特許拒絶査定不服審判
2024-017282
基板グリッドを決定するための測定装置及び方法
- 審判番号
- 2024-017282
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-194951
- 請求日
- 2024年10月30日
- 審決日
- 2026年03月26日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 藤田 年彦
- 審判官 小澤 尚由
- 審判官 横井 亜矢子
- 分類
- P18 .121-Z (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-194951「基板グリッドを決定するための測定装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和5年2月16日出願公開、特開2023-24511〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月17日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2020-537177号)の一部を、令和4年12月6日に新たな外国語書面出願としたものであって(パリ条約による優先権主張 2018年1月30日(以下「最先の優先日」という。) 欧州特許庁、2018年11月30日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年12月 9日 :翻訳文、手続補正書の提出
令和6年 1月11日付け:拒絶理由通知書
同年 4月15日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 7月 1日 :原査定の謄本の送達)
同年10月30日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年10月30日に提出された手続補正書の請求項1(なお、同手続補正書による補正は、請求項10及び12における明りょうでない記載の釈明を目的とする補正のみであり、請求項1の内容を変更するものではない。)に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における前記基板の露光に先立って、前記基板の変形を表す基板グリッドを決定するための方法であって、
前記基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを前記リソグラフィ装置の外部で取得することと、
前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを前記リソグラフィ装置の外部で取得することと、
少なくとも前記位置データに基づいて、前記基板グリッドを決定することと、
前記基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための前記基板グリッド及び前記非対称データを前記リソグラフィ装置に送ることと、
を含む、方法。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図4】及び【図5】に部材名を記入したものを掲載する。
<本願発明の分説>
X 基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における前記基板の露光に先立って、前記基板の変形を表す基板グリッドを決定するための方法であって、
A 前記基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを前記リソグラフィ装置の外部で取得することと、
B 前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを前記リソグラフィ装置の外部で取得することと、
C 少なくとも前記位置データに基づいて、前記基板グリッドを決定することと、
D 前記基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための前記基板グリッド及び前記非対称データを前記リソグラフィ装置に送ることと、
を含む、
X 方法。
<参考図>
【図1】
[図:0001438770000001.jpg]
【図4】
[図:0001438770000002.jpg]
【図5】
[図:0001438770000003.jpg]
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
ア 【技術分野】、【背景技術】、【発明の概要】
「【技術分野】
…(中略)…
【0002】
[0002] 本記載は、基板グリッドを決定するための測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)などの装置の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用し得る。この放射の波長により、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。波長が4~100nmの範囲、例えば6.7nm又は13.5nmである極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置であれば、例えば、波長が193nmである放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することが可能である。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の古典的な解像限界より小さい寸法を有するフィーチャをプロセスするために、低k1リソグラフィが用いられ得る。そのようなプロセスでは、解像度の式は、CD=k1×λ/NAで表され得、ここで、λは、使用される放射線の波長であり、NAは、リソグラフィ装置の投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」であり(一般には印刷される最小フィーチャサイズであるが、この場合にはハーフピッチ)、k1は、経験的な解像度ファクタである。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的な機能性及び性能を達成するために回路設計者が計画した形状及び寸法に似せたパターンを基板上に複写することが困難になる。このような困難を克服するために、高度な微調整ステップがリソグラフィ投影装置及び/又はデザインレイアウトに適用され得る。そのようなステップとして、例えば、NAの最適化、照明方式のカスタマイズ、位相シフトパターニング装置の使用、デザインレイアウトの様々な最適化、例えば、デザインレイアウトにおける光近接効果補正(OPC)又は他の一般的に「解像度向上技術」(RET)と定義される方法があるが、これらに限定されない。さらに又は代わりに、低k1でのパターン複写を改善するために、リソグラフィ装置の安定性を管理する厳格管理ループが用いられ得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] リソグラフィ装置における基板の露光に先立って、基板の変形の表現を提供する基板グリッドを生成するために、幾つかの基板アライメントマークの位置を測定することが知られている。
【0007】
[0007] 本明細書で説明される実施形態は、EUVリソグラフィ装置での使用を有し得る。実施形態は、深紫外線(DUV)リソグラフィ装置及び/又は別の形式ツールでの使用を有し得る。
【0008】
[0008] 態様において、基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における基板の露光に先立って、基板の変形を表す基板グリッドを決定するための方法であって、基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャ用の位置データを取得することと、複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャ用の非対称データを取得することと、位置データに基づいて基板グリッドを決定することと、基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための基板グリッド及び非対称データをリソグラフィ装置に送ることと、を含む方法が提供される。
【0009】
[0009] 態様において、基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置において、基板の露光に先立って、基板の変形を表す基板グリッドを決定するように構成された測定装置であって、測定装置は、基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャ用に位置データを取得するように構成された光学系を含み、光学系は、複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャ用に非対称データを取得するように更に構成され、測定装置は、位置データ、又は位置データ及び非対称データの両方に基づいて基板グリッドを決定するように、且つ基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために露光プロセスの少なくとも一部を制御するための基板グリッド及び非対称データをリソグラフィ装置に送るように、構成される測定装置が提供される。
【0010】
[00010] 態様において、製造プロセスにさらされ且つプロセス歪みを有するターゲットを含む基板の測定から取得されたプロセスパラメータ測定エラー用の値を算出するための方法であって、プロセスパラメータ測定エラーは、プロセス歪みの結果であり、方法は、基板をアライメントするために使用される1つ又は複数のアライメントマークにおける非対称性を示すアライメント非対称データを取得することと、プロセスパラメータ測定エラーにアライメント非対称データを相関させるモデルを取得することと、プロセスパラメータ測定エラーの値を取得するために、アライメント非対称データ及びモデルを用いることと、を含む方法が提供される。」
イ 【発明を実施するための形態】
「【0015】
[00022] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照明システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
…(中略)…
【0022】
[00029] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC(リソセル又は(リソ)クラスタと呼ばれることもある)の一部をなし得、リソグラフィセルLCは、基板Wに対して露光前プロセス及び露光後プロセスを実施するための装置も含むことが多い。従来、そのような装置として、レジスト層を堆積させる1つ又は複数のスピンコータSC、露光したレジストを現像する1つ又は複数のデベロッパDE、1つ又は複数の冷却プレートCH及び/又は1つ又は複数のベークプレートBK(これらは、例えば、基板Wの温度を調節するものであり、それは、例えば、レジスト層中の溶剤を調節するために行われる)がある。基板ハンドラ(即ちロボット)ROが基板Wを入出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、それらの基板Wを様々なプロセス装置間で動かし、それらの基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBまで送達する。リソセル内のデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、典型的にはトラック制御ユニットTCUの管理下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は、監視制御システムSCSによって制御され得、監視制御システムSCSは、リソグラフィ装置LAも(例えば、リソグラフィ制御ユニットLACUを介して)制御し得る。
【0023】
[00030] リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが、正確且つ確実に露光されるために、基板を検査して、パターン形成された構造の1つ又は複数の特性の値、例えば連続する層間のオーバーレイエラー値、線の太さ、クリティカルディメンジョン値(CD)等を測定することが望ましい。そのために、1つ又は複数の検査ツール(図示せず)が、リソセルLCに含まれ得る。エラーが検出された場合、特に同じバッチ又はロットの他の基板Wが露光又はプロセスされる前に検査が行われる場合に、例えば、連続する基板の露光又は基板Wに対して実施されるべき他の処理ステップに対する調節が行われ得る。
【0024】
[00031] メトロロジ装置とも呼ばれ得る検査装置は、基板Wの1つ又は複数の特性を測定するために使用され、特に異なる基板Wの1つ又は複数の特性の値がどのようにばらつくか、又は同じ基板Wの異なる層に関連する1つ又は複数の特性の値が、層ごとにどのようにばらつくかを決定するために使用される。検査装置は、代わりに、基板W上の欠陥を識別するように構築され得、且つ例えばリソセルLCの一部分であり得るか、又はリソグラフィ装置LAに組み込まれ得るか、又はスタンドアロン装置でさえあり得る。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)に関する1つ又は複数の特性か、半潜像(露光後ベーク工程PEB後のレジスト層内の像)に関する1つ又は複数の特性か、現像されたレジスト像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)に関する1つ又は複数の特性か、又は更に(エッチング等のパターン転写工程後の)エッチングされた像に関する1つ又は複数の特性を測定し得る。
…(中略)…
【0028】
[00035] リソグラフィ装置LAは、基板上にパターンを正確に再現するように構成される。施されるフィーチャの位置及び寸法は、ある許容範囲内にあるべきである。位置エラーは、オーバーレイエラー(しばしば「オーバーレイ」と呼ばれることが多い)ゆえに発生し得る。オーバーレイは、第2の露光中の第2のフィーチャに対して、第1の露光中の第1のフィーチャを配置する際のエラーである。リソグラフィ装置は、パターニングに先立って、各基板を基準に正確にアライメントすることによって、オーバーレイエラーを低減又は最小化することを目指す。これは、アライメントセンサを用いて、基板上のアライメントマークの位置を測定することによって行われる。アライメント手順に関するより多くの情報は、米国特許出願公開第2010-0214550号で見つけることができ、その米国特許出願公開は、参照により、その全体において本明細書に組み込まれる。パターン寸法測定(CD)エラーは、例えば、基板が、リソグラフィ装置の焦点面に対して正確に位置決めされない場合に発生し得る。焦点位置エラーは、基板表面の非平坦性に関連付けられてもよい。リソグラフィ装置は、レベルセンサを用い、パターニングに先立って基板表面トポグラフィを測定することによって、焦点位置エラーを低減又は最小化する。基板高さ補正は、基板上へのパターニングデバイスパターンの正確な撮像(フォーカシング)の保証を支援するために、後続のパターニング中に適用される。レベルセンサシステムに関するより多くの情報は、米国特許出願公開第2007-0085991号で見つけることができ、その米国特許出願公開は、参照により、その全体において本明細書に組み込まれる。
…(中略)…
【0039】
[00046] 図4は、測定装置(以下では、フィードフォワードメトロロジクラスタ(FFMC)10と呼ばれる)を示し、それは、基板12が露光用にリソグラフィ装置LAに送られる前に、基板12の測定を行うように配置される。FFMC10は、フォトレジスト堆積ツールの後に且つリソグラフィ装置LAの前に配置されてもよい。FFMC10は、第1のステージ14及び第2のステージ16を有する2重ステージシステムであってもよい。
【0040】
[00047] FFMC10の第1のステージ14は、アライメントセンサ18を含む。典型的には、第1のステージ14はまた、レベルセンサと典型的には呼ばれる他のセンサシステム(例えばアライメントセンサ18)に対する基板のレベリングを提供するセンサシステムを含んでもよい。何れかのクラスのレベルセンサ、例えばガス(例えば空気)ゲージ、光学レベルセンサ、スタンプベースのセンサ(基板との機械的相互作用に基づいた)等が利用されてもよい。典型的には、レベルセンサは、基板と他のセンサとの間の単一の距離数は提供しないが、しかしそれは、基板の高さプロファイルを決定するために、複数の位置で基板の高さをサンプリングする。アライメントセンサ18は、複数の第1のフィーチャの位置データを測定するように構成され、複数の第1のフィーチャは、この例示的な場合に、アライメントマークである。アライメントマークは、特定のピッチを有する回折格子を含んでもよい。典型的には、アライメントマークのピッチは、アライメントマークの位置を測定するために使用される放射の波長より実質的に大きく、従って、アライメントセンサ18は、望ましくは0.9以下の低開口数(NA)を有してもよい。第1のフィーチャの位置を測定するためのアライメントセンサの要求されるNAを考慮して、これらの第1のフィーチャは、本明細書では「低NAアライメントマーク」と呼ばれる。
【0041】
[00048] アライメントセンサ18が、低NAセンサであることは有利になり得る。何故なら、アライメント及びレベリングが、同じ基板上で行われ、且つスペースが、レベリングを実行するために、レベルセンサと基板12との間に必要とされるからである。
【0042】
[00049] 複数の低NAアライメントマークの位置データを取得するために、アライメントセンサ18は、(例えばアライメントセンサ18に対して基板12を移動させることによって)基板12にわたって走査される。
【0043】
[00050] FFMC10の第2のステージ16は、複数の低NAアライメントマークの位置を測定するように構成された1つ又は複数の、この例示的な場合には3つのメトロロジセンサ20(即ち光学系)を含む。メトロロジセンサ20はまた、複数の低NAアライメントマークのフィーチャの非対称性を測定してもよい。他の例において、第2のステージ16は、3つより多いか又は少ないメトロロジセンサ20を含んでもよい。
【0044】
[00051] メトロロジセンサ20は、例えば0.9より大きいNAを有する高開口数(NA)光学系を含んでもよい。即ち、メトロロジセンサ20の1つ又は複数は、高NAセンサである。従って、図7のステップ102に示されたように、低NAアライメントマーク用の位置及び非対称データは、例えば0.9より大きいNAを有するセンサを含む高NA光学系を使用して取得されてもよい。
【0045】
[00052] メトロロジセンサ20は、アライメントセンサ18と比較された場合に、基板12に比較的接近して位置してもよく、従って、比較的大きいNAを有することができる。
【0046】
[00053] メトロロジセンサ20は、例えば、メトロロジセンサ20の像面において低NAアライメントマークを検出することによって低NAアライメントマークの位置データを測定し、且つメトロロジセンサ20の瞳面において低NAアライメントマークを観察することによって非対称データを測定してもよい。
【0047】
[00054] 特に、解析は、低NAアライメントマークから散乱された放射に対して実行される。低NAアライメントマークからの散乱放射の回折(角度)スペクトルに関連する強度における非対称性は、低NAアライメントマークの非対称性を決定できるようにする。メトロロジセンサ20は、散乱放射の回折スペクトルを検出することができるために、高NAセンサであってもよい。
…(中略)…
【0051】
[00058] ステップ104は、位置データ及び任意選択的に非対称データに基づいて基板グリッドを決定することを含む。基板12は、それがさらされたプロセスから変形された可能性があり、基板グリッドは、これらの変形が位置する場所を示す。しかしながら、低NAアライメントマークもまた、基板12がさらされたプロセスから変形された可能性がある。即ち、低NAアライメントマークは、非対称性を有し得る。これは、低NAアライメントマークからの位置データが正確ではない可能性があり、従って、変形を表す基板グリッドが、正確ではない可能性があることを意味する。低NAアライメントマークからの非対称データは、低NAアライメントマークの非対称性を補正するために、且つ従って改善された基板グリッド(非対称性を補正された基板グリッド)を提供するために用いられてもよい。換言すれば、非対称データは、基板グリッドに対する低NAアライメントマークの非対称性の影響を低減又は最小化するために用いられてもよい。そのようなものとして、非対称性を補正された基板グリッドは、位置及び非対称性のデータから決定されたものとして、基板12の変形を表す一層正確な基板グリッドを含み得る。
【0052】
[00059] ステップ106では、この非対称性を補正された基板グリッドは、リソグラフィ装置に送られる。代替としてステップ106では(又は追加として)、未補正の基板グリッド(位置測定だけに基づいた基板グリッド)が決定され、非対称データと一緒にリソグラフィ装置に送られてもよい。
【0053】
[00060] そのようなものとして、ひとたび基板グリッドが決定され、非対称データが測定されると、基板12は、非対称性を補正された基板グリッド及び/又は未補正の基板グリッド並びに非対称データと一緒に、図4で矢印22によって示されたようにリソグラフィ装置LAに送られる。
【0054】
[00061] ステップ106で送付された基板グリッドが、非対称性を補正されていない場合に、非対称性を補正された基板グリッドは、リソグラフィ装置によって/その内部で決定されてもよい。これは、1つ又は複数のフィーチャを基板上に作製ために基板を露光する後続のステップ108を制御するために基板グリッドが用いられる前に、行われるべきである。
【0055】
[00062] 図5は、LAの第1のステージ24及びLAの第2のステージ26を有するリソグラフィ装置を示す。LAの第1のステージ24では、LAアライメントセンサ28(以下ではLAアライメントセンサ28と呼ばれる)が提供される。LAアライメントセンサ28は、低NAセンサであってもよい。LAの第2のステージ26では、露光装置30が提供される。基板の露光後に、基板は、矢印32によって示されたように、メトロロジ装置(例えばオーバーレイ測定装置)に移送されてもよい。
【0056】
[00063] 例えば図1に示された位置測定システムIFと共に、LAアライメントセンサ28は、リソグラフィ装置LAにおいて基板12をアライメントし、且つリソグラフィ装置(「リソグラフィ装置基板グリッド」)内で測定されるような基板グリッドを更に決定するために用いられる。
【0057】
[00064] 説明されたように、FFMC10によって決定されたような基板グリッドが、非対称性を補正された基板グリッドである場合に、この既に正確な基板グリッドは、(例えばリソグラフィ装置基板グリッドを備えた)リソグラフィ装置におけるアライメントプロセスによって決定されるような基板グリッドにマップされてもよい。非対称性を補正された基板グリッドをリソグラフィ装置基板グリッドにマップすることによって取得された基板グリッドは、基板12上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するために使用されてもよい(図7のステップ108)。これは、基板グリッド及び非対称データ(図7のステップ110)に基づいて、例えば非対称性を補正された基板グリッドに基づいて、リソグラフィ装置LAにおいて基板12をアライメントすることを含んでもよい。
【0058】
[00065] FFMC10によって決定されるような基板グリッドが、非対称性をまだ補正されていなかった場合に、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィ装置基板グリッド及びFFMC10によって測定されるような基板グリッドに対するアライメントマークの非対称性の影響を低減又は最小化するために、基板グリッド及び非対称データを用いてもよい。マークの測定に基づいて基板グリッドの精度を改善するために非対称データを用いる一般的な方法が、米国特許第9778025号に開示され、その米国特許は、参照により、その全体において本明細書に組み込まれる。
【0059】
[00066] 基板12がリソグラフィ装置LAに送られる前に、低NAアライメントマークの位置データ及び非対称データを測定することによって、リソグラフィ装置LAにおいて実行できるよりも多くのアライメントマークを測定できるようになる。その理由は、例えばリソグラフィ装置LAにおいて基板12の最大のスループットを可能にするために、(露光中には)製作途中の測定用に設定される時間制限が存在するからである。例えば、FFMC10を用いることによって、リソグラフィ装置LAにおいて行うことができる約40だけの異なるアライメントマーク測定と比べて、例えば、アライメントマークのx-y位置の200~600の測定を行うことができるようになる。測定されるマークが多ければ、(ある基板変形を表す)決定された基板グリッドの精度は、それだけよくなる。
【0060】
[00067] 他の例において、メトロロジセンサ20は、第2のフィーチャの位置データを測定してもよく、第2のフィーチャは、例示的な場合にメトロロジターゲットを含んでもよい。メトロロジターゲットは、(例えばレジスト(より一般的)に、又はエッチングプロセスの後で)リソグラフィプロセスによって形成された複合格子の集合であってもよい。典型的には、格子における構造のピッチ及び線幅は、メトロロジターゲットから来る回折次数を捕捉することができるように、測定光学部品(特に光学部品のNA)に基づいて選択される。
【0061】
[00068] 回折された放射は、2つの層(「オーバーレイ」とも呼ばれる)間の位置シフトを決定するために用いられてもよく、又はリソグラフィプロセスによって生成されるような格子のジオメトリの少なくとも一部を再構築するために用いられてもよい。この再構築は、リソグラフィプロセスの品質のガイダンスを提供するために用いられてもよく、且つリソグラフィプロセスの少なくとも一部を制御するために用いられてもよい。メトロロジターゲットは、オーバーレイターゲットであってもよい。オーバーレイターゲットは、特定のピッチを備えた回折格子であってもよく、オーバーレイターゲットは、通常、アライメントマークより小さい。他の例において、メトロロジセンサ20は、第2のフィーチャの非対称データを測定してもよい。第2のフィーチャ(例えばメトロロジターゲット)の機能は、この文献では、アライメント目的と最も関連付けられ、且つ第2のフィーチャが、高NAセンサ(メトロロジセンサ)を用いて測定される必要があるので、それらは、この文献では高NAアライメントマークと呼ばれる。高NAアライメントマークは、典型的には、基板にわたって密に分散され、且つ個別の露光フィールドに匹敵する空間規模で、基板変形の特徴付けを可能にするほどに密に分散される。高NAアライメントマークは、例えば、露光フィールド内のダイ間のスクライブレーンに、及び/又は露光フィールド間のスクライブレーンに配置される。換言すれば、高NAアライメントマークに関連する位置の測定は、基板グリッドのより高い解像度の(典型的にはフィールド内の)特徴付けを可能にし得る。
…(中略)…
【0064】
[00071] 非対称性測定は、低NAアライメントマーク及び高NAアライメントマークの両方から行うことができる。高NAアライメントマークは、一般的に、低NAアライメントマークより小さいピッチを有する。両方のマークタイプの非対称性に対する処理(例えば化学機械平坦化(CMP))の影響は、通常、同一ではない。典型的には、より小さいピッチマークの非対称性は、より大きいピッチマークに関連する非対称性ほど処理に対して敏感ではない。従って、低NA及び高NAアライメントマークの両方用の専用非対称性測定が、典型的には用いられる。しかしながら、以下で説明される実施形態では、この要件は、緩和されるか又は除去されてもよい。
…(中略)…
【0070】
[00077] 図6は、ステージ34を含むオーバーレイ測定装置36を示す。オーバーレイは、基板12の1つの層上のフィーチャが、基板12の別の層における下にあるフィーチャの上に、どれくらい正確に作製されるかの尺度である。
【0071】
[00078] 高NAアライメントマークの非対称データを用いることによって、より優れたオーバーレイ測定が可能になる。その理由は、高NAアライメントマークの非対称性が、オーバーレイターゲットの非対称性と同じだと思われるからである。従って、高NAアライメントマークの非対称データは、オーバーレイを測定するためにメトロロジ装置36に送られてもよい(図7のステップ112)。図7のステップ114において、オーバーレイデータは、ステップ112からのオーバーレイ測定及び非対称データに基づいて、決定することができる。高NAアライメントマークの非対称データの利用は、オーバーレイターゲットの位置が、より正確に決定され得るので、オーバーレイ測定の精度の向上をもたらす。オーバーレイ測定精度を改善するために非対称データがどのように用いられるかという例が、米国特許第9134256号に開示され、その特許は、参照により、その全体において本明細書に組み込まれる。」
3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、最先の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献4~11)に基づいて、最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特表2015-528584号公報(主たる引用文献)
引用文献4.特開2006-186372号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.米国特許出願公開第2016/0334717号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献6.米国特許出願公開第2014/0168620号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献7.特開2008-4581号公報(周知技術を示す文献)
引用文献8.国際公開第2007/086316号(周知技術を示す文献)
引用文献9.国際公開第2005/083756号(周知技術を示す文献)
引用文献10.特開2007-158034号公報(周知技術を示す文献)
引用文献11.特開2007-115784号公報(周知技術を示す文献)
4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の最先の優先日前に発行された文献である引用文献1(特表2015-528584号公報)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記(2)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、図面を最も関連する記載に続けて掲載した。
ア 特許請求の範囲
「【請求項17】
基板上に形成された周期構造の非対称性依存パラメータを測定する方法であって、
(a)前記構造上のスポット内に放射を合焦させるステップと、
(b)正及び負の高次回折放射の両方を同時に含む、前記周期構造によって回折した放射を受光するステップと、
(c)第1検出器及び第2検出器上にそれぞれ前記スポットの第1像及び第2像を形成するステップであって、前記負の次数の放射を用いて前記第1像が形成され、前記正の次数の放射を用いて前記第2像が形成されるステップと、
(d)前記正及び負の次数の輝度を表す前記第1検出器及び第2検出器からの信号を共に処理して前記周期構造内の非対称性依存パラメータの測定値を生成するステップと、を含む方法。」
「【請求項25】
(f)回折放射の前記正及び負の次数分を用いて、前記放射スポットが、前記周期構造を横断する際に変動する位置感応信号を生成するステップと、(g)前記位置感応信号を処理して前記装置に対する前記基板の位置を計算するステップと、をさらに含む、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(g)で、非対称性依存パラメータの前記測定値を用いて前記位置感応信号内の非対称性感度が少なくとも部分的に補正される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
リソグラフィプロセスを用いてデバイスパターンが基板に付与されるデバイス製造方法であって、前記基板上に形成された1つ以上の周期構造の測定位置を参照して付与されたパターンを位置決めするステップを含み、前記測定位置が、請求項25又は26に記載の方法によって得られる方法。」
イ 技術分野、背景技術(段落【0002】~【0005】)
「【技術分野】
…(中略)…
【0002】
[0002] 本発明は、微細構造の非対称性の測定に関する。本発明は、基板上のマークの位置を測定する改良型の装置及び方法に適用されることが可能である。本発明のその他の態様は、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法、さらに光学要素を提供する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナと、を含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィプロセスを制御してデバイスフィーチャを基板上に正確に配置するために、基板上には一般的にアライメントマークが提供され、リソグラフィ装置は、基板上のマークの位置を正確に測定するための1つ以上のアライメントセンサを含む。これらのアライメントセンサは実際には位置測定装置である。様々な時期及び様々な製造業者からの様々なタイプのマーク及び様々なタイプのアライメントセンサが知られている。現在のリソグラフィ装置で広く使用されているタイプのセンサは、米国特許第6961116号明細書(den Boef他)に記載の自己参照干渉計に基づいている。一般的に、マークは別々に測定されてX及びY座標の位置が得られる。しかしながら、公開特許出願US2009/195768A号(Bijnen他)に記載のX及びY座標の組み合わせ測定も実行できる。上記出願の両方の内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0005】
[0005] 製品フィーチャが微細化するにつれて、特にオーバレイエラーを制御するために、より正確な位置測定を提供する必要が絶えず生じている。アライメントのエラーの1つの原因は、例えば、後続の製品層を塗布する処理に起因する可能性があるマークを構成するフィーチャの非対称性である。微細構造の非対称性とその他のパラメータとを測定することができるスキャトロメータなどのメトロロジーツールが存在する。これらは、原則的に、非対称性又はその他のパラメータを測定し補正するために適用可能である。しかしながら、実際には、それらは大量のリソグラフィ生産のためのアライメントタスクで要求される高いスループットで動作しない。また、それらは、容積、質量又はワット損に関するアライメント環境に不適合である。」
ウ 発明の概要(段落【0006】~【0015】)
「【0006】
[0006] より広義の態様では、本発明の目的は、微細構造の非対称性(又はより一般的には非対称性依存パラメータ)の測定の代替方法及び装置を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の目的は、別の態様では、改良型の位置測定装置、例えば、位置の測定に対するマークの非対称性の影響を補正することができるリソグラフィ装置内のアライメントセンサを提供することである。その点に関して、本発明者らは、アライメントシステムのスループットを過度に低下させることなく、アライメントマークからの位置測定と同時に行うアライメントマークの非対称性の測定に適用することができる非対称性測定方法を追求している。
…(中略)…
【0014】
[0014] 本発明はさらに、基板上に形成された周期構造の非対称性依存パラメータを測定する方法であって、
(a)構造上のスポット内に放射を合焦させるステップと、
(b)正及び負の高次回折放射の両方を同時に含む周期構造によって回折した放射を受光するステップと、
(c)第1及び第2の検出器上にそれぞれスポットの第1及び第2の像を形成するステップであって、負の次数の放射を用いて第1の像が形成され、正の次数の放射を用いて第2の像が形成されるステップと、
(d)正及び負の次数の輝度を表す第1及び第2の検出器からの信号を共に処理して周期構造内の非対称性の測定値を生成するステップと、を含む方法を提供する。
【0015】
[0015] 本発明はさらに、リソグラフィプロセスを用いてデバイスパターンが基板に付与されるデバイス製造方法であって、基板上に形成された1つ以上の周期構造の測定位置を参照して付与されたパターンを位置決めするステップを含み、測定位置が本発明の上記記載の方法によって得られる方法を提供する。」
エ 図面の簡単な説明(段落【0017】)
「【0017】
【図1】本発明のある実施形態による測定装置を形成するアライメントセンサを含む例示的なリソグラフィ装置を示す。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、図1の装置内の基板上に設けられ得る様々な形態のアライメントマークを示す。
…(中略)…
【図4】本発明のある実施形態を形成し図1の装置内のアライメントセンサとして使用可能な非対称性測定構成を含む改造型アライメントセンサの詳細概略図である。」
オ 発明を実施するための形態(段落【0018】~【0062】)
「【0018】
[0017] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
- 放射ビームB(例えばUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
- パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
- 基板(例えばレジストが塗布されたウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa又はWTbと、
- パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【図1】
[図:0001438770000004.jpg]
…(中略)…
【0025】
[0024] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。図1の例の2つの基板テーブルWTa及びWTbはこれを示している。本明細書に開示された本発明は自立して使用できるが、本発明は特にシングル又はマルチステージ装置の露光前測定ステージに追加の機能を提供することができる。
…(中略)…
【0032】
[0031] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTbと、基板テーブルをその間で交換することができる2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)と、を有するいわゆるデュアルステージタイプである。露光ステーションEXPで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションMEAで他方の基板テーブル上に別の基板を装着することができ、したがって、様々な準備ステップを実行することができる。準備ステップは、レベルセンサLSを用いた基板表面のマッピングと、アライメントセンサASを用いた基板上のアライメントマークの位置の測定と、を含んでいてもよい。これによって装置のスループットが大幅に増大する。位置センサIFが、基板テーブルが測定ステーション及び露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を測定することができない場合、第2の位置センサを提供して両方のステーションで基板テーブルの位置の追跡を可能にすることができる。本発明は、1つだけの、又は3つ以上の基板テーブルを有する装置に適用可能である。
…(中略)…
【0034】
[0033] 図2(a)は、X座標の位置及びY座標の位置のそれぞれの測定のために基板W上に提供されたアライメントマーク202、204の例を示す。この例の各々のマークは、基板に付与されたか又はエッチングされた製品層又はその他の層内に形成された一連のバーを含む。バーは規則的な間隔を置いて配置され、格子線の役割を果たすため、マークは周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折格子とみなすことができる。X軸方向のマーク202上のバーはY軸に対して平行でX軸方向の周期性を提供する一方、Y軸方向のマーク204上のバーはX軸に対して平行でY軸方向の周期性を提供する。アライメントセンサAS(図1に示す)は、放射スポット206、208で各マークを光学的にスキャンして正弦波などの周期的に変動する信号を得る。この信号の位相が解析され、アライメントセンサに対するマークの位置、したがって、基板wの位置が測定され、次に、基板の位置が装置の基準フレームRFに対して固定される。
【図2(a)】
[図:0001438770000005.jpg]
…(中略)…
【0041】
[0040] より小さい格子ピッチを有するマーク上のアライメントには利点がある。実際の生産におけるオーバレイ測定値は、実際には制御された試験条件下の場合よりもはるかに大きい。調査によれば、これは、製品ウェーハ上のアライメントマークが処理中に非対称になったためであると考えられる。アライメントマークのピッチを低減すると、通常、非対称性が測定されたアライメント位置に与える影響が減じられる。
…(中略)…
【0043】
オフアクシス照明を用いた位置測定
[0042] 図4は、上記先行の米国特許第6,961,116号明細書及び米国特許出願公開第2009/195768号明細書に記載のアライメントセンサの改造版である新規のアライメントセンサの光学システム400を示す。これによって、とりわけ、精度を向上させるアライメントマークの低減したピッチを可能にするオフアクシス照明モードのオプションが導入される。また、光学システムは、スキャトロメトリタイプの測定を別個のスキャトロメータ計器ではなくアライメントセンサを用いて実行することを可能にする。幾つかの分岐を有する光軸Oが光学システム400を貫通する破線で示されている。図3の概略図との比較を容易にするために、光学システム400の幾つかの部分は図3で使用するものと同様な符号が付いているが、接頭辞は「2」ではなく「4」である。したがって、光源420、照明ビーム422、対物レンズ424、情報搬送ビーム426、自己参照干渉計428及び検出器430が示されている。実際には、干渉計出力からの相補信号を受信する1対の検出器が提供されるが、それは本開示には関連しない。これらの検出器からの信号は、適宜変形されて下記の新規のフィーチャを実施する処理ユニットPU(以降の図には示さず)によって処理される。
【図4】
[図:0001438770000006.jpg]
【0044】
[0043] この詳細な概略図に示す追加のコンポーネントについて以下に説明する。照明サブシステム440内で、光源420からの放射が光ファイバ442を介して照明プロファイリング光学系446へ送達される。これによって、入力ビーム422がビームスプリッタ454を介して瞳面Pを有する対物レンズ424へ送達される。対物レンズ424は、ウェーハW上のアライメントマーク202/204/210上にスポット406を形成する。マークによって回折した情報搬送ビーム426は、ビームスプリッタ454を通過して干渉計428に達する。干渉計428は、放射場を直交偏波を有する2つの部分に分割し、これらの部分を、光軸を中心に互いに180°回転させ、出力ビーム482に再結合させる。レンズ484は、全放射場を図3の公知のアライメントセンサと同様の構成である検出器430上に合焦させる。この例と公知のアライメントセンサにおける検出器430は、効果的には、単一のフォトダイオードであり、空間情報を提供しない。共役瞳面内の空間分解能を有する検出器を追加してアライメントセンサハードウェアを用いた角度分解スキャトロメトリ方法を実行することができる。
【0045】
[0044] この例に含まれる具体的な変形形態は、以下に別途説明する非対称性測定装置460である。装置460は、干渉計の前段に位置する第2のビームスプリッタ462を通して情報搬送ビーム426の一部を受光する。
【0046】
[0045] 照明プロファイリング光学系446は様々な形態をとることができ、そのうち幾つかが本優先権主張日には公開されていない本出願人の先行の米国特許出願第61/623,391号に詳細に開示されている。上記出願に開示された例では、検出器側での空間分解の必要なしに低減した格子ピッチを使用できるアライメントセンサ(より一般的には、位置測定装置)が示されている。新規の照明モードを使用することで、これらの装置は、現在の検出器の設計を変えることなく、また照明プロファイルを変えることなく、広範囲の異なるピッチ、例えば、1μm未満から20ミクロンのピッチまでを有するマークの位置を測定することができる。先行出願第61/623,391号に記載の例に共通の具体的な特徴は、限られた範囲の入射角(瞳面内の限られた半径範囲)でのオフアクシス照明を使用するオプションである。オフアクシス照明とは、放射の光源領域が瞳の周辺部分、すなわち、光軸から一定の距離を置いた部分に限定されるということを意味する。照明を瞳の最周辺部に限定することで、アライメントマークからの最小可能ピッチは実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAまで低減する。ここで、λは使用する放射の波長、NAは計測器(例えば、アライメントセンサ、又はより一般的には、位置測定装置)の対物レンズの開口数である。また、先行出願第61/623,391号に記載の例は、所望の照明を提供すると同時にゼロ次回折放射の放射場ストップとしての役割を果たす装置のビームスプリッタ内のスポットミラーの特定の分布を利用する。照明モードを変更することなくX、Y及びXYマークのいずれかの上でのアライメントを可能にする「ユニバーサル」照明プロファイルを設計できるが、これによって、装置の性能及び/又はいくらかの複雑さを甘受しなければならない。あるいは、様々なマークタイプで使用するための専用モードを設計し、選択可能にすることができる。また、照明の異なる偏光も選択することができる。
【0047】
[0046] 照明プロファイリング光学系446の基本的機能は、少なくとも対物レンズ424の瞳内の第1及び第2の光源領域からコヒーレント放射を供給することである。第1及び第2の領域は上記瞳の周辺部分に限定される(少なくとも光軸から離れているという意味で)。それらの領域は、各々、角度範囲が限定され、光軸に対して互いに正反対の位置にある。先行出願第61/623,391号に記載の例から分かるように、光源領域は極めて小さいスポットの形態をとっていてもよく、又はより拡大した形態であってもよい。別の光源領域も提供することができ、特に、第3及び第4の領域を第1及び第2の領域から90°回転した位置に提供することができる。装置全体としてこれらの特定の照明プロファイルを提供する構成に限定する必要はない。装置は、異なるプロファイルの使用に好都合な公知の又は未開発の別の使用モードを有していてもよい。
…(中略)…
【0062】
非対称性の測定
[0061] これまで述べてきたように、位置測定装置を用いて、例えば、図1に示すようなリソグラフィ装置内のアライメント位置を得ることができる。アライメントマークが非対称であるときにはエラーになる。非対称のアライメントマークによって引き起こされるアライメントエラーは、リソグラフィ装置の運用時の測定値を用いてなされるデバイス内のオーバレイエラーに寄与する。正及び負の回折次数の間の輝度の差及び/又は位相差は、マークの形状、特に非対称性の情報を示す。位置測定装置に非対称性検出装置460を追加することで、位置測定とほぼ同じハードウェアを用いて、所望であれば位置測定と同時に、マークの非対称性を測定することができる。この測定は、リソグラフィ装置のアライメント中の非対称性によって引き起こされるアライメントエラーを補正する可能性を提起する。
…(中略)…
【0068】
[0067]この非対称性測定ブランチの発明で測定される信号によって、処理ユニットPUはアライメントと同時に非対称性の検出/マーク再構築を実行することができる。これによって、各測定され(当審注:「され」は「された」の誤記と認められる。)位置又はそのサブセットに補正を適用することができ、アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにする。アライメントセンサに追加される可動部品はなく、既存のセンサハードウェアを存分に利用することができる。この解決策はすべてのマークの向き(X、Y軸方向、及び45°のマーク)に有効である。本明細書に開示する本発明の原理内で多数の変形形態及び修正形態が可能である。これらの幾つかを、限定的ではなく、以下に示す。異なる実施形態に含まれる要素を別個に取り入れ、又は図示の方法とは別の方法で組み合わせることができる。
…(中略)…
【0074】
[0073]図4の装置は例として使用されるが、非対称性測定の同一の原理を上記先行特許出願第61/623,391号に記載されるような様々な設計の非対称性センサに適合させることができる。照明プロファイルと格子のピッチ及び方向によっては、単一の非可動瞳スプリッタを用いてすべての動作モード度をカバーすることは困難かもしれない。スプリッタを、可動部品、交換可能部品、電気活性部品を含む様々なプロファイルに適合させる様々なオプションが考えられる。本明細書に開示する非対称性測定の原理を、所望であれば、アライメント検知とは独立して適用し、スタンドアロン型センサ又は別のツールの一部を形成することができる。
…(中略)…
【0078】
[0077]本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。」
(2) 引用発明の認定
前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、ある実施形態(【図4】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「発明の目的は、位置の測定に対するマークの非対称性の影響を補正することができるリソグラフィ装置内のアライメントセンサを提供することであり、アライメントシステムのスループットを過度に低下させることなく、アライメントマークからの位置測定と同時に行うアライメントマークの非対称性の測定に適用することができる非対称性測定方法を追求していることであり、(【0007】)
リソグラフィ装置LAは、2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)と、を有し、
露光ステーションEXPで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションMEAで他方の基板テーブル上に別の基板を装着することができ、したがって、様々な準備ステップを実行することができ、
準備ステップは、レベルセンサLSを用いた基板表面のマッピングと、アライメントセンサASを用いた基板上のアライメントマークの位置の測定と、を含んでいてもよく、これによって装置のスループットが大幅に増大し、(【0032】)
基板W上に提供されたアライメントマークは、周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折格子とみなすことができ、(【0034】)
製品ウェーハ上のアライメントマークは、処理中に非対称になると考えられ、(【0041】)
リソグラフィ装置LAは、
本発明のある実施形態において、
装置内のアライメントセンサとして使用可能な非対称性測定構成を含む改造型アライメントセンサを有し、(【0017】)
具体的な変形形態は、非対称性測定装置460であり、(【0045】)
位置測定装置に非対称性検出装置460を追加することで、位置測定とほぼ同じハードウェアを用いて、所望であれば位置測定と同時に、マークの非対称性を測定することができ、この測定は、リソグラフィ装置のアライメント中の非対称性によって引き起こされるアライメントエラーを補正する可能性を提起するものであり、(【0062】)
アライメントと同時に非対称性の検出/マーク再構築を実行することによって、各測定された位置又はそのサブセットに補正を適用することができ、アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにするものであり、(【0068】)
非対称性測定の原理を、アライメント検知とは独立して適用し、スタンドアロン型センサ又は別のツールの一部を形成することができ、(【0074】)
基板は、露光前又は露光後に、トラック、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる(【0078】)
方法。」
5 引用文献7、8、12、13の記載事項、技術事項、技術常識及び周知技術の認定
(1) 引用文献12、13の記載事項、引用文献12技術事項及び技術常識1の認定
ア 引用文献12の記載事項及び引用文献12技術事項の認定
当審において新たに引用する、本願の最先の優先日前に発行された文献である特表2017-509016号公報(以下「引用文献12」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。また、引用文献の参照番号を審査と審判において共通のものとするため、「引用文献2」などと表記せず、「引用文献12」などの表記とした。
(ア) 引用文献12の記載事項
「【技術分野】
…(中略)…
【0002】
[0002] 本開示はリソグラフィ装置に関する。本開示は特に、光リソグラフィにおける合焦のために重要な局所高偏差(local height deviation)の測定に関する。本開示は更に、リソグラフィによってデバイスを測定する方法に関し、そのような装置及び方法の部分を実施するためのデータ処理装置及びコンピュータプログラム製品に関する。」
「【図面の簡単な説明】
…(中略)…
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に従ったリソグラフィ装置を示す。」
【図1】
[図:0001438770000007.jpg]
「【発明を実施するための形態】
…(中略)…
【0020】
[0019] 図1はリソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたパターニングデバイス支持体又は支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。」
「【0034】
[0033] この例におけるリソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa、WTbと、2つのステーションすなわち露光ステーションEXP及び測定ステーションMEAと、を有する、いわゆるデュアルステージタイプであり、これらのステーション間で基板テーブルを交換することができる。露光ステーションで一方の基板テーブル上の1枚の基板が露光されている間、測定ステーションで他方の基板テーブルに別の基板を搭載し、様々な予備工程を実行することができる。予備工程には、レベルセンサLSを用いて基板の表面高をマッピングすること、位置合わせセンサASを用いて基板上のアライメントマーカの位置を測定することが含まれ得る。」
【図3】
[図:0001438770000008.jpg]
「【0037】
パターニングプロセスの背景
[0036] 図3は、図1のデュアルステージ装置において基板W上のターゲット部分(例えばダイ)を露光するステップを示す。まず、従来の実施に従ったプロセスについて説明する。
【0038】
[0037] 左側の点線の四角内は測定ステーションMEAで実行されるステップであり、右側は露光ステーションEXPで実行されるステップを示す。時として、基板テーブルWTa、WTbの一方が露光ステーションに、他方が測定ステーションに位置することがある。この説明の目的のため、基板Wはすでに露光ステーションに搭載されていると仮定する。ステップ200では、図示しない機構によって新しい基板W’が装置に搭載される。これら2枚の基板は、リソグラフィ装置のスループットを向上させるため並行して処理される。
【0039】
[0038] まず、新たに搭載された基板W’を参照すると、これは、装置内で初めての露光のため新しいフォトレジストを用いて準備される、以前に処理されていない基板であり得る。しかしながら一般には、記載するリソグラフィプロセスは一連の露光及び処理ステップのうち1つのステップに過ぎないので、基板W’はすでに数回この装置及び/又は他のリソグラフィ装置を経ており、またこれ以降も複数のプロセスを経る可能性がある。特にパターニング性能向上の問題について、ここでの課題は、すでに1サイクル以上のパターニング及び処理を経た基板上に、最適な焦点で新しいパターンを確実に適用することである。それらの処理ステップによって次第に基板には歪み(局所高偏差)が生じるが、充分な焦点性能を達成するためにはこれを測定し補正しなければならない。局所高偏差は、基板を特定の基板テーブルにクランプする場合に起こる基板の変形によっても生じる。これらの変形はごくわずかであるが、極めて高い性能が要求される場合には顕著なものである。
…(中略)…
【0041】
[0040] 202では、基板マークP1等と画像センサ(図示せず)とを使用した位置合わせ測定を用いて、基板テーブルWTa/WTbに対する基板の位置合わせを測定し記録する。更に、位置合わせセンサASを用いて、基板W’におけるいくつかのアライメントマークを測定する。一実施形態では、これらの測定値を用いて「ウェーハグリッド」を確立する。これは、公称矩形グリッドに対する歪みも含めて、基板全体のマーク分布を極めて正確にマッピングする。
【0042】
[0041] ステップ204では、レベルセンサLSを用いて、X-Y位置に対するウェーハ高(Z)のマップを測定する。この高さマップは、露光パターンの正確な合焦を達成するために用いられる。
【0043】
[0042] 基板W’を搭載した際に、レシピデータ206が受信されている。これは、実行する露光を規定し、更にウェーハの特性と、ウェーハに以前形成したパターンと今後形成するパターンとを規定している。これらのレシピデータに、202、204で得られたウェーハ位置、ウェーハグリッド、及び高さマップの測定値を追加することで、完全なセットのレシピ及び測定データ208を露光ステーションEXPに渡すことができる。以下で説明するように、本明細書に記載する新規の方法では、レシピ及び測定データを予備知識(prior knowledge)で補足する。予備知識は、各基板における様々な領域でどのようにレベルセンサ信号から高さマップを計算するかに影響を与えるものである。
【0044】
[0043] 210では、ウェーハW’とWをスワップする。これによって、測定済みの基板W’が露光ステーションEXPに入っていく基板Wとなる。図1の例示的な装置において、このスワップは装置内で支持W体TaとWTbを交換することにより行うので、これらの支持体上で基板W、W’は正確にクランプされ位置決めされたままであり、基板テーブルと基板自体との間の相対的な位置合わせは保持される。従って、いったんテーブルを交換すると、投影システムPSと基板テーブルWTb(以前はWTaだった)との間の相対位置を確定するだけで、基板W(以前はW’だった)の測定情報202、204を露光ステップ制御において利用することができる。ステップ212では、マスクアライメントマークM1、M2を用いてレチクル位置合わせを実行する。ステップ214、216、218では、多数のパターンの露光を完了するため、基板Wにおける連続ターゲット位置にスキャン移動及び放射パルスを適用する。」
(イ) 前記(ア)に摘記した記載事項から、引用文献12には、一実施形態に係るリソグラフィ装置LAにおける露光ステップに関して、次の事項(以下「引用文献12技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献12技術事項>
「リソグラフィ装置LAにおける露光ステップにおいて、
リソグラフィ装置LAは、露光ステーションEXP及び測定ステーションMEAと、を有し、
露光ステーションで一方の基板テーブル上の1枚の基板が露光されている間、測定ステーションで他方の基板テーブルに別の基板を搭載し、様々な予備工程を実行することができ、
予備工程には、位置合わせセンサASを用いて基板上のアライメントマーカの位置を測定することが含まれ、(【0034】)
基板W上のターゲット部分(例えばダイ)を露光するステップにおいて、(【0037】)
基板Wはすでに露光ステーションに搭載され、新しい基板W’が装置に搭載され、(【0038】)
202では、基板の位置合わせを測定し記録し、
更に、位置合わせセンサASを用いて、基板W’におけるいくつかのアライメントマークを測定し、
これらの測定値を用いて「ウェーハグリッド」を確立し、
公称矩形グリッドに対する歪みも含めて、基板全体のマーク分布を極めて正確にマッピングし、(【0041】)
ステップ204では、ウェーハ高(Z)のマップを測定し、(【0042】)
基板W’を搭載した際に、レシピデータ206が受信されていて、
これらのレシピデータに、202、204で得られたウェーハ位置、ウェーハグリッド、及び高さマップの測定値を追加することで、完全なセットのレシピ及び測定データ208を露光ステーションEXPに渡すことができ、(【0043】)
ウェーハW’とWをスワップし、これによって、測定済みの基板W’が露光ステーションEXPに入っていく基板Wとなり、
基板W(以前はW’だった)の測定情報202、204を露光ステップ制御において利用することができること。(【0044】)」
イ 引用文献13の記載事項
当審において新たに引用する、本願の最先の優先日前に発行された文献である特開2015-111714号公報(以下「引用文献13」という。)には、次の記載がある。
「【技術分野】
…(中略)…
【0002】
本発明は、一般に基板検査およびリソグラフィに関し、より詳細には、基板検査およびリソグラフィにおいて用いられる可動式ステージに関する。」
「【発明を実施するための形態】
…(中略)…
【0036】
図2A~図2Iに関し、上記の種類の装置に対しては様々な測定の構成が存在する。一例として、図2Jに、計測対照フレームとしてチャンバ蓋208を用いる直接カラムおよび基板測定システム(SMS)260についての測定を示す。この例では、光学系SMS260は、ツール210による電子ビーム(e-ビーム)の上流である幅30mmの帯状にダイサイズをカバーする。全ての通路上にある基板201上のまばらなダイ配列マークを取り込むために、もっと狭い(例えば200μm)e-ビーム視野を用いてもよい。
【0037】
SMS260は、基板201に配置される参照構造を検出するために適合された、一以上の光学センサ262を備えてもよい。チャンバ蓋208に対するSMS260の場所を追跡するために、干渉計(図示せず)と連動して参照ミラー264を用いてもよい。光学センサは、基板座標系に対する基板マークのxおよびy位置を測定する。このような参照マークは、例えばスポーク211等の上に位置してもよい。センサはz(焦点)も測定してもよい。SMS260に接続されるプロセスは、光学センサからの信号を補間し、ウエハ表面歪み値のグリッドを生成する。SMS260に対する座標系は、基板201上の対照ダイの一角を原点として有する移動座標系でもよい。プロセッサは一つのウエハをマスターウエハとして指定し、マスターウエハに対する他のウエハの原点シフトを計算してもよい。プロセッサは、また、チャンバ蓋208に対するセンサ位置の干渉測定を用いて、電子ビームのゼロ位置に対する光学センサ位置を更新してもよい。」
【図2J】
[図:0001438770000009.jpg]
ウ 技術常識1の認定
前記ア(ア)及びイに摘記した引用文献12、13の記載事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。
<技術常識1>
「基板に形成された複数のマークを位置測定することにより、ウエハ歪みを含むグリッドを形成すること。」
(2) 引用文献7、8の記載事項及び周知技術の認定
ア 引用文献7の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の最先の優先日前に発行された文献である引用文献7(特開2008-4581号公報)には、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及びセンサに係り、さらに詳しくは、半導体素子、液晶表示素子などの電子デバイスを製造する際に、リソグラフィ工程で用いられる露光装置及び露光装置のうち、特にパターンが形成されたマスクを保持するマスクステージを備えた露光装置で好適に用いることができるセンサに関する。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図1~図16(B)に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る露光装置100が示されている。
【0022】
この露光装置100は、図1に示されるように、クリーンルームの床面F上に相互に近接して設置された露光装置本体部10、測定部110及びウエハ交換部210を含んでいる。」
【図1】
[図:0001438770000010.jpg]
「【0128】
以上説明したように、本実施形態の露光装置によると、ウエハW上に形成されたアライメントマークの位置情報を測定する測定部110が、露光装置本体部10の外部に配置されているので、露光装置本体部10でウエハWの露光が行われるのと並行して測定部110においてウエハ上に形成されたアライメントマークの位置情報を計測することができる。このような並行処理により、ツインウエハステージタイプの露光装置などと同等以上のスループットを確保することができるとともに、測定部110と露光装置本体部10とを振動に関して分離することが容易なので、測定部110の動作に起因する露光装置本体部10に対する振動要因を確実に低減させることができる。また、測定部110では、ウエハW上に形成されたアライメントマークを検出する可動のアライメント系ALGと、該アライメント系ALGの位置情報を計測するアライメント干渉計136とを用いてウエハW上に形成されたアライメントマークの位置情報を測定するので、ウエハWが載置されたステージなどが動く場合に比べて測定部110全体の小型化が可能である。また、測定部110でアライメントマークの位置情報が測定されたウエハWは、その測定後に第1のホルダ搬送装置52Aによって露光装置本体部10に搬送して露光を行うことができる。
…(中略)…
【0130】
更に、本実施形態の露光装置によると、露光装置本体部10でウエハホルダ(WH1~WH3)に保持されたウエハWに対する露光が行われるのと並行して、露光装置本体部10の外部に配置された測定部110でウエハホルダ(WH1~WH3)に保持されたウエハW上に形成されたアライメントマーク及びウエハホルダ(WH1~WH3)に形成されたホルダマークHMの位置情報が測定され、さらにこれらに並行して露光装置本体部10及び測定部110とは別に設けられたウエハ交換部210(ウエハ交換部210上のクールプレートCP)でウエハWの交換のため一時的に置かれたウエハホルダ(WH1~WH3)の温調が行われる。すなわち、露光装置本体部10、測定部110及びウエハ交換部210で上記3つの動作が並行して行われるので、ウエハホルダ(WH1~WH3)の温調後に、そのウエハホルダ(WH1~WH3)のホルダマークHM及びウエハホルダ(WH1~WH3)に保持されたウエハW上に形成されたアライメントマークの位置情報の測定などを行う場合に比べて、スループットの向上が可能である。また、ウエハ交換部210と、露光装置本体部10、測定部110の間の振動の分離も容易に実現することができる。」
イ 引用文献8の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の最先の優先日前に発行された文献である引用文献8(国際公開第2007/086316号)には、次の記載がある。
「技術分野
[0001] 本発明は、重ね合わせ管理方法及び装置、処理装置、測定装置及び露光装置、デバイス製造システム及びデバイス製造方法、並びにプログラム及び情報記録媒体に係り、さらに詳しくは、物体上に重ね合わせて転写形成するパターンの重ね合わせを管理する重ね合わせ管理方法及び重ね合わせ管理装置、該重ね合わせ管理装置を備える処理装置、測定装置及び露光装置、前記重ね合わせ管理装置を備えるデバイス製造システム及び前記重ね合わせ管理方法を用いるデバイス製造方法、並びに前記重ね合わせ管理方法をコンピュータに実行させるプログラム及び該プロダラムを記録した情報記録媒体に関する。」
「発明を実施するための最良の形態
…(中略)…
[0019] 図1には、本発明の一実施形態に係るデバイス製造システムの概略的な構成が示されている。デバイス製造システム1000は、基板、例えば半導体ウェハ(以下、「ウエハ」と記述する)を処理し、マイクロデバイスを製造するためにデバイス製造工場内に構築されたシステムである。図1に示されるように、このデバイス製造システム1000は、露光装置100と、その露光装置100に隣接して配置されたトラック200と、管理コントローラ160と、解析装置500と、ホストシステム600と、デバイス製造処理装置群900とを備えている。」
[図:0001438770000011.jpg]
「[0040] [トラック]
トラック200内には、露光装置100でのウエハの露光前後(すなわち、事前、事後)において、そのウエハに対する様々な測定検査を行うことが可能な複合的な測定検査器120と、ウエハに対してレジスト(感光剤)を塗布するとともに、露光後のウエハを現像するコータ・デベロッパ(以下、C/Dと略述する)110とが設けられている。
[測定検査器]
測定検査器120は、露光装置100及びC/D110とは、独立して動作可能である。また、測定検査器120は、その測定検査結果を、システム内の通信ネットワークを介して外部にデータ出力することができる。測定検査器120は、露光前の測定検査である事前測定検査と、露光後の測定検査である事後測定検査とを行う。
[0041] 測定検査器120は、事前測定検査においては、ウエハW上の異物検査のほか、ウエハWが露光装置100に搬送される前に、露光装置100における処理条件、例えば、アライメント関連パラメータの最適化に関する測定を行う。測定検査器120は、ウエハW上に形成されたウエハマークの位置計測(EGA計測)を行う。この事前測定により、そのウエハマークがサンプルマークとしてふさわしいか否かを判断するようにすれば、露光装置100のEGA計測を効率的なものとすることができる。測定検査器120は、露光装置100のアライメント系と同等のウエハW上のウエハマークの位置計測機能を有している。すなわち、測定検査器120は、露光装置100のアライメント系とマッチングがとれたアライメント系を有している。測定検査器120のアライメント系では、露光装置100のアライメント系と同様にアライメント関連パラメータを設定可能である。測定検査器120のアライメント系では、露光装置100のアライメント系と同じ状態でサンプルマークを計測することが可能であり、このEGA計測の結果に基づいて、EGA演算を行うことも可能となっている。すなわち、測定検査器120のアライメント系と、露光装置100のアライメント系とは、ほぼ同様の状態で、ウエハアライメントを実行することが可能であり、互いのマッチングがとれている。」
「[0053] 図3、図4に示されるように、まず、CVD装置910においてウエハW上に膜を生成し(ステップ201)、そのウエハWをC/D110に搬送し、C/D110においてそのウエハW上にレジストを塗布する(ステップ202)。次に、ウエハWを、測定検査器120に搬送し、測定検査器120において、事前測定検査処理、すなわち、ウエハW上の異物の検査、及びアライメント関連パラメータの最適化(例えば、サンプルマークの選択)などを行う(ステップ203)。この測定及び最適化に当たり、測定検査器120は、露光装置100から、事前測定に必要なデータ、例えば、露光装置100に設定されているアライメント関連パラメータ(サンプルマークの数及び配置、EGA計測又はEGA演算に要するパラメータなど)に関するデータを受け取り、異物の検査結果及び最適化されたパラメータに関するデータを露光装置100に対して送る。このように、測定検査器120で、事前にアライメント関連パラメータの最適化を行えば、露光装置100のアライメント系でそれを行うよりもスループットの面で優位である。また、後述する通り、露光装置100において、ウエハW上のEGA計測不適な例えば形状の崩れたマークを、計測してしまうというアライメント不良を回避することができる。」
[図:0001438770000012.jpg]
[図:0001438770000013.jpg]
ウ 周知技術1の認定
前記ア及びイに摘記した引用文献7、8の記載事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「ウエハの露光プロセスにおいて、プロセスのスループットを向上させるために、アライメントマークの位置情報を測定する測定部を露光装置の外部に配置して、露光に先立ってアライメントマークの位置測定を行うこと。」
6 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(基板の変形を表す基板グリッドを決定するための方法であること)
(ア) 構成Xは、「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における前記基板の露光に先立って、前記基板の変形を表す基板グリッドを決定するための方法」の発明であることを特定するものである。
(イ) 引用発明は「アライメントマークの非対称性の測定に適用することができる非対称性測定方法」であり、その「目的は、位置の測定に対するマークの非対称性の影響を補正することができるリソグラフィ装置内のアライメントセンサを提供することであり」、「リソグラフィ装置LAは」「露光ステーション」「を有[する]」。
ここで、「リソグラフィ装置LA」における「露光」が、基板上に複数のフィーチャを作製することである、という技術常識を踏まえると、本願発明と引用発明は「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における方法」である点で共通する。
(ウ) 引用発明における「リソグラフィ装置LAは」「露光ステーション及び測定ステーション」「を有し、露光ステーションEXPで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションMEAで」「準備ステップ」として「アライメントセンサASを用いた基板上のアライメントマークの位置の測定」を行うものであるから、露光に先立って「基板上のアライメントマークの位置の測定」を行うものであるが、露光に先立って、基板の変形を表す基板グリッドを決定するものではない。
(エ) したがって、本願発明と引用発明の構成Xの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Xの観点における一致点
「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における方法」の発明である点
b 構成Xの観点における相違点
「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における方法」が、
本願発明においては、
「基板の露光に先立って、前記基板の変形を表す基板グリッドを決定するための」方法であるのに対して、
引用発明は、
露光に先立って「基板上のアライメントマークの位置の測定」を行うものであるが、露光に先立って、基板の変形を表す基板グリッドを決定するものかどうか特定されていない点。
イ 構成Aの観点(位置データの取得)
(ア) 構成Aは、「基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを前記リソグラフィ装置の外部で取得すること」を含むことである。
(イ) 引用発明における、「周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折格子とみなすことができ[る]」「基板W上に提供されたアライメントマーク」は、本願発明における「基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャ」に相当する。
(ウ) 引用発明は、「リソグラフィ装置LA」の有する「測定ステーションMEAで」「基板上のアライメントマークの位置の測定」を行うものである。
(エ) したがって、本願発明と引用発明の構成Aの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Aの観点における一致点
「基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを取得すること」を含む点。
b 構成Aの観点における相違点
「基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを取得すること」が、
本願発明においては、
「リソグラフィ装置の外部で取得する」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「リソグラフィ装置LA」の有する「測定ステーションMEA」で「測定」するものであるが、「リソグラフィ装置LA」の外部で測定するものではない点。
ウ 構成Bの観点(非対称データの取得)
(ア) 構成Bは、「前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを前記リソグラフィ装置の外部で取得すること」を含むことである。
(イ) 引用発明は「アライメントと同時に非対称性の検出/マーク再構築を実行することによって」「アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにするものであり」、「製品ウェーハ上のアライメントマークは、処理中に非対称になると考えられ[る]」ことから、「アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにする」ために、「処理中」に生じた「アライメントマーク」の「非対称性」を検出するものであるといえる。
(ウ) 引用発明において「リソグラフィ装置LAは、」「装置内のアライメントセンサとして使用可能な非対称性測定構成を含む改造型アライメントセンサを有し、具体的な変形形態は、非対称性測定装置460であり」「非対称性検出装置460を追加することで」「マークの非対称性を測定することができ[る]」。
(エ) したがって、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Bの観点における一致点
「前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを取得すること」を含む点。
b 構成Bの観点における相違点
「前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを取得すること」が、
本願発明においては、
「リソグラフィ装置の外部で取得する」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「リソグラフィ装置LA」の含む「非対称性測定装置460」で「測定」するものであるから、「リソグラフィ装置LA」の外部で測定するものではない点。
エ 構成Cの観点(基板グリッドの決定)
(ア) 構成Cは、「少なくとも前記位置データに基づいて、前記基板グリッドを決定すること」を含むことである。
(イ) 引用発明は「基板上のアライメントマークの位置の測定」を含むものであるが、「基板上のアライメントマークの位置」に基づいて基板グリッドを決定することについて特定するものではない。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明の構成Cの観点における相違点は、次のとおりである。
本願発明は、
「少なくとも前記位置データに基づいて、前記基板グリッドを決定すること」を含むのに対して、
引用発明は、
「基板上のアライメントマークの位置の測定」を含むものであるが、「基板上のアライメントマークの位置」に基づいて基板グリッドを決定することについて特定するものではない点。
オ 構成Dの観点(基板グリッド及び非対称データをリソグラフィ装置に送ること)
(ア) 構成Dは、「前記基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための前記基板グリッド及び前記非対称データを前記リソグラフィ装置に送ること」を含むことである。
(イ) 引用発明における「リソグラフィ装置のアライメント」が「露光」のためのアライメントであることは明らかであり、当該「アライメント」は本願発明の「露光プロセスの少なくとも一部」に相当する。
(ウ) 引用発明において「位置測定装置に非対称性検出装置460を追加することで」「マークの非対称性を測定することができ、この測定は、リソグラフィ装置のアライメント中の非対称性によって引き起こされるアライメントエラーを補正する可能性を提起するものであり」、「アライメントと同時に非対称性の検出/マーク再構築を実行することによって、各測定された位置又はそのサブセットに補正を適用することができ、アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにするものであ」ることから、測定された「マークの非対称性」は、「リソグラフィ装置のアライメント中」における「アライメントエラー」の「補正」に用いるためのものであることが理解できる。
そして、引用発明における「アライメントエラー」の「補正」は、「露光」のための「アライメント」という工程を制御するものであるから、本願発明における「露光プロセスの少なくとも一部を制御する」ことに相当する。
(エ) そうすると、「測定ステーション」で測定された「マークの非対称性」が、「リソグラフィ装置のアライメント」のために「露光ステーション」へ送られることは、明らかであり、引用発明において「マークの非対称性」を「露光ステーション」へ送ることは、本願発明における「非対称データを前記リソグラフィ装置に送ること」と、「非対称データを露光のために送ること」である点で共通する。
(オ) したがって、本願発明と引用発明の構成Dの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Dの観点における一致点
「前記基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための」「前記非対称データを」露光のために「送ること」を含む点。
b 構成Dの観点における相違点
「露光プロセスの少なくとも一部を制御するため」に
本願発明においては、
「基板グリッド及び前記非対称データを前記リソグラフィ装置に送る」のに対して、
引用発明においては、
「測定ステーション」の「アライメントセンサ」で測定された「マークの非対称性」を「露光ステーション」へ送るものであるが、そもそも「測定ステーション」と「露光ステーション」は「リソグラフィ装置」が有するものであるから、「マークの非対称性」を「リソグラフィ装置」に対して送るものということはできず、
「基板グリッド」を「リソグラフィ装置」に送ることについては、特定されていない点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。
ア 一致点
「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における方法であって、
前記基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを取得することと、
前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを取得することと、
前記基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するために、露光プロセスの少なくとも一部を制御するための前記非対称データを」露光のために「送ることと、を含む、方法。」である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1
「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置における方法」が、
本願発明においては、
「基板の露光に先立って、前記基板の変形を表す基板グリッドを決定するための」方法であるのに対して、
引用発明は、
露光に先立って「基板上のアライメントマークの位置の測定」を行うものであるが、露光に先立って、基板の変形を表す基板グリッドを決定するものかどうか特定されていない点。
(イ) 相違点2
「基板上の複数の第1のフィーチャ及び/又は複数の第2のフィーチャの位置データを取得すること」が、
本願発明においては、
「リソグラフィ装置の外部で取得する」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「リソグラフィ装置LA」の有する「測定ステーションMEA」で「測定」するものであるが、「リソグラフィ装置LA」の外部で測定するものではない点。
(ウ) 相違点3
「前記複数の第1のフィーチャ及び/又は前記複数の第2のフィーチャの少なくとも1つのフィーチャの非対称データを取得すること」が、
本願発明においては、
「リソグラフィ装置の外部で取得する」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「リソグラフィ装置LA」の含む「非対称性測定装置460」で「測定」するものであるから、「リソグラフィ装置LA」の外部で測定するものではない点。
(エ) 相違点4
本願発明は、
「少なくとも前記位置データに基づいて、前記基板グリッドを決定すること」を含むのに対して、
引用発明は、
「基板上のアライメントマークの位置の測定」を含むものであるが、「基板上のアライメントマークの位置」に基づいて基板グリッドを決定することについて特定するものではない点。
(オ) 相違点5
「露光プロセスの少なくとも一部を制御するため」に
本願発明においては、
「基板グリッド及び前記非対称データを前記リソグラフィ装置に送る」のに対して、
引用発明においては、
「測定ステーション」の「アライメントセンサ」で測定された「マークの非対称性」を「露光ステーション」へ送るものであるが、「測定ステーション」と「露光ステーション」は「リソグラフィ装置」が有するものであるから、「マークの非対称性」を「リソグラフィ装置」に対して送るものではなく、
「基板グリッド」を「リソグラフィ装置」に送ることについては、特定されていない点。
7 判断
(1) 相違点1、4について
これらの相違点は関連するものであるため、合わせて判断する。
引用発明は、測定された「基板上のアライメントマークの位置」に基づいて基板グリッドを決定することについて特定するものではないが、「基板上のアライメントマークの位置」に基づいて、ウエハ歪みに対処するために基板グリッドを形成することは、当業者にとって一般的な技術手法である(技術常識1参照)。
そうすると、「製品ウェーハ上のアライメントマークは、処理中に非対称になると考えられ、」「非対称性の検出/マーク再構築を実行することによって」「アライメントの読み取りをよりプロセスロバストにするものであ[る]」引用発明において、ウエハ歪みに対処してプロセスロバストにする具体化手段として、技術常識1を採用して、基板の露光に先だって、「測定」された「基板上のアライメントマークの位置」に基づいてウエハ歪みを含むグリッドを形成することは、当業者にとって適宜選択し得る設計事項にすぎない。
以上より、引用発明及び技術常識1に基づいて、相違点1、4に係る構成を想到することは、当業者が容易になし得たことである。
(2) 相違点2、3、5について
これらの相違点は関連するものであるため、合わせて判断する。
引用発明は、「リソグラフィ装置LA」の有する「アライメントセンサ」により「アライメントマークの」「位置測定と同時に、マークの非対称性を測定する」ものである。
ここで、引用発明は「非対称性測定の原理を、アライメント検知とは独立して適用し、スタンドアロン型センサ又は別のツールの一部を形成することができ[る]」ものであり、「アライメント検知」は「リソグラフィ装置LA」において実行されるものといえるから、引用発明における「非対称性測定」は、「リソグラフィ装置LA」から独立した外部の「スタンドアロン型センサ」や「別のツールの一部を形成する」ものとして構成し得ることを示唆するものといえる。
また、引用発明は、「露光ステーションEXPで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションMEAで他方の基板テーブル上に別の基板を装着」して「実行」される「準備ステップ」が「基板上のアライメントマークの位置の測定」「を含」むことによって装置のスループットが大幅に増大」するものである。
そうすると、周知技術1も踏まえると、露光装置のスループットの更なる向上のために、「リソグラフィ装置LA」の有する「アライメントセンサ」による測定に代えて、「リソグラフィ装置LA」の外部で「アライメントマークの位置」及び「マークの非対称性」を測定する構成を用いるよう想到することは、当業者が容易になし得たことといえる。
そして、当該構成において、前記(1)で説示したウエハ歪みを含むグリッドを、露光時に利用するために「リソグラフィ装置LA」へ送るべきことは、例えば、引用文献12技術事項のように当業者にとって明らかである。
同様に、当該構成において、「マークの非対称性」を「リソグラフィ装置」に対して送るべきことは明らかである。
以上より、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて、相違点2、3、5に係る構成を想到することは、当業者が容易になし得たことである。
(3) 総合評価
前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~5を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
請求人は審判請求書において、本願発明は「基板上に1つ又は複数のフィーチャを作製するように構成されたリソグラフィ装置」における「基板の露光」に先立ち、「基板の変形を表す基板グリッド(基板がさらされたプロセスからの変形が位置する場所を示すもの)を決定する」ための方法であるが、引用文献1にはこのような方法や概念が開示されておらず、引用文献1や周知技術に基づいて容易に想到できるものではないこと、を主張している。
(2) 請求人の主張についての検討
引用発明において、露光に先立って、アライメントマークの位置測定を行い、アライメントマークの位置に基づいてウエハ歪みを含むグリッドを形成することが、当業者が容易に想到し得たものであることは、前記7(1)において判断したとおりであるから、請求人の主張は前記7(3)の結論を左右するものではない。
9 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-017282