特許拒絶査定不服審判
2023-018271
染色用のプロセス記録スライド及びそれを使用する方法
- 審判番号
- 2023-018271
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-544967
- 請求日
- 2023年10月27日
- 審決日
- 2024年09月30日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シンセン ピーアールエス リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人北斗特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 宮澤 浩
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P18 .113-Z (G01N) / P18 .121-Z (G01N) / P18 .64 -Z (G01N) / P18 .55 -Z (G01N) / P18 .56 -Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法37条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第37条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-544967「染色用のプロセス記録スライド及びそれを使用する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月16日国際公開、WO2020/075137、令和 4年 3月31日国内公表、特表2022-520536〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)10月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年10月12日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和4年9月26日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年3月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年月6日20付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年10月27日に審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の請求項1に係る発明
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「 スライドであって、
組織切片又は遊離細胞を含む試料を保持するように構成される検出領域と、
免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセス中の中間工程のエラー及び性能の尺度を示すとともに、
染色された組織又は細胞のカラー及び抗原密度を定性的又は定量的に決定するための参照を提供するように構成される対照領域と、
を備える、スライド。」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
「 スライドであって、
組織切片又は遊離細胞を含む試料を保持するように構成される検出領域と、
免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセス中の中間工程のエラー及び性能の尺度を示すとともに、
染色された組織又は細胞のカラー及び抗原密度を定性的又は定量的に決定するための参照を提供するように構成される対照領域と、
を備え、
前記対照領域が一次標的アレイを含み、該一次標的アレイが1つ以上の一次標的ローディングドットを含み、該1つ以上の一次標的ローディングドットの各々が、
FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体
を含む、スライド。」
2 当初明細書等の記載事項
本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲及び明細書には、「一次標的アレイ」、「一次標的ローディングドット」、「FcyRI」又は「FcyR1」について、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。
(1)特許請求の範囲
「【請求項3】
前記対照領域が一次標的アレイを含み、該一次標的アレイが1つ以上の一次標的ローディングドットを含み、該1つ以上の一次標的ローディングドットの各一次標的ローディングドットが一次抗体上の宿主FcyRIペプチドと反応性のタンパク質を含むタンパク質部位を含み、該タンパク質が唯一又は複数の一次抗体宿主と反応性であり、各タンパク質部位が単一の一次抗体タンパク質を前記スライド上に固定化する、請求項1に記載のスライド。
【請求項4】
前記FcyRIペプチドが担体タンパク質にカップリングされ、該担体タンパク質が非反応性タンパク質を含み、該非反応性タンパク質が前記免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセスで使用される二次染色試薬と非反応性である、請求項3に記載のスライド。
【請求項5】
前記一次標的アレイが複数の一次標的ローディングドットを含み、該複数の一次標的ローディングドットの各一次標的ローディングドットが同じ反応性FcyRIペプチドを含み、該複数の一次標的ローディングドットの各一次標的ローディングドットが、該複数の一次標的ローディングドットの他の一次標的ローディングドットの各々と異なる濃度の前記反応性FcyRIペプチドを有する、請求項4に記載のスライド。
【請求項6】
前記一次標的アレイが複数の一次標的ローディングドットを含み、該複数の一次標的ローディングドットの各一次標的ローディングドットが異なる反応性ペプチドを含み、該複数の一次標的ローディングドットの各一次標的ローディングドットが、前記複数の一次標的ローディングドットの他の一次標的ローディングドットの各々と異なる濃度の前記反応性ペプチドを有する、請求項4に記載のスライド。
【請求項7】
前記対照領域が一次標的アレイを含み、該一次標的アレイが一次標的ローディングドットを含み、該一次標的ローディングドットが複数の一次標的を含み、該複数の一次標的の各々が前記免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセスで使用される一次抗体の宿主タンパク質に対する抗体を含む、請求項1に記載のスライド。
【請求項8】
前記対照領域が一次標的アレイを含み、該一次標的アレイが一次ローディングドットを含み、該一次標的ローディングドットが複数の一次標的を含み、該複数の一次標的の各々が前記免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセスで使用される一次抗体の宿主タンパク質に対するプロテインA、プロテインG、プロテインA/G又はプロテインLを含む、請求項1に記載のスライド。」
(2)発明の詳細な説明
「【0066】
[一次標的及び一次標的アレイ]
幾つかの実施形態では、対照標的141は、一次抗体試薬を試験するために1つ以上の一次標的を含む。
【0067】
本明細書中で使用する場合、「一次標的」という用語は、そのFcyR1部位の1つのみで一次抗体に特異的に結合する反応性要素及び非反応性要素の組成物を意味する。本明細書中で使用する場合、「一次タンパク質」という用語は、一次抗体のFcyRIに結合するタンパク質を意味する。本明細書中で使用する場合、「一次ダミータンパク質」という用語は、任意の一次抗体又は二次抗体と反応しないタンパク質を意味する。本明細書中で使用する場合、「最大標的密度」という用語は、隣接するタンパク質の最大単分子層密度を指す。本明細書中で使用する場合、「代理抗原(surrogate antigen)」という用語は、IHC又はICCアッセイで使用される一次抗体の標的とされないが、それにもかかわらず、例えばIHC又はICCアッセイで使用される一次抗体(マウス又はウサギベース)の2つのFcyRI領域の一方のみを介して一次抗体に結合するタンパク質を指す。本明細書中で使用する場合、「マウス専用(only)代理抗原」という用語は、マウスベースの一次抗体のFcyRIのみに対して特有に反応するタンパク質又は抗原を意味する。本明細書中で使用する場合、「ウサギ専用代理抗原」という用語は、ウサギベースの一次抗体のFcyR1のみに対して特有に反応するペプチド又はタンパク質を意味する。
【0068】
有胎盤哺乳動物(Placenta mammal)タンパク質は、分子量(weight)が50kDa~65kDaの範囲である。一次抗体IgGタンパク質は、2つのFabドメイン及び1つのFcドメインから構成され、通常はY字型でモデル化される。Fcは、ヒンジによって2つのFabドメインに接続する。全ての非コンジュゲート抗体を、アンタゴニスト抗原ペプチドを宿主に接種することで宿主哺乳動物(ほとんどの場合、マウス又はウサギ)において成長させる。宿主は、接合(mating)抗原を捕捉することができる抗体のFabドメインのN末端近くの結合アミノ酸配列を集合させることによって、有害なアンタゴニスト抗原ペプチドを撃退するために抗体を産生する。抗体のFcドメインは常に、宿主哺乳動物のものである。宿主抗体のFcドメインは通常、結合親和性の高いものから低いものへの順序でFcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)及びFcyRIII(CD16)という二次抗体に利用可能な3つの結合部位を有する。
・・・
【0071】
ペプチドベースの一次タンパク質は、C末端のシステイン残基がKLHサブユニット(キーホールリンペットヘモシアニン)等の担体タンパク質に共有結合したマウス又はウサギFcyRI反応性ペプチドからも構成され得る。KLHサブユニットは、その遊離アミン部位でスルホ-SMCCにより活性化され、コンジュゲーションによりペプチドのシステイン残基に結合する。非活性化KLHサブユニットは、単独で一次ダミータンパク質を作製するのに十分である。
・・・
【0073】
図5Aを参照すると、幾つかの実施形態では、一次標的が一次標的アレイ1415に配置される。幾つかの実施形態では、一次標的アレイ1415は、一次標的密度勾配アレイである。アレイ内の各標的が同じ最大標的密度(タンパク質/表面積)を有していなくてはならない。しかしながら、一次タンパク質とダミー一次タンパク質との比率は、広範な一次抗体希釈物を確実に識別することができるように段階的な比率にする。概して、2つの一次代理抗原標的による検出が濃度を検出移行(transfer)曲線にマッピングするのに十分である。幾つかの実施形態では、一次標的密度勾配アレイは、1つのアレイがマウスベースであり、他がウサギベースである複数の一次標的ローディングドットを含む。
・・・
【0076】
幾つかの実施形態では、汎用代理抗原は、プロテインA又はプロテインGのいずれかである。プロテインAは、FcyRI及び有胎盤哺乳動物のFabドメイン内の幾つかの領域に結合する。プロテインGは、ほとんどの有胎盤哺乳動物のFcyRI部位のみに結合する。
・・・
【0090】
幾つかの実施形態では、抗原賦活化標的は、ARM2D標的又はARM3D標的に加えて一次標的勾配アレイ又は二次標的勾配アレイを更に含む。幾つかの実施形態では、一次標的アレイ又は二次標的アレイは、上記のものと同じ又は類似している。
・・・
【0160】
本発明の別の実施形態では、一次標的は、プロテインA、G又はA/Gから作製することができる。一次抗体は、主にマウスIgG又はウサギIgGのいずれかの宿主Fcドメインをベースとする。しかしながら、FcyRI部位は、マウスIgG1及びウサギIgG上に見られる。プロテインAは、ウサギIgGに強く結合するが、マウスIgG1には弱く結合する。プロテインGは、ウサギIgGに強く結合し、マウスIgG1に中程度に結合する。プロテインA/Gは、ウサギIgGに強く結合し、マウスIgG1に中程度に結合する。プロテインLは、他のもののFcyRIに対してFab軽鎖中でマウスIgG1に強く結合し、ウサギIgGに弱く結合する。幾つかの実施形態では、プロテインG又はA/Gが使用される。どちらもダイポール構造のように見え、一次抗体への単一の結合のみを支持する。
・・・
【0162】
一次抗体との結合(binding connection)では常に、2つのFcyRI部位の一方が二次抗体との反応が可能な状態にあるため、捕捉された一次抗体は、機能的に無傷であり、少なくとも1つのFcyRI部位が二次染色の支持に利用可能でなくてはならない。したがって、染色される捕捉された一次抗体は、一次のアッセイ/希釈値に対して実際の適用濃度を表す。
・・・
【0169】
二次標的アレイ及び一次標的アレイはどちらも、半可逆的に固定されて、ARプロセス中に試料又はAR標的より低い程度の分解を受ける。分解は、完全タンパク質ではなく、解放されたタンパク質セグメントに由来する。幾つかの実施形態において、ARプロセスは、タンパク質標的及び試料切片に作用し続けるため、AR損傷は、勾配スケールパターンの100%の位置に向かってのシフトとみなされる。他方で、二次酵素利得は、勾配アレイを、10%位置に向かってシフトさせる。幾つかの実施形態において、酵素利得は、1、2、4、5、8、10、15、又は20である。これは、10%標的側への二次アレイのシフトとして言い換えられる:
・・・
【0195】
一次標的アレイが存在する場合、二次酵素利得の増加は、染色密度を、低い一次濃度ドットにシフトさせる。同じことが、一次抗体濃度が増加される場合にも当てはまる。抗原賦活化プロセスは、一次標的及び二次標的の両方を、幾らかのレベルにまで分解させて、シフトをカットオフへと反転させる。IHC染色の終わりに、3個以上のドットが消失した場合、スライドは、過剰な抗原賦活化持続時間、温度、又はその両方を有するとみなされ、多すぎる抗原の存在が、組織上で損失されて、診断解釈を最低限にさせる。この決定は、二次染色が損なわれているとすでに示されているため、一次抗体の効率と非依存性である。抗体工程に関して、この損失レベルは克服できるものではない。」
3 新規事項の追加について
(1)本願の発明の詳細な説明の段落【0067】には、「『一次標的』という用語は、そのFcyR1部位の1つのみで一次抗体に特異的に結合する反応性要素及び非反応性要素の組成物を意味する。」と記載されている。当該記載に基づけば、「一次標的」は、一次抗体とは別の組成物を意味するものとして定義されている。また、段落【0066】には、「対照標的141は、一次抗体試薬を試験するために1つ以上の一次標的を含む。」と記載されている。当該記載からみても、一次標的は、一次抗体試薬とは別の構成であると理解できる。さらに、段落【0068】の「宿主は、・・・抗体を産生する。抗体のFcドメインは常に、宿主哺乳動物のものである。宿主抗体のFcドメインは通常、結合親和性の高いものから低いものへの順序でFcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)及びFcyRIII(CD16)という二次抗体に利用可能な3つの結合部位を有する。」との記載から、特定の宿主が産生した抗体は、FcyRI(CD64)という二次抗体が利用可能な結合部位を有すること、つまり、特定の宿主により産生された(一次)抗体は、FcyRIペプチドが利用可能な結合部位を有することが説明されている。
そして、本願の請求項5には、「一次標的アレイが複数の一次標的ローディングドットを含み」と記載されるとともに、「一次標的ローディングドットが同じ反応性FcyRIペプチドを含み」と記載されており、「一次標的アレイ」が「一次標的ローディングドット」を含むこと、及び、「一次標的ローディングロッド」が「FcyRIペプチド」を有することが読み取れる。また、請求項3にも、「一次標的アレイが1つ以上の一次標的ローディングドットを含み」と記載されるとともに、「一次標的ローディングドットが一次抗体上の宿主FcyRIペプチドと反応性のタンパク質を含むタンパク質部位を含み」と記載されている。「一次抗体」と「一次標的」に用いられる組成物が別のものとして定義されていることからみて、「一次抗体上の宿主FcyRIペプチドと反応性のタンパク質を含むタンパク質部位」は、FcyRIペプチドを説明したものであって、一次抗体を含むものと理解することはできない。さらに、段落【0073】には、「一次標的アレイ1415は、一次標的密度勾配アレイである」こと、「一次標的密度勾配アレイは、・・・複数の一次標的ローディングドットを含む。」こと、「一次代理抗原標的による検出」が行われることが記載されており、段落【0076】に、「汎用代理抗原は、プロテインA又はプロテインGのいずれかである。プロテインAは、FcyRI及び有胎盤哺乳動物のFabドメイン内の幾つかの領域に結合する。プロテインGは、ほとんどの有胎盤哺乳動物のFcyRI部位のみに結合する。」と記載されている。当該記載から、プロテインA及びプロテインGは、有胎盤哺乳動物により産生された抗体のFcyRI部位に対して結合することができる汎用代理抗原であって、上記「FcyRIペプチド」と称されるものと同じ作用機能を有するものであること、「一次標的アレイ」が「一次標的ローディングドット」を含み、「一次標的ローディングドット」が上記「汎用代理抗原」を有することが記載されていると理解できる。
以上のとおり、上記2の記載事項に基づけば、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等)という。)には、「一次標的アレイ」が「一次標的ローディングドット」を含み、各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチド」を有することについて記載されているのみであり、本件補正により追加された各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を有することは、当初明細書等には記載されていない。
(2)また、本願明細書の段落【0066】における「幾つかの実施形態では、対照標的141は、一次抗体試薬を試験するために1つ以上の一次標的を含む。」との記載、及び、段落【0067】における「本明細書中で使用する場合、「一次標的」という用語は、そのFcyR1部位の1つのみで一次抗体に特異的に結合する反応性要素及び非反応性要素の組成物を意味する。」との記載から、「一次抗体」は、試験の対象となる試薬に含まれるものであるのに対し、一次標的に含まれるとされる「FcyRIペプチド」は一次抗体に特異的に結合するものであって、「FcyRIペプチド」と「一次抗体」とが別のものであることは明らかである。また、本願明細書の段落【0068】に、「宿主抗体のFcドメインは通常、結合親和性の高いものから低いものへの順序でFcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)及びFcyRIII(CD16)という二次抗体に利用可能な3つの結合部位を有する。」と記載されている。ここで、「CD64」は一般にFcγRIとも称されるタンパク質であって、免疫グロブリンGのFc部分に対する細胞表面受容体であって免疫グロブリンGとは別の物質である。そうすると、技術常識を参酌したとしても、各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を有することについて、当初明細書等に記載されていたに等しいということもできない。
(3)さらに、審判請求書には、請求項1についての補正について、「この補正事項は、補正前の請求項3並びに本願明細書段落[0068]及び[0162](本願PCT明細書段落[00081]及び[000183])に基づきます。」と説明している。しかし、出願当初の請求項3、段落【0068】及び【0162】には、上記のとおり、一次抗体に対して反応性であるタンパク質が対照領域に含まれることのみが記載されており、当該構成によって一次抗体試薬中の一次抗体を結合させることにより、「抗原賦活化プロセスの失敗、又は実験助手側若しくは染色プロセス中の過失」(段落【0008】)という問題を、「患者試料及び対照標的が共在し、ともに染色プロセスを受けることを可能にするプロセス記録スライド」により、対処する(段落【0026】)ものであって、「過剰な一次抗体は多くの場合、組織切片上の非特異的な染色を引き起こす。抗原賦活化処理を無視すると、一次抗体、二次抗体及び色素原試薬の効率は、染色カラー密度(組織切片上の抗原密度の指標)に影響する。抗体タンパク質の劣化は、FabドメインとFcドメインとの間のヒンジの破壊の直後のFcドメインの分離を生じる。Fabドメイン及びFcドメインの両方を含有する抗体のみが、操作の成功をもたらす。沈殿用の色素を含有する色素原試薬の多くが短い寿命挙動を有し、一部は数時間と短い。結果として、異なる寿命(ages)の色素原試薬が異なる性能を有し、染色カラー密度の変動を引き起こす。」(段落【0026】)といった問題を解決するという技術的事項に基づくものである。
一方、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、対照領域が一次抗体を含むため、「抗原賦活化プロセスの失敗、又は実験助手側若しくは染色プロセス中の過失」を検証することができず、「一次標的アレイ」によって、二次抗体の反応性の程度を分析するものとなっている。このように、「一次標的アレイ」によって、二次抗体の反応性の程度を分析するという技術的事項は、当初明細書等から導き出せるものではなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであることは明らかである。
(4)以上のとおり、上記補正により追加された各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を有することは、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
4 サポート要件について
(1)仮に、請求項1に係る本件補正が、本件補正前の本件補正前の請求項3の記載に基づいて補正するものであって新規事項の追加にあたるものでなく、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、以下のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものとはいえず、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものとはいえない。
(2)本件補正後の請求項1に係る発明は、前記1(2)に記載した事項により特定されるとおりのものであって、1つ以上の一次標的ローディングドットの各々が、「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を含むことを要件としている。
(3)本願の発明の詳細な説明には、前記2に挙げる記載があるものの、前記3(1)に記載したとおり、各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を有することは記載されていない。また、前記3(2)に記載したとおり、技術常識を参酌したとしても、各「一次標的ローディングドット」が「FcyRIペプチドをその上に有する一次抗体」を有することについて、明細書等に記載されていたに等しいということもできない。
(4)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。したがって、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではないため、独立して特許を受けることができないものである。
5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
また、仮に、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものではないとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件発明
1 本件発明
本件補正は、前記第2に記載したとおり却下されたので、本願の請求項1~20に係る発明は、令和5年3月6日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。
また、請求項2に係る発明(以下「本件発明2」という。)及び、請求項18に係る発明(以下「本件発明18」という。)は、それぞれ、以下のとおりのものである。
「 【請求項2】
前記スライドにおける部分と結合するように構成される接着剤コーティングを更に含み、該接着剤コーティングが-ROH、-R(C=O)OH、-RNH3、-R(C=O)NH2及び-RNH2からなる群から選択される少なくとも1つの末端基を含む、請求項1に記載のスライド。」
「 【請求項18】
スライドを用いた免疫組織化学的染色方法であって、
固定の一部分を除去することと、
なお、前記部分は、組織切片中の抗原部位を露出させ、対照標的を露出させるのに十分である;
前記組織切片及び前記対照標的を染色することと、
なお、染色は、
1つ以上の一次抗体を前記スライドに適用し、部分とコンジュゲートされる1つ以上の二次抗体を前記スライドに適用するか、又は前記部分とコンジュゲートされる1つ以上の一次抗体を前記スライドに適用するとともに、
前記部分の存在下で発色して標的とされる抗原の存在を示す染色試薬を適用することを含む;
染色プロセスの品質を評価することと、
なお、評価は、前記対照標的、又は前記組織切片から離れた対照領域内に位置する抗原賦活化モニターの染色結果を評価することを含む;
を含む、方法。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、概略以下のとおりである。
(1)理由3(新規性)
この出願の請求項1に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)理由4(進歩性)
この出願の請求項1、2、7、8に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)理由1(発明の単一性)
この出願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
なお、理由3(新規性)及び理由4(進歩性)は、以下の引用文献1を主引用発明として引用するものであり、理由4(進歩性)は、さらに、以下の引用文献2を副引用文献として引用するものである。
引用文献1:国際公開第2013/090567号
引用文献2:米国特許出願公開第2004/0016035号明細書
3 引用文献
(1)引用文献1の記載事項
本願の優先権主張の日前に国際公開された引用文献1には、図面とともに以下の記載事項がある。なお、括弧内に翻訳文を示すとともに、引用発明の認定に用いた箇所に下線を付した。
ア 本発明の技術分野
「[0001] The present invention relates generally to immunohistochemical protocols and, more specifically, to devices and methods for validating a slide pre-treated and stained in accordance with an immunohistochemical protocol.」(本発明は、一般的には免疫組織化学プロトコルに関し、より具体的には、免疫組織化学プロトコルに従って前処理され染色されたスライドを検証するための装置および方法に関する。)
イ 本発明の背景技術
「[0002] Immunohistochemistry ("IHC") is set of processes performed on a slide, manually and/or automatically by one or more robotics or instruments, by which the expression and localization of at least one target is detected and visualized.・・・」
(免疫組織化学(IHC)は、スライド上で手動および/または1つ以上のロボットまたは機器によって自動的に実行される一連のプロセスであり、これにより少なくとも1つのターゲットの発現と局在が検出され、視覚化される。・・・)
「[0005] ・・・Therefore, there remains a need for devices and methods that are capable of validating sample preparation in accordance with an IHC protocol, prior to pathological evaluation. Such devices and methods would reduce the occurrence of pathological evaluation of improperly or poorly pre- treated, stained, or preserved samples and increase the reproducibility of the IHC protocol for making a diagnosis.」
(・・・したがって、病理学的評価の前に、IHCプロトコルに従ってサンプルの準備が行われたかどうかを検証できるデバイスと方法が依然として必要とされている。このようなデバイスと方法により、不適切または不十分に前処理、染色、または保存されたサンプルの病理学的評価の発生が減り、診断を行うためのIHCプロトコルの再現性が向上する。)
ウ 本発明の概要
「[0007] According to one embodiment, the present invention is directed to a method of validating an IHC slide. The slide is pre-treated and stained in accordance with an IHC protocol and includes a validation portion with at least one control group. The at least one control group is configured to validate at least one parameter directed to at least one of the pre-treatment or of the staining of the slide. The method includes capturing an image of the slide and measuring a value of the at least one parameter for the control group from the image. The measured value of the at least one parameter is compared to an acceptable value. Based on this comparison, an indication of the validity of the IHC slide is generated.」
(一実施形態によれば、本発明は、IHCスライドを検証する方法に関する。スライドはIHCプロトコルに従って前処理および染色されており、少なくとも1つのコントロールグループを含む検証部分を含んでいる。少なくとも1つのコントロールグループは、スライドの前処理または染色の少なくとも1つについての少なくとも1つのパラメータを検証するように構成される。この方法には、スライドの画像をキャプチャし、画像からコントロールグループの少なくとも1つのパラメータの値を測定することを含む。少なくとも1つのパラメータの測定値が許容値と比較され、この比較に基づいて、IHCスライドの有効性の指標が生成される。)
エ 詳細な説明
「[0044] To validate the IHC procedure performed on the validation slide 36 prior to pathological evaluation, the validation slide 36 includes not only the tissue sample 112, but at least one control group that is directed to one or more parameters corresponding to the IHC protocol, including, for example, pre-treatment and staining. Said another way, the control group is not directed to an indication used in determining a diagnosis but rather is directed to a parameter that is reflective of a quality control of the performed IHC protocol as
compared with a standard operating procedure. In that regard, FIGS. 5 and 6A-6D illustrate a method of manufacturing the validation slide 36 for use with the IHC device 20 and in accordance with one embodiment of the present invention. The one or more parameters may include, for example, a spatial characteristic or dimension (e.g., diameters, areas, and boundary detection), an optical characteristic (e.g., transmittance, reflectance, optical density, luminescence, polarization, etc.), a chemical characteristic (e.g., radioactivity), statistical comparisons (coefficient of variance or color ratios) or other such analytical measurement.」
(病理学的評価の前に検証スライド36で実行されるIHC手順を検証するために、検証スライド36には、組織サンプル112だけでなく、たとえば前処理や染色など、IHCプロトコルに対応する1つ以上のパラメータについての少なくとも1つのコントロールグループが含まれる。言い換えれば、コントロールグループは、診断を決定する際に使用される指標ではなく、標準操作手順と比較して実行されたIHCプロトコルの品質管理を反映するパラメーターに関連する。この点に関して、図5および図6A~図6Dは、本発明の一実施形態に従って、IHC装置20で使用するための検証スライド36を製造する方法を示している。1つ以上のパラメータには、例えば、空間特性又は寸法(直径、面積、境界検出など)、光学特性(透過率、反射率、光学密度、発光、偏光など)、化学特性(放射能など)、統計的比較(変動係数または色比)、またはその他の分析測定が含まれる。)
合議体注:図6A~図6Dは次に示すものである。
[図:0001419912000001.jpg]
「[0045] The validation slide 36 may comprise a conventional microscope slide 102 or other glass, quartz, or polymeric substrate that is suitable for transmission of light. A label 104 may be positioned on the slide 102 and include a machine readable code 106 (such as an RFID or a barcode), an indicia (illustrated as the same), and/or an identifier (illustrated as the same), one or more of which may be used for identifying the patient from which a sampled tissue was taken, a protocol performed, a date of protocol, and so forth.・・・」
(検証スライド36は、従来の顕微鏡スライド102または光の透過に適したその他のガラス、石英、またはポリマー基板で構成される。ラベル104は、スライド102上に配置することができ、機械読み取り可能なコード106(RFIDまたはバーコードなど)、表示(同様に図示)、および/または識別子(同様に図示)を含み、これらの1つ以上は、サンプル組織が採取された患者、実行されたプロトコル、プロトコルの日付などを識別するために使用できる。・・・)
・・・
「[0047] The slide 102 further includes a validation portion 108 and a sample portion 110 thereon. The validation portion 108 may be prepared during slide manufacture while the sample portion 110 is configured to receive a sampled tissue 112 (FIG. 8A) as explained in greater detail below.」
(スライド102には、その上に検証部分108とサンプル部分110がさらに含まれる。検証部分108は、スライドの製造中に準備でき、サンプル部分110は、以下でより詳細に説明するように、サンプル組織112(図8A)を受け入れるように構成される。)
合議体注:図8Aは次のものである。
[図:0001419912000002.jpg]
「[0048] The validation portion 108, as shown in FIG. 6A, includes at least one control group, which may be a pre-treatment control group, a staining control group, or both, wherein each control group is configured to indicate the validity of at least one portion of the IHC procedure. Each control group may include a control in singly, duplicate, triplicate, or other multiplicity as desired. As specifically shown, the validation portion 108 includes a pretreatment control group with duplicate controls and a staining control group, also with duplicate controls. The illustrative controls are, therefore, arranged into four quadrants: a first control within the staining control group (illustrated as "U1 "), a second control within the second staining control group (illustrated as "U2"), a first control within the pretreatment control group (illustrated as "F1 "), and a second control within the pre-treatment control group (illustrated as "F2").」
(図6Aに示すように、検証部分108には、少なくとも1つのコントロールグループ(前処理コントロールグループ、染色コントロールグループ、またはその両方)が含まれており、各コントロールグループは、IHC手順の少なくとも1つの部分の有効性を示すように構成されている。各コントロールグループには、必要に応じて、単独、重複、三重、またはその他の多重度のコントロールを含めることができる。具体的に図示されているように、検証部分108には重複したコントロールを含む前処理コントロールグループと、同じく重複したコントロールを含む染色コントロールグループが含まれている。したがって、例示されるコントロールは、染色コントロールグループ内の第1コントロール(「U1」として図示)、第2染色コントロールグループ内の第2コントロール(「U2」として図示)、前処理コントロールグループ内の第1コントロール(「F1」として図示)、および前処理コントロールグループ内の第2コントロール(「F2」として図示)の4つの象限に配列される。)
「[0049] For illustrative purposes only, the pre-treatment control groups F1 , F2 are described herein as being directed a sample pre-treatment step, for example, antigen retrieval. The staining control groups U1 , U2 are described herein as being directed to the staining of the validity slide 36 in accordance with the particular IHC protocol. Any combination and/or number of control groups may be used for evaluating and validating various sample pre-treatment and staining steps on a single validity slide 36.Such sample pre-treatment steps may include, for example, deparaffinization, antigen retrieval, sample mount, and so forth.」
(説明のみを目的として、前処理コントロールグループF1、F2は、サンプルの前処理ステップ、たとえば抗原回収に対応するものとして本明細書に記載される。染色コントロールグループU1、U2は、特定のIHCプロトコルに従って検証スライド36の染色に対応するものとして本明細書で説明されている。単一の妥当性スライド36上でさまざまなサンプルの前処理および染色手順を評価および検証するために、任意の組み合わせおよび/または任意の数のコントロールグループを使用できる。このようなサンプル前処理ステップには、例えば、脱パラフィン化、抗原回収、サンプルマウントなどが含まれる。)
「[0050] In that regard, each quadrant U1, U2, F1, F2 of the validation slide 36, as shown in FIG. 6B, may include a suitable control, such as a peptide spot 114, cultured cells (not shown), a control tissue (not shown), or other as appropriate for evaluating antigen binding of the antibody (Block 116). Each spot 114 may include a peptide (antibody, etc.) having the epitope of interest, (for example, the illustrative spots 114 may include a portion of the HER2 protein to which the polyclonal antibody included in the HERCEPTEST (Dako Denmark A/S, Glostrup, Denmark) binds for detecting breast cancer. The peptide may be prepared in a conventional manner and harvested from cell lines that are genetically engineered to over express the particular antigen.」
(この点に関して、図6Bに示すように、検証スライド36の各象限U1、U2、F1、F2には、ペプチドスポット114、培養細胞(図示せず)、対照組織(図示せず)、または抗体の抗原結合を評価するために適切なその他のもの(ブロック116)などの適切な対照が含まれる場合がある。各スポット114には目的とするエピトープを有するペプチド(抗体など)を含んでもよい(例えば、スポット114には、乳がんを検出するために HERCEPTEST(Dako Denmark A/S、デンマーク、グロストルップ)に含まれるポリクローナル抗体が結合するHER2タンパク質の一部が含まれる)。ペプチドは従来の方法で調製され、特定の抗原を過剰発現するように遺伝子操作された細胞株から採取される。)
合議体注:図8Bは次のものである。
[図:0001419912000003.jpg]
・・・
「[0052] In accordance with one exemplary embodiment, one or more controls may be configured to assess antigen retrieval. As shown, the duplicate set of spots 1 14, e.g., those spots 114 within F1 and F2, may then be overspotted to control for sample pre-treatment, for example, with a casein spot 118 (Block 120). Casein is a phosphoprotein used for assessing antigen retrieval, as described in greater detail below. The overspot 1 18 may have a diameter that is generally larger than a diameter of the peptide spots 114.」
(1つの例示的な実施形態によれば、抗原回収を評価するために1つ以上の制御が構成され得る。図に示すように、スポット114の重複セット、たとえばF1及びF2内のスポット114は、サンプルの前処理を制御するために、たとえばカゼインスポット118(ブロック120)でオーバースポットされる。カゼインは、以下で詳しく説明するように、抗原回復を評価するために使用されるリン酸化タンパク質である。オーバースポット118の直径は、ペプチドスポット114の直径よりも一般に大きい。)
「[0053] The overspot 1 18 may, optionally, be further processed (Block 122). One such method of processing may include, for example, cross-linking the casein of the overspot 1 18 by immersing only the F1 and F2 quadrants into a formalin bath 124 while the U1 and U2 quadrants remain outside the formalin bath 124. The F1 and F2 quadrants remain within the formalin bath 124 for a sufficient period of time (for example, ranging from about 12 minutes to about 40 minutes at room temperature). For some antibodies, antigen retrieval is necessary to provide or enhance access of the antibody to the epitope or antigen. In other words, incomplete antigen retrieval reduces or hinders accessibility of the antibody to the epitope or antigen, and if the latter occurs, the interpretation would be a false negative result or a wrongly scored result. Once the cross-linkage is complete, the validation slide 36, with the now fixed spots 126, may be removed from the formalin bath 124, dried, and prepared for use with the sampled tissue 112.」
(オーバースポット118は、オプションとして、さらに処理されてもよい(ブロック122)。このような処理方法の1つとしては、例えば、U1及びUS2象限をホルマリン浴124の外側に残したまま、F1及びF2象限のみをホルマリン浴124に浸漬することによって、オーバースポット118のカゼインを架橋することが挙げられる。F1象限及びF2象限は、十分な時間(たとえば、室温で約12分から約40分の範囲)、ホルマリン浴124内に留まる。一部の抗体では、抗体のエピトープまたは抗原へのアクセスを提供または強化するために、抗原回復が必要となる。言い換えれば、不完全な抗原回収により、抗体のエピトープまたは抗原へのアクセスが減少または妨げられ、後者が発生した場合、解釈は偽陰性の結果または誤ったスコアの結果となる。架橋が完了すると、スポット126が固定された検証スライド36をホルマリン浴124から取り出し、乾燥させて、サンプル組織112に使用する準備をすることができる。)
「[0054] In preparing a sample, and with reference now to FIGS. 7 and 8A, a tissue specimen (not shown), is acquired, for example, via biopsy or autopsy, undergoes formalin fixation (or other suitable fixative solution), is processed and embedded within paraffin, sliced by a microtome, mounted to the validation slide 36, and bake (Block 128) all in a manner that is generally known to those of ordinary skill in the art.」
(サンプルを準備するにあたり、図7および図8Aを参照すると、組織標本(図示せず)は、例えば生検または剖検によって取得され、ホルマリン(または他の適切な固定液)固定され、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトームによってスライスされ、検証スライド36に乗せられ、乾燥される(ブロック128)が、これらはすべて、当業者に一般的に知られている方法で行う。)
「[0055] With reference now to FIG.8B with FIG.7, the validation slide 36 is pre- treated in accordance with the IHC protocol (Block 130). Consistent with the illustrative example, the pre-treatment may include antigen retrieval (Block 130). In that regard, the validation slide 36 may be immersed in a warmed buffer solution bath 132 for a period of time (for example, 40 minutes at 97°C). Antigen retrieval is necessary for releasing the antigen from the fixative solution such that it may react with the antibodies of the IHC stains. In other words, incomplete antigen retrieval reduces the number of epitopes, if present in the tissue sample 112, available for reaction with IHC antigens and a false negative diagnosis may result.
(ここで、図8Bと図7を参照すると、検証スライド36は、IHCプロトコルに従って前処理される(ブロック130)。例示的な例と一致して、前処理には抗原回復(ブロック130)が含まれ得る。この点に関して、検証スライド366 は、一定時間(例えば、97℃で40分間)温められた緩衝液槽132に浸漬されてもよい。抗原回収は、抗原を固定液から放出し、IHC染色の抗体と反応させるために必要である。言い換えれば、抗原の回収が不完全であると、組織サンプル112内に存在する場合、IHC抗原との反応に利用できるエピトープの数が減少し、偽陰性の診断が生じる可能性がある。)
「[0056] In either case, the tissue sample 112 and the controls (i.e., the peptide spots 114) of the validity slide 36 are treated with the IHC stain in accordance with the staining protocol and, optionally, a cover slip (not shown) if no further processing is necessary (Block 134). Alternatively, if desired and/or necessary for the particular IHC protocol, a counter-stain may be applied prior to the cover slip (Block 136). For example, the validation slide 36 may be counter-stained with haematoxylin, which reacts with fixed spot 126, if present, and has a blue color.」
(いずれの場合も、検証スライド36の組織サンプル112およびコントロール(つまり、ペプチドスポット114)は、染色プロトコルに従ってIHC染色で処理され、さらに処理する必要がない場合は、オプションでカバースリップ(図示せず)で処理される(ブロック134)。あるいは、特定のIHCプロトコルで必要な場合や必要な場合は、カバースリップの前に対比染色を適用することもできる(ブロック136)。たとえば、検証スライド36は、固定スポット126(存在する場合)と反応して青色になるヘマトキシリンで対比染色される場合がある。)
「[0057] If the peptide (i.e., antigen) is present and released, then the antibody, may react with the antigen and develop as a now stained tissue 138. The antibody/stain also stains the peptide spots 114 of the staining control groups U1, U2 and any peptide within the spots 114 of the pre-treatment control groups F1, F2 uncovered by the removal of the overspotting. More particularly, in FIG. 8C, the peptide of the staining control groups U1, U2 acquire the antibody stain ("stained peptide spots" 140) because the epitope within these quadrants was not previously hidden within the fixed spot 126 and is available for receiving the stain. Likewise, the peptide spotted in the pre-treatment control groups F1, F2 acquire the antibody stain (also referred to as stained peptides spots 140) because the peptide, though previously hidden by the overspot 1 18, has been fully retrieved by removal of the overspot 118 and made available to receiving stain.」
(ペプチド(抗原)が存在し、放出されると、抗体が抗原と反応し、染色された組織138が生成される。抗体//染色は、染色コントロールグループU1、U2のペプチドスポット114、およびオーバースポットの除去によって露出した前処理コントロールグループF1、F2のスポット114内のペプチドも染色する。より具体的には、図8Cでは、染色コントロールグループU1、U2のペプチドは抗体染色(「染色されたペプチドスポット」140)を獲得するが、これは、これらの象限内のエピトープが固定スポット126内に以前は隠れておらず、染色を受けるために利用可能であるためである。同様に、前処理対照群F1、F2にスポットされたペプチドは抗体染色(染色ペプチドスポット140とも呼ばれる)を獲得します。これは、ペプチドが以前はオーバースポット118によって隠されていたものの、オーバースポット118の除去によって完全に回収され、染色を受けられるようになったためである。)
「[0058] Conversely, and as shown in FIG.8D, the peptide within the pre- treatment controls F1, F2 is not, or is only partially, released from the overspot 1 18 and available for antibody staining (partial fixed peptides spots 126) (Block 130, FIG.7). Because the antigen within the peptide present in the staining control groups U 1, U2 was not previously hidden by an overspot 118, these spots acquire stain.」
(逆に、図8Dに示すように、前処理コントロールF1、F2内のペプチドは、オーバースポット118から放出されないか、部分的にしか放出されず、抗体染色に利用可能である(部分的に固定されたペプチドスポット126)(ブロック130、図7)。染色コントロールグループU1、U2に存在するペプチド内の抗原は、以前にオーバースポット118によって隠されていなかったため、これらのスポットは染色される。)
合議体注:図8C及び図8Cは次のものである。
[図:0001419912000004.jpg]
・・・
「[0076] In still other embodiments, the staining control groups U1, U2 may include a plurality of control samples (spots, cells, tissues, etc) that vary in the concentration and/or presence of the antigen. For example, the staining control groups U1, U2 may include a known 1+ grade tissue, a known 2+ grade tissue, and a known 3+ grade tissue. Accordingly, the 1+ grade tissue will have less antigen than the 3+ grade tissue and will stain less (have less color) than the 3+ grade tissue.・・・」
(さらに他の実施形態では、染色コントロールグループU1、U2には、抗原の濃度および/または存在が異なる複数のコントロールサンプル(スポット、細胞、組織など)が含まれてもよい。例えば、染色コントロールグループU1、U2には、既知の1+グレード組織、既知の2+グレード組織、および既知の3+グレード組織が含まれる場合がある。したがって、1+グレードの組織は3+グレードの組織よりも抗原が少なく、3+グレードの組織よりも染色が少なくなる(色も少なくなる)。・・・)
・・・
「[0082] Two calibration slides 38, 38' according to different embodiments of the present invention are shown in FIG. 16A and 16B and include one or more optical tests for evaluating the operational conditions of the imaging assembly 40. While four optical tests 230, 232, 234, 236 are specifically shown, any number of tests may be included. A first optical test 230, 230' includes a plurality of gray scale bands 232, differing in an intensity of gray. For example, the calibration slide 38 of FIG. 16A includes three gray scale bands 232 of 71.25%, 25.74%, and 4.68% gray intensity. Calibration slide 38' of FIG. 16B includes four gray scale bands 231 of 71.25%, 35.34%, 12.41%, and 2.35% gray intensity. The ability of the imaging assembly 40 to distinguish the gray scale bands 231 is directly related to the ability of the imaging assembly 40 to determine RGB pixels.」
(本発明の異なる実施形態による2つの較正スライド38、38’が図16Aおよび16Bに示されており、画像アセンブリ40の動作条件を評価するための1つ以上の光学テストが含まれている。4つの光学テスト230、232、234、236が具体的に示されているが、任意の数のテストを含めることができる。第1光学テスト230、230’には、グレーの強度が異なる複数のグレースケールバンド232が含まれる。例えば、図16Aのキャリブレーションスライド38には、71.25%、25.74%、および4.68%のグレー強度の3つのグレースケールバンド232が含まれる。図16Bのキャリブレーションスライド38’には、71.25%、35.34%、12.41%、および2.35%のグレー強度の4つのグレースケールバンド231が含まれる。イメージングアセンブリ40がグレースケールバンド231を区別する能力は、イメージングアセンブリ40がRGBピクセルを決定する能力に直接関係している。)
合議体注:図16A及び図16Bは、次のものである。
[図:0001419912000005.jpg]
「[0083] A second optical test 232 may include, for example, a plurality of black dots. The black dots may be configured for determining the image sharpness and the ability to distinguish signals in each of the RGB color channels.」
(第2光学テスト232には、例えば、複数の黒い点が含まれる場合がある。黒いドットは、画像の鮮明度と各RGBカラーチャネルの信号を区別する能力を決定するために構成できる。)
「[0084] A third optical test 234 may include, for example, one or more pluralities of lines, which may be non-uniform in thickness and separation. The plurality of lines may be configured for determining the imaging assembly's ability to resolve each line (i.e., image resolution), which may allow the system to determine if the imaging assembly is properly focused.」
(第3の光学テスト234には、たとえば、厚さおよび間隔が均一でない1つ以上の複数の線が含まれる場合がある。複数の線イメージングアセンブリが各ラインを解像する能力(つまり、画像解像度)を決定するように構成することができ、これにより、システムはイメージングアセンブリが適切に焦点を合わせられているかどうかを判断できるようになる。)
「[0085] A fourth optical test 236 may include, for example, a two-dimensional bar code. The bar code may be used to identify the particular calibration slide 38, 38' loaded and for retrieving the specifications of each from the controller 74 (FIG. 5) or other storage device, such as the LIS server 78.」
(第4光学テスト236には、例えば、2次元バーコードが含まれる。バーコードは、ロードされた特定のキャリブレーションスライド38、38’を識別し、コントローラ74(図5)またはLISサーバー78などの他のストレージデバイスからそれぞれの仕様を取得するために使用できる。)
(2)引用文献1に記載された発明
上記記載事項エに基づけば、引用文献1には、IHCスライドを検証する方法に用いる検証スライド36に関する発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「顕微鏡スライド102で構成され、
機械読み取り可能なコード106、表示、および/または識別子を含むラベル104をスライド102上に配置し、
検証部分108とサンプル部分110がさらに含まれ、
サンプル部分110は、サンプル組織112を受け入れるように構成されており、組織標本が、生検または剖検によって取得され、ホルマリン固定され、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトームによってスライスされ、検証スライド36に乗せられ、乾燥され、
検証部分108には、前処理コントロールグループ、染色コントロールグループの両方が含まれており、各コントロールグループは、免疫組織化学(IHC)手順の少なくとも1つの部分の有効性を示すように構成されており、検証部分108には重複したコントロールを含む前処理コントロールグループと、同じく重複したコントロールを含む染色コントロールグループが含まれ、前処理コントロールグループは、サンプルの前処理ステップに対応し、染色コントロールグループは、検証スライド36の染色に対応し、染色コントロールグループには、抗原の濃度および/または存在が異なる複数のコントロールサンプルが含まれ、単一の妥当性スライド36上でさまざまなサンプルの前処理および染色手順を評価および検証するために、任意の組み合わせおよび/または任意の数のコントロールグループを使用でき、サンプル前処理ステップには、サンプル前処理ステップには、脱パラフィン化、抗原回収、サンプルマウントが含まれ、
検証スライド36の組織サンプル112およびコントロールは、染色プロトコルに従って免疫組織化学(IHC)染色で処理され、カバースリップで処理される、
検証スライド36。」
4 原査定の拒絶の理由3(新規性)について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 検出領域
引用発明の「サンプル部分110」は、「サンプル組織112を受け入れるように構成」されたものであり、「組織標本が、生検または剖検によって取得され、ホルマリン固定され、処理され、パラフィン内に包埋され、ミクロトームによってスライスされ、検証スライド36に乗せられ、乾燥され」るように構成されている。そうすると、引用発明の「サンプル部分110」は、「サンプル組織112」を保持するように構成されているといえる。
また、引用発明の「サンプル組織112」は、「生検または剖検によって取得」された「組織標本」を「ミクロトームによってスライス」して得られるものである。そうすると、引用発明の「サンプル組織112」は、本件発明1の「組織切片又は遊離細胞を含む試料」に該当する。
以上より、引用発明の「サンプル部分110」は、本件発明1の「組織切片又は遊離細胞を含む試料を保持するように構成される検出領域」に相当する。
イ 対照領域
引用発明の「検証部分108」は、「前処理コントロールグループ」、「染色コントロールグループ」が含まれている。したがって、引用発明の「検証部分108」は、本件発明1の「対照領域」に相当する。
また、引用発明の「検証部分108」は、「さまざまなサンプルの前処理および染色手順を評価および検証する」ためのものであって、「免疫組織化学(IHC)手順の少なくとも1つの部分の有効性を示す」ように構成されている。そうすると、引用発明の「検証部分108」は、免疫組織化学手順の、前処理及び染色の各中間工程の有効性を示すものであって、エラーを表示するものといえる。さらに、引用発明の「検証部分108」に含まれる「染色コントロールグループ」には、「抗原の濃度および/または存在が異なる複数のコントロールサンプル」が含まれており、「染色手順を評価」できるものである。そうすると、「抗原の濃度および/または存在が異なる複数のコントロールサンプル」によって「染色手順を評価」する際に、その性能の尺度を評価できることは明らかである。
さらに、引用発明の「検証スライド36の組織サンプル112およびコントロールは、染色プロトコルに従って免疫組織化学(IHC)染色で処理」されるように構成されていることから、処理後の「組織サンプル112」及び上記「染色コントロールグループ」とを比較することにより、染色された「組織サンプル112」のカラー、抗原密度を定性的又は定量的に決定することが可能であることも明らかである。
したがって、引用発明の「検証部分108」は、本件発明1の「免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセス中の中間工程のエラー及び性能の尺度を示す」と共に、「染色された組織又は細胞のカラー及び抗原密度を定性的又は定量的に決定する」との要件を満たしている。
ウ スライド
引用発明の「検証スライド36」は、「検証部分108とサンプル部分110がさらに含まれ」るものである。
したがって、引用発明の「検証スライド36」は、本件発明1の「スライド」に相当するとともに、「検出領域」と「対照領域」とを備えるとする要件を満たしている。
(2)小括
以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明とは、
「 スライドであって、
組織切片又は遊離細胞を含む試料を保持するように構成される検出領域と、
免疫組織化学的又は免疫化学的検出プロセス中の中間工程のエラー及び性能の尺度を示すとともに、
染色された組織又は細胞のカラー及び抗原密度を定性的又は定量的に決定するための参照を提供するように構成される対照領域と、
を備える、スライド。」
である点で一致するものであり、相違点は存在しない。
したがって、本件発明1は、本願の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
仮に、相違点が存在するとしても、引用文献1の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
5 原査定の拒絶の理由1(発明の単一性)について
本件発明1は、前記4に記載したとおり、新規性を有さないものであるから、特別な技術的特徴を有さない。本件発明2に特別な技術的特徴を見出すことができる。
本件発明2及び本件発明18は、前記第3の1に記載したとおりのものであるところ、本件発明18は、免疫組織化学的染色方法に用いる「スライド」について、本件発明2において特定される構成を有するものでなく、物とその物を生産する方法、物とその物を取り扱う方法、方法とその方法の実施に直接使用する装置等の関係にあるものでもない。そうすると、本件発明18は、本件発明2において特定される特別な技術的特徴又は対応する特別な技術的特徴を有していない。
また、本件発明18は、「固定の一部分を除去する」ことや、「染色プロセスの品質を評価する」こと等、本件発明2に含まれない構成を有するものであるから、審査対象とされた発明を審査した結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明ではなく、当該発明とまとめて審査を行うことが効率的であるといえる他の事情も無い。
したがって、本件発明18は、本件発明2と単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係にあるとはいえない。このため、本件発明18は単一性の要件を満たすものでなく、特許法第37条の規定に違反しているから、特許を受けることができない。
6 小括
以上のとおり、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本件発明18は、特許法第37条の規定に違反しているから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
第4 本件補正発明
仮に、本件補正の却下の決定が適切でないとしても、本願は、以下のとおり、原査定の拒絶の理由の理由1(発明の単一性)により、拒絶されるべきものである。
本件補正後の請求項17に係る発明は、本件発明18と同じものである。本件補正後の請求項17に係る発明は、免疫組織化学的染色方法に用いる「スライド」について、本件補正発明において特定される構成を有するものでない。そうすると、本件補正発明において特別な技術的特徴が特定されたとしても、本件発明18は、免疫組織化学的染色方法に用いる「スライド」について、本件補正発明において特定される構成を有するものでなく、物とその物を生産する方法、物とその物を取り扱う方法、方法とその方法の実施に直接使用する装置等の関係にあるものでもないから、本件補正発明において特定される特別な技術的特徴又は対応する特別な技術的特徴を有していない。
また、本件補正後の請求項17に係る発明は、前記第3の5に記載したとおり、審査対象とされた発明を審査した結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明ではなく、当該発明とまとめて審査を行うことが効率的であるといえる他の事情も無い。
したがって、本件補正後の請求項17に係る発明は、単一性の要件を満たすものでなく、特許法第37条の規定に違反しているから、特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願の請求項18に係る発明は、特許法第37条の規定に違反しているから、特許を受けることができない。
また、仮に本件補正の却下の決定が適切でないとしても、本件補正後の請求項17に係る発明は、特許法第37条の規定に違反しているから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-018271