特許異議申立
2024-700328
行動変容のための認知的刺激を生成する装置、モデル及び刺激情報生成・提示方法
- 審判番号
- 2024-700328
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-124233
- 登録番号
- 7361667
- 請求日
- 2024年04月10日
- 審決日
- 2024年07月04日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】KDDI株式会社
- 【権利者代理人】早原 茂樹
- 【権利者代理人】辰巳 富彦
- 【異議申立人】松本 文彦
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 安井 雅史
- 分類
- P1652.113-Y (G16H) / P1652.121-Y (G16H) / P1652.537-Y (G16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7361667号発明「行動変容のための認知的刺激を生成する装置、モデル及び刺激情報生成・提示方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7361667号の請求項1~3、7、9及び10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7361667号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和2年7月21日に出願したものであって、令和5年8月30日に手続補正がされ、同年10月5日にその特許権の設定登録がされ、同年10月16日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~3、7、9及び10に係る特許に対し、令和6年4月10日に特許異議申立人 松本文彦(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~3、7、9及び10に係る発明(以下、それぞれの発明について、「本件発明1」、「本件発明2」などといい、併せて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~3、7、9及び10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、各請求項に記載された「A」~「D」などは、異議申立人が異議申立書で付与したものであり、本決定において、それぞれ「構成A」~「構成D」などという。
「【請求項1】
A 所定の対象に対し、当該対象の目標に応じた行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報を生成する装置であって、
B 当該対象の精神・心理状態、思考・行動傾向、又は性格特徴に係る情報である内面情報を取得する内面情報取得手段と、
C 構築された認知的刺激生成モデルに対し、当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該内面情報に係るデータとを入力し、当該認知的刺激生成モデルの出力から、当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成する認知的刺激生成手段と
を有し、
D 当該認知的刺激生成モデルは、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とする刺激情報生成装置。
【請求項2】
E 構築された目標情報推定モデルに対し、当該対象の行動若しくは状態を検出して得られた情報である行動・状態情報、及び当該対象による所定の装置の操作若しくは使用に係る情報である操作・使用情報のいずれか一方又は両方に係るデータと、当該内面情報に係るデータとを入力し、当該目標情報推定モデルの出力から、当該対象の目標に係る目標情報を推定する目標情報推定手段を更に有し、
当該目標情報推定モデルは、当該行動・状態情報及び当該操作・使用情報のいずれか一方又は両方、当該内面情報、並びに正解としての当該目標情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該目標情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載の刺激情報生成装置。
【請求項3】
F 前記目標情報推定手段は、当該対象の目標であって、その達成のために当該対象に対し刺激を提示すべき目標に係る目標情報に係るデータを正解として含む教師データを用いて構築された当該目標情報推定モデルの出力から、その達成のために当該対象に対し刺激を提示すべき目標に係る目標情報を推定することを特徴とする請求項2に記載の刺激情報生成装置。
【請求項7】
G 前記内面情報取得手段は、構築された内面情報推定モデルに対し、当該対象の行動若しくは状態を検出して得られた情報である行動・状態情報、及び当該対象による所定の装置の操作若しくは使用に係る情報である操作・使用情報のいずれか一方又は両方に係るデータを入力し、当該内面情報推定モデルの出力から、当該内面情報を推定して取得し、
H 当該内面情報推定モデルは、当該行動・状態情報及び当該操作・使用情報のいずれか一方又は両方、並びに正解としての当該内面情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該内面情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の刺激情報生成装置。
【請求項9】
I 所定の対象に対し、当該対象の目標に応じた行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報を生成可能なコンピュータを機能させる認知的刺激生成モデルであって、
J 少なくとも当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該対象の精神・心理状態、思考・行動傾向、又は性格特徴に係る情報である、取得された内面情報に係るデータとを入力とし、当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報に係るデータを出力するように、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築されたことを特徴とする認知的刺激生成モデル。
【請求項10】
K 所定の対象に対し、当該対象の目標に応じた行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報を生成可能なコンピュータにおける方法であって、
L 構築された認知的刺激生成モデルに対し、当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該対象の精神・心理状態、思考・行動傾向、又は性格特徴に係る情報である、取得された内面情報に係るデータとを入力し、当該認知的刺激生成モデルの出力から、当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成するステップと、
M 当該認知的刺激情報又は当該認知的刺激情報に対応する情報を所定の又は前もって決定されたタイミングで提示させるステップと
を有し、
N 当該認知的刺激生成モデルは、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とする刺激情報生成・提示方法。」
第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):米国特許出願公開第2019/0189025号明細書
甲第2号証(甲2):国際公開第2020/136217号
甲第3号証(甲3):特許第6719788号公報
甲第4号証(甲4):特表2018-512607号公報
甲第5号証(甲5):国際公開第2019/065688号
2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。
(1) 理由1(新規性)
本件発明1、9及び10は、甲1又は甲2に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、本件特許は、同条同項の規定に違反してされたものである。
(2) 理由2(進歩性)
本件発明は、甲1~甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。なお、より具体的には以下のとおりである。
ア 本件発明1、9及び10は、甲1又は甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲3あるいは甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明3は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲4あるいは甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 理由3(明確性)
本件発明3は、明確であるとはいえないから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
異議申立人の提出した証拠には以下の記載がある(下線は当審において加筆した。なお、外国語文献の訳文は異議申立人が提出した訳を採用した。以下同じ。)。
1 甲1について
甲1には、以下の記載がある。
「[0011] 本発明の実施形態は、人工知能と行動分析学とを組み合わせて、所望の健康目標または生活目標を達成するための行動変容を誘発するために、適切なタイミングで適切なコンテキスト介入を用いて個人の注意を引く。・・・」
「[0017] ・・・行動変容モジュール120は、提供すべき適切な介入と、介入のための適切な時間と発生頻度を決定する。・・・」
「[0023] 図2Bを参照すると、個人またはユーザ200は、様々なデータソース285に情報を提供することができる(例えば、コンテキストおよび行動のモニタリングのためなど)。提供された情報は、行動変容を誘導するためのある種の刺激(例えば、介入に由来する)に対する個人による応答を反映することがある。データソースとしては、個人の様々な生理学的状態(例えば、脈拍または心拍数、活動、移動距離、血圧、体温、発話の不明瞭さ、人が座っている時間または他の方法で活動していない時間など)を測定するための1つまたは複数のセンサを有するウェアラブルデバイス、個人に関する様々な情報(例えば、好み、個人情報、個人または他の連絡先、イベントまたは予定のスケジュール、他人とのコミュニケーション、発話および/または滑舌など)を提供する携帯型コンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)、個人の画像(例えば、表情など)を取り込む画像取り込みデバイスまたはカメラ、個人に関連する社会的または他の情報(例えば、個人の好み、社会的または他の連絡先、個人による投稿など)を提供するソーシャルメディアまたは他のネットワークサイトを含む。データソースからの情報は、処理のために行動変容モジュール120に提供される。
[0024] 行動変容モジュール120は、精神状態検出エンジン205、活動検出エンジン215、コンテキスト検出エンジン225、および行動変容エンジン130を含む。精神状態検出エンジンは、データソース285からの情報を分析し、個人の感情を経時的に決定する。精神状態検出エンジン255は、個人が現在どのような感情を経験しているかを推定または決定するために、任意の技術を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態は、心拍変動(または脈拍)、動作分析、および発話頻度の組み合わせに基づいて、個人の感情を決定する。さらに、個人の感情は、テキスト情報から把握および/または精緻化されてもよい。例えば、自然言語処理(NLP)技術は、IBMのWatson Message Sentimentサービスなど、個人のテキスト情報の感情または気分を決定するために、個人からのテキスト情報を分析してもよい。さらに、感情は、個人の表情の画像の画像処理に基づいて決定および/または精緻化されてもよい。
[0025] 活動検出エンジン215は、データソース285からの情報を分析して、個人が経時的に実行した活動(例えば、運動、食事、仕事、娯楽鑑賞、休息など)を決定する。活動は、生理学的測定値(例えば、運動、休息など)、地理空間測定値(例えば、ウェアラブルデバイスに組み込まれた加速度計、GPSセンサなど)、および/またはデータソース285からの他の情報(例えば、現在の活動のソーシャルメディアサイトヘの投稿、他者との通信など)から導出することができる。
[0026] コンテキスト検出エンジン225は、データソース285からの情報を分析し、経時的な個人のコンテキストを決定する。コンテキストは、個人の状況または状態(例えば、個人の1日の時間、個人が従事している活動、個人の特性(例えば、個人の嗜好、バイタルサインおよび他の臨床的特性など)、個人のカレンダーまたはスケジュールに関連する情報など)を示す。
[0027] エンジン205、215、225は、個人の感情、活動、およびコンテキストに関連するリアルタイムの情報を行動変容エンジン130に提供する。行動変容エンジンは、介入タイプ、確信度スコアまたは確率、タイミング(例えば、いつ介入を提供するか)、および介入の発生頻度(例えば、どれくらいの頻度で介入を提供するか)を決定する。
[0028] 行動変容エンジン130は、行動パターン学習エンジン235、行動目標評価エンジン245、および介入エンジン255を含む。本実施形態における行動パターン学習エンジン235は、個人の感情、活動、およびコンテキストを分析し、初期ユーザ行動プロファイル350を生成し、その後、後述するようにそのユーザ行動プロファイルを更新する(図3B)。ユーザ行動プロファイル350は、行が行動要素を表し、列が介入目的を表す表の形式であってもよい。行動要素及び介入目的は、行動変容空間における次元を表すことができる。ユーザ行動プロファイルは、基本的に、ユーザがどのように感じているか、または機能しているかを学習し、介入に対する個人の反応に基づいて、これをユーザ行動プロファイルに表す。」
「[0030] 介入エンジンは、以下に説明するように、個人の感情、活動、およびコンテキスト、行動プロファイル、およびパフォーマンスプロファイルを分析して、個人に適切かつパーソナライズされた介入を決定する。さらに、介入エンジンは、適切な介入をよりよく決定するために、集団情報(または実世界の証拠)265および知識ベース275を利用することができる。集団情報および知識ベースは、好ましくはデータベースシステム118内に存在する。集団情報は、特定の属性(例えば、年齢、地理的位置、目標など)によって定義される様々な集団の個人に関連する情報を含むことができる。・・・」
「[0031] 決定された介入は、アクチュエータまたはデバイス295(例えば、コンピューティングデバイス、ウェアラブルデバイスなど)を介して(例えば、刺激として)個人に提供され、所望の健康目標または生活目標を達成するために所望の行動変容を誘導する。例えば、個人は、所望の健康または生活目標を達成するための所望の行動変容を誘導するために、メッセージ、洞察などの1つまたは複数の人工物(例えば、ウェアラブルデバイス、携帯型または他のコンピューティングデバイス上など)を含む介入を受けることができる。個人は、介入に対する反応またはフィードバック(例えば、ウェアラブルデバイスによって測定された身体的変化、ユーザ提供のフィードバックなど)を提供して、行動変容エンジンが、所望の健康目標または生活目標を達成するための所望の行動変容を達成するために、個人に対する適切かつ成功した介入を学習できるようにすることができる。」
「[0032] ・・・行動変容エンジンは、介入目的(後述の介入にマッピングされる)および信頼スコア(または確率)、タイミング(例えば、いつ介入を提供するか)、介入の発生頻度(例えば、どれくらいの頻度で介入を提供するか)を返す。行動変容エンジンは、様々なユーザデータ315(例えば、データベースシステム118に格納)およびユーザ行動プロファイル350の行動変容フレームワークに予めマッピングされた介入のリポジトリまたはライブラリ280に結合される。例として、ユーザデータは、ユーザ特性(例えば、年齢、性別、目標、職業、行動など)、ユーザ嗜好(例えば、介入評価、ビュー、タイミングなど)、およびユーザ結果(例えば、目標進捗、再発、トリガーされたルールなど)を含むことができる。・・・」
「[0039] 特徴は、ユーザデータ315のような、ユーザに関連する生データから生成される。・・・」
「[0040] 行動モデル305は、(例えば、コンテンツベースの推薦、強化学習などを介して)ユーザの嗜好を学習し、対応するコンテキストに対して対応する時間に提供される各介入目的(および介入)に対する明示的な嗜好スコアを計算する。このスコアは、ある時間帯にコンテキストのために提供された(介入目的の)マッピングされた介入に関するユーザの共有フィードバックを示し、特定の介入に関するユーザフィードバックまたは評価(例えば、サムアップまたはサムダウン、星評価など)に基づいている。明示的な嗜好スコアに対するユーザの反応は、評価やアンケート(例えば、好きな洞察のタイプ、変更されることに関心のある行動、通知される方法など)等、介入に関するユーザからの任意の適切なフィードバックに基づいて測定することができる。
[0041] 一例として、明示的な嗜好スコアは、介入目的に対する肯定的な嗜好(例えば、親指を立てる、星評価が高いなど)を加算し、否定的な嗜好(例えば、親指を立てる、星評価が低いなど)を減算することによって決定することができる。肯定的な嗜好と否定的な嗜好は、重み付けされた方法で組み合わされてもよい(例えば、嗜好に任意の所望の重みを割り当てる)。さらに、明示的な嗜好スコアを決定するために、学習モデルが採用されてもよい(例えば、K最近傍、学習された決定木、行列因数分解、ニューラルネットワークなど)。学習モデルは、肯定的嗜好および否定的嗜好などの入力を受け取り、初期学習セットに基づいて出力として明示的嗜好スコアを提供するように学習される。学習モデルは、新しい嗜好入力に基づいて動的に更新される。」
「[0046] ・・・あるいは、行動変容空間特徴による介入に対してユーザが肯定的な反応を示す確率を予測するために、機械学習が採用されてもよい。機械学習は、任意の学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、ベイズ分類器、深層学習、行列因数分解、k-最近傍など)を採用することができる。学習モデルは、明示的及び暗黙的な嗜好スコア等の入力を受信し、初期訓練セットに基づいて介入に対する肯定的又は否定的なユーザ応答の指標を提供するように訓練されてもよい。言い換えれば、ユーザ行動プロファイルは、学習モデルによって学習される。さらに、ユーザのコンテキスト、感情、および/または他の情報(例えば、集団情報265および/または知識ベース275から)が、学習モデルの入力となり得る。・・・」
「[0048] 決定モデル310は、ユーザ行動プロファイル(ここで、ユーザ行動プロファイルのセルに関連付けられた介入目的は、リポジトリまたはライブラリ280内の介入にマッピングされる)の信念または確率に応じて、介入の目的、タイミング、および介入の発生頻度を決定する。・・・加えて、ユーザのコンテキストが制約として採用されてもよく、および/または他の情報(例えば、母集団情報265および/または知識ベース275からの情報)が使用されてもよく、結果として介入目的(または介入)が決定される。」
「[0051] 行動モデルおよび決定モデルは、当初は単純化されたものであってもよく、その後、時間の経過とともに(例えば、学習、フィードバックなどに基づいて)複雑化または進化する。これらのモデルは、介入について学習し、介入選択を支配する発見的情報を導出するために機械学習機能およびアルゴリズムを使用するWatsonシステム(International Business Machines Corporationにより開発)により実装されてもよい。・・・」
2 甲2について
(1) 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「 本発明は、電気通信分野での応用であり、より具体的には、電気通信ネットワークエンテイティ(例えば、スマートフォンやタブレットなどのモバイルユーザ端末、またはウェアラブルなプログラマブル電子機器用のアプリケーション、コンピュータプログラムなど)におけるツールの展開に関するものである。
より詳細には、本発明は、個人の行動変容を最適化するためのシステムおよび方法に関する。」(1頁8行~12行)
「 本発明の文脈では、「最適な経路」とは、時間の経過とともに提供される潜在的な行動変容アプローチからなるベクトル空間を通じて、各ユーザに対して定義されるアプローチの選択とステップの連結であり、ステップのシーケンスは個人レベルでの行動変容プログラムを構成する。ベクトル空間は、現在および目標とするユーザの行動、潜在的な行動変容アプローチ、および経時的な個々のステップのシーケンスから構成される。最適な経路は、ベクトル空間を含むデータベース上に構築された人工知能システムによって、行動変容プログラムの各ステップを動的に設定することによって定義される。人工知能システムは、入力パラメータとして、ユーザの特性、ユーザの状態、経時的に投与された行動変容ツールに関する情報を受け取る。」(3頁22行~31行)
「 重要なユーザ特性を特定するために、肯定的および否定的な関連性の定量的な推定を可能にする個人構成理論に由来するツール(手動/自動レパートリーグリッドなど)を使用する。さらに、他のユーザに対する過去の試験(行動変容アプローチがユーザに適合し、それらのアプローチの有効性が定量化された)の経験的データの分析が行われる。さらに、強化学習や他の既存のアプローチに基づいて、前述の分析の継続的な適応が行われる。」(4頁6行~13行)
「 本発明の第1の側面は、ユーザの行動変容を最適化するためのコンピュータ実装方法に関し、本方法は、ユーザに対して行動変容目標を設定させ、特定の時点tについて、静的ユーザ特性を問い合わせてユーザ特性ベクトルを生成し、動的ユーザ特性を問い合わせてユーザ現在状態ベクトルを生成する。本方法は、生成されたユーザ特性ベクトルおよびユーザ現在状態ベクトルを入力として使用する人工知能システムヘの問い合わせを可能にする。本方法は、人工知能によって、特定の時点tに対する行動変容ツールベクトルを生成し、ユーザに出力として配信し、ユーザは、この出力された行動変容ツールに基づいて、行動を変容させるための1つまたは複数の選択を行う。本方法は、特定の時点tに対して生成されたユーザ特性ベクトル、ユーザ現在状態ベクトル、および行動変容ツールベクトルを、次の時点t+1に対して生成された次の現在状態ベクトルにマッピングする;そして、マッピングが行動変容目標が達成されたことを示すまで、経時的に更新された3つのベクトルを入力として用いて、人工知能システムヘの問い合わせを繰り返す;ユーザによって行われた選択は、行動変容の最適経路を定義する。」(4頁19行~33行)
「 図1は、ユーザの行動変容を最適化する方法のフロー図である。
行動変容の目標が与えられると、この方法は、人工知能システム(400)にクエリ(103)として入力される、ユーザの個人的な静的なユーザ特性(101)と現在の状態(102)の取得から始まり、そのクエリは、推奨される行動変容ツールをその特徴とともに出力(104)する。ユーザの現在の状態は、行動変容目標に到達したかどうか(107)を決定する(106)前に(105)更新される(108)。ユーザの現在の状態は、行動変容ゴールに確実に到達するように(107)、時間の経過とともに更新される(109)。目標が達成されない場合(108)、調整された行動変容ツール/プログラムを得るために、人工知能システム(400)への問い合わせ(103)が繰り返される。」(6頁34行~7頁9行)
「 図2に示すユーザ特性ベクトル(110)は、人工知能システム(400)への入力であり、以下から構成される:
人口統計情報(210)、例えば性別、年齢、民族、宗教、社会経済的地位、交際ステータスなど;
個人的特性(220)、例えば、BIG-5、退屈のしやすさ、あるいはIQのような認知能力など;
嗜好(230)、特定の商品、アイテム、色、趣味、トピック、アイデアなどへの傾倒など、幅広い個人的記述子を含む;
生物学的特性(240)、例えば遺伝学、生理学的測定値;および
ポジティブ/ネガティブの概念的な関連性(250)。これは目標とする行動変容の領域空間における対象との関連を定義する(例えば、食事目標の場合、関連には、特定の食品カテゴリー、食後の感情、肥満、幸福感、飲み物…などの関連が含まれる)。
人口統計情報(210)、個人的特性(220)、嗜好(230)、生物学的データ(240)、ポジティブ/ネガティブ概念要素(250)のソースは、ユーザからの直接入力、および/または外部データベース、および/または外部サービス、および/またはセンサデータからの入力を含むことができる。
一実施形態では、これらのデータはすべて、受信したデータに基づいてユーザ特性ベクトル(110)を生成するサーバ(300)に送信される(301)。
別の実施形態では、ユーザ特性ベクトル(110)は、匿名である可能性のある関連する特徴を抽出することによって、クライアント側でローカルに計算され、その後、このベクトル(110)はサーバ(300)に送信される(302)。」(7頁11行~8頁3行)
「 図3に示すユーザ状態ベクトル(120)は、3つのサブベクトルから構成される動的に変化するベクトルとして定義される:
- 現在の行動。現在の行動のサブベクトルは、目標とする行動変容の行動領域を表すが、日常生活活動のパターン(睡眠、食事、スポーツ、社会活動、居場所、…など)も含まれる。
- 現在の(動的な)個人的特性。動的個人特性のサブベクトルは、リスク選好、実行認知機能、時間割引など、瞬間的な認知処理を指す。
- 感情的な状態。感情的な状態というサブベクトルには、利用者の感情指数や幸福指標の評価が含まれる。
この3つのサブベクトルは、個人デバイス(携帯電話、タブレット、コンピュータ、身体的・生理的信号を測定するウェアラブルなど)に依存する内部または外部サービス、環境センサ(プレゼンスセンサ、ビデオ/オーディオ、温度、空気モニターなど)、及びユーザからの直接入力(アンケート、調査、通知など)を使用して取得することができる。
行動変容ツール又はプログラムは、開始(トリガー)、内容及び終了からなる図3に示す行動変容ツールベクトル(130)として定義することができる。行動変容ツールベクトル(130)は、人工知能システム(400)により、例えば以下の行動タイプセット(ただし決定的なものではない)の中から実行すべき行動としてユーザに配信(104)される:
- 一般的なアドバイス 例:「毎日同じ時間にベッドに入るとよく休める
- モチベーション 例:ブッダ、アインシュタインの名言、今日の思想
- PERSONAL TIP例:「通勤時間を有効に使うには、TED Talksを試してみよう。
- ミニ・ゴール 例:「今週はお母さんよりよく眠る」、「いつもと違う道を通る」。
- 判断のポイント(例:銀行、スーパーマーケットなどのサードパーティ・エクスペリエンスにおけるパーソナライズされたプロンプト、ルール、フィードバックなど)
- 教育カード、ミニアンケート、ビデオ、オーディオガイドなど
- チャットアクション例:OpenTableを使ってテーブルを予約する、Googleマップで通勤経路を検索する・・・
- ゲーム 例:注意カトレーニンク:認知テストゲーム、アンチバイアス風船・・・」(8頁5行~9頁6行)
「 人工知能システム(400)は、図3に示す前述のベクトル、ユーザ特性ベクトル(110)、ユーザ現在状態ベクトル(120)、および行動変容ツールベクトル(130)を含むデータベース(420)上に構築された人工知能(410)から構成され、3つのベクトル(110、120、130)は、特定の時点tに参照され、特定の次の時点t+1で測定される次の現在状態ベクトル(121)にマッピングされる。一実施形態では、人工知能(410)は強化学習に基づいており、状態空間は現在の状態ベクトル(120)の要素のサブセットで表され、コンテキストは現在の状態ベクトル(120)と時間tで測定された個人特性ベクトル(110)の要素のサブセットで表され、報酬はt+1で測定された次の現在の状態ベクトル(121)の要素のサブセットで表される。
本発明の別の実施形態では、幸福向上サービスの構成要素として最適経路を定義する。個々のユーザが健康と幸福の目標を達成するための最適経路の計算は、主に幸福度向上サービスの構成要素として考えられている。このように、最適経路の計算は、個々のユーザの個人的特徴や設定された全体的な行動変容目標に基づいて、個々のユーザに提供される特定の行動変容アプローチやツールを時間をかけて調整する。」(9頁16行~34行)
ア 上記1頁8行~12行の記載によれば、甲2には、個人の行動変容を最適化するためのシステムが記載されている。
また、上記8頁5~9頁6行の記載によれば、行動変容ツール又はプログラムは、開始(トリガー)、内容及び終了からなる行動変容ツールベクトル(130)として定義することができ、行動変容ツールベクトル(130)は、人工知能システム(400)により、行動タイプセットの中から、一般的なアドバイス、モチベーション、認知テストゲームなどが実行すべき行動としてユーザに配信(104)されるものである。
イ 上記3頁22行~31行及び上記7頁11行~8頁3行の記載によれば、人工知能システムは、入力パラメータとして、ユーザの特性、ユーザの状態などに関する情報を受け取るものであり、ユーザの特性は、個人的特性(220)や嗜好(230)であり、ユーザの状態は、食後の感情や幸福感である。
ウ 上記6頁34行~7頁9行の記載によれば、人工知能システム(400)は、行動変容の目標が与えられると、クエリ(103)として入力されるユーザ特性(101)と現在の状態(102)を取得し、推奨される行動変容ツールをその特徴とともに出力(104)するものである。
エ 上記9頁16行~34行の記載によれば、人工知能システム(400)は、幸福向上サービスの構成要素として最適経路を定義することもでき、最適経路の計算は、個々のユーザの個人的特徴や設定された全体的な行動変容目標に基づいて、個々のユーザに提供される特定の行動変容アプローチやツールを時間をかけて調整するものである。
(2) 甲2発明
上記(1)によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
[甲2発明]
個人の行動変容を最適化するためのシステムである人工知能システム(400)において、
行動変容ツール又はプログラムは、開始(トリガー)、内容及び終了からなる行動変容ツールベクトル(130)として定義することができ、行動変容ツールベクトル(130)は、行動タイプセットの中から、一般的なアドバイス、モチベーション、認知テストゲームなどが実行すべき行動としてユーザに配信(104)されるものであり、
入力バラメータとして、ユーザの特性、ユーザの状態などに関する情報を受け取るものであり、ユーザの特性は、個人的特性(220)や嗜好(230)であり、ユーザの状態は、食後の感情や幸福感であり、
行動変容の目標が与えられると、クエリ(103)として入力される、個人的特性(220)や嗜好(230)であるユーザ特性(101)と、食後の感情や幸福感である現在の状態(102)とを取得し、推奨される行動変容ツールをその特徴とともに出力(104)するものであり、
幸福向上サービスの構成要素として最適経路を定義することもでき、最適経路の計算は、個々のユーザの個人的特徴や設定された全体的な行動変容目標に基づいて、個々のユーザに提供される特定の行動変容アプローチやツールを時間をかけて調整する、
人工知能システム(400)。
3 甲3について
甲3には、以下の記載がある。
「【0008】
そこで、本発明は、生活習慣病を予防改善するための目標を検討する際に、対象者に適した目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供する生活習慣病予防改善支援システムを提供することを目的とする。」
「【0025】
本実施形態の保存部14は、
(a)対象者の性格を分析するための性格問診項目、
(b)対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
(d)行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
(e)対象者に関する対象者情報
を有しており、必要に応じてその他の情報を有していてもよい。
【0026】
(a)対象者の性格を分析するための性格問診項目
対象者の性格を分析するための性格問診項目としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。
対象者の性格を分析する手法によっても適宜変更される。例えば、書籍「頑張らなくてもやせられる!メンタルダイエット」(木村穣)に挙げられている項目を用いてもよい。
対象者の性格を分析する手法としては、特に制限されるものではなく、公知の手法を用いることができるが、例えば、交流分析法が挙げられる。」
「【0034】
(b)対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目
対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、自炊や外食の頻度、食事の内容、食事をとるタイミング、食事の回数、仕事の勤務時間、仕事の内容、通勤時間・通学時間、通勤手段・通学手段、睡眠時間、間食の有無・種類・タイミング、運動の有無・頻度・量(運動の習慣)、喫煙の有無・頻度・期間、食べる速度、飲み物の種類、ダイエットを行っているか否か、ダイエットの経験、食の好み、食事や運動に関する知識、趣味、家族構成等が挙げられる。」
「【0052】
-抽出部-
抽出部は、前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する。」
「【0065】
上記のような抽出方法は、いわば文献等に基づいて理論的に抽出する方法といえるが、抽出部が行動目標を抽出する条件や方法は、上記の他にも適宜変更することができる。例えば、過去のデータを用いるようにしてもよい。過去のデータとしては、被験者に対して性格問診と生活習慣問診を行い、行動目標を設定して実際に行動した際の結果を記録して作成したものを用いることができる。このような過去のデータを用いて、対象者の性格及び生活習慣が近い傾向の被験者を選び出し、被験者が継続して実行できた行動目標を抽出するようにしてもよい。
【0066】
過去データとしては、例えば、性格問診項目及び生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し、被験者に対して、保存部が有する行動目標を設定し、実際に被験者が設定された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、臨床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータが好ましい。このような過去データに基づいて行動目標を抽出することにより、対象者が継続しやすく、臨床的な効果も得られやすいので、生活習慣病の予防改善について大きな効果が期待できる。
【0067】
抽出部は、前記過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて第1の行動目標を抽出することが好ましい。従来では、人間である医療スタッフの経験や勘により提案されていた行動目標が機械により一律に提案することができ、提案の精度が向上する。また、人間では気付かなかった相関関係が見出されることもある。例えば所定の性格の人物が所定の行動目標に沿って行動したときに、継続しやすい(もしくは継続しにくい)という特徴が見出されることもある。これにより、対象者により適した行動目標を抽出することができ、より効果的に生活習慣病の予防改善につなげることができる。詳細は後述する。」
4 甲4について
甲4には、以下の記載がある。
「【0022】
一般的には、これらのメカニズムは、ユーザデバイスのユーザについての特定の目的に関する入力を当該ユーザから受信し得、当該ユーザに関する受信したデータに基づいて、上記特定の目的に到達することにおいてユーザを支援し得るパーソナライズおよびコンピュータ化されたサービスを提供し得る。たとえば、ユーザデバイスのユーザは、就業日の間により多くの運動を組み込みたいという望みをユーザインターフェイスを介して示し得、当該メカニズムは、ユーザが肯定的に同意を与えた1つ以上のデータソースからのユーザに関するデータに基づいて、ユーザが特定の目的を達成するのを技術的に支援し得る1つ以上のアクションを推奨し得る。・・・
【0023】
なお、特定の目的に関係のある入力を受信することに対して付加的または代替的には、メカニズムはユーザフィードバックを受信し得、受信したユーザフィードバックに基づいて、当該ユーザについて目標を決定し得る。たとえば、ユーザは、ユーザデバイス上のユーザインターフェイスを介して平日は気力が不足していることを示し得、メカニズムはそのような示唆を解釈し、ユーザについてさまざまな目標を決定する。当該さまざまな目標としては、運動に関連するアクティビティの量を増加させることがある。別の例において、ユーザの一般的な気分、感情状態および/または行動気質に関してユーザにフィードバックを行なうことを要求するインターフェイスがユーザに提供され得、提供されたフィードバックに基づいて、メカニズムはユーザについての目標を決定し得る。・・・
【0024】
・・・ユーザに関する情報は、ユーザに関連付けられる気分、感情状態および/もしくは行動気質を判定し、ユーザに関連付けられる1つ以上の目標もしくは目的を決定し、ならびに/または、ユーザに関連付けられる身体状態、感情状態および/もしくは行動気質にインパクトを与え得る1つ以上のアクションを推奨するために使用され得る。・・・
【0025】
同意および/または承認を受信すると、メカニズムは、ユーザに関する任意の好適なデータを複数のデータソースから受信し得る。そのようなデータは、文脈データ、ソーシャルデータ、パーソナルデータなどを含み得る。たとえば、メカニズムは、(たとえばユーザデバイス上でソーシャルネットワーキングアプリケーションを使用して)ソーシャルネットワーキングサービス上にユーザが公表したコンテンツおよび/もしくは情報、ユーザに関連付けられる(たとえばユーザアカウントに関連付けられるウェアラブルコンピューティングデバイスからの)バイオメトリックデータ、ユーザに関連付けられる(たとえばユーザデバイスからの)位置データ、ならびに/または、ユーザの現在の気分および/もしくは挙動を示す任意の他の好適なデータに基づいて、ユーザについて現在の気分状態を予測し得る。別の例において、メカニズムは、ユーザが従事した特定のアクティビティを判定し得る。当該特定のアクティビティの例としては、ソーシャルイベントへの出席(たとえばオンラインカレンダからの会議、パーティ、スポーツイベントなど)、メディアコンテンツアイテム(たとえばビデオクリップ、歌、ニュース記事、ウェブページ、など)の消費、コンピューティングデバイス(たとえば携帯電話、ウェアラブルコンピューティングデバイス、タブレットコンピュータなど)とのインタラクション、アプリケーション(たとえばユーザデバイス上でのメディア再生アプリケーション、ソーシャルネットワーキングアプリケーション、メッセージングアプリケーション、ウェブブラウザなど)とのインタラクション、および/または、任意の他の好適なアクティビティがある。このアクティビティデータは、たとえばユーザに関連付けられる基準挙動(たとえば、一日の特定の時間および一日の特定の部分が典型的に、モバイルデバイス上で実行されるメディア再生アプリケーション上でビデオを視聴することに費やされる)を判定するために使用され得る。」
「【0053】
より特定的な例において、データ処理エンジン124は、データの1つ以上の部分を選択し得る。データの各部分は、数分、2~3時間、週の1日、2~3日、1週間、1ヶ月などといった任意の好適な期間に対応し得る。いくつかの実現例では、当該データの部分は任意の好適な態様で識別され得る。たとえば、決定は、データの部分を目標に関連があるものであると分類し得る分類子を使用して行われ得る。別の例において、決定は、ユーザの感情状態を示す可能性があるものであるとデータの部分を分類し得る分類子を使用して行われ得る。さらに別の例では、決定は、推奨アクションに関連があるものであるとデータ(たとえばアクションがユーザの感情状態にインパクトを与え得る可能性を判定するために使用され得るデータ、推奨アクションがいつ実行されるべきであるかを決定するために使用され得るデータなど)の部分を分類し得る分類子を使用して行われ得る。なお、分類子は、サポートベクトルマシン、決定木、ベイズモデルなどといった任意の好適な機械学習アルゴリズムを使用してトレーニングされ得る。」
「【0057】
いくつかの実現例では、サーバ120は、ユーザの身体状態または感情状態に影響またはインパクトを与え得る推奨アクションを決定および/または提供するための出力推奨エンジン126を含み得る。たとえば、ユーザに対応する現在のプロファイルを対象プロファイルと比較することに応答して、出力推奨エンジン126は、当該ユーザについての推奨アクションを決定し得る。・・・」
5 甲5について
甲5には、以下の記載がある。
「[0052]・・・対話式健康促進システムは、取得したユーザの現在の健康状況から、背景目的を決定して目的達成のための適切な対話情報を判断する。・・・」
「[0059] 精神的健康状況情報は、会話等から取得できる気分などによって取得できるが、その気分の例としては、嬉しい、楽しい、幸せ、気持ちいい、スッキリ、満足、爽快、感動、感心、和む、癒される、落ち着く、ワクワク、興奮する、高ぶる、懐かしい、好き、愛してる、恋している、憧れる、尊敬、などのポジティブな気分を表す表現から精神的健康が良い状況にある、あるいは、良い特有の状況にある、と判断できる。・・・」
「[0061] また、SNSの写真や映像を分析して、・・・という感情を取得し、これからさらに精神的健康状況情報を取得するようにルールを定めてもよい。また、これらは、一般に多くの人に共通の動作であることも多いので、ユーザ識別情報に関連付けられている分析ルールであったとしても、本システムを利用している他の大多数のユーザの情報を活用して分析するように構成してもよい。これは人工知能などを用いるとより精度が向上する。
[0062] 会話などの外部情報を健康状況情報に昇華させるには、その会話が直接的に健康状況情報に直結しない場合、会話の中で出てきた言葉、話題の対象、あるいはこれらから何を想像するかをSNSを通じて述べてもらい、その言語表現を分析することによって利用者の思考過程やその精神的状況、身体的状況を推定することができる。・・・フロイトの時代には心理学者等の経験値によってこの手法の効果が左右されたが本システムでは統計処理と人工知能等を利用することで精度を向上させることができた。」
「[0073] ・・・つまり、達成すべき健康の目標が定まると、それに応じて対話情報が選択されるように階層構造中の健康状態と関連付けて対話情報が選択されるように構成してもよい。・・・」
「[0101]<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 ライフログユーザ関連情報取得部>
「ライフログユーザ関連情報取得部」は、ユーザ識別情報と関連付けてユーザの端末に記録されているライフログであるライフログユーザ関連情報を外部情報として取得する。
ライフログとは、携帯端末などで取得できる情報又は別の外部機器によって取得された情報である、その日の歩数、移動距離、血圧、脈拍、心拍数、血糖値、水分量、体脂肪率、体重、身長、筋肉量バランス、骨密度、呼吸数、肺活量、血液検査の結果、MRSの検査結果、尿検査、血中アルコール濃度、体温、筋肉の収縮・弛緩の度合い、脳波、血流速度、血中酸素濃度、アレルギー反応の程度、疲労物質の蓄積の程度、等である。これらは、身体に装着しており身体の状態を測定可能なウエアラブル端末や、身体に身に着けてはいないが通信機能を有する身体データ測定装置などから取得できる。・・・
[0102] ・・・一方、本件対話式健康促進システムでは、ライフログから取得される情報を数値的に分析するのではなく、そういった行動あるいは状態にあるユーザの「気持ち」の健康を分析する。前述のとおり、本件対話式健康促進システムは、健康状況情報を肉体的健康と精神的健康とから取得する。・・・」
第5 当審の判断
1 理由1(新規性)について
(1) 本件発明1について
ア 甲2に記載された発明(甲2発明)に基づく検討
事案に鑑みて、先に甲2発明について検討する。
(ア) 対比
a 構成A及び構成Dの「刺激情報生成装置」について
甲2発明の「人工知能システム(400)」は、「個人の行動変容を最適化するためのシステム」であり、「行動変容の目標が与えられると」、「行動変容ツールをその特徴とともに出力(104)」し、ユーザに配信するものであるところ、「行動変容の目標」は、「ユーザ(個人)」を対象とする目標であるから、「ユーザ(個人)」は「所定の対象」であるといえ、「行動変容の目標」は「対象の目標」であるといえる。
また、甲2発明の「行動変容ツールベクトル(130)」は、「一般的なアドバイス、モチベーション、ゲームなどが実行すべき行動としてユーザに配信(104)されるもの」であって、これらの「一般的なアドバイス、モチベーション、認知テストゲームなど」の配信を受けたユーザは、行動変容のための何らかの「刺激」を受けるといえるから、「一般的なアドバイス、モチベーション、ゲームなど」は「行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報」ということができる。
そうすると、甲2発明の「人工知能システム(400)」は、本件発明1と同様、構成Aの「所定の対象に対し、当該対象の目標に応じた行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報を生成する装置」であり、構成Dの「刺激情報生成装置」であるということができる。
b 構成Bについて
甲2発明の「人工知能システム(400)」は、「クエリ(103)として入力される、個人的特性(220)や嗜好(230)であるユーザ特性(101)と、食後の感情や幸福感である現在の状態(102)とを取得」しているところ、「個人的特性(220)であるユーザ特性(101)」は、本件発明1の「性格特徴に係る情報」に相当し、「嗜好(230)であるユーザ特性(101)」は、本件発明1の「思考・行動傾向」に相当し、「食後の感情や幸福感である現在の状態(102)」は、本件発明1の「精神・心理状態」に相当し、いずれもユーザの「内面情報」であるといえる。
そうすると、甲2発明は、本件発明1と同様、「当該対象の精神・心理状態、思考・行動傾向、又は性格特徴に係る情報である内面情報を取得する内面情報取得手段」を有しているということができる。
c 構成Cについて
(a) 甲2発明は、上記aのとおり、「行動変容ツールベクトル(130)は、行動タイプセットの中から、一般的なアドバイス、モチベーション、認知テストゲームなどが実行すべき行動としてユーザに配信(104)されるもの」であるところ、「認知テストゲーム」は、「行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報」のうち、「認知的刺激情報」であるといえるから、甲2発明は、「認知的刺激情報」を生成する認知的刺激生成手段を有しているということができる。
そうすると、甲2発明の当該認知的刺激生成手段は、本件発明1の構成Cの「構築された認知的刺激生成モデルに対し、当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該内面情報に係るデータとを入力し、当該認知的刺激生成モデルの出力から、当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成する認知的刺激生成手段」と、「当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成する認知的刺激生成手段」で共通する。
(b) これに対し、異議申立人は、甲2には、人工知能システムに行動変容の目標が与えられると、ユーザ特性及び現在の状態を入力として使用し、行動変容ツールベクトルを生成する構成が記載されているから、当該構成は、本件発明1の構成Cと実質的に一致する旨主張する(異議申立書46頁上段)。
しかしながら、上記(a)のとおり、本件発明1が有する構成Cの「認知的刺激生成モデル」は、単なる「認知的刺激生成モデル」ではなく、構成Dによって「構築された認知的刺激生成モデル」であるところ、後記dで述べるように、甲2発明は、本件発明1の「認知的刺激生成モデル」を構築していないから、「構築された認知的刺激生成モデル」に対して、目標情報に係るデータや内面情報に係るデータを入力することはない。
そうすると、甲2発明は、本件発明1の構成Cの「認知的刺激生成モデル」に関する構成を有しているということはできない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
d 「刺激情報生成装置」を除く構成Dについて
(a) 本件発明1が有する構成Dは、「刺激情報生成装置」を除き、「当該認知的刺激生成モデルは、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる」ものであるところ、甲2発明は、「当該認知的刺激生成モデル」を構築するものではないが、「行動変容ツールベクトル(130)は、行動タイプセットの中から、一般的なアドバイス、モチベーション、認知テストゲームなどが実行すべき行動としてユーザに配信(104)されるもの」であるから、「当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる」ものであるということができる。
そうすると、甲2発明と、本件発明1の「刺激情報生成装置」を除く構成Dとは、「当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる」点で共通する。
(b) これに対し、異議申立人は、甲2には、目標が達成されない場合は目標を達成するように行動変容ツールを調整する構成や、行動変容アプローチの有効性が定量化された経験的データの分析が行われる構成が記載されており、目標を達成するための正解としての行動変容ツールが教師データとして用いられることが実質的に記載されていると認められるから、これらの構成は、本件発明1の構成Dと実質的に一致する旨主張する(異議申立書46頁中段)。
しかしながら、甲2には、「認知的刺激生成モデル」を「当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築」することは記載されていない。
なお、異議申立人も、「目標を達成するための正解としての行動変容ツールが教師データとして用いられることが実質的に記載されている」と主張するにとどまり、なぜ、実質的に記載されているといえるのか、その根拠を明らかにしていないが、仮に当該主張のとおりであったとしても、本件発明1と甲2発明が構成Dで一致するというためにはそれのみでは足りず、「当該目標情報、当該内面情報」を含めた教師データを用いた学習処理によって、「認知的刺激生成モデル」を構築することが必要であるが、甲2には、そのような記載も示唆もない。
そうすると、甲2発明は、本件発明1の構成Dの「認知的刺激生成モデル」に係る構成を有しているということはできない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
以上によれば、本件発明1と甲2発明は、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
A 所定の対象に対し、当該対象の目標に応じた行動変容を促すための刺激に係る情報である刺激情報を生成する装置であって、
B 当該対象の精神・心理状態、思考・行動傾向、又は性格特徴に係る情報である内面情報を取得する内面情報取得手段と、
C’ 当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成する認知的刺激生成手段と
を有し、
D’ 当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる
刺激情報生成装置。
[相違点]
本件発明1は、「構築された認知的刺激生成モデルに対し、当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該内面情報に係るデータとを入力し、当該認知的刺激生成モデルの出力から、当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報を生成する認知的刺激生成手段」(構成C)を有し、「当該認知的刺激生成モデルは、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、当該認知的刺激情報に係るデータを出力する手段としてコンピュータを機能させる」(構成D)ものであるのに対し、甲2発明は、構成Cの「構築された認知的刺激生成モデルに対し、当該目標に係る情報である目標情報に係るデータと、当該内面情報に係るデータとを入力し、当該認知的刺激生成モデルの出力から、」との構成及び構成Dの「当該認知的刺激生成モデルは、当該目標情報、当該内面情報、及び正解としての当該認知的刺激情報、に係る教師データを用いた学習処理によって構築され、」との構成、すなわち、「認知的刺激生成モデル」に係る構成を有していない点。
(イ) 判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲2発明を対比すると、[相違点]に係る構成で実質的に相違するから、本件発明1は、甲2発明であるとはいえない。
イ 甲1に記載された発明に基づく検討
(ア) 対比・判断
異議申立人は、本件発明1は、甲1に記載された発明であると主張する。
しかしながら、甲1に記載された事項は、上記第4の1のとおりであるところ、甲1には、構成C及び構成Dの「認知的刺激生成モデル」に係る構成は記載されていないから、上記ア(ア)の[相違点]に係る構成は記載されていない。
そうすると、本件発明1と、甲1に記載された事項から認定することができる発明(以下「甲1発明」という。)を対比すると、少なくとも上記アの[相違点]に係る構成で実質的に相違することとなる。
したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
(イ) 異議申立人の主張について
異議申立人は、構成Dについて、介入に対する嗜好スコアは、本件発明1における「正解としての当該認知的刺激情報」に相当する旨主張する(異議申立書40頁冒頭)。
しかしながら、甲1には、「嗜好スコアを計算する」(上記第4の1の[0040])、「明示的な嗜好スコアは、介入目的に対する肯定的な嗜好(例えば、親指を立てる、星評価が高いなど)を加算し、否定的な嗜好(例えば、親指を立てる、星評価が低いなど)を減算することによって決定することができる。」(同[0041])と記載されているように、「嗜好スコア」は加算されたり減算されたりして計算されるものであって、本件発明1の「当該対象が認知可能な当該刺激としての認知的刺激に係る情報である認知的刺激情報」とは性格を異にするものである。
そうすると、甲1に記載された「嗜好スコア」は、本件発明1の「認知的刺激情報」に相当するということはできない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
(ウ) 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明又は甲2発明であるとはいえない。
(2) 本件発明9及び10について
異議申立人は、本件発明9及び10は、甲1発明又は甲2発明であると主張する。
そこで検討するに、本件発明9は、認知的刺激生成モデルの発明であるところ、本件発明1の「認知的刺激生成モデル」の構成を概ね含んでおり、本件発明10は、本件発明1に係る刺激情報生成装置の発明と、概ね、カテゴリーが相違するのみの発明である(なお、異議申立人も、同様の主張をしており、本件発明9及び10について、それ以上の主張をするものではない。)。
そうすると、本件発明9及び10と、甲1発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明又は甲2発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明と対比すると、いずれも、上記(1)アの[相違点]に係る構成で相違することとなる。
したがって、本件発明9及び10も、甲1発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明又は甲2発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明であるとはいえない。
(3) 理由1(新規性)のまとめ
以上によれば、本件特許の請求項1、9及び10に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものではない。
したがって、異議申立人の主張する理由1は理由がない。
2 理由2(進歩性)について
(1) 本件発明1、9及び10について
異議申立人は、本件発明1、9及び10は、甲1発明、甲1発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明(以下、これらを併せて「甲1発明等」という。)又は甲2発明、甲2発明を「モデル」若しくは「方法」に書き換えた発明(以下、これらを併せて「甲2発明等」という。)のいずれかに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら、本件発明1、9及び10と、甲1発明等又は甲2発明等を対比すると、上記1(1)アの[相違点]に係る構成を有するところ、当該構成は、異議申立人が提出する甲3~5(上記第4の3~5)には記載されていないし、周知技術であったということもできない。
そうすると、本件発明1、9及び10は、甲1発明等又は甲2発明等のいずれかに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、甲3~5に記載された発明を含めて検討しても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本件発明2、3及び7について
異議申立人は、本件発明2は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲3あるいは甲4に記載された発明に基づいて、本件発明3は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲3に記載された発明に基づいて、本件発明7は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲4あるいは甲5に記載された発明に基づいて、それぞれ、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら、本件発明2、3及び7は、本件発明1を限定した発明を含むものであるから、上記(1)のとおり、本件発明1が、甲1発明又は甲2発明のいずれかと、甲3~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、本件発明2、3及び7も、同様に、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 理由2(進歩性)のまとめ
以上によれば、本件特許の請求項1~3、7、9及び10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、異議申立人の主張する理由2は理由がない。
3 理由3(明確性)について
(1) 判断
異議申立人は、本件発明3は、「その達成のために当該対象に対し刺激を提示すべき目標に係る目標情報を推定する」との構成を有するところ、「その達成のために当該対象に対し刺激を提示すべき目標」とは、本件明細書の【0048】の記載によれば、「当該目標の達成に向けて有意義となる可能性が高い目標」であることが推認されるものの、当該目標に係る目標情報が、具体的にどういう情報であるのかを、本件明細書の記載や出願時の技術常識を考慮しても、当業者が理解することができないから、本件発明3は、明確であるとはいえない旨主張する(異議申立書49頁下段~50頁中段)。
しかしながら、本件明細書の【0048】には、「当該目標を掲げているユーザに対し(この後、決定・生成される)認知的刺激コンテンツを提示することは、当該目標の達成に向けて有意義となる可能性が高まる」と記載されているところ、当該記載は、「当該目標を掲げているユーザに対し認知的刺激コンテンツを提示すること」は、ユーザにとって「当該目標の達成に向けて有意義となる可能性が高まる」という、ユーザに対する有意義性を説明しているのであって、異議申立人が主張するように、「当該目標に係る目標情報」が「当該目標の達成に向けて有意義となる可能性が高い目標」であることを説明したものではないから、異議申立人の主張は、本件明細書の【0048】の記載を正解しないものであって、主張の前提を欠いている。
そして、本件発明3の上記構成が記載された特許請求の範囲の【請求項3】をみても、文言上、何ら不明確な点はないし、例えば、発明の詳細な説明の【0085】をみても、「・・・「その達成のために当該ユーザに対し刺激を提示すべき目標」に係る目標情報として、例えば「(健康や体型を維持・改善するため)毎日、19時から21時までの間、公園Aでジョギングを行う」旨の目標情報が推定され得るのである。」と例示されているように、本件発明3の「目標情報」がどういう情報であるのかを理解することができるから、本件発明3は明確である。
したがって、異議申立人の主張は理由がない。
(2) 理由3(明確性)のまとめ
以上によれば、本件発明3には、異議申立人が主張する不明確な点はなく、ほかに不明確な点もないから、本件発明3は明確である。
したがって、異議申立人の主張する理由3は理由がない。
第6 むすび
以上の次第であるから、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~3、7、9及び10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3、7、9及び10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700328