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商標異議申立

2025-900023

プラスジール、プラスジーア、ジール、ジーア

審判番号
2025-900023
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-026462
登録番号
6864456
請求日
2025年01月21日
審決日
2025年10月29日
公報発行日
2025年11月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大成建設株式会社
  • 【異議申立人】ジェジャン ジーリー ホールディング グループ シーオー., エルティーディー.
  • 【異議申立人代理人】林 栄二
  • 【異議申立人代理人】佐藤 淳
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 石塚 文子
分類
T1652.25 -Y (W1237) / T1652.261-Y (W1237) / T1652.262-Y (W1237) / T1652.263-Y (W1237) / T1652.271-Y (W1237) / T1652.222-Y (W1237)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6864456号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6864456号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6864456号商標(以下「本件商標」という。)は、「+ZEER」及び「プラスジール」の文字を上下2段に横書きしてなり、令和6年3月14日に登録出願、第6類、第12類、第19類、第36類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月9日に登録査定、同年11月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の4件の登録商標であり、それらの商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 国際登録第1606275号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:ZEEKR 国際商標登録出願日:2021年4月6日 優先権主張:2021年3月1日(中国) 設定登録日:令和4年11月18日 指定商品及び指定役務:第7類、第9類、第11類、第12類、第25類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 2 国際登録第1652352号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲1のとおり 国際商標登録出願日:2021年12月30日 優先権主張:2021年11月26日(中国) 設定登録日:令和5年2月10日 指定役務:第39類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの役務 3 国際登録第1650088号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:ZEEKR 国際商標登録出願日:2021年12月30日 設定登録日:令和5年2月3日 指定役務:第39類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの役務 4 国際登録第1607096号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 国際商標登録出願日:2021年4月7日 優先権主張:2021年3月1日(中国) 設定登録日:令和4年7月15日 指定商品及び指定役務:第12類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 なお、上記引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、単に「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第12類「全指定商品」及び第37類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 本件商標と引用商標の類否について (1)本件商標の構成について 本件商標は、「+ZEER」と「プラスジール」の文字を2段に配してなる構成を有している。そして文字の構成については、「+」の記号と「ZEER」の欧文字を有し、その読み仮名が下段に付されている。 ここで、「+(プラス)」の語は、加えることを示す数学記号であり、また同様に「プラス」の語も「加えること。加算。」を意味する語である。そして取引上、「+(プラス)」の語を他の語と結合した場合、「+(プラス)」の語は、単に「付加する」程度の意味を想起させるにすぎず、強い識別機能は有しないというべきである。そのため、本件商標においては「ZEER」が本件商標の要部であるといえる。 このことは、過去の審決においても、例えば「マザープラス/Mother+」の2段併記より構成される商標と「マザー/MATHER」の2段併記より構成される商標の類否判断(異議2002-90463)において、「本件商標の構成は、上記のとおりであるところ、構成中上段の片仮名「マザープラス」は、下段の「Mother+」の称呼を特定したものであると認められ、該「Mother+」は、母親を意味する英語「Mother」とありふれた記号「+」よりなるものであって、これよりは、全体より生ずる「マザープラス」の称呼のほか、単に、「Mother」の文字に照応する「マザー」の称呼をも生ずるものというべきである。けだし、該構成にあっては、これに接する取引者、需要者は、ありふれた記号と認められる「+」を省略し、単に、「Mother」の文字において、独立して取引に資される場合があるものというべきだからである。」として「+(プラス)」以外の「Mother(マザー)」を要部として類否判断を行っている。 また、「ラッシュプラス/LUSH PLUS」と「LUSH」の類否判断(異議2003-90207)において、「商標権者は、化粧品の分野における「プラス/PLUS」の登録例を挙げ、「プラス/PLUS」の語は、自他商品の識別力を有するものである旨主張する。確かに、「プラス」、「PLUS」の登録例があり、それ相応に自他商品の識別機能を有していることは認め得るところであるが、一般的に、ある語に「プラス」又は「PLUS」の語を結合した場合の「プラス」又は「PLUS」は、単に「付加する」程度の意味を想起させるにすぎず、強い識別機能は有しないというべきである。そして、本件商標にあっては、その構成中に、申立人が使用し、本件商標の登録出願前より著名な「LUSH」と同一つづり文字及びその片仮名表示である「ラッシュ」の文字を有するものであるから、前記したとおり、本件商標に接する需要者は、「LUSH」、「ラッシュ」の各文字部分に印象付けられるといわなければならない。」として「+(プラス)」以外の「LUSH(ラッシュ)」の文字部分を要部として類否判断を行っている。 このように、本件商標も上記決定と同様に欧文字と片仮名から構成される「+(プラス)」の語に付加された語による構成からなる商標であり、また上記決定でも示されているが、取引上「+(プラス)」の語を他の語と結合した場合、「+(プラス)」の語は、単に「付加する」程度の意味を想起させるにすぎず、強い識別機能は有しないというべきであるから、「ZEER(ジール)」の語が本件商標における要部であるといえる。 そして上記構成より、「ジール」の称呼が生じ、また辞書を徴してみても特定の意味合いが生じることはないことから、特定の観念は生じないといえる。 (2)引用商標の構成について 引用商標1及び引用商標3は、「ZEEKR」の欧文字をありふれたフォントにて表示してなる商標であり、引用商標2及び引用商標4は、四角形の図形の下に「ZEEKR」の欧文字を配置した構成を有する商標である。 すなわち、いずれの引用商標も「ZEEKR」の欧文字をその構成に有する商標であって、この「ZEEKR」の文字構成より生じる外観・称呼・観念が生じるものといえる。 また、引用商標は、後述するように中国や米国において広く一般に知られた外国周知商標であり、その称呼として「ジーカー」と取引上使用されていることから「ジーカー」の称呼が生じ得る。また引用商標構成中の「ZEEKR」について辞書を徴してみても特定の意味合いが生じることはなく、欧文字からなる造語は、一般に、我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることから、その構成から「ジークル」の称呼も自然に生じるといえる。 (3)本件商標と引用商標との対比について 以下、本件商標と引用商標との類否について外観・称呼・観念に基づいて検討する。 ア 外観における対比 本件商標と引用商標は、全体の外観において、片仮名部分の有無の差異があるものの、欧文字部分のつづりは、全6文字中5文字を共通にし、6文字目の有無にしても、文字として記憶される印象において似通った印象を与えるものであり、相紛らわしいといえる。 この点、過去の審決においても、例えば「PLACENTIA/プラセンティア」の2段併記より構成される商標と「PLACENDIA」の商標の類否判断(不服2022-13154)において、「両者は、9文字中8文字を同じくし、7文字目における「T」と「D」の文字に差異を有するにすぎないから近似した印象を与えるものといえる。」として、2段併記と1段の文字構成からなる商標であっても外観上類似すると判断されている。 また同様に、「図形/Hippyness」より構成される商標と「hippiness/ヒッピネス」の2段併記で構成される商標の類否判断(不服2021-16812)において、「外観においては、片仮名部分の有無の差異があるものの、欧文字部分のつづりは、全9文字中8文字を共通にし、5文字目(「y」と「i」)の差異にしても、全体の表音に影響しない程度の違いにすぎないから、文字として記憶される印象において似通ったものとなり、相紛らわしい。」として、図形と組み合わされた欧文字からなる商標と欧文字と片仮名より構成される商標が外観上紛らわしいと判断されており、本件商標と引用商標においても同様に相紛らわしいといえる。 イ 称呼上における対比 本件商標は、その構成から「ジール」の称呼が生じ、また引用商標は上述したとおり「ジーカー」及び「ジークル」の称呼が生じ得るといえる。ここで、「ジール」と「ジークル」について、両商標は「ク」音の有無の差異であるところ、「ク」音は舌上面を上顎の奥より手前に付けて閉鎖を作り発する無声子音と母音の複合音であって、明瞭に強く響く音ではなく、また語頭音の「ジー」音に強いアクセントを有する構成であることから、語感及び語調に共通性を有し、間に挟まれる「ク」音は明瞭に聴取し難いといえる。 このことは、異議2008-900122における「ク」音の有無の差異のみからなる類否判断においても類似と判断されており、本件商標と引用商標においても同様に相紛らわしいといえる。 ウ まとめ なお、上述のとおり本件商標と引用商標は、特段の意味合いを有さないものであるが、外観及び称呼において相紛れるおそれがあり、観念上明確な違いを有するものではないから、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。 2 申立人が製造・販売している引用商標が、周知・著名性を獲得していることについて 申立人は、2021年に設立された中国の自動車ブランドであり、EV(Electric Vehicle)販売において、1台約440万円の高価格帯の展開にもかかわらず、設立4年にして世界の販売ランキングのTOP10に入るほどの急激な躍進を見せており(甲6)、また、日本では既に著名となっているボルボ・カーや、ロータス・カーズといった自動車メーカーを傘下に入れ、現在、世界30か国以上に進出している海外自動車ブランドである(甲7)。 また、引用商標は、2021年4月、上海国際自動車産業博覧会へ出品したのを皮切りに、2022年1月には米国進出の報道がされ、2022年11月頃には、2023年4月には欧州市場に参入する旨の報道が紹介されるなど、日本においても引用商標の市場動向について逐一各社において報道がなされ(甲8)、2023年1月の報道では、欧州進出のほか、米国上場の報道も既になされ(甲9)、本件商標の登録出願時においては、既に世界的な企業へと成長している実情が各報道機関によってなされている。また、これらの報道は、車の愛好家における話題というよりは、「日本経済新聞」など、日本の経済紙のトップが経済ニュースとして取り上げるほどに、今後の自動車産業及び世界経済の動向として、注目を集めていることが伺える。 このように、申立人による急激な事業の成長により、商標「ZEEKR」は、自動車のみならず、電気事業関連分野や修理や保守の分野などの周辺事業分野においても取引者及び需要者において広く認知されるに至っており、また、EV業界という特に注目されている業界であるがゆえに、関連業界を含めた取引者及び需要者における注目度は大きく、事業の進展の度に新聞や雑誌において広く紹介されている(甲10)。 3 本件商標が第4条第1項第11号に該当することについて 本件商標と引用商標とは、上記1で詳述したとおり、外観及び称呼において相紛れるおそれがあり、観念上明確な違いを有するものではないから、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。また、指定商品及び指定役務においても、少なくとも以下の指定商品及び指定役務が類似していることは明白であるといえる。これらの指定商品及び指定役務は、これまで申し述べたとおり、申立人の核心事業に係る商品又は役務と同一又は極めて密接な関係を有する類似商品又は役務に該当する。 第12類 キャンピングトレーラー,住居として使用できる構造をしたトレーラー,店舗として使用できる構造をしたトレーラー,トレーラー,キャンピングカー,診療・治療・手術・入院等の医療行為を実施するための設備を備えたトレーラー,冷蔵機能付きトレーラー,廃棄物処分設備を備えたトレーラー,汚水処理設備を備えたトレーラー,発電設備を備えたトレーラー,給水設備を備えたトレーラー,自動車並びにその部品及び附属品,牽引車,荷役用索道,陸上の乗物用の機械要素,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー 第37類 可搬式及びプレハブ式建築物の建設工事・保守及び修繕,建設工事,建設工事に関する助言,自動車の修理又は整備,業務用暖冷房装置の修理又は保守,業務用冷凍機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守 4 本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当することについて 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に関する判例において、本号の「混同を生じるおそれ」の判断基準として、(a)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(b)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、(c)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との関連性の程度、(d)取引者、需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力などを基準として総合的に判断すべきである、とされている(最高裁平成10年(行ヒ)第85号)。 ここで、本件商標と引用商標における類似性の程度は、上述したとおり、引用商標とは類似するものといえる。 また、引用商標における周知著名性についても、上述のとおり、申立人及び本件商標を紹介する各社報道などにより、商標「ZEEKR」は申立人における商標であるとして、本件商標に係る指定商品及び指定役務の分野における取引者及び需要者において広く認識されるに至った商標であることは明白である。 さらに申立人グループが展開するEV事業は、自動車業界のみならず、関連する電気に関連する事業やその他の電気に関わる分野においても技術的に密接な関係があり、今後、技術革新が進むにつれて、更に多角化される余地がある事業分野である。したがって、本件商標に係る商品及び役務については、申立人事業に係る商品又は役務と密接な関連性を有することがこれらの実情からも明らかである。 さらに、一般社団法人日本自動車工業会が2024年に発表した、2023年度に実施した乗用車市場動向調査によれば、日本の乗用車世帯保有率は、77.6%に達している。さらに、同調査報告書によれば、次世代自動車の中で、購入検討順位で「電気自動車(EV)」を1位とした割合は継続的に上昇しており、さらに、各自動車メーカーがEV自動車の開発、販売に注力している状況に鑑みれば、今後、EV自動車のシェアは上昇することは疑いようもない事実である(甲11)。 このように、本件商標に係る指定商品の需要者は、特定の専門家ではなく、現在、乗用車を保有する一般的な需要者であって、高度な注意力を有するものではなく、簡易な印象により出所を認識するものであることから、これらの取引の実情を踏まえれば、本件商標と申立人の引用商標の並存は、需要者にとって、出所の混同が生じさせるおそれがある。 以上により、本件商標は、申立人の商標と出所の混同を生じるおそれのある商標であることは明白であり、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に該当することは明らかである。 5 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することについて 本号は、商標に化体された信用のフリーライドあるいは希釈化を防止することで周知・著名商標を保護し、ひいては一般需要者をも保護することを目的とするものである。そして、これらの類似性及び不正の目的の観点より本号該当性が判断されている。 ここで、本件商標と引用商標の類似性については、上記1に示したとおり、両商標が類似することは明らかである。 また、上記2に述べたとおり、本件商標が登録出願された当時、既に申立人は欧州への進出を始め、米国への上場も報道されているさなかであって、いずれ本件商標に係る事業が日本に進出されることは当然予想されており、現実として現在、日本への進出が報道されている実情にある。 このことは、本件商標権者は、前述したとおり、急激に成長を遂げた世界的企業であり、外国及び日本においても各社報道によって、既に周知・著名となっている引用商標が存在していることを十分理解した上で、本件商標を登録出願していることは明白であり、また指定商品についても本件商標権者とは関係性のない、自動車及びその関連業種を含めた商品及び役務を指定しており、本件商標権者は、このような「ZEEKR」の急成長を遂げ、世界的に注目を集めている信用や集客力にただ乗りする意図をもった出願であることは明らかであるといえる。さらには、そのような権利化が認められるならば、高い信用と価値を有する周知・著名商標が毀損されることは明らかであり、それは申立人の引用商標の、使用により生じた信用を保護し、ひいてはその保護により一般需要者も保護するとする、商標法本来の趣旨がないがしろにされていることになるといえ、このような登録は、到底認められるべきではない。 特に、申立人は、2021年にブランドを設立し、僅か3年で、合計約34万台を販売している。2024年下半期の世界EV自動車ランキングでは、既に10位にランクインしており、その類を見ない成長のスピードは、「ZEEKR Speed」という新語を生み出すほどに、特別なものであり、急激に知名性を獲得したこと、及び2025年に日本進出が大々的に発表されていることに鑑みれば、審査基準における商標法第4条第1項第19号に係る、「我が国以外の複数の国において知名性を獲得し、且つその周知商標の所有者が、我が国に進出する具体的計画(例えば、我が国への輸出、国内での販売等)を有している事実を有している事」という、規定を満たすものであって、仮に、本件商標の登録が維持された場合には、申立人の営業利益を大きく損ねることになりかねず、自由な経済競争を阻害するものといえる。 以上により、本件商標は、申立人の商標と出所の混同を生じるおそれのある商標であることは明白であり、商標法第4条第1項第19号にも該当することは明らかである。 6 結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるため、同法第43条の2第1項により、その登録は取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知著名性について (1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 「ZEEKR」の文字は、申立人によって2021年に設立された中国の自動車メーカー(以下「ZEEKR社」という。)及び同社の電気自動車のブランドを表すものとして使用されており、引用商標1及び引用商標3、並びに引用商標2及び引用商標4の文字部分である「ZEEKR」(以下、これらをまとめて「申立人商標」という。)が、当該電気自動車に使用されている(甲6~甲10)。 イ ZEEKR社は、電気自動車(EV(Electric Vehicle))販売において、2024年7月から9月における世界の販売ランキングでトップ10に入っている(甲6)。 ウ 申立人は、申立人商標を使用するZEEKR社以外に、ボルボ・カーや、ロータス・カーズといった外国の自動車メーカーを傘下に入れ、現在、世界30か国以上に進出している中国の自動車メーカーである(甲7、甲8)。 エ 申立人商標を使用する電気自動車に関して、2022年1月には、同年の米国進出に関する報道が、2022年11月には、2023年の欧州市場への参入予定に関する報道などの外国における市場動向に関する報道が、我が国のメディアでも行われ、また、申立人商標を使用する電気自動車について、及び、2025年度内の我が国での発売予定等について、新聞、雑誌、ウェブサイトにおいて紹介された(甲8~甲10)。 オ 新聞、雑誌等では、「ZEEKR」の欧文字の読みとして、「ジーカー」の片仮名が併記されている(甲6、甲8~甲10)。 (2)上記(1)の事実からすれば、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「電気自動車」を表示し、かつ、「ジーカー」と読まれるものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られているものと推認することができる。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、「+ZEER」及び「プラスジール」の文字を上下2段に横書きしてなるところ、上段、下段いずれも同書、同大、同間隔で表されており、全体として外観上まとまりよく一体に表されている。 そして、本件商標の構成中、上段の「+」は「プラス」と称呼される記号であり、また、上段の「ZEER」の欧文字は、一般的な辞書に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、特定の観念を生じることのない造語として認識されるものである。 そして、下段の「プラスジール」の片仮名は、上段の読みを特定しているものと容易に認識されるものであるから、本件商標は、構成文字全体として「プラスジール」の称呼を生ずるものというのが相当であり、かかる称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 また、たとえ、本件商標の構成中の「+」の記号部分及び「プラス」の文字部分が、「付加する」程度の意味を想起させるものとして、強い自他商品の識別力を有さない場合があるとしても、本件商標の上記構成及び称呼からすれば、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「+」の記号部分及び「プラス」の文字部分を捨象して、「ZEER」及び「ジール」の文字部分のみに着目するというよりは、むしろ、その構成全体を、一体不可分のものとして看取、把握するものとみるのが相当である。 さらに、本件商標の構成中の「ZEER」及び「ジール」の文字部分のみが独立して、自他商品の識別標識として認識されるものとみるべき特段の事情は見当たらない。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「プラスジール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標1及び引用商標3は、上記第2のとおり、「ZEEKR」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録のない一種の造語として認識されるものであるから、特定の意味を有しない欧文字については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であることからすると、その構成文字に相応して「ジークル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 引用商標2及び引用商標4は、別掲1及び別掲2のとおり、上部に幾何学図形を灰色の四角形内に表した図形(以下「図形部分」という。)を配し、下部に「ZEEKR」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きした構成からなるところ、その図形部分と文字部分とは、重なることなく配置されており、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。 そして、当該文字部分は、辞書等に載録のない一種の造語として認識されるものであるから、特定の意味を有しない欧文字については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であることからすると、その構成文字に相応して「ジークル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 また、上記1(2)のとおり、申立人商標が「ジーカー」と読まれるものとして需要者の間に一定程度認識されていることを考慮すれば、引用商標からは、「ジーカー」の称呼も生じるとみるのが相当である。 (3)本件商標と引用商標の類否 ア 外観について 本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、「+」の記号及び「プラス」の片仮名並びに「K」の欧文字の有無の差異において、明らかに相違するものである。 また、本件商標と引用商標2及び引用商標4とは、「+」の記号及び「プラス」の片仮名並びに中間部における「K」の欧文字の有無の差異、加えて図形の有無の差異において、明らかに相違するものである。 よって、本件商標と引用商標の外観は、互いに紛れるおそれはない。 イ 称呼について 本件商標から生じる「プラスジール」の称呼と引用商標又は引用商標の要部から生じる「ジーカー」又は「ジークル」の称呼とは、音構成及び音数が明らかに相違するため、語調語感が異なり、互いに紛れるおそれはない。 ウ 観念について さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないから、比較することができない。 エ 小括 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において容易に区別し得るから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 以上により、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標ではないから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号について 上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る電気自動車を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られているとしても、広く認識されているとはいえず、また、本件商標と申立人商標のうち引用商標1及び引用商標3とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標であり、本件商標と申立人商標のうち引用商標2及び引用商標4の文字部分とは、「+」の記号及び「プラス」の片仮名並びに「K」の文字の有無の差異において、非類似の商標であって別異の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号について 上記1のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る電気自動車を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られているとしても、上記3のとおり、本件商標と申立人商標とは類似するとはいえない別異のものであり、類似性の程度は極めて低いものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号について 本件商標と申立人商標(引用商標)とは、上記3のとおり、非類似の商標である。 また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第12類「全指定商品」及び第37類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-900023

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