特許訂正審判
2024-390065
遊技機
- 審判番号
- 2024-390065
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-052876
- 登録番号
- 7358281
- 請求日
- 2024年06月28日
- 審決日
- 2024年09月24日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三共
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 澤田 真治
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第1項、特許法第126条、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7358281号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7358281号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7358281号(以下「本件特許」という。)は、令和2年3月24日に特願2020-52876として出願され、令和5年9月12日付けで特許査定がされ、同月29日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和6年6月28日に本件訂正審判の請求がされ、同年8月8日に手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。なお、下線は訂正箇所を示す。
1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記報知演出は、第1キャラクタと該第1キャラクタとは異なる第2キャラクタが用いられる演出であり、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、当該当否が報知される当否報知パートと、当該当否報知後であって前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行されるエピローグパートとを含んで構成され、」
とあるのを、
「前記報知演出は、第1キャラクタと該第1キャラクタとは異なる第2キャラクタが用いられる演出であり、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、当該当否が報知される当否報知パートと、当該当否報知後であって前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される第1エピローグパートとを含んで構成され、」
に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記発光制御手段は、前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートおよび前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートのいずれにおいても共通の導入パートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパートにおいて、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、」
とあるのを、
「前記発光制御手段は、前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートおよび前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートのいずれにおいても共通の導入パートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される報知演出における第1エピローグパートにおいて、第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパートにおいて、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、」
に訂正する。
3 訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記表示手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用のエフェクト表示を行い、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用のエフェクト表示を終了し、エピローグパートに対応する表示を行い、当該可動体が当該第1位置に退避した以降に、前記第1キャラクタもしくは前記第2キャラクタが発するセリフ音に対するセリフ字幕の表示を行い、」
とあるのを、
「前記表示手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用のエフェクト表示を行い、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用のエフェクト表示を終了し、第1エピローグパートに対応する表示を行い、当該可動体が当該第1位置に退避した以降に、前記第1キャラクタもしくは前記第2キャラクタが発するセリフ音に対するセリフ字幕の表示を行い、」
に訂正する。
4 訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記発光制御手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用の輝度データテーブルからエピローグパートに対応する輝度データテーブルに切り替え、当該エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、」
とあるのを、
「前記発光制御手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用の輝度データテーブルから第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルに切り替え、当該第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、」
に訂正する。
5 訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記音出力手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の音を出力し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、エピローグパートに対応する音を出力する、」
とあるのを、
「前記音出力手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の音を出力し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、第1エピローグパートに対応する音を出力する、」
に訂正する。
6 訂正事項6
本件特許の明細書の【0006】に、
「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可動体と、
音出力手段と、
表示手段と、
複数の発光手段と、
前記発光手段の制御を行う発光制御手段と、を備え、
前記発光制御手段は、輝度データで構成された輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記有利状態に制御されるか否かを報知する報知演出を実行可能であり、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパートとを含んで構成され、
前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御されない旨が報知される第2エピローグパートとを含んで構成され、
前記報知演出は、
第1キャラクタと該第1キャラクタとは異なる第2キャラクタが用いられる演出であり、
前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、当該当否が報知される当否報知パートと、当該当否報知後であって前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行されるエピローグパートとを含んで構成され、
導入パートは、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されるシーンと、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンと、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されるシーンと、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンと、を含んで構成され、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンにおいて用いられる輝度データテーブルは、該第1キャラクタに対応する発光色を用いた輝度データが該第1キャラクタのアクションに対応して切り替わるように構成され、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンにおいて用いられる輝度データテーブルは、該第2キャラクタに対応する発光色を用いた輝度データが該第2キャラクタのアクションに対応して切り替わるように構成され、
前記第1キャラクタに対応する発光色は、前記第2キャラクタに対応する発光色とは異なる発光色であり、
前記発光制御手段は、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートおよび前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートのいずれにおいても共通の導入パートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパートにおいて、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルにおいて1の輝度データが用いられてから次の輝度データに切り替わる平均時間は、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルにおいて1の輝度データが用いられてから次の輝度データに切り替わる平均時間よりも短く設定され、
第2エピローグパートに対応する輝度データの最初に用いられる輝度データと、共通の導入パートに対応する輝度データテーブルの最後に用いられる輝度データとは、異なる輝度データであり、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における当否報知パートにおいて、前記可動体が第1位置から前記表示手段の前面側の第2位置に進出し、
前記表示手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用のエフェクト表示を行い、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用のエフェクト表示を終了し、エピローグパートに対応する表示を行い、当該可動体が当該第1位置に退避した以降に、前記第1キャラクタもしくは前記第2キャラクタが発するセリフ音に対するセリフ字幕の表示を行い、
前記発光制御手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用の輝度データテーブルからエピローグパートに対応する輝度データテーブルに切り替え、当該エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記音出力手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の音を出力し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、エピローグパートに対応する音を出力する。」
とあるのを、
「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可動体と、
音出力手段と、
表示手段と、
複数の発光手段と、
前記発光手段の制御を行う発光制御手段と、を備え、
前記発光制御手段は、輝度データで構成された輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記有利状態に制御されるか否かを報知する報知演出を実行可能であり、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパートとを含んで構成され、
前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御されない旨が報知される第2エピローグパートとを含んで構成され、
前記報知演出は、
第1キャラクタと該第1キャラクタとは異なる第2キャラクタが用いられる演出であり、
前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、当該当否が報知される当否報知パートと、当該当否報知後であって前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される第1エピローグパートとを含んで構成され、
導入パートは、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されるシーンと、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンと、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されるシーンと、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンと、を含んで構成され、
前記第1キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンにおいて用いられる輝度データテーブルは、該第1キャラクタに対応する発光色を用いた輝度データが該第1キャラクタのアクションに対応して切り替わるように構成され、
前記第2キャラクタが発するセリフ音が出力され、セリフ音に対するセリフ字幕が表示されないシーンにおいて用いられる輝度データテーブルは、該第2キャラクタに対応する発光色を用いた輝度データが該第2キャラクタのアクションに対応して切り替わるように構成され、
前記第1キャラクタに対応する発光色は、前記第2キャラクタに対応する発光色とは異なる発光色であり、
前記発光制御手段は、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートおよび前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出における導入パートのいずれにおいても共通の導入パートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される報知演出における第1エピローグパートにおいて、第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパートにおいて、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルにおいて1の輝度データが用いられてから次の輝度データに切り替わる平均時間は、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルにおいて1の輝度データが用いられてから次の輝度データに切り替わる平均時間よりも短く設定され、
第2エピローグパートに対応する輝度データの最初に用いられる輝度データと、共通の導入パートに対応する輝度データテーブルの最後に用いられる輝度データとは、異なる輝度データであり、
前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出における当否報知パートにおいて、前記可動体が第1位置から前記表示手段の前面側の第2位置に進出し、
前記表示手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用のエフェクト表示を行い、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用のエフェクト表示を終了し、第1エピローグパートに対応する表示を行い、当該可動体が当該第1位置に退避した以降に、前記第1キャラクタもしくは前記第2キャラクタが発するセリフ音に対するセリフ字幕の表示を行い、
前記発光制御手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、当該可動体可動用の輝度データテーブルから第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルに切り替え、当該第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、
前記音出力手段は、前記可動体が前記第2位置に進出するときに、可動体可動用の音を出力し、当該可動体が当該第2位置から前記第1位置に退避する途中で、第1エピローグパートに対応する音を出力する。」
に訂正する。
第4 訂正の適否についての判断
1 訂正事項1について
(1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)
本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパートとを含んで構成され、」と記載され、さらに「前記報知演出は、・・・前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、当該当否が報知される当否報知パートと、当該当否報知後であって前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行されるエピローグパートとを含んで構成され、」と記載されており、「導入パート」とともに「報知演出」に含まれている「前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパート」と「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行されるエピローグパート」について、いずれも「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」であるものの、同じものであるのか、異なるものであるのかが「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」と用語が統一されていないことにより明瞭ではなかった。
そこで、訂正事項1は、「エピローグパート」を「第1エピローグパート」と訂正することで「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」である「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」は、同じものであることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
訂正事項1に係る訂正は、前記(1)で検討したとおり、本件特許の特許請求の範囲に記載の、「エピローグパート」を「第1エピローグパート」と訂正することで「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」である「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」は、同じものであることを明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)に規定する要件
訂正事項1に係る訂正は、前記(1)で検討したとおり、本件特許の特許請求の範囲の記載の、「エピローグパート」を「第1エピローグパート」と訂正することで「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」である「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」は、同じものであることを明瞭にするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)
本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパートとを含んで構成され、前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される前記報知演出は、前記有利状態に制御されるか否かの当否が報知されるまでの導入パートと、前記有利状態に制御されない旨が報知される第2エピローグパートとを含んで構成され、」と、「前記報知演出」に含まれているものとしては、「第1エピローグパート」と「第2エピローグパート」とがそれぞれ特定されている。
しかしながら、同請求項1では、さらに「前記発光制御手段は、・・・前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパートにおいて、第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御し、」と、「前記発光制御手段」が、「前記有利状態に制御されない旨が決定されているときに実行される報知演出における第2エピローグパート」については、「第2エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御」することが特定されているものの、「前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパート」については、どのように発光手段を制御するかについて明瞭ではなかった。
そこで、訂正事項2は、「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される報知演出における第1エピローグパートにおいて、第1エピローグパートに対応する輝度データテーブルを用いて前記発光手段を制御」することを限定し、「前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパート」について、どのように発光手段を制御するかについて明瞭とするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
本件特許の明細書の【0324】には、「報知演出は、複数の演出のパートから形成されており、」「煽りパート、当りエピローグパート、ハズレエピローグパート」「が含まれる」点が記載されており、同【0327】には、「エピローグパートは、各煽りパートの後において大当り表示結果となることを報知する当りエピローグパート、および、ハズレ表示結果となることを報知するハズレエピローグパートを含む。当りエピローグパートにおいては、エピローグパートの少なくとも最終部分において、変動中の図柄が大当り表示結果となって大当り遊技状態に制御される旨を報知するようなストーリー展開による演出が実行される。ハズレエピローグパートにおいては、エピローグパートの少なくとも最終部分において、変動中の図柄がハズレ表示結果となって大当り遊技状態に制御されない旨を報知するようなストーリー展開による演出が実行される。」と記載されている。
そして、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される報知演出における第1エピローグパート」は、特許明細書等の「大当り表示結果となることを報知する当りエピローグパート」が対応し、本件特許の明細書の【0445】には、「遊技効果ランプ9」の点灯態様として、「SP後半リーチAの当りエピローグパートでは、」「爆チューを捕まえることに対応して(i39)の点灯態様を示す(ti39)の白色よりも明るめの白色で点滅する」ことが記載されており、同【1070】には、「SP後半リーチA」「を経由して当りエピローグパートに移行する場合について、当り時におけるランプ制御について説明する」と、同【1072】には、「SP後半リーチA」「を経由した当りエピローグパートにおいては、まず、孫テーブルW19に基づきランプ制御が行われるようになっている・・・演出制御用CPU120は、孫テーブルW19に基づきランプ制御を行うことで、味方キャラクタが勝利するような演出に対応させて、枠ランプを白色で点滅させる」と記載されている。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件特許の特許請求の範囲の記載を、特許明細書等の【0324】、【0327】、【0445】、【1070】、【1072】、図33、図41、図42、図97、図98及び図262等の記載に基づいて限定するものである。
よって、訂正事項2に係る訂正は、特許明細書等より導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)に規定する要件
訂正事項2に係る訂正は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、発明特定事項を限定するものであって、発明の対象やカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3-5について
(1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)
前記1で検討した訂正事項1と同様に、本件特許の特許請求の範囲の請求項1では、「報知演出」に含まれている「前記有利状態に制御される旨が報知される第1エピローグパート」と「前記有利状態に制御される旨が決定されているときに実行される」「エピローグパート」について、いずれも「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」であるものの、同じものであるのか、異なるものであるのかが「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」と用語が統一されていないことにより明瞭ではなく、不合理が生じていた。
そこで、訂正事項3-5は、「エピローグパート」を「第1エピローグパート」と訂正することで「前記有利状態に制御される旨」に関する「報知演出」である「第1エピローグパート」及び「エピローグパート」は、同じものであることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項3-5に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
訂正事項3-5に係る訂正は、前記1(2)と同様に、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項3-5は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)に規定する要件
訂正事項3-5に係る訂正は、前記1(3)と同様に、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項3-5は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 訂正事項6について
(1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)
訂正事項6は、本件訂正前の請求項1に対応する本件特許の明細書の【0006】について、訂正事項1-5に係る本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行うものである 。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
訂正事項1-5に係る本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の範囲と整合させるために行う明細書の訂正である訂正事項6は、前記1-3と同様の理由により、特許明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項の導入をするものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)に規定する要件
特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正である訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
5 特許法第126条第7項(独立特許要件)に規定する要件
訂正事項1-6に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正後の請求項1に係る発明について、特許法第126条第7項の規定に適合するか否かについての判断を要しない。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は適法にされたものであるから、本件訂正審判の請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-390065