特許拒絶査定不服審判
2024-000976
加工装置及び加工方法
- 審判番号
- 2024-000976
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-074815外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月19日
- 審決日
- 2025年03月11日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B23K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-74815「加工装置及び加工方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年7月12日出願公開、特開2022-105133〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)4月26日(優先権主張 2017年(平成29年)5月1日)を国際出願日とする特願2019-515710(以下「原出願」という。)の一部を、令和4年4月28日に新たな特許出願(特願2022-74815)としたものであって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月28日 :手続補正書の提出
令和4年 5月30日 :手続補正書の提出
令和5年 4月26日付け:拒絶理由通知書
令和5年 9月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年10月20日付け:拒絶査定
令和6年 1月19日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年1月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年1月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所について請求人が付したものである。)。
「【請求項1】
ワークとビームとを相対移動させつつ加工装置から前記ビームを照射して載置装置に載置した前記ワークを除去加工することと、
クリーニング装置を用いて、前記除去加工が行われた、前記載置装置に載置された加工済みワークをクリーニングすることと、
前記クリーニングの後に、計測装置を用いて前記載置装置に載置された前記加工済みワークの3次元形状を、前記加工済みワークを前記載置装置から取り外すことなく計測することと、
を含み、
前記加工装置は、前記クリーニング装置と前記計測装置とを備える、
加工方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年9月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ワークとビームとを相対移動させつつ加工装置から前記ビームを照射して前記ワークを加工することと、
クリーニング装置を用いて前記加工が行われた加工済みワークをクリーニングすることと、
前記クリーニングの後に、計測装置を用いて前記加工済みワークの3次元形状を計測することと、
を含み、
前記加工装置は、前記クリーニング装置と前記計測装置とを備える、
加工方法。」
2 補正の適否
本件補正の請求項1に関する補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「加工」を「除去加工」に限定するとともに、「ワーク」及び「加工済みワーク」が「載置装置に載置」されたものであることを限定し、「加工済みワークの3次元形状を計測すること」について「前記加工済みワークを前記載置装置から取り外すことなく」計測することを限定するものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項等
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由(下記第3の2を参照。)で主引用発明が記載された文献として引用された原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、引用文献1(特開2014-133248号公報)には、図面とともに、次の記載がある(なお、下線部は当審で付した。以下同様。)。
「【0001】
本発明は、三次元レーザ加工機に関する。」
「【0017】
第一の発明に係る三次元レーザ加工機によれば、被加工物の三次元形状を測定する三次元形状測定器を備えたことにより、被加工物の形状や被加工部の位置を正確に把握することができるので、ギャップセンサによる加工部位毎のギャップの検出等を必要としない。よって、ギャップセンサによるギャップ検出時間等を削減し、三次元レーザ加工機におけるレーザ加工の加工効率を向上させることができる。また、三次元形状測定器によって測定した被加工物の三次元形状データに基づいて、レーザ光の焦点位置と被加工部との距離を設定するので、被加工部におけるレーザ光の照射面積が設定どおりであるレーザ加工を施すことができ、レーザ加工の加工精度が低下することはない。」
「【0023】
本実施例に係る三次元レーザ加工機は、図1に示すように、床面に水平に設置されるベッド1と、ベッド1を跨ぐように設置される門形のコラム2と、コラム2の前面に支持されコラム2に対してZ軸方向(垂直方向)に移動可能なクロスレール3と、クロスレール3に支持されクロスレール3に沿ってY軸方向(水平方向)に移動可能なサドル4と、サドル4に把持されサドル4に対してZ軸方向に移動可能なラム5とを有する。
【0024】
ラム5には、ラム5に対してZ軸方向に移動可能かつC軸方向(Z軸と平行な軸回り)に回動可能なレーザヘッド10を設け、レーザヘッド10には、レーザヘッド10に対してB軸方向(Y軸と平行な軸回り)に回動可能なレーザ光照射部11を備える。
【0025】
レーザ光照射部11から照射されるレーザ光は、レーザヘッド10に内蔵された図示しない集光レンズによって、被加工物であるワークWにおける図示しない被加工部または被加工部の近傍で集光する。ワークWの図示しない被加工部が、集光したレーザ光を照射されることによって熱せられ、局所的に溶融すると共に、被加工部の溶融した部材がレーザヘッド10に備える図示しないガス噴射部から噴射されるガスによって吹き飛ばされることにより、ワークWの切断や穴明けの高精度な加工が行われる。」
「【0027】
ベッド1には、ワークWを加工するための加工用テーブル20と、ワークWを段取りするための段取りプレート30と、ワーク入替え装置40(図3乃至図6参照)とを備える。図1においては、ワーク入替え装置40の図示を省略している。
【0028】
加工用テーブル20は、加工位置(図1における実線部)と段取り位置(図1における二点鎖線部)との間を移動可能にベッド1上に設置され、段取りプレート30は、段取り位置における加工用テーブル20と隣り合うようにベッド1の一端側に設置され(図1参照)、ワーク入替え装置40は、段取り位置における加工用テーブル20と段取りプレート30との間に設置される(図3乃至図6参照)。」
「【0031】
本実施例においては、図1に示すように、三次元レーザ加工機におけるベッド1に、加工前および加工後におけるワークWの三次元形状を測定するための三次元形状測定器であるスキャニング装置50を備える。スキャニング装置50は、ベッド1の一端側におけるワークWの段取りスペースに設置され、図2に示すように、ベッド1に対してV軸方向(Y軸に平行な軸方向)に摺動可能な土台部51と、土台部51に支持され土台部51に対してU軸方向(X軸に平行な軸方向)に摺動可能な胴部52と、胴部52に支持され胴部52に対してW軸方向に摺動可能な腕部53と、腕部53の一端側に支持されU軸方向に摺動可能かつE軸方向(V軸に平行な軸回り)に回動可能な首部54とを備える。」
「【0039】
なお、本実施例のように、加工前のワークW2の三次元レーザ加工機への搬入およびスキャニング装置50による三次元形状測定を、三次元レーザ加工機へ搬入済みのワークW1にレーザ加工を施している間に行うことにより、ワークW1に対するレーザ加工とワークW2に対する三次元形状測定とが並行して行われるので、三次元レーザ加工機におけるレーザ加工の加工効率を向上させることができる。」
「【0041】
加工用テーブル20上に設置された加工後のワークW1が、加工位置においてレーザ加工された後、段取り位置へ移動する(図1参照)。」
「【0047】
次に、スキャニング装置50による加工後のワークW1の三次元形状測定を行い、加工前のワークW2にレーザ加工を施す(図1および図2参照)。」
「【0057】
また、本実施例では、ワークWの段取りおよび三次元形状測定を加工用テーブル20とは別の段取りプレート30において行い、ワークWを加工用テーブルおよび段取りプレート30上にワーク設置治具60を介して設置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、段取り位置における加工用テーブル20上に直接ワークWを段取りし、段取り位置における加工用テーブル20の近傍にスキャニング装置50を設け、加工用テーブル20上に直接設置された状態でワークWの加工前および加工後の三次元形状測定を行っても良い。」
「【0059】
なお、本発明は、レーザ加工における「切断」、「穴明け」、「溶接」、「クラッディング」、「表面改質」、「面粗度向上」にも適用することができる。」
「【図1】
[図:0001422095000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001422095000002.jpg]
」
(イ)引用文献1の記載事項の整理
A 段落【0023】~【0025】、【0028】、【0059】、図1等から、引用文献1の三次元レーザ加工機は、ワークWとレーザ光とを相対移動させつつ三次元レーザ加工機からレーザ光を照射して加工用テーブル20に載置したワークWを切断や穴明け等の除去加工をするものであることが理解できる。
B 段落【0025】の「ワークWの図示しない被加工部が、集光したレーザ光を照射されることによって熱せられ、局所的に溶融すると共に、被加工部の溶融した部材がレーザヘッド10に備える図示しないガス噴射部から噴射されるガスによって吹き飛ばされることにより、ワークWの切断や穴明けの高精度な加工が行われる。」との記載から、引用文献1の三次元レーザ加工機は、ガス噴射部を用いて、ワークWから被加工部の溶融した部材を吹き飛ばすものであることが理解できる。
C 段落【0057】の「例えば、段取り位置における加工用テーブル20上に直接ワークWを段取りし、段取り位置における加工用テーブル20の近傍にスキャニング装置50を設け、加工用テーブル20上に直接設置された状態でワークWの加工前および加工後の三次元形状測定を行っても良い。」との記載から、引用文献1には、段取り位置における加工用テーブル20の近傍にスキャニング装置50を設けて、当該スキャニング装置50を用いて、当該加工用テーブル20に載置された除去加工後のワークWの三次元形状を、除去加工後のワークWを当該加工用テーブル20から取り外すことなく測定する実施形態が記載されているといえる。
(ウ)引用発明
上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ワークWとレーザ光とを相対移動させつつ三次元レーザ加工機から前記レーザ光を照射して加工用テーブル20に載置した前記ワークWを除去加工することと、
前記除去加工において、ガス噴射部を用いて、前記ワークWから被加工部の溶融した部材を吹き飛ばすことと、
スキャニング装置50を用いて前記加工用テーブル20に載置された前記除去加工後のワークWの三次元形状を、前記除去加工後のワークWを前記加工用テーブル20から取り外すことなく測定することと、
を含み、
前記三次元レーザ加工機は、前記ガス噴射部と前記スキャニング装置50とを備える、
加工方法。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載事項
同じく原査定に引用され(下記第3の2を参照。)、原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2(特開平10-62157号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管等の円形品の断面形状を認識する円形ワークにおける形状認識方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂管等の断面形状が円形をなす製品(円形ワーク)にあっては、製品の良否を判定する規格値として外周長を用いるものがある。このために、管の製造工程において製品の外周長を計測しているが、円形ワークが真円に近い形状の場合は、直径より容易に外周長を求めることができるものの、楕円もしくは変形円を断面形状に持つワークにおいては、測定箇所により大きく直径が異なるために直径による管理が困難である。このために、現状においては、人的作業によるメジャー測定法か、もしくはベルトを管外周面に押し当てることによって計測する接触式計測装置が用いられている。」
「【0011】上記した構成における作用について説明する。計測時には、走行用モータ6を駆動して移動台座5の移動を行い、ロボット装置3をターニングローラ2の上に載置された円形ワーク1の開口端付近に位置させる。そして、図2に示すように、円形ワーク1の開口端に対向して計測機器14を配置し、双方の変位計17a,17bの間に円形ワーク1を位置させる。この状態で、双方のエアーパージノズル19,20から円形ワーク1の外周面および内周面に向けてエアーを吹き付け、計測時にノイズとなるワーク表面に付着する異物を除去し、変位計17a,17bによって各々に対向する円形ワーク1の表面の位置を検出する。」
「【図2】
[図:0001422095000003.jpg]
」
(イ)引用文献2記載の技術的事項
上記記載等から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「ワークに向けてエアーを吹き付け、計測時にノイズとなるワーク表面に付着する異物を除去してから、ワークの表面の位置を検出すること。」
(3)本件補正発明と引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ワークW」は本件補正発明の「ワーク」に相当し、以下同様に、「レーザ光」は「ビーム」に、「三次元レーザ加工機」は「加工装置」に、「加工用テーブル20」は「載置装置」に、「スキャニング装置50」は「計測装置」に、「除去加工後のワークW」は「加工済みワーク」に、「三次元形状」は「3次元形状」に、「測定」は「計測」に、それぞれ相当すると認められる。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「ワークとビームとを相対移動させつつ加工装置から前記ビームを照射して載置装置に載置した前記ワークを除去加工することと、
計測装置を用いて前記載置装置に載置された前記加工済みワークの3次元形状を、前記加工済みワークを前記載置装置から取り外すことなく計測することと、
を含み、
前記加工装置は、前記計測装置を備える、
加工方法。」
<相違点1>
本件補正発明においては、加工装置は「クリーニング装置」を備え、「クリーニング装置を用いて、前記除去加工が行われた、前記載置装置に載置された加工済みワークをクリーニング」し、「クリーニングの後に」加工済みワークの3次元形状を計測するのに対し、引用発明の三次元レーザ加工機はガス噴射部を備え、除去加工において、ガス噴射部を用いて、ワークWから被加工部の溶融した部材を吹き飛ばす構成(以下「ガス噴射」という。)を備えるものの、このガス噴射は除去加工において行われるものであり、加工後のワークWにガス噴射を行うかどうかが不明であり、そのため、ガス噴射の後にワークWの三次元形状の測定を行うか不明な点。
(4)相違点1の判断
ア 相違点1に係る構成について
まず、本願の発明の詳細な説明には、「クリーニング」に関して、段落【0171】に「なお、テーブル12上の加工済みワークをクリーニングしても良い。例えば、クリーニングにより加工済みのワークから、加工により発生する異物を除去しても良い。例えば、クリーニング機構として、流体(液体、あるいは気体)を供給する流体供給口を少なくとも1つ配置して、その流体供給口又はテーブル12、又は流体供給口及びテーブル12の両方を動かしながら、流体供給口からの流体を加工済みワークの表面の少なくとも一部に供給しても良い。このようなクリーニング機構を備えている場合には、加工済みのワークをクリーニングした後に、上述のように、計測システム400の3次元計測機401を用いてテーブル12上のワークの形状を検査することとしても良い。」と記載されているから、本件補正発明における「クリーニング」とは、加工済みワークの表面に流体(液体又は気体)を供給して、加工済みワークから、加工により発生する異物を除去するものであることが理解できる。
そして、上記(2)イ(イ)に示したとおり、引用文献2記載の技術的事項は、「ワークに向けてエアーを吹き付け、計測時にノイズとなるワーク表面に付着する異物を除去してから、ワークの表面の位置を検出すること。」というものであり、「エアーを吹き付け」ることは、本件補正発明の「クリーニング」を行うことに相当するといえる。
引用発明と引用文献2記載の技術的事項とは、ワークの形状や位置を測定する点で共通するし、引用発明は、除去加工において、ガス噴射部を用いて、ワークWから被加工部の溶融した部材を吹き飛ばすものであり、当業者であれば、ガス噴射により塵埃等の軽い異物が舞い上がって、加工後のワークWに付着することを予測できるから、引用発明に引用文献2記載の技術的事項を適用して、加工後のワークWの三次元形状の測定を、クリーニングとしてのガス噴射後に行うことで、計測時にノイズとなる異物を除去した上で測定できるようにすることは、当業者が容易になし得るものである。
そして、引用発明は、加工用テーブル20に載置したワークWを除去加工し、ワークWを加工用テーブル20から取り外すことなく、三次元形状を測定するものであるから、測定の前にクリーニングを行うとすれば、加工用テーブル20に載置されたワークWに対してクリーニングを行うことは、当然である。
イ 作用効果について
請求人は、審判請求書の4ページにおいて、本件補正発明は、除去加工、クリーニング、及び計測のすべてを同じ載置装置上で出来るので、除去加工、クリーニング、及び計測のすべてを同じ加工装置内の同じ座標系を使用して実施することができ、仮に、除去加工、クリーニング、及び計測の流れの中で、ワークを載置装置から取り外した場合は、位置合わせ等の処理が必要となるところ、本件補正発明においては、一貫して同じ載置装置に載せたままであるため、そのような処理が不要であり、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に対して有利な効果を奏する旨を主張しているから、本件補正発明による作用効果についても検討する。
上記効果は、本件の明細書に明記されていないが、仮に本件補正発明により奏されるものであるとしても、引用発明に引用文献2記載の技術的事項を適用したものにおいても、除去加工、ガス噴射(クリーニング)及びワークWの三次元形状の測定が、ワークWを加工用テーブル20(載置装置)から取り外すことなく行われるものであるから、同様の効果が奏されるものであり、当該効果が予測し得ないような格別顕著な作用効果とはいえない。
ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならないものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年1月19日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~39に係る発明は、令和5年9月7日にされた手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1~39に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1(2)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明についての原査定の拒絶の理由は、本願発明は、原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2014-133248号公報
引用文献2:特開平10-62157号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項等は、前記第2の2(2)に記載したとおりである。
4 対比及び判断
本願発明は、前記第2の2で検討した本件補正発明から、「加工」が「除去加工」であるとの限定事項を削除するとともに、「ワーク」及び「加工済みワーク」が「載置装置に載置」されたものであるとの限定事項を削除し、「加工済みワークの3次元形状を計測すること」について、「前記加工済みワークを前記載置装置から取り外すことなく」計測するとの限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-000976