特許拒絶査定不服審判
2025-009024
撮像素子、および電子機器
- 審判番号
- 2025-009024
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-097773
- 請求日
- 2025年06月11日
- 審決日
- 2026年05月26日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ニコン
- 【請求人代理人】西澤 和純
- 【請求人代理人】大浪 一徳
- 【請求人代理人】小林 淳一
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 圓道 浩史
- 分類
- P18 .575-Z (H04N) / P18 .121-Z (H04N) / P18 .113-Z (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 97773「撮像素子、および電子機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 8月29日出願公開、特開2023-120293〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)9月28日(優先権主張 2017年9月29日)を国際出願日とする特願2019-545189号の一部を、令和3年7月21日に新たな特許出願とした特願2021-120993号のさらに一部を、令和5年6月14日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 8月 5日付け 拒絶理由通知書
令和6年12月19日 手続補正書及び意見書の提出
令和7年 3月 5日付け 拒絶査定
令和7年 6月11日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和7年 8月26日付け 前置報告書
第2 令和7年6月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年6月11日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、令和6年12月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から20を、令和7年6月11日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1から18に補正するものであって、本件補正前の請求項4を本件補正後の請求項4とする次の補正を含むものである。
なお、下線は、本件補正により補正された箇所を示す。また、記号「A1」から「C」は、分説するために合議体が付したものであり、記号「A1」から「C」に対応する発明特定事項を、以下「構成A1」から「構成C」という。
(1) 本件補正前の請求項4
(A1) 第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換する第1光電変換部と、
(A2) 前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する第2光電変換部と、
(A3) 前記第1分光特性を有する第3フィルタを透過した光を電荷に変換する第3光電変換部と、
(A4) 前記第2分光特性を有する第4フィルタを透過した光を電荷に変換する第4光電変換部とが、
(A) 列方向に沿って前記第1光電変換部、前記第2光電変換部、前記第3光電変換部および前記第4光電変換部の順に配置される半導体層と、
(B1) 前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第1信号線が配置される第1層と、
(B2) 前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第2信号線が配置される第2層と
(B) を少なくとも有する多層配線の配線層と
(C) を備える撮像素子。
(2) 本件補正後の請求項4
(A1) 第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換する第1光電変換部と、
(A2) 前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する第2光電変換部と、
(A3) 前記第1分光特性を有する第3フィルタを透過した光を電荷に変換する第3光電変換部と、
(A4) 前記第2分光特性を有する第4フィルタを透過した光を電荷に変換する第4光電変換部とが、
(A) 列方向に沿って前記第1光電変換部、前記第2光電変換部、前記第3光電変換部および前記第4光電変換部の順に配置される半導体層と、
(B1’) 前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第1信号線が配置される第1層と、
(B2’) 前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第2信号線が配置される第2層と
(B) を少なくとも有する多層配線の配線層と
(C) を備える撮像素子。
2 本件補正の適否について
(1) 本件補正の目的について
本件補正は、上記1(1)及び(2)のとおり、本件補正前の請求項4の構成B1における「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第1信号線」について、第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが「それぞれ」出力される信号線であること、及び「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる」信号線であることを限定するものである。
また、本件補正は、上記1(1)及び(2)のとおり、本件補正前の請求項4の構成B2における「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第2信号線」について、第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが「それぞれ」出力される信号線であること、及び「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる」信号線であることを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)と本件補正後の請求項4に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、請求項4について、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、また、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。
そこで、本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(2) 独立特許要件について
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものと認める。
イ 引用文献1に記載された事項
本願の優先日(2017年9月29日)前の2011年(平成23年)4月21日に公開され、令和7年3月5日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)における拒絶の理由において引用された、特開2011-82768号(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は、強調のため合議体が付したものである。
(ア)
「【0005】
原色フィルタや補色フィルタなどのカラー配列では、同一カラーの画素が行方向および列方向に一画素おきに配列される。よって、特許文献1に記載された方法でFDを共通化すると、共通化のための配線パターンが、隣接する別のカラーの配線パターンと交差してしまう。この交差によって異なる色の画素の出力同士が容量結合するため、クロストークの原因となる。クロストークによりノイズが増加し、信号とノイズの比(S/N)が低下するという問題が発生する。
【0006】
本発明は、クロストークの低減に有利な構成を有する固体撮像装置を提供することを目的とする。」
(イ)
「【0011】
図9は、本発明の好適な実施形態の固体撮像装置ISの概略構成を示す図である。固体撮像装置ISは、CMOSイメージセンサのような能動画素型のイメージセンサとして構成される。能動画素型のイメージセンサは、画素が、光電変換素子の他に、該光電変換素子による光電変換によって得られた信号を増幅する増幅素子を含む固体撮像装置である。この実施形態では、増幅素子は、複数の画素によって共有される。固体撮像装置ISは、画素アレイPA、垂直選択回路VS、第1読出回路HR1、第2読出回路HR2、第1水平選択回路HS1、および、第2水平選択回路HS2を備えている。画素アレイPAは、複数の画素行prおよび複数の画素列pcを構成するように二次元状に配列された複数の画素pを含む。図6には、画素アレイPAとして、説明のために簡単化された画素アレイが例示されている。画素アレイPAにおける各画素列pcには、2つの列読出線、即ち、第1列読出線c1と第2列読出線c2とが設けられている。」
(ウ)
「【0014】
図1は、画素アレイPAにおける1つの画素列pcの一部分の回路構成を例示的に示す図であり、本発明の第1実施形態における回路構成を示している。なお、図1では、簡単化のために4行分の画素のみが示されている。各画素は、フォトダイオード101(101は、101-1、101-2、101-3、101-4を代表する。)と、転送トランジスタ102(102は、102-1、102-2、102-3、102-4を代表する。)とを含む。具体的には、第1画素行、第1画素列の画素は、フォトダイオード101-1と転送トランジスタ102-1とを含む。第2画素行かつ第1画素列の画素は、フォトダイオード101-2と転送トランジスタ102-2とを含む。第3画素行かつ第1画素列の画素は、フォトダイオード101-3と転送トランジスタ102-3とを含む。第4画素行かつ第1画素列の画素は、フォトダイオード101-4と転送トランジスタ102-4とを含む。図1に示す第1実施形態では、電荷を電圧に変換する変換領域103(103は、103-1、103-2を代表する。)、リセットトランジスタ104(104は、104-1、104-2を代表する。)、増幅トランジスタ105(105は、105-1、105-2を代表する。)および選択トランジスタ106(106は、106-1、106-2を代表する。)が同一画素列の複数(ここでは2個)の画素によって共有されている。具体的には、変換領域103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1および選択トランジスタ106-1が同一画素列の第1画素行および第3画素行の画素とによって共有されている。また、変換領域103-2、リセットトランジスタ104-2、増幅トランジスタ105-2および選択トランジスタ106-2が同一画素列の第1画素行および第3画素行の画素とによって共有されている。
【0015】
画素アレイPAの上には、所定のカラー配列に従うカラーフィルタが配置される。ここでは、ベイヤー配列に従うカラーフィルタが画素アレイPAの上に配置されている例を説明するが、他のカラー配列(例えば、補色フィルタ)に従うカラーフィルタが画素アレイPAの上に配置された場合にも本発明を適用することができる。ベイヤー配列に従う場合、第1画素行、第1画素列の第1、第3画素行の画素のフォトダイオード101-1、101-3の上にはG(グリーン)色のカラーフィルターが配置される。また、第1画素列の第2、第4画素行の画素のフォトダイオード101-2、101-4の上にはR色のカラーフィルターが配置されている。よって、同一カラー(G色)の画素である第1画素行および第3画素行の画素がFD103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第1列読出線107-1に出力する。また、同一カラー(R色)の画素である第2画素行および第4画素行の画素がFD103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第2列読出線107-1に出力する。」
(中略)
【0017】
フォトダイオード101(101_1、101_2、101_3、101_4)は、光電変換素子の一例である。変換領域103(103_1、103_2)は、フォトダイオード101から出力される電荷を保持して電圧に変換する容量素子であり、典型的には、半導体基板に形成されたフローティングディフュージョン(拡散領域)およびそれに接続された導電体を含む。該導電体は、配線層に形成される導電体パターンと、拡散領域と導電体パターンとを接続するプラグ(コンタクトプラグ、ビアプラグ)とを含みうる。増幅トランジスタ105(105_1、105_2)は、変換領域103の電圧を増幅する増幅素子の一例である。リセットトランジスタ104(104_1、104_2)は、変換領域103の電圧をリセット(初期化)するリセット素子の一例であり、垂直選択回路VSによって制御されうる。選択トランジスタ106(106_1、106_2)は、行を選択するためのスイッチの一例であり、垂直選択回路VSによって制御されうる。転送トランジスタ102(102_1、102_2、102_3、102_4)は、フォトダイオード101において光電変換によって生じた電荷を変換領域103に転送するための転送素子の一例であり、垂直選択回路VSによって制御されうる。
(中略)
【0020】
一方、固体撮像装置ISによって低解像度の静止画を出力する場合や、(前記最大解像度よりも低解像度の)動画を出力する場合には、同一画素列の各サブグループの画素が変換領域によって合成(加算)されて出力されうる。このような低解像度の画像(静止画または動作)を固体撮像装置ISから出力する動作を説明する。ここでは、代表的に、フォトダイオード101-1を含む画素およびフォトダイオード101-3を含む画素から合成された信号を第1列読出線c1に出力する動作を説明する。フォトダイオード101-1、101-3で発生した電荷は、垂直選択回路VSが転送トランジスタ102-1、102-3をオン状態にすることによって変換領域103-1に転送される。変換領域103-1に転送された電荷は、変換領域103-1において電圧に変換される。フォトトダイオード101-1から転送された電荷をQ1、フォトダイオード101-3から転送された電荷をQ3、変換領域103-1の容量をCとすると、変換領域103-1の電圧がV=(Q1+Q3)/Cだけ変化する。即ち、変換領域103-1において2つの画素の信号が合成(加算)される。増幅トランジスタ105-1は、垂直選択回路VSによって選択トランジスタ106-1がオン状態にされることによって、変換領域103-1の電圧に応じた電圧を選択トランジスタ106-1を介して第1列読出線c1に出力する。
【0021】
図2は、各画素列が図1に示す回路構成を有する画素アレイにおける2つの画素列の平面レイアウト図であり、本発明の第1実施形態を示している。図2において、101-1、101-2、101-3、101-4は、フォトダイオード(より厳密には、フォトダイオードの表面層)である。102-1、102-2、102-3、102-4は、転送トランジスタ(より厳密には、転送トランジスタのゲート電極)である。103-1、103-2は、変換領域である。該変換領域は、半導体基板に形成された拡散領域、該拡散領域に接続されたコンタクトプラグ、該コンタクトプラグに接続された第1金属配線層の導電パターン、該導電パターンと増幅トランジスタのゲート電極とを接続するコンタクトプラグを含む。106-1、106-2は、選択トランジスタ(より厳密には、選択トランジスタのゲート電極)である。105-1、105-2は、増幅トランジスタ(より厳密には、増幅トランジスタのゲート電極)であり、選択トランジスタと活性層を共有している。104-1、104-2は、リセットトランジスタ(より厳密には、リセットトランジスタのゲート電極)である。第1列読出線c1および第2列読出線c2は、同一の層に配置されうる。
【0022】
図2に例示される第1実施形態では、画素列に設けられた第1列読出線c1および第2列読出線c2の間に当該画素列の各画素のフォトダイオード101-1~101-4が配置されている。また、第1グループの画素行(第1、第3画素行)に属する画素のフォトダイオード101-1、101-3の第2列読出線c2の側における境界線b2と第1列読出線c1との間に、当該画素が属するサブグループの変換領域103-1が配置されている。また、第2グループの画素行(第2、第4画素行)に属する画素のフォトダイオード101-2、101-4の第1列読出線c1の側における境界線b1と第2列読出線c2との間に、当該画素が属するサブグループの変換領域103-2が配置されている。このような構成によれば、変換領域103-1と変換領域103-2とが交差することがなく、変換領域103-1と変換領域103-2との容量結合を小さくすることができる。一方、変換領域103-1と変換領域103-2とが交差するような構成では、両者の間の容量結合(および、その結果としてクロストーク)が大きくなる。これは、異なるカラーの画素の信号の間でクロストークが発生し、これによって混色が発生することを意味する。」
(エ)
「【0030】
図7は、本発明の第4実施形態を示す平面レイアウト図である。図7に例示される第4実施形態は、1つの画素列の光電変換素子とその隣の画素列の光電変換素子との間に当該1つの画素列の2つの列読出線(即ち、第1列読出線c1、第2列読出線c2)が配置されている点で第1乃至第3実施形態と異なる。第1列読出線c1と第2列読出線c2とは、互いに異なる層に配置されている。このような構成においても、第1乃至第3実施形態と同様に、変換領域103-1と変換領域103-2とを交差させずに配置することができる。更に、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを互いに異なる層に配置することにより、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを平面レイアウトにおいて互いに重なるように配置することも可能になる。この場合は、フォトダイオードの開口面積を広げることができるので、感度を向上することができる。」
(オ)
「
[図:0001438087000001.jpg]
」(図1)
(カ)
「
[図:0001438087000002.jpg]
」(図2)
(キ)
「
[図:0001438087000003.jpg]
」(図7)
ウ 引用文献1に記載された発明
(ア)
上記イ(オ)の図1からは、101-1及び101-3が、103-1の一端、104-1の一端、及び105-1を介して106-1の一端に接続されるとともに、106-1の他端が「c1」に接続されていること、また、101-2及び101-4が、103-2の一端、104-2の一端、及び105-2を介して106-2の一端に接続されるとともに、106-2の他端が「c2」に接続されていることが見てとれる。
(イ)
上記イ(ウ)の段落0015における「第1画素行および第3画素行の画素がFD103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第1列読出線107-1に出力する。」との記載、及び「第2画素行および第4画素行の画素がFD103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第2列読出線107-1に出力する。」との記載は、上記(ア)と整合していない。
そして、上記(ア)、上記イ(イ)の「画素アレイPAにおける各画素列pcには、・・・第1列読出線c1と第2列読出線c2とが設けられている。」、及び上記イ(ウ)段落0020の「フォトダイオード101-1を含む画素およびフォトダイオード101-3を含む画素から合成された信号を第1列読出線c1に出力する動作」との記載を総合すると、段落0015の上記記載は、それぞれ「第1画素行および第3画素行の画素がFD103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第1列読出線c1に出力する。」との記載、及び「第2画素行および第4画素行の画素がFD103-2、リセットトランジスタ104-2、増幅トランジスタ105-2、選択トランジスタ106-2を共有し、信号を第2列読出線c2に出力する。」の誤記であると解される。
また、上記「FD103-1」及び「FD103-2」が、それぞれ上記イ(ウ)段落0014の「変換領域103-1」及び「変換領域103-2」と同義であることは、技術常識である。
(ウ)
上記イ(ウ)の段落0017における「フォトダイオード101(101_1、101_2、101_3、101_4)」、「変換領域103(103_1、103_2)」、「増幅トランジスタ105(105_1、105_2)」、「リセットトランジスタ104(104_1、104_2)」、「選択トランジスタ106(106_1、106_2)」、及び「転送トランジスタ102(102_1、102_2、102_3、102_4)」との記載は、種別を示す3桁の数字と、序数を示す1桁の数字が、アンダーバー「_」で結ばれている点で、上記(ア)及び(イ)で参照した段落や図面の記載(当該3桁の数字と1桁の数字がハイフン「-」で結ばれている)とは相違するが、文脈を考慮すると、それぞれ「フォトダイオード101(101-1、101-2、101-3、101-4)」、「変換領域103(103-1、103-2)」、「増幅トランジスタ105(105-1、105-2)」、「リセットトランジスタ104(104-1、104-2)」、「選択トランジスタ106(106-1、106-2)」、及び「転送トランジスタ102(102-1、102-2、102-3、102-4)」を意味すると解される。
(エ)
上記イ(エ)によれば、上記イ(キ)の図7に例示される第4実施形態は、1つの画素列の光電変換素子とその隣の画素列の光電変換素子との間に当該1つの画素列の第1列読出線c1、第2列読出線c2が配置されている点で上記イ(ウ)及び(カ)の第1実施形態と異なるものである。
また、第1列読出線c1及び第2列読出線c2の配置について、第1実施形態では同一の層に配置されうる(上記イ(ウ)段落0021)一方、第4実施形態では互いに異なる層に配置されている(上記イ(エ))。
また、第1実施形態における画素列の平面レイアウト図(上記イ(ウ)段落0021)である上記イ(カ)の図2からは、101-1、101-2、101-3、101-4が記載された順に上から下に配置されていること、101-1及び101-3が103-1、104-1、105-1、106-1を共有してc1に接続されていること、並びに101-2及び101-4が103-2、104-2、105-2、106-2を共有してc2に接続されていること、が見て取れ、さらに、第4実施形態における平面レイアウト図(上記イ(エ))である上記イ(キ)の図7からも同じことが見て取れる。
そうすると、第4実施形態は、第1列読出線c1及び第2列読出線c2の配置に関する部分を除いて、第1実施形態と同様の構成を備えているといえる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、記号「a」から「j」は、分説するために合議体が付したものであり、記号「a」から「j」に対応する発明特定事項を、以下「構成a」から「構成j」という。
〔引用発明〕
(a) CMOSイメージセンサとして構成され画素アレイPAを備えている固体撮像装置ISであって(イ(イ))、
(b) 画素アレイPAは、二次元状に配列された複数の画素を含み(イ(イ))、
(c) ベイヤー配列に従うカラーフィルタが画素アレイPAの上に配置されており(イ(ウ)の0015)、
(d) 第1画素列の第1、第3画素行の画素のフォトダイオード101-1、101-3の上にはG(グリーン)色のカラーフィルターが配置され、また、第1画素列の第2、第4画素行の画素のフォトダイオード101-2、101-4の上にはR色のカラーフィルターが配置されており(イ(ウ)の0015)、
(e) 同一カラー(G色)の画素である第1画素行および第3画素行の画素が変換領域103-1、リセットトランジスタ104-1、増幅トランジスタ105-1、選択トランジスタ106-1を共有し、信号を第1列読出線c1に出力し(イ(ウ)の0015、及び(イ))、
(f) 同一カラー(R色)の画素である第2画素行および第4画素行の画素が変換領域103-2、リセットトランジスタ104-2、増幅トランジスタ105-2、選択トランジスタ106-2を共有し、信号を第2列読出線c2に出力し(イ(ウ)の0015、及び(イ))、
(g) フォトダイオード101(101-1、101-2、101-3、101-4)は、光電変換素子の一例であって、光電変換によって電荷を生じるものであり(イ(ウ)0017、及び(ウ))、
(h) 低解像度の静止画を出力する場合や、最大解像度よりも低解像度の動画を出力する場合には、同一画素列の各サブグループの画素が変換領域によって合成(加算)されて出力され、このような低解像度の画像を出力する動作では、代表的に、フォトダイオード101-1を含む画素およびフォトダイオード101-3を含む画素から合成された信号を第1列読出線c1に出力する動作において、フォトダイオード101-1、101-3で発生し、変換領域103-1に転送された電荷は、変換領域103-1において電圧に変換され、即ち、変換領域103-1において2つの画素の信号が合成(加算)され、増幅トランジスタ105-1は、変換領域103-1の電圧に応じた電圧を選択トランジスタ106-1を介して第1列読出線c1に出力し(イ(ウ)の0020)、
(i) 第1列読出線c1と第2列読出線c2とは、互いに異なる層に配置されており(イ(エ))、
(j) 変換領域103-1と変換領域103-2とを交差させずに配置することができて、更に、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを互いに異なる層に配置することにより、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを平面レイアウトにおいて互いに重なるように配置する場合は、フォトダイオードの開口面積を広げることができるので、感度を向上することができる(イ(エ)、及び(エ))、
(a) 固体撮像装置IS。
エ 引用文献3について
本願の優先日(2017年9月29日)前の2010年(平成22年)4月22日に公開され、当審で新たに引用する、特開2010-93653号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。下線は、強調のため合議体が付したものである。
「【0005】
ところで、この種の固体撮像素子において、多画素化、小型化が進むにつれて画素のユニットセルサイズが小さくなっている。
それに伴い、固体撮像素子においては、画素に占めるトランジスタの面積の割合が増加し、フォトダイオードの面積が小さくなるので飽和電荷量および感度が低下し、画質の劣化が問題となっている。
また、HDモードでの30fpsの実現など多画素での高速読み出しも必要となっている。
【0006】
そのため、小型ユニットセルサイズの画素を備える固体撮像素子において、感度とS/N改善、また高速読み出しのために幾つかの画素の信号をアナログまたはデジタルで加算する方法が幾つか提案されている。
【0007】
その1つに、複数の画素でフローティングディフュージョン(FD)を共有し、各画素で光電変換された電荷をFDで加算する方法がある。
しかし、画素のユニットセルサイズの縮小が進む中で、同色画素を加算するためにFDを形成すると更なるフォトダイオード面積の縮小となり、飽和電荷量および感度の低下、そして画質の劣化につながる。
【0008】
その他の加算方法にAD変換器(Analog digital converter)を有する固体撮像素子でデジタル信号に変換後、加算する方法がある。
全画素モードではある一定期間内に1回のAD変換を行うが、高速化を実現するためにデジタル加算をする場合はある一定期間内に複数回のAD変換が必要となり、AD変換の高速化と高速化に伴うノイズ悪化の問題がある。
【0009】
上記、FD加算とデジタル加算で発生する問題を回避でき、感度とS/Nの改善、高速化を可能とする方法として読み出し信号線に接続されている負荷MOS回路で加算するソースフォロワー加算が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】US Patent No:6794627 B2」
以上より、引用文献3には、
「固体撮像素子において、感度とS/N改善、また高速読み出しのために幾つかの画素の信号を加算する方法の1つである、複数の画素でフローティングディフュージョン(FD)を共有し、各画素で光電変換された電荷をFDで加算する方法では、画素のユニットセルサイズの縮小が進む中で、同色画素を加算するためにFDを形成すると更なるフォトダイオード面積の縮小となり、飽和電荷量および感度の低下、そして画質の劣化につながるとの問題が発生するところ、上記、FD加算で発生する問題を回避でき、感度とS/Nの改善、高速化を可能とする方法として、読み出し信号線に接続されている負荷MOS回路で加算するソースフォロワー加算がUS Patent No:6794627 B2により知られている。」
との技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されているといえる。
オ 引用文献4について
本願の優先日(2017年9月29日)前の2004年(平成16年)9月21日に公開され、当審で新たに引用する、米国特許第6794627号明細書(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。下線は、強調のため合議体が付したものである。
「The operation of the active pixel sensors themselves during an aggregation operation (i.e., when plural rows or columns are selected) is now described. As discussed at the beginning of this Detailed Description (using the FIG. 1A "non-storage" pixel embodiment for illustration), for the CMOS active pixel sensor 10, a voltage on the photodiode 12 is precharged to a reset potential, and the voltage on the photodiode 12 decreases as light or leakage discharges the photodiode. The voltage signal at the input of the follower-type amplifier 16 (e.g., at the gate of a source-follower amplifier) is read via the source follower amplifier 16 onto the column line 26 when the row select line 24 is active (actuating the row select switch 22).
When several rows are selected at once, the parallel follower-type amplifiers 16 (of the pixel sensors 10 of the selected rows) connected to a particular column line 26 will drive that column line higher than it would be driven as a result of any of the selected rows being individually selected, to a voltage that will tend to be more indicative of the higher input voltages and less indicative of the lower input voltages. Put another way, if the follower-type amplifier input voltages for n selected rows of a particular column line 26 are close in value to each other, then the resulting voltage on the column line 26 will be close to an average of the n values of those follower-type amplifier input voltages in the sense that the output change in response to any one small follower-type amplifier input voltage will be a gain near 1/n. On the other hand, if some of the follower-type amplifier input voltages for a particular column line 26 are much higher in value than the other follower-type amplifier input voltages generally, the resulting voltage on the column line 26 will tend toward the highest of the follower-type amplifier input voltages. This function is known in the art of analog processing as a "softmax" since the output change in response to higher values of follower-type amplifier input voltage will be greater, and lower values of follower-type amplifier input voltage will have relatively little influence or gain.」(11欄3から40行)
(当審訳: 集約動作中(すなわち複数の行またはカラムが選択されている場合)における、アクティブ画素センサ自体の動作について説明する。詳細な説明の冒頭(図1Aの「非ストレージ」画素の実施例を用いて)で述べたように、CMOSアクティブ画素センサ10では、フォトダイオード12上の電圧がリセット電位にプリチャージされ、光やリークによってフォトダイオード12の電圧が低下する。フォロワ型アンプ16(例えばソースフォロワアンプのゲート)入力の電圧信号は、行選択ライン24がアクティブ(行選択スイッチ22がオン)なときに、ソースフォロワアンプ16を介してカラムライン26に読み出される。
複数の行が同時に選択されると、選択された行の画素センサ10のフォロワ型アンプ16が並列に特定のカラムライン26に接続され、そのカラムラインを、いずれか1つの選択行だけが個別に選択された場合よりも高い電圧まで駆動する。この電圧は、より高い入力電圧の影響を強く受け、低い入力電圧の影響は小さくなる傾向がある。言い換えれば、特定のカラムライン26に対するn個の選択行のフォロワ型アンプ入力電圧が互いに近い値であれば、カラムライン26上の電圧はそれらn個の値の平均に近くなり、各フォロワ型アンプ入力電圧の小さな変化に対する出力の変化は1/n程度のゲインとなる。一方、特定のカラムライン26に対するフォロワ型アンプ入力電圧の一部が他よりもかなり高い場合、カラムライン26上の電圧は最も高いフォロワ型アンプ入力電圧に近づく。この機能はアナログ処理の分野では「ソフトマックス」として知られており、高い入力値に対する出力変化が大きく、低い入力値の影響やゲインは比較的小さくなる。)
「
[図:0001438087000004.jpg]
」(図1A)
以上より、引用文献4には、
「集約動作中(すなわち複数の行またはカラムが選択されている場合)における、CMOSアクティブ画素センサ10では、フォトダイオード12上の電圧がリセット電位にプリチャージされ、光によってフォトダイオード12の電圧が低下し、フォロワ型アンプ16(例えばソースフォロワアンプのゲート)入力の電圧信号は、行選択ライン24がアクティブ(行選択スイッチ22がオン)なときに、ソースフォロワアンプ16を介してカラムライン26に読み出され、複数の行が同時に選択されると、選択された行の画素センサ10のフォロワ型アンプ16が並列に特定のカラムライン26に接続され、そのカラムラインを、いずれか1つの選択行だけが個別に選択された場合よりも高い電圧まで駆動する。」
との技術(以下、「引用文献4技術」という。)が記載されているといえる。
カ 引用文献5について
本願の優先日(2017年9月29日)前の2017年(平成29年)6月8日に公開され、令和7年8月26日付け前置報告書において引用された、特開2017-103647号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。下線は、強調のため合議体が付したものである。
「【0004】
ここで、固体撮像素子から出力する画素を減らす場合に、列方向あるいは行方向に並ぶN画素を加算もしくは平均化(以下、混合と呼ぶ)して縮小率Mで縮小する処理をN/M画素混合と呼ぶものとする。この場合、列方向に関して、N/M画素混合方式(N≧2)を実現するには、一例として特許文献1に記載の技術が適用できる。すなわち、1本の列信号線に対し3つの画素行を同時並列に選択することにより、列信号線上でこれらの3画素行の信号電位を平均化することができる。」
「【0036】
まず、図6では固体撮像素子2のある列信号線VLに対し同時並列に選択する5画素行単位の等価回路図を示している。以下、その構成について説明する。図6において破線200で囲まれた単位画素について説明する。光電変換部201はフォトダイオードからなり、光を電荷に変換する。フローティングディフュージョン部(電荷蓄積部)202は、光電変換部201から転送された電荷を蓄積する。転送トランジスタ203は光電変換部201の信号電荷をフローティングディフュージョン部202に転送する。リセットトランジスタ204はフローティングディフュージョン部202を電源電位VDDにリセットする。ソースフォロワトランジスタ205は、そのゲートにフローティングディフュージョン部202の電位が入力され、そのソースを列信号線VLに接続していわゆるソースフォロワ回路を構成する。なお、図6において図示していないが、列信号線VLは定電流源によって電流値Isfでバイアスされることでソースフォロワ回路を構成する。選択トランジスタ206はソースフォロワ回路を列信号線VLに接続するかしないかを単位画素毎に設定する。
【0037】
リセットを解除されたフローティングディフュージョン部202の電位は、電源電位VDDからリセットトランジスタの閾値電圧分低下した電位となり、ソースフォロワ回路の持つ所定の電圧ゲインを介して電位Vrstに変換される。転送トランジスタ203のゲートをONし、リセットが解除されたフローティングディフュージョン部202に光電変換部201で発生した信号電荷が転送されると、フローティングディフュージョン部202の電位は低下する。すなわち、同じく所定のソースフォロワ回路ゲインを介して電位Vrstから信号電位Vinに低下する。
【0038】
単位画素200の構成は、上述の要素に限定されるものではない。例えば、複数の光電変換部200およびそれらに対応する転送トランジスタ203とで、フローティングディフュージョン部202、リセットトランジスタ204、ソースフォロワトランジスタ205および選択トランジスタ206を共有する構成でもよい。また、選択トランジスタ206を削除し、フローティングディフュージョン部202の電源を行順次に供給することにより列信号線VLへの接続を制御する構成をとっても構わない。
【0039】
図6(a)は、列方向に連続した5つの単位画素200の選択トランジスタ206を同時にONした例、すなわち列信号線VLに対し同時並列に5つの画素を接続した例を示す。この場合、詳細は後述するが、列信号線VLの電位は、5つの画素からの信号電位が相互に関連した信号電位Voutとなる。図6(a)では便宜上、列方向に連続した5つの単位画素200を共通の列信号線VLに接続したが、単位画素200を図示しないカラーフィルタの色毎にまとめてもよい。代表的なカラーフィルタ配列としては緑(G)の画素を市松状に配列し、残りの画素位置に赤(R)および青(B)の画素を配列したベイヤー配列が挙げられる。この場合は列方向に連続した10画素のうち1画素おきに接続した5画素を列信号線VLに対し同時並列に接続すれば、同色の5画素をまとめたことになる。」
「
[図:0001438087000005.jpg]
」(図6(a))
上記段落0004における、「固体撮像素子から出力する画素を減らす場合に、列方向・・・に並ぶN画素を加算もしくは平均化(以下、混合と呼ぶ)して縮小率Mで縮小する処理をN/M画素混合と呼ぶものとする。この場合、列方向に関して、N/M画素混合方式(N≧2)を実現するには、一例として特許文献1に記載の技術が適用できる。すなわち、1本の列信号線に対し3つの画素行を同時並列に選択することにより、列信号線上でこれらの3画素行の信号電位を平均化することができる。」との記載によれば、列方向に関してN/M画素混合方式(N≧2)を実現するために、1本の列信号線に対し3つの画素行を同時並列に選択することにより、列信号線上でこれらの3画素行の信号電位を平均化する技術を適用することが開示されている。
そして、上記段落0004の記載によれば、「混合」とは「加算」と「平均化」を包含する概念であるといえるから、引用文献5には、列方向に関してN/M画素混合方式(N≧2)を実現するために、1本の列信号線に対し3つの画素行を同時並列に選択することにより、列信号線上でこれらの3画素行の信号電位を加算する技術を適用することが開示されているといえる。
以上より、引用文献5には、
「固体撮像素子において、1本の列信号線に対し複数の画素行を同時並列に選択することにより、列信号線上でこれらの複数画素行の信号電位を加算するための単位画素の構成について、フローティングディフュージョン部(電荷蓄積部)202は、フォトダイオードからなる光電変換部201から転送された電荷を蓄積し、ソースフォロワトランジスタ205は、そのゲートにフローティングディフュージョン部202の電位が入力され、そのソースを列信号線VLに接続していわゆるソースフォロワ回路を構成し、列信号線VLは定電流源によって電流値Isfでバイアスされることでソースフォロワ回路を構成し、選択トランジスタ206はソースフォロワ回路を列信号線VLに接続するかしないかを単位画素毎に設定する構成に限定されず、複数の光電変換部200およびそれらに対応する転送トランジスタ203とで、フローティングディフュージョン部202、リセットトランジスタ204、ソースフォロワトランジスタ205および選択トランジスタ206を共有する構成でもよい。」
との技術(以下、「引用文献5技術」という。)が記載されているといえる。
キ 引用文献6について
本願の優先日(2017年9月29日)前の2017年(平成29年)9月28日に公開され、当審で新たに引用する、特開2017-1731589号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。下線は、強調のため合議体が付したものである。
「【0032】
図3は、画素Gの詳細な構成図である。図3に図示の画素Gは、列番号(G(n,m)のm)が奇数の画素であり、副画素Poが左に配置され、副画素Peが右に配置されている。列番号(G(n,m)のm)が偶数の画素Gでは、左が副画素Peであり、右が副画素Poの配置になっている。図3では、後述の結線K1等のビニング用結線の図示を省略している。
【0033】
副画素Poは、PD、M1,M3、Fd1,Fd3、及び2つのBMを備える。副画素Peは、PD、M2,M4、Fd2,Fd4、及び2つのBMを備える。なお、PDはフォトダイオードを意味し、Mは振分けスイッチを意味し、Fdは、電荷蓄積部としてのフローティングディフュージョンを意味し、BMは転送スイッチを意味するものとする。M1~M4及びBMは、FET(電界効果トランジスタ)から成る。なお、Fd1~Fd4を個々に区別する必要のないときは、「Fd」と総称する。」
「【0088】
実施形態では、ビニングの手法として、Fdの情報をソースフォロワ接続のBMを介して電圧出力し、BMドレイン同志を接続している。本発明は、これに限定されず、例えば複数のFd同士を接続して蓄積電荷量を合計する方法等のその他のビニング手法も用いることができる。」
「
[図:0001438087000006.jpg]
」(図3)
以上より、引用文献6には、
「フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法として、フローティングディフュージョンFdの情報をソースフォロワ接続の転送スイッチBMを介して電圧出力し、BMドレイン同志を接続する手法に限定されず、例えば複数のFd同士を接続して蓄積電荷量を合計する方法等のその他のビニング手法も用いることができる。」
との技術(以下、「引用文献6技術」という。)が記載されているといえる。
ク 周知技術について
(ア)フローティングディフュージョン(FD)による加算について
上記エの引用文献3技術は、「固体撮像素子において、・・・幾つかの画素の信号を加算する方法の1つである、複数の画素でフローティングディフュージョン(FD)を共有し、各画素で光電変換された電荷をFDで加算する方法」を含むものである。
また、上記エの引用文献5技術は、「固体撮像素子において、・・・複数画素・・・の信号電位を加算するための単位画素の構成について、・・・複数の光電変換部200・・・で、フローティングディフュージョン部202、・・・を共有する構成でもよい。」というものである。
さらに、上記エの引用文献6技術は、「フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法として、・・・フローティングディフュージョンFd・・・複数のFd同士を接続して蓄積電荷量を合計する方法等のその他のビニング手法も用いることができる。」というものである。
ここで、引用文献3技術の「フローティングディフュージョン(FD)」、引用文献5技術の「フローティングディフュージョン部202」、及び引用文献6技術の「フローティングディフュージョンFd」は同義である。
そして、引用文献3技術、引用文献5技術、及び引用文献6技術に共通して含まれている、「複数の画素でフローティングディフュージョン(FD)を共有し、各画素で光電変換された電荷をFDで加算する」ことについて、引用文献6技術では「フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法」と呼称している。
そうすると、フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法としてのフローティングディフュージョン(FD)による加算手法は、当業者に広く知られていたといえる。
(イ)ソースフォロワ接続による加算について
上記エの引用文献3技術は、「固体撮像素子において、・・・幾つかの画素の信号を加算する方法の1つである、・・・読み出し信号線に接続されている負荷MOS回路で加算するソースフォロワー加算」を含むものである。
また、上記エの引用文献5技術は、「固体撮像素子において、・・・複数画素・・・の信号電位を加算するための単位画素の構成について、・・・ソースフォロワトランジスタ205は、そのゲートにフローティングディフュージョン部202の電位が入力され、そのソースを・・・信号線・・・に接続していわゆるソースフォロワ回路を構成し、選択トランジスタ206はソースフォロワ回路を・・・信号線・・・に接続するかしないかを単位画素毎に設定する構成」を開示したものである。
さらに、上記エの引用文献6技術は、「フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法として、フローティングディフュージョンFdの情報をソースフォロワ接続の転送スイッチBMを介して電圧出力し、BMドレイン同志を接続する手法」を開示したものである。
ここで、引用文献3技術には明記されていないが、「画素の信号」がフローティングディフュージョン(FD)に蓄積され、その後出力されることは自明である。
また、引用文献6技術には、(読み出し)信号線が明記されていないが、「BMドレイン同志を接続」する信号線が当然設けられており、当該信号線は、引用文献3技術の「読み出し信号線」及び引用文献5技術の「信号線」と同様に機能する、と解される。
さらに、引用文献3技術の「負荷MOS回路」、引用文献5技術の「選択トランジスタ206」、及び引用文献6技術の「転送スイッチBM」は、ソースフォロワ接続により画素の信号を(読み出し)信号線に出力する点で共通するといえる。
そして、引用文献3技術、引用文献5技術、及び引用文献6技術に共通して含まれている、「フローティングディフュージョンFdの情報をソースフォロワ接続の転送スイッチBMを介して電圧出力し、BMドレイン同志を接続する手法」について、引用文献6技術では「フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法」と呼称している。
そうすると、フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法としてのソースフォロワ接続による加算手法は、当業者に広く知られていたといえる。
(ウ)ビニング手法の選択について
上記(ア)及び(イ)によれば、フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法について、FDによる加算手法と、ソースフォロワ接続による加算手法は、いずれも当業者に広く知られていた。
そして、引用文献5技術と、引用文献6技術は、フォトダイオードPDを備えた画素におけるビニング処理を行うための構成または手法について、FDによる加算と、ソースフォロワ接続による加算のうち、いずれを採用してもよいことを開示している。
そうすると、フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法として、FDによる加算に代えてソースフォロワー接続による加算を採用することや、ソースフォロワー接続による加算に代えてFDによる加算を採用することは、いずれも周知技術であるといえる。
ケ 本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と、引用発明とを対比する。
(ア) 本件補正発明の構成A1について
引用発明の「G(グリーン)色のカラーフィルター」(構成d)は、G色の光を透過させる一方、他の色の光を同様に透過させることはないという分光特性(本件補正発明の「第1分光特性」に相当する。)を有するフィルタの一種であることが自明であるから、構成A1の「第1分光特性を有する第1フィルタ」に相当する。
また、引用発明の「フォトダイオード101」(構成g)は、光電変換によって電荷を生じるものであるから、構成A1の「光を電荷に変換する」「光電変換部」に相当し、このうち「フォトダイオード101-1」は、構成A1の「光を電荷に変換する第1光電変換部」に相当する。
さらに、引用発明の「フォトダイオード101-1」は、その上にG色のカラーフィルターが配置されており(構成d)、光電変換によって電荷を生じるのであるから、G色のカラーフィルターを透過した光を電荷に変換するものといえる。
そうすると、引用発明の「フォトダイオード101-1」は、本件補正発明の構成A1の「第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換する第1光電変換部」に相当する。
(イ) 本件補正発明の構成A2について
引用発明の「R色のカラーフィルター」(構成d)は、R色の光を透過させる一方、他の色の光を同様に透過させることはないという、「G(グリーン)色のカラーフィルター」とは異なる分光特性(構成A2の「第2分光特性」に相当する。)を有するフィルタの一種であることが自明であるから、構成A2の「第2分光特性を有する第2フィルタ」に相当する。
そして、引用発明の「フォトダイオード101-2」は、その上にR色のカラーフィルターが配置されており(構成d)、上記(ア)で検討したのと同様に光電変換によって電荷を生じるから(構成g)、本件補正発明の構成A2の「前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する第2光電変換部」に相当する。
(ウ) 本件補正発明の構成A3について
引用発明の「フォトダイオード101-3」は、その上にG色のカラーフィルターが配置されているところ(構成d)、当該カラーフィルターは、フォトダイオード101-1の上に配置されたG色のカラーフィルターと同じ分光特性を有しつつも、「ベイヤー配列」(構成c)に従って配置されており、フォトダイオード101-1の上に配置されたG色のカラーフィルターとは別のものといえるから、構成A3の「前記第1分光特性を有する第3フィルタ」に相当する。
そして、引用発明の「フォトダイオード101-3」は、上記(ア)で検討したのと同様に光電変換によって電荷を生じるから(構成g)、本件補正発明の構成A3の「前記第1分光特性を有する第3フィルタを透過した光を電荷に変換する第3光電変換部」に相当する。
(エ) 本件補正発明の構成A4について
引用発明の「フォトダイオード101-4」は、その上にR色のカラーフィルターが配置されているところ(構成d)、当該カラーフィルターは、フォトダイオード101-2の上に配置されたR色のカラーフィルタと同じ分光特性を有しつつも、別のものといえるから、構成A4の「前記第2分光特性を有する第4フィルタ」に相当する。
そして、引用発明の「フォトダイオード101-4」は、上記(ア)で検討したのと同様に光電変換によって電荷を生じるから(構成g)、本件補正発明の構成A4の「前記第2分光特性を有する第4フィルタを透過した光を電荷に変換する第4光電変換部」に相当する。
(オ) 本件補正発明の構成A、及びCについて
引用発明の「フォトダイオード101(101-1、101-2、101-3、101-4)」(構成g)は、それぞれ、第1画素列の第1画素行、第2画素行、第3画素行、及び第4画素行の画素に設けられているから(構成d)、列方向に沿って「フォトダイオード101-1」、「フォトダイオード101-2」「フォトダイオード101-3」及び「フォトダイオード101-4」の順に配置されている。
ここで、引用発明のフォトダイオードは、半導体素子であることが技術常識であり、また、「二次元状に配列された複数の画素」に設けられるものであるから(構成b、d)、半導体層に配置されるといえる。
したがって、引用発明において、「二次元状に配列された複数の画素」(構成b)に設けられる「フォトダイオード101(101-1、101-2、101-3、101-4)」(構成g)が、第1画素列の第1画素行、第2画素行、第3画素行、及び第4画素行の画素に設けられている(構成d)ことは、本件補正発明の「列方向に沿って前記第1光電変換部、前記第2光電変換部、前記第3光電変換部および前記第4光電変換部の順に配置される半導体層」(構成A)「を備える」(構成C)ことに相当する。
(カ) 本件補正発明の構成B1’について
引用発明では、「フォトダイオード101-1、101-3で発生し、変換領域103-1に転送された電荷は、変換領域103-1において電圧に変換され、即ち、変換領域103-1において2つの画素の信号が合成(加算)され、増幅トランジスタ105-1は、変換領域103-1の電圧に応じた電圧を選択トランジスタ106-1を介して第1列読出線c1に出力」すること(構成h)により、「フォトダイオード101-1を含む画素およびフォトダイオード101-3を含む画素から合成された信号を第1列読出線c1に出力する動作」(構成h)が実現される。
ここで、前記「第1列読出線c1」が信号線であることは自明であり、また、上記(ア)、(ウ)で検討したとおり、前記「フォトダイオード101-1、101-3」は、それぞれ構成A1の「第1光電変換部」、構成A3の「第3光電変換部」に相当する。
さらに、前記「2つの画素の信号」は「フォトダイオード101-1、101-3で発生し、変換領域103-1に転送された電荷」によるものであるから、前記「変換領域103-1において2つの画素の信号が合成(加算)され」ることは、本件補正発明の構成B1’における「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる」ことに相当する。
そうすると、本件補正発明の「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第1信号線」(構成B1’)と、引用発明の「第1列読出線c1」は、「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われ」た信号を出力す「る第1信号線」である点で共通する。
ただし、「ビニング処理」について、本件補正発明では、「第1信号線」で「行われる」のに対して、引用発明では、「変換領域103-1」で行われ「第1列読出線c1」では行われない点(以下、「相違点1」という。)で、両発明は相違する。
そして、構成(i)によれば、引用発明は「第1列読出線c1」が配置された「層」を有することが明らかであり、当該「層」は、本件補正発明の構成B1’における「第1信号線が配置される第1層」に相当する。
(キ) 本件補正発明の構成B2’について
引用発明の構成hは、「代表的に、フォトダイオード101-1を含む画素およびフォトダイオード101-3を含む画素から合成された信号を第1列読出線c1に出力する動作」を示しており、構成(d)から(g)を参酌すれば、同様の動作により、フォトダイオード101-2を含む画素およびフォトダイオード101-4を含む画素から合成された信号を第2列読出線c2に出力する動作が実現されているといえる。
すなわち、引用発明においては、「フォトダイオード101-2」(第2光電変換部)、「101-4」(第4光電変換部)で発生し、変換領域103-2に転送された電荷は、変換領域103-2において電圧に変換され、即ち、変換領域103-2において2つの画素の信号が合成(加算)(ビニング処理)され、増幅トランジスタ105-2は、変換領域103-2の電圧に応じた電圧を選択トランジスタ106-2を介して「第2列読出線c2」(信号線)に出力するといえる。
そうすると、本件補正発明の「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第2信号線」(構成B2’)と、引用発明の「第2列読出線c2」は、「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われ」た信号を出力す「る第2信号線」である点で共通する。
ただし、「ビニング処理」について、本件補正発明では、「第2信号線」で「行われる」のに対して、引用発明では、「変換領域103-2」で行われ「第2列読出線c2」では行われない点(以下、「相違点2」という。)で、両発明は相違する。
そして、構成(i)によれば、引用発明は「第2列読出線c2」が配置された「層」を有することが明らかであり、当該「層」は、本件補正発明の構成B2’における「第2信号線が配置される第2層」に相当する。
(ク) 本件補正発明の構成B、及びCについて
引用発明における「第1列読出線c1」が配置された「層」、及び「第2列読出線c2」が配置された「層」は、それぞれ配線層といえる。
そして、引用発明において「第1列読出線c1と第2列読出線c2とは、互いに異なる層に配置されて」いる(構成i)ことは、本願発明が、前記「第1層」(構成B1’)と、前記「第2層」(構成B2’)と、「を少なくとも有する多層配線の配線層」(構成B)「を備える」(構成C)ことに、相当する。
(ケ) 本件補正発明の構成Cについて
構成aによれば、引用発明の「固体撮像装置IS」は、「CMOSイメージセンサとして構成され画素アレイPAを備えて」おり、また、本件補正発明の「撮像素子」は、その実施例として本件明細書の段落0014に「撮像素子101は、CMOSイメージセンサによって構成される。」と記載されていることから、両者はともにCMOSイメージセンサによって構成されており、引用発明の「固体撮像装置IS」は、本件補正発明の「撮像素子」に相当する。
以上(ア)から(ケ)をまとめると、本件補正発明と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。
〔一致点〕
(A1) 第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換する第1光電変換部と、
(A2) 前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する第2光電変換部と、
(A3) 前記第1分光特性を有する第3フィルタを透過した光を電荷に変換する第3光電変換部と、
(A4) 前記第2分光特性を有する第4フィルタを透過した光を電荷に変換する第4光電変換部とが、
(A) 列方向に沿って前記第1光電変換部、前記第2光電変換部、前記第3光電変換部および前記第4光電変換部の順に配置される半導体層と、
(B1’’) 前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われた信号を出力する第1信号線が配置される第1層と、
(B2’’) 前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われた信号を出力する第2信号線が配置される第2層と
(B) を少なくとも有する多層配線の配線層と
(C) を備える撮像素子。
〔相違点1〕
構成B1’’の「ビニング処理」について、本件補正発明では、「第1信号線」で「行われる」のに対して、引用発明では、「変換領域103-1」で行われ「第1列読出線c1」では行われない点。
〔相違点2〕
構成B2’’の「ビニング処理」について、本件補正発明では、「第2信号線」で「行われる」のに対して、引用発明では、「変換領域103-2」で行われ「第2列読出線c2」では行われない点。
コ 相違点についての判断
上記相違点1及び2について、まとめて検討する。
(ア)
引用文献3技術(上記エ)によれば、「幾つかの画素の信号を加算する方法」について、「FD加算」方法では、飽和電荷量および感度の低下や、画質の劣化の問題が発生するところ、US Patent No:6794627 B2(当審注:引用文献4)により知られている、読み出し信号線に接続されている負荷MOS回路で加算する「ソースフォロワー加算」方法によれば、当該問題を回避することができる。
また、引用文献4技術(上記オ)は、「集約動作中(すなわち複数の行またはカラムが選択されている場合)における、CMOSアクティブ画素センサ10では、フォトダイオード12上の電圧がリセット電位にプリチャージされ、光によってフォトダイオード12の電圧が低下し、フォロワ型アンプ16(例えばソースフォロワアンプのゲート)入力の電圧信号は、行選択ライン24がアクティブ(行選択スイッチ22がオン)なときに、ソースフォロワアンプ16を介してカラムライン26に読み出され、複数の行が同時に選択されると、選択された行の画素センサ10のフォロワ型アンプ16が並列に特定のカラムライン26に接続され、そのカラムラインを、いずれか1つの選択行だけが個別に選択された場合よりも高い電圧まで駆動すること。」である。
ここで、引用発明において、「ビニング処理」を「変換領域103-1」(FD103-1)で行うことは、引用文献3技術の「FD加算」方法に相当する。
また、引用文献3に記載された「ソースフォロワー加算」は引用文献4技術であって、当該技術における「フォトダイオード12」及び「カラムライン26」は、それぞれ本件補正発明における「第1光電変換部/第2光電変換部」及び「第1信号線/第2信号線」に相当するから、引用文献3に記載された「ソースフォロワー加算」(引用文献4技術)は、本件補正発明の構成B1’、B2’における「ビニング処理」を出力信号線で行うことに相当するといえる。
そうすると、「ビニング処理」を「変換領域103-1」(FD103-1)で行う引用発明においても、飽和電荷量および感度の低下や、画質の劣化の問題の発生は、当業者が当然認識する課題であり、当該問題を回避するために、引用文献3に記載された「ソースフォロワー加算」(引用文献4技術)を採用することには十分な動機付けがあるといえる。
したがって、引用発明において、上記問題を回避するために、「ビニング処理」を、「変換領域103-1」及び「変換領域103-2」で行う「FD加算」に代えて、「第1列読出線c1」及び「第2列読出線c2」で行う「ソースフォロワー加算」を採用することにより、相違点1及び2に係る構成を設けることは、引用文献3技術及び引用文献4技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)
上記イ(ア)(引用文献1の段落0005及び0006)によれば、引用文献1には、FD共通化による配線パターンの交差に起因するクロストークの低減に有利な構成を有する固体撮像装置を提供することを目的とする旨の記載がある。
一方、引用発明は、「変換領域103-1と変換領域103-2とを交差させずに配置することができて、更に、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを互いに異なる層に配置することにより、第1列読出線c1と第2列読出線c2とを平面レイアウトにおいて互いに重なるように配置する場合は、フォトダイオードの開口面積を広げることができるので、感度を向上することができる」(構成j)ものである。
ここで、上記イ(エ)(引用文献1の段落0030)によれば、「変換領域103-1と変換領域103-2とを交差させずに配置することができ」ることは、第1実施形態と第4実施形態に共通する作用効果である一方、「第1列読出線c1と第2列読出線c2とを平面レイアウトにおいて互いに重なるように配置する場合は、フォトダイオードの開口面積を広げることができるので、感度を向上することができる」ことは、「第1列読出線c1と第2列読出線c2とを互いに異なる層に配置することにより、」すなわち構成iにより達成される、第4実施形態に特有の作用効果である。
そうすると、第4実施形態に特有の構成である構成iを備えた引用発明において、解決しようとする主な課題は、「第1列読出線c1と第2列読出線c2とを平面レイアウトにおいて互いに重なるように配置」可能とすることにより、「フォトダイオードの開口面積を広げることができ」て「感度を向上することができる」ようにすることであり、また、当該課題を解決するための手段は構成iであるといえる。
ところで、上記ク(ウ)で検討したとおり、フォトダイオードPDを備えた画素のビニングの手法として、FDによる加算に代えてソースフォロワー接続による加算を採用することや、ソースフォロワー接続による加算に代えてFDによる加算を採用することは、いずれも周知技術である。
そして、引用発明におけるビニング処理を、「変換領域103-1」(FD103-1)及び「変換領域103-2」(FD103-2)で行うこと(FDによる加算)に代えて、「第1列読出線c1」及び「第2列読出線c2」で行うこと(ソースフォロワー接続による加算)としても、引用発明の上記主な課題を解決するための手段である構成iとの間に不整合は生じない。
したがって、引用発明において、「ビニング処理」を、「変換領域103-1」及び「変換領域103-2」で行う「FDによる加算」に代えて、「第1列読出線c1」及び「第2列読出線c2」で行う「ソースフォロワー接続による加算」を採用することにより、相違点1及び2に係る構成を設けることは、周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)
上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術、及び引用文献4技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
サ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張
令和7年6月11日に提出された審判請求書において、請求人は、以下のとおり主張している。下線は請求人が付したものである。
「B.請求項4について
本願の請求項4に係る発明は、次の構成要件4A及び構成要件4Bを備えている。
(構成要件4A)
・・・(当審注:上記構成A1、A2、A3、A4、及びAと同じである。)
(構成要件4B)
・・・(当審注:上記構成B1’、B2’、B、及びCと同じである。)
(b)本願発明と引用文献に記載の発明との対比
・・・
引用文献1には、同一のカラーの信号を出力する2つ以上の画素のフローティングディフュージョン(FD)を共通化し、該FDで複数の画素の信号を加算する方法では、共通化のための配線パターンが、隣接する別のカラーの配線パターンと交差することによって異なる色の画素の出力同士が容量結合するため、クロストークの原因となることについて記載されている。そして、引用文献1には、クロストークによりノイズが増加し、信号とノイズの比(S/N)が低下するという問題を解決するために、クロストークの低減に有利な構成を有する固体撮像装置を提供することを目的・課題とする発明が開示されている。より具体的には、引用文献1には、画素アレイに配列された複数の画素が、合成(加算)された1つの画素出力が行われるように、電荷を電圧に変換する変換領域を共有する同一カラーの画素で構成される複数のグループに分かれ、1つのグループの変換領域と他のグループの変換領域とが互いに交差しないように配置されていることが開示されている。しかしながら、引用文献1には、上記の構成要件1A及び構成要件1B、及び構成要件4A及び構成要件4Bのいずれについても、記載も示唆もされていない。
また、引用文献2(当審注:原査定において引用された特開2017-108286号公報を指す。)には、電子機器、搬送システム、工場、及びプログラムに関する発明が開示されている。また、引用文献2には、監視システムの監視カメラの撮像条件を撮像素子の一部で変化させることができないという背景技術の下、少なくとも1つの画素を有する撮像領域を複数有し、撮像領域毎に撮像条件が設定可能である撮像部を備える電子機器において、特定の撮像領域で対象被写体が撮像されたら、当該特定の撮像領域の撮像条件を変更することが開示されている。ここで、上記のように、同一のカラーの信号を出力する2つ以上の画素のフローティングディフュージョン(FD)を共通化し、該FDで複数の画素の信号を加算する方法では、共通化のための配線パターンは、隣接する別のカラーの配線パターンと交差することによって異なる色の画素の出力同士が容量結合するため、クロストークの原因となる。このため、引用文献1には、クロストークによりノイズが増加し、信号とノイズの比(S/N)が低下するという問題を解決するために、クロストークの低減に有利な構成を有する固体撮像装置を提供することを目的・課題とする発明が開示されている。従って、引用文献1は、引用文献2の発明と技術分野の関連性が低い上、目的・課題も大きく異なる。また、上記のように、引用文献1には、画素アレイに配列された複数の画素が、合成(加算)された1つの画素出力が行われるように、電荷を電圧に変換する変換領域を共有する同一カラーの画素で構成される複数のグループに分かれ、1つのグループの変換領域と他のグループの変換領域とが互いに交差しないように配置されていることが開示され、引用文献2の発明と作用・機能も大きく異なる。更に、引用文献1と引用文献2とのそれぞれには、互いの発明を示唆する記載がない。従って、引用文献2を引用文献1に適用する動機付けは、ないものと思料する。」
(イ) 請求人の主張についての判断
本件補正発明と引用発明は、請求人の上記主張の一部にあるとおり、上記相違点1及び2で相違する(上記ケ)。
しかしながら、上記コ(ウ)のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術、及び引用文献4技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
当該結論において、原査定において引用された引用文献2は考慮していないから、「引用文献1は、引用文献2の発明と技術分野の関連性が低い上、目的・課題も大きく異なる。また・・・引用文献1には、・・・が開示され、引用文献2の発明と作用・機能も大きく異なる。更に、引用文献1と引用文献2とのそれぞれには、互いの発明を示唆する記載がない。従って、引用文献2を引用文献1に適用する動機付けは、ないものと思料する。」といった請求人の主張は、上記コ(ウ)の結論に影響しない。
シ 独立特許要件についてのまとめ
上記コ(ウ)のとおり、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない。
(3) 本件補正の適否についてのまとめ
上記(2)シのとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2の[補正の却下の決定の結論]のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、令和6年12月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定されるものであるところ、当該請求項4に係る発明(本願発明)は、上記第2の[補正の却下の決定の理由]1(1)に記載したとおりのものと認める。
2 原査定の理由
原査定における拒絶の理由は、「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」との理由を含むものであって、請求項4に対して、上記引用文献1が引用された。
3 引用発明
上記「第2」2(2)ウ(エ)に記載したとおりのものと認める。
4 本願発明と引用発明の対比、及び判断
本願発明は、本件補正発明の構成B1’における「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第1信号線」について、第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが「それぞれ」出力される信号線であること、及び「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる」信号線であることの限定を解除したものである。
また、本願発明は、本件補正発明の構成B2’における「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であって前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる第2信号線」について、第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが「それぞれ」出力される信号線であること、及び「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを用いるビニング処理が行われる」信号線であることを限定を解除したものである。
よって、上記「第2」2(2)ケで検討した相違点1及び2は、本願発明と引用発明の相違点ではない。
また、上記「第2」2(2)ケ(カ)で説示したとおり、引用発明の「第1列読出線c1」は、「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とがそれぞれ出力される信号線であ」る「る第1信号線」である点で本件補正発明の「第1信号線」(構成B1’)と共通するから、「前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第1信号線」である点で、本願発明の「第1信号線」(構成B1)と共通する。
同様に、引用発明の「第2列読出線c2」は、「前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号と、前記第4光電変換部で変換された電荷に基づく信号とが出力される第2信号線」である点で、本願発明の「第2信号線」(構成B2)と共通する。
その余の構成については、上記「第2」2(2)ケで説示したとおりであるから、本願発明は引用発明である。
よって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
5 審判請求書における主張について
請求人の主張のうち、本件補正発明の内容を前提とする部分は、本願発明に基づく主張ではないから採用しない。
また、請求人の主張のうち、引用文献2を引用文献1に適用する動機付けに関する主張は、上記4の判断に影響しない。
第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-009024