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特許異議申立

2024-700688

無人販売システムの決済方法

審判番号
2024-700688
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-179759
登録番号
7421005
請求日
2024年07月22日
審決日
2024年09月02日
公報発行日
2024年10月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】アサヒ飲料株式会社
  • 【権利者代理人】大上 寛
  • 【異議申立人】酒井 絵津子
審判長/審判官
  • 審判長 篠塚 隆
  • 審判官 野崎 大進
  • 審判官 村松 貴士
分類
P1651.536-Y (G07F) / P1651.121-Y (G07F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7421005号発明「無人販売システムの決済方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7421005号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7421005号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、令和5年6月29日を出願日とする特許出願である特願2023-107604号の一部を、令和5年10月18日に新たな特許出願としたものであって、令和6年1月15日に特許権の設定登録がされ、令和6年1月23日に特許掲載公報が発行された。その後、令和6年7月22日に特許異議申立人 酒井 絵津子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされた。 第2 本件特許発明 特許第7421005号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし6の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 自動販売機の筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた自動販売機の決済方法であって、 決済手段として、 自動販売機に投入された硬貨を用いた決済の処理手段、自動販売機に投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いるものであり、 前記自動販売機は、 ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、 複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、 選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための前記決済手段と、 物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、 選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段と、 を一つの自動販売機に備えるものであり、 前記印刷手段は、自動販売機の筐体に設けた外扉の前面に設けられ、 前記印刷手段の用紙は、前記外扉を閉じたまま補充可能に構成され、 前記印刷手段から印刷された印刷物が、前記決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供及び/又は商品との交換のための証票である、 ことを特徴とする、自動販売機の決済方法。 【請求項2】 前記印刷手段への給電は、前記自動販売機からの給電である、ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の決済方法。 【請求項3】 前記印刷手段は、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、 印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機の決済方法。 【請求項4】 前記印刷手段に供給する用紙がロール形状である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機の決済方法。 【請求項5】 前記自動販売機は屋内に設置される、 ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機の決済方法。 【請求項6】 前記印刷手段は、前記印刷手段のカバーの開閉を規制する施錠機能、及び/又は、カバー内への浸水を防止する防水機能を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機の決済方法。」 第3 申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、以下の理由1および2により、本件特許発明1ないし6についての特許を、取り消すべきである旨主張している。 1 理由1(進歩性:特許法第29条第2項) 申立人は、主たる証拠として下記の、甲第2号証を提出し、従たる証拠として下記の、甲第3号証ないし甲第5号証を提出し、請求項1ないし6に係る発明は、主たる証拠に記載された発明及び従たる証拠のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1ないし6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許査定されたものである旨主張している。(申立書 4頁11行~14頁29行) 記 甲第1号証:特許第7421005号公報(本件特許掲載公報) 甲第2号証:特開2001-307220号公報 甲第3号証:特開2022-59780号公報 甲第4号証:特開2022-182654号公報 甲第5号証:特開2015-5073号公報 甲第6号証:EPSON レシートプリンター総合カタログ 2 理由2(実施可能要件:特許法第36条第4項第1号) 申立人は、概略、以下のように述べて、請求項1ないし6に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされた旨主張している。(申立書 14頁30行~15頁下から5行) 自動販売機の筐体に設けた外扉を開けずに用紙補給が可能な印刷手段に対して、USBケーブルを通じて、導入の負担を少なく、如何に給電する仕組みを構築するのかが、明細書及び周知技術を参酌しても把握できず、当業者といえども、その実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、本件特許発明1ないし6について、実施可能要件を満たさない。 第4 甲号証 1 甲第2号証 (1)甲第2号証の記載 申立人が主たる証拠として提示した甲第2号証には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審付与。以下同様。)。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は缶入飲料水、煙草等の自動販売機に関するものであり、更に詳細には、従来の自動販売機にインターネットと接続可能とするコンピュータを組込みインターネットの情報を販売する自動販売機のシステムに関するものである。 【0002】 【従来技術】従来、我国は治安が良いことから全国に無数の自動販売機が設置され使用されており、販売商品の種類も缶入飲料水、ペットボトル入飲料水、お酒、煙草、更には、切符類、印紙類等々と止まるところを知らない現状である。 【0003】 【解決しようとする課題】然し乍ら、缶入飲料水等の自動販売機においては、一部の地域においては既に過当競争が始まっており、利潤が上がらない自動販売機が多数設置されている実情である。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は前記の事由に鑑みて、鋭意研鑽の結果、商品を内蔵してコイン又は紙幣で代金を決済する決済手段を有した自動販売機と、自動販売機にインターネットと接続可能に組み込んだコンピュータと、該ンピュータを操作する操作パネルと、操作パネルで操作して情報を表示させるディスプレーと、ディスプレーに表示させた情報に基づいて料金決済を行うカードリーダとを備えたものであり、更に、自動販売機にディスプレーに表示させた情報に基づいてプリントアウトするプリンターを備えたものである。 【0005】 【作用】本発明は、自動販売機にインターネットと接続可能なコンピュータを組み込んだため、インターネットに登録している情報を自動販売機から取り出し、その情報に対してコイン、紙幣、又は、カードで代金決済をさせるものである。 【0006】従って、本発明の目的は、自動販売機に付加価値を付けて利潤を上げる自動販売機のシステムを提供するものである。」 イ 図1 [図:0001415342000001.jpg] ウ 「【0008】図1は本発明の自動販売機のシステムの実施例を説明するための概要説明図である。 【0009】本発明は缶入飲料水、煙草等の自動販売機1に関するものであり、更に詳細には、従来の自動販売機1にインターネットと接続可能とするコンピュータ2を組込みインターネットの情報を販売する自動販売機のシステムに関するものであり、請求項1に記載の自動販売機のシステムは、商品を内蔵してコイン又は紙幣で代金を決済する決済手段を有した自動販売機1と、該自動販売機1にインターネットと接続可能に組込んだコンピュータ2と、該コンピュータ2を操作する操作パネル3と、該操作パネル3で操作して情報を表示させるディスプレー4と、該ディスプレー4に表示させた情報に基づいて料金決済を行うカードリーダ5とを備えたものである。 【0010】更に、請求項2に記載の自動販売機のシステムは、請求項1に記載の自動販売機のシステムにおいて、前記自動販売機1にディスプレー4に表示させた情報に基づいてプリントアウトするプリンター6を備えたものである。 【0011】即ち、本発明の自動販売機のシステムは、従来から汎用されている自動販売機1を用いて改良できるもので、単に内蔵されている商品を販売するだけでなく、インターネットに登録されている情報も併せて販売するものである。 【0012】そして、函状の自動販売機1の内側にインターネットと接続可能なコンピュータ2を組込むものであるが、その場所は、上方又は下方の適宜な空所、或いは、空所がない場合は、販売商品を若干少なくして空所を設ければ良いものであり、インターネットとの接続は電話回線を介した有線、又は、移動電話等の通信網を介した無線で行うものである。 【0013】次に、コンピュータ2を操作する操作パネル3はデスクトップ式のキーボードのような押圧釦を備えたものでも、タッチ式のタッチパネルのようなものでもコンピュータ2が操作できるものなら構わないものである。 【0014】次いで、ディスプレー4は液晶式のものでもブラウン管式のものでも構わないもので有るが、自動販売機1に取り付けるスペースの関係から液晶式のものが好適なものである。 【0015】そして、カードリーダー5は、クレジットカード、デビットカード、プリペードカードやキャッシュカード等の各種のカードによる代金決済を行えるものであり、カードを挿入することで現金に替わる決済をするものである。 【0016】更に、プリンター6は操作パネル3を操作してディスプレー4に表示させたチケット、切符等の情報の予約や代金決済の証明をするために必要事項をプリントアウトするものである。 【0017】本発明の自動販売機のシステムは、汎用されている自動販売機1の機能を持たせつつインターネットから情報を取り出して、その情報の取り出し料金、及び、情報の為の代金決済を自動販売機1に行わせるものである。 【0018】つまり、自動販売機1で販売されている商品を購入する場合は、コイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて指定の商品の指定釦を押圧することにより、従来と同様に下方の商品取出口1cから取り出すものである。 【0019】そして、インターネットを使用するにはコイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて、操作パネル3を操作することにより、インターネットの有する情報をディスプレー4に表示させるものであり、例えば、インターネット上で販売されている希望商品を指定することにより、代金決済されるものであり、希望商品は後送等の手段によって届けられるものである。」 (2)甲第2号証記載発明 上記(1)の記載から、特に下線部および枠線内の記載に着目すると、甲第2号証には以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「ディスプレーに表示させた情報に基づいてプリントアウトするプリンターを備えた自動販売機にインターネットと接続可能なコンピュータを組み込み、インターネットに登録している情報を自動販売機から取り出し、その情報に対してコイン、紙幣、又は、カードで代金決済をさせるものであって、 自動販売機のシステムは、商品を内蔵してコイン又は紙幣で代金を決済する決済手段を有した自動販売機1と、該自動販売機1にインターネットと接続可能に組込んだコンピュータ2と、該コンピュータ2を操作する操作パネル3と、該操作パネル3で操作して情報を表示させるディスプレー4と、該ディスプレー4に表示させた情報に基づいて料金決済を行うカードリーダ5と、ディスプレー4に表示させた情報に基づいてプリントアウトするプリンター6を備えたものであり、 コンピュータ2を操作する操作パネル3はデスクトップ式のキーボードのような押圧釦を備えたものでも、タッチ式のタッチパネルのようなものでもコンピュータ2が操作できるものなら構わないものであり、 カードリーダー5は、クレジットカード、デビットカード、プリペードカードやキャッシュカード等の各種のカードによる代金決済を行えるものであり、カードを挿入することで現金に替わる決済をするものであり、 プリンター6は操作パネル3を操作してディスプレー4に表示させたチケット、切符等の情報の予約や代金決済の証明をするために必要事項をプリントアウトするものであり、 汎用されている自動販売機1の機能を持たせつつインターネットから情報を取り出して、その情報の取り出し料金、及び、情報の為の代金決済を自動販売機1に行わせる方法であって、 自動販売機1で販売されている商品を購入する場合は、コイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて指定の商品の指定釦を押圧することにより、従来と同様に下方の商品取出口1cから取り出すものであり、 インターネットを使用するにはコイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて、操作パネル3を操作することにより、インターネットの有する情報をディスプレー4に表示させるものであり、例えば、インターネット上で販売されている希望商品を指定することにより、代金決済されるものであり、希望商品は後送等の手段によって届けられるものである 代金決済方法。」 2 甲第3号証ないし甲第6号証 (1)甲第3号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第3号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、物品の回収又は提供を行う装置に関する。 【背景技術】 【0002】 空容器を回収する空容器回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、このような物品の回収装置において、NFCによる非接触式ICカードに代表される会員カード等に物品回収に応じたポイントを付与するということも行われている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2006-095547号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 このような従来の物品回収装置において、物品回収に応じた対価としては電子マネー機能やウォレット機能を備えた会員カード等にポイント等の有価価値を搭載させる態様しか採りえず、会員カード等を保持していない者に対して、優待券や割引券といった特殊な景品やクーポン等の特典を与えることはできなかった。要するに、利用者に対するサービスの内容については依然として改善の余地があった。 【0005】 ところで、サービスの改善を図るためには、想定される必要な情報入出力機器を物品回収装置に単に備えさせれば済むという単純な問題ではなく、機器の組み合わせを如何にするか、配置をどのようにするかといったことも詳細に検討された上で利用者の使い勝手の良い装置が実現されることが望まれる。 【0006】 そこで、本発明は、利用者への幅広いサービスに対応できることを前提としつつ、かつ、利用者の使い勝手の良い物品の回収又は提供を行う装置を実現することを課題とする。」 イ 図1 [図:0001415342000002.jpg] ウ 「【0013】 図1は、本発明の実施形態に係る容器減容装置として、回収対象の空容器(PETボトル等)を回収する空容器回収装置1の一例を示す図である。 本実施形態の空容器回収装置1は、待機時、物品投入部(容器投入部)の外扉が閉状態であり、物品投入部と収容部の間に開閉自在に設けられた内扉が閉状態である。物品回収時に、物品投入部の外扉が開状態となり、制御部(判別部)により、物品投入部の載置部へ載置された物が回収対象物の物品(例えば、PETボトル等の樹脂製の空容器)であるか否かが判別される。回収対象物の物品(空容器)であると判別された場合、外扉が閉状態となり、物品投入部と収容部の間に設けられた内扉が開状態となり、収容部により容器が回収される。本実施形態では、空容器回収装置が減容機構を備え、減容機構により容器を減容することで、規定容量の収容部にて多量の減容された空容器を回収可能である。また、本実施形態では、物品回収装置の利用者へのサービスを提供する手段としてのプリンタが備えられている。」 エ 図3 [図:0001415342000003.jpg] オ 図4 [図:0001415342000004.jpg] カ 「【0025】 詳細には、図3及び4に示されるように、筐体5の略中央にプリンタ部2が縦置き鉛直方向に配設されている。 (中略) 【0030】 用紙の補充を行うために、また、プリンタ部やコードスキャナ部の保守を行うために、筐体5は開閉できるようにされており、そのためのカバー51が前面側に設けられている。図6のスキャナ付きプリンタの側断面図において、カバー51は、用紙の排出面21、用紙受け部4、コードスキャナ部3、支持部31を一体で覆うような形状とされており、カバー51を開けた場合には、コードスキャナ部3が退避され、筐体の略中央に配置されたプリンタ部2に前方からアクセスすることが可能となり、用紙交換等を行うことができるようになる。カバーボタン52を操作すると、カバー保持機構が解除され、開閉ダンパー等の適宜の手段を備えたカバー開閉機構により、カバー51が開放されるように構成されている。図8は、カバー51が開放された様子を示している。プリンタ部2が露出された状態となり、用紙や他のサプライ部品の補充やメンテナンスを容易なものとしている。」 キ 図8 [図:0001415342000005.jpg] (2)甲第4号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第4号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、医薬品を販売する自動販売機に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、医師の処方箋に基づく医薬品を販売する自動販売機が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。 【0003】 特許文献1に記載されている自動販売機は、医師による投薬のデータが記録されている情報記録媒体(ICカード)から処方箋に係るデータを抽出し、抽出された処方箋に係るデータに基づいて薬品を調剤し、その調剤された薬品を排出している。特許文献2に記載されている自動販売機は、所定フォーマットの処方箋を読み取り、処方箋の読取結果に基づいて、医師により指定された既製薬を薬取出口に搬送している。 【0004】 また、市販薬、家庭薬、大衆薬とも称されるOTC医薬品(Over The Counter 医薬品)については、薬局やドラッグストアにおいて、医師の処方箋を必要とせずに、購入できるようになっている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開2000-90333号公報 【特許文献2】 特開平10-269431号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ここで、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てするというセルフメディケーションの観点からは、OTC医薬品について、医薬品の安全性と有効性を確保しながらも、購入の利便性を向上させることが望まれていた。 【0007】 本発明は、上記課題を解決するものであり、OTC医薬品について、医薬品の安全性と有効性を確保しながらも、医薬品の購入の利便性を向上させた自動販売機を提供することを目的とする。」 イ 図1 [図:0001415342000006.jpg] ウ 「【0018】 図1に示すように、自動販売機1の筐体2の前面には、扉3が設けられている。自動販売機1では、扉3が開かれることによって、医薬品の補充作業及び医薬品の代金の回収作業等が行われる。 【0019】 扉3の前面側には、医薬品の説明、病状、服用注意項目等の情報を表示する表示部10と、購入者の選択操作を受け付ける操作入力部11とで構成されたタッチスクリーンが設けられている。 【0020】 また、扉3の前面には、購入者が購入した医薬品を取り出すための商品取出口12が設けられている。本実施形態においては、商品取出口12は、扉3のやや中央部に設けられている。このため、購入した医薬品を購入者が背を屈めたり、膝を曲げたりすることなく、安定した姿勢で取り出せることができる。なお、商品取出口12は、扉3の下方部に設けられてもよいし、扉3の上方部に設けられてもよい。 【0021】 また、扉3の前面には、医薬品の代金を支払う際に用いられるユニットとして、硬貨を受け付ける硬貨投入ユニット13と、紙幣を受け付けるビルバリユニット14と、カードの金銭情報を受け付けるカード決済ユニット15とが設けられている。さらに、購入者のパスポート情報を読み込むためのパスポートリーダ16と、レシートを出力するレシートプリンタ17と、釣銭を取り出すための釣銭取出口18とが設けられている。」 (3)甲第5号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第5号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、既設の自動販売機に着脱可能とした募金装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、異種商品の併売を行う自動販売機として、特開昭63-229596号公報(特許文献1)に、自動販売機の前面扉に、自動販売機の商品とは別の商品を販売する販売装置ユニットを着脱可能に設けた自動販売機が開示されている。 【0003】 また、自動販売機において商品を購入した後の釣銭を募金するため、特開2002-83344号公報(特許文献2)に、商品等を購入するための支払金を入金するための入金手段と、入金された支払金から商品代金を差し引きして釣銭金額を算出する算出手段と、算出手段により算出された釣銭金額を所定の募金先へ送金する送金手段を備えた、自動販売機に内蔵された募金装置、又は募金装置付の自動販売機が開示されている。 【0004】 また、特開2008-27297号公報(特許文献3)に、自動販売機の商品選択ボタンを募金用ボタンとし、該募金用ボタンを架空のコラムに関連付けて、募金用ボタンが押されると架空の売り上げを計上することで募金をすることができる自動販売機が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開昭63-229596号公報 【特許文献2】 特開2002-83344号公報 【特許文献3】 特開2008-27297号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、特許文献1に開示されている自動販売機では、販売装置ユニットと自動販売機の電気的な接続に関して、具体的な開示がなされておらず、係る場合、自動販売機のハードウエア及び制御プログラムが、販売装置ユニットが接続されることを前提として構成されている必要があり、既設の自動販売機にそのまま装着することは困難であるという課題があった。 【0007】 また、特許文献2に開示されている装置又は自動販売機では、自動販売機の製造段階から募金装置が組み込まれる構成であり、既設の自動販売機に募金機能を付加することができず、募金機能を付加するときは自動販売機ごと交換する必要があった。また、募金装置付の自動販売機を設置した後、募金の集まりが悪い等の理由で募金装置を撤去したいときも、自動販売機ごと交換する必要があった。 【0008】 また、特許文献3に開示されている自動販売機では、商品選択ボタンを募金用ボタンとするため、商品の種類が少なくなってしまうという課題があった。さらに、架空のコラムを設定するためには、自動販売機に架空のコラムを設定するための制御プログラムが必要であるが、当該制御プログラムは自動販売機の製造時に組み込まれるものであり、自動販売機の商品補充や集金等を行う自販機管理者が、既設の自動販売機に当該制御プログラムを組み込むことは困難であった。 【0009】 本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、既設の自動販売機に着脱可能とし、自動販売機の交換をせずとも自動販売機に募金機能を付加し、また、必要に応じて自動販売機から募金機能のみを撤去することができる募金装置を提供することを目的とする。」 イ 図1 [図:0001415342000007.jpg] ウ 「【0026】 先ず、図1を参照して、自動販売機40の外観について説明する。自動販売機40の前面には、本実施形態の募金装置10が装着される広告スペース42、商品展示室43、商品展示室43に展示される商品見本44、各商品の価格表示45、商品選択部としての複数の商品選択ボタン72a、硬貨を投入する硬貨入金口61a、紙幣を挿入する紙幣入金口62a、入金された金額や釣銭等を表示する金額表示部71、釣銭等を返却させる返却レバー63a、釣銭等が返却される返金口63b、商品が搬出される搬出口46、外部機器と情報の送受信を行う通信部76、盲蓋64等が備えられる。また、自動販売機40の内部には、商品の冷却加温をする冷凍加温機構、商品を保管する複数のコラム、商品の販売時に商品を搬出口46に搬出する搬出ユニット等が備えられている。」 エ 図2 [図:0001415342000008.jpg] オ 「【0040】 また、図2に示すように、募金装置10の前面部は、募金額等を表示する表示部21、音声データ等を出力する音声出力部としてのスピーカ22a、募金額を選択する募金額選択部としての募金額選択ボタン23a、募金先を選択する募金先選択部としての募金先選択ボタン24a、募金するか否かを最終的に確認する募金確認部としての決定ボタン25a及びキャンセルボタン25b、領収書を発行する領収書発行部としての領収書発行ボタン26a及び領収書発行口26b、募金額先毎の募金額等を自動販売機の自販機管理者等が操作する携帯端末と送受信する通信部27を備える。 【0041】 なお、本実施形態の募金装置10では、自動販売機40の前面扉41の広告スペース42に埋設させ、前面部のみが露出されているが、例えば、募金装置10に箱状の筐体を採用し、自動販売機40の前面扉41の空きスペースや側面等に、ネジ止め、両面テープ、磁石等を用いて設置することもできる。」 (4)甲第6号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第6号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア (2頁2~3行) 「さらに、機能、拡張性、汎用性、設置スペース、価格など、業務の様々なシーンやニーズに合わせ柔軟に組み合わせて選べる豊富なラインアップを取りそろえています。」 イ (2頁左欄中央) [図:0001415342000009.jpg] ウ (15頁左欄中央) [図:0001415342000010.jpg] エ (19頁左欄中央) [図:0001415342000011.jpg] 第5 当審の判断 1 進歩性 申立人は、理由1において、甲2号証を主たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので、以下検討する。 (1)本件特許発明1について 以下では、本件特許発明1と甲2発明を対比する。 ア 対比 (ア)甲2発明は、「プリントアウトするプリンターを備えた自動販売機」における「代金決済方法」である。 ここで、甲2発明の「プリントアウトするプリンター」および「代金決済方法」は、それぞれ、本件特許発明1の「印刷手段」および「決済方法」に対応する。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「印刷手段を備えた自動販売機の決済方法」である点で共通しているといえる。 (イ)甲2発明において、「クレジットカード、デビットカード、プリペードカードやキャッシュカード等の各種のカードによる代金決済を行えるものであり、カードを挿入することで現金に替わる決済をするものであ」る「カードリーダー5」を備え、「コイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて、」「代金決済」するとされている。 ここで、甲2発明の「コイン挿入口1aからコインを」「入れて、」の「代金決済」は、本件特許発明1の「自動販売機に投入された硬貨を用いた決済」に相当する。 また、甲2発明の「紙幣挿入口1bから紙幣を入れて」の「代金決済」は、本件特許発明1の「自動販売機に投入された紙幣を用いた決済」に相当する。 さらに、甲2発明の「クレジットカード、デビットカード、プリペードカードやキャッシュカード等の各種のカードによる代金決済」は、本件特許発明1の「クレジットカードを用いた決済」、「デビットカードによる決済」、「電子マネーカードを用いた決済」に相当する。 したがって、本件特許発明1と、甲2発明とは、「決済手段として、自動販売機に投入された硬貨を用いた決済の処理手段、自動販売機に投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、」「デビットカードによる決済の処理手段、」「のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いるものであ」る点で共通している。 (ウ)甲2発明において、「操作パネル3を操作することにより、インターネットの有する情報をディスプレー4に表示させ」、「インターネット上で販売されている希望商品を指定することにより、代金決済される」とされている。 ここで、甲2発明の「インターネットの有する情報をディスプレー4に表示させ」ること、および、「インターネット上で販売されている希望商品を指定」させることは、それぞれ、本件特許発明1の「ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する」こと、および、「複数の選択候補のうちの一つを選択する」ことに対応する。 また、上記(イ)で述べたように、甲2発明は、本件特許発明1と同様に、「選択された選択候補の代金を決済するための前記決済手段」を備えているといえる。 したがって、本件特許発明1と、甲2発明とは、「前記自動販売機は、 ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、 複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、 選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための前記決済手段と、」を「備えるものである」点で共通している。 (エ)甲2発明において、「自動販売機1」は、「商品を内蔵して」おり、「自動販売機1で販売されている商品を購入する場合は、コイン挿入口1aからコインを、又は、紙幣挿入口1bから紙幣を入れて、或いは、カードリーダ5にカードを挿入させて指定の商品の指定釦を押圧することにより、従来と同様に下方の商品取出口1cから取り出すものであ」るとされている。 ここで、甲2発明において、「自動販売機1」が「商品を内蔵して」いることは、本件特許発明1の「物品を収容する」ことに相当する。 また、甲2発明において、「指定の商品の指定釦を押圧することにより、従来と同様に下方の商品取出口1cから取り出す」ことは、本件特許発明1の「物品が選択された場合に物品を払い出す」ことに相当する。 したがって、本件特許発明1と、甲2発明とは、「物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段」を「備えるものである」点で共通している。 (オ)甲2発明において、「操作パネル3を操作することにより、インターネットの有する情報をディスプレー4に表示させるものであり、例えば、インターネット上で販売されている希望商品を指定することにより、代金決済されるものであり、」「プリンター6は操作パネル3を操作してディスプレー4に表示させたチケット、切符等の情報の予約や代金決済の証明をするために必要事項をプリントアウトするものであ」るとされている。 ここで、甲2発明の「ディスプレー4に表示させたチケット」「をプリントアウト」したものは、本件特許発明1の「選択候補が印刷物である場合」の「印刷物」に相当するから、甲2発明の「プリンター6」は、本件特許発明1の「印刷手段」に相当する。 また、上記第4の1(1)イに示した図1を参照すると、甲2発明の「プリンター6」は、自動販売機1の前扉の前面に設けられていることが認められるから、甲2発明の「プリンター6」も、本件特許発明1の「印刷手段」と同様に、「前記印刷手段は、自動販売機の筐体に設けた外扉の前面に設けられ」ているといえる。 さらに、甲2発明の「ディスプレー4に表示させたチケット」「をプリントアウト」したものは、本件特許発明1の「前記印刷手段から印刷された印刷物が、前記決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供」「のための証票である」といえる。 したがって、本件特許発明1と、甲2発明とは、「選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段」「を一つの自動販売機に備えるものであり、前記印刷手段は、自動販売機の筐体に設けた外扉の前面に設けられ、」「前記印刷手段から印刷された印刷物が、前記決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供」「のための証票である」点で共通している。 イ 一致点・相違点 上記アより、本件特許発明1と甲2発明とは、以下(ア)の点で一致し、また、以下(イ)の点で相違しているといえる。 (ア)一致点 「印刷手段を備えた自動販売機の決済方法であって、 決済手段として、 自動販売機に投入された硬貨を用いた決済の処理手段、自動販売機に投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、デビットカードによる決済の処理手段、のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いるものであり、 前記自動販売機は、 ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、 複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、 選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための前記決済手段と、 物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、 選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段と、 を一つの自動販売機に備えるものであり、 前記印刷手段は、自動販売機の筐体に設けた外扉の前面に設けられ、 前記印刷手段から印刷された印刷物が、前記決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供のための証票である、 自動販売機の決済方法。」 (イ)相違点 a <相違点1> 本件特許発明1の印刷手段は、前記外扉を開けずに(閉じたまま)用紙を補充可能に構成されているのに対し、甲2発明の印刷手段は、そのように構成されていいない点。 b <相違点2> 本件特許発明1は、決済手段の選択的構成として、「スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、」「画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段」を用いているのに対し、甲2発明は、決済手段として、これらを用いていない点。 c <相違点3> 本件特許発明1の「印刷物」は、選択的構成として、「商品との交換のための証票」も含まれているのに対し、甲2発明の印刷物には、このような証票が含まれていない点。 ウ 相違点の判断 自動販売機の技術分野において、印刷手段の用紙を補充する際に、「外扉を開けずに(閉じたまま)用紙を補充可能」としたいとの課題が、甲第2号証ないし甲第5号証のいずれにも、記載も示唆もされておらず、当該課題が本件特許出願前に周知であったとも認められないから、甲2発明の印刷手段を、上記<相違点1>に係る「外扉を開けずに(閉じたまま)用紙を補充可能に構成」とする動機付けがない。 エ 小括 したがって、その他の<相違点2>および<相違点3>について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 オ 申立人の主張について 申立人は、申立書において、<相違点1>に係る構成について、甲2発明に、甲第3号証、甲第4号証、あるいは、甲第5号証記載のプリンタを組み合わせて容易に想到し得たものである旨主張している。(申立書13頁14~21行) しかし、甲2発明は、すでに、印刷手段であるプリンタを内蔵しているから、甲2発明の内蔵プリンタを、甲第3号証、甲第4号証、あるいは、甲第5号証等に記載の外付けプリンタに置換する動機づけが甲第2号証ないし甲5号証のいずれにも記載も示唆もない。 したがって、甲2発明の内蔵プリンタを、甲第3号証、甲第4号証、あるいは、甲第5号証等に記載の外付けプリンタに置換するすることが容易であったということはできず、申立人の上記主張は採用できない。 (2)本件特許発明2ないし6について 本件特許の請求項2ないし6は、いずれも、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する形式で記載されたものであって、本件特許発明2ないし6は、本件特許発明1の全発明特定事項を具備し、これにさらに限定を加えたものに該当するところ、上記(1)で述べたとおり、本件特許発明1が、甲2発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない以上、本件特許発明2ないし6についても、同様の理由で、甲2発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (3)甲2発明に基づく進歩性のまとめ 以上から、本件特許発明1ないし6は、いずれも、甲2発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではないから、申立人の申立ての理由1(進歩性)によって、本件特許発明1ないし6についての特許を取り消すことはできない。 2 実施可能要件 申立人は、理由2において、本件特許発明1ないし6に係る特許の実施可能要件違反を主張しているので、以下検討する。 (1)実施可能要件の判断枠組み 特許法第36条第4項は、「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と記載され、その第1号において、「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定している。同号は、明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって、方法の発明では、その方法を使用するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載がない場合には、明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その方法を使用することができる程度に記載されていなければならないと解される。 以下、この観点に立って、判断する。 (2)本件特許発明2の「印刷手段への給電」について ア 明細書等の記載 本件特許発明2の「印刷手段への給電」という記載に関し、本件特許明細書等には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア)図1 [図:0001415342000012.jpg] (イ)「【0069】 印刷手段の具体的なものとしては、図1に示す印刷手段30のように、選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するためのプリンターにて構成できる。印刷手段に対する印刷指示は、制御手段から無線及び/又は有線により送信可能に構成され、印刷手段では受け取った印刷指示に基づいて用紙に印刷を行い印刷物を出力する。印刷手段への給電は、無人販売システムからの給電とされ、例えば、USBケーブルを通じて給電することができる。このUSBケーブルにより印刷手段に対する印刷指示が行わることとしてもよい。」 イ 技術常識 本件特許出願時に、プリンタへの給電に際し、電源とプリンタとの間をUSBケーブルで接続することによりプリンタへ電源供給可能であることが技術常識であったと認められる。 ウ 小括 以上から、本件特許発明2の「印刷手段への給電」について、上記アの本件特許明細書の記載、及び、上記イの出願時の技術常識を踏まえると、例えば、自動販売機の外扉の前面に取り付けられた印刷手段(プリンタ)への給電に際し、自動販売機の外扉の前面に(USBケーブルが通せる程度の)穴を設けておいて、その穴にUSBケーブルを通して、自動販売機の電源から、プリンタへ電源を供給することなどは、発明の詳細な説明に、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その方法を使用することができる程度に記載されているといえる。 エ 申立人の主張 申立人は、自動販売機の筐体に設けた外扉を開けずに用紙補充が可能な印刷手段に対して、USBケーブルを通じて導入の負担が少なく、如何に給電する仕組みを構築するのかが明細書及び周知技術を参酌しても把握できず、当業者といえども、その実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは言えない旨主張している。(申立書15頁25~30行) しかし、上記ウで述べたように、上記アの本件特許明細書の記載、及び、上記イの出願時の技術常識を踏まえると、例えば、自動販売機の外扉の前面に取り付けられた印刷手段(プリンタ)への給電に際し、自動販売機の外扉の前面に(USBケーブルが通せる程度の)穴を設けておいて、その穴にUSBケーブルを通して、自動販売機の電源から、プリンタへ電源を供給することなどが導き出すことが可能であったといえ、上記申立人の主張は採用できない。 (3)実施可能要件のまとめ 以上から、本件特許発明2の「印刷手段への給電」について、本件特許明細書の記載、及び、技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その方法を使用することができる程度に記載されているといえるから、申立人の理由2(実施可能要件違反)によって、本特許発明1ないし6を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由1および理由2によっては、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された本件特許発明1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700688

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