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特許異議申立

2025-700771

火災報知システム

審判番号
2025-700771
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-040720
登録番号
7627797
請求日
2025年07月28日
審決日
2026年02月06日
公報発行日
2026年05月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】能美防災株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】六條 直樹
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 寺谷 大亮
  • 審判官 松原 徳久
分類
P1651.121-YAA(G08B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7627797号発明「火災報知システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7627797号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第7627797号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7627797号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成31年3月29日に出願した特願2019-65349号の一部を令和6年3月15日に新たな特許出願としたものであって、令和7年1月29日にその特許権の設定登録がされ、同年2月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年7月28日に特許異議申立人 六條直樹(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和7年 7月28日 :申立人による特許異議の申立て 同年 9月30日付け:取消理由通知書 同年12月 1日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和8年 1月14日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 請求の内容 令和7年12月1日の訂正請求の趣旨は、特許第7627797号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1電話線に接続される第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、前記複数の第2電話回路の1つ以上を前記第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えた」と記載されているのを、「前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えた」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 明細書の段落【0006】に「本発明に係る火災報知システムは、火災感知器に伝送線を介して接続され、非常電話の電話親機を有する火災受信機と、前記火災受信機と第1電話線及び前記伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器とを備え、前記電話中継器は、前記第1電話線に接続される第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、前記複数の第2電話回路の1つ以上を前記第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えたものである。」と記載されているのを、「本発明に係る火災報知システムは、火災感知器に伝送線を介して接続され、非常電話の電話親機を有する火災受信機と、前記火災受信機と第1電話線及び前記伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器とを備え、前記電話中継器は、前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えたものである。」に訂正する。 (3)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項1及び2は、一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「第1電話回路」について、「1つ」との限定を付加するものである。 さらに、該請求項1の「通話ライン切替回路」について、訂正前は「前記複数の第2電話回路の1つ以上を前記第1電話回路に接続する」とあり、1つの第2電話回路を第1電話回路に接続するのみの態様を含むものであった。これを、訂正事項1は、「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する」とすることで、「通話ライン切替回路」は、1つの第2電話回路を1つの第1電話回路に接続し、また、複数の第2電話回路を1つの第1電話回路に接続するもの、換言すると、1つの第2電話回路を第1電話回路に接続するのみの態様を含まないものに限定するものである。 よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 前記アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 ウ 新規事項の有無 (ア)訂正事項1の「1つの第1電話回路」の「第1電話回路」は、「電話中継器」が「火災受信機」と接続するための「第1電話線」に「接続される」ものである。これに対し、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)には、「電話回路45は、電話線7を介して火災受信機10と接続されており」(【0028】)、「まず、1台の電話子機4と電話親機14との間で1対1の通話を行う例を示す。・・・受話器が取り上げられた電話子機4に対応する電話回路51と電話回路45とが接続される。」(【0034】)との記載があり、また、電話中継器40の構成を説明する図4からは、電話回路51が3個見て取れる一方で、電話回路45は1個のみが見て取れる。これらの記載によれば、電話回路45は「第1電話回路」に対応するものであって、この電話回路45は1個であると解されるから、訂正事項1の「1つの第1電話回路」は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。 (イ)訂正事項1の「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路」について、本件特許の明細書等には、「まず、1台の電話子機4と電話親機14との間で1対1の通話を行う例を示す。・・・通話ライン切替回路50によって、受話器が取り上げられた電話子機4に対応する電話回路51と電話回路45とが接続される。」(【0034】)、「次に、電話親機14と、1台の電話中継器40に接続された2台の電話子機4との間で通話する場合の動作を説明する。・・・電話中継器40の通話ライン切替回路50は、通話中の電話子機4と電話回路45とを接続している状態である。このときに、他の電話子機4の受話器が取り上げられると、通話ライン切替回路50は、受話器が取り上げられた他の電話子機4に対応する接点を閉じ、電話回路45と他の電話子機4に対応した電話回路51とを接続する。これにより、2台の電話子機4と電話親機14との間で音声通話が行われる。」(【0040】)と記載されている。当該記載及び前記(ア)によれば、通話ライン切替回路50は、1つの電話回路51を1つの電話回路45に接続し、また、複数の電話回路51を1つの電話回路45に接続するものであることが把握できる。そして、通話ライン切替回路50、電話回路51、電話回路45は、それぞれ、「通話ライン切替回路」、「第2電話回路」、「第1電話回路」に対応すると解されるから、訂正事項1の「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路」は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。 (ウ)したがって、訂正事項1は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 訂正事項2は、前記アのとおり、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、前記(1)イ及びウと同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 明細書の訂正と関係する請求項について 訂正事項2により訂正される事項は、訂正後の請求項1に対応するものであるから、訂正事項2に関係する請求項は、一群の請求項1及び2である。 3 独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項1~4について特許異議申立てがされているので、訂正後の請求項1及び2に係る発明には、独立特許要件の検討は要しない。 4 訂正の適否のまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~4に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 火災感知器に伝送線を介して接続され、非常電話の電話親機を有する火災受信機と、 前記火災受信機と第1電話線及び前記伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器とを備え、 前記電話中継器は、 前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、 前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えた 火災報知システム。 【請求項2】 前記通話ライン切替回路は、前記複数の第2電話回路の複数を同時に前記第1電話回路に接続する 請求項1記載の火災報知システム。 【請求項3】 火災感知器に伝送線を介して接続され、非常電話の電話親機を有する火災受信機と、 1以上の電話子機が接続される電話中継器とを備え、 前記火災受信機と前記電話中継器とは、前記伝送線を介して接続され、かつ電話線を介して接続されており、 前記電話中継器は、前記1以上の電話子機のうちのいずれかから着信があった場合、着信があった前記電話子機を特定する情報を、前記伝送線を介して前記火災受信機に送信する火災報知システムにおいて、 前記電話中継器は、前記電話線の断線を検出する断線検出回路を備えた 火災報知システム。 【請求項4】 前記断線検出回路は、接点を備え、前記接点を閉じ、かつ前記電話線に電流を流した状態で、前記電話線の断線を検出する 請求項3記載の火災報知システム。」 第4 特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知書に記載した取消理由 1 特許異議申立書に記載された申立理由の概要 特許異議申立書に記載された申立理由の概要及び証拠方法は、次のとおりである。なお、以下では、甲第1号証~甲第7号証を、「甲1」等という。 (1)申立理由 請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3及び4に係る発明は、甲1に記載された発明と甲2及び甲7に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(同法第113条第2号) (2)証拠方法 甲1:特開平4-351054号公報 甲2:特開平7-231364号公報 甲3:特開2018-206259号公報 甲4:特開昭63-33053号公報 甲5:特開昭57-45768号公報 甲6:特開2004-72492号公報 甲7:特開平4-172049号公報 2 取消理由通知書に記載した取消理由の概要 取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 甲各号証の記載 事案に鑑み、以下では、甲1、甲2、甲4~7の記載を引用する。 1 甲1 (1)甲1の記載事項 甲1には次の記載がある。なお、下線は、当審で付与したものである(以下、同じ。)。 「【0002】 【従来の技術】近時、ビルの通路などに設けられた非常電話子器のハンドセットを取り上げると、自動的に、防災センターなどに設けられた非常電話親機に対して呼び出しが行われて非常通話を行えるようにした非常電話システムが開発され使用されるようになってきた。このような非常電話システムは、図2に示したように、防災センターなどに設置された非常電話親機200と監視地区毎に設置された非常電話子器300a~300nとをコントローラ100を介して信号線で接続した構成とされており、子器300a~300nのいずれかから親機200を呼び出して通話を行ったり、親機200からいずれかの子器を呼び出して通話を行うようにされている。」 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑みて提案されるもので、コントローラと非常電話親機との間の敷設信号線を削減し、複数の非常電話親機を接続できるようにして、施工性、使い勝手を向上させた非常電話システムを提供することを目的としている。」 「【0008】 【実施例】以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の非常電話システムの構成例を示したもので、図において1はコントローラ、2は非常電話親機、300a~300nは非常電話子器である。 尚、非常電話子器300a~300n、コントローラ1の地区基板部101、および、信号線L100~L102は、従来のシステム構成の場合と同一であるので同一の符号を付している。 【0009】コントローラ1は、各部の信号処理を集中して行なう中央信号処理部10と、各種の処理プログラムなどを格納するとともに、信号処理過程におけるデータなどを一時的に記憶させるシステムメモリ11と、地区基板部101と信号処理部10との間でパラレル信号による制御信号を送受信するためのパラレルI/F回路と、複数のシリアルI/F回路13aを有したシリアルI/F回路部13を備えている。尚、システムメモリ11には、コントローラ1に接続される全ての子器と親機とのアドレスが予め記憶されている。また、本実施例では、シリアルI/F回路13aによってRS232Cによるシリアル信号の伝送を行っている。 【0010】一方、非常電話親機2は、信号処理部20と内部回路各部(24~29)との間の信号伝送を行なうI/Oポート21と、各種の処理プログラムなどを格納するとともに信号処理過程におけるデータなどを一時的に記憶させるシステムメモリ23と、コントローラ1との間でシリアル信号による制御信号を送受信するシリアルI/F回路22とを備えている。 【0011】次に、このような構成の本発明の非常電話システムの概略動作を説明する。 1.非常電話子器300aから非常電話親機2を呼び出して通話を行なう場合の動作。1(当審注:丸数字1)非常電話子器300aのハンドセットHを取り上げると、フックスイッチFSが切り換えられ、コントローラ1側の地区基板部101に設けられた地区基板101aのフォトカプラPCが駆動される。すると、入力インターフェース回路FCDIから信号線L100を介しパラレルI/F回路12を通じて中央信号処理部10に、子器300a固有のアドレスの付された呼出制御信号が伝送される。2(当審注:丸数字2)中央信号処理部10では、地区基板部101側から固有アドレスの付された呼出制御信号を受けると、シリアルI/F回路部13を通じ、信号線L1を介して各非常電話親機2・・側に呼出制御信号を送出する。3(当審注:丸数字3)各非常電話親機2では、コントローラ1側から伝送されて来た呼出制御信号をシリアルI/F回路22を介して信号処理部20で受信し、I/Oポート21を介して警報音鳴動回路24に駆動信号を伝送して警報音を鳴動出力させ、着信/呼出表示部25の7セグメント表示器(不図示)に子器のアドレスを表示させるとともに表示灯駆動回路28によって火災灯(不図示)を点灯表示させる。4(当審注:丸数字4)警報音の鳴動出力に応じて、いずれかの親機2側で、電話部29のハンドセットHを取り上げて切換接続部27の回線接続スイッチ(不図示)を操作すると、選択された回線信号が信号処理部20からコントローラ1側に伝送され、中央信号処理部10では、呼出を行った子器300aに対応した地区基板101aの出力インターフェース回路FCDOに制御信号を伝送してリレーRYを駆動し、子器300aを対応した通話信号線L102に接続する。これによって、子器300aとハンドセットHの取り上げられた親機2との間で通話信号線L102を介して通話が行なわれる。このように、いずれかの非常電話子器でハンドセットを取り上げると、自動的に各親機側で呼出音が鳴動出力され、ハンドセットを取り上げて応答した親機との間で直ちに非常通話を開始することができる。」 「【図1】 [図:0001435201000001.jpg] 」 (2)甲1発明 ア 前記(1)の記載における「非常電話親機」と「親機」、「非常電話子器」と「子器」は、それぞれ同じものであると認められる。 イ 図1によれば、「コントローラ1」は、「非常電話親機2」と「信号線L1」(【0011】)及び「通話信号線L102」(【0011】)を介して接続されていることが見て取れる。 図1によれば、「コントローラ1」は、「非常電話子器300a~300n」とそれぞれ2本の線を介して接続されること、及び、この2本の線が、「リレーRY」(【0011】)により「通話信号線L102」に接続されることが見て取れ、この2本の線は、通話信号線であると解される(以下、非常電話子器300a~300nと接続する2本の線を、それぞれ「子器側通話信号線a」~「子器側通話信号線n」という。)。よって、「コントローラ1」は、「非常電話子器300a~300n」とそれぞれ子器側通話信号線a~nを介して接続されていると認められる。 ウ 図1によれば、「コントローラ1の地区基板部101」(【0008】)には、「地区基板」(【0011】)101a~101nが設けられている(【0011】)ことが見て取れる。また、「地区基板」101aは、「フォトカプラPC」、「リレーRY」(【0011】)、「通話信号線L102」が接続される接続点(以下「親機側接続点」という。)及び子器通話信号線a(前記イ)が接続される接続点(以下「子器側接続点」という。)を備えること、親機側接続点は、「リレーRY」の一端と配線で接続され、子器側接続点は、「フォトカプラPC」及び「リレーRY」の他端と配線で接続されていることが見て取れ、他の地区基板も、地区基板101aと同様の構成を備えるものと認められる。 エ 以上によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の便宜のために、甲1発明を符号a~nを付して分説し、構成a等のように参照する。 「a 非常電話システムであって、(【0008】) b コントローラ1、非常電話親機2及び非常電話子器300a~300nを備え、(【0008】) c コントローラ1は、非常電話親機2と信号線L1及び通話信号線L102を介して接続され、非常電話子器300a~300nとそれぞれ子器側通話信号線a~nを介して接続され、(前記イ) d コントローラ1は、中央信号処理部10と、複数のシリアルI/F回路13aを有したシリアルI/F回路部13を備え、(【0009】) e コントローラ1の地区基板部101には、地区基板101a~101nが設けられ、(前記ウ) f 地区基板101aは、フォトカプラPC、リレーRY、通話信号線L102が接続される親機側接続点及び子器側通話信号線aが接続される子器側接続点を備え、親機側接続点は、リレーRYの一端と配線で接続され、子器側接続点は、フォトカプラPC及びリレーRYの他端と配線で接続され、他の地区基板も、地区基板101aと同様の構成を備え、(前記ウ) g 非常電話親機2は、信号処理部20と、コントローラ1との間でシリアル信号による制御信号を送受信するシリアルI/F回路22とを備え、(【0010】) h 非常電話子器300aのハンドセットHを取り上げると、地区基板101aのフォトカプラPCが駆動され、(【0011】) i 中央信号処理部10では、シリアルI/F回路部13を通じ、信号線L1を介して非常電話親機2側に非常電話子器300a固有のアドレスの付された呼出制御信号を送出し、(【0011】) j 非常電話親機2では、呼出制御信号をシリアルI/F回路22を介して受信し、警報音を鳴動出力させ、火災灯を点灯表示させ、電話部29のハンドセットHを取り上げて切換接続部27の回線接続スイッチを操作すると、選択された回線信号が信号処理部20からコントローラ1側に伝送され、(【0011】) k 中央信号処理部10では、呼出を行った非常電話子器300aに対応した地区基板101aのリレーRYを駆動し、非常電話子器300aを対応した通話信号線L102に接続し、(【0011】) l これによって、非常電話子器300aとハンドセットHの取り上げられた非常電話親機2との間で通話信号線L102を介して通話が行なわれ、(【0011】) m いずれかの非常電話子器でハンドセットを取り上げると、ハンドセットを取り上げて応答した非常電話親機との間で直ちに非常通話を開始することができる(【0011】) n 非常電話システム」 2 甲2 (1)甲2の記載事項 甲2には次の記載がある。 「【0002】 【従来の技術】従来、ビル等に設置される非常用の電話装置として、例えば、実開昭54-111410号,特開平1-261069号に開示されているような電話装置が知られている。図11はこの種の電話装置の構成例を示す図である。図11を参照すると、この電話装置101は、親機102から延びる線路103に複数の子機104-1乃至104-nが接続された構成となっている。ここで、線路103は、通話線111と、信号音線112と、伝送線113等により形成されている。」 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来では、このような電話装置101をビル等に防災システム等の監視制御システムとともに設置する場合、図12に示すように、この電話装置101を監視制御システム121とは別に独立して設置していた。従って、この電話装置101について、通話線(通常は2本の電話線)111,信号音線(通常は2本の電話線)112の他に、さらに、子機104から親機102の呼出し,親機102から子機104の呼出し,親機102から子機104への制御指令の返送を行なうのに、この電話装置専用の伝送線113等を必要とし、また、これとは別途に、監視制御システム121について、中央監視制御装置122と感知器等の各種端末器124-1乃至124-mとの間に延びる伝送線123等を必要としているので、全体の布線数が多く、また、これらの線の制御,管理等が複雑で難かしいなどの問題があった。 …(略)… 【0008】本発明は、ビル等において、防災システムや防犯システム等の監視制御システムとともに、電話装置が設置される場合、従来に比べて、全体のシステムをコンパクトなものにし、全体の布線数を低減し、また、線の制御,管理等をより容易にすることの可能な電話装置および監視制御システムを提供することを目的としている。 …(略)… 【0010】 【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達成するために、請求項1乃至請求項5記載の発明では、監視制御システムの中央監視制御装置から延びる共通の伝送線に接続可能な子機を有し、中央監視制御装置を親機として利用し、親機と子機との間での呼出し制御を監視制御システムの伝送線を用いて行なうようになっている。これにより、全体のシステムをより小型化し、資源の重複等を排除することができる。特に、伝送線を共用できるので、従来と比べて、布線数を低減し、また、線の制御,管理等をより容易にすることができる。また、これに伴ない、各端末器,各子機の制御,管理を一元化することができ、これらの制御,管理が極めて容易になる。より具体的には、子機が中継器の機能を有しているので、親機として機能する中央監視制御装置は、伝送線に接続されている端末器と全く同様の手順で子機の呼出制御を行なうことができる。」 「【0015】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る電話装置および監視制御システムの一実施例の構成図である。図1を参照すると、本実施例の監視制御システム(例えば防災システム,防犯システム等)1は、中央監視制御装置(例えば火災受信機)2から延びる伝送線(例えば2本の線路)3に、少なくとも1つの端末器4-1乃至4-mが接続されて構成されている。 【0016】ここで、各端末器4-1乃至4-mは、例えば、火災感知器,ベル用中継器,制御用中継器,あるいはガス漏れ検知器用中継器等である。図2には、各端末器4-1乃至4-mの具体例が示されており、図2の例では、端末器4-1は火災感知器(例えばアナログ感知器)で構成され、端末器4-2はベル用中継器で構成され、端末器4-3は制御用中継器で構成され、端末器4-mはガス漏れ検知器用中継器で構成されている。なお、各中継器には、制御対象となる所定の機器(防災機器)が接続されている。例えば、ベル用中継器には、警報ベルが接続され、制御用中継器には防排煙端末器が接続され、ガス漏れ検知器用中継器にはガス漏れ検知器が接続されている。 【0017】また、本実施例の電話装置11は、中央監視制御装置2を親機として利用し、中央監視制御装置(親機)2から延びる監視制御システム1と共通の伝送線3に、監視制御システム1の各端末器4-1乃至4-mとともに、少なくとも1つの子機14-1乃至14-nが接続され、また、中央監視制御装置(親機)2と各子機14-1乃至14-nとの間には、通話線(例えば2本の電話線)15が敷設されて構成されている。 【0018】このように、本実施例では、監視制御システム1と電話装置11とは、互いに資源を共有しており、監視制御システム1側から見れば、監視制御システム1の一部に電話装置11が組み込まれた構成となっている。また、電話装置11側から見れば、電話装置11は、監視制御システム1の一部の資源を利用する構成となっている。すなわち、伝送線3を監視制御システム1と電話装置11とで共有させ、中央監視制御装置2に親機としての機能をもたせ、また、各子機14-1乃至14-nに端末器4-1乃至4-mと同様の端末器(中継器)としての機能をもたせている。」 (2)甲2技術事項 前記(1)の下線部に着目すると、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「ビル等において、防災システム等の監視制御システムとともに、非常用の電話装置が設置される場合に、全体のシステムをコンパクトなものにし、全体の布線数を低減するために(【0002】、【0008】)、中央監視制御装置(火災受信機)から延びる伝送線(2本の線路)に火災感知器が接続され(【0015】、【0016】)、電話装置は、中央監視制御装置を親機として利用し、伝送線を共用し、親機と子機との間での呼出し制御を監視制御システムの伝送線を用いて行なうようにして(【0010】、【0017】)、電話装置が、監視制御システムの一部の資源を利用する構成(【0018】)」 3 甲4 甲4には、次の記載がある。 「 第4図は、本発明の更に具体的な他例の実施例である。 回路切替器を構成する2つの独立して動作するリレーRS1,RS2の各々に対応して回線保持器を構成する2つリレーB1,B2を設けた構成としてあり、1台の親機TELと2台の子機l#1~l#nとの3者間で同時通話を可能にしたものである。」(3頁右上欄1~8行) 4 甲5 甲5には次の記載がある。 「子機同志同時通話の場合、表示部6に表示されている時は通話スイッチ7を同時に押すことで親、子機2台が同時に通話できる。」(2頁左下欄14~16行) 5 甲6 甲6には次の記載がある。 「【0038】 図2に示す非常電話親機12は、会議通話機能を備えることで最大10回線までの同時通話を可能とし、非常電話制御装置13を通じて着信を検出すると、その着信に応じて着信状況を最大5回線まで詳細表示できる着信詳細表示領域群31と、その着信に応じて着信状況を最大5回線まで着信有無を通知できる計5個の着信ランプで構成する着信ランプ領域群32と、業務用着信の有無を報知する業務ランプ33と、非常用着信の有無を報知する非常ランプ(火災ランプ)34と、一つのハンドセット35と、ダイヤル操作部36と、後述する表示切替ボタン37とを有している。」 「【0041】 図3に示す非常電話制御装置13は、非常電話子機11から非常電話親機12への着信を検出する着信検出部51と、この着信検出部51にて検出した非常電話親機12への着信を受付応答する着信応答部52と、この着信応答部52にて非常電話親機12への着信を受付応答すると、この受付応答した非常電話子機11及び非常電話親機12間の通話を確立する通話確立部53と、非常電話子機11及び非常電話親機12間の通話中に、着信応答部52にて他の非常電話子機11から非常電話親機12への着信を受付応答する度に、通話に対して、この受付応答した非常電話子機12との会議通話を順次確立するようにCFT26を制御する会議通話確立部54と、この着信検出部51にて非常電話子機11から非常電話親機12への着信を検出すると、この着信中の着信情報を順次記憶する着信順序メモリ55と、この着信順序メモリ55に記憶中の着信情報に基づいて、その着信毎に現状の着信状況を通知する着信通知部56と、非常電話制御装置13全体を制御する制御部57とを有している。尚、この着信情報とは、着信毎の情報であり、その情報には、発信先電話番号、現在の接続状態(話中や着信中等の着信状況)や、非常用着信又は業務用着信であるかを示すフラグ等が含まれているものとする。」 6 甲7 (1)甲7の記載事項 甲7には次の記載がある。 ア 「〔産業上の利用分野〕 本発明は線路監視装置に関し、特に高速道路上の非常電話機等の線路を監視する線路監視装置に関する。 〔従来の技術〕 従来、この種の装置はなく、保守者が定期的に高速道路上に点在する非常電話機の線路を線路試験器等により試験し、保守作業を行っていた。 〔発明が解決しようとする課題〕 上述したように従来は、高速道路上の点在する非常電話機の線路の監視を保守者が定期的に試験器等により試験することにより行っていたので、非常電話機を使用する際に正常通話が出来ないような回線断,地気混線,電池混線等の障害が発生していた場合の対処が遅れる恐れがあった。また、保守作業の効率が悪く、保守作業サイクルが長くなるという問題があった。 〔課題を解決するための手段〕 本発明の線路監視装置は、互に直列接続され電話機の音声ライン端子に接続された電流制限抵抗および極性制限抵抗と、音声ラインを介して前記電話機と接続され前記電話機のオフフックを直流ループの検出により行ないオフフックを検出している間だけ通話信号を出力する通話部と、あらかじめ定めた時間間隔で時間信号を出力する時計部と、前記音声ライン中に挿入され前記通話部から前記通話信号が入力している期間を除き前記時計部から前記時間信号が入力するごとに前記音声ラインの前記電話機側の回線断、地気混線および電池混線を検出してアラーム信号を出力し前記通話部からの前記通話信号の入力が停止したとき前記音声ラインの前記電話機側の絶縁不良を検出してアラーム信号を送出する検出部とを備えている。」(1頁右下欄3行~2頁左上欄16行) イ 「〔実施例〕 次に本発明について図面を参照して説明する。 第1図は本発明の一実施例のブロック図である。 第1図に示す実施例の動作モードは検出モードと通話モードに大別される。 まず、検出モードの動作について説明する。 検出部1は、時計部4から一定時間毎(例えば3分毎)に信号線S1→S2に送出される検出起動信号により、切替リレーrl11,rl12を一定時間(約50ms程度)動作させ、回線断混線検出部11,切替リレーrl11,音声ラインL5→L7,電流制限抵抗R,極性制限ダイオードD,音声ラインL8→L7(当審注:「L7」は「L6」の誤記と認められる。),切替リレーrl12,回線断混線検出部11の順に電流ループを構成し、ループを検出すると正常、ループの検出ができない場合回線断、端子L5又はL6に地気や電圧を検出した場合混線障害を検出し、信号線S3→S4にALM信号を送出する。 監視部3では、検出部1よりALM信号を受信すると、該当する障害表示を行い、外部へ障害信号を送出する。この障害信号は正常信号を信号線S3→S4から受信するまでラッチする。 以上が検出モードの動作であり、非常電話機6がオフフックするまでは上記の動作を繰り返す。」(2頁左上欄17行~左下欄1行) ウ 「 [図:0001435201000002.jpg] 」(第1図) (2)甲7技術事項 第1図からは、検出部1は、「非常電話機6」と「交換機側」とを接続する「音声ライン」中に挿入されることが見て取れる。 したがって、下線に着目すると、甲7には、次の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「非常電話機と交換機側とを接続する音声ライン中に挿入され、音声ラインの前記電話機側の回線断を検出してアラーム信号を出力する検出部を備えた線路監視装置」 第6 取消理由通知書に記載した取消理由について 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 「火災感知器に伝送線を介して接続され、非常電話の電話親機を有する火災受信機と、」について 甲1発明の「非常電話親機2」(構成b)は、本件発明1の「非常電話の電話親機」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「非常電話の電話親機」を備える点で共通する。他方、本件発明1は、「火災感知器に伝送線を介して接続され」る「火災受信機」を備え、「非常電話の電話親機」は「火災受信機」に備わるものであるのに対し、甲1発明は、上記「火災受信機」を備えず、「非常電話親機2」は単体である点で相違する。 イ 「前記火災受信機と第1電話線及び前記伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器とを備え、」について (ア)甲1発明の「非常電話子器300a~300n」(構成c)はそれぞれ、本件発明1の「電話子機」に相当し、「コントローラ1」と「非常電話子器300a~300n」のそれぞれとを接続する「子器側通話信号線a~n」(構成c)は、本件発明1の「第2電話線」に相当するから、本件発明1の「電話中継器」と甲1発明の「コントローラ1」とは、「複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される」点で一致する。 (イ)甲1発明の「コントローラ1」は、「非常電話親機2」と「信号線L1及び通話信号線L102」を「介して接続され」る(構成c)ものである。このうちの「通話信号線L102」は、電話線であることは明らかであり、これを、前記(ア)の「子器側通話信号線a~n」との関係で「第1電話線」と称することは任意である。他方の「信号線L1」は、「非常電話子器300a固有のアドレスの付された呼出制御信号」(構成i)を伝送するものであるから、伝送線といえるが、本件発明1の「火災受信機」に「火災感知器」を接続する「前記伝送線」に相当するものではない。また、上記「信号線L1及び通話信号線L102」を介して「コントローラ1」が「接続」するのは、「非常電話親機2」であり、本件発明1のような「非常電話の電話親機を有する」「前記火災受信機」と接続するものでない。 よって、本件発明1の「電話中継器」と甲1発明の「コントローラ1」とは、「非常電話の電話親機側と第1電話線及び伝送線を介して接続され」る点で共通するに留まる。 (ウ)前記(ア)及び(イ)のとおり、甲1発明の「コントローラ1」は、「非常電話子器300a~300n」及び「非常電話親機2」と、それぞれ「子器側通話信号線a~n」及び「通話信号線L102」を介して接続され、「呼出を行った非常電話子器」を「通話信号線L102に接続し」(構成k)、「通話が行なわれ」る(構成l)から、「コントローラ1」が、「非常電話子器300a~300n」と「非常電話親機2」との間の通話を中継していることは明らかである。よって、甲1発明の「コントローラ1」は、本件発明1の「電話中継器」に相当する。 (エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件発明1と甲1発明とは、「非常電話の電話親機側と第1電話線及び伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器」を備える点で共通する一方、「伝送線」が、本件発明1は「火災受信機」に「火災感知器」を接続するものでもあるのに対し、甲1発明の「信号線L1」は、「非常電話親機2」に「コントローラ1」を接続するのみである点で相違し、第1電話線及び伝送線を介して接続される「非常電話の電話親機側」が、本件発明1は「非常電話の電話親機を有する火災受信機」であるのに対し、甲1発明は「非常電話親機2」単体である点で相違する。 ウ 「前記電話中継器は、前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えた」について (ア)甲1発明の「コントローラ1の地区基板部101」に設けられた「地区基板101a」(構成e)は、「親機側接続点」に「通話信号線L102が接続され」、「配線」で「親機側接続点」と「リレーRY」とが「接続」される(構成f)ものである。つまり、「親機側接続点」及び「配線」は、「リレーRYの一端」と「通話信号線L102」とを接続する回路(以下「甲1親機側回路」という。)を構成している。そして、上記「リレーRY」は、「非常電話子器300a」を「通話信号線L102に接続」することで「非常電話子器300a」と「非常電話親機2」との「通話」を可能にするから、「リレーRY」と「通話信号線L102」とを接続する「親機側接続点」及び「配線」は、該「通話」のための回路といえる。してみると、「甲1親機側回路」は、本件発明1の「前記第1電話線に接続される」「第1電話回路」に相当する。そして、「他の地区基板も、地区基板101aと同様の構成を備え」る(構成f)ため、甲1発明の「コントローラ1」は、甲1親機側回路を複数備えるものであるところ、本件発明1の「電話中継器」は、「第1電話回路」を「1つ」備えるものであるから、この点で本件発明1と甲1発明とは相違する。 (イ)甲1発明の「コントローラ1」に設けられた前記「地区基板101a」の「子器側接続点」及び「配線」は、「リレーRYの他端」と「子器側通話信号線a」とを接続しており(構成f)、前記(ア)の「親機側接続点」及び「配線」と同様、「通話」のための回路(以下「甲1子器側回路」という。)といえるから、本件発明1の「前記第2電話線に接続される」「第2電話回路」に相当する。そして、「他の地区基板も、地区基板101aと同様の構成を備え」るため、「コントローラ1」は、「甲1子器側回路」を複数備えるものであるから、本件発明1の「電話中継器」と甲1発明の「コントローラ1」とは、「電話中継器」が「前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路」を備える点で一致する。 (ウ)甲1発明の「コントローラ1」の「中央信号処理部10」は、「呼出を行った非常電話子器300aに対応した地区基板101aのリレーRYを駆動し、非常電話子器300aを対応した通話信号線L102に接続」する(構成k)から、「地区基板101a」の「リレーRY」は、前記(イ)の「子器側接続点」を前記(ア)の「親機側接続点」に選択的に接続する回路、換言すると、「甲1親機側回路」と「甲1子器側回路」との接続状態を切り替える回路といえる。そうすると、「地区基板101a」の「リレーRY」は、本件発明1の「通話ライン切替回路」に相当する。他方、この「地区基板101a」は、「非常電話子器300aに対応した」もの(構成k)であるため、「地区基板101a」の「甲1子器側回路」は1つと解されるから、「地区基板101a」の「リレーRY」は、1つの「甲1子器側回路」を1つの「甲1親機側回路」に接続するのみである。これは、「地区基板101aと同様の構成を備え」た「他の地区基板」それぞれの「リレーRY」についても同様である。 そうすると、本件発明1の「電話中継器」と甲1発明の「コントローラ」とは、「第2電話回路を第1電話回路に接続する通話ライン切替回路」を備える点で共通するが、本件発明1の「通話ライン切替回路」は、「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する」のに対し、甲1発明の「リレーRY」は、1つの「甲1子器側回路」を1つの「甲1親機側回路」に接続するのみである点で相違する。 エ 「火災報知システム」について 甲1発明の「非常電話システム」(構成a)は、「呼出制御信号」を「受信」した「非常電話親機2」が「警報音を鳴動出力させ」、「火災灯を点灯表示させ」る(構成j)ものであるから、「火災」のためのシステムである。しかしながら、この「非常電話システム」は、火災感知器からの検出信号を受信する火災受信機を備えた、いわゆる「火災報知システム」ではない。 よって、本件発明1と甲1発明とは、「火災のためのシステム」である点で共通するに留まる。 オ 一致点、相違点 前記ア~エによれば、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は、次のとおりである。 [一致点] 非常電話の電話親機と、 非常電話の電話親機側と第1電話線及び伝送線を介して接続され、複数の電話子機のそれぞれと第2電話線で接続される電話中継器とを備え、 前記電話中継器は、前記第1電話線に接続される第1電話回路と、前記第2電話線に接続される複数の第2電話回路と、 前記第2電話回路を前記第1電話回路に接続する通話ライン切替回路とを備えた 火災のためのシステム。 [相違点] (相違点1-1)本件発明1は、「火災感知器に伝送線を介して接続され」る「火災受信機」を備え、「非常電話の電話親機」は「火災受信機」に備わるものであるのに対し、甲1発明は、上記「火災受信機」を備えず、「非常電話親機2」は単体である点。 これに付随して、電話中継器が第1電話線及び伝送線を介して接続される「非常電話の電話親機側」が、本件発明1は「非常電話の電話親機を有する火災受信機」であるのに対し、甲1発明は「非常電話親機2」単体である点。 さらに、本件発明1は、「火災報知システム」であるのに対し、甲1発明は、「非常電話システム」である点。 (相違点1-2)相違点1-1と関連し、電話中継器と非常電話親機側とを接続する「伝送線」が、本件発明1は、「火災受信機」に「火災感知器」を接続するものでもあるのに対し、甲1発明の「信号線L1」は、「非常電話親機2」に「コントローラ1」を接続するのみである点。 (相違点1-3)本件発明1の「電話中継器」は、「第1電話回路」を「1つ」備えるのに対し、甲1発明の「コントローラ1」は、「甲1親機側回路」を複数備える点。 (相違点1-4)本件発明1における「通話ライン切替回路」は、「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する」のに対し、甲1発明の「リレーRY」は、1つの「甲1子器側回路」を1つの「甲1親機側回路」に接続するのみである点。 (2)判断 ア 事案に鑑み、相違点1-3及び1-4について検討する。 (ア)相違点1-3について 甲1発明の「甲1親機側回路」は、前記(1)ウ(ア)のとおり、「地区基板101a」及び「他の地区基板」、すなわち複数の「地区基板101a~101n」のそれぞれに備わるものである。そして、このような複数の「地区基板101a~101n」のそれぞれに備わる複数の「甲1親機側回路」を1つの回路にすることは、甲2~7には記載も示唆もなく、周知技術であるともいえない。 よって、相違点1-3に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2~7の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (イ)相違点1-4について 甲1発明の「リレーRY」は、1つの「甲1子器側回路」を1つの「親機側回路」に接続するものであるが、これは、前記(1)ウ(ウ)のとおり、「リレーRY」を備える「地区基板101a~101n」の各々は、「非常電話子器300a~300n」にそれぞれ対応したもの、換言すると、「地区基板101a~101n」には、それぞれ「非常電話子器300a~300n」の対応する1つが接続される構成が前提となっているためである。 そして、このような前提構成において、「リレーRY」が、複数の「甲1子器側回路」を1つの「親機側回路」に接続することは、甲2~7には示されておらず、周知技術でもないから、甲1発明に甲2~7を如何に組み合わせても、相違点1-4に係る本件発明1の構成には到達し得ない。 また、甲1発明の「リレーRY」を、相違点1-4に係る本件発明1の構成にすることの動機付けを示す証拠もない。 よって、相違点1-4に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2~7の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 イ したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~7の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1と同一の構成を有し、さらに限定を付加したものであるから、本件発明2に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~7の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 取消理由通知書に記載した取消理由についてのまとめ 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由は、理由がないから、当該取消理由で本件特許を取り消すことはできない。 第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 取消理由通知書に記載した取消理由は、特許異議申立書に記載された申立理由のうちの請求項1及び2に係るものである。 以下では、申立理由のうち、取消理由通知において採用しなかった請求項3及び4に係るものについての判断を示す。 1 本件発明3について 本件発明3は、前記第6の1で検討した本件発明1の「前記電話中継器は…(略)…前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路を備えた」に対応する発明特定事項を有しておらず、代わりに「前記電話中継器は、前記電話線の断線を検出する断線検出回路を備えた」との発明特定事項を有する。そこで、事案に鑑み、本件発明3の「前記電話中継器は、前記電話線の断線を検出する断線検出回路を備えた」との発明特定事項に着目して、以下、検討する。 (1)対比 ア 本件発明3の前記発明特定事項の「前記電話中継器」は、「1以上の電話子機が接続される電話中継器」のことである。そのため、前記第6の1(1)イと同様に、甲1発明の「非常電話子器300a~300n」は、それぞれ本件発明3の「電話子機」に相当し、該「非常電話子器300a~300n」と「子器側通話信号線a~n」を介して接続する甲1発明の「コントローラ1」は、本件発明3の「前記電話中継器」に相当する。 本件発明3の前記発明特定事項の「前記電話線」は、「前記火災受信機と前記電話中継器とは、…(略)…かつ電話線を介して接続されており」の「電話線」のことであり、本件発明1の「第1電話線」に対応するものである。これに対し、前記第6の1(1)ア及びイのとおり、甲1発明の「通話信号線L102」は、「コントローラ1」を「非常電話親機2」に接続する電話線であり、該「非常電話親機2」は、本件発明3の「非常電話の電話親機」に相当するが、該「非常電話親機2」は「火災受信機」に備わるものではない。そのため、本件発明3の「前記電話線」は、「前記電話中継器」を「非常電話の電話親機を有する火災受信機」に接続する電話線であるのに対し、甲1発明の「通話信号線L102」は、「コントローラ1」を「非常電話親機2」に接続する点で相違する。 本件発明3の「前記電話線の断線を検出する断線検出回路」は、甲1発明には特定されていない。 イ したがって、本件発明3と甲1発明とは、少なくとも、次の点で相違する。 (相違点3-1)本件発明3の「前記電話線」は、「前記電話中継器」を「非常電話の電話親機を有する火災受信機」に接続するのに対し、甲1発明の「通話信号線L102」は、「コントローラ1」を「非常電話親機2」に接続する点。 (相違点3-2)本件発明3の「前記電話中継器」は「前記電話線の断線を検出する断線検出回路」を備えるのに対し、甲1発明の「コントローラ1」は、該「断線検出回路」を備えない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点3-2について検討する。 甲7技術事項における「非常電話機」は、甲7の「高速道路上の点在する非常電話機の線路の監視を保守者が定期的に試験器等により試験することにより行っていた」(前記第5の6(1)ア)等の記載を踏まえると、高速道路等の設備に複数点在する非常電話子機のことであると解され、「交換機」は、これらの非常電話子機と非常電話親機との接続を制御するものと解されるから、これらは、それぞれ甲1発明の「非常電話子器300a~300n」及び「コントローラ1」に対応するといえる。そのため、甲7技術事項を甲1発明に適用した場合、「線路監視装置」の「検出部」が、「コントローラ1」と「非常電話子器300a~300n」とを接続する「子機側通話信号線a~n」中に挿入されたものとなるから、相違点3-2に係る本件発明3の「前記電話中継器」が「断線検出回路」を備える構成には至らない。仮に、甲7技術事項の「非常電話機」は甲1発明の「非常電話親機2」に対応すると解したとしても、相違点3-2に係る構成に至らない点に変わりはない。そして、前記「検出部」を、甲1発明の「コントローラ1」に備えさせることが設計事項であることを示すものは、甲7にもその他の証拠にも示されておらず、技術常識であるとも認められない。 よって、相違点3-2に係る本件発明3の構成は、甲1発明と甲2~7に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1に記載された発明と甲2~7に記載された事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3と同一の構成を有し、さらに限定を付加したものであるから、本件発明4に係る発明は、甲1に記載された発明と甲2~7に記載された事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 小括 以上のとおりであるから、請求項3及び4についての申立理由は、理由がない。 第8 申立人の主張について 1 申立人の主張の概要 (1)本件発明1及び2についての主張 申立人が、本件発明1及び2についてする主張のうち、相違点1-3及び相違点1-4に関するものは、概略次のとおりである。 ア 明確性 請求項1の「前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路」は、何をもって一単位の第1電話回路と解すべきかが不明であるから、請求項1及び2の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすものである。(意見書2頁9~17行) イ 進歩性 請求項1の第1電話回路の一単位は合理的な範囲で任意に解釈され得るため、甲1の地区基板101a~101nのそれぞれの親機側接続点及び配線(甲1親機側回路)は、まとめて地区基板部101の1つの親機側入出力回路と解することができるから、この親機側入出力回路は、請求項1の「前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路」に該当する。(意見書2頁18行~3頁12行) (2)本件発明3及び4についての主張 申立人は、本件発明3及び4について、概略次の主張をする。 甲7技術事項は、非常電話器等の線路の断混線を検出する回路断混線検出部11を設けることを開示しており、甲1発明の通話信号線L102の断混線を検出するために、甲7技術事項に基づいて、通話信号線L102に回路断混線検出部を設けることは容易に想到可能であり、甲7技術事項の回路断混線検出部11は、電流ループを構成し、ループの検出ができない場合に回線断を検出するという原理からして、通話信号線L102のどこに設けられていてもよく、回路断混線検出部をコントローラ1内に設けることは設計事項に過ぎない。(特許異議申立書25頁4~12行) 2 検討 (1)本件発明1及び2の主張について ア 明確性の主張について 請求項1には、「前記第1電話線に接続される1つの第1電話回路」及び「前記複数の第2電話回路の1つ又は複数を前記1つの第1電話回路に接続する通話ライン切替回路」と記載されている。そうすると、「1つの第1電話回路」とは「通話ライン切替回路」に接続されるもの、換言すると、「第1電話回路」は「通話ライン切替回路」に接続される単位のものと解釈され、これは、発明の詳細な説明の記載(前記第2の2(1)ウ(ア)参照)とも整合的である。 したがって、本件発明1及び2は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 イ 進歩性の主張について 前記アのとおり、本件発明1及び2の「第1電話回路」は「通話ライン切替回路」に接続される単位のものと解される。 これに対し、甲1発明は、複数の地区基板101a~101nのそれぞれに甲1親機側回路とリレーRYとが備わり、両者が接続されるものである。そして、甲1発明では、前記第6の1(1)ウ(ウ)のとおり、各リレーRYが前記「通話ライン切替回路」に相当し、リレーRYは複数存在するから、リレーRYに接続される単位としての甲1親機側回路も複数存在するものと解される。(なお、前記のとおり、甲1親機側回路及びリレーRYは、いずれも地区基板101a~101nのそれぞれに備わるものであるところ、通常、異なる基板にそれぞれ存在する回路をまとめて1個の回路と見なすことはないことからも、甲1親機側回路及びリレーRYは複数存在すると解するのが自然である。) ウ 小括 よって、本件発明1及び2についての申立人の前記主張は、採用することができない。 (2)本件発明3及び4の主張について 前記第7の1(2)のとおり、甲7技術事項は、非常電話子機と交換機側とを接続する音声ライン中に検出部を挿入するものであると解されるから、甲7技術事項を甲1発明に適用すると、コントローラ1と非常電話親機2とを接続する通話信号線L102に挿入する構成にはならない。加えて、甲7技術事項は、検出部からみて電話機側の回線断を検出するものであるところ、回線断はその有無とともにその場所の特定も当然重要であることに鑑みると、音声ライン中に挿入される検出部をコントローラ1内に設けることが設計事項であるともいえない。 よって、本件発明3及び4についての申立人の前記主張は、採用することはできない。 (3)申立人の主張についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立人の主張はいずれも採用することができない。 第9 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700771

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