特許拒絶査定不服審判
2022-004070
表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
- 審判番号
- 2022-004070
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-028662
- 請求日
- 2022年03月17日
- 審決日
- 2022年12月26日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G09G) / P18 .571-Z (G09G) / P18 .572-Z (G09G) / P18 .573-Z (G09G) / P18 .574-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 28662「表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月13日出願公開、特開2021-135309〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 8月 4日付け:拒絶理由通知書
同年11月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 1月12日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月18日 :原査定の謄本の送達)
同年 3月17日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年3月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年3月17日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和4年3月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「 【請求項1】
自発光の発光部を有し、画像データを表示する表示パネルを制御する表示制御装置であって、
上記自発光の発光部の発光タイミングを制御する発光制御部を備え、
上記発光制御部は、上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送しない休止期間と上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送する非休止期間との両方において、上記自発光の発光部を一定周期にて発光させる
ことを特徴とする表示制御装置。」
(2) 本件補正後の請求項1
「 【請求項1】
自発光の発光部を有し、画像データを表示する表示パネルを制御する表示制御装置であって、
上記自発光の発光部の発光タイミングを制御する発光制御部を備え、
上記発光制御部は、上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送しない休止期間と上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送する非休止期間との両方において、上記自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる
ことを特徴とする表示制御装置。」
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の「発光制御部」が、「自発光の発光部を一定周期にて発光させる」ものであったのを、「自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる」ものに変更する補正である。
ここで、請求人は審判請求の理由において、当該補正は、当初明細書の【0038】に基づく補正であると主張しているところ、当該【0038】には、以下のとおり記載されている。
「 【0038】
表示制御部201の発光制御部27は、第1フレームレート設定部22による画像データの更新タイミングの制御とは独立して、表示パネル101の発光部11の発光タイミングを制御する。ここでは、表示制御部201の発光制御部27は、図3のステップS11の画像の更新の有無に関わらず、所定の周期(一定間隔)にて表示パネル101の発光部(表示素子)11の発光を行う(S20)。」
ここで、前記記載では、「発光制御部27」は、「所定の周期(一定間隔)にて表示パネル101の発光部(表示素子)11の発光を行う」とあるところ、「一定間隔」という語句は、一定の「時間」間隔を意味することは明らかであるから、一定間隔にて表示パネル101の発光部(表示素子)11の発光を行うということは、発光が一定の時間間隔をおいて繰り返し行われることを意味しており、発光が一定の時間間隔をおいて繰り返し行われるということは、発光が周期的に行われることを意味するから、発光の周期が所定のものであることになる。
そして、上記記載では、「一定間隔」という語句は、「所定の周期」という語句に続く括弧内に記載されているから、上述の検討内容を踏まえると、「所定の周期」と「一定間隔」とは実質的に同じ意味と解釈するのが相当である。
そうすると、本件補正により「一定周期」を「一定周期かつ一定間隔」に変更しても、これらの語句の意味に変わりはないから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことも明らかである。
以上検討のとおり、本件補正で特許請求の範囲についてする補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない補正である。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
なお仮に、「一定周期かつ一定間隔にて発光させる」ことが「一定周期にて発光させる」ことを限定するものであり、本件補正が、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとすると、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討することとなる。
そこで、念のため、本件補正発明が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
3 独立特許要件の判断
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2) 引用文献に記載された発明の認定等
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に発行された特開2006-84758号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審において付したものであり、以下同様である。
(ア) 技術分野
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の有機EL(Electro-Luminescence)表示装置、液晶装置、電子ペーパーなどの電気泳動装置等の電気光学装置に用いられる駆動回路及び方法の技術分野に関する。また、本発明は、このような駆動回路を具備してなる電気光学装置及び電子機器の技術分野にも関する。」
(イ) 電気光学装置の第1実施形態
「【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(電気光学装置の第1実施形態)
以下では、本発明の電気光学装置に係る第1実施形態について図1から図6を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置用駆動回路を備えた電気光学装置を、有機EL表示装置に適用したものである。
【0047】
先ず、第1実施形態における有機EL表示装置の構成について図1から図3を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。また、図2は、表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図であり、図3は、静止画像検出回路の構成を示す回路図である。
【0048】
図1の有機EL表示装置は、表示パネル部100、走査線駆動回路201、データ線駆動回路202、フレームレート制御回路310、及び静止画像検出回路320を備える。
【0049】
先ず、表示パネル部100は、図1及び図2に示すように、データ線駆動回路202に接続された複数のデータ線120及び走査線駆動回路201に接続された複数の走査線110の夫々が縦横に配置されている。表示パネル部100の画像表示領域には、走査線110及びデータ線120の交点に対応してマトリクス状に複数の画素部100pが設けられている。画素部100pは、画像表示領域を構成する各画素或いは各画素領域に一つずつ設けられている。図2に示すように、各画素部100pに含まれる、本発明に係る「スイッチング用薄膜トランジスタ」の一例たるスイッチングTFT101に対して、走査線110及びデータ線120が接続されている。そして、複数の走査線110を介して走査信号ScLn1が線順次に供給され、複数のデータ線120を介して画像信号Dpが一つの走査線110に対応する画素列毎に(即ち、ライン単位で)まとめて供給されるように構成されている。
…(中略)…
【0054】
静止画像検出回路320は、図1に示すように、画像信号Dpの元となる、階調情報を含む8ビットのデータ信号InDat[7:0](即ち、InDat7~InDat0)を、画像信号供給源からフレーム単位で受け、相前後するフレーム画像に係るデータ信号InDat[7:0]の同一性を検出する。ここで、同一性が検出されなければ、即ち、データ信号InDat[7:0]が基本的に動画に係るものであれば、フレーム周波数を下げる旨のスロースキャン信号SlwScnをフレームレート制御回路310に送信しないか、又はフレーム周波数を下げない旨のスロースキャン信号SlwScnを、フレームレート制御回路310に送信する。この際、フレーム周波数のままで、8ビットのデータ信号RdDat[7:0](即ち、RdDat7~RdDat0)を、データ線駆動回路202に出力する。他方、同一性が検出されれば、即ち、データ信号InDat[7:0]が基本的に静止画に係るものであれば、フレーム周波数を下げる旨のスロースキャン信号SlwScnを、フレームレート制御回路310に送信するように構成されている。
【0055】
尚、静止画像検出回路320は、このように同一性が検出された場合に、例えばフレーム周波数の1/5や1/10といった、フレーム周波数より低い周波数で、データ信号RdDat[7:0]を出力するように構成してもよい。
…(中略)…
【0065】
再び図1において、フレームレート制御回路310は、静止画像検出回路320により上述の如くフレーム画像間の同一性が検出されない場合に、即ち、動画を表示する場合に、フレーム周波数を低下させない旨のスロースキャン制御信号SlwScnを受けて、垂直同期信号VSYNCの周波数を既定値としたままで、これを走査線駆動回路201に供給する。この供給と並行して、水平同期信号HSYNCの周波数を既定値としたままで、これをデータ線駆動回路202に供給する。他方、静止画像検出回路320によりフレーム画像間の同一性が検出された場合に、即ち、静止画を表示する場合に、フレーム周波数を低下させる旨のスロースキャン制御信号SlwScnを受けて、垂直同期信号VSYNCの周波数を、例えば1/5や1/10に低下させた上で、これを走査線駆動回路201に供給する。この供給と並行して、水平同期信号HSYNCの周波数を、同じく例えば1/5や1/10に低下させた上で、これをデータ線駆動回路202に供給する。そして、このようなフレームレート制御回路310及び静止画像検出回路320の各種動作は、フレームレート制御回路310から静止画像検出回路320へ送信される、本来の垂直同期信号VSOrgに基づいて、同期して行われるように構成されている。
…(中略)…
【0088】
以上のように静止画表示の際に、フレーム周波数を低下させることによって、即ち、走査線駆動回路201における駆動周波数及びデータ線駆動回路202における駆動周波数を低下させることによって、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102への書き込み動作の回数を減少することができ、無駄な電力消費を低減することができることになる。更に、静止画表示の場合に、静止画検出回路320からデータ線駆動回路202へ供給するデータ信号RdDat[7:0]の供給周期についても低下させることが可能であり、これにより無駄な消費電力を一層低減することができる。この際、表示画像における劣化は、ストレージキャパシタ102の容量値を適当に確保すれば、殆ど又は実践上全くない。よって、本実施形態によれば、有機EL表示装置を、画質の劣化を招くことなく、より低電力で駆動可能となる。」
「【図1】
[図:0001394885000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001394885000002.jpg]
」
(ウ) 電気光学装置の第2実施形態
「【0089】
(電気光学装置の第2実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る第2実施形態について図7から図9を参照しつつ説明する。ここに図7は、図1と同趣旨の図であり、第2実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。図8は、図2と同趣旨の表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図であり、図9は、図6と夫々同趣旨のタイミングチャートである。尚、図7から図9において、図1、図2及び図6と同様の構成要素又は信号には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0090】
図7に示すように、第2実施形態の電気光学装置では、電気光学パネル部100’は、走査線110に加えて消灯用走査線111を備え、走査線駆動回路201’は、消灯用走査線111に消灯用走査信号ScLn2を供給するように構成されている。更に図8に示すように、画素部100p’は、消灯制御用TFT106を備え、そのゲートに対して、消灯用走査線111を介して、消灯用走査信号ScLn2が印加されるように構成されている。その他の構成については、図1から図6を参照して説明した第1実施形態と同様である。
【0091】
第2実施形態の如く、いわゆる消灯機能を備えた画素部100p’に対しても、上述した第1実施形態の如く静止画の際にフレーム周波数を低下させる構成の適用は可能である。
【0092】
第2実施形態によれば、図7及び図8において、消灯用走査線111を介して消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、消灯用TFT106をOFFとすれば、発光部104における発光作用を停止し、消灯することが可能となる。これにより、例えば1フレーム期間中の一部の期間は発光部104を発光させるが残りの期間は消灯するなどといった、いわゆる時分割駆動を行うことが可能となり、もってよりきめ細かな中間調表示等が可能になる等の各種の効果が得られる。
【0093】
この場合、図9に示すように、消灯用走査信号ScLn2(図9中、ScLn2_1、ScLn2_2、…)が、走査信号ScLn1(図9中、ScLn1_1、ScLn1_2、…)と共に、水平同期信号HSYNCに同期して発信される。つまり、消灯用TFT106がOFFされると同時に、駆動TFT103がONとされ、ストレージキャパシタ102への画像信号Dpの書き込みが行われる。続いて、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”に立ち上がっていることに対応して、走査信号ScLn1については、上述したように駆動周波数が低下される。しかし、このとき消灯用走査信号ScLn2については、駆動周波数が低下されることなく、本来の水平同期信号HSOrg信号に同期して、通常通りのタイミングで発信が行われるのである。
【0094】
以上説明したように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の書き込み動作の削減操作が行われるようになっていても、消灯用TFT106の駆動は通常通り行われるので、低電力による有機EL表示装置の駆動という効果が得られるのと同時に、発光部104を消灯することによって得られる前述したような効果も得られることになる。」
「【図7】
[図:0001394885000003.jpg]
」
「【図8】
[図:0001394885000004.jpg]
」
「【図9】
[図:0001394885000005.jpg]
」
イ 引用文献3及び4に記載された事項と技術常識の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
当審において新たに引用され、本願出願前に発行された特開2006-11251号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年、液晶素子に代わる次世代の発光デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下適宜「OLED素子」と略称する)素子が注目されている。このOLED素子は、自発光型であるために視野角依存性が少なく、また、バックライトや反射光が不要であるために低消費電力化や薄型化に向いているなど、表示パネルとして優れた特性を有している。
ここで、OLED素子は、液晶素子のように電圧保持性を有さず、電流が途絶えると、発光状態が維持できなくなる電流型の被駆動素子である。このため、OLED素子をアクティブ・マトリクス方式で駆動する場合、書込期間(選択期間)において、画素の階調に応じた電圧を駆動トランジスタのゲートに書き込んで、当該電圧をゲート容量などにより保持し、当該ゲート電圧に応じた電流を駆動トランジスタがOLED素子に流し続ける事が一般的となっている。」
「【0023】
図2に、Yドライバ14およびXドライバ16の動作を説明するためのタイミングチャートを示す。Y走査開始パルスSPYがYドライバ14に供給されると、Yドライバ14はYクロック信号CKYに従って、Y走査開始パルスSPYを転送し、走査信号GWRT1、GWRT2、GWRT3、…、GWRTmを順次排他的に出力する。発光制御信号GEL1、GEL2、GEL3、…、GELmは、例えば、走査信号GWRT1、GWRT2、GWRT3、…、GWRTmを反転した信号である。上から第1行目の各画素回路400に着目すると、1フレーム期間1Fにおいて、これらの画素回路400の選択期間はT1となり、発光期間はT2となる。
【0024】
そして、書込期間T1において、第1行目の各画素回路400に供給すべき画像データDsが電流D/A変換回路164に出力される。なお、同図においてDs(1)、Ds(2)、…Ds(m)は、第1行目から第m行目の各画素回路400に対応するデータを各々示す符号である。後述するように書込期間T1においては、第1行目の各画素回路400に設定電流ipxlの書き込みが実行される一方、発光期間T2においては書込期間T1に書き込まれた設定電流ipxlに応じた階調が表示される。
【0025】
図3は、画素回路400の構成を示す回路図である。この例の画素回路400は、図1に示す第1行第1列目に配置され、走査信号GWRT1および発光制御信号GEL1が供給されるものとするが、他の画素回路400についても同様である。画素回路400は、スイッチングトランジスタSwTr、プログラムトランジスタPrgTr、ドライビングトランジスタDrvTr、ELトランジスタElTr、蓄積容量CおよびOLED素子420を備える。OLED素子420のカソードは接地(GND)されている。また、ドライビングトランジスタDrvTrはPチャネルTFT(薄膜トランジスタ)によって構成され、他のトランジスタはNチャネルTFTによって構成される。電流供給線104を介して電源電圧Vddが供給される。なお、ドライビングトランジスタDrvTrをNチャネルTFTによって構成し、他のトランジスタをPチャネルTFTで構成し、さらに、OLED素子420の極性を反転させてもよい。
…(中略)…
【0029】
一方、発光期間T2においては、プログラムトランジスタPrgTrおよびスイッチングトランジスタSwTrがオフ状態になるとともに、発光制御信号GELがアクティブ(ハイレベル)になる。すると、ELトランジスタElTrがオン状態となり、図5に示すように、OLED素子420には、選択期間T1においてプログラムされた設定電流ipxlが流れる。これにより、所定の階調を表示することが可能となる。」
「【図2】
[図:0001394885000006.jpg]
」
「【図3】
[図:0001394885000007.jpg]
」
(イ) 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用され、本願出願前に発行された特開2002-169499号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0024】図2は、本実施形態に係る表示パネル駆動方法の一例についてその概要を示している。ここで、通常状態での垂直スタートパルスSTVを基準垂直スタートパルスSTV1とすると、これは、図2(a)に示すように、1垂直期間、つまり1フレームに1回、そのスタート時に出力される。また、このとき図2(b)に示す垂直クロックCKV1は、上記垂直スタートパルスSTV1によって決まる1フレーム期間を表示パネルのゲートライン数(走査線数)に応じて分割した周期のクロックとして作成されたものであり、垂直クロックCKV(図2(b))を転送クロックとして転送する。
【0025】表示データが静止画であることが検出された場合、図2(c)に示すように基準垂直スタートパルスSTV1を所定フレーム毎に間引いて垂直スタートパルスSTV2を作成し、V系シフトレジスタ210に出力する。また、垂直クロックCKV2は、図2(d)に示すように基準垂直スタートパルスSTV1が間引かれたフレーム期間は出力停止となり、残りのフレーム期間中は、通常時の垂直クロックCKV1と同一周期に設定し、これをV系シフトレジスタ210に転送クロックとして出力する。V系ドライバ200に対して、図2(c)に示す垂直スタートパルスSTV2及び図2(d)に示す垂直クロックCKV2を供給することで、このV系ドライバ200は、1フレームおきに動作することとなる。
【0026】ここで、ドライバ200が停止することにより、各画素での表示データが書き換わらないので、表示内容は維持される。本発明に係る駆動方法は、LCDにも適用可能である。しかし、本実施形態のように自発光型の有機EL素子を画素に用いた表示パネルにとって特に好適である。LCDにおいて、各画素に設けられる保持容量SCは、画素スイッチTFTに対し該容量SCと電気的に並列接続される容量値の大きい液晶容量を十分長い間維持するために設けられている。従って保持容量SCの面積は、大きい方がよいが、画素開口率とトレードオフの関係にある。従って、あまり大きな保持容量SCを形成することができない。しかし、有機EL素子では、素子の発光を維持するためにはEL駆動用TFT22のゲート電圧を維持できればよく、保持容量SCはそれほど大きくなくてもよい。従って、複数フレームの間、十分表示内容を維持することができ、表示データの更新間隔を間引くことによる表示品質の低下が小さい。このため、表示品質の低下なくドライバを所定周期で動作停止し、消費電力の低減を図ることが可能である。また、自発光素子からの光は少なからず画素から広がって射出されるため、例えば同じ画素サイズのLCDと比較すると、実質開口面積がLCDより小さくても高輝度表示が可能である。従って、十分な大きさの保持容量SCを各画素に確保でき、長い期間表示データに応じた信号を保持できるのである。」
「【図2】
[図:0001394885000008.jpg]
」
(ウ) 技術常識の認定
a 技術常識1
(a) 引用文献3の【図2】から、発光制御信号GEL1、GEL2、GEL3、…、GELmは、1フレーム期間1Fの選択期間T1においてオフ、発光期間T2においてオンとなる信号であることが読み取れる。
そして、1フレーム期間1F及び選択期間T1は、フレームが何番目のフレームであるかに関わらずに同じ長さであることは技術常識であるから、発光期間T2もフレームに関わらずに同じ長さであり、この結果、前記発光制御信号GEL1、GEL2、GEL3、…、GELmは、1フレーム期間1F毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される信号であることが読み取れる。
(b) 引用文献3の前記(ア)の摘記箇所の記載及び前記(a)の認定事項に例示されるように、次の事項は技術常識であると認める。
<技術常識1>
「ELトランジスタに印加される発光制御信号として、走査信号を反転した信号、すなわち、1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される信号を採用すること。」
b 技術常識2
引用文献4の前記(イ)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は技術常識であると認める。
<技術常識2>
「表示データが静止画であることが検出された場合、基準垂直スタートパルスを所定フレーム毎に間引き、垂直クロックは、基準垂直スタートパルスが間引かれたフレーム期間は出力停止とし、残りのフレーム期間中は、通常時の垂直クロックと同一周期に設定することで、ドライバを所定周期で動作停止し、消費電力の低減を図ること。」
ウ 技術常識を踏まえた引用発明の認定
(ア) 走査信号ScLn1が発信されるフレーム及び発信されないフレームについて
a 引用文献1の【0093】には、走査信号ScLn1が、水平同期信号HSYNCに同期して発信が行われることが記載されており、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャン信号を実行しないとき)、各フレームにおいて走査信号ScLn1が発信されることは本願出願時の技術常識から見て自明な事項である。
b そして、引用文献1の【図9】から、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、水平同期信号HSYNC及び水平同期信号HSYNCに同期して発信が行われる走査信号ScLn1は、5フレーム目のみ発信され、6フレーム目は発信されないことが読み取れる。
ここで、前記イ(ウ)bにおいて技術常識2として認定したとおり、表示データが静止画であることが検出された場合、基準垂直スタートパルスを所定フレーム毎に間引き、垂直クロックは、基準垂直スタートパルスが間引かれたフレーム期間は出力停止とし、残りのフレーム期間中は、通常時の垂直クロックと同一周期に設定することで、ドライバを所定周期で動作停止し、消費電力の低減を図ることは技術常識であるところ、上記6フレーム目は、「基準垂直スタートパルスが間引かれたフレーム期間」に対応すると考えることができるから、上記【図9】に開示されたタイミングチャートは、当該技術常識2に示されたものと整合する。
したがって、当該技術常識2を踏まえると、引用文献1の【図9】に接した当業者は、その示されたタイミングから、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、走査信号ScLn1が発信されるフレームと、走査信号ScLn1が発信されないフレームを設けることで、消費電力の低減を図る構成であると認識することは明らかである。
c 以上より、引用文献1には、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャン信号を実行しないとき)、各フレームにおいて走査信号ScLn1が発信され、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、走査信号ScLn1が発信されるフレームと、走査信号ScLn1が発信されないフレームを設けることが記載されていると認められる。
(イ) 消灯用走査信号ScLn2について
a 引用文献1の【0093】には、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”に立ち上がっていることに対応して、走査信号ScLn1については、駆動周波数が低下されるが、消灯用走査信号ScLn2については、駆動周波数が低下されることなく、本来の水平同期信号HSOrgに同期して、通常通りのタイミングで発信が行われることが記載されており、当該記載から、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)についても、消灯用走査信号ScLn2は、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)の消灯用走査信号ScLn2と同じタイミングで発信されると解するのが相当である。
b したがって、引用文献1には、消灯用走査信号ScLn2が、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)についても、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)の消灯用走査信号ScLn2と同じタイミングで発信されることが記載されていると認められる。
(ウ) 引用発明の認定
前記アの記載事項及び前記(ア)及び(イ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
<引用発明>
「有機EL表示装置が備える、走査線駆動回路201、データ線駆動回路202、フレームレート制御回路310、及び静止画像検出回路320であって(【0048】)、
有機EL表示装置は、表示パネル部100を備えており(【0048】)、
フレームレート制御回路310は、静止画を表示する場合に、フレーム周波数を低下させる旨のスロースキャン制御信号SlwScnを受けて、垂直同期信号VSYNCの周波数を、1/5や1/10に低下させた上で、これを走査線駆動回路201に供給して(【0065】)、
フレーム周波数を低下させることによって、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102への書き込み動作の回数を減少することができ、無駄な電力消費を低減し(【0088】)、
電気光学パネル部100’は、走査線110に加えて消灯用走査線111を備え、走査線駆動回路201’は、消灯用走査線111に消灯用走査信号ScLn2を供給するように構成され、画素部100p’は、消灯制御用TFT106を備え、そのゲートに対して、消灯用走査線111を介して、消灯用走査信号ScLn2が印加されるように構成され(【0090】)、
消灯用走査線111を介して消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、発光部104における発光作用を停止し、消灯することが可能となり、これにより、1フレーム期間中の一部の期間は発光部104を発光させるが残りの期間は消灯するなどといった、いわゆる時分割駆動を行うことが可能となり、もってよりきめ細かな中間調表示等が可能になり(【0092】)、
スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャン信号を実行しないとき)、各フレームにおいて走査信号ScLn1が発信され、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、走査信号ScLn1が発信されるフレームと、走査信号ScLn1が発信されないフレームを設け(前記(ア)の認定事項)、
消灯用走査信号ScLn2は、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)についても、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)の消灯用走査信号ScLn2と同じタイミングで発信される(前記(イ)の認定事項)、
走査線駆動回路201、データ線駆動回路202、フレームレート制御回路310、及び静止画像検出回路320。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)a 引用発明の「有機EL表示装置」が備える「表示パネル部100」は、本件補正発明の「自発光の発光部を有し、画像データを表示する表示パネル」に相当する。
b 引用発明の「有機EL表示装置」が備える「走査線駆動回路201、データ線駆動回路202、フレームレート制御回路310、及び静止画像検出回路320」は、本件補正発明の「表示パネルを制御する表示制御装置」に相当する。
c よって、本件補正発明と引用発明は、「自発光の発光部を有し、画像データを表示する表示パネルを制御する表示制御装置」の点で一致する。
(イ) 引用発明の「走査線駆動回路201’」は、消灯用走査線111を介して消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、発光部104における発光作用を停止し、消灯するものであるから、本件補正発明の「上記自発光の発光部の発光タイミングを制御する発光制御部」に相当する。
(ウ)a 引用発明の「スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、」「走査信号ScLn1が発信されないフレーム」(引用文献1の【図9】に示された6フレーム目以降)は、そのフレームにおいて、走査信号ScLn1の発信に伴う、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102への書き込み動作がないフレームであることを意味するから、本件補正発明の「上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送しない休止期間」に相当する。また、「スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャン信号を実行しないとき)、」及び「スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、」「走査信号ScLn1が発信され[る]」各フレーム(引用文献1の【図9】に示された5フレーム目まで)は、走査信号ScLn1の発信に伴う、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102への書き込み動作があるフレームであることを意味するから、本件補正発明の「上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送する非休止期間」に相当する。
b そして、引用発明の「消灯用走査線111を介して消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、発光部104における発光作用を停止し、消灯する」ことは、発光部104における発光作用を停止しないときには発光部104を発光させることを意味するから、本件補正発明の「上記自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる」ことと、「上記自発光の発光部を発光させる」点において共通する。
c 引用発明の「走査線駆動回路201’」は、「スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャン信号を実行しないとき)、」及び「スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、」「走査信号ScLn1が発信され[る]」各フレーム(引用文献1の【図9】に示された5フレーム目まで)と、「スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)、」「走査信号ScLn1が発信されないフレーム」(引用文献1の【図9】に示された6フレーム目以降)のいずれのフレームにおいても、消灯用走査信号ScLn2を供給するものであるところ、消灯用走査信号ScLn2の供給は、発光部104での発光を前提とするから、前記(イ)、a及びbを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「発光制御部」が、「休止期間」と「非休止期間」との両方において、「上記自発光の発光部を発光させる」点において共通する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「上記発光制御部は、上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送しない休止期間と上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送する非休止期間との両方において、上記自発光の発光部を発光させる」点において共通する。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
自発光の発光部を有し、画像データを表示する表示パネルを制御する表示制御装置であって、
上記自発光の発光部の発光タイミングを制御する発光制御部を備え、
上記発光制御部は、上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送しない休止期間と上記表示制御装置が上記画像データを上記表示パネルに転送する非休止期間との両方において、上記自発光の発光部を発光させる、
表示制御装置、である点。
(イ) 相違点
表示制御装置が画像データを表示パネルに転送しない休止期間と転送する非休止期間との両方において、自発光の発光部を発光させる発光制御部が、
本件補正発明では、「自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる」ものであるのに対して、
引用発明では、発光部104の発光が一定周期かつ一定間隔であるかどうか不明である点。
(4) 当審の判断
ア 相違点について
前記相違点について検討する。
(ア) 時分割駆動による中間調表示を行わないことについて
a 引用文献1の【0092】には、消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、発光部104における発光作用を停止し、消灯することが可能となり、例えば1フレーム期間中の一部の期間は発光部104を発光させるが残りの期間は消灯するなどといった、いわゆる時分割駆動を行うことが可能となり、もってよりきめ細かな中間調表示等が可能になる等の各種の効果が得られることが記載されている。
b しかしながら、時分割駆動を行うことで、よりきめ細かな中間調表示等が可能になるということは、よりきめ細かな中間調表示が必要でない場合(画素回路を選択して書き込む従来の駆動で十分な場合)は、時分割駆動を行わなくても良いことを許容していることを意味していると理解される。
c なお、引用文献1には、よりきめ細かな中間調表示のための時分割駆動について、「例えば1フレーム期間中の一部の期間は発光部104を発光させるが残りの期間は消灯する」という記載はあるものの、それをどのように行うかについての具体的な記載はないことから、よりきめ細かな中間調表示等が可能になるという効果は、引用文献1の第1実施形態と第2実施形態を通してみた場合には、副次的な効果にすぎないと位置づけることができる。
d このことは、段落【0094】の「以上説明したように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の書き込み動作の削減操作が行われるようになっていても、消灯用TFT106の駆動は通常通り行われるので、低電力による有機EL表示装置の駆動という効果が得られるのと同時に、発光部104を消灯することによって得られる前述したような効果も得られることになる。」という記載からも裏付けることができる。
e そして、前記技術常識1は、発光制御信号GEL1、GEL2、GEL3、…、GELmの発光期間T2は、フレームに関わらず一定であり、発光期間T2の長さを変調する時分割駆動により中間調表示を行うものではない。すなわち、画素回路400にELトランジスタElTrを備え、ELトランジスタElTrのオンオフで発光のタイミングを制御することは、時分割駆動による中間調表示を必然的に伴うものではなく、時分割駆動による中間調表示を行わない場合にも広く採用されている技術事項であるから、引用発明においても、時分割駆動を行うことなく、画素部100p’が消灯制御用TFT106を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 時分割駆動を行わない場合の消灯用走査信号ScLn2について
a そこで、以下では、よりきめ細かな中間調表示のための時分割駆動を行わない場合の消灯用走査信号ScLn2について、技術常識を踏まえて検討する。
b 前記(2)イ(ウ)aにおいて技術常識1として認定したとおり、ELトランジスタに印加される発光制御信号を、走査信号を反転した信号、すなわち、1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される信号とする駆動は、技術常識である。
そして、当該技術常識1を踏まえて、引用文献1の【図9】をみると、5フレーム目において、走査信号ScLn1がオンであるとき、消灯用走査信号ScLn2がオフになっているから、【図9】に示された5フレーム目までの駆動が、1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される駆動であることは、自明な事項であるといえる。
したがって、引用文献1において、よりきめ細かな中間調表示のための時分割駆動を行わない場合には、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)は、消灯用走査信号ScLn2は、1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される駆動が行われるように発信されることとなる。
c よって、前記(ア)の検討結果を前提として、よりきめ細かな中間調表示のための時分割駆動を行わない場合の消灯用走査信号ScLn2は、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)は、1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される駆動が行われ、さらに、「スロースキャン制御信号SlwScnが“1”のとき(スロースキャンを実行するとき)についても、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”のとき(スロースキャンを実行しないとき)の消灯用走査信号ScLn2と同じタイミングで発信される」ものであるから、スロースキャン制御信号SlwScnが“0”、“1”のいずれの場合についても1フレーム期間毎に、一定間隔のオン信号が繰り返し出力される駆動が行われるといえる。
(ウ) 小括
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、前記相違点に係る、表示制御装置が画像データを表示パネルに転送しない休止期間と転送する非休止期間との両方において、「自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、技術常識1及び技術常識2から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、下記主張をしている。
a 消灯用走査信号ScLn2の周期及び間隔について
引用文献1の第2実施形態において示された駆動技術は、自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させるものではない。
実際、引用文献1の第2実施形態では、図9を参照して、消灯用走査信号ScLn2が、走査信号ScLn1と共に、水平同期信号HSYNCに同期して発信されることが説明されているが、下記参考図に示すように、消灯用走査信号ScLn2は一定周期でも一定間隔でもない。引用文献1の第2実施形態は、発光部を一定周期かつ一定間隔で発光させることを開示していない。
b 時分割駆動について
引用文献1の第2実施形態において示された駆動技術は、あくまでも、中間調表示等を行うための時分割駆動にすぎない(引用文献1の段落[0092])。
引用文献1の第2実施形態において示された駆動技術は、中間調表示等を行うために、フレーム期間中の一部の期間は発光部を発光させ、残りの期間は消灯するなどといった、いわゆる時分割駆動を行うための構成であるため(引用文献1の段落[0092])、所望の中間調表示を行うように、フレーム期間中、発光間隔(消灯時間)を調整する必要があり、発光部を一定間隔で発光させるものではない。
[図:0001394885000009.jpg]
(イ) 請求人の主張に対する当審の判断
a 消灯用走査信号ScLn2の周期及び間隔について
請求人の主張は、参考図において、フレーム5ではScLn2はHsOrgの山に一致し、フレーム6ではScLn2はHsOrgの谷に一致する点に着目したものと解されるが、この点は、引用文献1の「消灯用走査信号ScLn2については、駆動周波数が低下されることなく、本来の水平同期信号HSOrg信号に同期して、通常通りのタイミングで発信が行われるのである。」(【0093】)との記載と整合しておらず、【図9】における請求人が指摘する点は誤記であると考えるのが相当である。
b 時分割駆動について
前記ア(ア)において説示したとおり、引用文献1の【0092】の記載は、時分割駆動を行わなくても良いことを許容していると理解されるから、時分割駆動を行うための駆動であることを前提とする請求人の主張は、採用できない。
したがって、請求人の主張は、前記アの結論を左右するものではない。
(5) 独立特許要件についてのまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正の却下の決定についてのまとめ
前記2で示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するもの(目的該当性違反)であるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
また仮に、本件補正が、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、前記3(5)で示したとおり、本件補正は、同法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するもの(独立特許要件違反)であるから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年11月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2006-84758号公報
3 引用文献1に記載された事項、引用発明及び技術常識の認定
前記引用文献1に記載された事項、引用発明、技術常識1及び技術常識2の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「上記自発光の発光部を一定周期かつ一定間隔にて発光させる」構成において、「一定周期かつ一定間隔」から「一定間隔」という事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む、又は、本願発明の発明特定事項を全て含み、当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-004070