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特許拒絶査定不服審判

2024-015262

電界発光デバイスのための方法、コンピュータプログラム、装置及び表示パネル

審判番号
2024-015262
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-501008
請求日
2024年09月24日
審決日
2026年03月06日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
  • 【請求人代理人】家入 健
  • 【請求人】成都京東方光電科技有限公司
  • 【請求人代理人】家入 健
審判長/審判官
  • 審判長 後藤 亮治
  • 審判官 道祖土 新吾
  • 審判官 関口 英樹
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-501008「電界発光デバイスのための方法、コンピュータプログラム、装置及び表示パネル」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 9日国際公開、WO2020/140464、令和 4年 2月24日国内公表、特表2022-515947〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)8月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年1月4日、中国(CN))を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 1月13日 :翻訳文の提出 令和4年 8月22日 :手続補正書の提出 令和5年 9月26日付け:拒絶理由通知書 同年11月29日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 2月26日付け:拒絶理由通知書 同年 5月14日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 7月 9日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月24日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、2019年(令和元年)1月4日を「優先日」という。 第2 令和6年9月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月24日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年9月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年5月14日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 電界発光デバイスの発光持続時間、前記電界発光デバイスの発光強度、及び前記電界発光デバイスの発光期間中温度を含む前記電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定するステップと、 前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、 前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップであって、前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含むステップと、 更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップと、 前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、を有し、 前記第1波形を決定するステップは、 前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、 前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含み、 前記有効発光持続時間を算出する手順は、 前記発光持続時間の各々の前記発光強度及び前記温度に応じて標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記発光持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階と、 前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階と、を含む、 方法。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定するステップであって、前記動作履歴は、前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なるステップと、 前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、 前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップであって、前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含むステップと、 更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップと、 前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、を有し、 前記第1波形を決定するステップは、 前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、 前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含み、 前記有効発光持続時間を算出する手順は、 設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じて前記各発光パラメータセットに対応する標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階と、 前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階と、を含む、 方法。」 2 補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、次の(1)~(3)の事項からなる。 (1) 「電圧の第1波形を決定するステップ」に用いる「電界発光デバイスの動作履歴」について、本件補正前の請求項1における「電界発光デバイスの発光持続時間、前記電界発光デバイスの発光強度、及び前記電界発光デバイスの発光期間中温度を含む」との記載を、「前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なる」と補正するものであるが、この補正は、新たに「発光パラメータセット」という概念を定義しつつ、「電界発光デバイスの動作履歴」に含まれる「環境温度」、「光の輝度」及び「持続時間」(補正前の「発光持続時間」、補正後の「前記輝度の光の持続時間」)について表現を変更したものと認められる。 (2) 「標準持続時間を決定する段階」についてする補正は、次のア~ウの事項からなる。 ア 本件補正前の請求項1における「発光持続時間の各々の前記発光強度及び前記温度に応じ」との記載を「前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じ」と補正するものであるが、この補正は、単に、前記(1)において、「環境温度」、「光の輝度」及び「(前記輝度の光の)持続時間」を含む「発光パラメータセット」が特定されたことに応じて、「電界発光デバイスの発光する時の」「環境温度」、「輝度」(発光強度)及び「持続時間」について表現を変更したものと認められる。 イ 「標準持続時間」が「前記各発光パラメータセットに対応する」ものであるものに限定すること。 ウ 「標準持続時間」について、「設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間」に応じたものであるものに限定すること。 (3)ア 「前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等し[い]」ものが、「前記電界発光デバイスの前記発光持続時間」とされていたものを「前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間」と補正するものである。しかしながら、この補正により、「前記発光持続時間」が「前記有効発光持続時間」と変更されてはいるものの、次のイに示すように、実質的にみて、この補正は発明を変更・減縮するものではなく、「前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間」との記載は、「前記電界発光デバイスの前記(輝度の光の)持続時間」を意味するものと認める。 イ 本件補正発明における「前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する」との構成に関連して、本願明細書の段落【0064】、【0065】には以下の記載がある。 「【0064】 各発光パラメータセットについて、電界発光デバイスが発光パラメータセットのパラメータで発光するとき、電界発光デバイスの輝度減衰量は、第1輝度減衰量である。電界発光デバイスが該発光パラメータセットのパラメータで発光する光の輝度減衰量は、該発光パラメータセットの持続時間パラメータを維持する光の輝度減衰量に等しく、電界発光デバイスが該発光パラメータセットにおける環境温度パラメータで、該発光パラメータセットにおける輝度パラメータの光を発光する。 【0065】 電界発光デバイスが目標環境温度で目標輝度の光を発光し、光の持続時間が発光パラメータセットにおける発光持続時間パラメータに達した場合、電界発光デバイスも第1輝度減衰量を有する。即ち、電界発光デバイスは、該発光パラメータセットの設定パラメータで発光し、且つ持続時間は、電界発光デバイスが目標環境温度で目標輝度の光を発光する場合の該発光パラメータセットの持続時間(「標準持続時間」)に等しい。換言すれば、電界発光デバイスの発光持続時間の標準持続時間は、電界発光デバイスが目標温度であり目標発光強度を有し、且つ電界発光デバイスが該発光持続時間内と同じ輝度減衰を有する期間である。」 すなわち、本件補正発明における「標準持続時間」とは、電界発光デバイスが実際に特定の「発光パラメータセットのパラメータ」で発光した際の輝度減衰量を「第1輝度減衰量」としたとき、仮に「目標環境温度」(請求項1では「設定環境温度」、「予め定めた温度」などと言い換えられている)及び「目標輝度」(請求項1では「設定輝度」、「予め定めた発光強度」などと言い換えられている)で発光した際に、同じ輝度減衰量である「第1輝度減衰量」だけ減衰するのにかかる「持続時間」を示しているものと認められる。 ここで、「有効発光持続時間」は「標準持続時間」の合計であるところ、請求項1の「前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく」との特定では、「標準持続時間」の合計時間における輝度減衰が「標準持続時間」における輝度減衰に等しいこととなってしまい、明らかに矛盾している。一方で、「前記電界発光デバイスの前記有効発光持続時間」との記載は、「前記電界発光デバイスの前記(輝度の光の)持続時間」を意味するものと解すれば、当該矛盾は解消し、段落【0064】及び段落【0065】の説明とも合致することとなる。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2(1)及び(2)のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Aから構成Cまでに分説する。また、参考図として、本願の【図6】を掲載する。 <本件補正発明の分説> A1 電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定するステップであって、 A2 前記動作履歴は、前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なるステップと、 A3 前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、 B1 前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップであって、前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含むステップと、 B2 更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップと、 B3 前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、を有し、 A1 前記第1波形を決定するステップは、 C1 前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、 前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含み、 C2 前記有効発光持続時間を算出する手順は、 設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じて前記各発光パラメータセットに対応する標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階と、 C3 前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階と、を含む、 方法 <参考図> 【図6】 [図:0001437832000001.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本開示は、発光(例えば、電界発光)の分野に関し、特に、電界発光デバイスを駆動するための方法及び装置に関する。 【背景技術】 【0002】 電界発光デバイスは、自発光の利点があり、幅広い用途で使用されている。電界発光デバイスは、アノードとカソード、及びアノードとカソードとの間の電界発光層を含む。電界発光デバイスは、電界発光層の電界発光により発光する。 【0003】 電界発光デバイスのドライバは、アノード及びカソードを介して電界発光層に電流を印加して、電界発光デバイスを発光させるようにする。例示的には、該ドライバは、直流(DC)駆動モードで電界発光デバイスを駆動することができる。該DC駆動モードでは、ドライバは、アノード及びカソードを介して電界発光層に定電流(即ち、直流電流)を印加する。」 「 【0040】 ドライバは、電界発光デバイスを発光駆動するための少なくとも2つの駆動モードを配列及び組合せることによって駆動モードシーケンスを取得することができ、駆動モードシーケンスにおける複数の混在する駆動モードを用いて電界発光デバイスを駆動することができる。こうして、ドライバは、混在する複数の駆動モードを用いて電界発光デバイスを駆動することができ、これにより、電界発光デバイスの駆動モードを豊富にすることができる。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2015/0213747号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示した。また、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 「 FIELD OF THE INVENTION [0003] The present invention relates to techniques and systems for operating devices such as OLEDs using various and variable driving schemes, and devices such as organic light emitting diodes and other devices, including the same.」 (本発明は、様々な可変駆動スキームを使用してOLEDなどのデバイスの制御技術及びシステム、並びに有機発光ダイオード及びそれを含む他のデバイスなどのデバイスに関する。) (イ) 「[0063]…As described in further detail below, various preconfigured waveforms may be used, which may be stored in a memory 340 in or accessible by the display device 300.」 (…以下にさらに詳細に説明するように、種々の予め構成された波形が使用されてもよく、これらはメモリ340に記憶され、又は、表示装置300によってアクセス可能である。) (ウ) 「[0066] The specific waveform applied in a pulsed mode for a particular device may change over time. For example, a display device may generate or select a specific waveform based on the age and/or expected degradation of an OLED that the waveform is being used to drive. As another example, a device may use one waveform in which the apparent luminance is equal to the momentary luminance, or may operate in a DC mode for a period of time. At another point in time the device may operate using a waveform with a momentary luminance greater than the apparent luminance, for example due to the age of the OLED being driven.」 (特定のデバイスに対してパルスモードで印加される特定の波形は、時間とともに変化し得る。例えば、ディスプレイデバイスは、駆動対象となるOLEDの経年劣化及び/又は予想される劣化に基づいて特定の波形を生成又は選択することができる。別の例として、デバイスは、見掛け輝度が瞬間輝度に等しい一つの波形を使用することができ、またはある時間期間の間DCモードで動作することができる。別の時点では、デバイスは、例えば駆動されているOLEDの経年変化に起因して、見掛け輝度よりも大きい瞬間輝度を有する波形を使用して動作することができる。) (エ) 「[0067] Embodiments disclosed herein may reduce or eliminate the image “sticking” problem that occurs in some OLED displays, i.e., the difference between aged and non-aged devices due to changes in pixels in the OLED display. FIG. 5 shows an example plot of luminous efficacy for an aged device and a non-aged device as a function of luminance. Similar data is provided in Table 2, which shows the relative loss of luminous efficacy as a function of operation luminance. Such data indicate that less aging occurs at high luminance compared to low luminance. Therefore, driving the aged and non-aged device at a high luminance pulsed mode can result in less difference between aged and non-aged pixels, and thus extend device useful lifetime. This also indicates that the relative loss of device luminous efficacy due to aging can be affected by changing the operation mode of the device, for example by using combinations of low luminance DC driving modes and high luminance pulsed modes. Under pulsed driving conditions the relative loss of luminous efficacy may be smaller than the loss under the equivalent DC driving conditions. This has been further confirmed in aging experiments, as described herein with respect to FIGS. 12, 14, and 15.」 (本明細書に開示される実施形態は、いくつかのOLEDディスプレイにおいて生じる画像「スティッキング」問題、すなわち、OLEDディスプレイにおけるピクセルの変化に起因する経年劣化したデバイスと経年劣化していないデバイスとの間の差を低減または排除し得る。図5は、経年劣化したデバイス及び経年劣化していないデバイスの発光効率を輝度の関数としてプロットした例を示す。同様のデータが表2に提供されており、これは、動作輝度の関数として発光効率の相対的損失を示す。このようなデータは、低輝度と比較して高輝度では老化が少ないことを示している。したがって、エージングされたデバイスおよびエージングされていないデバイスを高輝度パルスモードで駆動することにより、エージングされたピクセルとエージングされていないピクセルとの間の差を小さくすることができ、したがって、デバイスの有効寿命を延ばすことができる。これはまた、例えば、低輝度DC駆動モードと高輝度パルスモードとの組み合わせを使用することにより、デバイスの動作モードを変更することによって、経年変化によるデバイス発光効率の相対的損失が影響を受け得ることを示す。パルスモード駆動条件下では、発光効率の相対的損失は、同等のDC駆動条件下での損失よりも小さくなり得る。これは、図12、14、および15に関して本明細書に記載されるように、老化実験においてさらに確認されている。) 「 [図:0001437832000002.jpg] 」 「 [図:0001437832000003.jpg] 」 「 [図:0001437832000004.jpg] 」 「 [図:0001437832000005.jpg] 」 (オ) 「[0073] The range of parameters used in a particular pulsed mode, such as repetition frequency, the pulse width, and the duty factor, may be specific to an application using the OLED device. For example, specific values may be set dynamically or prior to operation of the device, based upon the lifetime, expected degradation of OLEDs, and/or other factors specific to an individual OLED display device.」 (例えば、繰り返し周波数、パルス幅、及びデューティ比などの、特定のパルス化モードにおいて使用されるパラメータの範囲は、OLED装置で使用されるアプリケーションに特有であってもよい。例えば、特定の数値は、動的に、または装置の動作前に予め設定され、寿命、OLEDの予測される劣化、および/または個々のOLED表示装置に特有の他の要因に基づいてもよい。) (カ) 「[0079] A display device as disclosed herein may use multiple waveforms in a pulsed mode at different points in time, for example based upon the age of the OLED being driven. As previously described, a display device may store multiple waveforms, such as in a computer-readable memory, within the display device. The specific waveforms stored may be pre-calculated. For example, a particular OLED structure may be fabricated and tested to determine an expected lifetime and/or degradation profile over time, a relationship between luminous efficacy and luminance of the OLED, or the like. Waveforms may be selected that correspond to the expected profile. Thus, as the OLED ages, different waveforms may be used based upon the OLEDs age, expected degradation, or the like. As described in further detail below, a pulsed mode waveform also may be selected based upon a desired region of one or more emissive layers, emissive materials, or the like within the OLED that are to be activated, i.e., caused to emit light, when the OLED is driven with the waveform. During operation of a device such as a display device as disclosed herein, a waveform also may be selected based upon various operating characteristics of the OLED. For example, an OLED may be expected to degrade faster or to exhibit certain color, luminance, or other characteristics at a given temperature. Thus, a current or historical temperature of the OLED may be used to select a waveform.」 (本明細書に開示されるディスプレイデバイスは、例えば、駆動されているOLEDの寿命に基づいて、異なる時点においてパルスモードで複数の波形を使用してもよい。前に説明したように、ディスプレイデバイスは、ディスプレイデバイス内のコンピュータ可読メモリなどに複数の波形を記憶し得る。記憶される特定の波形は、予め計算されてもよい。例えば、特定のOLED構造を製造し、試験して、予想される寿命及び/又は経時的な劣化プロファイル、発光効率とOLEDの輝度との関係などを決定することができる。予想されるプロファイルに対応する波形を選択することができる。したがって、OLEDが経年変化するにつれて、OLEDの経年変化、予想される劣化などに基づいて異なる波形を使用することができる。以下でさらに詳細に説明するように、パルスモード波形はまた、OLEDがその波形で駆動されるときに活性化される、すなわち発光させられるOLED内の1つまたは複数の発光層、発光材料などの所望の領域に基づいて選択され得る。本明細書に開示されるようなディスプレイデバイス等のデバイスの動作中、波形はまた、OLEDの種々の動作特性に基づいて選択されてもよい。例えば、OLEDは、所与の温度でより速く劣化するか、又は特定の色、輝度、若しくは他の特性を示すことが予想され得る。したがって、OLEDの現在または履歴温度を使用して、波形を選択することができる。) (キ) 「[0080] DC mode aging appears not to uniformly affect the EML. Thus, a waveform may be crafted to gradually address wider zones of the EML, allowing access to areas of the EML with a more favorable concentration of undamaged emitters and smaller concentrations of quenchers. For example, a waveform may be used in which every square, or essentially DC-like pulse starts with a high voltage, very short pulse, thus pulling the injection and drift of the carriers beyond the narrow damaged zone near the EML interface.」 (DCモードエージングは、EMLに均一に影響を与えないようである。したがって、波形は、EMLのより広いゾーンを徐々にアドレス指定するように作成されてもよく、損傷を受けていないエミッタのより好ましい濃度及び消光剤のより低い濃度を有するEMLの領域へのアクセスを可能にする。例えば、全ての方形又は本質的にDC状のパルスが高電圧の非常に短いパルスで開始し、従って、EML界面付近の狭い損傷ゾーンを越えてキャリアの注入及びドリフトを引き起こす波形を使用することができる。) (ク) 「[0082] As another example, the efficiency drop due to device aging can be changed by varying the operation mode of the device, such as by switching from a low luminance DC mode to a high luminance pulsed mode, as previously described. The relative difference between aged and non-aged devices may be smaller, as shown, for example, in FIG. 5 and Table 2.」 (別の例として、デバイスの経年劣化による効率低下は、前述のように、低輝度DCモードから高輝度パルスモードに切り替えることなどによって、デバイスの動作モードを変化させることによって変更することができる。経年劣化したデバイスと経年劣化していないデバイスとの間の相対的な差は、例えば図5および表2に示されるように、より小さくなり得る。) (ケ) 「1. A method of operating an OLED display device, the method comprising: receiving an input signal indicating an apparent luminance to be generated by at least one OLED in the display during a first frame time; providing a first drive signal to the at least one OLED, the first drive signal comprising a waveform specifying an output for the at least one OLED during the first frame time, wherein the first drive signal produces a momentary luminance greater than the apparent luminance for at least a portion of the first frame time. 2. The method of claim 1, further comprising :selecting the waveform from among a plurality of predefined waveforms. (…中略…) 5. The method of claim 2, wherein the waveform is selected based upon a factor selected from the group consisting of: the age of the at least one OLED, a measurement of an operating parameter of the at least one OLED, a known relationship of luminance efficacy to luminance of the at least one OLED, and a temperature of the at least one OLED.」 (1.OLEDディスプレイデバイスの動作方法であって、該方法は以下を含む: 第1のフレーム時間中にディスプレイ内の少なくとも一つのOLEDによって生成される見掛けの輝度を示す入力信号を受信すること; 第1のフレーム時間中の該少なくとも一つのOLEDの出力を規定する波形を含む第1の駆動信号を該少なくとも一つのOLEDに供給することであって、ここで第1の駆動信号は、第1のフレーム時間の少なくとも一部において、見掛けの輝度よりも大きい瞬間的な輝度を生成する方法。 2.請求項1の方法であって、さらに、複数のあらかじめ定義された波形の中から前記波形を選択することを含む方法。 (…中略…) 5.請求項2の方法であって、前記波形は、以下の群から選択される要因に基づいて選択される: 前記少なくとも一つのOLEDの経年、前記少なくとも一つのOLEDの動作パラメータの測定値、前記少なくとも一つのOLEDの輝度効率と輝度との既知の関係、並びに前記少なくとも一つのOLEDの温度。) イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「 特定のデバイスに対してパルスモードで印加される特定の波形は、時間とともに変化し得るものであって、駆動対象となるOLEDの経年劣化及び/又は予想される劣化に基づいて特定の波形を選択するものであり、([0066]) 駆動されているOLEDの寿命に基づいて、異なる時点においてパルスモードで複数の波形を使用するものであり、特定のOLED構造を製造し、試験して、予想される寿命及び/又は経時的な劣化プロファイル、発光効率とOLEDの輝度との関係などを決定し、OLEDが経年変化するにつれて、OLEDの経年変化、予想される劣化などに基づいて異なる波形を使用する、([0079]) OLEDディスプレイデバイスの動作方法。(請求項1)」 (3) 引用文献2の記載事項及び引用文献2記載技術の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2014/0118426号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 (ア) 「[0003] The present invention relates to a display device, a degradation compensating device, and a degradation compensating method. More particularly, the present invention relates to a display device for compensating for degradation of light emitting elements, a degradation compensating device, and a degradation compensating method.」 (本発明は、表示装置、劣化補償装置及び劣化補償方法に関する。より詳細には、本発明は、発光素子の劣化を補償する表示装置、劣化補償装置及び劣化補償方法に関する。) (イ) 「[0009] The present invention has been developed in an effort to provide a display device for reducing power consumption of a display device and compensating for degradation of a pixel, a degradation compensating device, and a degradation compensating method.」 (本発明が解決しようとする技術的課題は、表示装置の消費電力を低減し、画素の劣化を補償する表示装置、劣化補償装置及び劣化補償方法を提供することである。) (ウ) 「[0010] An exemplary embodiment of the present invention provides a display device including: a plurality of pixels; a degradation compensator for using a temperature weight value for a reference temperature, a luminance weight value for a reference luminance, and a material weight value for a reference material, for calculating a reference using time when a degradation rate of the pixels is exchanged to a reference degradation rate of a reference degradation curve, and for generating a control variable according to the reference using time; and a power supply for controlling a voltage difference between a first power source voltage for supplying a driving current to the pixels and a second power source voltage according to the control variable.」 (本発明の一実施形態に係る表示装置は、複数の画素と、基準温度に対する温度加重値、基準輝度に対する輝度加重値、及び基準材料に対する材料加重値を用いて、前記画素の劣化率を基準劣化曲線の基準劣化率に変換する基準使用時間を算出し、前記基準使用時間に応じた制御変数を生成する劣化補償部と、前記制御変数に応じて、前記画素に駆動電流を供給する第1電源電圧と第2電源電圧との電圧差を制御する電源部と、を含む。) (エ) 「[0055] FIG. 1 shows a block diagram of a display device according to an exemplary embodiment of the present invention.」 (図1は、本発明の一実施形態による表示装置のブロック図である。) 「 [図:0001437832000006.jpg] 」 (オ) 「[0056] Referring to FIG. 1, the display device includes a signal controller 100, a scan driver 200, a data driver 300, a degradation compensator 400, a power supply 500, and a display 600. The display device can be a liquid crystal display (LCD), a field emission display, a plasma display panel (PDP), and an organic light emitting display, and types of the display device are not restricted.」 (図1を参照すると、表示装置は、信号制御部100、走査駆動部200、データ駆動部300、劣化補償部400、電源供給部500及び表示部600を含み、表示装置は、液晶表示装置LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機発光表示装置などであってもよく、その種類は限定されない。) (カ) 「[0063]The degradation compensator 400 generates a control variable (Peon) according to a degradation rate of a plurality of pixels (PX) based on a using time, temperature, and luminance of a plurality of pixels (PX), and a material of the light emitting element. A degradation rate of a plurality of pixels (PX) represents a luminance reduction rate. The degradation compensator 400 uses a temperature weight value (WT) for the reference temperature, a luminance weight value (WL) for the reference luminance, and a material weight value (WM) for the reference material to calculate a reference using time (Tcur) when the actual degradation rate of a plurality of pixels (PX) is exchanged into a reference degradation rate on a reference degradation curve and generates the control variable (Peon) according to the reference using time (Tcur).」 (劣化補償部400は、複数の画素(PX)の使用時間、温度、及び輝度、並びに、発光素子の材料に基づいて、複数の画素(PX)の劣化率に応じた制御変数(Peon)を生成する。複数の画素(PX)の劣化率は、輝度低減率を示している。劣化補償部400は、複数の画素(PX)の実際の劣化率を、基準劣化曲線上の基準劣化率へと変換する場合、基準温度に対する温度加重値(WT)、基準輝度に対する輝度加重値(WL)、及び基準材料に対する材料加重値(WM)を使用し、基準使用時間(Tcur)に応じた制御変数(Pcon)を生成する。) (キ) 「[0068] The temperature sensor 410 measures a temperature of a plurality of pixels (PX) and transmits the measured temperatures (T) to the temperature weight value generator 420.」 (温度センサ410は、複数のピクセル(PX)の温度を測定し、測定された温度(T)を温度加重値生成部420に伝達する。) (ク) 「[0069] The temperature weight value generator 420 generates a temperature weight value (WT) according to the temperature (T) transmitted by the temperature sensor 410. The temperature weight value (WT) shows a degradation rate according to the measured temperature (T) on the plurality of pixels (PX) with a ratio on the degradation rate at the reference temperature.」 (温度加重値生成部420は、温度センサ410から伝達された温度Tに基づいて、複数の画素PXで測定された温度Tによる劣化率を基準温度での劣化率に対する比率で示す温度加重値WTを生成する。) (ケ) 「[0081]The luminance weight value generator 440 generates a luminance weight value (WL) following luminance of the image. The luminance weight value (WL) indicates a degradation rate of the image with respect to luminance as a ratio for the degradation rate at the reference luminance.」 (輝度加重値生成器440は、画像の輝度にしたがって、輝度加重値(WL)を生成する。輝度加重値(WL)は、輝度の観点における画像の劣化率を、基準輝度での劣化率との比率として表す。) (コ) 「[0103] The using time calculator 460 calculates the reference using time (Tcur) by using the sum of the an accumulated using time (Tpre) and a value that is generated by multiplying an added using time (Tadd) that is added after the accumulated using time (Tpre) by the temperature weight value (WT), the luminance weight value (WL), and the material weight value (WM).」 (使用時間算出部460は、累積使用時間(Tpre)と、累積使用時間(Tpre)の後に加算された加算使用時間(Tadd)に温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び材料加重値(WM)を乗算した値との和を用いて基準使用時間(Tcur)を算出する。) (サ) 「[0104] Equation 2 shows an exemplary method for calculating the reference using time (Tcur). Tcur=Tpre+WT×WL×WM×Tadd (Equation 2)」 (式2は、基準使用時間(Tcur)を計算する例示的な方法を示す。 Tcur=Tpre+WT×WL×WM×Tadd (式2)) (シ) 「[0105] The reference using time (Tcur) represents a using time when the actual degradation rate of the pixel, under the conditions of the actual temperature of the display device, luminance and a material, is exchanged with the reference degradation rate of the pixel, under the conditions of the reference temperature (e.g., 25° C.), the reference luminance (e.g., 300nit) and the reference material (e.g., the material of the pixels used for the test of FIG. 4). The reference degradation rate of the pixel represents the degradation rate of the reference degradation curve of the pixel under the conditions of the reference temperature (e.g., 25° C.), the reference luminance (e.g., 300nit) and the reference material (e.g., the material of the pixel used for the test of FIG. 4).」 (基準使用時間(Tcur)は、表示装置の実際の温度、輝度及び材料の条件下での画素の実際の劣化率を、基準温度(例えば、25℃)、基準輝度(例えば、300 nit)及び基準材料(例えば、図4のテストに使用された画素の材料)の条件下での画素の基準劣化率に置き換えた場合の使用時間を示す。画素の基準劣化率は、基準温度(例えば、25℃)、基準輝度(例えば、300 nit)及び基準材料(例えば、図4のテストに使用された画素の材料)の条件下での画素の基準劣化曲線の劣化率を示す。) 「 [図:0001437832000007.jpg] 」 (ス) 「[0106] That is, the using time calculator 460 uses the temperature weight value (WT), the luminance weight value (WL), and the material weight value (WM) to calculate the reference using time (Tcur) when the actual degradation rate of the pixel, under the conditions of the actual temperature of the display device, luminance and material, is expressed as the reference degradation rate of the pixel, under the conditions of the reference temperature, the reference luminance and the reference material.」 (すなわち、使用時間算出部460は、温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び物質加重値(WM)を用いて、表示装置の実際の温度、輝度及び材料の条件下での画素の実際の劣化率を、基準温度、基準輝度及び基準材料の条件下での画素の基準劣化率で表した場合の基準使用時間(Tcur)を算出する。) (セ) 「[0112] The using time calculator 460 periodically calculates the reference using time (Tcur) or calculates the reference using time (Tcur) when an accident occurs. The using time storage unit 450 transmits the stored accumulated using time (Tpre) to the using time calculator 460 each time the using time calculator 460 calculates the reference using time (Tcur). The using time calculator 460 transmits the calculated reference using time (Tcur) to the using time storage unit 450 each time the reference using time (Tcur) is calculated.」 (使用時間算出部460は、基準使用時間(Tcur)を定期的に算出したり、イベント発生時に基準使用時間(Tcur)を算出したりする。使用時間記憶部450は、使用時間算出部460が基準使用時間(Tcur)を算出する度に、記憶している累積使用時間(Tpre)を使用時間算出部460に送信する。使用時間算出部460は、基準使用時間(Tcur)を算出する度に、算出した基準使用時間(Tcur)を使用時間記憶部450に送信する。) イ 引用文献2技術事項 前記アの引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 [引用文献2技術事項] 「複数の画素(PX)の使用時間、温度、及び輝度、並びに、発光素子の材料に基づいて、複数の画素(PX)の劣化率に応じた制御変数(Peon)を生成する劣化補償方法であって、 複数の画素(PX)の実際の劣化率を、基準劣化曲線上の基準劣化率へと変換する場合に、基準温度に対する温度加重値(WT)、基準輝度に対する輝度加重値(WL)、及び基準材料に対する材料加重値(WM)を使用し、基準使用時間(Tcur)に応じた制御変数(Peon)を生成するものであって、([0063]) 累積使用時間(Tpre)と、累積使用時間(Tpre)の後に加算された加算使用時間(Tadd)に温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び材料加重値(WM)を乗算した値との和を用いて基準使用時間(Tcur)を算出するものであって、([0103]) 前記基準使用時間(Tcur)は、有機発光表示装置の実際の温度、輝度及び材料の条件の下での画素の実際の劣化率を、基準温度、基準輝度及び基準材料の条件下での画素の画像劣化率に置き換えた場合の使用時間であり、([0105]) 前記基準使用時間(Tcur)は、定期的に、またイベント発生時に算出する 、([0112]) 劣化補償方法。」 (4) 引用文献3、4の記載事項及び技術常識の認定 ア 引用文献3に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2018-10044号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0054】 (実施形態2) 実施形態1に示した構成に限らず、EL素子の使用環境温度も考慮して累積輝度低下量を算出する構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下、実施形態2について図面を用いて説明する。 【0062】 図9の縦軸は輝度低下量Ivを対数プロットした値を示しており、横軸は環境温度Tの逆数をプロットした値を示している。図9に示すように、輝度低下特性曲線は、環境温度Tが高くなるほど輝度低下量Ivが大きくなる傾向を持つ。環境温度に応じた輝度低下特性は、アレニウスの式より、Iv=A・exp( - Ea/kb・T)で表現される。ここで、Aは比例定数、Eaは活性化エネルギー、kbはボルツマン定数を表す。」 「 [図:0001437832000008.jpg] 」 イ 引用文献4に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2004-133111号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 「【0005】 【発明が解決しようとしている課題】 しかしながら、有機電界発光素子は、光電変換効率の安定性において、除除に効率が低下していくといった耐久性における問題を抱えている。有機電界発光材料自体は、アニオンやカチオン状態の化学構造変化を起こして電子やホールを輸送し、このキャリアの励起子(エキシトン)の再結合に応じた光ネルギー放出を繰り返すため、さらに、有機電界発光層はゲスト分子である蛍光またはりん光発光材料をホスト分散するための材料であって、かつ電荷キャリアを輸送するためのホスト材料や、ポリマー高分子発光体の場合、取扱を向上させるためのソルベント材料と混合させた状態にて構成されているのが現状であるため、化学的構造変化を起こしてエキシトンを輸送し再結合させて光を放出する有機電界発光材料が所望変化形態以外に変化する確率は0 % には原理的にならない。また、化学構造変化動作によって空間的移動が起こるためによる近接分子間との凝集反応が進行する。このため所望変化形態以外に変化する速度は、材料の状態安定性、環境媒体材料との組合せ、印加電界強度、湿度環境による加水分解とディフェクト準位形成、等それぞれに影響するが、化学反応の速度として、劣化主要因としては、光電変換過程における熱エネルギーの発生による自己昇温温度パラメータによる劣化加速が主要因と考えられている。この劣化速度はアレニウスの反応速度関係式にほぼ応じた加速反応となる。したがって、低温状態にて低電力投入状態で発光駆動させれば、光電変換効率の変化速度は緩やかとなり長寿命となるが、発光輝度を高くするために、供給電力を増大すればするほど、光電変換効率の変化は指数関数的に短寿命となり、通常の民生製品の品質保証期間を1 年とすると、数千から数万時間の安定発光が要求されることになるため、明るく高品質な画像表示を実現させようとするほど、品質安定性が劣化するといった原理的不具合が発生してしまう。この問題に対して、有機電界発光素子を強制冷却する手段をとることも考えられるが、結果的に、冷却用のエネルギーが別途必要になることとなり、有機電界発光素子を使用することの本来の目的である、エネルギー消費量の低減といったメリットに対して、相反することになってしまう。」 ウ 技術常識1の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項及び前記イに摘記した引用文献4の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。) <技術常識1> 「有機電界発光素子の温度による劣化速度はアレニウスの式に従うこと。」 (5) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成A1の観点 a 構成A1は「電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定するステップ」を有する「方法」の発明であることである。 b 引用発明における「OLED」及び「特定の波形」は、本件補正発明の「電界発光デバイス」及び「第1波形」に相当する。 そして、引用発明において「駆動対象となるOLEDの経年劣化に基づいて特定の波形を選択する」という方法は、「電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定する」という方法に相当する。 c したがって、本件補正発明と引用発明とは、「電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1の波形を決定するステップ」を有する「方法」の発明である点において一致する。 (イ) 構成A2~A3及びC1~C3について a 構成A2~A3は「前記動作履歴は、前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なるステップと、前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップ」を含むことである。 b 構成C1は「前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含[むこと]」であり、構成C2は「前記有効発光持続時間を算出する手順は、設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じて前記各発光パラメータセットに対応する標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階」を含むことであり、構成C3は「前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階」を含むことである。 c 前記a及びbによれば、つまるところ、本件補正発明は、電圧の第1波形を決定・印加するにあたり、電界発光デバイスのこれまでの動作履歴にしたがって、電界発光デバイスの劣化の程度を予測しているものといえる。 d 他方、引用発明も、「予測される劣化などに基づいて、パルスモードにおいて、異なる波形を使用する」ものであるから、「異なる波形」を選択の上、OLEDに印加するにあたり、「劣化」の程度を予測しているものである。 e 前記b~dを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の(a)に示す一致点において一致し、後記(b)に示す相違点において相違する。 (a)[一致点] 電界発光デバイスの予測される劣化に従い、電圧の第1波形を決定するステップと、前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、を有する点。 (b)[相違点] 電界発光デバイスの劣化を予測するに際し、 本件補正発明は「電界発光デバイスの動作履歴に従」うものであって、「前記動作履歴は、前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なる」ものであり(構成A2)、 「前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含み」(構成C1)、 「前記有効発光持続時間を算出する手順は、 設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じて前記各発光パラメータセットに対応する標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階と」(構成C2)、 及び「前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階と、を含む」(構成C3) のに対し、 引用発明においては、劣化を予測する具体的態様が特定されていない点。 (ウ) 構成B1、B2及びB3について a 構成B1は「前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップであって、前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含むステップ」を有することであり、構成B2は「更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップ」を有することであり、構成B3は、「前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップ」を有することである。 b 引用発明は、「OLEDが経年変化するにつれて」、「予測される劣化」にしたがって、異なる波形を使用するものであるから、「予測される劣化」にしたがって、一つの波形を選択、印加した後に、波形を選択する場合には、当該一つの波形を選択したものも含めて「劣化」を「予測」することは明らかである。したがって、引用発明は、本件補正発明の「前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップ」に相当する構成を有することは明らかであり、また、「更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップ」に相当する構成を有することもまた、明らかである。 さらに、「前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップ」に相当する構成を有することも明らかであるといえる。 c そうすると、本件補正発明と引用発明は、構成B1、B2及びB3において次の(a)に示す一致点において一致し、後記(b)に示す相違点において相違する。 (a)[一致点] 「前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップを有し、更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップ」及び「前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップ」を有する点。 (b)[相違点] 本件補正発明においては、「前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新する」にあたり「前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含む」のに対し、 引用発明がそのような構成を含むのか不明である点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「 電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定するステップであって、 前記電圧の第1波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、 前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新するステップと、 更新後の動作履歴に従い電圧の第2波形を決定するステップであって、前記第2波形は、前記第1波形とは異なるステップと、 前記電圧の第2波形を前記電界発光デバイスに印加するステップと、を有する方法」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 電界発光デバイスの劣化を予測するに際し、 本件補正発明は「電界発光デバイスの動作履歴に従」うものであって、「前記動作履歴は、前記電界発光デバイスの複数の発光パラメータセットを含み、前記複数の発光パラメータセットのうちの各発光パラメータセットは、前記電界発光デバイスの発光する時の環境温度、前記電界発光デバイスが発光する光の輝度、及び前記環境温度で前記電界発光デバイスが発光する前記輝度の光の持続時間を含み、異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なる」ものであり(構成A2)、 「前記動作履歴に従い有効発光持続時間を算出する手順と、前記有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手順と、を含み」(構成C1)、 「前記有効発光持続時間を算出する手順は、 設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式及び前記各発光パラメータセットにおける前記環境温度、前記輝度、及び前記持続時間に応じて前記各発光パラメータセットに対応する標準持続時間を決定する段階であって、前記電界発光デバイスの前記持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する、段階と」(構成C2)、 及び「前記有効発光持続時間を、前記標準持続時間の合計として算出する段階と、を含む」(構成C3) のに対し、 引用発明においては、劣化を予測する具体的態様が特定されていない点。 b 相違点2 本件補正発明においては、「前記電界発光デバイスの動作情報を用いて前記動作履歴を更新する」にあたり「前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含む」(構成B1)のに対し、 引用発明がそのような構成を含むのか不明である点。 (6) 判断 ア 相違点1、2に係る本件補正発明の構成に至ることについて (ア) 引用文献2技術事項と、構成A2(相違点1)との関係について a 引用文献2技術事項における「温度」は本件補正発明の「環境温度」及び「電界発光デバイスの温度」に相当し、引用文献2技術事項2における「輝度」及び「使用時間」は本件補正発明の「輝度」及び「持続時間」に相当する。そして、これら3つのパラメータは、本件補正発明の「発光パラメータセット」に相当する。 b また、本件補正発明における「異なる発光パラメータセットは、前記環境温度及び前記輝度の少なくとも一方が異なる」との特定は、「発光パラメータ」の異同を特定したにすぎないところ、引用文献2技術事項において、複数の画素(PX)に印加される「温度」、「輝度」が変化することは明らかであるから、「温度」、「輝度」の少なくとも一方は、異なるものといえる c 前記a、bの検討結果をふまえると、引用文献2技術事項は、相違点1のうち、構成A2に係る本件補正発明の構成を有しているものと認められる。 (イ) 引用文献2技術事項と構成C1~C3(相違点1)との関係について a 引用文献2技術事項の「基準使用時間(Tcur)」及び「加算使用時間(Tadd)に温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び物質加重値(WM)を乗算した値」は、本件補正発明の「有効発光持続時間」及び「標準持続時間」に相当する。また、引用文献2技術事項の「基準温度」は本件補正発明の「設定環境温度」及び「予め定めた温度」に相当し、引用文献2技術事項の「基準輝度」は本件補正発明の「設定輝度」及び「予め定めた発光強度」に相当する。 さらに、引用文献2技術事項の「実際の温度、輝度及び材料の条件の下での画素の実際の劣化率」は本件補正発明の「前記持続時間における輝度減衰」に、引用文献2技術事項の「基準温度、基準輝度及び基準材料の条件下での画素の画像劣化率」は本件補正発明の「前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する」「標準持続時間における輝度減衰」に相当するものといえる。 b 引用文献2技術事項は、「複数の画素(PX)の使用時間、温度、及び輝度、並びに、発光素子の材料に基づいて」、「基準温度に対する温度加重値(WT)、基準輝度に対する輝度加重値(WL)、及び基準材料に対する材料加重値(WM)を使用し」て、「複数の画素(PX)の実際の劣化率を、基準劣化曲線上の基準劣化率へと変換」するものである。ここで、前記(4)ウで認定した「有機電界発光素子の温度による劣化速度はアレニウスの式に従うこと。」(技術常識1)との技術常識に鑑みれば、かかる変換の際に、「アレニウスの式」に応じた変換を行うことは、引用文献2に記載されているに等しい事項といえる。 c 引用文献2技術事項においては、「有機発光表示装置の実際の温度、輝度及び材料の条件の下での画素の実際の劣化率を、基準温度、基準輝度及び基準材料の条件下での画素の画像劣化率に置き換えた場合の使用時間である基準使用時間(Tcur)で示す」のであるから、相違点1に係る本件補正発明の「前記電界発光デバイスの前記発光持続時間における輝度減衰は、前記電界発光デバイスの標準持続時間における輝度減衰に等しく、前記標準持続時間内において、前記電界発光デバイスが予め定めた温度であり予め定めた発光強度を有する」との構成を当然に有するものと認められる。 d 引用文献2技術事項においては、「基準使用時間(Tcur)で示すにあたり、累積使用時間(Tpre)と、累積使用時間(Tpre)の後に加算された加算使用時間(Tadd)に温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び物質加重値(WM)を乗算した値との和を用いて基準使用時間(Tcur)を算出するものであって、前記基準使用時間(Tcur)は、定期的に、またイベント発生時に算出する」のであるから、「加算使用時間(Tadd)に温度加重値(WT)、輝度加重値(WL)及び材料加重値(WM)を乗算した値」(本件補正発明の「標準持続時間」に相当)は複数回計算され、その合計が「基準使用時間(Tcur)」(本件補正発明の「有効発光持続時間」)となることは明らかである。 e 前記a~dの検討結果をふまえると、引用文献2技術事項は、「有効発光持続時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する手段」を除き、相違点1のうち、構成C1~C3に係る本件補正発明の構成を有しているものと認められる。 (ウ) 引用文献2技術事項と相違点2との関係について a 引用文献2技術事項においては、「温度」を用いて「基準使用時間(Tcur)」を算出しているから、相違点2に係る本件補正発明の「前記電界発光デバイスの動作情報は、前記電界発光デバイスの温度を含む」との要件を当然に満たしているものと認められる。 b すなわち、引用発明2技術事項は、相違点2に係る本件補正発明の構成を有しているものと認められる。 (エ) 本件補正発明と引用発明、引用文献2技術事項について a 前記(ア)~(ウ)の検討をふまえると、引用発明から出発した当業者が相違点1及び2に係る本件補正発明の構成に至るためには、引用発明に引用文献2技術事項を適用しつつ、引用文献2技術事項の「基準使用時間(Tcur)」に応じて、引用発明における一つの「波形」から異なる「波形」を使用すること(本件補正発明の「有効発光時間に応じて複数の波形から第1波形を選出する」こと)とすれば足りる。 b そこで検討すると、引用発明において「特定のOLED構造を製造し、試験して、予想される寿命及び/又は経時的な劣化プロファイル、発光効率とOLEDの輝度との関係などを決定し」た上で、「劣化」を「予想」し、「予想される劣化など」に基づいて、「異なる時点」において「複数の波形」を使用するところ、かかる「劣化」の「予想」の具体的態様として、引用文献2技術事項において経年劣化の指標となっている「基準使用時間(Tcur)」を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 c なお、前記(イ)bで検討した「アレニウスの式」の観点が仮に引用文献2に記載されているに等しいと認められないとしても、引用文献2に当たった当業者であれば、技術常識1に基づき、「複数の画素(PX)の実際の劣化率を、基準劣化曲線上の基準劣化率へと変換」する際に、アレニウスの式に対応したものを用いることは、直ちに想起できるものであるから、引用発明に対し、技術常識1を考慮しつつ引用文献2技術事項を適用することとして、アレニウスの式に応じて有効発光持続時間(「基準使用時間(Tcur)」)を決定することは、当業者が容易に想到できたことであるともいえる。 イ 総合評価 前記アにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張1 a 主張1の内容 引用文献2が採用した技術手段は「電圧差を制御する」ことであり、これによって、表示装置の消費電力の低減と画素の劣化の補償という技術的効果が達成されるというものである。 一方、本件補正発明は、電界発光デバイスの動作履歴に従い、電圧の第1波形を決定することであり、これによって、電界発光デバイスを増加させることなく、電界発光デバイスの発光持続時間を減少させ、ひいては電界発光デバイスの寿命を延長する技術的効果が達成される。 したがって、引用文献2が採用した技術的手段及び達成する技術的効果は、本願の新請求項1が採用した技術的手段及び達成する技術的効果とは異なる。 b 主張1についての検討 原査定における拒絶の理由及び本審決においては、引用文献2に記載の技術として請求人が主張するようなものは認定しておらず、有機発光表示装置の劣化の指標となり得る「基準使用時間」の計算方法を認定しているものである。 したがって、請求人の主張1は、原査定における拒絶の理由を正解しないものであって、その前提において失当であり、採用することができない。 (イ) 請求人の主張2 a 主張2の内容 引用文献2において、基準使用時間(Tcur)は累積使用時間(Tpre)と、付加使用時間(Tadd)及び各重み値を乗算した値との合計であり、一方、本件補正発明における有効発光持続時間は、複数の発光パラメータセットのそれぞれのパラメータと設定環境温度、設定輝度から算出された複数の標準持続時間の合計であるから、引用文献2における「基準使用時間(Tcur)」は、本件補正発明における「有効発光持続時間」に相当しない。 b 主張2についての検討 前記ア(ウ)c及びdでも検討したとおり、引用文献2技術事項の基準使用時間(Tcur)は、発光パラメータセットのそれぞれのパラメータである温度、輝度及び使用時間と、基準温度(本件補正発明における「設定環境温度」及び「予め定めた温度」に相当)、基準輝度(本件補正発明における「設定輝度」及び「予め定めた発光強度」に相当)から算出された複数の標準持続時間の合計であることは明らかである。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(6)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 <主たる引用文献> 引用文献1.米国特許出願公開第2015/0213747号明細書 <その他の引用文献> 引用文献2.米国特許出願公開第2014/0118426号明細書 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びイに、引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項は前記第2の3(3)ア及びイに、技術常識1は前記第2の3(4)ウにおいて、それぞれ示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、実質的にみて、本件補正発明から、「標準持続時間」が「前記各パラメータセットに対応する」ものであるとの限定、及び「標準持続時間」について「設定環境温度、設定輝度、アレニウスの式」に応じたものであるとの限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(6)において説示したとおり、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-015262

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