特許拒絶査定不服審判
2023-017555
タッチ表示パネル及びその製造方法、駆動方法、タッチ表示装置
- 審判番号
- 2023-017555
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-505270
- 請求日
- 2023年10月17日
- 審決日
- 2024年09月09日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】家入 健
- 【請求人】成都京東方光電科技有限公司
- 【請求人代理人】家入 健
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 北元 健太
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-505270「タッチ表示パネル及びその製造方法、駆動方法、タッチ表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和元年11月28日国際公開、WO2019/223419、令和3年9月9日国内公表、特表2021-524069、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)3月27日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年(平成30年)5月25日(以下「優先日」という。) 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 1月30日 翻訳文の提出
令和4年 3月22日 手続補正書の提出
令和4年 5月11日 手続補正書の提出
令和5年 2月 3日付け 拒絶理由通知書
令和5年 4月28日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月 5日付け 拒絶査定
令和5年10月17日 審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 5月21日付け 拒絶理由通知書
令和6年 7月22日付け 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年7月5日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1-2,4-5,9-10,12に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、請求項3に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、請求項6-8に係る発明は、以下の引用文献A-Dに基づいて、請求項11に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
A.特開2018-4925号公報
B.特開2012-212076号公報
C.米国特許出願公開第2016/0349899号明細書
D.特開2001-93667号公報
E.国際公開第2013/140632号
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年5月21日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1-2,4-12に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2018-4925号公報(原査定の引用文献A)
2.特開2012-212076号公報(原査定の引用文献B)
3.特開2015-114704号公報
4.米国特許出願公開第2017/0031512号明細書
5.米国特許出願公開第2016/0349899号明細書(原査定の引用文献C)
第4 本願発明
本願の請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和6年7月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
アレイ基板と、
前記アレイ基板の一側に設けられる画素定義層であって、前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域内に発光層が設けられる画素定義層と、
前記画素定義層の前記アレイ基板から離れた側に設けられ、タッチ領域を複数のストリップ形状領域に分割する複数の電極分割ストリップと、
前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側及び前記複数のストリップ形状領域内に設けられる分割電極層と、を備えるタッチ表示パネルであって、
前記分割電極層は、
前記複数のストリップ形状領域に位置する複数の第1電極ストリップと、
前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に位置する複数の第2電極ストリップとを含み、
前記複数の第2電極ストリップと前記複数の第1電極ストリップとの間は、互いに絶縁され、
前記複数の第1電極ストリップのうちの少なくとも1つの前記第1電極ストリップは、第1レベル信号端子に接続され、且つ各隣り合う2つの前記第1電極ストリップの間は、互いに短絡されており;前記複数の第2電極ストリップのうちの各前記第2電極ストリップは、それぞれ第1タッチ信号端子に接続され、且つ前記複数の第2電極ストリップにおける各隣り合う2つの第2電極ストリップの間が互いに絶縁され、
前記タッチ表示パネルは、少なくともタッチ領域の両端の辺縁領域に設けられる第1レベル信号線をさらに含み、前記第1レベル信号線と前記複数の第1電極ストリップとは互いに垂直であり、且つ前記複数の第1電極ストリップの両端はそれぞれ、対応する側の第1レベル信号線に電気的に接続されている;
前記第1レベル信号端子は、前記第1レベル信号線を含み、
前記電極分割ストリップは、前記第1電極ストリップと前記第2電極ストリップとの間を電気的に絶縁する絶縁材料で形成され、
前記複数の第1電極ストリップは、前記発光層の前記アレイ基板から離れた表面に形成され、前記複数の第2電極ストリップは、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に形成されている、
タッチ表示パネル。
【請求項2】
前記タッチ領域の形状は、矩形を含み、
前記複数の第1電極ストリップは、前記タッチ領域の長手方向に沿って延び、
又は、前記複数の第1電極ストリップは、前記タッチ領域の幅方向に沿って延びる、請求項1に記載のタッチ表示パネル。
【請求項3】
前記電極分割ストリップの材料は、ポジ型フォトレジストを含み、前記電極分割ストリップの、前記電極分割ストリップの延在方向に垂直な断面は台形であり、前記台形の前記アレイ基板から離れた辺の長さは、前記台形の前記アレイ基板に近接する辺の長さより短く、
又は、前記電極分割ストリップの材料は、ネガ型フォトレジストを含み、前記電極分割ストリップの、前記電極分割ストリップの延在方向に垂直な断面は逆台形であり、前記逆台形の前記アレイ基板から離れた辺の長さは、前記逆台形の前記アレイ基板に近接する辺の長さより長い、請求項1に記載のタッチ表示パネル。
【請求項4】
前記複数の電極分割ストリップの延在方向は、前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域の列方向に平行であり、隣り合う2つの前記電極分割ストリップの間に1列又は複数列のサブ画素領域が設けられ、
又は、前記複数の電極分割ストリップの延在方向は、前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域の行方向に平行であり、隣り合う2つの前記電極分割ストリップの間に1行又は複数行のサブ画素領域が設けられる、請求項1~3のいずれかに記載のタッチ表示パネル。
【請求項5】
前記複数の第1電極ストリップのうちの少なくとも1つの第1電極ストリップは、対応するサブ画素領域内の前記発光層の前記アレイ基板から離れた表面に位置する、請求項4に記載のタッチ表示パネル。
【請求項6】
前記電極分割ストリップの前記アレイ基板に垂直な方向における厚さは1μm~2μmであり、
前記分割電極層の前記アレイ基板に垂直な方向における厚さは10nm~20nmである、請求項1~3のいずれかに記載のタッチ表示パネル。
【請求項7】
前記分割電極層の前記アレイ基板から離れた側に設けられる薄膜封止層と、
前記薄膜封止層の前記アレイ基板から離れた側に設けられるタッチ電極層とをさらに含み、
前記タッチ電極層は、前記複数の第1電極ストリップ又は前記複数の第2電極ストリップと交差配置する複数の第3電極ストリップを含み、前記複数の第3電極ストリップはそれぞれ、第2タッチ信号端子に接続され、且つ前記複数の第3電極ストリップにおける各隣り合う2つの第3電極ストリップの間が互いに絶縁されている、請求項1~3のいずれかに記載のタッチ表示パネル。
【請求項8】
前記複数の第3電極ストリップと前記複数の第1電極ストリップ又は前記複数の第2電極ストリップとは、互いに垂直である、請求項7に記載のタッチ表示パネル。
【請求項9】
アレイ基板を製造するステップと、
前記アレイ基板の一側に画素定義層を形成し、前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域内に発光層を形成するステップと、
前記画素定義層の前記アレイ基板から離れた側に、タッチ領域を複数のストリップ形状領域に分割する複数の電極分割ストリップを形成するステップと、
前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側及び前記複数のストリップ形状領域内に電極材料を堆積し、分割電極層を形成するステップとを備え、
前記電極材料を堆積する過程において、前記分割電極層は、前記複数の電極分割ストリップによって分割され、前記複数のストリップ形状領域に位置する複数の第1電極ストリップと、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に位置する複数の第2電極ストリップとを形成し、且つ前記複数の第1電極ストリップと前記複数の第2電極ストリップとの間は、互いに絶縁され、
前記複数の第1電極ストリップのうちの少なくとも1つの前記第1電極ストリップは、第1レベル信号端子に接続され、且つ各隣り合う2つの前記第1電極ストリップの間は、互いに短絡されており;前記複数の第2電極ストリップのうちの各前記第2電極ストリップは、それぞれ第1タッチ信号端子に接続され、且つ前記複数の第2電極ストリップにおける各隣り合う2つの第2電極ストリップの間が互いに絶縁され、
タッチ表示パネルは、少なくともタッチ領域の両端の辺縁領域に設けられる第1レベル信号線をさらに含み、前記第1レベル信号線と前記複数の第1電極ストリップとは互いに垂直であり、且つ前記複数の第1電極ストリップの両端はそれぞれ、対応する側の第1レベル信号線に電気的に接続されている;
前記第1レベル信号端子は、前記第1レベル信号線を含み、
前記電極分割ストリップは、前記第1電極ストリップと前記第2電極ストリップとの間を電気的に絶縁する絶縁材料で形成され、
前記複数の第1電極ストリップは、前記発光層の前記アレイ基板から離れた表面に形成され、前記複数の第2電極ストリップは、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に形成されている、
タッチ表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記分割電極層の前記アレイ基板から離れた側に薄膜封止層を形成するステップと、
前記薄膜封止層の前記アレイ基板から離れた側にタッチ電極層を形成し、前記タッチ電極層は、前記複数の第1電極ストリップ又は前記複数の第2電極ストリップと交差して配置される複数の第3電極ストリップを含み、且つ前記複数の第3電極ストリップにおける各隣り合う2つの第3電極ストリップの間が互いに絶縁されているステップとをさらに備える、請求項9に記載のタッチ表示パネルの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載のタッチ表示パネルに適用され、
1フレームの時間内に、前記複数の第1電極ストリップに第1レベル信号を印加し、さらに前記複数の第2電極ストリップにそれぞれ第1タッチ信号を伝送させるステップを含む、タッチ表示パネルの駆動方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれかに記載のタッチ表示パネルを備える表示装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献1(原査定の引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【0015】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の実施形態の表示装置100の構造に関し、図1乃至図7を用いて説明する。
【0016】
本実施形態に係る表示装置100を模式的に示した上面図を図1に示す。表示装置100は行方向と列方向に配置される複数の画素104を備えた表示領域106、駆動回路108を基板102の一方の面(上面)に有している。表示領域106、駆動回路108は基板102と対向基板112との間に設けられる。表示領域106や駆動回路108からは種々の配線(図示せず)が基板102の側面に向かって伸びており、配線は基板102の端部で露出され、露出部は端子110を形成する。端子110はフレキシブルプリント回路(FPC)などのコネクタ(図示せず)と接続される。外部回路から供給された映像信号が駆動回路108を介して画素104に与えられ、画素104の表示素子が制御され、映像が表示領域106上に表示される。図1では、駆動回路108は表示領域106を挟むように二つ設けられているが、駆動回路108は一つでもよい。また、駆動回路108は、必ずしも基板102上に形成する必要は無く、異なる基板上に設けられた駆動回路を基板102上、またはコネクタ上に形成してもよい。
【0017】
複数の画素104には互いに異なる色を与える発光素子や液晶素子などの表示素子を設けることができ、これにより、フルカラー表示を行うことができる。例えば赤色、緑色、あるいは青色を与える表示素子を三つの画素104にそれぞれ設けることができる。あるいは、全ての画素104で白色を与える表示素子を用い、カラーフィルタを用いて画素104ごとに赤色、緑色、あるいは青色を取り出してフルカラー表示を行ってもよい。画素104の配列にも制限はなく、ストライプ配列、デルタ配列、ペンタイル配列などを採用することができる。
【0018】
後述するように、各画素104には画素電極、画素電極上のEL層が設けられる。EL層上には、図1に示すように、ストライプ状に配置された対向電極120が設けられ、画素電極、EL層によって発光素子が形成される。
【0019】
表示装置100はさらに、ストライプ状に配置された複数の第1の導電膜122を備えていてもよい。この場合、対向電極120と第1の導電膜122は交互に配置される。例えば図1に示すように、一つの第1の導電膜122は隣接する二つの対向電極120によって挟まれる。同様に、一つの対向電極120は、両端の対向電極120を除き、隣接する二つの第1の導電膜122によって挟まれる。これらの対向電極120と第1の導電膜122は、表示領域106の一つの辺に対して平行な方向に伸びるように配置することができる。例えば図1では、対向電極120と第1の導電膜122は、表示領域106の長辺方向に平行な方向に伸びている。あるいは図2に示すように、対向電極120と第1の導電膜122を、表示領域106の短辺方向に平行な方向に伸びるよう、配置してもよい。
【0020】
複数の画素104は、それぞれ対向電極120のいずれかに覆われる。換言すると、一つの対向電極120は、複数の画素104のうちの複数を覆うように設置することができる。例えば対向電極120が表示領域106の長辺に平行な第1の方向に伸びる場合(図1)、第1の方向に並ぶ複数の画素104だけでなく、第1の方向に垂直な方向に並ぶ複数の画素104を覆うように設置することができる。図1では、左から二番目の対向電極120は、第1の方向に沿って三列に並ぶ複数の画素104を覆っている。これに対して第1の導電膜122は、複数の画素104のいずれとも重ならないように設置することができる。なお図1に示すように、両端の対向電極120は、駆動回路108の一部、あるいは全てと重なるように配置してもよく、図2に示すように、全ての複数の対向電極120が駆動回路108の一部、あるいは全てと重なるように配置してもよい。
【0021】
隣合う二つの対向電極120は、一つの第1の導電膜122を介して分離されており、したがって、複数の対向電極120を、互いに電気的に独立するように構成することができる。この場合、各対向電極120には同時に同一の電位を印加することもでき、異なる電位を印加することもできる。
【0022】
同様に、隣合う二つの第1の導電膜122は、一つの対向電極120を介して分離されており、したがって、第1の導電膜122を、互いに電気的に独立するように構成することができる。この場合、第1の導電膜122はそれぞれ電気的に浮遊していてもよく、あるいは各第1の導電膜122に同時に異なる電位を印加できるように構成してもよい。
【0023】
なお、対向電極120と第1の導電膜122は物理的に分離されて電気的に独立していてもよい。
【0024】
図3(A)に、図1で示した表示装置100の拡大図を、図3(B)に図3(A)で示した構造の斜視図を示す。図3(A)では、対向電極120と第1の導電膜122の一部が、図3(B)では対向電極120と第1の導電膜122の全てが省略されている。また、図4に、図3(A)の破線A-A’に沿った断面図を示す。
【0025】
図1、2は、明瞭化のため、隣接する対向電極120と第1の導電膜122の間に、それぞれ表示領域106の短辺、あるいは長辺方向にスペースを有するように描かれているが、図3(A)、および図4に示すように、対向電極120と第1の導電膜122の側面はそれぞれ、同一平面内に存在するように表示装置100を形成してもよい。この場合、基板102の法線方向から当該基板をみた平面視の状態で、隣合う対向電極120と第1の導電膜122の間にスペースが存在しない。あるいは、平面視で互いに重なるように、対向電極120と第1の導電膜122を設けてもよい。換言すると隣接する対向電極120と第1の導電膜122の側面は同一平面内、あるいは実質的に同一平面内に存在する。
【0026】
図3(A)、(B)に示すように、対向電極120、第1の導電膜122の下には隔壁126が設けられる。画素104に対応する位置に画素電極124が設けられ、画素電極124は隔壁126に設けられる開口部128において隔壁126から露出する。また、第1の導電膜122の下には、構造体130が設けられる。構造体130は隔壁126と接しており、隔壁126と第1の導電膜122の間に設けられる。構造体130は、表示領域106の短辺方向、あるいは長辺方向に平行な方向に伸びるように設置される。構造体130は隔壁126が設けられる領域にとどまるように設けられる。換言すると、構造体130は隔壁126の開口部128とは重ならない位置に設けられる。したがって、第1の導電膜122の各々は、複数の対向電極120のいずれよりも幅が小さい。後述するように構造体130は絶縁物を含むことができ、絶縁物は有機絶縁物でも無機絶縁物でもよい。
【0027】
図1乃至図4で示すように、隣り合う対向電極120の間には絶縁物を含む構造物130が存在するため、これらは互いに電気的に切断される。また、隣り合う対向電極120は、その間に位置する第1の導電膜122とは同一平面上に存在せず、異なる高さに位置し、空間的に離れている。したがって、隣り合う対向電極120と第1の導電膜122も互いに電気的に切断される。
【0028】
図4の断面模式図で示すように、画素104にはトランジスタ140と、これに接続される発光素子160が設けられる。図4は、一つの画素104に一つのトランジスタ140が設けられる例を示しているが、一つの画素104には複数のトランジスタが設けられてもよく、また、容量素子などの他の半導体素子が設けられていてもよい。
【0029】
トランジスタ140は、基板102上に設けられるアンダーコート142の上に半導体膜144、ゲート絶縁膜146、ゲート電極148、ソース/ドレイン電極150などを有することができる。ゲート電極148上にはさらに層間膜152を設けることができる。トランジスタ140の構造に制約はなく、トップゲート型、ボトムゲート型、いずれのトランジスタを用いてもよい。また、半導体膜144とソース/ドレイン電極150の上下関係も任意に選択でき、ボトムコンタクト型、トップコンタクト型、いずれを採用してもよい。
【0030】
トランジスタ140上には、トランジスタ140やその他の半導体素子に起因する凹凸や傾斜を吸収して平坦な表面を与える平坦化膜154が設けられる。平坦化膜154内に形成される開口部を介して、発光素子160の画素電極124がソース/ドレイン電極150の一方と電気的に接続される。
【0031】
隔壁126は、画素電極124の端部を覆うと同時に、画素電極124とソース/ドレイン電極150の一方との接続で用いられる開口部を埋める。さらに隔壁126の上には、隔壁126に接する構造体130が設けられる。図3(A)、(B)で示すように、構造体130は隣接する画素104に挟まれる隔壁126全てに設置する必要は無く、数個から数十個の画素104列毎に設置すればよい。例えば、隣合う構造体130の間隔は1mmから5mm、あるいは2mmから4mmの範囲から選択することができる。
【0032】
隔壁126の開口部128、および隔壁126上にEL層162が設けられ、その上に対向電極120が設けられる。なお本明細書、および特許請求の範囲では、EL層とは、画素電極124と対向電極120に挟まれる層を意味する。図4では、EL層162は三つの層164、166、168を含むように示されているが、後述するように、EL層162中の層の数に制限はない。
【0033】
EL層162に含まれる全ての層、あるいは一部は構造体130上にも設けられ、さらにその上に第1の導電膜122が設けられる。後述するように、対向電極120と第1の導電膜122は同時に形成される。したがって、これらは同一の層内に存在し、同一の構成、組成を持つことができる。対向電極120と第1の導電膜122は同時に形成することで、構造体130が作り出す段差に起因し、対向電極120と第1の導電膜122は物理的に切断される。このため、上述したように、複数の対向電極120は互いに電気的に独立さていれる。
【0034】
構造体130の断面形状は、図4に示すような長方形でもよく、正方形でもよい。あるいは図5(A)、(B)に示すように、台形の断面を有してもよい。この場合、構造体130の底面と側面がなす角(テーパー角)θは、図5(A)に示すように90°よりも大きくてもよく、図5(B)に示すように90°より小さくてもよい。θが90°より大きい場合、対向電極120と第1の導電膜122は互いに重なってもよい。一方θが90°、あるいはそれよりも小さい場合、対向電極120の一部は構造体130の側面と接してもよい(図5(B))。
【0035】
表示装置100はさらに、任意の構成として、対向電極120と第1の導電膜122上に絶縁膜を介して第2の電極を有することができる。具体的な構造を図6、7に示す。図7は図6に示す鎖線B-B’に沿った断面模式図である。図6では、対向基板112は図示していない。図6、7に示すように、表示装置100は、対向電極120と第1の導電膜122上に絶縁膜170、および絶縁膜170上に位置し、対向電極120と第1の導電膜122が伸びる方向とは垂直な方向にストライプ状に伸びる複数の第2の電極180を有することができる。さらに任意の構成として、対向基板112を第2の電極180上に設けてもよい(図7)。
【0036】
なお、図7では、絶縁膜170は第1の層172、第2の層174、第3の層176を有するように描かれており、この場合、第1の層172は対向電極120、および第1の導電膜122上に形成される。しかしながら絶縁膜170の構造に制約はなく、単一の層から形成される絶縁膜170を用いてもよい。
【0037】
絶縁膜170は、発光素子160を保護する機能を有すると同時に、対向電極120と第2の電極180とともに容量を形成することができる。すなわち、ストライプ状に形成される複数の対向電極120、絶縁膜170、および対向電極120と交差する方向にストライプ状に形成される第2の電極180の積層構造184によって容量が形成され、この積層構造184はタッチパネルとして機能することができる。したがって、第2の電極180に対して直接、あるいは対向基板112を介して第2の電極180に対して指や掌が接すると(以下、この動作をタッチと記す)、積層構造184によって形成される容量が変化し、この容量変化を感知することによりタッチの有無を感知し、タッチの場所を特定することが可能となる。つまり、対向電極120は発光素子160の一方の電極として機能するとともに、タッチパネルの一方の電極としても機能する。換言すると、対向電極120は発光素子160とタッチパネルに共有される。
【0038】
なお、タッチパネルの一方の電極として、対向電極120に替わって複数の第1の導電膜122を用いてもよい。
【0039】
上述したように、本実施形態で示す表示装置100では、隣り合う二つの対向電極120とその間に設けられる第1の導電膜122は互いに空間的に離れており、電気的に切断される。すなわち、表示装置100は、互いに電気的に独立した複数の対向電極120を発光素子160の上部電極として有することができる。さらに複数の対向電極120上に、これらと直交するストライプ状の電極(第2の電極180)を含むことができる。つまり、表示装置100は所謂インセル型タッチパネルとして機能することが可能である。したがって、表示装置とタッチパネルを別途形成して貼り合わせる必要がなく、一つの基板(ここでは基板102)上に表示装置とタッチパネルを形成することができる。このため、本実施形態は、より簡潔な工程で低コストで製造可能なタッチパネル搭載表示装置を提供することができる。」
イ 「【図1】
[図:0001415001000001.jpg]
」
ウ 「【図4】
[図:0001415001000002.jpg]
」
エ 上記イから、第1の導電膜122は表示領域106を複数の矩形領域に分割し、対向電極120が当該複数の矩形領域に位置することが見て取れる。
オ 上記ウから、隔壁126は基板102の一側に設けられ、構造体130は隔壁126の基板102から離れた側に設けられ、対向電極120はEL層162の基板102から離れた表面に形成されていることが見て取れる。
(2)引用発明
上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「表示装置100であって、
表示装置100は複数の画素104を備えた表示領域106を基板102の一方の面(上面)に有し、
各画素104にEL層が設けられ、EL層上には、対向電極120が設けられ、EL層によって発光素子が形成され、
表示装置100はさらに、複数の第1の導電膜122を備え、
各対向電極120には同時に同一の電位を印加することができ、
第1の導電膜122を、互いに電気的に独立するように構成することができ、
対向電極120と第1の導電膜122は物理的に分離されて電気的に独立していてもよく、
画素104に対応する位置に画素電極124が設けられ、画素電極124は隔壁126に設けられる開口部128において隔壁126から露出し、構造体130は、表示領域106の短辺方向、あるいは長辺方向に平行な方向に伸びるように設置され、構造体130は隔壁126の開口部128とは重ならない位置に設けられ、構造体130は絶縁物を含むことができ、
隔壁126の開口部128にEL層162が設けられ、その上に対向電極120が設けられ、EL層とは、画素電極124と対向電極120に挟まれる層を意味し、
EL層162は構造体130上にも設けられ、さらにその上に第1の導電膜122が設けられ、対向電極120と第1の導電膜122は同時に形成され、構造体130が作り出す段差に起因し、対向電極120と第1の導電膜122は物理的に切断され、
タッチパネルの一方の電極として、複数の第1の導電膜122を用いてもよく、
基板102上に表示装置とタッチパネルを形成することができ、
第1の導電膜122は表示領域106を複数の矩形領域に分割し、対向電極120が当該複数の矩形領域に位置し、
隔壁126は基板102の一側に設けられ、構造体130は隔壁126の基板102から離れた側に設けられ、対向電極120はEL層162の基板102から離れた表面に形成されている
表示装置100。」
2 引用文献2-5,D-E
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献2(原査定の引用文献B)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0078】
<第2の実施の形態>
[有機EL表示装置2の構成例]
図17は、有機EL表示装置2の断面構造を表すものである。有機EL表示装置2は、表示画素としてトップエミッション方式の有機EL素子を複数備えると共に、静電容量型のタッチセンサ機能を有するものである。この有機EL表示装置2は、基板41上に、画素部20R,20G,20Bとセンサ部20Sとを有するものである。画素部20R,20G,20Bは、R(赤),G(緑),B(青)の有機EL素子を含むものである。センサ部20Sは、それらの画素部20R,20G,20B同士の間の選択的な領域に設けられている。即ち、有機EL表示装置2では、表示領域面内において、画素部20R,20G,20Bとセンサ部20Sとが混在して配置されている。尚、本実施の形態における基板41が本発明の第2の表示装置における「第1基板」、封止用基板50がその「第2基板」の一具体例となっている。また、後述の画素電極44および表示用コモン電極46Aが、本発明の第2の表示装置における「第1電極」,「第2電極」の一具体例である。
以下、各部の断面構造例等について説明する。画素部20R,20G,20Bの回路構成および周辺回路(走査線・電源線駆動回路31,信号線駆動回路32,センサ用駆動回路19D,検出回路8)については、上記第1の実施の形態と同様となっている。」
イ 「【0088】
(電極レイアウト例)
図18は、検出電極51、表示用コモン電極46Aおよびセンサ用駆動電極46Bのレイアウトの一例(基板面に沿った面における配置構成例)を、検出電極51の側から模式的に示したものである。このように、表示用コモン電極46Aが、櫛歯状電極となっており、画素部20R,20G,20Bが配置された行または列に重畳するように設けられている。センサ用駆動電極46Bは、そのような表示用コモン電極46Aの櫛歯形状の間隙において一方向に延在するように、ストライプ状にパターニングされている。これらの表示用コモン電極46Aおよびセンサ用駆動電極46Bは、例えば、有機層45上の全面にわたって上述した導電膜材料を成膜した後、フォトリソグラフィ法により上記レイアウトパターンを一括形成すれば、同工程にて形成可能である。
【0089】
センサ用駆動電極46Bは、上記第1の実施の形態におけるセンサ用駆動電極19Bと同様、センサ用駆動回路19Dに接続されると共に、例えば並列して複数(n個)設けられている(46B(1)~46B(n))。また、前述のように、これらのセンサ用駆動電極46B(1)~46B(n)は、m本のセンサ用駆動電極46B同士が電気的に接続されていてもよいし、n本全てのセンサ用駆動電極46Bがそれぞれ電気的に分離して設けられていてもよい。ここでは一例として、3本のセンサ用駆動電極46Bを連結してなる櫛歯状の電極を単位駆動ラインとして複数並列させた構成を示している。」
ウ 「【0098】
以上のように本実施の形態では、トップエミッション方式の有機EL表示装置2において、基板41上に、複数の画素電極44と、発光層を含む有機層45と、表示用コモン電極46Aと、封止用基板50と、前面板52とをこの順に備えると共に、透明基板11と前面板52との間に、前面板52側から順に検出電極51と、この検出電極51との間に容量素子C1を形成するセンサ用駆動電極46Bとを備える。即ち、本実施の形態では、画像表示を行う画素部20R,20G,20Bと、物体検出を行うセンサ部20Sとが混在して設けられている。これにより、画素部20R,20G,20Bが表示駆動されると有機層45から発せられた光は前面板52側から取り出される(前面板52側に画像が表示される)。その一方で、センサ部20Sが駆動されると、表示画面となる前面板52に接触または近接する物体の有無が検出される(前面板52側において物体検出がなされる)。このように、封止用基板50側にタッチパネルモジュールを外付けすることなく、物体検出を行うことができる。よって、装置全体の厚みを増大させることなくタッチセンサ機能を付加された有機EL表示装置の実現が可能となる。
【0099】
また、画素部20R,20G,20Bにおける表示用コモン電極46Aと同一の層に、センサ用駆動電極46Bを設けることにより、これらを同一工程におけるパターニングにより容易に形成することができる。また、表示用コモン電極46Aとセンサ用の駆動電極を別々の層に設けた場合よりもより薄型化に有利となる。」
エ 「【図17】
[図:0001415001000003.jpg]
」
オ 「【図18】
[図:0001415001000004.jpg]
」
(2)引用文献3の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0008】
実施例1に係る表示装置は、表示パネルの内部にタッチパネルを内蔵したインセル方式の表示装置である。実施例1に係る表示装置の構造について、図1および図2を用いて説明する。
図1Aは実施例1に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。図1Bは実施例1に係る表示装置の断面図である。図2は実施例1に係る表示装置の概略構成を示す平面図である。
図1Aおよび図1Bに示すように、表示装置100は、表示パネル1と、ドライバIC5と、フレキシブル配線基板70と、フロントウィンドウ(又は保護フィルム)40と、フレキシブル配線基板75と、バックライトBKLと、を有する。表示パネル1は、TFT基板(アレイ基板)2と、CF基板(対向基板)3と、偏光板POL1、POL2と、を有する。CF基板3上の裏面側透明導電膜(CD)を、帯状(ストライプ状)のパターンに分割して、タッチパネルの検出電極31となし、TFT基板2の内部に形成される共通電極(対向電極)21を帯状のパターンに分割、即ち、複数のブロックに分割して、タッチパネルの走査電極として兼用することにより、通常のタッチパネルで使用されるタッチパネル基板を削減している。また、表示装置100では、タッチパネル駆動用および検出用の回路が、ドライバIC5の内部に設けられる。ドライバIC5は、1つの半導体基板上にCMOSプロセスで形成され、半導体チップの形態でTFT基板2上にCOG実装される。
【0009】
図2に示すように、共通電極(COMMON)21はTFT基板2上に設けられているが、例えば20本の共通電極21が両端で共通に接続され、共通電極信号線22と接続されている。表示装置100では、帯状の共通電極21が走査電極Txを兼用し、また、検出電極31の一部が仮走査電極Tx’を兼用する。1つの共通電極21は、例えば64ライン分の画素に共通して用いられる。したがって、共通電極信号には、画像表示に用いられるコモン電圧と、タッチ位置の検出に用いられる走査パルス電圧とが含まれる。走査パルス電圧が共通電極21に印加されると、共通電極21と一定の間隔を持って配置され容量を構成する検出電極31に検出信号が生じる。この検出信号は、図1Aに示すように、接続部77、フレキシブル配線基板75、コネクタ80、フレキシブル配線基板70を介してドライバIC5に取り出される。また、TFT基板2には共通電極信号線22以外にもゲートスキャン回路6や走査信号線7、映像信号線8、フレキシブル配線基板70との接続端子であるドライバIC5用入力端子9のような様々な回路や配線、端子等が形成される。なお、図1Aでは、図が複雑になるのを避けるために、共通電極21は9本、検出電極31は8本のみ示されており、また、図2に示されるゲートスキャン回路6等が省略されている。図2では、図が複雑になるのを避けるために、RGBの映像信号を選択するセレクタ回路が省略されている。」
イ 「
[図:0001415001000005.jpg]
」
ウ 「
[図:0001415001000006.jpg]
」
エ 「
[図:0001415001000007.jpg]
」
(3)引用文献4の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0003] Current mutual capacitive touch-control liquid crystal display panels often divide a common electrode into a plurality of mutually-insulated stripe-shaped sub-common electrodes. A time-sharing multiplexing method is applied, and sub-common electrodes are treated as common electrodes during a display period and multiplexed as touch-control electrodes during a touch-control period. FIG. 1 illustrates an array substrate in an existing touch-control display panel.
[0004] As shown in FIG. 1, an array substrate 10 includes a plurality of stripe-shaped sub-common electrodes 12. An extension direction of the sub-common electrodes 12 is often parallel to an extension direction of data lines. A plurality of sub-common electrodes 12 may be configured along an extension direction of scanning lines. During the display period, an integrated circuit 13 disposed on the array substrate 10 supplies a common voltage signal to each sub-common electrode 12. To balance the common voltage signal on each sub-common electrode 12, connected common voltage signal line 11 is often disposed surrounding the display area. The common voltage signal line 11 configured on two ends of each stripe-shaped sub-common electrode 12 transits a common voltage signal from the two ends of the sub-common electrodes 12 to the sub-common electrodes 12, respectively.
[0005] Shift registers are often disposed on the array substrate 10, and an extension direction of the shift registers is parallel to the extension direction of data lines. The shift registers supply a scanning signal to the scanning lines disposed on the array substrate 10. Between the shift registers and the portion of common voltage signal line 11 that is parallel to the shift registers, coupling capacitances may form and consume touch-control induced charges, thus lowering touch-control sensitivity. Further, the portion of the common voltage signal line 11 that is parallel to the shift registers may not be beneficial for the narrowing of the display panel frame.」
(当審仮訳:
[0003]現在の相互容量性タッチ制御液晶ディスプレイパネルは、共通電極を複数の相互に絶縁されたストライプ状のサブ共通電極に分割することが多い。時分割多重方式が適用され、サブ共通電極は表示期間中は共通電極として扱われ、タッチ制御期間中はタッチ制御電極として多重化される。図1は、既存のタッチ制御ディスプレイパネルにおけるアレイ基板を示す図である。
[0004]図1に示すように、アレイ基板10は、複数のストライプ状のサブ共通電極12を含む。サブ共通電極12の延在方向は、データ線の延在方向と平行であることが多い。複数のサブ共通電極12は、走査線の延在方向に沿って構成されてもよい。表示期間中、アレイ基板10上に配置された集積回路13は、各サブ共通電極12に共通電圧信号を供給する。各サブ共通電極12の共通電圧信号のバランスをとるために、接続された共通電圧信号線11が表示領域を取り囲むように配置されることが多い。ストライプ状の各サブ共通電極12の両端に構成された共通電圧信号線11は、サブ共通電極12の両端からサブ共通電極12にそれぞれ共通電圧信号を伝達する。
[0005]シフトレジスタは、多くの場合、アレイ基板10上に配置され、シフトレジスタの延在方向は、データ線の延在方向と平行である。シフトレジスタは、アレイ基板10上に配置された走査線に走査信号を供給する。シフトレジスタと、シフトレジスタに平行な共通電圧信号線11の部分との間には、カップリング容量が形成され、タッチ制御誘導電荷を消費する可能性があり、タッチ制御感度を低下させる。さらに、シフトレジスタに平行な共通電圧信号線11の部分は、ディスプレイパネルのフレームの狭小化にとって有益でない場合がある。)
イ 「
[図:0001415001000008.jpg]
」
(4)引用文献5の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献5(原査定の引用文献C)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0043] Referring to FIG. 1, a touch sensor integrated type display device according to an exemplary embodiment of the disclosure may include an active area AA, in which a plurality of touch and drive electrodes Tx11 to Tx54 are disposed, and a bezel area BA, which is positioned outside the active area AA and has a display drive and touch sensing integrated circuit (IC) 15. FIG. 1 shows that the touch and drive electrodes Tx11 to Tx54 are disposed in the form of 5×4, as an example. Other disposition configurations may be used for the touch and drive electrodes.」
(当審仮訳:
[0043]図1を参照すると、本開示の例示的な実施形態によるタッチセンサ一体型ディスプレイ装置は、複数のタッチおよび駆動電極Tx11~Tx54が配置されたアクティブエリアAAと、アクティブエリアAAの外側に配置され、ディスプレイ駆動およびタッチ感知集積回路(IC)15を有するベゼルエリアBAとを含むことができる。図1では、一例としてタッチ電極及び駆動電極Tx11~Tx54が5×4の形態で配置されている。タッチ電極及び駆動電極は、他の配置構成を用いてもよい。)
イ 「[0082] Referring to FIG. 4F, the embodiment of the disclosure applies a photosensitive material to the substrate SUB, on which the bank pattern BANK is formed, and patterns it to form a barrier SPT. A photoresist may be used as the photosensitive material. The photoresist indicates photosensitive polymer used in a photolithography process, and solution characteristic of the photoresist varies by decomposition or crosslink attributable to light energy. When a mask capable of selectively transmitting light is placed on the photoresist and is exposed, only a predetermined portion of the photoresist, on which the light is incident, is chemically changed. Subsequently, when the photoresist is developed, only an exposed portion or only an unexposed portion of the photoresist is melted. Hence, a pattern of the mask is implemented as the photoresist. The embodiment of the disclosure uses a negative photoresist, in which only a portion receiving light remains and a portion not receiving light is removed, as the photosensitive material, so that a cross section of the barrier SPT has an inverted taper shape.」
(当審仮訳:
[0082]図4Fを参照すると、本開示の実施形態は、バンクパターンBANKが形成された基板SUBに感光材料を塗布し、バリアSPTを形成するようにパターニングする。感光材料としてフォトレジストを用いてもよい。フォトレジストとは、フォトリソグラフィ工程で使用される感光性ポリマーを示し、光エネルギーに起因する分解や架橋により溶液特性が変化する。フォトレジスト上に光を選択的に透過するマスクを置いて露光すると、光が入射したフォトレジストの所定部分のみが化学変化する。その後、フォトレジストを現像すると、フォトレジストの露光部分のみ、あるいは未露光部分のみが溶融する。したがって、マスクのパターンがフォトレジストとして実装される。本開示の実施形態では、バリアSPTの断面が逆テーパ形状となるように、受光する部分のみが残り、受光しない部分が除去されたネガティブフォトレジストを感光材料として用いる。)
ウ 「
[図:0001415001000009.jpg]
」
(5)引用文献Dの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Dには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0061】図3、図4および図5は本発明の一実施例における有機EL素子の製造方法を示す工程断面図である。
【0062】図3(a)において、基板1として300mm×300mmのガラス基板を用いる。基板1上に、スパッタ法により膜厚0.2μmのITOからなる透明導電膜を形成する。その後、透明導電膜上にレジストを塗布し、プリベーク(露光前ベーク)を行った後、レジストに所定のパターンを露光し、現像を行う。現像後、ポストベーク(現像後ベーク)を行い、基板1を塩化第2鉄溶液に浸漬してエッチングを行う。エッチング終了後、レジストを剥離する。このようにして、基板1上に透明導電膜からなるホール注入電極2が形成される。
【0063】次に、基板1を洗浄した後、ホール注入電極2が形成された基板1上にレジストを塗布し、プリベークを行った後、レジストに所定のパターンを露光し、現像を行う。現像後、ポストベークを行い、さらに5Torrの真空中において200℃で2時間ベーキングを行い、レジストの硬化変質を行う。このようにして、図3(b)に示すように、ホール注入電極2上にレジストからなる絶縁層3が形成される。
【0064】本実施例では、レジストの硬化変質のために真空中における200℃のベーキングを行っているが、これに限定されず、紫外線照射を行いながら窒素雰囲気中でベーキングする方法や紫外線照射を行いながら真空雰囲気中でベーキングする方法(いずれもUV(紫外線)キュアと呼ばれる)を用いてもよい。さらに、窒素雰囲気中において180℃以上の温度でベーキングを行ってもよい。
【0065】次に、絶縁層3およびホール注入電極2の表面にレジストを塗布し、プリベークを行った後、レジストに所定のパターンを露光し、現像を行う。それにより、図3(c)に示すように、絶縁層3上にレジストからなる隔壁分離層4が形成される。
【0066】この場合、後の工程で形成されるホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入電極および保護膜に段切れを生じさせるために、逆テーパ型のレジストを用い、さらにレジストの膜厚をホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入電極および保護膜の合計の膜厚に比べて大きくする。それにより、高い段差が形成される。本実施例では、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入電極および保護膜の合計の膜厚を約0.6μmとし、隔壁分離層4の膜厚を4μmとする。
【0067】次に、隔壁分離層4が形成された基板1を図1および図2の製造装置の搬送ワイヤ18に取り付け、蒸着源16の蒸着材料15としてホール注入材料を加熱ホルダ14に設置する。ホール注入材料としては、CuPc(銅フタロシアニン:Copper(II)phthalocyanine)を用いる。チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送しつつ蒸着源16からホール注入材料を基板1上に蒸着し、図3(d)に示すように、ホール注入電極2、絶縁層3および隔壁分離層4上にホール注入層5を形成する。
【0068】次いで、蒸着源16の蒸着材料15をホール輸送材料に交換する。ホール輸送材料としては、NPB(N,N'-Di(naphthalene-1-yl)-N,N'-Di(phenyl-benzidine) )を用いる。チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送させつつ蒸着源16からホール輸送材料を基板1上に蒸着し、図3(d)に示すように、ホール注入層5上にホール輸送層6を形成する。
【0069】その後、基板1を製造装置から取り出し、図4(e)に示すように、第1のメタルマスク20aを基板1に位置決めして設置する。第1のメタルマスク20aは、赤色の発光素子の領域に対応する位置に開口部を有する。第1のメタルマスク20aが設置された基板1を製造装置の搬送ワイヤ18に取り付ける。
【0070】また、蒸着源16の蒸着材料15を赤色発光材料が添加された電子輸送材料に交換する。本例では、Alq3 (Tris(8-quinolinolato)aluminum) をホスト(電子輸送材料)とし、赤色発光レーザ色素であるAD688を5wt%ドーピングしたものを用いる。
【0071】チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送しつつ蒸着源16から電子輸送材料を第1のメタルマスク20aを介して基板1上に蒸着し、ホール輸送層6上に赤色を発光する電子輸送層7aを形成する。
【0072】続いて、基板1を製造装置から取り出し、図4(f)に示すように、第1のメタルマスク20aに代えて第2のメタルマスク20bを基板1に位置決めして設置する。第2のメタルマスク20bは、青色の発光素子の領域に対応する位置に開口部を有する。第2のメタルマスク20bが設置された基板1を製造装置の搬送ワイヤ18に取り付ける。
【0073】また、蒸着源16の蒸着材料15を青色発光材料が添加された電子輸送材料に交換する。本例では、Balq((1,1'-bisphenyl)-(4-olato)bis(2-methyl-8-quinolinolate-N1,O8)Alminum)をホスト(電子輸送材料)とし、青色発光蛍光色素であるペリレンを2.5wt%ドーピングしたものを用いる。
【0074】チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送しつつ蒸着源16から電子輸送材料を第2のメタルマスク20bを介して基板1上に蒸着し、ホール輸送層6上に青色を発光する電子輸送層7bを形成する。
【0075】続いて、基板1を製造装置から取り出し、図4(g)に示すように、第2のメタルマスク20bに代えて第3のメタルマスク20cを基板1に位置決めして設置する。第3のメタルマスク20cは、緑色の発光素子の領域に対応する位置に開口部を有する。第3のメタルマスク20cが設置された基板1を製造装置の搬送ワイヤ18に取り付ける。
【0076】また、蒸着源16の蒸着材料15を緑色発光材料が添加された電子輸送材料に交換する。本例では、緑色発光材料であるAlq3 を電子輸送材料として用いる。
【0077】チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送しつつ蒸着源16から電子輸送材料を第3のメタルマスク20cを介して基板1上に蒸着し、ホール輸送層6上に緑色を発光する電子輸送層7cを形成する。
【0078】その後、基板1から第3のメタルマスク20cを取り外し、蒸着源16の蒸着材料15を電極材料に交換する。電極材料としては、MgInを用いる。チャンバ11内を所定の真空度に排気した後、移動機構17により基板1を搬送方向Xに搬送しつつ蒸着源16から電極材料を基板1上に蒸着し、図5(h)に示すように、電子輸送層7a,7b,7c上に電子注入電極8を形成する。
【0079】さらに、蒸着源16の蒸着材料15を保護膜の材料と交換し、電子注入電極8上に保護膜9を形成する。本例では、保護膜9として、SiOを用いる。このようにして、基板1上に赤色の発光素子、青色の発光素子および緑色の発光素子が形成される。
【0080】最後に、図5(i)に示すように、封止剤10を用いて基板1上の複数の発光素子を封止する。この場合、ホール注入材料、ホール輸送材料、電子輸送材料等の有機発光材料は、水分を含みやすく、水分を含むと、発光強度の劣化が生じやすいため、乾燥窒素雰囲気中で封止を行う。
【0081】以上の工程により、基板1上に赤色、青色および緑色の発光素子が配置されたフルカラーの有機EL素子が製造される。」
イ 「【図3】
[図:0001415001000010.jpg]
」
ウ 「【図4】
[図:0001415001000011.jpg]
」
エ 「【図5】
[図:0001415001000012.jpg]
」
(6)引用文献Eの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Eには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0012] 以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むがこれのみに限定されるものではない。図1は本発明の一実施形態に係る有機EL装置の構成を示した説明図である。本発明の実施形態に係る有機EL装置1は、基板10と、基板10上に積層された、下部電極11と有機層12と上部電極13を少なくとも備える有機EL素子1Uと、基板10上に立設した隔壁16と、隔壁16上に形成されたタッチ電極20とを備える。また、有機EL装置1は、図1(b)に示すように、前述した基板10,有機EL素子1U,隔壁16,タッチ電極20を備えると共に、タッチ電極20の上面(隔壁16の上面16T)に対向した面Saに、タッチ電極20と協働してタッチを検出するタッチ検出電極20Sを備える。なお、ここでタッチを検出するとは、有機EL装置1を操作する者等が有機EL装置1の発光面に対して触れたことを検出することをいう。
[0013] タッチ検出電極20Sの構成例としては、有機EL素子1Uを封止する封止部材に形成された導電層によって構成することができる。また、他の構成例としては、タッチ検出電極20Sを金属からなる封止部材(封止缶)によって構成することができる。
[0014] このような有機EL装置1は、隔壁16の上にタッチ電極20を備えるので、有機EL素子1Uの形成工程の中でタッチ電極20を形成することができ、タッチ電極20の形成工程を簡易化することができる。隔壁16の上面16Tは有機EL素子1Uが形成される平面と立体的に離れた位置にあり、個々の隔壁16の上面16Tは独立して配置されているので、その上にタッチ電極20を形成することで、有機EL素子1Uの電極などに対して電気的に独立したタッチ電極20を簡易に形成することが可能になる。
[0015] また、有機EL素子を封止部材で中空封止する場合には、隔壁16の上は封止空間内の空きスペースになるので、この空きスペースを有効利用することで、有機EL装置1の厚さに影響を与えること無く、タッチ電極20やタッチ検出電極20Sを形成することができる。これよって、タッチセンサ機能を有する有機EL装置1の薄型化が可能になる。特に、中空封止構造の場合には、タッチ電極20とタッチ検出電極20Sが離間して配置される状態を、封止空間を利用して形成できるので、これによっても従来の有機EL装置の構造を利用してタッチ電極20とタッチ検出電極20Sを組み込むことができ、タッチセンサ機能を有する有機EL装置1の薄型化が可能になる。
[0016] 有機EL装置1における隔壁16は、上部電極13を個別に分断するために設けられたものを採用することができる。有機EL装置1がパッシブマトリクス駆動方式の場合には、隔壁16はライン状に延設され且つストライプ状に並列配置される。このような隔壁16上にタッチ電極20を形成することで、ライン状に延設され、且つ独立に分離して並列配置されたタッチ電極20を得ることができる。この場合は、有機EL装置1は隔壁16及びタッチ電極20を複数備えている。
[0017] タッチ電極20は、上部電極13と同工程且つ同材料で形成することができる。上部電極13の成膜時に上部電極13のパターンマスクとなる隔壁16上に堆積される上部電極材料をタッチ電極20として採用することができる。上部電極13は有機EL素子1Uの有機層12上に成膜されることになるので、隔壁16の上には有機層材料12aが堆積され、その上に上部電極材料からなるタッチ電極20が形成される。」
イ 「[図1]
[図:0001415001000013.jpg]
」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「基板102」は、本願発明1の「アレイ基板」に相当する。
イ 引用発明の「開口部128」は、「画素104に対応する位置に」「設けられ」た「画素電極124」を「露出」するものであり、画素104に対応する位置にあるものと認められるから、本願発明1の「サブ画素領域」に相当する。
引用発明の「基板102の一側に設けられ」た「隔壁126」は、「開口部128」を「設け」るものであり、開口部128の範囲を定義するものといえるから、上記アを踏まえると、本願発明1の「前記アレイ基板の一側に設けられ」た「画素定義層」に相当する。
引用発明の「EL層162」は、「発光素子」を「形成」する「EL層」を指すことが明らかであるから、本願発明1の「発光層」に相当する。
したがって、引用発明において「各画素104にEL層が設けられ」ることは、本願発明1において「前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域内に発光層が設けられる」ことに相当する。
ウ 引用発明の「表示領域106」は、「基板102の一方の面(上面)」にあるものであり、「基板102上に表示装置とタッチパネルを形成することができ」ることに鑑みれば、タッチパネルとしても機能するものと認められるから、本願発明1の「タッチ領域」に相当する。
引用発明の「複数の矩形領域」は、「表示領域106」が「分割」されたものであるから、本願発明1の「タッチ領域」が「分割」されたものである「複数のストリップ形状領域」に相当する。
引用発明の「構造体130」は、「その上に第1の導電膜122が設けられ」たものであって、複数の第1の導電膜122に対応して複数設けられていることは明らかであり、「第1の導電膜122」による「表示領域106」の「分割」は構造体130によってなされたものといえるから、本願発明1の「タッチ領域」を「分割」する「複数の電極分割ストリップ」に相当する。
したがって、引用発明の「隔壁126の基板102から離れた側に設けられ」た「構造体130」は、上記ア-イを踏まえると、本願発明1の「前記画素定義層の前記アレイ基板から離れた側に設けられ、タッチ領域を複数のストリップ形状領域に分割する複数の電極分割ストリップ」に相当する。
エ 引用発明における「EL層162は構造体130上にも設けられ、さらにその上に第1の導電膜122が設けられ」ることは、上記ア及びウを踏まえると、本願発明1における「前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側」に電極が「設けられる」ことに相当する。
引用発明における「対向電極120が当該複数の矩形領域に位置」することは、上記ウを踏まえると、本願発明1における電極が「複数のストリップ形状領域内に設けられる」ことに相当する。
したがって、引用発明の「構造体130上に」「設けられ」た「EL層162」の「さらにその上に」「設けられ」た「第1の導電膜122」及び「複数の矩形領域に位置」する「対向電極120」からなる層は、「対向電極120と第1の導電膜122は物理的に切断され」ていることから、本願発明1の「前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側及び前記複数のストリップ形状領域内に設けられる分割電極層」に相当する。
オ 引用発明の「表示装置100」は、「基板102上に表示装置とタッチパネルを形成」してなるものであるから、本願発明1の「タッチ表示パネル」に相当する。
カ 引用発明の「複数の矩形領域に位置」する「対向電極120」は、上記ウを踏まえると、本願発明1の「複数のストリップ形状領域に位置する複数の第1電極ストリップ」に相当する。
キ 引用発明の「構造体130上に」「設けられ」た「EL層162」の「さらにその上に」「設けられ」た「第1の導電膜122」は、上記ア及びウを踏まえると、本願発明1の「前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に位置する複数の第2電極ストリップ」と、複数の電極分割ストリップのアレイ基板から離れた側に位置する点で共通する。
ク 引用発明において「対向電極120と第1の導電膜122は物理的に分離されて電気的に独立してい」ることは、上記カ及びキを踏まえると、本願発明1において「前記複数の第2電極ストリップと前記複数の第1電極ストリップとの間は、互いに絶縁され」ていることに相当する。
ケ 引用発明において「第1の導電膜122を、互いに電気的に独立するように構成する」ことは、上記キを踏まえると、本願発明1において「前記複数の第2電極ストリップにおける各隣り合う2つの第2電極ストリップの間が互いに絶縁され」ていることに相当する。
コ 引用発明において「構造体130は絶縁物を含む」ことは、上記ウ、カ及びキを踏まえると、本願発明1において「前記電極分割ストリップは、前記第1電極ストリップと前記第2電極ストリップとの間を電気的に絶縁する絶縁材料で形成され」ることに相当する。
サ 引用発明において「対向電極120はEL層162の基板102から離れた表面に形成され」ることは、上記ア、イ及びカを踏まえると、本願発明1において「前記複数の第1電極ストリップは、前記発光層の前記アレイ基板から離れた表面に形成され」ることに相当する。
シ 引用発明において「EL層162は構造体130上にも設けられ、さらにその上に第1の導電膜122が設けられ」ることは、上記ア、ウ及びキを踏まえると、本願発明1において「前記複数の第2電極ストリップは、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に形成されている」ことと、前記複数の第2電極ストリップは、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側に形成されている点で共通する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本願発明1と引用発明との間には、次のアのとおりの一致点及びイ-キのとおりの相違点があるといえる。
ア 一致点
「アレイ基板と、
前記アレイ基板の一側に設けられる画素定義層であって、前記画素定義層によって定義されたサブ画素領域内に発光層が設けられる画素定義層と、
前記画素定義層の前記アレイ基板から離れた側に設けられ、タッチ領域を複数のストリップ形状領域に分割する複数の電極分割ストリップと、
前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側及び前記複数のストリップ形状領域内に設けられる分割電極層と、を備えるタッチ表示パネルであって、
前記分割電極層は、
前記複数のストリップ形状領域に位置する複数の第1電極ストリップと、
前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側に位置する複数の第2電極ストリップとを含み、
前記複数の第2電極ストリップと前記複数の第1電極ストリップとの間は、互いに絶縁され、
前記複数の第2電極ストリップにおける各隣り合う2つの第2電極ストリップの間が互いに絶縁され、
前記電極分割ストリップは、前記第1電極ストリップと前記第2電極ストリップとの間を電気的に絶縁する絶縁材料で形成され、
前記複数の第1電極ストリップは、前記発光層の前記アレイ基板から離れた表面に形成され、前記複数の第2電極ストリップは、前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた側に形成されている、
タッチ表示パネル。」
イ 相違点1
本願発明1では、複数の第2電極ストリップが複数の電極分割ストリップの表面に位置するのに対し、引用発明では、第1の導電膜122が構造体130上に設けられたEL層162のさらにその上に設けられている点。
ウ 相違点2
本願発明1では、少なくとも1つの第1電極ストリップは、第1レベル信号端子に接続されているのに対し、引用発明では、対向電極120が信号端子に接続していることが特定されていない点。
エ 相違点3
本願発明1では、各隣り合う2つの第1電極ストリップの間は、互いに短絡されているのに対し、引用発明の各対向電極120は、同時に同一の電位を印加することができるとされるにとどまり、互いに短絡されることは特定されていない点。
オ 相違点4
本願発明1では、各第2電極ストリップは、それぞれ第1タッチ信号端子に接続されているのに対し、引用発明の第1の導電膜122は、タッチパネルの一方の電極として用いてもよいとされるにとどまり、タッチ信号端子に接続していることが特定されていない点。
カ 相違点5
本願発明1では、タッチ表示パネルは、少なくともタッチ領域の両端の辺縁領域に設けられる第1レベル信号線をさらに含み、前記第1レベル信号線と前記複数の第1電極ストリップとは互いに垂直であり、且つ前記複数の第1電極ストリップの両端はそれぞれ、対応する側の第1レベル信号線に電気的に接続されているのに対し、引用発明では、対向電極120が接続する信号線が特定されていない点。
キ 相違点6
本願発明1では、前記第1レベル信号端子は、前記第1レベル信号線を含むのに対し、引用発明では、信号端子及び信号線のいずれも特定されていない点。
(3)相違点についての判断
まず、相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の「前記複数の電極分割ストリップの前記アレイ基板から離れた表面に位置する複数の第2電極ストリップ」という構成(以下「相違点1構成」という。)は、上記引用文献2-5,D-Eに記載されたものでなく、優先日前における周知技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、相違点2-6について判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5,D-Eに記載の発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-8,12について
本願発明2-8,12は、いずれも本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5,D-Eに記載の発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する方法の発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5,D-Eに記載の発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
4 本願発明10について
本願発明10は、本願発明9を減縮したものであり、本願発明9と同一の構成を備えるものであるから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5,D-Eに記載の発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
5 本願発明11について
本願発明11は、本願発明1を引用する駆動方法の発明であり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5,D-Eに記載の発明に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
令和6年7月22日付けの補正により、本願発明1-8,11-12は相違点1構成を備え、本願発明9-10は相違点1構成に対応する構成を備えるものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献A-Eに基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017555