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特許異議申立

2024-700350

ノズルおよびノズルの製造方法

審判番号
2024-700350
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-024187
登録番号
7364944
請求日
2024年04月16日
審決日
2026年05月12日
公報発行日
2026年08月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】品川リフラ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人R&C
  • 【異議申立人】金田 綾香
審判長/審判官
  • 審判長 本庄 亮太郎
  • 審判官 永田 和彦
  • 審判官 鈴木 貴雄
分類
P1652.121-YAA(B22D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7364944号発明「ノズルおよびノズルの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7364944号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~3〕、4について訂正することを認める。 特許第7364944号の請求項1、4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 特許掲載公報の発行までの経緯 特許第7364944号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和4年2月18日にされた特許出願であって、令和5年10月11日にその特許権の設定の登録がされ、同月19日に特許掲載公報が発行された。 2 特許異議の申立て以降の経緯 本件特許についての特許異議の申立て以降の主な経緯は、次のとおりである。 (1)令和6年4月16日 特許異議申立人 金田 綾香(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1及び4に係る特許に対する特許異議の申立て (2)令和6年6月27日付け 取消理由通知書による取消理由の通知(以下「取消理由通知」という。) (3)令和6年8月27日 特許権者 品川リフラクトリーズ株式会社(以下「特許権者」という。)による、訂正の請求及び意見書の提出 (4)令和6年9月12日付け 上記(3)の訂正の請求のために提出された訂正請求書に対する手続補正指令 (5)令和6年10月7日 特許権者による、手続補正書(方式)の提出 (6)令和6年10月22日付け 訂正の請求があった旨の通知 (7)令和6年11月20日 申立人による、意見書(以下「申立人意見書1」という。)の提出 (8)令和7年3月31日付け 取消理由通知書による取消理由(決定の予告)の通知(以下「決定予告1」という。) (9)令和7年5月21日 特許権者と審判合議体との面接審理 (10)令和7年5月30日 特許権者による、訂正の請求及び意見書(以下「特許権者意見書2」という。)の提出 (11)令和7年6月24日 特許権者による、手続補正書(方式)の提出 (12)令和7年9月2日付け 訂正の請求があった旨の通知 (13)令和7年10月3日 申立人による意見書(以下「申立人意見書2」という。)の提出 (14)令和7年12月24日付け 取消理由通知書による取消理由(決定の予告)の通知(以下「決定予告2」という。) (15)令和8年2月19日 特許権者と審判合議体との面接審理 (16)令和8年3月5日 特許権者による、訂正の請求(請求された訂正を以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求のために提出された訂正請求書を以下「訂正請求書3」という。)及び意見書(以下「特許権者意見書3」という。)の提出 (17)令和8年3月11日付け 訂正の請求があった旨の通知 (18)令和8年4月13日 申立人による意見書(以下「申立人意見書3」という。)の提出 3 付記 上記2(16)の訂正の請求がされたため、先にした上記2(3)及び2(10)の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の請求の趣旨及び本件訂正の内容 特許権者による本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書3に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める、というものであって、本件訂正の内容は、次のとおり整理することができる(訂正箇所に下線を付して示す。なお、訂正請求書3に説明された訂正事項とは順序・内容等が異なるが、請求の趣旨から逸脱するものではない。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含む」 と記載されているのを、 「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われている」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記筒状体が、前記酸化防止剤層の少なくとも一部を被覆する撥水剤層をさらに有する請求項1に記載のノズル。」 と記載されているのを、 「筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、 前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、 前記筒状体が、前記酸化防止剤層の少なくとも一部を被覆する撥水剤層をさらに有するノズル。」 に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する耐火モルタル層を形成する工程と、 前記筒状体をメタルケースに収容する工程と、を備え、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、 前記筒状体を形成する工程において、前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成する」 と記載されているのを、 「前記筒状体の側面に前記酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する耐火モルタル層を形成する工程と、 前記耐火モルタル層を形成した前記筒状体をメタルケースに収容する工程と、を備え、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、 前記筒状体を形成する工程において、前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成し、 前記筒状体を前記メタルケースに収容する工程において、前記筒状体の側面の全体を前記メタルケースで覆う」 に訂正する。 (4)訂正事項4 明細書の段落【0007】に、 「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含む」 と記載されているのを、 「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層、を有し、前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われている」 に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0008】に、 「前記酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する耐火モルタル層を形成する工程と、前記筒状体をメタルケースに収容する工程と、を備え、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体を形成する工程において、前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成する」 と記載されているのを、 「前記筒状体の側面に前記酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する耐火モルタル層を形成する工程と、前記耐火モルタル層を形成した前記筒状体をメタルケースに収容する工程と、を備え、前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体を形成する工程において、前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成し、前記筒状体を前記メタルケースに収容する工程において、前記筒状体の側面の全体を前記メタルケースで覆う」 に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0010】を削除する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0011】に、 「本発明に係るノズルは、一態様として、前記筒状体が、前記酸化防止剤層の少なくとも一部を被覆する撥水剤層をさらに有することが好ましい。」 と記載されているのを、 「本発明に係るノズルは、筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体が、前記酸化防止剤層の少なくとも一部を被覆する撥水剤層をさらに有する。」 に訂正する。 2 一群の請求項(特許法第120条の5第4項) 請求項1~3に関し、本件訂正前の(すなわち、特許掲載公報に記載された)請求項2~3は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1~3〕、及び、請求項4について、それぞれ訂正を請求するものである。 3 明細書の訂正と関係する請求項(特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項) 本件訂正のうち、明細書に係る訂正事項に関して、訂正請求書3の記載から、 明細書の段落【0007】を訂正する訂正事項4、段落【0010】を訂正する訂正事項6、及び段落【0011】を訂正する訂正事項7は、一群の請求項〔1~3〕と関係し(訂正請求書3の10~12ページ)、 明細書の段落【0008】を訂正する訂正事項5は、請求項4と関連する(訂正請求書3の16~17ページ)。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、独立特許要件について (1)一群の請求項〔1~3〕に係る訂正について ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1に記載された「酸化防止剤層」が被覆する筒状部材の部分について、「前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分」という事項を付加して限定するとともに、筒状体とメタルケースとの関係について、「前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われている」という事項を付加して限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 酸化防止剤層が、筒状部材の側面のうち耐火モルタル層及びメタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の図1における部分拡大図に、筒状部材を示す符号「21」、酸化防止剤層を示す符号「22」、耐火モルタル層を示す符号「4」及びメタルケースを示す符号「3」で示す各層が、左から右に向けて並んでいることにより、実質的に記載されている。 また、筒状体の側面の全体がメタルケースで覆われていることは、本件明細書等の段落【0018】に「本実施形態では、筒状体2の全体がメタルケース3に収容されており、筒状体2の側面の全体がメタルケース3で覆われている。これに対応して、筒状体2の全長とメタルケース3の全長とが実質的に等しい。」と記載されている。 したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載された事項を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (エ)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、請求項1を対象としているので、請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 また、本件訂正前の(すなわち、特許掲載公報に記載された)請求項2~3は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件特許異議の申立てがされていない請求項であるが、訂正事項2(下記イ)により、請求項1の記載を引用しないものとなり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されないため、独立特許要件の検討は要しない。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、請求項1の記載を引用する請求項2の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、請求項1の記載を引用する請求項2の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内において訂正するものである。また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更する訂正でないことは明らかである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)独立特許要件について 訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、本件特許異議の申立てがされていない請求項を対象とするか否かを問わず、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、本件明細書等の【0007】の記載を、訂正事項1に係る請求項1の記載と整合するように訂正するものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4の内容は、訂正事項1と同様のものであるから、訂正事項1と同様に特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)独立特許要件について 訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、本件特許異議の申立てがされていない請求項と関係するか否かを問わず、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項7について (ア)訂正の目的について 訂正事項7は、本件明細書等の【0011】の記載を、訂正事項2に係る請求項2の記載と整合するように訂正するものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項7の内容は、訂正事項2と同様のものであるから、訂正事項2と同様に特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)独立特許要件について 訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、本件特許異議の申立てがされていない請求項と関係するか否かを問わず、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項6について (ア)訂正の目的について 訂正事項6は、訂正事項7によって、本件明細書等の【0011】の記載と請求項2の記載が整合されることに合わせて、本件明細書等の【0010】を削除して、明細書の記載を整合させるものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項6は、明細書の記載を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内において訂正するものである。また、訂正事項6は、明細書の記載を整合させるものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更する訂正でないことは明らかである。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)独立特許要件について 訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、本件特許異議の申立てがされていない請求項と関係するか否かを問わず、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 (2)請求項4に係る訂正について ア 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、請求項4に記載された「耐火モルタル層を形成する工程」について、「前記筒状体の側面に」形成することを付加して限定し、「筒状体をメタルケースに収容する工程」について、筒状体が「前記耐火モルタル層を形成した」ものであることを付加して限定し、「酸化防止剤層を形成する」ことについて、「メタルケースに収容される部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分」に形成することを付加して限定するものである。 また、訂正事項3は、「筒状体をメタルケースに収容する工程」について、「前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆う」ことを付加して限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 筒状体の側面に耐火モルタル層を形成すること、及び、耐火モルタル層を形成した筒状体をメタルケースに収容することは、本件明細書等の【0030】に「筒状体2の外側に耐火モルタル層4を形成したのちに、筒状体2と耐火モルタル層4とを一体としてメタルケース3に挿入する」と記載されている。 また、メタルケースに収容される部分であって、筒状部材の側面のうち耐火モルタル層及びメタルケースに覆われる部分に酸化防止剤層を形成することは、訂正事項1と同様の事項であって、本件明細書等の図1に実質的に記載されている。 さらに、筒状体の側面の全体がメタルケースで覆われていることは、訂正事項1と同様の事項であって、上記(1)ア(イ)に示したように、本件明細書等の段落【0018】に記載されている。 したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項4に記載された事項を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (エ)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、請求項4を対象としているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 イ 訂正事項5について (ア)訂正の目的について 訂正事項5は、本件明細書等の【0008】の記載を、訂正事項3に係る請求項4の記載と整合するように訂正するものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5の内容は、訂正事項3と同様のものであるから、訂正事項3と同様に特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、請求項4を対象としているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の、いわゆる独立特許要件は課されない。 5 別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、訂正後の請求項2及び3について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項である請求項1とは別途訂正することを求めている。 6 本件訂正の適否のまとめ 以上のとおり、本件訂正は、訂正の要件を全て満たすものであるから、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書3に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~3〕、4について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~4に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」等という。)。 「【請求項1】 筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、 前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われているノズル。 【請求項2】 筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、 前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、 前記筒状体が、前記酸化防止剤層の少なくとも一部を被覆する撥水剤層をさらに有するノズル。 【請求項3】 前記撥水剤層が、黒鉛、カーボンブラック、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含む請求項2に記載のノズル。 【請求項4】 耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有する筒状体を形成する工程と、 前記筒状体の側面に前記酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する耐火モルタル層を形成する工程と、 前記耐火モルタル層を形成した前記筒状体をメタルケースに収容する工程と、を備え、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、 前記筒状体を形成する工程において、前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成し、 前記筒状体を前記メタルケースに収容する工程において、前記筒状体の側面の全体を前記メタルケースで覆うノズルの製造方法。」 第4 申立人が主張する申立ての理由の概要 1 申立書における申立ての理由について 本件訂正前の(すなわち、特許掲載公報に記載の)請求項1、4に係る特許に対する、申立人による申立書における特許異議の申立ての理由は、概略、次のとおりである。 ・ 申立理由1:特許法第29条第2項(同法第113条第2号) 請求項1、4:甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如 2 証拠方法 申立人及び特許権者から書証として提出された証拠は次のとおりである。 (1)申立人提出の証拠 ア 申立書に添付された証拠 甲第1号証:特開平3-180257号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証:特開2010-23057号公報(以下「甲2」という。) イ 申立人意見書1に添付された証拠 参考資料 :特開平11-277196号公報(以下「参考1」という。) ウ 申立人意見書2に添付された証拠 参考資料2:特開平6-99254号公報(以下「参考2」という。) (2)特許権者提出の証拠(特許権者意見書3に添付された証拠) 乙第1号証:飯田正和、「鋼の連続鋳造と耐火物」、日本セラミックス協会、セラミックス 54、No.3、2019年発行、147~150ページ 第5 決定予告2の概要 本件訂正前の(すなわち、上記第1の2(10)の訂正の請求により訂正がされた、令和7年5月30日提出の訂正特許請求の範囲の)請求項1及び4に係る発明に対して、当審から通知した決定予告2に示した取消理由1は、概略、次のとおりである(決定予告2の第5)。 ・ 取消理由1:進歩性 本件訂正前の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、参考2に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第6 本件発明1及び4に対する、取消理由1に基づく判断 本件訂正後の本件発明1及び4について、参考2に記載された発明を主引用発明とした場合の進歩性について、以下検討する。 1 参考2について (1)参考2の記載事項 参考2には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は鋼などの金属の連続鋳造において、取鍋とタンディッシュの間及び、タンディッシュとモールドの間で金属の溶湯の流下注入に使用されるロングノズルや浸漬ノズルなどの連続鋳造用ノズルの鋳造中でのその表面とその近傍での大気との接触に依る酸化劣化の抑制と低減に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の技術について鋼の連続鋳造を行なう上で、取鍋の底部の溶鋼排出孔に取付けられて、取鍋よりタンディッシュへ流下注入される溶鋼が大気と接触するのを防ぎ溶鋼の酸化を抑制し、そしてその際に発生する溶鋼のスプラッシュの飛散を防止すると共に、溶鋼流を整流化しながら取鍋よりタンディッシュへの溶鋼の注入を行う目的で使用する溶鋼流下通路用の耐火性ロングノズル(以下ロングノズルと称す)を例にして図1を参照しながら以下にその詳細を述べる。 【0003】鋼の連続鋳造に於いてロングノズルに求められる機能は、前記の様に鋼の溶湯が大気と接触して酸化することにより、鋳片の品質を低下若しくは著しく不安定化させる要因となる空気酸化を防ぐことや、流下注入される溶湯の乱流を防いで整流化して、タンディッシュの湯面近傍に介在するスラグや非金属介在物などの不純物の溶湯浴内への巻き込みを抑制すること等に依り鋳片品質への悪影響を軽減化せしめると共に、溶湯の飛沫の飛散を防ぎ、連続鋳造の操業の安全と安定を確保することなどであるが、このロングノズル1ではその材質構成として、一般的に溶鋼との接触部位をAl2O3-C質、タンディッシュパウダーやスラグと接触する所謂スラグライン部位をZrO2-C質として一体として成るものが多用されている。そしてこのロングノズル1は使用前におよそ700℃~1200℃の温度域での予熱の時や、更に高温域である鋳造時でのロングノズル外表面の空気酸化に依る材質劣化の進行を抑制するために、前記の予熱時や鋳造の時にその熱を受けてガラス化して、外表面と空気との接触を妨げる作用をする酸化防止剤を同面に塗布している。その材質例として、SiO2-Al2O3を主骨材として、珪酸カリなどをバインダーとしたものが実用化されているが、特に近時連続鋳造に於けるロングノズルの耐用を極めて長時間を可能とするものが求められる傾向が強く、この条件下でロングノズル1には溶鋼飛沫の外表面への付着と脱落及び、上方首部分でのロングノズル支持装置との嵌合及び同部位の補強などの目的で耐火性モルタルを介して装着一体化されているメタルケース7が、鋳造時にロングノズル1に加わる高熱の上昇と下降に伴って伸縮を繰り返して生ずるメタルケース7下端でのロングノズル首部8表面での位置ズレに依り、ガラス化した酸化防止剤被膜が部分的に破壊されてしまい、その後の時間経過に比例してこの酸化防止被膜の破壊さた部位(当審注:「破壊された部位」の誤記と認める。)から局部的乃至は広範囲に亘ってロングノズル1の材質が直に大気に曝され酸化が進行する。そして酸化に依りロングノズル外表面が材質劣化となり、その進行の程度が強いと内孔5での溶鋼に依る溶損と輻輳して貫通した穴の発生、所謂穴明きとなったり、酸化劣化に依る強度の低下から注湯時の衝撃などの外力に依って亀裂が発生し、折損や割損などが発生してロングノズルの寿命と信頼性を著しく低下させる要因となっていた。なを(当審注:「なお」の誤記と認める。)図中、2は金属溶湯非浸漬部外表面、3は金属溶湯浸漬部外表面、4は首部補強用フープ、6は金属溶湯浴面である。」 「【図1】 [図:0001438254000001.jpg] 」 「【0007】以上のことから鋼などの金属鋳造でのロングノズルの長時間の使用に対して、その外表面での材質の酸化が発生し難く、強度劣化とならず安定した連続鋳造の操業を可能ならしめるロングノズルの開発が待たれていたのである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は以上に述べた背景から、これらの問題点を解消することにより鋼などの金属の連続鋳造でのロングノズルの長寿命化と安定化を図って、連続鋳造の操業の長時間安定化と、鋳片品質の向上と安定化などを目的としてなされたものであって、その詳細について鋼等の連続鋳造を行うために使用されるロングノズルを例にして図2を参照しながら述べる。 【0009】本発明は鋼の連続鋳造に於いて、取鍋からタンデッッシュへ溶鋼を流下注入するのに鋼の溶湯が大気と接触して空気酸化し、鋳片品質へ悪影響をきたすことから溶湯と大気と接触を断つことや、溶融注入時のその飛沫の飛散を妨げ、そして流下溶湯の乱流の生成を抑制して鋼品質の安定化と操業の安全化か並びに安定化のために使用されるロングノズルの鋳造中において溶湯と接触しない外表面の大気との接触に依る酸化に対して、酸化し難い材質の同部への配置適用に依り酸化劣化を防止し、その信頼性を向上せしむるものである。」 「【0011】本発明はこのロングノズル1での金属溶湯非浸漬部外表面2にその厚さを1ミリメートルから15ミリメートルの範囲で、耐酸化性耐火材質層9を配置して一体としたもので、その材質構成として40~75重量%のAl2O3と1~30重量%のSiO2と、1~20重量%のSiCと10~30重量%のCを、そして1~10重量%フリットなどの低融ガラス成分とから成る耐酸化性材質としたもので、これら骨材を混合し有機バインダーを加えて混練し、粒度調整した坏土を前記Ai2O3-Cなどの本体部材質坏土と前記の配設となる様にモールド内へ充填し加圧成形した後焼成する事によって本発明のロングノズル耐火部材が得られる。」 「【図2】 [図:0001438254000002.jpg] 」 (2)参考2の記載事項の整理 上記(1)の記載事項から、参考2には、次の事項が記載されているといえる。 ア 参考2の図1には、従来の技術として、耐火性ロングノズルが示されており(段落【0002】)、当該ノズルは、タンディッシュとモールドの間で金属の溶湯を流下注入する際に使用される(段落【0001】)。 イ 図1の耐火性ロングノズル1は、「鋳造の時にその熱を受けてガラス化して」、外表面と空気との接触を妨げる作用をする酸化防止剤を外表面に塗布している(段落【0003】)が、耐火性ロングノズル1の外表面のどの範囲に塗布しているかは、明らかではない。なお、酸化防止剤が塗布される前の状態の耐火性ロングノズル1を、以下「耐火性ロングノズル1本体」という場合がある。 ウ 一般に、「ガラス化」は、液体や高分子が冷却される過程で、結晶化せずに非晶質(アモルファス)状態になる現象をいうから、上記イの「鋳造の時にその熱を受けてガラス化」する旨の記載は、鋳造時の熱で酸化防止剤が溶融した後に、冷却される過程で非晶質状態になることを意味すると理解できる。 エ 図1の耐火性ロングノズル1の上方首部8には、耐火モルタルを介してメタルケース7が装着されている。(段落【0003】) オ 図1の耐火性ロングノズル1には、鋳造時に高熱の上昇と下降が加わるため、メタルケース7が伸縮を繰り返し、メタルケース7の下端のロングノズル首部8の表面で位置ズレが生じ、ガラス化した酸化防止剤被膜が部分的に破壊されて、ロングノズル1の材質が酸化される。(段落【0003】) カ 図1からみて、耐火性ロングノズル1は円筒形状であるといえる。 キ 一方、参考2の図2には、図1の耐火性ロングノズル1の材質が酸化されるという課題(段落【0007】)を解決するために、耐火性ロングノズル1の本体の外表面に耐酸化性耐火材質層9を配置した(段落【0011】)ものが示されている。 ク 図2からみて、耐酸化性耐火材質層9の上端部は、メタルケース7の下端部と重なっているといえる。 (3)参考2発明 上記(1)~(2)から、参考2には、図1に関する次の発明(以下「参考2発明」という。)が記載されているといえる。 「円筒形状の耐火性ロングノズル1(上記(2)カ)と、前記耐火性ロングノズル1の上方首部8を収容するメタルケース7(上記(2)エ)と、前記耐火性ロングノズル1と前記メタルケース7との間の耐火モルタル(上記(2)エ)と、を備え、 前記耐火性ロングノズル1が、耐火性ロングノズル1本体と、前記耐火性ロングノズル1本体の外表面を被覆する酸化防止剤被膜と、を有し(上記(2)イ、オ)、 前記酸化防止剤被膜は、鋳造時の熱で溶融した後に、冷却される課程で非晶質状態になる酸化防止剤(上記(2)ウ、オ)を含み、前記耐火性ロングノズル1の上方首部8が前記メタルケース7で覆われている(上記(2)エ、図1)耐火性ロングノズル1。」 (4)参考2記載の技術的事項 上記(1)~(2)から、参考2には、図2に関する次の技術的事項(以下「参考2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「耐火性ロングノズル1の本体の材質が酸化される課題を解決するために、耐火性ロングノズル1の本体の外表面に耐酸化性耐火材質層9を配置することであって、 前記耐酸化性耐火材質層9の上端部は、メタルケース7の下端部と重なっていること。」 2 甲1について (1)甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている。 ア 「本発明の連続鋳造用ノズルは、耐火物製ノズル本体の外側に高粘度材料を螺旋状に巻いてその上に鉄皮をかぶせた連続鋳造用ノズルである。 その製造方法の一例を述べると、耐火物製ノズル本体を軸回りに回転させ、吐出手段を用いて高粘度材料を供給管に連続的に送り、供給管の端部を回転している耐火物製ノズル本体に沿って動かして高粘度材料をノズル本体の外側に螺旋状に密に塗布する。」(2ページ右上欄9行~最終行) イ 「耐火物製ノズル本体11は全体的に円筒形状をしていて、中央の貫通穴は溶湯の通路となる。ノズル本体を構成する耐火物としては、例えば高アルミナ質耐火レンガがある。」(2ページ左下欄下から4行~右下欄1行) ウ 「このようにすれば螺旋状に塗布されるモルタル12の厚さを一定にすることができる。」(3ページ左上欄最終行~右上欄2行) エ 「モルタルを塗布したら、鉄皮13をかぶせることによって、連続鋳造用ノズルが得られる。」(3ページ右上欄12~14行) オ Fig.2 「 [図:0001438254000003.jpg] 」 (2)甲1の記載事項の整理 上記(1)の記載事項から、甲1には、次の事項が記載されているといえる。 ア 甲1には、連続鋳造用ノズル(上記(1)ア)が記載されている。 イ 連続鋳造用ノズルは、円筒形状の耐火物製ノズル本体11(上記(1)イ)と、螺旋状に塗布されるモルタル12(上記(1)ウ)と、その上にかぶせた鉄皮13(上記(1)ア及びエ)と、を備えている。 ウ 上記イ及びFig.2(上記(1)オ)からみて、モルタル12は、耐火物製ノズル本体11と鉄皮13との間に存在するといえる。 エ 円筒形状の耐火物製ノズル本体11は、高アルミナ質耐火レンガから構成されている。(上記(1)イ) オ 上記イ及びFig.2(上記(1)オ)からみて、耐火物製ノズル本体11の側面の全体が鉄皮13で覆われているといえる。 (3)甲1発明及び甲1記載の技術的事項 上記(2)の技術的な事項から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)及び技術的事項(以下「甲1記載の技術的事項」という。)がそれぞれ記載されているといえる。 ア 甲1発明 「円筒形状の耐火物製ノズル本体11と、前記耐火物製ノズル本体11を少なくとも部分的に収容する鉄皮13と、前記耐火物製ノズル本体11と前記鉄皮13との間のモルタル12と、を備え、 前記耐火物製ノズル本体11が、高アルミナ質耐火レンガから構成され、 前記耐火物製ノズル本体11の側面の全体が前記鉄皮13で覆われている連続鋳造用ノズル。」 イ 甲1記載の技術的事項 「円筒形状の耐火物製ノズル本体11と、前記耐火物製ノズル本体11を少なくとも部分的に収容する鉄皮13と、前記耐火物製ノズル本体11と前記鉄皮13との間のモルタル12と、を備えた連続鋳造用ノズルであって、 前記耐火物製ノズル本体11が、高アルミナ質耐火レンガから構成され、 前記耐火物製ノズル本体11の側面の全体が前記鉄皮13で覆われていること。」 3 甲2について (1)甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「【0017】 本発明の溶融金属ノズル用耐火物およびその亀裂部からの大気吸引防止方法は、溶融金属ノズル用耐火物の外周面部に使用の所定温度で軟化または溶融して亀裂部を閉塞する亀裂閉塞材を塗布し、上記ノズル用耐火物の外周面部に熱スポーリングによる亀裂が発生したときに上記外周面部に塗布した亀裂閉塞材が軟化または溶融して亀裂部を閉塞して外気の空気を耐火物の内部に吸引するのを抑制することを特徴としている。」 「【0021】 この溶融金属ノズル用耐火物1としては、上記の取鍋、タンディッシュ等の溶融金属容器の底部に交換可能に装着して鋳造装置等に溶融金属を流出して金型等に注入するようにしているもので、図1のように上ノズル2、スライディングプレート3、中間ノズル4、下部ノズル5等が適用できる。・・・」 「【0024】 亀裂閉塞材13は、上ノズル2とスライディングプレート3の間、スライディングプレート3間、ノズル4とスライディングプレート3の間、上記ノズル4、5間の目地材6、7、8、9やパッキン材の外周部からこれらのノズル、スライディングプレート3の外側の周面部にわたって塗布することができる。また、亀裂閉塞材13は、上記ノズル2とスライディングプレート3の間の接合面、スライディングプレート3間の接合面、ノズル4とスライディングプレート3の接合面、上記ノズル4、5の接合面、およびこれらの外周面部にわたって塗布することもできる。特に、亀裂11、12は、上ノズル2や、中間ノズル4、下部ノズル5の上下端部の外周のコーナー部分から始まるため、図2(a)、(b)のようにこれらの上端面、下端面の外周面部の表面部に塗布しておくことが望ましいものであり、重要である。 【0025】 本発明は、ノズル用耐火物1の亀裂が発生する位置する上記した表面個所に、溶剤、上薬、酸化防止剤などのバインダー等の亀裂閉塞材13を予め塗布し、使用温度で溶融したり、液相化して亀裂部の表面を閉塞することで、亀裂からの大気吸引を抑制することである。塗布する亀裂閉塞材13は、その目地部分等の亀裂部が使用時に達する温度城で溶融し、亀裂部を覆うことで亀裂からの大気吸引を抑制するだけでなく、毛細管現象により耐火物の表面に発生した亀裂内に侵入して亀裂を閉塞することを特徴とする。・・・」 「【0030】 亀裂閉塞材14の塗布個所としては、メタルケース14を被覆しているノズル用耐火物1ではノズルの上端面、および下端面、これらの外周面、メタルケース14を被覆していない場合はその露出している耐火物の外周面の全面にわたって塗布することができる。・・・」 (当審注:「亀裂閉塞材14」は「亀裂閉塞材13」の誤記と認める。) 「【0032】 また、亀裂閉塞材13は、ノズル用耐火物1とメタルケースとの間に溜り部を設けて塗布したり、ノズル上部においては溶融液がノズル外へ流れ出さないように外部のメタルケースと耐火物との間や、メタルケース側、耐火物側、あるいその両方に亀裂閉塞材13を留める円周状の溝等の溜り部を設けることもできる。さらに、パッキングに亀裂閉塞材13を染みこませておき、パッキングを耐火物の上記した表面に密着して設置するようにしてもよい。 【実施例】 【0033】 表1は、本発明の実施例とその比較例を示すもので、亀裂閉塞材13として300~700℃で溶融するように主成分がAl2O3、P2O3、Na2O、K2Oの組成としたガラス粉末の釉薬を使用し、2cP~700Pの粘性の液状に溶剤を混合して調整し、図2(a)、(b)のように取鍋用のメタルケース付きの中間ノズル4の上面と下面、メタルケース付きの下部ノズル5の上面と下面に表のように種々の厚さとして塗布し、塗布しない比較例のものとをA製鉄所で試験した。」 「【図1】 [図:0001438254000004.jpg] 【図2】 [図:0001438254000005.jpg] 」 (2)甲2の記載事項の整理 上記(1)の記載事項から、甲2には、次の事項が記載されているといえる。 ア 甲2には、溶融金属ノズル用耐火物の亀裂部から、大気が吸引されることを防止する方法が記載されており、溶融金属ノズル用耐火物の外周面部に、使用の所定温度で溶融して亀裂部を閉塞する亀裂閉塞材を塗布することで、ノズル用耐火物の外周面部に亀裂が発生したときに、亀裂閉塞材が溶融して亀裂部を閉塞して外気の空気が耐火物の内部に吸引されることを抑制する。(段落【0017】) イ 外部のメタルケースと耐火物との間に、亀裂閉塞材13を留める円周状の溝等の溜り部を設けることができる(段落【0032】)ところ、当該メタルケースが、ノズル用耐火物1を被覆しているメタルケース14(段落【0030】)を意味することは明らかである。そして、段落【0024】、【0030】、【0033】には、メタルケース14を被覆しているノズル用耐火物1では、ノズルの上端面および下端面の、外周面部の表面に亀裂閉塞材13を塗布することが記載される。 ウ 段落【0030】、【0033】の記載、及び図2の図示内容から、甲2に記載の溶融金属ノズルは耐火物の側面の全体がメタルケース14で覆われているといえる。 (3)甲2記載の技術的事項 上記(2)の技術的な事項から、甲2には、次の技術的事項1~2(それぞれを以下「甲2記載の技術的事項1」等という。)が記載されているといえる。 ア 甲2記載の技術的事項1 「溶融金属ノズル用耐火物1と、前記耐火物1を少なくとも部分的に被覆するメタルケース14と、を備える溶融金属ノズルにおいて、 外部のメタルケース14と耐火物1との間の、ノズルの上端面、および下端面、これらの外周面に、円周状の溝等の溜り部を設けて塗布される亀裂閉塞材13を有し、 前記亀裂閉塞材13は、使用の所定温度で溶融すること。」 イ 甲2記載の技術的事項2 「溶融金属ノズル用耐火物1と、前記耐火物1を少なくとも部分的に被覆するメタルケース14と、を備える溶融金属ノズルにおいて、 前記耐火物の側面の全体が前記メタルケース14で覆われていること。」 4 参考1について (1)参考1の記載事項 参考1には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属容器用下部ノズルに係り、特に溶鋼の流量制御のためのスライディングノズル装置に使用される下部ノズルに関するものである。 【0002】 【従来の技術】スライディングノズル装置に使用される耐火物には、図2に示すように、溶融金属容器の底の排出口に取り付けられる上部ノズル31と、流量を制御するプレートれんが32と、プレートれんがの下に取り付けられた下部ノズル33がある。・・・これらの耐火物は、原料としてアルミナ質原料をベースに、カーボン、ジルコニア、金属粉等を使用したアルミナ系材質が一般的に使用されている。この耐火物は、使用時に予熱されることなく1600℃前後の高温の溶鋼が通過し、さらに何度も繰り返し使用されるため、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食性、耐摩耗性等が要求される。 【0003】このうち下部ノズルは、プレートれんがと浸漬ノズルまたはロングノズルとを接続する役割で使用されるものであるが、使用時には外部が空気に触れていることにより内孔と外周面との温度差が極めて大きくなるために、外周面から内孔に向かって亀裂が発生しやすい。亀裂が発生すると、亀裂から空気を吸い込むために鋼の品質が低下したり耐火物が局部的に溶損することがある。この溶損は、亀裂から吸い込んだ空気中の酸素により内孔面に接触している溶鋼が酸化され、耐火物を溶かしやすい酸化鉄になるために亀裂の周囲が局部的に溶損するものと推定される。この亀裂からの空気の吸い込みを防止する方法として、実開昭56-50564には図3に示すように下部ノズル本体41の側面のみをメタルケース42で覆うことが開示されている。」 「【図3】 [図:0001438254000006.jpg] 」 (2)参考1記載の技術的事項 上記(1)の記載事項から、参考1には、次の技術的事項1~3(それぞれを以下「参考1記載の技術的事項1」等という。)が記載されているといえる。そして、参考1は、本件明細書等の段落【0004】において、先行技術文献として提示されていることに加えて、上記(1)の記載事項は、参考1において従来の技術として示されることから、参考1記載の技術的事項1~3は、それぞれ本件特許の出願時における周知の技術的事項であったといえる。 ア 参考1記載の技術的事項1 「溶融金属容器の下部ノズルは、高温の溶鋼が通過する使用時に外周面から内孔に向かって亀裂が発生しやすく、当該下部ノズルに亀裂が発生すると、亀裂から空気を吸い込むために鋼の品質が低下したり、亀裂から吸い込んだ空気中の酸素により内孔面に接触している溶鋼が酸化され、耐火物を溶かしやすい酸化鉄になるために、亀裂の周囲の耐火物が局部的に溶損すること。」(上記(1)の段落【0003】) イ 参考1記載の技術的事項2 「下部ノズル本体41と、前記下部ノズル本体41を少なくとも部分的に被覆するメタルケース42と、を備える下部ノズル1において、 前記下部ノズル本体41の側面の全体が前記メタルケース42で覆われていること。」(上記(1)の段落【0003】、図3) ウ 参考1記載の技術的事項3 「溶融金属容器の下部ノズルに使用される耐火物には、原料としてアルミナ質原料をベースに、カーボン等を含有したアルミナ系材質のものが一般的に使用されていること。」(上記(1)の段落【0002】) なお、参考1記載の技術的事項3は、上記第1の2(3)の訂正の請求による訂正後の請求項1に係る発明の進歩性の判断のために決定予告1において参照したが、本件訂正後の本件発明1及び4の進歩性の判断では参照しない。 5 本件発明1の進歩性について (1)本件発明1と参考2発明との対比 本件発明1(上記第3)と参考2発明(上記1(3))とを対比すると、参考2発明の「円筒形状の耐火性ロングノズル1」が本件発明1の「筒状体」及び「ノズル」に相当し、以下同様に、「耐火性ロングノズル1本体」が「耐火物製の筒状部材」に、「前記耐火性ロングノズル1の上方首部8を収容するメタルケース7」が「前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケース」に、「耐火モルタル」が「耐火モルタル層」に、「酸化防止剤被膜」が「酸化防止剤層」に、「鋳造時の熱で溶融した後に、冷却される課程で非晶質状態になる酸化防止剤」が「ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤」に、それぞれ相当する。 また、参考2発明の「前記耐火性ロングノズル1本体の外表面を被覆する酸化防止剤被膜」と、本件発明1の「前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」とは、「前記筒状部材の側面のうち少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」の限りで一致する。 さらに、参考2発明の「前記耐火性ロングノズル1の上方首部8が前記メタルケース7で覆われている」ことと、本件発明1の「前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われている」こととは、「前記筒状体の側面の少なくとも上方が前記メタルケースで覆われている」限りで一致する。 以上から、本件発明1と参考2発明は、次の一致点で一致し、相違点1~2で相違する。 ア 一致点 「筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、 前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の側面のうち少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し、 前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み、前記筒状体の側面の少なくとも上方が前記メタルケースで覆われているノズル。」 イ 相違点1 前記筒状部材の側面のうち少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層に関し、 本件発明1においては、「前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分」であって、前記筒状部材の側面のうち「前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部」を被覆する酸化防止剤層であるのに対して、 参考2発明においては、筒状部材(耐火性ロングノズル1本体)の側面(外表面)のうち少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層(酸化防止剤被膜)が、メタルケース(メタルケース7)に収容されている部分であって、耐火モルタル層(耐火モルタル)および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆するものであるか不明である点。 ウ 相違点2 筒状体の側面の少なくとも上方がメタルケースで覆われていることに関し、 本件発明1においては、筒状体の側面の「全体が」メタルケースで覆われているのに対して、 参考2発明においては、筒状体(耐火性ロングノズル1)の「上方首部8が」メタルケース(メタルケース7)で覆われている点。 (2)相違点の判断 事案に鑑みて、相違点2から検討し(下記ア)、続いて、相違点2の検討結果を前提として相違点1の検討を行う(下記イ及びウ)。 ア 相違点2について (ア)甲1記載の技術的事項(上記2(3)イ)、甲2記載の技術的事項2(上記3(3)イ)及び参考1記載の技術的事項2(上記4(2)イ)からみて、次の点は本件特許の出願前において周知の技術的事項(以下「周知の技術的事項1」という。)であったといえる。 「筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に被覆するメタルケースと、を備えるノズルにおいて、 前記筒状体の側面の全体がメタルケースで覆われていること。」 (イ)参考2発明と周知の技術的事項1とは、いずれも、筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に被覆するメタルケースと、を備えるノズルである点で、技術分野が関連する。また、参考2発明は、ロングノズルや浸漬ノズルなどの連続鋳造用ノズルの鋳造中でのその表面とその近傍での大気との接触に依る酸化劣化の抑制と低減を図ることを課題とし(上記1(1)の段落【0001】、【0003】)、参考1記載の技術的事項2は、亀裂からの空気の吸い込みを防止する方法として示される(上記4(1)の段落【0003】)ことから、参考2発明と周知の技術的事項1とは、ノズル表面での大気の接触を抑制する点で解決しようとする課題も共通する。してみると、参考2発明に周知の技術的事項1を適用することには十分な動機があるといえる。 イ 相違点1について (ア)参考2発明の耐火性ロングノズル1について、酸化防止剤を耐火性ロングノズル1の外表面のどの範囲に塗布しているかは、参考2には具体的な記載がないため、明らかではない。 (イ)これに対して、参考2記載の技術的事項は、「耐火性ロングノズル1の材質が酸化される課題を解決するために、耐火性ロングノズル1の外表面に耐酸化性耐火材質層9を配置することであって、前記耐酸化性耐火材質層9の上端部は、メタルケース7の下端部と重なっていること。」であり、参考2記載の技術的事項の耐酸化性耐火材質層9は、参考2発明の酸化防止剤と同様に、耐火性ロングノズル1の材質が酸化されることを防止するものといえる。そして、耐酸化性耐火材質層9の上端部は、メタルケース7の下端部と重なる範囲に配置されている。 そうすると、参考2発明の耐火性ロングノズル1の酸化防止剤についても、参考2記載の技術的事項の耐酸化性耐火材質層9と同様に、酸化防止剤の上端部が、メタルケース7の下端部と重なる範囲まで塗布されている、と解するのが合理的であるといえる。 (ウ)そして、酸化防止剤の上端部がメタルケース7の下端部と重なれば、重なった部分では、筒状部材(耐火性ロングノズル1)のメタルケース(メタルケース7)に収容されている部分であって、筒状部材の側面のうち耐火モルタル層(耐火モルタル)及びメタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を酸化防止剤層(酸化防止剤)が被覆することになるといえる。 ウ 相違点2の判断を前提とした相違点1の判断 しかしながら、参考2発明に周知の技術的事項1を適用することを前提とした場合(上記ア)、酸化防止剤の上端部がメタルケース7の下端部と重なること(上記イ(ウ))は想定し得ない。以下詳述する。 (ア)参考2発明に周知の技術的事項1を適用し、参考2発明のメタルケース7の下端を耐火性ロングノズル1下端面、すなわち、金属溶湯浴面6よりも下方の金属溶湯浸漬部外表面3まで延長し、耐火性ロングノズル1の側面の全体をメタルケース7で覆うように変更した場合、当該メタルケース7により耐火性ロングノズル1の側面の大気との接触が抑制されるため、酸化防止剤による被覆を要する耐火性ロングノズル1本体の外表面の領域自体が存在しないものとなり、参考2発明においては必須であった耐火性ロングノズル1本体の外表面を被覆する酸化防止剤自体が不要になると解される。 (イ)このことは、甲2の段落【0030】に、亀裂閉塞材13の塗布個所として「メタルケース14を被覆していない場合はその露出している耐火物の外周面の全面にわたって塗布する」として記載されることからも、技術常識として裏付けられる。 (ウ)してみると、参考2発明に周知の技術的事項1を適用し、上記相違点2に係る本件発明1を想到することが容易であったとしても、その場合には、上記相違点1に係る本件発明1における「前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」との構成が、必然的に想到し得なくなる。 (エ)したがって、上記相違点1に係る本件発明1の構成と、上記相違点2に係る本件発明1の構成とを併せて想到することが、当業者にとって容易であったということができないから、本件発明1は、参考2発明から出発して、甲1~甲2及び参考1~参考2記載の各技術的事項並びに周知の技術的事項を参考としても、容易になし得たということはできない。 (3)申立人の申立人意見書3での主張について ア 申立人は、申立人意見書3において、概略、次の点を主張する。 (ア)甲1及び参考1からみて、筒状体の側面の全体がメタルケースで覆われていることは周知であること(申立人意見書3の1~3ページの第1)。 (イ)参考2発明に周知の技術的事項1を適用することには動機付けがあること(申立人意見書3の3~4ページの第2)。 (ウ)本件発明1の、筒状体の側面の全体がメタルケースで覆われていることによる空気の遮断の効果は、甲1や参考1の記載からみて、特有な効果ではない(申立人意見書3の4ページの第3)。 イ 上記主張について検討する。 上記ア(ア)~(ウ)の点は、上記(2)アのとおり申立人の主張に理があるといえるものの、上記(2)ウにて検討したように、参考2発明に周知の技術的事項1を適用した場合に、相違点1に係る本件発明1の構成を併せて想到することができないこととなるため、結論として申立人の主張を採用することはできない。 (4)本件発明1の進歩性の小括 以上から、本件発明1は、参考2発明、並びに、参考2記載の技術的事項、甲1記載の技術的事項、甲2記載の技術的事項1~2、参考1記載の技術的事項1~3、及び、周知の技術的事項1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 6 本件発明4の進歩性について (1)参考2方法発明 参考2には、ノズルに係る参考2発明だけでなく、参考2発明のノズルの製造方法に係る発明(以下「参考2方法発明」という。認定は省略する。)についても記載されているといえる。 (2)本件発明4と参考2方法発明との対比 本件発明4と参考2方法発明を対比すると、少なくとも、上記5(1)イ~ウに示した相違点1~2と同様の、次の相違点3~4で相違する。 ア 相違点3 筒状体を形成する工程に関し、 本件発明4においては、「前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分」であって、前記筒状部材の側面のうち「前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部」を被覆するように前記酸化防止剤層を形成」するのに対し、 参考2方法発明においては、筒状部材(耐火性ロングノズル1本体)の側面(外表面)のうち少なくとも一部を被覆するように酸化防止剤層(酸化防止剤被膜)を形成するにあたり、筒状体(耐火性ロングノズル1)のメタルケース(メタルケース7)に収容される部分であって、耐火モルタル層(耐火モルタル)および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部を被覆するように形成するか不明である点。 イ 相違点4 筒状体をメタルケースに収容する工程に関し、 本件発明4においては、筒状体の側面の「全体を」メタルケースで覆うのに対して、 参考2方法発明においては、筒状体(耐火性ロングノズル1)の「上方首部8を」メタルケース(メタルケース7)で覆う点。 (3)相違点の判断 上記相違点3~4に係る本件発明4の両構成は、上記5(2)ウで説示した相違点1~2に対する理由と同様の理由により、当業者が併せて容易に想到し得たものであるとはいえない。 また、申立人は、申立人意見書3において、上記5(3)アと同様の旨の主張をする(申立人意見書3の5ページの第4)が、上記5(3)イのとおり、採用することはできない。 (4)本件発明4の進歩性の小括 以上から、本件発明4は、参考2方法発明、並びに、参考2記載の技術的事項、甲1記載の技術的事項、甲2記載の技術的事項1~2、参考1記載の技術的事項1~3、及び、周知の技術的事項1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 7 本件発明1及び4に対する、取消理由1に基づく判断のまとめ したがって、本件発明1は、参考2発明、並びに、参考2記載の技術的事項、甲1記載の技術的事項、甲2記載の技術的事項1~2、参考1記載の技術的事項1~3、及び、周知の技術的事項1に基づいて、また、本件発明4は、参考2方法発明、並びに、参考2記載の技術的事項、甲1記載の技術的事項、甲2記載の技術的事項1~2、参考1記載の技術的事項1~3、及び、周知の技術的事項1に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項1及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第7 決定予告2で採用しなかった、申立理由1に基づく判断 本件訂正後の本件発明1及び4について、決定予告2で採用しなかった、申立理由1に基づく、甲1に記載された発明(甲1発明)を主引用発明とした場合の進歩性(なお、取消理由通知及び決定予告1では採用した。)について、以下検討する。 1 本件発明1の進歩性について (1)本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1(上記第3)と甲1発明(上記第6の2(3)ア)を対比すると、甲1発明の「円筒形状の耐火物製ノズル本体11」が本件発明1の「筒状体」及び「筒状部材」に相当し、同様に、「鉄皮13」が「メタルケース」に、「モルタル12」が「耐火モルタル層」に、「連続鋳造用ノズル」が「ノズル」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明の「前記耐火物製ノズル本体11が、高アルミナ質耐火レンガから構成され」と本件発明1の「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材と、前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層と、を有し」とは、「前記筒状体が、耐火物製の筒状部材を有し」の限りで一致する。 以上から、本件発明1と甲1発明は、次の一致点で一致し、相違点5で相違する。 ア 一致点 「筒状体と、前記筒状体を少なくとも部分的に収容するメタルケースと、前記筒状体と前記メタルケースとの間の耐火モルタル層と、を備え、 前記筒状体が、耐火物製の筒状部材を有し、 前記筒状体の側面の全体が前記メタルケースで覆われているノズル。」 イ 相違点5 本件発明1は、筒状体が「前記筒状部材の前記メタルケースに収容されている部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」を有し、「酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含」むものであるのに対して、甲1発明は、筒状体(耐火物製ノズル本体11)が、当該酸化防止剤層を有しているか不明である点。 (2)相違点の判断 ア 参考1記載の技術的事項1(上記第6の4(2)ア)として示したように、溶融金属容器の下部ノズルに亀裂が発生すると、亀裂から吸い込む空気により鋼の品質が低下したり、溶鋼が酸化されて、耐火物を溶かしやすい酸化鉄になるために耐火物が溶損することは、本件特許の出願前に周知の技術的事項(以下「周知の技術的事項2」という。)であった。 イ また、甲2には、溶融金属ノズル用耐火物の亀裂部から、大気が吸引されることを防止するように、甲2記載の技術的事項1(上記第6の3(3)ア)が開示されており、甲2記載の技術的事項1の「亀裂閉塞材13」が本件発明1の「酸化防止剤」に相当するといえる。 ウ 当業者であれば、甲1発明の連続鋳造用ノズルの耐火物製ノズル本体11においても、周知の技術的事項2の溶融金属容器の下部ノズルと同様に、ノズルを使用する際の高温により亀裂部が生じると、その亀裂から吸い込む空気により鋼の品質が低下したり、溶鋼が酸化されて、耐火物を溶かしやすい酸化鉄になって耐火物が溶損することを理解する。また、甲2の段落【0024】、【0030】の記載及び図2(a)、(b)の図示内容(上記第6の3(1))には、亀裂11、12が、上ノズル2や、中間ノズル4、下部ノズル5の上下端部の外周のコーナー部分から始まるため、亀裂閉塞材13が上端面、下端面の外周面部の表面部に塗布されることが示される。 してみると、甲1発明において、亀裂部から大気が吸引されることを防止するように、甲2記載の技術的事項を適用する動機があるといえる。 エ しかしながら、甲1発明に、甲2記載の技術的事項1を適用したとしても、上記相違点5に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者にとって容易であるとまではいえない。以下詳述する。 (ア)上記ウの動機に基づいて、甲1発明に甲2記載の技術的事項1を適用した場合、甲1発明の鉄皮13と耐火物性ノズル本体11との間の、ノズルの上端面、および下端面、これらの外周面に、円周状の溝等の溜り部を設けて塗布される亀裂閉塞材13を有することになるところ、円周状の溝等の溜り部に塗布された亀裂閉塞材13は、本件発明1の酸化防止剤と同様に、筒状部材のメタルケースに収容されている部分の少なくとも一部を被覆することになる。 (イ)しかし、甲1発明に係る連続鋳造用ノズルは、耐火物製ノズル本体11の外側にモルタル12を螺旋状に塗布してその上に鉄皮13をかぶせたものである(上記第6の(2)イ)ところ、甲2の段落【0032】の「亀裂閉塞材13は、ノズル用耐火物1とメタルケースとの間に溜り部を設けて塗布したり、ノズル上部においては溶融液がノズル外へ流れ出さないように外部のメタルケースと耐火物との間や、メタルケース側、耐火物側、あるいその両方に亀裂閉塞材13を留める円周状の溝等の溜り部を設ける」との記載を踏まえて、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用した場合には、甲1発明に係る連続鋳造用ノズルの上端面、下端面の外周面部の表面部の、耐火物製ノズル本体11と鉄皮13との間に、円周状の溝等の溜り部を設けることとなるといえる。具体的には、次の参考図1(特許権者意見書2の13ページの説明図4)の(A)~(M)のうち、(A)~(J)のいずれかのようになると解するのが相当である。 「参考図1:特許権者意見書2の[説明図4] [図:0001438254000007.jpg] [図:0001438254000008.jpg] 」 (ウ)すなわち、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用した場合には、耐火物製ノズル本体11と鉄皮13との間に、円周状の溝等の溜り部を設けるのであって、甲1発明における耐火物製ノズル本体11の外周側と、鉄皮13の内側に外在するモルタル12の内周側との間に、溜り部を設けることは想定されない。 オ また、甲1発明に参考2発明や参考2記載の技術的事項を適用することに関して併せて検討すると、その適用に動機があるということができない。すなわち、甲1発明に係る連続鋳造用ノズルにおいては、耐火物製ノズル本体11の側面の全体が鉄皮13で覆われているのであるから、第6の5(2)ウで検討したように、参考2発明や参考2記載の技術的事項の、耐火性ロングノズル1本体の外表面を被覆する酸化防止剤自体が不要になると解さざるを得ない。 カ したがって、相違点5に係る本件発明1の構成は、甲1発明から出発して、甲2記載の技術的事項1、参考2発明及び参考2記載の技術的事項、並びに、参考1記載の技術的事項1に例示される周知の技術的事項2を参考としたとしても、当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。 (3)申立人の申立人意見書2での主張について ア 申立人は、申立人意見書2において、概略、次の点を主張する。 (ア)参考2からみて、相違点5に係る本件発明1の「筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われている部分の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」との構成は、周知技術であること(申立人意見書2の1~2ページの第1)。 (イ)甲1発明に上記(ア)の周知技術を適用することには動機付けがあること(申立人意見書2の2ページの第2)。 (ウ)甲2における「ノズルの上端面、および下端面、これらの外周面」とは、「ノズルの上端面に連続する側面、下端面に連続する側面」に設けられた亀裂閉塞材と解釈されるのが相当であること(申立人意見書2の2~3ページの第3)。 (エ)甲2の段落【0032】の記載は、「亀裂閉塞材13は、ノズル用耐火物1とメタルケースとの間に溜り部を設けて塗布したり、ノズル上部においては溶融液がノズル外へ流れ出さないように外部のメタルケースと耐火物との間や、メタルケース側、耐火物側、あるいその両方に亀裂閉塞材13を留める円周状の溝等の溜り部を設けることもできる。」と、冒頭部分は、後に続く「ノズル上部」に関するものと区別して記載されるから、次の参考図2(申立人意見書2の4ページの図1)のような溜り部を設けたものが排除される理由がないこと(申立人意見書2の3~4ページの第4) 「参考図2:申立人意見書2の[図1] [図:0001438254000009.jpg] 」 イ 上記主張について検討する。 上記ア(ア)~(イ)の点については、上記(2)オのとおり、甲1発明に係る連続鋳造用ノズルにおいては、耐火物製ノズル本体11の側面の全体が鉄皮13で覆われているのであるから、参考2発明や参考2記載の技術的事項の、耐火性ロングノズル1本体の外表面を被覆する酸化防止剤自体が不要になると解さざるを得ないから、申立人の主張を採用することができない。 上記ア(ウ)の点については、甲2の段落【0024】の記載及び図2(a)(b)の図示内容(上記第6の3(1))によれば、ノズル4、5の接合面には、嵌合する凹凸面が存在するところ、「上端面、下端面の外周面部の表面部に塗布」との記載と併せてみれば、「ノズルの上端面に連続する側面、下端面に連続する側面」とは解釈されず、当該接合面の凹凸周囲の面と解するのが相当である。 上記ア(エ)の点については、甲2の段落【0024】の「亀裂11、12は、上ノズル2や、中間ノズル4、下部ノズル5の上下端部の外周のコーナー部分から始まる」との記載からみて、参考図1(上記(2)エ(イ))のような、上端部や下端部の外周のコーナー部に溜り部を設けると解するのが相当であって、参考図2のように、亀裂が生じるコーナー部分から離れた内部の位置にあえて配置することを想定し得ない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 (4)本件発明1の進歩性の小括 以上から、本件発明1は、甲1発明、並びに、甲2記載の技術的事項1、参考2発明、参考2記載の技術的事項、及び、参考1記載の技術的事項1に例示される周知の技術的事項2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本件発明4の進歩性について (1)甲1方法発明 甲1には、連続鋳造用ノズルに係る甲1発明だけでなく、甲1発明の連続鋳造用ノズルの製造方法に係る発明(以下「甲1方法発明」という。認定は省略する。)についても記載されているといえる。 (2)本件発明4と甲1方法発明との対比 本件発明4と甲1方法発明を対比すると、少なくとも、上記1(1)イに示した相違点5と同様の、次の相違点6で相違する。 ・ 相違点6 筒状体を形成する工程及び耐火モルタル層を形成する工程に関し、 本件発明4においては、「前記筒状部材の少なくとも一部を被覆する酸化防止剤層」を有する筒状体を形成する工程と、「酸化防止剤層を少なくとも部分的に包囲する」耐火モルタル層を形成する工程とを備え、「前記酸化防止剤層は、ノズルの使用温度帯において溶融する酸化防止剤を含み」、筒状体を形成する工程において、「前記筒状体の前記メタルケースに収容される部分であって、前記筒状部材の側面のうち前記耐火モルタル層および前記メタルケースに覆われる部分の少なくとも一部を被覆するように前記酸化防止剤層を形成」するのに対し、 甲1方法発明においては、筒状体(耐火物製ノズル本体11)を形成する工程において、当該「酸化防止剤層」を有する筒状体(耐火物製ノズル本体11)を形成するのか不明である点。 (3)相違点の判断 上記相違点6に係る本件発明4の構成は、上記1(2)で説示した相違点5に対する理由と同様の理由により、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 また、甲1発明に甲2記載の技術的事項1を適用する場合(上記1(2)エ)、甲2記載の技術的事項1の亀裂閉塞材13は、ノズルの上端面、および下端面、これらの外周面に、円周状の溝等の溜り部を設けて塗布されるのであるから、必然的に、甲1発明において筒状体(耐火物製ノズル本体11)をメタルケース(鉄皮13)に収容する工程の後に、酸化防止剤層(甲2の亀裂閉塞材13)を筒状体(耐火物製ノズル本体11)に形成することとなるとも解される。この点に関し、申立人は申立人意見書2で、工程順に関して一般的な手順であって参考2も同様の手順である旨主張する(申立人意見書2の4ページの第5)。しかし、甲2記載の技術的事項1の亀裂閉塞材13の塗布の位置(端面)は、参考2に開示される位置(側面)とは異なるため、当該主張を採用することもできない。 (4)本件発明4の進歩性の小括 以上から、本件発明4は、甲1方法発明、並びに、甲2記載の技術的事項1、参考2発明、参考2記載の技術的事項、及び、参考1記載の技術的事項1に例示される周知の技術的事項2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本件発明1及び4に対する、申立理由1に基づく判断のまとめ したがって、本件発明1は、甲1発明、並びに、甲2記載の技術的事項1、参考2発明、参考2記載の技術的事項、及び、参考1記載の技術的事項1に例示される周知の技術的事項2に基づいて、また、本件発明4は、甲1方法発明、並びに、甲2記載の技術的事項1、参考2発明、参考2記載の技術的事項、及び、参考1記載の技術的事項1に例示される周知の技術的事項2に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項1及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第8 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1及び4に係る特許は、当審から通知した決定予告2の取消理由1、及び、特許異議申立書に記載された申立ての理由(申立理由1)によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700350

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