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特許拒絶査定不服審判

2024-003311

紙パック片手開口ホルダーと安定スタンド

審判番号
2024-003311
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-024279外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年02月06日
審決日
2025年05月30日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (B67B) / P18 .121-WZ (B67B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 24279「紙パック片手開口ホルダーと安定スタンド」拒絶査定不服審判事件〔令和5年8月14日出願公開、特開2023-112635〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 はじめに 当審が令和6年12月26日付けで通知した拒絶の理由は、後述第4のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、または、同条第2項の規定に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許を受けることができないというものである。 特許法第29条第1項第3号は、その規定のとおり、出願前に頒布された刊行物に記載された発明だけでなく、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明、例えば、インターネットに掲載された動画なども含め、公衆に利用可能となっている発明は、特許を受けることができないことを定めたものである。また、同条第2項は、このような発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものについては、特許を受けることができないことを規定したものである。 この審決は、これらに基づいたものである点に留意されたい。 第2 手続の経緯 本願は、令和4年2月1日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。 令和5年10月17日付け:拒絶理由通知書 10月31日 :意見書、手続補正書の提出(ただし、書類は11月1日付け) 令和6年 1月22日付け:拒絶査定 2月 7日 :審判請求書の提出 12月26日付け:拒絶理由通知書 令和7年 1月24日 :意見書の提出(ただし、書類は1月23日付け) 第3 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、令和5年10月31日の手続補正書により補正された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 手のひらで保持しやすい厚み、巾、長さのある一本の樹脂素材からなるホルダーの先端に、紙パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みを施し、又長さ方向に数センチ傾斜をつけた先端を尖らしたホルダーを切り込みから屋根の左右に差し込みホルダーを半回転させるだけで左右の接着部が剥離、片手だけで紙パックの開口が可能となり、又紙パックの倒れを防ぐ単独で設けた安定スタンドを介し高齢者、片手の不自由な障害者の方々が安心して紙パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造としたことを特徴とする紙パック片手開口と安定スタンド。」 第4 拒絶の理由 当審において通知した令和6年12月26日付けの拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 1 (新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等> ・「牛乳パックオープナー」、YouTube[online][video]、2018年9月24日、[2024年12月19日検索]、インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=5W2EndpU73M>、0:00~0:52 第5 引用発明 (1)引用文献等に示された事項 引用文献等で挙げた動画(以下、単に「動画」という。)から、以下の点が見て取れる。 ア 「牛乳パックオープナー」と、牛乳パックが倒れないように保持する単独の「固定台」により、片手で牛乳パックを開口できるよう構成されていること(特に、4~7秒前後で「牛乳パックオープナー」と「固定台」の文字が映し出されている。)。 イ 「牛乳パックオープナー」は、緑色の透明な材質で形成されており、その態様からみて樹脂素材と認められること(動画全編参照。)。 ウ 「牛乳パックオープナー」の先端には、紙パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みが施されており、また、長さ方向に傾斜をつけ尖らせた形状を有していること(特に、4秒~17秒前後、及び29~37秒前後で「牛乳パックオープナー」の当該先端形状が写し出されている。)。 エ 「牛乳パックオープナー」を手のひらで保持し、牛乳パックの屋根の左右に差し込み、半回転させると左右の接着部が剥離し、片手だけで牛乳パックの開口が可能となっていること(同様に、4秒~17秒前後、及び29~37秒前後参照。ただし、動画ではデモンストレーションのため接着部があらかじめ剥離されているが、「牛乳パックオープナー」の使用形態及び機能からみて、接着部の剥離が可能であると認められる。)。 オ 牛乳パックを開口させる工程において、「固定台」により牛乳パックの倒れを防いでおり、牛乳パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造となっていること(動画全編参照。)。 (2)動画に示された引用発明 上述(1)からみて、動画には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が示されている。 「手のひらで保持して用いる樹脂素材からなる牛乳パックオープナーの先端に、牛乳パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みを施し、長さ方向に傾斜をつけた先端を尖らせた牛乳パックオープナーを切り込みから屋根の左右に差し込み、牛乳パックオープナーを半回転させるだけで左右の接着部が剥離、片手だけで牛乳パックの開口が可能となり、また、牛乳パックの倒れを防ぐ単独で設けた固定台を介し牛乳パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造としたホルダーとスタンド。」 第6 対比、判断 1 対比 (1)一致点 本願発明と引用発明とを対比すると、両発明は以下の点で一致する。 ア 引用発明の「牛乳パックオープナー」は、樹脂素材からなり、また、牛乳パックの注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込んで接着部を剥離させるものであるから、その態様からみて、本願発明の「樹脂素材からなるホルダー」に相当する。また、引用発明の「牛乳パック」は、本願発明の「紙パック」に相当する。 イ 引用発明の「牛乳パックオープナー」は、「先端に、牛乳パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みを施し、長さ方向に傾斜をつけた先端を尖らせた」ものである。そして、傾斜の長さは不明であるものの、その形状からみて、本願発明における「先端に、紙パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みを施し」、「又長さ方向に」「傾斜をつけた先端を尖らした」ものにひとまず相当する。 ウ 引用発明の「牛乳パックオープナーを切り込みから屋根の左右に差し込み、牛乳パックオープナーを半回転させるだけで左右の接着部が剥離、片手だけで牛乳パックの開口が可能となり」は、その使用形態からみて、本願発明の「ホルダーを切り込みから屋根の左右に差し込みホルダーを半回転させるだけで左右の接着部が剥離、片手だけで紙パックの開口が可能となり」に相当する。 エ 引用発明の「固定台」は、その機能からみて本願発明の「安定スタンド」に相当する。また、引用発明の「牛乳パックの倒れを防ぐ単独で設けた固定台を介し牛乳パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造」は、その態様からみて、本願発明における「紙パックの倒れを防ぐ単独で設けた安定スタンドを介し」「紙パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造」に相当する。 オ 引用発明の「牛乳パックオープナー」と「固定台」は、まとめて本願発明の「紙パック片手開口と安定スタンド」に相当する。 そうすると、両発明の一致点は、以下のとおりである。 <一致点> 「樹脂素材からなるホルダーの先端に、紙パック注ぎ口左右にある屋根の一片に差し込む余裕のある長さの切り込みを施し、又長さ方向に傾斜をつけた先端を尖らしたホルダーを切り込みから屋根の左右に差し込みホルダーを半回転させるだけで左右の接着部が剥離、片手だけで紙パックの開口が可能となり、又紙パックの倒れを防ぐ単独で設けた安定スタンドを介し紙パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造とした紙パック片手開口と安定スタンド。」 一方、両発明は、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明の「ホルダー」は、「手のひらで保持しやすい厚み、巾、長さのある」ものであるのに対して、引用発明の「牛乳パックオープナー」は、「手のひらで保持して用いる」ものではあるが、その厚み、幅、長さが手のひらで保持しやすいものとなっているか必ずしも明確ではない点。 <相違点2> 本願発明の「ホルダーの先端」は、「長さ方向に数センチ傾斜をつけた」ものであるのに対して、引用発明の「牛乳パックオープナーの先端」は、「長さ方向に傾斜をつけた」ものではあるが、傾斜の長さが数センチであるか必ずしも明確ではない点。 <相違点3> 本願発明では、「高齢者、片手の不自由な障害者の方々が安心して紙パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造」としているのに対して、引用発明では、「牛乳パック注ぎ口を片手だけで開口できる構造」ではあるものの、高齢者、片手の不自由な障害者の方々が安心して開口できるものであるか必ずしも明確ではない点。 2 相違点に対する判断 (1)相違点1について 引用発明は、片手で牛乳パックを開口するためのものであり、その使用形態からみて、「牛乳パックオープナー」の形状は使いやすいものとされていると考えられる。そうすると、引用発明の「牛乳パックオープナー」は、手のひらで保持しやすい厚み、巾、長さを有するものであると認められるため、当該相違点1は実質的なものではない。 また、仮にそうではないとしても、手のひらで保持しやすい厚み、巾、長さとすることは、引用発明の使用形態からみて当業者が容易に想到し得たものである。 (2)相違点2について 引用発明の「牛乳パックオープナーの先端」における長さ方向の傾斜は、動画から正確な長さは不明であるものの、使用者の手の大きさや牛乳パックとの比較からみて、実質的には数センチ程度であると理解できる。そうすると、当該相違点2は実質的なものではない。 また、仮にそうではないとしても、引用発明の「牛乳パックオープナーの先端」における傾斜は、要するに牛乳パックの注ぎ口左右にある屋根の一片に挿入しやくするためのものであり、牛乳パックのサイズなどを考慮すれば、その長さを数センチとすることは当業者が容易に想到し得たものである。 (3)相違点3について 引用発明のものが片手で牛乳パックを倒すことなく開口するためのものであることに鑑みれば、力のない者高齢者や片手の不自由な方々にとって安心して注ぎ口を開口できるものであることは明らかである。そうすると、当該相違点3は実質的なものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-003311

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