特許拒絶査定不服審判
2024-020038
ディスプレイを駆動するためのシステムおよび方法
- 審判番号
- 2024-020038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-219504
- 請求日
- 2024年12月13日
- 審決日
- 2026年02月19日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スナップ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 後藤 亮治
- 審判官 井海田 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-219504「ディスプレイを駆動するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 3月19日出願公開、特開2024- 38128〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和1年)5月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月24日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする外国語特許出願の一部を令和5年12月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 1月16日 :手続補正書、上申書の提出
令和6年 3月 4日付け:拒絶理由通知書
同年 6月 4日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月20日 :原査定の謄本の送達)
同年12月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年12月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年12月13日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年12月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年6月4日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項16の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項16の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システムであって、
画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段と、
前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段と、
画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段と、
画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段と、
前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段と、
前記1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って前記ディスプレイを構成するためのディスプレイ駆動手段と、
を備える画像システム。」
(2) 本件補正後
「【請求項16】
駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システムであって、
画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段と、
前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段と、
画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段と、
画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段と、
前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段と、
前記1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる前記画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段と、
を備える画像システム。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項16についてする補正は、本件補正前の請求項16に記載された「ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システム」における「前記ディスプレイを構成するためのディスプレイ駆動手段」について、「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる前記画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段」に限定するものであるから、「ディスプレイ内の画像データ」が「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる」ことを限定するものといえる。
そして、本件補正前の請求項16に記載された発明と本件補正後の請求項16に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項16についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項16に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項16に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Fまでに分説する。また、参考図として、本願の【図4】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
X 駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システムであって、
A 画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段と、
B 前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段と、
C 画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段と、
D 画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段と、
E 前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段と、
F 前記1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる前記画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段と、
X を備える画像システム。
<参考図>
【図4】
[図:0001436845000001.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【背景技術】
【0001】
一般的な画像表示関連の特性としては、とりわけ、画像データのフレームレート、ディスプレイ内のピクセルの色持続時間、およびディスプレイの明るさが挙げられ、これらは、ディスプレイを駆動する駆動回路および/またはソフトウェアを介して制御され得る。これらの表示特性を使用して、表示される画像の明るさ、解像度、奥行き知覚、およびその他の視覚効果を制御できる。
【0002】
表示特性(例えば、ディスプレイのフレームレート、明るさ等)を再構成するためにいくつかの既存の画像レンダリング技術が採用されている場合、これらの既存の画像レンダリング技術では、ディスプレイをオフにするか、そうでなければ表示用コンテンツのレンダリングを中断して、その表示特性を再構成するかもしくは更新することを必要とする。場合によっては、これらの変更に数秒程度の時間がかかり、頻繁に画像レンダリングを一時的に終了しなければならないことがある。結果的に、画像システムにおいて表示特性を再構成するための既存の技術は、例えば、画像データがレンダリングされている間、表示特性のリアルタイムのおよび/または動的な再構成ができないことがある。
【0003】
請求された主題のさまざまな実施形態の特徴および利点は、以下の詳細な説明が進むにつれて、および以下の図面を参照することで明らかになるであろう。図面では、同様の数字は同様の部品を示す。
…(中略)…
【0015】
説明のために、拡張現実(AR)ヘッドセットとして実装された画像システムでの表示特性の動的再構成の利点を考察する。ユーザがARヘッドセットを装着すると、ヘッドセットは通常、ユーザのリアルタイム環境の画像またはビデオにグラフィック、テキスト、指示、コントロール、またはその他の情報(すなわち、オーバーレイデータ)を重畳する。リアルタイム環境データは、(スチル、ビデオ、パノラマ、またはその他のカメラを介して)撮像によって取り込むことができ、ユーザが頭を左、右、上、または下に動かすと、画像オーバーレイデータも更新され、これに従って、オーバーレイデータも、ユーザの環境で左、右、上、または下にパンする。ユーザが頭を左、右、上、または下に動かすと、リアルタイム環境データも更新され得る。表示特性(例えば、スチル画像またはビデオ画像の表示特性)を動的に再構成する機能を使用して、ARヘッドセットは、ユーザの目が焦点を合わせていないヘッドセットディスプレイの領域を暗くする(例えば、ピクセルのグループの明るさまたはグレースケールレベルを変更する)ことができ、ユーザの目が焦点を合わせているヘッドセットディスプレイの領域の明るさを増加させることができる。同様に、ARヘッドセットは、ユーザの目が焦点を合わせていないヘッドセットディスプレイの領域における画像データの解像度および/またはフレームレートを低下させることができ、および/またはユーザの目が焦点を合わせているヘッドセットディスプレイの領域における画像データの解像度および/またはフレームレートを増加させることができる。表示特性の再構成は動的にかつユーザへの画像コンテンツの表示を中断することなく実行されるため、表示特性の再構成は、ユーザにはシームレスに見え、ユーザの全体的な視覚体験の質を高めるために使用され得る。さらに、その他の利点として、(例えば、所定の、またはユーザの実際の、既知の、または予想される環境に関するデータに基づいた)ユーザの好みに応じて(ヘッドセットディスプレイのピクセルに対応する)ヘッドセットディスプレイの焦点または位置の明るさ、グレースケールレベル、解像度、および/またはフレームレートを調整することにより、例えば、ヘッドセットディスプレイによる電力消費の低減および/またはヘッドセットディスプレイのユーザによって焦点を合わせられた画像の部分に対する改善された可視性をもたらし得る。これらの例示的な特徴は、駆動方式を画像データとマージし、駆動方式を画像データと共にディスプレイドライバ(例えば、ディスプレイソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェア)に送信することによって、表示特性を動的に再構成する実施形態の文脈で以下に詳細に説明される。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開平5-341750号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの事項及びウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 【0004】~【0006】
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】表示モード判別は周波数と極性を計測するための専用の回路が必要であり、その規模も大である。また、表示装置側のみで対応しているので種々の表示モードの判別は煩雑である。パソコン,ワークステーション等で使用する分離型ディスプレイにおいて、本体側からの(例えばキーボードからの)指令等だけでは輝度や表示位置等の制御はできない。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、本体側から、分離型ディスプレイの表示環境が制御できるデータ処理装置用ディスプレイの表示制御装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、データ処理装置側に表示モード信号および表示装置の表示をコントロールする制御信号を画像信号の一部に置き換えて送るか、または、非表示エリアに割り当てて送る手段を設け、表示装置側でこの信号を判別し表示をコントロールする手段を備えた構成を有する。」
(イ) 【0010】~【0012】、【図1】及び【図5】
「【0010】
図1はCPU2,データーメモリ3,ビデオメモリ4,映像出力回路5,入力部6で構成される一般的なデータ処理装置部1であり、データ処理装置において、キーボード等の入力部6からの文字コードや画像データはデータメモリ3において編集および記憶され、さらに映像出力回路5でコントロールされるビデオメモリ4にビットマップ変換されて書き込まれる。映像出力回路5はビデオメモリ4上のビットマップデータを読み出して表示装置へ送るといった基本的動作を行なう。
【図1】
[図:0001436845000002.jpg]
【0011】
表示装置に対して表示の停止,起動,表示モードの変更等を制御する場合、以下に示す表示制御信号を非表示エリアに配置して表示装置に送るようにする。表示制御信号は例えば図2で示すように固定符号n1ビットを例えば16ビット、表示モードn2ビット、制御コードnビットを例えば各々8ビットとし、合計(n1+n2+n3)を32ビットとするような構成とする。ここで、固定符号は表示制御信号であることを示す符号とし例えばすべて“0”とする。表示モードは表示サイズ,表示周波数,SYNC正負等を定めたいいわゆるVGAやXGA等を示す符号とし、制御コードは表示の停止、動作、画像表示位置、輝度の高低等を示すものとする。この表示制御信号は必要に応じてレジスタ7に設定される。すなわち例えば、あらかじめキーボード等の入力部6にキーの割付をしてそのキーが押されたときに表示制御データを更新するようにプログラムしておき、CPU2がレジスタ7の更新を行なうようにしておく。また表示モードの変更等の場合もプログラムに従ってCPU2が自動的にレジスタ7を更新するようにしておけばよい。このレジスタ7内の制御信号をデータの更新されたときに非表示エリアの任意の1ラインに相当するビデオメモリ4のエリアにFMコード変換して送出する。これは、レジスタ7内の制御信号データを図3のようにデータがハイレベル(“1”)の場合は頭のクロックビット8と中間点にデータビット9を立てる。データがローレベル(“0”)の場合は頭のクロックビット8のみを立てるというルールに従ってFMコード変換するもので、あらかじめ表示モード別に設定した1ビット当たりのドットサイズ幅に応じてビデオメモリ4に送るものである。ここで、1ビット当たりの送出ドット幅は、表示モードによって1ビット当たりの時間がほぼ同じになるように水平表示ドットサイズおよびドット周波数に応じて設定し、例えば、図4(a)の水平表示ドット640でドットタイム35nSのモードの場合は1ビットにつき例えば9ドット幅で送出し、図4(b)の水平表示ドット1280でドットタイム9nSのモードの場合は1ビットにつき例えば35ドット幅で送出する。データ処理装置では表示モード(VGAやXGA)をあらかじめ選択してから表示するので1ビット当たりの送出ドット幅はCPUで設定可能となる。ビデオメモリ4に送られたFMコード変換された制御信号は映像出力回路5を経て表示装置へ送られる。
【0012】
表示画面での制御信号の表示箇所を図5に示す。この例は、非表示エリア(ブランキングエリア)の任意の1ラインの場合を示す。制御信号は非表示エリアなので表示画面には現われないことは言うまでもない。
【図5】
[図:0001436845000003.jpg]
」
(ウ) 【0014】及び【図7】
「【0014】
図7は制御信号の送出のフローチャートである。ステップaでデータをデータメモリ3に配置し、ステップbでインタラプトがなければステップcでビデオメモリ4に書き込み、ビデオメモリ4の常時読み出しによって映像出力するものであり、通常の動作ルーチンである。ステップbでインタラプトがかかるとステップd,eを経てステップfで制御信号の内容によって表示モードまたは表示制御コードをデータ化してレジスタ7に設定し、ステップgでそのデータをFMコード変換してビデオメモリ4に送り、元の通常ルーチンへ戻る。
【図7】
[図:0001436845000004.jpg]
」
(エ) 【0015】、【0018】及び【図8】
「【0015】
次に表示装置側における制御信号の検出方法について図8,図9を参照して説明する。制御信号検出回路は制御信号のゲーティング部、制御信号からのデータ抜き取り部、データシフト用のパルス発生部、データ判別部とから構成される。表示装置側では、垂直同期信号,水平同期信号,映像信号を波形整形回路10,11,12に通し、次段の制御信号検出回路とのレベル的なマッチングを取るように波形整形する。波形整形回路通過後の映像信号と垂直同期信号をゲーティング回路25に導き、垂直同期信号後の映像信号を通過させる。ゲーティング回路25通過後の映像信号(制御信号)は制御信号の立ち上がりの変化点を検出する立ち上がり検出回路13を通し、その出力をカウンタ15のリセット信号とする。また、制御信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出回路14もゲーティング回路25に接続されており、この出力をアンド回路17にての検出用のクロック16のゲーティング信号とし、アンド回路17でゲーティングされた検出用クロックはカウンタ15の入力となる。ここで検出用のクロック16は1ビットの表示幅よりも十分に小なるものを使用する。
・・・(中略)・・・
【0018】
このように本実施例によると、上記したシーケンスによってデータを判別し、モード信号の更新の場合はディスプレイの回路部26のfH,fVのトラッキングコントロールやサイズコントロール等をCPU22等の指示に従い、表示制御信号の更新の場合はディスプレイ回路部における輝度のコントロール等をCPU22等の指示に従って行なうことができる。
【図8】
[図:0001436845000005.jpg]
」
(オ) 【0023】及び【図12】
「【0023】
図12に本表示制御方法の基本的構成を示す。表示制御信号発生手段と画像データの一部を該制御信号をFMコード変換して置き換えて表示装置部へ送る機能をもつデータ処理装置部1、該表示制御信号を自動的に検出,判別し、表示をコントロールする手段をもつ表示装置部28、ブロック1と28を接続するビデオケーブル29とを備えている。
【図12】
[図:0001436845000006.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 前記ア(イ)に摘記した【0010】及び【0011】の記載、並びに、同(エ)に摘記した【0018】の記載によれば、引用文献1の「表示制御信号」は、「表示装置に対して表示の停止、起動、輝度の高低、表示モードの変更等を制御する」ものである。
(イ) 前記ア(イ)に摘記した【0011】及び【0012】の記載、並びに、同(ウ)に摘記した【0014】の記載によれば、引用文献1の「データ処理装置部1」は、表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コードをレジスタ7に設定し(【0014】)、そのデータをビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の非表示エリアに書き込み(【0012】及び【0014】)、データメモリ3に記憶された画像データ(【0010】)をビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の表示エリアに書き込む(【0012】、【0014】及び【図5】)ものであって、インタラプトがかかると、レジスタ7に設定されたデータをビデオメモリ4に書き込んだ後に通常ルーチンに戻り、通常ルーチンにおいて、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4に書き込むものであり(【0014】)、インタラプトがなければ、通常ルーチンにおいて、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4に書き込むものである(【0014】)。
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施例1に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「表示装置に対して表示の停止、起動、輝度の高低、表示モードの変更等を制御する表示制御信号(イ(ア))を生成する表示制御信号発生手段と、画像データの一部に該制御信号をFMコード変換して置き換えて表示装置部へ送る機能をもつデータ処理装置部1、該表示制御信号を自動的に検出、判別し、表示をコントロールする手段をもつ表示装置部28とを備える構成(【0023】)であって、
データ処理装置部1は、プログラムに従ってCPU2が自動的にレジスタ7に設定される表示制御信号を更新するものであり(【0011】)、
データ処理装置部1は、表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コードをレジスタ7に設定し、そのデータをビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の非表示エリアに書き込み、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の表示エリアに書き込むものであって(イ(イ))、
インタラプトがかかると、レジスタ7に設定されたデータをビデオメモリ4に書き込んだ後に通常ルーチンに戻り、通常ルーチンにおいて、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4に書き込むものであり(イ(イ))、
インタラプトがなければ、通常ルーチンにおいて、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4に書き込むものであり(イ(イ))、
ビデオメモリ4に書き込まれたデータを、ビデオメモリ4の常時読み出しによって映像出力するものであり(【0014】)、
データを判別し、表示制御信号の更新の場合はディスプレイ回路部における輝度のコントロール等を行なう(【0018】)
構成。」
(3) 引用文献2の記載事項及び引用文献2記載の技術の認定
ア 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2001-34245号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用文献2記載の技術の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はパーソナルコンピュータやワークステーション等(以下PCと略す)の画像信号発生装置から出力される画像信号を表示する画像表示装置に係り、画面の表示位置や歪み、輝度、画質等を画像信号発生装置から直接調整できるようにした画像表示装置制御システムに関する。」
(イ) 【0010】
「【0010】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、パソコンから出力する画像信号に、画面調整制御情報を付加し、画像信号ケーブル経由で画像表示装置に送り、画面調整制御情報の検出を行うことにより、画像信号発生装置から画像表示装置を制御するためのUSBケーブル等の画像信号ケーブル以外のケーブルを必要とせず、また特殊なハードウェアやドライバーソフトウェアを使うことなく、アプリケーションソフトウェアだけで画像信号に画面調整制御情報を付加し出力する事ができ、しかも、色度、輝度、コントラストなどの調整の他にγテーブルデータやOSDデータの設定、ならびに画面サイズ等の切り替えを画像信号発生装置側からオンラインで行えるようにする事を目的とするものである。なおここで言う画像信号は映像同期複合信号も含むものとする。」
(ウ) 【0047】~【0051】
「【0047】
上記説明では画面調整データで画面を制御する形態を示したが、PC1上でγデータ生成プログラムを動作させ、生成したデータを符号化して画像信号に付加させ、液晶表示装置5上の図2bに示すγ補正テーブル22に直接データを設定する事もできる。図5はγ補正前後の液晶表示装置5の入力画像信号電圧レベルと表示器13の輝度との関係を示す特性カーブの変化を示す。
【0048】
γデータの場合R,G,Bそれぞれ独立に補正データが必要であり、データ量が多くなる。この場合は、複数ラインを使ってそれぞれに別のデータを付加し、1画面の情報量をおおくしデータ転送時間を短くする事もできる。また、前述のようにバーコードをRGB独立に使用することでも、データの多重化が実現できデータの転送時間を短くする事ができる。また、複数のしきい値を持つことによっても、より多くのデータを送ることができる。以上の様にすれば、γデータの変更をオンラインで瞬時に行うことができる。
・・・(中略)・・・
【0051】
画面調整制御情報は画像信号に連続して付加することができるが、画像画面への影響を少なくする為に、画面の数~数十フレームに一回程度の付加でもよい。この場合使用者が符号化データを意識せずに使うことができる。また、R,G,Bのうちのどれか一つだけに付加することにより、画面上で目立たなくすることができる。ところで、今までの説明では水平方向に連続した画素で画面調整制御情報を付加していたが、垂直方向に連続した画素で画面調整制御情報を付加しても良い。」
イ 引用文献2記載の技術の認定
前記アに摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用文献2記載の技術>
「PC1上でγデータ生成プログラムを動作させ、生成したデータを符号化して画像信号に付加させ、液晶表示装置5上の補正テーブル22に直接データを設定する技術であって(【0047】)、
γデータは、データ量が多く(【0048】)、
画面調整制御情報を画像信号に付加する際に、画面の数~数十フレームに一回程度で付加する(【0051】)
技術。」
(4) 引用文献4及び5の記載事項並びに周知慣用技術の認定
ア 引用文献4及び5に記載された事項
(ア) 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2004-170576号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 【請求項1】
「【請求項1】
フラットパネルディスプレイ(FPD)パネルと、画面を分割表示する機能とを有するフラットパネルディスプレイであって、
前記分割表示される画面(サブ画面)各々の輝度および/または階調特性を独立に設定する手段を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。」
b 【0010】~【0014】
「【0010】
ここで、ディスプレイの表示特性を調整する技術としては、例えば、特許文献1には、ディスプレイの画面表示の明るさに応じて、画面の輝度を制御する機能を備えた装置が、また、特許文献2には、ディスプレイにおいて、その表示画面上の位置(実際には、ある広がりを有する領域)毎にその位置における表示画像の階調特性を制御する機能を備えた装置が開示されている。【0011】
前者は、例えば、いわゆるアクティブなウィンドウの表示のRGB輝度をグレイスケールに換算して表示の明るさを求め、この結果に応じて画面の輝度を制御するというものである。
また、後者は、ディスプレイにおいて、表示画面上の位置(領域)毎にその位置における表示画像の階調特性を補正する階調補正手段を有し、表示画面全面の階調特性を均一化するように制御するというものである。
【0012】
一方、画面分割表示を行うことについては、例えば、特許文献3を始めとして多数の開示がある。
しかしながら、従来は、例えば特許文献3に開示されているような方法により表示された分割画面のそれぞれについて、個別に輝度あるいは階調等の表示特性を制御することは不可能であった。
【0013】
【特許文献1】
特開2000-72998号公報
【特許文献2】
特開平11-98438号公報
【特許文献3】
特開平5-80714号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来の技術における問題を解消し、ディスプレイの表示画面を分割して用いる場合に、その分割表示された画面のそれぞれについてその表示特性を調整可能としたFDPおよびこれを用いる表示方法を提供することにある。」
c 【0020】~【0024】
「【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るLCDパネルを用いたディスプレイの要部(モニタユニット)を示す図である。本実施形態に係るモニタユニット10は、QXGA規格(2048×1536画素)のLCDパネル12を有しており、このLCDパネル12は、図に示すように、#1,#2の2つの部分(サブ画面)に分割されており、これらのサブ画面のそれぞれに、データ電極ドライバ,走査電極ドライバ等の液晶駆動手段(図示は省略)が接続されている。
【0021】
また、上記モニタユニット10には、画像データ供給部16からLCDパネル12に供給される表示用の画像データを所望の階調に変換するための画像データの変換テーブル(ルックアップテーブル、以下、LUTという)14a,14bが、DVI(デジタル・ビデオ・インタフェイス)を介して上記サブ画面のそれぞれに対応して備えられている。
・・・(中略)・・・
【0024】
本実施形態に係るモニタユニット10においては、上述のように配置されたLUT14a,14bを用いて、LCDパネル12上の2つのサブ画面への表示画像の階調を所望の階調とするように制御することにより、前述の2つのサブ画面に、好ましい再現階調が異なる画像、例えば、CR画像とCT(コンピュータ断層撮影)画像とを並べて表示することを可能とするものである。」
(イ) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2006-145798号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 【0022】、【0023】及び【図1】
「【0022】
本発明は、上記の液晶パネル20とバックライト21の両者を駆動するための2種の信号を備えて、両者をフレーム(画面)単位で同期を取りながら、信号処理,整形(フォーマッティング),伝送,表示することを特徴とする。なお本発明においては、フレームと画面は同一であり、説明の場面に応じて両者を混在して利用する。
【0023】
駆動信号の一つは液晶パネル20を駆動するためのLCD駆動信号16であり、もう一つはバックライト21を駆動するためのLED駆動信号17である。このように液晶パネル20をLCD駆動信号16で、またバックライト21をLED駆動信号17で駆動することで、入力する画像信号10に対応する表示出力14を得る。ここで、LCD駆動信号16は、液晶パネルを構成する各画素に伝達する信号の組み合わせで構成される。また、LED駆動信号の信号形式は、バックライトの発光手段の構成に依存するが、例えばRGB(赤青緑)ごとに全面一括に駆動するならば、RGBそれぞれの3つの信号で構成されることになる。本発明は、バックライト21として、フレーム(画面)単位で駆動制御できる発光手段を利用することで、前記した2種の駆動信号を用いて、同期の取れた表示出力14を得ることを特徴とする。
【図1】
[図:0001436845000007.jpg]
」
b 【0028】、【0029】及び【図2】
「【0028】
(2)伝送フォーマット
本実施例の伝送フォーマットについて図2を用いて説明する。
【0029】
図2(a)は、1フレーム内の帰線期間に正規化係数12を配置して、表示領域に正規化信号11を配置する構成を示しており、表示画面に影響を与えることなく、2種の信号を伝送することができる。また、バックライトの分割数に応じて、帰線期間における正規化係数12の個数を設定することになる。これらの設定状況は送信者側と受信者側で確認できている必要があるため、フォーマットの設定状況を、該信号系列中に記述することで受信側に通知する、あるいは伝送に先だって送受双方においてネゴシエーション手順による確認動作を行う、等の手順を利用する。
【図2】
[図:0001436845000008.jpg]
」
c 【0036】~【0047】及び【図4】
「【0036】
(3)正規化係数と正規化信号
ここでは、本実施例の全体図である図1における正規化処理回路3の動作内容と、正規化処理により作られる正規化信号11と正規化係数12について説明する。
【0037】
入力する画像信号は、前記したように画素ごとのデジタルデータであり、例えばRGBそれぞれ8ビット、あわせて24ビットで表される。
【0038】
ここで画像信号の正規化処理とは、ある画像領域を単位として、該領域内の最大値を1.0になるように変換することである。
【0039】
正規化の単位とする画像領域は例えば画素数Nによって設定する。画素数Nの領域において、図3(a)に示す入力信号の大きさの測定結果(ヒストグラム)から最大値maxを求めて、図3(b)に示すように各画素の信号を前記maxで割り算した結果は最大値が1.0 となる小数であるが、デジタルデータで表すために任意の係数を掛けて、例えば8ビット2進数に変換して、正規化信号として利用する。また最大値maxは、正規化処理のための係数として、正規化係数として利用する。なおヒストグラムの最小値minは、以下に述べるオフセットとして扱うことが出来る。
・・・(中略)・・・
【0046】
(4)正規化の単位
正規化処理の単位は、制御部1の信号処理において、表示部2のバックライト等の構成に依存せずに設定することもできる。
【0047】
図4(a)に示すように、時間軸方向の番組内容(コンテンツ),画面,ブロック,ライン,画素、などを設定することができる。図4(b)に、一つの正規化係数と、それにより正規化処理して得られるRGB色ごとの正規化信号から作られるデータ構造の例を示す。ここで正規化係数は、正規化の単位ごとに設定する。正規化信号は、画像信号と正規化係数を用いて画素ごとに設定する。また1画素をRGB3色の色信号で表す場合においては、各色ごとの正規化係数を設定することも、正規化係数を3色共通に設定することもできる。また、両者の信号に加えて、正規化処理の方法とデータ構造を識別するための、付加情報を付け加えることができる。
【図4】
[図:0001436845000009.jpg]
」
d 【0058】~【0063】及び【図5】
「【0058】
図5は、本発明を構成する制御部1と表示部2を示す図である。ここで、上記構成における主な信号フローを、図中の矢印で示すように、次の4つに分類して説明する。
【0059】
(1)表示部の特性設定
表示部2が備える特性を、センサ信号18として採取して、特性帰還回路60を用いて制御部1に伝達する。
【0060】
ここで、センサ信号18は、何らかのセンサを用いて採取する変動成分であって良く、あるいは、表示部2が備える静的な特性であっても良い。これらのセンサ信号18の採取、および特性帰還回路60から制御部1への特性伝達は、任意のタイミングで行うことが出来て、例えば工場出荷時、あるいは電源ON時、あるいはキャリブレーション動作時、あるいは一定の時間間隔などとすることができる。こうして採取,伝達した特性データは、特性表53に記憶しておくことで、任意の時間に読み出して利用することができる。
【0061】
(2)入力画像信号の正規化処理
制御部1は、画像信号10を入力して、表示部2の特性に基づいて正規化処理回路3により、正規化信号11と正規化係数12に変換する。正規化処理回路3は、特性表53から読み出す特性データを利用する。信号処理の手順を実行するためにメモリ52を利用することができる。
【0062】
(3)正規化処理後の信号伝送
正規化信号11と正規化係数12の2種の信号を、フレームごとに同期をとって伝送するために、信号成型回路4で信号フォーマットにまとめて送信する。本発明は、伝送路の物理的な形態を限定するものではなくて、導線,光ファイバー、あるいは電波等の手段を利用して信号伝送することができる。
【0063】
(4)LCDとLEDの駆動
表示部2は、信号分離回路5を用いて受信信号のフォーマット解析を行いフレームごとの正規化信号11と正規化係数12を分離して、正規化信号11はLCD駆動回路6を経由して液晶パネル20を駆動して、正規化係数12はLED駆動回路7を経由してバックライト21を駆動して、両者の組み合わせとして表示出力14を出力する。
【図5】
[図:0001436845000010.jpg]
」
イ 周知慣用技術の認定
例えば、前記ア(ア)bに摘記したように、引用文献4に従来技術として記載され、同cに摘記したように、引用文献4に実施例として記載され、前記ア(イ)cに摘記したように、引用文献5に記載されるように、次の技術事項は、本願優先日当時、「表示装置の制御」の技術分野において、当業者にとって周知慣用の技術であったと認められる。(以下「周知慣用技術1」という。)
<周知慣用技術1>
「表示画面を複数の領域に分割して、領域毎に表示特性を変化させること。」
(5) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システム)
a 引用発明の「表示装置」及び「表示装置部28」は、本件補正発明の「ディスプレイ」に相当し、以下同様に、「画像データ」は「画像データ」に相当する。
b そして、引用発明の「データ処理装置部1」及び「表示装置部28」を備える「構成」は、「データ処理装置部1」から「表示装置部28」に対して、「表示の停止,起動,輝度の高低、表示モードの変更等を制御する表示制御信号」を送ることにより、「表示制御信号の更新の場合はディスプレイ回路部における輝度のコントロール等を行なう」ものであるから、引用発明の「表示の停止,起動,輝度の高低、表示モードの変更等を制御する」ことは、本件補正発明の「駆動方式」に相当し、以下同様に、「ディスプレイ回路部における輝度のコントロール等を行なう」ことは「ディスプレイ内の画像データの表示を調整する」ことに、「データ処理装置部1」及び「表示装置部28」を備える「構成」は「画像システム」に相当する。
c よって、引用発明の「データ処理装置部1」から「表示装置部28」に対して、「表示の停止,起動,輝度の高低、表示モードの変更等を制御する表示制御信号」を送ることにより、「表示制御信号の更新の場合はディスプレイ回路部における輝度のコントロール等を行なう」、「データ処理装置部1」及び「表示装置部28」を備える「構成」は、本件補正発明の「駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システム」に相当する。
(イ) 構成Aの観点(画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段)
a 引用発明の「データ処理装置部1」は、「プログラムに従ってCPU2が自動的にレジスタ7に設定される表示制御信号を更新する」ものであって、「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コードをレジスタ7に設定」するものであるから、引用発明の「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」は、本件補正発明の「画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンス」に相当する。
b よって、前記(ア)の相当関係も考慮するに、引用発明の「プログラムに従って」、「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」を「自動的にレジスタ7に設定」する「CPU2」を備える「データ処理装置部1」は、本件補正発明の「画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段」を備えるものといえる。
(ウ) 構成Bの観点(前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段)
a 引用発明の「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域」は、本件補正発明の「画像データフレーム」に相当する。
b よって、前記(イ)の相当関係も考慮するに、引用発明の「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」を「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の非表示エリアに書き込み」、「画像データ」を「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の表示エリアに書き込む」「データ処理装置部1」は、本件補正発明の「前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段」を備えるものといえる。
(エ) 構成Cの観点(画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段)
a 引用発明の「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域」は、本件補正発明の「代替画像データフレーム」に相当する。
b よって、前記(ウ)の相当関係も考慮するに、引用発明の「画像データ」を「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の表示エリアに書き込」み、「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」を「ビデオメモリ4の表示画面に対応する領域の非表示エリアに書き込」む、「データ処理装置部1」は、本件補正発明の「画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段」を備えるものといえる。
(オ) 構成Dの観点(画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段)
a 引用発明の「データ処理装置部1」は、「インタラプトがなければ、通常ルーチンにおいて、データメモリ3に記憶された画像データをビデオメモリ4に書き込」み、そのまま「ビデオメモリ4の常時読み出しによって映像出力するもの」であるから、「データ処理装置部1」は、本件補正発明の「画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段」を備えるものといえる。
b 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Dの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Dの観点における一致点
「画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段」である点。
(b) 構成Dの観点における相違点
「画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない」「画像データフレーム」に関し、本件補正発明においては、
「画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の」ものであるのに対して、
引用発明においては、
レジスタ7に設定される表示制御信号の更新が、プログラムに従ってCPU2が自動的に行うとの特定にとどまる点。
(カ) 構成Eの観点(前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段)
a 引用発明の「ビデオメモリ4に書き込まれたデータ」は、インタラプトがかかった場合、「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」と「画像データ」である。
b よって、前記(イ)~(エ)の相当関係も考慮するに、引用発明の「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」と「画像データ」である「ビデオメモリ4に書き込まれたデータ」を、「ビデオメモリ4の常時読み出しによって映像出力する」、「データ処理装置部1」は、本件補正発明の「前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段」を備えるものといえる。
(キ) 構成Fの観点(前記1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる前記画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段)
a 引用発明の「表示装置部28」は、「表示制御信号の内容によってデータ化した表示モードまたは表示制御コード」が書き込まれた「ビデオメモリ4の常時読み出し」による「映像出力」から、「表示制御信号を自動的に検出、判別し、表示をコントロールする手段をもつ」ところ、「表示制御信号の更新の場合はディスプレイ回路部における輝度のコントロール等を行なう」ものであるから、前記(イ)~(カ)の相当関係も考慮するに、引用発明の「表示装置部28」は、本件補正発明の「1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段」を備えるものといえる。
b 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Fの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Fの観点における一致点
「1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段」である点。
(b) 構成Fの観点における相違点
「構成」される「画像データ」に関し、本件補正発明においては、
「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる」ものであるのに対して、
引用発明においては、
輝度の高低等が制御されるとの特定にとどまる点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「駆動方式を動的に更新して、ディスプレイ内の画像データの表示を調整するための画像システムであって、
画像データを表示するときにディスプレイに適用される設定を含む駆動シーケンスを決定し、該設定に基づいて前記ディスプレイにおける画像データの表示を制御する手段と、
前記駆動シーケンスの設定を、1つ以上の画像データフレーム内の前記画像データとマージする手段であって、前記1つ以上の画像データフレームの各々は、前記画像データまたは前記駆動シーケンスの設定の少なくとも一方を含む手段と、
画像データと駆動シーケンスの設定とを画像データフレームのシーケンス内の代替画像データフレームにマージする手段と、
画像データフレームに、画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない手段と、
前記駆動シーケンスの設定と前記画像データとを同時に送信するために、前記1つまたは複数の代替画像データフレームを送信する手段と、
1つまたは複数の代替画像データフレームに含まれる駆動シーケンスの設定に従って、画像データを構成するためのディスプレイ駆動手段と、
を備える画像システム。」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1(構成D)
「画像データはマージするが駆動シーケンスの設定はマージしない」「画像データフレーム」に関し、本件補正発明においては、
「画像データフレームのシーケンスにおいて連続する代替画像データフレームの対の間の」ものであるのに対して、
引用発明においては、
レジスタ7に設定される表示制御信号の更新が、プログラムに従ってCPU2が自動的に行うとの特定にとどまる点。
b 相違点2(構成F)
「構成」される「画像データ」に関し、本件補正発明においては、
「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる」ものであるのに対して、
引用発明においては、
輝度の高低等が制御されるとの特定にとどまる点。
(6) 判断
ア 相違点1について
(ア) 前記(2)イで認定したとおり、引用文献2には、以下の引用文献2記載の技術が記載されている。
「PC1上でγデータ生成プログラムを動作させ、生成したデータを符号化して画像信号に付加させ、液晶表示装置5上の補正テーブル22に直接データを設定する技術であって、
γデータは、データ量が多く、
画面調整制御情報を画像信号に付加する際に、画面の数~数十フレームに一回程度で付加する
技術。」
(イ) また、引用発明は、「表示装置に対して表示の停止,起動,輝度の高低、表示モードの変更等」を「データ化した表示モードまたは表示制御コード」を、「プログラムに従ってCPU2が自動的にレジスタ7に設定」するものであるが、技術の高度化にしたがって、表示モード、表示制御コードのデータ量が多くなることは、当然に想定される場合である。
(ウ) よって、引用発明において、前記(イ)のとおり、表示モード、表示制御コードのデータ量が多くなることが想定されるところ、データ量の多い表示モード、表示制御コードを、表示装置部28に出力するにあたり、「インタラプト」のタイミングとして、前記(ア)の引用文献2記載の技術を勘案して、数~数十フレームに一回程度のタイミングで、繰り返し行うことにより、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 本件補正発明の構成Fには「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる」と特定されているものの、「表示特性」に関して、それ以上の特定はされておらず、任意の「表示特性」を含むものとなっている。
(イ) 前記(ア)の事項を踏まえるに、前記(4)イで周知慣用技術1として認定したとおり、以下の事項は、本願優先日当時、「表示装置の制御」の技術分野において、当業者にとって周知慣用の技術であったと認められる。
「表示画面を複数の領域に分割して、領域毎に表示特性を変化させること。」
(ウ) よって、引用発明において、画面の表示特性の制御の多様化は望ましい方向性であるところ、多様化する具体的態様として、前記(4)イの周知慣用技術1を採用して、表示画面を複数の領域に分割して、領域毎に表示特性を変化させた画像データを構成することにより、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知慣用技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果として、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知慣用技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、大略、以下のことを主張している。
a 例えば、ARヘッドセットに表示中の画像について、「ユーザの目が焦点を合わせていないヘッドセットディスプレイの領域を暗く」したり、ユーザの目が焦点を合わせていないヘッドセットディスプレイの領域における画像データの解像度および/またはフレームレートを低下させ」たりする結果、「ヘッドセットディスプレイによる電力消費の低減および/またはヘッドセットディスプレイのユーザによって焦点を合わせられた画像の部分に対する改善された可視性をもたらし得る。」等の効果を奏する。
b 引用文献1及び2には、「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる画像データを表示できるようにすること」が記載も示唆もされていない。
(イ) 請求人の主張についての検討
前記aに関し、請求人の主張する効果を奏するには、「ユーザの目が焦点を合わせ」た領域を検知するセンサを必要とするところ、本件補正発明には、かかるセンサが特定されていないから、請求項の記載に基づく主張ではなく、請求人の主張は採用できない。
前記bに関し、前記イで述べたように、「表示画面を複数の領域に分割して、領域毎に表示特性を変化させること。」は、本願優先日当時、「表示装置の制御」の技術分野において、周知慣用技術1であって、当業者が当然に知悉する技術である。そして、引用発明において、周知慣用技術1を採用することは、望ましい方向性を実現したものにすぎず、当業者に十分な動機付けがあるから、請求人の主張は採用できない。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知慣用技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項16についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(6)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項16に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項16(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開平5-341750号公報
引用文献2.特開2001-34245号公報
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項及び引用発明並びに引用文献2に記載された事項及び引用文献2記載の技術は、前記第2の3(2)ア及びウ並びに(3)ア及びイにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「ディスプレイ内の画像データ」が「一つの画像の一部の領域の表示特性が他の領域の表示特性とは異なる」との限定、すなわち、相違点2に関する特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを比較すると、両者は、前記第2の3(5)イ(ア)の点において一致し、同(イ)aの相違点1において相違する。そして、前記第2の3(6)アにおいて説示したとおり、相違点1に係る構成は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-020038