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特許異議申立

2024-700509

情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム

審判番号
2024-700509
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-031773
登録番号
7390581
請求日
2024年05月31日
審決日
2026年01月19日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】荏原環境プラント株式会社
  • 【権利者代理人】大野 聖二
  • 【権利者代理人】野本 裕史
  • 【権利者】株式会社Ridge-i
  • 【権利者代理人】大野 聖二
  • 【権利者代理人】野本 裕史
  • 【異議申立人】金田 綾香
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 山本 崇昭
分類
P1651.121-ZDA(F23G) / P1651.537-ZDA(F23G) / P1651.4 -ZDA(F23G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第39条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7390581号発明「情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7390581号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、6ないし11及び14ないし19〕、2、4、5、12、13、20及び21について訂正することを認める。 特許第7390581号の請求項1及び3に係る特許を取り消す。 特許第7390581号の請求項6ないし11及び14ないし21に係る特許を維持する。 特許第7390581号の請求項2、4、5、12及び13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7390581号の請求項1ないし21に係る特許についての出願は、令和4年3月2日に出願され、令和5年11月24日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月4日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 5月31日 : 特許異議申立人金田綾香(以下「申立人」という。)による特許異議の申立て 令和6年 7月17日 : 特許権者による手続補正書の提出 令和6年 9月27日付け : 取消理由通知書 令和6年11月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年 2月20日 : 申立人による意見書の提出 令和7年 4月23日付け : 取消理由通知書(決定の予告) 令和7年 6月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年10月 8日 : 申立人による意見書の提出 なお、令和6年11月26日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否について 1 一群の請求項1ないし19の訂正について (1)訂正の内容 令和7年6月26日にされた訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)のうち、一群の請求項1ないし19についての訂正の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示すものである。以下同様。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「を備えたことを特徴とする」と記載されているのを「を備え、前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データである、ことを特徴とする」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし19も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項2に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の」に訂正する。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1、3、6のいずれかに記載の」に訂正する。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6または7に記載の」に訂正する。 ケ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1、3、6~8のいずれかに記載の」に訂正する。 コ 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~10のいずれかに記載の」に訂正する。 サ 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 シ 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 ス 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~11のいずれかに記載の」に訂正する。 セ 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項15に「請求項1~14のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~11、14のいずれかに記載の」に訂正する。 ソ 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~15のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~11、14、15のいずれかに記載の」に訂正する。 タ 訂正事項16 特許請求の範囲の請求項17に「請求項1~16のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~11、14~16のいずれかに記載の」に訂正する。 チ 訂正事項17 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~17のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項6~11、14~17のいずれかに記載の」に訂正する。 (2)訂正の適否について ア 一群の請求項について 訂正前の請求項1-19について、請求項2-19は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1-19に対応する訂正後の請求項1-19は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 訂正事項1 (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「撮像データ」を、「赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データである」ものと特定することで、発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、訂正前の請求項2並びに願書に添付した明細書の段落【0040】、【0041】及び【0070】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項2、4、5、11及び12 (ア)訂正の目的 訂正事項2、4、5、11及び12は、それぞれ、訂正前の請求項2、4、5、12及び13を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2、4、5、11及び12は、それぞれ、訂正前の請求項2、4、5、12及び13を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2、4、5、11及び12は、それぞれ、訂正前の請求項2、4、5、12及び13を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項2、4、5、11及び12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項3 (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1及び2を引用するものであったのを、訂正事項2により訂正前の請求項2が削除されたことに伴い、請求項1のみを引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正事項2により訂正前の請求項2が削除されたことに伴い、請求項1のみを引用するものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正事項2により訂正前の請求項2が削除されたことに伴い、請求項1のみを引用するものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項6及び7 (ア)訂正の目的 訂正事項6及び7は、請求項6及び7が引用する請求項について、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6及び7は、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6及び7は、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項6及び7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 カ 訂正事項8 (ア)訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7を引用していたのを、請求項1及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7を引用していたのを、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7を引用していたのを、請求項1ないし5を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7を引用していたのを、請求項1ないし5を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 キ 訂正事項9 (ア)訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の請求項9が請求項1~8を引用していたのを、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9は、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項9は、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ク 訂正事項10 (ア)訂正の目的 訂正事項10は、訂正前の請求項11が請求項1~10を引用していたのを、請求項1及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項10は、訂正前の請求項11が請求項1~10を引用していたのを、訂正事項2、4及び5により訂正前の請求項2、4及び5が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項10は、請求項11が引用する請求項について、請求項1ないし5を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項10は、請求項11が引用する請求項について、請求項1ないし5を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ケ 訂正事項13ないし17 (ア)訂正の目的 訂正事項13ないし17は、請求項14ないし18が引用する請求項について、請求項1及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項13ないし17は、請求項14ないし18が引用する請求項について、訂正事項2、4、5、11及び12により訂正前の請求項2、4、5、12及び13が削除されたことに伴い、請求項2、4、5、12及び13を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項13ないし17は、請求項14ないし18が引用する請求項について、請求項1ないし5、12及び13を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項13ないし17は、請求項14ないし18が引用する請求項について、請求項1ないし5、12及び13を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 コ 別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、請求項2、4、5、12、13に係る訂正事項は、引用形式請求項(従属項)を削除する訂正であって、「一群の請求項」に係る訂正とは別の訂正単位とすることを求めているので、これを認める。 2 請求項20の訂正について (1)訂正の内容について 本件訂正のうち、請求項20についての訂正の内容は、次のとおりである。 〔訂正事項18〕 特許請求の範囲の請求項20に「を含むことを特徴とする」と記載されているのを、「を含み、前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである、ことを特徴とする」に訂正する。 (2)訂正の適否 ア 訂正の目的 訂正事項18は、訂正前の請求項20に記載された「撮像データ」を、「赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである」ものと特定することで、発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項18は、訂正前の請求項2並びに願書に添付した明細書の段落【0040】、【0041】及び【0070】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項18は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項18に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 請求項21の訂正について (1)訂正の内容について 本件訂正のうち、請求項21についての訂正の内容は、次のとおりである。 〔訂正事項19〕 特許請求の範囲の請求項21を「を実行させることを特徴とする」と記載されているのを、「を実行させ、前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである、ことを特徴とする」に訂正する。 (2)訂正の適否について ア 訂正の目的 訂正事項19は、訂正前の請求項21に記載された「撮像データ」を、「赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである」ものと特定することで、発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項19は、訂正前の請求項2並びに願書に添付した明細書の段落【0040】、【0041】及び【0070】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項19は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項19に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 小括 上記のとおり、一群の請求項1ないし19についての訂正、請求項20についての訂正及び請求項21についての訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、6ないし11及び14ないし19〕、2、4、5、12、13、20及び21について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正による訂正後の請求項1ないし21に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明21」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部と、 前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、 を備え、 前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データである、 ことを特徴とする情報処理装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記第1評価軸は、被燃焼物の量、被燃焼物の質、被燃焼物の種類、被燃焼物の温度、燃焼ガス発生量、焼却炉の壁の温度のうちの少なくとも1つを含む、 ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 前記撮像データは、60秒以内の動画像データである、 ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。 【請求項7】 前記撮像データは、5秒以上の動画像データである、 ことを特徴とする請求項1、3、6のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項8】 前記分類ラベルは、あらかじめ定められた複数の分類項目のうちどれに該当するかを示すラベルと、複数の撮像データの間での相対的な順序、のうち少なくとも一方である、 ことを特徴とする請求項6または7に記載の情報処理装置。 【請求項9】 前記第1画像解析部は、焼却炉内の撮像データと、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせに対して、前記第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、前記焼却炉内の新たな撮像データと、新たなプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせを入力として前記第1評価軸での評価を行う、 ことを特徴とする請求項1、3、6~8のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項10】 前記プロセスデータは、前記撮像データの撮像時刻と前記センサの応答時刻との間のタイムラグを考慮したデータであり、 前記タイムラグは前記センサの応答速度、施設内での前記センサの設置位置、実験、シミュレーション、運転員の経験則のうち少なくとも1つに基づいて決定される、 ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。 【請求項11】 前記第1画像解析部は、焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の前記第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、前記焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行い、 前記燃焼状態判定部は、2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定する、 ことを特徴とする請求項6~10のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項12】(削除) 【請求項13】(削除) 【請求項14】 前記燃焼状態判定部は、燃焼状態の判定結果を、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量に応じて補正する、 ことを特徴とする請求項6~11のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項15】 前記燃焼状態判定部は、燃焼状態の判定結果に応じてアラートの表示または発報を行う、 ことを特徴とする請求項6~11、14のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項16】 前記燃焼状態判定部の判定結果に基づいて、クレーン制御装置および/または燃焼制御装置へ操作指示を送信する指示部をさらに備えた ことを特徴とする請求項6~11、14、15のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項17】 前記機械学習に用いられるアルゴリズムは、最尤分類法、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク(NN)、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォレストを用いた統計的推定、ブースティング、強化学習、ディープラーニングのうちの少なくとも1つを含む、 ことを特徴とする請求項6~11、14~16のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項18】 焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習することにより、前記第1学習済みモデルを生成するモデル構築部をさらに備えた ことを特徴とする請求項6~11、14~17のいずれかに記載の情報処理装置。 【請求項19】 請求項16に記載の情報処理装置と、 前記情報処理装置から送信された操作指示に基づいて、廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーンを制御する前記クレーン制御装置、および/または、焼却炉での廃棄物の燃焼を制御する前記燃焼制御装置と、 を備えたことを特徴とするシステム。 【請求項20】 コンピュータが実行する情報処理方法であって、 焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、前記焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップと、 前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定するステップと、 を含み、 前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである、 ことを特徴とする情報処理方法。 【請求項21】 コンピュータに、 焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、前記焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップと、 前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定するステップと、 を実行させ、 前記撮像データは、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データであって、60秒以内の動画像データである、 ことを特徴とする情報処理プログラム。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 訂正前の請求項1、3、8、14ないし21に係る発明に対し、当審において、令和7年4月23日に特許権者に通知した取消理由(決定の予告)(以下「決定の予告」という。)は、大略、以下のとおりである。 取消理由1.(進歩性)本件特許の請求項1、3、8、14ないし21に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、その発明に係る特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。 記 <引用文献等一覧> 甲第1号証 :特開2001-159915号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証 :特開2017-187228号公報(以下「甲2」という。) 甲第3号証 :特開平6-34118号公報(以下「甲3」という。) 特開昭61-83819号公報(以下「文献12」という。) 第5 甲号証等に記載された発明、事項等 1 甲1 甲1には以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。 (1)「【0019】 【発明の実施の形態】本発明の運転支援装置を実炉に付帯させた場合の形態を説明する。図1は運転支援装置のブロック図であり、本発明の運転支援装置は、焼却炉1とガイダンス演算装置2と表示装置3から構成されている。 【0020】焼却炉1では計測装置1aにより炉内の各種物理量が計測され、それらのデータがガイダンス演算装置2へ入力される。本実施形態では、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、および燃焼画像を計測値として用いている。」 (2)「【0023】以下、ガイダンス演算装置2の各部の処理内容について説明する。 (1)燃焼状態評価部 ガイダンス演算装置2における燃焼状態評価部2aの処理内容を図2のブロック図に示す。 【0024】燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。蒸発量偏差は蒸発量計測値と指令値との相対誤差より導出される。ごみ厚みは工業用カメラによる炉内燃焼画像のごみ部分の高さを検知することで得られる。燃え切り点は工業用カメラは炉内下流部から上流方向へ取り付けられているので、最も手前にある炎の位置を検出することで得られる。 【0025】このようにして、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィ演算を施す。その際用いるファジィルールを表1に示す。これらのファジィルールに従い、現在の燃焼状態を評価するために、計測量を入力として燃焼状態リスト各々における適合度を算出する。適合度とは現状の燃焼状態が表1内ファジィルールで定めたつまり各々の燃焼状態との近さを表し、値の大きいルールほど現在の燃焼状態に近いことを示す。なお、これらの燃焼状態リスト関連のデータは、図に示すように、燃焼状態蓄積装置5aに蓄積しておくと便利である。 【0026】適合度は各計測量の前件部に関する適合度をメンバーシップ関数より求めてから、燃焼状態毎に対応表に基づき、該当する適合度を積算することで算出する。各計測量における事象の適合度を図3に示す蒸発量偏差のメンバーシップ関数を例に挙げて説明する。蒸発量偏差がAであるとき、「蒸発量偏差が負である」という事象の適合度はa1(変数名は表1にも記載)、「蒸発量偏差が正である」という事象の適合度はa2である。 【0027】なお、事象の適合度は0以上1以下の値で表現される。同様に燃焼室温度、O2濃度、NOx濃度、ごみ厚み、燃え切りについてもそれぞれの事象についての適合度が事前に決定されているメンバーシップ関数により求められる。なお、メンバーシップ係数は個々の焼却炉または運転訓練装置に合わせて調整可能とする。 【0028】次に表1に示す対応表の燃焼状態毎に適合度を算出する。実際には、「蒸発量偏差が負」、「ガス混合室温度が低又は高」等の個々の事象の適合度の積により算出する。例えば、表1中Rule 1の燃焼状態「酸素過剰により燃焼不活発である」は、事象「ガス混合室温度が低」と事象「O2濃度が高」が、適合度の観点では関係がある。従って、これらの事象の適合度b1 とd2から、以下の式で適合度m1を導出する。 m1 = b1 × d2 (1) 【0029】同様に各燃焼状態の適合度m1,...,miを算出して、燃焼状態リスト から最も適合する燃焼状態を判別し、演算結果として図2に示す適合度m1,...,miを手動操作方法判別部2bに出力する。」 (3)「【0030】 【表1】 [図:0001436138000001.jpg] 」 (4)「【0037】次に、mfmをしきい値mborderと比較する。このしきい値mborder(0以上1以下)は、これよりmfmが小さい場合は燃焼状態として対処する必要がないと判別するためのものであり、予め設定しておく。従って、mfm < mborderならば、燃焼状態として対処する必要がない場合であり、燃焼が不良な状態ではない。そこで、「良好な燃焼状態である」のデータを表示し、燃焼状態回復の手動操作方法の表示は行わない。逆にmfm ≧ mborderならば、燃焼が良好ではない状態に該当するので、その燃焼状態の情報を表示装置3上に伝達する。 【0038】手動操作方法についても重要度r1 … rjを比較し、重要度の高い手動操作方法の情報を併せて表示装置3上に伝達する。表示装置側では渡された燃焼状態、手動操作方法の情報を読み込み、予め作成しておいたデータベースからガイダンス内容を抽出して表示する。 【0039】このようにして、表示装置3へ伝達された燃焼状態、手動操作方法のガイダンス表示例を図6に示す。表示する手動操作方法の数は最重要である手動操作方法のみでもいいし、重要度順に2、3個を表示しても良い。このようにして、燃焼状態に応じて複数の手動操作方法がガイダンス表示により習得できる。このことは、ごみ焼却炉プロセスが多変数干渉系であり、対処の方法も多くの場合複数考えられるので、ごみ焼却炉の手動操作方法習得においてより有効と考える。」 (5)「図2 [図:0001436138000002.jpg] 」 (6)「図3 [図:0001436138000003.jpg] 」 (7)「図6 [図:0001436138000004.jpg] 」 (8)上記(1)の段落【0020】から、計測装置1aは、ガイダンス演算装置2へ入力される炉内の各種物理量を計測すると認められる。 また、上記(2)の段落【0024】の「燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。」なる記載、段落【0025】の「現在の燃焼状態を評価するために、計測量を入力として燃焼状態リスト各々における適合度を算出する。」なる記載から、ガイダンス演算装置2の燃焼状態評価において、「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」が入力されると認められる。 そうすると、計測装置1aは、「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」を計測すると認められる。 さらに、上記(2)の段落【0024】の「燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。」、「ごみ厚みは工業用カメラによる炉内燃焼画像のごみ部分の高さを検知することで得られる。燃え切り点は工業用カメラは炉内下流部から上流方向へ取り付けられているので、最も手前にある炎の位置を検出することで得られる。」なる記載から、上記「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」について、炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することで「ごみ厚みの計測量」が得られるとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで「燃え切り点の計測量」が得られると認められる。 そうすると、計測装置1aは、炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得るとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで燃え切り点の計測量を得ると認められる。 (9)上記(1)の段落【0026】の「適合度は各計測量の前件部に関する適合度をメンバーシップ関数より求めてから、燃焼状態毎に対応表に基づき、該当する適合度を積算することで算出する。」なる記載、段落【0028】の「次に表1に示す対応表の燃焼状態毎に適合度を算出する。実際には、「蒸発量偏差が負」、「ガス混合室温度が低又は高」等の個々の事象の適合度の積により算出する。」なる記載、段落【0029】の「同様に各燃焼状態の適合度m1,...,miを算出して、燃焼状態リストから最も適合する燃焼状態を判別し」なる記載から、ガイダンス演算装置2は、ごみ厚みの計測量、燃え切り点の計測量から、各事象の適合度を求めてから、燃焼状態毎に対応表に基づき、該当する適合度を積算することで燃焼状態の適合度を算出し、燃焼状態リストから最も適合する燃焼状態を判別する、すなわち、ごみ厚みの計測量、燃え切り点の計測量に基づいて燃焼状態を判別すると認められる。 (10)上記(1)から、運転支援装置は、計測装置1aと、ガイダンス支援装置2とを備えるといえる。 (11)上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 〔甲1発明〕 「炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得るとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで燃え切り点の計測量を得る計測装置1aと、 前記ごみ厚みの計測量、燃え切り点の計測量に基づいて燃焼状態を判別するガイダンス演算装置2と、 を備え、 前記炉内画像データは、工業用カメラによる炉内燃焼画像である、 運転支援装置。」 2 甲2 甲2には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0040】 図3は、熱画像撮像部75の近傍を示す図である。熱画像撮像部75は、後壁部203に取り付けられる。詳細には、後壁部203において孔部2031が形成され、孔部2031の縁から外側(燃焼室2とは反対側)に突出する筒状部76が設けられる。筒状部76には、赤外線カメラである熱画像撮像部75の鏡筒(レンズチューブ)751が外部から挿入される。筒状部76の外側の端部は、熱画像撮像部75の本体752により閉塞される。熱画像撮像部75は、中心射影方式により火格子部21上のごみの熱画像を取得する。熱画像は、火格子部21上のごみの表面温度の分布を示す。実際には、熱画像撮像部75(の撮像デバイス)は、3.7~3.9マイクロメートル(μm)の特定波長(帯)において最大感度を有する。実質的に、熱画像撮像部75では、当該特定波長の赤外線を検出することにより、熱画像が取得される。 【0041】 熱画像撮像部75において、光学系の光軸J1を含む鉛直面上における画角は、例えば60度である。当該鉛直面に垂直であり、かつ、光軸J1を含む面上における画角は、例えば45度である。図1および図2では、符号Lを付す細線にて熱画像撮像部75による撮像範囲を示している。搬送方向における撮像範囲は、前傾斜壁部201の一部から第2後燃焼火格子252までである。幅方向における撮像範囲は、一方の側壁部204から他方の側壁部204までである。光軸J1を含む鉛直面は、一対の側壁部204に平行であり、両者の中央に位置する。当該鉛直面上において燃焼火格子24の表面と光軸J1とがなす角度は、好ましくは5度以上30度以下であり、例えば10度である。」 (2)「【0052】 次に、ごみ高さ演算部82が、熱画像からごみ高さ情報を取得する処理について説明する。ごみ高さ情報を取得するには、まず、機械学習により識別器821を構築する処理が事前準備として行われる。図6は、識別器821を構築する処理の流れを示す図である。 【0053】 識別器821の構築では、まず、熱画像撮像部75により取得される複数の熱画像が準備される(ステップS11)。図7は、熱画像の一例を示す図である。熱画像撮像部75では、ごみの燃焼時に生成される炭酸ガスや、火炎(輝炎)の影響を受けにくい特定波長の赤外線のみを検出することにより、図7に示すように、炭酸ガスや火炎の影響が除去された熱画像が取得される。実際には、火格子部21上におけるごみの堆積状態(ごみ高さの分布)が様々である複数の熱画像が準備される。画像処理部81では、複数の熱画像に対して平滑化処理等の画像処理が施される。当該画像処理が施された熱画像(多階調の画像)は、識別器821の学習に用いられる画像であり、以下、「教師画像」という。」 (3)「【0055】 ごみ高さ演算部82では、図9に示すように、各教師画像において火格子部21の存在領域53を分割した複数の分割領域59(図9中にて細い破線にて示す。)が設定される。複数の分割領域59は、図2を参照して説明した火格子部21上の分割領域29をそれぞれ示す。続いて、教師画像の各分割領域59に対して、ごみ高さを示すクラスが、習熟した運転員により教示される(ステップS12)。例えば、ごみが無い状態を0%とし、想定される最大高さを100%として、0~100%の範囲を分割した8個の区間をそれぞれ示す8個のクラスが設定され、当該8個のクラスのいずれかに、各分割領域59が割り振られる。例えば、1%は1cm(センチメートル)に相当する。」 (4)「【0058】 ごみ高さ演算部82では、教示単位領域591の入力高さに基づいて、教師画像の各分割領域59(に対応する火格子部21上の分割領域29)のごみ高さが算出される。各分割領域59のごみ高さは、例えば、当該分割領域59と重なる複数の教示単位領域591における入力高さの平均値または最大値である。各分割領域59のごみ高さは、当該分割領域59と重なる複数の教示単位領域591の面積に基づく重み付き平均値等であってもよい。そして、各分割領域59のごみ高さに基づいて、当該分割領域59に対して、ごみ高さの8個の区間をそれぞれ示す8個のクラスのいずれかが割り振られる。以上のように、ごみ高さ演算部82により教示作業が支援されることにより、教師画像の各分割領域59に対するクラスの決定(教示)を容易に、かつ、適切に行うことが可能となる。設定される複数のクラスの個数は、8以外であってよい。」 (5)「【0061】 例えば、図9中にて符号59aを付す分割領域に注目する場合、図10を参照して説明した場合と同様に、当該分割領域59aを含む注目領域590(図9中にて太線にて囲む。)が設定される。そして、注目領域590に含まれる複数の分割領域59の領域輝度と分割領域59aの領域輝度との差、および、当該注目領域590と部分的に重なる複数の矩形領域58の境界高さが、分割領域59aに対する複数の特徴量として取得される。各分割領域59に教示されたクラスと、当該分割領域59に対する複数の特徴量との組合せは、教師データとして扱われる。ごみ高さ演算部82では、他の種類の特徴量が用いられてもよい。 【0062】 学習部822では、未知の熱画像において、教師画像と同様にして設定される各分割領域のごみ高さを取得する部分識別器が、複数の教師データを用いて学習を行うことにより構築される。各分割領域の部分識別器の学習では、複数の教師画像において、当該分割領域と同じ位置の分割領域59に対する複数の教師データが用いられる。ここで、識別器(部分識別器)の構築とは、識別器が含むパラメータに値を付与したり、構造を決定すること等により識別器を生成することを意味する。部分識別器において用いられるアルゴリズムとしては、様々なものが採用可能であり、本実施の形態では、ファジィクラスタリング(例えばファジィc平均法)が利用される。 【0063】 既述のように、教師データは、複数(8個)のクラスのうちの1つのクラスを示し、ファジィクラスタリングを利用する部分識別器は、未知の熱画像の分類領域に対して、各クラスに属する度合いを示す帰属度(メンバシップ値)を出力する。制御システム8では、熱画像の複数の分類領域にそれぞれ対応する複数の部分識別器の集合が識別器(ここでは、FCM識別器)821として扱われる。このようにして、ごみ高さ演算部82において学習部822により識別器821が構築される(ステップS14)。運転員(人)が熱画像から各位置のごみ高さを決定する際には、熱画像中の当該位置と周囲との色合いの差や、ごみ領域51のエッジ等に基づいて、ごみの状態を無意識に三次元的に捉えていると考えられる。図6の処理により構築される識別器821では、熱画像中の当該位置および周囲の輝度や、ごみ領域51と側壁部領域52との境界位置に基づく複数の特徴量を用いることにより、運転員による上記決定に従った分類が可能となる。 【0064】 図11は、ごみ高さ情報を取得する処理の流れを示す図である。ごみ高さ情報の取得では、熱画像撮像部75により熱画像が取得され、画像処理部81を介してごみ高さ演算部82に入力される(ステップS21)。熱画像では、図9と同様に、複数の分割領域59および複数の矩形領域58が設定され、上記ステップS13と同様にして、各分割領域59に対して複数の特徴量が取得される(ステップS22)。各分割領域59に対する複数の特徴量は、当該分割領域59の領域輝度と、当該分割領域59の周囲の分割領域59の領域輝度との差を含む。また、当該複数の特徴量は、当該分割領域59近傍の矩形領域58における境界高さを含む。 【0065】 そして、各分割領域59に対する複数の特徴量が、当該分割領域59に対応する部分識別器に入力されることにより、当該分割領域59に対して、ごみ高さの8個のクラスの帰属度が分類結果として出力される(ステップS23)。ごみ高さ演算部82では、8個のクラスの帰属度の総和で、各クラスの帰属度を割って得た値が当該クラスの重みとして求められる。また、各クラスが示すごみ高さの範囲の中央値、最大値または最小値等が当該クラスの代表高さとして扱われる。 そして、代表高さと重みとを掛けて得た値の全てのクラスにおける総和、すなわち、全てのクラスに対する重み付き平均値が、当該分割領域59に対応する火格子部21上の分割領域29のごみ高さとして取得される(ステップS24)。これにより、搬送方向および幅方向における火格子部21上の各位置のごみ高さを示すごみ高さ情報が取得される。」 (6)「【0072】 焼却炉1では、火格子部21が、複数の搬送レーン210に分割され、各搬送レーン210において、乾燥火格子23によるごみの搬送速度と、燃焼火格子24によるごみの搬送速度とが、ごみ高さ情報に基づいて個別に制御される。これにより、各搬送レーン210において、搬送経路におけるごみ高さの分布を安定させることができ、ごみの燃焼をさらに安定させることができる。また、燃焼火格子24が、第1燃焼火格子241と、第2燃焼火格子242とを備え、第1燃焼火格子241によるごみの搬送速度と、第2燃焼火格子242によるごみの搬送速度とが個別に制御される。これにより、搬送経路におけるごみ高さの分布を、理想的な分布に近づける制御をより自在に行うことができる。 【0073】 さらに、乾燥火格子23と燃焼火格子24とに供給される空気の流量および温度が、ごみ高さ情報に基づいて個別に制御されることにより、ごみの燃焼をさらに安定させることができる。また、低空気比燃焼における排ガス中のNOxおよびCO(一酸化炭素)の発生量の低減等も実現することができる。なお、焼却炉1では、乾燥火格子23と燃焼火格子24とに供給される空気の流量または温度の一方のみが制御されてもよい。」 (7)「図1 [図:0001436138000005.jpg] 」 (8)上記(1)の段落【0041】の「熱画像撮像部75において、光学系の光軸J1を含む鉛直面上における画角は、例えば60度である。当該鉛直面に垂直であり、かつ、光軸J1を含む面上における画角は、例えば45度である。図1および図2では、符号Lを付す細線にて熱画像撮像部75による撮像範囲を示している。搬送方向における撮像範囲は、前傾斜壁部201の一部から第2後燃焼火格子252までである。幅方向における撮像範囲は、一方の側壁部204から他方の側壁部204までである。」なる記載、及び、上記(4)の焼却炉1における熱画像撮像部75による撮像範囲Lから、熱画像撮像部75は、焼却炉1内の熱画像を取得すると認められる。 (9)上記(2)の段落【0053】の「まず、熱画像撮像部75により取得される複数の熱画像が準備される(ステップS11)。」、「当該画像処理が施された熱画像(多階調の画像)は、識別器821の学習に用いられる画像であり、以下、「教師画像」という。」なる記載、上記(3)の段落【0055】の「ごみ高さ演算部82では、図9に示すように、各教師画像において火格子部21の存在領域53を分割した複数の分割領域59(図9中にて細い破線にて示す。)が設定される。」、「続いて、教師画像の各分割領域59に対して、ごみ高さを示すクラスが、習熟した運転員により教示される(ステップS12)。例えば、ごみが無い状態を0%とし、想定される最大高さを100%として、0~100%の範囲を分割した8個の区間をそれぞれ示す8個のクラスが設定され、当該8個のクラスのいずれかに、各分割領域59が割り振られる。」なる記載から、教師画像は、焼却炉1内の熱画像に対して、ごみ高さ情報を取得するためのごみ高さにおける8個のクラスが割り振られたものであると認められる。 (10)上記(5)の段落【0062】の「学習部822では、未知の熱画像において、教師画像と同様にして設定される各分割領域のごみ高さを取得する部分識別器が、複数の教師データを用いて学習を行うことにより構築される。各分割領域の部分識別器の学習では、複数の教師画像において、当該分割領域と同じ位置の分割領域59に対する複数の教師データが用いられる。」なる記載、段落【0063】の「制御システム8では、熱画像の複数の分類領域にそれぞれ対応する複数の部分識別器の集合が識別器(ここでは、FCM識別器)821として扱われる。このようにして、ごみ高さ演算部82において学習部822により識別器821が構築される(ステップS14)。」なる記載から、部分識別器は、教師画像において、分割領域と同じ位置の分割領域59に対する複数の教師データを用いて学習したものであると認められる。 (11)上記(5)の段落【0064】の「ごみ高さ情報の取得では、熱画像撮像部75により熱画像が取得され、画像処理部81を介してごみ高さ演算部82に入力される(ステップS21)。熱画像では、図9と同様に、複数の分割領域59および複数の矩形領域58が設定され、上記ステップS13と同様にして、各分割領域59に対して複数の特徴量が取得される(ステップS22)。」なる記載、段落【0065】の「各分割領域59に対する複数の特徴量が、当該分割領域59に対応する部分識別器に入力されることにより、当該分割領域59に対して、ごみ高さの8個のクラスの帰属度が分類結果として出力される(ステップS23)。」、「代表高さと重みとを掛けて得た値の全てのクラスにおける総和、すなわち、全てのクラスに対する重み付き平均値が、当該分割領域59に対応する火格子部21上の分割領域29のごみ高さとして取得される(ステップS24)。これにより、搬送方向および幅方向における火格子部21上の各位置のごみ高さを示すごみ高さ情報が取得される。」なる記載から、ごみ高さ演算部82は、部分識別器を用いて、焼却炉1内の熱画像を入力としてごみ高さ情報を取得するものであると認められる。 (12)上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容から、甲2には次の事項(以下「甲2記載事項1」~「甲2記載事項3」という。)が記載されている。 〔甲2記載事項1〕 「焼却炉1内の熱画像に対して、ごみ高さ情報を取得するためのごみ高さにおける8個のクラスが割り振られた教師画像において、分割領域と同じ位置の分割領域59に対する複数の教師データを用いて学習した部分識別器を用いて、焼却炉1内の熱画像を入力としてごみ高さ情報を取得するごみ高さ演算部82。」 〔甲2記載事項2〕 「赤外線カメラである熱画像撮像部75により取得された熱画像を用いて、ごみ高さ情報を取得すること。」 〔甲2記載事項3〕 「ごみ高さ情報に基づいて、乾燥火格子23によるごみの搬送速度と、燃焼火格子24によるごみの搬送速度と、乾燥火格子23と燃焼火格子24とに供給される空気の流量および温度が、個別に制御されること。」 3 甲3 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0012】図2に示すように、前記燃え切り位置検出手段Dは、被焼却物の搬送方向に沿って複数配置され炎の有無を受光強度に基づき検出するフォトセンサでなる光量検出手段D1と、前記燃焼帯7近傍の上方内壁面に複数配置され炉内の温度を検出する炉内温度検出手段D2と、被焼却物の搬送方向に沿って前記火格子Gに複数配置され前記火格子Gの温度を検出する火格子温度検出手段D3と、それらからの検出値に基づき各別に燃え切り地点を推定する複数の下位ニューラルネットワークN1,N2,N3と、各下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の出力を統合する上位ニューラルネットワークN4とで構成してある。」 上記記載事項から、甲3には次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。 〔甲3記載事項〕 「燃え切り位置検出手段Dを、炎の有無を受光強度に基づき検出するフォトセンサでなる光量検出手段D1と、炉内の温度を検出する炉内温度検出手段D2と、火格子Gの温度を検出する火格子温度検出手段D3と、それらからの検出値に基づき各別に燃え切り地点を推定する複数の下位ニューラルネットワークN1,N2,N3と、各下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の出力を統合する上位ニューラルネットワークN4とで構成すること。」 4 文献12 文献12には、以下の事項が記載されている。 「〔実施例〕 以下図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。第1図はこの発明のごみ焼却炉の燃焼制御法の構成を示すもので、21はテレビカメラである。このテレビカメラ21は上記第2図のテレビカメラ18と同じくストーカ15上のごみ燃焼状態を撮影するもので、その撮影信号がテレビ受像機22に送られて映像化される。ここで、この映像における各燃焼状態を示す情報が画像処理装置23によって算出される。すなわち、画面における燃焼完結位置x1,燃焼中心位置x2,燃焼域上限x3及び輝度の積分値Sが送出されるもので、これらの各情報はあいまい制御器24に入力される。あいまい制御器24は、入力された各情報により燃焼完結位置x1,燃焼範囲x3-x1,輝度積分値Sのそれぞれを、大中小3段階のあいまい集合として認識し、これからあいまい推論に基づいてごみ投入量を決定するフィーダ14の動き及びホッパ13へのごみ投入量を算出し、その算出結果データyをフィーダ14及びクレーン12の制御信号として出力する。これは、例えば、燃焼完結位置x1が「小」であり、また輝度積分値Sが「大」である場合はごみ投入量を多くするためにフィーダ14の動きを「大」とするよう制御するもので、燃焼状態に応じて通常10~50ケの制御動作を制御則として登録しておくものである。」(第2頁右上欄第8行~左下欄第15行) 上記記載事項から、文献12には次の事項(以下「文献12記載事項」という。)が記載されている。 〔文献12記載事項〕 「燃焼完結位置x1,燃焼範囲x3-x1,輝度積分値Sのそれぞれを、大中小3段階のあいまい集合として認識し、これからあいまい推論に基づいてクレーン12の制御信号を出力すること。」 第6 当審の判断 1 本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。 甲1発明の「炉内画像データ」は、「炉内」の「画像データ」であるから、本件発明1の「焼却炉内の新たな撮像データ」に相当する。 また、甲1発明の「ごみ厚み」及び「燃え切り点」は「第1評価軸」に、「計測量を得る」は「評価を行う」に、「計測装置1a」は「第1画像解析部」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲1発明の「炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得るとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで燃え切り点の計測量を得る計測装置1a」と、本件発明1の「焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」とは、「焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」の点に限り一致する。 甲1発明の「計測量」は、本件発明1の「評価結果」に相当し、以下同様に、「燃焼状態を判別する」は「現在の燃焼状態を判定する」に、「ガイダンス演算装置2」は「燃焼状態判定部」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲1発明の「前記ごみ厚みの計測量、燃え切り点の計測量に基づいて燃焼状態を判別するガイダンス演算装置2」は、本件発明1の「前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部」に相当する。 甲1発明の「運転支援装置」は、計測装置1a及びガイダンス支援装置2において、炉内画像データ、計測量等の情報を処理するものであるから、本件発明1の「情報処理装置」に相当する。 よって、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部と、 前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、 を備えた情報処理装置。」 〔相違点1〕 「焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」に関し、 本件発明1においては、「焼却炉内の撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」であるのに対して、 甲1発明においては、「炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得るとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで燃え切り点の計測量を得る計測装置1a」である点。 〔相違点2〕 「撮像データ」について、本件発明1においては、「赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データである」のに対し、甲1発明においては、「工業用カメラによる炉内燃焼画像」である点。 まず、相違点1について検討する。 甲1発明と甲2記載事項1は、ともにごみ焼却炉内の燃焼状況を撮像した画像によりごみ厚みを算出する技術であり、両者の技術分野は関連している。そして、入力信号から特定の事象を推定又は検出する際に、事象の推定又は検出の精度を向上させることは例示するまでもなく周知の技術課題であるから、甲1発明においても、当該技術課題は内包しているといえる。 してみると、甲1発明において、炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得る際の精度を向上させるために、甲2記載事項1を参照して、焼却炉1内の炉内画像データに対して、ごみ厚みにおける複数個のクラスが割り振られた教師画像において複数の教師データを用いて学習した部分識別器を用いて、ごみ厚みの計測量を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点2について検討する。 甲1発明と甲2記載事項2は、ともにごみ焼却炉内の燃焼状況を撮像する技術であり、両者の技術分野は関連している。そして、甲1発明の工業用カメラと甲2記載事項2の赤外線カメラは、焼却炉内のごみ厚みをカメラで計測するという機能を有しているから、甲1発明と甲2記載事項2との間で機能は共通しているといえる。そうすると、甲1発明に甲2記載事項2を適用する動機付けが存在する。 してみると、ごみ厚みを計測するために、甲1発明の工業カメラに替えて、甲2記載事項2に基づき赤外線カメラを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、全体として見ても、本件発明1が奏する作用効果は、甲1発明、甲2記載事項1及び甲2記載事項2から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。 よって、本件発明1は、甲1発明、甲2記載事項1及び甲2記載事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 本件発明3について 甲1発明の「ごみ厚み」は、本件発明3の「被燃焼物の量」に相当する。 そうすると、両者は、本件発明1と甲1発明との対比における上記1で述べた一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。そして、当該相違点1及び2についての判断は、上記1の相違点1及び2についての検討で述べたとおりである。 よって、本件発明3は、甲1発明、甲2記載事項1及び甲2記載事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 本件発明8及び14ないし19について 本件発明8及び14ないし19は、本件発明6又は本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに、本件発明8、11及び14ないし19において新たに特定される事項を付加したものである。 そして、本件発明6及び本件発明7は、下記「第7の2(2)ア及びイ」で述べるとおり、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件発明8及び14ないし19も、本件発明6及び本件発明7に対して示したものと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 本件発明20について 本件発明20は、その記載からみて、実質的に「情報処理装置」に係る発明である本件発明6(本件発明6のうち、本件発明1のみを引用する本件発明6)を、「情報処理方法」に係る発明としたものといえる。 したがって、本件発明20は、下記「第7の2(2)ア」において本件発明6に対して示した理由と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 本件発明21について 本件発明21は、その記載からみて、実質的に「情報処理装置」に係る発明である本件発明6(本件発明6のうち、本件発明1のみを引用する本件発明6)を、「情報処理プログラム」に係る発明としたといえる。 したがって、本件発明21は、下記「第7の2(2)ア」において本件発明6に対して示した理由と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 決定の予告において採用しなかった特許異議申立て理由について 1 決定の予告において採用しなかった特許異議申立書の取消理由の概要 申立人は、特許異議申立書において、以下の取消理由を主張する。 (1)取消理由1(特許法第29条第2項に係る取消理由) 請求項6、7及び9ないし13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、その発明に係る特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。 (2)取消理由2(特許法第36条第6項第1号に係る取消理由) 請求項1ないし10及び14ないし21に係る発明は、以下のとおり、特許請求の範囲に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものであり、その特許は特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきである。 本件明細書の【発明が解決しようとする課題】欄には、「燃焼状態には火炎の状態だけではなく被燃焼物に関する情報(たとえば、被燃焼物の量や質、種類)も影響する」こと、そして、「火炎の状況しか把握できない燃焼映像だけでは、たとえば被燃焼物の量の違いから実際は異なる燃焼状態であったとしても、同様の燃焼状態であると分類される可能性が高くなるため、プロセス値の予測・推定や燃焼状態の分類・予測・推定がうまくできない可能性がある」ことが記載されている(段落【0007】)。 しかしながら、請求項1では、「第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定する」ことが特定されているのみであって、請求項1の技術的範囲には、上記の課題を解決することができない、火炎の状態についての評価結果のみから燃焼状態を判定する構成が含まれている。 よって、請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものとなっている。 請求項2ないし10及び14ないし21についても同様である。 (3)取消理由3(特許法第39条第2項に係る取消理由) 請求項12に係る発明は、本件特許と同日の出願である下記の甲第11号証の特許の請求項2に係る発明と同一であり、かつ、下記の甲第11号証の特許の請求項2に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないものであるため、請求項12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 <引用文献等一覧> 甲第1号証 :特開2001-159915号公報(上記甲1) 甲第2号証 :特開2017-187228号公報(上記甲2) 甲第3号証 :特開平6-34118号公報(上記甲3) 甲第4号証 :特開2021-96046号公報(以下「甲4」という。) 甲第5号証 :特開平10-38243号公報(以下「甲5」という。) 甲第6号証 :特開2019-74240号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証 :特開2021-188880号公報(以下「甲7」という。) 甲第8号証 :特開平9-14630号公報(以下「甲8」という。) 甲第9号証 :特開平7-208733号公報(以下「甲9」という。) 甲第10号証:特公平7-54171号公報(以下「甲10」という。) 甲第11号証:特許第7391286号(以下「甲11」という。) 2 取消理由1についての当審の判断 (1)各甲号証の記載事項等 ア 甲1ないし甲3 甲1ないし甲3の記載事項等は、上記「第5の1」ないし「第5の3」のとおりである。 イ 甲4 甲4には、以下の事項が記載されている (ア)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 燃焼設備において被焼却物を燃焼させる火炎の状態は、当該火炎が生ずる前のフィーダおよび乾燥段における被焼却物の燃焼状況により変化する。しかし、撮影画像おいて、フィーダおよび乾燥段の被焼却物は火炎により遮られるため、フィーダおよび乾燥段における燃焼状態の把握は困難である。 本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、燃焼装置の状態特定装置、状態特定方法およびプログラムを提供することを目的とする。」 (イ)「【0021】 カメラ220は可視カメラおよび赤外カメラを有するカメラである。カメラ220が撮影する処理画像は、フィーダ31と、乾燥段21と、燃焼段22と、後燃焼段23と、が写る画像である。カメラ220が生成する処理画像には、被焼却物400から発生する輝炎が写る。上記赤外カメラは、火炎透過画像と温度分布画像を撮像できる。火炎透過画像と温度画像とは、赤外カメラが測定する赤外線の波長が異なる。赤外カメラは火炎を透過できる波長の赤外線を受け入れて火炎透過画像を撮像する。他方、赤外カメラは、火炎透過画像とは異なる波長の赤外線を受け入れて温度分布画像を撮像する。」 (ウ)「【0024】 輝度特定部320は、画像取得部310がカメラ220から取得した可視カメラおよび赤外カメラが撮影した処理画像を受け入れる。以下、可視カメラが撮影した処理画像を可視画像といい、赤外カメラが撮影した処理画像を赤外画像という。また、赤外画像には、火炎透過画像と温度分布画像がある。カメラ220の位置は固定されているため、カメラ220が撮影した処理画像におけるフィーダ31と、乾燥段21と、燃焼段22と、後燃焼段23のそれぞれが写る領域は特定できる。」 (エ)「【0031】 また、乾燥段21において乾燥が行われた被焼却物400の温度は、乾燥が行われていない被焼却物400の温度より高くなるため、状態特定装置300は、火炎透視画像の乾燥段21が写る領域の輝度で被焼却物400の乾燥の度合いを把握することができる。すなわち、火炎透視画像の乾燥段21が写る領域が高い輝度を示す場合、乾燥段21に存在する被焼却物400の温度が高く、被焼却物400が十分に乾燥されていることが分かる。しかし、火炎透視画像の乾燥段21が写る領域が低い輝度を示す場合、乾燥段21に存在する被焼却物400の温度が低く、被焼却物400が十分に乾燥されてないことが分かる。 【0032】 また、火炎透視画像の乾燥段21が写る領域における輝度の標準偏差が高くなる場合、乾燥段21に存在する被焼却物400の温度にバラツキが生じているために、乾燥段21に存在する被焼却物400の量が多く、高さ方向に被焼却物400が高く堆積していることが分かる。他方、火炎透視画像の乾燥段21が写る領域における輝度の標準偏差が低く、高さ方向に被焼却物400が低く堆積している場合、乾燥段21に存在する被焼却物400の温度にバラツキが生じておらず、乾燥段21に存在する被焼却物400の量が少ないことが分かる。 【0033】 点特定部330は、輝度特定部320が特定した可視画像の明るいメッシュと暗いメッシュに基づいて、被焼却物400の燃焼による火炎Fの搬送方向Da後側の端である燃え切り点Zを特定する。具体的には、点特定部330は、以下の動作で燃え切り点Zを特定する。 【0034】 点特定部330は、輝度特定部320が処理画像の特定を特定してメッシュに分けたデータを受け入れて、当該処理画像における明るいメッシュのうち、最も下方のものの位置を特定する。当該明るいメッシュと、フィーダ31及び乾燥段21が接続する点を基準との距離を特定して、燃え切り点Zを特定する。例えば、上記距離が2.5Mである場合、燃え切り点は2.5Mと特定される。 【0035】 温度特定部340は、画像取得部310がカメラ220の温度分布画像に基づいて、後燃焼段23の温度を特定する。例えば、温度特定部340は、予め設定された閾値を超える温度を示す部分が、後燃焼段23の処理画像において、下部に位置するか、中部に位置するか、上部に位置するかを特定する。 【0036】 状態特定部350は、輝度特定部320が特定した可視画像の輝度及び火炎透視画像の輝度に基づいて燃焼状態を特定する。本実施形態において燃焼状態は、「安定燃焼」、「不均一燃焼」、「早期燃焼」、「フィーダ燃焼」、「乾燥不良」、「燃え切り不良」、「境界不良」の何れかの状態を指す。」 (オ)「【0075】 モデル生成部370は、乾燥段21の輝度を含む入力サンプルと、当該乾燥段21の燃焼状態を含む出力サンプルからなるデータセットを用いた教師あり学習によって学習させられた学習済みモデルを生成して、モデル記憶部380に記録する。例えば、モデル生成部370は、可視画像の輝度の値を入力サンプルとする。また、モデル生成部370は、燃焼状態が「乾燥不良」であるか否かに関連付けられた値を出力サンプルとする。モデル生成部370は、上記輝度の値を入力サンプルとし、上記燃焼状態を現す値を出力サンプルとするデータセットを用いて、CNN(Convolutional Neural Network)の手法を用いて、学習済みモデルを学習させる。上記学習済みモデルとは、上記輝度の値と、上記燃焼状態の値と、重みとが関連付けられた関係式である。」 ウ 甲5 甲5には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題に対し鋭意研究した結果、ニューラルネットワークを運転中の燃焼装置から教師データをオンラインで得て、そのデータを利用してニューラルネットワークを新たに生成し、その生成されたニューラルネットワークにより稼働中のニューラルネットワークを燃焼装置の稼働中に更新することにより前記課題が氷解されることを見出し、本発明を完成するに至った。」 (イ)「【0027】特徴パラメータ抽出・生成手段24は、得られた新しい表色系での成分値あるいはRGB表色系の画像データから1画面の燃焼状態を表す特徴パラメータを抽出あるいは生成するものである。例えば、I,Qの1画面当りの平均値を算出して、その値を特徴パラメータとして抽出したり、あるいはY,I,Qの一画面平均値に対する時間的な傾き、例えば30秒間の傾きや15秒間の傾きを算出したり、R,G,Bの一画面平均値に対する時間的な傾き、例えば30秒間の傾きや15秒間の傾きを算出したり、Y,I,Qの各種組合せの和や差、例えばY+I,Y+I+Q,Y-Qなどを算出したり、R,G,Bの各種組合せの和や差、例えばR-B,R+G+Bなどを算出したりして、特徴パラメータを生成するものである。」 (ウ)「【0032】可変ニューラルネットワーク手段42は、入力された特徴パラメータの値に基づいて、あるいは必要に応じてプロセス状態量入力手段32からのプロセス状態量の値にも基づいて、典型的な燃焼状態との適合度を求めて、例えば燃焼悪化、燃焼適正、燃焼過剰というような燃焼状態の判定または評価を行うニューラルネットワークが、燃焼装置の運転データをオンラインで取り込んで作成された教師データにより、その燃焼装置の稼働中に学習がなされた新たなニューラルネットワークに更新可能とされてなるものである。」 (エ)「【0034】また、初期ニューラルネットワーク421およびオンライン・ニューラルネットワーク422は、従前と同様に、複数の処理ユニットから構成されている入力層と中間層と出力層とから構成されている(図4参照)。また、これらの各処理ユニットも、従前と同様に、次層および前層の間で学習により定められる重み係数でもって結合されるとともに、各処理ユニットは前層からの入力の総和をとる加算器と学習により定められる閾値を持った閾値関数を有している。そして、これらのニューラルネットワーク421,422の学習においては、従前と同様に、入力パターン(教師入力データ)と目標出力パターン(教師出力データ(燃焼状態データ))対が提示される。この提示の直後に、ニューラルネットワーク421,422の出力と目標出力との間の差が減少するように、重みと閾値の調整がなされる。学習に際しては、入力パターンと目標パターンの対の集合である学習用集合を用い、ニューラルネットワーク421,422にはこれを繰返し提示する。この学習が終了すると、ニューラルネットワーク421,422の動作テストがなされる。」 (オ)「【0042】ここで、基本教師入力データは、既存の燃焼装置の典型的な燃焼状態における、例えばR成分の15秒平均、時間軸上のR成分の傾きなどとされ、可変教師入力データは、その時点時点における、例えばR成分の15秒平均、時間軸上のR成分の傾きなどとされ、燃焼状態データは、特徴ある燃焼状態になったときの燃焼状態の判定結果、例えば燃焼過剰、燃焼適正、燃焼悪化とされる。また、Nはニューラルネットワークの入力数(NIN)とニューラルネットワーク出力数(NOUT)との和、n、n‘、mはそれぞれ基本教師入力データ数、可変教師入力データ数、燃焼状態データ数を示す。」 エ 甲6 甲6には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0005】 また、例えば灰中未燃分、NOx濃度、CO濃度などの状態量を燃焼炉の運転中に計測することで燃焼状態を判定する手法も考えられるが、状態量の計測に時間を要する場合(例えば灰中未燃分など)には、計測結果に基づいて行った燃焼状態の判定結果をリアルタイムに運転制御に用いることは困難である。」 (イ)「【0013】 (6)幾つかの実施形態では、上記(3)~(5)の構成において、 前記状態量は、前記炉内の燃焼時に生じる排ガスまたは排出物に関する状態量であり、 前記学習データ生成部は、前記過去画像情報に対して、該過去画像情報の基になる前記画像が撮像された時から所定の時間経過後に前記状態量の計測地点で計測された計測値を対応付けることによって前記学習データを生成する。 上記(6)の構成によれば、学習データは、過去画像情報によって示される燃焼状態で生じた排ガスまたは排出物が状態量の計測地点に到達するまでのタイムラグを考慮して作成される。このようなタイムラグは燃焼炉の種類や計測地点の位置によって無視できないほど異なる場合があり、タイムラグを考慮して学習データを作成することにより、推定精度の高い推定モデルを作成することができる。」 (ウ)「【0036】 図1は、本発明の一実施形態に係る炉内状態量推定装置1が設置された燃焼炉7の構成を概略的に示す図である。図1に示す実施形態の燃焼炉7は、都市ゴミ又は産業廃棄物等を燃料Fgとするストーカ式のごみ焼却炉であり、炉内状態量推定装置1はごみ焼却炉における、例えば灰中未燃分、NOx濃度、CO濃度などの状態量Sを推定する。以下、ごみを燃焼する燃焼領域8(燃焼室)を備えるごみ焼却炉を燃焼炉7の例に本発明を説明するが、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、炉内状態量推定装置1は、ボイラ、IGCCにおける石炭をガス化するガス化炉などの燃料Fgを燃焼させる燃焼室を備える燃焼炉7における燃焼状態に応じて変化する状態量Sを推定するように構成されても良い。ごみ焼却炉や、ボイラ、ガス火炉などは後述する上部7cおよび側壁部7sを有する点で共通しており、燃焼炉7がボイラやガス火炉の場合には、以下に記載された燃焼炉7をボイラやガス化炉に適宜読み替えるものとする。」 (エ)「【0038】 また、図1に示すように、燃焼炉7には、炉内を撮像するための撮像装置6が設置される。撮像装置6は、例えば動画像または静止画像の少なくとも一方が撮像可能な炉内カメラである。より具体的には、撮像装置6は、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、特定の波長を検知可能な赤外線カメラなどのカメラであっても良い。図1に示す実施形態では、撮像装置6は、一次燃焼領域81の上方(図1では直上部)に位置する燃焼炉7の上部7cに設置されており、燃焼状態を真上から撮像するように構成されている。ただし、本実施形態に本発明は限定されず、他の幾つかの実施形態では、撮像装置6は燃焼炉7の側壁部7sなど、燃焼炉7の上部7c以外の位置に設置されても良い。例えば、側壁部7sにおける二次燃焼領域82を形成する部分や、そのさらに上の部分(上部7cにより近い部分)に撮像装置6を設置すると共に、一次燃焼領域81が位置する下方を撮像するように斜め下に向けて設置されても良い。こうして撮像装置6によって撮像された燃料Fgの燃焼時の炉内の画像V(燃焼画像)は、撮像装置6に接続される記憶装置に記憶(蓄積)される。図1に示す実施形態では、炉内状態量推定装置1の記憶装置1mに記憶されるように構成されているが、他の幾つかの実施形態では、例えば、後述する推定モデル作成装置2bが備える記憶装置や、その他の装置の記憶装置など、炉内状態量推定装置1とは別体の記憶装置に記憶されても良い。」 (オ)「【0042】 図2に示す実施形態では、過去の画像Vの撮像タイミングと同期をとって灰中未燃分をサンプリングしたり、NOx濃度やCO濃度などをセンサで計測することにより状態量Sを取得すると共に、その過去の画像Vに基づいて得られる過去画像情報Ipに取得した状態量Sを対応付けることによって、各学習構成データを作成している。なお、灰中未燃分の値は燃焼効率の指標となるものであり、炉出口でサンプリングした灰を分析計で加熱し、その際の重量変化を計測する手法(JIS M 8815)により求めることが可能である。推定モデルMの作成の詳細については後述する。」 (カ)「【0047】 上記の構成によれば、炉内の燃焼状態に応じて、例えば灰中未燃分や、NOx濃度、CO濃度などの状態量Sは変化するが、炉内の燃焼時の画像情報Iと、その画像情報Iが撮像された際の状態量S(計測値Srや推定値など)とが対応付けられた学習データDの機械学習により作成された推定モデルMを用いて、燃焼時の炉内を撮像した画像情報Iから、その燃焼状態で生じる状態量S(推定状態量Se)を推定する。これによって、炉内の画像情報Iから状態量Sを迅速かつ精度良く推定することができる。」 (キ)「【0052】 機械学習実行部24は、学習データ生成部23によって生成された学習データDに基づいて機械学習を実行する。機械学習実行部24は、ニューラルネットワーク、一般化線形モデルなどの周知な機械学習の手法(アルゴリズム)のいずれかで機械学習を行えば良い。」 (ク)「【0062】 次に、学習データDの作成(学習データ生成部23)に関する幾つかの実施形態について説明する。 上述した状態量Sが、炉内の燃焼時に生じる排ガスE、または、排ガスE中に含まれる燃焼灰などの排出物に関する状態量Sである場合において、幾つかの実施形態では、図2に示すように、上述した学習データ生成部23は、上述した過去画像情報Ipに対して、この過去画像情報Ipの基になる画像Vが撮像された時から所定の時間経過後に状態量Sの計測地点で計測された計測値Srを対応付けることによって学習データDを生成する。燃料Fgの燃焼により生じる排ガスEは、燃焼領域8から排ガス通路91に向かって流れるが(図1参照)、画像Vで示される撮像地点(位置)から状態量Sの計測地点までに距離が有る場合には、画像Vで示される燃焼状態で生じた排ガスEが状態量Sの計測地点まで到達するまでにタイムラグ(所定時間)が存在する。このため、このタイムラグを考慮して、画像Vと状態量Sの計測値Srとを対応付けるようにする。なお、例えば、ごみ焼却炉でのタイムラグは、微粉炭炊きのボイラなど燃料Fgを細かく粉砕して燃焼させる場合と比べると、長くなる。」 オ 甲7 甲7には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0032】 炉1内の複数位置に、炉1内のガス温度を計測するセンサとしての温度計が設けられている。具体的には、炉1の高さ方向に沿って、火格子4と二次空気吹き込み口10との中間位置に燃焼室ガス温度計17が設けられている。炉1の高さ方向に沿って、炉出口7より下方位置に主煙道ガス温度計18が設けられている。炉1の高さ方向に沿って、炉出口7の下部位置に炉出口下部ガス温度計19が設けられている。炉1の高さ方向に沿って、炉出口7の中部位置に炉出口中部ガス温度計20が設けられている。炉1の高さ方向に沿って、炉出口7の下流側位置に燃焼管理温度を測定する炉出口ガス温度計21が設けられている。燃焼室ガス温度計17、主煙道ガス温度計18、炉出口下部ガス温度計19、炉出口中部ガス温度計20、および炉出口ガス温度計21により計測された温度の計測値は、燃焼プロセス測定値として燃焼制御装置30に送信されて記憶部32(図4参照)に記憶される。 【0031】 ボイラ9には、出口側に排ガス中の酸素(O2)の濃度を計測するボイラ出口酸素濃度計22が設けられている。煙突8の入口には、排ガス中の一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)の濃度を計測するガス濃度計23が設けられている。ボイラ9の出口と煙突8とを接続する配管には、排ガス量を計測するための排ガス流量計24が設けられている。ボイラ出口酸素濃度計22、ガス濃度計23、および排ガス流量計24により計測されたガスの濃度や流量の計測値は、燃焼プロセス測定値として燃焼制御装置30に送信されて記憶部32に記憶される。また、ボイラ9には、ボイラ9において発生した蒸気量を計測する蒸気流量計25が設けられている。蒸気流量計25により計測されたボイラ9の蒸気発生量の計測値は、燃焼プロセス測定値として燃焼制御装置30に送信されて記憶部32に記憶される。 【0032】 炉1における廃棄物の搬送方向の下流側には、撮像部26が設けられている。撮像部26は、例えば赤外線カメラから構成される火炎透過カメラ、および撮像した画像データを処理する画像処理部を有して構成される。図2は、撮像部26の設置状態を示す側面図である。撮像部26は、炉壁1aに設けられた監視窓に近接して炉外に配設されても、水冷構造を有して炉1内に配設されても良い。図2に示すように、廃棄物50は、段差壁13の部分で廃棄物供給部12から火格子4上に落下する。火格子4上に落下した廃棄物50は、火格子4の前後移動に伴う往復運動によって攪拌されつつ、撮像部26側である前方に移動される。」 (イ)「【0041】 制御部31は、廃棄物焼却量設定値に応じて廃棄物質(廃棄物の低位発熱量)を算出する。制御部31は、操作量関係式に含まれる制御パラメータの調整により操作量基準値を調整する。制御部31は、調整した操作量基準値を、例えばPID制御やファジィ演算などの所定の制御アルゴリズムに基づいて補正する。記憶部32は、制御部31によって参照されるデータを記憶する。記憶部32には、あらかじめ定められた操作量関係式、制御アルゴリズム、あらかじめ設定された焼却量設定値、および炉1内の燃焼状態量として取得された燃焼プロセス測定値が記憶されている。」 (ウ)「【0076】 次に、図8に示すステップST10に移行して燃焼制御装置30の制御部31は、炉1の構造に対応してあらかじめ導出されている、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼点Fとの適切な関係となる所定範囲である基準燃焼点領域を記憶部32から読み出す。図10は、本発明の一実施形態による燃焼制御方法に用いられる燃焼点Fと廃棄物層高さHとの間における基準燃焼点領域を示すグラフである。 【0077】 図10に示すように、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼点Fとの間には適切な関係が存在し、その領域を本明細書では基準燃焼点領域という。基準燃焼点領域のデータは記憶部32に格納されている。制御部31は、記憶部32に格納された図10に示す基準燃焼点領域の情報を読み出す。一方、制御部31は、燃焼判定装置40から取得した廃棄物層高さHおよび燃焼点Fの位置情報を記憶部32から読み出す。制御部31は、読み出した廃棄物層高さHおよび燃焼点Fの位置情報と、図10に示す基準燃焼点領域とを比較する。図10に示す例では、燃焼判定装置40から送信された廃棄物層高さHと燃焼点Fとの関係が、グラフ上で例えば計測点P11の位置に存在していたり、計測点P12の位置に存在していたりする。計測点P11は、廃棄物層高さHに対して燃焼点Fが下流側、すなわち撮像部26側に位置していることを表す。計測点P12は、廃棄物層高さHに対して燃焼点Fが上流側、すなわち段差壁13側に位置していることを表す。」 (エ)「【0080】 次に、図8に示すステップST12に移行して制御部31は、燃焼判定装置40から送信された廃棄物層高さH、燃焼点Fの位置情報、および燃焼量VFの情報に基づいて、火格子上廃棄物52の燃焼状態が適切になるよう燃焼制御方法を実行する。すなわち、制御部31は、取得した情報に基づいて、上述した燃焼制御装置30における制御パラメータを補正して、廃棄物供給装置送り速度(給塵速度)や火格子送り速度(火格子速度)、必要に応じて燃焼用空気量や二次空気量(送風量)や燃焼空気温度を調整することにより、炉1を制御する。具体的に、燃焼点Fの位置情報に基づいた制御の例を表1に示す。」 (オ)「【0095】 また、例えば、上述した一実施形態においては、機械学習の一例としてニューラルネットワークを用いたディープラーニング(深層学習)を用いたが、それ以外の方法に基づく機械学習を行っても良い。例えば、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法など、他の教師あり学習を用いても良い。また、教師あり学習に代えて半教師あり学習を用いても良い。」 カ 甲8 甲8には、以下の事項が記載されている。 「【0009】図1及び図4に示すように、前記焼却処理帯5の下流側後壁部に、前記燃焼帯Mにおける燃焼火炎を撮影入力する撮像手段20としてのカラーCCDカメラを設け、その撮像手段20による入力画像データから前記燃焼帯Mにおける燃焼中のゴミの質を推定するマイクロコンピュータ利用の画像処理手段21を設けてゴミ質推定装置を構成してある。画像処理手段21は、図1に示すように、撮像手段20から入力された画像データを赤(R)緑(G)青(B)の色成分に分解してメモリに格納し、緑(G)成分の画像データから火炎領域を抽出する第一演算手段C1と、前記第一演算手段C1により抽出された火炎領域における青(B)成分と緑(G)成分の強度比を演算導出して、その値から高温領域の面積を抽出する第二演算手段C2と、前記第一演算手段C1により抽出された炎領域の面積と前記第二演算手段C2により抽出された高温領域の面積とから前記燃焼帯Mで焼却処理されているゴミの質を推定する第三演算手段C3とからなる。 【0010】以下、前記画像処理手段21による処理を、図3に示すフローチャートに基づいて詳述する。撮像手段20から入力された画像データを赤(R)緑(G)青(B)の色成分に分解すると、各画素毎に赤(R)緑(G)青(B)の強度データが得られる<#1>。一般に、物体は、約1000K以上の温度では可視光を放射しており、その温度が上昇すると最初に赤、次に黄、緑、青、最後に紫という具合に光のエネルギースペクトルに新しい色の部分が付け加わる。焼却炉における燃焼帯Mに対して、撮像手段20により得られた画像データには、火炎部分以外に側壁やゴミ自身のデータも含まれ、それらの部位の温度や反射光による色成分が混在するため、火炎のみを正確に抽出するためには、比較的低温部位を示す赤(R)成分を参照しない方が好ましい。一方、青(B)成分は、火炎温度に応じて大きく変動するので、この成分のみにより炎の領域を特定するのも好ましくない。そこで、前記第一演算手段C1は、図2(イ)に示すように、緑(G)成分の強度データが所定の閾値より大なる画素を火炎領域に対応する画素、即ち、火炎面積(SF )として抽出する<#2>,<#3>。ここに、閾値は限定するものではなく、炉の規模や運転条件により適宜設定すればよい。前記第二演算手段C2は、前記第一演算手段C1により抽出された火炎領域における青(B)成分と緑(G)成分の強度比(IB /IG )を画素毎に演算導出して、その値が所定の閾値以上となる画素を、図2(イ)に示すように、高温火炎領域の面積(SH )として抽出する<#4>,<#5>。この場合の閾値も特に限定するものではなく、炉の規模や運転条件により適宜設定すればよい。前記第三演算手段C3は、前記第一演算手段C1により抽出された火炎領域が所定の値、例えば、想定される最大火炎面積の50パーセントよりも大であるか否かを推定して<#6>、大であるときには、前記第二演算手段C2により抽出された高温火炎領域の面積から前記燃焼帯Mで焼却処理されているゴミの質を推定する<#7>。ここで、火炎領域の所定の値として想定される最大火炎面積の50パーセントとしてあるが、この値も特に限定するものではなく、炉の規模や処理される平均的なゴミ質等の諸条件を参考に決定すればよい。つまり、撮像装置20により燃焼火炎を撮像して得られる画像データから抽出された火炎領域の面積(SF )は、極端に質の悪いゴミが大量に供給された場合を除き、ストーカの搬送速度や空気供給量にかかわらず、ゴミ量が多ければ大きくなりゴミ量が少なければ小さくなる傾向にあるので、火炎領域の面積からゴミ量の多少が推定できる。従って、極端に質の悪いゴミが大量に供給され、抽出された火炎領域の面積(SF )が極めて小さくなり、火炎領域の面積でゴミ量を一義的に表すことができない場合を除くべく、火炎領域の面積(SF )が所定の値(上述の例では、その閾値が想定される最大火炎面積の50パーセントとなる)よりも大なるときにのみ推定すれば、火炎領域の面積に基づいておおよそのゴミ量が一義的に把握される。そして、火炎領域におけるゴミの燃焼温度は、質の良いゴミほど勢いよく燃えるために全体的に高く、質の悪いゴミほど全体的に低くなる傾向があるので、抽出された火炎領域からさらに所定の高温火炎領域を抽出すれば、火炎領域の面積(SF )から推定されるゴミ量に対して、前記高温火炎領域の面積(SH )の程度からゴミ質が推定されることになる。つまり、図2(ロ)に示すように、ゴミ質が良い場合には火炎領域の面積(SF )の増大に比例して高温火炎領域の面積(SH )が増大する傾向にある。また、ゴミ質が悪い場合には火炎領域の面積(SF )の増大にかかわらず高温火炎領域の面積(SH )はあまり増大しないが、火炎領域の面積(SF )が極めて大きくなったときに高温火炎領域の面積(SH )も急激に大きくなる傾向がある。そこで、火炎面積がある程度大きくゴミ量が多いと推定されるにもかかわらず、高温火炎面積がかなり小さい場合(図中領域iii )にはゴミ質が極端に悪く、高温火炎面積が中程度の場合(図中領域ii)にはゴミ質がやや悪く、高温火炎面積が大きい場合(図中領域i )にはゴミ質が良いと推定される。さらに、火炎面積が中程度でゴミ量が適量と推定されるにもかかわらず、高温火炎面積がかなり小さい場合(図中領域v )にはゴミ質がやや悪く、高温火炎面積が中程度であれば(図中領域iv)ゴミ質は平均的であると推定される。ゴミ質が悪いと推定されると<#8>、コンピュータ利用の制御手段22を介して前記ストーカ機構を通常よりも減速させてゴミの燃焼時間を確保するとともに、空気供給手段6のダンパ機構6dを調節して前記燃焼帯Mへの供給空気量を増加させて燃焼を活発化させる<#9>。ここに、制御手段22による空気供給量や搬送速度の制御方式は、特に限定するものではなく、PID制御方式、ファジィ制御、その他AI制御方式等適宜公知の方式を用いることができる。即ち、前記撮像手段20と前記画像処理手段21と前記制御手段22とで燃焼制御装置が構成される。」 キ 甲9 甲9には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0020】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の第1実施例に係るボイラプラントの燃焼監視装置の具体的構成を示すブロック図である。図において、1は燃焼監視装置全体で、火炉内燃焼を火炎イメージセンサとカラーカメラからなる火炎検出器で捕らえた火炎映像信号Xを画像処理部2で取り込む。画像処理部2では上記火炎映像信号Xを画像処理し、火炎画像データ(火炎輝度、火炎透明度、火炎温度)2aを16ビット・ディジタルデータとして一定周期で出力する。 【0021】画像処理のやり方は、まず、火炎映像信号Xを色分離(輝度、赤、緑、青)し、A/D変換(8ビット)を通して画像メモリに保持する。この画像データに、平滑化、移動平均処理、テキスチャ解析、二値化処理を行った後、信号変換して、火炎輝度分布と火炎温度分布を求め、次に火炎輝度分布から平均火炎輝度を、火炎温度分布から平均火炎温度を求める。次に平均火炎輝度と平均火炎温度から平均透明度を求める。」 (イ)「【0030】燃焼状態判定部7は上記燃焼指数演算部6からの燃焼指数Sを前記評価判定値設定部4から基準燃焼指数S0 を読み出しSとS0 の大小関係を比較しS<S0の場合は警報出力信号Zをオフにし、S≧S0 の場合は警報出力信号Zをオンにするものとなっている。」 ク 甲10 甲10には、以下の事項が記載されている。 (ア)「燃焼状態診断装置は、該燃焼室(2)の燃焼状態データを出力するニューラルネットワーク(21)と、該ニューラルネットワーク(21)の出力を入力として該燃焼室(2)の燃焼傾向データを出力するエキスパートシステム(30)とで構成してある。 詳述すると、第2図に示すように、該ニューラルネットワーク(21)は、所定単位のメモリーで構成された複数のニューロン(22a)でなる入力層(22)と、該入力層(22)からの出力データを所定の重みで関連付けて中間出力する同じく複数のニューロン(23a)でなる中間層(23)と、該中間層(23)からの出力を所定の重みで関連付けて該燃焼室(2)の燃焼状態データとしての“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”を出力する二つのニューロン(24a)でなる出力層(24)と、入力されたプロセスデータを中間層から出力層へ所定の重みをもって乗加算する演算装置(論理素子やマイクロコンピュータ)で構成してある。 該入力層(22)には、ゴミの燃焼状況を監視する撮像手段(15)としての産業用テレビカメラ(ITV)の画像情報である燃焼帯火炎等や、プッシャ速度、ストーカ速度、炉出口温度等各種センサの出力情報、該燃焼制御装置(20)による制御出力でなるプロセスデータを0から100の範囲で正視化したものであって過去10分間の平均値が1分毎に入力される。 該出力層(24)から出力される“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”は、0.0から1.0の範囲の数値で表され、“良好(0.0から0.2)”、“兆候(0.4から0.6)”、“発生(0.7から1.0)”といった具合に評価される。」(3ページ左欄15~42行) (イ)「〔別実施例〕 以下に本発明の別実施例を説明する。 先の実施例では、燃焼状態診断装置としてニューラルネットワークとエキスパートシステムを組み合わせたものを説明したが、燃焼状態診断装置の構成は任意であってよく、例えばニューラルネットワークのみで構成してもよい。 先の実施例では、“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”がともに“0.7"以上となったときに、運転員が該搬送量制御手段による被焼却物の搬送を設定時間強制的に行っているが、運転員が該搬送量制御手段による被焼却物の搬送を設定時間停止させてもよい。 尚、設定時間値は特に指定するものではなく、焼却炉の規模により設定すればよい。 さらには、運転員が該搬送量制御手段による被焼却物の搬送を手動制御するのではなく、診断装置の出力信号によって、該搬送量制御手段を直接に制御してもよい。」(3ページ左欄34行~最下行) (ウ)「さらに、出力層を、燃焼状態データとしての“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”を出力する二つのニューロンで構成しているが、ニューラルネットワークとしては、“ゴミ切れ指数”を出力するものと、“ゴミ山盛り指数”を出力するものとの二つのニューラルネットワークで構成してもよい。この場合、ニューラルネットワークの演算速度はより高速となる。」(4ページ左欄8行~右欄3行) (2)対比・判断 ア 本件発明6について 本件発明6は、本件発明1、又は、本件発明1を引用する本件発明3に対し、本件発明6で新たに特定する事項を付加した発明である点を踏まえ、甲1との対比を行うと、両者は、本件発明1と甲1発明との対比について、「第6の1」で述べた一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。加えて、両者は、少なくとも以下の相違点3で相違する。 〔相違点3〕 本件発明6においては「撮像データは、60秒以内の動画像データである」のに対して、甲1発明は、かかる事項を備えていない点。 そして、相違点1及び2については、上記「第6の1」で検討したとおりである。 そこで、上記相違点3について検討する。 甲2ないし10の記載事項は、上記第5及び上記(1)のとおりであって、上記相違点3に係る本件発明6の発明特定事項について、開示も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点3に係る本件発明6の発明特定事項が、周知の技術である、あるいは、当業者が適宜決定し得る設計的事項であるといえる根拠もない。 したがって、本件発明6は、甲1発明及び甲2ないし10の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明7について 本件発明7は、本件発明1、本件発明1を引用する本件発明3、又は、本件発明1及び本件発明3の少なくとも1つを引用する本件発明6に対し、本件発明7で新たに特定する事項を付加したものである点を踏まえ、甲1との対比を行うと、両者は、本件発明1と甲1発明との対比において「第6の1」で述べた一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。加えて、両者は、少なくとも、以下の相違点4で相違する。 〔相違点4〕 本件発明7においては「撮像データは、5秒以上の動画像データである」のに対して、甲1発明は、かかる事項を備えていない点。 そして、相違点1及び2については、上記「第6の1」で検討したとおりである。 そこで、上記相違点4について検討する。 甲2ないし10の記載事項、上記第5及び上記(1)のとおりであって、上記相違点4に係る本件発明7の発明特定事項について、開示も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点4に係る本件発明7の発明特定事項が、周知の技術である、あるいは、当業者が適宜決定し得る設計的事項であるといえる根拠もない。 したがって、本件発明7は、甲1発明及び甲2ないし10の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明9について 本件発明9は、本件発明1、3、6ないし8に対し、本件発明9で新たに特定する事項を付加したものである点を踏まえ、甲1との対比を行うと、両者は、本件発明1と甲1発明との対比において「第6の1」で述べた一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。加えて、両者は、少なくとも、以下の相違点5で相違する。 〔相違点5〕 「焼却炉内の新たな撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」に関して、本件発明9は「焼却炉内の撮像データと、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせに対して、前記第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、前記焼却炉内の新たな撮像データと、新たなプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせを入力として前記第1評価軸での評価を行う」のに対して、甲1発明は「焼却炉1内の炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することでごみ厚みの計測量を得るとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで燃え切り点の計測量を得る計測装置1a」である点。 相違点1及び2については、上記「第6の1」で検討したとおりである。 そこで、上記相違点5について検討する。 甲2ないし10の記載事項は、上記第5及び上記(1)のとおりであって、上記相違点5に係る本件発明9の発明特定事項について、開示も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点5に係る本件発明9の発明特定事項が、周知の技術である、あるいは、当業者が適宜決定し得る設計的事項であるといえる根拠もない。 したがって、本件発明9は、甲1発明及び甲2ないし10の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明10について 本件発明10は、本件発明9の発明特定事項を全て含み、さらに本件発明10で新たに特定する事項に係る限定を付加したものである。そうすると、本件発明10は、本件発明9に対して示したものと同様の理由により、甲1発明及び甲2ないし10の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明12及び13について 本件発明12及び13は、本件訂正により削除された。 したがって、本件発明12及び13に対する取消理由1に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。 (3)申立人の主張について 申立人は、令和7年10月8日の意見書の2ページ「(3-2)請求項6、7、8、14-21について」において、以下のとおり主張する。 「画像データを分類する学習済みモデルにおいて、入力する画像データを動画像データとすることは、文献等を例示するまでもなく、本件特許の出願時点において、様々な産業分野において実用化されている周知慣用の技術である。 また、異議申立書に記載したように、甲5の段落【0027】、【0042】には、「R成分の15秒平均」あるいは「30秒間の傾きや15秒間の傾きを算出」することが記載されている。これらの計算において30秒間あるいは15秒間の画像データ、すなわち、『5秒以上の動画像データ』データであって『60秒以内の動画像データ』を用いる必要があることは明らかである。 したがって、甲1発明に周知慣用技術を適用して『撮像データ』を『動画像データ』とすることは当業者であれば容易であり、甲5の上記記載に基づいて『撮像データ』の長さを『5秒以上』あるいは『60秒以内』とすることも当業者であれば容易である。」 上記主張について検討する。 画像データを分類する学習済みモデルにおいて、入力する画像データを動画像データとすることが周知慣用の技術であるか、甲5の記載事項から、60秒以内の動画像データや5秒以上の動画像データを用いることが明らかであるとしても、甲1発明において、相違点3に係る本件発明6の発明特定事項に想到するには、甲1発明の工業カメラに替えて、甲2記載事項2に係る赤外線カメラを適用し、さらに、画像データに対し周知慣用の技術や甲5の記載事項から明らかな事項を適用することとなるものとなる。そして、当該適用は、いわゆる二段階容易に当たることから、これを採用することはできない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 3 取消理由2についての当審の判断 (1)発明が解決しようとする課題 本件特許に係る発明が解決しようとする課題について、本件の発明の詳細な説明の記載には以下の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 燃焼映像には主に焼却炉内の主燃焼領域の火炎(廃棄物の熱分解や部分酸化により発生した可燃ガスの燃焼に伴って生じる火炎)が写っており、燃焼映像からは火炎の強弱などの情報が分かる。 【0007】 しかし、燃焼状態には火炎の状態だけではなく被燃焼物に関する情報(たとえば、被燃焼物の量や質、種類)も影響する。たとえば、同じ火炎の強度で燃えていても、そのときに燃えている被燃焼物の量が異なる場合、実際の排ガス濃度(CO濃度など)などの数値は異なる可能性が高い。また、燃焼映像から燃焼状態の分類やプロセス値の予測を行う技術についても、火炎の状況しか把握できない燃焼映像だけでは、たとえば被燃焼物の量の違いから実際は異なる燃焼状態であったとしても、同様の燃焼状態であると分類される可能性が高くなるため、プロセス値の予測・推定や燃焼状態の分類・予測・推定がうまくできない可能性がある。 【0008】 本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、焼却炉内の燃焼状態をより精度よく分類・予測・推定する技術を提供することにある。」 すなわち、本件特許に係る発明が解決しようとする課題は、火炎の状況しか把握できない燃焼映像だけでは、プロセス値の予測・推定や燃焼状態の分類・予測・推定がうまくできない可能性がある点を考慮して、焼却炉内の燃焼状態をより精度よく分類・予測・推定する技術を提供することであると認められる。 (2)課題を解決する手段 課題を解決する手段について、本件の発明の詳細な説明の記載には以下の記載がある。 「【0009】 本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、 赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな赤外線撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部と、 前記第1評価軸での評価結果に基づいて現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、 を備える。 【0010】 このような態様によれば、赤外線撮像装置は、撮像波長を適切に選択することで、焼却炉内の赤外線撮像データとして、火炎の影響を取り除いた焼却炉上流側から実際に燃焼している被燃焼物の像までを含む画像を取得することができるため、焼却炉内の赤外線撮像データを用いて、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸での評価を行い、その評価結果に基づいて燃焼状態を判定することで、火炎の状況しか把握できない燃焼映像だけから燃焼状態の分類・予測・推定やプロセス値の予測・推定を行う場合に比べて、焼却炉内の燃焼状態をより精度よく分類・予測・推定することができる。」 すなわち、課題を解決する手段は、赤外線撮像装置により、焼却炉内の赤外線撮像データとして、火炎の影響を取り除いた焼却炉上流側から実際に燃焼している被燃焼物の像までを含む画像を取得することに関するものと認められる。 (3)課題を解決する手段と本件発明との関係 本件発明6ないし11及び14ないし21には、赤外線撮像装置で撮像した焼却炉内の赤外線撮像データを用いることが特定されているから、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されている。 よって、本件発明6ないし11及び14ないし21は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲内のものである。 したがって、本件発明6ないし11及び14ないし21は、発明の詳細な説明に記載したものである。 4 取消理由3についての当審の判断 本件発明12は、本件訂正により削除された。 したがって、取消理由3に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。 第8 むすび 以上のとおり、本件発明1及び3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明6ないし11及び14ないし21に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。他に本件発明6ないし11及び14ないし21を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正により、請求項2、4、5、12及び13は削除された。これにより請求項2、4、5、12及び13に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700509

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