特許拒絶査定不服審判
2024-012962
ユーザに情報を表示するためのシステム
- 審判番号
- 2024-012962
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-514782
- 請求日
- 2024年08月08日
- 審決日
- 2026年03月18日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マックス-プランク-ゲゼルシャフト ツール フォーデルング デル ヴィッセンシャフテン エー.ヴェー.
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 審判長/審判官
- 審判長 小島 寛史
- 審判官 柳 重幸
- 審判官 井海田 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G) / P18 .561-Z (G09G) / P18 .572-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第158条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-514782「ユーザに情報を表示するためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月11日国際公開、WO2021/043430、令和 4年11月11日国内公表、特表2022-547290〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)9月6日を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 5月 2日 :翻訳文の提出
令和5年 3月29日付け:拒絶理由通知書
同年 7月10日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月29日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和6年 1月10日 :意見書の提出
同年 3月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 8日 :原査定の謄本の送達)
同年 8月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年11月19日付け:前置報告書
令和7年 3月 3日 :上申書の提出
以下、令和7年3月3日に提出された上申書を「上申書」という。
第2 令和6年8月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年8月8日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年8月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年7月10日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
情報を表示するためのシステムであって、
光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイスと、
パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイスと、
前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部と、
を備え、
前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され、
前記システムが、周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段をさらに備え、
前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている、システム。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
情報を表示するためのシステムであって、
光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイスと、
パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイスと、
前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部と、
を備え、
前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され、
前記システムが、周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段と、前記周囲光の強度を測定するための手段と、をさらに備え、
前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている、システム。」
2 本件補正の適否(新規事項の追加の有無)
(1) 新規事項の追加の有無についての当審の判断の概要
本件補正後の請求項1の記載は、前記1(2)に示したとおりであるところ、本件補正により、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備える、との発明特定事項が追加された(以下「補正事項」という。)。
しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることは記載も示唆もされていないから、本件補正は、以下(2)において詳細に説示するとおり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
(2) 新規事項の追加の有無についての当審の判断
以下では、当初明細書等に、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることが記載、又は、示唆されているか否かを検討するため、まず当初明細書等のシステムが備える構成についての記載から、当初明細書等にシステムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることが記載、又は、示唆されているか否かを検討し、次いで、当初明細書等の周囲光に関する記載から、当初明細書において、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることが示唆されているか否かを検討する。
ア 当初明細書等に記載された事項
(ア) 当初明細書等には、システムが備える構成や周囲光に関し、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。また、【図2】、【図3】には部材名等を追記し、【図7a)】、【図7b)】には図中の各線が示す事項を追記している。
「【0065】
図2は、本発明の第1の実施形態を概略的に示す。光源12は、LCD配列13を照明するように設けられる。そのような光源12は、コンピュータスクリーンのLEDバックライトであってよい。光源12に接続されるのは駆動部14bであり、これが次いで関数発生器15に接続される。この関数発生器15が第2の駆動部14aに接続され、これが次いでシャッタガラス16に接続される。観察者18は、LCD配列13を通過した光11’を放射した光源12によって生成される画像を視認する。注目すべきことに、周囲光源10(たとえば、太陽)がやはり存在し、光11を放射する。」
「【図2】
[図:0001437794000001.jpg]
」
「【0066】
シャッタガラス16は、図3に示されるように、高透明度状態と低透明度状態との間で周期的に変化するように配置される。ここで、図3b)は、光源12の強度が時間で変化するのを示す。図3c)に示されるように、シャッタガラス16がこの強度変化と同期する。ここで、「開」というラベルは、シャッタガラスが高透明度を有することをいい、「閉」というラベルは、シャッタガラスが低透明度を有することをいう。それとは対照的に、周囲光源10によって放射される光は、常に同じレベルである(図3a)参照)。シャッタガラス16が高透明度を有する時間期間の間だけ光源12によって放射された光11’についてシャッタガラス16を選択的に開くことにより、この光11’が観察者18によって選択的に知覚される。人間の目は一般的に平均光強度を知覚するだけであるため、光源12によって放射される光がこうして主に観察され、また、光源によって放射される光は、光が高強度で放射される時間期間の間に、周囲光と少なくとも同じ明るさであり、またはより明るくさえなるためである。したがって、知覚される画像コントラストが増加し、高い周囲強度の環境中でさえ、スクリーンの満足な視界を可能にするのに十分となる。第1の駆動部14bおよび第2の駆動部14aのために通常の関数発生器15を使用することによって、シャッタガラス16と光源12との同期を実装するのがより簡単になることにも留意する。図3c)において、時間期間は、TonおよびToffとして示され、これらは、シャッタガラスが高透明度を有するとき(Ton)および低透明度を有するとき(Toff)の時間期間を示すことにも留意する。本文脈では、デューティサイクルは、T=Ton/(Ton+Toff)として規定することができる。Tonは100μsであり、Toffは0.00990sであり、100の理論的コントラスト拡張がもたらされる。」
「【図3】
[図:0001437794000002.jpg]
」
「【0067】
光電子変換要素(太陽電池)17が光源12に接続される。周囲光源10からの光が、光電子変換要素17に入射し、エネルギーを生成する。エネルギーがエネルギー貯蔵デバイス19に供給され、そこでエネルギーを貯蔵することができる。次いで、このエネルギーは、放射デバイス12を駆動するために使用されるとともに、システムの他の構成要素に供給される。」
「【0071】
図7a)および図7b)は、太陽光にさらされる環境で使用されるときの、太陽光の明るさの関数として、ラップトップの電力消費を概略的に示す。それらの図面は、ラップトップスクリーンの明るさが適切なコントラストを有するように調整するという仮定に基づいて得られた。」
「【図7a)】、【図7b)】
[図:0001437794000003.jpg]
」
「【0072】
図7a)を最初に考えることとする。水平の点線は、ラップトップの構成要素による、強度非依存性電力消費を示す。これは、たとえば、ハードドライブ、CPU、WiFiアダプタなどの電力消費であってよい。この電力消費は、太陽光の明るさの増加に対して一定である。というのは、この電力は、どれだけ多くの周囲光があるかにかかわらず消費されるためである。
【0073】
参照符号Iを有する傾いた線は、太陽発電量を示す。この量は、太陽光の明るさでほぼ直線的に増加し、太陽光がないと電力が生成されないことは明らかである。
【0074】
線IIIは、太陽光の強度の関数としての、このスクリーンの光源の電力消費を示す。太陽光が明るくなると、許容可能なコントラストを提供するようにスクリーンが明るくならなければならないことが理解される。また、この電力消費は、太陽光の明るさに対しておよそ比例する。最後に、線IIは、全体としてのラップトップの正味の電力消費を示し、ここでは、太陽電池によって生成されるエネルギーが考慮され、そのため、残りの正味エネルギー要件が示される。この概略図からわかるように、太陽光パネルによって生成される電力は、消費され線IIIによって記載される電力より著しく少なく、そのため、結果として得られる正味電力消費IIが正のままとなり、明るさが増すと増加する。
【0075】
図7b)は、本発明によるラップトップの電力消費を示す。ここで、差異を示すために追加の「’」を用いた、図7a)でやはり使用したものと同じ表現が使用される。また、太陽電池によるエネルギー生成は、(図7a)中の線Iと同一でなければならない)線I’によって識別されるように、太陽光の明るさとほぼ直線的に増加する。しかし、スクリーンによるエネルギー消費は、著しく低減される。というのは、その光源は、数分の1の時間動作させる必要があるだけだからである(線III’参照)。点線によって示されるように、ほぼ一定である他の構成要素による電力消費で、正味の電力消費(線II’)は低減されて、負の傾きを示す。具体的には、正味の電力消費は、点Aから開始する負となる。したがって、本発明によるラップトップでは、屋外で動作させながら、エネルギーを生成することさえできる。
【0076】
図8は、スクリーンの電力消費が明るさレベルで増加するのを概略的に示す。」
「【図8】
[図:0001437794000004.jpg]
」
「【0077】
図5および図6に示されるプロトタイプの動作がここで記載される。プロトタイプは、標準的なラップトップPCであって、ここではスクリーンが変更され、ある繰返し率でだけスクリーンから光を放射するように、光電子構成要素と適合された。スクリーンと同期する透明度を有するゴーグルがユーザに着用された。250Hzの繰返し率がスクリーンに使用されて、知覚できるフリッカを回避した。」
「【図5】
[図:0001437794000005.jpg]
【図6】
[図:0001437794000006.jpg]
」
「【0078】
このときこれは、0.1msのオン時間を意味する、たとえば250Hzの繰返し率、ならびに1/40のデューティサイクルを使用した光放射期間の間だけ、電力が光源によって消費される場合である。通常よりもたとえば20×(20倍)明るい適切な光源では、ピーク電力消費は、以前よりやはり20×となる。しかし、デューティサイクルが1/40であるために、スクリーンの時間平均エネルギー消費は、半分に低減されることになる。言い換えると、スクリーンコントラストは、従来の方法でラップトップを動作させる場合と比較してエネルギー消費を低下させて、以前よりも20×高く知覚される。あるいは、通常の使用と比較して5倍増加したピーク強度で、スクリーンの電池消費が、8分の1に低下されることにさえなる。
【0079】
そのようなラップトップが太陽光の中で使用できるかが試験された。図4からやはりわかるように、コントラストは十分であることが見いだされた。このことは、太陽光パネルを適合していないプロトタイプを使用して得られた写真が示す。さらに、ユーザは今や強い周囲の太陽光から恩恵を被ることができる。特に、周囲の光の強度を全デューティサイクルを通して利用可能であって、ラップトップの電池を充電するために使用することができ、そのため、たとえば20cm×30cmの寸法を有するラップトップのサイズの太陽光パネルが、スクリーンの光源の全電力消費について、(過剰)補償するのにさえ十分となる場合がある。」
「【図4】
[図:0001437794000007.jpg]
」
「【0080】
これは、構築したプロトタイプからやはり確かめることができる。そのプロトタイプを使用すると、(図7と比較して)およそこれらの寸法の太陽光パネルが、ラップトップの光源によって消費されるより多くの電力を生成するのに十分であることを本発明者は見いだした。特に、本発明者は、この太陽光パネルを、最大電力点追尾(MPPT)電力変換器を介してラップトップのスクリーン光を駆動する電池に接続し、電池を充電する一方で、スクリーンを動作させた。このようにして、まったく同じ環境で光源を動作させてスクリーンを快適に見るのに、3.4±0.5ワットの電力が十分であることを本発明者が見いだした。そこでは、ラップトップの後に位置決めされた太陽光パネルが4.8ワット~5.2ワットの太陽発電を生成した(図6に見られるようにすべてはインライン電力計で測定された)。準最適な設計にかかわらず、またやや古くいくらか効率的でないコンピュータを使用することにかかわらず、スクリーンの後側の太陽電池を使用して、スクリーンの光源のエネルギー消費を補償し、それを超えるいくらか余剰のエネルギーを提供することさえできることをこの概念の証拠が示している。こうして、太陽光パネルがスクリーンを駆動するのに十分なエネルギーを生成する一方で、約1Wのエネルギーの過剰もあることが示された。これは、コンピュータなどの、現代のエネルギー効率的な電子機器を駆動するのに十分であり、したがって、プロトタイプは、スタンドアロンラップトップに拡張することができることを示す。」
イ 補正事項が新規事項を導入するものであることについて
(ア) システムが備える構成の観点
前記アの摘記(【0065】~【0067】、【0080】、【図2】、【図3】)から、当初明細書等には、システムが「光源12」、「駆動部14b」、「第2の駆動部14a」、「関数発生器15」、「シャッタガラス16」、「光電子変換要素17」、「エネルギー貯蔵デバイス19」、「電池」を備えることが記載されているものの、前記補正事項に係る、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることは、記載も示唆もされていない。
(イ) 周囲光に関する記載の観点
a 前記アの摘記(【0066】、【0071】~【0080】、【図4】~【図6】、【図7a)】、【図7b)】、【図8】)から、当初明細書等には、周囲光に関し、以下(a)~(c)が記載されている。
(a) システムの光源の明るさについて、周囲光源によって放射される光が常に同じレベルである場合、光源によって放射される光は、光が高強度で放射される時間期間の間に、周囲光と少なくとも同じ明るさであり、またはより明るくさえなるため、光源によって放射される光が観察者によって知覚されること。(段落【0066】)
(b) 太陽光にさらされる環境で使用されるときの、太陽光の明るさの関数として、ラップトップの電力消費を概略的に示す図面であって、ラップトップスクリーンの明るさが適切なコントラストを有するように調整するという仮定に基づいて得られる図面によると、太陽光が明るくなると、許容可能なコントラストを提供するようにスクリーンが明るくならなければならず、スクリーンの光源の電力消費は、太陽光の明るさに対しておよそ比例すること。(段落【0071】~【0076】、【図7a)】、【図7b)】、【図8】)
(c) 標準的なラップトップPCのスクリーンが変更され、ある繰返し率でだけスクリーンから光を放射するように、光電子構成要素と適合されたプロトタイプについて、スクリーンコントラストは、従来の方法でラップトップを動作させる場合と比較してエネルギー消費を低下させて、以前よりも20×高く知覚され、また、太陽光の中で使用できるかが試験されると、光源を動作させてスクリーンを快適に見るのに、3.4±0.5ワットの電力が十分であること。(段落【0077】~【0080】、【図4】、【図5】、【図6】)
b(a) ここで、前記a(a)は、周囲光源によって放射される光が常に同じレベルである場合を前提として、システムの光源として、周囲光源の明るさ(放射される光のレベル)と同程度以上の明るさの光源を用いることにより、光源の光が観察者によって知覚されることを示すものであるから、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることを示唆するものではない。
(b) 前記a(b)は、説明図を得るための特定の仮定に基づく知見を示すものであって、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることを示唆するものではない。
(c) 前記a(c)は、システムが用いられたラップトップ(プロトタイプ)が、太陽光の中でスクリーンを快適に見るのに必要な電力を示すが、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることを示唆するものではない。
c 前記bで検討したとおり、当初明細書等の前記アで摘記した周囲光に関する記載は、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることを示唆するものとまではいえない。
(ウ) 当初明細書等のその余の記載からも、前記補正事項に係る、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることは、出願時の技術常識を考慮しても導くことはできない。
(エ) 小括
前記(ア)~(ウ)において検討したとおり、当初明細書等には、前記補正事項に係る、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることは記載も示唆もされておらず、そうすると、前記補正事項を含む本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
(3) 請求人の主張について(新規事項)
ア 請求人の主張の内容
(ア) 請求人は審判請求書において、本件補正が新規事項を追加するものでないことについて、以下a、bを根拠に、当初明細書等からシステムが「前記周囲光の強度を測定するための手段」を備えることが自明である旨主張する。
a 当初明細書等において、先行技術文献として引用している[特許文献1]における記載。
b 当初明細書等の段落【0066】、【0071】、【図7b)】の記載。
(イ) また、請求人は上申書において、本件補正が新規事項を追加するものでないことについて、【図7】(【図7a)】、【図7b)】)の横軸の「太陽の明るさ」の算出方法として、当業者は通常、「太陽の明るさ」を直接検出する、すなわち、「前記周囲光の強度を測定するための手段」を設ける旨主張する。
イ 請求人の主張の検討
(ア) 前記ア(ア)aについて、当初明細書等に先行技術文献として記載された文献は、当初明細書等に記載された「システム」の発明に係る従来技術を示すために提示されたものであり、当初明細書等に記載された発明が備える構成を開示するものではない。つまり、当初明細書等に先行技術文献([特許文献1])を記載しても、当初明細書等に記載された発明が前記[特許文献1]に記載された構成を備えるとも、その構成を前提とする発明であるとも直ちにいえるものではないから、前記[特許文献1]において「周囲光の強度を測定するための手段」が記載されていたとしても、当初明細書等に記載された発明が前記手段を備えるものということはできない。
(イ) 前記ア(ア)b、(イ)について、前記(2)イ(イ)で検討したとおり、当初明細書等の段落【0066】、【0071】、【図7a)】、【図7b)】の記載は、システムが「周囲光の強度を測定するための手段」を備えることを示唆するものではない。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)の検討から、請求人の前記主張は、前記(2)イ(エ)の結論を左右するものではない。
(4) 新規事項の追加の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
3 本件補正の適否(目的要件違反)
仮に、本件補正が特許法17条の2第3項の規定に適合するものとして、以下検討する。
(1) 本件補正前の請求項1において「周囲光の強度を測定するための手段」については発明特定事項としていないところ、本件補正は、「システム」の発明である請求項1に係る発明に対して「周囲光の強度を測定するための手段」を備えるという新たな構成要件を付加するものである。このような補正は、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」とはいえないから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するとはいえない。
(2) また、本件補正が、特許法17条の2第5項1号に掲げる請求項の削除、同項3号に掲げる誤記の訂正、及び、同項4号に掲げる明りようでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(3) なお、請求人は、審判請求書において本件補正の目的を説明していない。
(4) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
4 本件補正の適否(独立特許要件違反)
仮に、本件補正が特許法17条の2第3項の規定に適合するものであり、同法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するとして、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下進んで検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Gまでに分説する。また、参考図として、本願の【図2】に部材名を記入したものを再掲する。
<本件補正発明の分説>
X 情報を表示するためのシステムであって、
A 光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイスと、
B パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイスと、
C 前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部と、
を備え、
D 前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され、
E 前記システムが、周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段と、
F 前記周囲光の強度を測定するための手段と、をさらに備え、
G 前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている、
X システム。
<参考図>
【図2】(再掲)
[図:0001437794000008.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【0002】
たとえば、ラップトップスクリーンまたは現在のスマートフォンを、たとえば日中の屋外などの明るく照らされる環境で使用するとき、しばしば、デバイスの明るさが表示される内容を読むことに適さないことが、普通に起こる。簡単に言えば、良好なコントラストを可能にするには、スクリーンの明るさと比較して、周囲の光が明るすぎる。もちろん、これは、屋内環境、または一般的にあまりよく照らされない環境に動くことによって改善することができる。しかし、そうすることが実際的でない場合がある。さらに、こうしなければならないことによって、デバイスの使いやすさが低下する。
【0003】
屋内の場合でさえ、たとえば明るい夏の日の外が見える窓の前に置かれるときといった、強く照らされる場の前にあるスクリーンでは、コントラストが低下する場合がある。この場合、視認者は、そのスクリーンを見るときに不十分なコントラストを知覚する場合がある。というのは、スクリーンによって表示される内容を快適に見るには、周囲光の強度が高すぎるためである。
【0004】
同様に、スクリーン自体の反射に起因して、たとえば、周囲からの明るい光がスクリーンから反射され、表示される情報を覆う場合に、コントラストがやはり低下する場合がある。
…(中略)…
【0010】
本発明により対象とされる別の点は、エネルギーを節約する必要性である。いくつかの用途では(たとえば、ラップトップまたは他のタイプの携帯型コンピュータに関しては)、スクリーンのエネルギー消費がやや高く、このことによって、電池を再充電する必要なしにコンピュータを使用できる期間が短くなる。このことは、画像のコントラストを許容可能にするために、スクリーンの明るさを上げる必要がある、太陽に照らされる環境で特に当てはまる。しかし、明るさを上げることによって、より大きいエネルギー消費がもたらされ、次いでこのことによって、電池寿命が短くなる。
…(中略)…
【0016】
本発明者は、2つの問題があると実感した。最初に、よりエネルギー効率的な携帯型コンピュータまたはより一般的に情報を表示するためのシステムを可能にするという明らかな必要性がある。特に、たとえば、容易に利用可能な電力網がない遠隔環境で動作するとき、太陽光を使用するだけで動作するコンピュータを有することは、明らかに有利である。これは、典型的には容易に利用可能な電力用コンセントがない浜辺またはたとえば庭または公園の中で座るときにも当てはまる。
【0017】
本発明者が自分自身で直面した別の問題は、上で指摘したように、特に屋外で動作するときに、コントラストを増加させることであった。上で記載したように、太陽光の中に座ると、通常のラップトップ上のコンピュータスクリーンを読むのは難しく、強度を上げるのは多くのエネルギーを消費する。電池で電力供給されるコンピュータを使用するとき、エネルギーは容易に利用可能ではない。さらに、スクリーンの必要とされる高い強度のための、太陽光パネルによる電力供給は、不十分となることは明らかである。
…(中略)…
【0068】
図4は、プロトタイプシステムを使用して得られた結果を示す。左の図では、家庭環境における発明者のラップトップの通常の(すなわち、本発明の技術なしの)視界が見える。ラップトップのスクリーンを見ることができる一方で、コントラストが特に高くないことも顕著である。さらに、周囲光がはるかに明るいことが容易にわかる。その画像の右手側には、特許請求される発明を使用した同じ環境が示される。周囲光がかなりの程度に暗くされ、コンピュータスクリーン上のコントラストがはるかに高いことがわかる。すなわち、周囲光を選択的に「薄れさせ」、ラップトップ光を選択的に「ゲート動作」することによって、より高いコントラストの画像をラップトップスクリーン上に見ることが達成される。その場合、スクリーンは、眼鏡に対する「スレーブ」として働くことができる。」
「【図4】(再掲)
[図:0001437794000009.jpg]
」
「【0085】
パルス状の光だけを放射するという技術が補償して、スクリーンの光源の電力要件は著しく低下する。例として、その技術は、知覚される明るさ(コントラスト)の10倍の増加を得るために使用することができる一方で、標準的な(屋内)使用と比較して、スクリーンのエネルギー消費を1/4倍に低下させることさえできる。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
令和5年3月29日付け拒絶理由通知書(以下、「最初の拒絶理由通知書」という。)で通知した拒絶の理由1(進歩性の欠如)において、主たる引用文献として引用され、本願の出願前に発行された文献である米国特許出願公開第2015/0070742号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、括弧内に示す日本語訳は合議体において作成した。また、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。
(ア) [0003]
「[0003] Electronic devices are becoming increasing prevalent in modern society. These devices are operated in a variety of environments corresponding to a variety of conditions that may affect the performance of a particular device. One example of a scenario that may lead to a performance limitation for an electronic device may include viewing a screen of an electronic device in bright ambient lighting conditions. The disclosure relates to enhanced viewing of a display device that may improve a perceived contrast of a screen viewed in bright ambient lighting conditions.」
(「[0003] 電子機器は現代社会においてますます普及している。これらの機器は、特定の機器の性能に影響を与える可能性のある様々な条件に対応する多様な環境で使用されている。電子機器の性能制限につながる可能性のあるシナリオの一例として、明るい周囲光条件下で電子機器のスクリーンを視認する状況が挙げられる。本開示は、明るい周囲光条件下でスクリーンを視認する際の知覚されるコントラストを改善する表示装置の視認性向上に関するものである。」)
(イ) [0037]~[0043]、[図3]
「[0037] Referring to FIG. 3, an example of a system 302 for improving a perceived contrast of a screen is shown in accordance with the disclosure. The system may comprise an eyewear device 304 comprising at least one optical element 306. The eyewear device 304 may comprise any device having the at least one optical element 306 and in some implementations may be combined with the optical device 104. The at least one optical element 306 may comprise a shutter that may be operable to vary a transparency of the at least one optical element 306. The shutter may comprise a transparent liquid crystal layer that may become opaque in response to an applied voltage, for example an LCD shutter lens. The shutter may be in communication with a control circuit 308.」
(「[0037] 図3を参照すると、スクリーンの知覚されるコントラストを改善するためのシステム302の一例が示されている。システムは、少なくとも1つの光学素子306を含む眼鏡型デバイス304を含む場合がある。眼鏡型デバイス304は、少なくとも1つの光学素子306を有する任意のデバイスであり、いくつかの実施形態では、光学デバイス104と組み合わせることができる。光学素子306は、透過性を変化させるように動作可能なシャッターを含む場合がある。シャッターは、電圧が加えられると不透明になる透明な液晶層(例えばLCDシャッターレンズ)を含む場合がある。シャッターは制御回路308と通信可能である。」)
「[図3]
[図:0001437794000010.jpg]
」
「[0038] The eyewear device 304 may be configured to operate in conjunction with a display device 310 comprising a screen 312. The display device 310 may comprise any type of device comprising a screen, for example a television or a monitor. In some implementations, the display device 310 may comprise a portable device. Some examples of portable devices may comprise a phone, smart phone, tablet, PDA, laptop, an electronic reading device (e-reader), etc. In operation, the screen 312 of the display device 310 may display content (e.g. video, images, etc.) by illuminating the screen 312 at a timing that may generate a first pattern of light. The first pattern of light may correspond to a temporal pattern comprising any timing, frequency, or pattern of light emitted from the screen 312 (e.g. a temporal pattern of pulsed image emissions).」
([0038] 眼鏡型デバイス304は、スクリーン312を含む表示装置310と連携して動作するように構成されていてもよい。表示装置310は、テレビやモニターなど、スクリーンを含む任意の種類のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、表示装置310は携帯型デバイスを含む場合がある。携帯型デバイスの例としては、電話、スマートフォン、タブレット、PDA、ノートパソコン、電子書籍リーダーなどがある。動作時には、表示装置310のスクリーン312は、スクリーン312を照射するタイミングによって第1の光パターンを生成することで、コンテンツ(例:動画、画像など)を表示する場合がある。第1の光パターンは、スクリーン312から放射される光の任意のタイミング、周波数、又はパターン(例:パルス画像放射の時間的パターン)に対応する時間的パターンである場合がある。)
「[0039] The display device 310 may further comprise a transmitter 313 operable to transmit a first signal 314 corresponding to the first pattern of light. The first signal 314 and the corresponding first pattern of light may be activated by one or more processors of the display device 310 in response to a user setting. The first signal and the corresponding first pattern of light may also be activated in response to a signal transmitted from the control circuit 308 of the eyewear device 304. In various implementations, the control circuit and the display device may be operable to communicate wirelessly and activate complementary functions in each other. For example, the display device may be operable detect at least one signal from the control circuit and enter a mode activating the first pattern of light and a corresponding first signal. The pattern of light emitted from the screen 312 may correspond to a temporal pattern of emission and non-emission of the light.」
([0039] 表示装置310は、さらに第1の光パターンに対応する第1信号314を送信可能な送信機313を含む場合がある。第1信号314及びそれに対応する第1の光パターンは、ユーザー設定に応じて表示装置310の1つ以上のプロセッサによって起動される場合がある。また、第1信号及びそれに対応する第1の光パターンは、眼鏡型デバイス304の制御回路308から送信された信号に応じて起動される場合もある。様々な実施形態において、制御回路と表示装置は無線通信が可能であり、互いに補完的な機能を起動するように動作可能である。例えば、表示装置は制御回路からの少なくとも1つの信号を検出し、第1の光パターン及びそれに対応する第1信号を起動するモードに入るように動作可能である。スクリーン312から放射される光のパターンは、光の放射と非放射の時間的パターンに対応する場合がある。)
「[0040] The first signal 314 may be received by a receiver 316 of the control circuit 308. The processor 318 of the control circuit 308 may be operably coupled to the receiver 316. The processor 318 may be operable to receive the first signal corresponding to the first pattern of light. The processor 318 may be operable to determine the timing of the first pattern of light from the first signal. The transmitter 313 and the receiver 316 may comprise a wireless interface. The wireless interface may comprise any form of wireless communication, for example a radio signal, Bluetooth, personal area networks, IEEE 802.11 a,b,g,n, etc.」
([0040] 第1信号314は、制御回路308の受信機316によって受信される場合がある。制御回路308のプロセッサ318は、受信機316に動作的に接続されている場合がある。プロセッサ318は、第1の光パターンに対応する第1信号を受信するように動作可能である。プロセッサ318は、第1信号から第1の光パターンのタイミングを判定するように動作可能である。送信機313及び受信機316は、無線インターフェースを含む場合がある。無線インターフェースは、ラジオ信号、Bluetooth、パーソナルエリアネットワーク、IEEE 802.11 a,b,g,nなど、任意の形式の無線通信を含む場合がある。)
「[0041] The processor 318 may further be in communication with a shutter control 320. The shutter control 320 may comprise a circuit operable to output a second signal 322 that may activate a liquid crystal layer of the at least one optical element 306. The second signal may comprise a voltage corresponding to the first pattern of light emitted from the screen 312. In response to a first level of voltage of the second signal 322 from the shutter control 320, the liquid crystal layer of the at least one optical element 306 may become opaque. In response to a second level of voltage of the second signal 322 from the shutter control 320, the liquid crystal layer of the at least one optical element 306 may increase in transparency. Changing between voltage levels of the second signal, in response to the first signal 314, may generate a varying transparency of the at least one optical element 306.」
([0041] プロセッサ318は、シャッター制御320とも通信可能である。シャッター制御320は、少なくとも1つの光学素子306の液晶層を起動する第2信号322を出力するように動作する回路を含む場合がある。第2信号は、スクリーン312から放射される第1の光パターンに対応する電圧を含む場合がある。シャッター制御320からの第2信号322の第1の電圧レベルに応じて、光学素子306の液晶層は不透明になる場合がある。第2信号322の第2の電圧レベルに応じて、液晶層は透過性を増す場合がある。第1信号314に応じて第2信号の電圧レベルを切り替えることで、光学素子306の透過性が変化する。)
「[0042] The varying transparency of at least one optical element 306 may correspond (e.g. be synchronized) or temporally synchronized to the first pattern of light transmitted from the screen 312. When the screen 312 is illuminated, the voltage of the second signal 322 may be low, corresponding to the at least one optical element 306 being transparent. When the screen 312 is between illumination cycles, for example when the screen 312 is not illuminated, the voltage of the second signal 322 may be high corresponding to the at least one optical element 306 being opaque. In operation, the control circuit 308 of the eyewear device 304 may receive the first signal 314 from the display device 310 and generate the second signal 322 to align the timing of the illumination of the screen 312 with the timing of the transparency of the at least one optical element 306.」
([0042] 少なくとも1つの光学素子306の透過性の変化は、スクリーン312から送信される第1の光パターンに対応(例えば同期)又は時間的に同期する場合がある。スクリーン312が照射されているとき、第2信号322の電圧は低く、光学素子306は透明である。スクリーン312が照射サイクルの間、例えば照射されていないとき、第2信号322の電圧は高く、光学素子306は不透明である。動作時には、眼鏡型デバイス304の制御回路308が表示装置310から第1信号314を受信し、第2信号322を生成してスクリーン312の照射タイミングと光学素子306の透過性のタイミングを一致させる。)
「[0043] By illuminating the screen 312 and making transparent the at least one optical element 306 during the same time periods, light corresponding to the first pattern of light may pass through the at least one optical element 306. When the screen 312 is not illuminated, the at least one optical element 306 may be opaque and block ambient interference from passing through the at least one optical element 306. In this way, the eyewear device 304 may provide for light corresponding to the first pattern of light to reach a viewer while blocking a significant amount of ambient interference. The eyewear device 304 may provide for improving a perceived contrast of a screen of a display device by limiting ambient interference and allowing light transmitted from the screen to pass through at least one optical element.」
([0043] スクリーン312を照射し、同時に光学素子306を透明にすることで、第1の光パターンに対応する光が光学素子306を通過することができる。スクリーン312が照射されていないとき、光学素子306は不透明となり、周囲光の混入が光学素子306を通過するのを遮断する。こうして、眼鏡型デバイス304は、第1の光パターンに対応する光を視聴者に届ける一方で、周囲光の混入の大部分を遮断することができる。眼鏡型デバイス304は、周囲光の混入を制限し、スクリーンから送信された光を少なくとも1つの光学素子を通して透過させることで、表示装置のスクリーンの知覚されるコントラストを改善することができる。)
(ウ) [0052]~[0057]、[図4a]
「[0052] Referring to FIG. 4a, an example of a timing diagram 402 of a system for improving a perceived contrast of a screen is shown in accordance with the disclosure. A screen signal 404 may correspond to timing characteristics of a screen of a display device. A high screen signal 408 may correspond to a lighting source (e.g. a display primary, backlight, etc.) of the screen being active, for example a period of time when the screen is illuminated and transmitting light. A low screen signal 410 may correspond to a period of time when the screen is inactive and light is not being transmitted from the screen.」
([0052] 図4aを参照すると、スクリーンの知覚されるコントラストを改善するためのシステムのタイミング図402の一例が示されている。スクリーン信号404は、表示装置のスクリーンのタイミング特性に対応する場合がある。スクリーン信号が高い状態408は、スクリーンの光源(例:表示主色、バックライトなど)がアクティブである、つまりスクリーンが照射されて光を送出している時間帯に対応する。スクリーン信号が低い状態410は、スクリーンが非アクティブであり、光が送出されていない時間帯に対応する。)
「[図4a]
[図:0001437794000011.jpg]
」
「[0053] A shutter timing signal 412 may correspond to measured timing characteristics of at least one optical element. A high shutter signal 414 may correspond to a period of time when the at least one optical element is transparent. For example, a high shutter signal 414 may correspond to a period of time when voltage is not supplied to a liquid crystal layer of the at least one optical element. A low shutter signal 416 may correspond to a period of time when the at least one optical element has limited transparency or is opaque. For example, the low shutter signal 416 may correspond to a period of time when voltage is applied to a liquid crystal layer of at least one optical element.
…(中略)…
[0057] In reference to the implementation of FIG. 3, the timing diagram 402 may illustrate a timing of at least one optical element 306 being transparent during a corresponding time of a screen 312 being illuminated. The timing diagram 402 may illustrate a method of illuminating the screen 312 of the display device 310 corresponding to a first pattern of light. The display device 310 may transmit a first signal 314 corresponding to the first pattern of light of the screen 312. The first signal 314 may be received by a control circuit 308 of an eyewear device 304. A shutter of at least one optical element 306 of the eyewear device 304 may vary in transparency in response to a second signal 322 received from the control circuit 308. The first signal 314 may correspond to a lighting signal 404 of the screen 312. The varying transparency of the at least one optical element 306 may correspond to the shutter timing signal 412.」
([0053] シャッタータイミング信号412は、少なくとも1つの光学素子の測定されたタイミング特性に対応する場合がある。シャッター信号が高い状態414は、少なくとも1つの光学素子が透明である時間帯に対応する。例えば、シャッター信号が高い状態414は、少なくとも1つの光学素子の液晶層に電圧が供給されていない時間帯に対応する。シャッター信号が低い状態416は、少なくとも1つの光学素子の透過性が制限されている、又は不透明である時間帯に対応する。例えば、シャッター信号が低い状態416は、少なくとも1つの光学素子の液晶層に電圧が供給されている時間帯に対応する。
…(中略)…
[0057] 図3の実施形態に関連して、タイミング図402は、スクリーン312が照射されている時間に対応して光学素子306が透明であるタイミングを示す場合がある。タイミング図402は、表示装置310のスクリーン312を第1の光パターンに対応して照射する方法を示す場合がある。表示装置310は、スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314を送信する場合がある。第1信号314は、眼鏡型デバイス304の制御回路308によって受信される場合がある。眼鏡型デバイス304の少なくとも1つの光学素子306のシャッターは、制御回路308から受信した第2信号322に応じて透過性を変化させる場合がある。第1信号314は、スクリーン312の照射信号404に対応する場合がある。少なくとも1つの光学素子306の透過性の変化は、シャッタータイミング信号412に対応する場合がある。)
イ 引用文献1の記載、及び、図面から読み取れる事項の認定
(ア) 図3から読み取れる事項について
a 図3に部材名の一部を記入したものを掲載する。
<図3に部材名の一部を記入したもの>
[図:0001437794000012.jpg]
b 図3認定事項1
[0039]及び[0042]の「眼鏡型デバイス304の制御回路308」との記載も考慮すると、図3から、次の技術事項(以下「図3認定事項1」という。)が見て取れる。
[図3認定事項1]
「光学素子306と制御回路308を有する眼鏡型デバイス304と、スクリーン312を有する表示装置310を備える、システム302」
c 図3認定事項2
[0037]の「眼鏡型デバイス304は、少なくとも1つの光学素子306を有する任意のデバイスであり」、「光学素子306は、透過性を変化させるように動作可能なシャッターを含」む、との記載、また、同[0037]において、「光学素子306」として「LCDシャッターレンズ」が挙げられていることを考慮すると、図3から、次の技術事項(以下「図3認定事項2」という。)が見て取れる。
[図3認定事項2]
「光学素子306は眼鏡型デバイス304のレンズ部を構成すること。」
(イ) 引用文献1の記載、及び、図4aから認定できる事項
a [0052]、[0053]の記載に基づいて、図4aに信号名等の一部を記入したものを掲載する。
<図4aに信号名等の一部を記入したもの>
[図:0001437794000013.jpg]
b 図4aから、次の技術事項(a)、(b)が見て取れる。
(a) 「スクリーンの光源のアクティブ、非アクティブを示すスクリーン信号404は、光源がアクティブであることを示す値と非アクティブを示す値の2値からなるパルス信号の形態であること。」
(b) 「スクリーン信号404が光源がアクティブ、又は、非アクティブを示すタイミングと、シャッタータイミング信号412が光学素子が透明であること、又は、透過性が制限されている(又は不透明である)ことを示すタイミングとが略一致すること。」
c [0057]には以下(a)、(b)、(c)の記載がある。
(a) 「タイミング図402は、表示装置310のスクリーン312を第1の光パターンに対応して照射する方法を示す場合がある。表示装置310は、スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314を送信する場合がある。」
(b) 「第1信号314は、スクリーン312の照射信号404に対応する場合がある。」
(c) 「少なくとも1つの光学素子306の透過性の変化は、シャッタータイミング信号412に対応する場合がある。」
ここで、(b)の記載において、「照射信号404」が「スクリーン信号404」を意味していることは明らかであるところ、(a)、(b)の記載から、スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314はスクリーン信号404に対応し、また、(c)の記載から、光学素子306の透過性の変化は、シャッタータイミング信号412に対応するものと認められる。
d 前記bで示した技術事項(a)、(b)と、前記cで示した対応関係から、以下(a)、(b)の技術事項(それぞれ「引用文献1認定事項1」、「引用文献1認定事項2」という。)が認められる。
(a) 引用文献1認定事項1
「スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314は、光源がアクティブであることを示す値と非アクティブを示す値の2値からなるパルス信号の形態であること。」
(b) 引用文献1認定事項2
「スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314が示す、光源がアクティブ、又は、非アクティブを示すタイミングと、光学素子306が透明であること、又は、透過性が制限されている(又は不透明である)ことを示すタイミングとが略一致すること。」
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施例([図3])に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「明るい周囲光条件下でスクリーンを視認する際の知覚されるコントラストを改善する表示装置の視認性向上に関するものであり、([0003])
光学素子306と制御回路308を有する眼鏡型デバイス304と、スクリーン312を有する表示装置310を備える、システム302であって、(図3認定事項1)
光学素子306は眼鏡型デバイス304のレンズ部を構成し、(図3認定事項2)
光学素子306は、透過性を変化させるように動作可能なシャッターを含み、シャッターは、電圧が加えられると不透明になる透明な液晶層を含み、
シャッターは制御回路308と通信可能であり、([0037])
眼鏡型デバイス304は、スクリーン312を含む表示装置310と連携して動作するように構成され、ここで、表示装置310は、テレビやモニターなど、スクリーンを含む任意の種類のデバイスであってもよく、([0038])
動作時には、表示装置310のスクリーン312は、スクリーン312を照射するタイミングによって第1の光パターンを生成することで、コンテンツを表示し、
ここで、第1の光パターンは、スクリーン312から放射される光の任意のタイミング、周波数、又はパターンに対応する時間的パターンであり、([0038])
表示装置310は、さらに第1の光パターンに対応する第1信号314を送信可能な送信機313を含み、第1信号及びそれに対応する第1の光パターンは、眼鏡型デバイス304の制御回路308から送信された信号に応じて起動され、
スクリーン312から放射される光のパターンは、光の放射と非放射の時間的パターンに対応し、([0039])
スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314は、光源がアクティブであることを示す値と非アクティブを示す値の2値からなるパルス信号の形態であり、(引用文献1認定事項1)
第1信号314は、制御回路308の受信機316によって受信され、
制御回路308のプロセッサ318は、受信機316に動作的に接続され、
プロセッサ318は、第1の光パターンに対応する第1信号を受信するように動作可能であり、プロセッサ318は、第1信号から第1の光パターンのタイミングを判定するように動作可能であり、([0040])
プロセッサ318は、シャッター制御320とも通信可能であり、
シャッター制御320は、少なくとも1つの光学素子306の液晶層を起動する第2信号322を出力するように動作する回路を含み、
第2信号は、スクリーン312から放射される第1の光パターンに対応する電圧を含み、
シャッター制御320からの第2信号322の第1の電圧レベルに応じて、光学素子306の液晶層は不透明になり、第2信号322の第2の電圧レベルに応じて、液晶層は透過性を増し、第1信号314に応じて第2信号の電圧レベルを切り替えることで、光学素子306の透過性が変化し、([0041])
少なくとも1つの光学素子306の透過性の変化は、スクリーン312から送信される第1の光パターンに対応(例えば同期)又は時間的に同期し、スクリーン312が照射されているとき、第2信号322の電圧は低く、光学素子306は透明であり、スクリーン312が照射サイクルの間、例えば照射されていないとき、第2信号322の電圧は高く、光学素子306は不透明であり、
動作時には、眼鏡型デバイス304の制御回路308が表示装置310から第1信号314を受信し、第2信号322を生成してスクリーン312の照射タイミングと光学素子306の透過性のタイミングを一致させ、([0042])
それにより、スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314が示す、光源がアクティブ、又は、非アクティブを示すタイミングと、光学素子306が透明であること、又は、透過性が制限されている(又は不透明である)ことを示すタイミングとが略一致し、(引用文献1認定事項2)
スクリーン312を照射し、同時に光学素子306を透明にすることで、第1の光パターンに対応する光が光学素子306を通過することができ、スクリーン312が照射されていないとき、光学素子306は不透明となり、周囲光の混入が光学素子306を通過するのを遮断することで、眼鏡型デバイス304は、第1の光パターンに対応する光を視聴者に届ける一方で、周囲光の混入の大部分を遮断することができ、眼鏡型デバイス304は、周囲光の混入を制限し、スクリーンから送信された光を少なくとも1つの光学素子を通して透過させることで、表示装置のスクリーンの知覚されるコントラストを改善することができる、([0043])
システム302」
(3) 引用文献4、6、10の記載事項及び周知技術の認定
ア 引用文献4、6に記載された事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
最初の拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由1(進歩性の欠如)において、引用文献4として引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2012-109530号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0035】
太陽電池110は、入射された太陽光を電気エネルギーに変換する。太陽電池110は、基板表面に光が入射すると、内部から電子及び正孔が発生し、発生した電荷の移動によって両電極の間の電位差から生じる光起電力が発生する。このとき、太陽電池110に負荷(load)を接続すれば電流が流れることになる。
…(中略)…
【0086】
図8は、図1の電源供給装置を含む表示装置7の斜視図である。図9は、図8に示した表示装置の側面図である。図10は、図8の表示装置を畳んだ場合の斜視図である。」
「【図8】
[図:0001437794000014.jpg]
【図9】
[図:0001437794000015.jpg]
【図10】
[図:0001437794000016.jpg]
」
「【0087】
図8~図10を参照すると、表示装置7は、電源供給装置、表示パネル42、本体44及びバックライトアセンブリ(図示せず)を含む。表示装置7は、ノートブック、携帯電話、PDA(personal digital assistant)及びPMP(portable multimedia player)等の携帯用表示装置であってもよい。
…(中略)…
【0093】
電源供給装置は、太陽電池部10、電源部30及び蓄電池50を含む。本実施形態に係る電源供給装置は、図1、図2、図5及び図6の電源供給装置と実質的に同一である。したがって、電源供給装置についての重複する説明は省略する。
【0094】
太陽電池部10は、外部電源V1が提供されないとき、第1制御信号S1に基づいて太陽電池110の電源V3を用いて蓄電池50を充電するか、或いは、太陽電池110の電源V3と蓄電池50の充電電源V2とを表示装置7に提供する。」
(イ) 引用文献6に記載された事項
最初の拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由1(進歩性の欠如)において、引用文献6として引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2011-160543号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「【0014】
図1に示すように、本情報処理装置は、コンピュータ本体1と、ディスプレイユニット(蓋体)2とから構成される。ディスプレイユニット2は、コンピュータ本体1に対し、コンピュータ本体1の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体1の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。ディスプレイユニット2の内側面には、LCD(Liquid Crystal Display)の表示面(図示せず)が配置されており、一方、ディスプレイユニット2の外側面には、太陽電池11の太陽電池パネルが配置されている。
」
「【図1】
[図:0001437794000017.jpg]
」
「【0016】
図2は、本情報処理装置のシステム構成の一部を示す図である。図1に示すように、本情報処理装置は、太陽電池11、照度センサ12、MPU(micro processing unit)13、サブバッテリ充電回路14、サブバッテリ15、メインバッテリ16、切替回路17、DC(direct current)/DCコンバータ18およびLCDバックライト19等を有している。」
「【図2】
[図:0001437794000018.jpg]
」
「【0017】
メインバッテリ16は、本情報処理装置の動作用の電力を供給する電源である。太陽電池11は、このメインバッテリ16を充電可能な程度の電力を得るには適さないため、本情報処理装置は、小容量のサブバッテリ15を備える。そして、太陽電池11で得た電力でサブバッテリ15を充電し、このサブバッテリ15に蓄えた電力をLCDバックライト19の点灯用に利用する。
…(中略)…
【0021】
つまり、MPU13は、太陽光を十分に受光できる状況を、太陽電池11で得た電力を蓄えるために設けられる繰り返し充放電可能な2次電池であるサブバッテリ15を充電する機会として捉え、一方、太陽光を十分に受光できない状況を、蓄えた電力をサブバッテリ15に放電させる機会として捉えて、太陽エネルギーを最大限に取り込むべく動作している。」
(ウ) 周知技術1の認定
前記(ア)、(イ)に摘記した引用文献4、6の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「表示装置において、太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池を備えて電源供給すること。」
イ 引用文献10に記載された事項及び周知技術2の認定
(ア) 引用文献10に記載された事項
前置報告書において引用された、本願の出願前に発行された文献である特表2012-518816号公報(以下「引用文献10」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0008】
ディスプレイバックライトに要求される光の量は、周囲環境から入ってくる周辺光の量に左右されする。例えば、周囲環境が非常に明るいときには、バックライトに大量の光が要求される。というのは、この光は、環境間内にある、表示面から反射する明るい光に打ち勝たねばならないからである。これに対して、周囲環境が非常に暗いときには、ディスプレイの光は明るい周辺光に対抗しなくてもよいため、バックライトに要求される光がより少量ですむ。よって、エネルギー消費または消費電流が懸念されるときには、実施形態によっては、周辺光のレベルに基づいて許容できる画像を作成するように、必要なだけのバックライト照明しか使用しない。
…(中略)…
【0031】
図8に、図3に示したものと同様であるが、主要な例外として、ソフトウェアドライバ22と電気的に通信するさらに別のバックライトセンサ40および周辺光センサ41を有する実施形態を示す。バックライトセンサ40は、バックライトアセンブリから入ってくる光のレベルを判定するためにバックライトキャビティ内に配置され得る。周辺光センサ41は、どれ程の周辺光が前表示面に当たっているか判定するために前表示面の近くに配置され得る。これらの追加のセンサは、エネルギー節約を重要要因とする実施形態において使用され得る。」
「【図8】
[図:0001437794000019.jpg]
」
「【0033】
理想的には、周囲環境の光の量とバックライトキャビティで生成される光の量とを比較した値である好ましい光度比が決定され得る。ほとんどの用途では、バックライトの量は、ディスプレイが見えるように、周辺光の量よりも多いことが必要とされる。好ましくは、周辺光のバックライトに対する比(例えば、比=周辺光/バックライト)は1未満とすべきである。しかし、正確な比は、個々のディスプレイ、環境、および用途に応じて変化し得る。」
(イ) 周知技術2の認定
前記(ア)に摘記した引用文献10の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術2」という。)
<周知技術2>
「ディスプレイのバックライトにおいて、ディスプレイが見えるように、バックライトセンサと周辺光センサを用いて、バックライトの量を周辺光の量よりも多くすること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(システム)
a 構成Xは「情報を表示するためのシステム」の発明であることを特定するものである。
b 引用発明は「光学素子306と制御回路308を有する眼鏡型デバイス304と、スクリーン312を有する表示装置310を備える、システム302」の発明であり、「表示装置310のスクリーン312」は「コンテンツを表示」する。
c 引用発明において「コンテンツを表示」することは、本件補正発明の「情報を表示する」ことに相当するから、「情報を表示するためのシステム」の発明である本件補正発明と、「コンテンツを表示」する「システム302」の発明である引用発明は、「情報を表示するためのシステム」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(放射デバイス)
a 構成Aは、「システム」が、「光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイス」を備えることである。
b 引用発明の「システム302」が備える「表示装置310」は、「表示装置310のスクリーン312」「を照射するタイミングによって第1の光パターンを生成することで、コンテンツを表示」するものであるところ、「スクリーン312」を「第1の光パターン」で「照射する」ことで「コンテンツを表示」することは、本件補正発明の「光を放射してユーザに情報を表示する」ことに相当するから、引用発明の「スクリーン312」を「第1の光パターン」で「照射する」ことで「コンテンツを表示」する「表示装置310」は、本件補正発明の「光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイス」に相当する。
c(a) 引用発明においては、「第1の光パターンは、スクリーン312から放射される光の任意のタイミング、周波数、又はパターンに対応する時間的パターンであり」、「第1の光パターンに対応する第1信号314は、光源がアクティブであることを示す値と非アクティブを示す値の2値からなるパルス信号の形態であ」る。
(b) ここで、「パルス信号の形態」である信号により「光源」を「アクティブ」、「非アクティブ」とすることは、本件補正発明の「パルス様式で光を放射する」ことに相当する。
(c) また、「光源がアクティブ」である場合は、「光源が」「非アクティブ」である場合と比較して、「光源」の光強度が高いことは明らかであるところ、引用発明の「表示装置310」に係る「光源」を「アクティブ」と「非アクティブ」に制御することは、本件補正発明の「光の強度が、高い値と低い値との間で変わる」ことに相当する。
(d) 前記(b)、(c)から、引用発明の「表示装置310」は、本件補正発明の「パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる」ことに相当する機能を有する。
d 前記b、cの検討から、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点において、以下の点で一致する。
「システム」が、「光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイス」を備える点。
(ウ) 構成Bの観点(選択的視認デバイス)
a 構成Bは、「システム」が、「パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイス」を備えることである。
b(a) 引用発明の「システム302」が備える「眼鏡型デバイス304」は、「光学素子306」を有し、「光学素子306」は「レンズ部を構成」する。
(b) ここで、本願明細書において、「選択的視認デバイスは、たとえば、ユーザが着用する眼鏡であってよく、それらの眼鏡のガラスが、ここで、パネルを形成することになる。」(【0023】)と記載されているから、本件補正発明の「パネル」には眼鏡のガラス(レンズ部)が含まれると解される。
(c) 前記(a)、(b)の検討から、引用発明の「レンズ部を構成」する「光学素子306」を有する「眼鏡型デバイス304」は、本件補正発明の「パネルを備える」「視認デバイス」に相当する。
c(a) 引用発明の「光学素子306」は、「電圧が加えられると不透明になる透明な液晶層」による「シャッターを含み」、「第2信号322の第1の電圧レベルに応じて」、「不透明になり」、「第2信号322の第2の電圧レベルに応じて」、「透過性を増」すことにより、「スクリーン312を照射し、同時に光学素子306を透明にすることで、第1の光パターンに対応する光が光学素子306を通過することができ、スクリーン312が照射されていないとき、光学素子306は不透明となり、周囲光の混入が光学素子306を通過するのを遮断する」ものである。
(b) 引用発明において、「第1の光パターン」は「コンテンツを表示」するものであり、前記bで示したように、引用発明の「レンズ部を構成」する「光学素子306」が、本件補正発明の「パネル」に相当するから、引用発明の「第1の光パターンに対応する光が光学素子306を通過することができ」るように「光学素子306を透明にすること」は、本件補正発明の「表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され」ることに相当する。
(c) また、引用発明の「光学素子306」が含む「シャッター」が、「第2信号322の第1の電圧レベルに応じて」、「不透明になり」、「第2信号322の第2の電圧レベルに応じて」、「透過性を増」すことは、本件補正発明の「前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する」ことに相当する。
(d) 前記(c)の検討から、「光学素子306」は、「シャッター」が「不透明」な状態と「透過性を増」した状態に制御されることにより、光の「通過」と「遮断」を制御するものであり、そのような「光学素子306」が「レンズ部を構成」する「眼鏡型デバイス304」は、本件補正発明の「選択的視認デバイス」に相当する。
d 前記b、cの検討から、本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点において、以下の点で一致する。
「システム」が、「パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイス」を備える点。
(エ) 構成Cの観点(駆動部)
a 構成Cは、「システム」が、「前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部」を備えることである。
b 引用発明の「システム302」が備える「表示装置310」において、「表示装置310のスクリーン312は」、「第1の光パターン」により「コンテンツを表示」するものであるから、引用発明の「システム302」が、「コンテンツを表示」するために「第1の光パターン」により「表示装置310」を駆動する構成を備えることは明らかであり、当該構成が、本件補正発明の「前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部」に相当する。
c 前記bの検討から、本件補正発明と引用発明は、構成Cの観点において、以下の点で一致する。
「システム」が、「前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部」を備える点。
(オ) 構成Dの観点(放射デバイスと選択的視認デバイスの同期)
a 構成Dは、「前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され」ることである。
b 引用発明では、「スクリーン312の第1の光パターンに対応する第1信号314が示す、光源がアクティブ、又は、非アクティブを示すタイミングと、光学素子306が透明であること、又は、透過性が制限されている(又は不透明である)ことを示すタイミングとが略一致」するものである。
c ここで、引用発明の「光源がアクティブ」「を示すタイミング」は、本件補正発明の「高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態」である時間に相当し、引用発明の「光学素子306が透明であること」は、本件補正発明の「前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態」が「高透明度」であることに相当するところ、引用発明の「光源がアクティブ」「を示すタイミングと」、「光学素子306が透明であること」「を示すタイミングとが略一致」することは、本件補正発明の「高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され」ることに相当する。
d 前記b、cの検討から、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点において、以下の点で一致する。
「前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合され」る点。
(カ) 構成Eの観点(光電子変換手段)
a 構成Eは、「システム」が、「周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段」を備えることである。
b 引用発明の「システム302」は、構成Eに相当する手段を備えないから、本件補正発明と引用発明は、構成Eの観点において、以下の点で相違する(以下「相違点1」という。)。
<相違点1>
本件補正発明の「システム」が、「周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段」を備えるのに対して、
引用発明の「システム302」は、そのような手段を備えない点。
(キ) 構成F、構成Gの観点(周囲光の強度を測定するための手段等)
a 構成Fは、「システム」が「前記周囲光の強度を測定するための手段」を備えることである。
b また、構成Gは「前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている」ことである。
c 引用発明の「システム302」は、構成Fに相当する手段を備えない。
d また、構成Gについて、引用発明において、「表示装置310」によって放射される光と周囲光の明るさの関係は不明である。
e 前記c、dから、本件補正発明と引用発明は、構成F、構成Gの観点において、以下の点で相違する(以下「相違点2」という。)。
<相違点2>
本件補正発明の「システム」が「前記周囲光の強度を測定するための手段」を備え、また、「前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている」のに対して、
引用発明の「システム302」はそのような手段を備えず、また、「表示装置310」によって放射される光と周囲光の明るさの関係が不明である点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「情報を表示するためのシステムであって、
光を放射してユーザに情報を表示するように構成される放射デバイスであって、パルス様式で光を放射するように適合され、そのため、光の強度が、高い値と低い値との間で変わる、放射デバイスと、
パネルを備える選択的視認デバイスであって、表示される前記情報を視覚的に知覚するように、そのパネルを通して前記放射デバイスによって放射される光を前記ユーザが見ることができるように前記パネルが適合され、前記パネルが、高透明度の状態と低透明度の状態との間で変化することができる可変透明度を有する、選択的視認デバイスと、
前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部と、
を備え、
前記システムが、高強度値で光を放射する前記放射デバイスの状態と、高透明度の前記選択的視認デバイスの前記パネルの状態とが、時間的に重なるように、前記放射デバイスと前記選択的視認デバイスとを同期させるように適合される、
システム」
の発明である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明の「システム」が、「周囲光を前記システムに供給される電気エネルギーへと変換するように構成される光電子変換手段」を備えるのに対して、
引用発明の「システム302」は、そのような手段を備えない点。
b 相違点2
本件補正発明の「システム」が「前記周囲光の強度を測定するための手段」を備え、また、「前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている」のに対して、
引用発明の「システム302」はそのような手段を備えず、また、「表示装置310」によって放射される光と周囲光の明るさの関係が不明である点。
(5) 判断
ア 相違点1について
(ア) 「表示装置において、太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池を備えて電源供給すること。」は周知技術である(前記(3)ア(ウ)の「周知技術1」を参照)。
(イ) 引用発明の「システム302」が備える「表示装置310」において、電源の消費電力の抑制は自明の課題であり、また、引用発明の「システム302」は「明るい周囲光条件下でスクリーンを視認する」ためのものであるところ、前記自明の課題を解決するため、引用発明の「表示装置310」に前記周知技術1を取り入れ、太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池(本件補正発明の「光電子変換手段」に相当)を備えて「明るい周囲光」を電源供給に用いるようにすることで、前記相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 「ディスプレイのバックライトにおいて、ディスプレイが見えるように、バックライトセンサと周辺光センサを用いて、バックライトの量を周辺光の量よりも多くすること。」は周知技術である(前記(3)イ(イ)の「周知技術2」を参照)。
(イ) 引用発明は「スクリーンを視認する際の知覚されるコントラストを改善」することを課題としているから、当該改善のために引用発明に周知技術2を取り入れ、「表示装置310」によって放射される光による明るさを取得するセンサと周囲光の明るさを取得するセンサ(本件補正発明の「周囲光の強度を測定するための手段」に相当)を備え、それらセンサを用いて、「表示装置310」によって放射される光の量を周囲光の量よりも多くすることで、前記相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1、2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について(進歩性)
(ア) 請求人の主張内容
請求人は審判請求書において、進歩性に関し、以下a、bを主張する。
a 本件補正発明は、システムが「前記放射デバイスを駆動するための第1の駆動部」を備えることと、「前記システムは、前記第1の駆動部が、前記放射デバイスによって前記高強度値で放射される光を、前記周囲光と同じ明るさとする、またはより明るくするように、構成されている」ことと、を発明特定事項として有するが、引用文献のいずれにも、前記発明特定事項は記載も示唆もされていない。
b 本願におけるコントラスト対策の本質は、引用文献が主張しているような周囲光をカットすることではなく、瞬間的にのみ周囲光よりも強くディスプレイを発光させることである。これに加えて、本願では消費電力を低減することを目的として、その余の時間で全体の光をカットしている。これらの組み合わせによって、各瞬間のみを繋げて知覚する使用者にとってはディスプレイの発光強度は常に周囲光と同じまたはより強い一方で、実際の消費電力は大幅に節約できるという効果を有する。
(イ) 請求人の主張についての検討
前記(ア)の主張について検討すると、前記(ア)aは、本件補正発明が前記相違点2に係る構成を備えることを主張するものであり、前記(ア)bはその効果を主張するものであるが、前記イで検討したとおり、引用発明に周知技術2を取り入れ、相違点2に係る構成を備えることは、当業者にとって容易であり、その効果として当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできないから、前記(ア)の主張は、前記ウで示した結論を左右するものではない。
オ 上申書における補正案について
(ア) 補正案の内容
請求人は上申書において、請求項1の補正案を提示し、補正する用意がある旨述べている。当該補正案における補正内容は、本件補正発明に次の下線に係る構成を付加するものである。以下、本件補正発明に次の構成を付加したものを「補正案発明」という。
「前記エネルギー貯蔵デバイスが少なくとも第1のエネルギー貯蔵構成要素および第2のエネルギー貯蔵構成要素を備え、前記システムが、前記第1のエネルギー貯蔵構成要素および第2のエネルギー貯蔵構成要素のうちの片方が充電される一方で、前記第1のエネルギー貯蔵構成要素および第2のエネルギー貯蔵構成要素のうちの他方が前記放射デバイスにエネルギーを供給するように構成され、以前に充電された前記第1のエネルギー貯蔵構成要素および第2のエネルギー貯蔵構成要素のうちの前記片方の前記エネルギー貯蔵構成要素が今度は前記放射デバイスにエネルギーを供給するように使用される一方で、前記第1のエネルギー貯蔵構成要素および第2のエネルギー貯蔵構成要素のうちの前記他方の前記エネルギー貯蔵構成要素が充電されるように、前記第1のエネルギー貯蔵構成要素および前記第2のエネルギー貯蔵構成要素を切り替えるように構成される」
(イ) 補正案についての検討
a 補正案発明と引用発明は、前記相違点1、2に加え、引用発明が前記(ア)で示す構成を備えていない点で更に相違する(以下「相違点3」という。)。
b 前記相違点1、2については、前記ア、イに示したとおりであるので、前記相違点3について以下検討する。
c(a) 前記(ア)で示す構成は、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項3に記載された構成と実質的に同じである。
(b) 前記構成に関し、前記最初の拒絶理由通知書において原審審査官が指摘したとおり、出願前に発行された特開2014-011811号公報の段落【0015】~【0019】、【0039】、【図1】の記載事項に例示されるように、「太陽電池を用いた電源回路において、2つのバッテリーを交互に充放電させる方式」は当業者にとって周知であったと認められるところ(以下「周知技術3」という。)、引用発明に前記周知技術3を取り入れ、前記相違点3に係る構成を備えることは、当業者が適宜なし得た設計事項である。
d 前記a~cの検討から、引用発明において、前記相違点1~3に係る補正案発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、補正案発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、補正案発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ) 以上の検討から、仮に請求項1を前記補正案のとおり補正したとしても、進歩性を肯定することはできない。
(6) 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
5 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記2で示したとおり、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
仮に、本件補正が同法17条の2第3項の規定に適合するとしても、前記3で示したとおり、本件補正は、同法17条の2第5項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
また、仮に、本件補正が同法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するとしても、前記4で示したとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 当審にて検討する拒絶の理由の概要
(1) 原査定に係る拒絶の理由
審査において、前記最初の拒絶理由通知書では、拒絶の理由1(進歩性の欠如)を含む拒絶の理由が通知され、その後、令和5年9月29日付け拒絶理由通知書(以下、「最後の拒絶理由通知書」という。)では拒絶の理由(新規事項)が通知され、原査定は、前記最後の拒絶理由通知書の拒絶の理由(新規事項)に基づいてなされたものである。
(2) 当審にて検討する拒絶の理由
a 前記最後の拒絶理由通知書及び原査定のいずれにおいても、以下の記載があるとおり、本願発明が最初の拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由1(進歩性の欠如)を解消したか否かの判断は示していない。
「なお、当該補正がなされた請求項1-14に記載した事項は、翻訳文等(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内にないから、当該請求項に係る発明については新規性、進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。」
b ここで、審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においてもその効力を有するところ(特許法158条)、最初の拒絶理由通知書における前記拒絶の理由1(進歩性の欠如)に対して、請求人(出願人)には意見を述べる機会が既に与えられたといえるから、当審では、本願発明が前記拒絶の理由1(進歩性の欠如)を解消しているか否かを検討し、また、当審において改めて拒絶理由を通知することはしない。
(3) 最初の拒絶理由通知書における前記拒絶の理由1(進歩性の欠如)のうち、本願の請求項1に係る発明に対する引用文献1を主たる引用文献とした理由の概要は次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如) 本願の請求項1に係る発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.米国特許出願公開第2015/0070742号明細書
(主たる引用文献)
引用文献4.特開2012-109530号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2011-097170号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.特開2011-160543号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7.米国特許第05260885号明細書(周知技術を示す文献)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項並びに引用発明及び周知技術1、2は、前記第2の4(2)ア並びにウ及び(3)ア(ウ)、イ(イ)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、「システム」の発明である本件補正発明から、「周囲光の強度を測定するための手段」を備えるという構成要件を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に構成要件を追加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の4(5)において説示したとおり、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-012962