特許訂正審判
2024-390073
電子機器、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電池の正極活物質
- 審判番号
- 2024-390073
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-038622
- 登録番号
- 6736240
- 請求日
- 2024年07月26日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 半導体エネルギー研究所
- 【請求人代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 ▲高▼橋 徳浩
- 審判官 篠原 功一
- 分類
- P141 .851-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6736240号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6736240号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2〕、〔4〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6736240号は、平成29年11月6日(優先権主張 平成28年11月18日)の出願である特願2017-213417号の一部を令和2年3月6日に新たな特許出願としたものであって、令和2年7月17日に特許権の設定登録がなされたものである。その後の本件に係る手続の概要は以下のとおりである。
令和 3年 2月 4日 :特許異議の申立て
(異議2021-700127)
令和 3年 5月10日付け:取消理由通知
令和 3年 7月15日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
令和 4年 2月 7日付け:特許異議の決定
令和 6年 7月26日 :訂正審判の請求(本件訂正審判)
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6736240号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2及び4について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に「前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」とあるのを、「前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し、前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」に訂正する。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し」とあるのを、「前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し、前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」に訂正する。
第4 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項2に係る発明では、「正極活物質」について、結晶構造に関する特定はなかった。
これに対して、訂正後の請求項2に係る発明では、「前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し」との特定を加えることにより、正極活物質の結晶構造を限定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正前の請求項2に係る発明では、「正極活物質」について、「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し」と記載され、正極活物質においてコバルトが存在する領域の範囲は特定されているものの、コバルトが表面に存在するか否かを特定していなかった。
これに対して、訂正後の請求項2に係る発明では、「前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」との特定を加えることにより、コバルトが少なくとも表面に存在することを限定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)新規事項の有無について
訂正事項1の「前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し」との特定について、本件特許明細書の段落【0030】には、「正極活物質100は、第1の領域101と、第2の領域102と、第3の領域103を有する。」との記載がある。また、本件特許明細書の段落【0053】には、「第3の領域103は、岩塩型の結晶構造を有すると、第2の領域102と結晶の配向が一致しやすく、安定した被覆層として機能しやすいため好ましい。」との記載がある。これらの記載から、正極活物質100は、岩塩型の結晶構造を有する第3の領域103を有するといえる。
また、訂正事項1の「前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」との特定について、本件特許明細書の段落【0349】、【図26】(C)を参照すると、コバルトは、正極活物質の少なくとも表面に存在しているといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、請求項2に係る発明において、「前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し」との特定を加えることにより、正極活物質の結晶構造を限定し、更に、「前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」との特定を加えることにより、コバルトが少なくとも表面に存在することを限定し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2.訂正事項2
訂正の目的、新規事項の有無、及び、実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、請求項4に係る発明において、訂正事項1と同様に、「前記正極活物質は、岩塩型の結晶構造の領域を有し」との特定を加え、更に、「前記コバルトは、前記正極活物質の少なくとも表面に存在し」との特定を加えるものである。
そうすると、上記「1.(1)」ないし「1.(3)」と同様に、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合し、また、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3.独立特許要件について
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2及び4に記載されている事項により特定される発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
よって、訂正事項1及び2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求により請求人が求めている訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、この訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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