が、取付正面部1210の側辺から発光モジュール1100が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における取付側面部1220の前記取付正面部1210と反対側に位置しているものが図示されている。
このことから、取付側面部における「端部」の位置を「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側」とすることは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1-2、2、3-1は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項1-2、2、3-1は不明確であった点をより具体的に記載することで明確化するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3-2について
上記取消理由通知の「第3 理由1(明確性)について」で示したように、訂正前の請求項4には、カバー側面部における「端部」の位置が「前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側」と記載されているが、当該記載はどのような方向における「反対側」を意味しているのか不明確である。
これに対して、訂正事項3-2は、カバー側面部における「端部」の位置を「前記カバー正面部の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側」とし、「反対側」の意味する方向を明確化するものである。
したがって、訂正事項3-2は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、本件明細書等における図14には、カバー側面部2120における「端部」が、カバー正面部2110の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部2120の前記カバー正面部2110と反対側に位置しているものが図示されている。
このことから、カバー側面部における「端部」の位置を「前記カバー正面部の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側」とすることは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-2は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項3-2は不明確であった点をより具体的に記載することで明確化するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、訂正事項1-1について、カバー部1300の4つのカバー側面部1320の外側の寸法がモジュール取付部1200の4つの取付側面部1220の内側の寸法より小さいことは、カバー側面部1320が取付側面部1220に非接触であることと同じではなく、例えば、光源ユニットの一端においてはカバー側面部1320が取付側面部1220に非接触であっても、光源ユニットの他端においてはカバー側面部1320が取付側面部1220に接触することがあり得るから、訂正事項1-1は、新規事項に該当する旨を主張する。さらに、本件特許の明細書には、カバー側面部が取付側面部と接触しないことを確保する手段について記載されていないから、実施可能要件に違反し、また、サポート要件に違反する旨を主張する。
しかしながら、上記(1)で説示したように、カバー部に取付側面部と接触しないカバー側面部が設けられることは、本件明細書等の記載から導かれる事項である。また、訂正事項1-1は、カバー側面部が取付側面部と接触しないことを確保するための手段等の新たな構成を追加するものでもない。そうすると、この訂正により、新たな技術的事項が付加されたものとは認められないし、図4及び図14のようにカバー側面部が取付側面部に接触しないようにされていることを特定するものにすぎないから、実施可能要件、サポート要件に違反するものでもない。
よって、申立人の主張は採用できない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が、本件訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
よって、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~5〕について請求されたものである。
4 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と、
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられ、突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状の凸部を有しており、
前記凸部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部を覆う光源ユニット。
【請求項2】
前記取付側面部は、
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向の端部が、折り曲がることなく前記立ち上がり方向で途切れる形状である請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記凸部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部と間隔があくように形成されている請求項1または請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の前記端部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記カバー正面部の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側の端部よりも、前記カバー正面部に近い位置に位置する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の光源ユニットと、
被取付部に固定されるとともに、前記光源ユニットが着脱自在に取り付けられる器具本体と、
を備えた照明器具。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~5に係る特許に対して当審が通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1](明確性要件)本件特許の下記の請求項に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、下記の請求項に係る特許は、特許法第36条第6項の規定に違反してされたものである。
[取消理由2](新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、その特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[取消理由3](進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
(以下、申立人が提出した「甲第○号証」を「甲○」という。)
<申立人が提出した証拠>
・甲1:特開2014-220160号公報
・甲2:特開2011-159472号公報
・甲3:特開2011-27928号公報
<取消理由と請求項に係る発明及び引用文献との関係>
・取消理由:1
・請求項 :1~5
請求項1、3、4には「前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部」と、請求項4には「前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側の端部」と、それぞれ記載されているが、上記「反対側」がどのような方向における反対側を意味しているのか明確でない。請求項1を引用する請求項2及び請求項1、3、4を引用する請求項5も同様である。
・取消理由:2、3
・請求項 :1~5
・引用文献:甲2
・取消理由:2、3
・請求項 :1~4
・引用文献:甲3
・取消理由:3
・請求項 :1~5
・引用文献:甲1
・取消理由:3
・請求項 :5
・引用文献:甲3
第5 取消理由についての判断
1 取消理由1(明確性要件)について
本件訂正後の請求項1、3、4には、端部について「前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側」と記載されており、当該「反対側」がどのような方向における反対側を意味しているのかが明確である。
このことは、請求項1、3、4を直接的又は間接的に引用する請求項2、5についても同じである。
また、同様に、本件訂正後の請求項4の「前記カバー正面部の周縁から立ち上がる立ち上がり方向における前記カバー側面部の前記カバー正面部と反対側の端部」との記載も明確であり、請求項4を引用する請求項5についても同じである。
以上のことから、請求項1~5に係る発明は明確である。
2 取消理由2(新規性)、取消理由3(進歩性)について
2-1 引用文献について
(1)甲1
(1-1)甲1の認定事項
甲1について、以下のことが認定できる。
なお、以下で用いる符号(a)~(e)は、特許異議申立書第13ページに示された下記「図2の部分拡大図」において示されたものを表す。
[図:0001416460000001.jpg]
ア 段落【0032】の「筐体120は、LEDモジュール140及び回路基板160を収納する平盤状の円筒部材であり」との記載、段落【0034】の「支持台130は、回路基板160及び筐体120を支持する支持部材である。また、支持台130は、LEDモジュール140で発生する熱を放熱するヒートシンクとしても機能する。」及び「以下の実施の形態1では、支持台130は、筐体120の一部として説明される。」との記載並びに図2から、「筐体120は、LEDモジュール140が取り付けられる支持台130及び支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる円筒部材からなる」ものと認められる。
イ 段落【0031】の「透光性カバー110は、筐体120の内部に配置されたLEDモジュール140や回路基板160を保護するために、第1開口部120aを塞ぐようにして筐体120に固定されている。」との記載及び図2から、「透光性カバー110は、ほぼ水平に広がる円板状の部分(a)及び円板状の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる円筒状の部分(b)を含み、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定される」ものと認められる。
ウ 図2から、透光性カバー110の円筒状の部分(b)は、その厚みが上部で薄く、下部で厚く形成されていることが看取できる。そして、当該厚く形成された部分は、透光性カバー110の円筒状の部分(b)の外面から外方に突出した部分(c)ともいえる。また、図2から、当該突出した部分(c)の外方(突出する方向)の端部は、折り曲がることなく外方(突出する方向)で途切れていることが看取できる。そうすると、「透光性カバー110は、透光性カバー110の円筒状の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、突出する方向の端部が折り曲がることなく突出する方向で途切れる形状の突出した部分(c)を有する」ものと認められる。
エ 図2から、「突出した部分(c)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における筐体120の円筒部材の支持台130と反対側の端部(d)と対向する」点が看取される。
(1-2)甲1発明
甲1の段落【0029】、【0031】、【0032】、【0034】、図2及び上記(1-1)ア~エから、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
「LEDモジュール140が取り付けられる支持台130及び支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる円筒部材からなる筐体120と(上記(1-1)ア)、
ほぼ水平に広がる円板状の部分(a)及び円板状の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる円筒状の部分(b)を含み、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定される透光性カバー110と(上記(1-1)イ)、
を備え(段落【0029】)、
透光性カバー110は、
透光性カバー110の円筒状の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、突出する方向の端部が折り曲がることなく突出する方向で途切れる形状の突出した部分(c)を有しており(上記(1-1)ウ)、
突出した部分(c)は、
透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における筐体120の円筒部材の支持台130と反対側の端部(d)と対向する(上記(1-1)エ)、
LEDユニット100。」
(2)甲2
(2-1)甲2の認定事項
甲2について、以下のことが認定できる。
なお、以下で用いる符号(a)~(g)は、特許異議申立書第19ページに示された下記「図2の部分拡大図」において示されたものを表す。
[図:0001416460000002.jpg]
ア 段落【0041】の「ランプ21は、図2に示すようにランプベース22と、金属基板23と、例えば複数の発光部24と、反射体25と、ランプカバー26等を備えている。」との記載及び段落【0042】の「ランプベース22はアルミダイキャスト製で、その周部に放熱フィン22aを有している。金属基板23は、例えばアルミニウムのベース層とこれに積層された絶縁層とからなり、そのベース層をランプベース22に密接させてこのランプベース22に固定されている。」との記載並びに図2から、「ランプベース22は、発光部24が実装された金属基板23が固定される正面の部分(f)及び正面の部分(f)の側辺から金属基板23が固定された側に向かって立ち上がる側面の部分(g)を含む」ものと認められる。
イ 段落【0044】の「ランプカバー26は、拡散透光性の合成樹脂製であって、反射体25を光出射側から覆ってランプベース22に取付けられている。」との記載及び図2から、「ランプカバー26は、ほぼ水平に広がる正面の部分(a)及び正面の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる側面の部分(b)を含み、金属基板23及び発光部24を覆うようにランプベース22に取り付けられる拡散透光性のカバーである」ものと認められる。
ウ 図2から、ランプカバー26の側面は、その厚みが上部で薄く、下部で厚く形成されていることが看取できる。そして、当該厚く形成された部分は、ランプカバーの側面の部分(b)の外面から、外方に突出した突出部(c)ともいえる。また、図2から、当該突出部(c)の外方(突出する方向)の端部は、折り曲がることなく外方(突出する方向)で途切れていることが看取できる。そうすると、「ランプカバー26は、側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、突出する方向の端部が折り曲がることなく前記突出する方向で途切れる形状の突出部(c)を有する」ものと認められる。
エ 図2から、「突出部(c)は、ランプカバー26がランプベース22に取り付けられた状態で、正面の部分(f)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向におけるランプベース22の側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)と対向する」点が看取される。
(2-2)甲2発明
甲2の段落【0025】、【0040】~【0042】、【0044】、図2及び上記(2-1)ア~エから、甲2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲2発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
「発光部24が実装された金属基板23が固定される正面の部分(f)及び正面の部分(f)の側辺から金属基板23が固定された側に向かって立ち上がる側面の部分(g)を含むランプベース22と(上記(2-1)ア)、
ほぼ水平に広がる正面の部分(a)及び正面の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる側面の部分(b)を含み、金属基板23及び発光部24を覆うようにランプベース22に取り付けられる拡散透光性のランプカバー26と(上記(2-1)イ)、
を備え(段落【0041】)、
ランプカバー26は、
側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、突出する方向の端部が折り曲がることなく前記突出する方向で途切れる形状の突出部(c)を有しており(上記(2-1)ウ)、
突出部(c)は、
ランプカバー26がランプベース22に取り付けられた状態で、正面の部分(f)の側辺から金属基板23が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向におけるランプベース22の側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)と対向する(上記(2-1)エ)、
ランプ21。」
(3)甲3
(3-1)甲3の認定事項
甲3について、以下のことが認定できる。
なお、以下で用いる符号(a)~(g)は、特許異議申立書第25~26ページに示された下記「図8の左部分拡大図」及び「図8の右部分拡大図」において示されたものを表す。
[図:0001416460000003.jpg]
[図:0001416460000004.jpg]
ア 段落【0030】の「上記光源ユニット3は、図7~図10に示すように、光源であるLED8(図11参照)を実装して成る複数{図示例では9枚}のメタル基板9と、これらのメタル基板9を取り付ける矩形プレート状のベース10及びハウジング2の下面開口部に嵌め込まれる矩形プレート状の透明な樹脂製のレンズ11を含んで構成されている。」との記載及び段落【0031】の「本実施の形態では、LED8を実装して成る9枚のメタル基板9は縦横3列のマトリックス状に配置されており、これに対応してアルミダイキャスト製のベース10にもLED8と同数の台座10a(図7及び図9参照)が縦横3列のマトリックス状に一体に突設されている。そして各メタル基板9は、矩形の熱伝導シート13を介してベース10の各台座10aのネジ止めによって固定されている。」との記載並びに図7~10から、「ベース10は、LED8が実装されたメタル基板9が固定される正面の部分(f)及び正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が固定された側に向かって立ち上がる側面の部分(g)を含む」点が看取される。
イ 図7~10から、「レンズ11が、ほぼ水平に広がる正面の部分(a)及び正面の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる側面の部分(b)を含む」点が看取される。
ウ 図6、9から、「レンズ11は、レンズ11の周縁から上向きに延びた係合片(図6のE-E線上に位置する部材)を有している」点が看取される。また、図10から、「ベース10は、ベース10の側面にレンズ11の係合片に係合する部分を有している」点が看取される。さらに、図7~10から、「レンズ11は、メタル基板9を覆っている」点が看取される。
また、図7~9から、図6のC-C、D-D、E-E線断面のいずれの位置においても、「前記側面の部分(b)が前記側面の部分(g)と接触しない」点が看取される。
そうすると、「レンズ11は、メタル基板9を覆うように、かつ、前記側面の部分(b)が前記側面の部分(g)と接触しないようにベース10に取り付けられている」ものと認められる。
エ 図7~10から、レンズ11は、側面の部分(b)の外面から外方に突出した突出部(c)を有することが看取できる。そして、突出部(c)は、図7~9の位置では、下記参考図1(図7の抜粋に当審で説明を付したもの。)で示すように、側面の部分(b)の外面との境界に近い部分では当該外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に突出するように延伸し、図9の位置(上記ウの係合片の位置)ではさらに、下記参考図2(図9の抜粋に当審で説明を付したもの。)で示すように、側面の部分(b)の外面との境界に近い部分では当該外面から外方に突出するように延伸し、その後、上方に突出するように延伸する形状であることが看取できる。
そうすると、「レンズ11は、側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、前記外面との境界に近い部分では前記外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に及び部分的には上方に突出するように延伸する形状の突出部(c)を有する」ものと認められる。
[参考図1]
[図:0001416460000005.jpg]
[参考図2]
[図:0001416460000006.jpg]
オ 図7~10から、「突出部(c)は、レンズ11がベース10に取り付けられた状態で、正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向におけるベース10の側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)と対向する」点が看取される。
(3-2)甲3発明
甲3の段落【0030】、【0031】、図4、6~10及び上記(3-1)ア~オから、甲3には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲3発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
「LED8が実装されたメタル基板9が固定される正面の部分(f)及び正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が固定された側に向かって立ち上がる側面の部分(g)を含むベース10と(上記(3-1)ア)、
ほぼ水平に広がる正面の部分(a)及び正面の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる側面の部分(b)を含み、メタル基板9を覆うように、かつ、前記側面の部分(b)が前記側面の部分(g)と接触しないようにベース10に取り付けられる透明なレンズ11と(段落【0030】、上記(3-1)イ、ウ)、
を備え(段落【0030】)、
レンズ11は、
側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、前記外面との境界に近い部分では前記外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に及び部分的には上方に突出するように延伸する形状の突出部(c)を有しており(上記(3-1)エ)、
突出部(c)は、
レンズ11がベース10に取り付けられた状態で、正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向におけるベース10の側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)と対向する(上記(3-1)オ)、
光源ユニット3。」
2-2 検討
(1)甲1発明を主引用発明とした場合
(1-1)本件発明1についての検討
(1-1-1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 後者の「LEDモジュール140」は、前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「支持台130」は「取付正面部」に、「筐体120の円筒部材」は「取付側面部」に、「筐体120」は「モジュール取付部」に、「円板状の部分(a)」は「カバー正面部」に、「円筒状の部分(b)」は「カバー側面部」に、「透光性カバー110」は「カバー部」に、「突出した部分(c)」は「凸部」に、「LEDユニット100」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
また、これらの相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
イ 後者の「LEDモジュール140が取り付けられる支持台130及び支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる円筒部材からなる筐体120」は、前者の「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部」と、「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺近傍から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部」である点で共通する。
ウ 後者の「ほぼ水平に広がる円板状の部分(a)及び円板状の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる円筒状の部分(b)を含み、LEDモジュール140を覆うように筐体120に固定される透光性カバー110」は、「透光性カバー110」が透光性を有していることを踏まえると、前者の「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部」と、「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部」である点で共通する。
エ 後者の「透光性カバー110は、透光性カバー110の円筒状の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、突出する方向の端部が折り曲がることなく突出する方向で途切れる形状の突出した部分(c)を有して」いる構成は、前者の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられ、突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状の凸部を有して」いる構成に相当する。
オ 後者の「突出した部分(c)は、透光性カバー110が筐体120に固定された状態で、支持台130の周縁部からLEDモジュール140が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における筐体120の円筒部材の支持台130と反対側の端部(d)と対向する」構成は、突出した部分(c)と円筒部材の端部(d)とが対向することは、突出した部分(c)が円筒部材の端部(d)を覆うことともいえるから、前者の「前記凸部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部を覆う」構成に相当する。
カ 上記ア~オを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点1]
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺近傍から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と、
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられ、突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状の凸部を有しており、
前記凸部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部を覆う光源ユニット。」
[相違点1]
取付側面部について、本件発明1では、取付側面部が取付正面部の側辺から立ち上がるのに対して、甲1発明では、筐体120の円筒部材(取付側面部)が支持台130の周縁部から立ち上がる点。
[相違点2]
カバー部について、本件発明1では、カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設されるのに対して、甲1発明では、円筒状の部分(b)(カバー側面部)が筐体120の円筒部材(取付側面部)と接触しないことが特定されていない点。
(1-1-2)判断
事案に鑑みて相違点2から検討する。
甲1の段落【0031】の「透光性カバー110は、筐体120の内部に配置されたLEDモジュール140や回路基板160を保護するために、第1開口部120aを塞ぐようにして筐体120に固定されている。」との記載、段落【0032】の「第1開口部120aには、透光性カバー110が取り付けられている。」との記載から、透光性カバー110は筐体120の第1開口部120aに何らかの手段によって取り付けられて固定されているものと認められる。また、甲1の図2から、カバー110の上端と筐体120の下端とがインロー状になっていることが看取できる。また、透光性カバー110と筐体120は、外周面が円筒状であって、両者は同芯状に、芯ズレすることなく配置されていることが看取できる。
しかしながら、甲1には、透光性カバー110を筐体120に固定する詳細な構造が何ら記載されておらず、特に、インロー状にされ、互いに同芯状に芯ズレすることなく配置されている透光性カバー110の円筒状の部分(b)(カバー側面部)と筐体120の円筒部材(取付側面部)とを敢えて接触しない状態にして固定することは、記載も示唆もされていない。
また、甲1発明において、円筒状の部分(b)(カバー側面部)と円筒部材(取付側面部)とを敢えて接触しない状態にしつつ、透光性カバー110を筐体120に固定することは、提出されたいずれの証拠にも記載されていない。
よって、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のことから、その他の相違点については判断するまでもなく、本件発明1は甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(1-1-3)申立人の主張について
申立人は令和6年3月27日に提出された意見書において、
「甲第3号証は、図8(以下に拡大図を転載)に示すように、取付側面部に接触しないカバー側面部を開示しています。
[図:0001416460000007.jpg]
甲1発明を主引用発明とした場合、訂正後の請求項1~5に係る発明は、甲1発明および甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと考えます。」
と主張している。
しかしながら、甲3においてベース10の側面の部分(g)(取付側面部)に接触しないレンズ11の側面の部分(b)(カバー側面部)が開示されているとしても、甲1発明の透光性カバー110と甲3発明のレンズ11とは、前者が円筒形構造のカバーであるのに対して後者は角形構造のレンズであり、両者は前提となる構造も機能も異なるものであることから、甲1発明に甲3に開示されたベース10及びレンズ11を採用する動機付けは存在しないし、仮に、甲1発明に対して甲3に開示されたベース10及びレンズ11を採用したとしても、それによって本件発明1との間に下記(3-1-1)カで示す相違点3が新たに生じることとなるから、本件発明1が甲1発明及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
(1-2)本件発明2~5についての検討
本件発明2~5は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を付加したものであるから、上記(1-1)と同様の理由により、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)甲2発明を主引用発明とした場合
本件発明1と甲2発明とは、少なくとも上記相違点2と同様の点で相違する。
ここで、甲1と同様に、甲2にも、側面の部分(b)(カバー側面部)と側面の部分(g)(取付側面部)とを敢えて接触しない状態にしてランプカバー26をランプベース22に固定することは記載も示唆もされていないから、上記(1-1-2)で示した相違点2についての判断と同様に、本件発明1は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2~5は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を付加したものであるから、同様に、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)甲3発明を主引用発明とした場合
(3-1)本件発明1についての検討
(3-1-1)対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
ア 後者の「LED8が実装されたメタル基板9」は、前者の「発光モジュール」に相当し、以下同様に、「正面の部分(f)」は「取付正面部」に、「側面の部分(g)」は「取付側面部」に、「ベース10」は「モジュール取付部」に、「正面の部分(a)」は「カバー正面部」に、「側面の部分(b)」は「カバー側面部」に、「レンズ11」は「カバー部」に、「突出部(c)」は「凸部」に、「光源ユニット3」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
また、これらの相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
イ 後者の「LED8が実装されたメタル基板9が固定される正面の部分(f)及び正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が固定された側に向かって立ち上がる側面の部分(g)を含むベース10」は、前者の「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部」に相当する。
ウ 後者の「ほぼ水平に広がる正面の部分(a)及び正面の部分(a)の周縁からほぼ垂直に立ち上がる側面の部分(b)を含み、メタル基板9を覆うように、かつ、前記側面の部分(b)が前記側面の部分(g)と接触しないようにベース10に取り付けられる透明なレンズ11」は、前者の「カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部」に相当する。
エ 後者の「レンズ11は、側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、前記外面との境界に近い部分では前記外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に及び部分的には上方に突出するように延伸する形状の突出部(c)を有して」いる構成は、前者の「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられ、突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状の凸部を有して」いる構成と、「前記カバー部は、前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられた凸部を有して」いる点で共通する。
オ 後者の「突出部(c)は、レンズ11がベース10に取り付けられた状態で、正面の部分(f)の側辺からメタル基板9が取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向におけるベース10の側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)と対向する」構成は、突出部(c)と側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)とが対向することは、突出部(c)が側面の部分(g)の正面の部分(f)と反対側の端部(d)を覆うことともいえるから、前者の「前記凸部は、前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部を覆う」構成に相当する。
カ 上記ア~オを踏まえると、本件発明1と甲3発明とは以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点2]
「発光モジュールが取り付けられる取付正面部、及び、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる取付側面部が設けられたモジュール取付部と、
カバー正面部、及び、前記カバー正面部の周縁から立ち上がるカバー側面部が設けられるとともに、前記発光モジュールを覆うように、かつ、前記カバー側面部が前記取付側面部と接触しないように前記モジュール取付部に配設される透光性のカバー部と、
を備え、
前記カバー部は、
前記カバー側面部の外面から突き出るように設けられた凸部を有しており、
前記凸部は、
前記カバー部が前記モジュール取付部に配設された状態で、前記取付正面部の側辺から前記発光モジュールが取り付けられた側に向かって立ち上がる立ち上がり方向における前記取付側面部の前記取付正面部と反対側の端部を覆う
光源ユニット。」
[相違点3]
カバー側面部の外面から突き出るように設けられた凸部の形状について、本件発明1では、「突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状」であるのに対して、甲3発明では、「側面の部分(b)の外面から外方に突出するように設けられ、前記外面との境界に近い部分では前記外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に及び部分的には上方に突出するように延伸する形状」である点。
(3-1-2)判断
相違点3について検討する。
甲3発明の突出部(c)は、側面の部分(b)の「前記外面との境界に近い部分では前記外面から外方に突出するように延伸し、その後、下方に及び部分的には上方に突出するように延伸する形状」であるから、甲3発明の突出部(c)は、「突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状」であるとはいえず、相違点3は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲3発明ではない。
また、甲3には突出部(c)を「突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状」とすることについて記載も示唆もされていない。
さらに、上記2-1(3-1)ウ、エで示したように、甲3発明の突出部(c)の上方に延伸する部分はベース10の側面と係合する「係合片」であると認められるから、甲3発明に対して当該「係合片」がなくなるような突出部(c)の形状変更を行うことには、阻害要因があるといえる。
この点を踏まえれば、甲1や甲2に「突き出る方向の端部が折り曲がることなく前記突き出る方向で途切れる形状」の凸部が示されていても、甲3発明に対してそのような突出部(c)の形状変更を行うことは、当業者によって容易に想到し得たこととはいえない。
よって、甲3発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のことから、本件発明1は甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3-2)本件発明2~5についての検討
本件発明2~5は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を付加したものであるから、上記(3-1-2)と同様の理由により、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 小括
以上により、取消理由1及び取消理由2は成り立たない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(以下、本件訂正前の請求項1~5に係る発明をそれぞれ「本件訂正前発明1」等という。)
1 申立理由の内容
申立人は、上記第5で判断した取消理由のほかに、特許異議申立書において、本件訂正前発明1~5について、以下の理由を主張していると認められる。
(1)申立理由1(新規性)
本件訂正前発明1~5は甲1に記載された発明であり、請求項1~5に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(明確性要件)
本件訂正前発明1に係る請求項1の「突き出る方向の端部が折り曲がることなく突き出る方向で途切れる形状」との記載について、まずは、「端部」は途切れているからこそ端部になり得るから、請求項1の上記記載のうちの「突き出る方向の端部が・・・突き出る方向で途切れる形状」との記載は、「端部」の定義を述べているだけであり、実質的には凸部の形状を「突き出る方向の端部が折り曲がることない形状」としか特定しておらず、この凸部の形状がどのような形態を含み、どのような形態を排除するのかが曖昧であり、さらに、本件特許の図14等に示される外凸部2130等の端部が角を有している状態は、端部が「折り曲がっているとも解釈できる」とした上で、請求項1の上記記載は様々な解釈の仕方があるため、具体的にどのような形状を特定しているのか不明であるから、発明の範囲が不明確である。
また、本件訂正前発明2に係る請求項2の「折り曲がることなく前記立ち上がり方向で途切れる形状」との記載も同様である。
したがって、上記請求項1、2及びこれらを引用する請求項3~5に係る発明(本件訂正前発明1~5)は明確ではなく、請求項1~5に係る特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
2 申立理由についての判断
(1)申立理由1(新規性)
上記第5の2-2(1-1-1)カで示したように、本件発明1と甲1発明とは相違点1、2を有するから本件発明1は甲1発明ではないし、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を付加した本件発明2~5も同様に甲1発明ではない。
したがって、請求項1~5に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
よって、申立理由1は成り立たない。
(2)申立理由2(明確性要件)
申立人は、上記1(2)に示したように、請求項1の「突き出る方向の端部が折り曲がることなく突き出る方向で途切れる形状」との記載について、まずは、「端部」は途切れているからこそ端部になり得るから、請求項1の上記記載のうちの「突き出る方向の端部が・・・突き出る方向で途切れる形状」との記載は、「端部」の定義を述べているだけであり、実質的には凸部の形状を「突き出る方向の端部が折り曲がることない形状」としか特定しておらず、この凸部の形状がどのような形態を含み、どのような形態を排除するのかが曖昧であり、さらに、本件特許の図14等に示される外凸部2130等の端部が角を有している状態は、端部が「折り曲がっているとも解釈できる」とした上で、請求項1の上記記載は様々な解釈の仕方があるため、具体的にどのような形状を特定しているのか不明であると主張している。
また、請求項2の「折り曲がることなく前記立ち上がり方向で途切れる形状」の記載も同様であると主張している。
しかしながら、請求項1の「突き出る方向の端部が・・・突き出る方向で途切れる形状」との記載は、単に「端部」の定義を述べているだけではなく、端部が「突き出る方向」で途切れることを特定していると理解できる。
また、物の形状が「折り曲がっている」と表現される場合、通常、当該物自体が折って曲げられたような形状であることを意味していると解されるから、上記外凸部2130等の端部の表面に角があるというだけで当該端部自体の形状が「折り曲がっている」とする申立人の解釈が適切であるとはいえないし、図14等に示された上記外凸部2130等の端部自体の形状は、「折り曲がって」いないものと理解される。
したがって、凸部の形状に関する請求項1の「突き出る方向の端部が折り曲がることなく突き出る方向で途切れる形状」との記載は、凸部の「突き出る方向の端部」が「折り曲がること」のない形状であり且つ「突き出る方向で途切れる」形状であることを特定しているものと理解でき、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
また、請求項2の「折り曲がることなく前記立ち上がり方向で途切れる形状」との記載についても同様である。
以上のことから、本件発明1~5は明確であり、請求項1~5に係る特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものである。
よって、申立理由2は成り立たない。
第7 むすび
以上によれば、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできないし、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700935