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特許異議申立

2024-700570

接着性樹脂組成物、接着性樹脂成形体、接着性樹脂積層体、及び筐体封止材

審判番号
2024-700570
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-042994
登録番号
7410758
請求日
2024年06月13日
審決日
2025年06月18日
公報発行日
2025年09月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ZACROS株式会社
  • 【権利者代理人】田▲崎▼ 聡
  • 【権利者代理人】大浪 一徳
  • 【権利者代理人】貞廣 知行
  • 【異議申立人】小林 瞳
審判長/審判官
  • 審判長 光本 美奈子
  • 審判官 弘實 由美子
  • 審判官 瀬下 浩一
分類
P1651.113-YAA(C09J) / P1651.121-YAA(C09J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7410758号発明「接着性樹脂組成物、接着性樹脂成形体、接着性樹脂積層体、及び筐体封止材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7410758号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第7410758号の請求項1、4-8に係る特許を維持する。 特許第7410758号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許に係る出願は、令和2年3月12日の出願であって、令和5年12月26日に特許権の設定登録(請求項の数8)がされ、令和6年1月10日に特許掲載公報が発行され、その後、同年6月13日に小林 瞳(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、当審は、同年10月15日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年12月16日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その内容を「本件訂正」という。)を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったことを、同年12月24日付けで申立人に通知し、それに対して、申立人は応答せず、当審は、令和7年4月8日付けで訂正拒絶理由(以下「本件訂正拒絶理由」という。)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年5月14日に意見書の提出を行った。 第2 本件訂正の適否についての判断 1 訂正の趣旨 本件訂正請求は、請求の趣旨を「特許第7410758号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものである。 2 本件訂正の内容 本件訂正は、以下の訂正事項1~3からなる。訂正箇所に下線を付した。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の密度が0.8~1.0g/cm3の範囲内であり、前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~40重量部の範囲内で含有することを特徴とする接着性樹脂組成物。」とあるのを、 「前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の密度が0.8~1.0g/cm3の範囲内であり、 前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり、 前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有し、 前記接着性樹脂組成物から作成した、厚み50μmの接着性樹脂フィルムの下記の測定方法で測定した酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満であることを特徴とする接着性樹脂組成物。 (酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定する。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~8も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2及び3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項に」とあるのを、 「請求項1に」に訂正し、 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に」とあるのを、 「請求項1又は4に」に訂正し、 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~4のいずれか1項に」とあるのを、 「請求項1又は4に」に訂正する。 (4)一群の請求項について 訂正前の請求項1~8について、請求項2~8は、それぞれ請求項1を直接または間接に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項1~8についてされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 3 訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 前記訂正事項1は、ガス遮断性樹脂(B)に関し「前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり、」と限定し、 接着性樹脂組成物に関し「前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し、前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有し、」と限定し、 接着性樹脂組成物の酸素透過度に関し「前記接着性樹脂組成物から作成した、厚み50μmの接着性樹脂フィルムの下記の測定方法で測定した酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満であることを特徴とする接着性樹脂組成物。 (酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定する。」と限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 前記アの理由から明らかなように、前記訂正事項1は、ガス遮断性樹脂を必須成分とする接着性樹脂組成物において、その成分や接着性樹脂組成物から作成した接着性樹脂フィルムの酸素透過度等を特定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものであるといえる。 ウ 新規事項の有無 前訂正事項1の「前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり、」と限定することは、本件特許明細書中の段落[0043]の「「(B)-1」:ポリアミド6(密度1.13g/cm3、融点225℃、アミラン(登録商標)CM1021T、東レ株式会社製)・・・ 「(B)-3」:MXナイロン(密度1.22g/cm3、融点237℃、MXナイロンS6001、三菱ガス化学株式会社製)」という記載に基づくものである。 前記訂正事項1の「前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し、」と限定することは、本件特許請求の範囲請求項3の記載に基づくものであり、 「前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有し、」と限定することは、本件特許明細書の段落[0042][表1]のB成分(ガス遮断性樹脂)の配合比[重量部]が実施例1では「10」、実施例2では「20」、実施例6では「20」であるという記載に基づくものである。 上記訂正事項1の「前記接着性樹脂組成物から作成した、厚み50μmの接着性樹脂フィルムの下記の測定方法で測定した酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満であることを特徴とする接着性樹脂組成物。 (酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定する。」と限定することは、本件特許明細書の段落[0046]の「接着性樹脂成形体10のサンプルは、表1に示す組成の接着性樹脂組成物から成形した厚みが50μmの接着性樹脂フィルムである。」という記載、段落[0048]の「接着性樹脂フィルムの酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満の場合を「〇」、1700cc/(m2・day・atm)以上の場合を「×」と評価した。」という記載及び段落[0047]の「(酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定した。」という記載に基づくものである。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであるといえる。 (2)訂正事項2 請求項2及び3を削除する訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 (3)訂正事項3 前記訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1~3を引用する記載であり、請求項5及び6が請求項1~4の記載を引用する記載であったものを、訂正事項2において、請求項2及び3が削除されたので、訂正後の請求項4、請求項5及び6について、請求項2及び3を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 (4) 独立特許要件 本件訂正前の請求項1~6は、特許異議の申立てがされた請求項であるから、これらの請求項に対する訂正事項については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 一方、本件訂正前の請求項7及び8は、特許異議の申立てがされていない請求項であって、かつ、これらの請求項に係る訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を含むものであるから、独立特許要件についての検討を要するものである。ここで、本件訂正後の請求項7は、本件訂正後の請求項5に記載の接着性樹脂成形体から形成される筐体封止剤に係る発明であり、本件訂正後の請求項8は、本件訂正後の請求項6に記載の接着性樹脂積層体から形成される筐体封止剤に係る発明である。 本件訂正拒絶理由は、本件訂正後の請求項5、6に係る発明は、甲1に記載された発明(下記第5 2の「甲1発明A3、A4」)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであることを前提に、本件訂正後の請求項7、8に係る発明は、甲1に記載された発明(下記第5 2の「甲1発明A3、A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着層として形成された・・・積層フィルム」の発明である甲1発明B3、B4)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、独立特許要件を満たさないというものである。 しかしながら、本件訂正拒絶理由通知に対して令和7年5月14日に提出された意見書における特許権者の主張及び提出された証拠(参考資料2等)も踏まえて再検討したところ、甲1に記載された発明が、本件訂正後の請求項5、6で規定される発明特定事項を満たすとはいえず、甲1に酸素透過性についての記載がない以上、本件訂正後の請求項5及び6に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではないことは、下記第5 3のとおりである。 また、本件訂正後の請求項7及び8に係る発明が、他の理由により特許を受けることができないともいえない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。 4 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、同条第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 前記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~6に係る発明は、令和6年12月16日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」等、まとめて「本件特許発明」ともいう。)である。 「【請求項1】 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ガス遮断成分としてガス遮断性樹脂(B)とを、必須成分とする接着性樹脂組成物であって、 前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の密度が0.8~1.0g/cm3の範囲内であり、前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり、 前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有し、 前記接着性樹脂組成物から作成した、厚み50μmの接着性樹脂フィルムの下記の測定方法で測定した酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満であることを特徴とする接着性樹脂組成物。 (酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定する。 【請求項2】 (削 除) 【請求項3】 (削 除) 【請求項4】 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、熱可塑性エラストマー樹脂(C)を1~15重量部の範囲内で含有することを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。 【請求項5】 請求項1又は4に記載の接着性樹脂組成物から形成される、接着性樹脂フィルム又は接着性樹脂シートからなることを特徴とする接着性樹脂成形体。 【請求項6】 請求項1又は4に記載の接着性樹脂組成物からなる接着性樹脂層を基材層の少なくとも片面に有する、接着性樹脂フィルム又は接着性樹脂シートからなることを特徴とする接着性樹脂積層体。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 令和6年10月15日付けで通知した取消理由の概要は、次の理由1~2である。 理由1(新規性)本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2(進歩性)本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:特開平6-65451号公報 甲第2号証の1:プラスチック事典、初版第2刷、株式会社朝倉書店、1997年9月20日、第354~355頁,第454~455頁 甲第2号証の2:特開2019-130803号 甲第3号証の1:Novamid(R)2023FC-PA6/66、Envalior GmbH社製品カタログ、2023年12月20日、Envalior GmbH社(当審注:(R)は○の中にR。以下同様。) 甲第3号証の2:Novamid(R)1020-PA6、Envalior GmbH社製品カタログ、2024年4月23日、Envalior GmbH社 甲第4号証の1:特開2012-251038号公報 甲第4号証の2:特開2013-204007号公報 甲第4号証の3:特開2008-230198号公報 甲第4号証の4:特開2008-230199号公報 参考資料1:三田達監訳、「高分子大辞典」、丸善株式会社、平成6年9月20日発行、第986~987頁 参考資料2:特開2001-98492号公報 参考資料3:特開2002-191274号公報 第5 前記第4における理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について 1 甲号証及び参考資料の記載について (1)甲第1号証(以下、「甲1」という。) 1a「【請求項1】 酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリアミド樹脂を、比エネルギーが0.7kw・hr/kg以上となる条件下で溶融混合して得られることを特徴とする酸変性ポリオレフィン樹脂組成物。 【請求項2】 酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリアミド樹脂を、比エネルギーが0.7kw・hr/kg以上となるような条件下で溶融混合し、成形して得られることを特徴とする接着性フィルムまたはシート。 【請求項3】 酸変性ポリオレフィン樹脂はその2~50重量%が酸変性ポリオレフィンエラストマーである請求項1に記載の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物。」 1b「【0006】 【課題を解決するための手段】一般に、ポリオレフィン等の樹脂の溶融混合は、比エネルギーが0.3~0.6kw・hr/kg程度の条件下に行われている。本発明者らは、特に、透明性を改善すべく、溶融混合条件を種々検討したところ、比エネルギーが0.7kw・hr/kg以上の条件下で酸変性ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂を溶融混合すると、ポリアミド樹脂がミクロサイズでしかも均一に酸変性ポリオレフィン樹脂中に分散され、透明性が著しく向上すると共に、接着性も更に向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。 ・・・ 【0013】本発明においては、上記酸変性ポリオレフィン樹脂は少なくとも2重量%、好ましくは、5~50重量%、特に好ましくは、10~25重量%の酸変性ポリオレフィンエラストマーを含有するのが好ましい。酸変性ポリオレフィンエラストマーの原料としては、例えば、エチレンと炭素数3以上のα-オレフィンとの共重合エラストマーが使用される。中でも、密度が0.91g/cm3 未満、好ましくは0.85~0.90g/cm3 で、MFIが0.1~50g/10分(ASTM-D1238、190℃)、好ましくは、1~20g/10分のものが好適である。」 1c「【0028】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はその要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。 実施例1 メルトフローインデックス(MFI)が0.7g/10分、エチレン含量2.5重量%のプロピレン-エチレンランダム共重合体を100重量部、無水マレイン酸を1重量部、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3を0.15重量部用い、50mmφの押出機にて210℃で溶融混練してペレット化を行ない酸変性ポリプロピレン樹脂を得た。この酸変性ポリプロピレン樹脂の無水マレイン酸グラフト量は0.35重量%であった。 【0029】この酸変性ポリプロピレン樹脂を80重量部とナイロン-6/6・6共重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド2030;ノバミッドは登録商標)を20重量部用い、単軸の押出機にて樹脂に対する比エネルギーが1.0kw・hr/kg、溶融温度230℃となるような条件下に溶融混練し、ペレット化して酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。 【0030】得られた酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着層として積層フィルムを製造した。即ち、3層Tダイ成形機にて、前述のナイロン-6/6・6共重合体を押出温度230℃で押し出し、プロピレン-エチレンランダム共重合体(三菱化成(株)製、三菱ポリプロ6500J MFI:9g/10分、密度0.90g/cm3 )を押出温度210℃で押し出し、酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を押出温度210℃で押し出し、3層ダイス温度を230℃として成形して、ナイロン層/接着層/ポリプロピレン層(30μ/10μ/30μ)の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの接着強度(15ミリ幅における180°剥離強度)及び透明性(透明度)を表-1に示した。透明度については(株)村上色彩技術研究所製の「透明度測定器」を用いて測定し、MAX値で表示した。 【0031】実施例2 実施例1において、ナイロン-6/6・6共重合体の配合量を変えるほかは同様にして、酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムのフィルム物性を測定し、表-1に示した。 【0032】実施例3 実施例1で用いたナイロン-6/6・6共重合体の代りにナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)を用い、比エネルギーを1.2kw・hr/kgとして酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。積層フィルムの物性を測定し、表-1に示した。 【0033】実施例4 実施例3において、ナイロン-6重合体の使用量を変えたほかは同様にして、酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例3と同様にして積層フィルムを得た。積層フィルムの物性を測定し、表-1に示した。 【0034】比較例1 実施例1で酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造する際の比エネルギーを0.3kw・hr/kgに変えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。積層フィルムの物性を測定し、結果を表-1に示した。 【0035】 【表1】 [図:0001426815000001.jpg] 【0036】実施例5 三菱ポリプロ6500J(三菱化成(株)製、MFI=9g/10分(230℃測定)、プロピレン-エチレンランダム共重合体)を80重量部とタフマーA20090(三井石油化学工業(株)製、MFI=18g/10分(190℃測定)、エチレン-ブテンランダム共重合エラストマー)を20重量部と無水マレイン酸を1.5重量部と、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3を0.15重量部用い50mmφ押出機にて210℃で溶融混練してペレット化を行ない、エラストマー含有酸変性ポリオレフィン樹脂を得た。このエラストマー含有酸変性ポリプロピレン樹脂中の無水マレイン酸のグラフト量は1.2重量%であった。 【0037】以上のようにして得られたエラストマー含有酸変性ポリオレフィン樹脂20重量部と三菱ポリプロ6500Jを60重量部とナイロン-6重合体(三菱化成(株)製、商品ノバミッド1020;ノバミッドは登録商標)20重量部を単軸の押出機にて樹脂に対する比エネルギーが1.0kw・hr/kg、溶融温度250℃となるような条件下に溶融混合し、ペレット化して酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。 【0038】上記酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着層として積層フィルムを製造した。即ち、3層Tダイ成形機にてノバミッド1020を押出温度250℃、三菱ポリプロ6500Jを230℃、酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を240℃、ダイス温度250℃の条件で成形して、ナイロン層/接着層/ポリプロピレン層(30μ/10μ/30μ)の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの接着強度及び透明性(透明度)を表-2に示した。 【0039】実施例6 実施例5において、ナイロン-6重合体の配合量を変えるほかは同様にして、酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。結果を表-2に示した。 【0040】実施例7 実施例5のナイロン-6重合体の代わりにナイロン-6/66共重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド2030)を同量用い、比エネルギーを1.2kw・hr/kgとして酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。結果を表-2に示した。 【0041】実施例8,9 実施例5において、エラストマーとして、エチレン-プロピレン共重合エラストマー(日本合成ゴム(株)製)、EP02P、MFI=3.2g/10分)を表-2に示す量使用したほかは同様にして酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、次いで、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。結果を表-2に示した。 【0042】比較例2 実施例5で酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造する際の比エネルギーを0.3kw・hr/kgに変えた以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。結果を表-2に示した。 【0043】 【表2】 [図:0001426815000002.jpg] 」 (2)甲第2号証の1(以下、「甲2の1」という。) 21a「 [図:0001426815000003.jpg] 」(第354ページ表2.2.4) 21b「 [図:0001426815000004.jpg] 」(第455ページ表2.10.4) (3)甲第2号証の2(以下、「甲2の2」という。) 22a「【0066】 <反応性ポリオレフィン> ・水酸基を有するポリブタジエンの水素化物 ポリテールH (三菱ケミカル(株)製、数平均分子量2700、NMRより求めた水酸基量1.5質量 % 、密度0.85g/cm3) ・無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体 タフマーMA8510 (三井化学(株)製、密度0.885g/cm3)」 (4)甲第3号証の1(以下、「甲3の1」という。) 31a「 [図:0001426815000005.jpg] 」(第1ページ) (5)甲第3号証の2(以下、「甲3の2」という。) 32a「 [図:0001426815000006.jpg] 」(第1ページ) (6)甲第4号証の1(以下、「甲4の1」という。) 41a「【請求項1】 ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて得られた反応物(A)を、110℃以上の熱水と接触させて得られる変性ポリオレフィン樹脂。 ・・・ 【請求項7】 請求項1~6の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂1~99重量%と、熱可塑性樹脂(B)99~1重量%とを含有することを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂組成物。」 41b「【0001】 本発明は、各種積層体における接着層として好適な変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物、並びに、該変性ポリオレフィン樹脂又は該変性ポリオレフィン 樹脂組成物を用いた積層体に関する。」 41c「【0034】 [熱可塑性樹脂(B)] 本発明に用いる熱可塑性樹脂(B)は、前記した本発明の変性ポリオレフィン樹脂自体を除けば、何れの熱可塑性樹脂であってもよい。ここで熱可塑性樹脂(B)には、熱可塑性エラストマーを包含する。熱可塑性樹脂(B)は、具体的には、前記のポリオレフィン樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;前記のポリエステルエラストマー;ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ウレタン樹脂等が挙げられる。更には、熱水処理を行っていない反応物(A)であってもよい。また、熱可塑性樹脂(B)は、2種以上の樹脂を併用してもよい。」 (7)甲第4号証の2(以下、「甲4の2」という。) 42a「【請求項1】 ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて得られた反応物(A)を、反応物(A)の融点-50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させて得られる変性ポリオレフィン樹脂。 ・・・ 【請求項4】 請求項1~3の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂1~99重量%と、熱可塑性樹脂(B)99~1重量%とを含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。 ・・・」 42b「【0001】 本発明は、各種積層体における接着層として好適な変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物、並びに、該変性ポリオレフィン樹脂又は該変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いた積層体に関する。」 42c「【0040】 [熱可塑性樹脂(B)] 本発明に用いる熱可塑性樹脂(B)は、前記した本発明の変性ポリオレフィン樹脂自体を除けば、何れの熱可塑性樹脂であってもよい。ここで熱可塑性樹脂(B)には、熱可塑性エラストマーを包含する。熱可塑性樹脂(B)は、具体的には、前記のポリオレフィン樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;前記のポリエステルエラストマー;ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ウレタン樹脂等が挙げられる。更には、熱水処理を行っていない反応物(A)であってもよい。また、熱可塑性樹脂(B)は、2種以上の樹脂を併用してもよい。」 (8)甲第4号証の3(以下、「甲4の3」という。) 43a「【請求項1】 バリア層、接着層およびシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料であって、前記接着層が190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが50g/分以下である酸変性ポリオレフィン樹脂からなり、かつ接着層の量が0.001~5g/m2の範囲であることを特徴とする包装材料。」 43b「【0020】 接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を少量(20質量%以下)含有していてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらその他の樹脂の数平均分子量は耐内容物性の点から、1万以上が好ましく、3万以上がより好ましい。」 (9)甲第4号証の4(以下、「甲4の4」という。) 44a「【請求項1】 バリア層およびシーラント層を積層してなる包装材料であって、前記シーラント層が、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが20g/分以下である酸変性ポリオレフィン樹脂からなり、かつ前記シーラント層の厚みが1~10μmの範囲であることを特徴とする包装材料。」 44b「【0024】 シーラント層には、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を少量(20質量%以下)含有していてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらその他の樹脂の数平均分子量は耐内容物性の点から、1万以上が好ましく、3万以上がより好ましい。」 (10)参考文献1(以下、「参1」という。) 11a「 [図:0001426815000007.jpg] 」(第987ページ表1) (11)参考文献2(以下、「参2」という。) 12a「【0071】実施例8~13 実施例4(粗面粗さRaは3.7μm)の裏面樹脂層のポリプロピレンを実施例8として共重合ナイロン(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバミッド2030A:密度1.13g/cm3、ロックウェル硬さR117)、実施例9としてポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバドゥール5010R5:密度1.31g/cm3、ロックウェル硬さR118)、実施例10としてポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7025A:密度1.20g/cm3、ロックウェル硬さR120)、実施例11としてポリスチレン(エー・アンド・エムスチレン株式会社製ダイヤレックスHF-77:密度1.05g/cm3、MFR7.5g/10分、ロックウェル硬さM80)、実施例12としてポリアセタール(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ユピタールF20-01:密度1.41g/cm3、メルトインデックス9.0g/10分、ロックウェル硬さM80)、実施例13としてポリフェニレンサルファイド(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバップス770R20:密度1.35g/cm3、ロックウェル硬さR120)にそれぞれ代えたこと以外は、実施例4と同様にして得た試料をそれぞれ実施例8~13の画像材料用支持体とした。但し、押し出し温度は夫々の樹脂の最適条件に設定した。また、夫々の樹脂は予備乾燥してから用いられた。いくつかの樹脂については専用のスクリューを備えた専用押し出し機で加工した。」 (12)参考文献3(以下、「参3」という。) 13a「【0021】〔実施例3〕主成分としてナイロン6/66(三菱化成株式会社製 ノバミッド2030Jチップ、比重=1.14)を、また副成分として金属(タングステン、比重=19.3)を含有する高比重ナイロン樹脂(カネボウ合繊株式会社製 MCTS00005チップ、比重=3)を用いて次の条件によりモノフィラメントを製造した。すなわち、上記2種のチップを50/50の重量割合でブレンドし、このブレンド物を40mmφエクストルーダーに供給し、270℃で溶融し、孔径2.1mmの紡糸口金から紡出し、さらに10℃の水溶中で冷却した。引続いて、この末延伸糸を95℃湿熱と220℃乾熱で5.5倍に2段延伸した後225℃で0.98倍に弛緩熱処理することにより直径0.515mmのモノフィラメントを得た。」 2 甲1に記載された発明 (1)甲1発明A3 甲1には実施例3の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物として「メルトフローインデックス(MFI)が0.7g/10分、エチレン含量2.5重量%のプロピレン-エチレンランダム共重合体を100重量部、無水マレイン酸を1重量部、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3を0.15重量部用い、50mmφの押出機にて210℃で溶融混練してペレット化を行ない得た、無水マレイン酸グラフト量が0.35重量%の酸変性ポリプロピレン樹脂を80重量部とナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)を20重量部用い、単軸の押出機にて樹脂に対する比エネルギーが1.2kw・hr/kg、溶融温度230℃となるような条件下に溶融混練し、ペレット化して得た、接着層として積層フィルムを製造する酸変性ポリオレフィン樹脂組成物。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。 (2)甲1発明A4 甲1には実施例4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物として「メルトフローインデックス(MFI)が0.7g/10分、エチレン含量2.5重量%のプロピレン-エチレンランダム共重合体を100重量部、無水マレイン酸を1重量部、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3を0.15重量部用い、50mmφの押出機にて210℃で溶融混練してペレット化を行ない得た、無水マレイン酸グラフト量が0.35重量%の酸変性ポリプロピレン樹脂を90重量部とナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)を10重量部用い、単軸の押出機にて樹脂に対する比エネルギーが1.2kw・hr/kg、溶融温度230℃となるような条件下に溶融混練し、ペレット化して得た、接着層として積層フィルムを製造する酸変性ポリオレフィン樹脂組成物。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。 (3)甲1発明B3 甲1には甲1発明A3の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物から形成した接着層として「甲1発明A3の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物から形成した接着層。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。 (4)甲1発明B4 甲1には甲1発明A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物から形成した接着層として「甲1発明A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物から形成した接着層。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。 3 対比・判断 (1)本件特許発明1 ア 甲1発明A3、A4との対比 本件特許発明1と甲1発明A3、A4を対比する。 甲1発明A3、A4の「ナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)」について、ナイロンはポリアミド樹脂であり、ポリアミド樹脂は、本件特許請求の範囲の【請求項2】の記載からみて、ガス遮断成分としてのガス遮断性樹脂(B)であり、本件特許発明1の「ガス遮断成分としてガス遮断性樹脂(B)」及び「前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり」に相当する。また、「ナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)」の密度は、1.13g/cm3~1.14g/cm3程度であるから(摘記32a、13a、11a参照)、本件特許発明1の「前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり」を充足する。 甲1発明A3、A4の「ナイロン-6重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド1020)」は、甲1発明A3、A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物中、それぞれ、20重量%、10重量%であるから、いずれも、本件特許発明1の「前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有する」を充足する。 甲1発明A3、A4の「酸変性ポリプロピレン樹脂」は、本件特許発明1の「酸変性ポリオレフィン樹脂(A)」に相当し、甲1発明A3、A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物中、それぞれ、80重量%、70重量%であるから、本件特許発明1の「前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し」を充足する。 甲1発明A3、A4の「接着層として積層フィルムを製造する酸変性ポリオレフィン樹脂組成物」は本件特許発明1の「接着性樹脂組成物」に相当する。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明A3、A4は、「酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ガス遮断成分としてガス遮断性樹脂(B)とを、必須成分とする接着性樹脂組成物であって、 前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり、 前記ガス遮断性樹脂(B)が、ポリアミド6又はMXナイロンからなる群から選択された少なくとも1種であり、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を50~90重量部の範囲内で含有し、 前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~20重量部の範囲内で含有する、接着性樹脂組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の密度が、本件特許発明1は0.8~1.0g/cm3の範囲内であるのに対し、甲1発明A3、A4はそのような特定がない点。 <相違点2> 接着性樹脂組成物が、本件特許発明1は、前記接着性樹脂組成物から作成した、厚み50μmの接着性樹脂フィルムの下記の測定方法で測定した酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満であるのに対し、甲1発明A3、A4はそのような特定がない点。 (酸素透過度の測定方法) JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)のA法(電解センサ法)に準拠して、温度30℃、湿度70%RH、測定面積50cm2の測定条件で、接着性樹脂フィルムの酸素透過度を測定する。 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、まず、<相違点2>について検討する。 <相違点2>について 甲1発明A3、A4は、前記アのとおり、本件特許発明1とは、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とガス遮断成分としてガス遮断性樹脂(B)の種類及び含有量の点で一致している。 しかし、特許権者が令和7年5月14日の意見書とともに参考文献2として提出した特開2016-160382号公報は、「バリア性・・・に優れるポリオレフィン系構造体」の提供を解決しようとする課題とする発明について、「本発明のポリオレフィン系構造体は、ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及びガスバリア樹脂(C)を含有する樹脂組成物からなり、ガスバリア樹脂(C)が、ポリオレフィン(A)中において層状に分散してなるものである。」(【0011】)、「層状に分散したガスバリア樹脂(C)は、構造体の厚さ方向において他の樹脂成分と交互に存在するような分散状態となることが好ましい。」(【0037】)、並びに、「樹脂組成物中のガスバリア樹脂(C)が、単軸押出機11内部で微細な粒状に分散されることが防止される。」(【0045】)と記載するものであり、これらの記載から、ガスバリア樹脂は層状に分散していることが好ましく、微細な粒状に分散しているのは好ましくないことが理解される。 また、特許権者が令和7年5月14日の意見書とともに提出した参考文献3である特開2017-090387号公報の【0003】、【0018】及び【0054】、並びに、参考資料1である国際公開第2014/163149号の[0007]及び[0010]にもバリア性樹脂(C)は、樹脂組成物中において、層状に分散していることが好ましい旨と同趣旨のことが記載されている。さらに、参考文献3の【0054】には「バリア性樹脂(C)は、容器壁の厚み中心よりも外側に多く配置されることが好ましい。」として、バリア性樹脂(C)は、樹脂組成物中において、層状に分散していること以外にもバリア性に影響する要因があることが記載されている。 ここで、本件特許明細書の実施例には「溶融混練した後、押出成形により」(【0041】)と記載されており、本件特許明細書には溶融混練条件に着目する記載はない。一方、甲1は前記第5 2(1)の【0006】のとおり、一般的なポリオレフィン等の樹脂の溶融混合条件よりも比エネルギーが高い一定の条件下で溶融混合することにより、ポリアミド樹脂がミクロサイズで均一に酸変性ポリオレフィン樹脂中に分散されたことを記載するものである。そうすると、本件特許明細書の実施例と甲1発明A3、A4を認定した方法が完全に同じ条件とは認められず、前記参考資料2等の記載を踏まえると、本件特許発明1の「ガス遮断性樹脂(B)」に相当するナイロン-6重合体がミクロサイズで均一に酸変性ポリオレフィン樹脂中に分散している甲1発明A3、A4の酸素透過度が、1700cc/(m2・day・atm)未満であることが明らかとはいえない。 したがって、相違点2は実質的な相違点であり、また、甲1にはガスバリア性について記載も示唆もないから、甲1発明A3、A4の樹脂組成物を酸素透過度が1700cc/(m2・day・atm)未満とする動機付けがあるとはいえない。そして、他の証拠の記載をみても、甲1発明A3、A4の樹脂組成物の酸素透過度を1700cc/(m2・day・atm)未満とする動機付けとなる記載はない。 ウ その他の取消理由通知で指摘した甲1に記載される発明について 取消理由に記載された甲1発明A1、A2及びA7は、上記相違点2に加え、ガス遮断性樹脂(B)がナイロン-6/6・6共重合体(三菱化成株式会社製、商品名ノバミッド2030;ノバミッドは登録商標)である点で、本件特許発明1と相違するものである。 取消理由に記載された甲1発明A5~A9は、上記相違点2に加え、接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を、それぞれ、20重量%、10質量%含有する点で、本件特許発明1と相違するものである。 したがって、前記イと同様の理由から、本件特許発明1は、甲1発明A1、A2、A5~A9ではなく、また、甲1発明A1、A2、A5~A9に基づいて当業者が容易に想到し得たものともいえない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、<相違点2>以外の相違点について検討するまでもなく、甲1に記載された発明及び甲2の1~甲4の4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。 (2)本件特許発明4~6 本件訂正後の請求項4は、請求項1を引用するものであるから、本件特許発明4は、前記(1)と同様の理由により、甲1発明A3または甲1発明A4ではなく、また、甲1に記載された発明及び甲2の1~甲4の4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。 本件訂正後の請求項5~6は、請求項1又は4を引用するものであるから、甲1発明A3、A4の酸変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着層として形成された・・・積層フィルムに係る発明である甲1発明B3、B4ではなく、また、甲1に記載された発明及び甲2の1~甲4の4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、令和6年10月15日付けの取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって、本件特許発明1、4~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明1、4~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項2、3は、本件訂正により削除され、当該請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700570

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同じ当事者の審決35件(ZACROS株式会社、小林 瞳)
  • 2026-700031異議申立 / 2026-05-22 / 維持長尺材料の溶射装置及び溶射方法
    同じ当事者: 小林 瞳
  • 2024-701111異議申立 / 2026-01-27 / 維持反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置
    同じ当事者: 小林 瞳
  • 2025-700899異議申立 / 2026-01-19 / 維持リサイクルされたアルミニウムスクラップの鋳造
    同じ当事者: 小林 瞳
  • 2024-700106異議申立 / 2025-03-10 / 訂正認容位相差フィルムおよび位相差層付偏光板
    同じ当事者: 小林 瞳
  • 2024-700632異議申立 / 2025-01-23 / 請求成立(取消)長繊維不織布、これを含んでなるエアバッグ包材および長繊維不織布の製造方法
    同じ当事者: 小林 瞳
同じ論点・分野の審決(審決分類)474件(113・C09J、121・C09J)
  • 2025-700974異議申立 / 2026-06-16 / 訂正認容離型フィルム付き粘着シート
    共通の審決分類: 113・C09J、121・C09J
  • 2025-700566異議申立 / 2026-03-31 / 訂正認容粘着剤層付き光学積層フィルム及び画像表示装置
    共通の審決分類: 113・C09J、121・C09J
  • 2025-700449異議申立 / 2026-03-18 / 訂正認容補強用積層フィルム
    共通の審決分類: 113・C09J、121・C09J
  • 2025-701012異議申立 / 2026-02-26 / 維持粘着テープ
    共通の審決分類: 113・C09J、121・C09J
  • 2024-700608異議申立 / 2026-02-04 / 訂正認容活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着剤層、積層体
    共通の審決分類: 113・C09J、121・C09J

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