特許異議申立
2023-701350
バリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法、並びにバリア性積層フィルムを備える包装材料
- 審判番号
- 2023-701350
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-064872
- 登録番号
- 7296050
- 請求日
- 2023年12月20日
- 審決日
- 2024年10月08日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】宮嶋 学
- 【権利者代理人】堀田 幸裕
- 【権利者代理人】岡村 和郎
- 【権利者代理人】高田 泰彦
- 【権利者代理人】柏 延之
- 【権利者代理人】永井 浩之
- 【権利者代理人】中村 行孝
- 【権利者代理人】朝倉 悟
- 【異議申立人】早川 いづみ
- 審判長/審判官
- 審判長 岩谷 一臣
- 審判官 稲葉 大紀
- 審判官 藤井 眞吾
- 分類
- P1651.113-YAA(B32B) / P1651.121-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7296050号発明「バリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法、並びにバリア性積層フィルムを備える包装材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7296050号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7~12〕について訂正することを認める。
特許第7296050号の請求項1~6、13、14に係る特許を維持する。
特許第7296050号の請求項7~12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7296050号(以下「本件特許」という。)の請求項1~14に係る特許についての出願は、平成31年3月28日(優先権主張 平成30年9月28日、平成31年3月7日)に出願され、令和5年6月14日にその特許権の設定登録がされ、令和5年6月22日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~14に係る特許に対し、令和5年12月20日に特許異議申立人早川いづみ(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。それ以降の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月26日付け 取消理由通知書
令和6年 5月23日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
令和6年 7月 9日 訂正請求書の手続補正書(方式)
令和6年 9月 4日 意見書(申立人)
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下、訂正自体を「本件訂正」という。)は、特許第7296050号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7~12について訂正することを求めるものであり、本件訂正の内容は、次の訂正事項からなるものである。
(1)訂正事項1
本件訂正前の請求項7~12を削除する。
(2)本件訂正は、一群の請求項〔7~12〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項7~12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7~12〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~6、13、14に係る発明(以下「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6、13、14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
バリア性積層フィルムであって、
基材と、
前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を備え、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、
少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上であり、
前記蒸着層は、酸化アルミニウムを含む透明蒸着層であり、
前記透明蒸着層は、遷移領域を含み、
前記遷移領域は、前記バリア性積層フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al2O4Hのピークの位置と、前記透明蒸着層と前記基材との界面との間の領域であり、
前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下である、バリア性積層フィルム。
【請求項2】
前記基材の突き刺し強度が9.5N以上である、請求項1に記載のバリア性積層フィルム。
【請求項3】
前記基材は、流れ方向及び垂直方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む、請求項1又は2に記載のバリア性積層フィルム。
【請求項4】
前記基材は、ポリブチレンテレフタレートを主成分として含む、請求項1又は2に記載のバリア性積層フィルム。
【請求項5】
前記蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルム。
【請求項6】
前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルム。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムと、
前記バリア性積層フィルムに積層された熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、
少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、包装材料。
【請求項14】
ボイル用包装袋又はレトルト殺菌用包装袋に用いられる、請求項13に記載の包装材料。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(新規性)
本件特許の請求項10~12に係る発明は甲第1号証に記載された発明であり、本件特許の請求項10に係る発明は甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項7~12に係る発明は甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許の請求項10に係る発明は甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
(3)引用文献一覧(申立人が提出した甲第○号証は以下「甲○」という。)
甲1:特開2018-58355号公報
甲2:再公表WO2014/050951号
甲3:再公表WO2013/100073号
甲4:特開平9-295369号公報
甲5:「東洋紡エステル○R(当審注:○の中にアルファベットのRの表記。以下同様。)フィルム(PETフィルム)T4100」、東洋紡株式会社、2010年3月10日
甲6:「エンブレット○Rの一般的性能 銘柄:PET-12(F) 標準グレード」、ユニチカ株式会社、2016年12月14日発行
甲7:「東洋紡エステル○Rフィルム(PETフィルム)E5100」、東洋紡株式会社、2010年3月10日
2 通知した取消理由についての当審の判断
甲1、甲2又は甲4を主引例とする取消理由(新規性、進歩性)については、当該通知の対象となった本件発明7~12は本件訂正により削除された。そのため、当該取消理由は消滅した。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の概要
特許異議申立理由のうち、請求項1~6、13、14に係る特許に関するものの概要は次のとおりである。
(1)申立理由2-1(甲1を主引例とした進歩性)
本件特許の請求項1~6、13、14に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
(2)申立理由2-2(甲2を主引例とした進歩性)
本件特許の請求項1、5、6、13、14に係る発明は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
(3)申立理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1~6、13、14に係る発明は、次の点で発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合しないため、請求項1~6、13、14に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 請求項1において「前記基材は・・・少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上であ」ると特定されているところ、これには基材の引張強度及び引張伸度が極端に小さい場合も含み、そのような場合には本件発明の課題(フィルム強度)が解決できない。
イ 本件明細書には、基材の引張強度を引張伸度で割った値について、実施例A1及び実施例A2のみにおいて記載され、比較例B1では上記値の記載がないから、請求項1の「2.0〔MPa/%〕以上」の数値範囲の臨界的意義が不明であり、請求項1の数値範囲まで拡大できない。また、実施例A1及びA2に係るフィルムが剛性を有することは検証されていないから、上記構成を満たすことで本件発明の課題(強度)を解決できることを当業者は認識できない。
ウ 本件明細書には、唯一の比較例B1について「基材の引張強度を引張伸度で割った値」についての記載はない一方、「0.0017N未満のループスティフネス」を有することの記載があることからすると、請求項3で特定される「0.0017N未満のループスティフネスを有」する構成は本件発明1に必須の構成といえるから、請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。
2 当審の判断
(1)甲1を主引例とした進歩性について
ア 甲1に記載された発明
甲1の請求項1、2、4、5、【0044】の記載を参酌すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「ポリエステル樹脂を含む基材と、前記基材上に設けられ、酸化アルミニウムを含む無機酸化物である透明蒸着層と、を備え、
前記基材は、60質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
前記基材と前記蒸着層との界面に、金属原子と炭素原子の共有結合が形成されている、フィルムであって、
前記蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を更に備える、フィルム。」
イ 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
[相違点1]
透明蒸着層が含む遷移領域について、
本件発明1は、「前記透明蒸着層は、遷移領域を含み、
前記遷移領域は、前記バリア性積層フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al2O4Hのピークの位置と、
前記透明蒸着層と前記基材との界面との間の領域であり、
前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下である」のに対し、甲1発明は、かかる構成を有するか不明な点。
ウ 判断
上記相違点について検討する。
本件発明1は、「水酸化アルミニウムは、その化学構造によりポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムとの密着性がよく、またそれ自体がネットワークを作り緻密なため、高い水蒸気バリア性を有する。しかし、熱ストレスに対して、水酸化アルミとプラスチックフィルムとの水素結合に基づく結合構造は微視的に崩れやすい。また、水酸化アルミニウムのネットワークに対しても、水分子と水酸化アルミニウムの粒界面の親和性から膜中に浸透しやすい。」(【0114】)という知見に鑑みて、「前記遷移領域は、前記バリア性積層フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al2O4Hのピークの位置と、
前記透明蒸着層と前記基材との界面との間の領域であり、
前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下である」ことを特定したものである。
そして、本件明細書には、上記の好ましい遷移領域の変成率とするため、「酸化アルミニウムを含む蒸着層2の好ましい遷移領域の変成率とするため酸素プラズマ前処理の処理圧力としては、1~20Paが好ましい。」(【0130】)こと、「酸素プラズマ前処理の搬送速度としては、300~800m/minが好ましい。」(【0131】)こと、
「酸素ガスと前記不活性ガスとの混合比率(酸素ガス/不活性ガス)は、6/1~1/1が好ましく、5/2~3/2がより好ましい。」(【0138】)こと、
「単位面積あたりのプラズマ強度は、100~1000W・sec/m2が好ましい。」(【0141】)ことなど、酸素プラズマ前処理の各種条件が記載されている(以下「本件明細書での酸素プラズマ前処理条件」という。)。
他方、甲1にはそもそも、基材と透明蒸着層との間に元素結合Al2O4Hを含む領域が形成されることに関して記載も示唆もなく、当然、当該領域の厚さに関しても記載も示唆もない。
よって、甲1発明において、ポリエステルフィルムと酸化アルミニウム蒸着層との間に元素結合Al2O4Hを含む領域が形成されるとしても、これに着目し、高速イオン照射による改質条件を調整して、相違点1に係る本件発明1の構成を採用する動機付けがない。
また、他の甲号証にも、金属酸化物層とポリエステルフィルムの間に水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al2O4Hを含む領域が形成されることについては、記載も示唆もない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件明細書の【0138】には、上記相違点に係る構成を実現するための手段として酸素プラズマ前処理用の酸素ガスと不活性ガスの混合ガスの混合比率を6/1~1/1とすることが記載されている。そして、甲1発明において、甲1の実施例1及び比較例7を参照してプラズマ前処理用の混合ガスとして酸素ガスと不活性ガス(アルゴン)の混合ガスを用いることが記載されており、該混合ガスの混合比率を適宜変更することは当業者が容易に想到し得たことである旨主張している(特許異議申立書の30ページ下から14~2行)。
しかしながら、上記ウで示したように、本件明細書には、変成率を調整するためのプラズマ条件が他にも種々記載されており、甲1発明において本件特許明細書の記載と同様の混合比率の混合ガスによる酸素プラズマ前処理を行っただけでは、甲1発明が相違点1に係る構成、すなわち、酸化アルミニウム蒸着層における「前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下である」との構成を備えることになるとする根拠はない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
オ 小括
上記ウ及びエのとおりであるから、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(2)甲2を主引例とした進歩性について
ア 甲2に記載された発明
甲2の請求項1、2、【0119】を参照すると、甲2には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「基材である厚さ12μmのPETの表面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を形成した層構成を有する透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL-Cの共有結合を含む透明蒸着フィルムであって、
前記蒸着膜表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性塗膜を有する透明蒸着フィルム」
イ 対比・判断
本件発明1と甲2発明を対比すると、両者は少なくとも上記(1)イで示した相違点1において相違する。そしてその判断についても、上記(1)ウで示したとおりである。
ウ 申立人の主張について
申立人は本件発明1と甲2発明との相違点について、異議申立書の32ページ6~18行において、上記(1)エで示したと同様の主張をしている。そして、その判断については、上記(1)エで示したとおりである。
エ 小括
上記イ及びウのとおりであるから、甲2発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)サポート要件について
ア 上記1(3)アについて
請求項1において、基材はポリエステルを主成分として含むことが規定されているから、ポリエステルを主成分として含む基材が通常有する強度及び伸度を有することは理解でき、その上で「引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上」を満たせば、本件発明の課題を解決できることを当業者は理解できる。
イ 上記1(3)イについて
上記アで説示したとおり「2.0〔MPa/%〕以上」であれば本件発明の課題を解決できることは理解できるから、臨界的意義を有することは要しない。
ウ 上記1(3)ウについて
本件発明の課題解決手段には関係しないから、請求項1で「0.0017N未満のループスティフネスを有」することを特定する必要はない。
3 令和6年9月4日提出の意見書における申立人の主張について
申立人は、「請求項7~12に係るバリア積層フィルムの製造方法によって製造されたバリア積層フィルムは、バリア積層フィルムの物のクレームである請求項1~6に係る発明を満足する蓋然性が高い」旨主張する(上記意見書の2ページの下から10~8行)。
確かに、本件明細書の特に【0138】には、透明蒸着層の厚みに対する遷移領域の厚みの比率(以下「遷移領域の変成率」という。)を5%以上60%以下とするために酸素ガスと不活性ガスとの混合比率を6/1~1/1とすることが記載されている。
しかしながら、上記記載は、遷移領域の変成率の調整手段を示しているに過ぎず、混合比率を6/1~1/1とすることが、本件発明1の「遷移領域の厚みの比率が5%以上60%以下」となる十分条件であることを示すものではない。他方、本件発明1は、遷移領域の厚みの比率というパラメータを見出した上で、その比率を5%以上60%以下とすることを規定するものである。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~6、13、14に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1~6、13、14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項7~12に係る特許についての特許異議の申立ては、本件訂正により申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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