特許異議申立
2024-700301
情報処理装置、情報処理方法、燃焼制御装置、および燃焼制御方法
- 審判番号
- 2024-700301
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-093402
- 登録番号
- 7354930
- 請求日
- 2024年04月02日
- 審決日
- 2025年02月06日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】JFEエンジニアリング株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】金田 綾香
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 充
- 審判官 水野 治彦
- 審判官 飯星 潤耶
- 分類
- P1652.121-YAA(F23G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第113条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7354930号発明「情報処理装置、情報処理方法、燃焼制御装置、および燃焼制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7354930号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[6-11]、[13、14]について訂正することを認める。
特許第7354930号の請求項1ないし6、9ないし14に係る特許を維持する。
特許第7354930号の請求項7に係る特許についての特許異議の申立を却下する。
理由
理 由
1.手続の経緯
特許第7354930号の請求項1ないし14の特許(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、令和2年5月28日に特許出願され、令和5年9月25日にその特許権の設定登録がなされ、令和5年10月3日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和6年4月2日に特許異議申立人金田綾香(以下、「特許異議申立人」という。)により、請求項1ないし7、9ないし14に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、令和6年5月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和6年7月30日に意見書の提出及び訂正の請求がなされたものである。
なお、令和6年7月30日に特許権者がした意見書の提出及び訂正の請求に対し、特許異議申立人から意見書の提出はなかった。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
令和6年7月30日の訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下の訂正事項1ないし訂正事項6のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す(以下、「(1)訂正の内容」において同様。)。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項6の記載を、
「 廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力し、
前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データであり、
前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理装置。」に訂正する。
(請求項6を引用する請求項8~11も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8を
「 前記参照時間は60分以下である
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。」に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9を
「 前記廃棄物焼却炉は、前記廃棄物を移動させる火格子と、前記火格子上に前記廃棄物を供給する廃棄物供給装置とを備え、
前記プロセスデータに含まれる制御値として、前記廃棄物の供給速度を調整する廃棄物供給装置の送り速度の制御値、および前記火格子上の前記廃棄物の移動速度を調整する火格子送り速度の制御値の少なくとも一方を含む
請求項1~6、8のいずれか1項に記載の情報処理装置。」に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10を
「 廃棄物を燃焼させる廃棄物焼却炉を制御する燃焼制御部を備えた燃焼制御装置であって、
前記燃焼制御部は、
請求項1~6、8、9のいずれか1項に記載の情報処理装置から前記蒸気発生部における所定の予測時間後の前記蒸気発生量の予測値を取得し、
前記取得した蒸気発生量に基づいて、前記廃棄物焼却炉における燃焼を制御する
燃焼制御装置。」に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項13の記載を、
「 廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力し、
前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データであり、
前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理方法。」に訂正する。
(請求項13を引用する請求項14も同様に訂正する。)
(2)一群の請求項、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項1ないし訂正事項6について、一群の請求項、訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否を検討する。
ア 訂正事項1ないし訂正事項5について
(ア)一群の請求項
訂正前の請求項6ないし請求項11について、請求項7ないし請求項11は、いずれも請求項6を直接又は間接的に引用した請求項であって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものであるから、請求項6ないし請求項11は、一群の請求項である。
したがって、訂正請求1ないし訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。
(イ)訂正事項1
あ 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項6の「制御部」について、訂正前の請求項6を引用する請求項7の記載により特定される事項に係る限定を付加するものであるから、訂正前の請求項6に記載された「制御部」に係る事項を減縮するものといえる。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
い 新規事項の有無
訂正事項1により訂正される事項は、訂正前の請求項6を引用する請求項7に記載されている事項である。そうすると、訂正事項1による訂正後の請求項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
う 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項6の「制御部」について、訂正前の請求項6を引用する請求項7の記載により特定される事項に係る限定を付加するものであるから、訂正事項1による訂正後の請求項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(ウ) 訂正事項2
あ 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項7を削除するものである。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
い 新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の請求項7を削除するものである。したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
う 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正前の請求項7を削除するものである。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(エ)訂正事項3
あ 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項8に記載された「請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除し、請求項8の引用請求項数を削減するものである。したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
い 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正前の請求項8に記載された「請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
う 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項8に記載された「請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置」について、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
え 独立特許要件
訂正事項3は、本件特許異議申立ての対象とされていない訂正前の請求項8の「請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置」との記載について、訂正事項2で訂正前の請求項7が削除されたことを踏まえて、「請求項7」を削除する訂正である。そして、訂正事項3による訂正の対象となる請求項8は特許異議の申立てがされていないから、独立特許要件について検討する。
3.において述べるとおり、訂正後の請求項1ないし請求項6に係る特許を取り消すべき理由は発見できない。また、訂正後の請求項8に係る特許を取り消すべき理由も発見できない。したがって、訂正後の請求項8に係る発明が独立して特許を受けることができるものであることは明らかである。
したがって、訂正事項3で訂正される訂正後の請求項8に係る発明は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合する。
(オ)訂正事項4
あ 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項9に記載された「請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除し、請求項9の引用請求項数を削減するものである。したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
い 新規事項の有無
訂正事項4は、訂正前の請求項9に記載された「請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
う 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、訂正前の請求項9に記載された「請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置」について、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(カ)訂正事項5
あ 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項10に記載された「請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除し、請求項10の引用請求項数を削減するものである。したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
い 新規事項の有無
訂正事項5は、訂正前の請求項10に記載された「請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理装置」から、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
う 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、訂正前の請求項10に記載された「請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理装置」について、訂正事項2における訂正前の請求項7の削除を踏まえて「請求項7」を削除するものである。したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項6について
(ア)一群の請求項
訂正前の請求項13および14について、請求項14は、請求項13を引用した請求項であって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項13に連動して訂正されるものであるから、請求項13および請求項14は、一群の請求項である。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。
(イ)訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項13の「制御部」について、訂正前の請求項7の記載により特定される事項に係る限定を付加するものであるから、訂正前の請求項13に記載された「制御部」に係る事項を減縮するものといえる。したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項6の
「前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである」ことは、訂正前の請求項7及び願書に添付した明細書の段落【0049】ないし【0051】に記載されている。
そうすると、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(エ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、訂正前の請求項13の「制御部」について、訂正前の請求項7の記載により特定される事項に係る限定を付加することで、請求項13の「制御部」を限定するものである。
そうすると、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項[6ないし11]、[13および14]についての訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし請求項14に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項14に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して出力パラメータとして出力して蒸気発生量予測値を出力し、
前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータおよび前記画像データを学習用入力パラメータとし、前記所定時点から前記予測時間だけ経過後の前記蒸気発生量の計測値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記学習用入力パラメータが互いに異なる前記蒸気量予測学習モデルを複数生成し、
前記複数の蒸気量予測学習モデルから一の蒸気量予測学習モデルを選択して適用し、
前記一の蒸気量予測学習モデルを適用する適用時間において、前記一の蒸気量予測学習モデルによって前記蒸気発生量を予測して、出力パラメータとして出力し、
前記複数の蒸気量予測学習モデルの前記一の蒸気量予測学習モデル以外の他の蒸気量予測学習モデルによって前記蒸気発生量を予測して前記記憶部に格納し、
前記複数の蒸気量予測学習モデルのそれぞれによって予測されたそれぞれの前記蒸気発生量を比較して、前記複数の蒸気量予測学習モデルから次に適用する一の蒸気量予測学習モデルを選択する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記蒸気量予測学習モデルを所定の適用時間において適用し、
前記適用時間において前記廃棄物焼却炉から取得した前記プロセスデータおよび前記画像データを前記学習用入力パラメータに追加して更新し、前記適用時間において前記廃棄物焼却炉から取得した前記蒸気発生量の計測値を前記学習用出力パラメータに追加して更新し、
前記更新された学習用入力パラメータおよび前記更新された学習用出力パラメータを、更新された入出力データセットとして用いて前記蒸気量予測学習モデルを更新する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データである
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力し、
前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データであり、
前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理装置。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記参照時間は60分以下である
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記廃棄物焼却炉は、前記廃棄物を移動させる火格子と、前記火格子上に前記廃棄物を供給する廃棄物供給装置とを備え、
前記プロセスデータに含まれる制御値として、前記廃棄物の供給速度を調整する廃棄物供給装置の送り速度の制御値、および前記火格子上の前記廃棄物の移動速度を調整する火格子送り速度の制御値の少なくとも一方を含む
請求項1~6、8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
廃棄物を燃焼させる廃棄物焼却炉を制御する燃焼制御部を備えた燃焼制御装置であって、
前記燃焼制御部は、
請求項1~6、8、9のいずれか1項に記載の情報処理装置から前記蒸気発生部における所定の予測時間後の前記蒸気発生量の予測値を取得し、
前記取得した蒸気発生量に基づいて、前記廃棄物焼却炉における燃焼を制御する
燃焼制御装置。
【請求項11】
前記廃棄物焼却炉は、前記廃棄物を移動させる火格子と、前記火格子上に前記廃棄物を供給する廃棄物供給装置とを備え、
前記燃焼制御部は、
前記廃棄物の供給速度を調整する前記廃棄物供給装置の送り速度、および前記火格子上の前記廃棄物の移動速度を調整する火格子送り速度の少なくとも一方を制御する
請求項10に記載の燃焼制御装置。
【請求項12】
廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して出力パラメータとして出力して蒸気発生量予測値を出力し、
前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータおよび前記画像データを学習用入力パラメータとし、前記所定時点から前記予測時間だけ経過後の前記蒸気発生量の計測値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理方法。
【請求項13】
廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力し、
前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データであり、
前記制御部は、
前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、
前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、
前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理方法。
【請求項14】
廃棄物を燃焼させて蒸気発生部によって蒸気を発生させる廃棄物焼却炉を制御する燃焼制御部を備えた燃焼制御装置が実行する燃焼制御方法であって、
前記燃焼制御部は、
請求項12または13に記載の情報処理方法によって前記蒸気発生部における所定の予測時間後の前記蒸気発生量予測値を取得して記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記蒸気発生量予測値に基づいて、前記廃棄物焼却炉における燃焼を制御する
燃焼制御方法。」
(2)取消理由の概要
訂正前の請求項6、請求項10、請求項11、請求項13及び請求項14に係る特許に対する取消理由の概要は以下のとおりである。
本件特許の請求項6、請求項10、請求項11、請求項13及び請求項14に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された、刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:特開2005-242524号公報
甲第2号証:特許第6718911号公報
甲第3号証:特許第6472035号公報
甲第4号証:特許第6696816号公報
なお、異議申立人は、以下の甲第5号証も提出している。
甲第5号証:特許第6976696号公報
(3)甲第1号証ないし甲第5号証の記載
ア 甲第1号証
甲第1号証には、「処理プラント設備の運転制御方法及び運転制御装置」に関し、次の記載事項及び図示事項がある(下線部は当審で引いたものである。以下同様。)。
(ア) 「【0001】
本発明は廃棄物処理プラントや水処理プラン等の各種処理を行う処理プラント設備の運転制御方法及び運転制御装置に関し、特に制御対象の目標値に対する外乱によって生じる変動を低減し、エネルギー利用の効率化、環境負荷の低減、設備の長期安定運転ができる処理プラント設備の運転制御方法及び運転制御装置に関するものである。」
(イ) 「【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので上記問題を除去するため、プラントの予測モデル制御を導入し、上記理由による応答性、制御性の変化を最適且つ自動的に更新し、習熟したオペレータによるパラメータ設定や再調整を実施することなく、長期間安定運転を維持し制御目的及び性能を発揮することができ処理プラントの運転制御方法及び運転制御装置を提供することを目的とする。」
(ウ) 「【0023】
図1は本発明に係る運転制御方法を実施する廃棄物処理プラント設備としてのストーカ式ごみ焼却プラント設備の概略構成例を示す図である。図1において、1はストーカ式の焼却炉、2は廃熱ボイラ、3はごみピット、4はホッパ、5はごみクレーン、6はホッパ4の下部からごみを焼却炉1に供給する給塵装置である。燃焼炉1は左側から、ごみを乾燥させる乾燥帯1a、ごみを燃焼させる燃焼帯1b、燃焼帯1c、後燃焼帯1dの分割構造を有し、それぞれに設けられたストーカ7a、7b、7c、7dによって焼却炉1内でごみを移送すると共に、それぞれの下部に接続された空気導入路9a、9b、9c、9dに設けられた空気調整ダンパ8a、8b、8c、8dを介して空気が供給される。
【0024】
また、焼却炉1の出口1eには完全燃焼させるため更に二次空気押込送風機20から空気導入路19を通して二次空気の供給を行っている。ごみの焼却後に残る灰10a~10fは図示しない灰押出装置に集められ、系外に排出され、次の処理工程へ供給される。図示しないが、ごみ焼却プラント設備は焼却によって生じる排ガス中の煤塵や有害ガスを除去する手段も備えている。また、焼却炉1の上部に廃熱ボイラ2が設置されており、ごみ焼却処理した熱を利用して蒸気100を発生している。図示しないが、この蒸気100は蒸気式タービンでの発電利用や場内熱利用に利用される。
【0025】
上記ごみ焼却プラント設備は、更に焼却炉1の出口1eに排ガス温度を測定する温度センサ11、ボイラ出口の蒸気量を測定する蒸気量センサ12、炉出口1eの酸素濃度を測定する酸素濃度センサ13、焼却炉1内のごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備えている。また、図示は省略するが、必要な位置に温度センサ、圧力センサ、流量センサ等を設けている。
【0026】
そしてこれらのセンサからの信号に基いて、給塵装置6から焼却炉1内へのごみ供給量、焼却炉1内の乾燥帯1a、燃焼帯1b、燃焼帯1c、後燃焼帯1dへの空気供給量、ストーカ7a、7b、7c、7dによるごみの移動速度等がPID若しくは演算制御される。更に、クレーン5には一掴みのごみの重量を測定する重量センサ15が設けられ、一掴みのごみの重量とホッパ4内へ投入した際のレベル変化をセンサ(図示せず)で測定し、体積増加量から投入ごみ密度ρを演算し、その密度に応じてごみ供給量を給塵装置6にて調整する。なお、図1において、16はバーナ、17は空気導入路9を通して空気を押し込む押込送風機である。また、21はプラットホームであり、該プラットホーム21からごみ収集車22で収集されたごみがごみピット3内に投入される。
【0027】
上記ごみ焼却プラント設備において、行っている制御及び本発明による運転制御方法を図2を用いて説明する。図2は運転制御装置の構成例を示す制御ブロック図である。図示するように運転制御装置は廃熱ボイラ2が発生する蒸気量を予測するボイラ発生蒸気量予測ニューラルネットワーク31と、一次燃焼空気量SV値を算出する一次燃焼空気算出部32と、一次燃焼空気ダンパ制御部33を具備している。ボイラ発生蒸気量予測ニューラルネットワーク31には、ごみ焼却プラント設備からの各種プロセスデータ34が導入されるようになっている。ここでは焼却炉1の燃焼制御方法の一部として、焼却炉1内に供給されるごみの実燃焼量を制御し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量を直接的に安定化させる操作端として図1の空気調整ダンパ8a、8b、8c、8dが挙げられる。なお、各種プロセスデータ34としては、蒸気量センサ12で測定された廃熱ボイラ2からの蒸気量、酸素濃度センサ13で測定された焼却炉1の出口酸素濃度、温度センサ11で測定された焼却炉1の出口温度、上記必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる。
【0028】
図2に表す一次燃焼空気量算出部32と一次燃焼空気ダンパ制御部33とは、空気調整ダンパ8a、8b、8c、8dに供給されるおおもと、即ち空気導入路9を通して押込送風機17から供給される空気量を意味し、この空気量をベースにある決められたルールに基づいて空気調整ダンパ8a、8b、8c、8dを通して乾燥帯1a、燃焼帯1b、燃焼帯1c、後燃焼帯1dに供給される空気量が分配される。本運転制御装置では、この主操作端である一次燃焼空気量SV値に対し、ボイラ発生蒸気量予測ニューラルネットワーク31でニューラルネットワークを用いた予測モデルで所定時間後(例えば90秒後)の廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行い、該所定時間後の発生蒸気量予測値S1と制御目標発生蒸気量値S2の差をゼロにするような操作値を一次燃焼空気量算出部32で算出し、一次燃焼空気ダンパ制御部33に出力する。ボイラ発生蒸気量予測ニューラルネットワーク31では、ごみ焼却プラント設備からの各種プロセスデータ34から廃熱ボイラ2の蒸気発生量との相関関係を学習し、最適予測モデルを構築する。
【0029】
図3は本運転制御装置のシステム構成の一例を示す図で、ごみ焼却プラント設備全体を制御する制御システム200上に本本発明に係る運転制御装置を接続する。本運転制御装置は、学習用コンピュータ41と演算用コンピュータ42-1、42-2、カラープリンタ43を具備し、これらはイーサネット(登録商標)44で接続されている。演算用コンピュータ42-1、42-2は全体制御システム上のネットワーク45より、各種プロセスデータの収集と現状最適モデルを用いてごみ焼却プラント設備からの入力データに基づき廃熱ボイラ2の蒸気発生量の予測を実施し、その発生蒸気予測値S1を図2に示す制御ロジックに出力する。
【0030】
学習用コンピュータ41では、演算用コンピュータ42-1、42-2で収集したデータを取り込み、近日の所定期間のデータを基に学習させ最新学習モデルの作成を行う。この最新学習モデルは次に説明する方法で、該最新学習モデルが最適なものであるか否かを判断した後、当該最新学習モデルが最適学習モデルと判断した後は、当該最新学習モデルは演算用コンピュータ42-1、42-2へ伝送され書き込まれ、該演算用コンピュータ42-1、42-2は書き込まれた最新学習モデルに基づき運転制御を継続する。当該最新学習モデルが最適学習モデルと判断されなかった場合は現行の学習モデルで運転制御を継続する。
【0031】
図4は演算用コンピュータ42で各種プロセスデータを収集し、学習用コンピュータ41で学習モデルを作成し、該作成した学習モデルを自動評価及び自動更新を行うため処理フローを示す図である。演算用コンピュータ42はオンラインコンピュータであり、学習用コンピュータ41はオフラインコンピュータである。先ず、演算用コンピュータ42はごみ焼却プラント設備からの各種プロセスデータを収集し(ステップST1)、所定期間(例えば2週間分)の時系列データを作成する(ステップST2)、該時系列データは学習用コンピュータ41に転送される(ステップST3)。該転送された時系列データはデータチェック(対象外のデータか、所定期間内のデータか等)され(ステップST4)れる。学習用コンピュータ41はデータチェックをパスした時系列データの前記所定期間の前半(例えば1週間)を学習(各種プロセスデータと制御目標の相関係数を学習)し(ステップST5)、該学習に基づいて学習モデルが作成される(ステップST6)。その後、該作成された学習モデルに前記所定期間の後半(例えば1週間分)のデータを入力し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行う。その結果と実運転結果を後に詳述する評価指標で評価し(ステップST7)、この評価指標が上限値以下で且つ前回学習モデルより好転した場合は演算用コンピュータ42に転送される(ステップST9)。また学習モデルは学習モデルバックアップとして履歴保存される(ステップST8)。
【0032】
OKの評価を受け演算用コンピュータ42に転送された学習モデルは、モデル更新監視タスクを介して学習モデル共有メモリに格納される(ステップST10、11)。そして制御演算タスクにより制御周期毎のモデル更新チェックと更新を行う(ステップST12)。再学習タイミングは任意であるが、例えば定期的なタイミングによる開始又は制御性能が低下した際に自動的に開始する。
【0033】
次に、上記学習モデルの自動評価及び自動更新について説明する。自動更新は接近する所定期間(例えば2週間)分のデータを採取し、学習用コンピュータ41を用いて該所定期間の前半期間(1週間)分のデータを学習し、後半期間分のデータで数1の式から評価指標Ipを求めて行う。即ち、評価指標Ipがある上限値以下で且つ現在の学習モデルよりも好転した場合、学習結果に基づいて作成された最新の学習モデルを演算用コンピュータ42に書き込み、この最新の学習モデルに基づいて運転制御を行う。」
(エ)「【図1】
[図:0001423484000001.jpg]
」
(オ)「【図2】
[図:0001423484000002.jpg]
」
(カ)「【図3】
[図:0001423484000003.jpg]
」
(キ)「【図4】
[図:0001423484000004.jpg]
」
上記記載事項及び図示事項からみて、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
「ごみ焼却プラント設備を構成する蒸気100を発生している廃熱ボイラ2が発生する蒸気量を予測するボイラ発生予測ニューラルネットワーク31を備えた運転制御装置であって、
前記ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31は、
前記ごみ焼却プラント設備からの廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる各種プロセスデータ34が導入され、
前記焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備え、
所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34に基づいて、所定期間の後半の発生蒸気量を予測し、出力する
運転制御装置。」
イ 甲第2号証
甲第2号証には、「モデル作成方法、プラントの運転支援方法及びモデル作成装置」に関し次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0005】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、プラントの仕様や燃料性状の変化に対応してプロセス値を精度良く予測することができるモデル作成方法、プラントの運転支援方法及びモデル作成装置を提供することである。」
(イ)「【0030】
まず、モデル作成方法がモデル化の対象とするプラントの一例として、ボイラプラント100の構成を示す。図1は、ボイラプラント100の概要図である。ボイラプラント100が備えるボイラ2は、固体燃料を燃焼させるよう構成されている。ボイラ2は、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉炭を火炉11の燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して蒸気を生成することが可能な石炭焚きボイラである。なお、燃料は石炭に限られず、バイオマス等、ボイラで燃焼可能な他の燃料であってもよい。さらに多種の燃料を混合して使用してもよい。」
(ウ)「【0040】
図2は、一実施形態に係るモデル作成方法を示すモデル作成フロー図である。図2に示すモデル作成方法では、燃料を燃焼するボイラプラント100における燃焼領域の画像データを活用して、ボイラプラント100の入力パラメータ(インプット)とプロセス値(アウトプット)との関係を示すモデルを作成する。本実施形態に係るモデルは、該モデルに入力された入力パラメータに基づいてプロセス値を予測(シミュレーション)するために用いられる。原則としてモデルはプロセス値ごとに作成されるが、これに限定されず1つのモデルで複数のプロセス値を出力するようにしてもよい。また、ここでは典型的な発電プラントとしてのボイラプラントを例に説明するが、以下で説明するモデル作成方法は、ボイラプラントに限らず、広く工業製品又は材料を生成するプラントにも適用可能である。例えば、燃料を燃焼するプラントとして、発電プラント以外に、蒸気供給プラント、製鉄プラントが例示される。
【0041】
まず、読込ステップS1において、プラント100の運転データと、プラント100の燃焼領域の画像データを読み込む。また、読込ステップS1で読み込まれる運転データは、プラントの仕様に関係する物理パラメータ又は燃料の性状に関係する燃料パラメータのうち少なくとも一方と、プラント100のプロセス値とを含む。読込ステップS1で物理パラメータを読み込む場合には、プラント100の構造、性能、又は設計条件のうち少なくとも一つに係るパラメータを物理パラメータとして読み込んでもよい。また、プラント100の燃焼領域の画像データは、プラント100に設置された画像センサSR1によって取得され、静止画および静止画の連続である動画の何れであってもよい。画像データの形式は、静止画であればTIFFやBMP、動画であればAVIに代表される非圧縮形式のデータであってもよいし、静止画であればJPEGやPNG、動画であればMPEGやMP4に代表される圧縮形式のデータであってもよい。
【0042】
次に、抽出ステップS2において、読込ステップS1で読み込んだ画像データの特徴量を抽出する。特徴量の計算は、装置の構成を適切に選ぶことで画像データの読み込みと並行して処理することが可能であり、画像データの容量が膨大になる場合でも全ての画像データの読み込みが終了する前から特徴量の計算処理を開始することができる。画像データの特徴量は、例えば、画像データに現れたり画像データに基づいて得られたりする燃焼領域の形、大きさ、色、濃淡、輝度、温度(温度分布)若しくは波長(波長分布)に係る情報であってもよいし、これらの情報のうち少なくとも一つの情報の変化量であってもよい。なお、変化量とは、空間的および/または時間的な変化量のことを指す。特徴量は典型的には画像データの輝度情報から計算される、画像データの特徴を数値化した情報である。」
(エ)「【0050】
次に、ステップS37において、読込ステップS1で読み込んだ運転データと画像データを用いてモデルの入力パラメータとプロセス値との関係を機械学習し、プラント100の入力パラメータとプロセス値との関係を示すモデルを作成する。例えば、読込ステップS1で読み込んだ運転データの一部と画像データの一部を用いて、入力パラメータ(物理パラメータ又は燃料パラメータの少なくとも一方と画像データ)とプロセス値との関係を機械学習し、プラント100の入力パラメータとプロセス値との関係を示すモデルを作成する。」
(オ)「【0057】
まず図3は、図2で作成したモデルを用いたシミュレーションの結果を、運転制御装置200に対する運転指示として与える運転指示フローを示したフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS61において、プラント100の運転データ、燃焼領域の画像データを読み込む(データ読込ステップ)。また、ステップ62において、図2に示した方法により作成したモデルを読み込む(モデル読込ステップ)。さらに、ステップS63では、ステップS2と同様にステップS6で読み込んだ画像データの特徴量を抽出する(抽出ステップ)。
【0059】
次に、シミュレーションステップS7において、シミュレーションを実施する。まずS71において、シミュレーション条件を設定する。シミュレーション条件とは、入力パラメータのセット、すなわちプラント100の仕様に関係する物理パラメータ又は燃料の性状に関係する燃料パラメータのうち少なくとも一方とプラント100の燃焼領域の画像データのセットのことである。
【0060】
ステップS72において、ステップS71で設定した入力パラメータのセットを図2に示した方法で作成したモデルに入力してシミュレーションを実施する。シミュレーションの結果として、プラント100のプロセス値(仮想プロセス値)が算出される。
【0061】
運転指示ステップS8では、プロセス値が所定条件を満たすように、運転制御装置200に対する運転指示値を算出する。まずステップS81において、シミュレーション結果を評価する。ステップS82では、仮想プロセス値が最適か否か(所定条件を満たすか否か)を判断する。最適でない場合は、ステップS71に戻りシミュレーション条件を再設定して、新たな仮想プロセス値を算出することを指示する。」
(カ)「【図2】
[図:0001423484000005.jpg]
」
上記記載事項及び図示事項からみて、甲第2号証には、以下の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。
[甲2記載事項]
「プラント100の運転データと、プラント100の燃焼領域の画像データを読み込み、燃焼領域の形、大きさ、色、温度若しくは波長に係る情報若しくは情報の変化量である画像データの特徴量を抽出し、読み込んだ運転データと画像データを用いてモデルの入力パラメータとプロセス値との関係を機械学習して、プラント100の入力パラメータとプロセス値との関係を示すモデルを作成し、プラント100の運転データ及びプラント100の燃焼領域の画像データの特徴量をモデルに入力し、プロセス値を算出し、算出したプロセス値により運転制御装置200の運転指示値を算出すること。」
ウ 甲第3号証
甲第3号証には、「焼却炉内のごみ量推定機能を備えた燃焼制御システム」に関し次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0022】
ストーカ5上を搬送されるごみの熱画像を炎越しに撮像するための撮像手段10が、炉本体2に取り付けられている。撮像手段10は、図1に示すように、燃焼ストーカ5dの下流側上方に取り付けられ、燃焼ストーカ5d及び乾燥ストーカ5cを撮像するように配置されている。
【0023】
炎や燃焼ガスで充満されている焼却炉内で大半を占めるのがH2OとCO2である。H2OとCO2からの熱放射エネルギーは、特定の波長領域でゼロ又はほぼゼロになることが知られており、そのような波長領域は、赤外領域である1.6μm付近及び3.9μm付近に存在する。
【0024】
従って、炎や燃焼ガスが充満した炉内で、炎や燃焼ガスが放射しない波長を中心波長とする狭帯域波長の赤外線だけを検出する撮像手段10を用いて炉内を撮影することにより、可視光カメラでは撮影しにくいごみを炎や燃焼ガスの影響を受けずに、炎越しに撮影することができる。
【0025】
そのため、撮像手段10は、1.6μm付近を中心波長とする狭帯域波長の近赤外線を選択透過させるフィルタを備える近赤外線カメラ10aと、3.9μm付近を中心波長とする狭帯域波長の中赤外線を選択透過させるフィルタを備える中赤外線カメラ10bと、を備えることにより、炎や燃焼ガスを通して炉内の内部状況をリアルタイムでビデオ映像として連続的に撮影することができる。撮像手段10は、近赤外線カメラ10a又は中赤外線カメラ10bの何れかを備えることもできる。
【0026】
ある実施例において、近赤外線カメラ10aは1.511μm~1.664μmの波長帯域の近赤外線のみを選択的に透過させるフィルタを備え、中赤外線カメラ10bは3.832μm~3.942μmの波長帯域の中赤外線のみを選択的に透過させるフィルタを備えている。
【0027】
撮像手段10によって撮像された炎越しの熱画像データは、リアルタイムでコントローラ11に送られる。図2は、炎越し熱画像の一例である。コントローラ11は、リアルタイムで送られてくる時系列の熱画像データから、ストーカ5上を搬送されるごみの量(体積)を推定するための演算を行う。その演算は、例えば、次の(1)~(4)の画像処理手順によって処理され得る。
【0028】
(1)図3の熱画像のイメージ図を参照して、熱画像上で、炉本体内の底部、即ちストーカ5の上面と炉本体内の左右側壁の内壁面2a、2bの各々とが交わる底辺L1、L2を設定する。底辺L1、L2は、ストーカ5のごみ搬送方向(図3の縦方向)に沿う左右両側縁である。底辺L1、L2は、ストーカ5上にごみが無い状態で撮像手段より撮像した画像データから予め設定され得る。熱画像上で底辺L1、L2が設定されれば、熱画像上における左右側壁の内壁面2a、2b上の点について、座標を特定することができる。
【0029】
(2)時系列で撮像された熱画像の画像処理により、熱画像上の内壁面2a、2bとごみとの境界線L3、L4を検出する。境界線L3,L4の検出方法として、時系列で撮像された熱画像にオプティカルフローが適用される。オプティカルフローにおいて、流れ成分の無い場所が内壁面2a、2bであり、流れ成分の有る場所がごみであると看做すことができる。熱画像(静止画像)のみではゴミの燃えカスなどで内壁面とごみとの色合いがはっきりしない部分では内壁面とごみとの境界が正確に検出できないが、オプティカルフローでは、色情報によらず、ごみの特徴点の動きで境界線L3、L4を検出するため、正確に境界線L3,L4を検出することができる。こうして内壁面2a、2bとごみとの境界を境界線L3、L4と判定し、境界線L3、L4の座標データをコントローラ11に格納する。オプティカルフロー自体は公知技術であるので、詳細な説明を省略する。」
上記記載事項からみて、甲第3号証には、以下の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている。
[甲3記載事項]
「ストーカ5上を搬送されるごみの熱画像を、炎や燃焼ガスが充満した炉内で、炎や燃焼ガスが放射しない波長を中心波長とする狭帯域波長の赤外線だけを検出する撮像手段10を用いて炎越しに撮影し、炎越しの熱画像データとし、熱画像の画像処理により、熱画像上の内壁面2a、2bとごみとの境界線L3、L4を検出すること。」
エ 甲第4号証
甲第4号証には、「ストーカ式焼却炉」に関し次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0040】
図3は、熱画像撮像部75の近傍を示す図である。熱画像撮像部75は、後壁部203に取り付けられる。詳細には、後壁部203において孔部2031が形成され、孔部2031の縁から外側(燃焼室2とは反対側)に突出する筒状部76が設けられる。筒状部76には、赤外線カメラである熱画像撮像部75の鏡筒(レンズチューブ)751が外部から挿入される。筒状部76の外側の端部は、熱画像撮像部75の本体752により閉塞される。熱画像撮像部75は、中心射影方式により火格子部21上のごみの熱画像を取得する。熱画像は、火格子部21上のごみの表面温度の分布を示す。実際には、熱画像撮像部75(の撮像デバイス)は、3.7~3.9マイクロメートル(μm)の特定波長(帯)において最大感度を有する。実質的に、熱画像撮像部75では、当該特定波長の赤外線を検出することにより、熱画像が取得される。」
(イ)「【0059】
続いて、図9に示すように、各教師画像において、複数の矩形領域58(図9中にて細い破線にて示す。)が設定される。複数の矩形領域58は、火格子部21と各側壁部204との境界に対応する存在領域53のエッジ531(存在領域53の横方向の端部におけるエッジであり、図9中にて太い破線にて示す。)から、上方に向かって伸び、当該エッジ531に沿って配列される。図9の例では、各エッジ531に沿って配列される矩形領域58の個数は、当該エッジ531に接しつつ当該エッジ531に沿って並ぶ分割領域59の個数と同じである。ごみ高さ演算部82では、ごみ領域51のエッジを検出することにより、各矩形領域58内におけるごみ領域51と側壁部領域52との境界位置が取得される。そして、各矩形領域58の下端から当該矩形領域58内における境界位置までの高さの平均値や中央値、最大値等が、境界高さとして求められる。各矩形領域58の境界高さは、例えば画素数にて表される。」
上記記載事項からみて、甲第4号証には、以下の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。
[甲4記載事項]
「熱画像撮像部75は、特定波長の赤外線を検出することにより、熱画像が取得されるとともに、各教師画像において、ごみ領域51のエッジを検出することにより、ごみ領域51と側壁部領域52との境界位置が取得されること。」
オ 甲第5号証(特許第6976696号公報)
特許異議申立人が提示した甲第5号証は、「プロセス管理支援装置および方法」に関し、以下の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0010】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたものである。その目的は、廃棄物焼却プラントやバイオマス燃焼プラントなどの燃焼プロセスにおいて、プロセスにおける焼却炉や燃焼炉に燃料として供給されるごみやバイオマスの供給量や特性が変動したときに、管理すべき性能管理指標が所定の範囲を逸脱することが無いようなプロセスの運転管理を可能とする、プロセス管理支援装置を提供することである。」
(イ)「【0049】
予測部13では、モデル構築部12で構築された回帰モデルに対して、データ収集保存部11で収集又は保存された、現在の時点t0及び現在の時点t0から遡った時点(t0-Δt1)、(t0-2Δt1)、・・・、(t0-nΔt1)における計測データの全部又は一部が入力され、1つ以上の性能管理指標の将来の時点(t0+Δt2)における予測値を算出する。」
(ウ)「【0056】
データ収集保存部11は、対象プロセス1を実施する装置に設置される各種のセンサ・制御器・監視カメラ等2から直接的に、又はプロセスの運転監視制御装置3を経由して間接的に、本運転管理支援装置10の機能を達成する上で必要となる複数の計測データを逐次取得する。なお、ここでいう計測データ(状態量及び/又は操作量)としては、対象プロセス1に設置されたセンサにおいて計測される温度、圧力、流量、濃度などの物理量のデータに加え、プロセスの運転監視制御装置に組み込まれた各種の制御器の入出力データや制御パラメータなどのデータや、プロセスの運転監視に用いられる監視カメラ等により得られる画像情報や、それらの画像情報を加工して得られる数値データなども含めることができる。
【0057】
モデル構築部12は、過去の時点t及び時点tから一定の0より大きい時間幅Δt1ごとに遡った時点(t-Δt1)、(t-2Δt1)、・・・、(t-nΔt1)における計測データの全部又は一部、及び/又はそれらの計測データから演算される1つ以上の変数を説明変数として、過去の時点tに対して0より大きい時間幅Δt2を加えた、時点(t+Δt2)における1つ以上の性能管理指標の値を目的変数とする回帰モデルを構築する。
【0058】
ここで、本実施形態における性能管理指標としては、対象プロセス1が実施された結果として生じる、例えば排出される排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、塩化水素、水銀などの有害物質の濃度などが含まれうる。また、プロセスから発生し、余熱利用のために用いられる回収蒸気あるいは回収温水の流量や、回収蒸気を熱源とする蒸気タービン発電機にて発生する発電電力量や、対象プロセス1の操業に要する用水・薬剤・燃料・電力等のユーティリティの使用量などが含まれうる。さらに、対象プロセス1の機械的健全性を維持するために管理すべき重要部の温度や圧力などが含まれうる。
【0059】
また、本実施形態におけるモデル構築部12で用いられる説明変数としては、焼却炉又は燃焼炉への燃料供給装置の運転速度やその電流値など、対象プロセス1における燃料であるごみやバイオマスの供給量や特性と関連性の高い計測値などが含まれうる。また、プロセス中の複数個所の温度や圧力、供給される用水や薬剤など、対象プロセス1における反応場の反応条件と関連性の高い計測値などが含まれうる。さらに、プロセスにおける各種の制御目標値と制御量の偏差や比率など、対象プロセス1における制御性能の良否と関連性の高い計測値などが含まれうる。これらの計測値から、着目する性能管理指標との関連性が高い変数を適宜抽出して用いるのがよい。」
(エ)「【0088】
例えば、性能管理指標がプロセスからの回収蒸気量など、通常の操業下において突発的なピークを生じることがなく、目標値の値に応じて、その目標値を中心とする正規分布に従うとみなせる物理量である場合には、線形回帰が適している。ただし、それらの説明変数として、例えばプロセス各部の温度のように、変数間の相関が強いものを選択して用いる場合には、主成分回帰又は部分最小二乗回帰を用いることで、多重共線性の影響を排除するのが望ましい。」
(オ)「【0098】
本実施形態におけるモデル構築部12では、以下のアルゴリズムによって、新たに得られた計測データにおける説明変数と目的変数の相関関係に最も類似度の高いデータセットを探索し、それらを用いて回帰モデルの構築が行われるように構成されている。なお、説明変数と説明変数との間の相関関係における類似度の高いデータセットを探索する方法も、以下のアルゴリズムと同様に行うことができる。」
上記記載事項からみて、甲第5号証には、以下の事項(以下、「甲5記載事項」という。)が記載されている。
[甲5記載事項]
「データ収集保存部11は、対象プロセス1に設置されたセンサにおいて計測される物理量のデータ、各種の制御器の制御パラメータなどのデータ、監視カメラ等により得られる画像情報や画像情報を加工して得られる数値データなどの計測データを取得し、
モデル構築部12は、過去の時点t及び時点tから遡った時点における計測データを説明変数として、過去の時点tに対して0より大きい時間幅Δt2を加えた時点における余熱利用のための回収蒸気の流量である性能管理指標の値を目的変数とした、新たに得られた計測データにおける説明変数と目的変数の相関関係に最も類似度の高いデータセットを用いて回帰モデルを構築し、
予測部13では、モデル構築部12で構築された回帰モデルに対して、データ収集保存部11で保存された、現在の時点t0及び現在の時点t0から遡った時点における計測データの全部又は一部が入力され、性能管理指標の予測値を算出すること。」
(4)対比及び判断
ア 取消理由について
(ア)本件発明6について
本件発明6と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ごみ焼却プラント設備」は、その機能、構成及び技術意義からみて、本件発明6の「廃棄物焼却炉」に相当する。同様に、甲1発明の「蒸気100」は本件発明6の「蒸気」に、甲1発明の「廃熱ボイラ2」は本件発明6の「蒸気発生部」に、甲1発明の「蒸気量」は本件発明6の「蒸気発生量」に、甲1発明の「ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31」は本件発明6の「制御部」に、甲1発明の「運転制御装置」は本件発明6の「情報処理装置」にそれぞれ相当する。
そうすると、甲1発明の「ごみ焼却プラント設備を構成する蒸気100を発生している廃熱ボイラ2が発生する蒸気量を予測するボイラ発生予測ニューラルネットワーク31を備えた運転制御装置であって、」は、本件発明6の「廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、」に相当する。
甲1発明の「廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる」ことは、ごみ焼却プラント設備を構成する焼却炉1の燃焼プロセス測定値(焼却炉1の出口酸素濃度及び出口温度)を含むものであるから、本件発明6の「複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含む」ことに相当する。そして、甲1発明の「各種プロセスデータ34」は本件発明6の「プロセスデータ」に相当する。また、甲1発明の「各種プロセスデータ34が導入される」ことは、各種プロセスデータ34をごみ焼却プラント設備から取得し、ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31に入力するための記憶部に格納させることは明らかであるから、本件発明6の「プロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納」することに相当する。
そうすると、甲1発明の「前記ごみ焼却プラント設備からの廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる各種プロセスデータ34が導入され、」は、本件発明6の「前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、」に相当する。
甲1発明の「焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備え」ることは、ごみ焼却プラント設備の焼却炉1に工業用テレビカメラ14及び画像処理装置を設け、焼却炉1内の廃棄物を含む領域を工業用テレビカメラ14で撮像した情報に基づいて画像データを取得又は生成し、運転制御装置に格納することであるから、本件発明6の「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納」することとは、「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、格納」することという限りで一致する。
甲1発明の「所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34に基づいて、所定期間の後半の発生蒸気量を予測し、出力する」ことは、ボイラ発生予測ニューラルネットワークに入力するための記憶部に格納されていた各種プロセスデータ34に基づいて、所定の予測時間後である所定期間の後半の発生蒸気量を予測し、該発生蒸気量に係る値を出力することであるから、本件発明6の「前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力」することとは、「前記記憶部から読み出した前記プロセスデータに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力」することという限りで一致する。
そうすると、両者は、以下の一致点並びに相違点1、相違点2及び相違点3を有する。
[一致点]
「廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、格納し、
前記記憶部から読み出した前記プロセスデータに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力する
情報処理装置。」
[相違点1]
「画像データ」に関して、本件発明6は、「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納し」、「前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データに基づいて、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して、蒸気発生量予測値を出力」するものであるのに対し、甲1発明は、「焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備え、所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34に基づいて、所定期間の後半の発生蒸気量を予測し、出力する」ものである点。
[相違点2]
本件発明6は、「前記画像データは、前記撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた、前記廃棄物焼却炉内の火炎が透過された状態の透過画像データ、または前記透過画像データに対して、前記廃棄物焼却炉内における前記廃棄物の存在領域と前記廃棄物以外の領域との境界が識別されて、前記境界の少なくとも一部を規定する境界線が描画された境界画像データである」のに対し、甲1発明は、画像データに関し、かかる事項を備えるものではない点。
[相違点3]
本件発明6は、「前記制御部は、前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである」ものを備えるのに対し、甲1発明は、かかる事項を備えるものではない点。
相違点について検討する。
事案に鑑み、はじめに相違点3について検討する。
相違点3に係る本件発明6の発明特定事項は、透過画像データを学習用入力パラメータとし、当該透過画像データに境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとした、機械学習により生成された学習モデルである境界識別学習モデルに、記憶部から読み出した透過画像データを入力し、境界画像データを出力するものといえる。しかしながら、甲2記載事項ないし甲5記載事項には、このような事項は開示されておらず、示唆もない。
特に、甲3記載事項は「熱画像の画像処理により、熱画像上の内壁面2a、2bとごみとの境界線L3、L4を検出すること」を開示し、甲4記載事項は「熱画像が取得されるとともに、各教師画像において、ごみ領域51のエッジを検出することにより、ごみ領域51と側壁部領域52との境界位置が取得されること」を開示するものの、透過画像データを学習用入力パラメータとし、当該透過画像データに境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとした、機械学習により生成された学習モデルである境界識別学習モデルを用いること、及び当該境界識別学習モデルを用いた境界画像データを出力することの開示はない。
そうすると、甲1発明に甲2記載事項ないし甲5記載事項を適用しても、相違点3に係る本件発明6の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明6は、相違点3に係る本件発明6の発明特定事項を備えることによって、「焼却炉において、所定時間後の蒸気発生量を予測することができ、推定した蒸気発生量に基づいて焼却炉を安定して制御することが可能となる。」という格別な効果を奏する。
したがって、相違点1及び相違点2について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)本件発明6を引用する本件発明10及び本件発明11について
本件発明6を引用する本件発明10及び本件発明11は、本件発明6を請求項10及び請求項11に記載される発明特定事項によりさらに特定したものである。そうすると、本件発明6を引用する本件発明10及び本件発明11も、本件発明6の上記相違点3を有する。
そして、上述したとおり、上記相違点3は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明6を引用する本件発明10及び本件発明11は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)本件発明13及び本件発明13を引用する本件発明14について
本件発明13及び本件発明13を引用する本件発明14と甲1発明とを対比すると、本件発明13及び本件発明13を引用する本件発明14は、本件発明6の検討で述べた相違点3に係る発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は係る事項を備えていない点で少なくとも相違する。
そして、上述したとおり、上記相違点3は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明13及び本件発明13を引用する本件発明14は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件発明6、本件発明6を引用する本件発明10及び本件発明11、本件発明13並びに本件発明13を引用する本件発明14は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7、請求項9ないし請求項14に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証から容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するから特許法第113条第2項の規定により特許を受けることができないと主張している。
そこで、以下、取消理由通知で採用しなかった特許異議申立人の主張を検討する。
(ア) 甲第1号証ないし甲第5号証の記載
甲第1号証の記載事項及び図示事項は、(3)で上述したとおりである。
そうすると、甲第1号証には、以下の発明(以後、「甲1発明2」という。)が記載されている。
[甲1発明2]
「ごみ焼却プラント設備を構成する蒸気100を発生している廃熱ボイラ2が発生する蒸気量を予測するボイラ発生予測ニューラルネットワーク31を備えた運転制御装置であって、
前記ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31は、
前記ごみ焼却プラント設備からの廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる各種プロセスデータ34が導入され、
前記焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備え、
所定期間の前半の各種プロセスデータ34と制御目標の相関係数を学習し、該学習に基づいて学習モデルが作成され、該作成された学習モデルに前記所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34を入力し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行う
運転制御装置。」
甲2記載事項ないし甲5記載事項も、(3)で上述したとおりである。
(イ)本件発明1
本件発明1と甲1発明2を対比する。
甲1発明2の「ごみ焼却プラント設備」は、その機能、構成及び技術意義からみて、本件発明1の「廃棄物焼却炉」に相当する。同様に、甲1発明2の「蒸気100」は本件発明1の「蒸気」に、甲1発明2の「廃熱ボイラ2」は本件発明1の「蒸気発生部」に、甲1発明2の「蒸気量」は本件発明6の「蒸気発生量」に、甲1発明2の「ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31」は本件発明1の「制御部」に、甲1発明2の「運転制御装置」は本件発明1の「情報処理装置」にそれぞれ相当する。
そうすると、甲1発明2の「ごみ焼却プラント設備を構成する蒸気100を発生している廃熱ボイラ2が発生する蒸気量を予測するボイラ発生予測ニューラルネットワーク31を備えた運転制御装置であって、」は、本件発明1の「廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、」に相当する。
甲1発明2の「廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる」ことは、ごみ焼却プラント設備を構成する焼却炉1の燃焼プロセス測定値(焼却炉1の出口酸素濃度及び出口温度)を含むものであるから、本件発明1の「複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含む」ことに相当する。そして、甲1発明2の「各種プロセスデータ34」は本件発明1の「プロセスデータ」に相当する。また、甲1発明2の「各種プロセスデータ34が導入される」ことは、各種プロセスデータ34をごみ焼却プラント設備から取得し、ボイラ発生予測ニューラルネットワーク31に入力するための記憶部に格納させることは明らかであるから、本件発明1の「プロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納」することに相当する。
そうすると、甲1発明2の「前記ごみ焼却プラント設備からの廃熱ボイラ2からの蒸気量、焼却炉1の出口酸素濃度、焼却炉1の出口温度、必要位置に設置された温度センサ、圧力センサ、流量センサの各出力等を用いる各種プロセスデータ34が導入され、」は、本件発明1の「前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、」に相当する。
甲1発明2の「焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備え」ることは、ごみ焼却プラント設備の焼却炉1に工業用テレビカメラ14及び画像処理装置を設け、焼却炉1内の廃棄物を含む領域を工業用テレビカメラ14で撮像した情報に基づいて画像データを取得又は生成し、撮影して運転制御装置に格納することであるから、本件発明1の「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納」することとは、「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、格納」することという限りで一致する。
甲1発明2の「所定期間の前半の各種プロセスデータ34と制御目標の相関係数を学習し、該学習に基づいて学習モデルが作成され」ることは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点である所定期間の前半の各種プロセスデータ34を学習用入力パラメータとし、制御目標を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである蒸気量予測学習モデルを作成することといえるから、本件発明1の「前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータおよび前記画像データを学習用入力パラメータとし、前記所定時点から前記予測時間だけ経過後の前記蒸気発生量の計測値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである」こととは、「前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータを学習用入力パラメータとし、値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである」こと、という限りで一致する。
甲1発明2の「該作成された学習モデルに前記所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34を入力し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行う」ことは、各種プロセスデータ34を該作成された該学習モデルに入力し、所定の予測時間後の蒸気発生量を予測することであるから、本件発明1の「前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記プロセスデータおよび前記画像データを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測して出力パラメータとして出力して蒸気発生量予測値を出力」することとは、「前記プロセスデータを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測」すること、という限りで一致する。
そうすると、両者は、以下の一致点並びに相違点4及び相違点5を有する。
[一致点]
「廃棄物焼却炉に設けられた蒸気を発生させる蒸気発生部における蒸気発生量を予測する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物焼却炉における複数の燃焼プロセス測定値および複数の制御値のうちの少なくとも1つを含むプロセスデータを前記廃棄物焼却炉から取得して記憶部に格納し、
前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、格納し、
前記プロセスデータを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測し、
前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータを学習用入力パラメータとし、値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
情報処理装置。」
[相違点4]
「画像データ」に関し、本件発明1は、「前記廃棄物焼却炉に設けられ、前記廃棄物焼却炉内の廃棄物を含む領域を撮像する撮像部が撮像した熱画像情報に基づいた画像データを取得または生成して、前記記憶部に格納」するのに対して、甲1発明2の「焼却炉1にごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置」は、記憶部に格納されるか不明な点。
[相違点5]
「前記プロセスデータを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の前記蒸気発生量を予測し、
前記蒸気量予測学習モデルは、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータを学習用入力パラメータとし、値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである」ことについて、本件発明1は、「前記制御部は、前記記憶部から前記透過画像データを入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記透過画像データを境界識別学習モデルに入力し、前記境界画像データを出力パラメータとして出力して、前記記憶部に格納し、前記境界識別学習モデルは、前記透過画像データを学習用入力パラメータとし、前記画像データに対して前記境界線が描画された境界画像データを学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである」ものを備えるのに対し、甲1発明2は、「所定期間の前半の各種プロセスデータ34と制御目標の相関係数を学習し、該学習に基づいて学習モデルが作成され、該作成された学習モデルに前記所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34を入力し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行う」ものを備える点。
そこで、事案に鑑み、相違点5について検討する。
相違点5に係る本件発明1の発明特定事項は、所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータおよび前記画像データを学習用入力パラメータとし、前記所定時点から前記予測時間だけ経過後の前記蒸気発生量の計測値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって蒸気量予測学習モデルを生成し、プロセスデータおよび前記画像データを蒸気量予測学習モデルに入力し、所定の予測時間後の蒸気発生量を出力パラメータとして出力するものといえる。
しかしながら、甲2記載事項ないし甲4記載事項には、このような事項は開示されておらず、示唆もない。
また、甲5記載事項は、「所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までのプロセスデータおよび画像データを説明変数とし、説明変数と目的変数の相関関係に最も類似度の高いデータセットを用いて回帰モデルを構築し、プロセスデータおよび前記画像データを回帰モデルに入力し、所定の予測時間後の回収蒸気の流量を目的変数として出力する」ことを開示するものといえる。しかしながら、甲5記載事項も、「所定の時間間隔で設定される所定時点から、所定の参照時間だけ遡った時点までの前記プロセスデータおよび前記画像データを学習用入力パラメータとし、前記所定時点から前記予測時間だけ経過後の前記蒸気発生量の計測値を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって蒸気量予測学習モデルを生成」することを開示するものではなく、示唆するものでもない。
そうすると、所定期間の前半の各種プロセスデータ34と制御目標の相関係数を学習し、該学習に基づいて学習モデルが作成され、該作成された学習モデルに前記所定期間の後半の前記各種プロセスデータ34を入力し、廃熱ボイラ2の発生蒸気量の予測を行うものである甲1発明2に甲2記載事項ないし甲5記載事項を適用しても、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明1は、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を備えることによって、「焼却炉において、所定時間後の蒸気発生量を予測することができ、推定した蒸気発生量に基づいて焼却炉を安定して制御することが可能となる。」という格別な効果を奏する。
したがって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)本件発明2ないし本件発明5
本件発明2ないし本件発明5は、本件発明1を請求項2ないし請求項5に記載される発明特定事項によりさらに特定したものである。そうすると、本件発明本件発明2ないし本件発明5も、本件発明1の上記相違点5を有する。
そして、上述したとおり、上記相違点5は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明2ないし本件発明5は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(エ)本件発明9
本件発明9は、本件発明1ないし本件発明5を請求項9に記載される発明特定事項によりさらに特定したものである。或いは、本件発明9は、本件発明6を請求項9に記載される発明特定事項によりさらに特定したものである。そうすると、本件発明9は、本件発明1の上記相違点5、或いは本件発明6の上記相違点3を有する。
そして、上述したとおり、上記相違点5は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。同様に、上記相違点3は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明9は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではなく、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(オ)本件発明1ないし本件発明5、本件発明9を引用する本件発明10及び本件発明11
本件発明1ないし本件発明5、本件発明9を引用する本件発明10及び本件発明11は、本件発明1ないし本件発明5、本件発明9を請求項10及び請求項11に記載される発明特定事項によりさらに特定したものである。そうすると、本件発明1ないし本件発明5、本件発明9を引用する本件発明10及び本件発明11も、本件発明1の上記相違点5、或いは本件発明6の上記相違点3を有する。
そして、上述したとおり、上記相違点5は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。同様に、上記相違点3は、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明1ないし本件発明5、本件発明9を引用する本件発明10及び本件発明11は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではなく、甲1発明及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
(カ)本件発明12及び本件発明12を引用する本件発明14
本件発明12及び本件発明12を引用する本件発明14と甲1発明2とを対比すると、本件発明12及び本件発明12を引用する本件発明14は、本件発明1の検討で述べた相違点5に係る発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は係る事項を備えていない点で少なくとも相違する。
そして、上述したとおり、上記相違点5は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明12及び本件発明12を引用する本件発明14は、甲1発明2及び甲2記載事項ないし甲5記載事項から容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおり、特許異議申立書における特許異議申立人の主張には理由がない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知にて通知した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1ないし請求項6及び請求項9ないし請求項14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし請求項6及び請求項9ないし請求項14に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
また、請求項7は、上記のとおり訂正により削除された。これにより、請求項7に係る特許に対する特許異議の申立は、申立の対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700301