特許拒絶査定不服審判
2018-016405
表示装置及びその駆動方法
- 審判番号
- 2018-016405
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-041986
- 請求日
- 2018年12月07日
- 審決日
- 2019年08月19日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三星ディスプレイ株式會社
- 【請求人代理人】特許業務法人PORT
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 紀史
- 審判官 櫻井 健太
- 審判官 中塚 直樹
- 分類
- P18 .572-WZ (G09G) / P18 .575-WZ (G09G) / P18 .121-WZ (G09G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 41986「表示装置及びその駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 2日出願公開、特開2015- 22305〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本件出願」という。)は、平成25年 7月18日(以下、「優先日」という。)に大韓民国でされた特許出願に基づくパリ条約の優先権を主張して平成26年 3月 4日にされた特許出願である。
本件出願については、平成29年11月28日付けで拒絶理由が通知され、翌平成30年 3月 7日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲についての補正がなされたが、同年 7月31日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、査定の謄本が同年 8月 7日に送達された。
これに対し、平成30年12月 7日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。
なお、本件出願の請求項の数は、本件補正前(すなわち、原査定時)は15であり、本件補正後は10である。
第2 本件補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1及び請求項6についての補正を含む。
本件補正前及び本件補正後の請求項1及び請求項6の記載は、以下のとおりである。なお、下線は補正箇所を示すために合議体が付したものである。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記信号制御部は、前記表示板の互いに異なる位置にそれぞれ対応する複数のルックアップテーブルを含み、
前記ルックアップテーブルは、第1画素に対する第1入力画像信号の補正値を保存し、前記補正値は、前記第1入力画像信号及び第2入力画像信号に依存する値であり、
前記第2入力画像信号は、前記第1画素が接続されている第1データ線のデータ電圧によって前記第1画素の充電前に充電される第2画素に対する入力画像信号であり、
前記信号制御部は、前記補正値を利用して前記第1入力画像信号を補償し、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され、
前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い、表示装置。」
「【請求項6】
複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記信号制御部は、前記表示板の位置に依存する補正倍率を保存するルックアップテーブルを含み、
前記データ駆動部は、前記信号制御部から出力画像信号、及び前記出力画像信号に対応する第1補正倍率を受信し、前記第1補正倍率を利用して前記出力画像信号を補償して、補償された出力画像信号を生成し、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され、
前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い、表示装置。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記信号制御部は、前記表示板の互いに異なる領域にそれぞれ対応する複数のルックアップテーブルを含み、前記互いに異なる領域は互いに異なる画素行に対応し、
前記ルックアップテーブルは、第1画素に対する第1入力画像信号の補正値を保存し、前記補正値は、前記第1入力画像信号及び第2入力画像信号に依存する値であり、
前記第2入力画像信号は、前記第1画素が接続されている第1データ線のデータ電圧によって前記第1画素の充電前に充電される第2画素に対する入力画像信号であり、
前記信号制御部は、前記補正値を利用して前記第1入力画像信号を補償し、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され、
前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い、表示装置。」
「【請求項6】
複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記信号制御部は、前記表示板の位置に依存する補正倍率を保存する複数のルックアップテーブルを含み、
前記複数のルックアップテーブルは、互いに異なる画素行にそれぞれ対応し、
前記データ駆動部は、前記信号制御部から出力画像信号、及び前記出力画像信号に対応する第1補正倍率を受信し、前記第1補正倍率を利用して前記出力画像信号を補償して、補償された出力画像信号を生成し、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され、
前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い、表示装置。」
2 本件補正の適否
本件補正のうち、請求項1についての補正は、「信号制御部」に含まれる「複数のルックアップテーブル」が、「表示板の互いに異なる位置にそれぞれ対応する」とされていたところ、これを、「表示板の互いに異なる領域にそれぞれ対応する」とし、この「互いに異なる領域」が「互いに異なる画素行に対応」するものであると限定したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、この補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、請求項6についての補正は、「信号制御部」が「ルックアップテーブル」を含むとされていたところ、これを、「信号制御部」が「複数のルックアップテーブル」を含むとし、更に、この「複数のルックアップテーブル」が「互いに異なる画素行にそれぞれ対応」するものであると限定したものであって、補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、この補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明1」という。)及び請求項6に係る発明(以下、「本件補正発明6」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下で検討する。
(1) 本件補正発明1及び本件補正発明6
本件補正発明1及び本件補正発明6は、上記1(2)に記載した請求項1及び請求項6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献に記載された発明等
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/060656号(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
(ア) 段落0042から段落0043まで
「[0042] (液晶表示装置全体の構成)
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成を示すブロック図である。この液晶表示装置1は、データ信号線駆動回路としてのソースドライバ3と、走査信号線駆動回路としてのゲートドライバ4と、アクティブマトリクス形の液晶駆動パネル24と、面状照明装置としてのバックライト25と、そのバックライト25を駆動する光源駆動回路700と、ソースドライバ3、ゲートドライバ4および光源駆動回路700を制御するための表示制御回路2と、表示制御回路2から出力される画像信号DATAを補正する補正回路(データ処理装置)10とを備えている。なお本実施形態では、液晶駆動パネル24はアクティブマトリクス型の液晶駆動パネルとして実現されているが、液晶駆動パネル24がソースドライバ3およびゲートドライバ4と共に一体化されて液晶駆動パネルを構成してもよい。
[0043] 上記液晶表示装置における液晶駆動パネル24は、複数本(q本)の走査信号線としてのゲートラインGL1~GLqと、それらのゲートラインGL1~GLqのそれぞれと交差する複数本(p本)のデータ信号線としてのソースラインSL1~SLpと、それらのゲートラインGL1~GLqとソースラインSL1~SLpとの交差点にそれぞれ対応して設けられた複数個(p×q個)の画素形成部とを含む。これらの画素形成部はマトリクス状に配置されて画素アレイを構成する。以下では、画素アレイの並びにおけるゲートライン方向を行方向、ソースライン方向を列方向と称する。」
【図1】
(イ) 段落0049から段落0057まで
「[0049] 表示制御回路2は、外部の信号源から、表示すべき画像を表すデジタルビデオ信号Dvと、当該デジタルビデオ信号Dvに対応する水平同期信号HSYおよび垂直同期信号VSYと、表示動作を制御するための制御信号Dcとを受け取る。また、表示制御回路2は、受け取ったこれらの信号Dv,HSY,VSY,Dcに基づき、そのデジタルビデオ信号Dvの表す画像を液晶駆動パネル24に表示させるための信号として、データスタートパルス信号SSPと、データクロック信号SCKと、ラッチストローブ信号(データ信号印加制御信号)LSと、極性反転信号POLと、表示すべき画像を表す画像信号DATA(ビデオ信号Dvに相当する信号)と、ゲートスタートパルス信号GSPと、ゲートクロック信号GCKと、ゲートドライバ出力制御信号(走査信号出力制御信号)GOEとを生成し出力する。
[0050] 上記のようにして表示制御回路2において生成された信号のうち、ラッチストローブ信号LSとデータスタートパルス信号SSPとデータクロック信号SCKと極性反転信号POLとは、ソースドライバ3に入力され、ゲートスタートパルス信号GSPとゲートクロック信号GCKとゲートドライバ出力制御信号GOEとは、ゲートドライバ4に入力される。また、画像信号DATAは補正回路10に入力される。
[0051] 補正回路10は、表示制御回路2から出力された画像信号DATAに対して補正を行い、補正画像信号DATA’をソースドライバ3に対して出力する。同図に示す構成では、補正回路10は、表示制御回路2の外部に設けられているが、補正回路10が表示制御回路2の内部に設けられていてもよい。なお、補正回路10の構成の詳細、および、補正処理の詳細については後述する。
[0052] ソースドライバ3は、補正画像信号DATA’とデータスタートパルス信号SSPおよびデータクロック信号SCKとラッチストローブ信号LSと極性反転信号POLとに基づき、補正画像信号DATA’の表す画像の各水平走査線における画素値に相当するアナログ電圧としてデータ信号S(1)~S(p)を1水平期間毎に順次生成し、これらのデータ信号S(1)~S(p)をソースラインSL1~SLnにそれぞれ印加する。
[0053] ゲートドライバ4は、ゲートスタートパルス信号GSP(GSPa、GSPb)およびゲートクロック信号GCK(GCKa、GCKb)と、ゲートドライバ出力制御信号GOE(GOEa、GOEb)とに基づき、走査信号G(1)~G(q)を生成し、これらをゲートラインGL1~GLqにそれぞれ印加することにより当該ゲートラインGL1~GLqを選択的に駆動する。
[0054] 上記のようにソースドライバ3およびゲートドライバ4により液晶駆動パネル24のソースラインSL1~SLpおよびゲートラインGL1~GLqが駆動されることで、選択されたゲートラインGLjに接続されたTFT100を介して画素容量CpにソースラインSLiの電圧が与えられる(i=1~p,j=1~q)。これにより各画素形成部において液晶層に補正画像信号DATA’に応じた電圧が印加され、その電圧印加によってバックライト25からの光の透過量が制御されることで、外部からのデジタルビデオ信号Dvの示す画像が液晶駆動パネル24に表示される。
[0055] 表示方式としては、順次走査方式(プログレッシブスキャン方式)と飛び越し走査方式(インターレーススキャン方式)とが挙げられる。順次走査方式は、1画面を表示する際、すなわち1フレーム期間に、ゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて1水平走査ラインずつ順に選択する方式である。
[0056] また、飛び越し走査方式は、ゲートラインGL1~GLqが所定の水平走査ライン間隔で同じグループとなるように複数のグループに分かれており、各グループに対する走査が順次行われる方式である。ゲートラインGL1~GLqが1水平走査ライン間隔で同じグループとなるように2つのグループに分かれている場合、1フレーム期間に、奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択した後に、偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択することになる。
[0057] 本発明は、順次走査方式および飛び越し走査方式のどちらにおいても適用可能であるが、以下に示す実施例では、まず、1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式を採用した場合について説明する。」
(ウ) 段落0058から段落0063まで
「[0058] (補正回路の構成)
次に、補正回路10の構成について図2を参照しながら以下に説明する。同図に示すように、補正回路10は、バッファ11、LUT(ルックアップテーブル)(補正量記憶部)12、補間演算部(補正処理部)13、補正量格納部14、および加算器15を備えた構成となっている。
[0059] バッファ11は、少なくとも2つの水平走査ライン分の画像信号DATAを一時的に記憶する記憶手段である。上記の飛び越し走査方式の場合、画像信号DATAは、奇数または偶数番目の水平走査ラインのデータが連続した後に、偶数または奇数番目の水平走査ラインのデータが連続したデータとなる。この場合、バッファ11に対して、n番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n])と、n+2番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n+2])とが連続して入力され、これらが順に記憶されることになる。
[0060] 補間演算部13は、バッファ11に格納されている2つの水平走査ラインに対応するデータから、特定のデータ信号線に対応する2つの画素データを読み出し、LUT12を参照して補間演算を行うことによって補正量を算出する処理を行う。上記の飛び越し走査方式の場合、特定のデータ信号線に対応するdata[n]における画素データとdata[n+2]における画素データとをバッファ11から読み出し、LUT12を参照して補間演算を行うことによって、data[n+2]における該当画素データに対する補正量を算出する。この補間演算の詳細については後述する。
[0061] LUT12は、バッファ11に格納されている2つの水平走査ラインに対応するデータと、補正量との関係を格納する手段である。具体的には、LUT12は、参照すべきデータとしてのdata[n]のデータの値と、補正対象のデータとしてのdata[n+2]のデータの値との組み合わせに対応した補正量を格納する2次元メモリによって構成される。
[0062] 補正量格納部14は、補間演算部13によって算出された補正量を一時的に記憶する記憶手段である。加算器15は、補正量格納部14から補正量を読み出すとともに、バッファ11から、該補正量に対応する画素データを読み出し、これらを加算する処理を行う。具体的には、加算器15は、まず補正量格納部14から補正量を読み出す。また、加算器15は、バッファ11から、該補正量の算出に用いられたdata[n+2]における画素データを読み出す。そして、加算器15は、読み出した画素データに対して、読み出した補正量を加算し、これを出力する。これを各画素に対して順に実行することによって、補正画像信号DATA’が補正回路10から出力される。
[0063] (LUTの構成)
ここで、LUT12のメモリ構成の一例について、図3を参照しながら説明する。同図に示す例では、画素データの階調が1024(10bit)である場合のdata[n]のデータの代表階調値とdata[n+2]のデータの代表階調値との組み合わせに対応した補正量を格納するメモリ構成となっている。また、data[n]のデータの代表階調値、および、data[n+2]のデータの代表階調値は、64階調ごとに設定されている。すなわち、1024階調のうち、64階調ごとにピックアップされた17個の代表階調値が、参照すべきデータおよび補正対象のデータのそれぞれに対して設定されており、これらの全ての組み合わせに対応して補正量が格納されている。」
【図2】
【図3】
(エ) 段落0068
「[0068] また、LUT12を、補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて複数設けておき、補間演算部13が、補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて用いるLUT12を切り替えるようになっていてもよい。この場合、表示画面内での位置の変化に伴う液晶駆動状態の変化に対応した補正を行うことが可能となり、表示画面内の全ての場所において最適な表示を行うことが可能となる。また、この他に、パネル面内の補正値の相関を示す式を使用する、あるいは、他のLUTと併用、例えば、中心付近のLUT12に示す補正値を基準とした倍率を示すLUT等を使用する、などが考えられる。」
(オ) 段落0087から段落0089まで
「[0087] (駆動例)
次に、実際に表示が行われる場合の駆動例について、図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。同図に示すタイミングチャートでは、特定のデータ信号線に関して、画像信号DATAにおける各data[i]の表示タイミング、データ信号線に印加される信号の電位を示すソース電圧、i番目の水平走査ラインに印加されるゲート信号の電位を示すゲート電圧[i]、および、i番目の水平走査ラインに接続されている画素電極の電位を示す電極電圧[i]が示されている。
[0088] 同図に示すように、ゲート電圧[i]において、data[i]が表示されるべき水平走査期間の開始タイミングよりも前となるタイミングからゲートオンパルスが立ち上がっている。すなわち、ゲートオンパルスには、プレ充電期間と本充電期間とが含まれていることになる。このように、実際の水平走査期間よりも前からTFT100におけるゲートがアクティブになることによって、画素電極に対する充電期間が長くなる。これにより、例えば走査周波数を高めるために、水平走査期間を短く設定する必要が生じた場合においても、プレ充電期間において画素電極に対して予め充電を行っておくことによって、本充電期間で所望の電位まで画素電極を確実に充電することが可能となっている。
[0089] また、画像信号DATAは、飛び越し走査方式によって1水平走査ラインおきのデータとして入力されている。すなわち、画像信号DATAとしては、data[n-2]、data[n]、data[n+2]、…、data[n-1]、data[n+1]、…の順で順次表示制御回路2からデータが出力されている。」
【図6】
(カ) 段落0130
「産業上の利用可能性
[0130] 本発明に係る液晶表示装置は、例えばパーソナルコンピュータのモニターやテレビジョン受像機など、各種の表示装置に適用できる。」
上記(ア)ないし(カ)の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「 例えばパーソナルコンピュータのモニターやテレビジョン受像機など、各種の表示装置に適用できる液晶表示装置1であって、
データ信号線駆動回路としてのソースドライバ3と、走査信号線駆動回路としてのゲートドライバ4と、アクティブマトリクス形の液晶駆動パネル24と、面状照明装置としてのバックライト25と、そのバックライト25を駆動する光源駆動回路700と、ソースドライバ3、ゲートドライバ4および光源駆動回路700を制御するための表示制御回路2と、表示制御回路2から出力される画像信号DATAを補正する補正回路(データ処理装置)10とを備え、
液晶駆動パネル24は、複数本(q本)の走査信号線としてのゲートラインGL1~GLqと、それらのゲートラインGL1~GLqのそれぞれと交差する複数本(p本)のデータ信号線としてのソースラインSL1~SLpと、それらのゲートラインGL1~GLqとソースラインSL1~SLpとの交差点にそれぞれ対応して設けられた複数個(p×q個)の画素形成部とを含み、これらの画素形成部はマトリクス状に配置されて画素アレイを構成し、
表示制御回路2は、画像を液晶駆動パネル24に表示させるための信号として、データスタートパルス信号SSPと、データクロック信号SCKと、ラッチストローブ信号(データ信号印加制御信号)LSと、極性反転信号POLと、表示すべき画像を表す画像信号DATA(ビデオ信号Dvに相当する信号)と、ゲートスタートパルス信号GSPと、ゲートクロック信号GCKと、ゲートドライバ出力制御信号(走査信号出力制御信号)GOEとを生成し出力し、
補正回路10は、表示制御回路2から出力された画像信号DATAに対して補正を行い、補正画像信号DATA’をソースドライバ3に対して出力し、
ソースドライバ3は、補正画像信号DATA’とデータスタートパルス信号SSPおよびデータクロック信号SCKとラッチストローブ信号LSと極性反転信号POLとに基づき、補正画像信号DATA’の表す画像の各水平走査線における画素値に相当するアナログ電圧としてデータ信号S(1)~S(p)を1水平期間毎に順次生成し、これらのデータ信号S(1)~S(p)をソースラインSL1~SLnにそれぞれ印加し、
ゲートドライバ4は、ゲートスタートパルス信号GSP(GSPa、GSPb)およびゲートクロック信号GCK(GCKa、GCKb)と、ゲートドライバ出力制御信号GOE(GOEa、GOEb)とに基づき、走査信号G(1)~G(q)を生成し、これらをゲートラインGL1~GLqにそれぞれ印加することにより当該ゲートラインGL1~GLqを選択的に駆動し、
表示方式としては1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式を採用し、この場合、ゲートラインGL1~GLqが1水平走査ライン間隔で同じグループとなるように2つのグループに分かれ、1フレーム期間に、奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択した後に、偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択することになり、
補正回路10は、バッファ11、LUT(ルックアップテーブル)(補正量記憶部)12、補間演算部(補正処理部)13、補正量格納部14、および加算器15を備え、
バッファ11には、n番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n])と、n+2番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n+2])とが連続して入力され、これらが順に記憶され、
補間演算部13は、特定のデータ信号線に対応するdata[n]における画素データとdata[n+2]における画素データとをバッファ11から読み出し、LUT12を参照して補間演算を行うことによって、data[n+2]における該当画素データに対する補正量を算出し、
LUT12は、参照すべきデータとしてのdata[n]のデータの値と、補正対象のデータとしてのdata[n+2]のデータの値との組み合わせに対応した補正量を格納する2次元メモリによって構成され、
補正量格納部14は、補間演算部13によって算出された補正量を一時的に記憶し、
加算器15は、補正量格納部14から補正量を読み出し、また、バッファ11から該補正量の算出に用いられたdata[n+2]における画素データを読み出し、そして、読み出した画素データに対して、読み出した補正量を加算し、これを出力し、これが各画素に対して順に実行されることによって、補正画像信号DATA’が補正回路10から出力されることとなり、
LUT12は、補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて複数設けられ、補間演算部13が、補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて用いるLUT12を切り替えるようになっており、これによって、表示画面内での位置の変化に伴う液晶駆動状態の変化に対応した補正を行うことが可能となり、表示画面内の全ての場所において最適な表示を行うことが可能となり、
ゲートオンパルスには、プレ充電期間と本充電期間とが含まれ、このように、実際の水平走査期間よりも前からゲートがアクティブになることによって画素電極に対する充電期間が長くなり、水平走査期間を短く設定する必要が生じた場合においても、プレ充電期間において画素電極に対して予め充電を行っておくことによって、本充電期間で所望の電位まで画素電極を確実に充電することができる
液晶表示装置1。」
イ 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-64964号公報(以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
(ア) 段落0004から段落0007まで
「【0004】
従来、特にノートパソコンにおける平面表示装置では、走査線駆動回路が表示部の上部から下部に向かって、順次走査線を選択するノンインタレース走査が採用されていた。ノートパソコンは、屋外や移動中等で使用する場合においては、バッテリーによる長時間駆動が求められる。しかし、ノンインタレース走査の場合、情報処理装置は1フレーム内の全てのライン画像情報を平面表示装置に送信する必要があり、データ転送量が多くなるために消費電力を低減させることが困難であった。
【0005】
上記の問題点に対して、それぞれ独立して表示を行う第1の表示領域と第2の表示領域とを有する表示部において、少なくとも第1の表示領域をインタレース走査する表示装置が提案されている。(特許文献1参照)
一方、通常オフィス内では、平面表示装置をワープロ処理や図面設計等に使用することが多く、これらの場合には静止画を表示させている事が多い。しかし、近年はテレビや映画等の動画を表示する機会が増えている。動画表示のように高速応答が要求される場合に、複数のフレームから表示画像を構成するインタレース走査を行うと、画像ボケが強調され易いと言う問題点があった。
【特許文献1】特開2001-282204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記のような表示装置では、動画を表示させた際にインタレース走査を行い画質の低下を招いたり、静止画を表示させた際にノンインタレース走査を行い、消費電力量が大きくなったりする場合がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を鑑みて成されたもので、その目的は、画質を低下させることなく、低消費電力化を実現する平面表示装置およびその駆動方法を提供することである。」
(イ) 段落0011から段落0017まで
「【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る平面表示装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る平面表示装置の概略構成を示す図である。
【0012】
平面表示装置100は、表示部110にマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXの列毎に信号線DL1~DLvが設けられ、各列の画素群にそれぞれ画像信号を供給している。全ての信号線DL1~DLvは信号線駆動回路12に接続されている。画素PXの行毎に走査線SL1~SLhが設けられ、行単位の画素群をそれぞれ電気的にオン/オフしている。全ての走査線SL1~SLhは、走査線駆動回路14に接続されている。信号線駆動回路12と走査線駆動回路14とは、コントローラ16によって制御されている。
【0013】
コントローラ16は、情報処理装置200の表示画像制御部22から表示画像データSi1およびインタレース走査ON/OFF信号Si2を受信し、インタレース/ノンインタレース切替え手段としてのインタレース/ノンインタレース切替え部16aでインタレース/ノンインタレース走査を切替えている。
【0014】
図2に、表示画像制御部22を詳細に示す。表示画像制御部22では、表示画像データSiが動画か静止画かを判定し、その判定結果にしたがって、表示画像データSi1およびインタレース走査ON/OFF信号Si2をコントローラ16に送信している。
【0015】
表示画像制御部22に入力された表示画像データSiは、フレームデータ遅延部22aと差分回路22bに入力される。差分回路22bでは、入力された表示画像データSiと、フレームメモリ22cに保存された1フレーム前の表示画像データとの差分をとり、その結果を出力する。表示画像データの差分をとる際は、画面全体に亘って画素毎に差分をとってもよく、また図3に示すように表示画面を分割し、ある特定の領域(a×bの領域(1-A、1-B、1-C、・・・)の1領域乃至複数領域)についてのみ差分をとってもよい。この場合には、差分回路22bで各画素の差分を算出してから、その画素が含まれる前記特定領域の画素の差分の総和を算出し、その結果を動画/静止画判定部22dに送信する。
【0016】
差分回路22bから出力された結果は、動画/静止画判定部22dに入力される。動画/静止画判定部22dでは、入力された信号が所定の値を越えていれば、表示画像が動画であると判断する。入力された信号が所定の値以下であれば、表示画像が静止画であると判断する。上記のように判断された判断結果にしたがって、動画/静止画判定部22dがインタレース走査ON/OFF信号Si2をコントローラ16に送信する。例えば、表示画像が静止画の場合には、インタレース走査をONとするハイ(H)レベルの信号が送信される。表示画像が動画の場合には、インタレース走査をOFFとするロー(L)レベルの信号が送信される。
【0017】
また、動画/静止画判定部22dは、表示ライン選択部22eにも、上記の判定結果を送信する。表示ライン選択部22eでは、判定結果にしたがって、フレームデータ遅延部22aから受信した表示画像データSiの中から、表示されるラインの表示画像データSi1を選択してコントローラ16に送信する。」
【図1】
【図2】
(ウ) 段落0019から段落0021まで
「【0019】
図5に、ノンインタレース走査を行った場合の、各走査線SL1~SLhに送信されるパルスのタイミングチャートを示す。ノンインタレース走査の場合は、各フレーム期間に1ライン目から順にhラインまで連続して走査線SL1~SLhにパルスが送信され、1フレームで1画像を構成している。この方法は、動画を表示する場合に有効である。
【0020】
次に、インタレース走査を行った場合について説明する。
【0021】
図6は、コントローラ16が走査線駆動回路14に1ライン毎に走査線を間引いて走査させ、2フレームで1画像が構成される場合のタイミングチャートである。図7は、図6のように走査線が走査された場合の一表示例である。図7では、Aという文字が表示される例を示している。この場合、例えば、nフレーム目は1ライン目、3ライン目、5ライン目、・・・の順に、奇数ラインの走査線にパルスが送信され、1ライン毎に走査線が走査されている。次のn+1フレームでは、2ライン目、4ライン目、6ライン目、・・・の順にパルスが送信され、偶数ラインの走査線が走査されている。上記のように走査線をインタレース走査すると、図7に示すように、nフレーム目の表示画面F1には、奇数ラインに画像が表示され、n+1フレーム目の表示画面F2には、偶数ラインに画像が表示され、表示画面F1および表示画面F2の2フレームで1画像を構成している。」
【図5】
【図6】
【図7】
(エ) 段落0032
「【0032】
上記のように、表示画像が動画か静止画かを判定し、動画の場合にはノンインタレース走査を行い、静止画の場合にはインタレース走査を行うことによって、動画を表示する際に画像がボケることがなくなり、画質を低下させることがない。更に、静止画を表示する際には、情報処理装置から、全ての画像データを平面表示装置に送信する必要がなくなるため消費電力を抑えることができる。つまり、表示画像の画質を低下させることなく、低消費電力化を実現することが可能になる。」
上記(ア)ないし(ウ)の記載によれば、引用文献5には、以下の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「 ノートパソコンなどの平面表示装置100であって、
表示部110にマトリクス状に配置された複数の画素PXを備え、
画素PXの列毎に信号線DL1~DLvが設けられ、各列の画素群にそれぞれ画像信号を供給しており、全ての信号線DL1~DLvは信号線駆動回路12に接続され、
画素PXの行毎に走査線SL1~SLhが設けられ、行単位の画素群をそれぞれ電気的にオン/オフしており、全ての走査線SL1~SLhは、走査線駆動回路14に接続され、
信号線駆動回路12と走査線駆動回路14とは、コントローラ16によって制御され、
コントローラ16は、情報処理装置200の表示画像制御部22から表示画像データSi1およびインタレース走査ON/OFF信号Si2を受信し、インタレース/ノンインタレース切替え手段としてのインタレース/ノンインタレース切替え部16aでインタレース/ノンインタレース走査を切替えており、
表示画像制御部22では、表示画像データSiが動画か静止画かを判定し、その判定結果にしたがって、表示画像データSi1およびインタレース走査ON/OFF信号Si2をコントローラ16に送信し、表示画像が静止画の場合には、インタレース走査をONとするハイ(H)レベルの信号が送信され、表示画像が動画の場合には、インタレース走査をOFFとするロー(L)レベルの信号が送信され、
ノンインタレース走査の場合は、各フレーム期間に1ライン目から順にhラインまで連続して走査線SL1~SLhにパルスが送信され、1フレームで1画像を構成し、
インタレース走査の場合は、nフレーム目の表示画面F1には、奇数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、n+1フレーム目の表示画面F2には、偶数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、表示画面F1および表示画面F2の2フレームで1画像を構成する
平面表示装置100。」
また、上記(ア)及び(エ)の記載によれば、引用文献5には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「ノートパソコンなどの平面表示装置において、表示画像が動画か静止画かを判定し、動画の場合にはノンインタレース走査を行い、静止画の場合にはインタレース走査を行うことによって、動画を表示する際に画像がボケることがなくなり、画質を低下させることがなく、また、静止画を表示する際には、情報処理装置から、全ての画像データを平面表示装置に送信する必要がなくなるため消費電力を抑えることができ、つまり、表示画像の画質を低下させることなく、低消費電力化を実現することが可能になる。」
ウ 引用文献2及び引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-197584号公報(以下、「引用文献2」という。)及び特開2010-39046号公報(以下、「引用文献3」という。)には、それぞれ以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
(ア) 引用文献2
「【0023】
[液晶表示装置]
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置2の構成図である。同図に示すように、液晶表示装置2は、制御部4と、データ線駆動部6と、走査線駆動部8と、データ線駆動部6に接続された複数のデータ線DLと走査線駆動部8に接続された複数の走査線GLとを含む液晶パネル10と、を含む。また、液晶表示装置2は、図1では図示されていないが、バックライトやラインメモリ等の記憶手段も含む。」
「【0028】
[画素]
図3は画素について説明するための図であり、第N列(図2参照)に位置し且つ第N行(図2参照)に位置する画素を示す図である。同図に示すように、この画素は、第N列に位置しているので、TFT12のドレインは、左から数えてN本目のデータ線DLNに接続される。また、この画素は、第N行に位置しているので、TFT12のゲートは、上から数えてN本目の走査線GLNに接続される。ここで、VGは、TFT12のゲートの電位を示す。また、VDは、TFT12のドレインの電位を示す。また、VSは、TFT12のソースの電位を示す。VSは、画素電極14の電位でもある。また、VCOMは共通電極16の電位を示す。」
「【0069】
[位置補正]
また、データ線DLは、データ線駆動部6から離れれば離れるほど、データ線上の抵抗値が増大する。さらに、基板とデータ線DLとの間に発生する、寄生容量も増大する。そのため、データ線駆動部6からの距離が遠くなるほど、TFT12のドレイン電圧VDの上昇するスピードが遅くなる。
【0070】
そこで、データ線駆動部6からの距離によって補正量Δnを変化させるために、複数のLUTを記憶しておく。そして、走査線GLの駆動する行の位置を垂直位置情報カウンタ27で把握し、垂直位置に対応するLUTを記憶手段から読み出す。」
(イ) 引用文献3
「【背景技術】
【0002】
近年、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube display)に替わる表示装置として、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)や、FED(Field Emission Display。電界放出ディスプレイ)、LCD(Liquid Crystal Display。液晶ディスプレイ)、PDP(Plasma Display Panel。プラズマディスプレイ)など様々な表示装置が開発されている。
【0003】
上記のような様々な表示装置のうち、有機ELディスプレイは、エレクトロルミネッセンス現象(ElectroLuminescence)を利用した自発光型の表示装置である。有機ELディスプレイは、例えば、LCDのように別途の光源を必要とする表示装置と比較すると、動画特性、視野角特性、色再現性などが優れていることから、次世代の表示装置として特に注目されている。ここで、エレクトロルミネッセンス現象とは、物質(有機EL素子)の電子状態が、電界によって基底状態(ground state)から励起状態(excited state)へ変化し、不安定な励起状態から安定した基底状態へと戻るときに、差分のエネルギーが光として放出される現象である。
【0004】
上記のような表示装置は、一般的に、マトリクス(matrix)方式で駆動し映像を表示画面に表示する。例えば、上記表示装置は、マトリクス状(行列状)に配置された複数の画素を備え、各画素には、映像信号に応じたデータ電圧(データ信号)が印加されるデータ線と、当該データ電圧を選択的に印加するための選択電圧(選択信号)が印加される走査線とが接続される。そして、上記表示装置は、各画素にデータ電圧および選択電圧を選択的に印加することによって、表示画面に映像信号に応じた画像を表示させる。
【0005】
上記のようにマトリクス方式で表示画面に映像を表示する表示装置では、表示画面の一部分において、映像信号が示す本来の輝度が維持されずに輝度が低下することがある。上記の現象は、例えば、走査線などの信号線(電極)における配線インピーダンス(電極インピーダンス)などの影響によって電圧降下が生じることによって起こりうる。」
「【0061】
〔II-1〕垂直方向の負荷の検出
表示装置1000は、入力された映像信号に基づいて垂直方向の負荷を、垂直方向の一ラインの画素ごとに検出する。例えば、図7に示すラインV1では、輝度が一様であるので、図10(a)に示すように信号レベルが一定の負荷分布が得られる。また、例えば、図7に示すラインV2では、輝度が高い領域A2が存在するので、図11(a)に示すように領域A2に対応する信号レベルがピークを示す負荷分布が得られる。
【0062】
〔II-2〕第2補正値の導出
表示装置1000は、上記〔II-1〕の処理において検出された負荷に基づいて、第2補正値を画素ごとに導出する。
【0063】
例えば、図7に示すラインV1およびラインV2では、図10(b)および図11(b)に示すように、表示パネルの下部程輝度が高くなる。そこで、表示装置1000は、輝度が高くなることによる影響を打ち消すための第2補正値を導出する。ここで、図10(c)および図11(c)は、表示装置1000が、映像信号を信号処理にて補正するための補正係数を、第2補正値として導出する例を示している。
【0064】
より具体的には、表示装置1000は、例えば、映像信号の信号レベルと第2補正値とが対応付けられたルックアップテーブルを水平方向の位置(画素に対応する位置)ごとに記憶する。そして、表示装置1000は、上記各ルックアップテーブルを用いることによって、入力された映像信号に応じた(すなわち、上記〔II-1〕の検出結果に応じた)第2補正値を画素ごとに導出する。ここで、上記各ルックアップテーブルに記憶される情報は、上記〔I〕の処理と同様に定めることができるが、上記に限られない。
【0065】
表示装置100は、例えば、上記〔II-1〕の処理、および〔II-2〕の処理によって、垂直方向の負荷に基づく第2補正値を画素ごとに導出することができる。」
ここで、段落0064の「ルックアップテーブルを水平方向の位置(画素に対応する位置)ごとに記憶する」との記載は、その前後の記載内容から、「ルックアップテーブルを垂直方向の位置(画素に対応する位置)ごとに記憶する」の誤記であることが明らかである。
上記(ア)及び(イ)の記載によれば、本件出願の優先日前において以下の技術が周知であったといえる。
「行列状に配置された複数の画素を含む表示装置において、表示装置の垂直方向の位置に応じて、複数のルックアップテーブルを記憶しておき、これを用いて画像信号を補正する。」
エ 引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-22059号公報(以下、「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
(ア) 段落0011から段落0016まで
「【0011】さて、図20に示したような駆動方法、すなわち、GCK信号(周期;1HS)の入る度に、液晶充電にかかるゲートラインを順次的に遷移(シフト)してゆく駆動方法は、ノンインターレース駆動(あるいはプログレッシブ駆動)と呼ばれる方法である。
【0012】また、ある垂直同期信号周期では奇数ゲートラインのみを充電(駆動)し、次の垂直同期信号周期では偶数ゲートラインのみを充電するような駆動方法を、インターレース駆動と呼ぶ。」
(イ) 段落0078から段落0080まで
「【0076】以上のように、本表示装置では、TMコントローラー4が、ノンインターレース駆動用の表示データ信号を用いて、1行おきのインターレース駆動を行うように設定されている。
【0077】すなわち、TMコントローラー4は、ゲートドライバー3を制御して、ゲートラインG1~Gmを、1行おきに、水平期間の2倍の期間だけONとするように走査させるようになっている。さらに、TMコントローラー4は、外部から入力される表示データ信号から、ONとするゲートラインに応じた信号だけを抜き出す(間引く)ようになっている。そして、抜き出した信号を、水平期間の2倍の周期でデータドライバー2に出力するように設定されている。
【0078】従って、本表示装置では、ゲートドライバー3が、ノンインターレース駆動を行う場合(通常時)に比して2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようになる。そして、データドライバー2が、1つのゲートラインに応じた表示データ信号を、通常時の2倍の期間、データライン11に与えることとなる。
【0079】これにより、本表示装置では、高精細な画像用の、入力周期(水平期間)の短い表示データ信号を用いた画像表示を行う場合(このような表示データ信号の入力を受けた場合)でも、データドライバー2に対する表示データ信号の入力周期を2倍に長くできる。従って、表示データ信号における入力信号周波数の増加を抑制できるため、この増加に伴うEMIの悪化を防止することが可能となる。
【0080】また、本表示装置では、液晶の充電期間(1つのゲートラインをONとしている期間)を1水平期間の2倍に長くできる。従って、水平期間の短い高精細画像を表示する場合でも、液晶の充電時間を十分に確保することが可能となっている。」
上記(ア)及び(イ)の記載によれば、引用文献6には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「表示装置において、1行おきのインターレース駆動(ある垂直同期信号周期では奇数ゲートラインのみを充電(駆動)し、次の垂直同期信号周期では偶数ゲートラインのみを充電するような駆動方法)を行う場合に、ゲートドライバー3が、ノンインターレース駆動(GCK信号(周期;1HS)の入る度に、液晶充電にかかるゲートラインを順次的に遷移(シフト)してゆく駆動方法)を行う場合(通常時)に比して2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようにし、データドライバー2が、1つのゲートラインに応じた表示データ信号を、通常時の2倍の期間、データライン11に与えるようにすることで、水平期間の短い表示データ信号を用いた画像表示を行う場合でも、表示データ信号における入力信号周波数の増加を抑制できるため、この増加に伴うEMIの悪化を防止することができ、また、液晶の充電期間(1つのゲートラインをONとしている期間)を1水平期間の2倍に長くできるため、液晶の充電時間を十分に確保することができる。」
(3) 本件補正発明1についての判断
ア 対比
本件補正発明1と引用発明1とを対比すると、以下のとおりである。
(ア) 引用発明1の「例えばパーソナルコンピュータのモニターやテレビジョン受像機など、各種の表示装置に適用できる液晶表示装置1」が、本件補正発明1の「表示装置」に相当する。
(イ) 引用発明1における、「複数個(p×q個)の画素形成部」を含み、「これらの画素形成部はマトリクス状に配置されて画素アレイを構成し」ている「液晶駆動パネル24」が、本件補正発明1における「複数の画素を含む表示板」に相当する。
(ウ) 引用発明1における、「液晶駆動パネル24」の「複数本(p本)のデータ信号線としてのソースラインSL1~SLp」に「データ信号S(1)~S(p)」を「それぞれ印加」する「ソースドライバ3」が、本件補正発明1における「前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部」に相当する。
(エ) 引用発明1における、「液晶駆動パネル24」の「複数本(q本)の走査信号線としてのゲートラインGL1~GLq」に「走査信号G(1)~G(q)」を「それぞれ印加」する「ゲートドライバ4」が、本件補正発明1における「前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部」に相当する。
(オ) 引用発明1における、「ソースドライバ3、ゲートドライバ4および光源駆動回路700を制御するための表示制御回路2」と「表示制御回路2から出力される画像信号DATAを補正する補正回路(データ処理装置)10」とを合わせたものが、本件補正発明1における「前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部」に相当する。
(カ) 引用発明1における、「補正回路10」が備える「LUT(ルックアップテーブル)(補正量記憶部)12」は、「補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて複数設けられ」るものであるから、本件補正発明1における「前記表示板の互いに異なる領域にそれぞれ対応する複数のルックアップテーブル」に相当する。
(キ) 引用発明1における、「特定のデータ信号線に対応する」「n+2番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n+2])」及び「n番目の水平走査ラインに対応するデータ(data[n])」が、本件補正発明1における「第1画素に対する第1入力画像信号」及び「前記第1画素が接続されている第1データ線のデータ電圧によって前記第1画素の充電前に充電される第2画素に対する入力画像信号」である「第2入力画像信号」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明1では、「補間演算部13は、特定のデータ信号線に対応するdata[n]における画素データとdata[n+2]における画素データとをバッファ11から読み出し、LUT12を参照して補間演算を行うことによって、data[n+2]における該当画素データに対する補正量を算出し」、「LUT12は、参照すべきデータとしてのdata[n]のデータの値と、補正対象のデータとしてのdata[n+2]のデータの値との組み合わせに対応した補正量を格納する2次元メモリによって構成され」るから、「LUT(ルックアップテーブル)(補正量記憶部)12」は、「data[n+2]における該当画素データに対する補正量」を格納し、当該「補正量」は、「参照すべきデータとしてのdata[n]のデータの値と、補正対象のデータとしてのdata[n+2]のデータの値との組み合わせに対応した」ものとなっており、このことは、本件補正発明1における、「前記ルックアップテーブルは、第1画素に対する第1入力画像信号の補正値を保存し、前記補正値は、前記第1入力画像信号及び第2入力画像信号に依存する値であり」という事項に相当する。
(ク) 引用発明1における、「補正回路10」が備える「加算器15」が、「補正量格納部14から補正量を読み出し、また、バッファ11から該補正量の算出に用いられたdata[n+2]における画素データを読み出し、そして、読み出した画素データに対して、読み出した補正量を加算し、これを出力」するということが、本件補正発明1における、「前記信号制御部は、前記補正値を利用して前記第1入力画像信号を補償し」という事項に相当する。
(ケ) 引用発明1において、「表示方式としては1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式を採用し、この場合、ゲートラインGL1~GLqが1水平走査ライン間隔で同じグループとなるように2つのグループに分かれ」るということが、本件補正発明1における、「前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ」るという事項に相当する。
(コ) 引用発明1では、「ゲートラインGL1~GLqが1水平走査ライン間隔で同じグループとなるように2つのグループに分かれ、1フレーム期間に、奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択した後に、偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択することにな」っているから、「奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択」する過程及びその後の「偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択」する過程の間に、「液晶駆動パネル24」が一つの画像を表示するようになっており、このことと、本件補正発明1における、「前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示」するということとは、「前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの画像を表示」するという点で共通する。
また、引用発明1では、「奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択」する過程においては、当該「奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLq」に対応する画素が充電され、その後の「偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択」する過程においては、当該「偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLq」に対応する画素が充電されることが明らかであり、このことは、本件補正発明1における、「前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され」るという事項に相当する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比の結果をまとめると、本件補正発明1と引用発明1とは、
「 複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記信号制御部は、前記表示板の互いに異なる領域にそれぞれ対応する複数のルックアップテーブルを含み、
前記ルックアップテーブルは、第1画素に対する第1入力画像信号の補正値を保存し、前記補正値は、前記第1入力画像信号及び第2入力画像信号に依存する値であり、
前記第2入力画像信号は、前記第1画素が接続されている第1データ線のデータ電圧によって前記第1画素の充電前に充電される第2画素に対する入力画像信号であり、
前記信号制御部は、前記補正値を利用して前記第1入力画像信号を補償し、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの画像を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電される、
表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
「表示板の互いに異なる領域にそれぞれ対応する複数のルックアップテーブル」の「互いに異なる領域」が、本件補正発明1では、「互いに異なる画素行に対応」するとされているのに対して、引用発明1では、そのように特定されていない点。
(相違点2)
本件補正発明1では、「複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間」に表示板が表示する「一つの画像」が、「一つの静止画」とされており、また、「前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い」とされているのに対して、引用発明1では、「複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間」に表示板が表示する「一つの画像」が、「静止画」とは特定されておらず、また、「静止画を表示する際」と「動画を表示する際」の充電時間が異なるのかどうかも特定されていない点。
ウ 相違点についての判断
(ア) 相違点1について
上記(2)のウで述べたように、「行列状に配置された複数の画素を含む表示装置において、表示装置の垂直方向の位置に応じて、複数のルックアップテーブルを記憶しておき、これを用いて画像信号を補正する」ことが、引用文献2及び引用文献3に開示され、本件出願の優先日前における周知の技術であって、同じく「行列状に配置された複数の画素を含む表示装置」である引用発明1の「液晶表示装置1」においてそのような周知の技術を適用し、「補正対象となる画素の表示画面内での位置に応じて複数設けられ」る「LUT12」を、補正対象となる画素の表示画面内での「垂直方向の」位置、つまり「画素行」に応じて複数設けられるものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2について
引用文献1では、段落0057(上記(2)のアの(イ)を参照。)において、「本発明は、順次走査方式および飛び越し走査方式のどちらにおいても適用可能である」と記載されており、「順次走査方式」を採用した場合の駆動のタイミングチャートが、段落0097等で参照される図8に示されている。
【図8】
この図8に示される、「順次走査方式」を採用した場合のタイミングチャートと、上記(2)のアの(オ)でも参照した図6に示される、「1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式」を採用した場合のタイミングチャートを比べると、いずれのタイミングチャートにおいても、データ信号(data[i])が途切れることなく順次生成され、また、上記(2)のアの(オ)でも参照した段落0088にも記載されるように、「data[i]が表示されるべき水平走査期間の開始タイミングよりも前となるタイミングからゲートオンパルスが立ち上がっている」ことが見て取れる。そして、このことは、段落0088に記載されるように、「画素電極に対する充電期間が長くなる」ようにしているためであると理解できる。
ところで、上記(2)のイで述べたように、引用文献5には、「ノートパソコンなどの平面表示装置において、表示画像が動画か静止画かを判定し、動画の場合にはノンインタレース走査を行い、静止画の場合にはインタレース走査を行うことによって、動画を表示する際に画像がボケることがなくなり、画質を低下させることがなく、また、静止画を表示する際には、情報処理装置から、全ての画像データを平面表示装置に送信する必要がなくなるため消費電力を抑えることができ、つまり、表示画像の画質を低下させることなく、低消費電力化を実現することが可能になる」という技術事項が記載されている。
そして、引用発明1は「例えばパーソナルコンピュータのモニターやテレビジョン受像機など、各種の表示装置に適用できる液晶表示装置1」であって、「ノートパソコンなど」にも適用し得るものであり、「画像がボケることがなくな」るようにし、また、「消費電力を抑える」といった課題をも当然に有するものと認められることから、引用発明1において引用文献5に記載された上記技術事項を適用し、「表示方式としては1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式を採用し」ているところを、動画の場合には「ノンインタレース走査」、つまり上述の図8に示される「順次走査方式」を採用するようにして、「動画を表示する際に画像がボケることがなくなり、画質を低下させることがなく、また、静止画を表示する際には、情報処理装置から、全ての画像データを平面表示装置に送信する必要がなくなるため消費電力を抑えることができ」るようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことということができる。
その結果、静止画の「1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式」の場合に「奇数または偶数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択した後に、偶数または奇数番目のゲートラインGL1~GLqを最上部から最下部にかけて順に選択する」期間と同じ長さの期間で、動画の「順次走査方式」の場合には、「画像がボケることがなくな」るようにするために、全てのゲートラインを最上部から最下部にかけて順に選択する過程が2回行われ、つまり、静止画の「1水平走査ライン間隔の飛び越し走査方式」の場合には、動画の「順次走査方式」の場合と比べて、「data[i]が表示されるべき水平走査期間」が2倍の長さとなって、上述のように「画素電極に対する充電期間が長くなる」ようにするということも考慮された結果、静止画の場合には動画の場合よりも充電期間が長くなることが明らかといえる。
なお、上記(2)のエで述べたように、引用文献6には、「表示装置において、1行おきのインターレース駆動(ある垂直同期信号周期では奇数ゲートラインのみを充電(駆動)し、次の垂直同期信号周期では偶数ゲートラインのみを充電するような駆動方法)を行う場合に、ゲートドライバー3が、ノンインターレース駆動(GCK信号(周期;1HS)の入る度に、液晶充電にかかるゲートラインを順次的に遷移(シフト)してゆく駆動方法)を行う場合(通常時)に比して2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようにし、データドライバー2が、1つのゲートラインに応じた表示データ信号を、通常時の2倍の期間、データライン11に与えるようにすることで、水平期間の短い表示データ信号を用いた画像表示を行う場合でも、表示データ信号における入力信号周波数の増加を抑制できるため、この増加に伴うEMIの悪化を防止することができ、また、液晶の充電期間(1つのゲートラインをONとしている期間)を1水平期間の2倍に長くできるため、液晶の充電時間を十分に確保することができる」という技術事項が記載されており、この技術事項を踏まえることによっても、引用発明1において引用文献5に記載された上記技術事項を適用した場合に、静止画の場合には動画の場合よりも充電期間が長くなることが明らかといえる。
すなわち、引用発明1において引用文献5に記載された上記技術事項を適用した場合に、相違点2に係る本件補正発明1の構成を、引用発明1が備えるようになることは明らかである。
(ウ) 作用効果について
相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明1の奏する作用効果は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術、引用文献1に記載された技術事項並びに引用文献5に記載された技術事項の奏する作用効果、若しくは、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術、引用文献1に記載された技術事項、引用文献5に記載された技術事項並びに引用文献6に記載された技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 本件補正発明1についての判断のむすび
以上のとおりであるから、本件補正発明1は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術、引用文献1に記載された技術事項並びに引用文献5に記載された技術事項に基づき、若しくは、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術、引用文献1に記載された技術事項、引用文献5に記載された技術事項並びに引用文献6に記載された技術事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(3) 本件補正発明6についての判断
ア 対比
本件補正発明6と引用発明5とを対比すると、以下のとおりである。
(ア) 引用発明5の「ノートパソコンなどの平面表示装置100」が、本件補正発明6の「表示装置」に相当する。
(イ) 引用発明5における、「マトリクス状に配置された複数の画素PXを備え」る「表示部110」が、本件補正発明6における「複数の画素を含む表示板」に相当する。
(ウ) 引用発明5における、「画素PXの列毎に信号線DL1~DLvが設けられ、各列の画素群にそれぞれ画像信号を供給しており、全ての信号線DL1~DLvは信号線駆動回路12に接続され」るところの「信号線駆動回路12」が、本件補正発明6における「前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部」に相当する。
(エ) 引用発明5における、「画素PXの行毎に走査線SL1~SLhが設けられ、行単位の画素群をそれぞれ電気的にオン/オフしており、全ての走査線SL1~SLhは、走査線駆動回路14に接続され」るところの「走査線駆動回路14」が、本件補正発明6における「前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部」に相当する。
(オ) 引用発明5における、「信号線駆動回路12と走査線駆動回路14と」を「制御」する「コントローラ16」と「表示画像制御部22」とを合わせたものが、本件補正発明6における「前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部」に相当する。
(カ) 引用発明5では、「表示画像が静止画の場合には、インタレース走査をON」とし、「インタレース走査の場合は、nフレーム目の表示画面F1には、奇数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、n+1フレーム目の表示画面F2には、偶数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、表示画面F1および表示画面F2の2フレームで1画像を構成」している。
ここで、「走査線」が「奇数ライン」と「偶数ライン」とに分かれるということが、本件補正発明6における、「前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ」るという事項に相当し、「奇数ラインの走査線にパルスが送信され」る「nフレーム目」と「偶数ラインの走査線にパルスが送信され」る「n+1フレーム目」との「2フレーム」で、「静止画」である「1画像を構成」しているということが、本件補正発明6における、「前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示」するという事項に相当する。
また、引用発明5では、「奇数ラインの走査線にパルスが送信され」る「nフレーム目」においては、当該「奇数ライン」に対応する画素が充電され、「偶数ラインの走査線にパルスが送信され」る「n+1フレーム目」においては、当該「偶数ライン」に対応する画素が充電されることが、明記はされていないが明らかといえ、このことは、本件補正発明6における、「前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電され」るという事項に相当する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比の結果をまとめると、本件補正発明6と引用発明5とは、
「 複数の画素を含む表示板と、
前記表示板の複数のデータ線にデータ電圧を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板の複数のゲート線にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ電圧で充電される、
表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件補正発明6では、「前記信号制御部は、前記表示板の位置に依存する補正倍率を保存する複数のルックアップテーブルを含み、前記複数のルックアップテーブルは、互いに異なる画素行にそれぞれ対応し、前記データ駆動部は、前記信号制御部から出力画像信号、及び前記出力画像信号に対応する第1補正倍率を受信し、前記第1補正倍率を利用して前記出力画像信号を補償して、補償された出力画像信号を生成」するようになっているのに対して、引用発明5では、そのように特定されていない点。
(相違点2)
本件補正発明6では、「前記静止画を表示する際に前記複数の画素を充電する第2充電時間は、動画を表示する際に前記複数の画素を充電する第1充電時間よりも長い」とされているのに対して、引用発明5では、そのように特定されていない点。
ウ 相違点についての判断
(ア) 相違点1について
上記(2)のウで述べたように、「行列状に配置された複数の画素を含む表示装置において、表示装置の垂直方向の位置に応じて、複数のルックアップテーブルを記憶しておき、これを用いて画像信号を補正する」ことが、引用文献2及び引用文献3に開示され、本件出願の優先日前において周知の技術となっており、同じく「行列状に配置された複数の画素を含む表示装置」である引用発明6の「平面表示装置100」においてそのような周知の技術を適用し、「表示装置の垂直方向の位置」、つまり「画素行」に応じて、「複数のルックアップテーブルを記憶しておき、これを用いて画像信号を補正する」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。
その際に、「ルックアップテーブル」に保存する「補正」のための値を「補正倍率」とし、当該「補正倍率」によって「補正」を行うようにすることや、「補正」を「信号線駆動回路12」(本件補正発明6における「データ駆動部」に相当。)において行うようにすることは、当業者が適宜採用し得る単なる設計的事項にすぎない。
(イ) 相違点2について
上記(2)のエで述べたように、引用文献6には、「表示装置において、1行おきのインターレース駆動(ある垂直同期信号周期では奇数ゲートラインのみを充電(駆動)し、次の垂直同期信号周期では偶数ゲートラインのみを充電するような駆動方法)を行う場合に、ゲートドライバー3が、ノンインターレース駆動(GCK信号(周期;1HS)の入る度に、液晶充電にかかるゲートラインを順次的に遷移(シフト)してゆく駆動方法)を行う場合(通常時)に比して2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようにし、データドライバー2が、1つのゲートラインに応じた表示データ信号を、通常時の2倍の期間、データライン11に与えるようにすることで、水平期間の短い表示データ信号を用いた画像表示を行う場合でも、表示データ信号における入力信号周波数の増加を抑制できるため、この増加に伴うEMIの悪化を防止することができ、また、液晶の充電期間(1つのゲートラインをONとしている期間)を1水平期間の2倍に長くできるため、液晶の充電時間を十分に確保することができる」という技術事項が記載されている。
そして、引用発明5の「平面表示装置100」は「液晶」を有するものであるとは特定されていないものの、「ノートパソコンなどの平面表示装置100」において「液晶」が用いられることが、例示するまでもなく広く一般に知られているということに鑑みれば、引用発明5の「平面表示装置100」も、「液晶」の表示装置として、「EMIの悪化を防止する」、「液晶の充電時間を十分に確保する」といった課題を当然に有し得るものといえ、引用発明5においてそのような課題を解決するために引用文献6に記載された上記技術事項を適用し、「表示画像が静止画の場合」で「インタレース走査の場合」には、「表示画像が動画の場合」で「ノンインタレース走査の場合」に比して、「2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようにし」、「表示データ信号を」「2倍の期間、データライン11に与えるように」して、その結果、「表示画像が静止画の場合」に「表示画像が動画の場合」よりも充電時間を長くすることは、当業者が容易に想到し得たことということができる。
(ウ) 作用効果について
相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明6の奏する作用効果は、引用発明5、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術並びに引用文献6に記載された技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 本件補正発明6についての判断のむすび
以上のとおりであるから、本件補正発明6は、引用発明5、引用文献2及び引用文献3に開示される周知の技術並びに引用文献6に記載された技術事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本件発明についての判断
1 本件発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1ないし請求項15に係る発明は、本件出願の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
特に、本件出願の請求項11に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項11】
複数の画素を含む表示板と、
前記表示板にデータ信号を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ信号の印加を受けて充電され、
前記表示板が前記静止画を表示する間に前記表示板に入力される前記ゲート信号のゲートオンパルスの第2の幅は、前記表示板が動画を表示する間に前記表示板に入力される前記ゲート信号のゲートオンパルスの第1の幅より大きい、表示装置。」
2 原査定における拒絶理由の概要
この出願の請求項11ないし請求項14に係る発明は、以下の引用文献5、引用文献1、引用文献2及び引用文献6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献5.特開2006-64964号公報
引用文献1.国際公開第2009/060656号
引用文献2.特開2011-197584号公報
引用文献6.特開2003-22059号公報
3 引用文献に記載された発明等
引用文献5に記載された発明(引用発明5)は、上記第2の2(2)のイに記載したとおりである。
4 対比・判断
(1) 対比
本件発明と引用発明5とを対比すると、以下のとおりである。
(ア) 引用発明5の「ノートパソコンなどの平面表示装置100」が、本件発明の「表示装置」に相当する。
(イ) 引用発明5における、「マトリクス状に配置された複数の画素PXを備え」る「表示部110」が、本件発明における「複数の画素を含む表示板」に相当する。
(ウ) 引用発明5における、「画素PXの列毎に信号線DL1~DLvが設けられ、各列の画素群にそれぞれ画像信号を供給しており、全ての信号線DL1~DLvは信号線駆動回路12に接続され」るところの「信号線駆動回路12」が、本件発明における「前記表示板にデータ信号を伝達するデータ駆動部」に相当する。
(エ) 引用発明5における、「画素PXの行毎に走査線SL1~SLhが設けられ、行単位の画素群をそれぞれ電気的にオン/オフしており、全ての走査線SL1~SLhは、走査線駆動回路14に接続され」るところの「走査線駆動回路14」が、本件発明における「前記表示板にゲート信号を伝達するゲート駆動部」に相当する。
(オ) 引用発明5における、「信号線駆動回路12と走査線駆動回路14と」を「制御」する「コントローラ16」と「表示画像制御部22」とを合わせたものが、本件発明における「前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部」に相当する。
(カ) 引用発明5では、「表示画像が静止画の場合には、インタレース走査をON」とし、「インタレース走査の場合は、nフレーム目の表示画面F1には、奇数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、n+1フレーム目の表示画面F2には、偶数ラインの走査線にパルスが送信されて画像が表示され、表示画面F1および表示画面F2の2フレームで1画像を構成」している。
ここで、「走査線」が「奇数ライン」と「偶数ライン」とに分かれるということが、本件発明における、「前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ」るという事項に相当し、「奇数ラインの走査線にパルスが送信され」る「nフレーム目」と「偶数ラインの走査線にパルスが送信され」る「n+1フレーム目」との「2フレーム」で、「静止画」である「1画像を構成」しているということが、本件発明における、「前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示」するという事項に相当する。
また、引用発明5では、「奇数ラインの走査線にパルスが送信され」る「nフレーム目」においては、当該「奇数ライン」に対応する画素が充電され、「偶数ラインの走査線にパルスが送信され」る「n+1フレーム目」においては、当該「偶数ライン」に対応する画素が充電されることが、明記はされていないが明らかといえ、このことは、本件発明における、「前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ信号の印加を受けて充電され」るという事項に相当する。
(2) 一致点及び相違点
上記アの対比の結果をまとめると、本件発明と引用発明5とは、
「 複数の画素を含む表示板と、
前記表示板にデータ信号を伝達するデータ駆動部と、
前記表示板にゲート信号を伝達するゲート駆動部と、
前記データ駆動部及び前記ゲート駆動部を制御する信号制御部と、
を含み、
前記複数の画素は、複数の画素行をそれぞれ含む複数の画素行グループに分かれ、
前記複数の画素行グループと同一の数の連続したフレームを含む1フレームセットの間に前記表示板は一つの静止画を表示し、
前記複数の画素行グループは、それぞれ前記フレームセットの対応する互いに異なる1フレームの間に前記データ信号の印加を受けて充電される、
表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本件発明では、「前記表示板が前記静止画を表示する間に前記表示板に入力される前記ゲート信号のゲートオンパルスの第2の幅は、前記表示板が動画を表示する間に前記表示板に入力される前記ゲート信号のゲートオンパルスの第1の幅より大きい」とされているのに対して、引用発明5では、そのように特定されていない点。
(3) 相違点についての判断
上記第2の2(2)のエで述べたように、引用文献6には、「表示装置において、1行おきのインターレース駆動(ある垂直同期信号周期では奇数ゲートラインのみを充電(駆動)し、次の垂直同期信号周期では偶数ゲートラインのみを充電するような駆動方法)を行う場合に、ゲートドライバー3が、ノンインターレース駆動(GCK信号(周期;1HS)の入る度に、液晶充電にかかるゲートラインを順次的に遷移(シフト)してゆく駆動方法)を行う場合(通常時)に比して2倍の期間、同一のゲートラインをONとするようにし、データドライバー2が、1つのゲートラインに応じた表示データ信号を、通常時の2倍の期間、データライン11に与えるようにすることで、水平期間の短い表示データ信号を用いた画像表示を行う場合でも、表示データ信号における入力信号周波数の増加を抑制できるため、この増加に伴うEMIの悪化を防止することができ、また、液晶の充電期間(1つのゲートラインをONとしている期間)を1水平期間の2倍に長くできるため、液晶の充電時間を十分に確保することができる」という技術事項が記載されている。
そして、引用発明5の「平面表示装置100」は「液晶」を有するものであるとは特定されていないものの、「ノートパソコンなどの平面表示装置100」において「液晶」が用いられることが、例示するまでもなく広く一般に知られているということに鑑みれば、引用発明5の「平面表示装置100」も、「液晶」の表示装置として、「EMIの悪化を防止する」、「液晶の充電時間を十分に確保する」といった課題を当然に有し得るものといえ、引用発明5においてそのような課題を解決するために引用文献6に記載された上記技術事項を適用し、「表示画像が静止画の場合」で「インタレース走査の場合」には、「表示画像が動画の場合」で「ノンインタレース走査の場合」に比して、「2倍の期間、同一のゲートラインをONとするように」すること、すなわち、「表示画像が静止画の場合」のゲートオンパルスの幅を、「表示画像が動画の場合」のゲートオンパルスの幅よりも大きくすることは、当業者が容易に想到し得たことということができる。
第4 むすび
本件発明は、引用発明5及び引用文献6に記載された技術事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-016405