特許拒絶査定不服審判
2022-000002
ディスプレイを回転することでコンテンツを視覚化するディスプレイ装置及びその制御方法
- 審判番号
- 2022-000002
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-503062
- 請求日
- 2022年01月04日
- 審決日
- 2022年09月15日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 波多江 進
- 審判官 濱本 禎広
- 分類
- P18 .121-Z (G09G) / P18 .537-Z (G09G) / P18 .561-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第36条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-503062「ディスプレイを回転することでコンテンツを視覚化するディスプレイ装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月14日国際公開、WO2019/031771、令和 2年 9月17日国内公表、特表2020-528164〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)8月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年8月11日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願(特願2020-503062号)であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和2年 1月21日 :翻訳文の提出
同年12月 9日付け:拒絶理由通知書
令和3年 3月12日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月31日 :原査定の謄本の送達)
令和4年 1月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成4年1月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成4年1月4日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
平成4年1月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、本件補正前(令和3年3月12日にされた手続補正後をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである(下線は補正箇所を示す。)。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
回転可能なディスプレイを含むディスプレイ装置のコンテンツ表示方法において、
前記ディスプレイに複数のオブジェクト及び該複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素を表示するステップと、
予め設定されたイベントが発生すると、予め設定された角度分前記ディスプレイを第1方向に回転させ、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に前記ディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転させて表示するステップとを含む、
コンテンツ表示方法。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
ディスプレイ、支持台及びモータを含む、ディスプレイ装置のコンテンツ表示方法であって、
前記ディスプレイに複数のオブジェクト、該複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素及び前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第2構成要素を表示するステップと、
予め設定されたイベントが発生すると、前記支持台に対して前記ディスプレイを垂直配向から水平配向への第1方向に回転させるように前記モータを制御するステップと、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に前記ディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転させて表示するステップとを含み、
前記表示するステップは、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるステップを含む、
コンテンツ表示方法。」
2 本件補正の適否についての当審の判断
(1) 新規事項の追加について
ア 出願当初の特許請求の範囲の請求項1
願書に最初に添付した特許請求の範囲(以下「当初特許請求の範囲」という。)の請求項1の記載は、次のとおりである。下線は、当合議体による。
「【請求項1】
回転可能なディスプレイを含むディスプレイ装置のコンテンツ表示方法において、
前記ディスプレイに複数のオブジェクトを表示するステップと、
予め設定されたイベントが発生すると、予め設定された角度分前記ディスプレイを第1方向に回転させ、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ前記複数のオブジェクトに含まれた構成要素を前記第1方向の逆方向である第2方向に回転させて表示するステップと
を含むコンテンツ表示方法。」
イ 新規事項についての判断の概要
(ア) 本件補正後の請求項1の記載は、当初特許請求の範囲の請求項1の記載と比較すると、オブジェクトの構成要素を回転させるに際し、「前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ」との発明特定事項が削除され、代わりに「前記複数のオブジェクトとは独立して」との発明特定事項が追加されている。
(イ) ここで、本件補正後の請求項1で特定されている、複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素を回転させるに際し、「前記複数オブジェクトとは独立して」回転させることは、複数の第1構成要素の回転を複数のオブジェクトの回転から独立して行えば足りるのであって、必ずしも「前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ」回転させることを意味するものではない。
(ウ)a しかしながら、後記ウにおいて詳細に検討するとおり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素を回転させるに際しては、「前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ」回転させることのみが開示されており、複数のオブジェクトの配列が維持されない態様で回転させることは記載も示唆もされていない。
b そうすると、本件補正後の請求項1は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
c したがって、本件補正後の請求項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
ウ 当初明細書等の記載を参酌した詳細な検討
(ア) 当初明細書等の関連する記載
出願当初の明細書及び図面には、本件補正後の請求項1で前提とされている、複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素を回転させる際の、複数のオブジェクトについて、次の記載がある。下線は、当審において付した。
a 【発明の概要】の記載
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ディスプレイが横方向又は縦方向に回転してもコンテンツの表示方向が片方向に固定されることで、ユーザに固定された視聴体験を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の一実施形態に係る回転可能なディスプレイを含むディスプレイ装置のコンテンツ表示方法は、前記ディスプレイに複数のオブジェクトを表示するステップと、予め設定されたイベントが発生すると、予め設定された角度分前記ディスプレイを第1方向に回転させ、前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ前記複数のオブジェクトに含まれた構成要素を前記第1方向の逆方向である第2方向に回転させて表示するステップとを含んでよい。
・・・(中略)・・・
【0017】
一方、回転可能なディスプレイを含むディスプレイ装置は、ディスプレイと、回転部と、予め設定されたイベントが発生すると、前記回転部を介して予め設定された角度分前記ディスプレイを第1方向に回転させ、前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ前記複数のオブジェクトに含まれた構成要素を前記第1方向の逆方向である第2方向に回転させて表示するように前記ディスプレイを制御するプロセッサとを含んでよい。
・・・(中略)・・・
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、ディスプレイを回転してもディスプレイ内のオブジェクトの配列は維持してコンテンツのみを回転させることで、ディスプレイ装置はユーザにディスプレイされる画面の全体的な構造感覚は維持しながらも、コンテンツに対する視線を固定された視聴体験を提供することができるようになる。
(後略)」
b 【0039】~【0046】の記載及び【図2】
「【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスプレイシステムを説明するための図である。図1によると、本発明の一実施形態に係るディスプレイシステムは、ディスプレイ装置200、遠隔制御装置100、及びモバイル装置300を含んでよい。
・・・(中略)・・・
【0042】
特に、ディスプレイ装置200は、予め設定されたイベントが発生する場合、図1に示すように、横の長さが縦の長さより長い長方形のディスプレイ(以下では、「横方向のディスプレイ」)が縦の長さが横の長さより長い長方形のディスプレイ(以下では、「縦方向のディスプレイ」)になるようにディスプレイを回転させることができる。同様に、縦の長さが横の長さより長い長方形のディスプレイが横の長さが縦の長さより長い長方形のディスプレイになるようにディスプレイを回転させることができる。特に、縦方向のディスプレイに複数のオブジェクトを含む画面がディスプレイされる間に予め設定されたイベントが発生した場合、ディスプレイ装置200は、ディスプレイが横方に位置するように回転部を介して回転させ、回転される間に複数のオブジェクトに含まれた構成要素を逆方向に回転させ、複数のオブジェクトと別途に構成要素に対するユーザの視線を固定させる効果を提供することができる。
・・・(中略)・・・
【0044】
図2を参照すると、ディスプレイ装置200は、ディスプレイ230に複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nを一定の配列を備えてディスプレイすることができる。このとき、予め設定されたイベントが発生すると、ディスプレイ装置200は、ディスプレイ230を予め設定された角度分第1方向3000に回転させることができる。ディスプレイ230が第1方向に回転することで、ディスプレイ装置200は、複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nの配列を維持したまま、複数のオブジェクトが含んでいる第1構成要素232-1、232-2、…、232-nを第1方向と別途の方向に回転させることができる。このとき、第1方向3000とは別途の方向は、第1方向3000の逆方向である第2方向3100であってよい。
【0045】
このとき、予め設定された角度は90度であってよく、ただ、それに限定されずに、多様な角度であってよい。図2では、ディスプレイ装置200がディスプレイ230を第1方向3000に90度分回転させ、複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nの配列を維持したまま、複数のオブジェクトが含んでいる第1構成要素232-1、232-2、…、232-nを第1方向の逆方向である第2方向3100に90度分回転させた実施形態を示している。
【0046】
一方、複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nが含んでいる第1構成要素232-1、232-2、…、232-nは、ディスプレイ230が第1方向3000に回転する速度と同じ速度で第2方向3100に回転することができる。即ち、第1構成要素232-1、232-2、…、232-nとディスプレイ230が同じ速度で相互反対の方向に回転することで、ユーザの視覚から第1構成要素232-1、232-2、…、232-nが回転せずに固定されている視線が維持されてよい。このとき、ディスプレイ230上の複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nの配列は、維持されて回転されてよい。」
「【図2】
[図:0001394732000001.jpg]
」
c 【0047】~【0060】の記載
「 【0047】
図3は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。図3を参照し、ディスプレイ装置200の具体的な構成を示すブロック図を参照し、本発明の多様な実施形態について説明する。
・・・(中略)・・・
【0050】
具体的に、ディスプレイ230が縦方向に位置する間に予め設定されたイベントが発生した場合、ディスプレイ230は回転部235によって回転され、横方向に位置してよい。縦方向のディスプレイ230が複数のオブジェクトをディスプレイする間にディスプレイ230が第1方向に回転されると、ディスプレイ230はディスプレイ画面に複数のオブジェクトに含まれた構成要素を第1方向の逆方向である第2方向に回転して表示し、それにより、ディスプレイ回転中でも複数のオブジェクトと別途に複数のオブジェクト内の構成要素を固定された方向にディスプレイしてよい。
・・・(中略)・・・
【0053】
特に、プロセッサ290は、ディスプレイ230を第1方向に回転させる間に従来にディスプレイ230にディスプレイされるオブジェクトの配列を維持しつつ複数のオブジェクトに含まれた構成要素を第2方向に回転させて表示するように回転部235及びディスプレイ230を制御してよい。そして、プロセッサ290は、ディスプレイ230を回転させつつ、複数のオブジェクトに含まれた構成要素のうちの一部はフェードアウト及びフェードインして表示することができる。このとき、プロセッサ290は、複数のオブジェクトのうちいずれか一つのオブジェクトに対してハイライトを維持したまま回転するように回転部235及びディスプレイ230を制御してよい。
(後略)」
d 【0061】~【0093】の記載及び【図5】
「 【0061】
図4は、本発明の別の実施形態に係るディスプレイ装置の構成を詳細に示すブロック図である。図4に示すように、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置200は、コンテンツ受信部210、通信部220、ディスプレイ230、回転部235、スピーカ240、メモリ250、オーディオ処理部260、ビデオ処理部270、ユーザインターフェース部280及びプロセッサ290を含む。
・・・(中略)・・・
【0085】
特に、プロセッサ290は、ディスプレイ230に複数のオブジェクトを表示することができ、予め設定されたイベントが発生すると、回転部235を介して予め設定された角度分ディスプレイ230を第1方向に回転させ、ディスプレイ230が第1方向に回転することで、複数のオブジェクトの配列を維持しつつ複数のオブジェクトに含まれた構成要素を第1方向の逆方向である第2方向に回転させるようにディスプレイ230を制御してよい。」
・・・(中略)・・・
【0089】
図5では、図2のように、予め設定されたイベントが発生すると、ディスプレイ装置200は、ディスプレイ230を予め設定された角度分第1方向3000に回転させてよい。ディスプレイ230が第1方向に回転することで、ディスプレイ装置200は、複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nの配列を維持したまま、複数のオブジェクトが含んでいる第1構成要素232-1、232-2、…、232-nと第2構成要素233-1、233-2、…、233-nを第1方向3000の逆方向である第2方向3100に回転させてよい。
(後略)」
「【図5】
[図:0001394732000002.jpg]
」
e 【0095】~【0098】の記載及び【図6】
「【0095】
図6を参照すると、複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nのうち少なくとも一つのオブジェクト(図6では、231-1)にハイライトが表示される間に予め設定されたイベントが発生すると、ディスプレイ装置200は、ディスプレイ230を予め設定された角度分第1方向3000に回転させてよい。ディスプレイ230が第1方向に回転することで、ディスプレイ装置200は、特定のオブジェクト231-1とその他の残りの複数のオブジェクト231-2、231-3、…、231-nの配列を維持しつつ、特定のオブジェクト231-1のハイライトを表示したままで複数のオブジェクト231-1、231-2、231-3、…、231-nを回転させてよい。
【0096】
上述の実施形態では、特定のオブジェクトに対してハイライトして回転させる特徴のみを説明しているが、ディスプレイ装置200は、オブジェクトを多様な方式で処理して回転させてよい。例えば、ディスプレイ装置200は、特定のオブジェクトのサイズを調節して回転させることもでき、特定のオブジェクトが該当オブジェクトに関する内容について表示して回転させることもできる。
【0097】
上述の例を通じ、ディスプレイ装置200は、特定のオブジェクト231-1に対するユーザの焦点を分散させないで、オブジェクトの配列を維持して全体的な構図感覚を維持する視聴体験を提供することができる。
(後略)」
「【図6】
[図:0001394732000003.jpg]
」
f 【0142】~【0143】の記載及び【図18】
「【0142】
図18は、本発明の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【0143】
図18を参照すると、ディスプレイ装置200は、ディスプレイ230に複数のオブジェクトを表示することができる(S1810)。このとき、予め設定されたイベントが発生したことを検知すると(S1820-Y)、予め設定された角度分前記ディスプレイを第1方向に回転させ、ディスプレイが第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ前記複数のオブジェクトに含まれた構成要素を第1方向の逆方向である第2方向に回転させて表示することができる(S1830)。ディスプレイ装置200は、予め設定されたイベントを検知できない場合(S1820-N)、予め設定されたイベントが検知されるまで複数のオブジェクトを表示した状態を維持することができる。」
「【図18】
[図:0001394732000004.jpg]
」
(イ) 当初明細書等の関連する記載に基づいた新規事項についての判断
a 前記(ア)に摘記した当初明細書等の関連する記載には、複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素を回転させるに際しては、「ディスプレイされる画面全体の構造感覚/構図感覚を維持」するために、「前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ」回転させることのみが開示されており、複数のオブジェクトの配列が維持されない態様で回転させることは記載も示唆もされていない。
b よって、本件補正で請求項1についてする補正は、当初特許請求の範囲の請求項1の「前記複数のオブジェクトの配列を維持しつつ」を削除することにより、複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素を回転させる際の、複数のオブジェクトの配列の態様について、複数のオブジェクトの配列が維持されない態様を含むように新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正後の請求項1は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
c したがって、本件補正による請求項1についての補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
d よって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
(2) 本件補正の目的について
ア 前記(1)において検討したとおり、本件補正後の請求項1は当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないから、本件補正は159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであるが、仮に本件補正後の請求項1が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるとして、以下、その他の補正の要件を充足するか否かについて検討する。
イ 本件補正は、本件補正前の請求項1に対して、以下の(ア)~(オ)の限定を行うものである。
(ア) ディスプレイ装置について「支持台及びモータ」を含むものに限定すること。
(イ) 複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素を表示するステップについて、「複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素及び前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する第2構成要素」を表示するものに限定すること。
(ウ) ディスプレイを第1方向に回転させる際に、「予め設定された角度分」「回転させ」る態様として、「支持台に対して、垂直配向から水平配向への第1方向に回転させるようにモータを制御する」ものに限定すること。 (エ) 回転させて表示するステップで回転させる構成要素について、「第1構成要素」に限定すること。
(オ) 表示するステップについて、「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるステップを含む」ものに限定すること。
ウ 本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である。
エ したがって、本件補正のうち請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
オ そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以降の(3)及び(4)において検討する。
(3) 独立特許要件について(その1~明確性要件違反)
ア 請求項1には、複数の第1の構成要素を、「前記複数のオブジェクトとは独立して、」回転させて表示することが記載されているところ、以下に示すとおり、当該記載は不明確であるから、請求項1の記載は発明が不明確である。
イ まず、複数の第1構成要素の回転が、複数のオブジェクトの「何」(配置、大きさ、回転、表示内容など、その技術上の意義が大きく異なる内容が種々考えられる。)とは独立しているのか、不明確である。発明の詳細な説明には、複数の第1の構成要素を「前記複数のオブジェクトとは独立して」回転させて表示することの定義について明示的な説明はなく、発明の詳細な記載を参酌してもなお不明確である。
ウ また、通常、「独立する」という語は、「依存する」という語の対義語である。しかし、「独立する」という語をこの通常の意味に解釈すると、次のエに示すように、明細書等の開示内容と整合しない。
そうすると、「独立する」という語は、通常の意味とは異なる意味に解釈することとなるが、どのように解釈すべきか、明細書の記載を参酌しても不明であるから、請求項1の記載は、明細書等の記載及び技術常識を参酌しても、第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがあり、発明が不明確であるといわざるを得ない。
エ(ア) 請求項1及び発明の詳細な説明に開示されている複数の第1の構成要素の回転の際のオブジェクトの態様について検討すると、請求項1でも特定されているとおり、複数の第1の構成要素は、ディスプレイの回転方向である第1方向と逆方向である第2方向にディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転しており、複数の第1の構成要素の回転はディスプレイの回転に依存している、すなわち、独立していない。
(イ) 発明の詳細な説明及び図面、例えば【0044】-【0046】や図2の記載によると、ディスプレイの回転に伴って複数の第1の構成要素を回転させる際には、複数のオブジェクトはディスプレイとともに回転する、すなわち、ディスプレイに対しては回転しないから、複数のオブジェクトはディスプレイの回転に依存している、すなわち、独立していない。
(ウ) そうすると、複数の第1の構成要素の回転がディスプレイの回転に依存しており、複数のオブジェクトもディスプレイの回転に依存しているから、「独立」の一般的な意味において、複数の第1の構成要素の回転が複数のオブジェクトとは独立しているとはいえない。
(エ) そうすると、「独立する」という語を通常の意味に解釈すると、請求項1は、明細書等の開示内容と整合しないといえる。
オ 請求項1の記載は明細書等の開示内容と整合するように理解すべきであるから、請求項1の「前記複数のオブジェクトとは独立して」との記載は、前記ウの検討結果を考慮すると、「独立する」という語の一般的な意味とは異なるように理解しなければならないところ、明細書等の記載を参酌しても、どのような意味で用いられているのか、不明である。なお、請求人は、原審審査官の拒絶査定書における、「前記複数のオブジェクトとは独立して、」回転させて表示することが不明確であるとの指摘に対して、審判請求書において、何ら説明をしていない。
カ 以上のとおりであるから、「前記複数のオブジェクトとは独立して」という語句の意味は不明であり、第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがあるといわざるを得ず、請求項1の記載は発明が不明確である。
よって、請求項1に係る発明は明確でないから、特許法36条6項2号に規定された要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(4) 独立特許要件について(その2~進歩性要件違反)
ア 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に示した、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
イ 引用文献2及び引用発明の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
本願の優先権主張の日前に発行された米国特許出願公開第2016/0048305号明細書(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。翻訳文は、当合議体によるものである。また、下線は当合議体が付したものである。
a [0003]-[0005]
「[0003] Group-based user interface rearrangement techniques are described. In one or more embodiments, a display manager module, executable via a processing system of a computing device, is configured to output a user interface for display via a display device. The user interface is configured to present an arrangement of graphics that visually represent and enable selectable access to underlying content items. For example, the user interface may present the arrangement of graphics in groups having pre-defined size constraints (e.g., to limit a width of each group). The pre-defined size constraints may be imposed on the groups regardless of an orientation of the display device.
[0004] In one or more embodiments, the display manager module is configured to detect input indicative of a rotation of the display device. The display manager module may also detect other display-change events, such as changing the display device used to output the user interface. In response to detection of such events, the display manager module may determine a rearrangement of the graphics that corresponds to the particular event. When input indicative of a rotation of the display device is detected, for instance, the display manager module may determine a rearrangement that is configured to maintain the groups and reposition the graphics contained within the groups to correspond to the rotation.
[0005] The rearrangement may also be configured to reposition the graphics contained within the groups so that the graphics of a particular group are presented in a same pattern as in the arrangement. Relative to the graphics of another group, however, the graphics of the particular group may have a different alignment than in the arrangement. In one or more embodiments, the rearrangement maybe configured instead to maintain an orientation of the graphics contained within the particular group relative to the graphics contained within another group. In this case, the rearrangement may also be configured to reposition the visually represented underlying content of the graphics to correspond to the detected display-change event.」
([0003] グループベースのユーザーインターフェース再配置技術について説明する。一つ以上の実施形態では、コンピューティング装置の処理システムを介して実行可能なディスプレーマネージャーモジュールは、ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェースを出力するように構成される。このユーザーインターフェースは、下層のコンテンツ項目を視覚的に表し、選択可能なアクセスを可能にするグラフィックスの配置を提示するように構成される。例えば、このユーザーインターフェースは、事前に定義されたサイズ制約(例えば、各グループの幅を制限する)を有するグループにおいてグラフィックの配置を提示してもよい。事前定義されたサイズ制約は、ディスプレー装置の向きに関係なく、グループに課される場合がある。
[0004] 一つ以上の実施形態において、ディスプレーマネージャーモジュールは、ディスプレー装置の回転を示す入力を検出するように構成される。ディスプレーマネージャーモジュールは、ユーザーインターフェースを出力するために使用されるディスプレー装置を変更するなどの他のディスプレー変更イベントも検出してもよい。このようなイベントの検出に応答して、ディスプレーマネージャーモジュールは、特定のイベントに対応するグラフィックの再配列を決定してもよい。例えば、ディスプレー装置の回転を示す入力が検出されると、ディスプレーマネージャーモジュールは、グループを維持し、その回転に対応するようにグループ内に含まれるグラフィックスの位置を変えるように構成された再配置を決定してもよい。
[0005] 再配置はまた、特定のグループのグラフィックスが同じパターンの配置で提示されるように、グループ内に含まれるグラフィックスの位置を変更するように構成されてもよい。しかし、(再配置前の)配置におけるものと比較して、特定のグループのグラフィックスは、別のグループのグラフィックスに対して異なるように整列してもよい。一つ以上の実施形態において、再配置は、その代わりに、他のグループ内に含まれるグラフィックスに対する特定のグループ内に含まれるグラフィックスの向きを維持するように構成されるかもしれない。この場合、再配置は、グラフィックスの視覚的に表現された下層のコンテンツを、検出された表示変更イベントに対応するように位置を変更するようにも構成され得る。)
b [0029]-[0033]
「[0029] FIG. 1 is an illustration of an environment 100 in an example implementation that is operable to employ the group-based user interface rearrangement techniques described herein. The illustrated environment100 includes a web service 102 and a computing device 104 that are communicatively coupled via a network 106. The web service 102 and the computing device 104 may be implemented by a wide range of computing devices.
・・・(中略)・・・
[0032] The computing device 104 is further illustrated as including an operating system 108. The operating system 108 is configured to abstract underlying functionality of the computing device 104 to applications 110 that are executable on the computing device 104. For example, the operating system 108 may abstract processing, memory, network, and/or display functionality of the computing device 104 such that the applications 110 may be written without knowing “how” this underlying functionality is implemented. The application 110, for instance, may provide data to the operating system108 to be rendered and displayed by the display device 112 without understanding how this rendering will be performed.
[0033] The operating system 108 may also represent a variety of other functionality, such as to manage a file system and a user interface that is navigable by a user of the computing device 104. An example of this is illustrated as an application launcher (e.g., start screen) that is displayed on the display device 112 of the computing device 104. The start screen includes graphic representations (“graphics”) that are selectable to provide access to underlying content items, such as a plurality of the applications 110. The graphics may be implemented as icons, tiles, textual descriptions, and so on which may be displayed in a matrix or grid of rows and/or columns of graphics (icons, tiles, etc.) that represent applications. The start screen may be considered a root level of a hierarchical file structure, e.g., each of the other levels are “beneath” the root level in the hierarchy. At least some of the graphics shown in the illustrated example are selectable to launch a corresponding one of applications 110 for execution on the computing device 104. In this way, a user may readily navigate through a file structure and initiate execution of applications of interest.」
([0029] 図1は、本明細書で説明するグループベースのユーザーインターフェース再配置技術を採用するように動作可能な実装例における環境100を示す図である。図示された環境100は、ネットワーク106を介して通信可能に結合されたウェブサービス102及びコンピューティング装置104を含む。ウェブサービス102及びコンピューティング装置104は、広範なコンピューティング装置によって実装され得る。
・・・(中略)・・・
[0032] コンピューティング装置104は、さらに、オペレーティングシステム108を含むものとして図示されている。オペレーティングシステム108は、コンピューティングデバイス104の下層の機能を、コンピューティング装置104上で実行可能なアプリケーション110に抽象化するように構成される。例えば、オペレーティングシステム108は、アプリケーション110が、下層の機能が「どのように」実装されるかを知らずに書かれ得るように、コンピューティングデバイス104の処理、メモリ、ネットワーク及び/又はディスプレー機能を抽象化してもよい。アプリケーション110は、例えば、このレンダリングがどのように実行されるかを理解せずに、ディスプレー装置112によってレンダリングされ表示されるように、オペレーティングシステム108にデータを提供してもよい。
[0033] オペレーティングシステム108はまた、ファイルシステム及びコンピューティングデバイス104のユーザーによってナビゲート可能なユーザーインターフェースを管理するためなど、様々な他の機能を表すことができる。この例は、コンピューティング装置104のディスプレー装置112に表示されるアプリケーションランチャー(例えば、スタート画面)として例示される。スタート画面は、複数のアプリケーション110などの、下層のコンテンツ項目へのアクセスを提供するために選択可能なグラフィック表現(「グラフィックス」)を含む。グラフィックスは、アプリケーションを表すグラフィックス(アイコン、タイルなど)の行及び/又は列のマトリックス又はグリッドに表示され得る、アイコン、タイル、テキスト説明などとして実装されてもよい。スタート画面は、階層的なファイル構造のルートレベルと見なすことができ、例えば、他の各レベルは、階層内のルートレベルの「下」にある。図示された実施例に示されたグラフィックの少なくともいくつかは、コンピューティング装置104上での実行のためにアプリケーション110の対応する一つを起動するように選択可能である。このようにして、ユーザーは、ファイル構造を容易にナビゲートし、関心のあるアプリケーションの実行を開始できる。)
c Fig. 1
「
[図:0001394732000005.jpg]
」
d [0060]-[0067]
「[0060] FIG. 3 depicts an implementation showing an example at 300 in which an orientation of the display device 112 of FIG. 1 is changed and a corresponding rearrangement of the graphics included in the user interface is performed. However, FIG. 3 represents a scenario in which different constraints are imposed on the arrangement of the groups.
・・・(中略)・・・
[0067] Although FIG. 3 illustrates a rearrangement of graphics for a rotation of the display device 112 from the landscape orientation at 302 to the portrait orientation at 306, it should be appreciated that the display manager 122 can also determine a rearrangement of graphics for a rotation of the display device 112 from the portrait orientation at 306 to the landscape orientation at 302. By way of example, the display manager 122 may cause graphics that were arranged on the user interface as depicted at 306 to be rearranged into the pattern depicted at 302.」
([0060] 図3は、図1のディスプレー装置112の向きが変更され、ユーザーインターフェースに含まれるグラフィックスの対応する再配置が実行される300における例を示す実施形態である。しかしながら、図3は、グループの配置に異なる制約が課されるシナリオを表している。
・・・(中略)・・・
[0067] 図3は、ディスプレー装置112の302での横向きから306での縦向きへの回転に対するグラフィックスの再配置を示すが、ディスプレーマネージャー122は、ディスプレー装置112の306での縦向きから302での横向きへの回転に対するグラフィックスの再配置も決定できることが理解されるべきである。例として、ディスプレーマネージャー122は、306で描かれるようにユーザーインターフェース上に配置されていたグラフィックスを、302で描かれるパターンに再配置させることができる。)
e [0069]
「[0069] FIG. 4 depicts an implementation showing an example at 400 in which the orientation of the display device 112 is changed and in which the same constraints are imposed on the group arrangements as in FIG. 3, but in which the graphics are rearranged in a different manner from FIG. 3. The example illustrated at 400 depicts the computing device 104 initially positioned in a landscape orientation at 402, having had its orientation changed to a portrait orientation at 404, and with the graphics having been rearranged at 406.」
([0069] 図4は、ディスプレー装置112の向きが変更され、図3と同じ制約がグループの配置に課されるが、グラフィックスが図3とは異なる方法で再配置される400における例を示す実施態様を描写する。400で示される例は、402で最初に横向きで配置され、404でその向きが縦向きに変更され、406でグラフィックスが再配置されたコンピューティング装置104を示す。)
f [0070]
「[0070] The rearrangement of graphics illustrated in FIG. 4 is different from that illustrated in FIG. 3 insofar as the groups of graphics in FIG. 4 are not rotated and repositioned, as a group. Consider graphic 408, as a particular example. At 404, a size of graphic 408 is approximately one unit high by two units wide. At 406, the graphic 408 is the same size, e.g., one unit high by two units wide. This same observation is applicable to each of the graphics depicted in the user interface at 404 and at 406. In other words, the pattern in which the graphics are arranged is not changed between 404 and 406.」
([0070] 図4に図示されたグラフィックスの再配置は、図4のグラフィックスのグループが、グループとして、回転されたり、位置が変更されない限りにおいて、図3に図示されたものとは異なっている。特定の例として、グラフィック408を考える。404において、グラフィック408のサイズは、およそ高さ1単位×幅2単位である。406において、グラフィック408は、同じサイズ、具体的には、高さ1単位×幅2単位である。この同じ観察結果は、404及び406においてユーザーインタフェースに描かれるグラフィックのそれぞれに適用可能である。換言すると、グラフィックスが配置されるパターンは、404と406の間で変更されない。)
g [0071]
「[0071] Instead, the content depicted on each graphic is repositioned. For square graphics such as graphic 410 the content depicted thereon can simply be rotated to correspond to the orientation change, e.g., from the position depicted at 404 to the position depicted at 406. For non-square graphics such as graphic 408, however, mere rotation may not be sufficient to fit the depicted content on the graphic. Rather, the display manager 122 may rearrange or replace the content of the graphic to correspond to the orientation change. By way of example and not limitation, the display manager 122 may do so by moving portions of a graphic's content to different locations, adjusting a cropping of content, changing font sizes, excluding some of the content presented for a previous orientation, adding content that was not displayed for a previous orientation, replacing the content with other content, and so on.」
([0071] その代わり、各グラフィックに描かれたコンテンツは位置が変更される。グラフィック410のような正方形のグラフィックの場合、そこに描かれたコンテンツは、例えば、404で描かれた位置から406で描かれた位置へ、向きの変更に対応するように単に回転させることができる。しかしながら、グラフィック408のような非正方形グラフィックの場合、単なる回転では、描かれたコンテンツをグラフィックに適合させるのに十分でない場合がある。むしろ、ディスプレーマネージャー122は、向きの変化に対応するようにグラフィックのコンテンツを並べ替えたり、置き換えたりしてもよい。限定ではなく例として、ディスプレーマネージャー122は、グラフィックのコンテンツの一部を異なる場所に移動すること、コンテンツの不要部分の切取りを調整すること、フォントサイズを変更すること、前の向きに対して提示されたコンテンツの一部を除外すること、前の向きに対して表示されなかったコンテンツを追加すること、コンテンツを他のコンテンツに置き換えることなどができる。)
h Fig. 4
「
[図:0001394732000006.jpg]
」
i [0077]
「[0077] In addition to determining rearrangements for various display change events and user interfaces subject to various pre-defined arrangement constraints, display manager 122 may also be configured to determine animations to transition from the arrangement of the graphics to the rearrangement. By way of example, and not limitation, the animations that can be applied to the transitions may include fade ins and fade outs, animation of a rotation in an opposite direction that a display device was rotated, sliding of groups to different positions on a user interface, sliding of graphics to different positions on the user interface, rotating and/or sliding of content, and so forth. Other animations may be applied to the transitions without departing from the scope of the techniques described herein.
([0077] 様々なディスプレー変更イベント及び様々な事前定義された配置制約に従うユーザーインターフェースに対する再配置を決定することに加えて、ディスプレーマネージャー122は、グラフィックスの配置から再配置に遷移するアニメーションを決定するように構成されてもよい。限定ではなく例として、遷移に適用できるアニメーションは、フェードイン及びフェードアウト、ディスプレー装置が回転させられたのと反対の方向への回転のアニメーション、ユーザーインターフェース上の異なる位置へのグループのスライド、ユーザーインターフェース上の異なる位置へのグラフィックスのスライド、コンテンツの回転及び/又はスライドなどを含んでもよい。ここで説明される技術の範囲から逸脱することなく、遷移に他のアニメーションを適用することができる。)
(イ) 引用文献2に記載された事項から読み取れる事項の認定
a [0003]の記載から読み取れる事項の認定
前記(ア)aの[0003]における「コンピューティング装置の処理システムを介して実行可能なディスプレーマネージャーモジュールは、ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェースを出力する」との記載から、ユーザーインターフェースを出力する、という方法が実質的に開示されているといえるから、引用文献2には、「ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェースを出力する方法」が記載されているといえる。
b [0071]の記載から読み取れる事項の認定
前記(ア)gの[0071]における、コンテンツを「404で描かれた位置から406で描かれた位置へ、向きの変更に対応するように」回転させることは、前記(ア)eの[0069]に記載されているように、コンテンツを「ディスプレー装置の向きの変更に対応するように」回転させることを意味することは明らかである。
c 図4から読み取れる事項の認定
(a) 前記(ア)hの図4からは、前記「404で描かれた位置から406で描かれた位置」へのコンテンツの回転が、ディスプレー装置の回転の向きとは逆向きに同じ角度の回転であることが視認される。
(b) さらに、前記(ア)hの図4からは、前記(ア)gの[0071]における「各グラフィックに描かれたコンテンツ」として、前記(ア)bの[0033]のアイコン(例えば、図4のグラフィック408におけるメールのアイコン)及びテキスト説明(例えば、図4のグラフィック408における「mail」とのテキスト説明)が視認される。
(c) そうすると、前記(a)及び(b)から、引用文献2には、「各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させる」ことが記載されていると認められる。
d [0067]、[0069]、図3、図4から読み取れる事項の認定
(a) 図4について説明する前記(ア)eの[0069]には、「ディスプレー装置が最初に横向きで配置され、その向きが縦向きに変更され、グラフィックスが再配置される」ことが記載されているところ、図3について説明する前記(ア)[0067]には、横向きから縦向きへの回転に対するグラフィックスの再配置を示しつつ、縦向きから横向きへの回転に対するグラフィックスの再配置も決定できることが記載されている。
(b) [0067]の前記記載は図3に示される形態について説明するものであるが、図4に示される形態についても、縦向きから横向きへの回転に対するグラフィックスの再配置を決定できることは、両形態の類似性からみて、引用文献2に記載されているに等しい事項である。
(c) そうすると、引用文献2には、図4に示される形態についても、「ディスプレー装置が最初に縦向きで配置され、その向きが横向きに変更され、グラフィックスが再配置される」ことが開示されているといえる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献2には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェースを出力する方法であって、(前記(イ)a)
ディスプレー装置に複数のグラフィックスを含むアプリケーションランチャーを表示し、グラフィックスは、アイコン、タイル、テキスト説明として実装され、([0033])
ディスプレー装置が最初に縦向きで配置され、その向きが横向きに変更され、グラフィックスが再配置され、(前記(イ)d)
グラフィックスの再配置では、複数のグラフィックスが配置されるパターンは変更されず、([0070])
各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させ、(前記(イ)b及びc)
グラフィックスの配置から再配置への遷移に、フェードイン及びフェードアウト、ディスプレー装置が回転させられたのと反対方向への回転のアニメーションなどのアニメーションを適用する、([0077])
ユーザーインターフェースを表示する方法」
ウ 引用文献1に記載された事項及び引用文献1技術事項の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
本願の優先日前に発行された特開2006-259358号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
a 【0001】
「【0001】
この発明は、ディスプレイを他の構造に対して回転させることができる画像表示装置、画像表示方法、及び、画像表示プログラムに関する。」
b 【0015】
「【0015】
本発明の実施の形態の画像表示装置は、動画・静止画を表示するあらゆる機器に適用可能であるが、ここでは、例えば移動体である車両に搭載された車載器に備えられたものとする。この画像表示装置を有した車載器を使用する場合、ユーザは、ディスプレイ回転期間中もその表示画像を快適に鑑賞することができる。」
c 【0017】
「【0017】
図1は、本実施形態の車載器100の構成を示したブロック図である。本実施形態の車載器100は、制御部10、操作部12、受信機14、画像処理部16、ディスプレイ18、メモリ20、オン・スクリーン・ディスプレイ(以下、OSDと略記)22、及び、ステッピングモータ24を備えている。制御部10は、車載器100全体の制御を統括して実行する。操作部12は、車載器100をユーザが操作する為のものであり、例えば、リモートコントロールスイッチであっても良く、或いは、車載器100前面に配列されたメカニカル・ボタンであっても良い。なお、車載器100の電源スイッチは操作部12に含まれる。」
d 【0022】
「【0022】
ステッピングモータ24は、入力されたパルスに応じて駆動するアクチュエータであり、ディスプレイ18の軸部Axを中心に当該ディスプレイ18全体を車載器100に対して回転させることができる。ステッピングモータ24は、例えば、一相励磁式のものであり、1パルス入力される毎に3°回転する。ディスプレイ18は、この軸部Axによって車載器100に回転自在に支持されている。」
e 【0023】―【0028】
「【0023】
次に、ディスプレイ18回転時における画像表示処理について説明する。図3は、本実施形態の車載器100で実行される画像表示処理を示したフローチャートである。また、図4は、ディスプレイ18の回転を説明する為の図である。本実施形態の画像表示処理は車載器100を起動させたときに開始される。
【0024】
車載器100を起動させると、制御部10は、例えば周知の機械的手段(不図示)を用いてステッピングモータ24のイニシャライズを実行する(ステップ1、以下、ステップを「S」と略記)。なお、本実施形態では、ディスプレイ18は、図4で示された水平位置P1と垂直位置P3の二値のみで停止する。上記イニシャライズを実行することにより、制御部10は、ディスプレイ18の初期位置が水平位置P1又は垂直位置P3のいずれであるかを検出すると共に、ステッピングモータ24のロータ(すなわち回転磁性体)を初期位置にセットし、自身の持つカウンタのカウント値Cを0に設定する(S2)。
【0025】
ディスプレイ18を回転させるようにユーザが操作部12を操作すると、制御部10は、ステッピングモータ24にパルス信号を出力し、1パルス出力する毎にカウント値Cを1インクリメントする(S3)。このときの表示画像が例えばテレビ放送の映像である場合、制御部10は、3フレーム毎のタイミングと同期させて1パルス(すなわち毎秒10パルス)を出力する。また、静止画である場合、上記の如き同期処理を実行できない為、単に、自身の持つクロックを参照して毎秒10パルスを出力する。従って、ディスプレイ18が水平位置P1から垂直位置P3、或いは、垂直位置P3から水平位置P1への回転に要する時間はおよそ3秒となる。
【0026】
本実施形態ではアクチュエータとしてステッピングモータ24を用いている為、制御部10は、ディスプレイ18の初期位置及び出力パルス数に基づいて、水平位置P1に対する当該ディスプレイ18の現在の角度を検出する(S4)。例えば初期位置がP1であり、出力パルス数が14の場合、制御部10は、ディスプレイ18が水平位置P1に対して42°回転した状態(例えば図4の位置P2)にあることを検出する。なお、上記イニシャライズで検出された初期位置に応じてディスプレイ18の回転方向を変える必要がある。制御部10は、初期位置が水平位置P1の場合にはその回転方向を時計回りに設定し、垂直位置P3の場合にはその回転方向を反時計回りに設定する。そして、ここで設定された回転方向に応じた励磁でステッピングモータ24を駆動させる。
【0027】
S4の処理において角度を検出すると、制御部10は、自身の持つROM等に記憶されたテーブルであって、表示画像サイズ及び角度とディスプレイ18の角度との関係を示したテーブルを読み込む。そして検出角度に基づいて該当する設定を前記のテーブルから読み出し、その設定を反映したサイズ及び角度で画像を描画するよう画像処理部16を作動させる(S5)。なお、上述したように3フレーム毎のタイミングでディスプレイ18を回転させる為、上記設定も3フレーム毎に変更される。また、静止画の場合には十分の一秒毎に上記設定が変更される。
【0028】
ここで、表示画像の回転角度とディスプレイ18の回転角度は、その絶対値が同一であり、その符号が異なる。すなわちディスプレイ18が反時計回りに30°回転したとき、画像18bは、表示領域18a中を時計回りに30°回転する。これにより、画像18bは、ディスプレイ18回転時であっても、常に、水平位置P1に対して回転していないように表示される。別の言い方をすると、画像18bは、基準となる線(水平位置P1又は垂直位置P3におけるディスプレイ18長手方向と一致する線)に対して常に同一角度を保つように表示される。図4において例えばディスプレイ18が位置P2にある場合、画像18bは、自身の長辺と表示領域18aの長辺とが成す角度θが42°になるように表示される。」
f 【図4】
「【図4】
[図:0001394732000007.jpg]
」
(イ) 引用文献1技術事項の認定
a 前記(ア)eの【0025】-【0028】及び前記(ア)fの図4から、次の技術事項が読み取れる。
「ディスプレイを回転させるようにユーザが操作部を操作すると、制御部はステッピングモータにパルス信号を出力し、ディスプレイの初期位置及び出力パルス数に基づいて、水平位置に対するディスプレイの現在の角度を検出し、検出角度に基づいて該当する設定をテーブルから読み出し、その設定を反映したサイズ及び角度で画像を描画するよう画像処理部を作動させ、3フレーム毎のタイミングでディスプレイを回転させるとともに、前記設定も3フレーム毎に変更し、表示画像の回転角度とディスプレイの回転角度は、その絶対値が同一であり、その符号が異なること」
b 前記(ア)の記載事項及び前記aの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の技術事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献1技術事項]
「ディスプレイ、ステッピングモータを備えた車載器におけるディスプレイを他の構造に対して回転させる画像表示方法であって、(【0001】、【0017】)
ステッピングモータは、ディスプレイの軸部を中心に当該ディスプレイ全体を車載器に対して回転させることができ、(【0022】)
ディスプレイは、水平位置と垂直位置の二値のみで停止し、(【0024】)
ディスプレイを回転させるようにユーザが操作部を操作すると、制御部はステッピングモータにパルス信号を出力し、ディスプレイの初期位置及び出力パルス数に基づいて、水平位置に対するディスプレイの現在の角度を検出し、検出角度に基づいて該当する設定をテーブルから読み出し、その設定を反映したサイズ及び角度で画像を描画するよう画像処理部を作動させ、3フレーム毎のタイミングでディスプレイを回転させるとともに、前記設定も3フレーム毎に変更し、表示画像の回転角度とディスプレイの回転角度は、その絶対値が同一であり、その符号が異なる、(前記aの認定事項)
画像表示方法」
エ 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
a 引用発明の「ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェース」は、コンテンツの一形態であり、ディスプレー装置を介して表示するためにユーザーインターフェースを出力することはディスプレイ装置にユーザーインターフェースを表示することにほかならないから、引用発明の「ディスプレー装置を介して表示するためのユーザーインターフェースを出力する方法」と、本件補正発明の「ディスプレイ、支持台及びモータを含む、ディスプレイ装置のコンテンツ表示方法」は、「ディスプレイを含む、ディスプレイ装置のコンテンツ表示方法」の点で共通する。
b 引用発明の「複数のグラフィックス」は、本件補正発明の「複数のオブジェクト」に相当する。また、引用発明のグラフィックスがアイコン、タイル、テキスト説明として実装されることは、複数のアイコンや複数のテキスト説明が、複数のグラフィックスを構成し、複数のグラフィックスのそれぞれの中に位置することにほかならないから、引用発明の「アイコン」は本件補正発明の「複数の第1構成要素」に、「テキスト説明」は「複数の第2構成要素」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用発明の「ディスプレー装置に複数のグラフィックスを含むアプリケーションランチャーを表示し、グラフィックスは、アイコン、タイル、テキスト説明として実装され」は、本件補正発明の「前記ディスプレイに複数のオブジェクト、該複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素及び前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第2構成要素を表示するステップ」に相当するといえる。
c 引用発明の「ディスプレー装置が最初に縦向きで配置され、その向きが横向きに変更され」と、本件補正発明の「予め設定されたイベントが発生すると、前記支持台に対して前記ディスプレイを垂直配向から水平配向への第1方向に回転させるように前記モータを制御するステップ」は、「ディスプレイを垂直配向から水平配向への第1方向に回転させる」点で共通する。
d(a) 前記(3)で示したとおり、本件補正発明の「前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に前記ディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転させて表示する」の「独立して」の意味が明確でないが、少なくとも、発明の詳細な説明に記載された複数の第1構成要素の回転とオブジェクトの関係を内包する意味であると解される。
そこで、本願明細書の【0050】(前記(1)ウ(ア)c参照)に記載の「ディスプレイ回転中でも複数のオブジェクトと別途に複数のオブジェクト内の構成要素を固定された方向にディスプレイしてよい」との記載を参酌すると、「複数のオブジェクトとは独立して」「表示する」の意味には、ディスプレイ回転中に、「複数のオブジェクト」はディスプレイと一緒に回転して表示するが、「複数の第1構成要素」は固定された方向に表示することを含むといえる。
(b) 上記(a)の解釈を踏まえると、引用発明の「複数のグラフィックスが配置されるパターンは変更されず、各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させ[る]」ことは、「複数のグラフィックス」は配置されるパターンは変更しないので、ディスプレイ装置の回転の向きと同じ向きに同じ角度で回転されるのに対して、「アイコン」はディスプレイ装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転されて、固定された方向に表示することは明らかであるから、本件補正発明の「前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、」「回転させて表示する」ことに相当する。
(c) そして、上記cで検討したディスプレイの回転方向についての対比を踏まえると、
引用発明の「グラフィックスの再配置では、複数のグラフィックスが配置されるパターンは変更されず、各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させ」と、
本件補正発明の「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に前記ディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転させて表示するステップとを含み」は、
「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に回転させて表示するステップとを含み」の点で共通する。
e 引用発明の「グラフィックスの配置から再配置への遷移」は、「各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させ[る]」ことを伴う。
そして、上記cで検討したディスプレイの回転方向についての対比を踏まえると、
引用発明の「グラフィックスの配置から再配置への遷移に、フェードイン及びフェードアウト、ディスプレー装置が回転させられたのと反対方向への回転のアニメーションなどのアニメーションを適用する」と、
本件補正発明の「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるステップ」は、
「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素をフェードアウトさせ、フェードインさせるステップ」の点で共通する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
a 一致点
「ディスプレイを含む、ディスプレイ装置のコンテンツ表示方法であって、
前記ディスプレイに複数のオブジェクト、該複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素及び前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第2構成要素を表示するステップと、
ディスプレイを垂直配向から水平配向への第1方向に回転させるステップと、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の第1構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に回転させて表示するステップとを含み、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素をフェードアウトさせ、フェードインさせるステップを含む
コンテンツ表示方法」である点。
b 相違点
(a) 相違点1
ディスプレイ装置について、
本件補正発明は「支持台及びモータを含む」とともに、ディスプレイを回転させる際に、「予め設定されたイベントが発生すると、前記支持台に対して前記ディスプレイを」「回転させるように前記モータを制御する」のに対して、
引用発明は、支持台及びモータを備えておらず、予め設定されたイベントの発生がディスプレー装置の回転の条件となっておらず、また、支持台に対してディスプレー装置を回転させるようにモータを制御するものではない点。
(b) 相違点2
複数の第1構成要素を回転させる際に、
本件補正発明は、「ディスプレイが回転する速度と同じ速度で」回転させるのに対して、
引用発明は、アイコンの回転する速度とディスプレー装置の回転する速度との関係は不明である点。
(c) 相違点3
複数の構成要素のフェードアウトとフェードインについて、
本件補正発明は、「前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるの」に対して、
引用発明は、どの構成要素をフェードアウト、フェードインするのか不明であり、フェードアウト及びフェードインと角度との関係が不明である点。
オ 判断
前記相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
引用文献1技術事項の「ステッピングモータ」は、本件補正発明の「モータ」に相当する。
また、引用文献1記載事項の「車載器」は車内に設置されており、本願補正発明の「支持台」に相当する構成を有していることは明らかである。
そして、引用文献1技術事項の「ディスプレイを回転させるようにユーザが操作部を操作する」ことは、本件補正発明の「予め設定されたイベントが発生する」ことに相当し、同様に、「ステッピングモータは、ディスプレイの軸部を中心に当該ディスプレイ全体を車載器に対して回転させることができ」、「制御部はステッピングモータにパルス信号を出力し」、「3フレーム毎のタイミングでディスプレイを回転させる」ことは、「前記支持台に対して前記ディスプレイを回転させるように前記モータを制御する」ことに相当する。
引用発明と引用文献1技術事項は、ディスプレイが回転する際にディスプレイの表示内容をディスプレイの回転とは逆向きに回転させる点で機能を共通する技術であるから、引用発明のユーザーインターフェースを表示する方法を、引用文献1技術事項のような支持台及びモータを備えた装置に適用し、ディスプレー装置を回転させる際に、引用文献1技術事項のように、予め設定されたイベントが発生すると、支持台に対してディスプレー装置を回転させるようにモータを制御することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2について
引用文献1技術事項における、「3フレーム毎のタイミングでディスプレイを回転させるとともに」、画像描画のための設定も「3フレーム毎に変更し、表示画像の回転角度とディスプレイの回転角度は、その絶対値が同一」であることは、本件補正発明の相違点4に係る発明特定事項と、ディスプレイの表示内容を「ディスプレイが回転する速度と同じ速度で」回転させる点で共通する。
そして、前記(ア)で検討したとおり、引用発明と引用文献1技術事項は、ディスプレイが回転する際にディスプレイの表示内容をディスプレイの回転とは逆向きに回転させる点で機能を共通する技術であり、引用発明のユーザーインターフェースを表示する方法を、引用文献1技術事項のような支持台及びモータを備えた装置に適用することは当業者が容易に想到し得たことであるところ、当該構成においてアイコンをディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させるに際し、ユーザがディスプレイ装置の回転期間中もその表示画像を快適に鑑賞することができるようにするために(前記ウ(ア)bの【0015】参照)、引用文献1技術事項を参酌して、アイコンをディスプレイ装置が回転する速度と同じ速度で回転させることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ) 相違点3について
まず、引用発明では、グラフィックスの再配置の遷移にフェードイン及びフェードアウトを適用するものであり、グラフィックスの再配置の遷移は、各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させることを伴うことは前記エ(ア)eに記載したとおりであるから、グラフィックスに描かれたテキスト説明、すなわち複数の第2の構成要素に対してもフェードイン及びフェードアウトを適用することに何ら困難性はない。
また、具体的にどのようにフェードイン及びフェードアウトを適用するかについて検討すると、前記イ(ア)hの図4を見れば、再配置の遷移前の状態(404)、遷移後の状態(406)の双方でテキスト説明を表示する必要があることが理解されるから、遷移前の状態からフェードアウトを行い、その後フェードインを行って遷移後の状態に遷移することはごく自然に把握できる事項であり、フェードアウトの終了とフェードインの開始とを予め設定された角度、例えばディスプレー装置の回転角度の半分の角度、に設定することも、当業者がごく自然に想起できる設計事項にすぎない。
(エ) 総合評価
前記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果は、引用発明と引用文献1技術事項から予測される程度のものにすぎず、予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書における請求人の主張
請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。
引用文献2及び1は、単独でも、組み合わせにおいても、複数の要素(例えば、第1要素及び第2要素)のうちの特定の要素(第2要素)がフェードアウトされた後で、フェードインされるアニメーション効果を施す構成、より具体的には、「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるステップ」という請求項1に係る発明の特徴的な構成を何ら開示も示唆もしていない。
よって、請求項1に係る発明は、引用文献2及び引用文献1に記載の発明の単なる組み合わせに基づいて当業者が容易に発明し得たものでない。
(イ) 請求人の主張についての当合議体の見解
a 前記オ(ウ)で検討したとおり、引用発明では、グラフィックスの再配置の遷移にフェードイン及びフェードアウトを適用するものであり、グラフィックスの再配置の遷移は、各グラフィックに描かれたアイコン及びテキスト説明を含むコンテンツを、ディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させることを伴うのであるから、グラフィックスに描かれたテキスト説明、すなわち複数の第2の構成要素に対してもフェードイン及びフェードアウトを適用することに何ら困難性はない。
また、前記オ(ウ)で検討したとおり、前記イ(ア)hの図4を見れば、再配置の遷移前の状態(404)、遷移後の状態(406)の双方でテキスト説明を表示する必要があることが理解されるから、遷移前の状態からフェードアウトを行い、その後フェードインを行って遷移後の状態に遷移することはごく自然に把握できる事項であり、フェードアウトの終了とフェードインの開始とを予め設定された角度、例えばディスプレイ装置の回転角度の半分の角度、に設定することも、当業者がごく自然に想起できる設計事項にすぎない。
b なお、請求人は、原審審査官が拒絶査定書において請求項2に対して指摘した、引用文献2におけるフェードイン及びフェードアウトについての[0077]の記載(前記イ(ア)i参照)について、審判請求書では何ら言及していない。
c よって、請求人の前記主張は採用できない。
キ 進歩性についての独立特許要件の判断のまとめ
よって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(5) 本件補正について当審の判断のまとめ
前記(1)に示したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159第1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
また、前記(3)及び(4)に示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由である理由4(特許法29条2項)の概要は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1-3,8-12
・引用文献
引用文献1.特開2006-259358号公報
引用文献2.米国特許出願公開第2016/0048305号明細書
3 引用文献に記載された発明等の認定
上記引用文献2には、前記第2の2(4)イ(ウ)に記載したとおりの引用発明が記載されており、上記引用文献1には、前記第2の2(4)ウ(イ)bに記載したとおりの引用文献1技術事項が記載されている。
4 対比
(1) 本件発明と本件補正発明の関係
本件発明は、本件補正発明から、以下のア~オの限定を省いたものである(前記第2の2(2)イ(ア)~(オ)参照。)。
ア ディスプレイ装置が、「支持台及びモータ」を含むこと。
イ 複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素を表示するステップが、「複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の第1構成要素及び前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する第2構成要素」を表示すること。
ウ ディスプレイを第1方向に回転させる際に、「予め設定された角度分」「回転させる」態様として、「支持台に対して、垂直配向から水平配向への第1方向に回転させるようにモータを制御する」こと。
エ 回転させて表示するステップで回転させる構成要素が、「第1構成要素」であること。
オ 表示するステップが、「前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数の第2構成要素を前記第2方向に回転させる間に、前記複数の第2構成要素を前記垂直配向から予め設定された角度までフェードアウトさせ、該予め設定された角度から前記水平配向までフェードインさせるステップを含む」こと。
(2) 一致点及び相違点の認定
前記(1)と、前記第2の2(4)エの本件補正発明と引用発明との対比を踏まえて本件発明と引用発明を対比すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
ア 一致点
「回転可能なディスプレイを含むディスプレイ装置のコンテンツ表示方法において、
前記ディスプレイに複数のオブジェクト及び該複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する複数の構成要素を表示するステップと、
前記ディスプレイを第1方向に回転させ、
前記ディスプレイが前記第1方向に回転することで、前記複数のオブジェクトのそれぞれの中に位置する前記複数の構成要素を、前記複数のオブジェクトとは独立して、前記第1方向と逆方向である第2方向に回転させて表示するステップとを含む、
コンテンツ表示方法」である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1
ディスプレイを第1方向に回転させる際に、本件発明は、「予め設定されたイベントが発生すると、予め設定された角度分」回転させるのに対して、引用発明は、予め設定されたイベントの発生がディスプレー装置の回転の条件となっておらず、予め設定された角度分回転させるものではない点。
(イ) 相違点2
複数の構成要素を回転させる際に、本件発明は、「ディスプレイが回転する速度と同じ速度で」回転させるのに対して、引用発明は、アイコンの回転する速度とディスプレー装置の回転する速度との関係は不明である点。
5 判断
前記相違点について検討する。
(1) 相違点1について
まず、前記第2の2(4)オ(ア)で検討したとおり、引用発明のユーザーインターフェースを表示する方法を、引用文献1技術事項のようなモータを備えた装置に適用し、ディスプレー装置を回転させる際に、引用文献1技術事項のように、予め設定されたイベントが発生するとディスプレー装置を第1方向に回転させるようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
さらに、相違点1に係る予め決められた角度分回転する点について検討する。
引用文献1技術事項の「ディスプレイは、水平位置と垂直位置の二値のみで停止」することは、本件発明の「予め設定された角度分」回転させることに相当する。
そして、引用発明も縦向きの配置が横向きに変更されるものであることを勘案すれば、引用発明を引用文献1技術事項のようなモータを備えた装置に適用するに際し、引用文献1技術事項と同様に、縦向きと横向きとの角度差に相当する予め設定された角度分回転させるようにすることは、ごく自然な設計事項にすぎない。
(2) 相違点2について
前記第2の2(4)オ(イ)で検討したとおり、引用発明において、アイコンをディスプレー装置の向きの変更に対応するようにディスプレー装置の回転の向きと逆向きに同じ角度で回転させるに際し、ユーザがディスプレー装置の回転期間中もその表示画像を快適に鑑賞することができるようにするために、引用文献1技術事項を参酌して、アイコンをディスプレイが回転する速度と同じ速度で回転させることは、当業者が容易になし得たことである。
(3) 総合評価
そして、上記相違点1及び2を総合的に判断しても、本件発明は引用発明及び引用文献1記載事項から当業者が容易になし得たものであり、また、本件発明の奏する効果は、引用発明と引用文献1技術事項から予測される程度のものである。
6 本件発明についてのまとめ
よって、本件発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明は、原査定の理由のとおり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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