特許異議申立
2024-700347
エリア通知システム
- 審判番号
- 2024-700347
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-120817
- 登録番号
- 7364924
- 請求日
- 2024年04月16日
- 審決日
- 2024年08月14日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ダイキン工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 月野 洋一郎
- 分類
- P1651.161-Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7364924号発明「エリア通知システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7364924号の請求項1-16に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7364924号の請求項1-16に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年(2021年)7月21日に出願され、令和5年(2023年)10月11日にその特許権の設定登録がされ、同年10月19日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和6年4月16日に特許異議申立人 角田 朗(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7364924号の請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明16」といい、併せて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
施設(10)の利用者(U1,U2,・・・)に、前記施設内の複数のエリア(A1,A2,・・・)の中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、
1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続される第1空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)を備え、
前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する、
エリア通知システム(100)。
【請求項2】
前記制御部は、前記利用者による前記施設の利用状況に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する、
請求項1に記載のエリア通知システム。
【請求項3】
前記施設は、前記第1空調システムのみを用いて空調が行われ、
前記制御部は、
前記第1空調システムの設置情報、前記施設のレイアウト情報、前記第1空調システムの運転情報、前記利用者による前記施設の利用状況、および、前記施設の環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記第1空調システムの処理負荷、冷凍効率、機器効率、熱搬送効率および外気導入率の少なくとも1つを算出し、
算出結果に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記複数の利用ユニットの稼働情報を導出し、
導出された前記稼働情報に基づいて、前記複数の利用ユニットから、稼働するべき前記利用ユニットを選定し、
選定された前記利用ユニットに基づいて、前記第1エリアを通知する、
請求項1または2に記載のエリア通知システム。
【請求項4】
施設(10)の利用者(U1,U2,・・・)に、前記施設内の複数のエリア(A1,A2,・・・)の中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、
複数の空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数の空調システムを利用する場合に、前記複数の空調システムのそれぞれの消費電力量の合計が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)を備え、
前記複数の空調システムのそれぞれは、1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続され、
前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、
前記制御部は、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1エリアを通知し、
前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する、
エリア通知システム(100)。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用者による前記施設の利用状況に基づいて、前記第1エリアを通知する、
請求項4に記載のエリア通知システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの設置情報、前記施設のレイアウト情報、前記複数の空調システムのそれぞれの運転情報、前記利用者による前記施設の利用状況、および、前記施設の環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記複数の空調システムのそれぞれの処理負荷、冷凍効率、機器効率および熱搬送効率の少なくとも1つを算出し、
算出結果に基づいて、前記第1エリアを通知する、
請求項4または5に記載のエリア通知システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれにおいて稼働する前記利用ユニットの数を変更することにより、稼働する前記利用ユニットを有する前記空調システムの数が小さくなるように、稼働する前記利用ユニットを選定し、
選定された前記利用ユニットに基づいて、前記第1エリアを通知する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のエリア通知システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの処理負荷を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれが許容できる最大の処理負荷の範囲内で、稼働する前記利用ユニットを選定する、
請求項7に記載のエリア通知システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率が最大となるように、稼働する前記利用ユニットを選定する、
請求項7または8に記載のエリア通知システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記利用者の環境許容情報を取得し、
取得された前記環境許容情報に基づいて、前記環境許容情報が所定の範囲内に収まる前記利用者が、同一の前記空調システムが稼働するエリアを利用するように、前記第1エリアを通知する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のエリア通知システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記利用者の前記環境許容情報に基づいて、前記空調システムの冷媒温度、給気量、風量、および、設定温度の少なくとも1つを調整する、
請求項10に記載のエリア通知システム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの処理負荷を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれの処理負荷に基づいて、前記複数の空調システムのそれぞれの冷媒温度または給気量を調整する、
請求項11に記載のエリア通知システム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率の制約の範囲に基づいて、前記複数の空調システムのそれぞれの冷媒温度または給気量を調整する、
請求項11または12に記載のエリア通知システム。
【請求項14】
前記環境許容情報は、前記利用者が許容する温度範囲、風量範囲、時間帯、および、デマンドイベント参加条件の少なくとも1つである、
請求項10から13のいずれか1項に記載のエリア通知システム。
【請求項15】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの熱搬送効率を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれの熱搬送効率が最大となるように、稼働する前記利用ユニットを選定する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のエリア通知システム。
【請求項16】
前記制御部は、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率を算出し、
前記複数の空調システムのそれぞれの機器効率が最大となるように、稼働する前記利用ユニットを選定する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のエリア通知システム。」
第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第11号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲11」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):国際公開第2022/097284号
甲第2号証(甲2):国際公開第2022/079882号
甲第3号証(甲3):特開2017-117364号公報
甲第4号証(甲4):国際公開第2020/255907号
甲第5号証(甲5):特開2013-92338号公報
甲第6号証(甲6):特開2013-238376号公報
甲第7号証(甲7):特開2012-145275号公報
甲第8号証(甲8):特開2013-72590号公報
甲第9号証(甲9):国際公開第2015/173896号
甲10号証(甲10):特開2007-107871号公報
甲11号証(甲11):国際公開第2014/087650号
2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
(1)申立理由1-1(甲1に基づく拡大先願)
本件発明1-7、9、16は、本件特許の出願日の前日以前に出願され、本件特許の出願後に出願公開等がされた甲1の当初明細書等に記載された発明と同一であるから、本件特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由1-2(甲2に基づく拡大先願)
本件発明1、2、4、5、10は、本件特許の出願日の前日以前に出願され、本件特許の出願後に出願公開等がされた甲2の当初明細書等に記載された発明と同一であるから、本件特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由2(進歩性)
本件発明1-7、9-11、16は、甲3に記載された発明、及び周知技術(甲4、甲5)に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明8は、甲3に記載された発明、及び周知技術(甲4-甲7)に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明12は、甲3に記載された発明、及び周知技術(甲4、甲5、甲8)に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明13は、甲3に記載された発明、及び周知技術(甲4、甲5、甲9)に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明14は、甲3に記載された発明、及び周知技術(甲4、甲5、甲10、甲11)に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)申立理由3(サポート要件)
本件発明1、2、4-16は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件特許の請求項1、2、4-16に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(5)申立理由4(明確性要件)
本件特許の請求項1、2、4-16の記載は明確でなく、本件特許の請求項1、2、4-16に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
1 甲1について
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
「[0005] 特許文献1に記載されたように、利用者を1か所に集約させると、1台の空気調和機にかかる負荷が高くなる。そのため、複数の空気調和機全体で見た場合に、かえって効率が悪くなる場合がある。また、利用者を1か所に集約させると、人口密度が高くなり、利用者が不快に感じ易くなるとともに、ウイルス感染の確率が高くなる。
本開示は、人口密度が高くなり過ぎることを防ぎつつ、複数の空気調和機全体で見た場合における効率を高くできるようにすることを目的とする。」
「[0009] 実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る空間制御システム100の構成を説明する。
空間制御システム100は、複数の空気調和機10と、空間制御装置20とを備える。図1では、空間制御システム100は、空気調和機10Aと空気調和機10Bとの2台の空気調和機10を備える。各空気調和機10と、空間制御装置20とは、伝送路90を介して接続されている。
[0010] 複数の空気調和機10は、対象エリア30の空調制御を行う。各空気調和機10は、室外機11と、1台又は複数台の室内機12とを備える。図1では、空気調和機10Aは、室外機11Aと、室内機12A1及び室内機12A2とを備え、空気調和機10Bは、室外機11Bと、室内機12B1及び室内機12B2とを備える。
[0011] 対象エリア30は、複数のエリア31に分けられている。図1では、対象エリア30は、エリア31Aからエリア31Dの4つのエリア31に分けられている。各エリア31の間は、壁等によって仕切られていてもよいし、仕切られていなくてもよい。
各エリア31には、室内機12が対応して設置されている。図1では、エリア31Aには室内機12A1が設置され、エリア31Bには室内機12A2が設置され、エリア31Cには室内機12B1が設置され、エリア31Dには室内機12B2が設置されている。」
「[0017] 空間制御装置20は、機能構成要素として、人口密度特定部211と、負荷特定部212と、効率特定部213と、誘導部214とを備える。空間制御装置20の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ23には、空間制御装置20の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ21によりメモリ22に読み込まれ、プロセッサ21によって実行される。これにより、空間制御装置20の各機能構成要素の機能が実現される。」
「[0020] 図3を参照して、実施の形態1に係る空間制御システム100の動作を説明する。
なお、実施の形態1では、エリア31と室内機12との対応関係は、事前に特定され、ストレージ23に記憶されているものとする。」
「[0022] (ステップS12:人口密度特定処理)
人口密度特定部211は、複数のエリア31それぞれについての人口密度を特定する。
具体的には、人口密度特定部211は、複数のエリア31それぞれを対象のエリア31に設定する。人口密度特定部211は、対象のエリア31にいる人数を特定する。そして、人口密度特定部211は、特定された人数を対象のエリア31の面積で除して、人口密度(人数/m2)を特定する。各エリア31の面積は、事前に計測され、ストレージ23に記憶されているものとする。
対象のエリア31にいる人数を特定する方法としては、以下の(1)から(4)のような方法が考えられる。(1)赤外線センサによって人を検出することによって人数を特定する方法、(2)カメラによって対象のエリア31を撮像して得られた画像データから人を検出することによって人数を特定する方法、(3)人が所持するICタグを検出することによって人数を特定する方法、(4)対象のエリア31を移動するロボットによって人を検出することによって人数を特定する方法。
[0023] (ステップS13:負荷特定処理)
負荷特定部212は、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10についての負荷率を特定する。
具体的には、負荷特定部212は、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10を対象の空気調和機10に設定する。負荷特定部212は、以下の(1)又は(2)の式を使って、対象の空気調和機10についての負荷を特定する。(1)“室内機12の風量”×(“室内機12の吸込温度”-“室内機12の熱交換器の冷媒温度”)、(2)“冷媒流量”×(“室内機12の熱交換器出口における冷媒のエンタルピー”-“室内機12の熱交換器入口における冷媒のエンタルピー”)。そして、負荷特定部212は、特定された対象の空気調和機10の負荷を、対象の空気調和機10の定格能力で除して、対象の空気調和機10についての負荷率を特定する。対象の空気調和機10の定格能力は、機種毎に定められているものであるため、事前に特定されストレージ23に記憶されているものとする。」
「[0025] (ステップS15:第1誘導処理)
誘導部214は、ステップS13で特定された負荷率に基づき決定された空気調和機10に対応するエリア31であって、高密度エリアに対応する空気調和機10とは異なる空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導する。実施の形態1では、誘導部214は、ステップS13で特定された負荷率の平均値よりも負荷率が低い空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導する。
具体的には、誘導部214は、高密度エリアにいる人のうち移動させる人数と、移動先のエリア31とを決定する。そして、誘導部214は、移動させる人数と、移動先のエリア31とを示す情報を通知する等して、高密度エリアにいる一部の人を移動先のエリア31に誘導する。第1誘導処理について詳しくは後述する。
[0026] (ステップS16:効率特定処理)
効率特定部213は、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10の運転効率を特定する。
具体的には、効率特定部213は、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10を対象の空気調和機10に設定する。図4に示すように、空気調和機10の機種毎に、負荷率と運転効率との関係は概ね定まっている。そこで、効率特定部213は、対象の空気調和機10に関する負荷率と運転効率との関係を参照して、ステップS13で特定された対象の空気調和機10の負荷率に対応する運転効率を、対象の空気調和機10の運転効率として特定する。なお、空気調和機10の機種毎に負荷率と運転効率との関係を示す情報は、ストレージ23に記憶されているものとする。」
「[0029] 図5を参照して、実施の形態1に係る第1誘導処理(図3のステップS15)を説明する。
(ステップS21:移動人数特定処理)
誘導部214は、高密度エリアから他のエリア31に移動させる人数Xを特定する。
具体的には、誘導部214は、ステップS13で計算された高密度エリアの負荷率を、運転効率が最も高くなる負荷率まで下げるために、負荷をどれだけ下げればよいかを特定する。つまり、誘導部214は、現在の負荷から運転効率が最も高くなる負荷率になる場合の負荷を減算した差分負荷を特定する。誘導部214は、差分負荷を、人が1人いることにより発生する負荷で除して、差分負荷を発生させる人数を、高密度エリアから移動させる人数Xとして特定する。除算することで出た端数に関しては、切り上げしても、切り下げしても、四捨五入してもよい。
人が1人いることにより発生する負荷は、事前に凡そ値が設定されてもよいし、エリア31内の人の出入りと、負荷特定部212によって特定される空気調和機10の負荷との関係から学習により特定されてもよい。」
「[0032] (ステップS24:受入人数特定処理)
誘導部214は、ステップS22で特定された移動先エリアに移動させる人数を特定する。
具体的には、誘導部214は、ステップS13で計算された移動先エリアの負荷率を、運転効率が最も高くなる負荷率まで上げるために、負荷をどれだけ上げればよいかを特定する。つまり、誘導部214は、運転効率が最も高くなる負荷率になる場合の負荷から現在の負荷を減算した差分負荷を特定する。誘導部214は、差分負荷を、人が1人いることにより発生する負荷で除して、差分負荷を発生させる人数を、移動先エリアに移動させる人数Yとして特定する。
但し、誘導部214は、残人数Zよりも特定された人数Yが多い場合には、残人数Zを移動先エリアに移動させる人数Yに設定する。」
「[0035] (ステップS27:通知処理)
誘導部214は、ステップS21で特定された移動させる人数Xと、ステップS23で特定された1つ以上の移動先エリアと、ステップS24で特定された各移動先エリアに移動させる人数Yとを示す移動情報を通知する。具体例としては、誘導部214は、高密度エリアに設置されている表示装置に移動情報を表示する。あるいは、誘導部214は、高密度エリアにいる人のPC又は携帯端末に、移動情報を送信する。これにより、高密度エリアにいる一部の人を移動先エリアに誘導する。」
「[0042] 図8及び図9を参照して、実施の形態1に係る第2誘導処理の例を説明する。
図8を参照して、改善パターン1の場合の例を説明する。
図8の(A)に示すように、エリア31Aからエリア31Dの人口密度は基準密度よりも低い。また、図8の(B)に示すように、空気調和機10Aは、運転効率が基準効率より低く、かつ、負荷率が第1基準値よりも高く、空気調和機10Bは、運転効率が基準効率より低く、負荷率が第2基準値よりも低い。つまり、空気調和機10Aに対応するエリア31A及びエリア31Bが高負荷エリアであり、空気調和機10Bに対応するエリア31C及びエリア31Dが低負荷エリアである。
この場合には、エリア31A及びエリア31Bが移動元エリアになり、エリア31C及びエリア31Dが移動先エリアになる。そして、誘導部214は、エリア31A又はエリア31Bにいる一部の人をエリア31C又はエリア31Dに誘導する。その結果、エリア31A又はエリア31Bにいる一部の人がエリア31C又はエリア31Dに移動したとする。すると、図8の(C)に示すように、空気調和機10Aは負荷率が低くなり、運転効率が良くなり、空気調和機10Bの負荷率が高くなり、運転効率が良くなる。
[0043] 図9を参照して、改善パターン2の場合の例を説明する。
図9の(A)に示すように、エリア31Aからエリア31Dの人口密度は基準密度よりも低い。また、図9の(B)に示すように、空気調和機10Aは、運転効率が基準効率より低く、かつ、負荷率が第2基準値よりも低く、空気調和機10Bは、運転効率が基準効率より低く、負荷率が第3基準値よりも低い。
この場合には、エリア31A及びエリア31Bが移動元エリアになり、エリア31C及びエリア31Dが移動先エリアになる。そして、誘導部214は、エリア31A又はエリア31Bにいる全ての人をエリア31C又はエリア31Dに誘導する。その結果、エリア31A又はエリア31Bにいる全ての人がエリア31C又はエリア31Dに移動したとする。すると、図9の(C)に示すように、エリア31A及びエリア31Bの人口密度は0になる。すると、図9の(D)に示すように、空気調和機10Bの負荷率が高くなり、運転効率が良くなる。また、誘導部214は、人口密度が0になったエリア31A及びエリア31Bに対応する空気調和機10Aを停止させる。
[0044] ***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る空間制御装置20は、人口密度が高い高密度エリアにいる人の一部を負荷率が低い空気調和機10に対応するエリア31に誘導する。高密度エリアにいる人の一部が負荷率が低い空気調和機10に対応するエリア31に移動することにより、高密度エリアの負荷が低くなり、負荷率が低い空気調和機10に対応するエリア31の負荷が高くなる。
これにより、複数の空気調和機10全体で見た場合における効率を高くできる可能性がある。つまり、複数の空気調和機10全体で見た場合におけるCOP(Coefficient Of Performance)を高くできる可能性がある。」
「[0049] 図5のステップS24で運転効率が最も高くなる負荷率を用いる場合には、移動先エリアを特定できない可能性がある。
具体的には、どのエリア31にもある程度多くの人がいるような場合には、最も負荷率が低い空気調和機10であっても、運転効率が最も高くなる負荷率になる場合の負荷から現在の負荷を減算すると負の値になってしまう可能性がある。つまり、差分負荷が負の値になってしまう可能性がある。差分負荷が負の値である場合には、移動先エリアに移動させる人数Yが負の値になってしまう。つまり、移動先エリアには移動させられないという結果になってしまう。したがって、この場合には、移動先エリアを特定することができない。
これに対して、図5のステップS24では、各空気調和機10の負荷率の平均値を用いれば、平均値よりも負荷率が低い空気調和機10は存在するので、移動先エリアを特定することが可能になる。その結果、負荷率が平準化され、複数の空気調和機10全体で見た場合に、効率化できる可能性がある。」
「[0059] (ステップS42:人数配置特定処理)
誘導部214は、事前領域32にいる人が対象エリア30に入った場合に、複数のエリア31それぞれについての人口密度が基準密度以下となり、かつ、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10の運転効率が高くなる人数配置を特定する。
具体的には、誘導部214は、事前領域32にいる人を移動させて複数のエリア31それぞれの人数配置を変更した各配置パターンについての運転効率を特定する。つまり、誘導部214は、各配置パターンとした場合の負荷率を負荷特定部212に特定させ、特定された負荷率に対応する運転効率を効率特定部213に特定させる。なお、誘導部214は、図3のステップS13で特定された負荷率が、運転効率が最も高くなる負荷率よりも低い空気調和機10に対応するエリア31にのみ、事前領域32にいる人を移動させた配置パターンについて運転効率を特定すればよい。但し、複数のエリア31それぞれの人口密度が基準密度以下である人数配置である必要がある。
そして、誘導部214は最も運転効率が良い配置パターンにおける各エリア31の人数配置と現在の人数配置との差から、1つ以上の移動先エリアと、各移動先エリアに移動させる人数Yとを特定する。
[0060] (ステップS43:通知処理)
誘導部214は、ステップS42で特定された1つ以上の移動先エリアと、各移動先エリアに移動させる人数Yとを示す移動情報を通知する。具体例としては、誘導部214は、事前領域32に設置されている表示装置に移動情報を表示する。あるいは、誘導部214は、事前領域32にいる人の携帯端末に、移動情報を送信する。これにより、事前領域32にいる少なくとも人を移動先エリアに誘導する。」
「【図1】
[図:0001414213000001.jpg]
」
「【図9】
[図:0001414213000002.jpg]
」
ア 上記[0011]によれば、対象エリア30は、エリア31Aからエリア31Dの4つのエリア31に分けられている。
イ 上記[0009]によれば、空間制御システム100は、複数の空気調和機10と、空間制御装置20とを備えている。また、上記[0017]によれば、空間制御装置20は、負荷特定部212と、誘導部214とを備えている。
ウ 上記[0025]、[0035]によれば、誘導部214は、高密度エリアに設置されている表示装置に移動情報を表示したり、高密度エリアにいる人のPC又は携帯端末に、移動情報を送信することで、高密度エリアにいる人に、移動先エリアを通知するものである。
エ 上記[0010]、[0011]及び図1によれば、室外機11Aに、室内機12A1及び室内機12A2が接続される空気調和機10Aと、室外機11Bに、室内機12B1及び室内機12B2が接続される空気調和機10Bによって、対象エリア30の空調制御が行われ、エリア31Aには室内機12A1が設置され、エリア31Bには室内機12A2が設置され、エリア31Cには室内機12B1が設置され、エリア31Dには室内機12B2が設置されている。
オ 上記[0020]によれば、エリア31と室内機12との対応関係は、事前に特定され、ストレージ23に記憶されている。
カ 上記[0023]によれば、負荷特定部212は、複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10の負荷率を特定するものである。また、上記[0025]によれば、誘導部214は、負荷率に基づき決定された空気調和機10に対応するエリア31であって、高密度エリアに対応する空気調和機10とは異なる空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導するものである。
キ 上記[0049]によれば、空気調和機10の負荷率に応じて移動先エリアを特定するので、負荷率が平準化され、複数の空気調和機10全体で見た場合に、効率化できるものである。
(2)甲1発明
上記(1)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
「対象エリア30は、エリア31Aからエリア31Dの4つのエリア31に分けられており、高密度エリアにいる人に、移動先エリアを通知する空間制御システム100であって、
室外機11Aに、室内機12A1及び室内機12A2が接続される空気調和機10Aと、室外機11Bに、室内機12B1及び室内機12B2が接続される空気調和機10Bによって、対象エリア30の空調制御が行われ、エリア31Aには室内機12A1が設置され、エリア31Bには室内機12A2が設置され、エリア31Cには室内機12B1が設置され、エリア31Dには室内機12B2が設置されており、
エリア31と室内機12との対応関係は、事前に特定され、ストレージ23に記憶されており、
複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10の負荷率を特定し、負荷率に基づき決定された空気調和機10に対応するエリア31であって、高密度エリアに対応する空気調和機10とは異なる空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導するために、移動先エリアを通知する空間制御装置20を備え、
空気調和機10の負荷率に応じて移動先エリアを特定するので、負荷率が平準化され、複数の空気調和機10全体で見た場合に、効率化できる、
空間制御システム100。」
2 甲2について
(1)甲2の記載
甲2には、以下の記載がある
「[0003] 環境状態が異なる複数のエリアを管理し、利用者に複数のエリアのうちのいずれかを利用させる技術として、特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1の技術では、エリアごとの環境状態(例えば、室内温度)と環境負荷(例えば、室内温度を調整する空気調和機の消費電力量)を利用者に提示することで、利用者に満足のいく範囲で環境負荷の低いエリアを選択させる。」
「[0005] 特許文献1の技術では、利用者はエリアを自由に選択することができる。このため、特許文献1の技術では、利用者が多いエリアと利用者が少ないエリアが生じる可能性がある。
利用者が多いエリアでは人口密度が高くなり、当該エリアの環境状態(例えば、室内温度)を維持するために環境負荷(例えば、空気調和機の消費電力量)が増加する。また、利用者が少ないエリアでは、少ない利用者に対して過剰に環境負荷がかかっている。
このように、特許文献1の技術では、環境負荷を効率的に抑制することが困難であるという課題がある。」
「[0011] 実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。
[0012] 図1において、室内空間200はオフィスビル等の建物の内部の空間である。室内空間200は、複数のエリアに分割されている。図1では、室内空間200はエリア1~エリア6の6つのエリアに分割されている。
図1は、室内空間200が建物内の1フロアである例を示している。つまり、図1では、室内空間200である建物内の1フロアが複数のエリアに分割されている例を示す。図1とは異なり、建物の各フロアが1つのエリアを構成していてもよい。この場合は、建物に含まれる全てのフロアが室内空間200に相当し、各フロアが各エリアに相当する。
複数のエリアの環境状態は一律に同じではない。つまり、全てのエリアの環境状態が異なっていてもよいし、一部のエリアで環境状態が重複していてもよい。但し、1つの室内空間200に2種類以上の環境状態が存在していることが必要である。
環境状態には、例えば、温度、湿度、気流、照度、色温度、匂い及び音が含まれる。本実施の形態では、空気調和機を用いて、環境状態として温度及び湿度を管理する例を説明する。つまり、本実施の形態では、複数のエリアで温度及び湿度が一律に同じではない。なお、気流の管理は、空気調和機を用いて行うことができる。匂いの管理は、匂い発生装置を用い行うことができる。照度及び色温度の管理は、照度及び色温度制御装置を用いて行うことができる。音の管理は、音発生装置を用いて行うことができる。
各エリアは壁等の物理的な区切りにより分割されていてもよいし、物理的な区切りなく機械的な制御により各エリアの環境状態が相違するように分割されていてもよい。
[0013] 室内機300は、各エリアに設置された室内機である。各室内機300は、室外機400と接続されている。
図1の例では、エリア1の室内機300、エリア3の室内機300及びエリア5の室内機300が上段の室外機400に接続され、エリア2の室内機300、エリア4の室内機300及びエリア6の室内機300が下段の室外機400に接続されている。
室内機300と室外機400により空気調和機が構成される。室内機300と室外機400により各エリアの環境状態(温度及び湿度)が保たれる。」
「[0016] 環境状態表示装置700は、例えばディスプレイ装置である。環境状態表示装置700は、環境状態表示として、エリアごとの環境状態を表示する。
環境状態表示装置700は、室内空間200の入口等の利用者が参照しやすい位置に配置される。
[0017] 環境状態管理装置100は、各エリアの環境状態を管理する。
環境状態管理装置100は、利用状況収集装置600から各エリアの利用状況を取得し、各エリアの利用状況に基づき、複数のエリアのうちのいずれかのエリアの環境状態を変化させる。より具体的には、環境状態管理装置100は、利用が少ないエリアの環境状態を利用が多いエリアの環境状態に変化させる。
環境状態管理装置100は、環境状態を変化させると決定したエリアに対応する室外機400を制御して該当エリアの環境状態を変化させる。
また、環境状態管理装置100は、環境状態を変化させたエリアについての環境状態表示装置700における表示を変更する。」
「[0038] ステップS141において、状態設定部103は、利用状況が状態維持条件を満たさないエリアが2以上あるか否かを判定する。
利用状況が状態維持条件を満たさないエリアが1つのみである場合は、処理がステップS142に進む。
一方、利用状況が状態維持条件を満たさないエリアが2以上ある場合は、処理がステップS143に進む。」
「[0046] このようにすることで、最も利用されているエリアの環境状態が別のエリアで得られるようになるため、利用者が複数のエリアに分散し、特定のエリアに利用者が集中する事態を回避することができる。
利用者が少ないエリアでは、少ない利用者に対して過剰(無駄)に環境負荷がかかっている一方で、利用者が多いエリアでは、利用者数の増加に伴って環境負荷が増加する。図4に示す方法により、各エリアの利用者数を均一化することで、環境負荷を効率的に抑制することができる。」
「[0065] 実施の形態3.
図10は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。」
「[0069] 以上のように、本実施の形態によれば、行先表示装置850がなくても、利用者は行先エリアに迷うことなく到着することができる。
なお、利用者が携帯機器860の操作によりエリアを選択することに代えて、誘導装置800がエリアを選択してもよい。例えば、携帯機器860に予め環境状態に関する情報を登録しておく。環境状態に関する情報として、例えば、エリアの選択基準、具体的には、利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)が携帯機器860に予め登録されているものとする。誘導装置800は、無線通信にて携帯機器860から環境状態に関する情報を取得する。そして、誘導装置800は、携帯機器860から取得した環境状態に関する情報に基づいて複数のエリアの中から利用者を誘導するのに適したエリアを選択する。その後、誘導装置800は、選択したエリアに利用者を誘導する。選択したエリアへの利用者の誘導方法は前述の通りである。このようにすることで、利用者がエリアを選択する手間を省くことができる。」
「[0070] 実施の形態4.
図12は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。」
「[0072] 本実施の形態では、利用者が建物の入口に到着すると、体調検知センサ830が利用者の体調を検知する。例えば、体調検知センサ830は利用者の体温を検知する。体調検知センサ830は検知した利用者の体調を誘導装置800に通知する。
誘導装置800は、利用者の体調に応じて推奨するエリアを選択する。例えば、利用者の体温が通常よりも高い場合は、誘導装置800は、室温が高めのエリアを選択する。また、体調検知センサ830が利用者の心拍数を検知する場合に、利用者の心拍数が通常よりも多いと、誘導装置800はリラックスできる匂い、音等が提供されるエリアを選択する。
[0073] 利用者がエレベータホールに到着すると、誘導装置800は、実施の形態2と同様に、環境状態表示装置700にフロアごとに環境状態表示を表示する。本実施の形態では、誘導装置800は推奨するエリアを目立たせるようにして環境状態表示装置700に表示する。利用者は、誘導装置800により推奨された推奨エリアを参考に、行先エリアを選択する。利用者は推奨エリア以外のエリアを選択してもよい。」
「[0084] 以上、実施の形態1~5を説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
また、これらの実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。」
「【図1】
[図:0001414213000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001414213000004.jpg]
」
「【図10】
[図:0001414213000005.jpg]
」
「【図12】
[図:0001414213000006.jpg]
」
ア 上記[0011]、[0065]、[0070]、[0084]、図1、図10及び図12によれば、甲2には、環境状態管理装置100、室内空間200、室内機300、室外機400、入退管理装置500、利用状況収集装置600、環境状態表示装置700、誘導装置800、携帯機器860から構成されるシステムが記載されている。
イ 上記[0012]によれば、オフィスビル等の建物の内部の空間である室内空間200はエリア1~エリア6の6つのエリアに分割されている。
ウ 上記[0013]によれば、エリア1の室内機300、エリア3の室内機300及びエリア5の室内機300が上段の室外機400に接続され、エリア2の室内機300、エリア4の室内機300及びエリア6の室内機300が下段の室外機400に接続されており、室内機300と室外機400により各エリアの環境状態(温度及び湿度)が保たれる。
エ 上記[0016]、[0017]によれば、環境状態管理装置100は、利用状況収集装置600から各エリアの利用状況を取得し、利用が少ないエリアの環境状態を利用が多いエリアの環境状態に変化させ、また、環境状態管理装置100は、エリアごとの環境状態を表示する環境状態表示装置700において、環境状態を変化させたエリアの表示を変更する。
オ 上記[0069]によれば、利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)が携帯機器860に予め登録されており、誘導装置800は、携帯機器860から取得した環境状態に関する情報に基づいて複数のエリアの中から利用者を誘導するのに適したエリアを選択し、選択したエリアに利用者を誘導する。
カ 上記[0072]、[0073]によれば、利用者が建物の入口に到着すると、体調検知センサ830が利用者の体調を検知し、誘導装置800は、利用者の体調に応じて推奨するエリアを選択し、誘導装置800は推奨するエリアを目立たせるようにして環境状態表示装置700に表示する。
(2)甲2発明
上記(1)によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
[甲2発明]
「環境状態管理装置100、室内空間200、室内機300、室外機400、入退管理装置500、利用状況収集装置600、環境状態表示装置700、誘導装置800、携帯機器860から構成されるシステムであって、
オフィスビル等の建物の内部の空間である室内空間200はエリア1~エリア6の6つのエリアに分割されており、
エリア1の室内機300、エリア3の室内機300及びエリア5の室内機300が上段の室外機400に接続され、エリア2の室内機300、エリア4の室内機300及びエリア6の室内機300が下段の室外機400に接続されており、室内機300と室外機400により各エリアの環境状態(温度及び湿度)が保たれ、
環境状態管理装置100は、利用状況収集装置600から各エリアの利用状況を取得し、利用が少ないエリアの環境状態を利用が多いエリアの環境状態に変化させ、また、環境状態管理装置100は、エリアごとの環境状態を表示する環境状態表示装置700において、環境状態を変化させたエリアの表示を変更し、
利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)が携帯機器860に予め登録されており、誘導装置800は、携帯機器860から取得した環境状態に関する情報に基づいて複数のエリアの中から利用者を誘導するのに適したエリアを選択し、選択したエリアに利用者を誘導することができ、
利用者が建物の入口に到着すると、体調検知センサ830が利用者の体調を検知し、誘導装置800は、利用者の体調に応じて推奨するエリアを選択し、誘導装置800は推奨するエリアを目立たせるようにして環境状態表示装置700に表示することができる、
システム。」
3 甲3ついて
(1)甲3の記載
甲3には、以下の記載がある
「【0011】
また、上記建物環境制御システムにおいて、前記利用者情報収集部は、前記利用者が希望する快適性に関する情報と、予定する活動に関する情報と、のうちの何れかの情報を含む情報を前記利用者からの情報として収集することを特徴とする。」
「【0019】
[概要]
本実施形態の建物環境制御システムは、フリーアドレスオフィスにより運用される建物に適用される。上記建物は、オフィスワークのための場所(以下、「ワークプレイス」とも記載)が複数のエリアに区分されている。建物環境制御システムは、位置検知技術を用いて各エリアに所在する利用者を検知する。建物環境制御システムは、各エリアにおける利用者の所在状況の検知結果に基づいて、各エリアの空調設備及び照明設備の省エネルギー性を高めるのに適した利用者の配置パターンを算定する。建物環境制御システムは、算定した配置パターンに従って利用者をそれぞれのエリアに誘導する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係わる建物環境制御システム1の動作の概要を示す説明図である。図1(A)は、算定した配置パターンに従って利用者をそれぞれのエリアに誘導する前の状態を示し、図1(B)は、利用者をそれぞれのエリアに誘導した後の状態を示している。
この図1に示す例において、建物2は、ワークプレイスがフリーアドレスオフィスにより運用されるオフィスビル等である。そのワークプレイスが、Aエリア11、Bエリア12、Cエリア13、Dエリア14の4つのエリアに区分されている。そして、説明を簡単にするために、エリア11、12、13、14のそれぞれは、面積が同じであり、各エリアの利用者の収容可能人数も同じであるとする。例えば、各エリアの収容可能人数の上限を7人とする。」
「【0022】
そして、図1(A)に示す利用者の誘導前の状態では、利用者21から33がエリア11、12、13、14のそれぞれのエリアに分かれて所在し、エリア11、12、13、14の全エリアの空調設備及び照明設備(不図示)が全てON(稼動状態)になっているものとする。この図1(A)に示す利用者の誘導前の状態において、建物環境制御システム1は、利用者21から33のそれぞれが所持する携帯端末50と通信を行うことにより、エリア11、12、13、14の各エリアの利用状況を検知する。この図に示す場合、建物環境制御システム1は、エリア11、12、13、14の各エリアの利用状況として、Aエリア11に利用者21が所在することを検知し、Bエリア12に利用者22から24が所在することを検知する。また、建物環境制御システム1は、Cエリア13に利用者25から29が所在することを検知し、Dエリア14に利用者30から33が所在することを検知する。つまり、建物環境制御システム1は、エリア11、12、13、14の各エリアに所在する利用者の合計が13人であることを検知する。
【0023】
そして、建物環境制御システム1は、エリア11、12、13、14の各エリアに所在する利用者21から33の検知結果に基づいて、空調設備及び照明設備を利用する際の省エネルギー性が高まるように、利用者21から33が利用するエリアを割り当てる。例えば、建物環境制御システム1は、利用者の合計人数が13人であり、各エリアの収容可能人数が7人であることから、利用者21から33を2つのエリアに割り当てることができ、利用者が利用するエリアの数を少なくできると判断する。建物環境制御システム1は、省エネルギー性を高めるのに適した配置パターンとして、利用者21から33を2つのエリアに割り当てる配置パターンを算定する。
しかしながら、利用者21から33を2つのエリアに割り当てる配置パターンは、例えば、「エリア11とエリア12」、「エリア13とエリア14」、「エリア11とエリア13」、「エリア12とエリア14」などと幾通りもある。」
「【0026】
そして、図1(B)の誘導後の状態に示すように、建物環境制御システム1は、利用者21が指定されたエリアに移動した後、利用者の不在エリアとなるAエリア11の全ての空調設備及び照明設備をOFF(停止状態)にする。
また、建物環境制御システム1は、Bエリア12に利用者23が留まっているため、Bエリア12において空調設備及び照明設備のタスク制御に切り換える。つまり、建物環境制御システム1は、この利用者23のBエリア12内における所在位置を検出して、Bエリア12内の空調設備によりタスク制御に切り換えるとともに、照明設備についてもタスク制御に切り換える。このタスク制御の具体例については、後述する。
なお、Bエリア12の空調設備及び照明設備が、タスク制御に対応していない場合、建物環境制御システム1は、Bエリア12内の全ての空調設備及び照明設備をONにする。
【0027】
このように、本実施形態の建物環境制御システム1は、利用者が幾つかのエリアに集まって、オフィスワークを共通のエリアで行うようにCエリア13及びDエリア14に誘導することにより、空調設備及び照明設備の省エネルギーを実現する。また、建物環境制御システム1は、移動を拒否する利用者23がいる場合に、この利用者23の希望に沿うようにBエリア12内の空調設備及び照明設備をタスク制御する。
これにより、建物環境制御システム1は、省エネルギーを実現するとともに、利用者の希望に沿うように環境を制御することができる。
なお、以下の説明において、利用者21から33の何れかを示す場合、或いは、利用者21から33の全てを示す場合に、「利用者20」と記載することがある。
【0028】
(建物環境制御システム1の構成例)
図2は、建物環境制御システム1の構成例を示すブロック図である。建物環境制御システム1は、建物2内のエリア11、12、13、14の各エリアに配置される各設備と、環境制御サーバ100と、利用者位置検知サーバ200と、を含んでいる。
なお、図2に示す例は、建物2がエリア11、12、13、14の4つのエリアをワークプレイスとして有する例を示しているが、エリアの数を、2つ以上の任意の数にしてもよく、また、エリア11、12、13、14は、複数階に渡って所在してもよい。」
「【0036】
また、以下の説明において、エリア11、12、13、14の何れかを示す場合、或いは、全てを示す場合に、「エリア10」と記載することがある。また、空調設備71、72、73、74の何れかを示す場合、或いは、全てを示す場合に、「空調設備70」と記載することがある。また、照明設備81、82、83、84の何れかを示す場合、或いは、全てを示す場合に、「照明設備80」と記載することがある。また、環境センサ91、92、93、94の何れかを示す場合、或いは、全てを示す場合に、「環境センサ90」と記載することがある。」
【0037】
環境制御サーバ100は、計画算定部110と、利用者情報収集部120と、利用者配置部130と、設備制御部140と、入出力部150と、記憶部160と、を備えている。
入出力部150は、液晶表示ディスプレイ等の表示装置と、マウスやキーボード等の入力装置と、を備えている。入出力部150の入力装置は、例えば、環境制御サーバ100が利用者20のエリア移動の誘導処理を実行する際に必要となるデータの入力に使用される。環境制御サーバ100は、入力装置から入力されたデータを、記憶部160に記憶する。また、入出力部150の表示装置は、各エリア10に所在する利用者20の所在状況の情報や、空調設備70及び照明設備80のON、OFF(稼動状態)の情報や、エリア10内の温度、湿度等の環境検知情報を表示する。
【0038】
計画算定部110は、各エリア10の利用状況の情報を、利用者位置検知サーバ200から受信する。計画算定部110は、この利用状況の情報に基づいて、空調設備70及び照明設備80の省エネルギー性を高めるように、エリア10ごとの利用計画111を算定する。例えば、計画算定部110は、利用計画111として、空調設備70及び照明設備80の省エネルギー性を高めるように、エリア10ごとへの利用者20の配置パターンと、空調設備70及び照明設備80のON、OFF計画(運転、停止計画)を算定する。」
「【0043】
設備情報180は、エリア11、12、13、14のそれぞれに設備された空調設備70や、照明設備80や、ビーコン局60や、環境センサ90等の設備情報である。
図3Aと図3Bは、設備情報180の例を示す説明図である。例えば、設備情報180は、記憶部160に記憶される。例えば、図3Aに示すように、設備情報180は、空調設備71、72、73、74などの空調設備の設備名、ID情報(空調設備ID)、最大消費電力(空調能力)の情報等を、エリア11、12、13、14のそれぞれに対応付けて記憶する。
また、図3Bに示すように、設備情報180は、さらにビーコン局61、62、63、64などのビーコン局のID情報(ビーコン局ID)、照明設備80のID情報(照明設備ID)、環境センサ90のID情報(環境センサID)等を、エリア11、12、13、14のそれぞれに対応付けて記憶する。また、利用者情報190は、携帯端末50と、携帯端末50を利用する利用者に関する情報である。図3Cは、利用者情報190の例を示す説明図である。利用者情報190は、例えば、記憶部160に記憶される。利用者情報190は、利用者20の「利用者ID」と、利用者20が所持する携帯端末50の「携帯端末ID」と、利用者20の「氏名」と、利用者20の「快適性についての希望条件(快適性の希望情報)」とを、利用者20の「利用者ID」に関連付けして記憶する。」
「【0049】
計画算定部110は、利用者位置検知サーバ200から、各エリア10の利用状況301を取得する。計画算定部110は、各エリア10の利用状況301に基づいて、空調設備70及び照明設備80の省エネルギー性を高めるように、各エリア10の利用計画111を算定する。例えば、計画算定部110は、利用計画111として、空調設備70及び照明設備80の消費エネルギーを最小化するのに適した利用者20の配置パターン112を算定する。計画算定部110は、算定した利用計画111の情報を、利用者情報収集部120と、利用者配置部130と、に供給する。
なお、各エリア10の利用計画111として、予め定められた基本利用計画を利用してもよい。また、利用者20の配置パターン112として、予め定められた基本配置パターンを利用しても良い。」
「【0051】
利用者配置部130は、利用者位置検知サーバ200から取得した利用状況301と、計画算定部110から取得した利用計画111と、利用者情報収集部120から取得したアンケート回答322と、予め定めた評価指標131により算出される評価値と、に基づいて、実際に実施する実施計画132を作成する。また、利用者配置部130は、作成した実施計画132に基づいて、利用者20を各エリア10に配置する実施配置パターン340を作成し、この実施配置パターン340を利用者情報収集部120に供給する。
利用者情報収集部120は、利用者配置部130から取得した実施配置パターン340に基づいて、移動指示341を生成し、この移動指示341を、移動対象となる利用者の20に携帯端末50に送信する。」
「【0056】
本実施形態の建物環境制御システム1では、例えば、空調温度と、照明と、騒音と、窓際からの位置と、を快適性の要素としている。
なお、快適性は、ISO(International Organization for Standardization)で規定されるPMV(Predicted Mean Vote)が用いられることがあるが、本実施形態では、空調温度と、照明と、騒音と、窓際からの位置と、を快適性の要素とする。なお、快適性の要素は、必ずしもこれに限定されるものではなく、空調温度と、照明と、騒音と、窓際からの位置との内の何れかの希望条件を省略してもよく、或いは、湿度や、窓やドアが配置される方位等の所望の要素を希望条件としてさらに追加することができる。
【0057】
図7は、利用者に通知するアンケートの第2の例を示す説明図である。この図7に示すアンケート321Aの例は、移動対象となる利用者20にエリア移動の承諾を求めるとともに、当該利用者20の快適性についての希望条件を問い合わせる一例であり、携帯端末50における表示例として示したものである。
利用者情報収集部120から携帯端末50に、快適性についてのアンケート321Aが送信されると、携帯端末50は、表示パネル51上に、アンケート画面420を表示する。
この図7に示すように、アンケート画面420には、エリア移動を案内する移動案内421と、エリア移動を承認することを選択する「承諾」キー422と、エリア移動を拒否することを選択する「拒否」キー423とが表示される。また、アンケート画面420には、空調温度と、照明と、騒音と、窓際からの位置と、のそれぞれについての希望条件を選択するキー424から433が表示される。」
「【0061】
(移動指示の例)
利用者配置部130において最終的に実施される実施計画132が作成されると、この実施計画132が利用者情報収集部120に供給される。この利用者情報収集部120に供給される実施計画132には、実施計画132に基づいて生成された「利用者20の実施配置パターン340」の情報が含まれる。利用者情報収集部120は、利用者配置部130から取得した「利用者20の実施配置パターン340」に基づいて、移動対象となる利用者20に通知する移動指示341を作成し、この移動指示341の情報を、当該利用者20の携帯端末50に送信する。
図8は、利用者の携帯端末50に通知する移動指示341の例を示す説明図である。この移動指示341が利用者情報収集部120から携帯端末50に送信されると、携帯端末50は、表示パネル51上に、移動指示画面440を表示する。この移動指示画面440には、当該利用者20に対して、「Aエリア11からCエリア12に移動」することを指示する移動案内441が示される。」
「【0075】
なお、図11と図12とに示す例は、小領域10A、10B、10Cのそれぞれに個別に空調設備を設備する例を示したが、これに限定されない。例えば、タスク空調は、1つの空調設備と、各小領域10A、10B、10Cへ冷気又は暖気を供給する空調ダクトとを設け、この空調ダクトによる天井面や床からの吹出し方式を用いることもできる。」
「【0080】
そして、利用者情報収集部120は、計画算定部110により算定された利用計画111を、移動対象となる利用者20の携帯端末50に通知し、利用計画111に対する当該利用者20の諾否の情報を収集する。或いは、利用者情報収集部120は、利用計画111に対する当該利用者20の諾否の情報を収集するとともに、利用者20から快適性についての希望条件の情報を収集する。
そして、利用者配置部130は、エリア11、12、13、14のエリアごとの利用状況301と、利用計画111と、予め定められた評価指標131と、利用計画111に対する当該利用者20の諾否の情報と、に基づいて、利用者20がワークプレイスとして利用するエリアを割り当てる。
設備制御部140は、利用者20へのエリアの割り当ての結果に基づいて、エリア11、12、13、14のそれぞれに設けられた空調設備70及び照明設備80(設備)ごとに稼働状況を調整する。
これにより、本実施形態の建物環境制御システム1は、省エネルギー性を高めるとともに、利用者の希望に沿うように環境を制御することができる。
【0081】
(2)また、上記実施形態において、評価指標131は、割り当てられたエリア(領域)に移動する利用者20の人数が少なくなるにつれ評価指標による評価値が高まるように設定されている。
これにより、建物環境制御システム1は、利用者20に移動先のエリアを割り当てる場合に、省エネルギー性を高めるとともに、エリア11、12、13、14の各エリアの間を移動する人数が少なくなるように、利用者20をエリアに割り当てることができる。
【0082】
(3)また、上記実施形態において、評価指標131は、利用者20が利用するエリア(領域)の快適性が高まるように設定されている。
これにより、建物環境制御システム1は、省エネルギー性を高めるとともに、移動対象となる利用者20を、当該利用者20が希望する快適性の条件を満たすエリアに割り当てることができる。
【0083】
(4)また、上記実施形態において、評価指標131は、空調設備70及び照明設備80(稼働させた設備)が消費するエネルギーが低減するにつれ評価指標131による評価値が高まるように設定されている。
これにより、建物環境制御システム1は、エリア11、12、13、14の全エリアにおける空調設備70及び照明設備80(設備)が消費するエネルギーを最小化するように、利用者20にエリアを割り当てることができる。」
「【図1】、【図2】
[図:0001414213000007.jpg]
」
「
[図:0001414213000008.jpg]
」
ア 上記【0020】、【0022】によれば、オフィスビル等の建物2のワークプレイスが、Aエリア11、Bエリア12、Cエリア13、Dエリア14の4つのエリアに区分されており、誘導前の状態では、エリア11、12、13、14の全エリアの空調設備が全てON(稼働状態)になっている。
イ 上記【0023】、【0026】によれば、建物環境制御システム1は、エリア11、12、13、14の各エリアに所在する利用者21から33の検知結果に基づいて、空調設備を利用する際の省エネルギー性が高まるように、利用者21から33が利用するエリアを割り当て、利用者21が指定されたエリアに移動した後、利用者の不在エリアとなるAエリア11の空調設備をOFF(停止状態)にする。
ウ 上記【0028】、【0037】によれば、建物環境制御システム1は、環境制御サーバ100を含んでおり、環境制御サーバ100は、計画算定部110と、利用者情報収集部120と、利用者配置部130と、記憶部160と、を備えている。
エ 上記【0043】によれば、記憶部160は、空調設備71、72、73、74などの空調設備の設備名、ID情報(空調設備ID)、最大消費電力(空調能力)の情報等を、エリア11、12、13、14のそれぞれに対応付ける設備情報180を記憶している。
オ 上記【0038】、【0049】によれば、計画算定部110は、各エリア10の利用状況の情報を、利用者位置検知サーバ200から受信し、この利用状況の情報に基づいて、空調設備70の省エネルギー性を高めるように、エリア10ごとの利用計画111を算定する。
カ 上記【0051】によれば、利用者配置部130は、利用者位置検知サーバ200から取得した利用状況301と、計画算定部110から取得した利用計画111と、利用者情報収集部120から取得したアンケート回答322と、予め定めた評価指標131により算出される評価値と、に基づいて、実際に実施する実施計画132を作成し、作成した実施計画132に基づいて、利用者20を各エリア10に配置する実施配置パターン340を作成する。
キ 上記【0051】、【0061】によれば、利用者情報収集部120は、利用者配置部130から取得した実施配置パターン340に基づいて、移動指示341を生成し、この移動指示341を、移動対象となる利用者の20に携帯端末50に送信する。
(2)甲3発明
上記(1)によれば、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。
[甲3発明]
「オフィスビル等の建物2のワークプレイスが、Aエリア11、Bエリア12、Cエリア13、Dエリア14の4つのエリアに区分されており、誘導前の状態では、エリア11、12、13、14の全エリアの空調設備が全てON(稼働状態)になっており、
エリア11、12、13、14の各エリアに所在する利用者21から33の検知結果に基づいて、空調設備を利用する際の省エネルギー性が高まるように、利用者21から33が利用するエリアを割り当て、利用者21が指定されたエリアに移動した後、利用者の不在エリアとなるAエリア11の空調設備をOFF(停止状態)にする、建物環境制御システム1であって、
建物環境制御システム1は、環境制御サーバ100を含んでおり、環境制御サーバ100は、計画算定部110と、利用者情報収集部120と、利用者配置部130と、記憶部160と、を備えており、
記憶部160は、空調設備71、72、73、74などの空調設備の設備名、ID情報(空調設備ID)、最大消費電力(空調能力)の情報等を、エリア11、12、13、14のそれぞれに対応付ける設備情報180を記憶しており、
計画算定部110は、各エリア10の利用状況の情報を、利用者位置検知サーバ200から受信し、この利用状況の情報に基づいて、空調設備70の省エネルギー性を高めるように、エリア10ごとの利用計画111を算定し、
利用者配置部130は、利用者位置検知サーバ200から取得した利用状況301と、計画算定部110から取得した利用計画111と、利用者情報収集部120から取得したアンケート回答322と、予め定めた評価指標131により算出される評価値と、に基づいて、実際に実施する実施計画132を作成し、作成した実施計画132に基づいて、利用者20を各エリア10に配置する実施配置パターン340を作成し、
利用者情報収集部120は、利用者配置部130から取得した実施配置パターン340に基づいて、移動指示341を生成し、この移動指示341を、移動対象となる利用者の20に携帯端末50に送信する、
建物環境制御システム1。」
4 甲4ついて
甲4には、以下の記載がある。
「[0009] 第2の態様において、制御部(30)は、外気処理装置(10)の総風量を増加させる場合に、負荷率が相対的に高い室内ユニット(22)が設けられた対象空間(SP1,SP2)に対する風量を優先的に増加させる。この制御部(30)の動作により、各室内ユニット(22)の負荷率のばらつきが低減され、空調システム(100)の消費電力が低減される。」
5 甲5ついて
甲5には、以下の記載がある。
「【0009】
この発明によれば、隣接する空調対象空間の実測環境値の差が所定値以内であれば、隣接する空調対象空間を統合し、統合された空調対象空間において統合実測環境値と設定環境値とに基づき各室内機の出力を計算するようにしているので、室内機の出力ばらつきを低減させることができるため、室内機の運転効率が向上し、省エネ効果が得られる。」
6 甲6ついて
甲6には、以下の記載がある。
「【0054】
冷媒系統1が高負荷と判定されてS10に進んだ場合、現在の負荷状態が式(8)を満たすかどうかを判断し、満たしていれば、冷媒系統1に運転を集約する系統集約運転を行う。一方、冷媒系統2が高負荷と判定されてS18に進んだ場合、現在の負荷状態が式(9)を満たすかどうかを判断し、満たしていれば冷媒系統2に運転を集約する系統集約運転を行う(S19)。
【0055】
F0_1×V1≧Q1+Q2・・・・・(8)
F0_2×V2≧Q1+Q2・・・・・(9)」
7 甲7ついて
甲7には、以下の記載がある。
「【0022】
(S3)
コントローラー200は、運転容量FA+FBが、最大運転容量Fmax以下であるか否かを判定する。その判定の結果、運転容量FA+FBが、最大運転容量Fmax以下である場合、ステップS4へ進む。一方、運転容量FA+FBが、最大運転容量Fmaxを超える場合、コントローラー200は、圧縮機6a又は6bのいずれか一方を、運転容量FA+FBによって駆動できないと判断し、ステップS2へ戻る。
【0023】
(S4)
コントローラー200は、圧縮機6aの系統であり温調エリア100の空調動作を実施している室内機3a、及び、圧縮機6bの系統であり温調エリア100の空調動作を実施している室内機3bのアドレスを、図5で示されるような、記憶装置に記憶させている各室内機のアドレスに基づいて確認する。ここでは、アドレスが小さい室内機を優先的に運転させるものとする。そして、コントローラー200は、室内機3aのアドレスが室内機3bのアドレスよりも大きいと判定した場合、ステップS5へ進み、室内機3aのアドレスが室内機3bのアドレスよりも小さいと判定した場合、ステップS8へ進む。また、図5で示されるように、室内機3cが接続された系統が存在する場合においても、室外機1c及び室内機3cが運転していないため、判定の対象外となる。
なお、上記のようにアドレスが小さい室内機を優先的に運転させるものとしているが、これに限定されるものではなく、アドレスが大きい室内機を優先的に運転させるものとしてもよく、あるいは、アドレスについて所定の条件を満たすものを優先的に運転させるものとしてもよい。」
8 甲8ついて
甲8には、以下の記載がある。
「【0052】
図9は、本発明の一実施の形態の空気調和システムにおける制御フローを示す図である。
まず、目標室内温度Ta_tgtと目標室内湿度RH_tgtとを設定して冷房運転を開始する(S1)。そして、外気温度Ta_o、外気湿度RH_o、室内温度Ta_i及び室内湿度RH_iを検出し、更に在室人数Nを検出する(S2)。続いて、空調負荷(外気全熱負荷、外気顕熱負荷、室内全熱負荷、室内顕熱負荷、貫流負荷)を計算し、上記(9)式より顕熱比SHFmaxを計算する(S3)。そして、顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgt[℃]と、目標室内湿度RH_tgt[%]とから上述のようにして最大蒸発温度Te_maxを計算する(S4)。」
「【0054】
ステップS7において外気温湿度、在室人数及び目標温湿度変更の何れも変化又は変更されていなければ、運転終了かどうか判断し(S8)、運転終了でない場合はS5に戻って、再び温度差ΔTを算出し、温度差ΔTから上記の式(1)により目標蒸発温度Teを計算する(S5)。このとき、冷凍サイクルの運転によって温度差ΔTが減少していれば、上述したように目標蒸発温度Teを、図5に従って現状より高い温度に設定する。なお、ステップS8において運転終了と判断されれば、運転を終了する(S9)。」
9 甲9ついて
甲9には、以下の記載がある。
「[0047] 圧縮機12の現在の運転周波数Fiが、圧縮機12の運転効率が最大となる周波数Fi0より低い場合(S-3;yes)、集中コントローラ102は、目標吹出温度の設定値を増加させ、変更した目標吹出温度の設定値の情報を圧縮機周波数制御手段51へ送信する(S-4)。これにより、圧縮機周波数制御手段51は、変更された目標吹出温度の設定値に基づき、圧縮機22の運転周波数を制御する。」
10 甲10ついて
甲10には、以下の記載がある。
「【0004】
第1発明に係る設備制御システムは、存否判定部、設備機器、第1情報保持部、および設備制御部を備える。存否判定部は、単位空間に仮想分割された居室空間において単位空間それぞれについて移動可能体が存在するか否かを判定する。なお、ここにいう「単位空間」には、複数の移動可能体が存在可能である。また、ここにいう「移動可能体」とは、例えば、人間や人間に携帯されている情報端末機などである。また、居室空間の仮想分割は、複数の移動体検知センサ(人検知センサなど)の検知範囲を調節することにより行われてもよいし、カメラからの撮影画像を分割することによって行われてもよいし、居室空間を座標化してその座標を分割することによって行われてもよい。また、設備機器が空気調和装置である場合、空気調和装置の空調範囲(空調能力)により単位空間の大きさを決定してもよい(つまり、空調範囲(空調能力)が高い場合は単位空間を大きく設定し、空調範囲(空調能力)が低い場合は単位空間を小さく設定する)。また、移動可能体が単位空間に存在するか否かについては、移動体検知センサを利用してもよいし、撮影画像の変化を利用して判定してもよいし、移動可能体が携帯している発信器あるいは受信器の位置を三辺測量法により特定することによって判定してもよいし、移動可能体が携帯している発信器の位置を電波強度を利用して特定してもよい。設備機器は、単位空間それぞれに対応して設置される。なお、ここにいう「設備機器」は、例えば、空気調和装置や照明装置などである。また、ここにいう「空気調和装置」は、例えば、冷房装置、暖房装置、除湿器、加湿器、換気装置、および空気清浄装置などである。第1情報保持部には、移動可能体関連情報が保持される。なお、ここにいう「移動可能体関連情報」とは、移動可能体に関する情報であり、例えば、移動可能体の嗜好情報などである。また、ここにいう「嗜好情報」とは、例えば、設備機器が空気調和装置である場合、移動可能体(人間)が好む設定温度や、設定湿度、風向、風量、空気清浄レベル、二酸化炭素濃度などであり、設備機器が照明装置である場合、移動可能体(人間)が好む明るさや色調などである。また、この移動可能体関連情報は、移動可能体の携帯端末に自己識別情報が記憶されていない場合にはその携帯端末に記憶され、移動可能体の携帯端末に自己識別情報が記憶されている場合には情報管理サーバ等に記憶される。設備制御部は、第1単位空間に対応する設備機器に対して第1制御を行う。なお、ここにいう「第1単位空間」とは、存否判定部において移動可能体が存在していると判定された単位空間である。また、ここにいう「第1制御」とは、移動可能体関連情報を利用した制御である。」
11 甲11ついて
甲11には、以下の記載がある。
「[0054] 図2Aおよび図2Bに示すように、確率マップは、温度と相対湿度など空間の環境因子の値の組合せに対して、個人が「快適」と感じる確率(快適確率)を、個人ごとに、環境因子の複数の組合せに対して示す情報である。多くの場合、確率マップは個人ごとに異なっている。例えば、ユーザ101確率マップが、温度22度、湿度50%、風量が0.2メートル/秒の場合に、95%の快適確率を示す場合、ユーザ101は、95%の確率で「快適」と感じ、5%の確率で「快適」と感じないことを示している。」
「[0058] ここで、例えば、管理部125は、ユーザが快適に感じる確率と消費エネルギーとに関する条件を満たす環境パラメータとして、ユーザ101の快適確率が、対応する確率マップの所定の確率範囲内で、かつ、エアコン103を含む消費エネルギーの評価対象の機器によって消費されるエネルギーが最も少なくなるという条件を満たす環境パラメータを決定するとしてもよい。ここで、消費エネルギーの評価対象の機器の機器には、エアコン103を含む環境制御機器の他に、空間1の環境因子の値が機器のエネルギー消費に影響がある機器が含まれる。」
「[0092] 図7Aおよび図7Bは、確率マップを用いた省エネ制御方法の一例を説明するための図である。図7Bには、受付部121が受け付けたユーザ識別情報により識別されるユーザに対応する確率マップの一例が示されており、図7Aには、例えば温度20℃における確率マップすなわち、温度20℃における相対湿度に対するユーザの快適確率の分布の例が示されている。レベル1、レベル2およびレベル3は、ユーザが許容する快適確率の下限値を決める指標である。」
「[0114] また、本実施の形態では、保持部124に、ユーザごとに1つの確率マップを保持する場合について説明したが、それに限らない。保持部124は、ユーザごとに複数の確率マップを保持するとしてもよい。例えば、確率マップ生成部123によって季節ごとの、さらには、時間帯ごとの確率マップが生成され、確率マップの適用時期を示す情報と共に保持部124に保持されるとしてもよい。」
第5 当審の判断
1 申立理由1-1(甲1に基づく拡大先願)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)「施設(10)の利用者(U1,U2,・・・)に、前記施設内の複数のエリア(A1,A2,・・・)の中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、」について
甲1発明の「対象エリア30」は「4つのエリア31に分けられており」、「空気調和機10A」と「空気調和機10B」によって「空調制御が行われ」るのであるから、何らかの「施設内の複数のエリア」であるといえ、甲1発明の「高密度エリアにいる人」は、「施設の利用者」であるといえる。
また、甲1発明は「高密度エリアにいる人に、移動先エリアを通知する」ものであって、この「移動先エリア」は、「高密度エリアにいる人」がそのエリアを利用することで、甲1の[0005]に記載された「複数の空気調和機全体で見た場合における効率を高くできるようにする」という目的が達成されるのであるから、「高密度エリアにいる人」が利用すべきエリアといえる。
そうすると、甲1発明と本件発明1とは、「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システム」である点で共通する。
(イ)「1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続される第1空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、」について
甲1発明の「室外機11A」、「室内機12A1及び室内機12A2」、「空気調和機10A」は、本件発明1の「熱源ユニット」、「複数の利用ユニット」、「第1空調システム」にそれぞれ対応する。(又は、甲1発明の「室外機11B」、「室内機12B1及び室内機12B2」、「空気調和機10B」は、本件発明1の「熱源ユニット」、「複数の利用ユニット」、「第1空調システム」にそれぞれ対応する。)
そして、甲1発明の「室外機11Aに、室内機12A1及び室内機12A2が接続される空気調和機10A」は、「エリア31Aには室内機12A1が設置され、エリア31Bには室内機12A2が設置され」ており、「エリア31A」と「エリア31B」の空調制御を行うものである。(又は、「室外機11Bに、室内機12B1及び室内機12B2が接続される空気調和機10B」は、「エリア31Cには室内機12B1が設置され、エリア31Dには室内機12B2が設置され」ており、「エリア31C」と「エリア31D」の空調制御を行うものである。)
そうすると、甲1発明と本件発明1とは、「1つの熱源ユニットに複数の利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され」る点で共通する。
(ウ)「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)を備え、」について
甲1発明の「ストレージ23に記憶されて」いる「エリア31と室内機12との対応関係」は、室内機12とエリア31とを紐付ける情報といえるから、本件発明1の「前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報」に相当する。
また、本件発明1の「制御部(110)」に対応する甲1発明の「空間制御装置20」は、「高密度エリアに対応する空気調和機10とは異なる空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導するために、移動先エリアを通知する」のであるから、通知された「高密度エリアにいる人」が移動することによって、「高密度エリアに対応する空気調和機10」にかかる負荷が下がり、「高密度エリアに対応する空気調和機10」の消費電力量が小さくなることは自明であり、その際、「エリア31と室内機12との対応関係」を利用することは明らかである。
そうすると、甲1発明と本件発明1とは、「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部を備え」る点で共通する。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、
1つの熱源ユニットに複数の利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部を備える、
エリア通知システム。」
[相違点1]
本件発明1の「制御部」は、「前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」のに対し、甲1発明の「空間制御装置20」は、「空気調和機10の負荷率」に基づいて「移動先エリア」を決定して通知するものの、「室内機12」の「処理負荷の平準化の程度が大きくなるように」、「移動先エリア」を決定するものではない点。
イ 判断
(ア)検討
[相違点1]について検討する。
甲1発明は、「複数のエリア31それぞれに対応する空気調和機10の負荷率を特定し、負荷率に基づき決定された空気調和機10に対応するエリア31であって、高密度エリアに対応する空気調和機10とは異なる空気調和機10に対応するエリア31に、高密度エリアにいる一部の人を誘導するために、移動先エリアを通知する」ものであり、例えば、甲1の[0042]及び[0043]に、「空気調和機10A」に対応する「エリア31A及びエリア31Bが移動元エリアになり」、「空気調和機10B」に対応する「エリア31C及びエリア31Dが移動先エリアになる」ことが記載されているように、「異なる空気調和機10に対応するエリア」に人を移動させることで、複数の空気調和機全体で見た場合における効率を高くするものであって、「室内機12」の「処理負荷の平準化の程度」を何ら考慮するものではない。
すなわち、甲1発明は、「空気調和機10の負荷率に応じて移動先エリアを特定するので、負荷率が平準化され」るものの、この負荷率の平準化は、複数の異なる空気調和機10A、10B間の負荷率を平準化するものであって、一の空気調和機10A内の複数の室内機12A1、12A2間の負荷率を平準化するものではない。
そうすると、本件発明1と甲1発明とには[相違点1]が存在し、当該[相違点1]は、当業者にとって、甲1の当初明細書等に記載されているに等しい技術事項であるということもできないので、本件発明1は、甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(イ)異議申立人の主張について
[相違点1]に関して、異議申立人は、甲1には、「各空気調和機10の負荷率の平均値を用いれば、平均値よりも負荷率が低い空気調和機10は存在するので、移動先エリアを特定することが可能になる。その結果、負荷率が平準化され、複数の空気調和機10全体で見た場合に、効率化できる可能性がある」ことが記載されており、「負荷率の平準化」は、本件発明1の「処理負荷の平準化」に相当するものであるから、甲1には、本件発明1の「前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」ことが記載されている旨主張する(異議申立書 46頁下段~47頁中段)。
しかしながら、上記(ア)で検討したとおり、甲1には、「各空気調和機10」の「負荷率を平準化」することは記載されているものの、「室内機12」の「負荷率を平準化」することは何ら記載されていないから、異議申立人の主張は採用できない。
(2) 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1を限定した発明であるから、上記(1)ア及び(1)イのとおり、本件発明1が、甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない以上、同様に、本件発明2-3も甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(3) 本件発明4について
本件発明4は、「複数の空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数の空調システムを利用する場合に、前記複数の空調システムのそれぞれの消費電力量の合計が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)」を備え、「前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する、エリア通知システム(100)」の発明であり、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]に係る構成を有する発明である。
そうすると、本件発明1と同様に、本件発明4と甲1発明とには、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]が存在し、当該[相違点1]は、当業者にとって、甲1の当初明細書等に記載されているに等しい技術事項であるということもできないので、本件発明4は、甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(4) 本件発明5-7、9、16について
本件発明5-7、9、16は、本件発明4を限定した発明であるから、上記(3)のとおり、本件発明4が、甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない以上、同様に、本件発明5-7、9、16も甲1の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
2 申立理由1-2(甲2に基づく拡大先願)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)「施設(10)の利用者(U1,U2,・・・)に、前記施設内の複数のエリア(A1,A2,・・・)の中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、」について
甲2発明の「オフィスビル等の建物の内部の空間である室内空間200」が分割された「エリア1~エリア6の6つのエリア」は、「施設内の複数のエリア」といえる。
また、甲2発明の「誘導装置800」は、「携帯機器860から取得した環境状態に関する情報に基づいて複数のエリアの中から利用者を誘導するのに適したエリアを選択し、選択したエリアに利用者を誘導」したり、「利用者の体調に応じて推奨するエリアを選択し、誘導装置800は推奨するエリアを目立たせるようにして環境状態表示装置700に表示する」のであるから、「施設の利用者に、前記利用者が利用すべきエリアを通知する」ものといえる。
そうすると、甲2発明と本件発明1とは、「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システム」である点で共通する。
(イ)「1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続される第1空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、」について
甲2発明の「上段の室外機400」、「エリア1の室内機300、エリア3の室内機300及びエリア5の室内機300」、これらの室外機400と室内機300をまとめたものは、本件発明1の「熱源ユニット」、「複数の利用ユニット」、「第1空調システム」にそれぞれ対応する。(又は、甲2発明の「下段の室外機400」、「エリア2の室内機300、エリア4の室内機300及びエリア6の室内機300」、これらの室外機400と室内機300をまとめたものは、本件発明1の「熱源ユニット」、「複数の利用ユニット」、「第1空調システム」にそれぞれ対応する。)
また、甲2発明は、「室内機300と室外機400により各エリアの環境状態(温度及び湿度)が保たれ」るものであるから、「室内機300と室外機400」を用いて、複数の「エリア」にまたがって空調が行われているといえる。
そうすると、甲2発明と本件発明1とは、「1つの熱源ユニットに複数の利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され」る点で共通する。
(ウ)「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)を備え、」について
上記(ア)で検討したように、甲2発明の「誘導装置800」は、「施設の利用者に、前記利用者が利用すべきエリアを通知する」ものであるから、本件発明1の「制御部(110)」に対応している。また、甲2発明の「誘導装置800」が通知するエリアを選択する際に、「エリア1~6」と「室内機300」とを紐付ける設置情報を利用することは明らかである。
そうすると、甲2発明と本件発明1とは、「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1エリアを通知する制御部を備え」る点で共通する。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、
1つの熱源ユニットに複数の利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1エリアを通知する制御部を備える、
エリア通知システム」
[相違点1]
本件発明1の「制御部」は、「前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する」のに対し、甲2発明の「誘導装置800」は、「利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)」や「利用者の体調」に基づいて「エリア」通知するものであり、「室内機300と室外機400」の消費電力量が小さくなるように、「エリア」を通知するものではない点。
[相違点2]
本件発明1の「制御部」は、「前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」のに対し、甲2発明の「誘導装置800」は、「室内機300」の「処理負荷の平準化の程度が大きくなるように」、「エリア」を決定するものではない点。
イ 判断
(ア)検討
[相違点1]及び[相違点2]について検討する。
甲2発明は、「利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)」や「利用者の体調」に基づいて「エリア」通知するもので、例えば、人数が多いエリアが利用者の好みの温度である場合や人数が多いエリアが利用者の体調に適している場合、利用者が通知されたエリアへ移動することで、そのエリアの人数がより多くなるものであり、「室外機400」とそれに接続された「室内機300」の合計の「消費電力量」や、「室内機300」の「処理負荷の平準化の程度」を何ら考慮するものではない。
そうすると、本件発明1と甲2発明とには、[相違点1]及び[相違点2]が存在し、これらの相違点は、当業者にとって、甲2の当初明細書等に記載されているに等しい技術事項であるということもできないので、本件発明1は、甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(イ)異議申立人の主張について
[相違点1]及び[相違点2]に関して、異議申立人は、甲2の[0003]、[0005]、[0017]、[0046]には、「各エリアの利用状況に基づいて複数のエリアのうちのいずれかのエリアの環境状態を変化させ、利用者数が少ないエリアの環境状態を変化させて各エリアの利用者数を均一化することで環境負荷を効率的に抑制することができること」が記載されており、「環境負荷を効率的に抑制することは消費電力量が小さくなるようにすることに相当」し、「各エリアの利用者数を均一化することは各エリアの処理負荷を平準化することに相当する」ものであり、更に、甲2の[0069]、[0073]には、「誘導装置800が、利用者を誘導するのに適したエリアを選択し、選択したエリアに利用者を誘導し、推奨するエリアを目立たせるようにして環境状態表示装置700に表示すること」が記載されているから、[相違点1]及び[相違点2]に係る構成が記載されている旨、主張する(異議申立書 48頁中段~49頁中段)。
しかしながら、甲2の[0003]、[0005]、[0017]、[0046]の記載に対応する実施の形態1は、「各エリアの利用者数を均一化することで、環境負荷を効率的に抑制する」ことを目的としているものの、「利用が少ないエリアの環境状態を利用が多いエリアの環境状態に変化させ、また、環境状態管理装置100は、エリアごとの環境状態を表示する環境状態表示装置700において、環境状態を変化させたエリアの環境状態表示装置700における表示を変更」し、利用者は、「環境状態表示装置700」に表示された「エリアごとの環境状態」を見て、自ら利用するエリアを選択するものであり、「環境状態管理装置100」や「誘導装置800」が、利用者が利用すべきエリア(本件発明1の「第1エリア」)を決定し、通知するものではない。
また、甲2の[0069]、[0073]の記載に対応する実施の形態3、実施の形態4は、「利用者の好みの環境状態(例えば好みの温度、湿度等)」や「利用者の体調」に基づいて「エリア」通知するものであり、「室内機300と室外機400」の消費電力量が小さくなるように、利用者が利用すべきエリアを通知したり、「各エリアの利用者数を均一化」させるために、利用者が利用すべきエリアを決定するものではない。
してみれば、甲2には、[相違点1]及び[相違点2]に係る構成が記載されているとはいえないから、異議申立人の主張は採用できない。
(2) 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を限定した発明であるから、上記(1)ア及び(1)イのとおり、本件発明1が、甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない以上、同様に、本件発明2も甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(3) 本件発明4について
本件発明4は、「複数の空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数の空調システムを利用する場合に、前記複数の空調システムのそれぞれの消費電力量の合計が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)」を備え、「前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する、エリア通知システム(100)」の発明であり、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]及び[相違点2]に係る構成を有する発明である。
そうすると、本件発明1と同様に、本件発明4と甲2発明とには、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]及び[相違点2]が存在し、これらの相違点は、当業者にとって、甲2の当初明細書等に記載されているに等しい技術事項であるということもできないので、本件発明4は、甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
(4) 本件発明5、10について
本件発明5、10は、本件発明4を限定した発明であるから、上記(3)のとおり、本件発明4が、甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない以上、同様に、本件発明5、10も甲2の当初明細書等に記載された発明であるということはできない。
3 申立理由2(進歩性)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
(ア)「施設(10)の利用者(U1,U2,・・・)に、前記施設内の複数のエリア(A1,A2,・・・)の中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、」について
甲3発明の「オフィスビル等の建物2のワークプレイス」が区分された「エリア11、12、13、14」は、「施設内の複数のエリア」といえる。
また、甲3発明の「建物環境制御システム1」は、「利用者21から33が利用するエリアを割り当て」るものであり、「環境制御サーバ100」の「利用者情報収集部120」は、「移動指示341を、移動対象となる利用者の20に携帯端末50に送信する」のであるから、「施設の利用者に、前記利用者が利用すべきエリアを通知する」ものといえる。
そうすると、甲3発明と本件発明1とは、「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システム」である点で共通する。
(イ)「1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続される第1空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、」について
甲3発明の「エリア11、12、13、14の各エリア」に設置された「空調設備」は、本件発明1の「利用ユニット」に相当するところ、甲3発明は、各エリアに設置された「空調設備」からなる空調システムを用いて各エリアにまたがって空調を行うものであるから、甲3発明は「第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され」るものである。また、「空調設備」が室外機等の「熱源ユニット」に接続されていることは技術常識である。
そうすると、甲3発明と本件発明1とは、「熱源ユニットに利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され」る点で共通する。
(ウ)「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)を備え、」について
上記(ア)で検討したように、甲3発明の「環境制御サーバ100」は、「施設の利用者に、前記利用者が利用すべきエリアを通知する」ものであるから、本件発明1の「制御部(110)」に対応している。また、甲3発明の「環境制御サーバ100」が備える「記憶部160」に記憶された「設備情報180」は、「空調設備の設備名」又は「ID情報(空調設備ID)」と「エリア11、12、13、14」を対応付けるものであるから、「空調設備」と「エリア」とを紐づける情報といえ、「利用者20を各エリア10に配置する実施配置パターン340」を作成するために、「設備情報180」を利用することは明らかである。
また、甲3発明は、「利用者21が指定されたエリアに移動した後、利用者の不在エリアとなるAエリア11の空調設備をOFF(停止状態)にする」のであるから、消費電力量が小さくなるように、「利用すべきエリアを通知」するものといえる。
そうすると、甲3発明と本件発明1とは、「前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部を備え」る点で共通する。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、本件発明1と甲3発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「施設の利用者に、前記施設内の複数のエリアの中から、前記利用者が利用すべき第1エリアを通知するエリア通知システムであって、
熱源ユニットに利用ユニットが接続される第1空調システムを用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数のエリアのそれぞれに前記利用ユニットが設置され、前記第1空調システムを利用する場合に、前記利用ユニットと前記エリアとを紐づける設置情報に基づいて、前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部を備える、
エリア通知システム」
[相違点1]
本件発明1は、「1つの熱源ユニット(21)に複数の利用ユニット(23)が接続される第1空調システム(20)」を用いるのに対し、甲3発明の各エリアに設置されている「空調設備」は、室外機等の「熱源ユニット」に接続されていることは自明であるものの、「1つの熱源ユニット」に「複数の空調設備」が接続されているか不明である点。
[相違点2]
本件発明1の「制御部」は、「前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」のに対し、甲3発明の「環境制御サーバ100」は、「空調設備」の「処理負荷の平準化の程度が大きくなるように」、「エリア」を決定するものではない点。
イ 判断
(ア)検討
事案に鑑み[相違点2]について検討する。
[相違点2]に係る本件発明1の「前記第1エリア」とは、「利用者が利用すべき第1エリア」であるところ、甲4-甲11は、いずれも「利用者が利用すべき第1エリア」を決定することで、「利用ユニットの処理負荷を平準化」させるものではなく、[相違点2]を容易想到とする根拠となりうる技術的事項を開示するものではない。
そうすると、甲3発明に、甲4-甲11に記載された技術的事項を適用できたとしても、[相違点2]の構成には至らないし、ほかに[相違点2]に係る構成が周知技術であったということもできないから、甲3発明において、[相違点2]に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
(イ)異議申立人の主張について
[相違点2]に関して、異議申立人は、甲4、甲5を提出して、「室内機の処理負荷を平準化することによって消費電力を抑制することは当業者の技術常識であり周知の事項」であり、「甲3発明において消費電力抑制するために処理負荷平準化することは当業者が容易に想到し得たことである」旨、主張する(異議申立書 51頁中段~51頁下段)。
しかしながら、甲4、甲5は、(ア)で示したように、「利用者が利用すべき第1エリア」を決定することで、「利用ユニットの処理負荷を平準化」させるものではないし、仮に、「室内機の処理負荷を平準化することによって消費電力を抑制すること」が周知技術であったとしても、甲3発明は、「利用者の不在エリアとなるAエリア11の空調設備をOFF(停止状態)にする」ことで消費電力を抑制するものであるから、むしろ「室内機」の処理負荷の平準化に反する制御を行うものである。このような制御を行う甲3発明において、「室内機」の処理負荷を平準化するように変更することの動機付けを見いだすことはできないから、甲3発明において、[相違点2]に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
(2) 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1を限定した発明であるから、甲3発明と対比すると、少なくとも、上記(1)アの[相違点2]を有するところ、本件発明1が上記(1)イのとおり、甲3発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2、3も甲3発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 本件発明4について
本件発明4は、「複数の空調システム(20)を用いて前記複数のエリアにまたがって空調が行われる前記施設において、前記複数の空調システムを利用する場合に、前記複数の空調システムのそれぞれの消費電力量の合計が小さくなるように、前記第1エリアを通知する制御部(110)」を備え、「前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する、エリア通知システム(100)」の発明であり、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]及び[相違点2]に係る構成を有する発明である。
そうすると、本件発明1と同様に、本件発明4と甲3発明とには、上記(1)ア及び(1)イで検討した[相違点1]及び[相違点2]が存在し、少なくとも当該[相違点2]は、当業者であっても容易に想到し得るものではないので、本件発明4は、甲3発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4) 本件発明5-16について
本件発明5-16は、本件発明4を限定した発明であるから、本件発明1が上記(1)イのとおり、甲3発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明5-16も甲3発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 申立理由3(サポート要件)について
異議申立人は、本件発明1、2、4-16は、「前記制御部は、前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」ものであるが、「平準化前の各利用ユニットの運転状態が特定されておらず、平準化前の運転状態によっては、利用ユニットを平準化しても、消費電力量が増大するケース」があり、課題を解決できない範囲を含んでいる旨、主張する(異議申立書 67頁上段~69頁上段)。
しかしながら、本件発明1、2、4-16の「制御部」は、「前記第1空調システムの消費電力量が小さくなるように、前記第1エリアを通知する」又は「前記複数の空調システムのそれぞれの消費電力量の合計が小さくなるように、前記第1エリアを通知する」ものであり、当該「制御部」が、「前記複数のエリアのそれぞれに設置される前記利用ユニットの処理負荷の平準化の程度が大きくなるように、前記第1エリアを決定する」ものであるから、本件発明1、2、4-16は、「制御部」が、「消費電力量が増大する」ように「第1エリアを決定する」構成を含んでいない。
そして、本件発明1、2、4-16の「制御部」については、発明の詳細な説明の段落【0097】~【0110】、【0119】~【0130】に記載されているから、異議申立人の上記主張は採用できない。
5 申立理由4(明確性)について
異議申立人は、本件発明1、2、4-16は、「制御判断基準として具体的な運転状態の特定が無いこと(平準化対象の利用ユニットが全てなのか一部なのかが特定されていないこと)、または、空調システムの定格能力の特定がされていないことにより、平準化前の運転状態によっては消費電力量が増大してしまう」ことを示した上で、「制御判断基準として具体的な運転状態の特定が無いこと(平準化対象の利用ユニットが全てなのか一部なのかが特定されていないこと)、または、空調システムの定格能力の特定がされていないことは明確でない」ため、本件発明1、2、4-16の記載は不明確である、旨主張する(異議申立書 68頁下段~69頁中段)。
しかしながら、上記4で検討したように、本件発明1、2、4-16は、「制御部」が、「消費電力量が増大する」ように、「第1エリアを決定する」構成を含んでいないものであるから、「具体的な運転状態の特定が無い」ことや、「空調システムの定格能力が特定されていないこと」により、「平準化前の運転状態によっては消費電力が増大してしまうもの」ではない。
そして、本件発明1、2、4-16の「制御部」についての記載は、その意味を明確に理解することができ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといえるものではない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700347