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特許拒絶査定不服審判

2023-016162

ヘッドアップディスプレイ及びその制御方法

審判番号
2023-016162
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-133896
請求日
2023年09月25日
審決日
2024年11月27日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ネイバー コーポレーション
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 濱本 禎広
  • 審判官 素川 慎司
  • 審判官 小島 寛史
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .571-Z (G09G) / P18 .572-Z (G09G) / P18 .573-Z (G09G) / P18 .574-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-133896「ヘッドアップディスプレイ及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月10日出願公開、特開2022- 40021〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年8月19日(パリ条約による優先権主張2020年8月27日、韓国)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。以後、2020年(令和2年)8月27日を優先日という。 令和4年 7月 8日付け:拒絶理由通知書 同年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出 同月25日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和5年 1月 5日 :意見書、手続補正書の提出 同年 2月 9日付け:拒絶理由通知書 同年 5月17日 :意見書、手続補正書の提出 同月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月30日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月25日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年9月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年9月25日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和5年9月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項9の記載が、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項9の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項9 「【請求項9】 ヘッドアップディスプレイにおいて、 画像を出力するディスプレイ素子と、 前記画像を光透過性領域を通して結像し、前記画像の虚像が車両の前方地面に位置するように光の経路を制御する結像光学系と、 前記画像が形成されるように前記ディスプレイ素子を制御する制御部とを含み、 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト、及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成し、 前記2次元グラフィックオブジェクト及び前記3次元グラフィックオブジェクトは、アイボックスを基準に異なる視点処理により生成され、 前記2次元グラフィックオブジェクトは、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であり、前記3次元グラフィックオブジェクトは、関心地点の地面上に立てられた前記関心地点の記号イメージである、ヘッドアップディスプレイ。」 (2) 本件補正後の請求項9 「【請求項9】 ヘッドアップディスプレイにおいて、 画像を出力するディスプレイ素子と、 前記画像を光透過性領域を通して結像し、前記画像の虚像が車両の前方地面に位置するように光の経路を制御する結像光学系と、 前記画像が形成されるように前記ディスプレイ素子を制御する制御部とを含み、 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト、及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成し、 前記2次元グラフィックオブジェクト及び前記3次元グラフィックオブジェクトは、アイボックスを基準に異なる視点処理により生成され、 前記2次元グラフィックオブジェクトは、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であり、前記3次元グラフィックオブジェクトは、関心地点の手前の前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた前記関心地点の絵柄記号イメージである、ヘッドアップディスプレイ。」 (3) 請求項9についての補正内容 本件補正のうち請求項9についてする補正は、次のア及びイに示す補正事項1及び2からなる。 ア 補正事項1 「3次元グラフィックオブジェクト」の形状を、「関心地点の記号イメージ」から「関心地点の絵柄記号イメージ」に限定する補正。 イ 補正事項2 「3次元グラフィックオブジェクト」に関する、本件補正前の「関心地点の地面上に立てられた」という記載を、「関心地点の手前の前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた」という記載に変更する補正。 2 本件補正の適否 (1) 特許請求の範囲の減縮に該当しないことについて ア 前記1(3)イに示した補正事項2によれば、「3次元グラフィックオブジェクト」は、本件補正前の請求項9においては、「関心地点の地面上に立てられ[る]」のに対して、本件補正後の請求項9においては、「関心地点の手前の前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられ[る]」ことになる。 イ ここで、「関心地点」と「関心地点の手前」は、異なる位置を示しており、これらが上位下位の関係にないことも明らかであるから、本件補正による請求項9についての補正が、特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの)を目的とするものに該当しないことは明らかである。 (2) その他の補正の目的要件にも該当しないことについて また、本件補正による請求項9についての補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。 (3) 目的外補正の違法性についてのまとめ 以上検討のとおりであるから、本件補正による請求項9についての補正は、特許法17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件の判断 前記2で説示したとおり、本件補正は目的外補正であることを理由として却下すべきものであるが、仮に本件補正が特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項9に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否かについて、以下念のため検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、本件補正発明の構成を便宜上次のように構成Xと構成Aから構成Gまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図2b】及び【図2c】を掲載する。 <本件補正発明の分説> (構成X) ヘッドアップディスプレイにおいて、 (構成A) 画像を出力するディスプレイ素子と、 (構成B) 前記画像を光透過性領域を通して結像し、前記画像の虚像が車両の前方地面に位置するように光の経路を制御する結像光学系と、 (構成C) 前記画像が形成されるように前記ディスプレイ素子を制御する制御部とを含み、 (構成D) 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト、及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成し、 (構成E) 前記2次元グラフィックオブジェクト及び前記3次元グラフィックオブジェクトは、アイボックスを基準に異なる視点処理により生成され、 (構成F) 前記2次元グラフィックオブジェクトは、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であり、 (構成G) 前記3次元グラフィックオブジェクトは、関心地点の手前の前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた前記関心地点の絵柄記号イメージである、 (構成X) ヘッドアップディスプレイ。 <参考図> 【図1】 [図:0001421928000001.jpg] 【図2b】 [図:0001421928000002.jpg] 【図2c】 [図:0001421928000003.jpg] イ 課題・作用効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、本件補正発明の技術上の意義の概略を理解するために、発明が解決しようとする課題及び作用効果に関連する記載等を抜粋すると、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、画像を地面に位置させて運転者の視点で拡張現実を実現する拡張現実ヘッドアップディスプレイにおいて立体感を有するグラフィックオブジェクトを実現する方法を提供するものである。」 「【発明の効果】 【0021】 本発明によるヘッドアップディスプレイ及びその制御方法は、画像の位置を地面に対応させる形態の表示方法において、地面上に立てられた形態の画像を実現することができる。よって、拡張現実の事実的な情報を地面上で立体感を有するグラフィックオブジェクトで提供することができる。 【0022】 また、本発明によれば、地面上に立体感を有するグラフィックオブジェクトを実現するので、可読性が向上し、より直観的な形態で情報を伝達できるヘッドアップディスプレイを実現することができる。」 「【0119】 以上説明したように、本発明によるヘッドアップディスプレイ及びその制御方法は、画像の位置を地面に対応させる形態の表示方法において、地面上に立てられた形態の画像を実現することができる。よって、拡張現実の事実的な情報を地面上で立体感を有するグラフィックオブジェクトで提供することができる。また、地面上に立体感を有するグラフィックオブジェクトを実現するので、可読性が向上し、より直観的な形態で情報を伝達できるヘッドアップディスプレイを実現することができる。さらに、本発明によれば、運転者視点とカメラ視点とを一致させる方法を用いてより簡単なデータ処理だけでも地面を基準に2次元グラフィックオブジェクトと3次元グラフィックオブジェクトとを組み合わせた画像を実現することができる。また、これにより、単一のディスプレイで異なる形態の画像出力を実現することができる。」 (2) 引用発明及び周知技術の認定 ア 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用された、本願の優先日前に発行された特開2018-159882号公報には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 a 段落【0001】~【0005】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、フロントガラスやコンバイナなどの投射部材に表示光を出射することで虚像を表示するHUD(ヘッドアップディスプレイ)装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のHUD装置においては、虚像として表示コンテンツは路面に沿って水平に延びる表示面に表示される。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記特許文献1に記載の構成においては、表示面が路面に沿って延びるため、視認者に違和感を与えることなく、表示コンテンツを路面に沿って表示させることができる。しかし、この構成では、視認者に違和感を与えることなく、表示コンテンツを路面と異なる方向、例えば、路面に垂直をなす方向に沿って表示させることは困難であった。 【0005】 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、視認者に違和感を与えることなく、表示面と異なる方向に沿うように虚像を視認させることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。」 b 段落【0010】~【0025】、【図1】~【図2】 「【0010】 図1に示すように、HUD装置100は、車両1のダッシュボード5に内蔵される。HUD装置100は、表示光Lを生成し、生成した表示光Lをフロントガラス3に向けて出射する。この表示光Lは、フロントガラス3で反射して、車両1の運転者等である視認者2に到達する。これにより、視認者2は、フロントガラス3の前方に位置する虚像Vを視認可能となる。この虚像Vは、視認者2から見て路面8に沿うような水平方向に延びる仮想的な表示面Aに表示される。」 「【図1】 [図:0001421928000004.jpg] 」 「【0011】 また、車両1の室内には、車両1の前方を撮像する前方撮像用カメラ31と、視認者2を撮像する車内撮像用カメラ32とが設置されている。 【0012】 (HUD装置1の構成) 図2に示すように、HUD装置100は、制御部110と、表示部120と、平面鏡131と、凹面鏡132と、筐体140と、透光部141と、を備える。」 「【図2】 [図:0001421928000005.jpg] 」 「【0013】 筐体140は、例えば、遮光性の材質により箱状に形成されている。筐体140内には、HUD装置100の各構成が収納される。筐体140には、表示光Lが通過する開口部140aが形成されている。なお、制御部110は、筐体140内に収容されていてもよいし、筐体140外に設けられていてもよい。 【0014】 透光部141は、アクリル等の透光性樹脂からなり、筐体140の開口部140aを塞ぐように設けられている。透光部141は、到達した外光が視認者2に向かって反射することを抑制するため、例えば湾曲形状に形成されている。 【0015】 制御部110は、マイクロコンピュータなどから構成され、例えば、車両1に搭載されるECU(Electronic Control Unit)と通信可能に構成される。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、メモリ112及びインターフェース113を備える。 【0016】 インターフェース113は、前方撮像用カメラ31及び車内撮像用カメラ32が撮影した画像データ及びECUからの情報をCPU111で取得可能な信号に変換する。 【0017】 メモリ112には、後述するフローチャートを実行するための動作プログラムと、表示部120に表示する画像を生成するために利用される元画像データと、が記憶されている。CPU111は、メモリ112に記憶される動作プログラムを実行することで後述するフローチャートに沿った表示処理を行う。 【0018】 CPU111は、重畳対象検出部111aと、視点検出部111bと、画像生成部111cと、を備える。 【0019】 重畳対象検出部111aは、インターフェース113を経た前方撮像用カメラ31により撮像された画像データを解析することで前方車両等の重畳対象物の有無を検出する。 【0020】 視点検出部111bは、インターフェース113を経た車内撮像用カメラ32により撮像された画像データを解析することで視認者2の視点Epを視点情報として検出する。インターフェース113のうち車内撮像用カメラ32からの画像データを受ける部分が視点情報取得部に相当する。 【0021】 画像生成部111cは、ECUからの情報、重畳対象検出部111a及び視点検出部111bの検出結果に基づき、メモリ112に記憶される元画像データを利用して図9(b)等に示す仮想的な画面123’に表示コンテンツG3を表示させた画像データを生成する。 【0022】 図2に示すように、表示部120は、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる光源121と、この光源121からの光に基づき表示光Lを生成する表示素子122と、を備える。表示部120は、生成した画像を表す表示光Lを平面鏡131に向けて出射する。 【0023】 表示素子122は、DMD(Digital Micro Mirror Device)等の反射型表示素子又はTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルなどの透過型表示素子である。表示素子122は、表示コンテンツG3を表示可能な画面123を備える。 【0024】 平面鏡131は、合成樹脂やガラス材料などからなる基材と、基材の表面に蒸着などにより形成された反射膜とから構成される。平面鏡131は、表示部120を発した表示光Lを凹面鏡132に向けて反射する。 【0025】 凹面鏡132は、曲面凹状に形成され、例えば合成樹脂材料からなる基材と、基材の表面に蒸着などにより形成された反射膜とから構成される。凹面鏡132は、その表示光Lをフロントガラス3に向けて反射する。凹面鏡132で反射された表示光Lは、筐体140の透光部141を透過して、フロントガラス3に到達する。フロントガラス3に到達した表示光Lは、視認者2に向けて反射され、視認者2に到達する。これにより、視認者2は虚像Vを視認する。」 c 段落【0026】~【0044】、【図3】、【図5】~【図6】、【図8】~【図9】、【図11】 「【0026】 次に、図3のフローチャートを参照しつつ、制御部110(CPU111)により実行される虚像Vを表示するための表示処理について説明する。このフローチャートは、HUD装置100の電源がオンされている期間において繰り返し実行される。」 「【図3】 [図:0001421928000006.jpg] 」 「【0027】 まず、制御部110は、前方撮像用カメラ31を通じて車外の前方を撮影する(ステップS101)。そして、制御部110は、重畳対象検出部111aを介して、前方撮像用カメラ31により撮像された画像データを解析することで前方車両、車線等の重畳対象物があるか否かを判別する(ステップS102)。 【0028】 制御部110は、重畳対象検出部111aを介して重畳対象物がない旨判別すると(ステップS102:NO)、画像生成部111cを介して表示素子122に画像を表示せずに(ステップS103)、当該フローチャートに係る処理を終了する。 【0029】 制御部110は、重畳対象検出部111aを介して重畳対象物がある旨判別すると(ステップS102:YES)、視点検出部111bを介して視点情報を取得する(ステップS104)。制御部110は、画像生成部111cを介して、メモリ112に記憶される元画像データを読み込み(ステップS105)、図5(b)に示すように、元画像データに含まれる元表示コンテンツGを画面123’内における重畳対象物に対応する位置に設定する(ステップS106)。例えば、元表示コンテンツGは二等辺三角形からなる警告アイコンであり、図5(a)に示すように、重畳対象物は前方車両9である。 なお、このステップS106の処理は、画像生成部111cによる画像データ生成のための処理であるため、実際に元表示コンテンツG及び虚像Vは表示されない。」 「【図5】 [図:0001421928000007.jpg] 」 「【0030】 制御部110は、重畳対象検出部111aにより検出された重畳対象物の種類に基づき、縦面表示を行うか否かを判別する(ステップS107)。この縦面表示とは、あたかも虚像Vが路面8に垂直をなすように見せる表示をいう。制御部110は、例えば、重畳対象物が前方車両9の場合には縦面表示を行う旨判別し(ステップS107:YES)、画像生成部111cを介して元表示コンテンツGを補正することで縦面表示用の画像データを生成する(ステップS108)。 【0031】 このステップS108に係る補正処理について図4のサブフローチャートに沿って説明する。簡単に説明すると、制御部110は、画像生成部111cを介して、視点Epに応じて虚像Vの傾斜角度を補正する虚像傾斜角度補正、虚像Vの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する表示位置補正、虚像Vの表示位置に対する視点Epの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する視点ずれ補正を順番に行う。 【0032】 詳しくは、まず、画像生成部111cは、図6(b)に示すように、視点情報に含まれる視点Epに基づき倍率Dを算出し、その倍率Dにて元表示コンテンツGを視認者2の視線方向に対応するY方向に引き延ばす虚像傾斜角度補正を行う(ステップS201)。この虚像傾斜角度補正により、表示コンテンツG1が生成される。虚像傾斜補正後の表示コンテンツG1の高さH2は、元表示コンテンツGの高さH1が倍率D(=H2/H1)だけ引き延ばされた長さとなる。表示コンテンツG1は、元表示コンテンツGと底辺が一致する。また、表示コンテンツG1の頂点は、元表示コンテンツGの頂点よりもY方向における上方に位置する。さらに、表示コンテンツG1の頂角はY方向に引き延ばされるのに伴い小さくなる。また、図7に示すように、画像生成部111cは、視点Epが車両1の高さ方向Hにおいて低いほど、虚像Vが高さ方向に圧縮されて見えるため、倍率Dを大きく設定する。これにより、視認者2の視点Epの高さに関わらず、図6(a)に示すように、一定の形状の虚像Vを縦面表示することができる。 【0033】 仮に虚像傾斜角度補正を行わない場合には、図5(a)の破線で示すように、虚像V’が路面8に沿うように見える。このため、縦面表示を行うことができない。」 「【図6】 [図:0001421928000008.jpg] 」 「【0034】 次に、画像生成部111cは、図8(b)に示すように、画面123’内の中心線Cから表示コンテンツG1までの距離W1を算出し、算出した距離W1に基づきずれ量W2を算出する。そして、画像生成部111cは、算出したずれ量W2だけ表示コンテンツG1の上部(例えば、頂点P1)を下部に対してX方向における中心線Cから離れる方向にずらす表示位置補正を行う(ステップS202)。この表示位置補正により、表示コンテンツG2が生成される。この中心線Cは、Y方向に沿って延び、画面123’をX方向に2等分するように仮想的に位置する。距離W1は、本例では、中心線Cから表示コンテンツG1の頂点P1までの距離である。表示コンテンツG1が中心線Cよりも右方向に位置している場合には、表示位置補正により表示コンテンツG1の上部は右方向にずらされる。一方、表示コンテンツG1が中心線Cよりも左方向に位置している場合には、表示位置補正により表示コンテンツG1の上部は左方向にずらされる。 【0035】 表示位置補正後の表示コンテンツG2は、表示位置補正前の表示コンテンツG1と底辺が一致する。また、表示コンテンツG2の頂点は、表示コンテンツG1の頂点P1よりもX方向に離れて位置する。また、表示コンテンツG2の頂角は表示コンテンツG1の頂角と同一角度であり、表示コンテンツG2の一方の底角は表示コンテンツG1よりも大きく、表示コンテンツG2の他方の底角は表示コンテンツG1よりも小さい。 なお、画面123’におけるX方向は表示面Aにおける視認者2から見て左右方向に対応し、画面123’におけるY方向は表示面Aにおける視認者2から離れる方向に対応する。 【0036】 仮に表示位置補正を行わない場合には、図8(a)の破線で示すように、虚像V’が表示面Aの中央からずれて位置する場合には虚像V’が歪んだように見える。この虚像V’の歪みは、視認者2からの距離が異なるように表示面Aが設けられるため、遠近法(パース)により生じるものである。この表示位置補正が行われることで、虚像Vの表示位置に関わらず、図8(a)の実線で示すように、元表示コンテンツGと同一形状の虚像Vを視認者2に視認させることができる。」 「【図8】 [図:0001421928000009.jpg] 」 「【0037】 次に、画像生成部111cは、図9(b)に示すように、視認者2の視点Epに対応する画面123’内の対応位置E1と表示コンテンツG2との間のX方向に延びる距離W3を算出し、算出した距離W3に基づきずれ量W4を算出する。そして、画像生成部111cは、算出したずれ量W4だけ表示コンテンツG2の上部(例えば、頂点P2)を下部に対してX方向における対応位置E1から離れる方向にずらす視点ずれ補正を行う(ステップS203)。この視点ずれ補正により、表示コンテンツG3が生成される。距離W3は、本例では、対応位置E1から表示コンテンツG2の頂点P2までの距離である。表示コンテンツG2が対応位置E1よりも右方向に位置している場合には、視点ずれ補正により表示コンテンツG2の上部は右方向にずらされる。一方、表示コンテンツG2が対応位置E1よりも左方向に位置している場合には、視点ずれ補正により表示コンテンツG2の上部は左方向にずらされる。 【0038】 視点ずれ補正後の表示コンテンツG3は、視点ずれ補正前の表示コンテンツG2と底辺が一致する。また、表示コンテンツG3の頂点は、表示コンテンツG2の頂点P2よりもX方向に離れて位置する。また、表示コンテンツG3の頂角は表示コンテンツG2の頂角と同一角度であり、表示コンテンツG3の一方の底角は表示コンテンツG2よりも大きく、表示コンテンツG3の他方の底角は表示コンテンツG2よりも小さい。 【0039】 仮に視点ずれ補正を行わない場合には、図9(a)の破線で示すように、虚像V’が視点Epから左右方向にずれて位置する状況、言い換えると、虚像V’が視認者2の正面に位置していない状況では虚像V’が歪んだように見える。この虚像V’の歪みは、虚像V’を斜め方向から見た場合に生じるものである。この視点ずれ補正が行われることで、図9(a)の実線で示すように、虚像Vの表示位置に関わらず、元表示コンテンツGと同一形状の虚像Vを視認者2に視認させることができる。」 「【図9】 [図:0001421928000010.jpg] 」 「【0040】 以上で、制御部110は、画像生成部111cを介した図4のサブフローチャートに係る補正処理を終了し、図3のステップS109の処理に移行する。なお、図4のサブフローチャートにおいて、ステップS201~S203の順番は適宜変更可能であり、ステップS201~S203が同時に行われてもよい。また、この補正処理は、画像生成部111cによる画像データ生成のための内部処理であるため、実際に表示コンテンツG1~G3及び虚像Vは表示されない。 【0041】 図3に示すように、制御部110は、画像生成部111cを介して補正後の表示コンテンツG3が画面123’内に収まっているか否かを判別する(ステップS109)。 【0042】 制御部110は、図10に示すように、画像生成部111cを介して補正後の表示コンテンツG3が画面123’内に収まっていない旨判別したとき(ステップS109:NO)、表示コンテンツG3を表示せずに(ステップS103)、当該フローチャートに係る処理を終了する。この際、制御部110は、スピーカー又は車載計器を通じて音声又は表示による警告を行ってもよい。 【0043】 制御部110は、図9(b)に示すように、画像生成部111cを介して補正後の表示コンテンツG3が画面123’内に収まっている旨判別すると(ステップS109:YES)、表示コンテンツG3を含む画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に表示コンテンツG3を表示させる(ステップS110)。これにより、図9(a)に示すように、元表示コンテンツGと同一形状の虚像Vを表示させることができる。 【0044】 一方、制御部110は、例えば、重畳対象物が例えば路面8である場合には縦面表示を行わない旨判別する(ステップS107:NO)。この場合、制御部110は、例えば、図11(b)に示すように、矢印形状をなす元表示コンテンツGを補正することなく、元表示コンテンツGを含む水平面表示用の画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に元表示コンテンツGを表示させる(ステップS110)。これにより、図11(a)に示すように、路面8に沿う矢印形状をなす虚像Vが表示面Aに表示される。 以上で、図3のフローチャートに係る表示処理が終了となる。」 「【図11】 [図:0001421928000011.jpg] 」 (イ) 引用文献1の記載から認定した事項 引用文献1の【図9】(a)から、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献1技術事項」という。) [引用文献1技術事項] 「表示コンテンツG3は、路面8から突出するように配置されるオブジェクトであること。」 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「HUD装置100であって、(【0010】) 制御部110と、表示部120と、平面鏡131と、凹面鏡132と、筐体140と、透光部141と、を備え、(【0012】) 表示部120は、生成した画像を表す表示光Lを平面鏡131に向けて出射し、(【0022】) 平面鏡131は、表示光Lを凹面鏡132に向けて反射し、(【0024】) 凹面鏡132は、その表示光Lをフロントガラス3に向けて反射し、(【0025】) フロントガラス3に到達した表示光Lは、車両1の運転者等である視認者2に向けて反射され、視認者2に到達し、(【0010】、【0025】) これにより、視認者2は、フロントガラス3の前方に位置する虚像Vを視認可能となり、(【0010】) この虚像Vは、視認者2から見て路面8に沿うような水平方向に延びる仮想的な表示面Aに表示され、(【0010】) 制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、メモリ112及びインターフェース113を備え、(【0015】) CPU111は、重畳対象検出部111aと、視点検出部111bと、画像生成部111cと、を備え、(【0018】) 視点検出部111bは、視認者2の視点Epを視点情報として検出し、(【0020】) 画像生成部111cは、ECUからの情報、重畳対象検出部111a及び視点検出部111bの検出結果に基づき、メモリ112に記憶される元画像データを利用して仮想的な画面123’に表示コンテンツG3を表示させた画像データを生成し、(【0021】) 制御部110(CPU111)により実行される虚像Vを表示するための表示処理は、(【0026】) まず、前方撮像用カメラ31を通じて車外の前方を撮影し、(【0027】) 撮像された画像データを解析することで前方車両、車線等の重畳対象物があるか否かを判別し、(【0027】) 重畳対象物がある旨判別すると、元表示コンテンツGを画面123’内における重畳対象物に対応する位置に設定し、(【0029】) 重畳対象物の種類に基づき、縦面表示を行うか否かを判別し、(【0030】) 縦面表示とは、あたかも虚像Vが路面8に垂直をなすように見せる表示であって、(【0030】) 重畳対象物が例えば前方車両9の場合には縦面表示を行う旨判別し、元表示コンテンツGを補正することで縦面表示用の画像データを生成し、(【0030】) 例えば、元表示コンテンツGは二等辺三角形からなる警告アイコンであって、(【0029】) 補正処理は、画像生成部111cを介して、視点Epに応じて虚像Vの傾斜角度を補正する虚像傾斜角度補正、虚像Vの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する表示位置補正、虚像Vの表示位置に対する視点Epの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する視点ずれ補正を順番に行い、(【0031】) 制御部110は、補正後の表示コンテンツG3を含む画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に補正後の表示コンテンツG3を表示させ、(【0043】) 表示コンテンツG3は、路面8から突出するように配置されるオブジェクトであり、(引用文献1技術事項) 重畳対象物が例えば路面8である場合には縦面表示を行わない旨判別し、この場合、制御部110は、例えば、矢印形状をなす元表示コンテンツGを補正することなく、元表示コンテンツGを含む水平面表示用の画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に元表示コンテンツGを表示させ、路面8に沿う矢印形状をなす虚像Vを表示面Aに表示させる、(【0044】) HUD装置100。(【0010】)」 イ 周知技術の認定 (ア) 周知技術1の認定 a 引用文献6に記載された事項 当審において引用文献6として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2009-20089号公報には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したもので、以下同様である。 「【0059】 表示部111は、例えば、液晶ディスプレイ、ウィンドシールドディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどの表示デバイスである。なお、ウィンドシールドディスプレイ、ヘッドアップディスプレイとする場合は、上記の如く、実写画像を当該ディスプレイの画面に表示しなくても良い。実風景がウィンドシールド越しに視認できるためである。」 「【0058】 表示制御部110は、実写画像に案内オブジェクトと看板オブジェクト制御部109の制御によって得られる看板オブジェクトとを表示部111の画面に重畳表示させる機能を有している(実写モード時)。」 「【0050】 案内オブジェクト生成配置部107は、後述する道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部106によって探索された最適経路に該当する道路に沿った形状の案内オブジェクトを生成し、生成した案内オブジェクトを図示しない地図座標系(ローカル座標系)に配置する機能を有している。…(中略)… 実写画像上に重畳表示された際には、後述する投影処理によって、遠近感をもって表示することができる。例えば、現在位置から案内点までの距離が小さくなるにつれて案内オブジェクトは次第に大きく表示される。 【0051】 看板オブジェクト生成配置部108は、道路標識など、案内寄与情報の看板を模した看板オブジェクトを生成し、生成した看板オブジェクトを図示しない地図座標系(ローカル座標系)に配置する機能を有している。…(中略)… 【0053】 また、看板オブジェクトは、地図データベース103の(E)交差点名称データに記憶された文字列から生成するのではなく、(F)POI情報に記憶された看板を含む、アイコン画像(静止画だけではなく、動画やポリゴンを含む)であっても良い。また、看板オブジェクトを画面上に同時に複数表示するために、複数の看板オブジェクトを生成してもよい。この場合、複数の看板オブジェクトは、例えば、(F)POI情報に記憶された緯度・経度を基に移動体の進路上または進路に沿って配置する。」 「【0067】 次に、案内オブジェクト生成配置部107は、三次元地図空間において、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部106によって探索された案内経路に該当する道路に沿った形状の案内オブジェクトを生成し、生成した案内オブジェクトを道路上に配置する(ステップS607)。 【0068】 図9は、案内オブジェクト生成配置部107によって配置される案内オブジェクトを説明する図である。なお、案内オブジェクトの形状は、図9に示した折れ線図形に限らず、先端に三角形を描いた矢印図形を用いても構わない。 …(中略)… 【0075】 図12に示すように、移動体の現在位置が交差点から遠い地点(例えば、交差点手前200m)では、看板オブジェクトが案内点において路面に垂直に立った状態で表示される。このとき、看板オブジェクトは、その表示内容を遠くからでも容易に視認できる程度の大きさに表示される。」 「【図12】 [図:0001421928000012.jpg] 」 「【0104】 さらに、第3実施形態では、案内点の情報を示す看板オブジェクトに限らず、地図データベース103の(F)POI情報に記憶された施設情報、スポット情報、交通標識などのデジタルコンテンツにも適応することができる。また、車両後方を撮像した実写画像を用いれば、看板オブジェクトの正面方向が移動体の方向を向くので、車両が通り過ぎた後でも、見過ごしたPOI情報を画面上で確認することが可能となる。」 「【図17】 [図:0001421928000013.jpg] 」 b 引用文献7に記載された事項 当審において引用文献7として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2019-12236号公報には、次の記載がある。 「【0015】 (実施形態) (1)概要 本実施形態の表示システム10は、図1に示すように、例えば、移動体としての自動車100に用いられるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)である。」 「【0018】 本実施形態の表示システム10では、対象空間400に形成される虚像300は、少なくとも第1虚像301と第2虚像302との2種類の虚像を含んでいる。ここでいう「第1虚像」は、第1仮想面501上に形成される虚像300(301)である。「第1仮想面」は、表示システム10の光軸500に対する傾斜角度αが所定値γよりも小さい(α<γ)仮想面である。また、ここでいう「第2虚像」は、第2仮想面502上に形成される虚像300(302)である。「第2仮想面」は、表示システム10の光軸500に対する傾斜角度βが所定値γよりも大きい(β>γ)仮想面である。ここでいう「光軸」は、後述する投影光学系4(図3参照)の光学系の光軸であって、対象空間400の中心を通り虚像300の光路に沿った軸を意味する。所定値γは一例として45度であって、傾斜角度βは一例として90度である。」 「【0021】 図2は、ユーザ200の視野を示す概念図である。すなわち、本実施形態の表示システム10によれば、図2に示すように、路面600に沿って奥行きをもって視認される第1虚像301と、ユーザ200から一定距離の路面600上に直立して視認される第2虚像302及び第3虚像303とを表示可能である。したがって、ユーザ200においては、第1虚像301については路面600に略平行な平面上にあるように見え、第2虚像302及び第3虚像303については路面600に対して略垂直な平面上にあるように見える。第1虚像301は、一例として、ナビゲーション情報として自動車100の進行方向を示す情報であり、路面600上に右折又は左折を示す矢印を提示すること等が可能である。第2虚像302は、一例として、前方車両又は歩行者までの距離を示す情報であり、前方車両上に前方車両までの距離(車間距離)を提示すること等が可能である。第3虚像303は、一例として、現在時刻、車速情報、及び車両コンディション情報であり、例えば文字、数字、及び記号、又は燃料計等のメータにてこれらの情報を提示すること等が可能である。」 「【図2】 [図:0001421928000014.jpg] 」 「【0061】 表示制御部52は、運転支援情報を基に、第1仮想面501に第1虚像301として直進矢印310(図5A、図5B参照)を表示(投影)すると決定する。 【0062】 第1仮想面501に直進矢印310が投影されると、上述したように、ユーザ200は、路面600に沿って奥行きをもつ直進矢印310(第1虚像301)を視認することができる(図5B参照)。」 「【図5】 [図:0001421928000015.jpg] 」 c 引用文献8に記載された事項 当審において引用文献8として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2018-173315号公報には、次の記載がある。 「【0011】 …(中略)…ナビゲーション装置1は、CAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対して設置されたフロントカメラ19、及びヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUDという)21が接続されている。」 「【0032】 S11を実行した後、CPU51は、S12へと以降する。S12においてCPU51は、交差点の手前側に手前側支柱71を表示する。従って、本実施形態のCPU51は、車両24と案内を行う交差点(案内分岐点)との間の距離(走行予定距離)が所定の閾値以下となる場合(図3のS2:YES)に、手前側支柱71を表示する。 【0033】 図6は、手前側支柱71を表示した状態を示している。図6に示す例では、例えば、進行方向の前方にあるT字路の交差点81を右折する案内を実施している状態を示している。手前側支柱71は、交差点81を右折した後(交差点81を退出した後)の車両24を進行させる進行路82の手前側に表示されている。本実施形態の手前側支柱71は、例えば、上下方向に長い四角柱をなしている。なお、本願の手前側案内画像及び奥側案内画像の形状、大きさなどは特に限定されない。例えば、手前側案内画像は、図6に示す手前側支柱71のように四角柱に限らず、円柱でもよく、円や他の記号などでもよい。」 「【図6】 [図:0001421928000016.jpg] 」 「【0048】 CPU51は、図4のS13の奥側支柱表示判定処理を実行した後、S14へと移行する。S14においてCPU51は、S13の奥側支柱表示判定処理において奥側支柱72を表示する設定を実行したか否かを判定する。CPU51は、図5のS23を実行し奥側支柱72を表示する設定をしていた場合(S14:YES)、手前側支柱71及び奥側支柱72を表示し、且つ手前側支柱71と奥側支柱72の間を通るように経路案内の矢印を実景重畳する(S15)。図7に示すように、CPU51は、HUD21を制御して、手前側支柱71と奥側支柱72との間、即ち、進行路82を通るように矢印73を実景重畳させる(S15)。 【0049】 図7に示すように、矢印73は、車両24の前方から走行路85に沿って交差点81まで延設され、延設された先端部を右側(案内方向)へ曲げて表示されている。矢印73の先端は、交差点81を退出した後に案内される進行路82に沿って延設されている。CPU51は、手前側支柱71と奥側支柱72との前後関係を明確にするため、矢印73の折れ曲がった先端を、手前側支柱71の奥で、且つ奥側支柱72の手前となるように表示する。従って、矢印73は、案内経路である進行路82の位置に合わせて、その進行路82の手前側に表示される手前側支柱71と、奥側に表示される奥側支柱72との位置関係を合わせた表示となっている。なお、CPU51は、手前側支柱71、奥側支柱72と同様に、例えば、進行路82の手前に配置されるガードレール83の裏側となるように、矢印73の表示を変更してもよい。より具体的には、CPU51は、手前側にある物体(ガードレール83や道路標識など)と重なる矢印73の一部を、表示しない設定にすることで、手前側の物体の奥を通っているように矢印73を表示してもよい。これにより、乗員26に対して、矢印73(進行路82など)の位置をより明確に把握させることができる。なお、CPU51は、手前側支柱71と他の物体との前後関係を、例えば、フロントカメラ19の撮像画像を処理することで検出してもよい。 【0050】 一方、図5のS26を実行し奥側支柱72を表示しない設定をしていた場合(図4のS14:NO)、CPU51は、S16へと移行する。S16においてCPU51は、手前側支柱71を表示し、手前側支柱71の裏側を通るように経路案内の矢印73を実景重畳する。図6に示すように、CPU51は、HUD21を制御して、手前側支柱71の裏側を通り、進行路82に沿って矢印73を実景重畳させる。」 「【図7】 [図:0001421928000017.jpg] 」 d 周知技術1の認定 前記a~cに示した引用文献6~8の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) [周知技術1] 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、道路に沿ったオブジェクトと道路に対して垂直に存在するオブジェクトを同時に表示することで視認者に各種情報を同時に提供すること。 (イ) 周知技術2の認定 a 引用文献9に記載された事項 当審において引用文献9として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2019-119316号公報には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、自動車に備えられたヘッドアップディスプレイを用いて施設の位置を提示する技術に関するものである。」 「【0016】 また、以上の車載システムにおいて、前記施設図形を、台座に立てたポールで、施設の種別を表すマークを正立した状態で支持したようすを表す図形とし、前記施設指示図形を、前記ユーザから見て、前記施設図形の台座を表す部分から前記施設に向かって延びる図形としてもよい。」 「【0025】 …(中略)… また、施設図形の表示位置と表示サイズは、次のように設定する。 まず、本実施形態では、図4a1に示すように、施設図形400として、スタント看板の台座を模した台座図形401と、スタント看板の台座から立てられたポールを模したポール図形402と、スタント看板のポールで支持された看板部分を模したマーク404とよりなる図形を用いる。また、施設図形400には、施設方向指示図形410を付加する。 【0026】 ただし、後述のように、施設方向指示図形410の形状は可変である。 また、図4a2、a3に示すように、マーク404としては、施設図形400が表す施設の種別を表すマークを用いる。施設の種別を表すマークには、施設のブランドマークも含まれる。」 「【図4】 [図:0001421928000018.jpg] 」 「【0038】 以上、表示制御装置3が行う施設図形表示処理について説明した。 このような施設図形表示処理によれば、図5aに示すように、施設図形400の表示対象となる施設500にしきい値距離ThL以下に自動車が近づくと前方道路の路面上の運転者から比較的遠い位置に比較的小さいサイズで施設図形400が表示される。そして、施設図形400のマーク404によって施設の種別が、施設図形400に付加された施設方向指示図形410によって施設500の位置(または方向)が、距離の表示によって施設までの距離が提示される。 【0039】 そして、その後、自動車が進行して、施設図形400が表示されている施設500に近づいていくと、図5b、cに示すように、施設図形400は、徐々に大きくなりながら道路に沿って徐々に運転者に近づいてくる。よって、運転者は、施設図形400の表示から、施設500の接近を直感的に把握することができる。また、施設図形400に付加された施設方向指示図形410から施設500の位置(または方向)を、距離の表示によって施設までの距離を把握することができる。 【0040】 そして、その後、自動車が施設500の位置まで到達すると、図5dに示すように、施設図形400と施設方向指示図形410と距離が表示される。ここで、この自動車が施設500の位置まで到達したときに表示される施設方向指示図形410の形状は、施設500が自動車の側方に位置するので、自動車の後方方向に向かって延びる形状となり、当該形状によって、施設500の方向をユーザに提示することとなる。 【0041】 そして、その後、自動車が施設500を通過すると、施設500についての、施設図形400と施設方向指示図形410と距離の表示は行われなくなる。 なお、図5では、しきい値距離ThLを施設500が運転者の表示領域201越しの視界に含まれる距離とした場合を示しているが、しきい値距離ThLは、施設500が運転者の表示領域201越しの視界や、フロントウインドシールド越しの視界に入ってくることとなる距離よりも大きな距離としてもよい。 【0042】 このようにすることにより、施設500が運転者の示領域201やフロントウインドシールド越しの視界に含まれる前の時点から、その施設の施設図形400を表示することができるようになる。 以上、本発明の実施形態について説明した。 本実施形態によれば、施設図形400は、施設までの距離が遠いときには、当該施設の位置よりも手前の位置に視認されるように表示されるので、施設の位置に施設図形400を表示する場合よりも大きいサイズで施設図形400を表示しても不自然な表示とはならず、また、施設が視界に含まれる前でも、施設図形400を表示することができるようになる。よって、ユーザに対して良好に視認可能なサイズで施設図形400を表示できる期間を長期化することができる。 【0043】 また、施設に到達したときの施設図形400の表示位置を表示領域201内となるように設定しているので、施設に到達するまでの間、施設図形400の表示位置が表示領域201外となることはなく、施設に到達するまで施設図形400の表示を支障なく継続し続けることができるようになる。 【0044】 また、施設に近づくにつれて、施設図形400は、より手前の位置に拡大しながら移動するように視認されるので、ユーザは施設図形400の表示より施設への接近を直感的に把握できるようになる。」 「【図5】 [図:0001421928000019.jpg] 」 b 引用文献10に記載された事項 当審において引用文献10として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2009-236844号公報には、次の記載がある。 「【0027】 表示制御部111は、撮像部101により撮像された実写画像に経路案内オブジェクト生成部108により生成された案内オブジェクトを重畳して表示部107に表示させる機能を有している。または、ヘッドアップディスプレイなどを用いてフロントガラス越しの風景に案内オブジェクトを重畳して表示させる。 【0028】 表示部107は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ウィンドシールドディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどの表示デバイスである。なお、ウィンドシールドディスプレイやヘッドアップディスプレイとする場合は、運転手の視線方向に配置すれば、実写画像は画面には表示しなくて良い。実風景がディスプレイ越しに視認できるためである。すなわち、撮像部101を省略する構成も可能となる。 【0029】 経路案内オブジェクト生成部108は、経路探索部106によって探索された誘導経路に該当する道路に沿った形状の案内矢印を代表例とする案内オブジェクトを生成する機能を有している。通常は、現在地から誘導経路上を所定距離進んだ位置までの案内オブジェクトを生成するが、後述の生成地点算出部110によって現在地から移動した生成地点が算出された場合は、当該生成地点を起点として所定範囲の案内オブジェクトを生成する。 【0030】 ここで、案内オブジェクトの具体例を説明する。例えば、案内オブジェクトは、道路形状に一定の幅(道路幅相当)を持たせた案内矢印、交差点名称看板、ランドマークアイコン、POI(Point of Interest)アイコン、および交差点の風景画像などである。案内矢印の幅は、地図情報格納部103に格納されているリンクデータのリンク幅を参照すればよい。なお、案内矢印の形状は、矢印図形に限らず、先端の三角形を除いた折れ線図形とすることや任意の形状を取ることができる。特に、高さを有するものであってもよい。また、誘導経路の道路形状に一定の幅(道路幅相当)を持たせた案内矢印のみではなく、案内地点に至るまでの誘導経路以外の道路形状であってもよい。これにより、案内地点までに曲折可能な道路がいくつ存在するかなどの付加的な情報もユーザに伝えることができるからである。」 「【図7】 [図:0001421928000020.jpg] 」 c 周知技術2の認定 前記a~bに摘記した引用文献9~10の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。) [周知技術2] 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、施設に関連するマーク(絵柄記号イメージ)を施設の位置より手前の路面上に正立した状態で表示することで、視認者に施設に関する情報を良好に視認可能に表示すること。 (ウ) 周知技術3の認定 a 引用文献11に記載された事項 当審において引用文献11として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2005-128607号公報には、次の記載がある。 「【0011】 図2は本第1の実施の形態における表示投影部300を説明するための図であり、ステアリング11の前方で、ダッシュパネル12の内部に収納された表示像を投影するプロジェクタ310はLCD(LiquidCrystal Display)やDMD(Digital Micromirror Display)等の表示機および光を照射するための光源とレンズからなり、反射ミラー311はプロジェクタ310からの表示像をフロントウィンドウ10のフロントガラスへ反射させるためである。この構成により前景に重畳した状態で表示像をドライバに視認させるHUD(Headup Display)表示像を生成できる。」 「【0014】 ステップ3ではベクトルデータ算出部110が自車両500の速度を車速センサ101から得、自車両の進行方向を舵角センサ102から得て自車両500のベクトルBを算出し、ステップ2で算出した相対ベクトルからベクトルBを減算する。この演算により合流してくる合流車両400のベクトルAが算出される。」 「【0025】 図7(a)は、合流車両400および自車両500のベクトルAおよびBのデータがベクトル表示像401およびベクトル表示像501のように表示され、ベクトル表示像401およびベクトル表示像501の位置関係および交差関係、例えば、ベクトル表示像401がベクトル表示像501に向いている場合は、自車両500が先に通過でき、ベクトル表示像401が自車両500のベクトルよりも遠方を向いている場合には、合流車両400が先に行く、といった判断が出来る。 【0026】 さらには、図7(b)に示すように、合流車両400と自車両500のどちらが先に行くかにより、ベクトル表示像401およびベクトル表示像501のテクスチャを変化させることも可能である。例えば、先に行く合流車両400のベクトル表示像401は塗り潰し、自車両500のベクトル表示像501はストライプ状に表示する、ということが可能である。この時、ストライプを自車両500の車速に合わせて移動させ、ストライプが路面の移動に合わせて流れているように表示するとよい。あるいは、夫々のベクトル表示像401、501の表示色を変化させることも可能である。」 「【図7】 [図:0001421928000021.jpg] 」 b 引用文献12に記載された事項 当審において引用文献12として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2017-144889号公報には、次の記載がある。 「【0025】 また、自動運転制御部46に接続された表示制御部62には、出力部26が接続されている。出力部26は、自動運転制御部46から運転者に対して情報を提示するためのヘッドアップディスプレイ76(以下、「HUD76」という)を含んでいる。」 「【0049】 また、図7(A)は、図6の場合よりも他車両304が遠い場合の表示例であるが、先行する他車両304との車間距離が予め設定した閾値よりも小さい場合である。一方、図7(B)は、他車両304が図7(A)の場合よりも更に遠い場合の表示例であり、先行する他車両304との車間距離が予め設定した閾値以上の場合である。図7(A)及び図7(B)に示されるように、他車両304の走行方向を示すマーク306、306A及び自車両の走行予定方向を示すマーク308は、他車両304が近い場合には大きく示され、他車両304が遠い場合には小さく示される。 【0050】 また、先行する他車両304との車間距離が予め設定した閾値以上の場合である図7(B)の場合について付言すると、ステップ104(図4参照)で描く図5に相当する画像データの作成時には、他車両204の走行方向を示す矢印状の第一マーク(図示省略)は、矢形状マークXが道路210上に貼り付けられた後、先端部X1、第一中間部X2及び第二中間部X3を表示して手前部X4が非表示に設定されることで、(前記第一マークが)描かれる。このため、図7(B)において他車両304の走行方向を示すマーク306Aは一層小さく表示され、このマーク306Aによっても、先行する他車両304が遠いことを運転者に直感的に理解させることができる。」 「【図7】 [図:0001421928000022.jpg] 」 c 引用文献13に記載された事項 当審において引用文献13として新たに引用する、本願の優先日前に発行された国際公開第2017/013792号には、次の記載がある。 「[0028] 通知部4は、ナビゲーション装置1がユーザに情報を通知する構成の総称であり、ナビ表示部4a、HUD表示部4b、表示制御部4c、音声出力部4dおよび音声制御部4eを備える。ナビ表示部4aは、地図表示と経路案内表示が行われるディスプレイであり、例えば、車室内の前方中央部に配置される。HUD表示部4bは、表示情報をフロントウィンドウまたはコンバイナに投影表示する。 ただし、この発明は、経路案内に関係する道路標示情報が、運転者の前方視界の対応する実在の道路標示情報に重なって見えるように表示されるので、投影表示する対象としては、フロントウィンドウが望ましい。」 「[0062] 図7は、音声案内するタイミングでフロントウィンドウ越しに見た車両前方の風景を示す図であり、図6の状態から自車がさらに交差点に接近して、音声案内のタイミングになった場合を示している。図7において、経路案内に関係する道路標示情報は、実在の案内標識9の方面「三宮」と右方向を示す情報、および右折矢印10の路面標示である。 このとき、表示情報生成部32は、この方面を示す「三宮」の文字と右方向を示す矢印標示にハイライト色を施した画像データを表示情報9aとして生成する。 また、表示情報生成部32は、右折矢印10に合った形状にハイライト色を施した画像データを表示情報10aとして生成する。」 「【図7】 [図:0001421928000023.jpg] 」 d 引用文献14に記載された事項 当審において引用文献14として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2010-236915号公報には、次の記載がある。 「【0031】 ここで、本重畳表示機能を実現する、車両位置検出部10b、経路逸脱予測部10cおよび表示画像生成部10dの概要を図1、図2、図6および図8を参照して説明する。この重畳表示機能は、前述したナビゲーション部10aによる案内経路の案内情報(例えば、案内経路に従った進行方向を示す矢印表示)を運転者から見た車両の前方風景に重畳して表示するもので、HMD17やHUD18により前方風景に進行方向を示す矢印表示(情報像)を重畳表示する。この矢印表示には、比較的目立たないタイプの「リアル表示」と目立つタイプの「略図表示」とがある。 【0032】 即ち、前方風景を構成する構成物(例えば、道路、道路標示、道路標識、信号機、建物、街路樹、他車両等)よりも、形状(大きさも含む)および色彩・模様等の面で目立つ構成からなる顕著な表示形態で現実世界には実在し得ないものを、ここでは「略図表示」と定義する。 【0033】 より具体的には、HMD17等により前方風景に重畳表示すると、前方風景に比べて著しく不自然な形や色を有するため、当該風景中に存在することが運転者等の観者に違和感を与え、観者が一目してそれがナビゲーション部10aによる案内表示であることを認識し得るものである。つまり、前方風景中で調和し得ない形や色を有するものである。 【0034】 例えば、道路にペイントされた道路標示の例を挙げると、図6(B)に示す道路標示Svのように、矢印形状の道路標示を実際のものよりも大きくかつ赤色や橙色に着色することによって、通常色(白色や黄色)とは著しく異なりその形状も大きいため、現実世界には実在し得ないもの、つまりナビゲーション部10aにより表示される情報像として運転者等に認識される。なお、同図中では、赤色や橙色の代えて黒色を使用している。また、同図中では、現実世界にある矢印形状の道路標示を、重畳表示により塗りつぶしているかのように表現しているが、例えば、道路標示Svを透過表示にして背景の現実世界の道路標示が透けて見えるようにする等、現実世界の道路標示を塗りつぶさないように表示することが望ましい。」 「【図6】 [図:0001421928000024.jpg] 」 e 周知技術3の認定 前記a~d及び前記(ア)a~cに示した引用文献6~8、11~14の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術3」という。) [周知技術3] 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、道路に沿うように表示される矢印形状のオブジェクトを車線又は走行方向表示に関する情報として表示すること。 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点 「ヘッドアップディスプレイ」の発明である本件補正発明と「HUD装置100」の発明である引用発明は、「ヘッドアップディスプレイ」の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点 a 引用発明の「表示部120」は、「生成した画像を表す表示光Lを平面鏡131に向けて出射する」ものであって、本件補正発明の「ディスプレイ素子」に相当する。 b したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「画像を出力するディスプレイ素子」を備える点。 (ウ) 構成Bの観点 a 引用発明は、「平面鏡131」で「表示光Lを凹面鏡132に向けて反射」し、「凹面鏡132」で「その表示光Lをフロントガラス3に向けて反射」し、「フロントガラス3」で、その「表示光L」を「視認者2に向けて反射」することで、「視認者2は、フロントガラス3の前方に位置する虚像Vを視認可能となる」ものである。 b そうすると、引用発明の「平面鏡131」、「凹面鏡132」及び「フロントガラス3」の組合せは、本件補正発明の「結像光学系」に相当する。 また、車両のフロントガラスが光透過性を有することは自明であるから、引用発明の「フロントガラス3」は、本件補正発明の「光透過性領域」に相当する。 c また、引用発明の「虚像V」は、「フロントガラス3の前方に位置する」とともに、「車両1の運転者等である視認者2」に「路面8に沿うよう[に]」見せる又は「路面8から突出するように」見せるものであるから、表示部120が生成した表示光Lがフロントガラス3を通して結像されたものであるとともに、車両1の前方地面に位置するものとも認められる。 d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記画像を光透過性領域を通して結像し、前記画像の虚像が車両の前方地面に位置するように光の経路を制御する結像光学系」を備える点。 (エ) 構成Cの観点 a 引用発明の「制御部110」は、「画像データを生成」し、「補正後の表示コンテンツG3を含む画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に補正後の表示コンテンツG3を表示させ[る]」又は「元表示コンテンツGを補正することなく、元表示コンテンツGを含む水平面表示用の画像データを表示部120に出力することで、実際に表示部120の画面123に元表示コンテンツGを表示させ[る]」ものであって、表示光Lが形成されるように表示部120を制御するものと認められるから、本件補正発明の「制御部」に相当する。 b したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記画像が形成されるように前記ディスプレイ素子を制御する制御部」を備える点。 (オ) 構成Dの観点 a(a) 引用発明の「制御部110」は、「重畳対象物が例えば路面8である場合には縦面表示を行わない旨判別」し、「路面8に沿う矢印形状をなす虚像Vが表示面Aに表示される」ように、「矢印形状をなす元表示コンテンツGを補正することなく」、「表示部120の画面123に元表示コンテンツGを表示させる」ようにしている。 (b) そうすると、引用発明の「元表示コンテンツG」は、路面8に対応する(路面8に沿うように表示される)オブジェクトと認められるから、本件補正発明の「2次元グラフィックオブジェクト」に相当する。 b(a) また、引用発明の「制御部110」は、「縦面表示を行う旨判別」した場合には、「あたかも虚像Vが路面8に垂直をなすように見せる表示」をするために、「元表示コンテンツGを補正」して、「路面8から突出するように配置されるオブジェクトであ[る]」「表示コンテンツG3」を表示部120の画面123に表示させるようにしている。 (b) そうすると、引用発明の「表示コンテンツG3」は、路面8を基準に立体感を有するオブジェクトであり、路面8に配置されるものと認められるから、本件補正発明の「3次元グラフィックオブジェクト」に相当する。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成する機能と、前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成する機能を備える点。 (b) 本件補正発明においては、 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成するのに対して、 引用発明においては、 制御部110は、元表示コンテンツGが配置された画像を生成する、又は、表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるものの、元表示コンテンツG及び表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるのか不明な点。 (カ) 構成Eの観点 a(a) まず、本件補正発明の「アイボックス」とは、本願明細書等の段落【0063】に記載されるように、「ユーザがイメージを視認できる空間ボリュームであって、運転者の目の位置を意味する」用語である。 (b) そして、引用発明の「元表示コンテンツG」は、「画面123’内における重畳対象物に対応する位置に設定」された後、「元表示コンテンツGを含む水平面表示用の画像データ」となって表示部120に出力される。 (c) ここで、引用発明においては、「画像データ」上に「元表示コンテンツG」を設定する具体的な方法について明らかではないが、ヘッドアップディスプレイにおいて、視認者が所望の画像(表示コンテンツが所望の位置に所望の形状で配置されている画像)を視認できるように、視認者の視点(アイボックス)を設定し、当該視点を基準に所望の画像が視認されるように視点処理を行うことでディスプレイ素子が出力する画像データを生成することは当業者にとって自明である(必要であれば、特開2005-059721号公報の段落【0013】~【0021】、特開2015-196403号公報の段落【0039】~【0049】を参照。)。 (d) そうすると、引用発明の「元表示コンテンツG」は、アイボックスを基準とする視点処理により生成されるものと認められる。 b(a) 次に、引用発明の「表示コンテンツG3」は、当該「元表示コンテンツG」に対して「視点Epに応じて虚像Vの傾斜角度を補正する虚像傾斜角度補正、虚像Vの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する表示位置補正、虚像Vの表示位置に対する視点Epの位置に応じた虚像Vの歪みを補正する視点ずれ補正を順番に行う」ことで生成される。 (b) つまり、引用発明の「表示コンテンツG3」は、前記aに示した視点処理に加えて、前記(a)に示した視点処理を行うことで生成されるものと認められる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記2次元グラフィックオブジェクト及び前記3次元グラフィックオブジェクトは、アイボックスを基準に異なる視点処理により生成され」る点。 (キ) 構成Fの観点 本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。 本件補正発明においては、 前記2次元グラフィックオブジェクトは、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であるのに対して、 引用発明においては、 元表示コンテンツGとして「路面8に沿う矢印形状」を表示することは記載されているものの、当該矢印形状が、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であることは明示されていない点。 (ク) 構成Gの観点 a 引用発明の「表示コンテンツG3」は、「路面8から突出するように配置されるオブジェクト」であって、補正される前の「元表示コンテンツG」は、重畳対象物に対応する位置に設定され、その形状は、例えば、「重畳対象物」が「前方車両9」である場合、「二等辺三角形からなる警告アイコンであ[る]」。 b したがって、本件補正発明と引用発明は、次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 「前記3次元グラフィックオブジェクトは、前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた絵柄記号イメージである」点。 (b) 本件補正発明においては、 「前記3次元グラフィックオブジェクト」が「前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた」位置が、「関心地点の手前」であって、「絵柄記号イメージ」が「前記関心地点」の絵柄記号イメージであるのに対して、 引用発明においては、 表示コンテンツG3は、前方車両9に対応する位置に設定された二等辺三角形からなる警告アイコンである点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「ヘッドアップディスプレイにおいて、 画像を出力するディスプレイ素子と、 前記画像を光透過性領域を通して結像し、前記画像の虚像が車両の前方地面に位置するように光の経路を制御する結像光学系と、 前記画像が形成されるように前記ディスプレイ素子を制御する制御部とを含み、 前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成する機能と、前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成する機能を備え、 前記2次元グラフィックオブジェクト及び前記3次元グラフィックオブジェクトは、アイボックスを基準に異なる視点処理により生成され、 前記3次元グラフィックオブジェクトは、前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた絵柄記号イメージである、 ヘッドアップディスプレイ」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 本件補正発明においては、 「前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成」し、 「前記3次元グラフィックオブジェクト」が「前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた」位置が、「関心地点の手前」であって、「絵柄記号イメージ」が「前記関心地点」の絵柄記号イメージであるのに対して、 引用発明においては、 制御部110が、元表示コンテンツGが配置された画像を生成する、又は、表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるものの、元表示コンテンツG及び表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるのか不明であって、 表示コンテンツG3は、前方車両9に対応する位置に設定された二等辺三角形からなる警告アイコンである点。 b 相違点2 本件補正発明においては、 前記2次元グラフィックオブジェクトは、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であるのに対して、 引用発明においては、 元表示コンテンツGとして「路面8に沿う矢印形状」を表示することが記載されているものの、当該矢印形状が、車線、走行速度及び走行方向表示の少なくとも1つに関する情報であることは明示されていない点。 ウ 判断 前記各相違点について検討する。 (ア) 相違点1について a(a) 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、道路に沿ったオブジェクトと道路に対して垂直に存在するオブジェクトを同時に表示することで視認者に各種情報を同時に提供することは周知の技術である(前記周知技術1を参照)。 (b) また、車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、施設に関連するマーク(絵柄記号イメージ)を施設の位置より手前の路面上に正立した状態で表示することで、視認者に施設に関する情報を良好に視認可能に表示することも周知の技術である(前記周知技術2を参照)。 b そして、視認者(運転者)に対してどのような情報を提供するかは当業者が適宜選択し得る事項であるとともに、視認者に対して各種情報をわかりやすく表示することは車両用のヘッドアップディスプレイが有する自明の内在する課題であるから、引用発明に対して前記周知技術2を適用することにより、施設等の関心地点の手前の地面上に正立した前記関心地点の絵柄記号イメージを表示することで、視認者に関心地点に関する情報を提供することは、当業者が容易に想到することができたものであって、その際、前記周知技術1を踏まえれば、引用発明における「矢印形状をなす元表示コンテンツG」(2次元グラフィックオブジェクト)などに加えて、関心地点の絵柄記号イメージ(3次元グラフィックオブジェクト)を表示するように構成することは当業者が適宜設計し得た事項にすぎない。 c なお、当該絵柄記号イメージと「表示コンテンツG3」は、地面に対して立体的に表示されるものである点で共通するから、当該絵柄記号イメージを「表示コンテンツG3」と同様の視点処理、すなわち、「元表示コンテンツG」(2次元グラフィックオブジェクト)とはアイボックスを基準に異なる視点処理により生成することは、当業者にとって自然な発想といえる。 d したがって、引用発明において、前記周知技術1~2を適用することにより、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ) 相違点2について a 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、道路に沿うように表示される矢印形状のオブジェクトを車線又は走行方向表示に関する情報として表示することは周知の技術である(前記周知技術3を参照)。 b そうすると、引用発明には、「元表示コンテンツG」として表示される「路面8に沿う矢印形状」が提供する情報について明示されてないが、前記周知技術2を踏まえて、引用発明の「路面8に沿う矢印形状」を、車両の車線又は走行方向表示に関する情報として表示することは、当業者が容易に想到することができたものである。 (ウ) 総合評価 前記(ア)~(イ)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、前記相違点1~2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、引用文献1には、前記相違点1に係る構成の一部である「前記3次元グラフィックオブジェクトは、関心地点の手前の前記地面から前記地面上の3次元空間に突出するように立てられた前記関心地点の絵柄記号イメージである」構成を有する本件補正発明の構成が示されておらず、また、当該構成は、例えば文字情報を利用する場合に比べて、運転者が関心地点の情報をより迅速且つより直感的且つより効果的に入手することが可能となるという、際立って優れた効果を有する旨主張する。 しかしながら、前記ウ(ア)において検討したとおり、前記相違点1に係る構成は引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求人が主張する前記効果も、引用発明及び周知技術1~2から当業者が予測し得た程度のものでもある。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (4) 独立特許要件についてのまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 4 まとめ 以上に検討したところによれば、本件補正は、前記2で検討したとおり、特許法17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反し、又は、本件補正発明は、前記3で検討したとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~13に係る発明は、令和5年5月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項9に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2018-159882号公報(主たる引用文献) 引用文献2.特開2020-112542号公報(主たる引用文献) 引用文献4.特開2015-65614号公報 3 引用文献に記載された事項 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定、並びに引用文献6~14に記載された事項及び周知技術1~3の認定は、前記第2の3(2)ア及びイにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 (1) 一致点及び相違点 前記第2の3(3)ア及びイでの検討を踏まえると、本願発明と引用発明は前記相違点2に加えて次の相違点3において相違し、その余の点において一致する。 [相違点3] 本願発明においては、 「前記制御部は、前記地面に対応する2次元グラフィックオブジェクト及び前記地面を基準に立体感を有する3次元グラフィックオブジェクトが前記地面に配置されるように前記画像を生成」し、 「前記3次元グラフィックオブジェクト」が「地面上に立てられた」位置が、「関心地点」の位置であって、「記号イメージ」が「前記関心地点」の記号イメージであるのに対して、 引用発明においては、 制御部110が、元表示コンテンツGが配置された画像を生成する、又は、表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるものの、元表示コンテンツG及び表示コンテンツG3が配置された画像を生成するものであるのか不明であって、 表示コンテンツG3は、前方車両9に対応する位置に設定された二等辺三角形からなる警告アイコンである点。 (2) 判断 前記各相違点について検討する。 ア 相違点2について 前記第2の3(3)ウ(イ)において説示したとおり、前記相違点2に係る構成は、引用発明及び周知技術3に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。 イ 相違点3について 車両用のヘッドアップディスプレイにおいて、関心地点の位置を提示するために、路面から突出するように立てられた当該関心地点を示すマークを当該関心地点付近のどの位置に表示するかは、当業者が適宜選択する設計的事項にすぎず、そもそも関心地点の位置を提示する場合、その位置にマークを表示することはごく自然な着想であるから、前記第2の3(3)ウ(ア)の説示内容を踏まえると、前記相違点3に係る構成は、引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。 ウ 総合評価 前記ア~イにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点2~3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、前記相違点2~3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-016162

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