特許異議申立
2024-700124
非常用の照明器具
- 審判番号
- 2024-700124
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-097912
- 登録番号
- 7337231
- 請求日
- 2024年02月13日
- 審決日
- 2025年09月22日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】宮本 弘敏
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 稲垣 彰彦
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7337231号発明「非常用の照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7337231号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
特許第7337231号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7337231号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成27年5月15日(先の出願に基づく優先権主張 平成27年2月26日)に出願した特願2015-100027号の一部を、令和2年7月9日に新たな特許出願とした特願2020-118731号の一部を、令和4年6月17日に新たな特許出願としたものであって、令和5年8月24日に特許権の設定登録がされ、同年9月1日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人宮本弘敏(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
本件特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 2月13日 :申立人による特許異議の申立て
同年 3月 1日 :申立人による手続補正書(方式)の提出
同年 5月21日付け:取消理由通知書
同年 7月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月 6日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 9月12日 :申立人による意見書の提出
同年10月29日付け:訂正拒絶理由通知書
同年11月27日 :特許権者による意見書の提出
令和7年 1月27日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月 8日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月19日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年7月16日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年4月8日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1~4について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
本件訂正前の請求項1の
「本体と、
前記本体に取り付けられ、バッテリ側コネクタを有する点灯装置と、
前記バッテリ側コネクタに挿し込まれるバッテリコネクタを有し、前記点灯装置へスライドして取り付けられるバッテリユニットと
を備え、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、
前記バッテリユニットは、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有し、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する非常用の照明器具。」
との記載を、
「本体と、
前記本体に取り付けられ、バッテリ側コネクタを有する点灯装置と、
前記バッテリ側コネクタに挿し込まれるバッテリコネクタを有し、前記点灯装置へスライドして取り付けられるバッテリユニットと
を備え、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、
前記バッテリユニットは、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有し、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限し、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、
前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている非常用の照明器具。」
に訂正する(本件訂正後の請求項1を引用する請求項4も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
本件訂正前の請求項2の
「奥板を有する本体と、
前記奥板に向かってスライド挿入され、前記スライド挿入方向に向かって突出するバッテリコネクタ、並びに、スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有するバッテリユニットと、
前記奥板に取り付けられ、前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタ、並びに、前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する点灯装置と、
前記奥板に対向するように配置され、前記バッテリユニットがスライド挿入された状態で、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆うように配置された光源と
を備え、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する非常用の照明器具。」
との記載を、
「奥板を有する本体と、
前記奥板に向かってスライド挿入され、前記スライド挿入方向に向かって突出するバッテリコネクタ、並びに、スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有するバッテリユニットと、
前記奥板に取り付けられ、前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタ、並びに、前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する点灯装置と、
前記奥板に対向するように配置され、前記バッテリユニットがスライド挿入された状態で、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆うように配置された光源と
を備え、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限し、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、
前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている非常用の照明器具。」
に訂正する(本件訂正後の請求項2を引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項3及び4は、本件訂正前の請求項2を引用するものであるから、本件訂正前の請求項2~4は一群の請求項である。
本件訂正前の請求項4は、本件訂正前の請求項1を引用するものでもあるから、本件訂正前の請求項1及び4も一群の請求項である。
そして、共通する本件訂正前の請求項4を有する上記2つの一群の請求項は、組み合わされて、本件訂正前の請求項1~4は1つの一群の請求項を構成する。
したがって、本件訂正前の請求項1~4に対応する本件訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項1~4についてされたものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、「点灯装置」に関し、「前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し」ている点を追加し、また、「装着ガイド」と「バッテリ側コネクタ」に関し、「前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」点を追加する訂正であるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
イ 新規事項の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討する。なお、下線は当審で付した(以下同様。)。
(ア)「前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し」について
本件明細書等には、【0083】「・・・点灯装置30は、箱状の装置ケース35を有する。・・・」、【0084】「装置ケース35は、バッテリユニット40との嵌め合い構造として、バッテリユニット40を取り付けるバッテリ取付部36を有する。バッテリ取付部36は、バッテリ側ケース31のサイド面に設けられたガイド機構である。・・・」、【0086】「装置ケース35は、バッテリ側ケース31と点検スイッチ側ケース32を有する。・・・」とあるから、点灯装置がバッテリユニットを取り付けるサイド面を有していることが記載されている。
(イ)「前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」について
上記(ア)のとおり、「サイド面」とは、ガイド機構であるバッテリ取付部36が設けられた面であるところ、本件明細書等には、【0111】「図17と図18を用いて、点灯装置30のバッテリ取付部36について説明する。点灯装置30は、ガイドリブ46をスライドさせる1対の装着ガイド314を有する。装着ガイド314は、本体10の奥行き方向に向かって次第に狭くなっているガイド溝317を形成している。装着ガイド314の外面は、円弧形状をしており、本体10の内周面に接している。点灯装置30は、装着ガイド314よりも奥行き方向に、ガイドリブ46の直進を補助する補助ガイド315を有する。点灯装置30は、装着ガイド314よりも奥行き方向に、バッテリユニット40が左右斜めに傾くことを制限するスライド壁316を有する。点灯装置30は、点灯装置30の縦方向の高さHよりも低い位置に設けられたコネクタ設置面318を有する。コネクタ設置面318は、バッテリユニット40から電力の供給を受けるバッテリ側コネクタ3351を配置している。」とあるから、「サイド面」とは、【図17(a)】において、ガイド機構である装着ガイド314と補助ガイド315とスライド壁316とガイド溝317で構成されるバッテリ取付部36が設けられた面や、ガイド機構である装着ガイド314とスライド壁316で構成されるバッテリ取付部36が設けられた面であることが記載されている。
[図:0001429972000001.jpg]
以上を踏まえ、【図35(a)】をみると、ガイド機構である装着ガイド314とスライド壁316で構成されるバッテリ取付部36が設けられたサイド面に対して直交する方向からみたとき、装着ガイドの左右幅とバッテリ側コネクタの左右幅は、左右方向において、一部が重なっていることが記載されているといえる。
参考:【図35(a)】の一部拡大図
[図:0001429972000002.jpg]
(ウ)以上のとおりであるから、訂正事項1は、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、「点灯装置」に関し、「前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し」ている点を追加し、また、「装着ガイド」と「バッテリ側コネクタ」に関し、「前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」点を追加する訂正であるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
イ 新規事項の有無
本件明細書等に記載した事項との関係を検討する。
(ア)「前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し」について
訂正事項1の「前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し」と同じく、本件明細書等に記載されているといえる。
(イ)「前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」について
訂正事項1の「前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」と同じく、本件明細書等に記載されているといえる。
(ウ)以上のとおりであるから、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
4 申立人の主張について
申立人は、令和7年6月19日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、概略、以下のような主張(意見書p4~5)をしている。
申立人主張:【0045】、【0106】、【0115】の記載によれば、「サイド面353」 は、直方体状の点灯装置30の長辺Lを有する二つの面を含んでおり(例えば、本件図面の図32(a)及び(b)等を参照)、その二つの「サイド面353」のうちで部分的に内側に凹んでいる「サイド面353」(例えば、本件図面の図32(a)参照)が「前記バッテリユニットが取り付けられるサイド面」に相当する。ところが、本件訂正発明1及び2には、点灯装置が長辺Lと短辺Sと高さHを有する直方体状の形状に形成されているという構造上の限定がないので、「サイド面」及び「前記バッテリユニットが取り付けられるサイド面」を示す点灯装置の構成が不明確であり、かつ、本件明細書及び本件図面の記載を超えた範囲まで含むものとなっている。
申立人主張について検討する。
上記3(1)イで説示したとおり、本件明細書等には、バッテリ取付部36が設けられた部位が「サイド面」であることが記載されているから、当該記載に接した当業者であれば、点灯装置全体の形状が長辺Lと短辺Sと高さHを有する直方体状の形状であるか否かは、「サイド面」を特定するために必要な構成でないことが理解できる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
5 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
本体と、
前記本体に取り付けられ、バッテリ側コネクタを有する点灯装置と、
前記バッテリ側コネクタに挿し込まれるバッテリコネクタを有し、前記点灯装置へスライドして取り付けられるバッテリユニットと
を備え、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、
前記バッテリユニットは、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有し、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限し、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、
前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている非常用の照明器具。
【請求項2】
奥板を有する本体と、
前記奥板に向かってスライド挿入され、前記スライド挿入方向に向かって突出するバッテリコネクタ、並びに、スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有するバッテリユニットと、
前記奥板に取り付けられ、前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタ、並びに、前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する点灯装置と、
前記奥板に対向するように配置され、前記バッテリユニットがスライド挿入された状態で、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆うように配置された光源と
を備え、
前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限し、
前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、
前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている非常用の照明器具。
【請求項3】
前記光源は、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆う位置から外すことが可能な状態で前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆う位置に取り付けられており、
前記光源を前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆う位置から外した状態において、前記点灯装置と隣り合う位置に前記バッテリユニットがスライド挿入可能な状態となり、
前記バッテリユニットがスライド挿入されて前記点灯装置に隣接配置され、かつ、前記光源を前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆う位置に配置した状態において、前記光源が前記バッテリユニットと前記点灯装置とに跨るように配置された請求項2に記載の非常用の照明器具。
【請求項4】
前記点灯装置は、前記本体の奥行き方向の奥からの前記点灯装置の高さよりも前記奥行き方向の奥からの高さが低い位置に設けられたコネクタ設置面を有し、
前記コネクタ設置面は、前記バッテリ側コネクタを配置している請求項1から3のいずれか1項に記載の非常用の照明器具。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、令和7年1月27日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
・請求項 1~4
・引用文献 1~3
<引用文献等一覧>
引用文献1:実願平5-46443号(実開平7-16313号)の
CD-ROM(申立人が提出した甲第1号証)
引用文献2:特開2010-33846号公報(申立人が提出した甲第2号証)
引用文献3:特開2004-185843号公報
(申立人が提出した甲第3号証)
第5 当審の判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
ア 記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(「・・・」は摘記を省略したことを示す。また、下線は当審において付した。以下同じ。)。
(ア)【0008】
「 【実施例】
本考案の一実施例を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施例の非常灯照明器具は有底筒状の器具本体1と、非常灯ブロック2と、電池ユニット3と、反射鏡ユニット4と、非常灯用のランプ5とで構成されている。器具本体1は上面を天板で閉塞した有底筒状に形成され、器具本体1内には非常灯ブロック2が装着されている。」
(イ)【0009】
「この非常灯ブロック2は、図2に示すように、函形に形成された非常灯ブロックケース2aの内部にランプ5の点灯回路を実装した回路基板6を収納して成るものである。また、複数の接触ピン7が、その一端を回路基板6に半田付け等により取着して点灯回路に接続するとともに、他端を非常灯ブロックケース2aの下端面から外部に突出して設けてある。・・・」
(ウ)【0010】
「図1に示すように、器具本体1には取付金具11を取着してあり、器具本体1を天井等に埋め込んで取付金具11にて取り付けられるようになっている。この器具本体1内に下方の開口から電池ユニット3が挿入して取り付けられ、電池ユニット3が取り付けられた後、反射鏡ユニット4が取り付けられ、電池ユニット3のソケット12にランプ5が取り付けられる。」
(エ)【0011】
「反射鏡ユニット4は反射鏡4aと取付ばね4bにて形成され、反射鏡4aで器具本体1の下面開口を塞ぎ、取付ばね4bの引っかけ係止にて取り付けられる。なお、ランプ5は例えば非常灯用ハロゲン電球等である。
図1及び図3に示すように、電池ユニット3は、下端面にソケット12が設けてあり、また図3(b)に示すようにその内部には電池13が収納されている。この電池13にはリード線14によってヒューズホルダ16が接続されており、このヒューズホルダ16にヒューズ15が取着されている。さらに、電池ユニット3の下部には端子ブロック17が支持体18により揺動自在に支持されている。この支持体18は、端子ブロック17及び電池ユニット3と一体に形成してもよいし、また別体としてもよい。端子ブロック17は、その内部に非常灯ユニット2の接触ピン7と接触導通する受側端子19を備えており、電池ユニット3が器具本体1の下面開口から挿入される際に、図4に示すように、非常灯ブロック17の接触ピン7が端子ブロック17内に侵入して内部の受側端子19と接触導通するようになっている。そして、接触ピン7と受側端子19との導通により電池13から点灯回路に電源が供給されるのである。」
(オ)【0014】
「上記のようにして電池ユニット3を器具本体1に取着する場合、支持体18によって電池ユニット3に揺動自在に支持された端子ブロック17は、図6に示すように非常灯ブロック2の接触ピン7と端子ブロック17の受側端子19とが接続される際に受ける下向きの力によって揺動し、接触ピン7の一端と回路基板6の接続点にかかる力を緩和できるので、接触ピン7と回路基板6との接続部(半田付け部)に半田クラックが生じて導通不良になるのを防止することができる。さらに、点検スイッチ引き輪9が引かれた場合にも、上記と同様に端子ブロック17が揺動し、非常灯ブロック2から受ける下向きの力によって接触ピン7の一端と回路基板6の接続点にかかる力を緩和することができる。」
(カ)【図1】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000003.jpg]
」
(キ)【図2】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000004.jpg]
」
(ク)【図3】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000005.jpg]
」
(ケ)【図4】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000006.jpg]
」
(コ)【図5】(a)には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000007.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)非常灯ブロック2と電池ユニット3との関係について
a 段落【0008】の「器具本体1は上面を天板で閉塞した有底筒状に形成され、器具本体1内には非常灯ブロック2が装着されている」との記載、及び、段落【0011】の「電池ユニット3が器具本体1の下面開口から挿入される際に、図4に示すように、非常灯ブロック17(当審注:「非常灯ブロック2」の誤記であると認められる。)の接触ピン7が端子ブロック17内に侵入して内部の受側端子19と接触導通するようになっている」との記載、並びに、【図1】の図示内容を踏まえると、電池ユニット3は、「器具本体1の下面開口から天板に向かって挿入され、非常灯ブロック2へ取り付けられる」ものと認められる。
b 【図2】の図示内容から(下記の参考図4を参照。)、非常灯ブロック2は、その側部に、電池ユニット3が挿入される方向に沿って細長い形状に形成された板状部を有することが看取できる。
参考図4:図2に当審において加筆したもの
[図:0001429972000008.jpg]
c 【図3】の図示内容から(下記の参考図5を参照。以下この項において同じ。)、電池ユニット3は、その側部に、電池ユニット3が挿入される方向に沿って形成された突出部を有することが看取でき、さらに、突出部は中央部分が溝部を有するL字状部となっていること、突出部の図示左方向でL字状部に連なる部分には平板状の壁部(第1の壁部)が形成されていることも看取できる。
また、【図3】の図示内容から、電池ユニット3の端子ブロック17及び突出部が設けられる面は平面状の壁部(第2の壁部)になっていることが看取できる。
さらに、【図3】(b)の図示内容から、L字状部は、L字状部の上面と第2の壁部との間に溝部を有し、電池ユニット3が挿入される方向と反対の方向に向かって溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部を有することが看取できる。
参考図5:図3に当審において加筆したもの
[図:0001429972000009.jpg]
d 【図5】(a)の図示内容から(下記の参考図6を参照。以下この項において同じ。)、非常灯ブロック2と電池ユニット3が図示左右方向に隣り合って接していることが看取できる。
また、【図5】(a)の図示内容から、【図5】(a)の上下方向(非常灯ブロック2と電池ユニット3の幅方向)において、非常灯ブロック2の長さと電池ユニット3の長さが概ね一致していることが看取できる。
参考図6:図5に当審において加筆したもの
[図:0001429972000010.jpg]
e 上記a~dを踏まえると、非常灯ブロック2の板状部と電池ユニット3のL字状部とは、共に各々の側部に設けられていることから、当業者であれば、非常灯ブロック2の板状部は、電池ユニット3のL字状部に挿入され、L字状部のテーパ部を通過することで、電池ユニット3のL字状部と協働して、電池ユニット3の非常灯ブロック2への取り付けを支持するものであることが理解できる。
そうすると、電池ユニット3は、非常灯ブロック2の板状部が電池ユニット3のL字状部及びそのテーパ部に挿入及びガイドされることで、器具本体1内に装着されている非常灯ブロック2に取り付けられるものと認められるので、「非常灯ブロック2へスライドして取り付けられる」ものと認められる。
f 上記c及びeを踏まえると、電池ユニット3のL字状部に連なる第1の壁部は、L字状部よりも電池ユニット3が挿入される方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の電池ユニット3が挿入される方向と反対の方向のガイド壁となるものと認められる。
そして、第1の壁部は、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に、板状部をガイドすることから、電池ユニット3が、電池ユニット3が挿入される方向と直交する方向(【図3】(a)における前後方向)に対して、斜めに傾くことを制限するものと認められる。
g 上記c及びe、並びに、【図5】の図示内容を踏まえると、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に、非常灯ブロック2における電池ユニット3側の面と第2の壁部が接すると認められることから、電池ユニット3の第2の壁部は、L字状部よりも電池ユニット3が挿入される方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の電池ユニット3が挿入される方向と反対の方向のガイド壁となるものと認められる。
そして、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に、非常灯ブロック2における電池ユニット3側の面と第2の壁部が接することから、第2の壁部は、電池ユニット3が、電池ユニット3が挿入される方向と直交する方向(【図3】(a)における上下方向)に対して、斜めに傾くことを制限するものと認められる。
h 上記eを踏まえると、「電池ユニット3が挿入される方向」(上記の参考図4及び5を参照。)は、「電池ユニット3がスライドする方向」であるといえる。
また、上記a及びeを踏まえると、電池ユニット3は、器具本体1の下面開口から天板に向かって挿入されるものであるので、「電池ユニット3が挿入される方向」は、「器具本体1の天板に向かう方向」であるともいえる。
i 上記b~e及びhから、「電池ユニット3は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って形成された溝部を有するL字状部を有し、非常灯ブロック2は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って細長い形状に形成され、L字状部に挿入されて電池ユニット3の非常灯ブロック2への取り付けを支持する板状部を有」するものと認められる。
j 上記c及びhから、「L字状部は、器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向に向かって溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部を有」するものと認められる。
k 上記f、g及びhから、「電池ユニット3は、L字状部よりも器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向のガイド壁となる第1の壁部及び第2の壁部を有し、第1の壁部及び第2の壁部は、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に電池ユニット3が斜めに傾くことを制限」するものと認められる。
(イ)反射鏡ユニット4及びランプ5と、非常灯ブロック2及び電池ユニット3との関係について
a 上記(ア)の認定事項、段落【0010】の「この器具本体1内に下方の開口から電池ユニット3が挿入して取り付けられ、電池ユニット3が取り付けられた後、反射鏡ユニット4が取り付けられ、電池ユニット3のソケット12にランプ5が取り付けられる」との記載、段落【0011】の「反射鏡ユニット4は反射鏡4aと取付ばね4bにて形成され、反射鏡4aで器具本体1の下面開口を塞ぎ」との記載、及び、【図1】の図示内容を踏まえると、「電池ユニット3がスライドして取り付けられた状態」において、「反射鏡ユニット4及びランプ5」が器具本体1の「天板に対向するように配置され」、「電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆うように配置され」ていることが理解できる。
b 上記a、並びに、段落【0011】の「反射鏡ユニット4は反射鏡4aと取付ばね4bにて形成され、反射鏡4aで器具本体1の下面開口を塞ぎ、取付ばね4bの引っかけ係止にて取り付けられる。」との記載、及び、照明器具において、電池の寿命に達したときに当該電池を交換する必要があることは技術常識であることを踏まえると、「反射鏡ユニット4及びランプ5」は、電池ユニット3が取り外せるように、「電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置から外すことが可能な状態で電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置に取り付けられて」いるものと認められる。
c 【図5】の図示内容から、電池ユニット3が取り付けられた状態において、電池ユニット3と非常灯ブロック2とは隣り合う位置に配置されていることが看取できるので、上記a及びbも踏まえると、「反射鏡ユニット4及びランプ5を電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置から外した状態において、電池ユニット3が取り外されている場合には、非常灯ブロック2と隣り合う位置に電池ユニット3をスライドして取り付けることが可能な状態」となるものと認められる。
d 【図1】の図示内容を踏まえると、反射鏡4aで器具本体1の下面開口を塞いだ状態において、反射鏡4aが電池ユニット3と非常灯ブロック2の両方を覆う、すなわち、電池ユニット3と非常灯ブロック2に跨がるように配置されるものと認められるので、上記a~cも合わせて踏まえると、「電池ユニット3がスライドして取り付けられて非常灯ブロック2に隣接配置され、かつ、反射鏡ユニット4及びランプ5を電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置に配置した状態において、反射鏡ユニット4及びランプ5が電池ユニット3と非常灯ブロック2とに跨るように配置された」ものと認められる。
(ウ)接触ピン7について
段落【0009】の「この非常灯ブロック2は、図2に示すように、函形に形成された非常灯ブロックケース2aの内部にランプ5の点灯回路を実装した回路基板6を収納して成るものである。」との記載、及び、段落【0014】の「接触ピン7と回路基板6との接続部(半田付け部)」との記載、並びに、【図1】、【図2】及び【図4】の図示内容から(下記の参考図7を参照。)、「非常灯ブロック2は、器具本体1の天板に向かう方向の奥からの非常灯ブロック2の高さよりも器具本体1の天板に向かう方向の奥からの高さが低い位置に設けられた回路基板6の接続部を有し、回路基板6の接続部に、接触ピン7を接続している」ものと認められる。
参考図7:図4に当審において加筆したもの
[図:0001429972000011.jpg]
ウ 引用発明
上記記載事項及び認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、括弧内には、主な参照箇所を示す。以下同じ。)。
「上面を天板で閉塞した器具本体1と(段落【0008】)、
器具本体1内に装着され、接触ピン7が突出して設けてある非常灯ブロック2と(段落【0008】、【0009】)、
接触ピン7が侵入する端子ブロック17が支持され、器具本体1の下面開口から天板に向かって挿入され、非常灯ブロック2へスライドして取り付けられる電池ユニット3と(段落【0011】並びに認定事項(ア)a及び同e)、
天板に対向するように配置され、電池ユニット3がスライドして取り付けられた状態において、電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆うように配置された反射鏡ユニット4及びランプ5と(認定事項(イ)a)、
で構成され(段落【0008】)、
電池ユニット3は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って形成された溝部を有するL字状部を有し(認定事項(ア)i)、
非常灯ブロック2は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って細長い形状に形成され、L字状部に挿入されて電池ユニット3の非常灯ブロック2への取り付けを支持する板状部を有し(認定事項(ア)i)、
L字状部は、器具本体1の天板に向かう方向と反対側の方向に向かって溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部を有し(認定事項(ア)j)、
電池ユニット3は、L字状部よりも器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向のガイド壁となる第1の壁部及び第2の壁部を有し(認定事項(ア)k)、
第1の壁部及び第2の壁部は、電池ユニット3がスライドして取り付けられる 場合に電池ユニット3が斜めに傾くことを制限し(認定事項(ア)k)、
反射鏡ユニット4及びランプ5は、電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置から外すことが可能な状態で電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置に取り付けられており(認定事項(イ)b)、
反射鏡ユニット4及びランプ5を電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置から外した状態において、電池ユニット3が取り外されている場合に、非常灯ブロック2と隣り合う位置に電池ユニット3をスライドして取り付けることが可能な状態となり(認定事項(イ)c)、
電池ユニット3がスライドして取り付けられて非常灯ブロック2に隣接配置され、かつ、反射鏡ユニット4及びランプ5を電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆う位置に配置した状態において、反射鏡ユニット4及びランプ5が電池ユニット3と非常灯ブロック2とに跨るように配置され(認定事項(イ)d)、
非常灯ブロック2は、器具本体1の天板に向かう方向の奥からの非常灯ブロック2の高さよりも器具本体1の天板に向かう方向の奥からの高さが低い位置に設けられた回路基板6の接続部を有し(認定事項(ウ))、
回路基板6の接続部に、接触ピン7を接続している(認定事項(ウ))
非常灯照明器具(段落【0008】)。」
(2)引用文献2
ア 記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
(ア)【0001】
「本発明は、非常灯や誘導灯等の非常用の照明装置に関する。」
(イ)【0019】
「(実施形態1)
・・・本実施形態は、図1(a),(b)に示すように、天井若しくは壁面に配設される箱状の装置本体1と、装置本体1の一端部に配設されて直管形の放電灯を収納する箱状の光源部2と、端縁部が光源部2に取り付けられて光源部2からの光を端縁部より導入して前面から放出する表示パネル3と、充電可能な二次電池(図示せず)、及び二次電池を収納するケース40から成る非常用電源4と、商用電源からの電力供給を受けて放電灯に点灯電力を供給する常用点灯回路、及び商用電源からの電力供給を受けて非常用電源4を充電する充電回路、並びに非常用電源4からの電力供給を受けて放電灯に点灯電力を供給する非常用点灯回路を有する点灯部5とを備え、装置本体1には、ケース40が着脱自在に取り付けられる取付部6が設けられている。」
(ウ)【0020】
「取付部6は、装置本体1の右下隅を略矩形状に切り欠いて形成され、当該切り欠かれた部位を埋めるようにしてケース40が配設される。取付部6上面の前後両端縁からは、それぞれ断面略L字状の突壁60aが左右方向に亘って突設されており、該突壁60aによって後述する嵌合片41が嵌合する断面略T字状の嵌合溝60が左右方向に亘って形成される。取付部6の左側面には、後述する非常用電源4の端子ピン42が挿入される一対のピン挿入孔61aが貫設されたコネクタ61が埋設されている。該コネクタ61のピン挿入孔61aに端子ピン42を挿入することで、非常用電源4と充電回路及び非常用点灯回路とが電気的に接続される。・・・」
(エ)【0021】
「ケース40は略直方体状に形成され、その内部に一乃至複数の二次電池が収納されている。また、ケース40は、取付部6に取り付けた状態においてその右側面が装置本体1の右側面と同一面上に位置する寸法で形成されている。ケース40の上面には、断面略T字状の嵌合片41が左右方向に亘って突設されている。嵌合片41は、上方に突出する突片41aと、突片41aの上端部からそれぞれ前後に広がる一対の翼片41bとから成る。また、ケース40下面には、第1の係止片62が係止される断面略L字状の第1の係止溝43が凹設されている。ケース40の左側面からは、内部の二次電池と電気的に接続された一対の端子ピン42が突設されている。・・・」
(オ)【0022】
「以下、非常用電源4を取付部6に取り付ける方法について説明する。先ず、ケース40の嵌合片41を取付部6の嵌合溝60に挿入し、ケース40をスライド移動させる。次に、端子ピン42をコネクタ61のピン挿入孔61aに挿入し、最後に第1の係止片62を第1の係止溝43に係止させることで非常用電源4が取付部6に取り付けられる。尚、非常用電源4を取付部6から取り外す場合には、上記と逆の手順を行えばよい。」
(カ)【図1】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000012.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)引用文献2の技術事項1
上記記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2の技術事項1」という。)が記載されていると認められる。
「装置本体1には、嵌合片41が嵌合する断面略T字状の嵌合溝60を形成する断面略L字状の突壁60a突設され(段落【0020】)、
二次電池を収納するケース40には、突片41aと一対の翼片41bとから成る断面略T字状の嵌合片41が突設され(段落【0019】、【0021】)、
装置本体1には、ケース40が着脱自在に取り付けられる(段落【0019】)、
非常用の照明装置(段落【0001】)。」
(イ)引用文献2の技術事項2
a 段落【0021】の「ケース40の左側面からは、内部の二次電池と電気的に接続された一対の端子ピン42が突設されている」との記載、及び、【図1】 の図示内容を踏まえると、「端子ピン42は、ケース40のスライド移動方向に向かって突設されている」ものと認められる。
また、段落【0020】の「取付部6の左側面には、後述する非常用電源4の端子ピン42が挿入される一対のピン挿入孔61aが貫設されたコネクタ61が埋設されている。」との記載、及び、【図1】の図示内容を踏まえると、「ピン挿入孔61a」には、「ケース40がスライド移動されることで」、「ピン挿入孔61a」に「端子ピン42が挿入される」ものと認められる。
b 上記a及び記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2の技術事項2」という。)も記載されていると認められる。
「スライド移動方向に向かって突設されている端子ピン42を有する二次電池を収納するケース40から成る非常用電源4と(段落【0019】及び上記a)、
二次電池を収納するケース40がスライド移動されることで端子ピン42が挿入されるピン挿入孔61aが貫設されたコネクタ61が埋設されている取付部6が形成されている装置本体1と(段落【0019】、【0020】及び上記a)、
を備える非常用の照明装置(段落【0001】、【0019】)。」
(3)引用文献3
ア 記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
(ア)【0001】
「【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば非常用照明器具などに用いられる、回路ブロックユニットおよび照明器具に関するものである。」
(イ)【0022】
「・・・すなわち、この照明器具は、図1および図2に示すように、取付具1と、回路ブロックユニット2と、電源ユニット3を有する。」
(ウ)【0023】
「取付具1は、平板状であって取付面、例えば天井面4に取付ける取付部5を有し、かつ回路ブロックユニット係止部6を有する。まず天井面4には電源線引出穴7を有し、電源線引出穴7より電源線8を引出している。取付具1は例えば金属製の円板であり、外周に周壁9を有し、この周壁9の端部から外方に延びたフランジ部10を有する。・・・」
(エ)【0024】
「回路ブロックユニット2は、ランプソケット18および回路ブロック19をブロックケース140に内蔵し、回路ブロックユニット係止部6に係止される被係止部20を有する。・・・」
(オ)【0029】
「・・・さらに回路ブロックユニット2は後端部の一側面にコネクタ受け部25を有し、取付具側と反対側の面にモニタランプ点検スイッチの引き部51を露出し、その近傍に放熱孔53を形成している。・・・」
(カ)【0030】
「電源ユニット3は、略コ字形であって、取付具1上の回路ブロックユニット2の周囲に配置している。実施の形態の電源ユニット3は、略コ字形の電池ケース60と、蓋部61からなる電池収納ボックス120内に素電池群例えば複数の充電電池62からなる電池ユニットを収納している。」
(キ)【0035】
「上記したように、電池ケース60は略コ字状の内側に回路ブロックユニット2を配置する大きさを有し、電池ケース60の端部に回路ブロックユニット2と電気的接続を行うためのコネクタ部39を保持するコネクタ保持部74を有し、コネクタ保持部74は電池ケース60の一端部に突設され、コネクタ部39を挿入させる凹部126を有し、凹部126の内側面にコネクタ部39を抜止め係止する爪部75を有し、凹部126の回路ブロックユニット側の側壁127の爪部75の両側に切欠き状のスリット128を設けて爪部75を弾性変形可能に可動にしている。・・・コネクタ部39は電源ユニット3を回路ブロックユニット2に取付けるのと同時にコネクタ受け部25に接続される。このとき、可動側の爪部75の外面は回路ブロックユニット2の側面に当接し、外向きの可動が規制されてコネクタ部39が外れなくなる。」
(ク)【0038】
「照明器具の組み立てについて説明する。取付具1に回路ブロックユニット2をスライドして挟持部11に被挟持部21をスライドし、スリット13に被係止部22をスライドして係止し、ねじ挿通孔27を通して被挟持部21のねじ孔14にねじを締めつける。天井から引き下ろした電源線8を端子54に接続し、取付具1の取付部5を通して天井4に木ねじ96で取付ける。電源ユニット3の段部36を取付具1の周壁9に嵌合し、同時に突起部38を凹部24に嵌合し、係止爪66および爪受け部67の組を逃げ凹部50に位置させるように嵌め、さらにコネクタ部39をコネタク受け部25に接続し、電源ユニット3を取付具1に対して押すことにより被取付部37の板ばねの係止段部40を引掛面23aに引掛け、これにより取付具1に電源ユニット3を取付ける。」
(ケ)【図2】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000013.jpg]
」
(コ)【図4】には以下の内容が示されている。
「
[図:0001429972000014.jpg]
」
イ 引用文献3の技術事項
上記記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「平板状であって取付面である回路ブロックユニット係止部6を有する取付具1と(段落【0023】)、
回路ブロックユニット2と電気的接続を行うためのコネクタ部39を保持するコネクタ保持部74を有する略コ字形の電池ケース60を収納している電源ユニット3と(段落【0030】、【0035】)、
回路ブロックユニット係止部6に係止される被係止部20を有し、コネクタ部39が接続されるコネクタ受け部25を有する回路ブロックユニット2と(段落【0024】、【0029】、【0035】)、
を有する非常用照明器具(段落【0001】、【0022】)。」
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「上面を天板で閉塞した器具本体1」は本件発明1の「本体」に相当し、以下同様に、「装着され」ることは「取り付けられ」ることに、「接触ピン7」は「バッテリ側コネクタ」に、「非常灯ブロック2」は「点灯装置」に、「端子ブロック17」は「バッテリコネクタ」に、「電池ユニット3」は「バッテリユニット」に、「細長い形状」は「レール状」に、「器具本体1の天板に向かう方向」は「前記本体の奥行き方向」に、「溝部」は「溝」に、「非常灯照明器具」は「非常用の照明器具」に、それぞれ相当する。
上記の相当関係を踏まえると次のことがいえる。
イ 引用発明の「器具本体1内に装着され、接触ピン7が突出して設けてある非常灯ブロック2」は、本件発明1の「前記本体に取り付けられ、バッテリ側コネクタを有する点灯装置」に相当する。
ウ 引用発明の「接触ピン7が侵入する端子ブロック17が支持され、」「非常灯ブロック2へスライドして取り付けられる電池ユニット3と」「で構成され」る構成は、接触ピン7が端子ブロック17に侵入することで、端子ブロック17が接触ピン7に挿し込まれる構成となることは明らかであるから、本件発明1の「前記バッテリ側コネクタに挿し込まれるバッテリコネクタを有し、前記点灯装置へスライドして取り付けられるバッテリユニットとを備え」る構成に相当する。
エ 引用発明の「L字状部」及び「板状部」は、前記1(1)イ(ア)eで認定したとおり、板状部がL字状部に挿入及びガイドされるものであるので、それぞれ、本件発明1の「装着ガイド」及び「ガイドリブ」に相当する。
そして、本件発明1と引用発明とは、共に、「点灯装置(非常灯ブロック2)」と「バッテリユニット(電池ユニット3)」とを備え、一方に「装着ガイド(L字状部)」が設けられ、他方に「ガイドリブ(板状部)」が設けられていることで、「装着ガイド(L字状部)」と「ガイドリブ(板状部)」とが協働してガイド機能を果たすものと認められる。
また、引用発明の「溝部を有するL字状部」は、引用文献1の【図3】を参照すると、L字状部が溝部を有するように溝状に形成されているものと認められるので、本件発明1の「溝状の装着ガイド」に相当する。
以上を踏まえると、引用発明の「電池ユニット3は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って形成された溝部を有するL字状部を有し、非常灯ブロック2は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って細長い形状に形成され、L字状部に挿入され」「る板状部を有」する構成と、本件発明1の「前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、前記バッテリユニットは、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有」する構成とは、「前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、前記点灯装置と前記バッテリユニットの他方は、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有」する構成において共通する。
オ 引用発明の「溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部」は、前記1(1)イ(ア)eで認定したとおり、板状部が通過することで板状部をガイドする部分であるので、本件発明1の「溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝」に相当する。
また、引用発明の「第1の壁部及び第2の壁部」は、「電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に電池ユニット3が斜めに傾くことを制限」する部分であるので、本件発明1の「スライド壁」に相当する。
したがって、上記エも合わせて踏まえると、引用発明の「L字状部は、器具本体1の天板に向かう方向と反対側の方向に向かって溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部を有し、電池ユニット3は、L字状部よりも器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向のガイド壁となる第1の壁部及び第2の壁部を有し、第1の壁部及び第2の壁部は、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に電池ユニット3が斜めに傾くことを制限」する構成と、本件発明1の「前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する」構成とは、「前記装着ガイドは、溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブのガイド壁となるスライド壁を有し、前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する」構成において共通する。
カ そうすると、本件発明1と引用発明とは、
「本体と、
前記本体に取り付けられ、バッテリ側コネクタを有する点灯装置と、
前記バッテリ側コネクタに挿し込まれるバッテリコネクタを有し、前記点灯装置へスライドして取り付けられるバッテリユニットと
を備え、
前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、
前記点灯装置と前記バッテリユニットの他方は、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有し、
前記装着ガイドは、溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブのガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する非常用の照明器具。」
の点において一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
装着ガイド、ガイドリブ及びスライド壁の配置に関し、本件発明1では、「点灯装置」が装着ガイド及びスライド壁を有し、「バッテリユニット」がガイドリブを有する構成とすることで、装着ガイドは、「前記本体の奥行き方向に向かって」溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、「前記点灯装置」は、「前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され」、ガイド溝を通過したガイドリブの「前記本体の奥行き方向の」ガイド壁となるスライド壁を有するのに対して、引用発明では、電池ユニット3がL字状部並びに第1の壁部及び第2の壁部を有し、非常灯ブロック2が板状部を有する点。
[相違点2]
本件発明1は、「前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」のに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点2から検討する。
ア 引用文献1の【図2】の図示内容から(下記の参考図4を参照。)、引用発明の非常灯ブロック2(点灯装置相当)は、電池ユニット3(バッテリユニット相当)を取り付ける側面(サイド面相当)に対して直交する方向から見たとき、幅方向(左右方向相当)において、板状部(ガイドリブ相当)の左右幅と接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の左右幅とは全く重なっていないものと認められる。
参考図4:図2に当審において加筆したもの
[図:0001429972000015.jpg]
イ さらに引用文献1の段落【0010】の記載、【図3】の図示内容(下記の参考図5を参照。)及び【図5】の図示内容から、引用発明の電池ユニット3は、ランプ5が取り付けられるソケット12が反射鏡ユニット4の中央に配置されるため、ソケット12と接続される端子ブロック17(バッテリコネクタ相当)もまた中央に配置されているものと認められる。
参考図5:図3に当審において加筆したもの
[図:0001429972000016.jpg]
【図5】の図示内容
[図:0001429972000017.jpg]
ウ 上記イを踏まえると、引用発明は、電池ユニット3(バッテリユニット相当)の端子ブロック17(バッテリコネクタ相当)が中央に配置されているために、非常灯ブロック2(点灯装置相当)の接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)もまた中央に配置されていることが理解できる。
エ 上記イ及びウによれば、引用発明は、非常灯ブロック2(点灯装置相当)の接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の位置を、中央から他の位置に変更することの阻害事由があるといえる。
オ また、非常灯ブロック2(点灯装置相当)の板状部(ガイドリブ相当)は、L字状部に挿入されて電池ユニット3の非常灯ブロック2への取り付けを支持するものであるから、引用発明は、板状部(ガイドリブ相当)を周縁部から他の位置に変更することの阻害事由があるといえる。
カ そうすると、引用発明は、電池ユニット3(バッテリユニット相当)を取り付ける側面(サイド面相当)に対して直交する方向から見たとき、幅方向(左右方向相当)において、板状部(ガイドリブ相当)の左右幅と接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の左右幅とが一部重なるように、板状部(ガイドリブ相当)と接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の位置を変更することの阻害事由があるといえる。
キ したがって、他の証拠について検討するまでもなく、引用発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことということができない。
(3)小括
以上のとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3 本件発明2について
(1)対比
本件発明2と引用発明とを対比する。
ア 上記2(1)アで示した相当関係に加え、引用発明の「天板」は、本件発明2の「奥板」に相当する。
上記の相当関係を踏まえると次のことがいえる。
イ 引用発明の「上面を天板で閉塞した器具本体1」は、本件発明2の「奥板を有する本体」に相当する。
ウ 前記2(1)ウ及びエの対比を踏まえると、引用発明の「器具本体1内に装着され、接触ピン7が突出して設けてある非常灯ブロック2と、接触ピン7が侵入する端子ブロック17が支持され、器具本体1の下面開口から天板に向かって 挿入され、非常灯ブロック2へスライドして取り付けられる電池ユニット3と」「で構成され、」「電池ユニット3は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って形成された溝部を有するL字状部を有し、非常灯ブロック2は、電池ユニット3がスライドする方向に沿って細長い形状に形成され、L字状部に挿入されて電池ユニット3の非常灯ブロック2への取り付けを支持する板状部を有」する構成と、本件発明2の「前記奥板に向かってスライド挿入され、前記スライド挿入方向に向かって突出するバッテリコネクタ、並びに、スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有するバッテリユニットと、前記奥板に取り付けられ、前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタ、並びに、前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する点灯装置と、」「を備え」る構成とは、「前記奥板に向かってスライド挿入され、バッテリコネクタを有するバッテリユニットと、前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタを有する点灯装置と、スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有する前記点灯装置と前記バッテリユニットの他方と、前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方と」「を備え」る構成において共通する。
エ 引用発明の「反射鏡ユニット4及びランプ5」は、「ランプ5」は、当然、光源であると認められるから、当該「ランプ5」を含む「反射鏡ユニット4及びランプ5」も、本件発明2の「光源」に相当する。
したがって、引用発明の「天板に対向するように配置され、電池ユニット3がスライドして取り付けられた状態において、電池ユニット3と非常灯ブロック2とを覆うように配置された反射鏡ユニット4及びランプ5」は、本件発明2の「前記奥板に対向するように配置され、前記バッテリユニットがスライド挿入された状態で、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆うように配置された光源」に相当する。
オ 上記ウ及び前記2(1)オの対比を踏まえると、引用発明の「L字状部は、器具本体1の天板に向かう方向と反対側の方向に向かって溝部の間隔が次第に狭くなっているテーパ部を有し、電池ユニット3は、L字状部よりも器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向に形成され、テーパ部を通過した板状部の器具本体1の天板に向かう方向と反対の方向のガイド壁となる第1の壁部及び第2の壁部を有し、第1の壁部及び第2の壁部は、電池ユニット3がスライドして取り付けられる場合に電池ユニット3が斜めに傾くことを制限」する構成と、本件発明2の「前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する」構成とは、「前記装着ガイドは、溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブのガイド壁となるスライド壁を有し、前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する」構成において共通する。
カ そうすると、本件発明2と引用発明とは、
「奥板を有する本体と、
前記奥板に向かってスライド挿入され、バッテリコネクタを有するバッテリユニットと、
前記バッテリユニットがスライド挿入されることで前記バッテリコネクタが差し込まれるバッテリ側コネクタを有する点灯装置と、
スライド挿入を支持するレール状のガイドリブを有する前記点灯装置と前記バッテリユニットの他方と、
前記ガイドリブをガイドする装着ガイドを有する前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方と、
前記奥板に対向するように配置され、前記バッテリユニットがスライド挿入された状態で、前記バッテリユニットと前記点灯装置とを覆うように配置された光源と
を備え、
前記装着ガイドは、溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、
前記点灯装置と前記バッテリユニットの一方は、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブのガイド壁となるスライド壁を有し、
前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限する非常用の照明器具。」
の点において一致し、以下の点で相違する。
[相違点3]
バッテリコネクタの構成に関し、本件発明2では、バッテリコネクタが「前記スライド挿入方向に向かって突出する」のに対して、引用発明では、端子ブロック17は、電池ユニット3がスライドする方向に向かって突出しているとはいえない点。
[相違点4]
点灯装置の配置に関し、本件発明2では、「前記奥板に取り付けられ」るのに対して、引用発明では、非常灯ブロック2は器具本体1内に装着されるとしか特定されていない点。
[相違点5]
装着ガイド、ガイドリブ及びスライド壁の配置に関し、本件発明2では、「バッテリユニット」がガイドリブを有し、「点灯装置」が装着ガイド及びスライド壁を有する構成とすることで、装着ガイドは、「前記本体の奥行き方向に向かって」溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、「前記点灯装置」は、「前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され」、ガイド溝を通過したガイドリブの「前記本体の奥行き方向の」ガイド壁となるスライド壁を有するのに対して、引用発明では、非常灯ブロック2が板状部を有し、電池ユニット3がL字状部並びに第1の壁部及び第2の壁部を有する点。
[相違点6]
本件発明2は、「前記点灯装置は、前記バッテリユニットを取り付けるサイド面を有し、前記サイド面に対して直交する方向から見て、左右方向において、前記装着ガイドの左右幅と前記バッテリ側コネクタの左右幅とは一部が重なっている」のに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点6から検討する。
相違点6は、相違点2と同じ相違点であるから、相違点2について検討した上記2(2)と同様の理由により、他の証拠について検討するまでもなく、引用発明において、相違点6に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことということができない。
(3)小括
以上のとおりであるから、相違点3~5について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
4 本件発明3及び4について
本件発明3及び4は、本件発明1又は2の発明特定事項を全て含み、さらに構成を付加したものであるから、本件発明1又は2と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
5 申立人の主張について
申立人は、意見書において、概略、以下のような主張(意見書p5~6)をしている。
申立人主張:引用文献1記載の発明も、端子ブロック17と接触ピン7の位置ずれを抑制し、端子ブロック17に接触ピン7を挿入しやすくなるという効果を奏し得る。したがって、本件訂正発明1は、引用文献1記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
申立人主張について検討する。
上記2(2)で説示したとおり、引用発明には、電池ユニット3(バッテリユニット相当)を取り付ける側面(サイド面相当)に対して直交する方向から見たとき、幅方向(左右方向相当)において、板状部(ガイドリブ相当)の左右幅と接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の左右幅とが一部重なるように、板状部(ガイドリブ相当)と接触ピン7(バッテリ側コネクタ相当)の位置を変更することの阻害事由がある。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、取消理由通知において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
理由1(新規性)
本件特許発明1、2、4は、甲1-1、1-2、1-4発明と同一である。
(特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号))
理由2(明確性)
2-1 本件特許の請求項1及び2の、「ガイドリブ」が「レール状」であるとの記載は、その形状が不明確であるから、請求項1~4の記載は明確でない。
2-2 本件特許の請求項1及び2の、「ガイド溝」の「奥行き方向」とは、「点灯装置」のどこを正面とした奥行きであるのか不明確であるから、請求項1~4の記載は明確でない。
2-3 本件特許の請求項1及び2の、「バッテリユニットが斜めに傾く」とは、「バッテリユニット」が何に対して斜めであるのか不明確であるから、請求項1~4の記載は明確でない。
(特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号))
2 当審の判断
(1)理由1(新規性)について
ア 引用文献の記載及び引用発明
上記第5の1で説示したとおりである。
イ 本件発明1について
上記第5の2で説示したとおり、本件発明1と引用発明は、相違点1及び2で相違するものであるところ、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1は、引用発明ではない。
ウ 本件発明2について
上記第5の3で説示したとおり、本件発明2と引用発明は、相違点3~6で相違するものであるところ、相違点6は実質的な相違点であるから、本件発明2は、引用発明ではない。
エ 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1又は2の発明特定事項を全て含み、さらに構成を付加したものであるから、本件発明1又は2と同様の理由により、本件発明4は、引用発明ではない。
(2)理由2(明確性)について
ア 理由2-1について
(ア)請求項1には、「前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、前記バッテリユニットは、前記スライドする方向にレール状に形成され、前記装着ガイドに挿入されるガイドリブを有し、」と記載されている。
上記の記載によれば、以下のことが理解できる。
a 「装着ガイド」は、「前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状」である。
b 「ガイドリブ」は、「前記装着ガイドに挿入される」ものである。
c 「ガイドリブ」は、「前記スライドする方向にレール状に形成され」たものである。
上記a~cを総合すれば、「ガイドリブ」は、スライド方向に延びる溝に挿入可能な形状であって、スライド方向に延びるレールのような形状であればよいことが理解できる。
したがって、請求項1の記載は明確である。
同様に、請求項2の記載も明確である。
(イ)申立人は、「レール状」には凸形状及び凹形状を含む多数の形状があり、それら多数の形状の中からいずれの形状を選択するかによって、他の発明特定事項、例えば、「装着ガイド」の構造などとの不整合が生じる、と主張(申立書p14)している。
しかしながら、上記(ア)のとおり、「ガイドリブ」は、スライド方向に延びる溝に挿入可能な形状であって、スライド方向に延びるレールのような形状であればよいことが明確であって、スライド方向に延びる溝に挿入不可能な形状は排除されている。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
イ 理由2-2について
請求項1には、「前記点灯装置は、前記バッテリユニットが前記スライドする方向に形成された溝状の装着ガイドを有し、」「前記装着ガイドは、前記本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっているガイド溝を有し、前記点灯装置は、前記装着ガイドよりも前記本体の奥行き方向に形成され、前記ガイド溝を通過した前記ガイドリブの前記本体の奥行き方向のガイド壁となるスライド壁を有し、」と記載されている。
上記の記載によれば、以下のことが理解できる。
a 「装着ガイド」は、スライドする方向に形成されているもので、本体の奥行き方向に向かって溝の間隔が次第に狭くなっている。
b スライド方向に沿って、「ガイド溝」、「スライド壁」の順に位置していることが理解できる。
上記a及びbを総合すれば、「奥行き方向」とは、バッテリユニットがスライドする方向であって、装着ガイドが次第に狭くなってガイド溝となり、その先にスライド壁がある方向、すなわち、バッテリユニットの挿入取り付け方向を意味することが理解できる。
したがって、請求項1の記載は明確である。
同様に、請求項2の記載も明確である。
ウ 理由2-3について
請求項1には、「前記スライド壁は、前記バッテリユニットがスライド挿入される場合に前記バッテリユニットが斜めに傾くことを制限し、」と記載されている。
上記の記載によれば、バッテリユニットがスライド挿入されるスライド方向に対して斜めに傾くことを意味することが理解できる。
したがって、請求項1の記載は明確である。
同様に、請求項2の記載も明確である。
エ したがって、請求項1~4の記載は明確である。
(3)小括
以上のとおり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由も成り立たない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700124