特許異議申立
2024-700352
脱離可能な皮膜形成用組成物
- 審判番号
- 2024-700352
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-500109
- 登録番号
- 7364109
- 請求日
- 2024年04月17日
- 審決日
- 2025年07月10日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】DIC株式会社
- 【権利者代理人】粟野 晴夫
- 【権利者代理人】貴志 浩充
- 【権利者代理人】高井良 克己
- 【異議申立人】西村 裕之
- 審判長/審判官
- 審判長 関根 裕
- 審判官 弘實 由美子
- 審判官 瀬下 浩一
- 分類
- P1651.113-YAA(C09D) / P1651.121-YAA(C09D) / P1651.537-YAA(C09D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7364109号発明「脱離可能な皮膜形成用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7364109号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第7364109号の請求項1-12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許に係る出願は、2022年(令和4年)6月16日(優先権主張 令和3年7月7日(以下「本件優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、令和5年10月10日に特許権の設定登録(請求項の数12)がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行され、その後、令和6年4月17日に申立人である西村 裕之(以下「申立人」という。)により、その請求項1~12に係る特許について特許異議の申立てがされたものであり、当審は、同年8月21日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年10月15日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、同年同月25日に訂正請求書を補正対象とする手続補正書の提出を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったことを、同年同月31日付けで申立人に通知し、申立人は、同年11月29日に意見書を提出し、当審は、令和7年1月28日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年4月1日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その内容を「本件訂正」という。)を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったことを、同年同月9日付けで申立人に通知したところ、申立人からの応答はなかった。
なお、本件訂正請求がされたことにより、令和6年10月15日にされた訂正の請求は取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 訂正の趣旨
本件訂正請求は、請求の趣旨を「特許第7364109号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」というものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項1からなる。訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
水酸基価が、1.0mgKOH/g~30.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さないウレタン樹脂を含有する、皮膜形成用組成物。」
と記載されているのを、
「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であり、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~12も同様に訂正する)。
3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る特許発明は、ウレタン樹脂の「水酸基価」について、「1.0mgKOH/g~30.0mgKOH/g」であることを特定している。
これに対して、訂正後の請求項1に係る特許発明は、ウレタン樹脂の「水酸基価」について、「10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/g」であることを特定し、訂正前の請求項1よりも上限及び下限をより狭めた範囲に限定している。
また、訂正後の請求項1に係る特許発明は、「ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であり」の記載を追加することにより、「ウレタン樹脂」の「アミン価」について、上限が「2.10mgKOH/g未満」であることに限定している。
さらに、訂正後の請求項1に係る特許発明は、「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」の記載を追加することにより、「皮膜形成用組成物」が含有する「ウレタン樹脂」について、「前記ウレタン樹脂」即ち、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さず、アミン価が、2.10mgKOH/g未満であるウレタン樹脂」以外のウレタン樹脂を含まないものに限定している。
さらに、訂正後の請求項1に係る特許発明は、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」の記載を追加することにより、「皮膜形成用組成物」の用途を限定している。
これらの訂正箇所は、いずれも、訂正前の請求項1に記載の発明特定事項の範囲を限定するものである。
すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記アの理由から明らかなように、前記訂正事項1は、「水酸基価」及び「アミン価」の範囲、「皮膜形成用組成物」が含有する「ウレタン樹脂」の種類、及び「皮膜形成用組成物」の用途を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
前記訂正事項1は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
前記訂正事項1のうち、「水酸基価」の範囲を「10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/g」に特定した訂正は、下限の「10.0mgKOH/g」については、明細書の段落【0017】の「ウレタン樹脂の水酸基価としては、・・・10.0mgKOH/g以上がさらに好ましい」との記載に基づくものであり、上限の「25.0mgKOH/g」については、明細書の段落【0017】の「ウレタン樹脂の水酸基価としては、・・・25.0mgKOH/g以下がより好ましく」との記載に基づくものであり、「ウレタン樹脂」の「アミン価」の範囲を「2.10mgKOH/g未満」に特定した訂正は、明細書の段落【0132】の【表2】に記載の合成例10のアミン価の数値「2.10(mgKOH/g)」との記載に基づくものであり、また、明細書の実施例1、2、6、8~11(合成例1、2、6のポリウレタン1、2、6を用いている)で水酸基価及びアミン価の両方がこの数値範囲にある皮膜形成用組成物が記載されていることでも裏付けられているので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
前記訂正事項1のうち、「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」との記載を追加した訂正については、明細書の実施例1~6、8、9(合成例1~6のポリウレタン1~6を用いている)において、ウレタン樹脂として「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さないウレタン樹脂」のみを含有し、当該ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含有しない「皮膜形成用組成物」が記載されていることに基づくものであるので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
前記訂正事項1のうち、「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」の記載を追加した訂正については、明細書の実施例1、2、6、8~11( 合成例1、2、6のポリウレタン1、2、6を用いている)には、ウレタン樹脂として「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さず、アミン価が、2.10mgKOH/g未満であるウレタン樹脂」のみを含有し、当該ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含有しない「皮膜形成用組成物」が記載されていることで裏付けられているので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
前記訂正事項1のうち、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」の記載を追加した訂正については、訂正前の請求項1及び明細書の段落【0007】の[1]の「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜」との記載等に基くものであり、明細書の実施例の剥離試験で、実施例1~6、8、9(合成例1~6のポリウレタン1~6を用いている)の皮膜形成用組成物がアルカリ溶液により剥離したことが記載されていることでも裏付けられているので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものであるといえる。
エ 独立特許要件
本件特許異議申立事件においては、訂正前の請求項1~12の全てが特許異議の申立ての対象とされているので、前記訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)一群の請求項について
訂正前の請求項1~12について、請求項2~12は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~12に対応する訂正後の請求項1~12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
したがって、本件訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項1~12についてされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
4 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~12に係る発明は、令和7年4月1日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」等、まとめて「本件特許発明」ともいう。)である。
「【請求項1】
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であり、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。
【請求項2】
前記ウレタン樹脂が、構成成分として、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂は、ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られる骨格からなる、請求項1又は2に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項4】
着色剤を含有する、請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項5】
印刷インキとして用いられる、請求項4に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項6】
前記印刷インキが、有機溶剤系インキ、水系インキ、又はUVインキである、請求項5に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項7】
プライマー、又はニスとして用いられる、請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項8】
基材Aの表面に直接又は他の層を介して、請求項1から7のいずれかに記載の皮膜形成用組成物からなる皮膜を有する印刷物。
【請求項9】
前記皮膜が、印刷層、プライマー層、及びニス層から選ばれる少なくとも一つである、請求項8に記載の印刷物。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷物に対して、前記印刷層の前記基材Aが配置されている面とは反対側の面に、基材Bを配置し、前記印刷物と前記基材Bとを積層してなる積層体。
【請求項11】
請求項9に記載の印刷物に対して、アルカリ溶液で処理することにより前記皮膜を基材Aから脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の積層体に対して、アルカリ溶液で処理することにより前記皮膜とともに基材Bを脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。」
第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要等
1 特許異議の申立ての理由は次の理由1A~4である。
理由1A(新規性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2A(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由1B(新規性)本件特許の請求項1~6、8~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2B(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証及び甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由1C(新規性)本件特許の請求項1~6、8~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2C(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第3号証及び甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由1D(新規性)本件特許の請求項1~6、8~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2D(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第4号証及び甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由1E(新規性)本件特許の請求項1~6、8~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2E(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第5号証及び甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由1F(新規性)本件特許の請求項1~6、8、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2F(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由3(サポート要件)本件特許の請求項1~12に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
理由4(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、本件特許の請求項4に係る発明に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。
2 令和6年8月21日付けで通知した取消理由の概要は、次の理由1~2である。
理由1(新規性)本件特許の請求項1~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証~甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証~甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 令和7年1月28日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次の理由1~2である。
理由1(新規性)本件特許の請求項1~6、8~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証~甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由2(進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証~甲第11号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:特開2021-91476号公報
甲第2号証:特開2013-227465号公報
甲第3号証:特開2018-2905号公報
甲第4号証:特開2018-16708号公報
甲第5号証:特開2018-12819号公報
甲第6号証:特開2018-53014号公報
甲第7号証:特開2001-350411号公報
甲第8号証:複層フィルム包材におけるマテリアルリサイクル技術の協業展開について、2020年12月16日、伊藤忠商事株式会社のホームページを印刷した書面、第1~2ページ(https://www.itochu.eo.jp/ja/news/press/2020/201216.html)
甲第9号証:お知らせ、2020年、富士機械工業株式会社のホームページを印刷した書面、第1~2ページ(https://www.fujikikaikogyo.com/news/detail?id=695)
甲第10号証:THIOUNN, T. et al., Advances and approaches for chemical recycling of plastic waste, Journal of Polymer Science, 2020, Vol.58, p.1347-1364(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/pol.20190261)
甲第11号証:特許第6777263号公報
第5 前記第4における理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
1 甲号証について
甲第1号証~甲第11号証は前記第4のものと同じ。
2 甲号証の記載について
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)
1a「【請求項1】
少なくとも、第1の基材、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするためのプライマー層、及び印刷層をこの順に備えた包装材であって、
前記プライマー層を形成することに用いられるプライマー組成物は、バインダー樹脂として、60℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬後の重量平均分子量(Mw)が70%以下(浸漬前のMwを100%とする)となる樹脂(A)を含有する、包装材。
【請求項2】
少なくとも、第1の基材、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするためのプライマー層、印刷層、及び第2の基材をこの順に備えた包装材であって、
前記プライマー層を形成することに用いられるプライマー組成物は、バインダー樹脂として、60℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬後の重量平均分子量(Mw)が70%以下(浸漬前のMwを100%とする)となる樹脂(A)を含有する、包装材。
・・・
【請求項7】
請求項1~6いずれかに記載の包装材を塩基性水溶液に浸漬する工程を含むリサイクル基材製造方法であって、
前記塩基性水溶液は、塩基性化合物を塩基性水溶液全体の0.5~10質量%含み、かつ浸漬時の塩基性水溶液の水温は30~120℃である、リサイクル基材製造方法。」
1b「【0009】
よって、本発明の課題は、包装材として必要な基材接着性に優れ、かつ、パッケージ外側の印刷層だけでなく内側の印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れた、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することにある。
・・・
【0023】
[ウレタン樹脂]
ウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~50mgKOH/gである。15mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液中で樹脂の分子量が低下しやすく、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、70mgKOH/g以下であると、基材接着性や耐レトルト性が良好となるため好ましい。
また、ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材接着性が良好となるため好ましい。
水酸基価及び酸価は、いずれもJISK0070に従って測定した値である。
・・・
【0026】
上記ウレタン樹脂はアミン価を有していてもよい。ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。上記範囲内であると基材接着性が良好となるため好ましい。
・・・
【0044】
(ポリアミン)
本発明におけるポリアミンは特に制限されず、好ましくはジアミン化合物である。
ジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
より好ましくは、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミンである。水酸基を有するジアミンを使用することで、水酸基を一定量未反応で残存することができ、ウレタン樹脂に水酸基価を導入することができる。
・・・
[ウレタン樹脂の製造]
前述のとおり、ウレタン樹脂としてより好ましくは、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、さらに、ポリアミンを反応させて鎖延長した樹脂である。この場合、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートの反応(以下ウレタン化工程という)において、ポリイソシアネートと、ポリオール及びヒドロキシ酸と、の官能基モル比(NCO/OH)は、好ましくは1.05~3.0であり、より好ましくは1.1~2.8である。また、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とポリアミンのアミノ基との官能基モル比(アミノ基/NCO)は、好ましくは0.7~1.3である。」
1c「【0076】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
・・・
【0080】
<プライマー組成物の樹脂の製造>
[合成例1](ポリウレタン樹脂P1)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PC(3-メチル-1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルのモル比が9/1/10の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリカーボネートポリオール)142.4部、PPG(ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)14.2部、DMPA(2,2-ジメチロールプロパン酸)、28.7部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)101.3部、NPAC(酢酸ノルマルプロピル)200部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEA(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)13.4部、IPA(イソプロピルアルコール)350部を混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量31,000、Mw/Mn=3.5、酸価40.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂P1の溶液を得た。
【0081】
[合成例2~7、比較合成例1](ポリウレタン樹脂P2~P7、PP1)
表1に記載の原料および仕込み量を用いた以外は合成例1と同様の手法により、ポリウレタン樹脂P2~P7、PP1の溶液を得た。
【0082】
【表1】
[図:0001427930000001.jpg]
【0083】
以下に、表1中の略称を示す。
・ PC:3-メチル-1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルのモル比が9/1/10の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリカーボネートポリオール
・ PMPA:3-メチル-1,5-ペンタンジオールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
・ PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
・ PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール
・ DMPA:2,2-ジメチロールプロパン酸
・ BD:1,4-ブタンジオール
・ IPDI:イソホロンジイソシアネート
・ NPAC:酢酸ノルマルプロピル
・ AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
・ IPA:イソプロピルアルコール
なお、上記合成例2~7、比較合成例1は、表1に記載のMw/Mnおよび質量平均分子量となるように、滴下量、滴下速度、温度調節および撹拌速度等の合成条件を調整した。
【0084】
<プライマー層形成用組成物>
[製造例1](プライマー組成物S1)
ポリウレタン樹脂P1溶液87部、EA(酢酸エチル)5部、IPA5部、シリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部をディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物S1を得た。
【0085】
[製造例2~12、比較製造例1~2](プライマー組成物S2~S12、SS1~SS2)
表2に示した原料および配合比率を使用した以外は、製造例1と同様の手法により、プライマー組成物S2~S12、SS1~SS2を得た。
【0086】
【表2】
[図:0001427930000002.jpg]
【0087】
以下に、表2中の略称を示す。・P8溶液:ニトロセルロース樹脂溶液(窒素含有量11.5質量% 質量平均分子量30000のニトロセルロース 固形分30%溶液)Mw変化率:69%
・P9溶液:ニトロセルロース樹脂(P8と同じ)/アルキッド樹脂(日立化成社製 フタルキッド133-60)(固形分重量比率70:30の混合溶液、質量平均分子量20000、固形分30重量% トルエン溶液)Mw変化率:65%
・PP2溶液:重量平均分子量40000、酸価60mgKOH/gのスチレン-アクリル共重合樹脂(固形分30%溶液)Mw変化率:95%
・PP4溶液:ロジン-マレイン酸樹脂溶液(固形分濃度30%、酸価200mgKOH/gのロジン-マレイン酸変性樹脂溶液)Mw変化率:85%
・シリカ粒子:水澤化学社製 P-73(平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)
・親水化剤A:グリセリンモノ12-ヒドロキシステアレート
【0088】
<インキの製造>
[インキ製造例1](印刷インキR1)
PP1溶液20部、PP3溶液5部、藍顔料10部、酢酸エチル10部、イソプロパノール10部を混合撹拌し、ビーズミルとしてサンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、PP1溶液25部、酢酸エチル10部、イソプロパノール10部を混合撹拌し、印刷インキR1を得た。
【0089】
[インキ製造例2~7](印刷インキR2~8)
表3に示した原料および配合比率を使用した以外は、インキ製造例1と同様の手法により、印刷インキR2~8を得た。
【0090】
【表3】
[図:0001427930000003.jpg]
【0091】
以下に、表3中の略称を示す。
・PP3溶液:塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液(日信化学社製 ソルバインTAO:固形分30質量% 酢酸エチル溶液
・藍顔料:C.I.Pigment Blue 15
・黄顔料:C.I.Pigment Yellow 83
・赤顔料:C.I.Pigment Red 57:1
【0092】
<包装材の製造>
[実施例1(1)](表刷り印刷物L1(1))
プライマー組成物S1および印刷インキR1を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるように希釈した。
PET(コロナ処理ポリエチレンテレフタレート基材 膜厚12μm)に対し、希釈したプライマー組成物S1および印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(PET)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)の構成である表刷り印刷物L1(1)を得た。
【0093】
[実施例2(1)~20(1)、比較実施例1(1)~4(1)](表刷り印刷物L2(1)~L20(1)、LL2(1)~LL4(1))
表4に記載のプライマー組成物と印刷インキを用いた以外は表刷り印刷物L1(1)と同様の手法により、表刷り印刷物L2(1)~L20(1)、LL2(1)~LL4(1)を得た。
【0094】
[比較実施例1(1)](表刷り印刷物LL1(1))
印刷インキR1を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるように希釈した。
PET(コロナ処理ポリエチレンテレフタレート基材 膜厚12μm)に対し、希釈した印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(PET)/印刷層(R1)の構成である表刷り印刷物LL1(1)を得た。
【0095】
[実施例1(2)](ラミネート積層体L1(2))
プライマー組成物S1および印刷インキR1を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるように希釈した。
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレン基材 膜厚20μm)に対し、プライマー組成物S1および印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤A(ポリエステル系ウレタン接着剤「東洋モートン社製 TM250HV/CAT-RT86L-60」)を乾燥後塗布量が2g/m2になるように塗布・乾燥した後、CPP(無延伸ポリプロピレン基材 膜厚30μm)と貼り合せて、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)/接着剤層/第2の基材層(CPP)の構成であるラミネート積層体L1(2)を得た。
【0096】
[比較実施例1(2)](ラミネート積層体LL1(2))
印刷インキR1を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるように希釈した。
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレン基材 膜厚20μm)に対し、印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/印刷層(R1)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤A(ポリエステル系ウレタン接着剤「東洋モートン社製 TM250HV/CAT-RT86L-60」)を乾燥後塗布量が2g/m2になるように塗布・乾燥した後、CPP(無延伸ポリプロピレン基材 膜厚30μm)と貼り合せて、第1の基材層(OPP)/印刷層(R1)/接着剤層/第2の基材層(CPP)の構成であるラミネート積層体LL1(2)を得た。
【0097】
[実施例2(2)~20(2)、比較実施例2(2)~4(2)](ラミネート積層体L2(2)~L20(2)、LL2(2)~LL4(2))
表4に記載のプライマー組成物と印刷インキを用いた以外はラミネート積層体L1(2)と同様の手法により、ラミネート積層体L2(2)~L20(2)、LL2(2)~LL4(2)を得た。
【0098】
<包装材の評価>
得られた包装材について以下の評価を行った。結果を表4に示す。
【0099】
【表4】
[図:0001427930000004.jpg]
【0100】
<表刷り印刷物における脱離性評価>
得られた表刷り印刷物を、2cm×2cmに切出し、2%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液50gに浸し、液温50℃、回転速度150rpmにて撹拌し、水洗・乾燥した後、PET基材からの印刷層の剥離性を評価した。
5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離。
4(良):撹拌20分を超え1時間以内に印刷層が100%PETフィルムから
剥離。
3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層が80%以上100%以下PETフィルムから剥離。
2(不可):撹拌12時間で印刷層の20%以上80%未満がPETフィルムから剥離。1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離。
3、4および5は実用上問題がない範囲である。
【0101】
<ラミネート積層体における脱離性評価>
得られたラミネート積層体を、2cm×2cmに切出し、2%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液50gに浸し、50℃にて撹拌して水洗・乾燥した後、絵柄層のOPPフィルムからの剥離性を評価した。
5(優):撹拌20分以内に印刷層・接着剤層等が100%OPPフィルムから剥離。
4(良):撹拌20分を超え1時間以内に印刷層・接着剤層等が100%OPPフィルムから剥離。
3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層・接着剤層等が80%以上100%以下OPPフィルムから剥離。
2(不可):撹拌12時間で印刷層・接着剤層等の20%以上80%未満がOPPフィルムから剥離。
1(劣):撹拌12時間で印刷層・接着剤層等の20%未満がOPPフィルムから剥離。 3、4および5は実用上問題がない範囲である。
【0102】
<表刷り印刷物における基材接着性(テープ接着性)評価>
得られた表刷り印刷物について、ニチバン社製セロハンテープ(12mm幅)を印刷層上に貼り、テープをゆっくり引き剥がし、途中から急激に引き剥がした時の、インキ被膜の剥離程度を評価した。
5(優):急激に剥がしてもインキ被膜が全く剥離しない。
4(良):急激に剥がした部分のうち25%未満の面積のインキ被膜が剥離する。
3(可):急激に剥がした部分のうち25%以上75%未満の面積のインキ被膜が剥離する。
2(不可):急激に剥がした部分のうち75%以上の面積のインキ被膜が剥離する、またはゆっくり剥がした部分のうちインキ被膜の一部が剥離する。
1(劣):ゆっくり剥がした部分のインキ被膜が全面剥離する。
3、4および5は実用上問題がない範囲である。
【0103】
(透過率)
得られたラミネート積層体を2cm×2cmの大きさに切り出し、2%のNaOH水溶液15gに浸し、液温70℃、回転速度150rpmで2時間撹拌した。サンプルの溶液部分を取り出して測定セルに入れ、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V-560)にて可視光領域(400~760nm)の最大吸収波長における透過率を測定した。
当該透過率が高いほど、フィルムをペレット状のリサイクル基材に再生する際に、透明度の高いペレットが得られる上、NaOH水溶液の着色も抑制するので、NaOH水溶液の再利用も容易となる。
【0104】
上記の評価結果より、本発明のプライマー組成物と印刷インキで作製した包装材であれば、表刷り構成およびラミネート構成での包装材において、アルカリ水溶液中で基材からインキ等を容易に脱離できて良質なリサイクル基材が得られることが示された。」
(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)
2a「【請求項1】
トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、有機ジアミンおよびアルカノールアミンと反応させてなるポリウレタン樹脂、
並びに混合溶剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
下記の(A)~(E)であることを特徴とするポリウレタン樹脂組成物。
(A)ポリイソシアネートの全イソシアネート基と高分子ポリオールの水酸基との反応におけるモル比[NCO(全)]/[OH]が、1.8~2.3である。
(B)トリレンジイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオールの水酸基との反応におけるモル比[NCO(TDI)]/[OH]が、1.0~2.1である。
(C)ポリウレタン樹脂の水酸基価が1.0~10.0mgKOH/gである。
(D)有機ジアミンのモル数d1とアルカノールアミンのモル数d2とのモル比d1/d2が、3~25である。
(E)混合溶剤が、エステル系溶剤とアルコール系溶剤とを含む。
【請求項2】
高分子ポリオールが、ポリエステルジオールとポリエーテルジオールとからなり、
高分子ポリオール中の、ポリエステルジオールが20~80重量%、ポリエーテルジオール80~20重量%であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載のポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする印刷インキ組成物。」
2b「【0006】
本発明は、トルエンやキシレンなどの芳香族有機溶剤、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤の排除に対応したエステル/アルコール溶剤系において、優れた版かぶり性等の印刷適性を確保し、かつ各種プラスチックフィルムに対し優れた接着性、耐ブロッキング性、耐アルコールブリード性、およびラミネート物性等の印刷物性をも併せ持つ印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
・・・
【0020】
さらに、エステル/アルコール溶剤系での版かぶり性等の印刷適性と、耐アルコールブリード性のバランスを取るために重要な因子として、ポリウレタン樹脂の水酸基価がある。本発明におけるポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~10.0mgKOH/gである。水酸基価が1.0mgKOH/g未満であると、接着性、ELラミネート強度が劣り、また溶解性も著しく悪化するため版かぶり性が劣る。水酸基価が10.0mgKOH/gより大きいと、耐アルコールブリード性が劣る。
【0021】
本発明における鎖延長剤としての有機ジアミンは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’ -ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができるが、特にイソホロンジアミンが好ましい。
【0026】
本発明におけるポリウレタン樹脂のアミン価は2.0~7.0mgKOH/g、より好ましくは3.0~6.0mgKOH/gである。アミン価が2.0mgKOH/gより小さいと版かぶり性、接着性およびELラミネート強度が劣りやすく、7.0mgKOH/gより大きいと耐ブロッキング性が劣りやすい。」
2c「【0043】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表す。
・・・
【0047】
[合成例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、分子量2000のPPA2000(水酸基価56.1mgKOH/g)111.99部、分子量1000のPPG1000(水酸基価112.2mgKOH/g)111.99部、トリレンジイソシアネート52.65部、2-エチルヘキサン酸スズ(II)0.03部、酢酸エチル82.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で3時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液359.16部を得た。次いでイソホロンジアミン21.74部、モノエタノールアミン1.64部、イソプロピルアルコール290部、酢酸エチル327.47部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液359.16部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30.0%、重量平均分子量30000、アミン価4.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU01)を得た。
【0048】
[合成例2~24]
表1および表2の仕込み比にて、合成例1と同様の操作で、ポリウレタン樹脂組成物(PU02~PU24)を得た。
なお合成には下記の原料を用いた。
PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)
NPG2000:ポリ(ネオペンチルアジペート)ジオール(数平均分子量2000)
PMPA2000:ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)
PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)
TDI:トリレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
MEA:モノエタノールアミン
DEA:ジエタノールアミン
DBA:ジ-n-ブチルアミン
IPA:イソプロピルアルコール
【0049】
[実施例1]
酸化チタン(TITONE R45M 堺化学製)30.00部、ポリウレタン樹脂組成物(PU01)10.00部、酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤(重量比70/30)10.00部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂組成物(PU01)40.00部、酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤(重量比70/30)10.00部を攪拌混合し、白色印刷インキ組成物(W01)を得た。さらに、この白色印刷インキ組成物100.00部に、重量比で酢酸エチル/イソプロピルアルコール=85/15の希釈溶剤1、または酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の希釈溶剤2を、それぞれ40.00部混合し、評価用の白色希釈印刷インキ1および白色希釈印刷インキ2とした。
【0050】
[実施例2~16][比較例1~8]
実施例1と同様の操作で、白色印刷インキ組成物(W02~16及びW17~24)を得た。なお、各々の印刷インキ組成物に用いるポリウレタン樹脂組成物は表3および表4の通りである。また、実施例1と同様の操作で、得られた白色印刷インキ組成物100.00部に、重量比で酢酸エチル/イソプロピルアルコール=85/15の希釈溶剤1、または酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の希釈溶剤2を、それぞれ40.00部混合し、評価用の白色希釈印刷インキ1および白色希釈印刷インキ2とした。
【0051】
[版かぶり性]
NBR(ニトリルブタジエンゴム)製のゴム硬度80Hsの圧胴、刃先の厚みが60μm(母材の厚み40μm、片側セラミック層の厚み10μm)のセラミックメッキドクターブレード、東洋プリプレス株式会社製のクロム硬度1050Hvの電子彫刻版(スタイラス角度120度、200線/inch)の富士機械工業株式会社製グラビア印刷機に白色希釈印刷インキ1または白色希釈印刷インキ2をセットし、ドクター圧2kg/cm2、100m/分の回転速度で空転を60分行った後、片面コロナ処理OPPフィルム「パイレンP-2161(東洋紡績株式会社製)」のコロナ処理面に、印刷速度100m/分で印圧2kg/、60℃の熱風で乾燥し、印刷物を得た。この印刷物を黒色の紙の上に貼り、余白部分(非画線部)に付着したインキの量を以下の基準で目視評価した。
◎ :非画像部にインキの転移が全く認められなかった。
○ :非画像部にインキの転移が僅かに認められた。
○△:非画像部の小面積にインキの転移が認められた。これ以上実用レベルである。
△ :非画像部の大面積にインキの転移が認められた。
× :非画像部全面にインキの転移が認められた。
【0052】
[耐ブロッキング性]
白色希釈印刷インキ1を、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機によるコロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷して40~50℃で乾燥し、印刷物を得た。この印刷物を4cm×4cmにサンプリングし、このサンプルの印刷面と同じ大きさの未印刷フィルムの非処理面とを合わせて、50℃12時間、10kgfの加圧を行い、サンプルを剥離した時の、インキ取られ及び抵抗感を観察した。
◎ :印刷物からインキの転移が全く認められず、剥離時の抵抗感もなかった。
○ :印刷物からインキの転移が全く認められなかったが、剥離時の抵抗感があった。
○△:印刷物からインキの転移が認められたが、面積にして10%未満であった。
これ以上実用レベルである。
△ :印刷物からインキの転移が、10%以上50%未満の面積で認められた。
× :印刷物からインキの転移が、50%以上の面積で認められた。
【0053】
[接着性]
耐ブロッキング性試験で得た印刷物にセロハンテープ(ニチバン製、幅12mm)を貼り付け親指で5回強く擦った後、セロハンテープを徐々に引き離し途中から、急激に引き離してインキ皮膜の剥離の程度を調べた。
◎ :ゆっくり引き離しても、急激に引き離しても全くインキの剥離が認められない。
○ :ゆっくり引き離しても全くインキの剥離は認められないが、
急激に引き離すとインキの剥離が20%未満の面積で認められた。これ以上実用レベルである。
△ :ゆっくり引き離してもインキの剥離は認められないが、
急激に引き離すとインキの剥離が20%以上の面積で認められた。
△×:ゆっくり引き離しても50%程度までの面積のインキの剥離が認められた。
× :ゆっくり引き離してもほとんどのインキの剥離が認められた。
【0054】
[耐アルコールブリード性]
白色希釈印刷インキ1を、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機によるコロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷して40~50℃で乾燥し、次いでインラインにてイソプロピルアルコールを塗工、40~50℃で乾燥し、ブリード痕の跡など外観を観察した。
◎ :印刷物に外観不良の発生はなかった。
○ :印刷物に若干むらが認められた。これ以上実用レベルである。
△ :印刷物に薄くブリード痕が認められた。
× :印刷物にはっきりブリード痕が認められた。
【0055】
[ELラミネート強度]
版かぶり性試験の印刷条件で、片面コロナ処理で厚み20μmのポリプロピレン(以下OPP)フィルム「パイレンP-2161(東洋紡績株式会社製)」、片面コロナ処理で厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルム「東洋紡エステルフィルムE5100(東洋紡績株式会社製)」を基材とした印刷物を得て、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤「オリバインEL-420」(東洋モートン株式会社製、商品名)を塗布し、塗布面上にシーラントとして低密度ポリエチレン「ノバテックLC600」(日本ポリケム株式会社製、商品名)の溶融温度を315℃にて押し出し、ラミネート加工物を得た。低密度ポリエチレンの溶融温度は、押し出しラミネート機のTダイ直下における温度を接触式温度計(安立計器株式会社製HL-100)にて測定した。該ラミネート加工物におけるインキ部を巾15mmで裁断し、インキ面と溶融樹脂層の層間で剥離させた後、剥離強度をインテスコ製201万能引張り試験機にて剥離強度の測定を行った。なお、OPP/イミン構成では1.0N/15mm以上、PET/イミン構成では1.5N/15mm以上を実用レベルとする。
【0056】
評価結果を表3および表4にまとめる。実施例1~16の印刷インキは、比較例1~8の印刷インキ組成物と比較し、エステル/アルコール溶剤系において優れた版かぶり性等の印刷適性を示し、かつ耐ブロッキング性、接着性、耐アルコールブリード性、さらにラミネート適性等の印刷物性を確保できる、印刷インキ組成物を提供することができる。
【0057】
【表1】
[図:0001427930000005.jpg]
【0058】
【表2】
[図:0001427930000006.jpg]
【0059】
【表3】
[図:0001427930000007.jpg]
」
(3)甲第3号証(以下、「甲3」という。)
3a「【請求項1】
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)とを含有するバインダー樹脂を含有し、
前記塩化ビニル-アクリル共重合樹脂(A)100質量%中の塩化ビニル由来構造の含有率が75~95質量%である、非水系印刷インキ組成物。
・・・
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂(B)が、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を含み、
前記ポリエーテルポリオール由来の構造単位の比率が、前記ポリウレタン樹脂(B)100質量%中、5~80質量%の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
・・・
【請求項7】
前記ポリウレタン樹脂(B)の水酸基価が1~20mg/KOHgである、請求項1~6のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
・・・
【請求項9】
さらに着色剤(C)を含有し、
前記着色剤(C)が白色無機顔料を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。」
3b「【0036】
また、ポリウレタン樹脂(b1)は、アミン価や水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。また水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。
・・・
【0044】
また、ポリウレタン樹脂(B)は、基材に対する密着性と有機溶剤への溶解性が向上するためアミン価や水酸基価を有するものが好ましい。アミン価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましく、2~15mgKOH/gであることがより好ましい。また水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましく、1~15mgKOH/gであることがより好ましく、1~10mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基は、ポリウレタン樹脂(B)の側鎖及び/又は末端に存在していてよい。
・・・
【0058】
アミン系鎖延長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、さらに、ポリウレタンウレア樹脂の側鎖に水酸基を付加することができる鎖延長剤として、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖延長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。」
3c「【0112】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および
質量%を表わす。
・・・
【0116】
[実施態様I]
(合成例I-1)[ポリウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000のアジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルジオール(以下「PMPA」)150部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)を20部、数平均分子量1000のPPGを30部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)58.8部、および酢酸エチル64.7部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液324部を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)26.3部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2-エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.0部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=50/50の混合溶剤607.4部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価3.2mgKOH/g、重量平均分子量35000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
【0117】
(合成例I-2~I-6)[ポリウレタン樹脂PU2~PU6]
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液PU2~PU6を得た。なお、表1中において、PPA、PEG、TDIはそれぞれ、
PPA:アジピン酸と1,2―プロパンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール
PEG:ポリエチレングリコール
TDI:トリレンジイソシアネート(メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート)
を表わす。
【0118】
【表1】
[図:0001427930000008.jpg]
【0119】
(合成例I-7)[塩化ビニル-アクリル共重合樹脂A1]
1.0Lオートクレーブにて、ペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)1.0gをイオン交換水500gに溶解させ、脱気した。60℃に昇温後、塩化ビニルが357g、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが63g、ジ-2-エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム(エーロゾルOT)が5.0gからなる混合物425gをオートクレーブに内に60℃、6.5気圧で添加、反応させた。重合反応はオートクレーブが2.5気圧になるまで行った。できたエマルジョンを塩化ナトリウムで析出させ、ろ過後、洗浄、乾燥を行い、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂(A1)を得た。更に塩化ビニル-アクリル共重合樹脂(A1)を酢酸エチルに溶解させ、固形分30%のワニス(AA1)を得た。なお、A1におけるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの含有率は15.0%、重量平均分子量50000、ガラス転移温度69℃であった。
【0120】
(合成例I-8~I-13)[塩化ビニル-アクリル共重合樹脂A2~A7]
塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの比率を表2に示す比率に変更し、合成例7と同様の方法により、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂A2~A7およびそのワニス(AA2~AA7)を得た。なお、A4、A5の合成にはペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)1.0gの代わりにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.5g用いた。
【0121】
【表2】
[図:0001427930000009.jpg]
【0122】
(合成例I-14)[アクリル樹脂AP1の合成]
反応容器にメチルメタクリレート(以下「MMA」)85部、n-ブチルアクリレート(以下「BA」)10部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下「2HEA」)5部、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶剤を233部、及び1.2部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて混合し、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間重合し、水酸基を有するアクリル樹脂AP1を得た。得られた樹脂溶液の固形分は40質量%、重量平均分子量は25,000、ガラス転移温度は89.4℃、水酸基価は24.2mgKOH/gであった。
【0123】
(実施例I-1)[非水系グラビアインキS1の作製]
ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を42部、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂溶液A1(固形分30%)を8部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を11部、酢酸エチル/IPA=50/50の溶液39部を混合し、アイガーミルで15分間練肉し、非水系グラビアインキS1を得た。
【0124】
(実施例I-2~I-20)[非水系グラビアインキS2~S20の作製]
表3-1に示す顔料、表1のポリウレタン樹脂(PU1~PU6)、表2の塩化ビニル-アクリル共重合樹脂のワニス(AA1~AA6)および表3-1に記載する樹脂および添加剤を用い、実施例I-1と同様の方法により混合し、非水系グラビアインキS2~S20を得た。なお、表3-1中の略称は以下を表す。
ソルバインTAO:日信化学工業社製 水酸基含有塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液)
CAB38120BP:イーストマンケミカル社製 セルロースアセテートブチレート(固形分30%IPA溶液)
デュラネートP-301-75E:旭化成ケミカルズ社製 ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(3官能イソシアネート)
N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン:シラン化合物
なお、デュラネートP-301-75E、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランに関しては印刷直前に添加し、良く混合して印刷を行った(表中に示す添加量は、インキ組成物100質量部に対する質量部である)。
【0125】
(比較例I-1~I-18)[非水系グラビアインキT1~T18の作製]
表3-2に示す原料を使用する以外は上記実施例I-1~I-20と同様の方法にて非水系グラビアインキT1~T18を得た。なお、表3-2中の略称は以下を表す。
S-180:高松油脂株式会社製 ポリエステル樹脂 ガラス転移温度60℃ 重量平均分子量20000(固形分30%トルエン/メチルエチルケトン溶液)
【0126】
【表3-1】
[図:0001427930000010.jpg]
【0127】
【表3-2】
[図:0001427930000011.jpg]
【0128】
(実施例I-21)
<非水系グラビアインキの印刷>(ラミネート用評価)
上記で得られた、非水系グラビアインキS1(藍)を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、100%~10%までは10%で階調、10%~5%以下は5%で階調、5%以下は1%で階調)により、厚さ20μmのコロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)および厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷速度50m/分で印刷し、印刷物G1(OPP)、H1(PET)を得た。なお印刷条件は、印刷距離4000m、温度28℃、湿度65%の高温高湿度下で印刷して、グラデーション3%部分で基材転移性を、印刷終了後60分間空転して版かぶり性を確認した。
【0129】
得られた印刷物G1およびH1について、さらにポリエチレンイミン系アンカーコート剤(東洋モートン社製EL420)を固形分1質量%メタノール溶液で塗工し、低密度ポリエチレン(ノバテックLC600、日本ポリケム株式会社製)を315℃にて溶融して押し出し、未延伸ポリプロピレン(FCMN、膜厚40μm、東セロ社製)と貼り合わせてエクストルジョンラミネート加工を行った。
【0130】
(実施例I-22~I-40)
表4-1に示すインキを用いる以外、実施例I-21と同様の方法にて、印刷物G2~G20(OPP)およびH2~H20(PET)を得た。更にそれぞれの印刷物について、上記と同様の方法にてエクストルジョンラミネートを行った。
・・・
【0151】
【表4】
[図:0001427930000012.jpg]
」
(4)甲第4号証(以下、「甲4」という。)
4a「【請求項1】
顔料(A)と、バインダー樹脂(B)と、有機溶剤(C)と、水(D)とを含有する溶剤型ラミネート用グラビアインキであって、下記(1)、(2)および(3)を満たすことを特徴とする溶剤型ラミネート用グラビアインキ。
(1)バインダー樹脂(B)100重量%中、ポリウレタン樹脂(b1)と塩化ビニル共重合樹脂(b2)とを合計で80~100重量%含み、前記樹脂の重量比が、(b1):(b2)=95:5~40:60である。
(2)ポリウレタン樹脂(b1)100重量%中、ポリエーテル由来の構造単位を1~50重量%含有する。
(3)前記グラビアインキ100重量%中、グリコールエーテル系有機溶剤(c1)を0.1~15重量%、水(D)を0.1~5重量%含有する。
・・・
【請求項6】
基材上に、請求項1~5いずれかに記載の溶剤型ラミネート用グラビアインキから形成された印刷層を有する印刷物。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体。」
4b「【0036】
また、ポリウレタン樹脂(b1)は、アミン価や水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。また水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。
・・・
【0045】
前記アミン系鎖延長剤としては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。」
4c「【0084】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表わす。
・・・
【0086】
(合成例1)[ポリウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000のアジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(以下「PMPA」)170部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)20部、平均分子量1000のPPGを10部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)53.7部、および酢酸エチル63.4部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)23.9部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2-エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.0部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=70/30の混合溶剤591.3部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価3.3mgKOH/g、重量平均分子量38000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
【0087】
(合成例2)[ポリウレタン樹脂PU2]
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液PU2を得た。なお、表1中において、PPA、PEG、TDIはそれぞれ、
PPA:アジピン酸と1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール
PEG:ポリエチレングリコール
TDI:トリレンジイソシアネート(メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート)
を表わす。
・・・
【0090】
【表1】
[図:0001427930000013.jpg]
・・・
【0093】
(実施例1)[溶剤型ラミネート用グラビアインキS1の作成]
ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を40部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))5.0部、C.I.ピグメントレッド57:1(アゾレーキ赤顔料)を10部、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液37部を混合し、アイガーミルで30分間分散した。その後ディスパーで撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテルを5.0部、水を3.0部混合して溶剤型ラミネート用グラビアインキS1を得た。
【0094】
(実施例2~22)[溶剤型ラミネート用グラビアインキS2~S22の作成]
表2に示すグリコールエーテル溶剤、表3に示す原料を用い、実施例1と同様の方法により混合し、溶剤型ラミネート用グラビアインキS2~S22を得た。
・・・
【0098】
【表3】
[図:0001427930000014.jpg]
【0100】
(実施例23)
<溶剤型ラミネート用グラビアインキの印刷>
上記で得られた、溶剤型ラミネート用グラビアインキS1(藍インキ)を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:n-プロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト、100%~3%のグラデーション柄)により、厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷速度150m/分で印刷し、印刷物G1を得た。なお印刷条件は、温度32℃、湿度80%の高温高湿度下にて印刷距離4000m印刷し、印刷終了後60分間空転して版かぶり性を確認した。
【0101】
得られた印刷物G1について、さらにポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM320/CAT13B)を固形分25重量%および10重量%の酢酸エチル溶液として1.5g/m2となるように塗工・乾燥し、アルミ蒸着未延伸ポリプロピレン(VMCP2203、膜厚25μm、東レフィルム加工社製)と貼り合わせてドライラミネート加工を行った。
【0102】
(実施例24~44)
溶剤型ラミネート用グラビアインキS2~S22について、実施例23と同様の方法にて印刷物G2~G22を得た。更にそれぞれの印刷物について上記と同様の方法でドライラミネート加工を行った。なお評価はラミネート物を50℃、48時間保持後に行った。」
(5)甲第5号証(以下、「甲5」という。)
5a「【請求項1】
バインダー樹脂(A)、顔料(B)、有機溶剤(C)、および脂肪酸アミド(D)を含有するラミネート用グラビアインキであって、前記脂肪酸アミド(D)をインキ100重量%中に0.01~0.8重量%含むことを特徴とするラミネート用グラビアインキ。
・・・
【請求項6】
バインダー樹脂(A)が、ポリウレタン樹脂(a1)および塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂(a2)を合計で80~100重量%含み、前記樹脂の重量比が(a1):(a2)=95:5~40:60であることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載のラミネート用グラビアインキ。
【請求項7】
基材上に、請求項1~6いずれかに記載のラミネート用グラビアインキから形成された印刷層を有する印刷物。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷物の印刷層上に、接着剤層と、フィルムとが順に貼り合わされた積層体。」
5b「【0023】
また、ポリウレタン樹脂(a1)は、アミン価や水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。また水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましい。
・・・
【0032】
前記アミン系鎖延長剤としては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下のものが好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。」
5c「【0080】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表わす。
・・・
【0082】
(合成例1)[ポリウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000のアジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(以下「PMPA」)140部、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)60部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)60.7部、および酢酸エチル65.2部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)25.2部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2-エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.0部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=50/50の混合溶剤608.9部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価3.2mgKOH/g、重量平均分子量35000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
【0083】
(合成例2)[ポリウレタン樹脂PU2]
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液PU2を得た。なお、表1中において、PPA、PEG、TDIはそれぞれ、
PPA:アジピン酸と1,2‐プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール
PEG:ポリエチレングリコール
TDI:トリレンジイソシアネート(メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート)
を表わす。
【0084】
【表1】
[図:0001427930000015.jpg]
・・・
【0087】
(実施例1)[ラミネート用グラビアインキS1の作成]
ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を40部、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂(ソルバインTAO:日信化学工業社製 水酸基含有塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))5.0部、パルミチン酸アミドを0.2部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を10部、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液44.8部を混合し、アイガーミルで30分間分散し、ラミネート用グラビアインキS1を得た。
【0088】
(実施例2~24)[ラミネート用グラビアインキS2~S24の作成]
表2に示す性状の脂肪酸アミド(D)、表3に示す原料を用い、実施例1と同様の方法により混合し、ラミネート用グラビアインキS2~S24を得た。なお、表3中の略称は以下を表す。
ハイワックス220P:三井化学社製 固体粒子状ポリエチレンワックス
・・・
【0091】
【表3】
[図:0001427930000016.jpg]
・・・
【0093】
(実施例25)
<ラミネート用グラビアインキの印刷>
上記で得られた、ラミネート用グラビアインキS1(藍インキ)を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:n-プロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線100%ベタ版(版式コンプレスト)により、厚さ20μmのコロナ放電処理された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)および厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷速度80m/分で印刷し、印刷物G1およびGG1を得た。
【0094】
得られた印刷物GG1について、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤(東洋モートン社製EL420)を固形分1質量%(重量比、メタノール/水=70/30)溶液で塗工し、低密度ポリエチレン(ノバテックLC600、日本ポリケム株式会社製)を315℃にて溶融して押し出し、未延伸ポリプロピレン(FCMN、膜厚40μm、東セロ社製)と貼り合わせてエクストルジョンラミネート加工を行い、ラミネート積層体を得た。
【0095】
(実施例25~48)
表3に記載のインキを実施例24と同様の方法にて印刷物G2~G24(OPP)、GG2~GG24(PET)を得た。更に印刷物GG2~GG24(PET)について上記と同様の方法でラミネート積層体を得た。なお、評価はラミネートして1日後に行った。」
(6)甲第6号証(以下、「甲6」という。)
6a「【請求項1】
紙基材またはプラスチック基材に印刷するためのグラビアインキであって、バインダー樹脂(A)および炭化水素系ワックス(B)を含有し、下記(1)および(2)を満たすことを特徴とするグラビアインキ。
(1)炭化水素系ワックス(B)の日本工業規格JIS K 2207で規定された25℃における硬度(針入度)が、0.5~12である。
(2)グラビアインキ100質量%中、炭化水素系ワックス(B)を0.1~2.5質量%含有する。
・・・
【請求項8】
バインダー樹脂(A)が、ポリウレタン樹脂(A1)、セルロース系樹脂(A2)およびポリアミド樹脂(A3)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1~7いずれかに記載のグラビアインキ。
【請求項9】
請求項1~8いずれかに記載のグラビアインキにより印刷された印刷物。」
6b「【0032】
また、ポリウレタン樹脂(A1)は、アミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は1~20mgKOH/gであることが好ましい。また水酸基を有するものが特に好ましく、水酸基価は1~20mgKOH/gであることが好ましい。
・・・
【0042】
アミン系鎖延長剤としては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。」
6c「【実施例】
【0106】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、部および%は、特に注釈の無い場合、それぞれ質量部および質量%を表わす。
・・・
【0110】
(合成例2)[ポリウレタン樹脂PU2]
アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとの反応により得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール(以下「PMPA」)150部、PPG700 50部、IPDI 103.4部、および酢酸エチル75.8部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでIPDA 43.6部、2EtAm1.0部、酢酸エチル/IPA=50/50(質量比)の混合溶剤736.2部を混合したものに、上記末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価8.2mgKOH/g、水酸基価2.4mgKOH/g、重量平均分子量42000のポリウレタン樹脂溶液PU2を得た。
・・・
【0112】
(実施例1)[グラビアインキS1の作製]
バインダー樹脂(A)として、ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を31部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(ソルバインTAO:日信化学工業社製 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7(質量比)の共重合樹脂、固形分30%酢酸エチル溶液))を14部、炭化水素系ワックス(B)としてポリエチレンワックス(ハネウェル社製 A-C400A)を0.8部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を11部、酢酸n-プロピル/IPA=70/30(質量比)の溶液43.2部を混合し、アイガーミルで30分間分散し、グラビアインキS1を得た。
【0113】
(実施例2~44)[グラビアインキS2~S44の作成]
表3-1、表3-2に記載された原料および配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、グラビアインキS2~S44をそれぞれ得た。表中の略称は以下を表す。また、表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。
バーサミド750:BASF社製 軟化点116℃ 末端アミノ基含有ポリアミド樹脂 (固形分30%イソプロパノール溶液)
DLX5-8:ICI Novel enterprises社製 ニトロセルロース 窒素分12.0% (固形分30%イソプロパノール溶液)
ダイヤナールBR-107:三菱レイヨン社製 アクリル樹脂 30%酢酸エチル/イソプロピルアルコール溶液、重量平均分子量60000、ガラス転移温度50℃、酸価3.5mgKOH/g。
【0114】
(実施例45)<グラビアインキの印刷>
上記で得られたグラビアインキS22およびS1を、MEK:酢酸n-プロピル(以下「NPAC」):IPA=40:40:20(質量比)からなる混合溶剤により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、S22は腐蝕175線ベタ版(版深25μm)、S1(藍)はヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト グラデーション100%~3%)を備えたグラビア印刷機により、以下の基材の処理面に、基材/S29/S1の順で表刷り印刷を印刷速度80m/分で行い、印刷物J1(OPP)、K1(防曇)、L1(紙基材)を得た。
<基材>
・OPP:片面コロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR 厚さ25μm)
・防曇:両面防曇処理OPPフィルム(フタムラ化学社製 AF-662 厚さ25μm)
・紙基材:コート処理紙(大王製紙社製 製品名 リュウオウコート紙 65g/m2)
【0115】
(実施例46~88)
表3-1および表3-2に記載されたグラビアインキS2~S44について、表5-1および表5-2に記載の印刷構成にて印刷を行い、印刷物J2~J44(OPP)、K2~K44(防曇)、L2~L44(紙基材)を得た。
・・・
【0128】
【表1】
[図:0001427930000017.jpg]
・・・
【0130】
【表3-1】
[図:0001427930000018.jpg]
」
(7)甲第7号証(以下、「甲7」という。)
7a「【請求項1】 アルカリ水脱離性インキ層を有する熱収縮性ラベルから該インキ層を脱離除去する方法であって、熱収縮性ラベルを非浸漬条件下で加熱収縮させた後、アルカリ水に接触させてインキ層を脱離除去することを特徴とする熱収縮性ラベルからのインキ層の除去方法。」
7b「【0003】しかしながら、例えば熱収縮性ラベル付きPETボトルなどの熱収縮性ラベルが装着された被着体をリサイクルする際には、ラベルのインキ層に含まれるインキが再生樹脂ペレット等の再生材料中に混入して着色するため、回収再利用が困難であるという問題がある。
・・・
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、熱収縮性ラベルからインキ層を、比較的低温のアルカリ水により効率よく脱離除去できる方法を提供することにある。」
(8)甲第8号証(以下、「甲8」という。)
8a「
[図:0001427930000019.jpg]
」(第1ページ第5~10行)
(9)甲第9号証(以下、「甲9」という。)
9a「
[図:0001427930000020.jpg]
」(第1ページ第7~9行)
(10)甲第10号証(以下、「甲10」という。)
摘記箇所の後に申立人による翻訳を掲載する。
10a「
[図:0001427930000021.jpg]
」第1359ページ右欄第18~29行
[図:0001427930000022.jpg]
(11)甲第11号証(以下、「甲11」という。)
11a「【請求項1】
反応性接着剤でラミネート接着された積層フィルムの分離回収方法であって、前記反応性接着剤がエステル結合を有する反応性接着剤であり、
前記積層フィルムは、前記反応性接着剤を含む第一の反応性接着剤層と第一のインキ層及び/又は第一のプライマー層を介して第一の層と第二の層が積層され、
前記第一の層及び第二の層は樹脂フィルム層、金属箔又は蒸着膜層から選択されるが、少なくともいずれか一層は樹脂フィルム層であり、
前記第一の反応性接着剤層、前記第一のインキ層、前記第一のプライマー層の少なくとも1つの層が酸性基を有する化合物を含有し、
前記積層フィルムを20~90℃の加熱攪拌または超音波振動させながらアルカリ溶液に積層フィルムを浸漬する工程1と、
分離した各層の単層フィルムを回収する工程2とを有することを特徴とする、積層フィルムの分離回収方法。」
11b「【0004】
一般に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが混在する廃プラスチックは、比重で分離しリサイクルする方法が知られるが、樹脂によりその回収の容易さは異なっている。特に熱硬化性樹脂のリサイクルは熱分解が難しいため、リサイクルは難しいとの認識が一般的である。
また、印刷インキで商品名等の表示や装飾性を施された積層フィルムは、印刷インキがリサイクル過程で完全に分離できず、リサイクル回収された再生品が着色していたり、印刷の模様が残っている場合もある。」
11c「【0028】
積層フィルムには、接着剤の他、商品名等の表示や装飾性を付与するための印刷インキ層を設けている場合が殆どであるが、前記アルカリ溶液に浸漬する工程においては、該印刷インキ層も剥離あるいは溶解させることができる。また前述の通りアルミニウム等の金属の箔や蒸着膜が積層している場合もあるが、本発明においては金属の箔や蒸着膜も剥離あるいは溶解させることができる。」
3 甲号証に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
ア 甲1のプライマー組成物、インキ組成物
甲1(摘記1a、1c参照)には後記イ~クの発明が記載されているといえる。
イ 甲1発明A1
甲1にはプライマー組成物S10として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール142.4部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.2部、DMPA:2,2-ジメチロールプロパン酸28.7部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート101.3部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)13.4部を反応させて得た、酸価40.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液P3、
PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、
体質顔料としてシリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)を混合して得て、第1の基材層(PET)/プライマー層(S10)/印刷層(R1)の構成である表刷り印刷物L10(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層が80%以上100%以下PETフィルムから剥離すると評価されたプライマー組成物S10。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
ウ 甲1発明A2
甲1にはプライマー組成物SS1として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、
体質顔料としてシリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)を混合して得て、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1)の構成である表刷り印刷物LL2(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲ではない1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離と評価されたプライマー組成物SS1。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
エ 甲1発明B1
甲1には印刷インキR1として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
PP3溶液:塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液(日信化学社製 ソルバインTAO:固形分30質量% 酢酸エチル溶液、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、並びに、顔料としてP.B.15からなり、第1の基材層(PET)/プライマー層(S10)/印刷層(R1)の構成である表刷り印刷物L10(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層が80%以上100%以下PETフィルムから剥離すると評価された印刷インキR1。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
オ 甲1発明B2
甲1には印刷インキR3として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、並びに、顔料としてP.B.15からなり、第1の基材層(PET)/プライマー層(S3)/印刷層(R3)の構成である表刷り印刷物L12(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離すると評価された印刷インキR3。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
カ 甲1発明B3
甲1には印刷インキR5として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール142.4部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.2部、DMPA:2,2-ジメチロールプロパン酸28.7部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート101.3部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)13.4部を反応させて得た、酸価40.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液P3、
PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、並びに、顔料としてP.B.15からなり、第1の基材層(PET)/プライマー層(S3)/印刷層(R5)の構成である表刷り印刷物L14(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離すると評価された印刷インキR3。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
キ 甲1発明B4
甲1には印刷インキR7として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
PP3溶液:塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液(日信化学社製 ソルバインTAO:固形分30質量% 酢酸エチル溶液、
溶剤としてEA(酢酸エチル)及びIPA(イソプロピルアルコール)、並びに、顔料としてP.R.57:1からなり、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(71)の構成である表刷り印刷物LL4(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲ではない1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離と評価された印刷インキR7。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
ク 甲1発明B5
甲1には印刷インキR8として「PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール147.0部、PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール14.7部、BD:1,4-ブタンジオール19.2部、及び、IPDI:イソホロンジイソシアネート104.6部を反応させてウレタンプレポリマー溶液を得て、次いで、AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)14.5部を反応させて得た、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1、
PP4溶液:ロジン-マレイン酸樹脂溶液(固形分濃度30%、酸価200mgKOH/gのロジン-マレイン酸変性樹脂溶液)Mw変化率:85%、並びに、顔料としてP.R.57:1からなり、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(71)の構成である表刷り印刷物L19(1)を得て、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離すると評価された印刷インキR8。」の発明が記載されているといえる(摘記1c参照)。
(2)甲2に記載された発明
ア 甲2の白色印刷インキ組成物
甲2(摘記2c参照)には後記イ~オの発明が記載されているといえる。
イ 甲2発明A1
甲2には白色印刷インキ組成物(W01)として「酸化チタン、
PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU01)、及び、
酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤からなり、希釈溶剤を混合して、コロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷した印刷物とする白色印刷インキ組成物(W01)。」の発明が記載されているといえる(摘記2c参照)。
ウ 甲2発明A2
甲2には白色印刷インキ組成物(W03)として「酸化チタン、
PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU03)、及び、
酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤からなり、希釈溶剤を混合して、コロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷した印刷物とする白色印刷インキ組成物(W03)。」の発明が記載されているといえる(摘記2c参照)。
エ 甲2発明A3
甲2には白色印刷インキ組成物(W06)として「酸化チタン、
NPG2000:ポリ(ネオペンチルアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU06)、及び、
酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤からなり、希釈溶剤を混合して、コロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷した印刷物とする白色印刷インキ組成物(W06)。」の発明が記載されているといえる(摘記2c参照)。
オ 甲2発明A4
甲2には白色印刷インキ組成物(W17)として「酸化チタン、
PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU17)、及び、
酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤からなり、希釈溶剤を混合して、コロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷した印刷物とする白色印刷インキ組成物(W17)。」の発明が記載されているといえる(摘記2c参照)。
(3)甲3に記載された発明
ア 甲3の非水系グラビアインキ
甲3(摘記3c参照)には後記イ、ウの発明が記載されているといえる。
イ 甲3発明A1
甲3には非水系グラビアインキS1として「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルジオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1、
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂溶液A1(固形分30%)、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3、酢酸エチル/IPA=50/50の溶液を混合し、練肉し得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)のコロナ放電処理面に印刷した印刷物G1(OPP)を得る、非水系グラビアインキS1。」の発明が記載されているといえる(摘記3c参照)。
ウ 甲3発明A2
甲3には非水系グラビアインキS2として「アジピン酸と1,2―プロパンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PPG、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価3.4mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2、
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂溶液A1(固形分30%)、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3、酢酸エチル/IPA=50/50の溶液を混合し、練肉し得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)のコロナ放電処理面に印刷した印刷物G2(OPP)を得る、非水系グラビアインキS1。」の発明が記載されているといえる(摘記3c参照)。
(4)甲4に記載された発明
ア 甲4の溶剤型ラミネート用グラビアインキ
甲4(摘記4b参照)には後記イ~オの発明が記載されているといえる。
イ 甲4発明A1
甲4には溶剤型ラミネート用グラビアインキS1として「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド57:1(アゾレーキ赤顔料)、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散し、撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテル、水を混合して得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し得た、印刷物G1を得る、溶剤型ラミネート用グラビアインキS1。」の発明が記載されているといえる(摘記4b参照)。
ウ 甲4発明A2
甲4には溶剤型ラミネート用グラビアインキS10として「アジピン酸と1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、トリレンジイソシアネート(メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート)(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド57:1(アゾレーキ赤顔料)、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散し、撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテル、水を混合して得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し得た、印刷物G10を得る、溶剤型ラミネート用グラビアインキS10。」の発明が記載されているといえる(摘記4b参照)。
エ 甲4発明A3
甲4には溶剤型ラミネート用グラビアインキT9として「ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU4、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド57:1(アゾレーキ赤顔料)、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散し、撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテル、水を混合して得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し得た、印刷物H9を得る、溶剤型ラミネート用グラビアインキT9。」の発明が記載されているといえる(摘記4b参照)。
オ 甲4発明A4
甲4には溶剤型ラミネート用グラビアインキT10として「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU5、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド57:1(アゾレーキ赤顔料)、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散し、撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテル、水を混合して得た、混合溶剤により希釈し、コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し得た、印刷物H10を得る、溶剤型ラミネート用グラビアインキT10。」の発明が記載されているといえる(摘記4b参照)。
(5)甲5に記載された発明
ア 甲5のラミネート用グラビアインキ
甲5(摘記5c参照)には後記イ、ウの発明が記載されているといえる。
イ 甲5発明A1
甲5にはラミネート用グラビアインキS1として「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド15:3、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散して得た、ラミネート用グラビアインキS1。」の発明が記載されているといえる(摘記5c参照)。
ウ 甲5発明A2
甲5にはラミネート用グラビアインキS13として「アジピン酸と1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2、
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液))、C.I.ピグメントレッド15:3、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液を混合し、分散して得た、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:n-プロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により希釈し、コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し得た、印刷物GG13を得る、ラミネート用グラビアインキS13。」の発明が記載されているといえる(摘記5c参照)。
(6)甲6に記載された発明
ア 甲6のグラビアインキ
甲6(摘記6c参照)には後記イ、ウの発明が記載されているといえる。
イ 甲6発明A1
甲6にはグラビアインキS1として「バインダー樹脂(A)として、
ポリプロピレングリコール(PPG700)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価7.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1、及び、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(ソルバインTAO:日信化学工業社製 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7(質量比)の共重合樹脂、固形分30%酢酸エチル溶液))、
炭化水素系ワックス(B)としてポリエチレンワックス(ハネウェル社製 A-C400A)、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3、酢酸n-プロピル/IPA=70/30(質量比)の溶液43.2部を混合し、分散し得た、MEK:酢酸n-プロピル(以下「NPAC」):IPA=40:40:20(質量比)からなる混合溶剤によりに希釈し、基材OPP:片面コロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR 厚さ25μm)の処理面に、基材/S29/S1の順で表刷り印刷を行い、得た印刷物J1(OPP)を得るグラビアインキS1。」の発明が記載されているといえる(摘記6c参照)。
ウ 甲6発明A2
甲6にはグラビアインキS8として「バインダー樹脂(A)として、
アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとの反応により得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG700)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価2.4mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2、及び、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(ソルバインTAO:日信化学工業社製 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7(質量比)の共重合樹脂、固形分30%酢酸エチル溶液))、
炭化水素系ワックス(B)としてポリエチレンワックス(三井化学社製 320P)、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3、酢酸n-プロピル/IPA=70/30(質量比)の溶液43.2部を混合し、分散し得た、MEK:酢酸n-プロピル(以下「NPAC」):IPA=40:40:20(質量比)からなる混合溶剤によりに希釈し、基材OPP:片面コロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR 厚さ25μm)の処理面に、基材/S29/S1の順で表刷り印刷を行い、得た印刷物J8(OPP)を得る、グラビアインキS8。」の発明が記載されているといえる(摘記6c参照)。
4 対比・判断
(1)甲1発明A1~B5を主たる引用発明とする場合
まず、甲1発明A1~B5を整理すると、酸価を有さないウレタン樹脂は、比較合成例1として示されたPP1溶液のみであるから、甲1発明A1及びB3は、酸価を有さないウレタン樹脂と、それ以外のウレタン樹脂を含むものであり、甲1発明A2、B1、B2、B4及びB5は、酸価を有さないウレタン樹脂を含み、酸価を有さないウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まないものである。
ア 本件特許発明1
(ア)甲1発明A1、B3との対比
本件特許発明1と甲1発明A1、B3を対比する。
甲1発明A1、B3の「酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1」は本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂を含有する」に相当する。
甲1発明A1、B3の「第1の基材層(PET)」は、本件特許発明1の「基材A」に相当するから、甲1発明A1の「プライマー組成物S」及び甲1発明B3の「印刷インキR」は、第1の基材層(PET)/プライマー層(S)/印刷層(R)の構成である表刷り印刷物Lを構成するものであり、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層が80%以上100%以下PETフィルムから剥離すると評価された又は水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離すると評価されたものであるから、本件特許発明1の「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明A1、B3は、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件特許発明1は、酸価を有さないウレタン樹脂の水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるのに対し、甲1発明A1、B3は、酸価を有さないウレタン樹脂の水酸基価の特定がない点。
<相違点1-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲1発明A1、B3はその特定がない点。
<相違点1-3>
本件特許発明1は、被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まないのに対し、甲1発明A1、B3は被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外に酸価40.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液P3を含む点。
(イ)相違点についての検討
<相違点1-3>について
甲1発明A1及びB3が、「酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1」の他に、「酸価40.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液P3」を含む点は実質的な相違点である。
ここで、甲1は、印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れた、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することを目的とするところ(摘記1b参照。)、甲2発明A2のように酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1以外のウレタン樹脂を含まないものは水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲ではない1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離と評価されていることから、前記目的のために、甲1発明A1のプライマー層、並びに、甲1発明B3の印刷インキに含まれるポリウレタン樹脂溶液を剥離性評価の低い酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1のみとし、前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まないものとする動機付けがあるとはいえない。
また、他の証拠の記載をみても、甲1発明A1のプライマー層、並びに、甲1発明B3の印刷インキに含まれるポリウレタン樹脂溶液を酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1のみとし、前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まないものとする動機付けとなる記載はない。
<相違点1-1>について
異議申立書第23ページにおける計算に基づいて、甲1発明A1、B3に含まれるポリウレタン樹脂溶液PP1はAEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールからの水酸基を含み、AEA及びKOHの分子量は、ぞれぞれ、104、56.1であるから、水酸基価は26mgKOH/g({(14.5/104)/(147.0+14.7+19.2+104.6+14.5)}×1000×56.1)となる。
そうすると、この点は実質的な相違点である。
ここで、甲1は、印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れた、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することを目的とするところ(摘記1b参照。)、甲2発明A2のように酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1以外のウレタン樹脂を含まないものは水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲ではない1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離と評価されていることから、前記目的のために、剥離性評価の低いポリウレタン樹脂溶液PP1の水酸基価を10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gとする動機付けがあるとはいえない。
また、他の証拠の記載をみても、甲1発明A1のプライマー層、並びに、甲1発明B3の印刷インキに含まれるポリウレタン樹脂溶液PP1の水酸基価を10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gとする動機付けとなる記載、及び、甲1発明A1のプライマー層、並びに、甲1発明B3の印刷インキに含まれるポリウレタン樹脂溶液を酸価を有さない比較例相当のポリウレタン樹脂溶液PP1のみとし、前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まないものとする動機付けとなる記載はない。
(ウ)甲1発明A2、B1、B2、B4、B5との対比
本件特許発明1と甲1発明A2、B1、B2、B4、B5を対比する。
甲1発明A2、B1、B2、B4、B5の「酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1」は本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂を含有する」に相当する。
甲1発明A2、B1、B2、B4、B5の「第1の基材層(PET)」は、本件特許発明1の「基材A」に相当するから、甲1発明A1及びA2の「プライマー組成物S」及び甲1発明B1~B5の「印刷インキR」は、第1の基材層(PET)/プライマー層(S)/印刷層(R)の構成である表刷り印刷物Lを構成するものであり、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲ではない1(劣):撹拌12時間で印刷層20%未満がPETフィルムから剥離と評価された、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である3(可):撹拌1時間を超え12時間以内に印刷層が80%以上100%以下PETフィルムから剥離すると評価された又は水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による表刷り印刷物における脱離性評価において、実用上問題がない範囲である5(優):撹拌20分以内に印刷層が100%PETフィルムから剥離すると評価されたものであるから、本件特許発明1の「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物」に相当する。
甲1発明A2、B1、B2、B4、B5は、ウレタン樹脂として酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PP1のみを含むから、本件特許発明1の「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まない」を充足する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明A2、B1、B2、B4、B5は、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-4>
本件特許発明1は、酸価を有さないウレタン樹脂の水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるに対し、甲1発明A2、B1、B2、B4、B5は、酸価を有さないウレタン樹脂の水酸基価の特定がない点。
<相違点1-5>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲1発明A2、B1、B2、B4、B5はその特定がない点。
(エ)相違点についての検討
<相違点1-4>について
<相違点1-4>は(ア)前記<相違点1-1>と同じであり、前記(イ)<相違点1-1>で検討したのと同じ理由により、この点は実質的な相違点であり、甲1発明A2のプライマー層、並びに、甲1発明B1、B2、B4、B5の印刷インキに含まれるポリウレタン樹脂溶液PP1の水酸基価を10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gとする動機付けがあるとはいえない。
(オ)申立人の主張及び当審の判断について
申立人は、令和6年11月29日提出の意見書において、「甲1における脱離性の試験方法は、85℃で剥離性試験を行った本件訂正発明とは異なり50℃という低温で行ったものであるところ(段落0101)、甲7にも記載のとおり、高温処理及び/又は高速攪拌処理により脱離性が高まることは、当業者の技術常識なのであるから、甲1発明A2の剥離性試験を、例えば85℃のような高温で行えばその結果は大きく変わり、本件明細書に記載された程度の脱離性を実現し得ることは、本件優先日当時の当業者において当然に理解し得たものである。したがって、甲1発明A2に対し設計変更をすることは何ら妨げられるものではなく、ウレタン樹脂の水酸基価を、段落0023に記載の脱離性が良好な範囲内において変更すること、すなわち26mgKOH/gを25mgKOH/g以下とすることは容易である。」と主張する。
しかし、甲1における脱離性の試験方法は、50℃という低温で行ったものであるが、2%の水酸化ナトリウム溶液を用いており、一方、本件においては、1%の水酸化ナトリウム溶液を用いていることから、甲1における脱離性の試験方法は、本件のものと比較して、低温ではあるが、濃度の高い水酸化ナトリウム溶液を用いており、甲1発明A2の剥離性試験を本件のとおり行っても、その結果は大きく変わるとはいえず、また、ウレタン樹脂の水酸基価を変更する動機付けについては前記(イ)で検討したとおりであるから、ウレタン樹脂の水酸基価を、段落0023に記載の脱離性が良好な範囲内において変更すること、すなわち26mgKOH/gを25mgKOH/g以下とすることは容易であるとはいえず、申立人の前記主張は採用できない。
(カ)小括
したがって、本件特許発明1は、<相違点1-2>及び<相違点1-5>について検討するまでもなく、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明及び甲2~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、少なくとも、前記本件特許発明1と甲1発明A1~B5との<相違点1-1>又は<相違点1-4>と同じ相違点を有するものであり、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明及び甲2~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(2)甲2発明A1~A4を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲2発明A1~A4との対比
本件特許発明1と甲2発明A1~A4を対比する。
甲2発明A1の「PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU01)」、甲2発明A2の「PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU03)」、甲2発明A3の「NPG2000:ポリ(ネオペンチルアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、TDI:トリレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU06)」及び甲2発明A4の「PPA2000:ポリ(1,2-プロピレンアジペート)ジオール(数平均分子量2000)、PPG1000:ポリ(1,2-プロピレングリコール)(数平均分子量1000)、MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶液をIPDA:イソホロンジアミン、MEA:モノエタノールアミンと反応させ得た、水酸基価5.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂組成物(PU17)」は、いずれも、構成成分が酸基を有さないから、酸価を有さず、甲2発明A1~A4は前記ポリウレタン樹脂組成物以外に他のポリウレタン樹脂組成物を含まないから、本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂」及び「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」に相当する。
甲2発明A1~A4の「コロナ処理OPPフィルム(太閤FOR フタムラ #20)に印刷した印刷物とする」及び「白色印刷インキ組成物」は、ぞれぞれ、本件特許発明1の「基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための」及び「皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明A1~A4は、「皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための皮膜形成用組成物であって、
酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
皮膜形成用組成物が、本件特許発明1は「アルカリ溶液での処理により脱離する」「脱離可能な」ものであって、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるウレタン樹脂を含有」し、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものであるのに対し、甲2発明A1~A4はその特定がない点。
<相違点2-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲2発明A1~A4はその特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点2-1>について
この点は実質的な相違点である。
甲2には、甲2発明A1~A4が、アルカリ溶液での処理により脱離する、脱離可能なものであって、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるためのものであることは、記載も示唆もされていない。
そして、甲1には、ウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましいことが記載されているものの(摘記1b参照)、酸価が0mgKOH/gであり、前記(1)ア(イ)のとおり、水酸基価が26mgKOH/gであるプライマー組成物SS1、および、酸価が40mgKOH/gであるウレタン樹脂を10%含む印刷インキR1又はR7をこの順で印刷した、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1又はR7)の構成である表刷り印刷物LL2及びLL4は、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことが記載されているから(摘記1c)、酸価を有さないウレタン樹脂は、水酸基価が26mgKOH/gあるにもかかわらず、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことから、酸価を有さず、水酸基価が5.0mgKOH/gしかない、ポリウレタン樹脂組成物を含む甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物は、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、甲7~甲11に記載のように、プラスチックのリサイクルにおいてインキ等の脱離の必要性が記載されているとしても(摘記7a、7b、8a、9a、10a、11a~11c参照)、塩基性水溶液により脱離するという性質を有する性質を有さない蓋然性が高い甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物を、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
また、甲2には、ポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~10.0mgKOH/gであり、水酸基価が1.0mgKOH/g未満であると、接着性が劣ることが、記載されており(摘記2b参照)、甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物のポリウレタン樹脂の水酸基価を10.0mgKOH/gとしても、前記甲1及び甲2の記載から、甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物と同様に、塩基性水溶液により脱離するという性質を有する性質を有さない蓋然性が高いといえ、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
そして、他の証拠の記載をみても、塩基性水溶液により脱離するという性質を有する性質を有さない蓋然性が高い甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物を「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものとする動機付けがあるとはいえない。
<相違点2-2>について
この点は実質的な相違点である。
本件特許発明1はアルカリ溶液での処理により脱離する皮膜とするために含まれるポリウレタン樹脂のアミン価を低くするものであるところ、甲2に記載のポリウレタン樹脂はそれを含有する印刷インキが接着性を有することを課題とするものであり、甲2にはポリウレタン樹脂のアミン価を接着性が劣らないものとするために2.0mgKOH以上とすることが記載されていることから(摘記2b参照)、甲2発明A1~A4の白色印刷インキ組成物を、接着性とは相反するような、アルカリ溶液での処理により脱離するものとするために、そのアミン価を2.10mgKOH/g未満と低くする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1及び甲3~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲2発明A1~A4との<相違点2-1>及び<相違点2-2>と同じ相違点を有するものであるから、前記アと同様の理由から、本件特許発明2~12は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1及び甲3~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(3)甲3発明A1~A2を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲3発明A1~A2との対比
本件特許発明1と甲3発明A1~A2を対比する。
甲3発明A1の「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルジオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1」及び甲3発明A2の「アジピン酸と1,2―プロパンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、数ポリプロピレングリコール(PPG)、PPG、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価3.4mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2」は、いずれも、構成成分が酸基を有さないから、酸価を有さず、甲3発明A1~A2は前記ポリウレタン樹脂組成物以外に他のポリウレタン樹脂組成物を含まないから、本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂」及び「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」に相当する。
甲3発明A1~A2の「コロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)のコロナ放電処理面に印刷した」及び「非水系グラビアインキS1」は、それぞれ、本件特許発明1の「基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための」及び「皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明A1~A2は、「皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための皮膜形成用組成物であって、
酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
皮膜形成用組成物が、本件特許発明1は「アルカリ溶液での処理により脱離する」「脱離可能な」ものであって、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるウレタン樹脂を含有」し、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものであるのに対し、甲3発明A1~A2はその特定がない点。
<相違点3-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲3発明A1~A2はその特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点3-1>について
この点は実質的な相違点である。
甲3には、甲3発明A1~A2が、アルカリ溶液での処理により脱離する、脱離可能なものであって、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるためのものであることは、記載も示唆もされていない。
そして、甲1には、ウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましいことが記載されているものの(摘記1b参照)、酸価が0mgKOH/gであり、前記(1)ア(イ)のとおり、水酸基価が26mgKOH/gであるプライマー組成物SS1、および、酸価が40mgKOH/gであるウレタン樹脂を10%含む印刷インキR1又はR7をこの順で印刷した、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1又はR7)の構成である表刷り印刷物LL2及びLL4は、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことが記載されているから(摘記1c)、酸価を有さないウレタン樹脂は、水酸基価が26mgKOH/gあるにもかかわらず、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことから、酸価を有さず、水酸基価3.2mgKOH/g又は3.4mgKOH/gしかないポリウレタン樹脂組成物を含む甲3発明A1~A2の非水系グラビアインキは、塩基性水溶液により脱離するという性質を有する性質を有さない蓋然性が高いといえ、甲7~甲11に記載のように、プラスチックのリサイクルにおいてインキ等の脱離の必要性が記載されているとしても(摘記7a、7b、8a、9a、10a、11a~11c参照)、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲3発明A1~A2の非水系グラビアインキを、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
また、甲3には、密着性のためポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましいことが、記載されているが(摘記3b参照)、甲3発明A1~A2のポリウレタン樹脂組成物の水酸基価を20.0mgKOH/gまで高くしたとしても、前記甲1の記載から、甲3発明A1~A2の非水系グラビアインキと同様に、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
そして、他の証拠の記載をみても、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲3発明A1~A2の非水系グラビアインキを「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものとする動機付けがあるとはいえない。
<相違点3-2>について
この点は実質的な相違点である。
本件特許発明1はアルカリ溶液での処理により脱離する皮膜とするために含まれるポリウレタン樹脂のアミン価を低くするものであるところ、甲3に記載のポリウレタン樹脂は接着性のためにアミン価を1.0~20.0mgKOH以上とすることが記載されていることから(摘記3b参照)、甲3発明A1~A2の非水系グラビアインキに含まれるポリウレタン樹脂を、接着性とは相反するような、アルカリ溶液での処理により脱離するものとするために、そのアミン価を2.10mgKOH/g未満と低くする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲2及び甲4~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲3発明A1~A2との<相違点3-1>及び<相違点3-2>と同じ相違点を有するものであるから、前記アと同様の理由から、本件特許発明2~12は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲2及び甲4~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(4)甲4発明A1~A4を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲4発明A1~A4との対比
本件特許発明1と甲4発明A1~A4を対比する。
甲4発明A1の「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1」、甲4発明A2の「アジピン酸と1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2」、甲4発明A3の「ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU4」及び甲4発明A4の「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU5」は、いずれも、構成成分が酸基を有さないから、酸価を有さず、甲4発明A1~A4は前記ポリウレタン樹脂組成物以外に他のポリウレタン樹脂組成物を含まないから、本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂」及び「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」に相当する。
甲4発明A1~A4の「コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し」及び「溶剤型ラミネート用グラビアインキ」は、本件特許発明1の「基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための」及び「皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲4発明A1~A4は、「皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための皮膜形成用組成物であって、
酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4-1>
皮膜形成用組成物が、本件特許発明1は「アルカリ溶液での処理により脱離する」「脱離可能な」ものであって、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるウレタン樹脂を含有」し、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものであるのに対し、甲4発明A1~A4はその特定がない点。
<相違点4-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲4発明A1~A4はその特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点4-1>について
この点は実質的な相違点である。
甲4には、甲4発明A1~A4が、アルカリ溶液での処理により脱離する、脱離可能なものであって、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるためのものであることは、記載も示唆もされていない。
そして、甲1には、ウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましいことが記載されているものの(摘記1b参照)、酸価が0mgKOH/gであり、前記(1)ア(イ)のとおり、水酸基価が26mgKOH/gであるプライマー組成物SS1、および、酸価が40mgKOH/gであるウレタン樹脂を10%含む印刷インキR1又はR7をこの順で印刷した、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1又はR7)の構成である表刷り印刷物LL2及びLL4は、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことが記載されているから(摘記1c)、酸価を有さないウレタン樹脂は、水酸基価が26mgKOH/gあるにもかかわらず、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことから、酸価を有さず、水酸基価3.3mgKOH/g又は3.5mgKOH/gしかないポリウレタン樹脂溶液を含む甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキは、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、甲7~甲11に記載のように、プラスチックのリサイクルにおいてインキ等の脱離の必要性が記載されているとしても(摘記7a、7b、8a、9a、10a、11a~11c参照)、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキを、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
また、甲4には、ポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましいことが、記載されているが(摘記4b参照)、甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキのポリウレタン樹脂溶液の水酸基価を20.0mgKOH/gまで高くしたとしても、前記甲1の記載から、甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキと同様に、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
そして、他の証拠の記載をみても、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキを「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものとする動機付けがあるとはいえない。
<相違点4-2>について
この点は実質的な相違点である。
本件特許発明1はアルカリ溶液での処理により脱離する皮膜とするために含まれるポリウレタン樹脂のアミン価を低くするものであるところ、甲4に記載のポリウレタン樹脂溶液はアミン価を1.0~20.0mgKOH以上とすることが記載されていることものの(摘記4b参照)、アミン価によりアルカリ溶液での処理により脱離することは記載されておらず、甲4発明A1~A4の溶剤型ラミネート用グラビアインキを、アルカリ溶液での処理により脱離するものとするために、含まれるポリウレタン樹脂溶液のアミン価を2.10mgKOH/g未満と低くする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲4に記載された発明ではなく、甲4に記載された発明、並びに、甲1~甲3及び甲5~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲4発明A1~A4との<相違点4-1>及び<相違点4-2>と同じ相違点を有するものであるから、前記アと同様の理由から、本件特許発明2~12は、甲4に記載された発明、並びに、甲1~甲3及び甲5~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(5)甲5発明A1~A2を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲5発明A1~A2との対比
本件特許発明1と甲5発明A1~A2を対比する。
甲5発明A1の「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、イミノビスプロピルアミン(IBPA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1」及び甲5発明A2の「アジピン酸と1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)の縮合物であるポリエステルポリオール(PPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た末端イソシアネートプレポリマーの溶剤を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)を反応させ得た、水酸基価3.2mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2」は、いずれも、構成成分が酸基を有さないから、酸価を有さず、甲5発明A1~A2は前記ポリウレタン樹脂組成物以外に他のポリウレタン樹脂組成物を含まないから、本件特許発明1の「酸価を有さないウレタン樹脂」及び「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」に相当する。
甲5発明A1~A2の「コロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に印刷し」及び「ラミネート用グラビアインキ」は、本件特許発明1の「基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための」及び「皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲5発明A1~A2は、「皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための皮膜形成用組成物であって、
かつ酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点5-1>
皮膜形成用組成物が、本本件特許発明1は「アルカリ溶液での処理により脱離する」「脱離可能な」ものであって、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるウレタン樹脂を含有」し、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものであるのに対し、甲5発明A1~A2はその特定がない点。
<相違点5-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲5発明A1~A2はその特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点5-1>について
この点は実質的な相違点である。
甲5には、甲5発明A1~A2が、アルカリ溶液での処理により脱離する、脱離可能なものであって、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるためのものであることは、記載も示唆もされていない。
そして、甲1には、ウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましいことが記載されているものの(摘記1b参照)、酸価が0mgKOH/gであり、前記(1)ア(イ)のとおり、水酸基価が26mgKOH/gであるプライマー組成物SS1、および、酸価が40mgKOH/gであるウレタン樹脂を10%含む印刷インキR1又はR7をこの順で印刷した、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1又はR7)の構成である表刷り印刷物LL2及びLL4は、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことが記載されているから(摘記1c)、酸価を有さないウレタン樹脂は、水酸基価が26mgKOH/gあるにもかかわらず、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことから、酸価を有さず、水酸基価3.2mgKOH/gしかないポリウレタン樹脂溶液を含む甲5発明A1~A2のラミネート用グラビアインキは、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、甲7~甲11に記載のように、プラスチックのリサイクルにおいてインキ等の脱離の必要性が記載されているとしても(摘記7a、7b、8a、9a、10a、11a~11c参照)、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲5発明A1~A2のラミネート用グラビアインキを、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
また、甲5には、ポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましいことが、記載されているが(摘記5b参照)、甲5発明A1~A2のラミネート用グラビアインキのポリウレタン樹脂溶液の水酸基価を20.0mgKOH/gまで高くしたとしても、前記甲1の記載から、甲5発明A1~A2のラミネート用グラビアインキと同様に、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
そして、他の証拠の記載をみても、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲5発明A1~A2のラミネート用グラビアインキを「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものとする動機付けがあるとはいえない。
<相違点5-2>について
この点は実質的な相違点である。
本件特許発明1はアルカリ溶液での処理により脱離する皮膜とするために含まれるポリウレタン樹脂のアミン価を低くするものであるところ、甲5に記載のポリウレタン樹脂溶液はアミン価を1.0~20.0mgKOH以上とすることが記載されていることものの(摘記5b参照)、アミン価によりアルカリ溶液での処理により脱離することは記載されておらず、甲5発明A1~A2の溶剤型ラミネート用グラビアインキを、アルカリ溶液での処理により脱離するものとするために、含まれるポリウレタン樹脂溶液のアミン価を2.10mgKOH/g未満と低くする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲5に記載された発明ではなく、甲5に記載された発明、並びに、甲1~甲4及び甲6~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲5発明A1~A2との<相違点5-1>及び<相違点5-2>と同じ相違点を有するものであるから、前記アと同様の理由から、本件特許発明2~12は、甲5に記載された発明ではなく、甲5に記載された発明、並びに、甲1~甲4及び甲6~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(6)甲6発明A1~B2を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲6発明A1~A2との対比
本件特許発明1と甲6発明A1~A2を対比する。
甲6発明A1の「ポリプロピレングリコール(PPG700)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価7.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU1」及び甲6発明A2の「アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとの反応により得られるポリエステルポリオール(PMPA)、ポリプロピレングリコール(PPG700)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させ得た、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を、イソホロンジアミン(IPDA)、2-エタノールアミン(2EtAm)と反応させ得た、水酸基価2.4mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液PU2」は、いずれも、構成成分が酸基を有さないから、酸価を有さず、甲6発明A1~A2は前記ポリウレタン樹脂組成物以外に他のポリウレタン樹脂組成物を含まないから、本件特許発明1の「水酸基価が、1.0mgKOH/g~30.0mgKOH/gであり、かつ酸価を有さないウレタン樹脂」及び「前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず」に相当する。
甲6発明A1~A2の「基材OPP:片面コロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR 厚さ25μm)の処理面に、基材/S29/S1の順で表刷り印刷を行い」及び「グラビアインキ」は、本件特許発明1の「基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための」及び「皮膜形成用組成物」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲6発明A1~A2は、「皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための皮膜形成用組成物であって、
かつ酸価を有さないウレタン樹脂を含有し、
前記被膜形成用組成物中に前記ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂を含まず、
アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための、皮膜形成用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点6-1>
皮膜形成用組成物が、本件特許発明1は「アルカリ溶液での処理により脱離する」「脱離可能な」ものであって、「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであるウレタン樹脂を含有」し、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものであるのに対し、甲6発明A1~A2はその特定がない点。
<相違点6-2>
本件特許発明1は、ウレタン樹脂のアミン価が、2.10mgKOH/g未満であるのに対し、甲6発明A1~A2はその特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点6-1>について
この点は実質的な相違点である。
甲6には、甲6発明A1~A2が、アルカリ溶液での処理により脱離する、脱離可能なものであって、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるためのものであることは、記載も示唆もされていない。
そして、甲1には、ウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましいことが記載されているものの(摘記1b参照)、酸価が0mgKOH/gであり、前記(1)ア(イ)のとおり、水酸基価が26mgKOH/gであるプライマー組成物SS1、および、酸価が40mgKOH/gであるウレタン樹脂を10%含む印刷インキR1又はR7をこの順で印刷した、第1の基材層(PET)/プライマー層(SS1)/印刷層(R1又はR7)の構成である表刷り印刷物LL2及びLL4は、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことが記載されているから(摘記1c)、酸価を有さないウレタン樹脂は、水酸基価が26mgKOH/gあるにもかかわらず、水酸化ナトリウム溶液により脱離しないことから、酸価を有さず、水酸基価7.3mgKOH/g又は2.4mgKOH/gしかないポリウレタン樹脂溶液を含む甲6発明A1~A2のグラビアインキは、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、甲7~甲11に記載のように、プラスチックのリサイクルにおいてインキ等の脱離の必要性が記載されているとしても(摘記7a、7b、8a、9a、10a、11a~11c参照)、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲6発明A1~A2のグラビアインキを、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
また、甲6には、ポリウレタン樹脂の水酸基価は1.0~20.0mgKOH/gであることが好ましいことが、記載されているが(摘記6b参照)、甲6発明A1~A2のグラビアインキのポリウレタン樹脂溶液の水酸基価を20.0mgKOH/gまで高くしたとしても、前記甲1の記載から、甲6発明A1~A2のグラビアインキと同様に、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高いといえ、基材のリサイクルのために、アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いる動機付けがあるとはいえない。
そして、他の証拠の記載をみても、塩基性水溶液により脱離するという性質を有さない蓋然性が高い甲6発明A1~A2のグラビアインキを「水酸基価が、10.0mgKOH/g~25.0mgKOH/gであり」、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜として用いるための」ものとする動機付けがあるとはいえない。
<相違点6-2>について
この点は実質的な相違点である。
本件特許発明1はアルカリ溶液での処理により脱離する皮膜とするために含まれるポリウレタン樹脂のアミン価を低くするものであるところ、甲6に記載のポリウレタン樹脂溶液はアミン価を1.0~20.0mgKOH以上とすることが記載されていることものの(摘記6b参照)、アミン価によりアルカリ溶液での処理により脱離することは記載されておらず、甲6発明A1~A2のグラビアインキを、アルカリ溶液での処理により脱離するものとするために、含まれるポリウレタン樹脂溶液のアミン価を2.10mgKOH/g未満と低くする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲6に記載された発明ではなく、甲6に記載された発明、並びに、甲1~甲5及び甲7~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。
イ 本件特許発明2~12
本件特許発明2~12は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲6発明A1~A2との<相違点6-1>及び<相違点6-2>と同じ相違点を有するものであるから、前記アと同様の理由から、本件特許発明2~12は、甲6に記載された発明ではなく、甲6に記載された発明、並びに、甲1~甲5及び甲7~甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人の主張のうちは取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は以下のとおりである。
1 前記第4 1 理由3(サポート要件)
本件発明の課題は、「汎用プラスチック基材に対して、簡便な方法で皮膜を脱離し、プラスチック基材から皮膜層を容易に取り除くことができる」皮膜形成用材料を提供することである(段落0005)。そして、本件発明1は、「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物」である。
しかし、本件発明において、いかなるアルカリ溶液を用いたいかなる脱離処理により脱離する皮膜であるのかについて、何ら特定はない。
加えて、本件発明において基材Aについての特定はなく、本件明細書には「本発明の皮膜形成用組成物は、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、布、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものである。」と記載されている(段落0079)が、実施例において用いられた基材Aは、コロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルムのみである(段落0136、0138)。しかし、基材Aの表面に直接印刷層(皮膜)を形成した場合にその印刷層の脱離性は、基材の種類により大きく異なることは技術常識であるので、本件発明について、あらゆる基材に対し脱離する皮膜を形成できる組成物であるとは、本件明細書の記載及び技術常識に照らし、当業者は到底理解することができない。また、印刷層が「他の層」を介する場合には、あらゆる他の層に対し脱離する皮膜を形成できる組成物であるとも理解できない。
上記のとおり、本件発明が、あらゆる脱離条件及びあらゆる基材とあらゆる他の層を含むその全ての範囲において課題を解決できるとは、当業者において到底認識することはできない。
したがって、アルカリ溶液での処理条件、基材の種類、及び他の層の種類が何ら特定されていない本件発明1~12はいずれも、本件明細書に記載されているとはいえないから、特許法上のサポート要件に適合するものではない。
2 前記第4 1 理由4(明確性要件)
本件発明においてアルカリ処理の条件が何ら特定されていないことは、いかなる条件で脱離する皮膜を対象としているのか不明であるので、発明の外延が定まらず、本件発明は不明確である。
加えて、本件発明において脱離の程度が特定されていないので、いかなる程度脱離する皮膜を対象としているのか不明であって、発明の外延が定まらない。
したがって、本件発明1~12は、その範囲が著しく不明確である。
第7 前記第6の理由3(サポート要件)について
本件特許発明1の課題は、前記第6 1に記載したとおりであると認める。
そして、本件特許明細書の実施例の記載から、実施例の皮膜は85℃の水酸化ナトリウム1質量%のアルカリ溶液を用いた脱離処理により脱離することが理解できる。
ここで、確かに、皮膜、基材及び他の層の種類により、あるいは、アルカリ溶液の組成、アルカリ溶液の濃度、及び脱離処理条件(アルカリ溶液の温度、攪拌条件、浸漬時間等)により、同じ皮膜、基材及び他の層であっても、脱離し易さが変わり得るかもしれないが、アルカリ溶液を用いていれば、アルカリ溶液を用いない場合と比べて、皮膜が脱離しやすくなることを理解できる。
そして、申立人は、皮膜、基材及び他の層の種類により、あるいは、アルカリ溶液の組成、アルカリ溶液の濃度、及び脱離処理条件(アルカリ溶液の温度、攪拌条件、浸漬時間等)により、前記課題を解決できないものがあることを実証しているわけでもない。
そうすると、アルカリ溶液での処理条件、基材の種類、及び他の層の種類が特定されていない本件特許発明1~12はいずれも、本件特許発明の課題を解決できないとはいえないから、サポート要件に適合するものである。
第8 前記第6の理由4(明確性要件)について
本件特許発明1が対象とする皮膜は「アルカリ溶液での処理により脱離する皮膜」であり、アルカリ溶液は本件特許明細書【0101】及び【0102】に列記されるものが通常想定されるといえ、脱離は本件特許明細書【0111】及び【0112】に記載のとおりのものが通常想定され、それ自体明確といえるから、いかなる条件で脱離する皮膜を対象としているのか、あるいは、いかなる程度脱離する皮膜を対象としているのかを特定するまでもなく、本件特許発明1並びに本件特許発明1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2~12も明確である。
第9 むすび
以上のとおりであるから、令和6年8月21日付けの取消理由通知に記載した取消理由、令和7年1月28日付けの取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明1~12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700352