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特許拒絶査定不服審判

2024-014424

外部ループトルク制御

審判番号
2024-014424
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-520401
請求日
2024年09月09日
審決日
2025年05月26日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
  • 【請求人代理人】青木 篤
  • 【請求人代理人】三橋 真二
  • 【請求人代理人】鶴田 準一
  • 【請求人代理人】渡辺 陽一
  • 【請求人代理人】中村 和広
  • 【請求人代理人】南山 知広
  • 【請求人代理人】森本 有一
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 浩
  • 審判官 ▲高▼見 重雄
  • 審判官 萩田 裕介
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-520401「外部ループトルク制御」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日国際公開、WO2020/081178、令和 4年 1月13日国内公表、特表2022-504904〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)9月17日 (パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年10月15日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 5年 4月12日付け 拒絶理由通知書 同年 7月18日 意見書・手続補正書 同年 8月18日付け 拒絶理由通知書 同年11月29日 意見書・手続補正書 令和 6年 1月11日付け 拒絶理由通知書(最後) 同年 4月18日 意見書・手続補正書 同年 5月17日付け 補正の却下の決定 同年 5月17日付け 拒絶査定 同年 9月 9日 審判請求書・手続補正書 令和 7年 2月 3日 上申書 以下では、令和6年5月17日付け拒絶査定を「原査定」という。 第2 令和6年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。また、A~Hは、各構成単位毎に分説するために当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について、該分説番号を用いて「構成A」などということがある。引用発明等についても同様である。)。 「【請求項1】 A 材料試験装置であって、 B 材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップと、 C 駆動アセンブリであって、 上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリと、 D 前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセルと、 E 一対のレールであって、前記クロスヘッドが、前記一対のレールの間に跨って配置され、前記材料試験サンプルに前記軸力を印加している状態での前記クロスヘッドの前記一対のレールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、一対のレールと、 F 前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステムと、 を備え、 G 前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える、 H 材料試験装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和5年11月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 材料試験装置であって、 材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップと、 駆動アセンブリであって、 クロスヘッドを駆動して前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリと、 前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセルと、 駆動アセンブリを支持するレールであって、前記レールに沿って前記クロスヘッドが前記第1の駆動部によって駆動され、前記クロスヘッドの前記レールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、レールと、 前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステムと、 を備える、材料試験装置。」 2 補正の目的 (1)上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「クロスヘッドを駆動して前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部」を、「上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部」とし(以下「補正事項A」という。)、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「駆動アセンブリを支持するレールであって、前記レールに沿って前記クロスヘッドが前記第1の駆動部によって駆動され、前記クロスヘッドの前記レールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、レール」を「一対のレールであって、前記クロスヘッドが、前記一対のレールの間に跨って配置され、前記材料試験サンプルに前記軸力を印加している状態での前記クロスヘッドの前記一対のレールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、一対のレール」とする(以下「補正事項B」という。)とともに、本件補正前の請求項1に「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」との発明特定事項を追加する(以下「補正事項C」という。)ものである。 (2)補正事項Aは、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「クロスヘッド」について、「上側アセンブリを支持する」ものであることを限定するとともに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「クロスヘッドを駆動」することについて、「上側アセンブリ」も「クロスヘッドを介して」「駆動」されることを限定するものである。 よって、補正事項Aは、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (3)補正事項B、Cは、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「レール」について、「一対の」ものであると限定するとともに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記クロスヘッドの前記レールに沿った変位」について、「前記クロスヘッドが、前記一対のレールの間に跨って配置され、前記材料試験サンプルに前記軸力を印加している状態での」変位であることを限定し、さらに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「駆動アセンブリを支持するレール」について、令和6年1月11日付けの拒絶理由通知の理由2において、明確でないとされたことに対応し、レールが「駆動アセンブリを支持する」との明りょうでない発明特定事項を削除して「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」との発明特定事項を追加することで、「駆動アセンブリ」と他の構成部材との関係を明りょうにしようとするものである。 よって、補正事項B、Cは、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮、および、特許法第17条の2第5項4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件 本件補正は、上記2の通り、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3-1 進歩性について (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開平11-258135号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0015】 【発明の実施形態】本発明の実施の形態を図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の方法を実施する制御装置本体および試験機本体を模式的に示す評価試験システムである。図1の模式図内の工程に示すように、材料の加工特性評価試験方法は、制御装置本体では、実機プロセスのプロセス条件、即ち加工条件に基づき演算装置の力学モデルにより、実機プロセスの着目する任意位置の温度、ひずみ、ひずみ速度、応力の履歴を推定し、この履歴に最も近い試験条件、即ち試験片へ加える最適な力学的負荷様式を負荷様式変換装置の力学モデルにより算出し、この最適な力学的負荷様式および試験基本体の各計測装置からのフィードバック信号とに基づき試験機制御装置から各試験制御装置に制御信号を出すことで実機に近い試験条件を発する。この制御信号、即ち加熱装置および各駆動装置の制御信号により、試験機本体の加熱装置の試験片温度の制御を行うとともに、ねじり駆動装置および引張圧縮駆動装置により回転方向と軸方向のの二軸負荷試験を行い、試験機本体に装備の試験片の温度計測装置、ねじり角度計測装置およびトルク計測装置、変位計測装置および荷重計測装置で得た各種データの試験条件を記録装置に記録するとともに、記録した試験条件を出力する。一方、上記の試験片の温度計測装置、ねじり角度計測装置およびトルク計測装置、変位計測装置および荷重計測装置で得た各種データは制御装置本体の試験機制御装置にフィードバック信号によりフィードバックする。尚、演算装置および負荷様式変換装置の力学モデルに関しては、近年技術革新が多く、技術進展が著しいCAEを用いることが汎用性および評価精度向上の観点から望ましい。」 b 「【0016】図2は、本発明の1実施形態の評価試験装置を示す模式的説明図である。図2において、試験機架台13の左側に存在するの制御装置14、負荷制御装置12および温度制御装置9は図1の制御装置本体に相当し、図2の負荷制御装置12および温度制御装置9は図1の試験機制御装置である。試験機架台13およびその中の装置は図1の試験機本体に相当する。円柱の試験片1の周囲に任意位置に試験する切欠き2を設け、高周波加熱コイル8に挿通する。切欠き2に熱伝対3を配設して切欠き2の部分の温度を計測し、温度制御装置9により高周波加熱コイル8の負荷を制御して試験片1の温度を制御する。試験片1はチャック17により上下を把持されている。試験片1を把持したチャック17を有する試験機架台13にはチャック17に負荷を与える引張試験駆動装置10およびねじり駆動装置11を有し、さらに荷重計4、トルク計5、変位計6、角度計7を有し、試験片1に実機プロセスでの材料中の任意点の加工条件、即ち温度、ひずみ、ひずみ速度を模擬するので、本発明のねじりおよび引張・圧縮の多軸負荷試験により材料の加工評価試験を精度良く行うことができる。」 c 「【図2】 [図:0001428807000001.jpg] 」 上記a~cの記載事項及び図面から、以下、dの事項が導かれる。 d 段落【0016】には、「試験片1はチャック17により上下を把持されている。試験片1を把持したチャック17を有する試験機架台13にはチャック17に負荷を与える引張試験駆動装置10およびねじり駆動装置11を有し、さらに荷重計4、トルク計5、変位計6、角度計7を有し、」と記載されている。 そして、上記記載を参酌すると、図2には、引張試験駆動装置10は試験片1の上側を把持するチャック17の上部に設けられている点、ねじり駆動装置11は試験片1の上側を把持するチャック17と引張試験駆動装置10との間に設けられている点、荷重計4及びトルク計5は試験片1の下側を把持するチャック17と試験機架台13との間に設けられている点、及び、変位計6は引張試験駆動装置10に設けられている点が図示されているといえる。 (イ)引用文献1に記載された発明 上記(ア)a~cの記載事項及びdの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「a ねじり駆動装置および引張圧縮駆動装置により回転方向と軸方向の負荷を試験片へ加える二軸負荷試験を行う評価試験システムであって、(段落【0015】) b 試験片1の上下を把持するチャック17と、(段落【0016】) c 試験片1の上側を把持するチャック17の上部に設けられ、チャック17に軸方向の負荷を与える引張試験駆動装置10と、 試験片1の上側を把持するチャック17と引張試験駆動装置10との間に設けられ、チャック17に回転方向の負荷を与えるねじり駆動装置11と、(段落【0015】、【0016】、認定事項d) d 試験片1の下側を把持するチャック17と試験機架台13との間に設けられた荷重計4及びトルク計5と、(段落【0016】、認定事項d) e 引張試験駆動装置10に設けられた変位計6と、(段落【0016】、認定事項d) f 試験片の温度計測装置、ねじり角度計測装置およびトルク計測装置、変位計測装置および荷重計測装置で得た各種データがフィードバック信号によりフィードバックされ、各試験制御装置に制御信号を出すことで実機に近い試験条件を発する試験機制御装置と、を備える、(段落【0015】) h 評価試験システム」 イ 周知技術を示す文献 原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す文献として以下の文献(以下、それぞれ、「引用文献2、5~7」という。)が引用されている。 引用文献2:特開昭59-52730号公報 引用文献5:特開2009-294125号公報 引用文献6:特開2012-73182号公報 引用文献7:特開平8-226881号公報 (ア)引用文献2 引用文献2には、図面とともに次の記載がある。 a 「図において、試験片(1)の両端は上下一対のつかみ具(2H)、(2L)によって把持される。下側のつかみ具(2L)は引張り荷重負荷機構およびねじり荷重負荷機構に連結される。この実施例ではねしり荷重負荷機構としてねじり荷重負荷モータ(3)が使用され、つかみ具(2L)はギヤボックス(4)に内蔵された伝動ギヤを介してねじり荷重負荷モータ(3)に連結されている。引張り荷重負荷機構は一対のねじざお(5)にねじ合わされたクロスヘッド(6)からなる。ねじざお(5)の下端はベッド(7)に内蔵された引張り荷重負荷モータに連結されている。ねじり荷重負荷モータ(3)およびギヤボックス(4)は、クロスヘッド(5)に固定され、支持されている。これによってつかみ具(2L)が引張り荷重負荷機構およびねじり荷重負荷機構に連結されているものである。 上側のつかみ具(2H)はキー(8)および固定ナツト(9)によってつかみ異軸(10)に相対的にねじり荷重方向に回転しないように、かつ引張り荷重方向に変位しないように固定されている。つかみ具軸(10)は直線運動軸受(11)によって支持枠(12)に対し相対的に引張り荷重方向に変位可能に、かつねじり荷重方向に回転可能に案内されている。支持枠(12)はクロスヨーク(13)に固定され、クロスヨーク(13)は一対の機柱(14)の上端に固定され、支持されている。つかみ具軸(10)はスラスト軸受(15)および負荷ナット(24)によって負荷枠(16)に対し相対的にねじり荷重方向に回転可能に、かつ引張り荷重方向に変位しないように支持され、キー(17)によってトルクセル(18)に相対的にねしり方向に回転しないように連結されている。これによってつかみ具(2H)が負荷枠(16)に相対的にねじり荷重方向に回転可能に、かつ引張り荷重方向に変位しないように連結され、トルクセル(18)に相対的にねじり荷重方向に回転しないように連結されているものである。トルクセル(18)はキー(19)によって負荷枠(16)に相対的にねじり荷重方向に回転しないように支持されている。負荷枠(16)はスプライン軸(20)に固定され、スプライン軸(20)はボールスプライン(21)によってクロスヨーク(13)に対し、相対的に引張り荷重方向に変位可能に、かつねじり荷重方向に回転しないように案内されている。スプライン軸(20)はねじなどの固定手段によってロードセル(22)に固定されている。これによって負荷枠(16)がクロスヨーク(13)に対し相対的に引張り荷重方向に変位可能に、かつねじり荷重方向に回転しないように案内され、ロードセル(22)に相対的に引張り荷重方向に変位しないように連結されているものである。ロードセル(22)はねじなどの回転手段によって支持枠(23)に固定され、クロスヨーク(13)に相対的に引張り荷重方向に変位しないように支持されている。 前記のように構成された引張りねじり複合試験機において、引張り荷重負荷モータを駆動し、ねじざお(5)を回転させると、そのねじ送り作用によってクロスヘッド(6)が昇降する。したがって下側のつかみ具(2L)を介して試験片(1)に引張り荷重が与えられる。これと同時にねじり荷重負荷モータ(3)を駆動すると、つかみ具(2L)を介して試験片(1)にねじり荷重が与えられる。」(第2頁左下欄第2行~第3頁右上欄第1行) b 「 [図:0001428807000002.jpg] 」 (イ)引用文献5 引用文献5には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0011】 試験機本体部2は、試験片TPに対して引張や圧縮などの荷重を加え、そのときの試験片TPの挙動を調べるものであり、テーブル22の上に立設された一対のねじ棹23、24の上端にはヨーク25が横架されるとともに、ねじ棹23、24にクロスヘッド26が螺合される。クロスヘッド26にはロードセル27を介して上つかみ具28が設けられ、テーブル22には下つかみ具29が設けられている。試験片TPは、これら上つかみ具28および下つかみ具29によって両端を把持される。 【0012】 テーブル22にはモータ31および変速機32が設置され、これらモータ31および変速機32でねじ棹23,24が回転駆動されてクロスヘッド26が昇降する。モータ31はモータドライバ33を介して制御装置1によって制御される。クロスヘッド26の昇降にともない、上つかみ具28および下つかみ具29により把持された試験片TPに引張荷重または圧縮荷重が与えられる。試験片TPに与えられる荷重はロードセル27により検出され、ヘッドアンプ37、A/Dコンバータ38を介して制御装置1に入力される。 【0013】 変速機32には、エンコーダ35が設置され、変速機32の回転あるいはねじ棹23、24の回転に応じたパルス信号を出力する。このエンコーダ35からのパルス信号はカウンタ36でカウントされ、このカウント結果が制御装置1に入力される。制御装置1はカウンタ36からの入力や変速機32の変速比、そしてねじ棹23、24のねじピッチなどに基づいて試験片TPの変位を検出する。」 b 「【図1】 [図:0001428807000003.jpg] 」 (ウ)引用文献6 引用文献6には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0027】 図示する材料試験機1は、固定台2と、モータ3と、3つの歯車4,5,6と、一対の送りネジ7,8と、クロスヘッド9と、一対のつかみ具10,11と、荷重センサ12と、変位センサ13と、計測制御装置14と、操作端末15とを有している。 【0028】 固定台2は、全体が十分な剛性を有する基台であり、この例ではその内部に上記モータ3が設置されている。モータ3は、試験片Hに対して負荷する引張荷重の動力源であり、その出力軸に一つの上記歯車4が固定されている。 【0029】 一対の送りネジ7,8は、互いに平行に配置されて上記固定台2の上面を貫通している。これら一対の送りネジ7,8には同じ方向にネジ歯が形成されている。そして、固定台2の内部における各下端部に、互いに同じ歯数の2つの歯車5,6が固定されている。それら2つの歯車5,6が、上記モータ3の出力軸に固定された歯車4に噛合していることで、当該モータ3の駆動により一対の送りネジ7,8が同じ回転方向、同じ回転速度で回転する。 【0030】 クロスヘッド9は、上記一対の送りネジ7,8の両方に螺合されており、上記モータ3の回転駆動により昇降移動可能となっている。 【0031】 一対のつかみ具10,11は、それぞれ試験片Hの端部を把持して固定することができる。一方のつかみ具10が固定台2の上面に固定され、他方のつかみ具11がクロスヘッド9の下面に固定されて、互いに対向するよう配置されている。 【0032】 荷重センサ12は、クロスヘッド9に設けられており、当該クロスヘッド9側に固定されたつかみ具11に負荷されている荷重を検出する。 【0033】 変位センサ13は、例えばロータリエンコーダなどで構成されている。そして、変位センサ13は、一方の送りネジ8の回転量を検出することで、クロスヘッド9及びそれに固定されたつかみ具11の移動量を検出する。」 b 「【図1】 [図:0001428807000004.jpg] 」 (エ)引用文献7 引用文献7には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0023】引張試験機4は、基台4aの上に門形のフレーム4bを立設し、フレーム4bの中間には基台4aと平行なクロスヘッド4cを昇降自在に設け、基台4aとクロスヘッド4cとに対向するチャック4d,4dを設け、クロスヘッド4cのチャック4dと反対側に負荷検出手段4eを設けた構成となっている。なお、チャック4d,4dの内側には可動把持片4d’が取り付けられており、セッティング装置2により試験片1がチャック4dの中心軸と一致するように供給されると、この可動把持片4d’で試験片1の拡大部1bを把持する。 【0024】クロスヘッド4cの端部はフレーム4b内に配設されたボールネジ4fに螺合されている。また、ボールネジ4fは駆動装置4gに連結されるとともに、このボールネジ4fの端部には、システム制御装置6に接続されたエンコーダ4hが取り付けられている。そして、駆動装置4gの駆動によりクロスヘッド4cは昇降し、このクロスヘッド4cの位置はエンコーダ4hで検出されてその位置情報がシステム制御装置6に送られる。」 b「【図5】 [図:0001428807000005.jpg] 」 (オ)周知技術 上記(イ)~(エ)の記載及び図面から、以下の技術的事項は、本願優先日における周知技術であると認められる(以下の技術的事項を、以下「周知技術1」という。)。 「材料試験装置において、一対のネジ状のレールと、一対のネジ状のレールの間に跨って配置されたクロスヘッドとを設け、試験装置本体に設けた駆動装置によりネジ状のレールを回転駆動し、クロスヘッドを一対のネジ状のレールに沿って変位させて材料試験サンプルに軸力を印加し、駆動装置に設けたエンコーダによりクロスヘッドの一対のネジ状のレールに沿った変位を測定する点。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 構成Aについて 引用発明の「評価試験システム」は、「ねじり駆動装置および引張圧縮駆動装置により回転方向と軸方向の負荷を試験片へ加える二軸負荷試験を行う」ものであるから、材料である「試験片」について、「二軸負荷試験」を行う装置であるといえる。 よって、引用発明の「ねじり駆動装置および引張圧縮駆動装置により回転方向と軸方向の負荷を試験片へ加える二軸負荷試験を行う評価試験システム」は、本件補正発明の「材料試験装置」に相当する。 イ 構成Bについて 引用発明の「試験片1」は、本件補正発明の「材料試験サンプル」に相当し、引用発明の「試験片1の上下を把持するチャック17」は、本件補正発明の「材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップ」に相当する。 ウ 構成Cについて (ア)引用発明において、「試験片1の上側を把持するチャック17」及び「軸方向の負荷を与える」ことは、それぞれ、本件補正発明の「第2のグリップ」及び「軸力を印加する」ことに相当する。 引用発明の「試験片1の上側を把持するチャック17の上部に設けられ、チャック17に軸方向の負荷を与える引張試験駆動装置10」は、「チャック17」を介して「試験片1」に「軸方向の負荷を与える」ものといえるから、本件補正発明の「前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部」に相当する。 また、引用発明において、「引張試験駆動装置10」は「チャック17に軸方向の負荷を与える」ものであるから、引用発明が、「チャック17」を保持し、「引張試験駆動装置10」により軸方向に移動する部分を備えていることは、明らかである。そして、当該「チャック17」を保持し、「引張試験駆動装置10」により軸方向に移動する部分は、本件補正発明における、「第1の駆動部」により「駆動」される「上側アセンブリ」に相当する。 よって、引用発明の「試験片1の上側を把持するチャック17の上部に設けられ、チャック17に軸方向の負荷を与える引張試験駆動装置10」は、本件補正発明の「上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部」と、「上側アセンブリを、」「駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部」である点で共通する。 (イ)引用発明の「試験片1の上側を把持するチャック17と引張試験駆動装置10との間に設けられ、チャック17に回転方向の負荷を与えるねじり駆動装置11」は「チャック17」を介して「試験片1」に「回転方向の負荷を与える」ものといえるから、本件補正発明の「前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加する」「第2の駆動部」に相当する。 (ウ)引用発明において、「引張試験駆動装置10」及び「ねじり駆動装置11」は、両者を併せて、本件補正発明の「駆動アセンブリ」に相当する。 (エ)以上の通りであるから、構成cは、構成Cと、「駆動アセンブリであって、上側アセンブリを」「駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加する」「第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」である点で共通する。 エ 構成Dについて 引用発明の「試験片1の下側を把持するチャック17」は本件補正発明の「第1のグリップ」に相当する。 引用発明において、「試験片1の下側を把持するチャック17と試験機架台13との間に設けられた荷重計4及びトルク計5」が、「試験片1」にかかる荷重とトルクを測定するものであることは、明らかである。そして、当該「試験片1」にかかる荷重とトルクから、「試験片1」の軸応力及び回転応力を算出できることは自明であるから、引用発明の「荷重計4及びトルク計5」は、「試験片1」の軸応力及び回転応力を測定するために用いることが可能なものといえる。 よって、引用発明の「試験片1の下側を把持するチャック17と試験機架台13との間に設けられた荷重計4及びトルク計5」は、本件補正発明の「前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセル」に相当する。 オ 構成Eについて 引用発明において、「引張試験駆動装置10に設けられた変位計6」は、「引張試験駆動装置10」により引張方向に移動させた「チャック17」の変位、すなわち、「試験片1」の変形量を計測するものであることは、明らかである。そして、当該「試験片1」の変形量から、「試験片1」の軸ひずみが計算できることも、自明である。 よって、構成eは、構成Eと、「変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される」との構成を有する点で共通する。 カ 構成Fについて 引用発明において、「試験片の」「ねじり角度計測装置およびトルク計測装置」「で得た各種データがフィードバック信号によりフィードバックされ、各試験制御装置に制御信号を出す」ことから、「制御信号を出す」対象の「各試験制御装置」が、「ねじり駆動装置11」(上記ウ(イ)で示した通り、「第2の駆動部」に相当)の制御装置を含むことは、明らかである。 また、引用発明に1において、「試験片の温度計測装置、ねじり角度計測装置およびトルク計測装置、変位計測装置および荷重計測装置で得た各種データがフィードバック信号によりフィードバックされ、各試験制御装置に制御信号を出す」ことは、フィードバックによる制御を行うことといえる。 よって、引用発明の「試験片の温度計測装置、ねじり角度計測装置およびトルク計測装置、変位計測装置および荷重計測装置で得た各種データがフィードバック信号によりフィードバックされ、各試験制御装置に制御信号を出すことで実機に近い試験条件を発する試験機制御装置」は、本件補正発明の「前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステム」に相当する。 キ 構成Hについて 上記アで示したとおり、引用発明の「評価試験システム」は、本件補正発明の「材料試験装置」に相当する。 (4)一致点、相違点 上記(3)のとおりであるから、本件補正発明と引用発明とは、下記アの点で一致し、下記イ~エの点で相違する。 ア 一致点 「A 材料試験装置であって、 B 材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップと、 C’駆動アセンブリであって、 上側アセンブリを駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加する第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリと、 D 前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセルと、を備え、 E’変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定され、 F 前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステムと、 を備える、 H 材料試験装置。」 イ 相違点1(構成C) 本件補正発明は「第1の駆動部」は「上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動し」、「第2の駆動部」は「ねじり能力を前記クロスヘッドに与える」と特定されているのに対し、引用発明は、「クロスヘッド」を有するものではなく、そのように特定されていない点。 ウ 相違点2(構成E) 本件補正発明は「一対のレールであって、前記クロスヘッドが、前記一対のレールの間に跨って配置され、前記材料試験サンプルに前記軸力を印加している状態での前記クロスヘッドの前記一対のレールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、一対のレール」を備えると特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 エ 相違点3(構成G) 本件補正発明は、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」と特定されているのに対し、引用発明がそのような構成を有しているか不明な点。 (5)相違点について 事案に鑑み、相違点1~3について、併せて検討する。 ア(ア)本件補正発明は、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」(構成G)と特定されている。 また、「駆動アセンブリ」に関して、本件補正発明は、「駆動アセンブリであって、」「第1の駆動部と、」「第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」(構成C)と特定されているから、「駆動アセンブリ」は、「第1の駆動部」「第2の駆動部」とを備えるものとなっている。 (イ)a 本願の発明の詳細な説明の段落【0015】には、構成Gに対応する記載として、以下の記載がある。 「【0015】 レール110は、ベース102から上方に延在するとともに、クロスヘッド113を備えて上側グリップ108と係合する上側アセンブリ112を支持する。上側アセンブリ112は、クロスヘッド113を駆動することで材料試験サンプル(下側グリップ106と上側グリップ108との間に係合している)に対して鉛直方向の力(すなわち、直線力若しくは軸力、又は応力)を印加する、駆動アセンブリ114を備える。加えて、材料試験サンプルに軸力を印加している状態でのレール110に沿ったクロスヘッド113の軸方向の並進の変化は、ひずみ計算における距離又は長さの変化(Δy)として解釈することができる。クロスヘッド113の鉛直方向又は軸方向の位置(及びこれによる上側グリップ108の鉛直方向の位置)に関する情報又は未加工データは、ベース102内に設置されたモーター上に取り付けられるとともに制御ユニット112(手動入力ユニット124とスクリーン126とを備える)と通信するエンコーダーによって提供される。上側グリップ108の回転位置についての情報は、上側アセンブリ112内に収容されたトーションモーターに取り付けられるエンコーダーによって提供され、ケーブル120を介して制御ユニット122に送信される。」 b 上記記載において、「ベース102内に設置されたモーター」は、「クロスヘッド113の鉛直方向又は軸方向の位置(及びこれによる上側グリップ108の鉛直方向の位置)に関する情報又は未加工データ」の「提供」のために、「エンコーダー」が取り付けられるものであるから、クロスヘッド113を鉛直方向に駆動するためのものであることは、明らかである。よって、上記記載における「ベース102内に設置されたモーター」は、本件補正発明における「第1の駆動部」に対応するものであるといえる。 そして、上記記載において、「モーター」は「ベース102内に設置された」ものであるから、クロスヘッド113とともに鉛直方向に移動する上側アセンブリ112に設けられたものではないことは、明らかである。 そうすると、上記段落【0015】には「上側アセンブリ112は、クロスヘッド113を駆動することで材料試験サンプル(下側グリップ106と上側グリップ108との間に係合している)に対して鉛直方向の力(すなわち、直線力若しくは軸力、又は応力)を印加する、駆動アセンブリ114を備える。」と記載されているところ、当該記載における「上側アセンブリ112は、」「駆動アセンブリ114を備える」とは、上側アセンブリ112が駆動アセンブリ114を構成する部材の全てを含むことを意味するものではなく、駆動アセンブリ114を構成する部材の一部のみを備えるような場合を含む意味であると解釈される。 c また、本願の発明の詳細な説明には、上記以外の記載においても、鉛直方向に移動する上側アセンブリに、第1駆動部を構成するモータを含む全ての駆動のための部材を設けると解釈できる記載はない。 (ウ)以上より、本願の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、本件補正発明において、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」(構成G)との事項は、上側アセンブリが駆動アセンブリを構成する部材の全てを備えることに限定して特定しているものではなく、上側アセンブリが駆動アセンブリを構成する部材の少なくとも一部を備えることを特定しているものであり、例えば、駆動アセンブリを構成する部材のうち、第1の駆動部に含まれるモータは上側アセンブリが備えていないような、本願の発明の詳細な説明に記載された態様についても、構成Gを充足すると解釈し、以下検討する。 イ 上記(2)イ(オ)で示したとおり、以下の技術的事項は、周知技術であると認められる。 「材料試験装置において、一対のネジ状のレールと、一対のネジ状のレールの間に跨って配置されたクロスヘッドとを設け、試験装置本体に設けた駆動装置によりネジ状のレールを回転駆動し、クロスヘッドを一対のネジ状のレールに沿って変位させて材料試験サンプルに軸力を印加し、駆動装置に設けたエンコーダによりクロスヘッドの一対のネジ状のレールに沿った変位を測定する点。」(周知技術1) ウ 引用発明と周知技術1とは、材料サンプルに軸力を印加する材料試験装置に関するものである点で、共通する技術分野に属するものである。 そして、引用発明においては、「引張試験駆動装置10」の具体的な機構は特定されていないところ、その具体的な機構として上記周知技術1の構成を採用し、一対のレールと、一対のレールの間に跨って配置されるクロスヘッドとを設け、また、「変位計6」を、クロスヘッドの一対のレールに沿った変位を測定するものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、引用発明において、「ねじり駆動装置11」(第2の駆動部)は「試験片1の上側を把持するチャック17と引張試験駆動装置10との間に設けられ」るものであるから、「引張試験駆動装置10」の軸方向の移動に伴って軸方向に移動するものであることは自明であり、そうすると、上記のとおり周知技術1を適用した際には、同様に「ねじり駆動装置11」はクロスヘッドの鉛直方向の駆動に伴って移動するようにクロスヘッドに支持される上側アセンブリに設けられ、ねじり能力をクロスヘッドに与えるものとなるとともに、上記ア(ウ)のように解釈した場合の「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」(構成G)との事項を充足する構成となることは、当業者にとって自明である。 仮に、自明とまではいえないとしても、2方向への駆動を行う装置において、一方の方向に移動する部材に他方の方向に移動させるための駆動部を設けることは、他方の方向に移動させるための駆動部が、一方の方向の移動の影響を受けない態様として自然な実施態様であり、さらに、2方向の力を印加する材料試験装置において、一方の方向の力の印加のために移動する部材に、他方の方向の力の印加のための駆動部を設けることは、引用文献2(上記(2)イ(ア))に例示されているように周知技術にすぎないことを考慮すれば、引用発明において上記のとおり周知技術1を適用した際に、クロスヘッドに「ねじり駆動装置11」(第2の駆動部)を設ける構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 エ よって、引用発明において、周知技術1を適用し、相違点1~3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (6)効果について 本件補正発明により奏される効果も、引用文献1の記載及び周知技術1から当業者が予期し得るものであり、格別顕著なものではない。 (7)請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、 「(b)本願の請求項1,7に係る発明によれば、「一対のレールの間に跨って配置」された「クロスヘッドを介して駆動」される「上側アセンブリ」が「前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部」を含む構成によって、「上側アセンブリ」に後から回転応力の機構拡張能力を付与することができるという効果を奏することができます。 (c)引用文献1~7には、本願の請求項1,7に係る発明の「一対のレールの間に跨って配置」された「クロスヘッドを介して駆動」される「上側アセンブリ」が「前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部」を含む構成が記載も示唆もされていません。」 との主張をしているので、以下検討する。 本件補正発明においては、「第2の駆動部」を「上側アセンブリ」に後から取り付け可能であると解釈できる発明特定事項は有していないから、上記主張における「「上側アセンブリ」に後から回転応力の機構拡張能力を付与することができる」との効果の主張は、本件補正発明の発明特定事項に基づいたものではない。また、発明の詳細な説明においても「「上側アセンブリ」に後から回転応力の機構拡張能力を付与することができる」旨の記載はない。 よって、上記の効果の主張は、採用できない。 そして、引用発明において、「「クロスヘッドを介して駆動」される「上側アセンブリ」が「前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部」を含む構成」とすることは、上記(5)に示したとおり、周知技術1を適用して当業者が容易に想到し得ることである。 よって、審判請求書における上記主張は、採用できない。 (8)小括 以上より、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3-2 サポート要件について (1)本件補正発明は、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」(構成G)と特定されている。 また、「駆動アセンブリ」に関して、本件補正発明は、「駆動アセンブリであって、」「第1の駆動部と、」「第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」(構成C)と特定されているから、「駆動アセンブリ」は、「第1の駆動部」「第2の駆動部」とを備えるものとなっている。 そうすると、本件補正発明は、構成C、Gにより、上側アセンブリが、駆動アセンブリが備えるものである第1の駆動部及び第2の駆動部を構成する部材の全てを備えている態様を含むといえる。 (2)一方、上記3-1(5)ア(イ)で示したとおり、本願の発明の詳細な説明の段落【0015】の記載においては、「クロスヘッド113」を鉛直方向に駆動するための「モーター」は「ベース102内に設置された」ものとなっており、「クロスヘッド113」に支持された「上側アセンブリ112」が備えるものとはなっていない。 そして、「モーター」は、「クロスヘッド113」を鉛直方向に駆動するためのものであって、「第1の駆動部」に対応するものといえるから、段落【0015】には、上側アセンブリが、駆動アセンブリが備えるものである第1の駆動部及び第2の駆動部を構成する部材の全てを備えている点は記載されていない。 また、本願の発明の詳細な説明の他の記載においても、上側アセンブリが駆動アセンブリが備えるものである第1の駆動部及び第2の駆動部を構成する部材の全てを含む旨の記載はないし、「モーター」(第1駆動部)を「ベース102内に設置された」ものとした態様しか記載されていない発明の詳細な説明の記載から、第1駆動部を、「ベース102」と異なり鉛直方向に駆動されるものである上側アセンブリに設けることが当業者にとって自明であるとはいえない。 (3)よって、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」(構成G)との事項は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (4)以上より、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正却下の決定についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~12に係る発明は、令和5年11月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、当該請求項1の記載は上記第2の[理由]1(2)に示したとおりである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 理由1(サポート要件)請求項1の「駆動アセンブリを支持するレールであって」について、発明の詳細な説明には記載されていないから、この出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(進歩性)この出願の下記の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開平11-258135号公報 2.特開昭59-52730号公報(周知技術を示す文献) 5.特開2009-294125号公報(周知技術を示す文献) 6.特開2012-73182号公報(周知技術を示す文献) 7.特開平08-226881号公報(周知技術を示す文献) 3 進歩性について (1)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2、5~7の記載事項及び引用文献から認定される周知技術1は、上記第2[理由]3、3-1(2)に記載したとおりである。 (2)対比、一致点・相違点 上記第2の[理由]3、3-1(3)の対比を踏まえると、本願発明と引用発明とは、下記アの点で一致し、下記イ、ウの点で相違する。 ア 一致点 「材料試験装置であって、 材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップと、 駆動アセンブリであって、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加する第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリと、 前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセルと、を備え、 変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定され、 前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステムと、 を備える、材料試験装置。」 イ 相違点4 本願発明は、「第1の駆動部」は「クロスヘッドを駆動」し、「第2の駆動部」は「ねじり能力を前記クロスヘッドに与える」と特定されているのに対し、引用発明は、「クロスヘッド」を有するものではなく、そのように特定されていない点。 ウ 相違点5 本願発明は、「駆動アセンブリを支持するレールであって、前記レールに沿って前記クロスヘッドが前記第1の駆動部によって駆動され、前記クロスヘッドの前記レールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、レール」を備えると特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (3)相違点について 事案に鑑み、相違点4、5について、併せて検討する。 ア 本願発明は、「駆動アセンブリを支持するレール」と特定されている。 また、本願発明は、「駆動アセンブリであって、」「第1の駆動部と、」「第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」と特定されているから、「駆動アセンブリ」は、「第1の駆動部」と「第2の駆動部」とを備えるものなっている。 一方、上記第2[理由]3、3-1(5)アで説示したとおり、発明の詳細な説明の段落【0015】には、「駆動アセンブリ114」を構成する部材のうち、「モータ」(第1の駆動部)については、「ベース102内に設置」したものとなっており、その場合、当該「モータ」は、レールに支持されているとはいえない。また、本願の発明の詳細な説明には、他に、「モータ」(第1の駆動部)を含めた駆動アセンブリを構成する部材の全てがレールに支持されると解釈できる記載はない。 以上より、本願発明において、「レール」が「駆動アセンブリを支持する」とは、レールが駆動アセンブリを構成する部材の全てを支持することに限定して特定しているものではなく、レールが駆動アセンブリを構成する部材の少なくとも一部を支持することを特定しているものと解釈し、以下検討する。 イ 上記第2[理由]3、3-1(5)ウで説示したのと同様に、引用発明において、「引張試験駆動装置10」の具体的な機構として周知技術1を適用し、レールと、レールに沿って駆動されるクロスヘッドとを設け、「変位計6」を、クロスヘッドのレールに沿った変位を測定するものとし、また、「ねじり駆動装置11」(第2の駆動部)を、クロスヘッドに支持されるように設けてクロスヘッドを介してレールに支持されるものとし、相違点4、5に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (4)小括 以上より、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 4 サポート要件について (1)本願発明は、「駆動アセンブリを支持するレール」と特定されている。 また、「駆動アセンブリ」に関して、本願発明は、「駆動アセンブリであって、」「第1の駆動部と、」「第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」と特定されているから、「駆動アセンブリ」は、「第1の駆動部」と「第2の駆動部」とを備えるものなっている。 そうすると、本願発明は、第1の駆動部及び第2の駆動部を含む駆動アセンブリの全てがレールに支持されるような態様を含むといえる。 (2)一方、上記3(3)アに示したとおり、発明の詳細な説明の段落【0015】の記載においては、「駆動アセンブリ114」を構成する部材のうち、「モータ」(第1の駆動部)については、「ベース102内に設置」したものとなっており、その場合、当該「モータ」は、レールに支持されているとはいえない。 また、本願の発明の詳細な説明には、他に、「モータ」(第1の駆動部)を含めた駆動アセンブリを構成する部材の全てがレールに支持されると解釈できる記載はないし、「モーター」(第1駆動部)を「ベース102内に設置された」ものとした態様しか記載されていない発明の詳細な説明の記載から、第1駆動部をレールに支持させたものとすることが、当業者にとって自明であるとはいえない。 よって、本願発明における、「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」との事項は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (3)以上より、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許を受けることができないものである。 第4 令和7年2月3日提出の上申書について 令和7年2月3日提出の上申書により、審判請求人より補正書案が示されたので、検討する。 (1)上申書に記載された補正書案 上申書に記載された補正書案の請求項1は、以下のとおりである(以下、補正書案の請求項1に係る発明を「上申書発明」という。)。 「[請求項1] 材料試験装置であって、 材料試験サンプルを間に保持する第1のグリップ及び第2のグリップと、 駆動アセンブリであって、 上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動して、前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに軸力を印加する第1の駆動部と、 前記第1のグリップ及び前記第2のグリップのうちの少なくとも一方を介して前記材料試験サンプルに回転力を印加するねじり能力を前記クロスヘッドに与える第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリと、 前記材料試験サンプルに対する軸応力及び回転応力を測定するために前記第1のグリップに取り付けられたロードセルと、 一対のレールであって、前記クロスヘッドが、前記一対のレールの間に跨って配置され、前記材料試験サンプルに前記軸力を印加している状態での前記クロスヘッドの前記一対のレールに沿った変位が前記材料試験サンプルの軸ひずみを計算するために測定される、一対のレールと、 前記第2の駆動部を制御するフィードバックシステムと、 を備え、 前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備え、 前記第2の駆動部は、前記一対のレール上に取り付けられたトーションモーター制御部によって制御され、前記第2の駆動部及び前記トーションモーター制御部は、所望のトルク値に達するまで前記材料試験サンプルを回転させることによって前記材料試験サンプルのトルク率をゼロ又は事前に選択される正のトルク率若しくは負のトルク率に維持する、材料試験装置。」 (2)サポート要件について 上申書発明は、本件補正発明に「前記第2の駆動部は、前記一対のレール上に取り付けられたトーションモーター制御部によって制御され、前記第2の駆動部及び前記トーションモーター制御部は、所望のトルク値に達するまで前記材料試験サンプルを回転させることによって前記材料試験サンプルのトルク率をゼロ又は事前に選択される正のトルク率若しくは負のトルク率に維持する」との事項を付加したものである。 そして、上申書発明は、本件補正発明と同様に「駆動アセンブリであって、上側アセンブリを、前記上側アセンブリを支持するクロスヘッドを介して駆動して、・・・軸力を印加する第1の駆動部と、・・・第2の駆動部と、を備える駆動アセンブリ」及び「前記上側アセンブリは、前記駆動アセンブリを備える」と特定されているが、当該事項は、上記第2[理由]3、3-2に説示したとおり、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 さらに、上申書発明における、「前記一対のレール上に取り付けられたトーションモーター制御部」に関して、本願の発明の詳細な説明には、「トーションモーター制御部」を「前記一対のレール上」に取り付ける旨の記載はないし、第1図においても、「トーションモーター制御部130」は、一方のレールに接するように設けたものとなっており、一対のレール上に取り付けられたものとはなっていない。よって、上申書発明における「前記一対のレール上に取り付けられたトーションモーター制御部」との事項は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (3)進歩性について 材料試験サンプルに回転力を印加する材料試験装置において、所望のトルクとなるように回転力を印加するモータを制御すること、及び、トルクを一定に保つ(トルク率をゼロとする)ように制御することは、材料試験装置において慣用されている技術にすぎない。また、「ねじり駆動装置11」の制御部(トーションモーター制御部)を、具体的に何処に設けるかは、当業者が適宜設定し得るものであるから、引用発明において周知技術1を適用し、一対のレールを設ける際に、当該レールに「ねじり駆動装置11」の制御部を設けることも、当業者が適宜なし得たことである。 よって、本件補正発明に対して新たに追加された「前記第2の駆動部は、前記一対のレール上に取り付けられたトーションモーター制御部によって制御され、前記第2の駆動部及び前記トーションモーター制御部は、所望のトルク値に達するまで前記材料試験サンプルを回転させることによって前記材料試験サンプルのトルク率をゼロ又は事前に選択される正のトルク率若しくは負のトルク率に維持する」との事項から、上申書発明が進歩性を有するとはいえない。 (4)小括 以上のとおり、上申書発明は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしておらず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本願発明の記載は同法36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014424

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