特許訂正審判
2022-390001
蓄電装置
- 審判番号
- 2022-390001
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-142552
- 登録番号
- 6493463
- 請求日
- 2022年01月18日
- 審決日
- 2022年08月12日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 GSユアサ
- 【請求人代理人】松本 司
- 【請求人代理人】田上 洋平
- 【請求人代理人】冨田 信雄
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 稔
- 審判官 山本 章裕
- 審判官 須原 宏光
- 分類
- P141 .841-Y (H01M) / P141 .851-Y (H01M) / P141 .853-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6493463号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6493463号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-7〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6493463号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成25年3月29日に出願された特願2013-73746号の一部を、平成29年7月24日に新たな特許出願としたものであって、平成31年3月15日にその特許権の設定登録がなされ、その後、令和4年1月18日に訂正審判の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされ、同年3月17日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年4月18日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求の趣旨
特許第6493463号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2~7について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、特許請求の範囲の請求項2に「蓄電素子と、前記蓄電素子に接続される電気機器とを備える蓄電装置であって、前記蓄電素子が収容される外装体本体と、」と記載されているのを、「複数の蓄電素子と、複数の前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器とを備える蓄電装置であって、前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり、前記蓄電装置は、複数の前記蓄電素子が収容される外装体本体と、」(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)に訂正するものである。(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~7についても同様に訂正する。)
上記の訂正事項を検討するにあたり、便宜上、以下のとおり訂正事項1ないし3に分けて検討する。
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項2の冒頭に「蓄電素子と、」とあるのを「複数の蓄電素子と、」と訂正する。(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~7についても同様に訂正する。)
[訂正事項2]
特許請求の範囲の請求項2に「前記蓄電素子に接続される電気機器」とあるのを「複数の前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」に訂正する。(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~7についても同様に訂正する。)
[訂正事項3]
特許請求の範囲の請求項2に「前記蓄電素子が収容される外装体本体」とあるのを「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり、前記蓄電装置は、複数の前記蓄電素子が収容される外装体本体」に訂正する。(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~7についても同様に訂正する。)
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
本件訂正請求前の請求項2に係る発明には「前記電気機器は、前記蓄電装置が備える複数の前記蓄電素子に対して当該複数の前記蓄電素子のそれぞれに設けられた電極端子が配置されている側」と特定され、「蓄電素子」は「複数の」「蓄電素子」であることを前提としているのに対して、本件訂正請求前の請求項2の冒頭の「蓄電素子と、」との記載では蓄電素子が複数であることが明示されておらず、記載が対応していなかった。
これに対して、訂正事項1は「蓄電素子」を「複数の蓄電素子」と訂正し、蓄電素子が複数あることを明確にする訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
願書に添付した明細書の段落【0029】に「これらの図に示すように、蓄電装置10は、外装体100、及び、外装体100に収容される複数の蓄電素子400と規制部材500とバスバー600と電気機器700とを備えている。」(下線部は当審で付与したものである。以下同様。)と蓄電素子は複数であることが記載されている。また、本件訂正請求前の請求項2には「前記電気機器は、前記蓄電装置が備える複数の前記蓄電素子に対して当該複数の前記蓄電素子のそれぞれに設けられた電極端子が配置されている側」と記載されている。
したがって、訂正事項1は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は「蓄電素子」に「複数の」との限定を付すものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項2のうち、「前記蓄電素子」を「複数の前記蓄電素子」とする訂正は、上記「1(1)」で述べた理由と同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 訂正事項2のうち、「前記蓄電素子に接続される電気機器」を「・・前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」とする訂正は、「電気機器」の接続先が蓄電素子の「それぞれ」であることを特定し、さらに、「電気機器」が「複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する」ことを特定する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
ア 訂正事項2のうち、「前記蓄電素子」を「複数の前記蓄電素子」とする訂正は、上記「1(2)」に述べたのと同様の理由により、明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
イ 訂正事項2のうち、「前記蓄電素子に接続される電気機器」を「・・前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」とする訂正について
a.明細書等には以下の記載がある。
「【0055】
また、電気機器700は、複数の蓄電素子400の状態を取得し、監視し、制御することのできる電子的、電気的な機器であり、複数の蓄電素子400に接続されている。具体的には、電気機器700は、複数の蓄電素子400の充電状態や放電状態(電圧、温度などの電池状態)などを監視するための制御基板である。当該制御基板には、例えば、当該監視を行ったり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりするための制御回路(図示せず)が設けられている。」
「【0066】
また、電気機器700である、複数の蓄電素子400の充電状態や放電状態などを監視するための制御基板への、蓄電素子400から発せられる熱(安全弁413から発せられる熱)による影響を低減することができる。」
上記記載によれば、電気機器700は「複数の蓄電素子400に接続され」、「複数の蓄電素子400の状態を取得し」、「複数の蓄電素子400の充電状態や放電状態などを監視する」と記載されており、電気機器700が複数の蓄電素子400のそれぞれに接続され、複数の蓄電素子400のそれぞれの状態を取得する構成も含む記載となっている。
b.次に、出願時の技術常識に照らして訂正された事項が明細書等に記載されている事項であるかどうか検討する。
審判請求人が示した甲第2号証(「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい2次電池の本」、細田條著、日刊工業新聞社、2016年5月31日初版6刷発行)には以下の記載がある。
「 リチウムイオン電池は使い方を誤るととても危険であるといってきました。特に充電時には注意する必要があります。
単体の電池を充電する場合は、定電流で充電後、定電圧充電に切り替える充放電制御回路で済みますが、複数の電池セルを直列に接続した電池パックを充電する場合は、セルバランスを考慮する必要があります。個々の電池セルの容量や充放電特性にはバラツキがあります。直列接続で使用する場合には、充放電制御をうまくやらないと事故に至るセルが生じたり、最も特性の低いセルで制限された特性しか得られない状況が生じたりします。
・・・・・・
直列接続で使用する場合、充放電制御回路に要求される機能にはどのようなものがあるか検討してみましょう。
まず必要な機能は、個々のセルの電圧を正確に測定することです。
・・・・・・
この制御回路のポイントは、個々のセル電圧を測定することと、電流のバイパス制御をすることです。」(114頁)
審判請求人が示した甲第3号証(「マンガでわかる電池」、藤瀧和弘他、株式会社オーム社、平成24年3月23日第1版第1刷発行)には以下の記載がある。
「 このような過充電、過放電は電池を複数個直列につないで使用する組電池に起こりやすいのです。組電池を構成する時には容量の揃った電池を用いるのは当然のことですが、充放電サイクルが進むとどうしても組電池の中の1個に他より劣化の進んだ容量の小さな電池が出てきます。このような状態の組電池を充電や放電をすれば、その劣化した1個の電池は過充電や過放電を強制的に受けることになります。
宇宙衛星では組電池として多数のリチウムイオン電池が使用されますが、このような危険を避けるために1個ごとに電池電圧を測定するとともに温度センサーで電池側面の温度を測定し、異常が検出されると直ちにその電池を電気回路から除くようにコンピュータで制御されています。」(101頁7ないし15行)
審判請求人が示した甲第4号証(特開2002-84669号公報)には以下の記載がある。
「【0006】そして、鉛電池やニッカド或いはニッケル水素電池のような水溶性電解液を使用する電池では、過放電や過充電となっても電池の性能が多少劣化するだけで使用不能の状態には至らず、また、過充電での水の電気分解と置換反応(密閉化反応)を利用することで単位セル毎の電圧ばらつきをある程度解消できることや(均等充電)、単位セル毎の電圧制御はコストの増加につながることから組電池の両端電圧のみを参照して制御することが一般的であった。しかしながら、リチウム電池を多直列組電池として使用する場合は、過充電や過放電になると前述したように電池として使用できなくなるおそれがあることから、各単位セル夫々が過充電または過放電状態とならないように対策する必要がある。」
審判請求人が示した甲第5号証(特開2006-322715号公報)には以下の記載がある。
「【0002】
電気自動車やハイブリッド電気自動車(HEV)においては、動力源としてモータが用いられ、そのモータの電力源としてリチウム電池などの二次電池、及び燃料電池などの単体(以後、単電池と言う)を多数直列に接続してなる組電池が使用される。
・・・・・・
【0004】
したがって、リチウム二次電池を組電池として使用する場合には、組電池を構成する単電池に過充電や過放電が発生しないように、各単電池の電圧のバラツキを十分に抑えるとともに、各単電池の野電圧のバラツキを正確に検出することが求められている。
【0005】
また、充電不要とする燃料電池の場合にも、連続して効率良く発電を維持するためには、全単電池の出力電圧を正確に検出して転極防止や過負荷によるシャットダウン防止、及び連続して効率良く発電を維持するための燃料詰まりの検出制御のために、各単電池の出力電圧を正確に検出することが求められている。
【0006】
従来の水溶性の電解液を用いる鉛電池、ニッケル電池等の単電池で構成される組電池の場合、単電池間のバラツキがある程度解消(均等充電)される性質を有するので、単電池の両端電圧を監視して、この両端電圧が所定の電圧範囲に収まるように充放電制御することで単電池の過放電や過充電を防止できた。
【0007】
しかしながら、有機系の電解液を用いて構成された、リチウム電池を単電池とする組電池においては、そのような制御では均等充電がされず、単電池間のバラツキは拡大し、単電池の過充電や過放電が進行してしまい、使用不可能な状態に到るほどの性能劣化を引き起こしてしまうことが知られている。
【0008】
そのため、従来のリチウム電池を単電池とする組電池では、図8に示すような単電池毎の充電状態が所定の設定電圧の範囲内で充放電制御がされているか否か、即ち、所定の設定電圧範囲を超える過充電、過放電の異常を検出する充電状態検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。」
上記甲第2号証ないし甲第5号証に記載されているように、直列に接続されたリチウムイオン電池においては、複数のリチウムイオン電池(蓄電素子)の制御に関して、充放電の監視制御を行う手段が複数のリチウムイオン電池(蓄電素子)のそれぞれに接続され、それぞれの状態を取得して制御することは技術常識であるといえる。
c.上記「a.」に検討したように「・・・前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」は、明細書等に記載された構成に含まれるものであり、また、上記「b.」に検討したように、直列に接続したリチウムイオン電池(非水電解質二次電池)においては、複数のリチウムイオン電池(蓄電素子)の制御に関して、充放電の監視制御を行う手段が複数のリチウムイオン電池(蓄電素子)のそれぞれに接続され、それぞれの状態を取得することは、技術常識であったと認められる。
そうしてみると、電気機器が複数の前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得することは明細書等に記載されているに等しい事項であると理解できる。
よって、訂正事項2のうち、「前記蓄電素子に接続される電気機器」を「・・前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」とする訂正は、明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ したがって、訂正事項2は明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
特許請求の範囲の請求項2に「前記蓄電素子に接続される電気機器」とあるのを「複数の前記蓄電素子それぞれに接続されて複数の前記蓄電素子それぞれの状態を取得する電気機器」に訂正するものであり、「蓄電素子」及び「電気機器」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項3のうち「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり」との記載を追加する訂正は、請求項2に係る発明を構成する「蓄電素子」が「非水電解質二次電池」であることを特定する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項3のうち「前記蓄電装置は、」との記載(以下、「記載A」という。)を追加する訂正は、当該記載Aの直前に「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり」との記載が挿入されることにより、記載Aに続く「複数の前記蓄電素子が収容される外装体本体と、前記外装体本体の開口部を密閉状態で塞ぐ内蓋部及び外蓋部を有する蓋体とを備え」との記載の主語が「蓄電素子」のようにも読み取れ、不明瞭となることを防ぐために追加された記載であるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 訂正事項3のうち「前記蓄電素子」を「複数の前記蓄電素子」とする訂正は、上記「1(1)」で述べた理由と同様の理由により、蓄電素子が複数あることを明確にする訂正であり、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
ア 訂正事項3のうち「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり」との記載を追加する訂正に関して、明細書等には以下の記載がある。
「【0036】
蓄電素子400は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。」
上記のように明細書等には蓄電素子400は非水電解質二次電池であることが記載されている。したがって、「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり」との記載を追加する訂正は、明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
イ 訂正事項3のうち記載Aを追加する訂正に関して、本件訂正請求前の請求項2に「蓄電素子と、前記蓄電素子に接続される電気機器とを備える蓄電装置であって、前記蓄電素子が収容される外装体本体と、前記外装体本体の開口部を密閉状態で塞ぐ内蓋部及び外蓋部を有する蓋体とを備え」と記載され、「蓄電装置」が「外装体本体」と「蓋体」を備えることが記載されている。したがって、記載Aを追加して「蓄電装置」が「外装体本体」と「蓋体」を備えることを明らかにすることは、本件訂正請求前の請求項2に記載されていた事項の範囲内である。
したがって、記載Aを追加する訂正は明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 訂正事項3のうち「前記蓄電素子」を「複数の前記蓄電素子」とする訂正は、上記「1」(2)」で述べた理由と同様の理由により、明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
エ 上記ア~ウより、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項3のうち「前記蓄電素子は、非水電解質二次電池であり」との記載を追加する訂正は、「蓄電素子」が「非水電解質二次電池」であると限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項3のうち、記載Aを追加する訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項3のうち「前記蓄電素子」を「複数の前記蓄電素子」とする訂正は、「蓄電素子」が「複数」あると限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 上記ア~ウより、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
第5 独立特許要件について
本件特許発明に関連して国際特許出願公開第2008/016152号(本件特許に係る侵害訴訟である平成3年(ワ)第1720号において提出された乙16号証)には、直列接続された蓄電要素を内部に有する電槽1の上端開口部を電槽蓋2により封止し、状態検知機能を有する電子回路基板4が電槽蓋2上の凹部2に収容され、凹部蓋9で覆われる鉛蓄電池が記載されている。(段落[0031]、[0032]、[0042]ないし[0045]を参照。)
しかしながら、当該鉛蓄電池は本件発明のような非水電解質二次電池ではなく、そのため蓄電素子のそれぞれの状態を取得しなければならない必要性はない。
したがって、鉛蓄電池に係る発明である国際特許出願公開第2008/016152号を根拠として訂正後における本件請求項2ないし7に係る発明が新規性又は進歩性を有しないということはできない。
また、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における本件請求項2ないし7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項2、3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1項及び第2項に規定された事項を目的とし、同条第5ないし7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-390001